説明

電磁往復動流体装置

【課題】高効率な流体吐出が可能な電磁往復動流体装置を提供すること。
【解決手段】往復動部材と、往復動部材を直線状経路に沿って往復駆動する駆動部とを有し、往復動部材の往復動により流体を吸引排出する電磁往復動流体装置において、駆動部は、往復動部材に固定された磁性体からなるアーマチャ108と、アーマチャの直線状経路を挟んで相互に対向する一対の磁極部112を有し、磁極部の略矩形状の磁極面には切欠き部が設けられているステータコア110と、ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイル120と、アーマチャを引込まれる方向とは反対の方向に付勢する弾性体であるコイルバネ124と、を備えている。磁極面112に切欠き部を設けることで、磁極面に発生する磁束分布と磁束密度を変えてアーマチャを引込む磁気吸引力を制御し、効率よくアーマチャを引込むことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアに間歇的又は交番的に磁界を発生させることで往復動部材を往復動させるようにしたポンプやコンプレッサなどの電磁往復動流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁的作用を利用する電磁往復動流体装置は、一般に、ピストンやダイアフラムに連結され、鉄などの強磁性体やフェライト磁石などの永久磁石等からなる磁性体部材を備える往復動部材と、該往復動部材の磁性体部材に対して磁気的に作用する一対の対向する磁極面を備えるステータコアとを備える。ステータコアにはソレノイドコイルが巻回されており、該ソレノイドコイルに間歇的に又は交番的に電流を流すことで磁極面間に間歇的又は交番的な磁束を発生させ、該磁束により磁性体を吸引して磁性体部材を磁極面間に引込んだり、磁極面間から離れるようにしたりするように動かして往復駆動させ、それによって磁性体部材を備える往復動部材に連結されたピストンやダイアフラムを往復駆動する。ピストンやダイアフラムが往復運動することにより流体の吸引・排出が繰り返されて流体が搬送される(特許文献1乃至3)。
【0003】
ステータコアが形成する磁束によって往復動部材が引込まれる力は、磁極面と磁性体部材の位置関係によって大きく変化する。すなわち、磁極面と磁性体部材が離れているときには磁束が往復動部材にあまり強く作用しないので大きな磁気吸引力は発生しないが、磁性体部材が磁極面間に近づくにつれて徐々に磁気吸引力が大きくなる。しかし、磁性体部材が磁極面間に大きく進入すると、磁性体部材に対して働く力の方向が磁極面に対して斜めの方向から垂直の方向に向かって変化するため磁気吸引力が再び小さくなる。この磁気吸引力は、磁性体部材と磁極面の位置関係に大きく影響を受けるので、磁性体部材を引込む効率、すなわち流体装置の効率を考えるとき、磁性体部材と磁極面の関係は極めて重要なものとなる。
【0004】
このような電磁往復動流体装置に用いられるステータコアは、通常、コア内での渦電流を低減するために複数の板状部材を重ね合わせて形成されている。通常これら複数の板状部材は同一形状のものが使用されており、従って、磁極部は四角柱状となっているのが一般的である。つまり、磁極部の先端の磁極面の面形状は対向するもう一方の磁極面から見て矩形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−132647
【特許文献2】特開2006−274826
【特許文献3】特開2010−230014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体装置はさらなる高効率化又は低消費電力化が望まれているが、上記の矩形状の磁極面形状は、磁性体部材の磁気吸引による往復動部材の効率的な駆動という面から見ると、必ずしも最適な形状ではないことが分かった。そこで、本発明は、より効率的に磁性体部材を引込むことができるようなステータコアを備えており、それによって効率を向上させることができる電磁往復動流体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
往復動部材と、該往復動部材を直線状経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記駆動部は、
前記往復動部材に固定された磁性体からなるアーマチャと、
