説明

電池の温度調整装置

【課題】複雑な補正をすることなく電極体の温度を正確に検出でき、その検出結果に基づいて電池の温度を調整することができる電池の温度調整装置を提供する。
【解決手段】温度調整装置1は、送風機11と、温度センサ12と、温度制御装置13とから構成されている。温度センサ12は、冷媒によって冷却されないケース103の温度を検出している。正極端子101及び負極端子102と、ケース103とは熱的に絶縁されている。そのため、正極端子101及び負極端子102が、冷却器101c、102cを介して冷媒によって冷却されても、その影響を受けることなく電池10の温度を正確に検出することができる。従って、従来のように検出結果に対して複雑な補正をする必要もない。これにより、温度制御装置13が、この正確な検出結果に基づいて送風機11を介して冷媒の流通量を制御することで、電池10の温度を適切に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車駆動用の電源として、高出力、高エネルギー容量であるリチウム電池やニッケル電池が実用化されている。これらの電池は、電極体と、端子と、電池容器とを備えている。そして、複数個組合わされ、組電池として用いられる。自動車駆動用として組電池が使用される場合、激しい充放電が繰返されることとなる。そのため、化学反応に伴う電極体の発熱によって温度が上昇し、電池の性能が劣化してしまう可能性があった。
【0003】
従来、このような温度上昇を抑えることができる組電池として、例えば特許文献1に開示されている組電池がある。この組電池は、複数個の電池と、各電池の端子部に固定される1枚の放熱板とから構成されている。電極体で発生した熱は、端子及び放熱板を介して外部へと放熱される。これにより、組電池の温度上昇を抑えることができる。
【特許文献1】特開2002−56904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した組電池においては、放熱板に送風することで、組電池の温度上昇をより効率的に抑えることができる。さらに、電池の温度を検出する温度センサを備え、その検出結果に基づいて送風量を制御することで、組電池の温度を、性能を充分に発揮できる温度範囲にすることができる。一般的に、温度センサは、端子等に設置される。そのため、設置位置によっては、送風の影響によって電池の温度、具体的には電極体の温度を正確に検出できないことがあった。この場合、温度センサの検出結果に対して複雑な補正をし、正確な温度を推定する必要があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複雑な補正をすることなく電極体の温度を正確に検出でき、その検出結果に基づいて電池の温度を調整することができる
電池の温度調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、熱媒体によって冷却又は加熱されない端子と電池容器の他方の温度を検出する温度検出手段を設けることで、複雑な補正をすることなく電極体の温度を正確に検出でき、その検出結果に基づいて電池の温度を制御できることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の電池の温度調整装置は、電極体と、電極体に電気的に接続される端子と、端子の接続された電極体を収容するとともに、端子の端部を外部に突出させた状態で、電気的及び熱的に絶縁して端子を支持する電池容器と、を備えた電池の温度調整装置において、熱媒体によって端子と電池容器の一方を冷却又は加熱する熱媒体を流通させる熱媒体流通手段と、端子と電池容器の他方の温度を検出する第1温度検出手段と、第1温度検出手段の検出結果に基づいて熱媒体流通手段を介して熱媒体の流通量を制御する温度制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電池の温度は、電極体で発生した熱によって変化する。電極体で発生した熱は、接続されている端子、及び、収容している電池容器に伝達される。そのため、端子と電池容器の一方を熱媒体によって冷却又は加熱することで、電池の温度を調整することができる。ところで、第1温度検出手段は、熱媒体によって冷却又は加熱されない端子と電池容器の他方の温度を検出する。ここで、端子と電池容器とは熱的に絶縁されている。そのため、端子と電池容器の一方が熱媒体によって冷却又は加熱されても、その影響を受けることなく電極体の温度を正確に検出することができる。従って、従来のように、検出結果に対して複雑な補正をする必要もない。これにより、温度制御手段が、この電極体温度の正確な検出結果に基づいて熱媒体流通手段を介して熱媒体の流通量を制御することで、複雑な補正をすることなく、電池の温度を適切に調整することができる。
【0009】
請求項2に記載の電池の温度調整装置は、請求項1に記載の電池の温度調整装置において、端子に電気的接続され、電池の充放電電流を制御する充放電電流制御手段を有し、温度制御手段は、充放電電流制御手段を介して電池の充放電電流を制御することを特徴とする。この構成によれば、電池の充放電電流を制御することで、電池の温度を調整することができる。そのため、熱媒体流通手段が故障した場合においても、電池の温度を調整することができる。
【0010】
請求項3に記載の電池の温度調整装置は、請求項1に記載の電池の温度調整装置において、端子と電池容器の一方の温度を検出する第2温度検出手段を有し、温度制御手段は、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の検出結果に基づいて熱媒体の流通量を制御することを特徴とする。この構成によれば、第1温度検出手段の検出結果だけでなく、第2温度検出手段の検出結果をも考慮することができる。そのため、従来のように1つの検出結果に基づいて補正する場合に比べ、簡素な補正でより正確な温度を求めることができる。従って、電池の温度をより緻密に調整することができる。
【0011】
請求項4に記載の電池の温度調整装置は、請求項3に記載の電池の温度調整装置において、端子に電気的接続され、電池の充放電電流を制御する充放電電流制御手段を有し、温度制御手段は、充放電電流制御手段を介して電池の充放電電流を制御することを特徴とする。この構成によれば、電池の充放電電流を制御することで、電池の温度を調整することができる。そのため、熱媒体流通手段が故障した場合においても、電池の温度を調整することができる。
【0012】
請求項5に記載の電池の温度調整装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の電池の温度調整装置において、第1温度検出手段は、カバーで覆われていることを特徴とする。この構成によれば、カバーによって、第1温度検出手段に対する熱媒体の流通を抑えることができる。そのため、熱媒体の影響を受けることなくより正確に温度を検出することができる。
