説明

電源状態切換装置

【課題】物品の電源状態を複数の電源状態の間で選択操作可能なスイッチノブの操作性を高いものとすることができる電源状態切換装置を提供する。
【解決手段】ワンプッシュエンジンスタートシステムを備える車両には、電源状態切り換えの操作系としてプッシュモーメンタリ式のエンジンスイッチ22が備わる。このエンジンスイッチ22のスイッチノブ23は、通常のノーマルポジションから所定量飛び出すポップアップポジションに位置切り換え可能であり、ノブ先端のノブ部41をロータリ操作可能である。そして、エンジンスイッチ22のエンジン停止操作としてプッシュ操作及びロータリ操作の2モードを設定して、このうちのロータリ操作を緊急エンジン停止に割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチのスイッチノブの操作をトリガとして物品の電源状態をそのときの要求操作に応じた電源状態に切り換える電源状態切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの車両には、車両キーを操作しなくても車内のエンジンスイッチを操作(プッシュ操作)するだけでエンジンを始動させることが可能なワンプッシュエンジンスタートシステムが搭載されている。この種のワンプッシュエンジンスタートシステムの一例は、例えば特許文献1,2等に開示されている。ワンプッシュスタートシステムでは、車両キーとして、キーコードを車両に向けて無線発信する電子キーが使用される。そして、車両は、電子キーからキーコードを受信すると、電子キーのキーコードと、自身に登録されたキーコードとを照らし合わせて照合を行い、この照合結果によりキー照合可否を判定する。
【0003】
ワンプッシュエンジンスタートシステムは、エンジンが停止状態のとき、電子キーによるキー照合が成立した状況下で、ブレーキペダルが踏み込み操作されつつ、ステアリングホイール脇のエンジンスイッチがプッシュ操作されると、それまで停止状態であったエンジンが始動する。一方、エンジンが稼働中の際、シフトレンジがPレンジ(駐車レンジ)をとる状態でエンジンスイッチがプッシュ操作されると、それまで稼働状態であったエンジンが停止に切り換わる。
【0004】
また、ワンプッシュエンジンスタートシステムにおいて、エンジンスイッチに割り付けられるスイッチ機能には、このようなエンジン始動停止機能の他に、車両の電源状態(電源ポジション)を電源オフ状態(エンジン停止状態)→ACCオン状態→IGオン状態の間で順次繰り返し切り換えることが可能な電源遷移機能も割り付けられている。この電源遷移機能は、ブレーキペダルを踏み込み操作せずにエンジンスイッチのみをプッシュ操作することにより行う。また、この電源遷移機能では、電源状態がこれらどの状態にあっても、ブレーキペダルを踏み込み操作してエンジンスイッチをプッシュ操作すれば、エンジンが始動状態に切り換わる。
【0005】
ところで、この種のワンプッシュエンジンスタートシステムには、車両走行中にエンジンを強制停止することを可能とすべくエンジン強制停止機能が設けられている車種もある。これは、例えば車両走行中に車内で火災が発生したときや、或いは車両がオーバーヒートしたときなど、走行中であってもエンジンを直ぐに停止したい場合に対応するためである。このワンプッシュエンジンスタートシステム備え付けのエンジン停止機能は、例えばエンジン可動中にエンジンスイッチが長押し(例えば約3秒)されたり、或いは一定時間の間においてエンジンスイッチが所定回数連打されたりしたことを動作開始の条件としている。
【特許文献1】特開2007−255383号公報
【特許文献2】特開2006−183613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述したエンジン強制停止機能の実行開始は、エンジンスイッチを長押ししたり或いは連打したりするという操作時間が長くかかる方式がとられている。このため、エンジン強制停止機能は、位置付けとして緊急性を要する機能であるから本来ならば早急に機能実行されるべきものであるにも関わらず、この機能開始においてユーザに科す操作が操作時間を要するものとなっているので、機能と操作とが相反するものとなってしまっていた。よって、エンジン強制停止機能の実行するときにユーザに科す操作を、簡素な操作とする技術が要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、物品の電源状態を複数の電源状態の間で選択操作可能なスイッチノブの操作性を高いものとすることができる電源状態切換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、スイッチノブがモーメンタリ式をとる操作スイッチの操作を監視し、前記スイッチノブが通常の操作方向において持つスイッチ機能には、当該スイッチノブの操作対象である物品の電源状態を、複数の電源状態の中から特定の一状態に択一的に選択可能な選択機能が設けられ、当該スイッチノブが前記通常の操作方向に操作された際には、前記選択機能によりそのときの要求操作に応じた電源状態に前記物品の電源状態を切り換える電源状態切換装置において、前記通常の操作方向の操作を許容した状態で、前記スイッチノブをノブ軸方向において位置切り換え可能なノブ軸方向位置切換機構と、前記ノブ軸方向位置切換機構によりポップアップポジションに位置する前記スイッチノブを、前記通常の操作方向とは向きが異なる他操作方向に操作可能とする他操作方向動作許容機構と、前記ポップアップポジションのスイッチノブが前記他操作方向において持つスイッチ機能を、当該スイッチノブが前記通常の操作方向において持つ複数のスイッチ機能の中の一機能の緊急操作用として割り当てるスイッチ機能割当手段と
を備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、物品の電源状態を切り換える際には、モーメンタリ式をとる操作スイッチのスイッチノブを通常の操作方向(例えば、プッシュ操作方向)にスイッチ操作する。このとき、物品の電源状態がそのときの要求操作に応じた電源状態に切り換わり、例えば電源状態が電源オフ状態をとっているときにスイッチノブが操作された際には、電源状態がそれまでの電源オフ状態から電源オン状態に切り換わる状態をとる。そして、この電源状態の切り換え操作後、電源状態切り換えのために操作したスイッチノブから指(手)を離すと、スイッチノブが操作前の元の位置に自動で復帰する。
【0010】
また、物品の電源状態が所定の電源状態に切り換わった際、ノブ軸方向位置切換機構によってスイッチノブがそれまでの収納位置からポップアップポジションをとる。ところで、スイッチノブは通常の操作方向とは方向が異なる他操作方向(例えば、ノブ軸回りの回動方向)にも操作が可能であり、スイッチノブがこの他操作方向おいて持つスイッチ機能は、スイッチノブが通常の操作方向において持つスイッチ機能の中の一機能の緊急操作用として割り当てられている。よって、物品がとっている現電源状態を例えば強制的に解除、或いは他の電源状態に切り換える場合には、そのときにポップアップポジションにあるスイッチノブを他操作方向に操作する。
【0011】
本構成の場合、スイッチノブが他操作方向に持つスイッチ機能は緊急操作用として割り当てられているので、スイッチノブが他操作方向に操作された際には、スイッチノブを通常の操作方向に操作して電源切り換えを行うときに必要である各種条件が成立していなくても、スイッチノブの他操作方向への操作のみで物品の電源状態が切り換わる状態をとる。このため、電源状態の切り換え操作が単にスイッチノブを他操作方向に1回操作するだけという簡素な操作で済むことになるので、この種の緊急時におけるスイッチ操作を操作性の高いものとすることが可能となる。なお、緊急操作とは、操作実行の際に通常ならば必要となる条件が不要となって、操作実行が許可される操作のことをいう。
【0012】
本発明では、前記操作スイッチは、前記物品としての車両のエンジンを始動又は停止するときに操作するエンジン始動停止用スイッチであることを要旨とする。
この構成によれば、操作スイッチを車両用のエンジン始動停止用スイッチとしたので、車両の電源状態が各種状態に切り換わった場合に、スイッチノブを他操作方向に操作するという簡素な操作で、緊急時における電源状態の切り換え操作を行うことが可能となる。
【0013】
本発明では、前記スイッチノブが前記通常の操作方向において持つスイッチ機能には、前記エンジンが始動状態とはなっていないものの各種車載電装品の中の一部品に電源を供給するときの電源状態である第1電源オン状態への切り換えスイッチ機能と、前記エンジンを始動状態とするときの電源状態である第2電源オン状態への切り換えスイッチ機能と、車両が停止状態とすべく前記各種車載電装品に電源を供給しない電源オフ状態への切り換えスイッチ機能とが割り当てられ、前記スイッチ機能割当手段は、前記ポップアップポジションの前記スイッチノブが前記他操作方向に持つスイッチ機能を、当該スイッチノブが前記通常の操作方向において持つ前記各スイッチ機能のうちの一機能の緊急操作用として割り当てることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、スイッチノブが他操作方向において持つスイッチ機能に、第1電源オン状態への切り換えスイッチ機能、第2電源オン状態への切り換えスイッチ機能、電源オフ状態への切り換えスイッチ機能のいずれかを割り当てることが可能となる。
【0015】
本発明では、前記スイッチ機能割当手段は、前記ポップアップポジションの前記スイッチノブが前記他操作方向において持つスイッチ機能を、前記電源オフ状態への切り換えスイッチ機能の緊急操作用として割り当てることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、スイッチノブが他操作方向において持つスイッチ機能に、電源オフ状態への切り換えスイッチ機能を割り当てたので、例えば緊急のときに電源状態を電源オフ状態に切り換えたい場合に、これに対応することが可能となる。
【0017】