該アーマチャを磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むためのステータコアであって、前記直線状経路を挟んで相互に対向するように設定される一対の磁極部を有し、該一対の磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する磁極面であって、該磁極面間に磁束路を形成する一対の磁極面を有しており、前記一対の磁極面の一方の磁極面の側から見た他方の磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直な2つの端縁を有する矩形状となっており、前記磁極面に切欠き部が設けられているステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、
前記アーマチャを前記ステータコアによって引込まれる方向とは反対の方向に付勢する弾性体と、を備え、
前記ソレノイドコイルを間歇的に励磁することにより、前記弾性体の付勢力に抗して前記アーマチャを間歇的に引込駆動する電磁往復動流体装置を提供する。
【0008】
この電磁往復動流体装置においては、磁束路を形成する磁極面に切欠き部が設けられていることで、磁極面の面積が小さくなって磁束密度を全体として高くすることができるとともに、磁束の分布を変化させることができる。このように磁束密度及び磁束分布を制御することで、アーマチャに対して効率的に磁気吸引力を働かせ、結果として往復動部材の駆動量を大きくするなどの効果により電磁往復動流体装置の効率を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、前記切欠き部が、前記直線状経路の方向での前記磁極面の中心位置よりも、前記2つの端縁のうちの前記アーマチャが引込まれてくる側の端縁側に設けられているようにすることができる。
【0010】
このような位置に切欠き部が形成されていることで、引き込み初期においてはアーマチャに磁気吸引力をもたらす磁束を減らして、アーマチャが所定量以上引込まれているときにその分の磁束がアーマチャに対して作用するように、磁束を分布させることができる。このような磁束の分布とすることで、アーマチャを引き込むのに引き込み初期に比べてより大きな磁気吸引力を要するアーマチャが所定量以上引込まれた状態において、より多くの磁束が作用してより大きな磁気吸引力が発生するようになる。つまり、アーマチャに対して効率的に磁気吸引力を働かせることができ、往復動部材の駆動量が大きくなるなどの効果が得られるので、結果として電磁往復動流体装置の効率を向上させることが可能となる。
【0011】
具体的には、前記切欠き部が、矩形状の前記磁極面の4つの頂点の位置にそれぞれ設けられており、各切欠き部の形状が矩形状であるようにすることができる。
【0012】
アーマチャが引き込まれてくる側の磁極面の縁端に切欠き部が設けられることになるので、上述した効率の向上がより顕著になる。また、4つの頂点、すなわち四隅に切欠き部があることで、例えば磁極部の切欠き部が形成されている部分にソレノイドコイルを卷回する場合には、切欠き部の空間内にもコイルを巻くことができ、該空間を減らして全体としてコイルを磁極部に密着させることができる。これにより、コイルによる磁束の形成の効率が向上する。さらには、例えばステータコアが複数の金属板の積層からなっている場合には、該複数の金属板のうちの何枚かの磁極面に当たる部分を切欠き部の分だけその幅を小さくしておくだけで、矩形状の切欠き部は形成されるので、製造を容易にすることもできる。
【0013】
本発明はまた、
往復動部材と、該往復動部材を直線状経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記駆動部は、
前記往復動部材に固定された永久磁石と、
該永久磁石を、磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むためのステータコアであって、前記直線状経路を挟んで相互に対向するように設定される一対の磁極部を有し、該一対の磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する一対の磁極面を有しており、前記一対の磁極面の一方の磁極面の側から見た他方の磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直な2つの端縁を有する矩形状となっており、前記磁極面に切欠き部が設けられているステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、を備え、
前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより、前記往復動部材を交番的に引込駆動する電磁往復動流体装置を提供する。
【0014】
具体的には、前記往復動部材は、前記直線状経路に沿って相互に平行に延びる第1側面及び第2側面を有する板状の部材であり、
前記永久磁石は、前記直線状経路の方向で所定間隔離して前記往復動部材に固定された第1及び第2の永久磁石からなり、
