電池および電池パック
【課題】シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリード導体との短絡の発生を抑制できる電池、電池パックを提供する。
【解決手段】ラミネートフィルム41は、外側から電池素子4側に向かって、外層樹脂フィルム41aと、金属箔41bと、融着用内層樹脂フィルム41cとがこの順で積層された構造を有する。融着用内層樹脂フィルム41cは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む。
【解決手段】ラミネートフィルム41は、外側から電池素子4側に向かって、外層樹脂フィルム41aと、金属箔41bと、融着用内層樹脂フィルム41cとがこの順で積層された構造を有する。融着用内層樹脂フィルム41cは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池および電池パックに関する。さらに詳しくは、例えば金属層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムを用いた電池および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源、パワーツール(電動工具)および車載用の駆動電源として広く利用されている。
【0003】
電子機器の小型軽量化のため、そこで使用される電気部品についても、小型化、軽量化が求められている。このため、例えば電源としては、袋体を封入容器として用い、その内部に非水電解質、正極および負極を封入してなる非水電解質電池が採用されつつある。
【0004】
この封入容器には、電解液やガスの透過、外部からの水分の浸入を防止する性質が求められる。そこで、封入容器の材質としては、樹脂フィルム/金属層/熱融着性樹脂(熱融着層)の多層構造を持つラミネートフィルムが用いられている。
【0005】
この封入容器内に、非水電解質、正極、負極、並びに、正極および負極の間に配置されるセパレータを封入する。さらに正極、負極にその一端が接続されたリード導体を封入容器の開口部から導出し、リード導体を封入容器の外側に延出するように配設して、最後に開口部を熱融着する。以上の工程によって、この非水電解質電池を製作できる。
【0006】
リード導体が導出される開口部の熱融着部分(以下、シール部と称する)では、対向する熱融着層同士が融着している。また、シール部において、ラミネートフィルムの熱融着層間にリード導体が介在している部分では、ラミネートフィルムの熱融着層がリード導体に対して融着している。
【0007】
このシール部では、熱融着による優れた接着性、シール性が求められる。さらに熱融着の際の変形により、ラミネートフィルムの熱融着層の内側に位置する金属層とリード導体との短絡が生じない性質も求められる。
【0008】
このため、ラミネートフィルムの金属層とリード導体との間に位置する層には、様々な工夫がなされている。また、リード導体を被覆する絶縁被覆層を設け、この絶縁被覆層に様々な工夫を行っている。
【0009】
例えば特許文献1には、リード導体の絶縁被覆層として、リード導体に接触して、リード導体との接着性が良好なマレイン酸変性ポリオレフィンの層を設け、その外側にゲル分率が20%〜90%である架橋ポリエチレンの層を設ける技術が開示されている。
【0010】
例えば特許文献2には、リード導体と封入容器間に酸変性直鎖状低密度ポリエチレンを介在させて、低温での熱融着を可能にし、併せてシール性を良好にする技術が開示されている。
【0011】
例えば特許文献3には、ヒートシールによる熱と加圧で変形し易い高流動性ポリプロピレンの層と、変形しにくい低流動性ポリプロピレンの層とを積層したフィルムとを、リード導体と封入容器との間に介在させる技術が開示されている。この技術によって、ラミネートフィルムの金属層とリード導体との短絡を防止できる。
【0012】
また、近年、電池では、車載用電池など大電流放電が必要とされる用途が増加している。大電流放電では、放電時のリード導体の発熱を小さくするため、リード導体の幅を大きくする必要やリード導体の数を増加する必要がある。リード導体の幅を大きくした場合、電池の同一辺から正極および負極のリード導体を延出することが難しくなるため、正極のリード導体および負極のリード導体のそれぞれを電池の異なる辺から延出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許3114174号公報
【特許文献2】特開2001−297736号公報
【特許文献3】特開2003−7269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の技術では、架橋ポリエチレンの架橋の程度により接着性が変化する。このため、特許文献1の技術では、接着性を確実にするために架橋の程度を正確に制御する必要があり、生産性が低下する問題がある。
【0015】
特許文献2の技術では、熱融着の際、介在フィルムの軟化や流動による短絡が発生しやすく、それを避けつつ加圧、加熱して融着するように制御することはかなり困難である。
【0016】
特許文献3の技術では、低流動性の樹脂の融点を超える温度条件で熱融着を行うと、短絡が発生しやすく、それを避けた条件で優れた接着を行うことはかなり困難である。
【0017】
また、正極のリード導体と負極のリード導体とを異なる辺からそれぞれ延出すると、シール部の面積が大きくなるため、体積エネルギー密度が低下してしまう。リード導体の数を増加した場合には、リード導体が導出される開口部を熱融着する時に、リード導体間が接触しやすくなるため、リークや短絡が生じる可能性が高くなる。このため、リード導体の数を増やした場合には、電池の同一辺から複数のリード導体を延出することが難しくなる。
【0018】
したがって、この発明の目的は、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリード導体との短絡の発生を抑制できる電池および電池パックを提供することにある。また、この発明の他の目的は、リード導体の短絡を抑制でき、且つ体積あたりのエネルギー密度が優れた電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムによって外装された電池素子と、電池素子に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出されたリードとを備え、熱融着樹脂層は、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池である。
【0020】
第2の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムに外装された電池素子と、電池素子に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードと熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントとを備え、シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池である。
【0021】
第3の発明は、第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを有する第1のラミネートフィルムと、第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを有する第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、電池素子に接続され、対向する第1の熱融着樹脂層と第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、第1のラミネートフィルムおよび第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードに接続された回路基板とを備え、第1の熱融着樹脂層および第2の熱融着樹脂層のうちの少なくとも何れかが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む電池パックである。
【0022】
第4の発明は、第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを備えた第1のラミネートフィルムと、第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを備えた第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、電池素子に接続され、対向する第1の熱融着樹脂層と第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、第1のラミネートフィルムおよび第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードに接続された回路基板と、リードと第1の熱融着樹脂層との間、およびリードと第2の熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントとを備え、シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池パックである。
【0023】
第5の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムに外装された電池素子と、電池素子の正極に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出された正極リードと、電池素子の負極に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出された負極リードと、正極リードおよび負極リードの間に設けられた、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントとを備え、正極リードおよび負極リードは、同一方向に延出され、正極リードの負極リード側の面の少なくとも一部と、負極リードの正極リード側の面の少なくとも一部とが、シーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられた電池である。
【0024】
第1〜5の発明では、熱融着樹脂層および/またはシーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する。これにより、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリードとの短絡の発生を抑制できる。
【0025】
第5の発明では、正極リードの負極リード側の面の少なくとも一部と、負極リードの正極リード側の面の少なくとも一部とが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられている。これにより、正極リードと負極リードとの短絡の発生を抑制でき、且つ、体積あたりのエネルギー密度を向上できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリード導体との短絡の発生を抑制できるという効果を奏する。また、この発明によれば、正極リードと負極リードとの短絡の発生を抑制でき、且つ体積あたりのエネルギー密度を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図4】図3における線Lに沿った断面図である。
【図5】ラミネートフィルムの構成を示す断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による電池パックの構成を示す分解斜視図である。
【図7】電池素子を被覆する外装材の一形状例を示す展開図である。
【図8】外装材の構成を示す断面図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図14】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図16】この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図17】この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図18】図17の線a−a’に沿った断面を示す断面図である。
【図19】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図20】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図21】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図22】従来の非水電解質電池の構成を示す略線図である。
【図23】この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図24】図23の線e−e’に沿った断面を示す断面図である。
【図25】この発明の第5の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図26】図25の線f−f’に沿った断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は、この発明の具体的な例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(電池パックの例)
3.第3の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
4.第4の実施の形態(非水電解質電池の第3の例)
5.第5の実施の形態(非水電解質電池の第4の例)
6.他の実施の形態(変形例)
【0029】
1.第1の実施の形態
<非水電解質電池の構成>
図1〜3は、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す。この非水電解質電池は、図1および図2に示すように、電池素子4がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子4の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。図3に示すように、この非水電解質電池は、電池素子4に接続された正極リード42aおよび負極リード42b(以下、正極リード42aおよび負極リード42bを区別しない場合は電極リード42と適宜称する。)がラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。なお、図3に示す非水電解質電池は、図2に示す非水電解質電池の構成において、凹部47の両側の部分を、凹部47の方向に向けて折り曲げた後の構成を示す。
【0030】
<電池素子4>
電池素子4は、例えば角形または扁平型を有し、帯状の正極と、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された構造を有する。そして、正極および負極にはそれぞれ正極リード42aおよび負極リード42bが接続されている。なお、6.他の実施の形態で後述するが、電池素子4の構成はこれに限定されるものではない
【0031】
正極リード42aおよび負極リード42bには、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、正極リード42aの両面の一部にシーラント43aが配置されており、負極リード42bの両面の一部にシーラント43bが配置されている。なお、説明の便宜上、シーラント43aとシーラント43bとを区別しない場合はシーラント43と称する。
【0032】
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに、正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに、負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。正極リード5aおよび負極リード5bは、それぞれ正極集電体および負極集電体に接合されている。正極活物質、負極活物質、ポリマー電解質としては、既に提案されている材料を使用することができる。
【0033】
正極は、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合では、正極活物質として、LiXMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、Xは、電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用できる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)等が好ましい。
【0034】
このようなリチウムイオン複合酸化物の具体例としては、LiCoO2,LiNiO2,LiNiyCo1-yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。また、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを有しない金属硫化物または酸化物を使用しても良い。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、導電剤や結着剤等を添加しても良い。
【0035】
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。このような材料から負極を形成するに際して、結着剤等を添加しても良い。
【0036】
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んだものとされている。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、およびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等の高分子材料、およびこれらの混合物が使用される。
【0037】
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-、Br-、I-、SCN-、ClO4-、BF4-、PF6-、CF3SO3-等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
【0038】
<ラミネートフィルム>
図4は、図3において線Lに沿った非水電解質電池の断面図である。図4に示すように、電池素子4は、ラミネートフィルム41に収容された構造とされている。電池素子4に接続された負極リード42bはラミネートフィルム41の外側に延出されて、その一部がラミネートフィルム41の外側に露出している。また、負極リード42bの両面の一部には、シーラント43bが設けられている。このシーラント43bを介して、負極リード42bは、上側のラミネートフィルム41と下側のラミネートフィルム41との間に挟まれている。なお、正極リード42aおよびシーラント43aについても同様である。
【0039】
図5にラミネートフィルム41の断面構造を示す。ラミネートフィルム41は、外側から電池素子4側に向かって、外層樹脂フィルム41aと、金属箔41bと、融着用内層樹脂フィルム41cとがこの順で積層された構造を有する。
【0040】
金属箔41bとしては、例えばアルミニウムなどを用いることができる。金属箔41bは、例示したアルミニウムに限定されるものではなく、従来提案されている材料を用いることができる。金属箔41bは、ラミネートフィルム41の強度向上の他、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を防止する機能を有する。
【0041】
外層樹脂フィルム41aは、外観の美しさや強靭さ、柔軟性が求められることからナイロン(Ny)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)などが用いられる。これらの樹脂を複数種類選択して用いることもできる。外層樹脂フィルム41aは、これら例示したものに限定されるものではない。一般には融着樹脂よりも高温側の融点を持つものであればよい。融着用内層樹脂フィルム41cについては後述する。
【0042】
非水電解質電池の製造工程において、まずラミネートフィルム41の折り返し辺を除く2辺が熱融着され、残りの一辺が開放部とされ、この開放部から、電池素子4に接続された電極リード42がラミネーフィルム41の外側に延出される。その後、この開放部が熱融着されることによって封止される。
【0043】
この開放部において、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、開放部において、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれている部分では、上側のラミネートフィルム41/上側のシーラント43/電極リード42/下側のシーラント43/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/上側のシーラント43/電極リード42/下側のシーラント43/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0044】
開放部が熱融着されると、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着される。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれている部分では、シーラント43が電極リード42に対して融着される。さらに、このシーラント43と融着用内層樹脂フィルム41cとが融着される。また、融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント43を介して、電極リード42に対して融着される。
【0045】
<シーラント43および融着用内層樹脂フィルム41cの構成>
この発明の第1の実施の形態による電池パックでは、シーラント43および融着用内層樹脂フィルム41cが、以下に説明する熱融着樹脂材料で構成される。以下、熱融着樹脂材料について詳細に説明する。
【0046】
<熱融着樹脂材料>
熱融着樹脂材料は、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有するものである。
【0047】
<熱融着樹脂>
熱融着樹脂としては、融点が比較的低い樹脂(例えば融点が170℃以下の樹脂)を用いることができる。熱融着樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂などが適する。他にもTPX(ポリメチルペンテンポリマー)などが挙げられる。なお、熱融着樹脂は、これらの例示したものに限定されるものではない。
【0048】
<微細樹脂繊維>
微細樹脂繊維とは、例えば直径が100μm以下の細長い糸状の構造物をいう。微細樹脂繊維の断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形でも楕円形でも四角形でもよい。微細樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフォン(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。微細樹脂繊維は、これらの例示したものに限定されるものではない。
【0049】
微細樹脂繊維のサイズとしては、直径が0.1μm〜50μmが好ましく、直径が0.5μmから20μmがより好ましい。さらに、直径はフィルムの厚みよりも小さいことが必要である。直径は例えばフィルム厚みの半分以下が好ましい。微細樹脂繊維の周囲にもシールに必要な熱融着樹脂を絡ませるようにするためである。厚み方向に熱融着樹脂が存在するように構成することが好ましい。
【0050】
微細樹脂繊維の長さは、50μm〜10000μmが好ましく、200μm〜5000μmがより好ましい。微細樹脂繊維の長さが短すぎると、微細樹脂繊維同士の絡み合いが少なくなり、熱融着時に樹脂の流動とともに移動するため、短絡に対する耐性が低下する。特に配合量が少ないと、短絡に対する耐性がさらに低下する。微細樹脂繊維の長さが長すぎると、フィルムの成膜時に毛羽立ちが生じるおそれがある。微細樹脂繊維のサイズを適切な範囲に設定し、微細樹脂繊維同士の絡み合いによる疑似的な不織布状態が形成されることが、より優れた特性を得るためには重要と考えられる。
【0051】
なお、微細樹脂繊維のサイズは、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察した場合において、アットランダムにピックアップした所定本数(例えば30本)の繊維について、直径および長さを測定し、その平均値をとったものである。微細樹脂繊維の直径は、繊維の断面の形状が真円である場合は、その直径である。また、繊維の断面の形状が真円でない場合には、その断面形状の最大径を直径とする。繊維の長さは繊維の軸方向の長さである。
【0052】
微細樹脂繊維の配合量は、多すぎると、後述する不織布を使用したときの問題点と同様の特性が低下する傾向にある。配合量が少なすぎると、樹脂の流動により樹脂厚が低下し金属箔同士が接触して短絡に至る傾向がある。
【0053】
微細樹脂繊維の配合量は、例えば、微細樹脂繊維の直径または短辺長をrμm、フィルムの厚みをtμmとした場合に、熱融着樹脂に対する体積比率で、(r/t)×100vol%以下となるように選ばれる。微細樹脂繊維の配合量は、微細樹脂繊維の軸方向と垂直方向の横断面積の総計と、フィルムの厚さ方向の断面の面積とがほぼ一致する場合の配合量である。
【0054】
なお、微細樹脂繊維の直径は上述と同様の方法で測定して得られる。微細樹脂繊維の短辺長とは、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察した場合において、アットランダムにピックアップした所定本数(例えば30本)の繊維について、繊維の軸方向と垂直方向の幅の最大幅を測定し、その平均値を取ったものである。
【0055】
上述したように微細樹脂繊維の直径はフィルムの厚みよりも小さいことが必要であり、さらに例えばフィルムの厚みの半分以下が好ましい。また、微細樹脂繊維の直径は、フィルムの厚みに対して小さすぎると、短絡に対する耐性が低下してしまうため、フィルムの厚みの10%より厚いことが好ましい。なお、これらは、微細樹脂繊維の短辺長についても同様である。
【0056】
上記の好ましいとされる、フィルムの厚みt(μm)と、微細樹脂繊維の直径または短辺長r(μm)との関係を式で表すと、0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)となる。この条件[0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)]の下で、上記式(r/t)×100vol%で算出される微細樹脂繊維の配合量の好ましい上限は、熱融着樹脂に対する体積比率で、10%より大きく50vol%以下である。
【0057】
また、微細樹脂繊維の配合量の特に好ましい範囲は、より優れた特性が得られる点から、熱融着樹脂に対する体積比率で10vol%〜25volである。
