電界効果トランジスタ及びその製造方法
【課題】従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能な電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】本発明1つの電界効果トランジスタは、ソース領域144及びドレイン領域146並びにチャネル領域142を含む酸化物導電体層と、チャネル領域142の導通状態を制御するゲート電極120と、ゲート電極120とチャネル領域142との間に形成された強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層130とを備え、チャネル領域142の層厚は、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い。
【解決手段】本発明1つの電界効果トランジスタは、ソース領域144及びドレイン領域146並びにチャネル領域142を含む酸化物導電体層と、チャネル領域142の導通状態を制御するゲート電極120と、ゲート電極120とチャネル領域142との間に形成された強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層130とを備え、チャネル領域142の層厚は、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図24は、従来の電界効果トランジスタ900を説明するために示す図である。
従来の電界効果トランジスタ900は、図24に示すように、ソース電極950及びドレイン電極960と、ソース電極950とドレイン電極960との間に位置するチャネル層940と、チャネル層940の導通状態を制御するゲート電極920と、ゲート電極920とチャネル層940との間に形成され、強誘電体材料からなるゲート絶縁層930とを備える。なお、図24において、符号910は絶縁性基板を示す。
【0003】
従来の電界効果トランジスタ900においては、ゲート絶縁層930を構成する材料として、強誘電体材料(例えば、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3))が使用され、チャネル層940を構成する材料として、酸化物導電性材料(例えば、インジウム錫酸化物(ITO))が使用されている。
【0004】
従来の電界効果トランジスタ900によれば、チャネル層を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0005】
従来の電界効果トランジスタは、図25に示す従来の電界効果トランジスタの製造方法により製造することができる。図25は、従来の電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図25(a)〜図25(e)は各工程図であり、図25(f)は電界効果トランジスタ900の平面図である。
【0006】
まず、図25(a)に示すように、表面にSiO2層が形成されたSi基板からなる絶縁性基板910上に、電子ビーム蒸着法により、Pt(40nm)及びTi(10nm)の積層膜からなるゲート電極920を形成する。
次に、図25(b)に示すように、ゲート電極920の上方から、ゾルゲル法により、BLT(Bi3.25La0.75Ti3O12)又はPZT(Pb(Zr0.4Ti0.6)O3)からなるゲート絶縁層930(200nm)を形成する。
次に、図25(c)に示すように、ゲート絶縁層930上に、RFスパッタ法により、ITOからなるチャネル層940(5nm〜15nm)を形成する。
次に、図25(d)に示すように、チャネル層940上に、電子ビーム蒸着法により、Pt(30nm)及びTi(30nm)を真空蒸着してソース電極950及びドレイン電極960を形成する。
次に、RIE法及びウェットエッチング法(HF:HCl混合液)により、素子領域を他の素子領域から分離する。
これにより、図25(e)及び図25(f)に示すような、電界効果トランジスタ900を製造することができる。
【0007】
図26は、従来の電界効果トランジスタ900の電気特性を説明するために示す図である。なお、図26中、符号940aはチャネルを示し、符号940bは空乏層を示す。
従来の電界効果トランジスタ900においては、図26に示すように、ゲート電圧が3V(VG=3V)のときのオン電流が約10−4A、オン/オフ比が1×104、電界効果移動度μFEが10cm2/Vs、メモリウインドウが約2Vの値が得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−121029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の電界効果トランジスタ900は、上記のような方法によって製造されているため、ゲート電極920、チャネル層940、ソース電極950及びドレイン電極960を形成する過程で、真空プロセスやフォトリソグラフィープロセスを用いる必要があるため、原材料や製造エネルギーの使用効率が低いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能な電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明の電界効果トランジスタは、ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄いことを特徴とする。
【0012】
このため、本発明の電界効果トランジスタによれば、チャネル領域を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層を構成する材料として強誘電体材料又は常誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、従来の電界効果トランジスタの場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0013】
また、本発明の電界効果トランジスタによれば、チャネル領域の層厚がソース領域の層厚及びドレイン領域の層厚よりも薄い酸化物導電体層を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来の電界効果トランジスタの場合のようにチャネル領域とソース領域及びドレイン領域とを異なる材料から形成しなくてもよくなり、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0014】
[2]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層は、型押し成形技術を用いて形成されたものであることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。なお、「型押し成形技術」は「ナノインプリント技術」と呼ばれることもある。
【0016】
[3]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて液体材料を用いて形成されたものであることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工技術を用いて電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0018】
[4]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて酸化物材料からなることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層を、すべて液体材料を用いて形成することができるようになる。また、信頼性の高い電界効果トランジスタとすることができる。
【0020】
[5]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべてペロブスカイト構造を有することが好ましい。
【0021】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層を同一の結晶構造とすることで、格子欠陥の少ない高品質な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0022】
[6]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて真空プロセスを用いることなく形成されたものであることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、真空プロセスを用いることなしに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0024】
[7]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域のキャリア濃度及び層厚は、前記電界効果トランジスタがオフ状態のときに、前記チャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、酸化物導電体層のキャリア濃度を高くしたとしても電界効果トランジスタがオフ状態の時に流れる電流量を十分低くできるため、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
この場合において、電界効果トランジスタがエンハンスメント型のトランジスタである場合には、ゲート電極に0Vの制御電圧を印加したときに電界効果トランジスタがオフ状態となるため、このようなときにチャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていればよく、電界効果トランジスタがディプレッション型のトランジスタである場合には、ゲート電極に負の制御電圧を印加したときに電界効果トランジスタがオフ状態となるため、このようなときにチャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていればよい。
【0026】
[8]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、前記チャネル領域の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることにより、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0028】
なお、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記ソース領域及び前記ドレイン領域の層厚は、50nm〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。
【0029】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム(In2O3)、アンチモンドープ酸化錫(Sb−SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al−ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Ga−ZnO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化錫(SnO2)、一酸化錫SnO、ニオブドープ二酸化チタン(Nb−TiO2)などの酸化物導電体材料を用いることができる。また、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物(IGZO)、ガリウムドープ酸化インジウム(In−Ga−O(IGO))、インジウムドープ酸化亜鉛(In−Zn−O(IZO))などのアモルファス導電性酸化物を用いることができる。また、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ニオブドープチタン酸ストロンチウム(Nb−SrTiO3)、ストロンチウムバリウム複合酸化物(SrBaO3)、ストロンチウムカルシウム複合酸化物(SrCaO3)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO2)、酸化ニッケルランタン(LaNiO3)、酸化チタンランタン(LaTiO3)、酸化銅ランタン(LaCuO3)、酸化ニッケルネオジム(NdNiO3)、酸化ニッケルイットリウム(YNiO3)、酸化ランタンカルシウムマンガン複合酸化物(LCMO)、鉛酸バリウム(BaPbO3)、LSCO(LaxSr1−xCuO3)、LSMO(La1−xSrxMnO3)、YBCO(YBa2Cu3O7−x)、LNTO(La(NI1−xTix)O3)、LSTO((La1−x,Srx)TiO3)、STRO(Sr(Ti1−xRux)O3)その他のペロブスカイト型導電性酸化物又はパイロクロア型導電性酸化物を用いることができる。
【0030】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記強誘電体材料として、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)、NbドープPZT、LaドープPZT、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、BTO(Bi4Ti3O12)、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、SBT(SrBi2Ta2O9)、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はビスマスフェライト(BiFeO3)を用いることができる。
【0031】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記常誘電体材料として、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はBST((BaxSr1−x)Ti3O12を用いることができる。
【0032】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、ゲート電極に用いる材料として、Pt、Au、Ag、Al、Ti、ITO、In2O3、Sb−In2O3、Nb−TiO2、ZnO、Al−ZnO、Ga−ZnO、IGZO、RuO2及びIrO2並びにNb−STO、SrRuO2、LaNiO3、BaPbO3、LSCO、LSMO、YBCOその他のペロブスカイト型導電性酸化物を用いることができる。また、パイロクロア型導電性酸化物又はアモルファス導電性酸化物を用いることができる。
【0033】
本発明の電界効果トランジスタは、絶縁性基板(例えば、石英ガラス(SiO2)基板、Si基板の表面にSiO2層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板、SiO2/Si基板、アルミナ(Al2O3)基板、SRO(SrRuO3)基板、STO(SrTiO)基板)、半導体基板(例えば、シリコン(Si)基板、炭化硅素(SiC)基板)等の固体基板上に形成することができる。
【0034】
[9]本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い電界効果トランジスタを製造するための電界効果トランジスタの製造方法であって、前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層を、型押し成形技術を用いて形成することを特徴とする。
【0035】
このため、本発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0036】
[10]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、熱処理を施すことにより、前記固体基板における一方の表面上に前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記ゲート絶縁層上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0037】
このような方法とすることにより、本発明の電界効果トランジスタ(ボトムゲート)を製造することが可能となる。
【0038】
[11]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うことが好ましい。
【0039】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0040】
[12]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、前記チャネル領域に対応する領域よりも前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるような構造を有する前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及びチャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0041】
このような方法とすることによっても、本発明の電界効果トランジスタ(ボトムゲート)を製造することが可能となる。
【0042】
[13]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行うことが好ましい。
【0043】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0044】
[14]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2工程においては、前記固体基板における一方の表面上に前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜の表面を平坦化することが好ましい。
【0045】
このような方法とすることにより、ゲート絶縁層の層厚及びチャネル領域の層厚が均一化され、ひいては特性が均一化された電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0046】
[15]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含むことが好ましい。
【0047】
このような方法とすることにより、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板内に製造することが可能となる。
【0048】
[16]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0049】
このような方法とすることにより、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0050】
[17]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0051】
このような方法とすることによっても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0052】
なお、本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記固体基板における一方の表面に、熱処理により導電性酸化物材料となる機能性液体材料を塗布して導電性酸化物材料の前駆体組成物層を形成し、押し成形技術を用いて当該前駆体組成物層に型押し構造を形成した後、前駆体組成物層を熱処理を施すことにより、前記ゲート電極を形成することもまた好ましい。
【0053】
このような方法とすることによっても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0054】
[18]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、前記ゲート絶縁層上に、前記ゲート電極を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0055】
このような方法とすることにより、本発明の電界効果トランジスタ(トップゲート)を製造することが可能となる。
【0056】
[19]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うことが好ましい。
【0057】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0058】
[20]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含むことが好ましい。
【0059】
このような方法とすることにより、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板内に製造することが可能となる。
【0060】
[21]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分に、コンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0061】
