説明

電源装置

【課題】負荷への電源供給に使用される電源装置において、負荷電圧及び系統電圧を維持管理すると共に、維持管理に使用する蓄電池の長寿命化のための回復充電を効率的、効果的に実施することを目的とする。
【解決手段】スイッチング素子1とダイオード2により構成したアーム3aから3dから成るフルブリッジコンバータ4及びフルブリッジインバータ5と、前記アーム3aから3dと並列に接続したコンデンサ6と、直列変圧器9と、前記フルブリッジコンバータ4とフルブリッジインバータ5を制御する主回路制御部10と、交流電源7の電圧の上下変動に応じて充放電を行なう蓄電手段11を備えた電圧安定化装置12と、蓄電池11aの回復充電に際に負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段としてのコンバータ逆流防止制御部13を備え、負荷電圧及び系統電圧を維持管理すると共に回復充電を効率的、効果的に実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ技術を利用した電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭の負荷の増加による化石燃料の枯渇、地球温暖化問題などが生じており、太陽光発電システムや節電装置、あるいは系統電圧の安定化装置などによる、クリーンエネルギーの利用や省エネルギー装置が求められている。
【0003】
従来、この種の省エネルギー装置としては、需要家負荷に供給する電圧を最適な電圧に制御することで過剰電力を取り除く装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その省エネルギー装置について、図10を参照しながら説明する。
【0005】
図に示すように、省エネルギー装置としての節電装置101は、交流電源102および負荷103の間に配された直列変圧器104と、出力側が直列変圧器104の2次巻線に接続された回生形インバータ105を備えることにより、負荷103に印加される電圧を制御する。また、この構成により、回生形インバータ105の出力を連続的に制御することにより負荷103に印加される電圧を連続的に制御し、負荷103側へ安定した節電電力を供給することができる。
【特許文献1】特開2002−270884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の電源装置では、蓄電池設備を備えていないため、過剰電力を系統側に回生することとなり、負荷側の電圧は維持管理が可能となる、しかし系統側の電圧は管理できないという課題があり、蓄電池設備を具備し、過剰電力を一時的に蓄電池へ蓄積し、系統電圧が低下した際に蓄電池から負荷側あるいは系統側に補助供給し、負荷電圧、系統電圧の維持管理することが要求されている。
【0007】
また、蓄電池設備を具備した場合、蓄電池の長寿命化のため、回復充電を実施する必要があるが、系統電圧が低下した際に回復充電を実施すると、系統電圧を更に低下させることになると共に、電力変換装置に通流する電流が増加することになるという課題があり、蓄電池の回復充電方法を最適化し、系統側および装置への悪影響を低減することが要求されている。
【0008】
さらに、蓄電池の回復充電は定電流充電および定電圧充電により実施されるが、系統電圧が低下した際に回復充電を中断した場合、回復充電の必要時間が長くなると共に、回復充電復帰時に蓄電池電圧が急激に上昇し、蓄電池の規定上限電圧を超過するという課題があり、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行ない、系統側および蓄電池への悪影響を低減することが要求されている。
【0009】
また、蓄電池の回復充電に必要な電力が余剰電力のみで不足し、定電圧充電が継続できなくなった場合、回復充電効率は低下し、放電深度の管理に誤差を生じることになるという課題があり、余剰電力の不足による定電圧充電が継続できなくなった場合であっても、放電深度の管理に誤差を生じることなく充電継続することが要求されている。
【0010】
さらに、蓄電池の回復充電中あるいは回復充電以外であるかによって、余剰電力の給電先を変更することで、電力変換効率を最大限に上げ、効率のよい電源装置の提供が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電源装置は上記目的を達成するために、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジコンバータ、及びスイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記4つのアームに並列に接続したコンデンサと、交流電源と一次巻線を直列に接続し、かつフルブリッジインバータの出力からリアクトルを通して二次巻線を直列に接続した直列変圧器と、前記フルブリッジコンバータ、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部と、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧により適宜充放電を行なう蓄電手段を備えた節電装置、あるいは電圧安定化装置において、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成としたものである。
【0012】
この手段により、蓄電池設備を具備し、過剰電力を一時的に蓄電池へ蓄積し、系統電圧が低下した際に蓄電池から負荷側あるいは系統側に補助供給し、負荷電圧、系統電圧の維持管理を可能とし、さらに蓄電池の回復充電方法を最適化し、系統側および装置への悪影響を低減することができる。
【0013】
また、余剰電力は、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力である構成としたものである。
【0014】
この手段により、蓄電池の回復充電は交流電源に悪影響を及ぼすことなく実施することができる。
【0015】
さらに、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成としたものである。
【0016】
この手段により、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行ない、系統側および蓄電池への悪影響を低減することができる。
【0017】
また、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成としたものである。
【0018】
この手段により、余剰電力の不足による定電圧充電が継続できなくなった場合であっても、放電深度の管理に誤差を生じることなく充電継続することができる。
【0019】
さらに、蓄電池の充電制御において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成としたものである。
【0020】
この手段により、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができる。
