説明

電源回路

【課題】 特殊なスイッチを用いず、手動による動作停止およびコントロール回路からの制御による動作停止が可能であり、無駄な電力消費が少ない電源回路を提供する。
【解決手段】 リレースイッチSW2がOFFの状態でスイッチSW1が押圧されると、交流電圧が給電線101および103間に与えられ、負荷400に対する直流電圧が立ち上がる。すると、コントロール回路210は、リレースイッチSW2をONさせる。このとき、充電回路110および120では、電解コンデンサC1およびC2の充電が行われるが、電解コンデンサC2の充電電流が小さいため、LED104は発光しない。リレースイッチSW2がONの状態で、スイッチSW1が押圧された場合、放電回路130が開くため、電解コンデンサC2が急速充電される。この場合、LED104が発光し、コントロール回路210は、リレースイッチSW2をOFFにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家電製品等に設けられる電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の節約等の観点から家電製品のための電源回路には、電源スイッチの手動操作に応じてON/OFFする他、家電製品の制御部からの制御によりOFF状態に切り換わる機能が求められている。図3はこの種の電源回路の構成例を示す回路図である。図3に示すように、この電源回路は、メイントランスMTとサブトランスSTとを備えている。ここで、メイントランスMTの1次側コイルと交流電源1との間にはリレースイッチ17が介挿されている。また、メイントランスMTの2次側コイルには、2次側コイルに発生する交流電圧を整流し、かつ、安定化することにより負荷19に供給する直流電圧を発生する整流・電源回路18が接続されている。負荷19は、この電源回路から電力の供給を受ける家電製品の各部の回路である。一方、サブトランスSTの1次側コイルと交流電源1との間には手動操作によりON/OFF切り換えがなされるスイッチ11が介挿されている。また、サブトランスSTの2次側コイルには、ダイオード12および電解コンデンサ13からなる半波整流回路が接続されている。この半波整流回路は、サブトランスSTの2次側コイルに発生する交流電圧を半波整流し、かつ、平滑化することにより、直流電圧を給電線21および22間に出力する。コントロール回路14は、この電源回路を制御するための回路であり、給電線21および22間に発生する直流電圧を電源電圧として動作する。給電線21および22間には、このコントロール回路14の他、リレースイッチ17をONさせる磁力を発生する電磁コイル15と、NPNトランジスタ16が直列に介挿されている。コントロール回路14は、このNPNトランジスタ16のON/OFF制御を行う。
【0003】
このような構成において、スイッチ11がOFFからONに切り換えられると、サブトランスSTに交流電源1からの交流電圧が供給され、給電線21および22間の直流電圧が立ち上がる。そして、給電線21および22間の直流電圧が立ち上がると、コントロール回路14は、動作を開始し、NPNトランジスタ16に対するベース電流の供給を開始する。これによりNPNトランジスタ16がONとなって電磁コイル15に電流が流れ、リレースイッチ17がONとなる。この結果、交流電源1からの交流電圧がメイントランスMTに供給され、整流・電源回路18から負荷19への電源電圧の供給が開始される。
【0004】
例えば現在時刻が予め設定された動作停止時刻になった場合等、家電製品への電力供給を停止すべきイベントが発生した場合、コントロール回路14は、NPNトランジスタ16に対するベース電流の供給を停止し、電磁コイル15による磁力の発生を停止させる。これによりリレースイッチ17がOFFとなって、負荷19への電源電圧の供給が断たれる。
【0005】
また、スイッチ11およびリレースイッチ17の両方がONの状態において、スイッチ11がONからOFFに切り換えられた場合、交流電源1からサブトランスSTへの交流電圧の供給が断たれ、給電線21および22間の直流電圧が立ち下がる。この結果、電磁コイル15に電流が流れなくなって、リレースイッチ17がOFFとなり、負荷19への電源電圧の供給が断たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−92743号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“J8型スイッチ(パワーロッカーPRシリーズ)リセット機能付き リフレッシュタイプ”、[平成23年3月22日検索]、インターネット<URL: http://panasonic-denko.co.jp/ac/j/control/switch/operation/j8-re/index.jsp>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の電源回路は、コントロール回路14からの制御によりリレースイッチ17をOFFに切り換えて交流電源1からメイントランスMTへの電力供給を断つことができるが、その後、ユーザがスイッチ11をOFFにしない限り、交流電源1からの交流電圧がサブトランスSTに供給されるため、無駄な電力消費が発生する。