【0013】
請求項6に記載の電池の温度調整装置は、請求項5に記載の電池の温度調整装置において、端子と電池容器とを電気的及び熱的に絶縁する絶縁部材を有し、カバーは、絶縁部材に形成されていることを特徴とする。この構成によれば、カバーの形成される絶縁部材は、熱的絶縁性を有している。そのため、第1温度検出手段への熱媒体による熱的影響を確実に抑えることができる。また、カバーが絶縁部材に形成されるため、部品点数を削減することができる。さらに、それに伴って組付け性を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の電池の温度調整装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の電池の温度調整装置において、熱媒体の流路を区画する流路区画部材を有することを特徴とする。この構成によれば、冷却又は加熱される端子又は電池容器の一方に熱媒体を確実に流通させることができる。
【0015】
請求項8に記載の電池の温度調整装置は、請求項6又は7に記載の電池の温度調整装置において、カバーと一体的に形成され、熱媒体の流路を区画する流路区画部材を有することを特徴とする。この構成によれば、冷却又は加熱される端子又は電池容器の一方に熱媒体を確実に流通させることができる。また、部品点数を削減することができる。さらに、それに伴って組付け性を向上させることができる。
【0016】
請求項9に記載の電池の温度調整装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の電池の温度調整装置において、端子と電池容器の一方に熱的に接続される、一方より熱伝導性の高い熱伝導部材を有することを特徴とする。この構成によれば、熱媒体によって冷却又は加熱される端子と電池容器の一方に、それよりも熱伝導性の高い熱伝導部材を有している。そのため、熱伝導部材を介して端子又は電池容器を効率的に冷却又は加熱することができる。
【0017】
請求項10に記載の電池の温度調整装置は、請求項7又は8に記載の電池の温度調整装置において、流路区画部材に固定された状態で、端子とは電池容器の一方に熱的に接続される、一方より熱伝導性の高い熱伝導部材を有することを特徴とする。この構成によれば、熱媒体によって冷却又は加熱される端子と電池容器の一方に、それよりも熱伝導性の高い熱伝導部材を有している。そのため、熱伝導部材を介して端子又は電池容器を効率的に冷却又は加熱することができる。また、熱伝導部材は、流路区画部材に固定された状態で端子又は電池容器に接続される。そのため、組付け性を向上させることができる。
【0018】
請求項11に記載の電池の温度調整装置は、請求項1〜10のいずれかに記載の電池の温度調整装置において、電池は、車両に搭載されていることを特徴とする。この構成によれば、雑な補正をすることなく電極体の温度を正確に検出でき、その検出結果に基づいて車両に搭載された電池の温度を調整することができる。
【0019】
なお、前述した第1及び第2温度検出手段は、温度検出手段を区別するために便宜的に導入したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る電池の温度調整装置を、自動車等の車両に搭載されるリチウムイオン電池に適用した例を示す。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して電池の温度調整装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。図2は、電池の内部構造を示す斜視図である。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。
【0022】
図1に示す温度調整装置1は、電池10の温度を調整する装置である。
【0023】
図2に示すように、電池10は、電極体100と、正極端子101(端子)と、負極端子102(端子)と、ケース103(電池容器)とから構成されている。
【0024】
電極体100は、正極板100aと、負極板100bと、セパレータ(図略)とから構成されている。正極板100aは、アルミニウムからなる帯状のシートよりなる集電体と、集電体の両面に形成されたリチウムニッケル酸化物、バインダ及び導電材を含む正極活物質層とを備えた部材である。また、幅方向の一端部側には、正極活物質層が形成されていない辺縁部100cが設けられている。負極板100bは、銅からなる帯状のシートよりなる集電体と、集電体の両面に形成されたグラファイト及びバインダを含む負極活物質層とを備えた部材である。また、幅方向の一端部には、負極活物質層が形成されていない辺縁部100dが設けられている。セパレータは、ポリエチレンからなる微多孔性のシートである。電極体100は、セパレータを介して対向させた正極板100aと負極板100bとを一体的に巻回し、扁平形状に成形して構成されている。このとき、正極板100aの辺縁部100cは、電極体100の軸方向一端部側に突出し、突出端部100eを形成している。また、負極板100bの辺縁部100dは、電極体100の軸方向他端部側に突出し、突出端部100fを形成している。
【0025】
正極端子101は、電極体100の正極板100aを外部に接続するためのアルミニウムからなる板状の部材である。正極端子101は、端子部101aと、接続部101bとから構成されている。端子部101aは、正極端子101を外部に接続するための長方形板状の部位である。接続部101bは、端子部101aに連結され、正極端子101を正極板100aに接続するための長方形板状の部位である。接続部101bは、正極板100aの突出端部100eに電気的に接続されている。
【0026】
負極端子102は、電極体100の負極板100bを外部に接続するための銅からなる
板状の部材である。負極端子102は、端子部102aと、接続部102bとから構成されている。端子部102aは、負極端子102を外部に接続するための長方形板状の部位である。接続部102bは、端子部102aに連結され、負極端子102を負極板100bに接続するための長方形板状の部位である。接続部102bは、負極板100bの突出端部100fに電気的に接続されている。
【0027】
