説明

電磁弁

【課題】製作誤差による弁座及び弁体相互の傾きに影響されずに,良好な全閉状態を確保し得る,構造簡単な電磁弁を提供する。
【解決手段】プランジャ21の弁座10側の端部に第1環状段部21a′を介して連なる第1小径軸部21aを,またこの第1小径軸部21aの端部に第2環状段部21b′を介して連なる第2小径軸部21bをそれぞれ連設し,弁体24を,第2小径軸部21bに気密に嵌合,固着されるボス部24aと,このボス部24aを囲繞して弁座10に着座する着座部24cと,これらボス部24a及び着座部24cを相互に傾動可能に接続する可撓部24bとで構成し,第1小径軸部21aには,ボス部24a及び着座部24cに当接してコイルばね28の可動端を支持するばね座板23を傾動可能に遊嵌した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,弁座を有する弁ボディと,この弁ボディに接合されるソレノイド支持体と,前記弁座に着座する弾性材製の弁体と,この弁体を支持して前記ソレノイド支持体に摺動自在に支持されるプランジャと,このプランジャを囲繞しながら前記弁体を前記弁座との着座方向に付勢するコイルばねと,前記ソレノイド支持体に取り付けられ,通電時,前記コイルばねの付勢力に抗して前記プランジャを前記弁体の全開側に作動するソレノイドとよりなる電磁弁の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる電磁弁は,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−326946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のかゝる電磁弁においては,製作誤差による弁座及び弁体相互の傾きに影響されずに,良好な全閉状態を確保するために,弁体をプランジャに傾動自在に取り付けると共に,弁体及びプランジャ間に気密を保持するシール手段を施している。
【0005】
しかしながら,このようなものでは,シール手段により構造が複雑となり,コストの低減が困難となるのみならず,シール手段の不具合により,良好な全閉状態が損われる虞がある。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,製作誤差による弁座及び弁体相互の傾きに影響されずに,良好な全閉状態を確保し得る,構造簡単な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,弁座を有する弁ボディと,この弁ボディに接合されるソレノイド支持体と,前記弁座に着座する弾性材製の弁体と,この弁体を支持して前記ソレノイド支持体に摺動自在に支持されるプランジャと,このプランジャを囲繞しながら前記弁体を前記弁座との着座方向に付勢するコイルばねと,前記ソレノイド支持体に取り付けられ,通電時,前記コイルばねの付勢力に抗して前記プランジャを前記弁体の全開側に作動するソレノイドとよりなる電磁弁において,前記プランジャの前記弁座側の端部に第1環状段部を介して連なる第1小径軸部を,またこの第1小径軸部の端部に第2環状段部を介して連なる第2小径軸部をそれぞれ連設し,前記弁体を,前記第2小径軸部に気密に嵌合,固着されるボス部と,このボス部を囲繞して前記弁座に着座する着座部と,これらボス部及び着座部を相互に傾動可能に接続する可撓部とで構成し,前記第1小径軸部には,前記ボス部及び着座部に当接して前記コイルばねの可動端部を支持するばね座板を傾動可能に遊嵌したことを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記弁体の端面に前記ボス部を囲繞する環状溝を形成し,この環状溝と反対側の該弁体の薄肉部で前記環状の可撓部を構成したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記第2小径軸部の端部に第3環状段部を介して第3小径軸部を連設し,この第3小径軸部に固着される保持部材と前記第2環状段部とで前記ボス部を気密に挟持し,この保持部材を,その外径が前記環状の可撓部の中心径より大となるように形成したことを第3の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記コイルばねの,前記ばね座板に当接する可動端部を,ばね線材の数回の密着巻きにより,前記第1環状段部及び前記ばね座板間に生じる間隙より大なる軸方向厚みを有する厚肉端部に形成したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば,各部の製作誤差により,弁体及び弁座の対向面の平行精度に狂いがあっても,弁体のボス部及び着座部間の相互傾動と,ばね座板及び第1小径軸部間の相互傾動とにより,コイルばねの荷重をもって着座部を弁座に確実に着座させることができ,良好な閉弁状態を確保することができる。