【0009】
この問題を解決するために、例えば特許文献1に開示されているように、スイッチ11として、手動によりON/OFF切り換えが可能であるとともに、通電によりONからOFFへの切り換えが可能な構成のものを使用することも考えられる。なお、この種のスイッチは、例えば非特許文献1にも開示されている。このようなスイッチ11を採用した場合、コントロール回路14は、リレースイッチ17をOFFに切り換えるときに同時にスイッチ11もOFFにすることにより、メイントランスMTおよびサブトランスSTの両方への電力供給を断つことができる。
【0010】
しかしながら、このように手動によりON/OFF切り換えが可能であり、かつ、通電によりONからOFFへの切り換えが可能なスイッチは、一般的に高価であり、このようなスイッチを用いると、家電製品のコストが嵩むという問題がある。
【0011】
本発明は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、上記のような特殊なスイッチを用いることなく、手動による動作停止およびコントロール回路からの制御による動作停止が可能であり、無駄な電力消費が少ない電源回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、線間に交流電圧が与えられる第1および第2の給電線と、第3の給電線と、前記第1および第3の給電線間に発生する交流電圧に基づいて負荷に供給する直流電圧を出力する直流電圧発生手段と、押圧操作が行われている期間のみ前記第3の給電線を前記第2の給電線に接続する第1のスイッチと、前記第2および第3の給電線の間に介挿された第2のスイッチと、前記第2のスイッチをONさせる電源ON指示信号を出力するための電源ON指示信号発生手段と、前記第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっていない状態において前記第1のスイッチが押圧操作された場合に、前記電源ON指示信号発生手段に前記電源ON指示信号の出力を開始させ、前記第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっている状態において前記第1のスイッチが押圧操作された場合または前記負荷への電圧の供給を停止すべき旨を指令するイベントが発生した場合に、前記電源ON指示信号発生手段による前記電源ON指示信号の出力を停止させる制御手段とを具備することを特徴とする電源回路を提供する。
【0013】
かかる発明によれば、第2のスイッチがOFFであり、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっていない状態において第1のスイッチの押圧操作が行われ、第3の給電線が第2の給電線に接続されると、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がる。これにより直流電圧発生手段は、負荷への直流電圧の出力を開始する。また、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっていない状態において第1のスイッチの押圧操作が行われると、制御手段は、電源ON指示信号発生手段に電源ON指示信号の出力を開始させ、第2のスイッチをONさせる。以後、第1のスイッチの押圧操作が解除されても、第3の給電線は、第2のスイッチを介して第2の給電線に接続されるため、直流電圧発生手段による直流電圧の出力が継続される。その後、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっている状態において第1のスイッチが押圧操作された場合または負荷への電圧の供給を停止すべき旨を指令するイベントが発生した場合に、制御手段は、電源ON指示信号発生手段に電源ON指示信号の出力を停止させ、第2のスイッチをOFFさせる。この状態では、第2および第3の給電線間が切り離されているため、消費電力は0となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】この発明の第2実施形態である電源回路の構成を示す回路図である。
