説明

電源装置

【課題】電源装置の大型化、高価格化を回避しつつ、入力電圧が遮断されたときでも、所定の出力電圧を長く供給すること。
【解決手段】電源装置1は、電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する昇圧コンバータ52と、昇圧された電圧を第1負荷回路に供給される出力電圧に降圧する降圧コンバータ53と、電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する昇圧コンバータ54と、昇圧コンバータ54の出力側に接続されたコンデンサC2と、コンデンサC2の端子間電圧が降圧コンバータ53の出力電圧より高くなると、コンデンサC2と降圧コンバータ53の入力側とを通電状態にするダイオードD1とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンピュータシステム等に対して突然給電が停止されると、給電が停止された要因が、例えば落雷等の自然災害による停電または瞬断に拠るものなのか、電源装置内の部品の不良に拠るものなのか、あるいは、コンピュータシステム内の問題に拠るものなのかを判別することが難しいものとなっている。
【0003】
そこで、1つの電源を入力として複数の系統(例えば2系統)に電圧を供給する一般的な電源装置では、電源装置の状態を通信記録(ログ)に残すために、1系統を通信記録用として電圧を供給するとともに、突然給電が停止されることを回避するために、コンデンサを備えている。
【0004】
例えば、図7に示すように、従来の電源装置を構成する給電回路は、27ボルト(V)の入力電圧Viから昇圧コンバータ(PS1)によって50Vに昇圧された電圧V01と降圧コンバータ(PS2)によって5Vに降圧された通信記録用の電圧V02を出力する。そして、給電回路は、通信記録用の電圧を補完するために電圧保持用のコンデンサ(C1)を備えている。ここで、給電回路にコンデンサが備えられていないと、図8に示すように、例えば停電等により入力電圧が遮断されると、電圧V01および電圧V02は給電が同時に遮断されるため零になる。この給電回路のようにコンデンサが備えられていると、図9に示すように、例えば停電等により入力電圧が遮断されても、コンデンサから供給された電圧を使って、停電が発生したことをログに記録することが可能となる。この場合、コンデンサの容量が大きければ大きいほど、電圧を保持する時間が長くなり、停電が発生したことが確実にログに記録される。
【0005】
また、倍電圧整流回路を用いて入力電圧の電圧値をおよそ2倍に上げて元の電圧値で保持するより大きいエネルギーをコンデンサに蓄積しておき、例えば停電等により入力電圧が遮断されたとき、このコンデンサに蓄積されたエネルギーを所定の出力電圧に変換して、出力電圧を保持する時間を延長させる給電回路の技術が開示されている。この給電回路では、電圧安定化回路に可変抵抗と等価であるトランジスタを使っており(ドロッパー方式)、このトランジスタに高電圧がかかると電力損失が発生するため、トランジスタに必要以上の高電圧がかからないように、コンデンサからのエネルギーの出力を制御するスイッチ回路が追加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52−146142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば停電等により入力電圧が遮断されたとき、出力電圧を長く保持できる従来の電源装置では、電源装置自体の大型化を回避することができないという問題がある。
【0008】
例えば、電圧保持用のコンデンサを備える電源装置では、出力電圧を長く保持させようとすると、電圧保持用のコンデンサの容量を大きくする必要があり、電源装置自体の大型化を回避することができない。
【0009】
また、入力電圧の電圧値を2倍に上げてエネルギーをコンデンサに蓄積した従来の給電回路では、コンデンサに蓄積されるエネルギーは電圧の2乗に比例するため、コンデンサの容量は1/4で良いことになり、コンデンサの容量を小さくすることが可能である。ところが、この給電回路にドロッパー方式を用いた場合には、コンデンサに蓄積されたエネルギーを無駄にしないように電圧切替え用スイッチ回路等の付加的な回路が必要となり、電源装置の大型化、高価格化を回避することができない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の大型化、高価格化を回避しつつ、入力電圧が遮断されたときでも、所定の出力電圧を長く供給することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した問題を解決し、目的を達成するために、電源装置は、電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第1昇圧部と、前記第1昇圧部によって昇圧された電圧を第1負荷回路に供給される出力電圧に降圧する第1降圧部と、電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第2の昇圧部と、前記第2昇圧部の出力側に接続された蓄電素子と、前記蓄電素子の端子間電圧が前記第1昇圧部の出力電圧より高くなると、前記蓄電素子と前記第1降圧部の入力側とを通電状態にする通電手段と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
