説明

電源装置および車両

【課題】二次電池の充電後のシステム起動時にセンサの製造誤差や温度特性により二次電池が過充電であると判定されてしまうのを抑止する。
【解決手段】高圧バッテリを充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、モータ等を駆動しなくても最低限の電力消費により過電圧センサの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値から減じるのに要する時間として予め設定された所定時間が経過するまでは、昇圧コンバータをシャットダウンして高圧バッテリの充電を抑止し、過電圧センサからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリの過充電の判定は行なわない(S240〜S310)。これにより、充電後のシステム起動時に高圧バッテリが過充電と誤判定されるのを抑止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および車両に関し、詳しくは、駆動システムと電力のやりとりを行なう二次電池を備える電源装置およびこうした電源装置を搭載する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電源装置としては、複数の電池ブロックからなる組電池と、外部電源からの電力を用いて組電池を充電する充電装置とを備え、複数の電池ブロックのうちSOCが最も大きい電池ブロックのSOCに基づいて充電許容電力を導出し、この導出した充電許容電力が外部電源からの供給電力実績値以下となったときに組電池の充電を終了するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、組電池の電池ブロック間の特性ばらつきに起因して電池ブロックが過充電される可能性がある場合には、直ちに充電を終了することにより、組電池の過充電を確実に抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−044930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電源装置では、組電池を充電した後にシステム起動したときには過充電と判定される場合がある。二次電池の過充電の判定は、二次電池の開放端子電圧が過充電と判定できる過充電判定電圧以上となるときに行なわれることが多いが、過充電を判定する電圧センサには製造誤差や温度特性があるため、二次電池の充電を完了したときの温度とシステム起動したときの温度が異なると、電圧センサの温度特性により、二次電池の充電完了時には過充電と判定されないにも拘わらずその後のシステム起動時に過充電と判定されてしまう場合が生じる。
【0005】
本発明の電源装置および車両は、二次電池の充電後のシステム起動時にセンサの製造誤差や温度特性により二次電池が過充電であると判定されてしまうのを抑止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源装置および車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電源装置は、
駆動システムと電力のやりとりを行なう二次電池を備える電源装置であって、
前記二次電池の電圧が予め定めた判定電圧以上である過電圧状態を検出する過電圧状態検出手段と、
前記駆動システムをシステム停止している最中に外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて該二次電池を充電する充電手段と、
前記充電手段により前記二次電池が充電された後に最初に前記駆動システムをシステム起動する充電後システム起動時であるとき、システム起動から所定の条件が成立するまでは前記二次電池が過充電であるか否かの判定は行なわず、該所定の条件が成立した以降に前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されたときに前記二次電池が過充電であると判定する過充電判定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の電源装置では、充電手段により駆動システムが停止している最中に外部電源からの電力を用いて二次電池が充電された後に最初に駆動システムをシステム起動する充電後システム起動時であるときには、システム起動から所定の条件が成立するまでは二次電池が過充電であるか否かの判定は行なわず、所定の条件が成立した以降に過電圧状態検出手段により二次電池の電圧が判定電圧以上である過電圧状態が検出されたときに二次電池が過充電であると判定する。即ち、充電手段により二次電池が充電された後に最初に駆動システムをシステム起動するときには、システム起動から所定の条件が成立するまでは、二次電池の過充電の判定は行なわないようにするのである。これにより、過電圧状態検出手段の製造誤差や温度特性による検出精度によって二次電池の充電完了時には過充電は判定されないがその後のシステム起動時に過充電が判定されてしまうのを抑止することができる。ここで、「過電圧状態」は、二次電池の電圧が二次電池の過充電を判定するために予め定めた判定電圧以上である状態である、ものとすることもできる。また、「充電手段」は、駆動システムをシステム停止している最中に外部電源に接続されて外部電源からの電力を用いて二次電池の電圧が判定電圧より小さい充電完了電圧となるまで二次電池を充電する手段である、ものとすることもできる。さらに、「充電後システム起動時」は、充電手段により二次電池が充電完了電圧まで充電された後に最初に駆動システムをシステム起動するときである、ものとすることもできる。「過充電判定手段」は、充電後システム起動時ではないときには、過電圧状態検出手段により過電圧状態が検出されたときに二次電池が過充電であると判定する手段である、ものとすることもできる。
【0009】
こうした本発明の電源装置において、前記所定の条件は、前記二次電池の電圧が前記過電圧状態検出手段の検出精度に基づく誤差電圧だけ低下するのに要する時間が経過した条件である、ものとすることもできるし、前記二次電池の電圧が前記過電圧状態検出手段の検出精度に基づく誤差電圧だけ低下するのに要する電力が消費された条件である、ものとすることもできる。こうすれば、二次電池の充電完了後のシステム起動時に二次電池の過充電の判定は行なわない範囲を最低限必要な時間にすることができる。ここで、前記二次電池の電圧が前記誤差電圧だけ低下するのに要する時間は、前記駆動システムがシステム起動した状態で最低限の電力消費により前記二次電池の電圧が前記判定電圧から前記誤差電圧だけ低下するのに要する時間である、ものとすることもできる。また、前記二次電池の電圧が前記誤差電圧だけ低下するのに要する電力は、前記駆動システムにより前記二次電池の電圧が前記判定電圧から前記誤差電圧だけ低下するのに要する電力である、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の電源装置において、前記駆動システムと前記二次電池とに介在する昇圧コンバータを備え、前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでは、前記昇圧コンバータをシャットダウンするよう該昇圧コンバータを制御する制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、駆動システムで発電されてもその電力により二次電池が充電されるのを抑止することができる。
