説明

電源供給方法、電源回路、表示装置および携帯機器

【課題】 消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させる。
【解決手段】 電源回路100は、チャージポンプ回路110を備え、ゲートドライバに電源電圧を供給する。タイミングコントローラ200は、NAND回路102、チャージポンプ回路110のシャットダウン端子、ならびに容量122、抵抗124、NOT回路126、およびトランジスタ128を含むゲートシェーディング回路120に、所定のタイミング信号を供給する。このタイミング信号がハイのとき、チャージポンプ回路110は通常動作をし、ゲートシェーディング回路120は作動しない。このタイミング信号がローのとき、チャージポンプ回路110は動作を停止し、ゲートシェーディング回路120は作動し、チャージポンプ回路110の出力から電荷を引き抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査線とデータ線がマトリクス状に配された液晶パネルなどの走査線駆動回路に電源供給する電源供給方法、電源回路、表示装置および携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクティブマトリクス型のTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルなどが普及してきており、そのパネルも年々、大型化されてきている。パネルが大型になると、走査線の寄生インピーダンスが大きくなり、パネルの両端において、例えばパルス状の走査線信号にタイミング遅れが生じる。このようなタイミング遅れは、パネルがちらつく原因となる。
【0003】
特許文献1は、画素電極のスイッチング用トランジスタのゲート電極に印加するゲートパルス信号に対して、外部より電源電圧の制御を可能としたバッファ回路を具備する。そして、映像信号を当該画素電極に書き込む間のオン期間中に、当該バッファ回路に印加する電源電圧を正弦波状に制御する。これにより、スイッチング用トランジスタのゲート電極に印加するゲートパルス波形の立ち上がりおよび立ち下がり形状を滑らかに変えるように制御するとしている。
【特許文献1】特開2000−221474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、その図1に開示されているように、垂直走査ドライバに供給される電源を生成している回路と、上記バッファ回路を別々に構成している。したがって、当該バッファ回路に供給する電源が別個に必要であり、このような制御を行うために消費電流が増大する。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させることが可能な電源供給方法、電源回路、表示装置および携帯機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電源供給方法は、表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路に、電源電圧を供給する電源供給方法であって、スイッチング素子のオン期間に対応して、電源電圧の波形をなまらせる。この態様によると、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させることができる。
【0007】
本発明の別の態様は、電源回路である。この電源回路は、表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路に、電源電圧を供給する電源回路であって、所定の電源電圧を生成する電圧生成回路と、スイッチング素子のオン期間に対応して、前記電源電圧の波形をなまらせるよう、前記電圧生成回路の出力から所定の電荷を引き抜く回路と、を備える。「電圧生成回路」は、チャージポンプ回路であってもよい。電源回路はひとつの半導体基板上に一体集積化されてもよい。この態様によると、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させることができる。
【0008】
電圧生成回路は、電荷を引き抜いている期間に対応して、電源電圧の生成を停止してもよい。この態様によれば、電荷を引き抜いている期間、電圧生成回路の消費電流を抑えることができる。電圧生成回路の動作タイミングおよび電荷を引き抜く回路の動作タイミングは、同一のタイミングコントローラにより生成されたタイミング信号により制御されてもよい。この態様によれば、電荷を引き抜いている期間、電圧生成回路の消費電流を抑えることができ、回路構成も簡素化することができる。
【0009】
電荷を引き抜く期間を調整する回路をさらに備えてもよい。この態様によれば、外部から与えられるタイミング信号に制限されずに、出力波形を整形することができる。走査線駆動回路を制御するタイミングコントローラにより生成されたタイミング信号を遅延させる遅延回路をさらに備えてもよい。電圧生成回路の動作タイミングおよび前記電荷を引き抜く回路の動作タイミングは、遅延回路により遅延されたタイミング信号により制御されてもよい。この態様によれば、タイミングコントローラから与えられるタイミング信号に制限されずに、出力波形を整形することができる。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、表示装置である。この装置は、表示パネルと、前記表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路と、上述した態様の電源回路と、を備える。