以上により、電源装置は、自装置の大型化、高価格化を回避しつつ、入力電圧が遮断されたときでも、所定の出力電圧を長く供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1の電源装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1に係る非絶縁型の給電回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、コンデンサに印加される電圧の違いと電源装置の出力電圧との関係を示すタイムチャートを示す図である。
【図4】図4は、実施例1に係る非絶縁型の給電回路の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例2に係る絶縁型の給電回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施例2に係る絶縁型の給電回路の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、従来の給電回路方式の給電回路を示す図である。
【図8】図8は、従来の給電回路のタイムチャートを示す図である。
【図9】図9は、従来の給電回路のタイムチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る電源装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係る電源装置内部の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、電源装置1は、2系統の負荷回路に対して電力を供給する直流の電源2と、電源2から2系統の負荷回路に対してそれぞれ所定の出力電圧を供給する給電回路5と、を備える。なお、図1の例では、電源装置1は、電源2から2系統の負荷回路に対して電力を供給するものとしているが、これに限定されるものではなく、電源2から2系統以外の複数の負荷回路に対して電力を供給しても良い。
【0016】
013は、1系統の負荷回路に供給される出力電圧であり、給電回路5から所定の電圧が供給される。V013が供給される負荷回路は、例えば、暖房器具や電子計算機等を構成する回路であり、電源2から供給される入力電圧よりも高い電圧を要する。
【0017】
02(通信用電圧)4は、V013と異なる1系統の負荷回路に供給される出力電圧であり、給電回路5から所定の電圧が供給される。V02(通信用電圧)4が供給される負荷回路は、電源装置1の状態を定期的にログに記録するために使用される、例えば通信用記録装置を構成する回路であり、V013の入力電圧より低い電圧であっても良く、電源2からの入力電圧Viより低い電圧であっても良い。
【0018】
給電回路5は、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合には、電源2からの入力電圧Viを入力電圧Viより高い電圧に昇圧して、昇圧された電圧をコンデンサに印加して電荷を蓄積しながら、当該電圧を出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧して出力電圧V02(通信用電圧)4を負荷回路に供給する。そして、給電回路5は、電源2からの入力電圧Viが例えば停電等により遮断されたときであっても、同様の経路を用いて、コンデンサから当該コンデンサに蓄積された電荷に対応する電圧を、出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧して出力電圧V02(通信用電圧)4を負荷回路に供給する。これにより、コンデンサに蓄えられるエネルギーは、コンデンサに印加される電圧が高いほど多く蓄えられるため、給電回路5は、電源2からの入力電圧Viが遮断されたとき、コンデンサに印加される電圧が高いほど出力電圧V02(通信用電圧)4を長く保持することができる。
【0019】
図2は、実施例1に係る非絶縁型の給電回路の構成を示すブロック図である。図2に示すように、給電回路5は、スイッチ51と、昇圧コンバータ(PS1)52と、降圧コンバータ(PS2)53と、昇圧コンバータ(PS3)54と、コンデンサC1、C2と、ダイオードD1と、を備える。
【0020】
スイッチ51は、電源2と昇圧コンバータ(PS1)52および昇圧コンバータ(PS3)54とを接続(ON)または未接続(OFF)に切り替えるスイッチ素子であり、電源2から入力電圧Viが供給されるとONになり、電源2から昇圧コンバータ(PS1)52および昇圧コンバータ(PS3)54に入力電圧Viを供給する。また、スイッチ51は、電源2から入力電圧Viが例えば停電等により遮断されるとOFFになり、電源2から昇圧コンバータ(PS1)52および昇圧コンバータ(PS3)54に対する入力電圧Viの供給が遮断される。なお、図2の例では、電源2からの入力電圧Viを27Vとしているが、これに限定されない。
【0021】
昇圧コンバータ(PS1)52は、電源2からの入力電圧Viを、スイッチ51を介して取得すると、入力電圧Viより高い所定の電圧(図2の例では50V)に昇圧して、昇圧された電圧をコンデンサC1および降圧コンバータ(PS2)53に供給する。なお、図2の例では、昇圧コンバータ(PS1)52は、入力電圧Vi(27V)から50Vに昇圧しているが、これに限定されず、入力電圧Vi(27V)から出力電圧V013より高い電圧であれば良い。
【0022】