【0058】
以上説明したこの発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、電極リード42が導出される開口部を熱融着する際の制御が容易であり、電極リード42が導出される開口部を優れた接着力およびシール性で熱融着できる。さらにこの発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、熱融着の際に、金属箔41bと電極リード42との短絡の発生を抑制できる。
【0059】
<従来技術との差異について>
さらに、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の理解を容易にするために、従来技術を例に挙げ、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の従来技術より優れた効果をさらに説明する。
【0060】
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池と同様の課題を解決することを目的とした従来技術として、(1)不織布に熱融着樹脂を染み込ませたフィルムを使用する方法、(2)無機フィラーを添加する方法の2つが挙げられる。
【0061】
<(1)の不織布に熱融着樹脂を染み込ませたフィルムを使用する方法の問題点>
(1)の技術では、シール後の厚みや形状が不織布に支配され、シールした後も不織布の樹脂厚を下回ることは難しい。熱融着樹脂層は不織布の厚み以上となるため、厚みの自由度が樹脂単体によるフィルムに比べて低い。フィルム同士を重ねてヒートシールする時に必要な樹脂は不織布の外にある樹脂部分であるため、ここに必要量の樹脂を重ねる必要がある。よって、不織布を使用すると、樹脂の利用効率が悪く、熱融着樹脂単体のフィルムよりも厚みが厚くなってしまう。
【0062】
通常のヒートシールでは不織布は変形しにくいため、シール形状の制御が難しい。ヒートシール後、高温状態で加圧を解くと不織布が弾性で厚みを戻していく現象も起こり、シール部の厚み制御が困難となる。また、不織布の空孔に熱融着樹脂を染み込ませることが必要となり、染み込みが不十分であると気泡が混入することとなり、ヒートシール時に気体が膨張し、シール不良や外観不良へとつながる。シール時の樹脂の流動も不織布が制限させることもあり、樹脂が自由に流動できずにフィルムと剥れるデラミネーションに至ることもある。製膜も不織布に熱融着樹脂を融解状態で塗布する方法が主で、他の製膜方法は採用できにくい。ラミネートフィルムを製膜する時のラミネーションの方法も限られる。
【0063】
<(2)の無機フィラーを添加する方法の問題点>
(2)の技術では、微細樹脂繊維を入れた熱融着樹脂と同様の製膜方法を採ることができる利点は有るが、ラミネートフィルムを成形する時に、金型とフィルム間のすべりが悪く、成形性が低下する。また、成形機に傷が付きメンテナンス頻度が上がる。ヒートシール時には無機フィラーの高い熱容量のためにシール熱が奪われることから、シール条件を厳しく設定する必要があり、結果としてラミネートフィルムを傷つけることにつながる。熱供給を多くする必要が有ることで、熱供給が少なくばらついた時に融着不足によるシール不良が発生することも有る。フィルムからフィラーが脱落・剥落すると電池内部に入り込みコンタミ問題が生じ、電池の安全性を下げる。
【0064】
<この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池が奏する効果>
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、シーラント43a〜bおよびラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cに、微細樹脂繊維を熱融着樹脂に含むようにした熱融着樹脂材料を用いる。これにより、上述の従来技術の問題点を解決できる。すなわち、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、短絡防止の最低量を効果的に添加することができる。微細樹脂繊維自体は熱融着樹脂の流動を妨げず、また熱融着樹脂と微細樹脂繊維は共に樹脂成分であるため、相性が良く、無機フィラーのように剥落することは少ない。剥落して電池内部に混入しても、無機フィラーと比べて軟らかいため、安全性への影響は小さい。
【0065】
また、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、微細樹脂繊維の熱容量は熱融着樹脂の熱容量と大差がなく、ヒートシール時の熱量コントロールは熱融着樹脂を単体で用いた場合と変わらない。成形性に関しても、樹脂の滑り性を低下させることは無く、成形機を傷つけるほど微細繊維は硬くないため、メンテナンスなども熱融着樹脂単体で使用する場合と変わらない。
【0066】
さらに、この発明の第1の実施形態による非水電解質電池では、融着用内層樹脂フィルム41cやシーラント43a〜bなどのように、熱融着樹脂材料で構成されるフィルムを製造するのに、既に提案されている種々の製膜方法を採用することができる。
【0067】
例えば、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有するものである熱融着樹脂材料は、Tダイ法、インフレーション法などの溶融押出法等により、フィルム状に製膜することができる。
【0068】
簡単に説明すると、溶融押出法とは、押出機内の溶融材料を押出機の先端に取り付けたダイから押し出し、冷却して成形する方法である。Tダイ法とは、押出機の先端に取り付けた、幅広のフラットなダイ(Tダイ)から押し出された、フラット状の溶融材料を、ロール上で冷却し、巻き取ってフィルム状に製膜する方法である。
【0069】
インフレーション法とは、押出機の先端に取り付けた、リング状の円形ダイからチューブ状に溶融材料を押出し、さらにこのチューブの内部に空気を吹き込んで、所定の寸法に膨張させた後、冷却し、ローラに巻き取ってフィルム状に製膜する方法である。
【0070】
また、熱融着樹脂材料は、インフレーション法、Tダイ法による共押出法によってもフィルム状に製膜可能である。共押出法とは、溶融押出法の一種であり、複数の材料を一度に押し出して重ねる方法である。この共押出法により、例えば、微細樹脂繊維を含有する層と、微細樹脂繊維を含有しない層とを有する2層フィルムの製膜も行うことができる。
【0071】
例えば、上述の第1の実施の形態において、融着用内層樹脂フィルム41cに代えて、共押出法によって製造された微細樹脂繊維を含有する層と微細樹脂繊維を含有しない層とを有する2層フィルムを用いるようにすることもできる。勿論、この2層フィルムを、シーラント43a〜bに代えて用いるようにすることもできる。
【0072】
例えば、熱融着樹脂を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加後攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液ができ上がる。この樹脂融液を用いて、例えば上記の溶融押出法によって、1段階で熱融着樹脂材料をフィルム状に製膜することができる利点がある。
【0073】
また、ラミネートフィルム41のように、複数の層を有する積層フィルムを製造するために用いる、ラミネーション方法も、既に提案されている種々の方法を採用することができる。既に提案されている方法としては、例えば、ドライラミネーション、ヒートラミネーション、押し出し塗布等が挙げられる。
【0074】
2.第2の実施の形態
<電池パックの構成>
図6は、この発明の第2の実施形態による電池パックの一構成例を示す分解斜視図である。この電池パックは、例えば、角形または扁平型を有するリチウムイオンポリマー二次電池の電池パックである。図6に示すように、この電池パックは、外装材1で電池素子4を外装し、両端開口に対してそれぞれトップカバー2およびボトムカバー3を嵌合したものである。トップカバー2には開口21が設けられ、この開口21を介して、トップカバー2に収納された回路基板の接点部が外部に臨むようになっている。以下では、トップカバー2を嵌合する側の開口をトップ側開口、ボトムカバー3を嵌合する側の開口をボトム側開口と称する。
【0075】
以下、電池素子4、外装材1、トップカバー2、ボトムカバー3について説明する。
【0076】
<電池素子4>
電池素子4の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0077】
<外装材1>
図7は、電池素子4を外装する外装材1の一形状例を示す展開図である。図7Aに示すように、この外装材1は、電池素子4を収納するための収納部15が設けられた軟質ラミネートフィルム1aと、この軟質ラミネートフィルム1a上に収納部15を覆うようにして重ねられる硬質ラミネートフィルム1bとからなる。また、収納部15の底面に相当する位置の外側表面には熱溶着シート15aが配置されている。軟質ラミネートフィルム1aに設けられた収納部15は、例えば、予め金型で絞り加工を施して電池素子4の形状に応じて凹状に形成される。
【0078】
軟質ラミネートフィルム1aは、絞り加工により電池素子4を挿入する収納部15を形成するのに適し、かつ、硬質ラミネートフィルム1bに比して軟質のものである。
【0079】
図8Aは、外装材1を構成する軟質ラミネートフィルム1aの一構成例を示す断面図である。軟質ラミネートフィルム1aは、接着層16a、金属層17a、表面保護層18aを順次積層した防湿性、絶縁性を有する積層構造を有し、表面保護層18aが硬質ラミネートフィルム1bと接する側になる。
【0080】
接着層16aは、第1の実施の形態で説明した熱融着樹脂材料で構成される。熱融着樹脂材料の詳細な説明については、第1の実施の形態と同様であるのでここでは省略する。接着層16aの厚さは、例えば10μm〜30μm程度である。
【0081】
金属層17aは、軟質の金属材料が用いられ、外装材の強度向上の他、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を守る役割を担っている。軟質の金属材料としては、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウムが最も好適であり、JIS規格に基く特に8021Oまたは8079O等のアルミニウムを用いるのが好ましい。また、金属層17aの厚さは、例えば、30μm〜130μm程度の範囲に選ばれる。
【0082】
表面保護層18aは、表面保護の機能を有する。外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル等が用いられる。具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が用いられ、これらから複数種類選択して用いることも可能である。表面保護層18aの厚さは、例えば、厚みが10μm〜30μm程度の範囲に選ばれる。
【0083】
図8Bは、硬質ラミネートフィルム1bの構成例を示す断面図である。硬質ラミネートフィルム1bは、曲げた後の形状を維持し、外部からの変形に耐えることができるものである。硬質ラミネートフィルム1bは、接着層16b、金属層17b、表面保護層18bを順次積層した積層構造を有する。
【0084】
硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bおよび表面保護層18bは、軟質ラミネートフィルム1aと同様のものである。金属層17bは、例えば、硬質の金属材料が用いられ、特に3003H18、3004H18等のJIS規格に基くアルミニウムを用いるのが好ましい。なお、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの各層の厚みは、総厚を考慮して適切なものに選定される。
【0085】
収納部15の開口面を覆うように、軟質ラミネートフィルム1aに対して硬質ラミネートフィルム1bを重ねて配する。この場合、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの位置関係をずらしたものとする。ここで、軟質ラミネートフィルム1aが互いに等しい長さのトップ側長辺11a、ボトム側長辺12aを有し、また、互いに等しい長さの左側短辺13aおよび右側短辺14aを有する。同様に、硬質ラミネートフィルム1bが互いに等しい長さのトップ側長辺11b、ボトム側長辺12bを有し、また、互いに等しい長さの左側短辺13bおよび右側短辺14bを有する。なお、左右は、図面に向かって見た場合の位置関係を示している。
【0086】
硬質ラミネートフィルム1bの長辺11bおよび12bの長さは、電池素子4が収納された収納部15を包み込んだ状態において、その短辺13bおよび14b同士が当接するか、僅かな隙間を隔てて対向するように設定されている。軟質ラミネートフィルム1aの長辺11aおよび12aの長さは、硬質ラミネートフィルム1bの長辺11bおよび12bの長さより短く選ばれる。例えば、電池素子4が収納された収納部15を包み込んだ状態において、その短辺13aおよび14a同士が当接するか、隙間を隔てて対向するように設定されている。ここで、この軟質ラミネートフィルム1aの隙間は、僅かな幅のものに限られず、ある程度の幅のものとしてもよい。
【0087】
軟質ラミネートフィルム1aの短辺13a、14aは、硬質ラミネートフィルム1bの短辺13b、14bよりやや短いものとされている。したがって、トップ側に硬質ラミネートフィルム1bのみが存在するように、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bを積層することができる。このようにした場合、トップ側の開口に設けられたトップカバー2の周面を硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bにより熱溶着できるという利点を得ることができる。なお、ボトム側においても、硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bがむき出しになるようにして、ボトム側の開口に設けられたボトムカバー3の周面を硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bにより熱溶着できるようにしてもよい。
【0088】
<トップカバー>
トップカバー2は、外装材1のトップ側開口に嵌合して、このトップ側開口を塞ぐものである。このトップカバー2には回路基板が備えられ、この回路基板に対して電池素子4から引き出された電極リード5aおよび5bが接続される。
【0089】
回路基板には、ヒューズ、PTC、サーミスタ等の温度保護素子を含む保護回路、電池パックを識別するためのID抵抗等がマウントされ、更に複数例えば3個の接点部が形成されている。また、保護回路には、二次電池の監視とFET(Field Effect Transistor)の制御を行うIC、および充放電制御FETが含まれている。
【0090】
PTCは、電池素子4と直列に接続され、電池素子4の温度が設定温度に比して高くなると、電気抵抗が急激に高くなって電池に流れる電流を実質的に遮断する。ヒューズや、サーミスタも電池素子4と直列に接続され、電池素子4の温度が設定温度より高くなると、電池に流れる電流を遮断する。
【0091】
また、電池素子4の監視とFETの制御を行うICおよび、充放電制御FETを含んだ保護回路は、電池素子4の電圧を監視し、4.3V〜4.4Vを越えると充電制御FETをオフし、充電を禁止する。また、保護回路は二次電池電圧を監視し、放電禁止電圧を下回ると放電制御FETをオフし、放電を禁止する。
【0092】
<ボトムカバー>
ボトムカバー3は、電池パックのボトム側の端面に設けられる樹脂成型カバーである。ボトムカバー3は、電池セルを外装材1で包むことにより形成される外装材1の開口部に嵌合され、熱融着等で電池セルに接着される。
【0093】
<電池パックの製造方法>
この発明の第2の実施形態による電池パックの製造方法について説明する。
【0094】
<電池素子4作製工程>
まず、例えば、ゲル電解質層が両面に形成された正極および負極と、セパレータとを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に順次積層し、この積層体を平板の芯に巻き付けて、長手方向に多数回巻回して巻回型の電池素子4を作製する。
【0095】
<外装材被覆工程>
次に、例えば予め深絞成形により、電池素子4を入れるための収納部15を軟質ラミネートフィルム1aに成形する。この際、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aの収納部15は、例えば、中心位置に対してやや右側にずれた位置に形成する。そして、電池素子4を軟質ラミネートフィルム1aに形成された収納部15内に収納する。
【0096】
次に、図7Aに示すように、硬質ラミネートフィルム1bを、軟質ラミネートフィルム1aに対してやや右側にずれた位置に積層する。これにより、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bが積層された状態では、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aのみが位置する左側領域と、硬質ラミネートフィルム1bのみが位置する右側領域とが生じる。
【0097】
このように位置をずらしているのは、以下の理由からである。収納部15の底面外側に軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの端部を折り込んだ後、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aと硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bとが、ある程度の幅でもって接着されるようにするためである。
【0098】
次に、図7Aに示すような配置関係の状態で、収納部15の開口の周辺の4辺を減圧しながら熱溶着する。この場合、接着層16aおよび接着層16b同士が重なっている部分全体を熱溶着するようにしても良い。このようにして、収納部15の周囲を熱溶着することにより、電池素子4が封止される。
【0099】
次に、図7Aに示すように、収納部15の底面の外側に、所定の形状とした熱溶着シート15aを設ける。熱溶着シート15aは、軟質ラミネートフィルム1aの表面保護層18a同士を加熱することで接着させるための補助的部材である。好ましくは、厚みは、総厚の関係から10μm〜60μm程度で、100℃前後の融点のものが用いられる。熱溶着シート15aの融点は、電池素子4に対して熱の影響を与えない程度のものが好ましい。
【0100】
次に、図9に示すように、軟質ラミネートフィルム1aの収納部15の底面外側へ向けて、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの両端、すなわち、短辺13a、14aおよび13b、14bを内側に折り込む。そして、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの端部を熱溶着するとともに、収納部15の底面外側に対して軟質ラミネートフィルム1aを熱溶着する。これにより、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bが、電池素子4が収納された収納部15を包み込むように閉じた状態で固定される。すなわち、トップ側開口およびボトム側開口が形成される。
【0101】
図10Aに示すように、電池素子4を包み込んだ状態では、硬質ラミネートフィルム1bの短辺13bおよび14b同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L1が生じる。また、硬質ラミネートフィルム1bの内側には、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L2が生じる。
【0102】
図10Aは、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向する例である。なお、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士がある程度の幅の隙間を介して互いの端面が対向するようにしてもよい。
【0103】
図10Aに示すように、熱溶着シート15aの上側に接して、軟質ラミネートフィルム1aの表面保護層18aが位置する。したがって、表面保護層18aが熱溶着シート15aを挟んだ構造となり、外側から熱を加えることで、表面保護層18a同士を接着することができる。また、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの互いの接着層16aおよび接着層16bが対向接触するので、外側から熱を加えることで、これらの接着層16aおよび16bを接着することができる。
【0104】
また、図10Bの断面図に示すように、負極リード5bの両側にはシーラント6bが設けられ、シーラント6bを介して、負極リード5bは、軟質ラミネートフィルム1aと硬質ラミネートフィルム1bとの間に挟まれている。より詳しく説明すると、シーラント6bを介して、負極リード5bは、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aと硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bとの間に挟まれている。なお、図10Bは、図9において、矢印P方向に沿った断面図である。そして、このシーラント6bは、上述した熱融着樹脂材料で構成されている。なお、正極リード5aの両側に設けられたシーラント6aも同様である。
【0105】
以上のようにして、樹脂製の箱型のケースを使用することなく、また、両サイドに樹脂製のフレームを配することなく、ラミネートフィルムが外装材を兼ねる電池パックを製造することができる。
【0106】
<トップカバー嵌合工程>
次に、図11に示すように、電極リード5aおよび5bが、例えば抵抗溶接または超音波溶接によって回路基板22に対して接続される。次に、図12に示すように、トップカバー2の開放面側に回路基板22を挿入して、回路基板22を覆うように、回路基板22に対してトップカバー2が取り付ける。このトップカバー2は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。
【0107】
なお、トップカバー2の内部には、回路基板22を水平に保持する保持部が設けられている。また、トップカバー2の上面には、回路基板22の接点部23と対応する位置に3個の開口21が設けられている。この開口21を介して接点部23が外部に臨むことになる。また、トップカバー2の幅は、外装材1のトップ側の端面の開口の高さの内寸よりやや小に選定されている。
【0108】
次に、図13に示すように、トップカバー2に対してホルダー24を組み込む。ホルダー24は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。このホルダー24の両端および中央部にそれぞれトップカバー2に向かって突出するリブ25a、25bおよび25cが設けられている。これらのリブ25a、25bおよび25cの端面がトップカバー2内の回路基板22を受ける面となるので、回路基板22を確実に支持することができる。
【0109】
次に、図14において矢印Rで示すように、嵌合されたトップカバー2およびホルダー24を手または治具によって時計逆方向に90度回転させる。その結果、水平に位置していた回路基板22が垂直に位置することになる。この場合、回路基板22がトップカバー2とホルダー24によって挟持されており、外部に露出していないので、回路基板22に触れずに回転させることができる。
【0110】
次に、図15に示すように、電極リード5aおよび5bを折り曲げながらトップカバー2およびホルダー24をトップ側開口に向けて(矢印S1の方向)に押し込む。これにより、トップ側開口に対してトップカバー2およびホルダー24が嵌合される。トップカバー2の幅は、上述したように、開口の内寸よりやや小とされているので、外装材1の端面付近の硬質ラミネートフィルム1bで形成されるスペース内に、回路基板22を挟持するトップカバー2およびホルダー24を収納することができる。
【0111】
<ボトムカバー嵌合工程>
次に、図15に示すように、ボトムカバー3の側壁を外装材1のボトム側端面の開口に向けて(矢印S2の方向)に向けて押し込む。これにより、ボトム側開口に対してボトムカバー3の側壁が嵌合されるとともに、ボトムカバー3の本体によってボトム側開口が覆われる。このボトムカバー3は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。
【0112】
<熱溶着工程>
次に、治具にて全長をおさえ、熱溶着を行う。すなわち、銅等の金属からなるヒーターブロックを外装材1のトップ側の端の近傍に上下から押し当て、トップカバー2の周面と、硬質ラミネートフィルム1bの内面の接着層16bとを熱溶着する。また、同様に、ヒーターブロックを外装材1のボトム側の端の近傍に上下から押し当て、ボトムカバー3の周面と、硬質ラミネートフィルム1bの内面の接着層16bとを熱溶着するようにしてもよい。
【0113】
<樹脂注入工程>
次に、ボトムカバー3に設けられた貫通孔(図示省略)を介して電池素子4とボトムカバー3との間に溶融樹脂(ホットメルト材)を充填し、固化させる。これにより、ボトムカバー3が電池素子4の端面に接着される。なお、充填される樹脂は、注形時に低粘度状態を有すればよく、特に限定されるものではなく、例えばポリアミド系ホットメルト、ポリオレフィン系ホットメルト、アクリロニトリルブタジエン共重合体(ABS)などを使用することができる。
【0114】
なお、トップカバー2と電池素子4との間にも溶融樹脂を充填するようにしてもよい。この場合、トップカバー2に対して1または2以上の貫通孔を設けて、この貫通孔から溶融樹脂を注入するようにすればよい。以上の工程により、この発明の第2の実施の形態による電池パックが製造される。
【0115】
この発明の第2の実施の形態による電池パックでは、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
3.第3の実施の形態
図16〜図17は、この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す。この非水電解質電池は、図16および図17に示すように、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。
【0117】
図17に示すように、この非水電解質電池は、正極および負極のそれぞれに接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。なお、正極リード62aおよび負極リード62bを区別しない場合には電極リードと総称する。
【0118】
<電池素子54>
電池素子54は、例えば角形または扁平型を有し、帯状の正極と、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された構造を有する。正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続されている。負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続されている。