このような方法とすることにより、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0062】
[22]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0063】
このような方法とすることによっても、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0064】
なお、本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記固体基板における一方の表面に、熱処理により導電性酸化物材料となる機能性液体材料を塗布して導電性酸化物材料の前駆体組成物層を形成し、押し成形技術を用いて当該前駆体組成物層に型押し構造を形成した後、前駆体組成物層を熱処理を施すことにより、前記ゲート電極を形成することもまた好ましい。
【0065】
このような方法とすることによっても、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0066】
[23]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時に前記チャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されていることが好ましい。
【0067】
このような方法とすることにより、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図5】変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図6】変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図7】変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図8】変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係る電界効果トランジスタ200を説明するために示す図である。
【図10】実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図11】実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図12】実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を説明するために示す図である。
【図13】実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図14】実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図15】実施例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図16】実施例1に用いる凹凸型M11を説明するために示す図である。
【図17】実施例1に用いる型押し成形装置700を説明するために示す図である。
【図18】実施例1に係る電界効果トランジスタ400を説明するために示す図である。
【図19】ITO層の表面状態を説明するために示す図である。
【図20】実施例1に係る電界効果トランジスタ400の電気特性を説明するために示す図である。
【図21】実施例2に用いる凹凸型M12を説明するために示す図である。
【図22】ITO層のの表面状態を説明するために示す図である。
【図23】実施例2に係る電界効果トランジスタ500aの電気特性を説明するために示す図である。
【図24】従来の電界効果トランジスタ900を説明するために示す図である。
【図25】従来の電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図26】従来の電界効果トランジスタ900の電気特性を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の電界効果トランジスタ及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0070】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る電界効果トランジスタ100
図1は、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を説明するために示す図である。図1(a)は電界効果トランジスタ100の断面図であり、図1(b)は電界効果トランジスタ100の平面図である。
【0071】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100は、図1に示すように、ソース領域144及びドレイン領域146並びにチャネル領域142を含む酸化物導電体層140と、チャネル領域142の導通状態を制御するゲート電極120と、ゲート電極120とチャネル領域142との間に形成され強誘電体材料からなるゲート絶縁層130とを備える。チャネル領域142の層厚は、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い。チャネル領域142の層厚は、好ましくは、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚の1/2以下である。
【0072】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、チャネル領域142の層厚がソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い酸化物導電体層140は、型押し成形技術を用いて形成されたものである。
【0073】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、チャネル領域142のキャリア濃度及び層厚は、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときに、チャネル領域142が空乏化するような値に設定されている。具体的には、チャネル領域142のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、チャネル領域142の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にある。
【0074】
なお、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、ソース領域144及びドレイン領域146の層厚は、50nm〜1000nmの範囲内にある。
【0075】
酸化物導電体層140は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)からなり、ゲート絶縁層130は、例えばPZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)からなり、ゲート電極120は、例えば白金(Pt)からなり、固体基板としての絶縁性基板110は、例えば石英ガラス(SiO2)基板からなる。
【0076】
2.実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0077】
図2〜図4は、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図2(a)〜図2(c)、図3(a)〜図3(d)及び図4(a)〜図4(d)は各工程図である。
【0078】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート電極120を形成する工程である(図2参照。)。
【0079】
まず、図2(a)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面に、少なくとも凸部分にめっき触媒物質としてのめっき触媒微粒子122を付着させておいた凹凸型(凹凸モールドということもある。)M1を押し付けることにより、図2(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にめっき触媒微粒子122を付着させる。
【0080】
次に、無電解めっきを施すことにより、めっき触媒微粒子122が付着した領域に例えば白金(Pt)からなるゲート電極120を形成する。
【0081】
(2)第2工程
第2工程は、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート絶縁層130を形成する工程である(図3(a)〜図3(c)参照。)。
【0082】
まず、図3(a)及び図3(b)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面上に、強誘電体材料の原料を含む溶液(例えば、PZTゾルゲル溶液)を塗布して強誘電体材料の原料を含む膜130’を形成する。
【0083】
次に、図3(c)に示すように、強誘電体材料の原料を含む膜130’に平坦型(フラットモールドということもある。)M2を押し付けることにより、強誘電体材料の原料を含む膜130’を平坦化する。
次に、平坦化された強誘電体材料の原料を含む膜130’に熱処理を施すことにより、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート絶縁層130を形成する(図示せず。)。
【0084】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層130上に、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成する工程である(図3(d)〜図4(d)参照。)。
【0085】
まず、図3(d)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む溶液(例えば、ITOゾルゲル溶液)をゲート絶縁層130上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜140’を形成する。なお、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域142のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0086】
次に、図4(a)〜図4(c)に示すように、ソース領域144に対応する領域及びドレイン領域146に対応する領域よりもチャネル領域142に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M3を用いて、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’に対して型押し成形加工を行う。このとき、チャネル領域142に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う。これにより、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’のうちチャネル領域142となる部分の層厚が他の部分よりも薄くなる。なお、凹凸型M3は、チャネル領域142に対応する領域よりも素子分離領域に対応する領域がさらに凸となるような構造を有しており、これによって、素子分離領域上からは酸化物導電性材料の原料を含む膜140’が除去されることとなる(図4(c)参照。)。凹凸型M3は、素子分離領域に対応する領域部分が先細となった形状を有していてもよい。
【0087】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’に熱処理を施すことにより、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成し、図4(d)に示すようなボトムゲート構造を有する、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0088】
3.実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の効果
以上のようにして製造された実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層130を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、従来の電界効果トランジスタ900の場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0089】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142の層厚がソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い酸化物導電体層140を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来の電界効果トランジスタの場合のようにチャネル領域とソース領域及びドレイン領域とを異なる材料から形成しなくてもよくなり、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域の層厚がソース領域の層厚及びドレイン領域の層厚よりも薄い酸化物導電体層140が型押し成形技術を用いて形成されたものであるため、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となり、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142のキャリア濃度及び層厚は、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときに、チャネル領域142が空乏化するような値に設定されているため、酸化物導電体層のキャリア濃度を高くしたとしてもオフ時に流れる電流量を十分低くでき、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0092】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、チャネル領域142の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にあるため、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0093】
4.実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の効果
実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、上記したように、ゲート電極120を形成する第1工程と、ゲート絶縁層130を形成する第2工程と、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成する第3工程とをこの順序で含むため、ボトムゲートからなる実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0095】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第3工程において、チャネル領域142に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うため、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域142が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0096】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第3工程において、型押し成形技術を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の一部を除去することにより素子分離する工程を含むため、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板上に製造することが可能となる。
【0097】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第1工程において、ゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒微粒子122を付着し、その後、当該めっき触媒微粒子122が付着した領域に無電解めっきを施すことによりゲート電極120を形成することとしているため、ゲート電極を構成する材料をゲート電極120を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0098】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域142のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されているため、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0099】
[変形例1]
図5は、変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(c)は各工程図である。
【0100】
変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図5(a)及び図5(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて無電解めっき用触媒溶液(例えばニッケル、パラジウム、銀、白金の塩の溶液)を接触させることによりめっき触媒能を有するイオン123を付着させ、その後、無電解めっきを施すことにより、図5(c)に示すように、当該めっき触媒能を有するイオン123が付着している領域に白金(Pt)からなるゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0101】
[変形例2]
図6は、変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(c)は各工程図である。
【0102】
変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図6(a)及び図6(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化剤(例えばFAS17)を接触させることにより親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域124にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給して熱処理を施すことにより、図6(c)に示すようにゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0103】
[変形例3]
図7は、変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図7(a)〜図7(e)は各工程図である。
【0104】
変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図7(a)及び図7(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、図7(c)及び図7(d)に示すように、めっき触媒能を有するイオンを含む溶液中に基板を浸漬することにより、当該親液化処理を施した領域125にめっき触媒能を有するイオン126を付着させ、その後、無電解めっきを施すことにより、図7(e)に示すように、当該めっき触媒能を有するイオン126が付着している領域に白金(Pt)からなるゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0105】
[変形例4]
図8は、変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図8(a)〜図8(e)は各工程図である。
【0106】
変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程においては、以下に示すように、型押し成形技術を用いてゲート電極120を形成することとしている。
【0107】
まず、熱処理することにより酸化ニッケルランタン(LaNiO3)となる機能性液体材料を準備する。具体的には、金属無機塩(硝酸ランタン(六水和物)及び酢酸ニッケル(四水和物))を含有する溶液(溶媒:2ーメトキシエタノール)を準備する。
【0108】
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面に、スピンコート法を用いて機能性液体材料を塗布し(例えば、500rpm・25秒)、その後、絶縁体基板110をホットプレート上に置き60℃で1分間乾燥させることにより、酸化ニッケルランタンの前駆体組成物層120’(層厚300nm)を形成する。
【0109】