【図3】従来の電源回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の一実施形態である電源回路300の構成を示す回路図である。この電源回路300は、トランスTと、トランスTの1次側コイルL1に接続された1次側回路100と、トランスTの2次側コイルL2に接続された2次側回路200とを有する。
【0016】
まず、1次側回路100の構成を説明する。1次側回路100において、第1の給電線101および第2の給電線102の線間には交流電源1からの交流電圧が与えられる。1次側コイルL1の一端には第1の給電線101が接続され、他端には第3の給電線103が接続されている。そして、第3の給電線103と第2の給電線102との間には第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2が並列に介挿されている。ここで、第1のスイッチSW1は、いわゆるモーメンタリスイッチであり、常時は可動接点cが固定接点aに接触して第3の給電線103を抵抗R5の一端に接続しており、指等による押圧操作が与えられる期間のみ可動接点cが固定接点aから離れて固定接点bに接触し、第3の給電線103を第2の給電線102に接続する。第2のスイッチSW2は、2次側回路200に設けられた電磁コイルEMとともに電磁式リレーを構成するリレースイッチであり、電磁コイルEMが発生する磁力によりONとなって第3の給電線103を第2の給電線102に接続する。
【0017】
また、1次側回路100において、抵抗R1、R2、ダイオードD1および電解コンデンサC1は、第1の充電回路110を構成している。ここで、抵抗R1およびR2は、第1の給電線101および第3の給電線103間に直列に介挿されており、第1の給電線101および第3の給電線103の線間の交流電圧を分圧する分圧回路を構成している。この抵抗R1およびR2の共通接続点には、ダイオードD1のアノードが接続され、このダイオードD1のカソードと第3の給電線103との間には電解コンデンサC1が介挿されている。
【0018】
この第1の充電回路110において、電解コンデンサC1は、第1の給電線101および第3の給電線102の線間の交流電圧を抵抗R1およびR2により分圧し、かつ、ダイオードD1により整流することにより得られる直流電圧により充電される。そして、第1の充電回路110の時定数は、電解コンデンサC1の容量値と、抵抗R1およびR2を並列化した抵抗値との積となる。
【0019】
また、1次側回路100において、抵抗R3、電解コンデンサC2および抵抗R4は、第2の充電回路120を構成している。ここで、抵抗R3の一端は、ダイオードD1のカソードと電解コンデンサC1の一方の電極とに接続され、他端は電解コンデンサC2の一方の電極に接続されている。そして、電解コンデンサC2の他方の電極と、第3の給電線103との間には抵抗R4が介挿されている。この第2の充電回路120において、電解コンデンサC2は、電解コンデンサC1の充電に追従して充電される。本実施形態において、この第2の充電回路120の時定数は、第1の充電回路110の時定数よりも充分に小さな値となっている。
【0020】
LED104は、アノードが電解コンデンサC2と抵抗R4との接続点に接続され、カソードが第3の給電線103に接続されている。このLED104は、2次側回路200内のフォトトランジスタQ2とともにフォトカプラを構成しており、電解コンデンサC2に閾値を越える充電電流が流れたか否かを検出する電流検出素子として機能する。さらに詳述すると、第2の充電回路120の電解コンデンサC2に流れる充電電流が閾値よりも小さく、抵抗R4の電圧降下がLED104を発光させるに至らない場合は、フォトトランジスタQ2はOFFとなる。これに対し、第2の充電回路120の電解コンデンサC2に閾値を越える充電電流が流れ、抵抗R4の電圧降下がLED104を発光させるに充分な大きさになると、LED104の発光によりフォトトランジスタQ2がONとなる。
【0021】
また、1次側回路100において、抵抗R5、上述した第1のスイッチSW1、ダイオードD2およびコンデンサC3は、放電回路130を構成している。ここで、抵抗R5は、抵抗R3の接続された電解コンデンサC2の電極と第1のスイッチSW1の固定接点aとの間に介挿されている。ダイオードD2のアノードは、第3の給電線103に接続され、カソードはLED104のアノードが接続されたと電解コンデンサC2の電極に接続されている。この放電回路130は、第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aと接触することにより閉じ、電解コンデンサC2に充電された電荷を放電させる。コンデンサC3は、第1のスイッチSW2の可動接点cが固定接点aに接触し、あるいは固定接点aから離れる際に発生するチャタリングノイズを吸収する役割を果たす。