【0021】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成としたものである。
【0022】
この手段により、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができる。
【0023】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成としたものである。
【0024】
この手段により、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができる。
【0025】
また、蓄電池の回復充電中において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0026】
この手段により、電力変換効率を最大限に上げ、効率のよい電源装置を提供することができる。
【0027】
さらに、蓄電池の回復充電以外の場合、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成としたものである。
【0028】
この手段により、電力変換効率を最大限に上げ、効率のよい電源装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジコンバータ、及びスイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記4つのアームに並列に接続したコンデンサと、交流電源と一次巻線を直列に接続し、かつフルブリッジインバータの出力からリアクトルを通して二次巻線を直列に接続した直列変圧器と、前記フルブリッジコンバータ、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部と、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧により適宜充放電を行なう蓄電手段を備えた節電装置、あるいは電圧安定化装置において、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成とすることで、蓄電池設備を具備し、過剰電力を一時的に蓄電池へ蓄積し、系統電圧が低下した際に蓄電池から負荷側あるいは系統側に補助供給し、負荷電圧、系統電圧の維持管理を可能とし、さらに蓄電池の回復充電方法を最適化し、系統側および装置への悪影響を低減することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0030】
また、余剰電力は、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力である構成とすることで、蓄電池の回復充電は交流電源に悪影響を及ぼすことなく実施することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0031】
さらに、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行ない、系統側および蓄電池への悪影響を低減することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0032】
また、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成とすることで、余剰電力の不足による定電圧充電が継続できなくなった場合であっても、放電深度の管理に誤差を生じることなく充電継続することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0033】
さらに、蓄電池の充電制御において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0034】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0035】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0036】
また、蓄電池の回復充電中において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成とすることで、電力変換効率を最大限に上げ、効率のよい電源装置を提供することができるという効果のある電源装置を提供できる。
【0037】
さらに、蓄電池の回復充電以外の場合、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成とすることで、電力変換効率を最大限に上げ、効率よく電力制御ができるという効果のある電源装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の請求項1記載の発明は、スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジコンバータ、及びスイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記4つのアームに並列に接続したコンデンサと、交流電源と一次巻線を直列に接続し、かつフルブリッジインバータの出力からリアクトルを通して二次巻線を直列に接続した直列変圧器と、前記フルブリッジコンバータ、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部と、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧により適宜充放電を行なう蓄電手段を備えた節電装置、あるいは電圧安定化装置において、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段を備える構成とすることで、蓄電池設備を具備し、過剰電力を一時的に蓄電池へ蓄積し、系統電圧が低下した際に蓄電池から負荷側あるいは系統側に補助供給し、負荷電圧、系統電圧の維持管理を可能とし、さらに蓄電池の回復充電方法を最適化し、系統側および装置への悪影響を低減することができるという作用を有する。
【0039】
また、余剰電力は、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力である構成とすることで、蓄電池の回復充電は交流電源に悪影響を及ぼすことなく実施することができるという作用を有する。
【0040】
さらに、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行ない、系統側および蓄電池への悪影響を低減することができるという作用を有する。
【0041】
また、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備える構成とすることで、余剰電力の不足による定電圧充電が継続できなくなった場合であっても、放電深度の管理に誤差を生じることなく充電継続することができるという作用を有する。
【0042】
さらに、蓄電池の充電制御において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという作用を有する。
【0043】