ケース103は、正極端子101及び負極端子102の接続された電極体100を収容するとともに、正極端子101及び負極端子102を支持するアルミニウムからなる中空直方体状の部材である。ケース103は、有底長方形筒状の本体部103aと、長方形板状の蓋部103bとから構成されている。本体部103aには、正極端子101及び負極端子102の接続された電極体100が、熱伝導性を有する絶縁シート(図略)を介して収容されている。また、電解液が注入されている。本体部103aの開口部は、蓋部103bによって封止されている。蓋部103bには、端子部101a、102aを外部に突出させた状態で、樹脂からなる絶縁シール部材103c、103d(絶縁部材)を介して正極端子101及び負極端子102が固定されている。具体的には、電気的及び熱的に絶縁された状態で固定されている。
【0028】
外部に突出した端子部101a、102aの端部には、冷却器101c、102c(熱伝導部材)が電気的及び熱的に接続されている。冷却器101c、102cは、冷媒が流通することで、電極体100で発生した熱を、正極端子101及び負極端子102を介して効率的に放熱するためアルミニウムからなる部材である。冷却器101c、102cは、正極端子101及び負極端子102より熱伝導性が高くなるよう冷媒と接する表面積が広く設定されている。冷却器101c、102cは、長方形板状の本体部101d、102dと、本体部101d、102dの表面に立設され、長手方向に延在する長方形板状の複数のフィン部101e、102eとから構成されている。冷却器101c、102cは、フィン部101e、102eを左右方向に延在させた状態で、端子部101a、102aに電気的及び熱的に接続されている。
【0029】
図1に示すように、温度調整装置1は、送風機11(熱媒体流通手段)と、温度センサ12(第1温度検出手段)と、温度制御装置13(温度制御手段)とから構成されている。
【0030】
送風機11は、温度制御装置13によって制御され、冷媒である空気(熱媒体)を流通させて、電池10の正極端子101及び負極端子102を冷却する装置である。具体的には、主に、正極端子101及び負極端子102に接続された冷却器101c、102cを冷却する装置である。送風機11は、冷却器101cの右方近傍に設置されている。送風機11は、温度制御装置13によって制御され、冷却器101c、102cに対して、図1で右方から左方に向かって冷媒を吹き出すとともに、その流量を調整する。
【0031】
温度センサ12は、冷媒によって冷却されないケース103の温度を検出する素子である。具体的には、図2に示すように、蓋部103bの温度を検出する素子である。温度センサ12は、蓋部103bの左右方向中央部の表面に設置されている。また、断熱性を有する樹脂からなる有底長方形筒状のカバー120によって完全に覆われている。
【0032】
図1に示す温度制御装置13は、温度センサ12の検出結果に基づいて送風機11を介して冷媒の流通量を制御することで電池10の温度を制御する装置である。温度制御装置13の入力端子は、温度センサ12に接続されている。また、出力端子は、送風機11に接続されている。
【0033】
次に、図1及び図2を参照して温度調整装置の動作について説明する。
【0034】
図1及び図2に示す電池10は、車両に搭載された様々な電子装置(図略)に電力を供給する。また、電圧が低下した場合、発電機(図略)によって充電される。このような充放電が繰返されることで、電極体100が発熱し、温度が上昇する。 電極体100で発生した熱は、接続されている正極端子101及び負極端子102、並びに、収容しているケース103に伝達される。
【0035】
温度センサ12は、ケース103の蓋部103bの温度を検出する。温度制御装置13は、入力された温度センサ12の検出結果に基づいて送風機11を介して冷媒の流通量を制御する。
【0036】
具体的には、温度センサ12の検出結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲を超えると、温度制御装置13は、冷媒の流通を開始、又は、流通量を増加させる。冷媒は、冷却器101c、102cを右方から左方へと流れ、接続されている正極端子101及び負極端子102を冷却する。これにより、正極端子101及び負極端子102を介して電極体100が冷却されることとなり、電池10の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0037】
逆に、温度センサ12の検出結果が性能を充分に発揮できる所定の温度範囲未満になると、温度制御装置13は、冷媒の流通量を低下、又は、流通を停止させる。これにより、電極体100の冷却が抑えられ、充放電が繰返されることで電池10の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0038】
次に、図1〜図3及び測定結果を参照して効果について説明する。ここで、図3は、効果確認のための測定対象である組電池の斜視図である。
【0039】
図3に示すように、組電池Aは、図2に示す電池10と、電池10に対して温度センサ12のみ設置されていない電池10’とを、隣接させた状態で前後方向に積層して構成されている。具体的には、1つの電池10と、9つの電池10’とを積層して構成されている。電池10は、図3に前後方向として示した積層方向のほぼ中央に配置されている。前後方向両端部には、挟持部材14が配置され、連結部材15によって固定されている。電池10、10’は、冷却器により、端子間が電気的に直列接続されている。
【0040】
このように構成された組電池Aに、30秒毎に充放電を繰返すとともに、冷媒として、30℃の空気を30m3/時の流量で冷却器に流通させ、電極体の温度及び温度センサ12の検出温度を測定した。具体的には、電極体の表面に熱電対を設置して表面温度を測定した。また、比較例として、従来の測定箇所に相当する冷却器の温度も測定した。具体的には、冷却器のフィン部の最外周表面に熱電対を設置して冷却器の温度を測定した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示すように、充放電電流が10A、20A、36Aのとき、電極体の温度は、それぞれ31.8℃、36.2℃、42.6℃であった。これに対し、比較例である冷却器の温度は、それぞれ31.2℃、34.7℃、39.4℃であり、電極体の温度との誤差は、0.6℃〜3.2℃であった。一方、第1実施形態における温度センサ12の検出温度は、それぞれ31.7℃、36.0℃、42.2℃であり、電極体の温度との誤差は0.1℃〜0.4℃であった。
【0043】