次に、図8(c)及び図8(d)に示すように、ゲート電極120に対応する領域が凹となるように形成された凹凸型M1a(高低差300nm)を用いて、150℃で前駆体組成物層120’に対して型押し加工を施すことにより、前駆体組成物層120’に型押し構造(凸部の層厚300nm、凹部の層厚50nm)を形成する。型押し加工を施すときの圧力は、5MPaとする。
【0110】
次に、前駆体組成物層120’を全面エッチングすることにより、ゲート電極120に対応する領域以外の領域から前駆体組成物層を完全に除去する(全面エッチング工程)。全面エッチング工程は、ウェットエッチング技術(HF:HCl溶液)を用いて真空プロセスを用いることなく行う。
【0111】
最後に、前駆体組成物層120’をRTA装置を用いて高温で(650℃、10分間)熱処理することにより、図8(e)に示すように、前駆体組成物層120’から、酸化ニッケルランタンからなるゲート電極120を形成する。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0112】
このため、変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極を構成する材料をゲート電極120を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0113】
なお、変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法は、第1工程以外の点においては実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0114】
[実施形態2]
図9は、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200を説明するために示す図である。図9(a)は電界効果トランジスタ200の断面図であり、図9(b)は電界効果トランジスタ200の平面図である。
【0115】
実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタ100と同様の構成を有するが、ゲート絶縁層の構成が実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200においては、図9に示すように、ゲート絶縁層230がゲート電極220を覆う領域が凸となるような構造を有する。また、これに伴い、酸化物導電体層の構造も異なる。
【0116】
このように、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、ゲート絶縁層及び酸化物導電体層の構成が実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なるが、チャネル領域242を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層230を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。また、チャネル領域242の層厚がソース領域244の層厚及びドレイン領域246の層厚よりも薄い酸化物導電体層を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と同様に、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0117】
なお、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0118】
図10及び図11は、実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)及び図11(a)〜図11(d)は各工程図である。
【0119】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板210における一方の表面上にゲート電極220を形成する工程である(図10(a)参照。)。実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同じである。変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同じでもよい。
【0120】
(2)第2工程
第2工程は、絶縁性基板210における一方の表面上に、ソース領域244に対応する領域及びドレイン領域246に対応する領域よりもチャネル領域242に対応する領域が凸となるような構造を有するゲート絶縁層230を形成する工程である(図10(b)〜図10(d)参照。)。
【0121】
まず、図10(b)に示すように、強誘電体材料の原料を含む溶液を絶縁性基板210における一方の表面上に塗布して強誘電体材料の原料を含む膜230’を形成する。
【0122】
次に、図10(c)に示すように、強誘電体材料の原料を含む膜230’に平坦型M4を押し付けることにより、強誘電体材料の原料を含む膜230’を平坦化する。
【0123】
次に、図10(d)に示すように、チャネル領域242に対応する領域よりもソース領域244に対応する領域及びドレイン領域146に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M5を用いて強誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行う。
【0124】
次に、型押し成形加工の施された強誘電体材料の原料を含む膜230’に、熱処理を施すことにより、絶縁性基板210における一方の表面上にゲート絶縁層230を形成する(図示せず。)。
【0125】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層230上に、ソース領域244、ドレイン領域246及びチャネル領域242を含む酸化物導電体層240を形成する工程である(図11(a)〜図11(d)参照。)。
【0126】
まず、図11(a)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を絶縁性基板210における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を形成する。なお、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域242のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0127】
次に、図11(b)に示すように、平坦型M6を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜240’に対して型押し加工を行い、酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を平坦化する。このとき、チャネル領域242に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜240’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行う。
【0128】
次に、図11(c)に示すように、素子分離領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M7を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜240’をさらに型押しすることにより、素子分離領域上から酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を除去する。
【0129】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜240’に熱処理を施すことにより、ソース領域244、ドレイン領域246及びチャネル領域242を含む酸化物導電体層240を形成し、図11(d)に示すようなボトムゲート構造を有する、実施形態2に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0130】
[実施形態3]
図12は、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を説明するために示す図である。図12(a)は電界効果トランジスタ300の断面図であり、図12(b)は電界効果トランジスタ300の平面図である。
【0131】
実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタ100と同様の構成を有するが、トップゲート構造を有する点で実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なる。すなわち、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300においては、図12に示すように、絶縁性基板310の上方に、酸化物導電体層340、ゲート絶縁層330及びゲート電極320とがこの順序で形成された構造を有する。
【0132】
このように、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、トップゲート構造を有する点で実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なるが、チャネル領域342を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層320を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、実施形態1に係る電界効果トランジスタの場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。また、チャネル領域342の層厚がソース領域344の層厚及びドレイン領域346の層厚よりも薄い酸化物導電体層340を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、実施形態1に係る電界効果トランジスタの場合と同様に、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0133】
なお、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0134】
図13及び図14は、実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図13(a)〜図13(e)及び図14(a)〜図14(c)は各工程図である。
【0135】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板310における一方の表面上にソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340を形成する工程である(図13(a)〜図13(c)参照。)。
【0136】
まず、図13(a)及び図13(b)に示すように、絶縁性基板310における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜340’を形成する。
【0137】
次に、図13(c)に示すように、ソース領域344に対応する領域及びドレイン領域346に対応する領域よりもチャネル領域342に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M8を用いて、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’に対して型押し成形加工を行う。このとき、チャネル領域342に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜340’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う。これにより、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’のうちチャネル領域342となる部分の層厚が他の部分よりも薄くなる。なお、凹凸型M8は、チャネル領域342に対応する領域よりも素子分離領域に対応する領域がさらに凸となるような構造を有しており、これによって、素子分離領域上からは酸化物導電性材料の原料を含む膜340’が除去されることとなる(図13(c)参照。)。
【0138】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’に熱処理を施すことにより、ソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340を形成する(図示せず。)。
【0139】
(2)第2工程
第2工程は、ソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340上にゲート絶縁層330を形成する工程である(図13(d)及び図11(e)参照。)。
【0140】
まず、図11(d)に示すように、強誘電体材料の原料を含む溶液を絶縁性基板310における一方の表面上に塗布して強誘電体材料の原料を含む膜330’を形成する。
【0141】
次に、平坦型M9を用いて強誘電体材料の原料を含む膜330’に対して型押し加工を行い、強誘電体材料の原料を含む膜330’を平坦化する。
【0142】
次に、平坦化された強誘電体材料の原料を含む膜330’に熱処理を施すことにより、ゲート絶縁層330を形成する(図示せず。)。
【0143】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層330上に、ゲート電極320を形成する工程である(図14(a)〜図14(c)参照。)。
【0144】
まず、図14(a)に示すように、ゲート絶縁層330上に、少なくとも凸部分にめっき触媒微粒子322を付着させておいた凹凸型M10を押し付けることにより、図14(b)に示すように、ゲート絶縁層330におけるゲート電極320を形成する部分にめっき触媒微粒子322を付着させる。
【0145】
次に、無電解めっきを施すことにより、めっき触媒微粒子322が付着した領域に、例えば白金(Pt)からなるゲート電極320を形成する。
【0146】
なお、第3工程は、実施形態1における変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法の第1工程の方法を適用することもできる。
【0147】
このような方法により、トップゲート構造を有する、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を製造することが可能となる。
【実施例】
【0148】
以下、実施例により、型押し成形技術を用いて本発明の電界効果トランジスタを製造することができることを示す。
【0149】
[実施例1]
1.電界効果トランジスタ400の作製
図15は、実施例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図15(a)〜図15(e)は各工程図である。図16は、実施例1に用いる凹凸型M11を説明するために示す図である。図17は、実施例1に用いる型押し成形加工装置700を説明するために示す図である。なお、図17中、符号710は下型、符号712は断熱板、符号714はヒーター、符号716は載置部、符号718は吸引部、符号720は上型、符号722はヒーター、符号724は固定部、符号726は石英ガラス基材を示す。
【0150】
以下の「下地Pt基板準備工程」、「PZT層形成工程」、「ITO層形成工程」、「型押し成形加工工程」及び「ITO層焼成工程」をこの順序で実施することにより実施例1に係る電界効果トランジスタ400を製造した。以下、工程順に説明する。
【0151】
(1)下地Pt基板準備工程
まず、図15(a)に示すように、下地Pt基板(Si基板412上にSiO2層414を形成した絶縁性基板410の全面にゲート電極としてのPt層420を形成したもの/田中貴金属製)を準備した。なお、絶縁性基板410の全面にPt層420を形成したのは、平坦型を用いて型押しする際に均一に型押しできるようにするためである。
【0152】
(2)ゲート絶縁層形成工程
次に、図15(b)に示すように、下地Pt基板上に、ゲート絶縁層としてのPZT層430を形成した。PZT層430の形成は、下地Pt基板上に、強誘電体材料の原料を含む溶液としてのPZTゾルゲル溶液(三菱マテリアル製)を2500rpm・25秒のスピンコート条件で塗布し、ホットプレート上で220℃・5分で乾燥させる操作を4回繰り返した後、ホットプレート上で350℃・10分で仮焼成し、さらには、RTA装置を用いて650℃・20分の条件でPZT層を結晶化させることにより行った。
【0153】
(3)ITO層形成工程
次に、5分のUV洗浄(λ=254nm)によりPZT基板から有機残渣を除去した後、図15(c)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む膜としてのITO層440’を形成した。ITO層440’の形成は、PZT層430上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液としてのITOゾルゲル溶液(高純度化学製/原液:希釈剤=1:1.5)を2500rpm・25秒のスピンコート条件で塗布し、ホットプレート上で150℃・5分の条件で乾燥させることにより行った。なお、ITOゾルゲル溶液には、完成時にチャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0154】
(4)型押し成形加工工程
その後、ITO層440’の離型性を向上させる目的でITO層440’上に離型剤HD−1101(ダイキン化成製)をスピンコートにより塗布した後、ホットプレート上で60℃・5分の条件で乾燥させた。なお、型側の離型処理は、ディップコートタイプ離型剤ZH−1101(ダイキン化成製)により行った。
【0155】
次に、図15(d)に示すように、ソース領域/ドレイン領域444(図15(e)参照。)に対応する領域よりもチャネル領域442(図15(e)参照。)に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M11(図16参照。)を用いて、ITO層440’に対して型押し成形加工を行った。型押し成形加工は、型押し成形加工装置700(東芝機械製の型押し成形加工装置ST50/図17参照。)を用いて行った。
【0156】
なお、凹凸型M11は、図16に示すように、10mm×10mmの正方形状の中央部に2mm×2mmのパターン領域を有し、当該パターン領域の中には幅1μm、高さ150nmの格子状パターンが形成されたものである。凹凸型M11は両面テープを用いて石英ガラス基材726に固定する。
【0157】
型押し成形加工におけるプレス力は、0.3kN(3MPa、1cm□)として、プレス力が加わった時点で70℃から昇温していき、プレス力を保持した状態で180℃まで加熱した。保持時間は15分とした。その後、水で冷却して、温度が70℃になった時点で離型を行った。
【0158】
(5)ITO層焼成工程
次に、ホットプレート上で400℃・10分の条件でITO層440’の焼成を行い、その後、RTA装置を用いて650℃・30分(前半15分酸素雰囲気、後半の15分窒素雰囲気)の条件でITO層膜440’を加熱してITO層を結晶化させ、結晶化されたITO層440を形成した。
【0159】
以上の工程を経て、実施例1に係る電界効果トランジスタ400が得られた。
【0160】
2.電界効果トランジスタ400の評価
(1)電界効果トランジスタ400の構造
図18は、実施例1に係る電界効果トランジスタ400を説明するために示す図である。図18(a)は電界効果トランジスタ400の断面図であり、図18(b)は電気的測定を行っているときの電界効果トランジスタ400の平面図であり、図18(c)は電気的測定を行っているときの電界効果トランジスタ400の断面図である。
【0161】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400においては、図18に示すように、凹凸型M11の凸部によって型押しされた部分がチャネル領域442となり、凹凸型M11の凹部によって型押しされた部分がソース/ドレイン領域444となる。
【0162】
(2)電界効果トランジスタ400の表面状態
得られた電界効果トランジスタ400におけるITO層焼成工程前のITO層440’及びITO層焼成工程後のITO層440の状態をレーザー顕微鏡OLS−3000(オリンパス製)及びSPM(SII・ナノテクノロジー製)を用いて観察した。
【0163】
図19は、ITO層の表面状態を説明するために示す図である。図19(a)における左側の写真はITO層焼成工程前におけるITO層440’のレーザー顕微鏡写真であり、図19(a)における右側の写真は左側の写真で破線で囲った領域を拡大したものである。また、図19(b)はITO層焼成工程後におけるITO層440のSPM写真である。なお、図19(b)において中央部で窪んでいる部分がチャネル領域442に対応する領域である。