また、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという作用を有する。
【0044】
さらに、蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備える構成とすることで、系統電圧の高低に応じて効率的かつ効果的に回復充電を行なうと同時に、蓄電池の電圧を規定最大電圧以下に押さえることで、蓄電池の寿命への悪影響を低減することができるという作用を有する。
【0045】
また、蓄電池の回復充電中において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備える構成とすることで、電力変換効率を最大限に上げ、効率のよい電源装置を提供することができるという作用を有する。
【0046】
さらに、蓄電池の回復充電以外の場合、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備える構成とすることで、電力変換効率を最大限に上げ、効率よく電力制御ができるという作用を有する。
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における電源装置の構成図を示す。図に示すように、実施の形態1における電源装置は、スイッチング素子1aから1hと逆並列したダイオード2aから2hをそれぞれ上下に直列接続した4つのアーム3aから3dにより構成したフルブリッジコンバータ4及びフルブリッジインバータ5と、前記4つのアーム3aから3dと並列に接続したコンデンサ6と、交流電源7と一次巻線を直列に接続し、かつフルブリッジインバータ5の出力からリアクトル8を通して二次巻線を直列に接続した直列変圧器9と、前記フルブリッジコンバータ4、フルブリッジインバータ5を制御する主回路制御部10と、前記コンデンサ6に並列接続し、かつ交流電源7の電圧の上下変動に応じて充放電を行なう蓄電手段11を備えた電圧安定化装置12に、蓄電手段11に具備した蓄電池11aおよび蓄電池11aに充放電を行なう充放電制御部11bと、蓄電池11aの回復充電に際に負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段としてのコンバータ逆流防止制御部13と、回復充電時の定電流充電領域において交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力が、蓄電池11aの定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段14と、交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に、直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力が、蓄電池11aの定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段15と、蓄電池11aの充電制御において、交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力の変動による、蓄電池11aの電圧オーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段16を備えている。
【0049】
次に、コンバータ逆流防止制御部13のフローチャートについて、図2を参照しながら説明する。図に示すように、コンバータ逆流防止制御部13は、フルブリッジコンバータ4を制御する主回路制御部10の出力電力指令値を常時正の値Po_minをとるように出力下限値設定を送信する。また、充放電制御部11bは、充電時にコンデンサ6の電圧がVc_chaとなるように制御する。このため、発電電力が充分でない状態、かつフルブリッジインバータ5からの回生電力が充分でない状態となった時には、コンデンサ6の電圧は低下することとなる。従って、フルブリッジコンバータ4を制御する主回路制御部10が常時正の値Po_minを出力下限値として動作することから、コンデンサ6の電圧の低下を充放電制御部11bが制御することとなり、蓄電池11aへ充電するよう制御していた運転制御は充電電流を絞り、放電制御へと切り換わることとなる。
【0050】
次に、定電流充電手段14のフローチャートについて図3を参照しながら説明する。
【0051】
図に示すように、定電流充電手段14は、回復充電中であることを示す回復充電フラグ信号と、回復充電に必要な発電電力があるか否かを示す回復充電可能フラグ信号を入力する。入力した、回復充電フラグ信号と回復充電可能フラグ信号から、コンデンサ6の電圧が一定となるよう制御し、定電流充電ではなく、コンデンサ6の電圧を一定に保ちながら充電制御を行なう。この時の充電電流の上限値は、蓄電池11aの定電流充電時の指令値を使用し蓄電池11aへの過充電も防止する。従って、蓄電池11aの定電流充電の指令値を超える充電量へと発電電力が増加した際には、上限値である定電流充電時の指令値により飽和し、上限値以上の指令とならないよう構成している。
【0052】
次に、定電圧充電手段15のフローチャートについて図4を参照しながら説明する。
【0053】
図に示すように、定電圧充電手段15は、回復充電中に蓄電池11aの電圧が規定の電圧に到達し、その時の充電電流が規定値より小さくなった場合、充電継続時間のカウントを開始する。その後、発電電力が減少し、蓄電池11aの定電圧充電が継続できなくなった時には、蓄電池11aへの充電は継続するが、充電継続時間のカウントを中断する。この充電継続時間のカウントは、再度発電電力が回復充電に充分な発電電力となり、蓄電池11aの電圧が規定電圧に到達すると同時に、規定の充電電流より小さくなった場合に再開する。この再開時の充電継続時間のカウントの初期値は、充電を中断した際のカウント値とする。さらにカウント時間が規定値に到達すれば、回復充電を完了する。
【0054】
次に、蓄電池電圧抑制手段16の制御ブロックについて図5を参照しながら説明する。
図に示すように、蓄電池電圧抑制手段16は、定電圧充電時の制御ブロックと定電流充電時の制御ブロックにより構成している。定電圧充電時の制御ブロックは、蓄電池11aの電圧目標値と、実際の蓄電池11aの電圧との偏差により充電電流を決定している。その充電電流の指令値は、偏差をPI制御器に入力することで計算する。次に定電流充電時の制御ブロックは、蓄電池11aの充電電流目標値と、実際の充電電流との偏差からPI制御器に入力することで充放電制御部11bに指令を送信する。さらに蓄電池11aの電圧の上昇速度が速い場合、図6に示すような、微分制御を追加しPID制御器へ蓄電池11aの電圧を入力することで対応する。微分制御の入力には蓄電池11aの電圧が逐次入力され、蓄電池11aの電圧変化量に微分ゲインを掛けることで演算する。これにより蓄電池11aの電圧は、充電状態に関わらず、規定電圧をオーバーしない制御としている。
【0055】
以上のように、本実施の形態1によれば、蓄電手段11の蓄電池11aへの充電は、コンバータ逆流防止制御部13により、交流電源7に対し、常時出力する制御を行なうため、交流電源7からの電力流入が防止でき、直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力のみ充電あるいは回復充電することができることとなる。