【0119】
正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、広く設定されている。また、正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、同じ大きさに設定されている。このように幅が広く設定された電極リードは、大電流放電を行う電池に好適に使用される。電極リードの幅を広く設定することによって、大電流を流した際の抵抗を小さくして、電極リードの発熱を低減することができる。
【0120】
正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、それぞれ、例えば電池素子54の幅に対して50%以上が好ましい。正極リード62aおよび負極リード62bの幅が、電池素子54の幅に対して50%未満になると、大電流を流した際に抵抗が大きくなってしまい、熱発生により不良が生じるからである。また、正極リード62aおよび負極りード62bの幅は、それぞれ、例えば電池幅に対して95%以下が好ましい。正極リード62aおよび負極リード62bの幅が電池幅に対して95%を超えると、シール部において、不良が発生しやすくなるからである。
【0121】
また、正極リード62aの長さおよび負極リード62bの長さは、互いに異なる長さに設定されている。より具体的には、正極リード62aの長さは、負極リード62bの長さよりも短く設定されている。
【0122】
シーラント63a〜dは、第1の実施の形態で説明した融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有する熱融着樹脂材料で構成されている。
【0123】
正極リード62aのラミネートフィルム41側の面の一部には、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、シーラント63aが配置されている。正極リード62aの負極リード62b側の面の一部には、シーラント63bが配置されている。シーラント63aとシーラント63bとは、互いに融着されている。
【0124】
負極リード62bのラミネートフィルム41側の面の一部には、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、シーラント63dが配置されている。負極リード62bの正極リード62a側の面の一部には、シーラント63cが配置されている。シーラント63cとシーラント63dとは、互いに融着している。シーラント63bおよびシーラント63cは、正極リード62aと負極リードと62bとが直接接触して短絡が生じることを抑制するために配置されている。シーラント63bとシーラント63cとは、互いに融着されている。
【0125】
図18は、図17の線a−a’に沿った断面構造を示す。図18に示すように、同じ幅を有する正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の一端と他端とが幅方向で同じ位置にあり、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面と、負極リード62bの正極リード62a側の面とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0126】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側のラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0127】
また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0128】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、シーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0129】
シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。さらに、シーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが、融着されている。また、上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0130】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。さらに、このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。また、下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0131】
図19Aは、ラミネートフィルム41から延出している、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成を説明するための上面図である。図19Bは、図19Aの線b−b’に沿った断面図である。
【0132】
図19Aおよび図19Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く設定されている。
【0133】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aおよびシーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分と、シーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bによって覆われる部分と、シーラント63bによって覆われない部分とを有する。
【0134】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bのシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0135】
正極リード62aのシーラント63b側の面において、シーラント63bに覆われている部分は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。正極リード62aのシーラント63b側の面において、シーラント63bに覆われていない部分は、シーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cによって覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、正極リード62aは、両面にシーラント63aおよびシーラント63bによって覆われていない部分を有し、正極リード62aの露出部分の面積が後述の変形例より大きいので、溶接位置の自由度がより高い。
【0136】
<変形例>
(第1の例)
なお、ラミネートフィルム41から延出している、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成を以下に説明する構成としてもよい。まず、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成の他の第1の例を説明する。図20Aは、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成の他の第1の例を説明するための上面図である。図20Bは、図20Aの線c−c’に沿った断面構造を示す。
【0137】
図20Aおよび図20Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aは、負極リード62bの長さより短く設定されている。
【0138】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。また、シーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さと同じ長さに設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分とシーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、全てシーラント63bによって覆われる。
【0139】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bのシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0140】
正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cに覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、この第1の例では、正極リード62aと負極リード62bとの間の全領域には、2枚のシーラント63bおよび63cが配置されているので、より確実に短絡を抑制することができる。
【0141】
(第2の例)
次に、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の他の第2の例について説明する。図21Aは、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63の延出部分の他の第2の例を説明するための上面図である。図21Bは、図21Aの線d−d’に沿った断面構造を示す。図21Aおよび図21Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aは、負極リード62bの長さより短く設定されている。
【0142】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。また、シーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分とシーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、全てシーラント63bによって覆われる。
【0143】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0144】
正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cに覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、この第2の例では、正極リード62aと負極リード62bとの間の全領域には、2枚のシーラント63bおよび63cが配置されているので、より確実に短絡を抑制することができる。
【0145】
<効果>
この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池では、正極リード62aおよび負極リード62bがシーラント63b〜cを介して、電池の厚さ方向に重なっているので、良好な体積エネルギー密度を得ることができる。
【0146】
すなわち、幅の広い正極リード62aおよび負極リード62bを用いた場合、電池の同一辺から正極リード62aおよび負極リード62bを延出すると、幅が広い正極リード62aおよび負極リード62bを用いているため、短絡の可能性が高まる。そこで、短絡を抑制するために、例えば図22に示す電池のように、正極リード62aおよび負極リード62bをそれぞれ電池の異なる辺から延出する。しかしながら、異なる辺から正極リード62aおよび負極リード62bをそれぞれ延出すると、正極リード62aおよび負極リード62bを延出する部分2辺をシールする必要があり、体積効率が低下する。
【0147】
一方、この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池では、電池の同一辺から正極リード62aおよび負極リード62bを延出することにより、正極リード62aおよび負極リード62bが延出する辺を一辺にする。これにより、正極リード62aおよび負極リード62bが延出する部分のシール面積を減らして、電池素子54の体積を向上できるので、図22に示す電池よりも体積あたりのエネルギー密度を向上できる。さらに、正極リード62aおよび負極リード62bの間には、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有する熱融着樹脂材料で構成されたシーラント63b〜cを配置することで、短絡の発生をより確実に抑制できる。
【0148】
4.第4の実施の形態
この発明の第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の配置および構成が、第3の実施の形態と異なる点以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、以下では、第3の実施の形態と異なる点を中心に詳細に説明し、その他の説明は適宜省略する。
【0149】
図23Aおよび図23Bに示すように、この非水電解質電池は、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。電池素子54の正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続される。電池素子54の負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続される。正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、同じ大きさに設定される。
【0150】
図24は、図23Bの線e−e’に沿った断面を示す。図24に示すように、正極リード62aの幅方向の一端および他端と、負極リード62bの幅方向の一端および他端とが、幅方向でそれぞれ異なる位置にある。より詳細には、幅方向において、正極リード62aの幅方向の一端が負極リード62bの幅方向の一端より左方に位置し、正極リード62aの幅方向の他端が負極リード62bの幅方向の一端と他端と間にある。そして、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面の一部と、負極リード62bの正極リード62a側の面の一部とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0151】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0152】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bの両方が挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0153】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0154】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0155】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、互いに融着されているシーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0156】
また、シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。このシーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0157】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。
【0158】
シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0159】
<効果>
この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池は、第3の実施の形態と同様の効果を有する。
【0160】
5.第5の実施の形態
この発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態は、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の配置および構成が、第3の実施の形態と異なる点以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、以下では、第3の実施の形態と異なる点にを中心に詳細に説明し、その他の説明は適宜省略する。
【0161】
図25Aおよび図25Bに示すように、この非水電解質電池は、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の、折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。
【0162】
この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bがラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。電池素子54の正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続される。電池素子54の負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続される。負極リード62bの幅は、正極リード62aの幅より大きく設定されている。
【0163】
図26は、図25Bの線f−f’に沿った断面構造を示す。図26に示すように、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の一端と他端とが幅方向で異なる位置にある。より詳細には、幅方向において、負極リード62bの幅方向の一端と他端との間に、正極リード62aの幅方向の一端と他端とが位置するように設定されている。また、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面の一部と、負極リード62bの正極リード62a側の面の一部とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0164】
また、図26に示す例では、バリが生じる負極リード62bの幅方向の一端および他端が、シーラント63b〜cを介して正極リード62aと電池の厚さ方向に重ならない位置に配置されている。したがって、負極リード62bに、ニッケル(Ni)などのバリが大きい材料を用いた場合には、正極リード62aと負極リード62bとの短絡をより効果的に抑制することができる。
【0165】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0166】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bの両方が挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0167】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0168】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、互いに融着されているシーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0169】
また、シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。このシーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0170】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。
【0171】
シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0172】
<効果>
この発明の第5の実施の形態による非水電解質電池は、第3の実施の形態と同様の効果を有する。
【実施例】
【0173】
<試験例1−1>
図6に示す3層構造の10cm×10cmのアルミラミネートフィルム41を試験用に作製した。アルミラミネートフィルム41は、図6に示す断面構造において、外層樹脂フィルム41a、金属箔41b、融着用内層樹脂フィルム41cを以下のように構成したものを用いた。
外層樹脂フィルム41a:PETフィルム
金属箔41b:アルミニウム箔
融着用内層樹脂フィルム41c:微細樹脂繊維を5vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)
【0174】
なお、上記の融着用内層樹脂フィルム41cは、以下のようにして作製した。まず、無延伸ポリプロピレン(CPP)を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加した後、攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液を作製した。微細樹脂繊維の配合量は、無延伸ポリプロピレン(CPP)に対する体積比率で5vol%とした。この樹脂融液を用いて、インフレーション法によって、樹脂融液をフィルム状に製膜することによって、上記の融着用内層樹脂フィルム41cを得た。
【0175】
微細樹脂繊維は、直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを用いた。なお、微細樹脂繊維の直径および長さは、SEMで観察した場合において、アットランダムにピックアップした30本の繊維について、直径および長さを測定し、その平均値をとったものとした。
【0176】
アルミラミネートフィルム41の作製は以下のように行った。厚さ50μmのアルミニウム箔の両面に接着剤を塗布し、一方の面に厚さ20μmのPETフィルムを貼り合わせ、他方の面に、微細樹脂繊維を5vol%配合した厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた。接着剤層の厚みは5μmとした。
【0177】
(剥離強度試験)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて剥離強度測定を行った。2枚のアルミラミネートフィルム41を用意して、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を対向するように配置して、熱融着を行った。融着条件は、金属シールヘッド使用、上下ヘッドとも180℃、シール圧力20kgf/cm2、シール時間5秒とした。
【0178】
熱融着した試料片を15mm幅にカットし、長さ方向に引っ張り、剥離強度を測定した。このとき、樹脂が試験時に延伸しないように、両フィルムにPET粘着テープを貼り付けた。剥離条件は、180°剥離、剥離速度50mm/minとした。
【0179】
(開裂圧測定)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて、図3に示す構成の電池を作製した。電極リード42(5mm幅のアルミタブリード)を覆う厚さ50μmの8mm×10mmのシーラント43a〜bとして、無延伸ポリプロピレン(CPP)に微細樹脂繊維として上記のPETファイバーを5vol%配合した材料を用いた。
【0180】
なお、上記シーラント43a〜bは、以下のように作製した。まず、無延伸ポリプロピレン(CPP)を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加した後、攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液を作製した。微細樹脂繊維の配合量は、無延伸ポリプロピレン(CPP)に対する体積比率で5vol%に相当する量とした。この樹脂融液を用いて、インフレーション法によって、樹脂融液をフィルム状に製膜した後、所定の寸法に切り取って、上記のシーラント43a〜bを得た。
【0181】
電池は、電池素子4としてダミー素子を用いて、ダミー素子をアルミラミネートフィルム41で外装し、ダミー素子の周辺の4辺をシールした。ラミネートフィルムのシール条件は、1mm幅の金属ヘッドで、上下180°、シール圧力20kgf/cm2、シール時間5秒とした。次いで、ダミー素子から圧縮空気を注入して電池を膨らませて、シール部分が開裂するときの圧力を測定した。
【0182】
(成形性評価)
短形比40mm×60mmの金型を用いて、アルミラミネートフィルム41の深絞り加工を行った。成形速度100mm/minとした。成形性は、金属箔41bにピンホールおよびクラックが発生する最低深さを測定することによって、評価した。
【0183】
(短絡確認)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて、図3に示す構成の電池を作製した。その際、厚さ50μmの8mm×10mmのシーラント43a〜bを用いた。シーラント43a〜bは、無延伸ポリプロピレン(CPP)に直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを配合したものを用いた。シール圧力30kgf/cm2、シール温度200℃で30秒シールを行い、30秒の間に短絡するかを確認した。
【0184】
<試験例1−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を10vol%配合した無延伸ポリプロピレンを用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0185】
<試験例1−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0186】
<試験例1−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を20vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0187】
<試験例1−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を25vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0188】
<試験例1−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を30vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0189】
<試験例1−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を40vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0190】
<試験例1−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を50vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0191】
