説明

電源装置及び照明器具

【課題】 回路部品に対する電気的ストレスを抑えながらも使用者に違和感を与えにくい電源装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 制御用コンデンサC10の両端電圧が高いほど、放電灯Laに出力される電力は増加する。制御部4は、始動時、制御用コンデンサC10を充電することで、放電灯Laへの出力電力を徐々に増加させる。制御用コンデンサC10の両端間にはトランジスタQ10が接続されており、放電灯Laへの電力の出力が停止された直後にはトランジスタQ10がオンされることで制御用コンデンサC10が急速に放電される。従って、短時間の停止の後に再度始動された場合にも、始動直後に出力電力が過剰に高くなるようなことはなく、回路部品への電気的ストレスが抑えられる。また、再度の始動の前に制御用コンデンサC10の自然放電に充分な時間を空ける場合に比べ、使用者に違和感を与えにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力された電力を適宜変換して出力する電源装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の電源装置として、制御用コンデンサと、外部の電源から入力された電力を制御用コンデンサの両端電圧に応じた電力に変換して出力する電力変換部と、制御用コンデンサの両端電圧を変化させることで電力変換部の出力電力を制御する制御部とを備える電源装置がある。電力変換部は制御用コンデンサの両端電圧が高いほど出力電力を増加させるものであり、制御部は、始動時には、制御用コンデンサを充電することで、電力変換部の出力電力を所定の電力まで徐々に増加させるという始動動作を行うものであって、この種の電源装置は例えば熱陰極型の放電灯のように始動時に入力電力を徐々に増加させる必要がある負荷に用いられる。また、電力変換部の停止後には、制御用コンデンサの両端電圧は自然放電により低下する。
【0004】
この種の電源装置では、始動時の出力電力の増加が、制御用コンデンサの時定数により連続的なものとなるから、始動時の出力電力の増加を不連続的なステップ状とする場合に比べ、電力変換部の回路部品や負荷にかかる電気的ストレスが抑えられる。
【0005】
この種の電源装置において、瞬時停電や瞬時低電などによって電力変換部が短時間だけ停止した後に、再度の始動動作が行われた場合、始動動作の開始時に制御用コンデンサの放電が不十分であることにより、始動動作の開始時から電力変換部の出力電力が大きくなって電力変換部の回路部品や負荷に比較的に大きな電気的ストレスがかかることが考えられる。
【0006】
そこで、本発明者は、電力変換部の停止後に、制御用コンデンサが充分に放電する程度の時間である所定の停止時間が経過するまでは、始動動作の開始が禁止される電源装置を提案している。この構成を採用すれば、短時間の停止後に上記のように回路部品や負荷に比較的に大きな電気的ストレスがかかることが避られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−327116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、電力変換部の出力電力の変化をより緩やかとして上記の電気的ストレスをより低く抑えるためには制御用コンデンサとしてキャパシタンスがより高い(つまり時定数がより大きい)ものを用いる必要があり、そうすると上記の停止時間も長くする必要がある。
【0009】
しかし、例えば瞬時停電等の継続時間が10msであって上記の停止時間が100msである場合のように、瞬時停電等の継続時間に対して上記の停止時間が長いと、使用者に違和感を与える可能性がある。
【0010】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、回路部品に対する電気的ストレスを抑えながらも使用者に違和感を与えにくい電源装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、制御用コンデンサと、外部の電源から入力された電力を制御用コンデンサの両端電圧に応じた電力に変換して出力する電力変換部と、制御用コンデンサの両端電圧を変化させることで電力変換部の出力電力を制御する制御部とを備え、電力変換部は、制御用コンデンサの両端電圧が高いほど出力電力を増加させるものであり、制御部は、電力変換部から電力の出力が開始された直後には制御用コンデンサを充電することにより電力変換部の出力電力を徐々に増加させる始動動作を行うものであって、電力変換部からの電力の出力が停止されている期間中に制御用コンデンサの放電を促進する放電手段を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、放電手段を備えない場合に比べ、電力変換部からの電力の出力が短時間だけ停止された直後の始動動作の開始時に回路部品にかかる電気的ストレスが抑えられる。