【0011】
さらに、本発明の電源装置において、前記充電手段は、前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでに前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されたときには前記充電完了電圧を小さくなるよう補正し、該補正した充電完了電圧まで前記二次電池を充電する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、二次電池の充電完了後のシステム起動時に二次電池の過充電の判定を行なわない間に過電圧状態検出手段により過電圧状態が検出されるのを抑制することができる。この場合、前記充電手段は、前記充電完了電圧を補正した後の前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでに前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されなかったときには、前記充電完了電圧を補正前の電圧に戻し、該戻した充電完了電圧まで前記二次電池を充電する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置、即ち、基本的には、駆動システムと電力のやりとりを行なう二次電池を備える電源装置であって、前記二次電池の電圧が予め定めた判定電圧以上である過電圧状態を検出する過電圧状態検出手段と、前記駆動システムをシステム停止している最中に外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて該二次電池を充電する充電手段と、前記充電手段により前記二次電池が充電された後に最初に前記駆動システムをシステム起動する充電後システム起動時であるとき、システム起動から所定の条件が成立するまでは前記二次電池が過充電であるか否かの判定は行なわず、該所定の条件が成立した以降に前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されたときに前記二次電池が過充電であると判定する過充電判定手段と、を備える電源装置を搭載すると共に前記駆動システムを走行用の動力を出力するシステムとして搭載することを要旨とする。
【0013】
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置を搭載するから、本発明の電源装置が奏する効果、例えば、過電圧状態検出手段の製造誤差や温度特性による検出精度によって二次電池の充電完了時には過充電は判定されないがその後のシステム起動時に過充電が判定されてしまうのを抑止することができる、という効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例としての電源装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】昇圧コンバータ56の構成の一例を示す構成図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される充電制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される過充電判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】変形例の過充電判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図6】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例の電気自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例としての電源装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という。)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という。)40と、インバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりする例えばリチウムイオン二次電池として構成されシステムメインリレー55を介して接続された高圧バッテリ50と、高圧バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という。)52と、インバータ41,42や高圧バッテリ50が接続された電力ライン(以下、「高電圧系電力ライン」という。)54aに取り付けられて高圧バッテリ50からの電力を昇圧して高電圧系電力ライン54aに供給する昇圧コンバータ56と、電気部品(例えば、エンジン22の制御に用いられる図示しないスロットルモータや図示しない排気循環装置における排気の還流量を調整するEGRバルブ、図示しない補機など)が接続された電力ライン(以下、「低電圧系電力ライン」という。)54bに接続された低圧バッテリ58と、高電圧系電力ライン54aからの電力を降圧して低電圧系電力ライン54bに供給するDC/DCコンバータ57と、家庭用電源などの外部電源に接続されて高圧バッテリ50を充電可能な充電器60と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。
【0017】
バッテリECU52は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他にROMやRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、高圧バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、高圧バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,高圧バッテリ50の出力端子に接続された高電圧系電力ライン54aに取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,高圧バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tb,高圧バッテリ50を構成する各セル間に取り付けられた電圧センサからの電圧が過電圧であると予め定められた過電圧用閾値Vrefより高いときにオン出力する過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voなどが入力されており、必要に応じて高圧バッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、高圧バッテリ50を管理するために電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて蓄電量の全容量(蓄電容量)に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいて高圧バッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、高圧バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、高圧バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