コンデンサC1は、昇圧コンバータ(PS1)52と降圧コンバータ(PS2)53との間にあり、それぞれと互いに接続されている。コンデンサC1は、昇圧コンバータ(PS1)52によって供給された電圧を印加して、印加された電圧に対応する電荷を蓄えながら、蓄えられた電荷に対応する電圧を降圧コンバータ(PS2)53に供給する。また、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合には、コンデンサC1は、昇圧コンバータ(PS1)52からの電圧が印加されなくなるため、蓄えられている電荷を用いて電荷に対応する電圧を降圧コンバータ(PS2)53に供給する。これにより、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合に、コンデンサC1は、入力電圧Vi(27V)より高い電圧(50V)で充電しているため、入力電圧Vi(27V)で充電するより大きいエネルギーを持つ電荷を蓄えていることになり、電源2から入力電圧Viが遮断された場合、出力電圧V02(通信用電圧)4を長く保持することができる。さらに、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合には、コンデンサC1は、自己のコンデンサC1から蓄えられた電荷が出力されるとコンデンサC1内の電圧が低くなるため、後述するコンデンサC2から供給される電圧をさらに印加して、印加された電圧に対応する電荷を蓄え、蓄えられた電荷に対応する電圧を降圧コンバータ(PS2)53に供給する。これにより、コンデンサC1は、出力電圧V02(通信用電圧)4をさらに長く保持することができる。
【0023】
降圧コンバータ(PS2)53は、入力された電圧をスイッチング動作によって降圧して出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであり、入力可能な電圧に対応する開閉比率(例えばDuty比)を用いて、所定の電圧に降圧する。具体的には、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合には、降圧コンバータ(PS2)53は、昇圧コンバータ(PS1)52によって供給された電圧を取得すると、取得された電圧を例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧して負荷回路に供給する。また、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合には、降圧コンバータ(PS2)53は、昇圧コンバータ(PS1)52からの電圧が印加されなくなるため、コンデンサC1、C2から供給された電圧を取得して、取得された電圧を例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧して負荷回路に供給する。なお、図2の例では、入力可能な電圧とは、50Vから5Vまでの範囲であるが、この範囲内に限定されるものではない。また、コンデンサC1、C2から供給される電圧は、高電圧(50V)から低電圧(5V)まで広範囲に変化するが、降圧コンバータ(PS2)53は、スイッチングレギュレータであるため、供給される電圧に対応して効率良く出力電圧に変換することができる。
【0024】
昇圧コンバータ(PS3)54は、電源2からの入力電圧Viを、スイッチ51を介して取得すると、入力電圧Viより高い所定の電圧(図2の例では50Vの出力電圧V013)に昇圧して、昇圧された電圧をコンデンサC2および負荷回路に供給する。
【0025】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ(PS3)54とダイオードD1との間にあり、それぞれと互いに接続されている。コンデンサC2は、昇圧コンバータ(PS3)54によって供給された電圧を印加して、印加された電圧に対応する電荷を蓄えながら、蓄えられた電荷に対応する電圧を出力電圧V013として負荷回路に供給する。また、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合には、コンデンサC2は、昇圧コンバータ(PS3)54からの電圧が印加されなくなるため、蓄えられている電荷を用いて電荷に対応する電圧をダイオードD1および負荷回路に供給する。
【0026】
ダイオードD1は、コンデンサC2から出力電圧V013が供給される負荷回路に電荷が向かう経路(C2経路)からコンデンサC1から降圧コンバータ(PS2)53に電荷が向かう経路(C1経路)に電荷を移動させる方向素子であり、それぞれの経路と接続される両端の電圧に基づいて電荷を移動させる。これは、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合に、コンデンサC1の電荷を補充するためである。具体的には、電源2から入力電圧Viが遮断されている場合には、ダイオードD1は、C2経路側の電圧VaがC1経路側の電圧Vbより高くなったとき、C2経路側の電圧に対応する電荷をC1経路側に移動させる。すなわち、コンデンサC1に蓄えられている電荷が出力されるにつれて、電圧Vbが低くなり、電圧Vbが電圧Vaより低くなったとき、コンデンサC2に蓄えられている電荷がダイオードD1によってコンデンサC1に向かって移動する。その結果、コンデンサC1は、移動した電荷をさらに蓄えることができ、出力電圧V02(通信用電圧)4を長く保持することができる。
【0027】
図3は、コンデンサに印加される電圧(V)の違いと電源装置1の出力電圧との関係を示すタイムチャートである。なお、図3では、容量を同一としたコンデンサC1に5Vと50Vの異なる電圧をそれぞれ印加した場合を説明する。