【0164】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400においては、図19(a)からも分かるように、パターン領域全体にわたってレーザー顕微鏡の濃淡差の少ない(すなわち高低差の小さい)均一な構造が得られている。また、図19(b)からも分かるように、長さが約1μmのチャネル領域442と、ソース/ドレイン領域444との間に50nm〜60nmの高低差が形成されている。
【0165】
(3)電界効果トランジスタ400の電気特性
まず、ITO層440の端部を1%フッ酸によりウェットエッチングし、下部のPt電極420を露出させ、ゲート電極用のプローブを押し当てた。その後、図18(b)及び図18(c)に示すように、チャネル領域442を挟む位置にある2つのソース/ドレイン領域444のそれぞれにソース用プローブ及びドレイン用プローブを押し当てた(図18中、符号IV1をご参照。)。
その後、電界効果トランジスタ400における電気特性(ドレイン電流IDとゲート電圧VGとの間のID−VG特性、ドレイン電流IDとドレイン電圧VDとの間のID−VD特性)を半導体パラメータアナライザー(アジレント製)を用いて測定した。
【0166】
図20は、実施例1に係る電界効果トランジスタ400の電気特性を説明するために示す図である。図20(a)はID−VG特性を示す図であり、図20(b)はID−VD特性を示す図である。なお、ID−VG特性を測定するに当たっては、ドレイン電圧VDを2.5Vに固定した状態で−3V〜+3Vの範囲でゲート電圧VGを走査した。
【0167】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400は、図20(a)からも分かるように、ヒステリシス特性を有し、トランジスタメモリとしての挙動を示すことが確認できた(図中、符号IV1で示す特性曲線参照。)。さらには、4桁程度のON/OFF比が得られ、0.5Vのメモリウインドウ特性が得られた。また、実施例1に係る電界効果トランジスタ400は、図20(b)からも分かるように、トランジスタとしての挙動を示すことが確認できた。
【0168】
[実施例2]
1.電界効果トランジスタ500の作製
図21は、実施例2に用いる凹凸型M12を説明するために示す図である。
型押し成形加工工程を実施する際に図21に示す凹凸型M12を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、実施例2に係る電界効果トランジスタ500を製造した。
【0169】
なお、凹凸型M12は、図21に示すように、10mm×10mmの正方形状の中央部に4mm×4mmのパターン領域を有し、当該パターン領域の中には幅10μm、高さ350nmの格子状パターンが形成されたものである。
【0170】
2.電界効果トランジスタ500の評価
(1)電界効果トランジスタ500の表面状態
得られた電界効果トランジスタ500におけるITO層焼成工程前のITO層及びITO層焼成工程後のITO層の状態をレーザー顕微鏡OLS−3000(オリンパス製)及びSEM(日立HT/S−4100)を用いて観察した。
【0171】
図22は、ITO層の表面状態を説明するために示す図である。図22(a)における左側の写真はITO層焼成工程前におけるITO層のレーザー顕微鏡写真であり、図22(a)における右側の写真は左側の写真で破線で囲った領域を拡大したものである。また、図22(b)はITO層焼成工程後におけるITO層の断面SEM写真である。なお、図22(b)において符号Rで示す領域を拡大するとチャネル領域R1とソース/ドレイン領域R2が観察され、これをさらに拡大するとPt層、PZT層及びITO層を観察することができた。
【0172】
実施例2に係る電界効果トランジスタ500においては、図22(a)からも分かるように、実施例1の場合と同様に、パターン領域全体にわたってレーザー顕微鏡の濃淡差の少ない(すなわち高低差の小さい)均一な構造が得られている。また、図22(b)からも分かるように、チャネル領域においては、Pt層の上に、PZT層(130nm)及びITO層(20nm)が形成され、ソース/ドレイン領域においては、Pt層の上に、PZT層(130nm)及びITO層(75nm)が形成されている。
【0173】
(2)電界効果トランジスタ500の電気特性
実施例1の場合と同様にして、実施例2に係る電界効果トランジスタ500の電気特性を評価した。但し、実施例2においては、実験の都合上、図18(b)及び図18(c)に示す符号IV1で示すように電気的特性を測定することができなかったため、図18(b)及び図18(c)に示す符号IV2で示すようにして電気的特性を測定した。すなわち、実施例2で電気特性を測定する対象の電界効果トランジスタは、電界効果トランジスタ500ではなく、図18(b)及び図18(c)に示す「ソース/ドレイン領域」に対応する領域(層厚75nmのITO層)がチャネル領域に対応し、2つの測定端子がソース電極及びドレイン電極に対応する電界効果トランジスタ500a(図示せず。)である。
【0174】
このように、実施例2で電気特性を測定する対象の電界効果トランジスタ500aは、実施例2に係る電界効果トランジスタ500とは異なり、正確な意味では本発明明の電界効果トランジスタとは言えないが、電界効果トランジスタ500aがトランジスタとしての挙動を示すならば、層厚20nmのITO層をチャネル領域として有する実施例2に係る電界効果トランジスタ500がトランジスタとしての挙動を示すことは明らかなものと言える。
【0175】
図23は、電界効果トランジスタ500aの電気特性を説明するために示す図である。図23(a)はドレイン電流IDとゲート電圧VGとの間のID−VG特性を示す図であり、図23(b)はドレイン電流IDとドレイン電圧VDとの間のID−VD特性を示す図である。なお、ID−VG特性を測定するに当たっては、ドレイン電圧VDを2.5Vに固定した状態で−6V〜+6Vの範囲でゲート電圧VGを走査した。
【0176】
電界効果トランジスタ500aは、図23(a)からも分かるように、ヒステリシス特性を有し、トランジスタメモリとしての挙動を示すことが確認できた。さらに、5桁程度のON/OFF比が得られ、2Vのメモリウインドウ特性が得られた。また、電界効果トランジスタ500aは、図23(b)からも分かるように、トランジスタとしての挙動を示すことが確認できた。従って、層厚20nmのITO層をチャネル領域として有する実施例2に係る電界効果トランジスタ500がトランジスタとしての挙動を示すことは明らかなものと言える。
【0177】
以上、本発明の電界効果トランジスタ及びその製造方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0178】
(1)上記各実施形態においては、酸化物導電体材料として、インジウム錫酸化物(ITO)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、酸化インジウム(In2O3)、アンチモンドープ酸化錫(Sb−SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al−ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Ga−ZnO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化錫(SnO2)、一酸化錫SnO、ニオブドープ二酸化チタン(Nb−TiO2)などの酸化物導電体材料を用いることができる。また、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物(IGZO)、ガリウムドープ酸化インジウム(In−Ga−O(IGO))、インジウムドープ酸化亜鉛(In−Zn−O(IZO))などのアモルファス導電性酸化物を用いることができる。また、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ニオブドープチタン酸ストロンチウム(Nb−SrTiO3)、ストロンチウムバリウム複合酸化物(SrBaO3)、ストロンチウムカルシウム複合酸化物(SrCaO3)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO2)、酸化ニッケルランタン(LaNiO3)、酸化チタンランタン(LaTiO3)、酸化銅ランタン(LaCuO3)、酸化ニッケルネオジム(NdNiO3)、酸化ニッケルイットリウム(YNiO3)、酸化ランタンカルシウムマンガン複合酸化物(LCMO)、鉛酸バリウム(BaPbO3)、LSCO(LaxSr1−xCuO3)、LSMO(La1−xSrxMnO3)、YBCO(YBa2Cu3O7−x)、LNTO(La(NI1−xTix)O3)、LSTO((La1−x,Srx)TiO3)、STRO(Sr(Ti1−xRux)O3)その他のペロブスカイト型導電性酸化物又はパイロクロア型導電性酸化物を用いることができる。
【0179】
(2)上記各実施形態においては、強誘電体材料として、強誘電体材料として、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、NbドープPZT、LaドープPZT、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、BTO(Bi4Ti3O12)、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、SBT(SrBi2Ta2O9)、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はビスマスフェライト(BiFeO3)を用いることができる。
【0180】
(3)上記各実施形態においては、強誘電体材料からなるゲート絶縁層を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、常誘電体材料(例えば、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7又はBST(BaxSr1−x)Ti3O12)からなるゲート絶縁層を用いることもできる。
【0181】
(4)上記各実施形態においては、ゲート電極に用いる材料として、Pt及び酸化ニッケルランタン(LaNiO3)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Au、Ag、Al、Ti、ITO、In2O3、Sb−In2O3、Nb−TiO2、ZnO、Al−ZnO、Ga−ZnO、IGZO、RuO2及びIrO2並びにNb−STO、SrRuO2、LaNiO3、BaPbO3、LSCO、LSMO、YBCOその他のペロブスカイト型導電性酸化物を用いることができる。また、パイロクロア型導電性酸化物及びアモルファス導電性酸化物を用いることもできる。
【0182】
(5)上記各実施形態においては、絶縁性基板として、石英ガラス(SiO2)基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Si基板の表面にSiO2層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板、SiO2/Si基板、アルミナ(Al2O3)基板、SRO(SrRuO3)基板又はSTO(SrTiO)基板を用いることができる。
【0183】
(6)上記各実施形態においては、固体基板として、少なくとも一方の面が絶縁性を有する絶縁性基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Si基板、SiC基板等の半導体基板を用いることもできる。
【0184】
(7)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべて液体材料を用いて形成されたものであってもよい。
【0185】
(8)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべてペロブスカイト構造を有するものであってもよい。
【0186】
(9)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべて真空プロセスを用いることなく形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0187】
100,200,300,400,500,900…電界効果トランジスタ、110,210,310,410,910…絶縁性基板、120,220,320,420,920…ゲート電極、120’…酸化ニッケルランタンの前駆体組成物層、130’,230’,330’,430’,530’…強誘電体材料の原料を含む膜、130,230,330,430,930…ゲート絶縁層、140,240,340,440…酸化物導電体層、140’,240’,340’,440’…酸化物導電性材料を含む膜、142,242,342…チャネル領域、144,244,344…ソース領域、146,246,346…ドレイン領域、142,242,342,442…チャネル領域、444…ソース/ドレイン領域、940…チャネル層、950…ソース電極、960…ドレイン電極、M1,M1a,M3,M5,M7,M8,M10,M11,M12…凹凸型、M2,M4,M6,M9…平坦型
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図24は、従来の電界効果トランジスタ900を説明するために示す図である。
従来の電界効果トランジスタ900は、図24に示すように、ソース電極950及びドレイン電極960と、ソース電極950とドレイン電極960との間に位置するチャネル層940と、チャネル層940の導通状態を制御するゲート電極920と、ゲート電極920とチャネル層940との間に形成され、強誘電体材料からなるゲート絶縁層930とを備える。なお、図24において、符号910は絶縁性基板を示す。
【0003】
従来の電界効果トランジスタ900においては、ゲート絶縁層930を構成する材料として、強誘電体材料(例えば、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3))が使用され、チャネル層940を構成する材料として、酸化物導電性材料(例えば、インジウム錫酸化物(ITO))が使用されている。
【0004】
従来の電界効果トランジスタ900によれば、チャネル層を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0005】
従来の電界効果トランジスタは、図25に示す従来の電界効果トランジスタの製造方法により製造することができる。図25は、従来の電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図25(a)〜図25(e)は各工程図であり、図25(f)は電界効果トランジスタ900の平面図である。
【0006】
まず、図25(a)に示すように、表面にSiO2層が形成されたSi基板からなる絶縁性基板910上に、電子ビーム蒸着法により、Pt(40nm)及びTi(10nm)の積層膜からなるゲート電極920を形成する。
次に、図25(b)に示すように、ゲート電極920の上方から、ゾルゲル法により、BLT(Bi3.25La0.75Ti3O12)又はPZT(Pb(Zr0.4Ti0.6)O3)からなるゲート絶縁層930(200nm)を形成する。
次に、図25(c)に示すように、ゲート絶縁層930上に、RFスパッタ法により、ITOからなるチャネル層940(5nm〜15nm)を形成する。
次に、図25(d)に示すように、チャネル層940上に、電子ビーム蒸着法により、Pt(30nm)及びTi(30nm)を真空蒸着してソース電極950及びドレイン電極960を形成する。
次に、RIE法及びウェットエッチング法(HF:HCl混合液)により、素子領域を他の素子領域から分離する。
これにより、図25(e)及び図25(f)に示すような、電界効果トランジスタ900を製造することができる。
【0007】
図26は、従来の電界効果トランジスタ900の電気特性を説明するために示す図である。なお、図26中、符号940aはチャネルを示し、符号940bは空乏層を示す。
従来の電界効果トランジスタ900においては、図26に示すように、ゲート電圧が3V(VG=3V)のときのオン電流が約10−4A、オン/オフ比が1×104、電界効果移動度μFEが10cm2/Vs、メモリウインドウが約2Vの値が得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−121029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の電界効果トランジスタ900は、上記のような方法によって製造されているため、ゲート電極920、チャネル層940、ソース電極950及びドレイン電極960を形成する過程で、真空プロセスやフォトリソグラフィープロセスを用いる必要があるため、原材料や製造エネルギーの使用効率が低いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能な電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明の電界効果トランジスタは、ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄いことを特徴とする。
【0012】
このため、本発明の電界効果トランジスタによれば、チャネル領域を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層を構成する材料として強誘電体材料又は常誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、従来の電界効果トランジスタの場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0013】
また、本発明の電界効果トランジスタによれば、チャネル領域の層厚がソース領域の層厚及びドレイン領域の層厚よりも薄い酸化物導電体層を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来の電界効果トランジスタの場合のようにチャネル領域とソース領域及びドレイン領域とを異なる材料から形成しなくてもよくなり、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0014】
[2]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層は、型押し成形技術を用いて形成されたものであることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。なお、「型押し成形技術」は「ナノインプリント技術」と呼ばれることもある。
【0016】
[3]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて液体材料を用いて形成されたものであることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工技術を用いて電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0018】
[4]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて酸化物材料からなることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層を、すべて液体材料を用いて形成することができるようになる。また、信頼性の高い電界効果トランジスタとすることができる。
【0020】
[5]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべてペロブスカイト構造を有することが好ましい。
【0021】
このような構成とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層を同一の結晶構造とすることで、格子欠陥の少ない高品質な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0022】
[6]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、すべて真空プロセスを用いることなく形成されたものであることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、真空プロセスを用いることなしに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0024】
[7]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域のキャリア濃度及び層厚は、前記電界効果トランジスタがオフ状態のときに、前記チャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、酸化物導電体層のキャリア濃度を高くしたとしても電界効果トランジスタがオフ状態の時に流れる電流量を十分低くできるため、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