<試験例1−9>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を60vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0192】
<試験例1−10>(比較用)
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を配合しない無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0193】
試験例1−1〜試験例1−10の試験結果を表1に示す。なお、剥離強度試験の結果は25N/15mm以上が望ましい。開裂圧測定の結果は0.35Pa以上が望ましい。成形性評価の結果は5.80mm以上が望ましい。
【0194】
【表1】
【0195】
表1に示すように、試験例1−1〜試験例1−10によれば、以下のことが確認された。融着用内層樹脂フィルム41cとして微細樹脂繊維を配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いたアルミラミネートフィルム41を使用し、シーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用することによって、短絡を抑制できた。また、試験例1−1〜試験例1−10によれば、所定の配合量では接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できた。
【0196】
<試験例2−1>
試験例1−3と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0197】
<試験例2−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0198】
<試験例2−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として6,6−ナイロン(6,6−Nylon)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0199】
<試験例2−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてアラミド〔Nomex(登録商標)〕を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0200】
<試験例2−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリカーボネート(PC)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0201】
<試験例2−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリイミド(PI)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0202】
<試験例2−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリフェニレンスルフォン(PPS)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0203】
<試験例2−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0204】
試験例2−1〜試験例2−8、および試験例1−10(比較用)の結果を表2に示す。
【0205】
【表2】
【0206】
表2に示すように、試験例2−1〜試験例2−8および試験例1−10によれば、微細樹脂繊維の材料の種類によらず、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0207】
<試験例3−1>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.3μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0208】
<試験例3−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0209】
<試験例3−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0210】
<試験例3−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0211】
<試験例3−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0212】
<試験例3−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ120μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0213】
<試験例3−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0214】
<試験例3−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0215】
<試験例3−9>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0216】
<試験例3−10>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0217】
<試験例3−11>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ7000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0218】
<試験例3−12>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0219】
<試験例3−13>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0220】
<試験例3−14>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0221】
<試験例3−15>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0222】
<試験例3−16>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0223】
<試験例3−17>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0224】
<試験例3−18>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0225】
<試験例3−19>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0226】
<試験例3−20>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径25μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0227】
試験例3−1〜試験例3−20および試験例1−10(比較用)の結果を表3に示す。
【0228】
【表3】
【0229】
表3において、試験例3−1、試験例3−5、試験例3−10、試験例3−15、試験例3−19、試験例3−20を比較した。すなわち、直径が0.3μm、0.5μm、5μm、10μm、20μmまたは25μm、且つ長さが5000μmの微細樹脂繊維を用いた試験例を比較した。この比較により、以下の評価が得られた。
【0230】
試験例3−1(直径が0.3μm)では、微視樹脂繊維の直径が小さいため、金属材料の微小な凹凸を繊維径でカバーし短絡防止することができなかったので、短絡が発生した。試験例3−20(直径が25μm)では、微細樹脂繊維の直径が大きいため、繊維のコシが強くなり、製膜時にフィルム表面への繊維飛び出しが起きてしまった。また、繊維の剛直性から、熱融着時の樹脂の流動も妨げ、シール強度も低下した。
【0231】
試験例3−5(直径が0.5μm)、試験例3−10(直径が5μm)、試験例3−15(直径が10μm)、試験例3−19(直径が20μm)では、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0232】
表3において、試験例3−6、試験例3−7、試験例3−8、試験例3−9、試験例3−10、試験例3−11を比較した。すなわち、直径が5μm、且つ長さが120μm、200μm、500μm、2000μm、5000μmまたは7000μmの微細樹脂繊維用いた試験例を比較した。この比較により、以下の評価が得られた。
【0233】
試験例3−6(長さが120μm)では、微細樹脂繊維の長さが短く絡み合わないため、金属材料の微小な凹凸に繊維が押されても抵抗しないため、短絡に至った。試験例3−11(長さが7000μm)では、微細樹脂繊維の長さが長いため製膜時にフィルム表面への微細樹脂繊維の飛び出しが起きた。また、繊維同士の絡み合いが強いため、成形時に抵抗成分となり、成形性を落とした。
【0234】
試験例3−7(長さが200μm)、試験例3−8(長さが500μm)、試験例3−9(長さが2000μm)、試験例3−10(長さが5000μm)では、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0235】
以上の比較より、直径5μm〜20μm、長さ200μm〜5000μmの微細樹脂繊維を用いた場合に、最も優れた効果を発揮することが確認された。
【0236】
<試験例4−1>
試験例1−3と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0237】
<試験例4−2>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が1.2μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0238】
<試験例4−3>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.5μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0239】
<試験例4−4>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が2.0μmの酸化ケイ素を5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0240】
<試験例4−5>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.4μmの酸化ケイ素を5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0241】
<試験例4−6>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が1.0μmの酸化アルミニウムを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0242】
<試験例4−7>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.5μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0243】
試験例4−1〜試験例4−7の結果を表4に示す。
【0244】
【表4】
【0245】
表4に示すように、熱融着樹脂に微細樹脂繊維を加えてさらに無機フィラーを配合した材料を用いた場合でも、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0246】
<体積効率の評価>
<サンプル1>
電池高さは100mm、正極リードおよび負極リードが導出されるシール部のシール幅を3mmとして、図17に示す構成のラミネートフィルム電池をサンプル1として作製した。すなわち、正極、負極およびセパレータをゲル電解質と共に巻回して電池素子を作製した後、アルミラミネートフィルムで外装し、電池素子の周辺の折り返し辺を除く3辺をシールした。これにより、サンプル1のラミネートフィルム電池を得た。
【0247】
<サンプル2>
電池高さは100mm、正極リードおよび負極リードが導出される2辺のシール部のシール幅を3mmとして、図22に示す構成のラミネートフィルム電池をサンプル2として作製した。すなわち、まず、正極、負極およびセパレータをゲル電解質と共に巻回して電池素子を作製した後、アルミラミネートフィルムで外装し、電池素子の周囲の4辺をシールした。これにより、サンプル2のラミネートフィルム電池を得た。
【0248】
<評価>
サンプル1のラミネートフィルム電池では、電池高さが100mmに対して、シール幅が3mmであり、サンプル2のラミネートフィルム電池では、電池高さが100mmに対して、シール幅3mm×2箇所である。すなわち、サンプル1のラミネートフィルム電池では、電池素子として使用できる部分が、100mm−3mm=97mmである。サンプル2のラミネートフィルム電池では、電池素子として使用できる部分が、100mm−6mm=94mmである。これにより、サンプル1のラミネートフィルム電池は、サンプル2のラミネートフィルム電池より、約3%〔{1−(94mm/97mm)}×100%〕体積効率を向上できることが確認できた。
【0249】
6.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0250】
例えば、第1の実施の形態では、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bの両方に熱融着樹脂材料を用いた構成としたが、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bのうちの何れかに、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0251】
例えば、第1の実施の形態による非水電解質電池において、シーラント43a〜bを省略した構成としてもよい。例えば、第2の実施の形態による電池パックにおいて、シーラント6a〜bを省略した構成としてもよい。
【0252】
例えば、第2の実施の形態では、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aおよび硬質ラミネートフィルム1bの接着層16b、並びにシーラント6a〜bに熱融着樹脂材料を用いた構成としたが、これに限定されるものではない。例えば接着層16a〜bおよびシーラント6a〜bのうちの何れかに、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0253】
例えば、第2の実施の形態で説明した溶融樹脂(ホットメルト材)に、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0254】
例えば、第1の実施の形態において、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bの少なくとも何れかに、無機フィラーをさらに含むようにしてもよい。例えば、第2の実施の形態において、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aおよび硬質ラミネートフィルム1bの接着層16b、並びにシーラント6a〜bの少なくとも何れかに、無機フィラーをさらに含むようにしてもよい。
【0255】
例えば無機フィラーとしては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。無機フィラーの種類は、例示したものに限定されるものではなく、従来提案されているものを用いることができる。無機フィラーの平均粒子径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0256】
例えば、電池素子4は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した電池素子4に限定されるものではない。例えば、捲回体ではなく、正極、ポリマー電解質および/またはセパレータ、負極を積層した積層体を電池素子として用いてもよい。
【0257】
また、勿論、ポリマー電解質を用いない構成の電池素子、例えば、正極および負極と、正極および負極の間に配置されたセパレータとを捲回した構造の電池素子を用いてもよい。この電池素子をラミネートフィルムに収容した後、液状の電解液を注液し、電池素子を液状の電解液に浸すようにして、電池を構成してもよい。
【0258】
例えば、第1の実施の形態ではリチウムイオン電池の例について説明し、第2の実施の形態ではリチウムイオン電池に保護回路などが搭載された回路基板が接続された電池パックの例について説明したが、電池の種類はこれに限定されるものではない。
【0259】
また、この発明は、例えば、キャパシタや電解コンデンサなどのように電気を蓄積する電極積層体をラミネートフィルムによって外装した構成の電気デバイスにも適用することができる。
【0260】
第3の実施の形態〜第5の実施の形態では、4枚のシーラント63a〜dを用いた例について説明したが、電極リードを挿通する孔を有する中抜き形状のシーラントを2枚用いて構成するようにしてもよい。また、シーラント63bおよびシーラント63cを一枚のシーラントとしてもよい。また、シーラント63a〜dの幅が同じ大きさのものを用いた例について説明したが、シーラント63a〜dの幅がそれぞれ異なっていてもよい。
【0261】
第3の実施の形態〜第5の実施の形態では、正極リード62aの長さを負極リード62bの長さより短い長さに設定したが、シーラント63a〜dの構成を適宜変更して、正極リード62aの長さと負極リード62bの長さを同じ長さに設定してもよい。また、シーラント63a〜dの構成を適宜変更して、正極リード62aの長さを負極リード62bの長さより、長く設定してもよい。
【0262】
第4の実施の形態では、正極リード62aおよび負極リード62bの幅は同じ大きさに設定されているが、正極リード62aの幅と、負極リード62bの幅とを異なる大きさに設定してもよい。
【0263】
第3の実施の形態で説明した変形例を第4の実施の形態および第5の実施の形態に適用してもよい。また、第3〜第5の実施の形態において、正極リード62aを負極リードとし、負極リード62bを正極リードとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0264】
1・・・外装材
1a・・・軟質ラミネートフィルム
1b・・・硬質ラミネートフィルム
2・・・トップカバー
3・・・ボトムカバー
4、54・・・電池素子
5a、62a・・・正極リード
5b、62b・・・負極リード
6a〜6b、63a〜63b・・・シーラント
16a〜b・・・接着層
17a〜b・・・金属層
18a〜b・・・表面保護層
21・・・開口
22・・・回路基板
41・・・ラミネートフィルム
41a・・・外層樹脂フィルム
41b・・・金属箔
41c・・・融着用内層樹脂フィルム
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池および電池パックに関する。さらに詳しくは、例えば金属層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムを用いた電池および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源、パワーツール(電動工具)および車載用の駆動電源として広く利用されている。
【0003】
電子機器の小型軽量化のため、そこで使用される電気部品についても、小型化、軽量化が求められている。このため、例えば電源としては、袋体を封入容器として用い、その内部に非水電解質、正極および負極を封入してなる非水電解質電池が採用されつつある。
【0004】
この封入容器には、電解液やガスの透過、外部からの水分の浸入を防止する性質が求められる。そこで、封入容器の材質としては、樹脂フィルム/金属層/熱融着性樹脂(熱融着層)の多層構造を持つラミネートフィルムが用いられている。
【0005】
この封入容器内に、非水電解質、正極、負極、並びに、正極および負極の間に配置されるセパレータを封入する。さらに正極、負極にその一端が接続されたリード導体を封入容器の開口部から導出し、リード導体を封入容器の外側に延出するように配設して、最後に開口部を熱融着する。以上の工程によって、この非水電解質電池を製作できる。
【0006】
リード導体が導出される開口部の熱融着部分(以下、シール部と称する)では、対向する熱融着層同士が融着している。また、シール部において、ラミネートフィルムの熱融着層間にリード導体が介在している部分では、ラミネートフィルムの熱融着層がリード導体に対して融着している。
【0007】
このシール部では、熱融着による優れた接着性、シール性が求められる。さらに熱融着の際の変形により、ラミネートフィルムの熱融着層の内側に位置する金属層とリード導体との短絡が生じない性質も求められる。
【0008】
このため、ラミネートフィルムの金属層とリード導体との間に位置する層には、様々な工夫がなされている。また、リード導体を被覆する絶縁被覆層を設け、この絶縁被覆層に様々な工夫を行っている。
【0009】
例えば特許文献1には、リード導体の絶縁被覆層として、リード導体に接触して、リード導体との接着性が良好なマレイン酸変性ポリオレフィンの層を設け、その外側にゲル分率が20%〜90%である架橋ポリエチレンの層を設ける技術が開示されている。
【0010】
例えば特許文献2には、リード導体と封入容器間に酸変性直鎖状低密度ポリエチレンを介在させて、低温での熱融着を可能にし、併せてシール性を良好にする技術が開示されている。
【0011】
例えば特許文献3には、ヒートシールによる熱と加圧で変形し易い高流動性ポリプロピレンの層と、変形しにくい低流動性ポリプロピレンの層とを積層したフィルムとを、リード導体と封入容器との間に介在させる技術が開示されている。この技術によって、ラミネートフィルムの金属層とリード導体との短絡を防止できる。
【0012】
また、近年、電池では、車載用電池など大電流放電が必要とされる用途が増加している。大電流放電では、放電時のリード導体の発熱を小さくするため、リード導体の幅を大きくする必要やリード導体の数を増加する必要がある。リード導体の幅を大きくした場合、電池の同一辺から正極および負極のリード導体を延出することが難しくなるため、正極のリード導体および負極のリード導体のそれぞれを電池の異なる辺から延出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許3114174号公報
【特許文献2】特開2001−297736号公報
【特許文献3】特開2003−7269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の技術では、架橋ポリエチレンの架橋の程度により接着性が変化する。このため、特許文献1の技術では、接着性を確実にするために架橋の程度を正確に制御する必要があり、生産性が低下する問題がある。
【0015】
特許文献2の技術では、熱融着の際、介在フィルムの軟化や流動による短絡が発生しやすく、それを避けつつ加圧、加熱して融着するように制御することはかなり困難である。
【0016】
特許文献3の技術では、低流動性の樹脂の融点を超える温度条件で熱融着を行うと、短絡が発生しやすく、それを避けた条件で優れた接着を行うことはかなり困難である。
【0017】
また、正極のリード導体と負極のリード導体とを異なる辺からそれぞれ延出すると、シール部の面積が大きくなるため、体積エネルギー密度が低下してしまう。リード導体の数を増加した場合には、リード導体が導出される開口部を熱融着する時に、リード導体間が接触しやすくなるため、リークや短絡が生じる可能性が高くなる。このため、リード導体の数を増やした場合には、電池の同一辺から複数のリード導体を延出することが難しくなる。
【0018】
したがって、この発明の目的は、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリード導体との短絡の発生を抑制できる電池および電池パックを提供することにある。また、この発明の他の目的は、リード導体の短絡を抑制でき、且つ体積あたりのエネルギー密度が優れた電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムによって外装された電池素子と、電池素子に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出されたリードとを備え、熱融着樹脂層は、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池である。
【0020】
第2の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムに外装された電池素子と、電池素子に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードと熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントとを備え、シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池である。
【0021】
第3の発明は、第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを有する第1のラミネートフィルムと、第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを有する第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、電池素子に接続され、対向する第1の熱融着樹脂層と第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、第1のラミネートフィルムおよび第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードに接続された回路基板とを備え、第1の熱融着樹脂層および第2の熱融着樹脂層のうちの少なくとも何れかが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む電池パックである。
【0022】