本発明では、前記ノブ軸方向位置切換機構は、電源状態が電源オン状態をとる際、前記スイッチノブの位置をそれまでの初期ポジションから前記ポップアップポジションに位置切り換えすることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、スイッチノブは電源状態が電源オン状態をとるときにポップアップポジションをとるので、電源状態が電源オン状態をとるときに、スイッチノブを他操作方向に操作が可能となる。このため、電源状態が電源オフ状態のとき、スイッチノブは初期ポジションをとって外部に飛び出さないので、スイッチノブが邪魔にならずに済む。
【0019】
本発明では、前記スイッチノブが前記ポップアップポジションをとったとき、その旨を前記スイッチノブの位置と連動して通知する連動通知手段を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、スイッチノブがポップアップポジションをとった際、例えば照明等による連動通知手段によっても、スイッチノブがポップアップポジションに切り換わったことがユーザに通知される。このため、スイッチノブがポップアップポジションをとっていることを、より確実にユーザに通知することが可能となる。
【0020】
本発明では、キーコードを無線発信可能な電子キーから受信したキーコードと、前記物品に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を実行する照合手段と、前記照合手段のキー照合が成立すれば、前記スイッチノブによる前記電源状態の切り換え操作を許可する許可手段とを備えたことを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、スイッチノブの操作により電源状態を切り換える際には、電子キーシステムによるキー照合成立が操作実行の条件となっているので、キー照合が成立していなければ電源状態を切り換え操作することができない状況となる。このため、電源状態の切り換え操作が不正に実行される状況を生じ難くすることが可能となり、不正使用に対してセキュリティ性を高いものとすることが可能となる。
【0022】
本発明では、前記ノブ軸方向位置切換機構は、前記照合手段のキー照合が成立しなかったとき、前記スイッチノブを前記ポップアップポジションに位置させて、キー照合不成立の旨を前記スイッチノブの位置により通知することを要旨とする。
【0023】
この構成によれば、電子キーシステムのキー照合が成立しなかった場合、スイッチノブがそれまでの初期ポジションから変位ポジションに位置が切り換わるので、キー照合が成立しなかったことがスイッチノブの位置によってユーザに通知される。このため、スイッチノブの位置が切り換わるというユーザが気付き易い形式により、キー照合不成立の旨を通知することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、物品の電源状態を複数の電源状態の間で選択操作可能なスイッチノブの操作性を高いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した電源状態切換装置の一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、キーコードを無線通信により車両1に送り渡す電子キー2を車両キーとして使用する電子キーシステム3が搭載されている。この電子キーシステム3には、実際のキー操作を伴わずにドアロック施解錠やエンジン始動停止等の車両操作を行うことが可能なキー操作フリーシステム4が搭載されている。キー操作フリーシステム4は、同システムの電子キーである電子キー2からのIDコード(キーコード)のコード発信をユーザの意志によらず自動で行わせ、車両1と電子キー2との間でIDコードを照らし合わせてID照合を実行し、両IDコードが一致してキー認証が成立すれば、ドアロック施解錠やエンジン始動が許可又は実行される。なお、車両1が物品に相当する。
【0026】
キー操作フリーシステム4には、ドアロック施解錠操作の際にキー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステムがある。このようなスマートエントリーシステムでは、車両1に、電子キー2との間で狭域無線通信によりID照合を行うコントローラとして照合ECU(Electronic Control Unit)5が設けられている。また、車両1には、車外にLF(Low frequency)帯の信号を発信可能な車外LF発信機6と、車内に同じLF帯の信号を発信可能な車内LF発信機7と、電子キー2が発信するRF(Radio Frequency)帯の信号を受信可能なRF受信機8とが設けられている。また、照合ECU5には、ドアロック施解錠を制御するドアECU9が車内LAN(Local Area Network)10を介して接続されている。このドアECU9には、ドアロック施解錠時の駆動源としてドアロックモータ11が接続されている。なお、照合ECU5が照合手段及び許可手段を構成し、LF発信機6,7及びRF受信機8が照合手段を構成する。
【0027】
また、電子キー2には、電子キー2の各種動作を統括制御する通信制御部12が設けられている。この通信制御部12は、CPU13やメモリ14等の各種デバイスを持ち、電子キー2が持つ固有のキーコードとしてIDコードがメモリ14に登録されている。通信制御部12には、LF帯の無線信号を受信可能なLF受信機15と、RF帯の無線信号を発信可能なRF発信機16とが接続されている。通信制御部12は、LF受信機15でどの種の無線信号を受け付けたか否かを逐次監視するとともに、RF発信機16からの信号発信の動作を管理する。
【0028】
車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)の際、照合ECU5は、車外LF発信機6からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺にリクエスト信号Srqの車外通信エリアを形成して、無線通信(以降、スマート通信と記す)の成立を試みる。電子キー2がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、電子キー2はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ14に登録されたIDコードを乗せたID信号SidをRF帯の信号で返信する。照合ECU5は、RF受信機8でID信号Sidを受信してスマート通信が確立すると、自身のメモリ17に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車外照合)を行う。照合ECU5は、この車外照合が成立したことを認識すると、メモリ17に車外照合フラグを一定時間の間において立てて、車外ドアハンドルノブ18に埋設されたタッチセンサ19をその期間の間において起動させる。照合ECU5は、ドアロック施錠時に車外ドアハンドルノブ18がタッチ操作されたことを起動中のタッチセンサ19で検出すると、ドアロック解錠要求をドアECU9に出力する。ドアECU9は、ドアロック施錠時にこのドアロック解錠要求を受け付けると、ドアロックモータ11を駆動して施錠状態のドアロックを解錠する。
【0029】
一方、車両1が停止状態(エンジン停止及びドアロック解錠状態)の際、照合ECU5は、車外ドアハンドルノブ18に設けられたロックボタン20が押し操作されたことを検出すると、車外LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信させる。照合ECU5は、このリクエスト信号Srqを受けて電子キー2が返信してきたID信号Sidにおいて車外照合が成立したことを認識すると、ドアECU10にドアロック施錠要求を出力する。ドアECU9は、ドアロック解錠時にこのドアロック施錠要求を受け付けると、ドアロックモータ11を駆動して解錠状態のドアロックを施錠する。
【0030】
また、キー操作フリーシステム4には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン21の始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。このようなワンプッシュエンジンスタートシステムでは、車両1の運転席に、車両1の電源状態(電源ポジション)を切り換えるスイッチ機能が割り当てられたエンジンスイッチ22が設けられている。このエンジンスイッチ22には、同スイッチ22の操作ノブとしてスイッチノブ23が設けられ、このスイッチノブ23がプッシュモーメンタリ式をとっている。なお、エンジンスイッチ22が操作スイッチ(エンジン始動停止用スイッチ)に相当する。
【0031】
車両1には、エンジン21の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU24と、シフトレバーのレンジ位置を監視するシフトECU25と、車載電装品の電源管理を行う電源ECU26とが設けられている。これらECU24〜26は、車内LAN10を通じて照合ECU5等の各種ECUに接続されている。電源ECU26には、各種車載アクセサリ(車載電装品)に繋がるACC(Accessory)リレー27と、車両ボディ系や走行系の各種電装品(車載電装品)に繋がる第1IG(Ignition)リレー28と、エンジンECU24やスタータモータに繋がる第2IGリレー29とが接続されている。なお、電源ECU26がスイッチ機能割当手段を構成する。
【0032】
また、エンジンスイッチ22のスイッチ機能、つまりエンジンスイッチ22がプッシュ操作方向(通常の操作方向)において持つスイッチ機能には、その時々の要求操作に応じて、車両1の電源状態を複数の電源状態の中の何れかに択一的に切り換える選択機能が割り当てられている。本例の場合、エンジンスイッチ22には、車内照合成立及びブレーキペダル踏み込み操作を条件に、車両1の電源状態(電源ポジション)を電源オフ状態又はエンジンスタート状態のどちらかに設定してエンジン21の始動停止を切り換えるエンジン始動停止機能と、車内照合成立のみを条件に、車両の電源状態を電源オフ状態(エンジン停止状態)→ACCオン状態→IGオン状態の間で順次繰り返し切り換える電源遷移機能とが割り当てられている。