また、始動動作の開始前に制御用コンデンサの自然放電に充分な時間を空ける場合に比べ、使用者に違和感を与えにくい。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、電力変換部への入力電圧の実効値が所定の下限電圧に満たない状態である入力電圧低下状態か否かを判定する入力低下判定部を備え、電力変換部は、入力低下判定部によって入力電圧低下状態であると判定されている期間には電力を出力しないことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、電力変換部の出力端間に負荷が接続されていない状態である無負荷状態か否かを判定する無負荷判定部を備え、電力変換部は、無負荷判定部によって無負荷状態であると判定されている期間には電力を出力しないことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電源装置と、電力変換部から出力される電力によって点灯する光源及び電源装置をそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、電力変換部からの電力の出力が停止されている期間中に制御用コンデンサの放電を促進する放電手段を備えるので、放電手段を備えない場合に比べ、電力変換部からの電力の出力が短時間だけ停止された直後の始動動作の開始時に回路部品にかかる電気的ストレスが抑えられる。また、始動動作の開始前に制御用コンデンサの自然放電に充分な時間を空ける場合に比べ、使用者に違和感を与えにくい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】同上において制御用電圧Vc2と電源検出電圧Vpdと発振用電圧Vc3と周波数制御電圧Vopと制御用コンデンサの両端電圧Vfと動作周波数との時間変化の一例を示す説明図である。
【図3】同上の比較例において電源検出電圧Vpdと発振用電圧Vc3と周波数制御電圧Vopと制御用コンデンサの両端電圧Vfと動作周波数との時間変化の一例を示す説明図である。
【図4】同上を用いた照明器具の一例を示す斜視図である。
【図5】同上をケースに収納した状態を示す斜視図である。
【図6】同上の変更例を用いた照明器具の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態は、図1に示すように、交流電源ACから供給される電力を用い、電極として2本のフィラメント(図示せず)を有する熱陰極型の放電灯Laを点灯させるものであって、交流電源ACから入力された交流電力を全波整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの直流出力(脈流出力)を電源として直流電力を出力する直流電源部1と、直流電源部1の出力端間に接続された2個の例えばNMOSからなるスイッチング素子Q1,Q2の直列回路を有するスイッチング部21と、スイッチング部21の低電圧側(ローサイド)のスイッチング素子Q2の両端間に接続されて放電灯Laとともに共振回路を構成する共振部22と、高耐圧集積回路(HVIC)からなりスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動する駆動用集積回路3と、マイクロコントローラ(マイコン)と呼ばれる集積回路からなり駆動用集積回路3を制御する制御部4とを備える。すなわち、スイッチング部21と共振部22と駆動用集積回路3とで、いわゆるハーフブリッジ形のインバータ回路が構成されており、直流電源部1とスイッチング部21と共振部22と駆動用集積回路3とが請求項における電力変換部を構成している。
【0020】
詳しく説明すると、共振部22は、スイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2の接続点と放電灯Laの一方のフィラメントの一端との間に接続された第1コンデンサC1とインダクタL1との直列回路と、放電灯Laのフィラメント間に接続された第2コンデンサC2とからなる。放電灯LaにおいてインダクタL1に接続されていない一方のフィラメントの一端は、直流電源部1の低電圧側の出力端とともにグランドに接続されている。
【0021】
さらに、本実施形態は、始動時に放電灯Laの各フィラメントにそれぞれ通電して予熱する予熱部23を備える。予熱部23は、スイッチング部21のローサイドのスイッチング素子Q2の両端間にコンデンサとの直列回路として接続された一次巻線と、それぞれコンデンサとの直列回路として放電灯Laの一方ずつのフィラメントの両端間に接続された2本の二次巻線とを有するトランスTr1を備える。
【0022】