第4の発明は、第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを備えた第1のラミネートフィルムと、第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを備えた第2のラミネートフィルムと、第1のラミネートフィルムと第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、電池素子に接続され、対向する第1の熱融着樹脂層と第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、第1のラミネートフィルムおよび第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、リードに接続された回路基板と、リードと第1の熱融着樹脂層との間、およびリードと第2の熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントとを備え、シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池パックである。
【0023】
第5の発明は、金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、ラミネートフィルムに外装された電池素子と、電池素子の正極に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出された正極リードと、電池素子の負極に接続され、対向する熱融着樹脂層との間に挟まれ、ラミネートフィルムの外側に延出された負極リードと、正極リードおよび負極リードの間に設けられた、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントとを備え、正極リードおよび負極リードは、同一方向に延出され、正極リードの負極リード側の面の少なくとも一部と、負極リードの正極リード側の面の少なくとも一部とが、シーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられた電池である。
【0024】
第1〜5の発明では、熱融着樹脂層および/またはシーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する。これにより、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリードとの短絡の発生を抑制できる。
【0025】
第5の発明では、正極リードの負極リード側の面の少なくとも一部と、負極リードの正極リード側の面の少なくとも一部とが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられている。これにより、正極リードと負極リードとの短絡の発生を抑制でき、且つ、体積あたりのエネルギー密度を向上できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、シール部を熱融着する際の制御が容易であり、シール部を優れた接着力およびシール性で熱融着でき、且つシール部を熱融着する際に金属層とリード導体との短絡の発生を抑制できるという効果を奏する。また、この発明によれば、正極リードと負極リードとの短絡の発生を抑制でき、且つ体積あたりのエネルギー密度を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図4】図3における線Lに沿った断面図である。
【図5】ラミネートフィルムの構成を示す断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による電池パックの構成を示す分解斜視図である。
【図7】電池素子を被覆する外装材の一形状例を示す展開図である。
【図8】外装材の構成を示す断面図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図14】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態による電池パックの製造方法を説明するための斜視図である。
【図16】この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図17】この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図18】図17の線a−a’に沿った断面を示す断面図である。
【図19】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図20】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図21】電極リードおよびシーラントの配置例を説明するための略線図である。
【図22】従来の非水電解質電池の構成を示す略線図である。
【図23】この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図24】図23の線e−e’に沿った断面を示す断面図である。
【図25】この発明の第5の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す斜視図である。
【図26】図25の線f−f’に沿った断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は、この発明の具体的な例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(電池パックの例)
3.第3の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
4.第4の実施の形態(非水電解質電池の第3の例)
5.第5の実施の形態(非水電解質電池の第4の例)
6.他の実施の形態(変形例)
【0029】
1.第1の実施の形態
<非水電解質電池の構成>
図1〜3は、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す。この非水電解質電池は、図1および図2に示すように、電池素子4がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子4の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。図3に示すように、この非水電解質電池は、電池素子4に接続された正極リード42aおよび負極リード42b(以下、正極リード42aおよび負極リード42bを区別しない場合は電極リード42と適宜称する。)がラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。なお、図3に示す非水電解質電池は、図2に示す非水電解質電池の構成において、凹部47の両側の部分を、凹部47の方向に向けて折り曲げた後の構成を示す。
【0030】
<電池素子4>
電池素子4は、例えば角形または扁平型を有し、帯状の正極と、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された構造を有する。そして、正極および負極にはそれぞれ正極リード42aおよび負極リード42bが接続されている。なお、6.他の実施の形態で後述するが、電池素子4の構成はこれに限定されるものではない
【0031】
正極リード42aおよび負極リード42bには、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、正極リード42aの両面の一部にシーラント43aが配置されており、負極リード42bの両面の一部にシーラント43bが配置されている。なお、説明の便宜上、シーラント43aとシーラント43bとを区別しない場合はシーラント43と称する。
【0032】
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに、正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに、負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。正極リード5aおよび負極リード5bは、それぞれ正極集電体および負極集電体に接合されている。正極活物質、負極活物質、ポリマー電解質としては、既に提案されている材料を使用することができる。
【0033】
正極は、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合では、正極活物質として、LiXMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、Xは、電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用できる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)等が好ましい。
【0034】
このようなリチウムイオン複合酸化物の具体例としては、LiCoO2,LiNiO2,LiNiyCo1-yO2(式中、0<y<1である。)、LiMn2O4等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。また、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを有しない金属硫化物または酸化物を使用しても良い。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、導電剤や結着剤等を添加しても良い。
【0035】
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。このような材料から負極を形成するに際して、結着剤等を添加しても良い。
【0036】
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んだものとされている。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、およびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等の高分子材料、およびこれらの混合物が使用される。
【0037】
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-、Br-、I-、SCN-、ClO4-、BF4-、PF6-、CF3SO3-等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
【0038】
<ラミネートフィルム>
図4は、図3において線Lに沿った非水電解質電池の断面図である。図4に示すように、電池素子4は、ラミネートフィルム41に収容された構造とされている。電池素子4に接続された負極リード42bはラミネートフィルム41の外側に延出されて、その一部がラミネートフィルム41の外側に露出している。また、負極リード42bの両面の一部には、シーラント43bが設けられている。このシーラント43bを介して、負極リード42bは、上側のラミネートフィルム41と下側のラミネートフィルム41との間に挟まれている。なお、正極リード42aおよびシーラント43aについても同様である。
【0039】
図5にラミネートフィルム41の断面構造を示す。ラミネートフィルム41は、外側から電池素子4側に向かって、外層樹脂フィルム41aと、金属箔41bと、融着用内層樹脂フィルム41cとがこの順で積層された構造を有する。
【0040】
金属箔41bとしては、例えばアルミニウムなどを用いることができる。金属箔41bは、例示したアルミニウムに限定されるものではなく、従来提案されている材料を用いることができる。金属箔41bは、ラミネートフィルム41の強度向上の他、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を防止する機能を有する。
【0041】
外層樹脂フィルム41aは、外観の美しさや強靭さ、柔軟性が求められることからナイロン(Ny)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)などが用いられる。これらの樹脂を複数種類選択して用いることもできる。外層樹脂フィルム41aは、これら例示したものに限定されるものではない。一般には融着樹脂よりも高温側の融点を持つものであればよい。融着用内層樹脂フィルム41cについては後述する。
【0042】
非水電解質電池の製造工程において、まずラミネートフィルム41の折り返し辺を除く2辺が熱融着され、残りの一辺が開放部とされ、この開放部から、電池素子4に接続された電極リード42がラミネーフィルム41の外側に延出される。その後、この開放部が熱融着されることによって封止される。
【0043】
この開放部において、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、開放部において、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれている部分では、上側のラミネートフィルム41/上側のシーラント43/電極リード42/下側のシーラント43/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/上側のシーラント43/電極リード42/下側のシーラント43/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0044】
開放部が熱融着されると、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着される。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に電極リード42が挟まれている部分では、シーラント43が電極リード42に対して融着される。さらに、このシーラント43と融着用内層樹脂フィルム41cとが融着される。また、融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント43を介して、電極リード42に対して融着される。
【0045】
<シーラント43および融着用内層樹脂フィルム41cの構成>
この発明の第1の実施の形態による電池パックでは、シーラント43および融着用内層樹脂フィルム41cが、以下に説明する熱融着樹脂材料で構成される。以下、熱融着樹脂材料について詳細に説明する。
【0046】
<熱融着樹脂材料>
熱融着樹脂材料は、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有するものである。
【0047】
<熱融着樹脂>
熱融着樹脂としては、融点が比較的低い樹脂(例えば融点が170℃以下の樹脂)を用いることができる。熱融着樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂などが適する。他にもTPX(ポリメチルペンテンポリマー)などが挙げられる。なお、熱融着樹脂は、これらの例示したものに限定されるものではない。
【0048】
<微細樹脂繊維>
微細樹脂繊維とは、例えば直径が100μm以下の細長い糸状の構造物をいう。微細樹脂繊維の断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形でも楕円形でも四角形でもよい。微細樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフォン(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。微細樹脂繊維は、これらの例示したものに限定されるものではない。
【0049】
微細樹脂繊維のサイズとしては、直径が0.1μm〜50μmが好ましく、直径が0.5μmから20μmがより好ましい。さらに、直径はフィルムの厚みよりも小さいことが必要である。直径は例えばフィルム厚みの半分以下が好ましい。微細樹脂繊維の周囲にもシールに必要な熱融着樹脂を絡ませるようにするためである。厚み方向に熱融着樹脂が存在するように構成することが好ましい。
【0050】
微細樹脂繊維の長さは、50μm〜10000μmが好ましく、200μm〜5000μmがより好ましい。微細樹脂繊維の長さが短すぎると、微細樹脂繊維同士の絡み合いが少なくなり、熱融着時に樹脂の流動とともに移動するため、短絡に対する耐性が低下する。特に配合量が少ないと、短絡に対する耐性がさらに低下する。微細樹脂繊維の長さが長すぎると、フィルムの成膜時に毛羽立ちが生じるおそれがある。微細樹脂繊維のサイズを適切な範囲に設定し、微細樹脂繊維同士の絡み合いによる疑似的な不織布状態が形成されることが、より優れた特性を得るためには重要と考えられる。
【0051】
なお、微細樹脂繊維のサイズは、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察した場合において、アットランダムにピックアップした所定本数(例えば30本)の繊維について、直径および長さを測定し、その平均値をとったものである。微細樹脂繊維の直径は、繊維の断面の形状が真円である場合は、その直径である。また、繊維の断面の形状が真円でない場合には、その断面形状の最大径を直径とする。繊維の長さは繊維の軸方向の長さである。
【0052】
微細樹脂繊維の配合量は、多すぎると、後述する不織布を使用したときの問題点と同様の特性が低下する傾向にある。配合量が少なすぎると、樹脂の流動により樹脂厚が低下し金属箔同士が接触して短絡に至る傾向がある。
【0053】
微細樹脂繊維の配合量は、例えば、微細樹脂繊維の直径または短辺長をrμm、フィルムの厚みをtμmとした場合に、熱融着樹脂に対する体積比率で、(r/t)×100vol%以下となるように選ばれる。微細樹脂繊維の配合量は、微細樹脂繊維の軸方向と垂直方向の横断面積の総計と、フィルムの厚さ方向の断面の面積とがほぼ一致する場合の配合量である。
【0054】
なお、微細樹脂繊維の直径は上述と同様の方法で測定して得られる。微細樹脂繊維の短辺長とは、SEM(Scanning Electron Microscope)で観察した場合において、アットランダムにピックアップした所定本数(例えば30本)の繊維について、繊維の軸方向と垂直方向の幅の最大幅を測定し、その平均値を取ったものである。
【0055】
上述したように微細樹脂繊維の直径はフィルムの厚みよりも小さいことが必要であり、さらに例えばフィルムの厚みの半分以下が好ましい。また、微細樹脂繊維の直径は、フィルムの厚みに対して小さすぎると、短絡に対する耐性が低下してしまうため、フィルムの厚みの10%より厚いことが好ましい。なお、これらは、微細樹脂繊維の短辺長についても同様である。
【0056】
上記の好ましいとされる、フィルムの厚みt(μm)と、微細樹脂繊維の直径または短辺長r(μm)との関係を式で表すと、0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)となる。この条件[0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)]の下で、上記式(r/t)×100vol%で算出される微細樹脂繊維の配合量の好ましい上限は、熱融着樹脂に対する体積比率で、10%より大きく50vol%以下である。
【0057】
また、微細樹脂繊維の配合量の特に好ましい範囲は、より優れた特性が得られる点から、熱融着樹脂に対する体積比率で10vol%〜25volである。
【0058】
以上説明したこの発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、電極リード42が導出される開口部を熱融着する際の制御が容易であり、電極リード42が導出される開口部を優れた接着力およびシール性で熱融着できる。さらにこの発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、熱融着の際に、金属箔41bと電極リード42との短絡の発生を抑制できる。
【0059】
<従来技術との差異について>
さらに、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の理解を容易にするために、従来技術を例に挙げ、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の従来技術より優れた効果をさらに説明する。
【0060】
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池と同様の課題を解決することを目的とした従来技術として、(1)不織布に熱融着樹脂を染み込ませたフィルムを使用する方法、(2)無機フィラーを添加する方法の2つが挙げられる。
【0061】
<(1)の不織布に熱融着樹脂を染み込ませたフィルムを使用する方法の問題点>
(1)の技術では、シール後の厚みや形状が不織布に支配され、シールした後も不織布の樹脂厚を下回ることは難しい。熱融着樹脂層は不織布の厚み以上となるため、厚みの自由度が樹脂単体によるフィルムに比べて低い。フィルム同士を重ねてヒートシールする時に必要な樹脂は不織布の外にある樹脂部分であるため、ここに必要量の樹脂を重ねる必要がある。よって、不織布を使用すると、樹脂の利用効率が悪く、熱融着樹脂単体のフィルムよりも厚みが厚くなってしまう。
【0062】
通常のヒートシールでは不織布は変形しにくいため、シール形状の制御が難しい。ヒートシール後、高温状態で加圧を解くと不織布が弾性で厚みを戻していく現象も起こり、シール部の厚み制御が困難となる。また、不織布の空孔に熱融着樹脂を染み込ませることが必要となり、染み込みが不十分であると気泡が混入することとなり、ヒートシール時に気体が膨張し、シール不良や外観不良へとつながる。シール時の樹脂の流動も不織布が制限させることもあり、樹脂が自由に流動できずにフィルムと剥れるデラミネーションに至ることもある。製膜も不織布に熱融着樹脂を融解状態で塗布する方法が主で、他の製膜方法は採用できにくい。ラミネートフィルムを製膜する時のラミネーションの方法も限られる。
【0063】
<(2)の無機フィラーを添加する方法の問題点>
(2)の技術では、微細樹脂繊維を入れた熱融着樹脂と同様の製膜方法を採ることができる利点は有るが、ラミネートフィルムを成形する時に、金型とフィルム間のすべりが悪く、成形性が低下する。また、成形機に傷が付きメンテナンス頻度が上がる。ヒートシール時には無機フィラーの高い熱容量のためにシール熱が奪われることから、シール条件を厳しく設定する必要があり、結果としてラミネートフィルムを傷つけることにつながる。熱供給を多くする必要が有ることで、熱供給が少なくばらついた時に融着不足によるシール不良が発生することも有る。フィルムからフィラーが脱落・剥落すると電池内部に入り込みコンタミ問題が生じ、電池の安全性を下げる。
【0064】
<この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池が奏する効果>
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、シーラント43a〜bおよびラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cに、微細樹脂繊維を熱融着樹脂に含むようにした熱融着樹脂材料を用いる。これにより、上述の従来技術の問題点を解決できる。すなわち、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、短絡防止の最低量を効果的に添加することができる。微細樹脂繊維自体は熱融着樹脂の流動を妨げず、また熱融着樹脂と微細樹脂繊維は共に樹脂成分であるため、相性が良く、無機フィラーのように剥落することは少ない。剥落して電池内部に混入しても、無機フィラーと比べて軟らかいため、安全性への影響は小さい。
【0065】
また、この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池では、微細樹脂繊維の熱容量は熱融着樹脂の熱容量と大差がなく、ヒートシール時の熱量コントロールは熱融着樹脂を単体で用いた場合と変わらない。成形性に関しても、樹脂の滑り性を低下させることは無く、成形機を傷つけるほど微細繊維は硬くないため、メンテナンスなども熱融着樹脂単体で使用する場合と変わらない。
【0066】
さらに、この発明の第1の実施形態による非水電解質電池では、融着用内層樹脂フィルム41cやシーラント43a〜bなどのように、熱融着樹脂材料で構成されるフィルムを製造するのに、既に提案されている種々の製膜方法を採用することができる。
【0067】
例えば、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有するものである熱融着樹脂材料は、Tダイ法、インフレーション法などの溶融押出法等により、フィルム状に製膜することができる。
【0068】
簡単に説明すると、溶融押出法とは、押出機内の溶融材料を押出機の先端に取り付けたダイから押し出し、冷却して成形する方法である。Tダイ法とは、押出機の先端に取り付けた、幅広のフラットなダイ(Tダイ)から押し出された、フラット状の溶融材料を、ロール上で冷却し、巻き取ってフィルム状に製膜する方法である。
【0069】
インフレーション法とは、押出機の先端に取り付けた、リング状の円形ダイからチューブ状に溶融材料を押出し、さらにこのチューブの内部に空気を吹き込んで、所定の寸法に膨張させた後、冷却し、ローラに巻き取ってフィルム状に製膜する方法である。
【0070】
また、熱融着樹脂材料は、インフレーション法、Tダイ法による共押出法によってもフィルム状に製膜可能である。共押出法とは、溶融押出法の一種であり、複数の材料を一度に押し出して重ねる方法である。この共押出法により、例えば、微細樹脂繊維を含有する層と、微細樹脂繊維を含有しない層とを有する2層フィルムの製膜も行うことができる。
【0071】
例えば、上述の第1の実施の形態において、融着用内層樹脂フィルム41cに代えて、共押出法によって製造された微細樹脂繊維を含有する層と微細樹脂繊維を含有しない層とを有する2層フィルムを用いるようにすることもできる。勿論、この2層フィルムを、シーラント43a〜bに代えて用いるようにすることもできる。
【0072】
例えば、熱融着樹脂を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加後攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液ができ上がる。この樹脂融液を用いて、例えば上記の溶融押出法によって、1段階で熱融着樹脂材料をフィルム状に製膜することができる利点がある。
【0073】
また、ラミネートフィルム41のように、複数の層を有する積層フィルムを製造するために用いる、ラミネーション方法も、既に提案されている種々の方法を採用することができる。既に提案されている方法としては、例えば、ドライラミネーション、ヒートラミネーション、押し出し塗布等が挙げられる。
【0074】
2.第2の実施の形態
<電池パックの構成>
図6は、この発明の第2の実施形態による電池パックの一構成例を示す分解斜視図である。この電池パックは、例えば、角形または扁平型を有するリチウムイオンポリマー二次電池の電池パックである。図6に示すように、この電池パックは、外装材1で電池素子4を外装し、両端開口に対してそれぞれトップカバー2およびボトムカバー3を嵌合したものである。トップカバー2には開口21が設けられ、この開口21を介して、トップカバー2に収納された回路基板の接点部が外部に臨むようになっている。以下では、トップカバー2を嵌合する側の開口をトップ側開口、ボトムカバー3を嵌合する側の開口をボトム側開口と称する。
【0075】
以下、電池素子4、外装材1、トップカバー2、ボトムカバー3について説明する。