この場合において、電界効果トランジスタがエンハンスメント型のトランジスタである場合には、ゲート電極に0Vの制御電圧を印加したときに電界効果トランジスタがオフ状態となるため、このようなときにチャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていればよく、電界効果トランジスタがディプレッション型のトランジスタである場合には、ゲート電極に負の制御電圧を印加したときに電界効果トランジスタがオフ状態となるため、このようなときにチャネル領域全体が空乏化するような値に設定されていればよい。
【0026】
[8]本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記チャネル領域のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、前記チャネル領域の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることにより、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0028】
なお、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記ソース領域及び前記ドレイン領域の層厚は、50nm〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。
【0029】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記酸化物導電体層は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム(In2O3)、アンチモンドープ酸化錫(Sb−SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al−ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Ga−ZnO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化錫(SnO2)、一酸化錫SnO、ニオブドープ二酸化チタン(Nb−TiO2)などの酸化物導電体材料を用いることができる。また、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物(IGZO)、ガリウムドープ酸化インジウム(In−Ga−O(IGO))、インジウムドープ酸化亜鉛(In−Zn−O(IZO))などのアモルファス導電性酸化物を用いることができる。また、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ニオブドープチタン酸ストロンチウム(Nb−SrTiO3)、ストロンチウムバリウム複合酸化物(SrBaO3)、ストロンチウムカルシウム複合酸化物(SrCaO3)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO2)、酸化ニッケルランタン(LaNiO3)、酸化チタンランタン(LaTiO3)、酸化銅ランタン(LaCuO3)、酸化ニッケルネオジム(NdNiO3)、酸化ニッケルイットリウム(YNiO3)、酸化ランタンカルシウムマンガン複合酸化物(LCMO)、鉛酸バリウム(BaPbO3)、LSCO(LaxSr1−xCuO3)、LSMO(La1−xSrxMnO3)、YBCO(YBa2Cu3O7−x)、LNTO(La(NI1−xTix)O3)、LSTO((La1−x,Srx)TiO3)、STRO(Sr(Ti1−xRux)O3)その他のペロブスカイト型導電性酸化物又はパイロクロア型導電性酸化物を用いることができる。
【0030】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記強誘電体材料として、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)、NbドープPZT、LaドープPZT、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、BTO(Bi4Ti3O12)、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、SBT(SrBi2Ta2O9)、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はビスマスフェライト(BiFeO3)を用いることができる。
【0031】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、前記常誘電体材料として、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はBST((BaxSr1−x)Ti3O12を用いることができる。
【0032】
また、本発明の電界効果トランジスタにおいては、ゲート電極に用いる材料として、Pt、Au、Ag、Al、Ti、ITO、In2O3、Sb−In2O3、Nb−TiO2、ZnO、Al−ZnO、Ga−ZnO、IGZO、RuO2及びIrO2並びにNb−STO、SrRuO2、LaNiO3、BaPbO3、LSCO、LSMO、YBCOその他のペロブスカイト型導電性酸化物を用いることができる。また、パイロクロア型導電性酸化物又はアモルファス導電性酸化物を用いることができる。
【0033】
本発明の電界効果トランジスタは、絶縁性基板(例えば、石英ガラス(SiO2)基板、Si基板の表面にSiO2層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板、SiO2/Si基板、アルミナ(Al2O3)基板、SRO(SrRuO3)基板、STO(SrTiO)基板)、半導体基板(例えば、シリコン(Si)基板、炭化硅素(SiC)基板)等の固体基板上に形成することができる。
【0034】
[9]本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い電界効果トランジスタを製造するための電界効果トランジスタの製造方法であって、前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層を、型押し成形技術を用いて形成することを特徴とする。
【0035】
このため、本発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、後述する実施形態からも分かるように、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0036】
[10]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、熱処理を施すことにより、前記固体基板における一方の表面上に前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記ゲート絶縁層上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0037】
このような方法とすることにより、本発明の電界効果トランジスタ(ボトムゲート)を製造することが可能となる。
【0038】
[11]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うことが好ましい。
【0039】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0040】
[12]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、前記チャネル領域に対応する領域よりも前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるような構造を有する前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及びチャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0041】
このような方法とすることによっても、本発明の電界効果トランジスタ(ボトムゲート)を製造することが可能となる。
【0042】
[13]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行うことが好ましい。
【0043】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0044】
[14]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第2工程においては、前記固体基板における一方の表面上に前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜の表面を平坦化することが好ましい。
【0045】
このような方法とすることにより、ゲート絶縁層の層厚及びチャネル領域の層厚が均一化され、ひいては特性が均一化された電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0046】
[15]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含むことが好ましい。
【0047】
このような方法とすることにより、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板内に製造することが可能となる。
【0048】
[16]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0049】
このような方法とすることにより、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0050】
[17]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0051】
このような方法とすることによっても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0052】
なお、本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記固体基板における一方の表面に、熱処理により導電性酸化物材料となる機能性液体材料を塗布して導電性酸化物材料の前駆体組成物層を形成し、押し成形技術を用いて当該前駆体組成物層に型押し構造を形成した後、前駆体組成物層を熱処理を施すことにより、前記ゲート電極を形成することもまた好ましい。
【0053】
このような方法とすることによっても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0054】
[18]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、固体基板における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第1工程と、強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、前記ゲート絶縁層上に、前記ゲート電極を形成する第3工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0055】
このような方法とすることにより、本発明の電界効果トランジスタ(トップゲート)を製造することが可能となる。
【0056】
[19]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うことが好ましい。
【0057】
このような方法とすることにより、ゲート電極にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0058】
[20]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第1工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含むことが好ましい。
【0059】
このような方法とすることにより、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板内に製造することが可能となる。
【0060】
[21]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分に、コンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0061】
このような方法とすることにより、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0062】
[22]本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成することが好ましい。
【0063】
このような方法とすることによっても、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0064】
なお、本発明の電界効果トランジスタの製造方法において、前記第3工程においては、前記固体基板における一方の表面に、熱処理により導電性酸化物材料となる機能性液体材料を塗布して導電性酸化物材料の前駆体組成物層を形成し、押し成形技術を用いて当該前駆体組成物層に型押し構造を形成した後、前駆体組成物層を熱処理を施すことにより、前記ゲート電極を形成することもまた好ましい。
【0065】
このような方法とすることによっても、トップゲートの場合においても、ゲート電極を構成する材料をゲート電極を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0066】
[23]本発明の電界効果トランジスタの製造方法においては、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時に前記チャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されていることが好ましい。
【0067】
このような方法とすることにより、必要なオンオフ比を維持しつつ、大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図5】変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図6】変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図7】変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図8】変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係る電界効果トランジスタ200を説明するために示す図である。
【図10】実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図11】実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図12】実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を説明するために示す図である。
【図13】実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図14】実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図15】実施例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図16】実施例1に用いる凹凸型M11を説明するために示す図である。
【図17】実施例1に用いる型押し成形装置700を説明するために示す図である。
【図18】実施例1に係る電界効果トランジスタ400を説明するために示す図である。
【図19】ITO層の表面状態を説明するために示す図である。
【図20】実施例1に係る電界効果トランジスタ400の電気特性を説明するために示す図である。
【図21】実施例2に用いる凹凸型M12を説明するために示す図である。
【図22】ITO層のの表面状態を説明するために示す図である。
【図23】実施例2に係る電界効果トランジスタ500aの電気特性を説明するために示す図である。
【図24】従来の電界効果トランジスタ900を説明するために示す図である。
【図25】従来の電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図26】従来の電界効果トランジスタ900の電気特性を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の電界効果トランジスタ及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0070】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る電界効果トランジスタ100
図1は、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を説明するために示す図である。図1(a)は電界効果トランジスタ100の断面図であり、図1(b)は電界効果トランジスタ100の平面図である。
【0071】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100は、図1に示すように、ソース領域144及びドレイン領域146並びにチャネル領域142を含む酸化物導電体層140と、チャネル領域142の導通状態を制御するゲート電極120と、ゲート電極120とチャネル領域142との間に形成され強誘電体材料からなるゲート絶縁層130とを備える。チャネル領域142の層厚は、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い。チャネル領域142の層厚は、好ましくは、ソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚の1/2以下である。
【0072】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、チャネル領域142の層厚がソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い酸化物導電体層140は、型押し成形技術を用いて形成されたものである。
【0073】
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、チャネル領域142のキャリア濃度及び層厚は、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときに、チャネル領域142が空乏化するような値に設定されている。具体的には、チャネル領域142のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、チャネル領域142の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にある。
【0074】
なお、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100においては、ソース領域144及びドレイン領域146の層厚は、50nm〜1000nmの範囲内にある。
【0075】
酸化物導電体層140は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)からなり、ゲート絶縁層130は、例えばPZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)からなり、ゲート電極120は、例えば白金(Pt)からなり、固体基板としての絶縁性基板110は、例えば石英ガラス(SiO2)基板からなる。
【0076】
2.実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法
実施形態1に係る電界効果トランジスタ100は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0077】
図2〜図4は、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図2(a)〜図2(c)、図3(a)〜図3(d)及び図4(a)〜図4(d)は各工程図である。
【0078】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート電極120を形成する工程である(図2参照。)。
【0079】
まず、図2(a)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面に、少なくとも凸部分にめっき触媒物質としてのめっき触媒微粒子122を付着させておいた凹凸型(凹凸モールドということもある。)M1を押し付けることにより、図2(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にめっき触媒微粒子122を付着させる。
【0080】