【0028】
入力電圧Viが供給されて、5Vの電圧が印加されたコンデンサC1と50Vの電圧が印加されたコンデンサC1とでは、入力電圧Viが遮断された場合、コンデンサC1に蓄えられたエネルギーによって出力電圧V02(通信用電圧)4を保持する時間が異なる。すなわち、一般にコンデンサC1に蓄えられたエネルギーは電圧の2乗に比例するため、50Vの電圧がコンデンサC1に印加されて蓄えられたエネルギーは、5Vの電圧がコンデンサC1に印加されて蓄えられたエネルギーより約100倍大きい。そのため、入力電圧Viが遮断された場合、コンデンサC1に印加された電圧が高かったほど、出力電圧V02(通信用電圧)4を負荷回路に供給する時間が長くなる。図3では、コンデンサC1に50Vで充電された場合の保持時間は、5Vで充電された場合の保持時間よりもtd分長い。これにより、V02(通信用電圧)4が供給される負荷回路では、入力電圧Viが遮断された理由(例えば停電が発生したこと)が確実にログに記録される。
【0029】
また、コンデンサC1に蓄えられるエネルギーは、一般にコンデンサC1の容量に比例し電圧の2乗に比例するため、コンデンサC1の容量を小さくしても電圧を高くすれば同じエネルギーを確保することができる。ここで、入力電圧Viが遮断されたときにログを記録するには、例えば20ミリ秒程度の時間を要する。したがって、かかる時間分出力電圧V02(通信用電圧)4が保持されるエネルギーを蓄えるコンデンサC1の容量は、コンデンサC1に印加される電圧が高いほど小さくすることができる。
【0030】
次に、実施例1に係る非絶縁型の給電回路の動作について、図4を参照して説明する。図4は、実施例1に係る非絶縁型の給電回路の処理を示すフローチャートである。
【0031】
まず、電源2から例えば27Vの入力電圧Viが遮断されていない場合、スイッチ51は、電源2から入力電圧Viが供給されるとONになり、昇圧コンバータ(PS1)52および昇圧コンバータ(PS3)54に入力電圧Viを供給する。
【0032】
スイッチ51は、入力電圧Viが「0」であるか否かを判定して(S110)、入力電圧Viが「0」でないと判定した場合には(S110No)、昇圧コンバータ(PS1)52、および昇圧コンバータ(PS3)54に入力電圧Viを供給する。
【0033】
入力電圧Viが供給された昇圧コンバータ(PS1)52は、27Vの入力電圧Viを50Vに高電圧化し、高電圧化された電圧は、コンデンサC1を充電しながら、降圧コンバータ(PS2)53によって例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧されて、負荷回路に供給される。(S120)。
【0034】
また、入力電圧Viが供給された昇圧コンバータ(PS3)54は、27Vの入力電圧Viを例えば50Vに高電圧化し、高電圧化された電圧は、コンデンサC2を充電しながら、出力電圧V013として負荷回路に供給される。(S130)。
【0035】
一方、スイッチ51は、入力電圧Viが「0」であると判定した場合には(S110Yes)、OFFになり、入力電圧Viを供給できないため、昇圧コンバータ(PS1)52および昇圧コンバータ(PS3)54は停止する(S140)。
【0036】
すると、昇圧コンバータ(PS1)52から入力電圧Viが供給されないため、コンデンサC1に蓄えられている電荷に対応する電圧は、降圧コンバータ(PS2)53によって5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧されて、負荷回路に供給される(S150)。
【0037】
また、ダイオードD1は、コンデンサC2側の電圧VaがコンデンサC1側の電圧Vbより高いか否かを判定する(S160)。そして、コンデンサC2側の電圧VaがコンデンサC1側の電圧Vb以下の場合には(S160No)、引き続き、コンデンサC1に蓄えられている電荷を放電する。
【0038】
一方、コンデンサC2側の電圧VaがコンデンサC1側の電圧Vbより高い場合には(S160Yes)、ダイオードD1は、コンデンサC2に蓄えられている電荷をコンデンサC1に移動させて、コンデンサC1を充電する(S170)。
【0039】
そして、コンデンサC1に蓄えられている電荷に対応する電圧は、降圧コンバータ(PS2)53によって5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧されて、負荷回路に供給される(S180)。
【0040】
以上のように本実施例1によれば、電源装置1は、電源2から供給される入力電圧Viを、昇圧コンバータ(PS1)52によって、入力電圧Viより高い電圧に昇圧する。そして、電源装置1は、昇圧コンバータ(PS1)52によって昇圧された電圧を、降圧コンバータ(PS2)53によって、負荷回路に印加される出力電圧に降圧する。そして、電源装置1は、昇圧コンバータ(PS1)52および降圧コンバータ(PS2)53の間に設けられたコンデンサC1に、昇圧コンバータ(PS1)52によって昇圧された電圧が印加されて電荷を蓄積する。そして、電源装置1は、入力電圧Viが「0」になったとき、コンデンサC1によって蓄積されている電荷に対応する電圧を、降圧コンバータ(PS2)53によって、負荷回路に印加される出力電圧に降圧する。
【0041】
このようにして、電源装置1は、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合に負荷回路に電圧が供給される経路にコンデンサC1を設けることによって、入力電圧Viが供給されなくなるときのための専用の部品を設ける必要がなくなり、自装置を小型化することができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0042】