また、本実施形態は、スイッチング部21のローサイドのスイッチング素子Q2の両端間に接続され、所定の直流電圧である駆動用電圧Vc1(例えば15V)を生成して駆動用集積回路3に入力する駆動電源部5を備える。駆動電源部5は、アノードがグランドに接続されカソードが入力側コンデンサを介してスイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に接続された入力側ダイオードと、この入力側ダイオードと入力側コンデンサとの接続部にアノードが接続されカソードが出力側コンデンサC50とツェナーダイオードZD1との並列回路を介してグランドに接続された出力側ダイオードとを備え、出力側コンデンサC50の両端電圧を出力電圧としている。
【0023】
駆動用集積回路3は、高耐圧集積回路(HVIC)からなり、交流の電気信号を出力する発振部30と、スイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2のゲートにそれぞれ抵抗を介して接続されるとともに発振部30の出力の周波数を動作周波数としてスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2をオンオフ駆動するドライブ部31と、直流電源部1と駆動電源部5とにそれぞれ接続されるとともに始動時にドライブ部31が動作を開始するまでの期間中には直流電源部1から駆動電源部5への給電をオンする始動部32と、駆動用電圧Vc1を電源とし、制御部4の電源となる制御用電圧Vc2(例えば5V)を生成する制御電源部33とを備える。駆動用集積回路3において制御用電圧Vc2を出力する端子は、制御部4に接続されるとともに、ノイズ除去用のアクロスザラインコンデンサCxを介してグランドに接続されている。また、駆動用集積回路3は、制御用電圧Vc2を電源とし、外部からの入力に応じてHレベルとLレベルとのいずれかの出力を生成する停止実行部34と、停止実行部34の出力がHレベルである期間にのみ所定の発振用電圧(例えば7V)を生成して発振部30に入力する発振電源部35とを備える。発振部30は発振用電圧Vc3を電源としている。すなわち、停止実行部34の出力がLレベルである期間には、発振用電圧Vc3が出力されないことで発振部30の出力が停止され、ドライブ部31によるスイッチング部21の駆動も停止されてスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2がそれぞれオフ状態に維持されることで、共振部22から放電灯Laへの電力の出力も停止される。
【0024】
また、本実施形態は、ダイオードブリッジDBから直流電源部1への入力電圧の実効値(以下、単に「入力電圧」と呼ぶ。)に応じた直流電圧(以下、「電源検出電圧」と呼ぶ。)Vpdを停止実行部34に入力する入力電圧検出部61を備える。停止実行部34は、入力電圧検出部61から入力された電源検出電圧Vpdに基いて、入力電圧の実効値が所定の下限電圧を下回っている入力電圧低下状態であるか否かを判定し、入力電圧低下状態であると判定されれば、即座に出力をLレベルとし、つまり放電灯Laへの電力の出力を停止させる。すなわち、停止実行部34は請求項における入力低下判定部である。また、停止実行部34は、図2に示すように、出力をLレベルとしている期間中に、入力電圧の上昇により上記判定の結果が入力電圧低下状態ではないとの判定に切り替わった場合、判定が切り替わってから所定の待機時間Δt後に出力をHレベルに切り替える。上記のような入力電圧検出部61は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0025】
さらに、本実施形態は、共振部22に負荷としての放電灯Laが接続されていない無負荷状態か否かを判定し判定結果に応じた電気信号を制御部4に入力する無負荷判定部62を備える。制御部4は、無負荷状態であるとの判定が無負荷判定部62によってされている期間には、所定の電気信号を駆動用集積回路3の停止実行部34に入力する。駆動用集積回路3において、停止実行部34は、無負荷状態であるとの判定が無負荷判定部62によってされている期間には、入力電圧低下状態の判定結果に関わらず、出力をLレベルとする。つまり、本実施形態において、停止実行部34の出力がHレベルとなって放電灯Laへの電力の出力がなされるのは、入力電圧低下状態ではないとの判定が待機時間Δt以上継続していて、且つ、無負荷状態ではないとの判定が無負荷判定部62によってされている期間である。上記のような無負荷判定部62は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0026】