【0012】
しかも,弁体のボス部は,プランジャの第2小径軸部に単に気密に嵌合,固着されるので,弁体及びプランジャ間には特別なシール部材が不要であり,構造の簡素化に寄与し得る。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば,ボス部,可撓部及び着座部よりなる弁体を単一の素材をもって構成することができ,これを安価に得ることができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば,弁体の全開時,着座部の自重,振動,圧力等による姿勢変化を保持部材により防ぐことができ,したがって次の閉弁時の姿勢をも安定させることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば,ばね座板が弁体の背面に密着した状態で,ばね座板と第1環状段部との間に間隙が生じても,この間隙にコイルばねの可動端の挟まりを防ぐことができ,コイルばねを常に適正に作動させることができる。しかも,そのコイルばねの可動端の挟まり防止のための特別なカバーは不要であり,構造の簡素化に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁弁の縦断面図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】図2に対応する作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0018】
先ず図1において,図示しないエンジンに取り付けられるスロットルボディTは,エンジンの吸気ポートに連なる吸気道1を有しており,この吸気道1を開閉してエンジンの吸気道量を制御するバタフライ型のスロットル弁2がスロットルボディTに軸支される。またスロットルボディTには,スロットルボディTを迂回して吸気道1の上流及び下流部間を連通するバイパス3が接続され,このバイパス3の途中に本発明の電磁弁Vが介装される。この電磁弁Vは常閉型で,その開弁によりバイパス3を導通させることができる。
【0019】
この電磁弁Vについて図1及び図2により詳しく説明する。
【0020】
電磁弁Vは,スロットルボディT又はエンジンに支持される弁ボディ5と,それにボルト7により接合されるソレノイド支持体6とを備える。これら弁ボディ5及びソレノイド支持体6相互の接合位置を規定すべく,弁ボディ5の上面に形成される円形凹部8に,ソレノイド支持体6の下面に突設される位置決め筒部9が嵌合され,その嵌合部にはシール部材22が介装される。
【0021】
また弁ボディ5には,前記円形凹部8の底面中心部から環状に隆起する弁座10が形成されており,弁座10の外側の円形凹部8の底面に開口する入口孔11には,前記バイパス3の上流部3aが接続され,弁座10内の弁孔12には,前記バイパス3の下流部3bが接続される。
【0022】
ソレノイド支持体6は合成樹脂製である。このソレノイド支持体6には,ボビン13と,それに巻装されるソレノイド14と,このソレノイド14の外周を囲んでボビン13の上下両端側に屈曲するヨーク15と,ボビン13の上端からその中間部にかけてその中空部に嵌装されてヨーク15の上端板15aに一体的にカシメ結合される円柱状の固定コア16と,ソレノイド14に連なる給電端子17とが埋設され,その給電端子17は,ソレノイド支持体6の上部一側面に一体に突設されるカプラ18内に先端部を臨ませるように配置される。
【0023】
ヨーク15の下端板15bには,ボビン13の中空部に連なる,それと同径もしくはそれより僅かに大径の透孔19が設けられ,この透孔19に連なる,それより大径のばね位置決め孔20が位置決め筒部9の中心部に設けられる。上記ボビン13,透孔19,ばね位置決め孔20及び弁座10は,同一軸線上に配置される。
【0024】