また、電源装置1は、入力電圧Viを高電圧化してコンデンサC1に印加しているため、入力電圧ViのままコンデンサC1に印加するよりも大きいエネルギーを蓄えることができ、負荷回路に印加される出力電圧を長く保持することができる。その結果、仮に負荷回路がログを記録するための回路である場合、負荷回路は、入力電圧Viが遮断されたとき、入力電圧Viが遮断された理由(例えば停電が発生したこと)を確実にログに記録することができる。
【0043】
また、電源装置1は、入力電圧Viを高電圧化してコンデンサC1に印加しているため、入力電圧ViをコンデンサC1に印加した場合と比較して、コンデンサC1の容量を小さくすることができ、さらに装置全体の小型化が可能となる。
【0044】
なお、上記実施例1においては、非絶縁型の給電回路を例に挙げて説明したが、絶縁型の給電回路であっても良く、この絶縁型の給電回路を内蔵した電源装置の実施例につき、実施例2として説明する。
【実施例2】
【0045】
図5は、実施例2に係る絶縁型の給電回路の構成を示すブロック図である。図5に示すように、実施例2に係る給電回路では、実施例1に係る給電回路(図2)から昇圧コンバータ(PS3)54とコンデンサC2が削除され、絶縁型降圧コンバータ(PS3)61およびダイオードD2が追加され、昇圧コンバータ(PS1)52が絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52に変更されている。なお、図5において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0046】
絶縁型降圧コンバータ(PS3)61は、絶縁トランスを内蔵し、絶縁トランスを経由した入力電圧Viをスイッチング動作によって降圧して出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであり、入力可能な電圧に対応する開閉比率(例えばDuty比)を用いて、所定の電圧に降圧する。具体的には、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合には、絶縁型降圧コンバータ(PS3)61は、電源2からの入力電圧Viを、スイッチ51を介して取得すると、取得された電圧を例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧して、ダイオードD2を介して負荷回路に供給する。
【0047】
絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52は、絶縁トランスを内蔵し、絶縁トランスを経由した入力電圧Viを入力電圧Viより高い所定の電圧(図5の例では50Vの出力電圧V013)に昇圧する。そして、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52は、昇圧された電圧をコンデンサC1および負荷回路に供給する。
【0048】
降圧コンバータ(保持用)(PS2)53は、入力された電圧をスイッチング動作によって降圧して出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであり、入力可能な電圧に対応する開閉比率(例えばDuty比)を用いて、所定の電圧に降圧する。具体的には、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合、降圧コンバータ(保持用)(PS2)53は、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52によって供給された電圧(50V)を取得すると、取得された電圧を例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧する。なお、降圧コンバータ(保持用)(PS2)53は、5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧するものとしたが、これに限定されず、5Vより低い電圧に降圧するものとしても良い。
【0049】
ダイオードD1は、コンデンサC1からV013が供給される負荷回路に電荷が向かう経路(V01経路)から絶縁型降圧コンバータ(PS3)61からV024(通信用電圧)が供給される負荷回路に電荷が向かう経路(V02経路)に電荷を移動させる方向素子である。
【0050】
ダイオードD2は、絶縁型降圧コンバータ(PS3)61からV024(通信用電圧)が供給される負荷回路に電荷を移動させる方向素子である。
【0051】
ダイオードD1およびダイオードD2は、論理和回路を構成する。すなわち、ダイオードD1およびダイオードD2の入力電圧のうちどちらか一方の入力電圧がV024(通信用電圧)が供給される負荷回路に供給される。そして、電源2から入力電圧Viが遮断されてダイオードD2に印加される入力電圧が零になると、コンデンサC1から供給された電圧が降圧コンバータ(保持用)(PS2)53によって降圧されて、降圧された電圧がダイオードD1を介してV02(通信用電圧)4に供給される。これにより、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合に、コンデンサC1は、入力電圧Vi(27V)より高い電圧(50V)で充電しているため、入力電圧Vi(27V)で充電するより大きいエネルギーを持つ電荷を蓄えていることになり、電源2から入力電圧Viが遮断された場合、出力電圧V02(通信用電圧)4を長く保持することができる。