【0076】
<電池素子4>
電池素子4の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0077】
<外装材1>
図7は、電池素子4を外装する外装材1の一形状例を示す展開図である。図7Aに示すように、この外装材1は、電池素子4を収納するための収納部15が設けられた軟質ラミネートフィルム1aと、この軟質ラミネートフィルム1a上に収納部15を覆うようにして重ねられる硬質ラミネートフィルム1bとからなる。また、収納部15の底面に相当する位置の外側表面には熱溶着シート15aが配置されている。軟質ラミネートフィルム1aに設けられた収納部15は、例えば、予め金型で絞り加工を施して電池素子4の形状に応じて凹状に形成される。
【0078】
軟質ラミネートフィルム1aは、絞り加工により電池素子4を挿入する収納部15を形成するのに適し、かつ、硬質ラミネートフィルム1bに比して軟質のものである。
【0079】
図8Aは、外装材1を構成する軟質ラミネートフィルム1aの一構成例を示す断面図である。軟質ラミネートフィルム1aは、接着層16a、金属層17a、表面保護層18aを順次積層した防湿性、絶縁性を有する積層構造を有し、表面保護層18aが硬質ラミネートフィルム1bと接する側になる。
【0080】
接着層16aは、第1の実施の形態で説明した熱融着樹脂材料で構成される。熱融着樹脂材料の詳細な説明については、第1の実施の形態と同様であるのでここでは省略する。接着層16aの厚さは、例えば10μm〜30μm程度である。
【0081】
金属層17aは、軟質の金属材料が用いられ、外装材の強度向上の他、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を守る役割を担っている。軟質の金属材料としては、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウムが最も好適であり、JIS規格に基く特に8021Oまたは8079O等のアルミニウムを用いるのが好ましい。また、金属層17aの厚さは、例えば、30μm〜130μm程度の範囲に選ばれる。
【0082】
表面保護層18aは、表面保護の機能を有する。外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル等が用いられる。具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が用いられ、これらから複数種類選択して用いることも可能である。表面保護層18aの厚さは、例えば、厚みが10μm〜30μm程度の範囲に選ばれる。
【0083】
図8Bは、硬質ラミネートフィルム1bの構成例を示す断面図である。硬質ラミネートフィルム1bは、曲げた後の形状を維持し、外部からの変形に耐えることができるものである。硬質ラミネートフィルム1bは、接着層16b、金属層17b、表面保護層18bを順次積層した積層構造を有する。
【0084】
硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bおよび表面保護層18bは、軟質ラミネートフィルム1aと同様のものである。金属層17bは、例えば、硬質の金属材料が用いられ、特に3003H18、3004H18等のJIS規格に基くアルミニウムを用いるのが好ましい。なお、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの各層の厚みは、総厚を考慮して適切なものに選定される。
【0085】
収納部15の開口面を覆うように、軟質ラミネートフィルム1aに対して硬質ラミネートフィルム1bを重ねて配する。この場合、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの位置関係をずらしたものとする。ここで、軟質ラミネートフィルム1aが互いに等しい長さのトップ側長辺11a、ボトム側長辺12aを有し、また、互いに等しい長さの左側短辺13aおよび右側短辺14aを有する。同様に、硬質ラミネートフィルム1bが互いに等しい長さのトップ側長辺11b、ボトム側長辺12bを有し、また、互いに等しい長さの左側短辺13bおよび右側短辺14bを有する。なお、左右は、図面に向かって見た場合の位置関係を示している。
【0086】
硬質ラミネートフィルム1bの長辺11bおよび12bの長さは、電池素子4が収納された収納部15を包み込んだ状態において、その短辺13bおよび14b同士が当接するか、僅かな隙間を隔てて対向するように設定されている。軟質ラミネートフィルム1aの長辺11aおよび12aの長さは、硬質ラミネートフィルム1bの長辺11bおよび12bの長さより短く選ばれる。例えば、電池素子4が収納された収納部15を包み込んだ状態において、その短辺13aおよび14a同士が当接するか、隙間を隔てて対向するように設定されている。ここで、この軟質ラミネートフィルム1aの隙間は、僅かな幅のものに限られず、ある程度の幅のものとしてもよい。
【0087】
軟質ラミネートフィルム1aの短辺13a、14aは、硬質ラミネートフィルム1bの短辺13b、14bよりやや短いものとされている。したがって、トップ側に硬質ラミネートフィルム1bのみが存在するように、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bを積層することができる。このようにした場合、トップ側の開口に設けられたトップカバー2の周面を硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bにより熱溶着できるという利点を得ることができる。なお、ボトム側においても、硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bがむき出しになるようにして、ボトム側の開口に設けられたボトムカバー3の周面を硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bにより熱溶着できるようにしてもよい。
【0088】
<トップカバー>
トップカバー2は、外装材1のトップ側開口に嵌合して、このトップ側開口を塞ぐものである。このトップカバー2には回路基板が備えられ、この回路基板に対して電池素子4から引き出された電極リード5aおよび5bが接続される。
【0089】
回路基板には、ヒューズ、PTC、サーミスタ等の温度保護素子を含む保護回路、電池パックを識別するためのID抵抗等がマウントされ、更に複数例えば3個の接点部が形成されている。また、保護回路には、二次電池の監視とFET(Field Effect Transistor)の制御を行うIC、および充放電制御FETが含まれている。
【0090】
PTCは、電池素子4と直列に接続され、電池素子4の温度が設定温度に比して高くなると、電気抵抗が急激に高くなって電池に流れる電流を実質的に遮断する。ヒューズや、サーミスタも電池素子4と直列に接続され、電池素子4の温度が設定温度より高くなると、電池に流れる電流を遮断する。
【0091】
また、電池素子4の監視とFETの制御を行うICおよび、充放電制御FETを含んだ保護回路は、電池素子4の電圧を監視し、4.3V〜4.4Vを越えると充電制御FETをオフし、充電を禁止する。また、保護回路は二次電池電圧を監視し、放電禁止電圧を下回ると放電制御FETをオフし、放電を禁止する。
【0092】
<ボトムカバー>
ボトムカバー3は、電池パックのボトム側の端面に設けられる樹脂成型カバーである。ボトムカバー3は、電池セルを外装材1で包むことにより形成される外装材1の開口部に嵌合され、熱融着等で電池セルに接着される。
【0093】
<電池パックの製造方法>
この発明の第2の実施形態による電池パックの製造方法について説明する。
【0094】
<電池素子4作製工程>
まず、例えば、ゲル電解質層が両面に形成された正極および負極と、セパレータとを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に順次積層し、この積層体を平板の芯に巻き付けて、長手方向に多数回巻回して巻回型の電池素子4を作製する。
【0095】
<外装材被覆工程>
次に、例えば予め深絞成形により、電池素子4を入れるための収納部15を軟質ラミネートフィルム1aに成形する。この際、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aの収納部15は、例えば、中心位置に対してやや右側にずれた位置に形成する。そして、電池素子4を軟質ラミネートフィルム1aに形成された収納部15内に収納する。
【0096】
次に、図7Aに示すように、硬質ラミネートフィルム1bを、軟質ラミネートフィルム1aに対してやや右側にずれた位置に積層する。これにより、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bが積層された状態では、図7Aに示すように、軟質ラミネートフィルム1aのみが位置する左側領域と、硬質ラミネートフィルム1bのみが位置する右側領域とが生じる。
【0097】
このように位置をずらしているのは、以下の理由からである。収納部15の底面外側に軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの端部を折り込んだ後、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aと硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bとが、ある程度の幅でもって接着されるようにするためである。
【0098】
次に、図7Aに示すような配置関係の状態で、収納部15の開口の周辺の4辺を減圧しながら熱溶着する。この場合、接着層16aおよび接着層16b同士が重なっている部分全体を熱溶着するようにしても良い。このようにして、収納部15の周囲を熱溶着することにより、電池素子4が封止される。
【0099】
次に、図7Aに示すように、収納部15の底面の外側に、所定の形状とした熱溶着シート15aを設ける。熱溶着シート15aは、軟質ラミネートフィルム1aの表面保護層18a同士を加熱することで接着させるための補助的部材である。好ましくは、厚みは、総厚の関係から10μm〜60μm程度で、100℃前後の融点のものが用いられる。熱溶着シート15aの融点は、電池素子4に対して熱の影響を与えない程度のものが好ましい。
【0100】
次に、図9に示すように、軟質ラミネートフィルム1aの収納部15の底面外側へ向けて、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの両端、すなわち、短辺13a、14aおよび13b、14bを内側に折り込む。そして、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの端部を熱溶着するとともに、収納部15の底面外側に対して軟質ラミネートフィルム1aを熱溶着する。これにより、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bが、電池素子4が収納された収納部15を包み込むように閉じた状態で固定される。すなわち、トップ側開口およびボトム側開口が形成される。
【0101】
図10Aに示すように、電池素子4を包み込んだ状態では、硬質ラミネートフィルム1bの短辺13bおよび14b同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L1が生じる。また、硬質ラミネートフィルム1bの内側には、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向してなる継ぎ目L2が生じる。
【0102】
図10Aは、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士が接するか、または僅かな隙間を介して互いの端面が対向する例である。なお、軟質ラミネートフィルム1aの短辺13aおよび14a同士がある程度の幅の隙間を介して互いの端面が対向するようにしてもよい。
【0103】
図10Aに示すように、熱溶着シート15aの上側に接して、軟質ラミネートフィルム1aの表面保護層18aが位置する。したがって、表面保護層18aが熱溶着シート15aを挟んだ構造となり、外側から熱を加えることで、表面保護層18a同士を接着することができる。また、軟質ラミネートフィルム1aおよび硬質ラミネートフィルム1bの互いの接着層16aおよび接着層16bが対向接触するので、外側から熱を加えることで、これらの接着層16aおよび16bを接着することができる。
【0104】
また、図10Bの断面図に示すように、負極リード5bの両側にはシーラント6bが設けられ、シーラント6bを介して、負極リード5bは、軟質ラミネートフィルム1aと硬質ラミネートフィルム1bとの間に挟まれている。より詳しく説明すると、シーラント6bを介して、負極リード5bは、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aと硬質ラミネートフィルム1bの接着層16bとの間に挟まれている。なお、図10Bは、図9において、矢印P方向に沿った断面図である。そして、このシーラント6bは、上述した熱融着樹脂材料で構成されている。なお、正極リード5aの両側に設けられたシーラント6aも同様である。
【0105】
以上のようにして、樹脂製の箱型のケースを使用することなく、また、両サイドに樹脂製のフレームを配することなく、ラミネートフィルムが外装材を兼ねる電池パックを製造することができる。
【0106】
<トップカバー嵌合工程>
次に、図11に示すように、電極リード5aおよび5bが、例えば抵抗溶接または超音波溶接によって回路基板22に対して接続される。次に、図12に示すように、トップカバー2の開放面側に回路基板22を挿入して、回路基板22を覆うように、回路基板22に対してトップカバー2が取り付ける。このトップカバー2は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。
【0107】
なお、トップカバー2の内部には、回路基板22を水平に保持する保持部が設けられている。また、トップカバー2の上面には、回路基板22の接点部23と対応する位置に3個の開口21が設けられている。この開口21を介して接点部23が外部に臨むことになる。また、トップカバー2の幅は、外装材1のトップ側の端面の開口の高さの内寸よりやや小に選定されている。
【0108】
次に、図13に示すように、トップカバー2に対してホルダー24を組み込む。ホルダー24は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。このホルダー24の両端および中央部にそれぞれトップカバー2に向かって突出するリブ25a、25bおよび25cが設けられている。これらのリブ25a、25bおよび25cの端面がトップカバー2内の回路基板22を受ける面となるので、回路基板22を確実に支持することができる。
【0109】
次に、図14において矢印Rで示すように、嵌合されたトップカバー2およびホルダー24を手または治具によって時計逆方向に90度回転させる。その結果、水平に位置していた回路基板22が垂直に位置することになる。この場合、回路基板22がトップカバー2とホルダー24によって挟持されており、外部に露出していないので、回路基板22に触れずに回転させることができる。
【0110】
次に、図15に示すように、電極リード5aおよび5bを折り曲げながらトップカバー2およびホルダー24をトップ側開口に向けて(矢印S1の方向)に押し込む。これにより、トップ側開口に対してトップカバー2およびホルダー24が嵌合される。トップカバー2の幅は、上述したように、開口の内寸よりやや小とされているので、外装材1の端面付近の硬質ラミネートフィルム1bで形成されるスペース内に、回路基板22を挟持するトップカバー2およびホルダー24を収納することができる。
【0111】
<ボトムカバー嵌合工程>
次に、図15に示すように、ボトムカバー3の側壁を外装材1のボトム側端面の開口に向けて(矢印S2の方向)に向けて押し込む。これにより、ボトム側開口に対してボトムカバー3の側壁が嵌合されるとともに、ボトムカバー3の本体によってボトム側開口が覆われる。このボトムカバー3は、例えば、別工程の射出成型等によって製造された樹脂モールド品である。
【0112】
<熱溶着工程>
次に、治具にて全長をおさえ、熱溶着を行う。すなわち、銅等の金属からなるヒーターブロックを外装材1のトップ側の端の近傍に上下から押し当て、トップカバー2の周面と、硬質ラミネートフィルム1bの内面の接着層16bとを熱溶着する。また、同様に、ヒーターブロックを外装材1のボトム側の端の近傍に上下から押し当て、ボトムカバー3の周面と、硬質ラミネートフィルム1bの内面の接着層16bとを熱溶着するようにしてもよい。
【0113】
<樹脂注入工程>
次に、ボトムカバー3に設けられた貫通孔(図示省略)を介して電池素子4とボトムカバー3との間に溶融樹脂(ホットメルト材)を充填し、固化させる。これにより、ボトムカバー3が電池素子4の端面に接着される。なお、充填される樹脂は、注形時に低粘度状態を有すればよく、特に限定されるものではなく、例えばポリアミド系ホットメルト、ポリオレフィン系ホットメルト、アクリロニトリルブタジエン共重合体(ABS)などを使用することができる。
【0114】
なお、トップカバー2と電池素子4との間にも溶融樹脂を充填するようにしてもよい。この場合、トップカバー2に対して1または2以上の貫通孔を設けて、この貫通孔から溶融樹脂を注入するようにすればよい。以上の工程により、この発明の第2の実施の形態による電池パックが製造される。
【0115】
この発明の第2の実施の形態による電池パックでは、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
3.第3の実施の形態
図16〜図17は、この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池の構成を示す。この非水電解質電池は、図16および図17に示すように、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。
【0117】
図17に示すように、この非水電解質電池は、正極および負極のそれぞれに接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。なお、正極リード62aおよび負極リード62bを区別しない場合には電極リードと総称する。
【0118】
<電池素子54>
電池素子54は、例えば角形または扁平型を有し、帯状の正極と、帯状の負極とがポリマー電解質および/またはセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された構造を有する。正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続されている。負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続されている。
【0119】
正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、広く設定されている。また、正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、同じ大きさに設定されている。このように幅が広く設定された電極リードは、大電流放電を行う電池に好適に使用される。電極リードの幅を広く設定することによって、大電流を流した際の抵抗を小さくして、電極リードの発熱を低減することができる。
【0120】
正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、それぞれ、例えば電池素子54の幅に対して50%以上が好ましい。正極リード62aおよび負極リード62bの幅が、電池素子54の幅に対して50%未満になると、大電流を流した際に抵抗が大きくなってしまい、熱発生により不良が生じるからである。また、正極リード62aおよび負極りード62bの幅は、それぞれ、例えば電池幅に対して95%以下が好ましい。正極リード62aおよび負極リード62bの幅が電池幅に対して95%を超えると、シール部において、不良が発生しやすくなるからである。
【0121】
また、正極リード62aの長さおよび負極リード62bの長さは、互いに異なる長さに設定されている。より具体的には、正極リード62aの長さは、負極リード62bの長さよりも短く設定されている。
【0122】
シーラント63a〜dは、第1の実施の形態で説明した融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有する熱融着樹脂材料で構成されている。
【0123】
正極リード62aのラミネートフィルム41側の面の一部には、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、シーラント63aが配置されている。正極リード62aの負極リード62b側の面の一部には、シーラント63bが配置されている。シーラント63aとシーラント63bとは、互いに融着されている。
【0124】
負極リード62bのラミネートフィルム41側の面の一部には、ラミネートフィルム41との接着性を向上させるために、シーラント63dが配置されている。負極リード62bの正極リード62a側の面の一部には、シーラント63cが配置されている。シーラント63cとシーラント63dとは、互いに融着している。シーラント63bおよびシーラント63cは、正極リード62aと負極リードと62bとが直接接触して短絡が生じることを抑制するために配置されている。シーラント63bとシーラント63cとは、互いに融着されている。
【0125】
図18は、図17の線a−a’に沿った断面構造を示す。図18に示すように、同じ幅を有する正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の一端と他端とが幅方向で同じ位置にあり、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面と、負極リード62bの正極リード62a側の面とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0126】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側のラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0127】
また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0128】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、シーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0129】
シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。さらに、シーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが、融着されている。また、上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0130】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。さらに、このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。また、下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0131】
図19Aは、ラミネートフィルム41から延出している、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成を説明するための上面図である。図19Bは、図19Aの線b−b’に沿った断面図である。
【0132】
図19Aおよび図19Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く設定されている。
【0133】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aおよびシーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分と、シーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bによって覆われる部分と、シーラント63bによって覆われない部分とを有する。
【0134】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bのシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0135】
正極リード62aのシーラント63b側の面において、シーラント63bに覆われている部分は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。正極リード62aのシーラント63b側の面において、シーラント63bに覆われていない部分は、シーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cによって覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、正極リード62aは、両面にシーラント63aおよびシーラント63bによって覆われていない部分を有し、正極リード62aの露出部分の面積が後述の変形例より大きいので、溶接位置の自由度がより高い。
【0136】
<変形例>
(第1の例)
なお、ラミネートフィルム41から延出している、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成を以下に説明する構成としてもよい。まず、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成の他の第1の例を説明する。図20Aは、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の構成の他の第1の例を説明するための上面図である。図20Bは、図20Aの線c−c’に沿った断面構造を示す。
【0137】
図20Aおよび図20Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aは、負極リード62bの長さより短く設定されている。
【0138】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。また、シーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さと同じ長さに設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分とシーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、全てシーラント63bによって覆われる。
【0139】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bのシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0140】