【0018】
昇圧コンバータ56は、図2に示すように、2つのトランジスタT1,T2とトランジスタT1,T2に逆方向に並列接続された2つのダイオードD1,D2とリアクトルLと平滑コンデンサCとにより構成されている。2つのトランジスタT1,T2は、それぞれインバータ41,42の正極母線と負極母線とに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線とにはそれぞれシステムメインリレー55を介して高圧バッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT1,T2をオンオフ制御することにより高圧バッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したりインバータ41,42の正極母線と負極母線とに作用している直流電圧を降圧して高圧バッテリ50を充電したりすることができる。
【0019】
充電器60は、リレー62を介して高電圧系電力ライン54aに接続されており、電源コード68を介して供給される外部電源からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ66と、AC/DCコンバータ66からの直流電力の電圧を変換して高電圧系電力ライン54a側に供給するDC/DCコンバータ64と、を備える。
【0020】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、電源コード68が外部電源に接続されているか否かを検出する接続検出センサ69からの接続検出信号,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、システムメインリレー55やリレー62への駆動信号やAC/DCコンバータ66へのスイッチング制御信号,DC/DCコンバータ64へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、基本的には、ハイブリッド用電子制御ユニット70によって実行される以下に説明する駆動制御によって走行する。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジン22を運転しながら走行するときには、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに応じて走行のために駆動軸32に要求される要求トルクTr*を設定し、要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrvを計算する。次に、高圧バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて高圧バッテリ50を充放電するための充放電要求パワーPb*と走行用パワーPdrvと損失Lossとの和としてエンジン22から出力すべき要求パワーPe*を計算すると共にエンジン22を効率よく運転することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)と計算した要求パワーPe*とを用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。そして、高圧バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸32に作用するトルクを要求トルクTr*から減じたトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する。こうして設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを実行し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。以下、こうした走行をハイブリッド走行という。
【0022】
また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジン22の運転を停止した状態で走行するときには、アクセル開度Accと車速Vとに応じて駆動軸32に要求される要求トルクTr*を設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にモータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクTr*を設定する。そして、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。以下、こうした走行を電動走行という。
【0023】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定された充電ポイントで車両をシステム停止した後に電源コード68が外部電源に接続されてその接続が接続検出センサ69によって検出されると、システムメインリレー55とリレー62とをオンとし、充電器60を制御して外部電源からの電力により高圧バッテリ50を充電する。そして、高圧バッテリ50の充電後にシステム起動したときには、高圧バッテリ50の蓄電割合SOCがエンジン22の始動を行なうことができる程度に設定された閾値Shv(例えば、20%や30%など)に至るまで電動走行を優先して走行する電動走行優先モードによって走行し、高圧バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shvに至った以降はハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードによって走行する。
【0024】
次に、車両がシステムオフの状態で電源コード68が外部電源に接続されたときの動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される充電制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電源コード68と外部電源との接続が接続検出センサ69によって検出されたときに実行される。
【0025】