前記往復動部材は、前記第1側面及び第2側面が、それぞれ、前記一対の磁極面の一方に面するようにされ、
前記第1の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にN極が位置し前記第2側面側にS極が位置するように配置され、前記第2の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にS極が位置し前記第2側面側にN極が位置するように配置され、且つ前記第1及び第2の永久磁石は、前記ステータコアが励磁されていない状態で、該第1及び第2の永久磁石の間に前記一対の磁極面の間の前記磁束路が位置するように配置されており、
前記引込駆動は、前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより前記一対の磁極面の間の前記磁束路に交番磁界を生じさせ、前記第1及び第2の永久磁石を前記磁束路内に交互に引込み、前記往復動部材を往復駆動するようになされるようにすることができる。
【0015】
この電磁往復動流体装置においても、磁束路を形成する磁極面に切欠き部が設けられていることで、磁極面の面積が小さくなって磁束密度を全体として高くすることができるとともに、磁束の分布を変化させることができる。このように磁束密度及び磁束分布を制御することで、往復動部材に配置された永久磁石に対して効率的に磁気吸引力を働かせ、結果として往復動部材の駆動量を大きくするなどの効果により電磁往復動流体装置の効率を向上させることができる。
【0016】
さらに具体的には、前記切欠き部が、前記2つの端縁のうちの少なくとも一方の端縁の両端に設けられ、各切欠き部の形状が矩形状であることもできる。
【0017】
本発明はさらにまた、
往復動部材と、該往復動部材を直線状の経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記往復動部材は、前記直線状経路に沿って相互に平行に延びる第1側面及び第2側面を有する板状の部材であり、
前記駆動部は、
前記直線状経路の方向で所定間隔離して前記往復動部材に固定された第1及び第2の永久磁石と、
該第1及び第2の永久磁石を磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むための、前記往復動部材の前記直線状経路の両側に相互に対向するように設定される一対のE型コアからなるステータコアであって、
前記一対のE型コアは、それぞれ、前記往復動部材の前記直線状経路の方向に延びる連結部と、該連結部から前記直線状経路に向けて延びる中央磁極部及び該中央磁極部の両側の第1及び第2側部磁極部を有し、一方のE型コアの中央磁極部、第1及び第2側部磁極部は前記直線状経路を挟んで他方のE型コアの中央磁極部、第1及び第2側部磁極部とそれぞれ対向するようにされ、
前記一対のE型コアの前記中央磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する中央磁極面であって、該中央磁極面間に中央磁束路を形成する中央磁極面を有し、
前記一対のE型コアの前記第1側部磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する第1側部磁極面であって、該第1側部磁極面間に第1側部磁束路を形成する第1側部磁極面を有し、
前記一対のE型コアの前記第2側部磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する第2側部磁極面であって、該第2側部磁極面間に第2側部磁束路を形成する第2側部磁極面を有し、
一対の前記中央磁極面の対向する一方の中央磁極面から見た他方の中央磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの中央磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記中央磁極面に切欠き部が設けられている、ステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、を有し、
前記往復動部材は、前記第1側面及び第2側面が、それぞれ、前記一対の磁極面の一方に面するようにされ、
前記ステータコアの一対の前記第1側部磁極面の対向する一方の第1側部磁極面から見た他方の第1側部磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの第1側部磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記第1側部磁極面に切欠き部が設けられ、