【0033】
なお、電源状態を電源オフ状態、ACCオン状態、IGオン状態、エンジンスタート状態の各状態に切り換えることがスイッチ機能に相当し、これら状態の中の特定の一状態に電源状態を設定することが選択機能に相当する。また、車内照合成立状況下でのブレーキペダル踏み込みながらのエンジンスイッチ22の操作や、車内照合成立条件下でのエンジンスイッチ22のみの操作が要求操作に相当する。さらに、ACCオン状態及びIGオン状態が第1電源オン状態に相当し、エンジンスタート状態が第2電源オン状態に相当する。
【0034】
照合ECU5は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、例えばカーテシスイッチ30でドアが開けられて運転者が乗車したことを認識すると、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU5は、電子キー2がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号SidをRF受信機8で受信すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車内照合)を行う。照合ECU5は、この車内照合が成立すると、メモリ17に車内照合成立フラグを立てて車内照合成立を認識する。
【0035】
電源ECU26は、エンジン21が停止している際にブレーキペダルが踏み込み操作された状態でエンジンスイッチ22が操作(プッシュ操作)されたことを検出すると、車内照合成立を条件として、3つのリレー27〜29を全てオンして車両1の電源状態をエンジンスタート状態に切り換える。なお、電源ECU26は、車内照合成立確認の際にこれが成立していなければ、照合ECU5に車内照合を再実行させ、車内照合成立の有無を今一度確認する。第2IGリレー29がオンして起動状態をとったエンジンECU24は、車内照合結果の確認と、照合ECU5が自身とペアを成すものかを確認するペアリングとを暗号化通信により行う。これら両条件の確認を済ませたエンジンECU24は、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジン21を始動する。一方、電源ECU26は、エンジン21が稼働中の際にエンジンスイッチ22が押圧操作されたことを検出すると、シフトレバーのレンジ位置が駐車レンジ(Pレンジ)にあること(即ち、車両1が停止(車速「0」)していること)を条件に3つのリレー27〜29を全てオフ状態にして、エンジン21を停止状態にする。
【0036】
一方、電源ECU26は、エンジン21が停止している際にブレーキペダルが踏み込み操作されずにエンジンスイッチ22のみが操作(プッシュ操作)されたことを検出すると、車内照合成立を条件としつつ、しかもシフトレバーのレンジが駐車レンジ(Pレンジ)にあれば、エンジンスイッチ22がプッシュ操作される度に、操作一回りの間において電源状態をオフ状態(3リレー27〜29が全てオフ状態)→ACCオン状態(ACCリレー27がオン状態)→IGオン状態(第1IGリレー28がオン状態)の間で順に切り換える。
【0037】
また、車両1には、電子キーシステム3の一種として、スマート通信とは別系統の通信網で電子キー2とキー照合を行うイモビライザーシステム31が搭載されている。イモビライザーシステム31は、近距離無線通信(以降、イモビライザー通信と記す)が用いられ、本例は例えばRFID(Radio Frequency IDentification)が使用されている。このイモビライザーシステム31では、車両1に、同イモビライザーシステム31を統括制御するイモビライザーECU32が設けられている。このイモビライザーECU32は、車内LAN10を介して照合ECU5に接続されている。イモビライザーECU32には、イモビライザーシステム31の車両側におけるアンテナとしてコイル式のイモビアンテナ33が接続されている。このイモビアンテナ33は、例えばエンジンスイッチ22の周辺に巻回された取り付け状態をとり、本例はLF帯の信号を送受信可能となっている。
【0038】
一方、電子キー2には、イモビライザーシステム31における電子キー2側のID登録先としてトランスポンダ34が内蔵されている。トランスポンダ34は、イモビアンテナ33から発信された駆動電波Skdを受信すると、この駆動電波Skdによって駆動を開始し、自身の固有コードであるトランスポンダコード(キーコード)を乗せたイモビ信号Strを車両1に向けて発信する。イモビライザーECU32は、このイモビ信号Strをイモビアンテナ33で受信すると、このイモビ信号Strによりイモビライザー照合を行い、この照合が成立すればエンジン始動を許可する。なお、近距離無線通信とは、スマート通信よりも通信エリアが狭い無線通信のことを言い、実際にはイモビアンテナ33にトランスポンダ34をかざす程度に近づける必要のある無線通信である。
【0039】
電源ECU26は、運転者によりエンジンスイッチ22がプッシュ操作されてエンジン21が始動操作された際、車内照合及びイモビライザー照合のうち少なくとも一方が成立していることを以て、エンジン始動動作、即ち電源状態のエンジンスタート状態への切り換え動作に入る。これは、電子キー2が電池駆動式であることから、電池切れになると電子キー2はスマート通信を実行することができなくなるので、もし仮に電子キー2が電池切れとなっても、無線通信によるID照合成立条件下でエンジン21を始動できるようにするためである。
【0040】
図2〜図5に示すように、本例のエンジンスイッチ22には、エンジン稼働時に電源状態をオフするのに必要な電源オフ条件を満たした状況下でスイッチノブ23をプッシュ操作するスイッチ操作を行わなくとも、単なるエンジンスイッチ22のみのスイッチ操作によって車両1の電源状態を強制的に電源オフ状態(即ち、エンジン停止状態)に切り換えることを可能とする電源状態強制オフ機能が設けられている。なお、エンジン稼働時に電源状態をオフするのに必要な電源オフ条件とは、例えばエンジン稼働中において、シフトレバーが駐車レンジに位置した状態で、エンジンスイッチ22のスイッチノブ23がプッシュ操作されることである。
【0041】
この電源状態強制オフ機能は、車両1の電源状態が電源オン状態となったときにスイッチノブ23をそれまでの通常位置から所定量だけポップアップさせつつ、これをプッシュ操作以外にロータリ操作も可能とし、このロータリ操作に電源状態強制オフ用のスイッチ機能を割り当てた機能である。即ち、本例の場合は、エンジンスイッチ22をプッシュ操作及びロータリ操作の2操作を可能とするとともに、エンジンスイッチ22のエンジン停止操作としてプッシュ操作及びロータリ操作の2モードを設定して、このうちのロータリ操作を緊急エンジン停止に割り当てている。
【0042】
この場合、エンジンスイッチ22には、スイッチノブ23のポップアップ動作を許容するノブ位置切換機構35が設けられている。ノブ位置切換機構35は、車両1の電源状態が電源オフ状態をとるとき、スイッチノブ23をノーマルポジション、即ち図2及び図6に示すようにノブ表面がノブ周囲面と面一状態をとった状態に位置させ、車両1の電源状態が電源オン状態をとるとき、スイッチノブ23をノブ軸Lに沿って動かしてポップアップポジション、即ち図3及び図7に示すようにスイッチノブ23がノブ周囲面から所定量だけ押し上がった状態に位置させる。なお、ノブ位置切換機構35がノブ軸方向位置切換機構に相当する。
【0043】
エンジンスイッチ22には、同スイッチ22のケースとしてスイッチケース36が設けられている。このスイッチケース36の背面には、例えば複数の接続ピン37,37…を持つコネクタ38が設けられている。また、スイッチケース36には、スイッチノブ23のノブ軸方向(図2の矢印A方向)に沿って深さを有するノブ収納部39が貫設されている。スイッチノブ23は、このノブ収納部39内においてプッシュ操作方向に沿って往復動可能な状態、つまりプッシュ操作可能な状態で収納されている。スイッチノブ23には、ノブ本体部分を形成するホルダ部40と、ホルダ部40の先端に取り付けられるとともに裏面無底筒形状をなしたノブ部41とが設けられている。
【0044】
また、スイッチケース36とホルダ部40との間には、プッシュ操作したスイッチノブ23から手を離すと、スイッチノブ23を元の操作開始位置に自動復帰させるプッシュ側モーメンタリ機構42が設けられている。このプッシュ側モーメンタリ機構42では、スイッチケース36とホルダ部40との間に、スイッチノブ23を押し出し方向に常時付勢するノブ付勢部材43が介装されている。また、スイッチケース36の内部において開口寄りの位置には、スイッチノブ23をポップアップポジションで位置決めするノブガイド44が立設されている。なお、このノブガイド44は、スイッチノブ23がノブ付勢部材43の付勢力によりノブ収納部39から抜け出てしまうことを防ぐ抜け止めとしても働く。
【0045】
スイッチケース36の内部においてスイッチノブ23の径方向(図2の矢印B方向)外側寄りの位置には、エンジンスイッチ22の各種電装部品の実装先として基板45が設けられている。基板45には、スイッチノブ23をポップアップさせるときの駆動源としてソレノイド46が設けられている。このソレノイド46は、スイッチケース36のコネクタ38を介して電源ECU26に接続され、動作が電源ECU26によって管理されている。また、本例のソレノイド46は、プッシュプルソレノイドからなり、可動レバー47がプッシュ状態又はプル状態の2状態をとる。ソレノイド46は、可動レバー47がプッシュ状態又はプル状態をとるときに各々の状態で位置を保持可能であって、可動レバー47を動かすときにのみ電力を必要とする。
【0046】