ここで、本実施形態において、共振部22から放電灯Laに出力される電力(以下、単に「出力電力」と呼ぶ。)は、駆動用集積回路3がスイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフする周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)が、共振部22と放電灯Laとで構成される共振回路の共振周波数に近いほど増加する。本実施形態では動作周波数がとり得る範囲は上記の共振周波数以上とされており、つまり動作周波数が低下するほど放電灯Laへの出力電力が増加する。
【0027】
また、本実施形態は制御用コンデンサC10を備えており、駆動用集積回路3において、発振部30は、制御用コンデンサC10の両端電圧が高いほど出力の周波数(すなわち動作周波数を低く)して放電灯Laへの出力電力を増加させる。
【0028】
詳しく説明すると、制御用コンデンサC10は、一端が発振部30に接続されるとともに、他端がグランドに接続されている。また、制御用コンデンサC10の上記一端は、電源側抵抗R11を介して制御用電圧Vc2が入力されるとともに、制御側抵抗R12を介して制御部4に接続されている。さらに、制御用コンデンサC10の両端間には並列抵抗R10が接続されている。つまり、制御用コンデンサC10は、制御用電圧Vc2が電源側抵抗R11と並列抵抗R10とで分圧された電圧に、制御部4から制御側抵抗R12への出力電圧(以下、「周波数制御電圧」と呼ぶ。)Vopが制御側抵抗R12と並列抵抗R10とで分圧された電圧が重畳された電圧によって充電される。ここで、上記の周波数制御電圧VopはPWM信号であって、つまり周波数制御電圧Vopのオンデューティが高いほど制御用コンデンサC10の両端電圧(すなわち発振部30への入力電圧)Vfは高くなる。制御部4は、放電灯Laの点灯を開始させる際、ドライブ部31の動作開始からの経過時間に応じて周波数制御電圧Vopのオンデューティを段階的に徐々に高くすることで、動作周波数を徐々に低くして放電灯Laへの出力電力を徐々に増加させる。上記のような制御部4は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。
【0029】
さらに、本実施形態は、放電灯Laへの電力の出力が停止されている期間中に制御用コンデンサC10の放電を促進する放電手段としてのPNP型のトランジスタQ10を備える。トランジスタQ10はエミッタが制御用コンデンサC10の上記一端に接続されるとともに、コレクタがグランドに接続されている。また、トランジスタQ10のベースは、抵抗とコンデンサとの並列回路を介してコレクタに接続されるとともに、抵抗を介して発振電源部35に接続されている。発振電源部35から発振用電圧Vc3が出力されている期間(すなわち放電灯Laに電力が出力されている期間)にはトランジスタQ10がオフ状態に維持されることで制御用コンデンサC10の充電が有効となり、少なくとも発振電源部35からの発振用電圧Vc3の出力が停止された直後(すなわち放電灯Laへの電力の出力が停止された直後)にはトランジスタQ10がオン状態とされることで制御用コンデンサC10の放電が促進される。
【0030】
以下、図2を用いて、本実施形態の動作を説明する。交流電源ACからの給電が開始されると、制御電圧Vc2の出力が開始されることで制御用コンデンサC10の両端電圧Vfが上昇するが、停止実行部34の出力がLレベルである期間、つまり、発振電源部35から発振用電圧Vc3が出力されない期間には、発振部30が動作を開始しないことにより、スイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2はそれぞれオフ状態に維持される。
【0031】
入力電圧検出部61から停止実行部34に入力される電源検出電圧Vpdが充分に上昇してから待機時間Δtが経過し、停止実行部34の出力がHレベルとなると、発振電源部35から発振用電圧Vc3の出力が開始されることで、発振部30が動作を開始してドライブ部31によるスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2のオンオフ駆動が開始される。ここで、上記の待機時間Δtは制御用コンデンサC10の両端電圧Vfが充分に安定する程度の時間とされる。
【0032】
制御部4は、発振用電圧Vc3の出力が開始されてから所定の予熱時間が経過するまでの予熱期間T1には、制御部4は周波数制御電圧Vopのオンデューティを0に維持している。従って、上記の予熱期間T1中には、制御用コンデンサC10の両端電圧Vfは最も低くなり、動作周波数は最も高い予熱周波数f1となるのであり、この間に予熱部23の出力により放電灯Laの各フィラメントの予熱がなされる。
【0033】
また、予熱期間T1の終了後に所定の始動時間が経過するまでの始動期間T2には、制御部4は、矩形波状の周波数制御電圧Vopを出力することで、動作周波数を予熱周波数f1よりも低い始動周波数f2とし、つまり放電灯Laへの出力電力を増加させる。この始動期間T2中に、放電灯Laの点灯が開始される。