【0052】
次に、実施例2に係る絶縁型の給電回路の動作について、図6を参照して説明する。図6は、実施例1に係る絶縁型の給電回路の処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、電源2から入力電圧Vi(例えば27V)が遮断されていない電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合、スイッチ51は、電源2から入力電圧Viが供給されるとONになり、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52および絶縁型降圧コンバータ(PS3)61に入力電圧Viを供給する。
【0054】
スイッチ51は、入力電圧Viが「0」であるか否かを判定して(S210)、入力電圧Viが「0」でないと判定した場合には(S210No)、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52および絶縁型降圧コンバータ(PS3)61に入力電圧Viを供給する。
【0055】
入力電圧Viが供給された絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52は、入力電圧Viを50Vに高電圧化し、高電圧化された電圧は、コンデンサC1を充電しながら、出力電圧V013として負荷回路に供給される。また、降圧コンバータ(保持用)(PS2)53は、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52によって高電圧化された電圧を例えば5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧する(S220)。
【0056】
また、入力電圧Viが供給された絶縁型降圧コンバータ(PS3)61は、入力電圧Viを5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧する(S230)。そして絶縁型降圧コンバータ(PS3)61によって降圧された出力電圧または降圧コンバータ(保持用)(PS2)53によって降圧された出力電圧のどちらか一方の出力電圧が、ダイオードD1、D2で構成される論理和回路によって出力電圧V02(通信用電圧)4として負荷回路に供給される。
【0057】
一方、スイッチ51は、入力電圧Viが「0」であると判定した場合には(S210Yes)、OFFになり、入力電圧Viを供給できないため、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52および絶縁型降圧コンバータ(PS3)61は停止する(S240)。
【0058】
すると、絶縁型降圧コンバータ(PS3)61から電圧が供給されないため、コンデンサC1に蓄えられている電荷に対応する電圧は、降圧コンバータ(PS2)53によって5Vの出力電圧V02(通信用電圧)4に降圧されて、ダイオードD1を介して負荷回路に供給される(S250)。
【0059】
以上のように本実施例2によれば、電源装置1は、電源2から供給される入力電圧Viを、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52によって、入力電圧Viより高い電圧に昇圧する。そして、電源装置1は、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52によって昇圧された電圧を、降圧コンバータ(PS2)53によって、負荷回路に印加される出力電圧に降圧する。そして、電源装置1は、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52および降圧コンバータ(PS2)53の間に設けられたコンデンサC1に、絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52によって昇圧された電圧が印加されて電荷を蓄積する。そして、電源装置1は、入力電圧Viが「0」になったとき、コンデンサC1によって蓄積されている電荷に対応する電圧を、降圧コンバータ(PS2)53によって、負荷回路に印加される出力電圧に降圧する。また、電源装置1は、電源2から供給される入力電圧Viを、絶縁型降圧コンバータ(PS3)61によって、負荷回路に印加される出力電圧に変換する。そして、電源装置1は、降圧コンバータ(PS2)53によって変換されて得られた出力電圧および絶縁型降圧コンバータ(PS3)61によって変換されて得られた出力電圧のいずれか一方の出力電圧に対応する電荷をダイオードD1、D2を介して負荷回路に移動させる。
【0060】
このようにして、電源装置1は、電源2から入力電圧Viが遮断されていない場合に負荷回路に電圧が供給される経路にコンデンサC1を設けることによって、入力電圧Viが供給されなくなるときのための専用の部品を設ける必要がなくなり、自装置を小型化することができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0061】