次に、無電解めっきを施すことにより、めっき触媒微粒子122が付着した領域に例えば白金(Pt)からなるゲート電極120を形成する。
【0081】
(2)第2工程
第2工程は、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート絶縁層130を形成する工程である(図3(a)〜図3(c)参照。)。
【0082】
まず、図3(a)及び図3(b)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面上に、強誘電体材料の原料を含む溶液(例えば、PZTゾルゲル溶液)を塗布して強誘電体材料の原料を含む膜130’を形成する。
【0083】
次に、図3(c)に示すように、強誘電体材料の原料を含む膜130’に平坦型(フラットモールドということもある。)M2を押し付けることにより、強誘電体材料の原料を含む膜130’を平坦化する。
次に、平坦化された強誘電体材料の原料を含む膜130’に熱処理を施すことにより、絶縁性基板110における一方の表面上にゲート絶縁層130を形成する(図示せず。)。
【0084】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層130上に、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成する工程である(図3(d)〜図4(d)参照。)。
【0085】
まず、図3(d)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む溶液(例えば、ITOゾルゲル溶液)をゲート絶縁層130上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜140’を形成する。なお、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域142のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0086】
次に、図4(a)〜図4(c)に示すように、ソース領域144に対応する領域及びドレイン領域146に対応する領域よりもチャネル領域142に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M3を用いて、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’に対して型押し成形加工を行う。このとき、チャネル領域142に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う。これにより、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’のうちチャネル領域142となる部分の層厚が他の部分よりも薄くなる。なお、凹凸型M3は、チャネル領域142に対応する領域よりも素子分離領域に対応する領域がさらに凸となるような構造を有しており、これによって、素子分離領域上からは酸化物導電性材料の原料を含む膜140’が除去されることとなる(図4(c)参照。)。凹凸型M3は、素子分離領域に対応する領域部分が先細となった形状を有していてもよい。
【0087】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜140’に熱処理を施すことにより、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成し、図4(d)に示すようなボトムゲート構造を有する、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0088】
3.実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の効果
以上のようにして製造された実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層130を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、従来の電界効果トランジスタ900の場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。
【0089】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142の層厚がソース領域144の層厚及びドレイン領域146の層厚よりも薄い酸化物導電体層140を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、従来の電界効果トランジスタの場合のようにチャネル領域とソース領域及びドレイン領域とを異なる材料から形成しなくてもよくなり、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域の層厚がソース領域の層厚及びドレイン領域の層厚よりも薄い酸化物導電体層140が型押し成形技術を用いて形成されたものであるため、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となり、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142のキャリア濃度及び層厚は、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときに、チャネル領域142が空乏化するような値に設定されているため、酸化物導電体層のキャリア濃度を高くしたとしてもオフ時に流れる電流量を十分低くでき、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0092】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100によれば、チャネル領域142のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内にあり、チャネル領域142の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にあるため、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能となる。
【0093】
4.実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の効果
実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、型押し成形加工実施後、フォトリソグラフィープロセスなどの後加工プロセスを施すことなしにダイレクトに電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、上記したように、ゲート電極120を形成する第1工程と、ゲート絶縁層130を形成する第2工程と、ソース領域144、ドレイン領域146及びチャネル領域142を含む酸化物導電体層140を形成する第3工程とをこの順序で含むため、ボトムゲートからなる実施形態1に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0095】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第3工程において、チャネル領域142に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行うため、ゲート電極120にオフの制御電圧を印加したときにチャネル領域142が空乏化するような構造を有し、その結果、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0096】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第3工程において、型押し成形技術を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜140’の一部を除去することにより素子分離する工程を含むため、互いに独立した複数の電界効果トランジスタを同一基板上に製造することが可能となる。
【0097】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、第1工程において、ゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒微粒子122を付着し、その後、当該めっき触媒微粒子122が付着した領域に無電解めっきを施すことによりゲート電極120を形成することとしているため、ゲート電極を構成する材料をゲート電極120を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0098】
また、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域142のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されているため、必要なオンオフ比を維持しつつ大きな電流を低い駆動電圧で制御することが可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となる。
【0099】
[変形例1]
図5は、変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(c)は各工程図である。
【0100】
変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例1に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図5(a)及び図5(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて無電解めっき用触媒溶液(例えばニッケル、パラジウム、銀、白金の塩の溶液)を接触させることによりめっき触媒能を有するイオン123を付着させ、その後、無電解めっきを施すことにより、図5(c)に示すように、当該めっき触媒能を有するイオン123が付着している領域に白金(Pt)からなるゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0101】
[変形例2]
図6は、変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(c)は各工程図である。
【0102】
変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例2に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図6(a)及び図6(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化剤(例えばFAS17)を接触させることにより親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域124にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給して熱処理を施すことにより、図6(c)に示すようにゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0103】
[変形例3]
図7は、変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図7(a)〜図7(e)は各工程図である。
【0104】
変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例3に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程は、図7(a)及び図7(b)に示すように、絶縁性基板110におけるゲート電極120を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、図7(c)及び図7(d)に示すように、めっき触媒能を有するイオンを含む溶液中に基板を浸漬することにより、当該親液化処理を施した領域125にめっき触媒能を有するイオン126を付着させ、その後、無電解めっきを施すことにより、図7(e)に示すように、当該めっき触媒能を有するイオン126が付着している領域に白金(Pt)からなるゲート電極120を形成することとしている。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0105】
[変形例4]
図8は、変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図8(a)〜図8(e)は各工程図である。
【0106】
変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法と同様の工程を含むが、第1工程の内容が実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と異なる。すなわち、変形例4に係る電界効果トランジスタの製造方法における第1工程においては、以下に示すように、型押し成形技術を用いてゲート電極120を形成することとしている。
【0107】
まず、熱処理することにより酸化ニッケルランタン(LaNiO3)となる機能性液体材料を準備する。具体的には、金属無機塩(硝酸ランタン(六水和物)及び酢酸ニッケル(四水和物))を含有する溶液(溶媒:2ーメトキシエタノール)を準備する。
【0108】
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、絶縁性基板110における一方の表面に、スピンコート法を用いて機能性液体材料を塗布し(例えば、500rpm・25秒)、その後、絶縁体基板110をホットプレート上に置き60℃で1分間乾燥させることにより、酸化ニッケルランタンの前駆体組成物層120’(層厚300nm)を形成する。
【0109】
次に、図8(c)及び図8(d)に示すように、ゲート電極120に対応する領域が凹となるように形成された凹凸型M1a(高低差300nm)を用いて、150℃で前駆体組成物層120’に対して型押し加工を施すことにより、前駆体組成物層120’に型押し構造(凸部の層厚300nm、凹部の層厚50nm)を形成する。型押し加工を施すときの圧力は、5MPaとする。
【0110】
次に、前駆体組成物層120’を全面エッチングすることにより、ゲート電極120に対応する領域以外の領域から前駆体組成物層を完全に除去する(全面エッチング工程)。全面エッチング工程は、ウェットエッチング技術(HF:HCl溶液)を用いて真空プロセスを用いることなく行う。
【0111】
最後に、前駆体組成物層120’をRTA装置を用いて高温で(650℃、10分間)熱処理することにより、図8(e)に示すように、前駆体組成物層120’から、酸化ニッケルランタンからなるゲート電極120を形成する。このような方法によっても、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極120を形成することができる。
【0112】
このため、変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法によれば、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様に、ゲート電極を構成する材料をゲート電極120を形成すべき部位のみに供給することが可能となる。
【0113】
なお、変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法は、第1工程以外の点においては実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0114】
[実施形態2]
図9は、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200を説明するために示す図である。図9(a)は電界効果トランジスタ200の断面図であり、図9(b)は電界効果トランジスタ200の平面図である。
【0115】
実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタ100と同様の構成を有するが、ゲート絶縁層の構成が実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200においては、図9に示すように、ゲート絶縁層230がゲート電極220を覆う領域が凸となるような構造を有する。また、これに伴い、酸化物導電体層の構造も異なる。
【0116】
このように、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、ゲート絶縁層及び酸化物導電体層の構成が実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なるが、チャネル領域242を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層230を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。また、チャネル領域242の層厚がソース領域244の層厚及びドレイン領域246の層厚よりも薄い酸化物導電体層を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と同様に、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0117】
なお、実施形態2に係る電界効果トランジスタ200は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0118】
図10及び図11は、実施形態2に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)及び図11(a)〜図11(d)は各工程図である。
【0119】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板210における一方の表面上にゲート電極220を形成する工程である(図10(a)参照。)。実施形態1に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同じである。変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法の場合と同じでもよい。
【0120】
(2)第2工程
第2工程は、絶縁性基板210における一方の表面上に、ソース領域244に対応する領域及びドレイン領域246に対応する領域よりもチャネル領域242に対応する領域が凸となるような構造を有するゲート絶縁層230を形成する工程である(図10(b)〜図10(d)参照。)。
【0121】
まず、図10(b)に示すように、強誘電体材料の原料を含む溶液を絶縁性基板210における一方の表面上に塗布して強誘電体材料の原料を含む膜230’を形成する。
【0122】
次に、図10(c)に示すように、強誘電体材料の原料を含む膜230’に平坦型M4を押し付けることにより、強誘電体材料の原料を含む膜230’を平坦化する。
【0123】
次に、図10(d)に示すように、チャネル領域242に対応する領域よりもソース領域244に対応する領域及びドレイン領域146に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M5を用いて強誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行う。
【0124】
次に、型押し成形加工の施された強誘電体材料の原料を含む膜230’に、熱処理を施すことにより、絶縁性基板210における一方の表面上にゲート絶縁層230を形成する(図示せず。)。
【0125】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層230上に、ソース領域244、ドレイン領域246及びチャネル領域242を含む酸化物導電体層240を形成する工程である(図11(a)〜図11(d)参照。)。
【0126】
まず、図11(a)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を絶縁性基板210における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を形成する。なお、酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時にチャネル領域242のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0127】
次に、図11(b)に示すように、平坦型M6を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜240’に対して型押し加工を行い、酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を平坦化する。このとき、チャネル領域242に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜240’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行う。