【0011】
この態様によると、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させた表示装置を実現することができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、表示装置である。この装置は、表示パネルと、表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路と、上述した態様の電源回路と、を備え、電源回路は、搭載される直流電源から電源供給される。「搭載される直流電源」は電池であってもよい。
【0013】
この態様によると、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させた携帯機器を実現することができる。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減させるることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態における電源回路100の詳細を説明する前に、それが適用される表示装置500の本発明に関連する部分を説明する。図1は、実施形態における電源回路100が適用される表示装置500の概略図である。電源回路100およびタイミングコントローラ200の詳細は後述する。
【0017】
表示パネル400には、液晶パネルや有機ELパネルなどを使用することができる。表示パネル400内には複数の画素が設けられ、表示パネル400内の画素群がマトリクス状に配された走査線410とデータ線420により制御される。図1には、表示パネル400内の画素群のうちの一画素を制御する画素回路を示している。
【0018】
この画素回路は、2個のnチャネルトランジスタである第1トランジスタ430、第2トランジスタ434と、有機EL素子などの光学素子436と、第1容量432と、走査線410、電源Vddと、輝度データを入力するデータ線420を備える。勿論、光学素子436は、液晶セルであってもよい。
【0019】
この画素回路の動作は、光学素子436の輝度データの書込のために、走査線410がハイになり、第1トランジスタ430がオンとなり、データ線420に入力された輝度データが第2トランジスタ434および第1容量432に設定される。発光のタイミングとなり、走査線410がローとなることで第1トランジスタ430がオフとなり、第2トランジスタ434のゲート電圧は維持され、設定された輝度データで発光する。なお、図1では、アクティブマトリクス駆動を説明したが、パッシブマトリクス駆動の表示パネルでもよい。
【0020】
このように、各画素は、第1トランジスタ430のゲートのオンオフ制御により発光制御される。ゲートドライバ300は、第1トランジスタ430のゲートのオンオフ制御をするためのパルス状の制御信号を、走査線410に印加する。すなわち、走査線を駆動する走査線駆動回路として機能する。
【0021】
(実施形態1)
図2は、実施形態1に係る電源回路100の構成を示す図である。電源回路100は、チャージポンプ回路110を備える。チャージポンプ回路110は、図示しない電源電圧を昇圧して、一定レベルの電圧を出力する回路である。本実施形態では、例えば30V程度の定電圧を出力する。チャージポンプ回路110は、その内部に図示しない複数の容量と、それらの容量への充電をオンオフするためのスイッチを備える。一般に、チャージポンプ回路は、各容量の充放電タイミングを制御することにより、入力電圧を昇圧することができる。このスイッチのオンオフタイミングは、後述するタイミング信号により制御される。
【0022】
第2容量122、抵抗124、および第3トランジスタ128は、チャージポンプ回路110の出力から所定のタイミングで電荷を引き抜くための回路(以下、ゲートシェーディング回路120という。)を構成する。第2容量122は、チャージポンプ回路110の出力を充電する。NOT回路126は、後述するタイミング信号の論理を反転する。第3トランジスタ128は、nチャネルトランジスタであり、NOT回路126の出力がハイのときオンし、ローのときオフとなる。なお、第3トランジスタ128は、スイッチング作用を持つ素子であればなんでもよい。抵抗124は、第3トランジスタ128がオンした際に、第2容量122に充電された電荷をグラウンドに引き抜くためにある。
【0023】
チャージポンプ回路110の前段にはNAND回路102が接続される。NAND回路102の一方の入力端子には、所定のクロック信号CLKが常時入力される。このクロック信号CLKは、チャージポンプ回路110内で、上記電源電圧を昇圧するためのタイミングを供給するものである。NAND回路102の他方の入力端子には、タイミングコントローラ200からタイミング信号が入力される。
【0024】
図3は、実施形態1におけるタイミングコントローラ200の供給するタイミング信号の波形、および電源回路100の出力波形を示す図である。タイミングコントローラ200は、図3(a)に示すようなパルスを生成し、NAND回路102、チャージポンプ回路110のシャットダウン端子、およびゲートシェーディング回路120に入力する。結果、図3(b)の様に波形が変化されて、電源回路100から電圧が出力される。