前記ステータコアの一対の前記第2側部磁極面の対向する一方の第2側部磁極面から見た他方の第2側部磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの第2側部磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記第2側部磁極面に切欠き部が設けられている、ステータコアと、
前記第1の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にN極が位置し前記第2側面側にS極が位置するように配置され、前記第2の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にS極が位置し前記第2側面側にN極が位置するように配置され、且つ前記ステータコアが励磁されていない状態で、前記第1の永久磁石は前記中央磁束路と前記第1側部磁束路の間に位置し、前記第2の永久磁石は前記中央磁束路と前記第2側部磁束路の間に位置するように配置され、
前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより、前記往復動部材を往復駆動するようにしたことを特徴とする、電磁往復動流体装置を提供する。
【0018】
具体的には、前記中央磁極面における前記切欠き部が、前記2つの中央磁極面端縁のうちの少なくとも一方の両端に設けられ、
前記第1側部磁極部における前記切欠き部が、前記2つの第1側部磁極面端縁のうちの前記中央磁極部に近い側の端縁の両端に設けられ、
前記第2側部磁極部における前記切欠き部が、前記2つの第2側部磁極面端縁のうちの前記中央磁極部に近い側の端縁の両端に設けられており、
各切欠き部の形状が矩形状であるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るピストン型の電磁往復動流体装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るピストン型の電磁往復動流体装置の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るピストン型の電磁往復動流体装置に供給される電流を示す図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った駆動部の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における磁極面形状を示す図である。
【図6】対向する磁極面の一方の側から見たもう一方の磁極面のさまざまな磁極面形状を例示的に示す図である。
【図7】アーマチャの位置とアーマチャに働く推力の関係を示すグラフである。
【図8】従来の電磁往復動流体装置と第1の実施形態に係る電磁往復動流体装置の流量特性を比較しているグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るE型コアを有するダイアフラム型の電磁往復動流体装置の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るE型コアを有するダイアフラム型の電磁往復動流体装置の斜視図である。
【図11】E型コアの斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るC型コアを有するダイアフラム型の電磁往復動流体装置の断面図である。
【図13】C型コアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び2に示した本発明の第1の実施形態に係るピストン型の電磁往復動流体装置100は、外枠本体102とその内部に設けられたシリンダ104とピストンとして機能する往復動部材106とを備えている。シリンダ104に固定されているステータコア110には磁束を発生させるためのソレノイドコイル120が巻回されており、ソレノイドコイル120に供給される電流は、図3に示すような、電磁流体往復動装置100に供給される交流電流をダイオード122によって単相半波整流した半波電流である。このような半波電流は、電流が流れる状態と電流が流れない状態が交互に繰り返されるため、ソレノイドコイル120には間歇的に電流が供給され、それによってステータコア110の磁極面112には間歇的に磁束が発生する。往復動部材106には鉄系の磁性体からなるアーマチャ108が設けられており、シリンダ104に固定されたステータコア110で発生される磁束による磁気吸引力によって矢印130の方向に引込まれるようになっている。シリンダ104と往復動部材106の間には、往復動部材106を矢印132の方向に押し戻すように付勢するための弾性体であるコイルバネ124が配置されている。
【0021】