また、可動レバー47の先端には、例えば板形状をなすストッパ48が固着されている。一方、スイッチノブ23のホルダ部40には、ストッパ48の押し付け先として例えば片形状をなした規制部49が設けられている。本例の場合、ソレノイド46がプッシュ状態をとると、ストッパ48が規制部49をノブ付勢部材43の付勢力に抗して奥に押し込むことにより、スイッチノブ23がノーマルポジション(図2及び図6参照)をとる。一方、ソレノイド46がプル状態をとると、ストッパ48による規制部49の押し付けが外れてスイッチノブ23がノブ付勢部材43付勢力で手前に飛び出すことが許容されて、スイッチノブ23がポップアップポジション(図3及び図7参照)をとる。
【0047】
また、エンジンスイッチ22のノブ周りには、スイッチノブ23がポップアップポジションにあることを通知するノブ照明部50が設けられている。基板45には、このノブ照明部50の光源としてノブ光源51が実装されている。ノブ光源51は、例えばLEDからなるとともに、コネクタ38を介して電源ECU26に接続されている。また、ホルダ部40の先端部(ノブ部41側の端部)には、ノブ光源51の光をノブ部41側に送るライトガイド52が一体に設けられている。このライトガイド52は、ホルダ部40の先端位置に固着されたガイド本体53と、このガイド本体53からスイッチノブ23のノブ軸方向に沿って延びるガイド片54とからなる。ガイド本体53は、例えば円板形状をなすとともに、ノブ部41の裏面収納部41aに嵌め込まれた取り付け状態をとる。また、ガイド片54は、例えば細長い板形状をなすとともに、ガイド本体53(ノブ部41)の中心に対して偏心する位置に取り付けられている。なお、ノブ照明部50が連動通知手段に相当する。
【0048】
また、ノブ部41は、基材が透明樹脂からなるとともに、外表面(前面)に塗装が施されることにより、ノブ表面が色付きの意匠面55となり、ノブ周囲が光透過可能な光照射部56となっている。ノブ光源51は、スイッチノブ23がポップアップポジションにあるときに点灯し、その照射光がライトガイド52を伝ってノブ周囲の光照射部56から外部に露光することで、スイッチノブ23がポップアップポジションに位置することをユーザ(運転者)に通知する。
【0049】
エンジンスイッチ22には、図2〜図5に示すように、ノブ部41の一方向へのロータリ操作を許容するノブ回転機構57が設けられている。ノブ回転機構57では、ノブ部41の中心位置に、スイッチノブ23の軸方向に沿って延びるノブ回動軸58が延設されている。ノブ部41は、ガイド本体53の中心に貫設された貫設孔59にノブ回動軸58が回動可能な状態で挿通され、ノブ回動軸58の軸回りにロータリ操作が可能となっている。また、ノブ部41の周縁には、例えば対向する位置に一対の係止爪60,60が形成され、この係止爪60,60がホルダ部40、つまりライトガイド52のガイド本体53に形成された円環状の被係止部61に係止されることにより、ホルダ部40から抜け止めされている。なお、ノブ回転機構57が他操作方向連動許容機構に相当する。
【0050】
また、ノブ部41とライトガイド52との間には、ロータリ操作したスイッチノブ23から手を離すと、スイッチノブ23を元の操作開始位置に自動復帰させるロータリ側モーメンタリ機構62が設けられている。本例のロータリ側モーメンタリ機構62は、ピースが節度の谷に入り込もうとする力を利用した節度機構が使用され、この節度機構がノブ回動軸58を挟んで一対設けられている。なお、本例の節度機構は、ノブ回動軸58を挟んで一対設けられているが、これら両者は構造が同じであるので、片方のみについて説明する。
【0051】
ノブ部41の裏面には、図2〜図5に示すように、例えば球形状をなす節度ピース63が取り付けられている。この節度ピース63は、ノブ部41の裏面に貫設された節度ピース穴64に、例えばコイルばね等からなる節度付勢部材65を間に挟んだ状態で収納されている。このため、節度ピース63は、節度付勢部材65の付勢力により、節度ピース穴64から飛び出す方向に常時付勢されている。また、図9に示すように、ライトガイド52の内面には、この内面に凹凸を持たせることにより節度山66及び節度谷67が設けられている。節度山66は、ノブ部41のロータリ操作方向(他操作方向)に向かうに従い上り坂を有する傾斜向きで形成され、この傾斜の根元の穴が節度谷67として形成されている。
【0052】
また、図9に示すように、ガイド本体53(ライトガイド52)の周縁部53aには、ノブ部41をロータリ操作した際のその最大ロータリ操作量を設定する当接部68が設けられている。この当接部68は、ノブ部41をロータリ操作した際に係止爪60が通るその通過経路上に突設され、ノブ部41をロータリ操作した際のその最大許容位置に対応する位置に配置されている。このため、ノブ部41をロータリ操作した際には、係止爪60が当接部68に当接することによりそれ以上のロータリ操作が制限されて、ノブ部41がロータリ最大ロータリ操作位置で位置決めされる。
【0053】
スイッチノブ23(ノブ部41)がロータリ操作されていないとき、節度ピース63が節度谷67に入り込む状態をとってノブ部41はロータリ操作開始前の初期位置で位置決め状態をとり、ノブ部41の意匠面55の文字(ENGINE START STOP)が左右方向に真っ直ぐ向いた状態をとる。そして、スイッチノブ23(ノブ部41)がロータリ操作されると、節度ピース63が節度付勢部材65の付勢力に抗して節度山66の斜面を登る動きをとることにより、ノブ部41のロータリ操作が許容される。そして、このロータリ操作の後、ノブ部41から手を離すと、節度ピース63が節度付勢部材65の付勢力により節度山66の斜面を下る動きをとり、これによりスイッチノブ23がノブ操作時と逆方向に回動して、スイッチノブ23がロータリ操作開始前の元の初期位置に復帰する。
【0054】
基板45には、スイッチノブ23のプッシュ操作有無を検出する第1磁気センサ69が実装されている。一方、ノブ回動軸58の先端には、第1磁気センサ69に対してノブ軸方向にオフセットする位置(ずれた位置)に例えば永久磁石からなるマグネット70が取り付けられている。第1磁気センサ69は、マグネット70が発生する磁界を検出することにより、スイッチノブ23のプッシュ操作有無を検出するものであって、検出磁界に応じたセンサ信号を、コネクタ38を介して電源ECU26に出力する。第1磁気センサ69は、スイッチノブ23がプッシュ操作された状態(図4の状態)のとき、マグネット70の磁界を検出してHレベルの信号を出力し、スイッチノブ23がプッシュ操作されていないとき、マグネット70の磁界を検出せずにLレベルの信号を出力する。
【0055】
また、基板45においてノブ部41寄りの位置には、ノブ部41のロータリ操作有無を検出する第2磁気センサ71が実装されている。第2磁気センサ71は、スイッチノブ23がノーマルポジションにあるとき、ノブ軸方向においてマグネット70とオフセットする位置をとり、スイッチノブ23がポップアップポジションをとると、マグネット70とノブ径方向において向き合う位置状態をとる。即ち、第2磁気センサ71は、スイッチノブ23がノーマルポジションをとるとき、マグネット70の磁界を検出しない状態をとり、スイッチノブ23がポップアップポジションをとると、マグネット70が対向位置に位置し、マグネット70の磁界を検出可能となる。なお、マグネット70及び第2磁気センサ71がスイッチ機能割当手段を構成する。
【0056】
第2磁気センサ71は、スイッチノブ23がポップアップポジションをとった際に、マグネット70の磁界を検出可能となり、その検出磁界に応じたセンサ出力を、コネクタ38を介して電源ECU26に出力する。例えば、ロータリ操作されていないときにノブ部41がとるロータリ操作前の初期位置(図7の状態)からスイッチノブ23がロータリ操作されると、ノブ部41が最大回動位置(図5及び図8の状態)をとるその操作過程において、マグネット70から第2磁気センサ71に付与される磁界方向が変化する。このとき、第2磁気センサ71は、このマグネット70の磁界方向変化を検出すると、ノブ部41がロータリ操作されたことを通知すべく、例えばHレベルの信号を電源ECU26に出力する。
【0057】
次に、本例のワンプッシュエンジンスタートシステムの動作について図10の動作表を基に説明する。
ここで、まずは電子キー2を所持したユーザが車両ドアを開けて車内に乗車する場合を想定する。照合ECU5は、カーテシスイッチ30でドア開を検出すると、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信して、車内照合を実行する。そして、照合ECU5は、車内照合が成立したことを確認すると、例えば自身のメモリ17に車内照合成立フラグを立てるなどして、車内照合が成立したことを認識する。照合ECU5は、車内照合が成立したことを確認すると、例えば車内LAN10を介して電源ECU26に起動開始要求を送って、それまで待機状態をとっていた電源ECU26を起動させる。
【0058】
なお、電源ECU26は、例えば車載バッテリが切れて電気が全く供給されていない停止状態と、車載バッテリと電気的に接続された状態をとって少なくとも車内照合の成立のみは確認可能な待機状態と、各リレー27〜29やソレノイド46やノブ光源51を駆動可動な起動状態との3状態をとる。電源ECU26は、待機状態をとるときに電源ECU26から起動開始要求を受け付けて起動状態を新たにとると、まずは車両1の電源状態を電源オフ状態に設定する。即ち、電源ECU26は、自身が起動状態をとるものの、3つのリレー27〜29については全てオフのままで維持する。
【0059】
また、電源ECU26は、このようにして車両1の電源状態を電源オフ状態に設定した際、このときの電源状態が何であるのかをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、ノブポジションをノーマルポジションに設定する。なお、電源ECU26は、自身が待機状態をとっているとき、スイッチノブ23をノーマルポジションに位置させているので、電源状態を電源オフ状態に設定したとき、スイッチノブ23をこれまでの位置状態、つまりノーマルポジションの位置で保持する。このとき、電源ECU26は、ソレノイド46をプッシュ状態にして可動レバー47のストッパ48を奥に押し出し、ノブ収納部39の奥に入り込んだホルダ部40がノブ付勢部材43の付勢力で手前側に飛び出すことをこのストッパ48で規制する。これにより、スイッチノブ23がノーマルポジションに位置し、電源状態がオフ状態であることがスイッチノブ23の位置によりユーザに通知される。