【0025】
例えば、1秒間に60フレームを表示し、走査線が760本の表示パネル400を想定すると、一本の走査線410の割当時間を20μs程度に設定することができる。その場合、電源回路100の出力波形になまりを生成するための期間として、5μs程度のロー期間を設定する。これらの期間は一例であり、表示パネル400の仕様などにより適宜、設定変更される値である。
【0026】
NAND回路102は、上記タイミング信号がハイのとき、上記クロック信号CLKの論理を反転した信号を出力する。この場合、チャージポンプ回路110は、この反転したクロック信号CLKを利用して、上記電源電圧を昇圧する。一方、NAND回路102は、上記タイミング信号がローのとき、上記クロック信号CLKに関わらず、常時ハイを出力する。この場合、チャージポンプ回路110は、タイミングが供給されないので昇圧することができない。
【0027】
チャージポンプ回路110の構成を、自己の出力電圧を利用して内部の最終段の容量のスイッチを制御可能な構成にし、オペアンプを用いた積分回路を介して、その積分回路の出力電圧をスイッチング制御に利用する場合、そのオペアンプの電源にシャットダウン端子を接続することができる。この構成では、上記タイミング信号がハイのときは、そのオペアンプに電源供給されて通常通り動作する。一方、上記タイミング信号がローのときは、そのオペアンプに電源供給されなくなり、上記スイッチがオフとなり、最終段の容量が充電できなくなる。これにより、チャージポンプ回路110は動作を停止し、第2容量122に充電しなくなる。
【0028】
ゲートシェーディング回路120は、上記タイミング信号がハイのとき、その第3トランジスタ128がオフし、機能しない。一方、上記タイミング信号がローのとき、その第3トランジスタ128がオンし、チャージポンプ回路110の出力から電荷を引き抜くことができる。
【0029】
電源回路100の出力波形は、ゲートドライバ300や表示パネル400の仕様などにより調整する。この調整は、引き抜く電荷量により行うことができ、第2容量122の容量値、抵抗124の抵抗値、および第3トランジスタ128のサイズのいずれか、またはその組み合わせを調整することにより、引き抜く電荷量を設定することができる。
【0030】
以上の説明をまとめると、電源回路100の出力には、上記タイミング信号がハイのとき、チャージポンプ回路110の出力がそのまま出現し、上記タイミング信号がローのとき、チャージポンプ回路110の出力が引き抜かれて、なまった波形が出現することになる。例えば、図3(a)のタイミング信号に対して、電源回路100の出力は、図3(b)のような出力波形となる。図3(b)のハイとローの電位差ΔVは、第2容量122の容量値と、抵抗124の抵抗値によって任意に作り出すことができる。
【0031】
このような電源回路100の出力は、図1に示したゲートドライバ300の電源電圧となる。図4は、ゲートドライバ300の出力波形を示す図である。ゲートドライバ300は、当該電源電圧と上記タイミング信号を基に、第1トランジスタ430を駆動するための制御信号を生成する。図4(a)は、本実施形態における制御信号の波形を示す。電源電圧がなまっているため、その制御信号のハイからローへの立ち下がりエッジもなまる。
【0032】
これに対し、図4(b)は、なまりのない通常の電源電圧と上記タイミング信号を基に生成した制御信号である。図4(b)の左の波形はゲートドライバに近い点の信号を表し、右の波形はゲートドライバから遠い点の信号を表す。図1の表示パネル400では、立ち下がりエッジのタイミングで、走査線を切り替えている。よって、図4(b)のように、ゲートドライバから遠い点の信号のほうの立ち下がりエッジがなまり、近いほうの立ち下がりエッジがなまらないと、ゲートドライバからの距離によって、第1トランジスタ430の駆動タイミングにずれが生じてしまう。この点、図4(a)のように、予めなまった電源電圧を基に当該制御信号を生成することにより、ゲートドライバからの距離に関係なく、立ち下げりエッジのタイミングを均一化することができる。
【0033】
以上説明したように実施形態1によれば、走査線に印加する制御信号のハイ期間がなまるよう、電源回路の出力をなまらしてゲートドライバに供給したことにより、同一走査線上における画素選択のタイミングずれを低減し、表示パネルのちらつきを低減することができる。
【0034】
また、当該電源電圧をなまらしている期間に、電源回路を構成するチャージポンプ回路などの定電圧生成回路の動作を停止することにより、消費電流を抑制することができる。上述した図3の例では、20μsの1周期に対して5μs、チャージポンプ回路の動作を停止することにより、停止しない場合の3/4の消費電流に抑えることができる。
【0035】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る電源回路100の構成を示す図である。実施形態2は、実施形態1に係る電源回路100に遅延回路130が付加された構成である。実施形態1と同じ構成については同符号を付し、実施形態1とは異なる構成と動作を説明する。
【0036】
遅延回路130は、ラッチ回路132、定電流源134、第4トランジスタ136、第3容量138、コンパレータ140、第2NOT回路142、第3NOT回路144、およびAND回路146を備える。