以上が1次側回路100の構成である。
【0022】
次に2次側回路200の構成を説明する。2次側コイルL2の一端にはダイオードD3のアノードが接続され、このダイオードD3のカソードには第4の給電線201が接続されている。また、2次側コイルL2の他端には第5の給電線202が接続されている。そして、第4の給電線201および第5の給電線202間には平滑用の電解コンデンサC4が介挿されるとともに、本実施形態による電源回路300の負荷400が介挿されている。また、第4の給電線201には電磁コイルEMの一端が接続され、電磁コイルEMの他端はNPNトランジスタQ1のコレクタに接続され、同NPNトランジスタQ1のエミッタは第5の給電線202に接続されている。
【0023】
コントロール回路210は、この電源回路300の全体を制御する回路であり、第4の給電線201および第5の給電線202間に発生する直流電圧を電源電圧として動作する。このコントロール回路210は、次の制御機能を有している。
【0024】
a.第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がって動作を開始した後、NPNトランジスタQ1を継続的にONさせ、電磁コイルEMに電流を流し、第1のスイッチSW1をONさせる磁力を発生させる。
b.第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がっており、NPNトランジスタQ1をONさせている期間内に、フォトトランジスタQ2がONになったことを検知した場合に、NPNトランジスタQ1をOFFさせ、電磁コイルEMへの通電を停止する。
c.第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がっており、NPNトランジスタQ1をONさせている期間内に、例えばタイマ予約された動作終了時刻になった等、電源回路300を停止させるべきイベントが発生したことを検知した場合に、NPNトランジスタQ1をOFFさせ、電磁コイルEMへの通電を停止する。
【0025】
本実施形態では、このコントロール回路210と、上述した第1の充電回路110、第2の充電回路120、放電回路130、LED104およびフォトトランジスタQ2が、第1の給電線101および第3の給電線103間の交流電圧が立ち上がっていない状態において第1のスイッチSW1が押圧操作された場合に、電源ON指示信号発生手段たる電磁コイルEMに第2のスイッチSW2をONさせる電源ON指示信号(磁力)の出力を開始させ、第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっている状態において第1のスイッチSWが押圧操作された場合または負荷400への電圧の供給を停止すべき旨を指令するイベントが発生した場合に、電源ON指示信号の出力を停止させる制御手段を構成している。
以上が2次側回路200の構成である。
【0026】
次に本実施形態の動作を説明する。
まず、初期状態において、第1のスイッチSW1の可動接点cは固定接点aに接触しており、第2のスイッチSW2はOFFとなっており、2次側回路200の第4の給電線201および第5の給電線202間の電圧は0Vになっているものとする。
【0027】
この状態において、第1のスイッチSW1の押圧操作が行われると、第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aから離れて固定接点bに接触し、第1のスイッチSW1を介してトランスTの1次側コイルL1に交流電源1からの交流電圧が印加される。この結果、2次側コイルL2の両端間に交流電圧が発生し、この交流電圧がダイオードD3により半波整流され、かつ、電解コンデンサC4により平滑化される。これにより第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がる。
【0028】
第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がると、同直流電圧を電源電圧とするコントロール回路210が動作を開始する。そして、コントロール回路210は、動作を開始すると、以後、NPNトランジスタQ1を継続的にONとし、電磁コイルEMに電流を流し、第2のスイッチSW2をONにする磁力を電磁コイルEMに発生させる。
【0029】