ソレノイドコイル120に電流が供給されてステータコア110に磁束が発生すると、往復動部材のアーマチャ108が磁束に磁気吸引されて矢印130の方向に引込まれる。このとき、図1に示すように吸気バルブ140が開放されて吸気ポート142から流体を取り込んでシリンダ104と往復動部材106の間に流体を吸引する。次いで、ソレノイドコイル120への電流が流れない状態になると、ステータコア110の磁束が消えて磁気吸引力が無くなり、往復動部材106は圧縮された状態のコイルバネ124によって付勢されて矢印132の方向に押し戻される。このとき、図2に示すように吸気バルブ140が閉鎖されるとともに排出バルブ144が開放されて、吸引した流体が排出バルブ144を通して排出ポート146から排出されるようになる。このようなサイクルが、供給される電流の周波数と同じ周期で繰り返されることで、当該電磁流体往復動装置100は流体を搬送することができる。なお、供給される電流の周波数は、通常50Hz又は60Hzであるが、これら以外の周波数であってもよい。
【0022】
次に図4を参照してステータコア110の形状について説明すると、本実施形態におけるステータコア110は、アーマチャ108を間に挟んで対向してアーマチャ108との間に間隙を有するように設定される磁極面112をそれぞれ備える一対の磁極部116と、この磁極部116を相互に連結する四角形の枠型の連結部118とからなっている。2つの磁極部116にはそれぞれソレノイドコイル120が巻回されており、このソレノイドコイル120に電流を流すことで、2つの磁極面112の間に磁束路を形成するようになっている。
【0023】
対向する一対の磁極面112のうちの一方の磁極面の側から見た他方の磁極面の面形状は、図5に示すように、外形が略長方形でその四隅が矩形状の切欠き部119によって切欠かれた形状である。
【0024】
このように磁極面112の一部に切欠き部119を設けることによって、磁極面112の形状を変化させ、それによって磁束分布を変化させることができる。磁束は磁極面112から発生するので、磁束の分布は磁極面112の形状に合わせて変化する。また磁極面112の面積が小さくなることで磁極面全体の磁束密度は高くなる。
【0025】
本実施形態におけるステータコア110の各部の寸法を参考として示すと、対向するもう一方の磁極面から見たときの、磁極面112の略長方形の外形の縦が22mm、横が12mmで、切欠き部119が縦2mm、横2mmの正方形となっており、アーマチャ108が直径32mmの円柱となっている。なお、本実施形態においては、アーマチャ108が円柱状であるため、その形状に合わせるように磁極面112は円弧状の凹面となっているが、例えばアーマチャ108を四角柱状の形状とし磁極面112をそれに合わせて平らな形状とするなど、他の形状の組合せとしてもよい。
【0026】
切欠き部がない従来の磁極面を有するステータコアによって発生するアーマチャを引込む力、すなわち推力と、図5に示すように切欠き部119を有する本実施形態のステータコア110によって発生する推力の計算結果を比較すると、図7に示すようになる。ここで、アーマチャに作用して磁気吸引力を発生させる磁束は、図5に示すような、アーマチャと磁束面が重なっている部分とアーマチャに近接している部分とを合わせた磁極面の領域150,151,152において発生している磁束である。切欠き部の大きさが2mm×2mmの本実施形態の場合の結果について見ていくと、アーマチャ108の移動距離が0mmのとき、すなわち図5−Aに示しているようにアーマチャ108の右端と磁極面112の左端が左右方向で一致しているときには、本実施形態のアーマチャ108に働く推力は従来のものに比べて小さくなっているが、移動距離が3mmを超えると(図5−B)従来のものに比べて大きくなる。このように推力が変化するのは、切欠き部を設けたことで、磁極面の面積が小さくなって磁束密度が全体に高くなり、また磁極面の形状が変化して磁極面から発生する磁束の分布が変化したことによる。アーマチャ108の移動距離が0mmのとき(図5−A)には、アーマチャ108に作用して磁気吸引力をもたらす磁束のほとんどが、アーマチャ側の端縁付近の磁極面の領域150、すなわち切欠き部119がある領域に発生している磁束である。その領域の磁束密度も上述のように従来のものに比べて高くはなっているが、それにも増して切欠き部を設けたことで領域150の面積が小さくなって磁束が減ったことの影響の方が大きくなっており、結果としてアーマチャに作用して磁気吸引力を発生させる磁束の量が従来のものに比べて小さくなり、従って推力も小さくなっている。アーマチャの移動距離がさらに大きくなると、次第にアーマチャに作用して磁気吸引力を発生させる磁束が発生する磁極面の領域151,152に切欠き部のない領域が含まれるようになっていく。