第1実施形態によれば、温度センサ12は、直接冷媒が当たらない蓋部103bに設置され、ケース103の温度を検出している。正極端子101及び負極端子102と、ケース103とは、絶縁シール部材102c、103dを介して熱的に絶縁されている。そのため、正極端子101及び負極端子102が、冷却器101c、102cを介して冷媒によって冷却されても、その影響を受けることなく、表1に示すように、電極体100の温度を正確に検出することができる。従って、従来のように、検出結果に対して複雑な補正をする必要もない。これにより、温度制御装置13が、この正確な検出結果に基づいて送風機11を介して冷媒の流通量を制御することで、複雑な補正をすることなく、車両に搭載された電池10の温度を適切に調整することができる。
【0044】
また、第1実施形態によれば、温度センサ12は、カバー120によって完全に覆われている。そのため、温度センサ12に対する冷媒の流通を遮断することができる。従って、冷媒による直接的な影響を受けることなく、電極体100の温度を正確に検出することができる。
【0045】
さらに、第1実施形態によれば、正極端子101及び負極端子102には、それらよりも熱伝導性の高い冷却器101c、102cが、熱的に接続されている。そのため、冷却器101c、102cを介して正極端子101及び負極端子102を効率的に冷却することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第2実施形態の電池の温度調整装置は、第1実施形態の電池の温度調整装置に対して、充放電電流制御装置を追加するとともに、温度制御装置の動作を変更したものである。
【0047】
まず、図4を参照して温度調整装置の構成について説明する。ここで、図4は、第2実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。なお、図中における左右方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第1実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、温度制御装置と充放電電流制御装置の構成及び動作についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0048】
図4に示す温度調整装置2は、電池20の温度を調整する装置である。
【0049】
電池20は、正極端子201(端子)と、負極端子202(端子)と、ケース203(電池容器)と、冷却器201c、202c(熱伝導部材)とを備えている。正極端子201、負極端子202、ケース203及び冷却器201c、202cは、第1実施形態における正極端子101、負極端子102、ケース103及び冷却器101c、102cと同一構成である。ケース203には、温度センサ22が設置され、カバー220で覆われている。温度センサ22及びカバー220は、第1実施形態における温度センサ12及びカバー120と同一構成である。
【0050】
温度調整装置2は、送風機21(熱媒体流通手段)と、温度センサ22(第1温度検出手段)と、温度制御装置23(温度制御手段)と、充放電流制御装置24(充放電電流制御手段)とから構成されている。送風機21及び温度センサ22は、第1実施形態における送風機11及び温度センサ12と同一構成である。
【0051】
温度制御装置23は、温度センサ22の検出結果に基づいて、送風機21を介して冷媒の流通量を制御、又は、充放電電流制御装置24を介して電池20の充放電電流を制御することで電池20の温度を制御する装置である。温度制御装置23の入力端子は、温度センサ22に接続されている。また、出力端子は、送風機21及び充放電電流制御装置24にそれぞれ接続されている。
【0052】
充放電電流制御装置24は、温度制御装置23によって制御され、電池20の充放電電流を制御する装置である。充放電電流制御装置24の出力端子は、正極端子201c及び負極端子202cにそれぞれ接続されている。また、入力端子は、温度制御装置23の出力端子に接続されている。
【0053】
次に、図4を参照して温度調整装置の動作について説明する。
【0054】
温度制御装置23は、温度センサ22の検出結果に基づいて、送風機21を介して冷媒の流通量を制御、又は、充放電電流制御装置24を介して電池20の充放電電流を制御する。
【0055】
具体的には、温度センサ22の検出結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲を超えると、温度制御装置23は、冷媒の流通を開始、又は、流通量を増加させる。あるいは、電池20の充放電電流を低下させる。これにより、電極体が冷却され、又は、電極体の発熱が抑えられることとなり、電池20の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0056】
逆に、温度センサ22の検出結果が性能を充分に発揮できる所定の温度範囲未満になると、温度制御装置23は、冷媒の流通量を低下、又は、流通を停止させる。あるいは、電池20の充放電電流を増加させる。これにより、電極体の冷却が抑えられ、又は、電極体の発熱が増加することとなり、電池20の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0057】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、温度調整装置2は、温度制御装置23によって制御され、電池20の充放電電流を制御する充放電電流制御装置24を備えている。そのため、電池20の充放電電流を制御することで、電池20の温度を調整することができる。従って、送風機21が故障した場合においても、電池20の温度を調整することができる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第3実施形態の電池の温度調整装置は、第1実施形態の電池の温度調整装置に対して、温度センサの設置位置を変更するとともに、カバーを絶縁シール部材に形成したものである。
【0059】
まず、図5を参照して電池の構成について説明する。ここで、図5は、第3実施形態における電池の斜視図である。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第1実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、温度センサとカバーの構成についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、電池30は、正極端子301(端子)と、負極端子302(端子)と、ケース303(電池容器)とを備えている。正極端子301、負極端子302及びケース303は、第1実施形態における正極端子101、負極端子102及びケース103と同一構成である。
【0061】