【0037】
ラッチ回路132は、ゲートドライバ300から供給されるタイミング信号がセット端子に入力され、AND回路146の出力がリセット端子に入力される。まず、上記タイミング信号がハイのとき、ハイを出力する。すると、第2NOT回路142の出力がローとなり、AND回路146の一方の端子にローが入力されることになる。これにより、AND回路146の出力がローになり、NAND回路102、チャージポンプ回路110のシャットダウン端子、第3トランジスタのゲート、およびラッチ回路132にローが入力されることになる。したがって、チャージポンプ回路110は通常動作を維持し、ゲートシェーディング回路120も電荷を引き抜かない。
【0038】
次に、ラッチ回路132は、上記タイミング信号がローに遷移すると、ローを出力する。すると、第2NOT回路142の出力がハイとなり、AND回路146の一方の端子にハイが入力されることになる。よって、もう一方の端子への入力によって出力が決まることになる。
【0039】
ラッチ回路132のロー出力は、第4トランジスタ136のベースをオフすることになる。すると、定電流源134の出力が第4トランジスタ136を導通せずに、そのコレクタに出力が表れるようになり、第3容量138に電圧が充電される。この第3容量138の両端電圧Vcは、コンパレータ140の反転入力端子に入力される。
【0040】
コンパレータ140の非反転入力端子には、所定の基準電圧Vrが入力される。この基準電圧値、定電流源134の電流値I、および第3容量138の容量値Cにより後述する遅延期間Δtを設定することができる。すなわち、Δt=Vr・C/Iとなる。
【0041】
コンパレータ140は、第3容量138の両端電圧Vcが所定の基準電圧Vrを超えたときにハイを出力し、それ以下のときにローを出力する。第4トランジスタ136がオフになってから、上記遅延期間Δt、コンパレータ140はローを出力する。そのとき、第3NOT回路の出力がハイとなり、AND回路146の全入力端子がハイとなるため、AND回路146は、NAND回路102、チャージポンプ回路110のシャットダウン端子、第3トランジスタのゲート、およびラッチ回路132にハイを出力する。
【0042】
これにより、チャージポンプ回路110は動作を停止し、ゲートシェーディング回路120はチャージポンプ回路110の出力から電荷を引き抜く。本実施形態のラッチ回路132は、リセット端子がハイのとき、セット端子の入力を保持する。この場合、上記タイミング信号がハイに遷移してもローを保持する。
【0043】
第4トランジスタ136がオフになってから、上記遅延期間Δtが経過すると、コンパレータ140がハイに遷移する。すると、第3NOT回路の出力がローとなり、AND回路146の一方の入力端子がローとなるため、AND回路146は、NAND回路102、チャージポンプ回路110のシャットダウン端子、第3トランジスタのゲート、およびラッチ回路132にローを出力する。したがって、チャージポンプ回路110は通常動作に復帰し、ゲートシェーディング回路120も電荷を引き抜かなくなる。また、ラッチ回路132は、リセット端子がローのとき、セット端子の値をリセットする。したがって、この段階でセット端子にハイが入力されていれば、ハイを出力する。
【0044】
図6は、実施形態2におけるタイミングコントローラ200の供給するタイミング信号の波形、第3容量138の両端電圧Vcの波形および電源回路100の出力波形を示す図である。図6(a)は、図3(a)と同様に、タイミングコントローラ200により生成されるパルス信号を示す。図6(b)は、第3容量138の両端電圧が積分されながら、コンパレータ140の基準電圧Vrまで立ち上がる。この基準電圧Vrまでの期間が上記遅延期間Δtである。図6(c)は、実施形態2における電源回路100の出力波形を示す。図3(b)に示した実施形態1の出力波形と比較すると分かるように、上記タイミング信号のパルス幅に制限されずに、波形をなまらせる期間を設定することができる。すなわち、上記遅延期間Δtに対応したなまりを生成することができるため、上記した基準電圧Vrの基準電圧値、定電流源134の電流値I、および第3容量138の容量値Cなどのパラメータを調整することにより、任意の波形を生成することができる。
【0045】
以上説明したように実施形態2によれば、タイミングコントローラから供給されるタイミングに制限されずに、電源回路の出力波形をなまらせることができる。よって、当該タイミング信号がゲートドライバなど、他の回路で利用する場合、その回路に影響を与えずに上記出力波形を調整することができ、設計が容易になる。
【0046】
(実施形態3)
図7は、実施形態3に係る携帯機器600の構成を示すブロック図である。この携帯機器600は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistance)、デジタルカメラ、音楽再生機器など、表示部を搭載する携帯機器が該当する。携帯機器600は、所定の画像を表示する表示パネル400、その走査線を制御するゲートドライバ300、それに電源を供給する実施形態1、2に説明した電源回路100、その電源回路100に電源を供給する直流電源610を備える。直流電源610は、例えば、リチウムイオン電池や充電式のバッテリなどが該当する。
【0047】