【0056】
(実施の形態2)
図7に本発明の実施の形態2における電源装置の構成図を示す。図に示すように、実施の形態2における電源装置は、蓄電池11aの回復充電中において、交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力の給電優先順位は蓄電池11aを最優先する優先順位制御手段17と、蓄電池11aの回復充電以外の場合、交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力の給電優先順位は交流電源7への出力を最優先する第二優先順位制御手段18を備えている。
【0057】
次に、優先順位制御手段17のフローチャートについて図8を参照しながら説明する。
【0058】
図に示すように、優先順位制御手段17は、回復充電フラグ信号を入力し、回復充電であるか否かを判別する。判定した結果、回復充電中であれば、フルブリッジコンバータ4を制御する主回路制御部10をコンデンサ6の電圧制御モードで動作するよう指令を送信する。さらに優先順位制御手段17は、充放電制御部11bに対して定電流充電制御を行なうように指令を送信する。
【0059】
次に、第二優先順位制御手段18のフローチャートについて図9を参照しながら説明する。
【0060】
図に示すように、第二優先順位制御手段18は、回復充電フラグ信号から回復充電中でない場合、フルブリッジコンバータ4を制御する主回路制御部10に対して、定電力制御指令を送信する。さらに第二優先順位制御手段18は、充放電制御部11bに対してコンデンサ6の電圧制御を行なうように指令を送信する。
【0061】
以上のように、本実施の形態3によれば、回復充電中における交流電源7の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器9からフルブリッジインバータ5を通して回生された回生電力の給電優先順位は、充放電制御部11bを定電流充電制御にて動作させることで給電を最優先し、また、回復充電中でない場合は、充放電制御部11bに対してコンデンサ6の電圧制御を行なうことで余剰分を充電するのみ、すなわち給電の優先順位を交流電源7に対して下げることができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
系統に接続した電源装置において、蓄電池の回復充電を効率的、効果的に実施する方法であり、蓄電池設備を具備した省エネルギー装置や太陽電池や燃料電池を用いた発電手段の一時的な電力貯蔵装置の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1の電源装置の構成図
【図2】同回復充電制御手段のフローチャート
【図3】同定電流充電手段のフローチャート
【図4】同定電圧充電手段のフローチャート
【図5】同蓄電池電圧抑制手段の制御ブロック図
【図6】同蓄電池電圧抑制手段(PID制御時)の制御ブロック図
【図7】本発明の実施の形態2の電源装置の構成図
【図8】同優先順位制御手段のフローチャート
【図9】同第二優先順位制御手段のフローチャート
【図10】従来の電源装置(節電装置)の構成図
【符号の説明】
【0064】
1 スイッチング素子
2 ダイオード
3 アーム
4 フルブリッジコンバータ
5 フルブリッジインバータ
6 コンデンサ
7 交流電源
8 リアクトル
9 直列変圧器
10 主回路制御部
11 蓄電手段
12 電圧安定化装置
13 コンバータ逆流防止制御部
14 定電流充電手段
15 定電圧充電手段
16 蓄電池電圧抑制手段
17 優先順位制御手段
18 第二優先順位制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジコンバータ、及びスイッチング素子と逆並列したダイオードを上下に直列接続した2つのアームにより構成したフルブリッジインバータと、前記4つのアームに並列に接続したコンデンサと、交流電源と一次巻線を直列に接続し、かつフルブリッジインバータの出力からリアクトルを通して二次巻線を直列に接続した直列変圧器と、前記フルブリッジコンバータ、フルブリッジインバータを制御する主回路制御部と、前記コンデンサに並列接続し、かつ交流電源の電圧により適宜充放電を行なう蓄電手段を備えた節電装置、あるいは電圧安定化装置において、蓄電手段に具備した蓄電池の回復充電は、負荷に対して過剰な余剰電力のみで行なう回復充電制御手段を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
余剰電力は、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力であることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電流充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続する定電流充電手段を備えたことを特徴とする請求項1あるいは2記載の電源装置。
【請求項4】
交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力が、蓄電池の定電圧充電に必要な電力量を満たさなかった場合であっても充電を継続し、かつ充電継続時間をカウントしない定電圧充電手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項5】
蓄電池の充電制御において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の変動による、蓄電池電圧のオーバーシュートを抑制する蓄電池電圧抑制手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項6】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
蓄電池電圧抑制手段は、蓄電池電圧の比例積分制御及び微分制御を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項8】
蓄電池の回復充電中において、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は蓄電池を最優先する優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項9】
蓄電池の回復充電以外の場合、交流電源の電源電圧が設定電圧より高い場合に直列変圧器からフルブリッジインバータを通して回生された回生電力の給電優先順位は交流電源への出力を最優先する第二優先順位制御手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−74947(P2006−74947A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257230(P2004−257230)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】