図3の充電制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、システムメインリレー55とリレー62とをオンとして高圧バッテリ50の入力制限Winの範囲内で設定された電力Wbによって高圧バッテリ50が充電されるよう充電器60を制御する充電制御の実行を開始する(ステップS100)。ここで、充電制御は、充電器60から高圧バッテリ50に供給される電力が電力WbになるようAC/DCコンバータ66とDC/DCコンバータ64のスイッチング素子をスイッチング制御することにより行なわれる。そして、高圧バッテリ50の電池電圧Vbが充電完了を判定する充電完了電圧V*に至るまで待って(ステップS110,S120)、充電完了フラグFchgに値1を設定し(ステップS130)、AC/DCコンバータ66とDC/DCコンバータ64をシャットダウンすると共にシステムメインリレー55とリレー62とをオフとして充電制御を終了し(ステップS140)、本ルーチンを終了する。ここで、充電完了電圧V*は、過電圧センサ51dにより用いられる過電圧閾値Vrefにセル数を乗じた電圧より低い電圧として後述の図4に例示する過充電判定処理ルーチンにより設定される。充電完了フラグFchgは、充電が完了したときに値1が設定され、後述する過充電判定処理ルーチンにより充電完了後のシステム起動後に所定時間経過したときに値0が設定されるフラグである。したがって、充電完了フラグFchgは、外部電源からの電力を用いて充電しても電池電圧Vbが充電完了電圧V*に至るまで充電しなかったときには値0が保持される。
【0026】
次に、高圧バッテリ50の過充電を判定する処理について説明する。図4は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される過充電判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、システム起動直後から所定時間毎(例えば、数十msec毎や数百msec毎)に実行される。
【0027】
過充電判定処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、過電圧判定信号Voや充電完了フラグFchgを入力する処理と(ステップS200)、入力した充電完了フラグFchgの値を調べる処理とを実行する(ステップS210)。過電圧判定信号Voは、過電圧センサ51dにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。また、充電完了フラグFchgは、充電制御ルーチンにより充電が完了したときに設定されたもの(値1)やこの過充電判定処理ルーチンにより充電完了後のシステム起動から所定時間経過したときに設定されたもの(値0)を入力するものとした。
【0028】
充電完了フラグFchgが値0のときには、過電圧判定信号Voを調べ(ステップS220)、過電圧判定信号Voがオフのときには高圧バッテリ50は過充電ではないと判断して本ルーチンを終了し、過電圧判定信号Voがオンのときには高圧バッテリ50は過充電であると判断して過充電を出力し(ステップS230)、本ルーチンを終了する。過充電が出力されると、実施例のハイブリッド自動車20では、運転席近傍に設けられた異常ランプを点灯すると共に過充電をダイアグ出力し、システムメインリレー55をオフして高圧バッテリ50を切り離す処理などが行なわれる。
【0029】
ステップS210で充電完了フラグFchgが値1のときには、昇圧コンバータ56をシャットダウンし(ステップS240)、システム起動から所定時間経過したか否かを判定する(ステップS250)。ここで、昇圧コンバータ56をシャットダウンするのは、高圧バッテリ50が充電されるのを抑止するためである。所定時間は、モータMG1やモータMG2を駆動しなくても高電圧系電力ライン54aに接続された機器による最低限の電力消費により過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値Vrefから減じるのに要する時間として予め設定された時間であり、高圧バッテリ50の種類やセル数、高電圧系電力ライン54aに接続された機器の特性などにより定めることができる。システム起動から所定時間経過していないときには、充電完了電圧V*を修正したときに値1が設定される電圧修正フラグFvの値を調べ(ステップS260)、電圧修正フラグFvが値0のときには、過電圧判定信号Voを調べ(ステップS270)、過電圧判定信号Voがオフのときには本ルーチンを終了し、過電圧判定信号Voがオンのときには充電完了電圧V*から修正電圧ΔVだけ減じたものを新たな充電完了電圧V*として設定すると共に(ステップS280)、電圧修正フラグFvに値1を設定して(ステップS290)、本ルーチンを終了する。一方、ステップS250でシステム起動から所定時間経過したと判定されると、充電完了フラグFchgと電圧修正フラグFvとを値0にリセットすると共に(ステップS300)、昇圧コンバータ56のシャットダウンを解除して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。こうした制御は、外部電源からの電力を用いて充電器60により高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後にシステム起動したときには、所定時間が経過するまで昇圧コンバータ56をシャットダウンして高圧バッテリ50が充電されるのを抑制し、その間に過電圧判定信号Voがオンとなったときには充電完了電圧V*を修正電圧ΔVだけ減じたものに修正する処理となる。これにより、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後に過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により過電圧判定信号Voがオンとなって高圧バッテリ50が過充電であると誤判定されるのを抑止することができる。
【0030】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する電源装置では、外部電源からの電力を用いて充電器60により高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後にシステム起動したときには、モータMG1やモータMG2を駆動しなくても高電圧系電力ライン54aに接続された機器による最低限の電力消費により過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値Vrefから減じるのに要する時間として予め設定された所定時間が経過するまでは、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわないから、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後に過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により過電圧判定信号Voがオンとなって高圧バッテリ50が過充電であると誤判定されるのを抑止することができる。これにより、充電完了電圧V*を過電圧閾値Vrefに高圧バッテリ50のセル数を乗じた電圧より低い電圧ではあるが過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差近傍の値とすることができ、高圧バッテリ50の高蓄電割合まで充電することができる。この結果、高圧バッテリ50の性能を十分に発揮させることができる。