【0060】
また、電源ECU26は、その時々の電源状態が何であるのかを、スイッチノブ23のノブポジションだけでなく、ノブ照明部50の照明によってもユーザに通知する。電源ECU26は、車両1の電源状態を電源オフ状態に設定した際、このときの電源状態が電源オフ状態であることをノブ照明部50でもユーザに通知すべく、ノブ照明部50を消灯させる。なお、電源ECU26は、自身が待機状態をとっているとき、ノブ照明部50を消灯させているので、車両1の電源状態を電源オフ状態に設定した際、ノブ照明部50をそのままの消灯状態で維持する。
【0061】
続いて、停止状態にあるエンジン21を稼働状態に切り換えるべく、車両1に乗り込んだ運転者により、ブレーキペダルが踏み込まれた状態でスイッチノブ23が1回プッシュ操作されたとする。電源ECU26は、第1磁気センサ69のセンサ出力からスイッチノブ23のプッシュ操作を検出すると、ブレーキペダルが踏み込み操作されていることを条件に、車両1の電源状態をエンジンスタート状態に遷移させる。このとき、電源ECU26は、プッシュ操作の検出タイミングで照合ECU5に照合結果を確認しにいき、照合ECU5から車内照合成立済みの確認結果を受け付けると、3つのリレー27〜29を全てオンして、エンジンECU24に電源を供給しつつスタータモータを回転させる。よって、エンジン21がそれまでの停止状態から稼働状態に切り換わる状態をとり、車両1の運転操作が可能となる。
【0062】
電源ECU26は、車両1の電源状態をエンジンスタート状態に設定した際、このときの電源状態がエンジンスタート状態であることをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、スイッチノブ23のノブポジションをポップアップポジションに切り換える。このとき、電源ECU26は、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でソレノイド46をプル状態にして可動レバー47のストッパ48を手前に引き込み、このストッパ48によるホルダ部40の位置規制を解除する。これにより、スイッチノブ23がノブ付勢部材43の付勢力によって手前側に飛び出し、スイッチノブ23のノブ軸方向中間位置に形成された段部40aがノブガイド44に当接してそれ以上の飛び出しが規制されて、スイッチノブ23がポップアップポジションに位置する。よって、車両1の電源状態がエンジンスタート状態にあることがスイッチノブ23のノブポジションにより通知される。なお、電源状態が電源オフ状態からエンジンスタート状態に切り換わっても、電源ECU26はノブ照明部50を消灯状態のままで維持する。
【0063】
また、車両1がエンジン稼働状態のとき、稼働状態のエンジン21を停止させるべく、シフトレバーのレンジ位置を駐車レンジとした状態で、ポップアップポジションのスイッチノブ23が1回プッシュ操作されたとする。電源ECU26は、第1磁気センサ69のセンサ出力からスイッチノブ23のプッシュ操作を検出すると、シフトレバーが駐車レンジにあることを条件に、車両1の電源状態をエンジンスタート状態から元の電源オフ状態に切り換える。このとき、電源ECU26は、プッシュ操作の検出タイミングで3つのリレー27〜29を全てオフ状態に切り換えて、車載アクセサリや電装品に電源が供給されないようにする。
【0064】
電源ECU26は、このように車両1の電源状態を電源オフ状態に戻した際、このときの電源状態が電源オフ状態に戻ったことをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、スイッチノブ23を元のノーマルポジションに切り換える。このとき、電源ECU26は、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でソレノイド46をプッシュ状態にして可動レバー47のストッパ48を奥に押し込み、このストッパ48でホルダ部40をノブ付勢部材43の付勢力に抗して奥に押し込むことにより、スイッチノブ23の飛び出しをストッパ48で位置規制する。これにより、スイッチノブ23がそれまでのポップアップポジションからノーマルポジションに切り換わり、車両1の電源状態が電源オフ状態に戻されたことがスイッチノブ23のノブポジションによりユーザに通知される。なお、電源状態がエンジンスタート状態から電源オフ状態に切り換わっても、電源ECU26はノブ照明部50を消灯状態のままで維持する。
【0065】
ここで、車両走行中に例えば車両1に火災が発生したり、或いはエンジン21がオーバーヒートしたりして、エンジン21を直ぐに緊急停止したい状況になった場合を想定する。ところで、車両1がエンジン稼働状態、即ち電源状態がエンジンスタート状態のときには、スイッチノブ23がポップアップポジションをとってノブ部41が把持可能となっているので、スイッチノブ23をロータリ操作することが可能である。よって、この緊急時、ユーザはノブ部41を摘んで一方向(図8の紙面で反時計回り方向)にロータリ操作する。
【0066】
電源ECU26は、第2磁気センサ71のセンサ出力からスイッチノブ23(ノブ部41)のロータリ操作を検出すると、スイッチノブ23のプッシュ操作による通常時のエンジン停止条件とは無関係に、ノブ部41のロータリ操作検出時点で3つのリレー27〜29を全てオフにして、稼働中のエンジン21を強制停止する。即ち、エンジン稼働中にノブ部41がロータリ操作された際、シフトレバーが駐車レンジ(Pレンジ)のレンジ位置をとっていなくても、3つのリレー27〜29を全てオフして稼働中のエンジン21を強制停止する。これにより、直ぐにエンジン21を停止に切り換えることが可能となるので、もし仮に車両1に火災が発生したり或いはオーバーヒートが発生したりしても、迅速な対応をとることが可能となり、被害を最小限に食い止めることが可能となる。
【0067】
このときのノブ部41のロータリ操作は、節度ピース63が節度付勢部材65の付勢力に抗して節度ピース穴64の奥に入り込みながら節度ピース63が節度山66の斜面を登ることにより、ノブ部41のロータリ動作が許容される。なお、このロータリ操作の際、ノブ部41の周縁に位置する係止爪60が当接部68に当接するとそれ以上のロータリ操作が不許可とされ、ノブ部41が最大ロータリ操作位置で操作制限される。そして、ノブ部41を最大ロータリ操作位置に位置した後、ノブ部41から手を離すと、節度山66の傾斜を登り切った節度ピース63が今度は節度付勢部材65の付勢力により節度山66の斜面を下る動きをとって、ノブ部41が逆方向に回動し、節度ピース63が節度谷67に入り込むとノブ部41がロータリ操作前の初期位置に復帰する。
【0068】
電源ECU26は、3つのリレー27〜29を全てオフ状態に切り換えることにより、稼働中のエンジン21を強制停止した際、このときの電源状態が電源オフ状態に戻ったことをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、それまでポップアップポジションをとっていたスイッチノブ23をノーマルポジションに戻す動作をとる。このとき、電源ECU26は、電源状態切り換えタイミング(ロータリ操作の検出タイミング)でソレノイド46をプッシュ状態にして、スイッチノブ23を元のノーマルポジションに切り換える。また、電源ECU26は、電源状態がエンジンスタート状態から強制的に電源オフ状態に切り換えても、ノブ照明部50を消灯状態のままで維持する。
【0069】
また、スイッチノブ23を所定量だけ周囲から飛び出させるスイッチノブポップアップ機能は、車両1の電源状態(電源ポジション)の遷移操作のときに電源状態が電源オン状態(ACCオン状態、IGオン状態)をとった際、スイッチノブ23がポップアップ状態をとることを以て、電源状態が電源オン状態をとっていることをユーザに通知する電源オン状態通知機能としても使用されている。この電源オン状態通知機能では、電源状態が電源オフ状態をとるとき、スイッチノブ23がノーマルポジションをとり、電源状態が電源遷移操作の過程で電源オン状態をとるとき、スイッチノブ23がポップアップポジションをとって、電源状態が電源オン状態にあることをユーザに通知する。
【0070】
例えば、車両1の電源状態がオフ状態にある際、車両1の電源状態を次段の状態、つまりACCオン状態に遷移させるべく、ブレーキペダルが踏み込み操作されずにスイッチノブ23のみが1回プッシュ操作されたとする。電源ECU26は、電源状態が電源オフ状態のときに第1磁気センサ69のセンサ出力からスイッチノブ23のプッシュ操作を検出すると、ブレーキペダルが踏み込み操作されていないことを条件に、車両1の電源状態を次のACCオン状態に遷移させる。このとき、電源ECU26は、プッシュ操作の検出タイミングで照合ECU5に照合結果を確認しにいき、照合ECU5から車内照合成立済みの確認結果を受け付けると、3つのリレー27〜29のうちACCリレー27をオン状態に切り換えて、車両1の電源状態をACCオン状態に切り換える。これにより、車載アクセサリに電源が供給され、例えばカーオーディオ等の車載アクセサリが使用可能となる。なお、電源ECU26が照合ECU5に照合結果を確認しにいったとき、照合ECU5が照合成立済みの照合結果を得ていない場合、照合ECU5は車内照合を今一度実行して車内照合成立可否を確認する。
【0071】
また、電源ECU26は、車両1の電源状態をACCオン状態に設定した際、このときの電源状態がACCオン状態(即ち、電源オン状態)であることをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、ノブポジションをポップアップポジションに切り換える。このとき、電源ECU26は、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でソレノイド46をプル状態にして、スイッチノブ23をそれまでのノーマルポジションからポップアップポジションに切り換える。よって、車両1の電源状態がACCオン状態にあることがスイッチノブ23のノブポジションにより通知される。なお、電源状態がACCオン状態にあるときにスイッチノブ23をロータリ操作することによっても、電源状態を強制的に電源オフ状態に切り換え可能である。