アーマチャの先端が切欠き部のある領域を超えて進むと(図5−B)、切欠き部による面積の減少によるアーマチャに作用する磁束の減少よりも磁束密度が高くなっていることによるアーマチャに作用する磁束の増加の影響の方が大きくなるため、切欠き部がない従来のものに比べて大きな推力を発生させることができるようになる。これ以降、アーマチャ108の移動距離が大きくなっていっても(図5−C)本実施形態の方が推力が大きい状態が続く。このように、磁極面112に切欠き部119を設けて磁極面形状を変えることで、アーマチャ108の磁極面112に対する位置とアーマチャ108に働く推力との関係を変えることができる。アーマチャの位置と推力の関係は、切欠き部の形状、大きさ等によって変化し、例えば本実施形態の切欠き部に代えて1mm×1mmの切欠き部を設けた場合には、図7に示すような関係となり、本実施形態とは異なる特性を得ることができる。
【0027】
図7に示しているように推力を変化させることによって、電磁往復動流体装置100の吐出流量は図8に示すように変化する。排出ポート146側での圧力により効果は異なっており、12kPaのときに約7%、14.7kPaで約9%、そして20kPaでは約35%も吐出流量が大きくなっていることが実験によって確認された。図8に示す実験結果は、供給する交流電源の周波数が50Hzのときの結果であるが、60Hzとしたときには20kPaの圧力時に約40%も流量が大きくなるという結果も得られている。
【0028】
また、切欠き部119の大きさを縦1mm、横1mmに変更した実施形態においては、供給電源の周波数が60Hzで排出側の圧力が20kPaのときに流量が約10%向上した。
【0029】
本実施形態では、切欠き部119を図5に示すように磁極面の四隅に矩形状で設けたが、図6に例示的に示すように、三角形や半円などの種々の形状の切欠き部を端縁の中央部や、磁極面の中央部などの様々な場所に設けることもできる。矩形状の磁極面に種々の形状の切欠き部を設けることで、結果として磁極面形状が三角形や円形などの外形が一般には矩形状とは言えないような形状となる場合も考えられるが、本発明における矩形状の磁極面に切欠き部を設けた磁極面形状には、このような形状も含まれるものとする。どのような形状と大きさの切欠き部119をどのような場所に設けて磁極面112の面形状をどのようにすると最も効率が良くなるかは、磁極面112の大きさやソレノイドコイル120に流す電流の大きさ、アーマチャ108の大きさや往復動部材106のストローク量、さらには排出側の圧力など、他の様々な要因によって変化するものである。これらに限定するものではないが、概して、切欠き部119はアーマチャ108が引込まれてくる側に比較的に近い位置に設けた方が大きな効果が得られる。若しくは、アーマチャの位置と推力の関係を見たときの、推力が最大値となる位置よりも手前に設けた方が大きな効果が得られる。また、切欠き部は磁極面から奥行き方向に向かって磁極部の全体に設けてもよいし、磁極部の途中まで設けるようにしてもよい。
【0030】
なお、切欠き部119を大きくして磁極面112の面積を小さくしすぎると磁気飽和により磁束量が小さくなって、効率を低下させることになってしまうため、ステータコア110の大きさや供給電流などの他の設計要因との兼ね合いで適切な切欠きの大きさとする必要がある。
【0031】
本発明の第2の実施形態は、図9−10に示すように、2つのダイアフラム250,251が両端に固定された往復動部材206を往復動させることで2つのダイアフラム250,251を振動させ流体を搬送する、ダイアフラム型の電磁往復動流体装置200である。第1及び第2のダイアフラム250,251はそれぞれ、装置筐体202との間に第1及び第2のポンプ室252,253を形成している。ダイアフラム250,251は、円盤状のダイアフラム固定部材254により往復動部材206に固定されている。往復動部材206には、第1及び第2の永久磁石208a、208bが、極性が互いに逆向きになるように配置されている。すなわち、第1の永久磁石208aは、往復動部材208の図9で見て上側の第1側面260にN極が位置し、下側の第2側面261にS極が位置するように配置されており、第2の永久磁石208bは、第1側面260にS極が位置し、第2側面261にN極が位置するように配置されている。往復動部材206を挟んで第1側面260側と第2側面261側に面するように、一対のE型コア210からなるステータコアが配置されている。第1及び第2のE型コア210a、210bは、中央磁極部216aとそれを挟んだ両側の第1及び第2側部磁極部216b、216cをそれぞれ備えており、各E型コアの中央磁極部216aの先端の中央磁極面212a、第1側部磁極部216bの先端の第1側部磁極面212b、及び第2側部磁極部216cの先端の第2側部磁極面212cが互いに対向するように配置されている。各中央磁極部216aには、各磁極面間に磁束を発生させるためのソレノイドコイル220が設置されている。ソレノイドコイル220は、ソレノイドコイル220に電流が印加されると一対のE型コア210の互いに対向する各磁極面が相互に異なる極性となるように巻回されている。