しかも、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後は、所定時間経過するまで昇圧コンバータ56をシャットダウンするから、システム起動後に高圧バッテリ50を過充電するのを抑止することができる。さらに、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなったときには、充電完了電圧V*から修正電圧ΔVだけ減じたものを新たな充電完了電圧V*として設定するから、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなるのを抑制することができる。もとより、外部電源からの電力を用いて充電器60により高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時ではないときや高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時であってもシステム起動から所定時間経過した後は、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンであれば直ちに高圧バッテリ50が過充電であると判定するから、高圧バッテリ50の過充電を迅速に抑止することができる。
【0031】
実施例のハイブリッド自動車20では、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、モータMG1やモータMG2を駆動しなくても高電圧系電力ライン54aに接続された機器による最低限の電力消費により過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値Vrefから減じるのに要する時間として予め設定された所定時間が経過するまでは、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわないものとしたが、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、高圧バッテリ50から過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧と過電圧用閾値Vrefとの電圧差に対応する電力だけ放電するまでは、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわないものとしてもよい。この場合の過充電判定処理ルーチンの一例を図5に示す。図5の過充電判定処理ルーチンでは、図4の過充電判定処理ルーチンのステップS200の過電圧判定信号Voと充電完了フラグFchgとの入力処理に代えて、過電圧判定信号Voと充電完了フラグFchgに加えて高圧バッテリ50の電池電圧Vbと高圧バッテリ50の充放電電流Ibとを入力し(ステップS202)、充電完了フラグFchgが値1のときには、昇圧コンバータ56をシャットダウンした後に(ステップS240)、所定時間の経過の判定に代えて、電池電圧Vbと充放電電流Ibとの積に換算係数kwを乗じたものを積算してシステム起動後の消費電力Wsを計算すると共に(ステップS252)、この消費電力Wsが高圧バッテリ50から過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧と過電圧用閾値Vrefとの電圧差に対応する電力として予め定めた閾値Wset以上に至っているか否かを判定する(ステップS254)。ここで、換算係数kwはこの過充電判定処理ルーチンの起動間隔などにより設定されるものである。そして、システム起動後の消費電力Wsが閾値Wset未満のときには、電圧修正フラグFvの値を調べ(ステップS260)、電圧修正フラグFvが値0のときには、過電圧判定信号Voを調べ(ステップS270)、過電圧判定信号Voがオフのときには本ルーチンを終了し、過電圧判定信号Voがオンのときには充電完了電圧V*を再設定すると共に(ステップS280)、電圧修正フラグFvに値1を設定して(ステップS290)、本ルーチンを終了し、システム起動後の消費電力Wsが閾値Wset以上のときには、充電完了フラグFchgと電圧修正フラグFvとを値0にリセットすると共に(ステップS300)、昇圧コンバータ56のシャットダウンを解除して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。こうした図5の過充電判定処理ルーチンを実行すれば、実施例と同様に、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後に過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により過電圧判定信号Voがオンとなって高圧バッテリ50が過充電であると誤判定されるのを抑止することができることに加えて、システム起動後に早期に高圧バッテリ50の過充電の判定を行なうことができる。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する電源装置では、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後は、所定時間経過するまで昇圧コンバータ56をシャットダウンするものとしたが、高圧バッテリ50が充電されない手法を施せば昇圧コンバータ56をシャットダウンしないものとしてもよい。
【0033】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する電源装置では、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなったときには、充電完了電圧V*から修正電圧ΔVだけ減じたものを新たな充電完了電圧V*として設定するものとしたが、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても充電完了電圧V*を変更しないものとしても構わない。また、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において、所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなりその確率が所定確率(例えば、0.4や0.5など)以上のときや、所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなりそのとき(図4の過充電判定処理ルーチンのステップS270で電圧判定信号Voがオンのとき)に値1だけインクリメントされるカウンタが所定値(例えば、値2や値3など)以上に至ったときに、充電完了電圧V*から修正電圧ΔVだけ減じたものを新たな充電完了電圧V*として設定するものとしてもよい。
【0034】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する電源装置では、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなったときには、充電完了電圧V*を修正電圧ΔVだけ減じたものに修正するものとしたが、その後に、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後において所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとならなかったときには、充電完了電圧V*を修正前の値に戻す(充電完了電圧V*を修正電圧ΔVだけ加えたものに再修正する)ものとしてもよい。これにより、充電完了電圧V*を低下させた後において、充電完了電圧V*をその値で保持する必要がない(修正前の値に戻してもよい)ときに、充電完了電圧V*を修正前の値に戻すことができ、高圧バッテリ50を高蓄電割合まで充電することができる。