【0072】
電源ECU26は、車両1の電源状態をACCオン状態に設定した際、このときの電源状態がACCオン状態にあることをノブ照明部50でもユーザに通知すべく、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でノブ光源51をそれまでの消灯状態から点灯状態に切り換える。このとき、スイッチノブ23はポップアップポジションをとるので、ノブ照明部50がノブ収納部39から飛び出して露出する状態をとる。よって、ノブ光源51からライトガイド52を伝ってノブ照明部50まで至った光は、ノブ周囲から一段高く持ち上がったスイッチノブ23のノブ全周からノブ外部に露光する状態をとる。これにより、車両1の電源状態がACCオン状態にあることがノブ照明部50の照明によってもユーザに通知される。
【0073】
続いて、車両1の電源状態がACCオン状態にある際、車両1の電源状態を次段の状態、つまりIGオン状態に遷移させるべく、ブレーキペダルが踏み込み操作されずに、ポップアップポジションのスイッチノブ23のみが1回プッシュ操作されたとする。電源ECU26は、電源状態がACCオン状態のときに第1磁気センサ69のセンサ出力からスイッチノブ23のプッシュ操作を検出すると、ブレーキペダルが踏み込み操作されていないことを条件に、車両1の電源状態を次のIGオン状態に遷移させる。このとき、電源ECU26は、プッシュ操作の検出タイミングで3つのリレー27〜29のうちACCリレー27及び第1IGリレー28をオン状態に切り換えて、車両1の電源状態をIGオン状態に切り換える。これにより、車両ボディ系や走行系の各種電装品に電源が供給され、例えばパワーウインドウ等の電装品が使用可能となる。
【0074】
また、電源ECU26は、車両1の電源状態をIGオン状態に設定した際、このときの電源状態がIGオン状態(即ち、電源オン状態)であることをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、ノブポジションをポップアップポジションとする。なお、IGオン状態の1つ前の電源状態がACCオン状態の場合、スイッチノブ23はポップアップポジションをとっているので、電源ECU26はスイッチノブ23のノブポジションをポップアップポジションのままで維持する。また、電源ECU26は、車両1の電源状態をIGオン状態に設定した際、このときの電源状態がIGオン状態であることをノブ照明部50でも通知すべく、ノブ照明部50を点灯状態とする。なお、IGオン状態の1つ前の電源状態がIGオン状態の場合、ノブ照明部50は既に点灯状態をとっているので、電源ECU26はノブ照明部50を点灯状態のままで維持する。また、電源状態がIGオン状態にあるときにスイッチノブ23をロータリ操作することによっても、電源状態を強制的に電源オフ状態に切り換え可能である。
【0075】
さらに、車両1の電源状態がIGオン状態にある際、車両1の電源状態を次段の状態、つまり電源オフ状態に遷移させるべく、ブレーキペダルが踏み込み操作されずに、ポップアップポジションのスイッチノブ23のみが1回プッシュ操作されたとする。電源ECU26は、電源状態がIGオン状態のときに第1磁気センサ69のセンサ出力からスイッチノブ23のプッシュ操作を検出すると、ブレーキペダルが踏み込み操作されていないことを条件に、車両1の電源状態を次の電源オフ状態に遷移させる。このとき、電源ECU26は、プッシュ操作の検出タイミングで3つのリレー27〜29を全てオフ状態に切り換えて、車載アクセサリや電装品に電源が供給されないようにする。
【0076】
また、電源ECU26は、車両1の電源状態を電源オフ状態に設定した際、このときの電源状態が電源オフ状態に戻ったことをスイッチノブ23のポジションでユーザに通知すべく、ポップアップポジションをとっているスイッチノブ23をノーマルポジションに切り換える。このとき、電源ECU26は、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でソレノイド46をプッシュ状態にして可動レバー47のストッパ48を奥に押し込み、このストッパ48でホルダ部40をノブ付勢部材43の付勢力に抗して奥に押し込むことにより、スイッチノブ23の飛び出しをストッパ48で位置規制する。これにより、スイッチノブ23がそれまでのポップアップポジションからノーマルポジションに切り換わり、車両1の電源状態が電源オフ状態に戻されたことがスイッチノブ23のノブポジションによりユーザに通知される。
【0077】
電源ECU26は、車両1の電源状態を電源オフ状態に戻した際、このときの電源状態が電源オフ状態に戻ったことをノブ照明部50でもユーザに通知すべく、電源状態切り換えのタイミング(プッシュ操作の検出タイミング)でノブ光源51をそれまでの点灯状態から消灯状態に切り換える。よって、車両1の電源状態が電源オフ状態にあることがノブ照明部50の照明によってもユーザに通知される。なお、車両1の電源状態が電源オフ状態をとった際には、スイッチノブ23がノーマルポジションをとってノブ照明部50がノブ収納部39に隠れる状態をとるので、ノブ照明部50自体が見えなくなる状態もとる。
【0078】
また、スイッチノブ23を所定量だけ周囲から飛び出させるスイッチノブポップアップ機能は、車内照合が不成立のときにもスイッチノブ23がこのポップアップ状態をとることを以て、代替照合実行要求機能としても使用されている。これは、例えば電子キー2が電池切れになって車内照合(スマート照合)が成立しない場合には、このスマート通信に準じた車内照合に代えてイモビライザー照合でキー照合を実行する必要があり、しかもイモビライザー照合の車両側アンテナであるイモビアンテナ33がエンジンスイッチ22に組み込まれていることから、イモビライザー照合での照合が必要なときにスイッチノブ23をポップアップさせれば、ユーザに電子キー2のかざし行為を誘発させつつ、しかも電子キー2をそのかざし位置に案内できるためである。
【0079】
ここで、代替照合実行要求機能について説明するが、ここでは例えば電子キー2による車外照合で車両ドアの解錠は実行できたものの、車両ドアを開けて乗車する過程で電子キー2が電池切れになって車内照合が成立しない場合を想定する。照合ECU5は、カーテシスイッチ30でドア開を検出すると、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信する動作を開始して、車内照合が成立するか否かを確認する。ここで、この場合は電子キー2が電池切れになっている状況を想定しているので、照合ECU5は車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信しても、本来ならばこのリクエスト信号Srqに応答して返してくるはずのID信号Sidが電子キー2から発信されず、ID信号SidをRF受信機8で受信することができない。
【0080】
照合ECU5は、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信する動作を開始してから一定時間の間に、ID信号SidをRF受信機8で受信することができなければ、車内照合が不成立であると認識する。照合ECU5は、車内照合が不成立であることを確認すると、車内LAN10を介して車内照合不成立通知を電源ECU26に出力する。電源ECU26は、この車内照合不成立通知を受け付けると、待機状態から起動状態に切り換わり、電子キー2のかざし位置をユーザに通知する動作を実行する。
【0081】
このとき、電源ECU26は、ソレノイド46をそれまでのプッシュ状態からプル状態に切り換えて、スイッチノブ23をそれまでのノーマルポジションからポップアップポジションに切り換える。また、電源ECU26は、照合ECU5から車内照合不成立通知を受け付けた際、それまで消灯状態をとっていたノブ照明部50を点滅状態に切り換える。よって、スイッチノブ23がポップアップポジションをとることと、ノブ照明部50が点滅状態をとることとを以て、車内照合の代替照合をイモビライザー照合で行わなくてはいけないことと、このときの電子キー2のかざし位置とがユーザに通知される。よって、ユーザは電子キー2が電池切れになって車内照合が成立せずイモビライザー照合でキー照合を実行しなければいけないことを直ぐに気付き、しかも電子キー2のかざす位置が直ぐに分かることになる。なお、このときの車両1の電源状態は、3つのリレー27〜29が全てオフをとる電源オフ状態のままで維持される。
【0082】
電源ECU26は、この電子キーかざし位置通知(スイッチノブポップアップ及び照明点滅)に制限時間を持ち、この通知を開始してからの経過時間を自身のタイマ72により計時する。そして、電源ECU26は、タイマ72の経過時間が一定時間を超えてタイムアップするとこの通知動作を終了する。このとき、電源ECU26は、ソレノイド46をこれまでのプル状態から元のプッシュ状態に切り換えて、可動レバー47のストッパ48でホルダ部40の規制部49をノブ付勢部材43の付勢力に抗して奥に押し込んで、スイッチノブ23を元のノーマルポジションに復帰させる。また、電源ECU26は、スイッチノブ23のノーマルポジションへの復帰とともに、ノブ照明部50をそれまでの点滅状態から消灯状態に切り換える。
【0083】
また、電源オン状態通知機能には、電源状態がACCオン状態やIGオン状態の電源オン状態をとった際、車載バッテリ上がり対策として電源オン状態のままの放置を防止すべく、電源オン状態が一定時間を経過した場合に、電源状態を元の電源オフ状態に強制的に戻す電源強制オフ機能が設けられている。この場合、電源ECU26は、電源状態がACCオン状態又はIGオン状態をとってからの経過時間を、自身のタイマ72により計時する。そして、電源ECU26は、タイマ72の経過時間が一定時間を超えてタイムアップしたことを認識すると、車両1の電源状態を元の電源オフ状態に強制的に戻しつつノブ照明部50を消灯して、車載バッテリの省エネルギー化を図る。