一方、1次側回路100では、1次側コイルL1への交流電圧の印加が開始されると、この交流電圧が抵抗R1およびR2により分圧され、この分圧された交流電圧がダイオードD1により半波整流され、この半波整流により得られる直流電圧により電解コンデンサC1が充電される。この結果、第1の充電回路110では、電解コンデンサC1の充電電圧が抵抗R1およびR2を並列化した抵抗値と電解コンデンサC1の容量値との積である大きな時定数に従って緩やかに上昇する。また、第2の充電回路120では、電解コンデンサC1の充電に追従して電解コンデンサC2の充電が行われる。ここで、第1の充電回路110が大きな時定数を有するのに対し、第2の充電回路120は第1の充電回路110よりも十分に小さな時定数を有している。このため、電解コンデンサC2の充電電圧は、電解コンデンサC1の充電電圧が緩やかな時間勾配で上昇するのに遅滞なく追従し、緩やかな時間勾配で上昇する。このように電解コンデンサC2の充電電圧の上昇の時間勾配が緩やかになるため、抵抗R4に流れる充電電流の電流値は小さく、抵抗R4の電圧降下も小さくなるため、LED104は発光しない。
【0030】
第1のスイッチSW1の押圧操作が行われた後、その押圧操作が解除されると、第1のスイッチSWの可動接点cは固定接点bから離れ、固定接点aに接触する。しかし、この時点では、上述したように第2のスイッチSW2がONとなっているため、第1のスイッチSWの可動接点cが固定接点bから離れても、ONとなっている第2のスイッチSW2を介して交流電源1からの交流電圧が1次側コイルL1に供給される。従って、2次側回路200では、2次側コイルL2から交流電圧が出力され、第4の給電線201および第5の給電線202間への直流電圧の出力が継続される。
【0031】
また、第1のスイッチSW1の押圧操作が解除されて第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aに接触すると、放電回路130が閉じ、電解コンデンサC2の充電電荷が抵抗R5およびダイオードD2を介して放電される。また、このときコンデンサC3の充電電荷も抵抗R5を介して放電される。ここで、放電回路130が閉じて電解コンデンサC2の充電電荷が放電されると、電解コンデンサC1の充電電荷が電解コンデンサC2に向けて放電される。しかし、電解コンデンサC1と電解コンデンサC2との間には抵抗R3が介在しており、電解コンデンサC1から電解コンデンサC2への放電はこの抵抗R3により制限される。また、電解コンデンサC1は、抵抗R1およびR2間の接続点からダイオードD1を介して充電させる。このため、放電回路130が閉じた状態においても、電解コンデンサC1は、1次側コイルL1の両端間の交流電圧を抵抗R1およびR2により分圧した交流電圧の振幅に対応した直流電圧を維持する。
【0032】
その後、第1のスイッチSW1の押圧操作が行われ、第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aから離れると、放電回路130が開放される。この結果、電解コンデンサC1の充電電荷が抵抗R3、電解コンデンサC2および抵抗R4からなる充電経路に流れる。この場合、電解コンデンサC1の充電電圧が十分に大きい状態において、放電回路130が開いて、放電回路130を介した電解コンデンサC2の放電が停止されるため、第2の充電回路120では、電解コンデンサC2の充電が急速に行われ、大きな充電電流が抵抗R4に流れる。このため、LED104を発光させるに足る大きな電圧降下が抵抗R4に発生する。
【0033】
そして、LED104が発光すると、フォトトランジスタQ2がONになる。コントロール回路210は、このように第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がっており、NPNトランジスタQ1がONとなっている状態において、フォトトランジスタQ2がONになったことを検知すると、NPNトランジスタQ1をOFFさせ、電磁コイルEMによる電源ON指示信号(磁力)の出力を停止させる。この結果、第2のスイッチSW2がOFFになる。
【0034】
ここで、第1のスイッチSW1の押圧操作により第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aから離れて固定接点bに接触した状態では、交流電源1からの交流電圧が第1のスイッチSW1を介して1次側コイルL1に供給される。従って、この時点では、依然として2次側コイルL2から交流電圧が発生され、第4の給電線201および第5の給電線202間に直流電圧が発生される。
【0035】
その後、第1のスイッチSW1の押圧操作が解除されると、第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点bから離れ、交流電源1から1次側コイルL1への交流電圧の供給が断たれる。この結果、2次側回路200では、2次側コイルL2が交流電圧を発生しなくなり、第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち下がる。また、第1のスイッチSW1の可動接点cが固定接点aと接触し、放電回路130が閉じると、この放電回路130を介して電解コンデンサC2の充電電荷が放電される。さらに電解コンデンサC1の充電電荷が抵抗R3および放電回路130の抵抗R5を介して放電される。この結果、電源回路300は、上述した初期状態に戻る。