ケース300の蓋部303bには、電気的及び熱的絶縁性を有する絶縁シール部材303c、303d(絶縁部材)を介して正極端子301及び負極端子302が固定されている。温度センサ32(第1温度検出手段)は、負極端子302の近傍に設置されている。また、絶縁シール部材303dに一体的に形成されたカバー320によって覆われている。具体的には、絶縁シール部材303dの側面に形成された凹部303e内に収容されている。
【0062】
次に、効果について説明する。第3実施形態によれば、カバー320が形成される絶縁シール部材303dは、熱的絶縁性を有している。そのため、温度センサ32への冷媒による熱的影響を確実に抑えることができる。また、カバー320が絶縁シール部材303dに形成されるため、部品点数を削減することができる。さらに、それに伴って組付け性を向上させることができる。
【0063】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第4実施形態の電池の温度調整装置は、第1実施形態の電池の温度調整装置に対して、流路区画部材を追加するとともに、これをカバーと一体的に形成したものである。
【0064】
まず、図6〜図8を参照して電池の構成について説明する。ここで、図6は、第4実施形態における電池の斜視である。図7は、電池の上面図である。図8は、電池の側面図である。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第1実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、流路区画部材とカバーの構成についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0065】
図6〜図8に示すように、電池40は、正極端子401(端子)と、負極端子402(端子)と、ケース403(電池容器)と、冷却器401c、402c(熱伝導部材)と、を備えている。正極端子401、負極端子402、ケース403及び冷却器401c、402cは、第1実施形態における正極端子101、負極端子102、ケース103及び冷却器101c、102cと同一構成である。
【0066】
外部に突出した正極端子401及び負極端子402の端部には、流路区画部材404が
固定されている。流路区画部材404は、冷媒の流路を区画するための樹脂からなる部材である。流通区画部材404は、長方形板状の底部404aと、底部404aの縁部に立設され、長手方向に延在する長方形板状の側部404bとから構成されている。流通区画部材404は、底部404aと側部404bとによって冷却器401c、402cの下方、前方及び後方を一体的に覆うように配置され、正極端子401及び負極端子402に固定されている。冷媒は、流路区画部材404内を右方から左方に向かって流通することとなる。
【0067】
ケース403の蓋部403bには、温度センサ42(第1温度検出手段)が設置され、
樹脂からなる有底長方形筒状のカバー420によって完全に覆われている。カバー420は、流路区画部材404と一体的に形成されている。
【0068】
次に、効果について説明する。第4実施形態によれば、電池40は、正極端子401及び負極端子402の端部に、冷却器401c、402cを覆うように配置される流路区画部材404を備えている。そのため、冷却器401c、402cに冷媒を確実に流通させることができる。これにより、正極端子401及び負極端子402を介して電池40を確実に冷却することができる。
【0069】
また、第4実施形態によれば、流路区画部材404とカバー420とが一体的に形成されている。そのため、部品点数を削減することができる。また、それに伴って組付け性を向上させることができる。
【0070】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第5実施形態の電池の温度調整装置は、第4実施形態の電池の温度調整装置に対して、冷却器が流路区画部材に固定された状態で正極端子及び負極端子に接続されるものである。
【0071】
まず、図9〜図11を参照して電池の構成について説明する。ここで、図9は、第5実施形態における電池の上面図である。図10は、正極端子に接続された冷却器周辺の上面図である。図11は、正極端子に接続された冷却器周辺の側面図である。
なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第4実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、冷却器と流路区画部材についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0072】
図9に示すように、電池50は、ケース503(電池容器)を備えている。ケース503は、第4実施形態におけるケース403と同一構成である。ケース503には、温度センサ52(第1温度検出手段)が設置され、カバー520で覆われている。温度センサ52及びカバー520は、第4実施形態における温度センサ42及びカバー420と同一構成である。
【0073】
電池50は、冷却器501c、502c(熱伝導部材)と、流路区画部材504とを備えている。
【0074】
図10及び図11に示すように、正極端子501に接続される冷却器501cは、本体部501dと、本体部501dの縁部以外の表面に立設され、長手方向に延在する長方形板状の複数のフィン部501eとから構成されている。
【0075】
流通区画部材504は、長方形板状の底部504aと、底部504aの縁部に立設され、長手方向に延在する長方形板状の側部504bとから構成されている。側部504bの内側表面には、冷却器501cを固定するための爪部504cが形成されている。冷却器501cは、底部504aと側部504bとによって囲まれた流路区画部材504の内側の空間に収容される。そして、本体部501dの縁部を爪部504cに係合させ、流路区画部材504に固定される。図9に示す冷却器502cも同様にして流路区画部材504に固定される。
【0076】
図9〜図11に示すように、冷却器501c、502cは、流路区画部材504に固定された状態で、一体的に正極端子501及び負極端子に接続されている。
【0077】
次に、効果について説明する。第5実施形態によれば、冷却器501c、502cは、流路区画部材504に固定された状態で、一体的に正極端子501及び負極端子に接続される。そのため、組付け性を向上させることができる。
【0078】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第6実施形態の電池の温度調整装置は、第1実施形態の電池の温度調整装置に対して、正極端子に温度センサを追加するとともに、温度制御装置の動作を変更したものである。