【0084】
電源ECU26は、電源強制オフ機能により電源状態を電源オフ状態に強制切り換えした際、電源状態は電源オフに切り換えてノブ照明部50は消灯に戻すものの、スイッチノブ23のノブポジションはACCオン状態やIGオン状態のときにとっていたポップアップポジションを継続してとる。これは、この後にユーザが取り得る動作として、運転者が車両ドアを開けて降車した際に行われる車内照合が不成立になることと、エンジンスイッチ22が再操作されることとが想定されるので、これらの場合は両方ともスイッチノブ23がポップアップポジションをとる動作であるから、そのままの状態を維持するようにしている。
【0085】
さて、本例においては、スイッチノブ23を通常位置であるノーマルポジションからポップアップポジションに飛び出し可能とするとともに、しかもポップアップポジションをとるときのスイッチノブ23をロータリ操作可能として、このロータリ操作に電源状態強制オフ用(エンジン緊急停止用)のスイッチ機能を割り当てた。このため、例えば車両走行中に火災が発生したり或いはオーバーヒートしたりしたときなどエンジン21を緊急停止したい場合には、スイッチノブ23を単に1回ロータリ操作するだけのスイッチ操作で済むので、エンジン緊急停止の際にユーザに科すスイッチ操作を操作性の高いものとすることが可能となる。
【0086】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車両1の電源状態が電源オン状態をとるときにポップアップポジションに位置させ、このポップアップポジションをとるときのスイッチノブ23をロータリ操作可能として、このときのロータリ操作に電源状態強制オフ用のスイッチ機能を割り当てた。このため、ポップアップポジションをとるスイッチノブ23をただ単にロータリ操作するという簡単な操作によってエンジン21を緊急停止することができる。
【0087】
(2)エンジンスイッチ22のロータリ操作に電源状態強制オフ用のスイッチ機能を割り当てた。このため、車両走行中に運転者が車両火災等の危険に晒されても、スイッチノブ23のロータリ操作によってエンジン21を直ぐに停止して被害を最小限に食い止められるので、高い安全性を確保することができる。
【0088】
(3)車両1の電源状態が電源オン状態をとるときに、スイッチノブ23はポップアップ状態をとるので、車両1の電源状態が電源オフ状態のときには、ノーマルポジションをとってノブ収納部39に収まる状態をとる。よって、電源状態が電源オフ状態のとき、スイッチノブ23が外部に飛び出さないので、スイッチノブ23が邪魔にならずに済む。また、このように電源状態が電源オン状態のときにスイッチノブ23がポップアップポジションをとれば、電源状態が電源オン状態にあることをスイッチノブ23のノブ位置によりユーザに通知することができる。
【0089】
(4)スイッチノブ23がポップアップポジションをとった際、車両1の電源状態が電源オン状態(ACCオン状態、IGオン状態)をとるときには、この旨がスイッチノブ23のノブポジションのみならず、ノブ照明部50の照明によっても通知される。このため、スイッチノブ23がポップアップポジションをとっていることを、より確実にユーザに通知することができる。
【0090】
(5)スイッチノブ23で電源状態を切り換える際、この切り換え操作には車内照合(スマート照合)の成立が条件となっているので、車内照合が成立していなければ、スイッチノブ23をプッシュ操作しても電源状態が切り換わらない。このため、電源状態の切り換え操作が第三者により不正に実行されてしまう状況を生じ難くすることが可能となり、車両1の不正使用ひいては車両盗難に対してセキュリティ性の高いものとすることができる。
【0091】
(6)スイッチノブポップアップ機能は、車内照合が不成立のときにもスイッチノブ23がこのポップアップ状態をとってその旨を通知する代替照合実行要求機能としても使用される。このため、例えば電子キー2が電池切れになって車内照合が成立しない場合、スイッチノブ23をポップアップポジションにするというユーザが気付き易い形式で、車内照合が不成立の旨を通知することができる。また、このときのスマート照合不成立時の代替照合として使用されるイモビライザー照合の車両側アンテナ(イモビアンテナ33)はエンジンスイッチ22に組み込まれているので、スイッチノブ23がポップアップポジションをとれば、電子キー2のかざし場所をユーザに案内できることにもなる。
【0092】
(7)スイッチノブポップアップ機能には、電源状態がACCオン状態やIGオン状態の電源オン状態をとった際、電源オン状態が一定時間を経過した場合に、電源状態を元の電源オフ状態に強制的に戻す電源強制オフ機能が設けられている。よって、電源状態を電源オフ状態に切り忘れて降車した場合であっても、電源状態を強制的にオフ状態に切り換えることができる。
【0093】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ スイッチノブ23のロータリ操作に割り当てる緊急操作用のスイッチ機能は、必ずしも電源オフ状態への切り換え機能に限定されない。即ち、エンジンスイッチ22がスイッチノブ23のプッシュ操作方向に持つスイッチ機能(ACCオン状態への切り換え、IGオン状態への切り換え、エンジンスタート状態への切り換え)の一機能であれば、どれを採用してもよい。
【0094】
・スイッチノブ23は、必ずしも一方向にのみロータリ操作可能であることに限定されず、ノブ軸回りに両方向にロータリ操作可能としてもよい。この場合、左右の各々のロータリ操作に割り当てる緊急操作用のスイッチ機能を異ならせてもよく、例えば一方のロータリ操作方向に、電源オフ状態への切り換えスイッチ機能を割り当て、一方のロータリ操作方向にACCオン状態への切り換えスイッチ機能を割り当てることも可能である。
【0095】
・ スイッチノブ23は、必ずしも通常操作がプッシュ操作で、緊急操作がロータリ操作をとることに限定されない。例えば、通常操作をスイッチノブ23の横方向のスライド操作とし、緊急操作をスイッチノブ23の倒し操作とするなど、スイッチノブ23の操作方向は適宜変更可能である。また、例えば通常操作をスイッチノブ23のロータリ操作とし、緊急操作をスイッチノブ23の横方向のスライド操作としてもよい。
【0096】
・ スイッチノブ23が持つ2操作は、必ずしもプッシュ操作及びロータリ操作であることに限らず、例えばスイッチノブ23を横方向に動かすスライド操作や、スイッチノブ23を傾き操作する傾倒操作でもよい。
【0097】
・ スイッチノブ23が持つ2操作の組み合わせは、必ずしもプッシュ操作及びロータリ操作の組み合わせに限らず、プッシュ操作、ロータリ操作、スライド操作、傾倒操作の各操作を適宜組み合わせることが可能である。
【0098】
・ スイッチノブ23をポップアップポジションとする際、ノブ照明部50を点灯状態とするが、このときの点灯は必ずしも同色であることに限定されない。例えば、基板45に発光色の異なる複数のLEDを取り付け、ACCオン状態及びIGオン状態とで、発光させるLEDを切り換えることで、照明色を異ならせてもよい。この場合、電源状態(電源オン状態の種類)をより容易に認識することができる。
【0099】
・ ノブ照明部50は、ノブ光源が必ずしもLEDであることに限らず、例えばランプを使用してもよい。また、ノブ光源51の光がノブ外部に直接放射可能であれば、ライトガイド52は省略してもよい。
【0100】
・ ノブ照明部50の点灯状態は、電源状態が電源オフ状態及びエンジンスタート状態のときに消灯状態をとり、電源状態がACCオン状態及びIGオン状態をとるときに点灯状態をとる点灯形式に限定されない。例えば、電源状態が電源オフ状態のときにのみノブ照明部50が消灯したり、或いは電源状態が電源オフ状態のときにのみノブ照明部50が点灯したりするなど、種々の点灯方式が採用可能である。
【0101】
・ ノブ照明部50は、必ずしも継続して光る点灯状態をとることに限定されず、例えば点滅状態をとってもよい。
・ ノブ照明部50の形状は、必ずしもノブ周囲前面が光る形状に限らず、少なくともノブ周囲の一部から光が出るものであればよい。また、ノブ照明部50は、必ずしもノブ周囲が光るものに限らず、ノブ表面(前面)の全体又は一部が光るものでもよい。
【0102】
・ ノブ位置切換機構35の駆動源(アクチュエータ)は、必ずしもソレノイドに限定されず、例えばモータを使用してもよい。即ち、ノブ位置切換機構35は、実施形態に記載の構造のものに限定されず、プッシュ操作後のスイッチノブ23を元の操作開始位置に戻すことができるものであれば、機構種類は特に限定されない。
【0103】
・ ソレノイド46は、必ずしもノブ付勢部材43の付勢力に抗してスイッチノブ23を奥に押し込める、つまりスイッチノブ23をノーマルポジションに復帰させ得る駆動力を持つものでなくてもよい。この場合、車内照合不成立をポップアップポジションのスイッチノブ23で通知した際、この通知完了後、ノブポジションを元のノーマルポジションに戻すことができないが、スイッチノブ23がポップアップポジションのままの状態をとっていれば、この位置状態により、車内照合が前回成立しなかったことを通知することができる。
【0104】
・ ロータリ側モーメンタリ機構62は、ピースが節度の谷に入り込もうとする力を利用した節度機構であることに限定されず、ロータリ操作後のスイッチノブ23を元の操作開始位置に戻すことができるものであれば、機構種類は特に限定されない。
【0105】
・ スイッチノブ23のプッシュ操作有無を見る検出系は、必ずしも磁気センサに限定されず、例えば光センサを使用してもよい。また、この種の検出系は、磁気センサや光センサ等の無接点式に限らず、マイクロスイッチ等の有接点式を採用してもよい。
【0106】
・ 電源遷移機能で電源オフ状態の次段以降の電源状態は、必ずしもACCオン状態及びIGオン状態の2状態を持つことに限らず、これらを1状態に集約してもよい。