【0036】
一方、第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち上がっており、NPNトランジスタQ1がONである期間内に、電源回路300を停止させるべきイベントが発生した場合の動作は次のようになる。この場合、当該イベントを検知したコントロール回路210は、NPNトランジスタQ1をOFFさせ、電磁コイルEMによる磁力の発生を停止させる。この結果、第2のスイッチSW2がOFFになり、交流電源1から1次側コイルL1への交流電圧の供給が断たれる。
【0037】
1次側コイルL1への交流電圧の供給が断たれると、2次側回路200では、2次側コイルL2が交流電圧を発生しなくなり、第4の給電線201および第5の給電線202間の直流電圧が立ち下がる。また、このとき放電回路130が閉じた状態であるので、この放電回路130を介して電解コンデンサC2の充電電荷が放電される。さらに電解コンデンサC1の充電電荷が抵抗R3および放電回路130の抵抗R5を介して放電される。この結果、電源回路300は、上述した初期状態に戻る。
【0038】
以上のように、本実施形態による電源回路300によれば、上述した特許文献1または非特許文献1に開示されたような特殊なスイッチを用いることなく、手動操作およびコントロール回路210側からの制御により電源回路300の動作を停止することができる。従って、電源回路300が無駄に動作するのを効果的に防止することができる。また、本実施形態によれば、コントロール回路210側からの制御により第2のスイッチSW2をOFFとすることにより、1次側回路100を開放状態として電源回路300の消費電力を完全に0にすることができる。
【0039】
<第2実施形態>
図2はこの発明の第2実施形態である電源回路300Aの構成を示す回路図である。なお、この図において、上記第1実施形態(図1)のものと対応する部分には共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
上記第1実施形態における電源回路300は、トランスTを有していた。これに対し、本実施形態における電源回路300Aは、トランスTを有しておらず、第1の給電線101がダイオードD3のアノードに接続され、第3の給電線103が上記第1実施形態における第4の給電線202の役割を兼ね備える。そして、本実施形態では、ダイオードD3および電解コンデンサC4が、第1の給電線101および第3の給電線103間の交流電圧に基づいて負荷400に供給する直流電圧を発生する直流電圧発生手段として機能する。他の点は上記第1実施形態と同様である。
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0041】
<他の実施形態>
以上、この発明の一実施形態について説明したが、これ以外にも、この発明には他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0042】
(1)上記実施形態では、第2および第3の給電線間のスイッチとしてリレースイッチを用いたが、半導体デバイスによるスイッチを用いてもよい。
【0043】
(2)上記第1実施形態では、トランスの1次側電圧を抵抗により分圧したが、第1の充電回路110、第2の充電回路120および放電回路130の構成部品の耐圧が高い場合には、1次側電圧を分圧することなく第1の充電回路110に与えてもよい。また、1次側電圧を分圧して第1の充電回路110に与える場合に、抵抗による分圧を行う代わりに、1次側コイルL1の中間タップから得られる電圧を第1の充電回路110に与えてもよい。
【0044】
(3)上記第2実施形態では、トランスTを使用しないので、電解コンデンサC2の充電電流の検知結果をコントロール回路210に伝達するための手段として、必ずしもフォトカプラを使用する必要はない。従って、前掲図2の構成において、LED104を取り除くとともに、フォトトランジスタQ2を通常のNPNトランジスタに変更し、電解コンデンサC2、ダイオードD2および抵抗R4の共通接続点をこのNPNトランジスタのベースに接続してもよい。この態様では、例えば次の条件が満たされるようにすればよい。
a.電源OFF状態からスイッチSW1の押圧操作が行われる場合において、電解コンデンサC2に大きな充電電流が流れないときには、抵抗R4の電圧降下がNPNトランジスタにベース電流を流すのに十分な電圧に至らない。