また、電源装置1は、入力電圧Viを高電圧化してコンデンサC1に印加しているため、入力電圧ViのままコンデンサC1に印加するよりも大きいエネルギーを蓄えることができ、負荷回路に印加される出力電圧を長く保持することができる。その結果、仮に負荷回路がログを記録するための回路である場合、負荷回路は、入力電圧Viが遮断されたとき、入力電圧Viが遮断された理由(例えば停電が発生したこと)を確実にログに記録することができる。
【0062】
また、電源装置1は、入力電圧Viを高電圧化してコンデンサC1に印加しているため、入力電圧ViをコンデンサC1に印加した場合と比較して、コンデンサC1の容量を小さくすることができ、さらに装置全体の小型化が可能となる。
【0063】
さらに、電源装置1は、電源2から入力電圧Viを供給する絶縁型昇圧コンバータ(PS1)52および絶縁型降圧コンバータ(PS3)61のそれぞれの入力と出力とを絶縁しているため、例えば雷サージ等による影響から保護することができる。
【0064】
以上、本発明の実施例について説明したが、本実施例によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲の範囲を逸脱しない限り、各種様々な実施例が実施可能であることは言うまでもない。また、本実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0065】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的に記載したものであって、必ずしも物理的に図示のように構成されるものではなく、その各装置の具体的な態様は図示のものに限縮されるものでは到底ないことは言うまでもない。
【0066】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されても良い。
【0067】
以上の実施例に係る実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0068】
(付記1)電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第1昇圧部と、
前記第1昇圧部によって昇圧された電圧を第1負荷回路に供給される出力電圧に降圧する第1降圧部と、
電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第2の昇圧部と、
前記第2昇圧部の出力側に接続された蓄電素子と、
前記蓄電素子の端子間電圧が前記第1昇圧部の出力電圧より高くなると、前記蓄電素子と前記第1降圧部の入力側とを通電状態にする通電手段と
を有すること特徴とする電源装置。
【0069】
(付記2)前記通電手段は、スイッチング素子であることを特徴とする付記1に記載の電源装置。
【0070】
(付記3)前記通電手段は、ダイオードであることを特徴とする付記1に記載の電源装置。
【0071】
(付記4)電源から供給される入力電圧を第1の電圧に降圧する第1降圧部と、
電源から供給される入力電圧を第2の電圧に昇圧する第1昇圧部と、
前記第1昇圧部の出力側に接続された蓄電素子と、
前記第1昇圧部の出力側に接続された第2降圧部と、
前記第1降圧部の出力電圧が前記第2降圧部の出力電圧より低くなると、前記第1降圧部の出力側と前記第2降圧部の出力側とを通電状態にする通電手段と
を有すること特徴とする電源装置。
【0072】
(付記5)前記通電手段は、スイッチング素子であることを特徴とする付記4に記載の電源装置。
【0073】
(付記6)前記通電手段は、ダイオードであることを特徴とする付記4に記載の電源装置。
【符号の説明】
【0074】
1 電源装置
2 電源
3 V01
4 V02(通信用電圧)
5 給電回路
51 スイッチ
52 昇圧コンバータ(PS1)
53 降圧コンバータ(PS2)
54 昇圧コンバータ(PS3)
C1、C2 コンデンサ
D1 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第1昇圧部と、
前記第1昇圧部によって昇圧された電圧を第1負荷回路に供給される出力電圧に降圧する第1降圧部と、
電源から供給される入力電圧を第1の電圧に昇圧する第2の昇圧部と、
前記第2昇圧部の出力側に接続された蓄電素子と、
前記蓄電素子の端子間電圧が前記第1昇圧部の出力電圧より高くなると、前記蓄電素子と前記第1降圧部の入力側とを通電状態にする通電手段と
を有すること特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記通電手段は、スイッチング素子であることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記通電手段は、ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
電源から供給される入力電圧を第1の電圧に降圧する第1降圧部と、
電源から供給される入力電圧を第2の電圧に昇圧する第1昇圧部と、
前記第1昇圧部の出力側に接続された蓄電素子と、
前記第1昇圧部の出力側に接続された第2降圧部と、
前記第1降圧部の出力電圧が前記第2降圧部の出力電圧より低くなると、前記第1降圧部の出力側と前記第2降圧部の出力側とを通電状態にする通電手段と
を有すること特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−206875(P2010−206875A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46976(P2009−46976)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】