【0035】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する電源装置では、インバータ41,42や高圧バッテリ50が接続された高電圧系電力ライン54aに取り付けられて高圧バッテリ50からの電力を昇圧して高電圧系電力ライン54aに供給する昇圧コンバータ56を備えるものとしたが、昇圧コンバータ56を備えないものとしてもよい。
【0036】
実施例の電源装置を搭載するハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図6の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を駆動軸32が接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図6における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するハイブリッド自動車に搭載される電源装置としてもよい。
【0037】
実施例では、駆動軸32にプラネタリギヤ30を介して接続されたエンジン22およびモータMG1と、駆動軸32に接続されたモータMG2と、を備えるハイブリッド自動車20に搭載される電源装置としたが、図7の変形例の電気自動車220に例示するように、走行用の動力を出力するモータMGを備える単純な電気自動車に搭載される電源装置として適用するものとしてもよい。
【0038】
また、こうした自動車に搭載される電源装置に限定されるものではなく、駆動システムと電力のやりとりを行なう二次電池を備える電源装置であれば、如何なる車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される電源装置としたり、建設設備などに組み込まれる電源装置としたりしてもよい。
【0039】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、高圧バッテリ50が「二次電池」に相当し、高圧バッテリ50を構成する各セル間に取り付けられた電圧センサからの電圧が過電圧であると予め定められた過電圧用閾値Vrefより高いときにオン出力する過電圧センサ51dが「過電圧状態検出手段」に相当し、家庭用電源などの外部電源に接続されて高圧バッテリ50を充電可能な充電器60と高圧バッテリ50の充電時には高圧バッテリ50の電池電圧Vbが過電圧閾値Vrefにセル数を乗じた電圧より低い電圧として設定された充電完了電圧V*に至るまで充電する図3の充電制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とが「充電手段」に相当し、外部電源からの電力を用いて充電器60により高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時ではないときには、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンであれば直ちに高圧バッテリ50が過充電であると判定し、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、モータMG1やモータMG2を駆動しなくても高電圧系電力ライン54aに接続された機器による最低限の電力消費により過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値Vrefから減じるのに要する時間として予め設定された所定時間が経過するまでは昇圧コンバータ56をシャットダウンすると共に過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわずに充電完了電圧V*を再設定する図4の過充電判定処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「過充電判定手段」に相当する。また、昇圧コンバータ56が「昇圧コンバータ」に相当し、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後は、所定時間が経過するまで昇圧コンバータ56をシャットダウンする図4の過充電判定処理ルーチンのステップS240の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「制御手段」に相当する。
【0040】
ここで、「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成された高圧バッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など如何なるタイプの二次電池であっても構わない。「過電圧状態検出手段」としては、高圧バッテリ50を構成する各セル間に取り付けられた電圧センサからの電圧が過電圧であると予め定められた過電圧用閾値Vrefより高いときにオン出力する過電圧センサ51dに限定されるものではなく、高圧バッテリ50を構成する複数セルからなる電池モジュール毎に取り付けられた電圧センサからの電圧が過電圧であると予め定められた過電圧用閾値より高いときにオン出力する過電圧センサとするなど、二次電池の電圧が予め定めた判定電圧以上である過電圧状態を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「充電手段」としてはAC/DCコンバータ66とDC/DCコンバータ64とを備える充電器60および高圧バッテリ50の充電時には高圧バッテリ50の電池電圧Vbが過電圧閾値Vrefにセル数を乗じた電圧より低い電圧として設定された充電完了電圧V*に至るまで充電する制御を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70との組み合わせに限定されるものではなく、駆動システムをシステム停止している最中に外部電源に接続されて外部電源からの電力を用いて二次電池を充電するものであれば如何なるものとしても構わない。