【0079】
まず、図12及び図13を参照して電池の温度調整装置の構成について説明する。ここで、図12は、第6実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。図13は、電池の斜視図である。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第1実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、追加された温度センサと温度制御装置についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0080】
図12に示す温度調整装置6は、電池60の温度を調整する装置である。
【0081】
図13に示すように、電池60は、正極端子601(端子)と、負極端子602(端子)と、ケース603(電池容器)と、冷却器601c、602c(熱伝導部材)とを備えている。正極端子601、負極端子602、ケース603及び冷却器601c、602cは、第1実施形態における正極端子101、負極端子102、ケース103及び冷却器101c、102cと同一構成である。 ケース603の蓋部603bには、温度センサ62(第1温度検出手段)が設置され、カバー620で覆われている。温度センサ62及びカバー620は、第1実施形態における温度センサ12及びカバー120と同一構成である。
【0082】
図12に示すように、温度調整装置6は、送風機61(熱媒体流通手段)と、温度センサ62(第1温度検出手段)、66(第2温度検出手段)と、温度制御装置63(温度制御手段)とから構成されている。送風機61及び温度センサ62は、第1実施形態における送風機11及び温度センサ12と同一構成である。
【0083】
図12及び図13に示すように、温度センサ66は、冷媒によって冷却される正極端子601の温度を検出する素子である。温度センサ66は、外部に突出した正極端子601の表面に設置されている。
【0084】
図12に示す温度制御装置63は、温度センサ62、66の検出結果に基づいて送風機61を介して冷媒の流通量を制御することで電池60の温度を制御する装置である。温度制御装置63の入力端子は、温度センサ62、66にそれぞれ接続されている。また、出力端子は、送風機61に接続されている。
【0085】
次に、図12及び図13を参照して温度制御装置の動作について説明する。
【0086】
図12及び図13に示すように、温度センサ62は、ケース603の蓋部603bの温度を検出する。また、温度センサ66は、正極端子601の温度を検出する。温度制御装置63は、温度センサ62、66の検出結果からケース603と正極端子601の温度差を算出する。そして、温度センサ62の検出結果をこの温度差に基づいて補正する。さらに、この補正結果に基づいて送風機61を介して冷媒の流通量を制御する。
【0087】
具体的には、補正結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲を超えると、温度制御装置63は、冷媒の流通を開始、又は、流通量を増加させる。逆に、補正結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲未満になると、温度制御装置13は、冷媒の流通量を低下、又は、流通を停止させる。これにより、電池60の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0088】
次に、効果について説明する。第6実施形態によれば、温度センサ62の検出結果だけでなく、温度センサ66の検出結果をも考慮することができる。つまり、冷媒によって冷却されないケース603の温度だけでなく、冷媒によって冷却される正極端子601の温度をも考慮することができる。そのため、第1温度検出手段の検出結果のみに基づいて補正する場合に比べ、簡素な補正でより正確な温度を求めることができる。従って、従来のように、1つの検出結果に基づいて補正する場合に比べ、簡素な補正でより正確な温度を求めることができる。従って、電池60の温度をより緻密に調整することができる。
【0089】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第7実施形態の電池の温度調整装置は、第6実施形態の電池の温度調整装置に対して、充放電電流制御装置を追加するとともに、温度制御装置の動作を変更したものである。
【0090】
まず、図14を参照して温度調整装置の構成について説明する。ここで、図14は、第7実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。なお、図中における左右方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第6実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、温度制御装置と充放電電流制御装置についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0091】
図14に示す温度調整装置7は、電池70の温度を調整する装置である。電池70は、正極端子701(端子)と、負極端子702(端子)と、ケース703(電池容器)と、冷却器701c、702c(熱伝導部材)とを備えている。正極端子701、負極端子702、ケース703及び冷却器701c、702cは、第6実施形態における正極端子601、負極端子602、ケース603及び冷却器601c、602cと同一構成である。ケース703には、温度センサ72が設置され、カバー720で覆われている。温度センサ72及びカバー720は、第6実施形態における温度センサ62及びカバー620と同一構成である。
【0092】
温度調整装置7は、送風機71(熱媒体流通手段)と、温度センサ72(第1温度検出手段)、76(第2温度検出手段)と、温度制御装置73(温度制御手段)と、充放電流制御装置74(充放電電流制御手段)とから構成されている。送風機71及び温度センサ72、76は、第6実施形態における送風機61及び温度センサ62、66と同一構成である。
【0093】
温度制御装置73は、温度センサ72、76の検出結果に基づいて、送風機71を介して冷媒の流通量を制御、又は、充放電電流制御装置74を介して電池70の充放電電流を制御することで電池70の温度を制御する装置である。温度制御装置73の入力端子は、温度センサ72に接続されている。また、出力端子は、送風機71及び充放電電流制御装置74にそれぞれ接続されている。
【0094】