ボビン13の中空部の下部には,透孔19を貫通して固定コア16の下端面に対向する可動コアとしてのプランジャ21が摺動自在に嵌装される。このプランジャ21の下端部は,位置決め筒部9の下方に突出しており,その下端部には第1環状段部21a′を介して連なる第1小径軸部21aが,またこの第1小径軸部21aの端部には第2環状段部21b′を介して連なる第2小径軸部21bが,さらにこの第2小径軸部21bの端部には第3環状段部21c′を介して連なる第3小径軸部21cが順次連設されており,それらの軸方向長さは,第1小径軸部21aから第3小径軸部21cに向かって増加している。
【0025】
第1小径軸部21aには弁座10より大径の円板状のばね座板23が傾動可能に遊嵌される。このばね座板23の第1小径軸部21aに対する傾動は,ばね座板23の中心孔を第1小径軸部21aより大径にすると共に,ばね座板23の板厚を第1小径軸部21aの長さより薄くすることで可能にしている。第2小径軸部21bには,前面を弁座10に着座させる円板状の弁体24が第2小径軸部21bの全長に亙り気密に嵌合される。最も小径の第3小径軸部21cには,弁孔12より充分小径の保持部材25が圧入により固着され,この保持部材25と前記第2環状段部21b′とで弁体24を気密に挟持する。この弁体24の背面に前記ばね座板23が重ねられる。
【0026】
弁体24はゴム等の弾性材製であって,その背面に環状溝26を形成することにより,弁体24の前面側には,薄肉で環状の可撓部24bが形成される。こうして弁体24は,保持部材25と第2環状段部21b′とで気密に挟持されるボス部24aと,このボス部24aを囲繞して弁座10に着座する着座部24cと,これらボス部24a及び着座部24cを接続する環状の可撓部24bとを備えることになる。そしてボス部24a及び着座部24cは,可撓部24bの撓みにより相互に傾動が可能となる。前記保持部材25は,その外径D2が環状の可撓部24bの中心径D1より大径となるように形成される。
【0027】
ソレノイド支持体6とばね座板23との間には,弁体24を弁座10への着座方向に付勢するコイルばね28が縮設され,弁体24の弁座10への着座時,固定コア16及びプランジャ21間には,弁体24の開弁ストロークに対応する一定の間隙gが設けられる。
【0028】
上記コイルばね28は,円錐状コイル部29と,この円錐状コイル部29の小径端29bからそれと同径で延出する円筒状コイル部30とを有する単一ばねであり,その円錐状コイル部29は,その大径端29aを前記ばね位置決め孔20の内周面に嵌合させてヨーク15の下端板15bに支承させるように配置され,円筒状コイル部30は,プランジャ21の外周に同心状に配置されると共に,その下端をばね座板23に当接させる。
【0029】
前述のように,ばね座板23の第1小径軸部21aに対する傾動を可能にすべく,ばね座板23の中心孔を第1小径軸部21aより大径にすると共に,ばね座板23の板厚を第1小径軸部21aの長さより薄くしているため,ばね座板23が弁体24の背面に密着した状態では,ばね座板23と第1環状段部21a′との間に間隙s1が生じる。この間隙s1に,ばね座板23に支持されるコイルばね28の下端部28a,即ち可動端部28aが挟まらないようにするため,その可動端部28aは,ばね線材の数回の密着巻きにより,上記間隙s1より大なる軸方向厚みs2を有する厚肉端部28aに形成される。これにより,コイルばね28を常に適正に作動させることができる。しかも,そのコイルばね28の可動端の挟まり防止のための特別なカバーは不要となる。
【0030】
このように円錐状コイル部29及び円筒状コイル部30よりなるコイルばね28は,線径を均一にした一本の線材よりなるもので,円筒状コイル部30のばね定数は,円錐状コイル部29のそれより大きく設定される。また低ばね定数の円錐状コイル部29は,弁体24の開弁途中で全体が一平面状に圧縮変形してヨーク15の下端板に密着するようになっている。
【0031】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0032】
エンジンの暖機運転時には,ソレノイド14への通電により,プランジャ21は,コイルばね28の付勢力に抗して固定コア16に吸着され,弁体24を弁座10から離座させた全開状態とし,これによりバイパス3の上流部3a及び下流部3b間を導通させるので,このバイパス3を通してファーストアイドリング用の吸気をエンジンに供給することができる。また暖機運転完了後には,ソレノイド14への通電遮断により,プランジャ21は,コイルばね28の付勢力をもって弁体24を弁座10に着座させる全閉状態(図2参照)として,バイパス3の上流部3a及び下流部3b間を遮断するので,アイドル開度のスロットル弁2周りを通して通常のアイドリング用の吸気をエンジンに供給することができる。