【0128】
次に、図11(c)に示すように、素子分離領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M7を用いて酸化物導電性材料の原料を含む膜240’をさらに型押しすることにより、素子分離領域上から酸化物導電性材料の原料を含む膜240’を除去する。
【0129】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜240’に熱処理を施すことにより、ソース領域244、ドレイン領域246及びチャネル領域242を含む酸化物導電体層240を形成し、図11(d)に示すようなボトムゲート構造を有する、実施形態2に係る電界効果トランジスタ100を製造することができる。
【0130】
[実施形態3]
図12は、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を説明するために示す図である。図12(a)は電界効果トランジスタ300の断面図であり、図12(b)は電界効果トランジスタ300の平面図である。
【0131】
実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、基本的には実施形態1に係る電界効果トランジスタ100と同様の構成を有するが、トップゲート構造を有する点で実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なる。すなわち、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300においては、図12に示すように、絶縁性基板310の上方に、酸化物導電体層340、ゲート絶縁層330及びゲート電極320とがこの順序で形成された構造を有する。
【0132】
このように、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、トップゲート構造を有する点で実施形態1に係る電界効果トランジスタ100の場合と異なるが、チャネル領域342を構成する材料として酸化物導電性材料を用いているためキャリア濃度を高くすることができ、また、ゲート絶縁層320を構成する材料として強誘電体材料を用いているため低い駆動電圧で高速にスイッチングすることができ、その結果、実施形態1に係る電界効果トランジスタの場合と同様に、大きな電流を低い駆動電圧で高速に制御することが可能となる。また、チャネル領域342の層厚がソース領域344の層厚及びドレイン領域346の層厚よりも薄い酸化物導電体層340を形成するだけで電界効果トランジスタを製造することが可能となるため、実施形態1に係る電界効果トランジスタの場合と同様に、上記のように優れた電界効果トランジスタを、従来よりも大幅に少ない原材料及び製造エネルギーを用いて製造することが可能となる。
【0133】
なお、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300は、第1工程〜第3工程をこの順序で含む電界効果トランジスタの製造方法(実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法)により製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0134】
図13及び図14は、実施形態3に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図13(a)〜図13(e)及び図14(a)〜図14(c)は各工程図である。
【0135】
(1)第1工程
第1工程は、絶縁性基板310における一方の表面上にソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340を形成する工程である(図13(a)〜図13(c)参照。)。
【0136】
まず、図13(a)及び図13(b)に示すように、絶縁性基板310における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜340’を形成する。
【0137】
次に、図13(c)に示すように、ソース領域344に対応する領域及びドレイン領域346に対応する領域よりもチャネル領域342に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M8を用いて、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’に対して型押し成形加工を行う。このとき、チャネル領域342に対応する領域における酸化物導電性材料の原料を含む膜340’の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う。これにより、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’のうちチャネル領域342となる部分の層厚が他の部分よりも薄くなる。なお、凹凸型M8は、チャネル領域342に対応する領域よりも素子分離領域に対応する領域がさらに凸となるような構造を有しており、これによって、素子分離領域上からは酸化物導電性材料の原料を含む膜340’が除去されることとなる(図13(c)参照。)。
【0138】
次に、酸化物導電性材料の原料を含む膜340’に熱処理を施すことにより、ソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340を形成する(図示せず。)。
【0139】
(2)第2工程
第2工程は、ソース領域344、ドレイン領域346及びチャネル領域342を含む酸化物導電体層340上にゲート絶縁層330を形成する工程である(図13(d)及び図11(e)参照。)。
【0140】
まず、図11(d)に示すように、強誘電体材料の原料を含む溶液を絶縁性基板310における一方の表面上に塗布して強誘電体材料の原料を含む膜330’を形成する。
【0141】
次に、平坦型M9を用いて強誘電体材料の原料を含む膜330’に対して型押し加工を行い、強誘電体材料の原料を含む膜330’を平坦化する。
【0142】
次に、平坦化された強誘電体材料の原料を含む膜330’に熱処理を施すことにより、ゲート絶縁層330を形成する(図示せず。)。
【0143】
(3)第3工程
第3工程は、ゲート絶縁層330上に、ゲート電極320を形成する工程である(図14(a)〜図14(c)参照。)。
【0144】
まず、図14(a)に示すように、ゲート絶縁層330上に、少なくとも凸部分にめっき触媒微粒子322を付着させておいた凹凸型M10を押し付けることにより、図14(b)に示すように、ゲート絶縁層330におけるゲート電極320を形成する部分にめっき触媒微粒子322を付着させる。
【0145】
次に、無電解めっきを施すことにより、めっき触媒微粒子322が付着した領域に、例えば白金(Pt)からなるゲート電極320を形成する。
【0146】
なお、第3工程は、実施形態1における変形例1〜4に係る電界効果トランジスタの製造方法の第1工程の方法を適用することもできる。
【0147】
このような方法により、トップゲート構造を有する、実施形態3に係る電界効果トランジスタ300を製造することが可能となる。
【実施例】
【0148】
以下、実施例により、型押し成形技術を用いて本発明の電界効果トランジスタを製造することができることを示す。
【0149】
[実施例1]
1.電界効果トランジスタ400の作製
図15は、実施例1に係る電界効果トランジスタの製造方法を説明するために示す図である。図15(a)〜図15(e)は各工程図である。図16は、実施例1に用いる凹凸型M11を説明するために示す図である。図17は、実施例1に用いる型押し成形加工装置700を説明するために示す図である。なお、図17中、符号710は下型、符号712は断熱板、符号714はヒーター、符号716は載置部、符号718は吸引部、符号720は上型、符号722はヒーター、符号724は固定部、符号726は石英ガラス基材を示す。
【0150】
以下の「下地Pt基板準備工程」、「PZT層形成工程」、「ITO層形成工程」、「型押し成形加工工程」及び「ITO層焼成工程」をこの順序で実施することにより実施例1に係る電界効果トランジスタ400を製造した。以下、工程順に説明する。
【0151】
(1)下地Pt基板準備工程
まず、図15(a)に示すように、下地Pt基板(Si基板412上にSiO2層414を形成した絶縁性基板410の全面にゲート電極としてのPt層420を形成したもの/田中貴金属製)を準備した。なお、絶縁性基板410の全面にPt層420を形成したのは、平坦型を用いて型押しする際に均一に型押しできるようにするためである。
【0152】
(2)ゲート絶縁層形成工程
次に、図15(b)に示すように、下地Pt基板上に、ゲート絶縁層としてのPZT層430を形成した。PZT層430の形成は、下地Pt基板上に、強誘電体材料の原料を含む溶液としてのPZTゾルゲル溶液(三菱マテリアル製)を2500rpm・25秒のスピンコート条件で塗布し、ホットプレート上で220℃・5分で乾燥させる操作を4回繰り返した後、ホットプレート上で350℃・10分で仮焼成し、さらには、RTA装置を用いて650℃・20分の条件でPZT層を結晶化させることにより行った。
【0153】
(3)ITO層形成工程
次に、5分のUV洗浄(λ=254nm)によりPZT基板から有機残渣を除去した後、図15(c)に示すように、酸化物導電性材料の原料を含む膜としてのITO層440’を形成した。ITO層440’の形成は、PZT層430上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液としてのITOゾルゲル溶液(高純度化学製/原液:希釈剤=1:1.5)を2500rpm・25秒のスピンコート条件で塗布し、ホットプレート上で150℃・5分の条件で乾燥させることにより行った。なお、ITOゾルゲル溶液には、完成時にチャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている。
【0154】
(4)型押し成形加工工程
その後、ITO層440’の離型性を向上させる目的でITO層440’上に離型剤HD−1101(ダイキン化成製)をスピンコートにより塗布した後、ホットプレート上で60℃・5分の条件で乾燥させた。なお、型側の離型処理は、ディップコートタイプ離型剤ZH−1101(ダイキン化成製)により行った。
【0155】
次に、図15(d)に示すように、ソース領域/ドレイン領域444(図15(e)参照。)に対応する領域よりもチャネル領域442(図15(e)参照。)に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型M11(図16参照。)を用いて、ITO層440’に対して型押し成形加工を行った。型押し成形加工は、型押し成形加工装置700(東芝機械製の型押し成形加工装置ST50/図17参照。)を用いて行った。
【0156】
なお、凹凸型M11は、図16に示すように、10mm×10mmの正方形状の中央部に2mm×2mmのパターン領域を有し、当該パターン領域の中には幅1μm、高さ150nmの格子状パターンが形成されたものである。凹凸型M11は両面テープを用いて石英ガラス基材726に固定する。
【0157】
型押し成形加工におけるプレス力は、0.3kN(3MPa、1cm□)として、プレス力が加わった時点で70℃から昇温していき、プレス力を保持した状態で180℃まで加熱した。保持時間は15分とした。その後、水で冷却して、温度が70℃になった時点で離型を行った。
【0158】
(5)ITO層焼成工程
次に、ホットプレート上で400℃・10分の条件でITO層440’の焼成を行い、その後、RTA装置を用いて650℃・30分(前半15分酸素雰囲気、後半の15分窒素雰囲気)の条件でITO層膜440’を加熱してITO層を結晶化させ、結晶化されたITO層440を形成した。
【0159】
以上の工程を経て、実施例1に係る電界効果トランジスタ400が得られた。
【0160】
2.電界効果トランジスタ400の評価
(1)電界効果トランジスタ400の構造
図18は、実施例1に係る電界効果トランジスタ400を説明するために示す図である。図18(a)は電界効果トランジスタ400の断面図であり、図18(b)は電気的測定を行っているときの電界効果トランジスタ400の平面図であり、図18(c)は電気的測定を行っているときの電界効果トランジスタ400の断面図である。
【0161】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400においては、図18に示すように、凹凸型M11の凸部によって型押しされた部分がチャネル領域442となり、凹凸型M11の凹部によって型押しされた部分がソース/ドレイン領域444となる。
【0162】
(2)電界効果トランジスタ400の表面状態
得られた電界効果トランジスタ400におけるITO層焼成工程前のITO層440’及びITO層焼成工程後のITO層440の状態をレーザー顕微鏡OLS−3000(オリンパス製)及びSPM(SII・ナノテクノロジー製)を用いて観察した。
【0163】
図19は、ITO層の表面状態を説明するために示す図である。図19(a)における左側の写真はITO層焼成工程前におけるITO層440’のレーザー顕微鏡写真であり、図19(a)における右側の写真は左側の写真で破線で囲った領域を拡大したものである。また、図19(b)はITO層焼成工程後におけるITO層440のSPM写真である。なお、図19(b)において中央部で窪んでいる部分がチャネル領域442に対応する領域である。
【0164】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400においては、図19(a)からも分かるように、パターン領域全体にわたってレーザー顕微鏡の濃淡差の少ない(すなわち高低差の小さい)均一な構造が得られている。また、図19(b)からも分かるように、長さが約1μmのチャネル領域442と、ソース/ドレイン領域444との間に50nm〜60nmの高低差が形成されている。
【0165】
(3)電界効果トランジスタ400の電気特性
まず、ITO層440の端部を1%フッ酸によりウェットエッチングし、下部のPt電極420を露出させ、ゲート電極用のプローブを押し当てた。その後、図18(b)及び図18(c)に示すように、チャネル領域442を挟む位置にある2つのソース/ドレイン領域444のそれぞれにソース用プローブ及びドレイン用プローブを押し当てた(図18中、符号IV1をご参照。)。
その後、電界効果トランジスタ400における電気特性(ドレイン電流IDとゲート電圧VGとの間のID−VG特性、ドレイン電流IDとドレイン電圧VDとの間のID−VD特性)を半導体パラメータアナライザー(アジレント製)を用いて測定した。
【0166】
図20は、実施例1に係る電界効果トランジスタ400の電気特性を説明するために示す図である。図20(a)はID−VG特性を示す図であり、図20(b)はID−VD特性を示す図である。なお、ID−VG特性を測定するに当たっては、ドレイン電圧VDを2.5Vに固定した状態で−3V〜+3Vの範囲でゲート電圧VGを走査した。
【0167】
実施例1に係る電界効果トランジスタ400は、図20(a)からも分かるように、ヒステリシス特性を有し、トランジスタメモリとしての挙動を示すことが確認できた(図中、符号IV1で示す特性曲線参照。)。さらには、4桁程度のON/OFF比が得られ、0.5Vのメモリウインドウ特性が得られた。また、実施例1に係る電界効果トランジスタ400は、図20(b)からも分かるように、トランジスタとしての挙動を示すことが確認できた。
【0168】
[実施例2]
1.電界効果トランジスタ500の作製
図21は、実施例2に用いる凹凸型M12を説明するために示す図である。
型押し成形加工工程を実施する際に図21に示す凹凸型M12を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、実施例2に係る電界効果トランジスタ500を製造した。
【0169】
なお、凹凸型M12は、図21に示すように、10mm×10mmの正方形状の中央部に4mm×4mmのパターン領域を有し、当該パターン領域の中には幅10μm、高さ350nmの格子状パターンが形成されたものである。
【0170】
2.電界効果トランジスタ500の評価
(1)電界効果トランジスタ500の表面状態
得られた電界効果トランジスタ500におけるITO層焼成工程前のITO層及びITO層焼成工程後のITO層の状態をレーザー顕微鏡OLS−3000(オリンパス製)及びSEM(日立HT/S−4100)を用いて観察した。
【0171】
図22は、ITO層の表面状態を説明するために示す図である。図22(a)における左側の写真はITO層焼成工程前におけるITO層のレーザー顕微鏡写真であり、図22(a)における右側の写真は左側の写真で破線で囲った領域を拡大したものである。また、図22(b)はITO層焼成工程後におけるITO層の断面SEM写真である。なお、図22(b)において符号Rで示す領域を拡大するとチャネル領域R1とソース/ドレイン領域R2が観察され、これをさらに拡大するとPt層、PZT層及びITO層を観察することができた。
【0172】
実施例2に係る電界効果トランジスタ500においては、図22(a)からも分かるように、実施例1の場合と同様に、パターン領域全体にわたってレーザー顕微鏡の濃淡差の少ない(すなわち高低差の小さい)均一な構造が得られている。また、図22(b)からも分かるように、チャネル領域においては、Pt層の上に、PZT層(130nm)及びITO層(20nm)が形成され、ソース/ドレイン領域においては、Pt層の上に、PZT層(130nm)及びITO層(75nm)が形成されている。
【0173】
(2)電界効果トランジスタ500の電気特性
実施例1の場合と同様にして、実施例2に係る電界効果トランジスタ500の電気特性を評価した。但し、実施例2においては、実験の都合上、図18(b)及び図18(c)に示す符号IV1で示すように電気的特性を測定することができなかったため、図18(b)及び図18(c)に示す符号IV2で示すようにして電気的特性を測定した。すなわち、実施例2で電気特性を測定する対象の電界効果トランジスタは、電界効果トランジスタ500ではなく、図18(b)及び図18(c)に示す「ソース/ドレイン領域」に対応する領域(層厚75nmのITO層)がチャネル領域に対応し、2つの測定端子がソース電極及びドレイン電極に対応する電界効果トランジスタ500a(図示せず。)である。
【0174】
このように、実施例2で電気特性を測定する対象の電界効果トランジスタ500aは、実施例2に係る電界効果トランジスタ500とは異なり、正確な意味では本発明明の電界効果トランジスタとは言えないが、電界効果トランジスタ500aがトランジスタとしての挙動を示すならば、層厚20nmのITO層をチャネル領域として有する実施例2に係る電界効果トランジスタ500がトランジスタとしての挙動を示すことは明らかなものと言える。
【0175】
図23は、電界効果トランジスタ500aの電気特性を説明するために示す図である。図23(a)はドレイン電流IDとゲート電圧VGとの間のID−VG特性を示す図であり、図23(b)はドレイン電流IDとドレイン電圧VDとの間のID−VD特性を示す図である。なお、ID−VG特性を測定するに当たっては、ドレイン電圧VDを2.5Vに固定した状態で−6V〜+6Vの範囲でゲート電圧VGを走査した。
【0176】
電界効果トランジスタ500aは、図23(a)からも分かるように、ヒステリシス特性を有し、トランジスタメモリとしての挙動を示すことが確認できた。さらに、5桁程度のON/OFF比が得られ、2Vのメモリウインドウ特性が得られた。また、電界効果トランジスタ500aは、図23(b)からも分かるように、トランジスタとしての挙動を示すことが確認できた。従って、層厚20nmのITO層をチャネル領域として有する実施例2に係る電界効果トランジスタ500がトランジスタとしての挙動を示すことは明らかなものと言える。
【0177】
以上、本発明の電界効果トランジスタ及びその製造方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0178】