以上説明したように実施形態3によれば、実施形態1、2の電源回路100を搭載することにより、消費電流を抑えながら、表示パネルのちらつきを低減することができる携帯機器を実現することができる。したがって、携帯機器の駆動時間の延長と、表示部に表示される画質の向上を両立することができる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
実施形態では、安定化した電源電圧を生成するためにチャージポンプ回路を利用する例を説明した。この点、スイッチングレギュレータや一般のレギュレータを用いてもよい。この場合、ある程度高い電源電圧をそれらに入力する必要がある。
【0050】
また、実施形態では、抵抗により電荷を引き抜いたが、定電流源で引き抜いてもよい。
【0051】
また、実施形態では、立ち下がりエッジをなまらせる例を説明したが、走査線に印加する信号の立ち上がりエッジをなまらせることも可能である。また、両方のエッジをなまらせることも可能である。そのような電源電圧の波形は、一般の波形整形技術により、容易に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態における電源回路が適用される表示装置の概略図である。
【図2】実施形態1に係る電源回路の構成を示す図である。
【図3】実施形態1におけるタイミングコントローラの供給するタイミング信号の波形、および電源回路の出力波形を示す図である。
【図4】ゲートドライバの出力波形を示す図である。
【図5】実施形態2に係る電源回路の構成を示す図である。
【図6】実施形態2におけるタイミングコントローラの供給するタイミング信号の波形、第3容量の両端電圧の波形および電源回路の出力波形を示す図である。
【図7】実施形態3に係る携帯機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 電源回路、 102 NAND回路、 110 チャージポンプ回路、 120 ゲートシェーディング回路、 122 第2容量、 124 抵抗、 128 第3トランジスタ、 130 遅延回路、 200 タイミングコントローラ、 300 ゲートドライバ、 400 表示パネル、 410 走査線、 420 データ線、 430 第1トランジスタ、 432 第1容量、 434 第2トランジスタ、 436 光学素子、 500 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路に、電源電圧を供給する電源供給方法であって、
前記スイッチング素子のオン期間に対応して、前記電源電圧の波形をなまらせることを特徴とする電源供給方法。
【請求項2】
表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路に、電源電圧を供給する電源回路であって、
所定の電源電圧を生成する電圧生成回路と、
前記スイッチング素子のオン期間に対応して、前記電源電圧の波形をなまらせるよう、前記電圧生成回路の出力から所定の電荷を引き抜く回路と、
を備えることを特徴とする電源回路。
【請求項3】
前記電圧生成回路は、前記電荷を引き抜いている期間に対応して、前記電源電圧の生成を停止することを特徴とする請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記電圧生成回路の動作タイミングおよび前記電荷を引き抜く回路の動作タイミングは、同一のタイミングコントローラにより生成されたタイミング信号により制御されることを特徴とする請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項5】
前記電荷を引き抜く期間を調整する回路をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項6】
前記走査線駆動回路を制御するタイミングコントローラにより生成されたタイミング信号を遅延させる遅延回路をさらに備え、
前記電圧生成回路の動作タイミングおよび前記電荷を引き抜く回路の動作タイミングは、前記遅延回路により遅延されたタイミング信号により制御されることを特徴とする請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項7】
ひとつの半導体基板上に一体集積化されることを特徴とする請求項2から6に記載の電源回路。
【請求項8】
表示パネルと、
前記表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路と、
請求項2から7のいずれかに記載の電源回路と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
表示パネルと、
前記表示パネルの走査線に接続されたスイッチング素子を駆動するための信号を生成する走査線駆動回路と、
請求項2から7のいずれかに記載の電源回路と、を備え、
前記電源回路は、搭載される直流電源から電源供給されることを特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−126781(P2006−126781A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181238(P2005−181238)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】