「過充電判定手段」としては、外部電源からの電力を用いて充電器60により高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時ではないときには、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンであれば直ちに高圧バッテリ50が過充電であると判定し、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、モータMG1やモータMG2を駆動しなくても高電圧系電力ライン54aに接続された機器による最低限の電力消費により過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧分だけ過電圧用閾値Vrefから減じるのに要する時間として予め設定された所定時間が経過するまでは昇圧コンバータ56をシャットダウンすると共に過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわずに充電完了電圧V*を再設定するものに限定されるものではなく、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には、高圧バッテリ50から過電圧センサ51dの製造誤差や温度特性により生じるセンサ誤差の最大電圧と過電圧用閾値Vrefとの電圧差に対応する電力だけ放電するまでは、過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても高圧バッテリ50の過充電の判定は行なわないものとしたり、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には所定時間経過するまでであっても昇圧コンバータ56をシャットダウンしないものとしたり、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動時には所定時間経過するまでに過電圧センサ51dからの過電圧判定信号Voがオンとなっても充電完了電圧V*を再設定しないものとしたりするなど、充電手段により二次電池が充電された後に最初に駆動システムをシステム起動する充電後システム起動時であるとき、システム起動から所定の条件が成立するまでは二次電池が過充電であるか否かの判定は行なわず、所定の条件が成立した以降に過電圧状態検出手段により過電圧状態が検出されたときに二次電池が過充電であると判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「昇圧コンバータ」としては、2つのトランジスタT1,T2とトランジスタT1,T2に逆方向に並列接続された2つのダイオードD1,D2とリアクトルLと平滑コンデンサCとにより構成された昇圧コンバータ56に限定されるものではない。「制御手段」としては、高圧バッテリ50を充電完了電圧V*まで充電した後のシステム起動後は、所定時間が経過するまで昇圧コンバータ56をシャットダウンするものに限定されるものではなく、充電後システム起動時においてシステム起動から所定の条件が成立するまでは、昇圧コンバータをシャットダウンするよう昇圧コンバータを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0041】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、電源装置や車両の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 高圧バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、51d 過電圧センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54a 高電圧系電力ライン、54b 低電圧系電力ライン、55 システムメインリレー、56 昇圧コンバータ、57 DC/DCコンバータ、58 低圧バッテリ、60 充電器、62 リレー、64 DC/DCコンバータ、66 AC/DCコンバータ、68 電源コード、69 接続検出センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、220 電気自動車、MG,MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動システムと電力のやりとりを行なう二次電池を備える電源装置であって、
前記二次電池の電圧が予め定めた判定電圧以上である過電圧状態を検出する過電圧状態検出手段と、
前記駆動システムをシステム停止している最中に外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて該二次電池を充電する充電手段と、
前記充電手段により前記二次電池が充電された後に最初に前記駆動システムをシステム起動する充電後システム起動時であるとき、システム起動から所定の条件が成立するまでは前記二次電池が過充電であるか否かの判定は行なわず、該所定の条件が成立した以降に前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されたときに前記二次電池が過充電であると判定する過充電判定手段と、
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、
前記所定の条件は、前記二次電池の電圧が前記過電圧状態検出手段の検出精度に基づく誤差電圧だけ低下するのに要する時間が経過した条件である、
電源装置。
【請求項3】
請求項1記載の電源装置であって、
前記所定の条件は、前記二次電池の電圧が前記過電圧状態検出手段の検出精度に基づく誤差電圧だけ低下するのに要する電力が消費された条件である、
電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の電源装置であって、
前記駆動システムと前記二次電池とに介在する昇圧コンバータを備え、
前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでは、前記昇圧コンバータをシャットダウンするよう該昇圧コンバータを制御する制御手段、
を備える電源装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の電源装置であって、
前記充電手段は、前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでに前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されたときには前記充電完了電圧を小さくなるよう補正し、該補正した充電完了電圧まで前記二次電池を充電する手段である、
電源装置。
【請求項6】
請求項5記載の電源装置であって、
前記充電手段は、前記充電完了電圧を補正した後の前記充電後システム起動時においてシステム起動から前記所定の条件が成立するまでに前記過電圧状態検出手段により前記過電圧状態が検出されなかったときには、前記充電完了電圧を補正前の電圧に戻し、該戻した充電完了電圧まで前記二次電池を充電する手段である、
電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の電源装置を搭載すると共に前記駆動システムを走行用の動力を出力するシステムとして搭載する車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−259592(P2011−259592A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131244(P2010−131244)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】