(1)上記各実施形態においては、酸化物導電体材料として、インジウム錫酸化物(ITO)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、酸化インジウム(In2O3)、アンチモンドープ酸化錫(Sb−SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al−ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Ga−ZnO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化錫(SnO2)、一酸化錫SnO、ニオブドープ二酸化チタン(Nb−TiO2)などの酸化物導電体材料を用いることができる。また、インジウムガリウム亜鉛複合酸化物(IGZO)、ガリウムドープ酸化インジウム(In−Ga−O(IGO))、インジウムドープ酸化亜鉛(In−Zn−O(IZO))などのアモルファス導電性酸化物を用いることができる。また、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ニオブドープチタン酸ストロンチウム(Nb−SrTiO3)、ストロンチウムバリウム複合酸化物(SrBaO3)、ストロンチウムカルシウム複合酸化物(SrCaO3)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO2)、酸化ニッケルランタン(LaNiO3)、酸化チタンランタン(LaTiO3)、酸化銅ランタン(LaCuO3)、酸化ニッケルネオジム(NdNiO3)、酸化ニッケルイットリウム(YNiO3)、酸化ランタンカルシウムマンガン複合酸化物(LCMO)、鉛酸バリウム(BaPbO3)、LSCO(LaxSr1−xCuO3)、LSMO(La1−xSrxMnO3)、YBCO(YBa2Cu3O7−x)、LNTO(La(NI1−xTix)O3)、LSTO((La1−x,Srx)TiO3)、STRO(Sr(Ti1−xRux)O3)その他のペロブスカイト型導電性酸化物又はパイロクロア型導電性酸化物を用いることができる。
【0179】
(2)上記各実施形態においては、強誘電体材料として、強誘電体材料として、PZT(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、NbドープPZT、LaドープPZT、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、BTO(Bi4Ti3O12)、BLT(Bi4−xLaxTi3O12)、SBT(SrBi2Ta2O9)、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7)又はビスマスフェライト(BiFeO3)を用いることができる。
【0180】
(3)上記各実施形態においては、強誘電体材料からなるゲート絶縁層を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、常誘電体材料(例えば、BZN(Bi1.5Zn1.0Nb1.5O7又はBST(BaxSr1−x)Ti3O12)からなるゲート絶縁層を用いることもできる。
【0181】
(4)上記各実施形態においては、ゲート電極に用いる材料として、Pt及び酸化ニッケルランタン(LaNiO3)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Au、Ag、Al、Ti、ITO、In2O3、Sb−In2O3、Nb−TiO2、ZnO、Al−ZnO、Ga−ZnO、IGZO、RuO2及びIrO2並びにNb−STO、SrRuO2、LaNiO3、BaPbO3、LSCO、LSMO、YBCOその他のペロブスカイト型導電性酸化物を用いることができる。また、パイロクロア型導電性酸化物及びアモルファス導電性酸化物を用いることもできる。
【0182】
(5)上記各実施形態においては、絶縁性基板として、石英ガラス(SiO2)基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Si基板の表面にSiO2層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板、SiO2/Si基板、アルミナ(Al2O3)基板、SRO(SrRuO3)基板又はSTO(SrTiO)基板を用いることができる。
【0183】
(6)上記各実施形態においては、固体基板として、少なくとも一方の面が絶縁性を有する絶縁性基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Si基板、SiC基板等の半導体基板を用いることもできる。
【0184】
(7)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべて液体材料を用いて形成されたものであってもよい。
【0185】
(8)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべてペロブスカイト構造を有するものであってもよい。
【0186】
(9)本発明の電界効果トランジスタにおいては、酸化物導電体層、ゲート電極及びゲート絶縁層は、すべて真空プロセスを用いることなく形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0187】
100,200,300,400,500,900…電界効果トランジスタ、110,210,310,410,910…絶縁性基板、120,220,320,420,920…ゲート電極、120’…酸化ニッケルランタンの前駆体組成物層、130’,230’,330’,430’,530’…強誘電体材料の原料を含む膜、130,230,330,430,930…ゲート絶縁層、140,240,340,440…酸化物導電体層、140’,240’,340’,440’…酸化物導電性材料を含む膜、142,242,342…チャネル領域、144,244,344…ソース領域、146,246,346…ドレイン領域、142,242,342,442…チャネル領域、444…ソース/ドレイン領域、940…チャネル層、950…ソース電極、960…ドレイン電極、M1,M1a,M3,M5,M7,M8,M10,M11,M12…凹凸型、M2,M4,M6,M9…平坦型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、
前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成された強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、
前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い、
電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも液体材料を用いて形成されたものである、
請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも酸化物材料からなる、
請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれもペロブスカイト構造を有する、
請求項3に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも真空プロセスを用いることなく形成されたものである、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記チャネル領域のキャリア濃度及び層厚は、前記電界効果トランジスタがオフ状態のときに、前記チャネル領域全体が空乏化するような値に設定されている、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記チャネル領域のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の
範囲内にあり、
前記チャネル領域の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にある、
請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備えた電界効果トランジスタの製造方法であって、
前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層を、型押し成形技術を用いて形成する、
電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】
固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における前記ゲート電極上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記ゲート絶縁層上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とを、この順序で含む、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う、
請求項9に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項11】
固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、前記チャネル領域に対応する領域よりも前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるような構造を有する前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含む、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行う、
請求項11に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記第2工程においては、前記固体基板における一方の表面上に前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜の表面を平坦化する、
請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記第3工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含む、
請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項8乃至請求項14のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項17】
固体基板における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を、前記チャネル領域上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
前記ゲート絶縁層上に、前記ゲート電極を形成する第3工程とを、この順序で含むことを特徴とする、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記第1工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う、
請求項17に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記第1工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含む、
請求項17又は請求項18に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項20】
前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分に、コンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項21】
前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項22】
酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時に前記チャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている、
請求項9乃至請求項21のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項1】
ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、
前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成された強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備え、
前記チャネル領域の層厚は、前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い、
電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも液体材料を用いて形成されたものである、
請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも酸化物材料からなる、
請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれもペロブスカイト構造を有する、
請求項3に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記酸化物導電体層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層は、いずれも真空プロセスを用いることなく形成されたものである、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記チャネル領域のキャリア濃度及び層厚は、前記電界効果トランジスタがオフ状態のときに、前記チャネル領域全体が空乏化するような値に設定されている、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記チャネル領域のキャリア濃度は、1×1018cm−3〜1×1021cm−3の
範囲内にあり、
前記チャネル領域の層厚は、5nm〜100nmの範囲内にある、
請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
ソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域を含む酸化物導電体層と、前記チャネル領域の導通状態を制御するゲート電極と、前記ゲート電極と前記チャネル領域との間に形成され強誘電体材料又は常誘電体材料からなるゲート絶縁層とを備えた電界効果トランジスタの製造方法であって、
前記チャネル領域の層厚が前記ソース領域の層厚及び前記ドレイン領域の層厚よりも薄い前記酸化物導電体層を、型押し成形技術を用いて形成する、
電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】
固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における前記ゲート電極上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記ゲート絶縁層上に塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とを、この順序で含む、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う、
請求項9に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項11】
固体基板における一方の表面上に前記ゲート電極を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、前記チャネル領域に対応する領域よりも前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し成形加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるような構造を有する前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
酸化物導電性材料の原料を含む溶液を前記固体基板における一方の表面上に塗布して酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第3工程とをこの順序で含む、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記第3工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し加工を行う、
請求項11に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記第2工程においては、前記固体基板における一方の表面上に前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜の表面を平坦化する、
請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記第3工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含む、
請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項8乃至請求項14のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記第1工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項17】
固体基板における一方の表面上に、酸化物導電性材料の原料を含む溶液を塗布することにより酸化物導電性材料の原料を含む膜を形成した後、前記ソース領域に対応する領域及び前記ドレイン領域に対応する領域よりも前記チャネル領域に対応する領域が凸となるように形成された凹凸型を用いて、前記酸化物導電性材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ソース領域、前記ドレイン領域及び前記チャネル領域を形成する第1工程と、
強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む溶液を、前記チャネル領域上に塗布して強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜を形成した後、平坦型を用いて前記強誘電体材料又は常誘電体材料の原料を含む膜に対して型押し加工を行い、さらにその後、熱処理を施すことにより、前記ゲート絶縁層を形成する第2工程と、
前記ゲート絶縁層上に、前記ゲート電極を形成する第3工程とを、この順序で含むことを特徴とする、
請求項8に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記第1工程においては、前記チャネル領域に対応する領域における前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の層厚が5nm〜100nmの範囲内にある所定の層厚になるように型押し成形加工を行う、
請求項17に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記第1工程においては、型押し成形技術を用いて前記酸化物導電性材料の原料を含む膜の一部を除去することにより素子分離する工程を含む、
請求項17又は請求項18に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項20】
前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分に、コンタクトプリンティング法を用いてめっき触媒物質を付着し、その後、当該めっき触媒物質が付着した領域に無電解めっきを施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項21】
前記第3工程においては、前記ゲート電極を形成する部分にコンタクトプリンティング法を用いて親液化処理を施し、その後、当該親液化処理を施した領域にゲート電極の原料を含む原料を含むインクを供給し、さらにその後、熱処理を施すことにより前記ゲート電極を形成する、
請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項22】
酸化物導電性材料の原料を含む溶液には、完成時に前記チャネル領域のキャリア濃度が1×1018cm−3〜1×1021cm−3の範囲内になるような濃度の不純物が添加されている、
請求項9乃至請求項21のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図19】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図19】
【図22】
【公開番号】特開2013−55358(P2013−55358A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265997(P2012−265997)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2010−107768(P2010−107768)の分割
【原出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2010−107768(P2010−107768)の分割
【原出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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