【0033】
ところで,各部の加工誤差や組立誤差を含む製作誤差により,弁体24及び弁座10の対向面の平行精度に狂いがあると,弁体24は,その全閉時,弁座10に傾いて着座することになって,閉弁不良を生じることになるが,本発明の電磁弁Vにおいては,弁体24が,プランジャ21の第2小径軸部21bに気密に嵌合,固着されるボス部24aと,このボス部24aを囲繞して弁座10に着座する着座部24cと,これらボス部24a及び着座部24cを相互に傾動可能に接続する可撓部24bとで構成され,この弁体24の背面に密着してコイルばね28の可動端を支持するばね座板23は,プランジャ21の第1小径軸部21a上で傾動可能であるので,弁体24及び弁座10の対向面の平行精度に狂いがある場合には,図3に示すように,ボス部24a及び着座部24c間の相互傾動と,ばね座板23及び第1小径軸部21a間の相互傾動とにより,コイルばね28の荷重をもって着座部24cを弁座10に確実に着座させることができ,良好な閉弁状態を確保することができる。
【0034】
しかも,弁体24のボス部24aは,プランジャ21の第2小径軸部21bに気密に嵌合されると共に,保持部材25及び第2環状段部21b′間に気密に挟持されるので,ボス部24aの第2小径軸部21bへの単なる嵌合,固着により弁体24及びプランジャ21間のシールを達成することができ,その間に特別なシール部材を設ける必要がなく,構造の簡素化に寄与し得る。
【0035】
また,弁体24の可撓部24bは,弁体24の端面にボス部24aを囲繞する環状溝26を形成することにより,その反対側に残存する弁体24の薄肉部で構成されるので,ボス部24a,可撓部24b及び着座部24cよりなる弁体24を単一の素材をもって構成することができ,これを安価に得ることができる。
【0036】
また,保持部材25は,その外径D2が環状の可撓部24bの中心径D1より大となるように形成されるので,弁体24の全開時,着座部24cの自重,振動,圧力等による姿勢変化を保持部材25により防ぐことができ,したがって次の閉弁時の姿勢をも安定させることができる。
【0037】
一方,コイルばね28は,低ばね定数の円錐状コイル部29の小径端29bに,その小径端29bと同径で高ばね定数の円筒状コイル部30とよりなる単一のコイルばねで構成されるので,そのばね荷重特性は,弁体24の開弁初期では円錐状コイル部29の低ばね定数に依存し,弁体24の中間開度以降では円筒状コイル部30の高ばね定数に依存するという,二本の折れ線荷重特性となる。
【0038】
したがって,弁体24の開弁に伴なうコイルばね28の荷重の増加は,弁体24の開弁初期では緩やかであり,これにより各部の製作誤差に影響させることなく,コイルばね28の弁体24に対する比較的小さい閉弁荷重を安定させることができるので,ソレノイド14の通電時の弁体24の開弁応答性を常に良好にすることができる。また弁体24の所定の中間開度位置では,円錐状コイル部29が一平面状に圧縮変形されてヨーク15の下端板に密着し,それ以降は,円錐状コイル部29は非作動状態となる一方,円筒状コイル部30のみが作動して,コイルばね28の弁体24に対する閉弁荷重を急増させることができるので,弁体24の全開状態におけるソレノイド14の通電遮断時の弁体24の閉弁応答性を良好にすることができる。
【0039】
しかも,弁ばね28の円錐状コイル部29は,その大径端29aがばね座板としてのヨーク15下端板15bに支持されることで,コイルばね28の伸縮姿勢を安定させ,座屈を防ぐことができるので,常に適正なばね荷重特性を発揮することができる。
【0040】
さらに,円錐状コイル部29は,ソレノイド支持体6にボビン13及びプランジャ21と同心状に形成したばね位置決め孔20に嵌合され,また円筒状コイル部30はプランジャ21の外周に同心状に配置されることで,コイルばね28が常にプランジャ21と同心状に保持され,その伸縮中,プランジャ21にサイドスラストを与えることがないから,プランジャ21の摺動はスムーズとなり,弁体24の開閉応答性の更なる向上に寄与し得る。
【0041】