充放電電流制御装置74は、温度制御装置73によって制御され、電池70の充放電電流を制御する装置である。充放電電流制御装置74の出力端子は、正極端子701c及び負極端子702cにそれぞれ接続されている。また、入力端子は、温度制御装置73の出力端子に接続されている。
【0095】
次に、図14を参照して温度調整装置の動作について説明する。
【0096】
温度制御装置73は、温度センサ72、76の検出結果からケース703と正極端子701の温度差を算出する。そして、温度センサ72の検出結果を、この温度差に基づいて補正する。さらに、この補正結果に基づいて送風機71を介して冷媒の流通量を制御、又は、充放電電流制御装置74を介して電池70の充放電電流を制御する。
【0097】
具体的には、補正結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲を超えると、温度制御装置73は、冷媒の流通を開始、又は、流通量を増加させる。あるいは、電池70の充放電電流を低下させる。逆に、補正結果が、性能を充分に発揮できる所定の温度範囲未満になると、温度制御装置73は、冷媒の流通量を低下、又は、流通を停止させる。あるいは、電池70の充放電電流を増加させる。これにより、電池70の温度を所定の温度範囲に調整することができる。
【0098】
次に、効果について説明する。第7実施形態によれば、温度調整装置7は、温度制御装置73によって制御され、電池70の充放電電流を制御する充放電電流制御装置74を備えている。そのため、電池70の充放電電流を制御することで、電池70の温度を調整することができる。従って、送風機71が故障した場合においても、電池70の温度を調整することができる。
【0099】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態の電池の温度調整装置について説明する。第8実施形態の電池の温度調整装置は、第1実施形態が正極端子と負極端子とを冷却して電池の温度を調整するのに対して、ケースを冷却して電池の温度を調整するものである。
【0100】
まず、図15〜図17を参照して温度調整装置の構成について説明する。図15は、第8実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。図16は、電池の斜視図である。図17は、電池の側面図である。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、電池を説明するために便宜的に導入したものである。ここでは、第1実施形態の電池の温度調整装置との相違部分である、冷却器、送風機、温度センサ及び温度制御装置についてのみ説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0101】
図15に示す温度調整装置8は、電池80の温度を調整する装置である。
【0102】
図16及び図17に示すように、電池80は、正極端子801(端子)と、負極端子802(端子)と、ケース803(電池容器)とを備えている。正極端子801、負極端子802及びケース803は、第1実施形態における正極端子101、負極端子102及びケース103と同一構成である。
【0103】
ケース803の本体部803aの前方表面及び後方表面には、冷却器803e(熱伝導部材、流路区画部材)が熱的に接続されている。冷却器803eは、冷媒の流路を区画するとともに、冷媒が流通することで、電極体で発生した熱をケース803を介して効率的に放熱するためのアルミニウムからなる部材である。冷却器803eは、ケース803より熱伝導性が高くなるよう冷媒と接する表面積が広く設定されている。冷却器803eは、所定の厚さを有する長方形板状の本体部803fと、本体部の長手方向に形成される複数の貫通孔部803gとから構成されている。冷却器803eは、貫通孔部803gの開口を電池80の右方及び左方に向けた状態で、ケース803の前方表面及び後方表面に熱的に接続されている。
【0104】
図15に示すように、温度調整装置8は、送風機81(熱媒体流通手段)と、温度センサ82(第1温度検出手段)と、温度制御装置83(温度制御手段)とから構成されている。
【0105】
送風機81は、温度制御装置83によって制御され、冷媒である空気を流通させて、電池80のケース803を冷却する装置である。具体的には、ケース803に接続された冷却器803eの貫通孔部803gに冷媒を流通させて、主に、冷却器803eを冷却する装置である。送風機81は、冷却器803eの右方近傍に設置されている。送風機81は、温度制御装置83によって制御され、冷却器803eの貫通孔部803gに対して、右方から左方に向かって冷媒を吹き出すとともに、その流量を調整する。
【0106】
温度センサ82は、冷媒によって冷却されない正極端子801の温度を検出する素子である。温度センサ82は、外部に突出した正極端子801の端部の表面に設置されている。
【0107】
温度制御装置83は、温度センサ82の検出結果に基づいて送風機81を介して冷媒の流通量を制御することで電池80の温度を制御する装置である。温度制御装置83の入力端子は、温度センサ82に接続されている。また、出力端子は、送風機81に接続されている。
【0108】
温度調整装置8の動作については、冷却対象がケース803であり、温度検出対象が正極端子801であること以外、第1実施形態と同一である。そのため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
なお、第1〜第7実施形態では、正極端子及び負極端子を冷却する構成において、冷却されないケースの温度を検出し、その検出結果に基づいて電池の温度を調整する例を挙げているが、これに限られるものではない。第8実施形態に示したように、ケースを冷却する構成において、冷却されない正極端子又は負極端子の温度を検出し、その検出結果に基づいて電池の温度を調整するようにしてもよい。この場合においても、第1〜第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
また、第1〜第8実施形態では、電池を冷却している例を挙げているが、これに限られるものではない。電池を加熱して温度を調整するようにしてもよい。
【0111】
さらに、第1〜第8実施形態では、リチウムイオン電池の温度を調整する例を挙げているが、これに限られるものではない。温度を調整する対象は、他の2次電池であってもよい。また、キャパシタであってもよい。電極体を有し充放電を行うものであれば、同様に適用することできる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。
【図2】電池の内部構造を示す斜視図である。
【図3】効果確認のための測定対象である組電池の斜視図である。