正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cに覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、この第1の例では、正極リード62aと負極リード62bとの間の全領域には、2枚のシーラント63bおよび63cが配置されているので、より確実に短絡を抑制することができる。
【0141】
(第2の例)
次に、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63a〜dの延出部分の他の第2の例について説明する。図21Aは、正極リード62a、負極リード62bおよびシーラント63の延出部分の他の第2の例を説明するための上面図である。図21Bは、図21Aの線d−d’に沿った断面構造を示す。図21Aおよび図21Bに示すように、この正極リード62aおよび負極リード62bの延出部分の長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。すなわち、正極リード62aは、負極リード62bの長さより短く設定されている。
【0142】
正極リード62aの両面に配置されているシーラント63aおよびシーラント63bの幅は、正極リード62aの幅より広く設定されている。シーラント63aの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより短く設定されている。また、シーラント63bの延出部分の長さは、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、正極リード62aのシーラント63a側の面は、シーラント63aによって覆われる部分とシーラント63aによって覆われない部分とを有する。正極リード62aのシーラント63b側の面は、全てシーラント63bによって覆われる。
【0143】
また、負極リード62bの両面に配置されているシーラント63cおよびシーラント63dの幅は、負極リード62bの幅より広く設定されている。シーラント63cおよびシーラント63dの延出部分の長さは、負極リード62bの延出部分の長さより短く、正極リード62aの延出部分の長さより長く設定されている。これにより、負極リード62bシーラント63c側の面は、シーラント63cによって覆われる部分と、シーラント63cによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63d側の面は、シーラント63dによって覆われる部分と、シーラント63dによって覆われない部分とを有する。負極リード62bのシーラント63cおよびシーラント63dによって覆われない部分は、正極リード62aの外側の位置にある。
【0144】
正極リード62aのシーラント63b側の面は、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、負極リード62bと対向している。負極リード62bのシーラント63c側の面において、シーラント63cに覆われていない部分は、正極リード62aより外側に位置している。これにより、正極リード62aと負極リード62bとが直接接触して短絡することを抑制できる。また、この第2の例では、正極リード62aと負極リード62bとの間の全領域には、2枚のシーラント63bおよび63cが配置されているので、より確実に短絡を抑制することができる。
【0145】
<効果>
この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池では、正極リード62aおよび負極リード62bがシーラント63b〜cを介して、電池の厚さ方向に重なっているので、良好な体積エネルギー密度を得ることができる。
【0146】
すなわち、幅の広い正極リード62aおよび負極リード62bを用いた場合、電池の同一辺から正極リード62aおよび負極リード62bを延出すると、幅が広い正極リード62aおよび負極リード62bを用いているため、短絡の可能性が高まる。そこで、短絡を抑制するために、例えば図22に示す電池のように、正極リード62aおよび負極リード62bをそれぞれ電池の異なる辺から延出する。しかしながら、異なる辺から正極リード62aおよび負極リード62bをそれぞれ延出すると、正極リード62aおよび負極リード62bを延出する部分2辺をシールする必要があり、体積効率が低下する。
【0147】
一方、この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池では、電池の同一辺から正極リード62aおよび負極リード62bを延出することにより、正極リード62aおよび負極リード62bが延出する辺を一辺にする。これにより、正極リード62aおよび負極リード62bが延出する部分のシール面積を減らして、電池素子54の体積を向上できるので、図22に示す電池よりも体積あたりのエネルギー密度を向上できる。さらに、正極リード62aおよび負極リード62bの間には、熱融着樹脂と微細樹脂繊維とを含有する熱融着樹脂材料で構成されたシーラント63b〜cを配置することで、短絡の発生をより確実に抑制できる。
【0148】
4.第4の実施の形態
この発明の第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の配置および構成が、第3の実施の形態と異なる点以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、以下では、第3の実施の形態と異なる点を中心に詳細に説明し、その他の説明は適宜省略する。
【0149】
図23Aおよび図23Bに示すように、この非水電解質電池は、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。電池素子54の正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続される。電池素子54の負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続される。正極リード62aおよび負極リード62bの幅は、同じ大きさに設定される。
【0150】
図24は、図23Bの線e−e’に沿った断面を示す。図24に示すように、正極リード62aの幅方向の一端および他端と、負極リード62bの幅方向の一端および他端とが、幅方向でそれぞれ異なる位置にある。より詳細には、幅方向において、正極リード62aの幅方向の一端が負極リード62bの幅方向の一端より左方に位置し、正極リード62aの幅方向の他端が負極リード62bの幅方向の一端と他端と間にある。そして、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面の一部と、負極リード62bの正極リード62a側の面の一部とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0151】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0152】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bの両方が挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0153】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0154】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0155】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、互いに融着されているシーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0156】
また、シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。このシーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0157】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。
【0158】
シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0159】
<効果>
この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池は、第3の実施の形態と同様の効果を有する。
【0160】
5.第5の実施の形態
この発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態は、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の配置および構成が、第3の実施の形態と異なる点以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、以下では、第3の実施の形態と異なる点にを中心に詳細に説明し、その他の説明は適宜省略する。
【0161】
図25Aおよび図25Bに示すように、この非水電解質電池は、電池素子54がラミネートフィルム41に形成された凹部47に収容され、電池素子54の周辺部の、折り返し辺を除く三辺を減圧下で熱溶着することにより封止されたものである。
【0162】
この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bが同一方向でラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。この非水電解質電池は、電池素子54に接続された正極リード62aおよび負極リード62bがラミネートフィルム41のシール部から外部に延出された構成を有する。電池素子54の正極には、例えばアルミニウム(Al)などで構成された正極リード62aが接続される。電池素子54の負極には、例えばニッケル(Ni)などで構成された負極リード62bが接続される。負極リード62bの幅は、正極リード62aの幅より大きく設定されている。
【0163】
図26は、図25Bの線f−f’に沿った断面構造を示す。図26に示すように、正極リード62aおよび負極リード62bの幅方向の一端と他端とが幅方向で異なる位置にある。より詳細には、幅方向において、負極リード62bの幅方向の一端と他端との間に、正極リード62aの幅方向の一端と他端とが位置するように設定されている。また、正極リード62aと負極リード62bとの間には、シーラント63bおよびシーラント63cが設けられている。これにより、正極リード62aの負極リード62b側の面の一部と、負極リード62bの正極リード62a側の面の一部とが、シーラント63bおよびシーラント63cを介して、電池の厚さ方向に重なっている。
【0164】
また、図26に示す例では、バリが生じる負極リード62bの幅方向の一端および他端が、シーラント63b〜cを介して正極リード62aと電池の厚さ方向に重ならない位置に配置されている。したがって、負極リード62bに、ニッケル(Ni)などのバリが大きい材料を用いた場合には、正極リード62aと負極リード62bとの短絡をより効果的に抑制することができる。
【0165】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。また、上側および下側のラミネートフィルム41の間に正極リード62aおよび負極リード62bが挟まれていない部分では、シーラント63a〜dを介して、上側および下側ラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向している。
【0166】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、正極リード62aおよび負極リード62bの両方が挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/正極リード62a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0167】
上側および下側のラミネートフィルム41の間に、負極リード62bが挟まれている部分では、以下の構造を有する。すなわち、上側のラミネートフィルム41/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側のラミネートフィルム41の構造を有する。より詳細には、上側の外層樹脂フィルム41a/上側の金属箔41b/上側の融着用内層樹脂フィルム41c/シーラント63a/シーラント63b/シーラント63c/負極リード62b/シーラント63d/下側の融着用内層樹脂フィルム41c/下側の金属箔41b/下側の外層樹脂フィルム41aの構造を有する。
【0168】
互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士は、融着されている。また、シーラント63a〜dを介して融着用内層樹脂フィルム41cが互いに対向する部分では、互いに融着されているシーラント63a〜dを介して、互いに対向する融着用内層樹脂フィルム41c同士が融着されている。
【0169】
また、シーラント63aは、正極リード62aに対して融着されている。このシーラント63aと上側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。上側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63aを介して、正極リード62aに対して融着されている。
【0170】
シーラント63dは、負極リード62bに対して融着されている。このシーラント63dと下側の融着用内層樹脂フィルム41cとが融着されている。下側の融着用内層樹脂フィルム41cは、シーラント63dを介して、負極リード62bに対して融着されている。
【0171】
シーラント63bとシーラント63cとは、融着されている。シーラント63bは、シーラント63cを介して負極リード62bに対して融着されている。シーラント63cは、シーラント63bを介して正極リード62aに対して融着されている。
【0172】
<効果>
この発明の第5の実施の形態による非水電解質電池は、第3の実施の形態と同様の効果を有する。
【実施例】
【0173】
<試験例1−1>
図6に示す3層構造の10cm×10cmのアルミラミネートフィルム41を試験用に作製した。アルミラミネートフィルム41は、図6に示す断面構造において、外層樹脂フィルム41a、金属箔41b、融着用内層樹脂フィルム41cを以下のように構成したものを用いた。
外層樹脂フィルム41a:PETフィルム
金属箔41b:アルミニウム箔
融着用内層樹脂フィルム41c:微細樹脂繊維を5vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)
【0174】
なお、上記の融着用内層樹脂フィルム41cは、以下のようにして作製した。まず、無延伸ポリプロピレン(CPP)を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加した後、攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液を作製した。微細樹脂繊維の配合量は、無延伸ポリプロピレン(CPP)に対する体積比率で5vol%とした。この樹脂融液を用いて、インフレーション法によって、樹脂融液をフィルム状に製膜することによって、上記の融着用内層樹脂フィルム41cを得た。
【0175】
微細樹脂繊維は、直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを用いた。なお、微細樹脂繊維の直径および長さは、SEMで観察した場合において、アットランダムにピックアップした30本の繊維について、直径および長さを測定し、その平均値をとったものとした。
【0176】
アルミラミネートフィルム41の作製は以下のように行った。厚さ50μmのアルミニウム箔の両面に接着剤を塗布し、一方の面に厚さ20μmのPETフィルムを貼り合わせ、他方の面に、微細樹脂繊維を5vol%配合した厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせた。接着剤層の厚みは5μmとした。
【0177】
(剥離強度試験)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて剥離強度測定を行った。2枚のアルミラミネートフィルム41を用意して、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を対向するように配置して、熱融着を行った。融着条件は、金属シールヘッド使用、上下ヘッドとも180℃、シール圧力20kgf/cm2、シール時間5秒とした。
【0178】
熱融着した試料片を15mm幅にカットし、長さ方向に引っ張り、剥離強度を測定した。このとき、樹脂が試験時に延伸しないように、両フィルムにPET粘着テープを貼り付けた。剥離条件は、180°剥離、剥離速度50mm/minとした。
【0179】
(開裂圧測定)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて、図3に示す構成の電池を作製した。電極リード42(5mm幅のアルミタブリード)を覆う厚さ50μmの8mm×10mmのシーラント43a〜bとして、無延伸ポリプロピレン(CPP)に微細樹脂繊維として上記のPETファイバーを5vol%配合した材料を用いた。
【0180】
なお、上記シーラント43a〜bは、以下のように作製した。まず、無延伸ポリプロピレン(CPP)を溶融させ、これに微細樹脂繊維を添加した後、攪拌することで、均一に微細樹脂繊維が配合された樹脂融液を作製した。微細樹脂繊維の配合量は、無延伸ポリプロピレン(CPP)に対する体積比率で5vol%に相当する量とした。この樹脂融液を用いて、インフレーション法によって、樹脂融液をフィルム状に製膜した後、所定の寸法に切り取って、上記のシーラント43a〜bを得た。
【0181】
電池は、電池素子4としてダミー素子を用いて、ダミー素子をアルミラミネートフィルム41で外装し、ダミー素子の周辺の4辺をシールした。ラミネートフィルムのシール条件は、1mm幅の金属ヘッドで、上下180°、シール圧力20kgf/cm2、シール時間5秒とした。次いで、ダミー素子から圧縮空気を注入して電池を膨らませて、シール部分が開裂するときの圧力を測定した。
【0182】
(成形性評価)
短形比40mm×60mmの金型を用いて、アルミラミネートフィルム41の深絞り加工を行った。成形速度100mm/minとした。成形性は、金属箔41bにピンホールおよびクラックが発生する最低深さを測定することによって、評価した。
【0183】
(短絡確認)
試験用のアルミラミネートフィルム41を用いて、図3に示す構成の電池を作製した。その際、厚さ50μmの8mm×10mmのシーラント43a〜bを用いた。シーラント43a〜bは、無延伸ポリプロピレン(CPP)に直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを配合したものを用いた。シール圧力30kgf/cm2、シール温度200℃で30秒シールを行い、30秒の間に短絡するかを確認した。
【0184】
<試験例1−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を10vol%配合した無延伸ポリプロピレンを用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0185】
<試験例1−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0186】
<試験例1−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を20vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0187】
<試験例1−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を25vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0188】
<試験例1−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を30vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0189】
<試験例1−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を40vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0190】
<試験例1−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を50vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0191】
<試験例1−9>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を60vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0192】
<試験例1−10>(比較用)
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を配合しない無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0193】
試験例1−1〜試験例1−10の試験結果を表1に示す。なお、剥離強度試験の結果は25N/15mm以上が望ましい。開裂圧測定の結果は0.35Pa以上が望ましい。成形性評価の結果は5.80mm以上が望ましい。
【0194】
【表1】
【0195】
表1に示すように、試験例1−1〜試験例1−10によれば、以下のことが確認された。融着用内層樹脂フィルム41cとして微細樹脂繊維を配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いたアルミラミネートフィルム41を使用し、シーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維を配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を使用することによって、短絡を抑制できた。また、試験例1−1〜試験例1−10によれば、所定の配合量では接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できた。
【0196】
<試験例2−1>
試験例1−3と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0197】
<試験例2−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0198】
<試験例2−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として6,6−ナイロン(6,6−Nylon)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0199】
<試験例2−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてアラミド〔Nomex(登録商標)〕を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0200】
<試験例2−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリカーボネート(PC)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0201】
<試験例2−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリイミド(PI)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0202】
<試験例2−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリフェニレンスルフォン(PPS)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0203】
<試験例2−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例2−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0204】
試験例2−1〜試験例2−8、および試験例1−10(比較用)の結果を表2に示す。
【0205】
【表2】
【0206】
表2に示すように、試験例2−1〜試験例2−8および試験例1−10によれば、微細樹脂繊維の材料の種類によらず、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0207】
<試験例3−1>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.3μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0208】
<試験例3−2>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0209】
<試験例3−3>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0210】
<試験例3−4>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0211】
<試験例3−5>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径0.5μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0212】
<試験例3−6>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ120μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0213】
<試験例3−7>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0214】
<試験例3−8>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0215】
<試験例3−9>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0216】
<試験例3−10>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0217】