・ スイッチノブ23の電源状態切り換え操作の実行条件は、電子キーシステム3のキー照合成立を条件としているが、このキー照合は必ずしも車内照合に限らず、例えば車外照合を適用してもよい。また、スイッチノブ23の電源状態切り換え操作の実行条件は、必ずしもこの種の電子キーシステム3のキー照合成立を条件とすることに限らず、例えば生体認証等の他の照合(認証)を採用してもよい。
【0107】
・ 車両1の電源状態が電源オン状態であることをスイッチノブ23のノブポジション以外で視覚的に報知する場合、これは必ずしもスイッチノブ23に設けたノブ照明部50で実行することに限定されない。例えば、この種の視覚的報知を運転席のインストルメントパネルで表示してもよい。
【0108】
・ 車両1の電源状態が電源オン状態であることをスイッチノブ23のポジション以外で通知する場合、こればノブ照明部50による視覚的報知に限定されない。この報知は、例えば音声などの聴覚的報知を採用してもよい。
【0109】
・ スイッチノブ23による電源状態の切り換え操作は、必ずしもプッシュ操作に限定されず、例えばロータリ操作としてもよい。この場合、スイッチノブ23をロータリ操作して電源状態が電源オン状態をとったとき、スイッチノブ23がポップアップポジションに切り換わる動きをとる。
【0110】
・ 電源オン状態通知機能は、必ずしもエンジン始動操作系のスイッチに設けることに限らず、車内の各種スイッチに適用可能である。また、電源オン状態通知機能の搭載先は、必ずしも車両に限定されず、操作スイッチを持つ各種機器や装置としてもよいことは言うまでもない。
【0111】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜8のいずれかにおいて、前記操作スイッチは、前記物品としての車両に設置された車載電気部品の電源状態を切り換えるときに操作する車両電源状態切り換え用スイッチである。この構成によれば、操作スイッチを車両電源状態切り換え用スイッチとしたので、車両に搭載された各種操作スイッチに本例の技術を適用することが可能となる。
【0112】
(2)請求項2〜8のいずれかにおいて、前記エンジン始動停止用スイッチは、車両に搭載された各種車載電装品に電源が供給されていない前記電源オフ状態と、前記エンジンが始動状態とはなっていないものの前記各種車載電装品の一部品に電源を供給するときの電源状態である第1電源オン状態と、前記エンジンを始動状態とするときの電源状態である第2電源状態との間で、前記電源状態を択一的に切り換え可能である。この構成によれば、エンジン始動停止用スイッチを操作することにより、車両の電源状態を電源オフ状態、第1電源オン状態及び第2電源オン状態の間で自由に選択切り換えすることが可能となる。
【0113】
(3)請求項1〜8、前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記他操作方向動作許容機構は、前記ポップアップポジションにある前記スイッチノブをノブ軸回りに回動操作可能とする。
【0114】
(4)請求項2〜8、前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記エンジン始動停止用スイッチは、前記スイッチノブのスイッチ操作の度に電源状態が次段に順次切り換わる電源遷移機能が割り当てられ、前記ノブ軸方向位置切換機構は、前記電源遷移の操作過程で前記電源状態が前記電源オン状態をとるときに、前記スイッチノブの位置をそれまでの前記初期ポジションから前記変位ポジションに切り換える。この構成によれば、電源遷移の操作過程で電源状態が電源オン状態をとる場合、その旨がスイッチノブの位置により通知される。このため、電源遷移機能に則って電源状態を切り換える際に、どの状態のときに電源状態が電源オン状態をとっているのかを直ぐに気付くことが可能となる。
【0115】
(5)請求項1〜8、前記技術的思想(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記ノブ軸方向位置切換機構は、前記スイッチノブのモーメンタリ機能を満たす付勢部材の付勢力によって元の操作開始のポジションに戻ろうとする当該スイッチノブの位置規制の場所を切り換えることにより、前記スイッチノブのノブ軸方向位置を切り換える。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】一実施形態における電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】ノブがノーマルポジションをとるときのエンジンスイッチの断面図。
【図3】ノブがポップアップポジションをとるときのエンジンスイッチの断面図。
【図4】ノブがプッシュ操作されたときのエンジンスイッチの断面図。
【図5】ノブがロータリ操作されたときのエンジンスイッチの断面図。
【図6】ノブがノーマルポジションをとるときのエンジンスイッチ周辺の斜視図。
【図7】ノブがポップアップポジションをとるときのエンジンスイッチ周辺の斜視図。
【図8】ノブがロータリ操作されたときのエンジンスイッチ周辺の斜視図。
【図9】図5のII−II線断面図。
【図10】電源状態とスイッチノブポジションとの関係を示す表。
【符号の説明】
【0117】
1…物品としての車両、2…電子キー、5…照合手段及び許可手段を構成する照合ECU、6,7…照合手段を構成するLF発信機、8…照合手段を構成するRF受信機、21…エンジン、22…操作スイッチ(エンジン始動停止用スイッチ)としてのエンジンスイッチ、23…スイッチノブ、26…スイッチ機能割当手段を構成する電源ECU、35…ノブ軸方向位置切換機構としてのノブ位置切換機構、50…連動通知手段としてのノブ照明部、57…他操作方向動作許容機構としてのノブ回転機構、70…スイッチ機能割当手段を構成するマグネット、71…スイッチ機能割当手段を構成する第2磁気センサ、L…ノブ軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチノブがモーメンタリ式をとる操作スイッチの操作を監視し、前記スイッチノブが通常の操作方向において持つスイッチ機能には、当該スイッチノブの操作対象である物品の電源状態を、複数の電源状態の中から特定の一状態に択一的に選択可能な選択機能が設けられ、当該スイッチノブが前記通常の操作方向に操作された際には、前記選択機能によりそのときの要求操作に応じた電源状態に前記物品の電源状態を切り換える電源状態切換装置において、
前記通常の操作方向の操作を許容した状態で、前記スイッチノブをノブ軸方向において位置切り換え可能なノブ軸方向位置切換機構と、
前記ノブ軸方向位置切換機構によりポップアップポジションに位置する前記スイッチノブを、前記通常の操作方向とは向きが異なる他操作方向に操作可能とする他操作方向動作許容機構と、
前記ポップアップポジションのスイッチノブが前記他操作方向において持つスイッチ機能を、当該スイッチノブが前記通常の操作方向において持つ複数のスイッチ機能の中の一機能の緊急操作用として割り当てるスイッチ機能割当手段と
を備えたことを特徴とする電源状態切換装置。
【請求項2】
前記操作スイッチは、前記物品としての車両のエンジンを始動又は停止するときに操作するエンジン始動停止用スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の電源状態切換装置。
【請求項3】
前記スイッチノブが前記通常の操作方向において持つスイッチ機能には、前記エンジンが始動状態とはなっていないものの各種車載電装品の中の一部品に電源を供給するときの電源状態である第1電源オン状態への切り換えスイッチ機能と、前記エンジンを始動状態とするときの電源状態である第2電源オン状態への切り換えスイッチ機能と、車両が停止状態とすべく前記各種車載電装品に電源を供給しない電源オフ状態への切り換えスイッチ機能とが割り当てられ、
前記スイッチ機能割当手段は、前記ポップアップポジションの前記スイッチノブが前記他操作方向に持つスイッチ機能を、当該スイッチノブが前記通常の操作方向において持つ前記各スイッチ機能のうちの一機能の緊急操作用として割り当てることを特徴とする請求項2に記載の電源状態切換装置。
【請求項4】
前記スイッチ機能割当手段は、前記ポップアップポジションの前記スイッチノブが前記他操作方向において持つスイッチ機能を、前記電源オフ状態への切り換えスイッチ機能の緊急操作用として割り当てることを特徴とする請求項3に記載の電源状態切換装置。
【請求項5】
前記ノブ軸方向位置切換機構は、電源状態が電源オン状態をとる際、前記スイッチノブの位置をそれまでの初期ポジションから前記ポップアップポジションに位置切り換えすることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電源状態切換装置。
【請求項6】
前記スイッチノブが前記ポップアップポジションをとったとき、その旨を前記スイッチノブの位置と連動して通知する連動通知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電源状態切換装置。
【請求項7】
キーコードを無線発信可能な電子キーから受信したキーコードと、前記物品に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を実行する照合手段と、
前記照合手段のキー照合が成立すれば、前記スイッチノブによる前記電源状態の切り換え操作を許可する許可手段と
を備えたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電源状態切換装置。
【請求項8】
前記ノブ軸方向位置切換機構は、前記照合手段のキー照合が成立しなかったとき、前記スイッチノブを前記ポップアップポジションに位置させて、キー照合不成立の旨を前記スイッチノブの位置により通知することを特徴とする請求項7に記載の電源状態切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−48106(P2010−48106A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210951(P2008−210951)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】