また,ソレノイド支持体6に埋設されるヨーク15の下端板15bは,円錐状コイル部29の大径端29aを支持するばね座板として,ソレノイド支持体6のばね位置決め孔20に露出するように配置されるので,ヨーク15の下端板15bが円錐状コイル部29のためのばね座板を兼ねることになり,構造の簡素化に寄与し得る。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,弁体24は,環状溝26を弁座側に向けて配置することもできる。また弁体24は,ボス部24a,可撓部24b及び着座部24cの各機能に対応した異なる素材を接続することで構成することもできる。また保持部材25は,第3小径軸部21cに螺着することもできる。またコイルばね28を実施形態とは上下逆に反転させて,円錐状コイル部29を弁体24側,円筒状コイル部30をヨーク15側に配置することもできる。
【符号の説明】
【0043】
V・・・・電磁弁
5・・・・弁ボディ
6・・・・ソレノイド支持体
10・・・弁座
14・・・ソレノイド
21・・・プランジャ
21a〜21c・・・第1〜第3小径軸部
21a′〜21c′・・・第1〜第3環状段部
23・・・ばね座板
24・・・弁体
24a・・ボス部
24b・・可撓部
24c・・着座部
25・・・保持部材
28・・・コイルばね
28a・・コイルばねの可動端部(厚肉端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座(10)を有する弁ボディ(5)と,この弁ボディ(5)に接合されるソレノイド支持体(6)と,前記弁座(10)に着座する弾性材製の弁体(24)と,この弁体(24)を支持して前記ソレノイド支持体(6)に摺動自在に支持されるプランジャ(21)と,このプランジャ(21)を囲繞しながら前記弁体(24)を前記弁座(10)との着座方向に付勢するコイルばね(28)と,前記ソレノイド支持体(6)に取り付けられ,通電時,前記コイルばね(28)の付勢力に抗して前記プランジャ(21)を前記弁体(24)の全開側に作動するソレノイド(14)とよりなる電磁弁において,
前記プランジャ(21)の前記弁座(10)側の端部に第1環状段部(21a′)を介して連なる第1小径軸部(21a)を,またこの第1小径軸部(21a)の端部に第2環状段部(21b′)を介して連なる第2小径軸部(21b)をそれぞれ連設し,前記弁体(24)を,前記第2小径軸部(21b)に気密に嵌合,固着されるボス部(24a)と,このボス部(24a)を囲繞して前記弁座(10)に着座する着座部(24c)と,これらボス部(24a)及び着座部(24c)を相互に傾動可能に接続する可撓部(24b)とで構成し,前記第1小径軸部(21a)には,前記ボス部(24a)及び着座部(24c)に当接して前記コイルばね(28)の可動端部を支持するばね座板(23)を傾動可能に遊嵌したことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1記載の電磁弁において,
前記弁体(24)の端面に前記ボス部(24a)を囲繞する環状溝(26)を形成し,この環状溝(26)と反対側の該弁体(24)の薄肉部で前記環状の可撓部(24b)を構成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電磁弁において,
前記第2小径軸部(21b)の端部に第3環状段部(21c′)を介して第3小径軸部(21c)を連設し,この第3小径軸部(21c)に固着される保持部材(25)と前記第2環状段部(21b′)とで前記ボス部(24a)を気密に挟持し,この保持部材(25)を,その外径(D2)が前記環状の可撓部(24b)の中心径(D1)より大となるように形成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
請求項1記載の電磁弁において,
前記コイルばね(28)の,前記ばね座板(23)に当接する可動端部(28a)を,ばね線材の数回の密着巻きにより,前記第1環状段部(21a′)及び前記ばね座板(23)間に生じる間隙(S1)より大なる軸方向厚み(S2)を有する厚肉端部(28a)に形成したことを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21562(P2012−21562A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159000(P2010−159000)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】