【0034】
さらに、始動期間T2の終了後に開始される定常期間T3には、制御部4は、周波数制御電圧Vopのオンデューティを始動期間T2中よりも高くすることで、動作周波数を始動周波数f2よりもさらに低い定常周波数f3とし、つまり放電灯Laへの出力電力を最も多くして、これによって放電灯Laの点灯を維持する。
【0035】
すなわち、始動時には、予熱期間T1から定常期間T3にかけて、放電灯Laへの出力電力が徐々に増加されるという始動動作が行われる。また、予熱期間T1と始動期間T2と定常期間T3との相互の移行時には、制御用コンデンサC10の時定数により、動作周波数及び放電灯Laへの出力電力の変化が緩やかなものとなる。
【0036】
また、図2におけるタイミングt1のように、瞬時停電や瞬時低電により電源検出電圧Vpdが低下した場合などで、停止実行部34の出力がLレベルとなって発振用電圧Vc3の出力が停止されると、発振部30の出力が停止されることでドライブ部31の動作が停止されてスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2がそれぞれオフ状態とされる。また、発振用電圧Vc3の停止に伴い、トランジスタQ10は、エミッタ・ベース間電圧の上昇によりオンされる。これにより、制御用コンデンサC10は放電手段としてのトランジスタQ10を介して急速に放電される。制御用コンデンサC10の両端電圧Vfが充分に低下すると、トランジスタQ10はエミッタ・ベース間電圧の低下により再度オフされ、充分な時間の経過後には制御用コンデンサC10の両端電圧Vfは予熱期間T1の水準で安定する。その後、図2におけるタイミングt2のように電源検出電圧Vpdが復帰すると、そこから待機時間Δtが経過したタイミングt3で再び予熱期間T1からの動作が開始される。
【0037】
ここで、トランジスタQ10のような放電手段を設けない場合、つまり、制御用コンデンサC10が自然放電によってのみ放電される場合において、図3に示すように、電源検出電圧Vpdの低下及びドライブ部31の停止t1〜t3が短時間で終了してドライブ部31の停止中に制御用コンデンサC10の両端電圧Vfが充分に低下しなかった場合、その後のドライブ部31の動作開始時t3には通常の予熱期間T1よりも動作周波数が低く、つまり放電灯Laへの出力電力が多くなって放電灯Laや各回路部品に過剰な電気的ストレスがかかってしまう。
【0038】
これに対し、本実施形態では、ドライブ部31の停止後にはトランジスタQ10がオンされることで制御用コンデンサC10が急速に放電されるから、上記のような短時間の停止後の始動直後に放電灯Laへの出力電力が多くなって放電灯Laや各回路部品に過剰な電気的ストレスがかかってしまうようなことが避けられる。また、再度の始動の前に制御用コンデンサC10の自然放電に充分な時間を空ける場合に比べ、使用者に違和感を与えにくい。
【0039】
なお、上記では電源検出電圧Vpdの低下による停止の場合を例に挙げたが、無負荷検出部62によって無負荷状態であると判定された場合の動作も同様である。すなわち、例えば放電灯Laと共振部22との接続部の接触不良などで、無負荷状態であるとの判定が非常に短時間(数10ms程度)で終了した場合にも、トランジスタQ10のオンにより制御用コンデンサC10は急速に放電されるから、その後に開始される予熱期間T1の動作の開始時に放電灯Laへの出力電力が過剰に多くなってしまうことは避けられる。
【0040】
また、放電手段としては、トランジスタQ10を用いる代わりに、例えば、発振用電圧Vc3が出力されていない期間すなわちドライブ部31の停止中に制御側抵抗R12を通じて制御用コンデンサC10から電荷を吸い込むことで制御用コンデンサC10の放電を促進する回路を制御部4に設けてもよい。この場合、制御部4が請求項における放電手段を兼ねる。また、制御用コンデンサC10の放電を促進する回路を駆動用集積回路3に集積化してもよく、この場合には駆動用集積回路3が請求項における放電手段となる。上記のように放電手段を構成する回路を駆動用集積回路3や制御部4に集積化すれば、放電手段を別部品で構成する場合に比べ、部品点数が減少して小型化が可能となる。上記のような駆動用集積回路3や制御部4も周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0041】
さらに、接続される負荷としては、熱陰極型の放電灯Laに限られず、例えば負荷としての発光ダイオードLEDに電力を供給して点灯させる電源装置であっても、始動時に制御用コンデンサC10の両端電圧の上昇に合わせて負荷への出力電力が徐々に増加されるものであれば、上記のようなトランジスタQ10等の放電手段を設けることにより、短時間の停止後の始動直後に放電灯Laへの出力電力が多くなって放電灯Laや各回路部品に過剰な電気的ストレスがかかってしまうようなことが避けられる。上記のような電源装置における電力変換部も周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0042】