【図4】第2実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。
【図5】第3実施形態における電池の斜視図である。
【図6】第4実施形態における電池の斜視図である。
【図7】電池の上面図である。
【図8】電池の側面図である。
【図9】第5実施形態における電池の上面図である。
【図10】正極端子に接続された冷却器周辺の拡大上面図である。
【図11】正極端子に接続された冷却器周辺の拡大側面図である。
【図12】第6実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。
【図13】電池の斜視図である。
【図14】第7実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。
【図15】第8実施形態における電池の温度調整装置の構成図である。
【図16】電池の斜視図である。
【図17】電池の側面図である。
【符号の説明】
【0113】
1、2、6、7、8・・・温度調整装置(電池の温度調整装置)、10、20、30、40、50、60、70、80・・・電池、100・・・電極体、100a・・・正極板、
100b・・・負極板、100c、100d・・・辺縁部、100e、100f・・・突出端部、101、201、301、401、501、601、701、801・・・正極端子(端子)、101a・・・端子部、101b・・・接続部、101c、201c、401c、501c、601c、701c・・・冷却器(熱伝導部材)、101d、501d・・・本体部、101e、501e・・・フィン部、102、202、302、402、602、702、802・・・負極端子(端子)、102a・・・端子部、102b・・・接続部、102c、202c、402c、502c、602c、702c・・・冷却器(熱伝導部材)、102d・・・本体部、102e・・・フィン部、103、203、303、403、503、603、703、803・・・ケース(電池容器)、103a、803a・・・本体部、103b、303b、403b、603b・・・蓋部、103c、103d、303c、303d・・・絶縁シール部材(絶縁部材)、11、21、61、71、81・・・送風機(熱媒体流通手段)、12、22、32、42、52、62、72、82・・・温度センサ(第1温度検出手段)、120、220、320、420、520、620、720・・・カバー、13、23、63、73、83・・・温度制御装置(温度制御手段)、14・・・挟持部材、15・・・連結部材、24、74・・・充放電電流制御装置(充放電電流制御手段)、303e・・・凹部、404、504・・・流路区画部材、404a、504a・・・底部、404b、504b・・・側部、504c・・・爪部、66、76・・・温度センサ(第2温度検出手段)、803e・・・冷却器(熱伝導部材、流路区画部材)、803f・・・本体部、803g・・・貫通孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体に電気的に接続される端子と、
前記端子の接続された前記電極体を収容するとともに、前記端子の端部を外部に突出させた状態で、電気的及び熱的に絶縁して前記端子を支持する電池容器と、
を備えた電池の温度調整装置において、
前記端子と前記電池容器の一方を冷却又は加熱する熱媒体を流通させる熱媒体流通手段と、
前記端子と前記電池容器の他方の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記第1温度検出手段の検出結果に基づいて前記熱媒体流通手段を介して前記熱媒体の流通量を制御する温度制御手段と、
を有することを特徴とする電池の温度調整装置。
【請求項2】
前記端子に電気的に接続され、前記電池の充放電電流を制御する充放電電流制御手段を有し、
前記温度制御手段は、前記充放電電流制御手段を介して前記電池の充放電電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の電池の温度調整装置。
【請求項3】
前記端子と前記電池容器の前記一方の温度を検出する第2温度検出手段を有し、
前記温度制御手段は、前記第1温度検出手段及び前記第2温度検出手段の検出結果に基づいて前記熱媒体の流通量を制御することを特徴とする請求項1に記載の電池の温度調整装置。
【請求項4】
前記端子に電気的に接続され、前記電池の充放電電流を制御する充放電電流制御手段を有し、
前記温度制御手段は、前記充放電電流制御手段を介して前記電池の充放電電流を制御することを特徴とする請求項3に記載の電池の温度調整装置。
【請求項5】
前記第1温度検出手段は、カバーで覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池の温度調整装置。
【請求項6】
前記端子と前記電池容器とを電気的及び熱的に絶縁する絶縁部材を有し、
前記カバーは、前記絶縁部材に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電池の温度調整装置。
【請求項7】
前記熱媒体の流路を区画する流路区画部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電池の温度調整装置。
【請求項8】
前記カバーと一体的に形成され、前記熱媒体の流路を区画する前記流路区画部材を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の電池の温度調整装置。
【請求項9】
前記端子と前記電池容器の前記一方に熱的に接続される、前記一方より熱伝導性の高い熱伝導部材を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電池の温度調整装置。
【請求項10】
前記流路区画部材に固定された状態で、前記端子と前記電池容器の前記一方に熱的に接続される、前記一方より熱伝導性の高い熱伝導部材を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の電池の温度調整装置。
【請求項11】
前記電池は、車両に搭載されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電池の温度調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−181853(P2009−181853A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20846(P2008−20846)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】