<試験例3−11>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径5μm、長さ7000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0218】
<試験例3−12>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0219】
<試験例3−13>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0220】
<試験例3−14>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0221】
<試験例3−15>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径10μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0222】
<試験例3−16>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ200μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0223】
<試験例3−17>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0224】
<試験例3−18>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ2000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例3−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0225】
<試験例3−19>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径20μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0226】
<試験例3−20>
アルミラミネートフィルム41の融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として、直径25μm、長さ5000μmのPETファイバーを15vol%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例1−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0227】
試験例3−1〜試験例3−20および試験例1−10(比較用)の結果を表3に示す。
【0228】
【表3】
【0229】
表3において、試験例3−1、試験例3−5、試験例3−10、試験例3−15、試験例3−19、試験例3−20を比較した。すなわち、直径が0.3μm、0.5μm、5μm、10μm、20μmまたは25μm、且つ長さが5000μmの微細樹脂繊維を用いた試験例を比較した。この比較により、以下の評価が得られた。
【0230】
試験例3−1(直径が0.3μm)では、微視樹脂繊維の直径が小さいため、金属材料の微小な凹凸を繊維径でカバーし短絡防止することができなかったので、短絡が発生した。試験例3−20(直径が25μm)では、微細樹脂繊維の直径が大きいため、繊維のコシが強くなり、製膜時にフィルム表面への繊維飛び出しが起きてしまった。また、繊維の剛直性から、熱融着時の樹脂の流動も妨げ、シール強度も低下した。
【0231】
試験例3−5(直径が0.5μm)、試験例3−10(直径が5μm)、試験例3−15(直径が10μm)、試験例3−19(直径が20μm)では、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0232】
表3において、試験例3−6、試験例3−7、試験例3−8、試験例3−9、試験例3−10、試験例3−11を比較した。すなわち、直径が5μm、且つ長さが120μm、200μm、500μm、2000μm、5000μmまたは7000μmの微細樹脂繊維用いた試験例を比較した。この比較により、以下の評価が得られた。
【0233】
試験例3−6(長さが120μm)では、微細樹脂繊維の長さが短く絡み合わないため、金属材料の微小な凹凸に繊維が押されても抵抗しないため、短絡に至った。試験例3−11(長さが7000μm)では、微細樹脂繊維の長さが長いため製膜時にフィルム表面への微細樹脂繊維の飛び出しが起きた。また、繊維同士の絡み合いが強いため、成形時に抵抗成分となり、成形性を落とした。
【0234】
試験例3−7(長さが200μm)、試験例3−8(長さが500μm)、試験例3−9(長さが2000μm)、試験例3−10(長さが5000μm)では、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0235】
以上の比較より、直径5μm〜20μm、長さ200μm〜5000μmの微細樹脂繊維を用いた場合に、最も優れた効果を発揮することが確認された。
【0236】
<試験例4−1>
試験例1−3と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0237】
<試験例4−2>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が1.2μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0238】
<試験例4−3>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.5μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0239】
<試験例4−4>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が2.0μmの酸化ケイ素を5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0240】
<試験例4−5>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.4μmの酸化ケイ素を5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0241】
<試験例4−6>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が1.0μmの酸化アルミニウムを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0242】
<試験例4−7>
融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bとして、微細樹脂繊維として直径10μm、長さ500μmのPETファイバーを15vol%配合し、さらに粒子径D50が0.5μmの酸化チタンを5wt%配合した無延伸ポリプロピレン(CPP)を用いた。この他は、試験例4−1と同様にして、(1)〜(4)の試験を行った。
【0243】
試験例4−1〜試験例4−7の結果を表4に示す。
【0244】
【表4】
【0245】
表4に示すように、熱融着樹脂に微細樹脂繊維を加えてさらに無機フィラーを配合した材料を用いた場合でも、接着力やシール性に影響を与えないで、短絡を抑制できることが確認された。
【0246】
<体積効率の評価>
<サンプル1>
電池高さは100mm、正極リードおよび負極リードが導出されるシール部のシール幅を3mmとして、図17に示す構成のラミネートフィルム電池をサンプル1として作製した。すなわち、正極、負極およびセパレータをゲル電解質と共に巻回して電池素子を作製した後、アルミラミネートフィルムで外装し、電池素子の周辺の折り返し辺を除く3辺をシールした。これにより、サンプル1のラミネートフィルム電池を得た。
【0247】
<サンプル2>
電池高さは100mm、正極リードおよび負極リードが導出される2辺のシール部のシール幅を3mmとして、図22に示す構成のラミネートフィルム電池をサンプル2として作製した。すなわち、まず、正極、負極およびセパレータをゲル電解質と共に巻回して電池素子を作製した後、アルミラミネートフィルムで外装し、電池素子の周囲の4辺をシールした。これにより、サンプル2のラミネートフィルム電池を得た。
【0248】
<評価>
サンプル1のラミネートフィルム電池では、電池高さが100mmに対して、シール幅が3mmであり、サンプル2のラミネートフィルム電池では、電池高さが100mmに対して、シール幅3mm×2箇所である。すなわち、サンプル1のラミネートフィルム電池では、電池素子として使用できる部分が、100mm−3mm=97mmである。サンプル2のラミネートフィルム電池では、電池素子として使用できる部分が、100mm−6mm=94mmである。これにより、サンプル1のラミネートフィルム電池は、サンプル2のラミネートフィルム電池より、約3%〔{1−(94mm/97mm)}×100%〕体積効率を向上できることが確認できた。
【0249】
6.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0250】
例えば、第1の実施の形態では、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bの両方に熱融着樹脂材料を用いた構成としたが、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bのうちの何れかに、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0251】
例えば、第1の実施の形態による非水電解質電池において、シーラント43a〜bを省略した構成としてもよい。例えば、第2の実施の形態による電池パックにおいて、シーラント6a〜bを省略した構成としてもよい。
【0252】
例えば、第2の実施の形態では、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aおよび硬質ラミネートフィルム1bの接着層16b、並びにシーラント6a〜bに熱融着樹脂材料を用いた構成としたが、これに限定されるものではない。例えば接着層16a〜bおよびシーラント6a〜bのうちの何れかに、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0253】
例えば、第2の実施の形態で説明した溶融樹脂(ホットメルト材)に、熱融着樹脂材料を用いた構成としてもよい。
【0254】
例えば、第1の実施の形態において、融着用内層樹脂フィルム41cおよびシーラント43a〜bの少なくとも何れかに、無機フィラーをさらに含むようにしてもよい。例えば、第2の実施の形態において、軟質ラミネートフィルム1aの接着層16aおよび硬質ラミネートフィルム1bの接着層16b、並びにシーラント6a〜bの少なくとも何れかに、無機フィラーをさらに含むようにしてもよい。
【0255】
例えば無機フィラーとしては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。無機フィラーの種類は、例示したものに限定されるものではなく、従来提案されているものを用いることができる。無機フィラーの平均粒子径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0256】
例えば、電池素子4は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した電池素子4に限定されるものではない。例えば、捲回体ではなく、正極、ポリマー電解質および/またはセパレータ、負極を積層した積層体を電池素子として用いてもよい。
【0257】
また、勿論、ポリマー電解質を用いない構成の電池素子、例えば、正極および負極と、正極および負極の間に配置されたセパレータとを捲回した構造の電池素子を用いてもよい。この電池素子をラミネートフィルムに収容した後、液状の電解液を注液し、電池素子を液状の電解液に浸すようにして、電池を構成してもよい。
【0258】
例えば、第1の実施の形態ではリチウムイオン電池の例について説明し、第2の実施の形態ではリチウムイオン電池に保護回路などが搭載された回路基板が接続された電池パックの例について説明したが、電池の種類はこれに限定されるものではない。
【0259】
また、この発明は、例えば、キャパシタや電解コンデンサなどのように電気を蓄積する電極積層体をラミネートフィルムによって外装した構成の電気デバイスにも適用することができる。
【0260】
第3の実施の形態〜第5の実施の形態では、4枚のシーラント63a〜dを用いた例について説明したが、電極リードを挿通する孔を有する中抜き形状のシーラントを2枚用いて構成するようにしてもよい。また、シーラント63bおよびシーラント63cを一枚のシーラントとしてもよい。また、シーラント63a〜dの幅が同じ大きさのものを用いた例について説明したが、シーラント63a〜dの幅がそれぞれ異なっていてもよい。
【0261】
第3の実施の形態〜第5の実施の形態では、正極リード62aの長さを負極リード62bの長さより短い長さに設定したが、シーラント63a〜dの構成を適宜変更して、正極リード62aの長さと負極リード62bの長さを同じ長さに設定してもよい。また、シーラント63a〜dの構成を適宜変更して、正極リード62aの長さを負極リード62bの長さより、長く設定してもよい。
【0262】
第4の実施の形態では、正極リード62aおよび負極リード62bの幅は同じ大きさに設定されているが、正極リード62aの幅と、負極リード62bの幅とを異なる大きさに設定してもよい。
【0263】
第3の実施の形態で説明した変形例を第4の実施の形態および第5の実施の形態に適用してもよい。また、第3〜第5の実施の形態において、正極リード62aを負極リードとし、負極リード62bを正極リードとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0264】
1・・・外装材
1a・・・軟質ラミネートフィルム
1b・・・硬質ラミネートフィルム
2・・・トップカバー
3・・・ボトムカバー
4、54・・・電池素子
5a、62a・・・正極リード
5b、62b・・・負極リード
6a〜6b、63a〜63b・・・シーラント
16a〜b・・・接着層
17a〜b・・・金属層
18a〜b・・・表面保護層
21・・・開口
22・・・回路基板
41・・・ラミネートフィルム
41a・・・外層樹脂フィルム
41b・・・金属箔
41c・・・融着用内層樹脂フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムによって外装された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと
を備え、
上記熱融着樹脂層は、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池。
【請求項2】
上記リードと上記熱融着樹脂層との間にシーラントが設けられ、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項1記載の電池。
【請求項3】
上記微細樹脂繊維の直径が0.5μm〜20μmであり、且つ上記微細樹脂繊維の長さが200μm〜5000μmである請求項1記載の電池。
【請求項4】
上記微細樹脂繊維の直径または短辺長をr(μm)とし、上記熱融着樹脂層の厚みをt(μm)とした場合において、
0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)という条件の下、上記熱融着樹脂層中の上記微細樹脂繊維の配合量は、上記熱融着樹脂に対する体積比率で、10vol%〜(r/t)×100vol%である請求項1記載の電池。
【請求項5】
上記熱融着樹脂層中の上記微細樹脂繊維の配合量は、上記熱融着樹脂に対する体積比率で、10vol%〜25vol%である請求項1記載の電池。
【請求項6】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムに外装された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードと上記熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントと
を備え、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池。
【請求項7】
第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを有する第1のラミネートフィルムと、
第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを有する第2のラミネートフィルムと、
上記第1のラミネートフィルムと上記第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記第1の熱融着樹脂層と上記第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記第1のラミネートフィルムおよび上記第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードに接続された回路基板と
を備え、
上記第1の熱融着樹脂層および上記第2の熱融着樹脂層のうちの少なくとも何れかが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む電池パック。
【請求項8】
上記第1の熱融着樹脂層および上記第2の熱融着樹脂層が、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項7記載の電池パック。
【請求項9】
上記リードと上記第1の熱融着樹脂層との間、および上記リードと上記第2の熱融着樹脂層との間にシーラントが設けられ、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項7記載の電池パック。
【請求項10】
第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを備えた第1のラミネートフィルムと、
第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを備えた第2のラミネートフィルムと、
上記第1のラミネートフィルムと上記第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記第1の熱融着樹脂層と上記第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記第1のラミネートフィルムおよび上記第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードに接続された回路基板と、
上記リードと上記第1の熱融着樹脂層との間、および上記リードと上記第2の熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントと
を備え、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池パック。
【請求項11】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムに外装された電池素子と、
該電池素子の正極に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出された正極リードと、
上記電池素子の負極に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出された負極リードと、
上記正極リードおよび上記負極リードの間に設けられた、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントと
を備え、
上記正極リードおよび上記負極リードは、同一方向に延出され、
上記正極リードの上記負極リード側の面の少なくとも一部と、上記負極リードの上記正極リード側の面の少なくとも一部とが、上記シーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられた電池。
【請求項12】
上記ラミネートフィルムから延出する上記正極リードの延出部分の長さと、上記ラミネートフィルムから延出する上記負極リードの延出部分の長さとが異なる長さに設定され、
上記ラミネートフィルムから延出する上記シーラントの延出部分の長さは、上記正極リードおよび上記負極リードの延出部分の短い方の長さ以上に設定された請求項11記載の電池。
【請求項13】
上記正極リードおよび上記負極リードの幅は、上記電池素子の幅に対して50%以上であり、電池幅に対して95%以下である請求項11記載の電池。
【請求項1】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムによって外装された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと
を備え、
上記熱融着樹脂層は、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池。
【請求項2】
上記リードと上記熱融着樹脂層との間にシーラントが設けられ、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項1記載の電池。
【請求項3】
上記微細樹脂繊維の直径が0.5μm〜20μmであり、且つ上記微細樹脂繊維の長さが200μm〜5000μmである請求項1記載の電池。
【請求項4】
上記微細樹脂繊維の直径または短辺長をr(μm)とし、上記熱融着樹脂層の厚みをt(μm)とした場合において、
0.1t(μm)<r(μm)≦0.5t(μm)という条件の下、上記熱融着樹脂層中の上記微細樹脂繊維の配合量は、上記熱融着樹脂に対する体積比率で、10vol%〜(r/t)×100vol%である請求項1記載の電池。
【請求項5】
上記熱融着樹脂層中の上記微細樹脂繊維の配合量は、上記熱融着樹脂に対する体積比率で、10vol%〜25vol%である請求項1記載の電池。
【請求項6】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムに外装された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードと上記熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントと
を備え、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池。
【請求項7】
第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを有する第1のラミネートフィルムと、
第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを有する第2のラミネートフィルムと、
上記第1のラミネートフィルムと上記第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記第1の熱融着樹脂層と上記第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記第1のラミネートフィルムおよび上記第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードに接続された回路基板と
を備え、
上記第1の熱融着樹脂層および上記第2の熱融着樹脂層のうちの少なくとも何れかが、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を含む電池パック。
【請求項8】
上記第1の熱融着樹脂層および上記第2の熱融着樹脂層が、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項7記載の電池パック。
【請求項9】
上記リードと上記第1の熱融着樹脂層との間、および上記リードと上記第2の熱融着樹脂層との間にシーラントが設けられ、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する請求項7記載の電池パック。
【請求項10】
第1の金属層と第1の熱融着樹脂層とを備えた第1のラミネートフィルムと、
第2の金属層と第2の熱融着樹脂層とを備えた第2のラミネートフィルムと、
上記第1のラミネートフィルムと上記第2のラミネートフィルムとの間に収容された電池素子と、
該電池素子に接続され、対向する上記第1の熱融着樹脂層と上記第2の熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記第1のラミネートフィルムおよび上記第2のラミネートフィルムの外側に延出されたリードと、
該リードに接続された回路基板と、
上記リードと上記第1の熱融着樹脂層との間、および上記リードと上記第2の熱融着樹脂層との間に設けられたシーラントと
を備え、
上記シーラントは、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有する電池パック。
【請求項11】
金属層と熱融着樹脂層とを有するラミネートフィルムと、
該ラミネートフィルムに外装された電池素子と、
該電池素子の正極に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出された正極リードと、
上記電池素子の負極に接続され、対向する上記熱融着樹脂層との間に挟まれ、上記ラミネートフィルムの外側に延出された負極リードと、
上記正極リードおよび上記負極リードの間に設けられた、熱融着樹脂および微細樹脂繊維を有するシーラントと
を備え、
上記正極リードおよび上記負極リードは、同一方向に延出され、
上記正極リードの上記負極リード側の面の少なくとも一部と、上記負極リードの上記正極リード側の面の少なくとも一部とが、上記シーラントを介して、電池の厚さ方向に重ねられた電池。
【請求項12】
上記ラミネートフィルムから延出する上記正極リードの延出部分の長さと、上記ラミネートフィルムから延出する上記負極リードの延出部分の長さとが異なる長さに設定され、
上記ラミネートフィルムから延出する上記シーラントの延出部分の長さは、上記正極リードおよび上記負極リードの延出部分の短い方の長さ以上に設定された請求項11記載の電池。
【請求項13】
上記正極リードおよび上記負極リードの幅は、上記電池素子の幅に対して50%以上であり、電池幅に対して95%以下である請求項11記載の電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−219024(P2010−219024A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233118(P2009−233118)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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