上記各種の電源装置は、図4に示すように、直管型の放電灯Laの一方ずつの口金が取り付けられる1対2個のソケット71を保持した器具本体70とともに、照明器具7を構成することができる。各回路部品は例えば図5に示すようにプリント配線板81に実装されるとともにケース80に収納された状態で器具本体70に収納される。図5において、プリント配線板81は一部がケース80から露出しており、プリント配線板81においてケース80から露出した部位には、交流電源ACとダイオードブリッジDBとを電気的に接続する電線(図示せず)やソケット71と共振部22とを電気的に接続する電線(図示せず)が接続される端子台82が実装されている。さらに、共振部22と予熱部23とソケット71とを追加し、図6に示すように2本の放電灯Laを点灯させる照明器具7としてもよい。いずれの照明器具7でも、器具本体70において放電灯Laに向けられる面は例えば白色とされて配光に寄与する。上記のような照明器具7は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0043】
さらに、人感センサや照度センサといったセンサ装置や操作入力を受け付けるリモコン装置等の外部装置からの入力に応じて交流電源ACからダイオードブリッジDBへの給電のオンオフや定常期間T3中の放電灯Laへの出力電力の増減(すなわち放電灯Laの光出力の増減)を行うという技術や、放電灯Laの累積点灯時間を計時するとともに放電灯Laの経年劣化による光束の低下を補って放電灯Laの光束を略一定に保つように累積点灯時間に応じて定常期間T3中の出力電力を徐々に増加(すなわち動作周波数を徐々に低下)させるという技術や、予熱部23のトランスTr1の一次巻線に直列にスイッチング素子を接続して定常期間T3中には該スイッチング素子をオフすることで定常期間T3中における予熱部23での電力消費を防ぐという技術などの、周知技術を適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1 直流電源部(請求項における電力変換部の一部)
4 制御部
7 照明器具
21 スイッチング部(請求項における電力変換部の一部)
22 共振部(請求項における電力変換部の一部)
70 器具本体
AC 交流電源(請求項における外部の電源)
C10 制御用コンデンサ
La 放電灯(請求項における光源)
Q10 トランジスタ(請求項における放電手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用コンデンサと、
外部の電源から入力された電力を制御用コンデンサの両端電圧に応じた電力に変換して出力する電力変換部と、
制御用コンデンサの両端電圧を変化させることで電力変換部の出力電力を制御する制御部とを備え、
電力変換部は、制御用コンデンサの両端電圧が高いほど出力電力を増加させるものであり、
制御部は、電力変換部から電力の出力が開始された直後には制御用コンデンサを充電することにより電力変換部の出力電力を徐々に増加させる始動動作を行うものであって、
電力変換部からの電力の出力が停止されている期間中に制御用コンデンサの放電を促進する放電手段を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
電力変換部への入力電圧の実効値が所定の下限電圧に満たない状態である入力電圧低下状態か否かを判定する入力低下判定部を備え、
電力変換部は、入力低下判定部によって入力電圧低下状態であると判定されている期間には電力を出力しないことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
電力変換部の出力端間に負荷が接続されていない状態である無負荷状態か否かを判定する無負荷判定部を備え、
電力変換部は、無負荷判定部によって無負荷状態であると判定されている期間には電力を出力しないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電源装置と、電力変換部から出力される電力によって点灯する光源及び電源装置をそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−114914(P2011−114914A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268105(P2009−268105)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】