b.電源ON状態からスイッチSW1の押圧操作が行われ、電解コンデンサC2に大きな充電電流が流れるときには、抵抗R4の電圧降下がNPNトランジスタにベース電流を流すのに十分な電圧を越え、NPNトランジスタがONとなる。
【0045】
また、この態様において、さらにNPNトランジスタを省略し、電解コンデンサC2、ダイオードD2および抵抗R4の共通接続点の電圧をコトロール回路210に直接与え、コントロール回路210が抵抗R4の電圧降下を閾値と比較することにより、電源ON状態でのスイッチSW1の押圧操作が行われたか否かを判定するようにしてもよい。
【0046】
(4)上記第2実施形態では、第1の給電線101および第3の給電線103間に発生する交流電圧を抵抗R1およびR2により分圧し、ダイオードD1により半波整流した電圧により電解コンデンサC1の充電を行った。しかし、そのようにする代わりに、ダイオードD3のカソード側の第4の給電線201および第3の給電線103間に発生する直流電圧を抵抗R1およびR2により分圧し、この分圧により得られる電圧により電解コンデンサC1の充電を行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
300,300A……電源回路、1……交流電源、110……第1の充電回路、120……第2の充電回路、130……放電回路、SW1……スイッチ、SW2……リレースイッチ、C1,C2……電解コンデンサ、EM……電磁コイル、Q1……NPNトランジスタ、104……LED、Q2……フォトトレンジスタ、210……コントロール回路、400……負荷、101……第1の給電線、102……第2の給電線、103……第3の給電線、T……トランス、D3……ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線間に交流電圧が与えられる第1および第2の給電線と、
第3の給電線と、
前記第1および第3の給電線間に発生する交流電圧に基づいて負荷に供給する直流電圧を出力する直流電圧発生手段と、
押圧操作が行われている期間のみ前記第3の給電線を前記第2の給電線に接続する第1のスイッチと、
前記第2および第3の給電線の間に介挿された第2のスイッチと、
前記第2のスイッチをONさせる電源ON指示信号を出力するための電源ON指示信号発生手段と、
前記第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっていない状態において前記第1のスイッチが押圧操作された場合に、前記電源ON指示信号発生手段に前記電源ON指示信号の出力を開始させ、前記第1および第3の給電線間の交流電圧が立ち上がっている状態において前記第1のスイッチが押圧操作された場合または前記負荷への電圧の供給を停止すべき旨を指令するイベントが発生した場合に、前記電源ON指示信号発生手段による前記電源ON指示信号の出力を停止させる制御手段と
を具備することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1および第3の給電線間に発生する交流電圧を整流した直流電圧により充電される第1のコンデンサを含む第1の充電回路と、
前記第1のコンデンサの充電に追従して充電される第2のコンデンサを含み、前記第1の充電回路の時定数よりも小さな時定数を有する第2の充電回路と、
前記第2のコンデンサの充電電流が閾値を越えた場合に電流検知信号を出力する電流検知素子と、
前記第2のコンデンサの充電電荷を放電させる放電回路と、
前記直流電圧発生手段の出力する直流電圧の立ち上がりに応じて、前記電源ON指示信号発生手段に前記電源ON指示信号を出力させ、前記直流電圧発生手段の出力する直流電圧が立ち上がっている状態において、前記電流検知信号が出力されることにより前記電源ON指示信号発生手段による電源ON指示信号の出力を停止させるコントロール回路とを具備し、
前記第1のスイッチは、押圧操作に応じて前記放電回路を開放し、かつ、前記第3の給電線と前記第2の給電線とを接続し、押圧操作の解除に応じて前記放電回路を閉成し、かつ、前記押圧操作に応じて形成した前記第3の給電線と前記第2の給電線との接続を切り離すことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記コントロール回路は、前記直流電圧発生手段の出力する直流電圧を電源電圧として動作する回路であることを特徴とする請求項2に記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210124(P2012−210124A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75410(P2011−75410)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】