【0032】
各ソレノイドコイル220には交流電流が印加される。交流電流が印加されると、一対のE型コア210の各磁極面の極性は、交流電流の周波数に合わせて交番的に入れ替わる。互いに対向する各磁極面は相互に異なる極性となるので、各磁極面の極性が交番的に入れ替わることで各磁極面間に発生する磁束の方向も交番的に入れ替わる。例えば、第1のE型コア210aの中央磁極面がN極で第1及び第2側部磁極面がS極となっているとき、第2のE型コア210bの中央磁極部はS極で第1及び第2側部磁極面はN極となる。このとき、第1の永久磁石208aは第1側部磁極部216bの方へと吸引され、第2の永久磁石208bは中央磁極部216aの方へと吸引される。すなわち往復動部材206は左側へと引込まれる。その後、電流の方向が入れ替わると、第1のE型コア210aの中央磁極面がS極で第1及び第2側部磁極面がN極となり、第2のE型コア210bの中央磁極部はN極で第1及び第2側部磁極面はS極となる。そうすると今度は、第1の永久磁石208aは中央磁極部の方へと吸引され、第2の永久磁石208bは第2側部磁極部210cの方へと吸引される。すなわち往復動部材206は右側へと引込まれる。このように各磁極面間に交番的な磁界を発生させることで、往復動部材206を左右に交流電流の周波数で往復する。
【0033】
往復動部材206が左側に引込まれると、第1のポンプ室252が縮小されると共に第1の排出バルブ244aが開放されて第1のポンプ室252内の流体が第1の排出ポート246aから排出される。その一方で第2のポンプ室253が拡張されると共に第2の吸気バルブ240bが開放されて第2の吸気ポート242bから流体を第2のポンプ室253に吸引する。次に往復動部材206が右側に引込まれると、先程とは逆に第1のポンプ室252に流体が吸引され、第2のポンプ室253の流体が排出される。当該ダイアフラム式の電磁往復動流体装置200は、このような動作を繰り返すことで吸引ポート242a、242b側の流体を排出ポート246a、246b側へと搬送するようになっている。
【0034】
本実施形態における往復動部材206は、ほぼ平らな第1及び第2側面260,261を有する板状であるので、図11に示すようにそれに面するE型コア210の各磁極面212a、212b、212cも平らになっている。
【0035】
また、各磁極部には各磁極面から連結部218に至るまでの複数の切欠き部219が設けられている。中央磁極部216aには四隅に切欠き部219が設けられており、第1及び第2側部磁極部216b、216cには中央磁極部216a側の2つの角部にそれぞれ切欠き部219が設けられている。なお、本実施形態では、切欠き部219が磁極面から連結部218に至るまで設けられているが、磁極面から連結部218に至る途中まで設けるようにしてもよい。
【0036】
このように磁極面の一部に切欠き部219を設けることによって、磁極面の形状を変化させ、それによって磁束の分布を変化させることができる。磁束は磁極面から発生するので、磁束の分布は磁極面の形状に合わせて変化し、また磁極面の面積が小さくなるので磁極面全体の磁束密度は高くなる。
【0037】
本実施形態におけるE型コア210の各部の寸法を参考として示すと、E型コア210の厚さが25mm、中央磁極面212aの横幅が20mm、第1及び第2側部磁極面212b、212cの横幅が9mmであり、切欠き部219は縦1.5mm横1.5mmの正方形となっている。
【0038】
図11に示すように、各磁極面に切欠き部219を設けて各磁極面の形状を変えることで、第1の実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。すなわち、往復動部材206に設けられた第1及び第2の永久磁石208a、208bが磁気吸引力により引込まれるときの、永久磁石の磁極面に対する位置と永久磁石に働く推力との関係を、第1実施形態における図7と同じように変化させることで、往復動部材206をより効率的に駆動することが可能となり、それによって電磁往復動流体装置200を効率的に稼働させることができるようになる。切欠き部がない従来のダイアフラム型の電磁往復動流体装置において吐出流量が排出側圧力20kPaのときに8.9L/minであったものが、本実施形態のように切欠き部219を設けることで、10.2L/minへと大きくなった。つまり、切欠き部219を設けることで15%も吐出流量が向上したことになる。
【0039】
本発明の第3の実施形態は、図12に示すように、ステータコアとして第2の実施形態における一対のE型コア210に代えて1つのC型コア310を備えるダイアフラム型の電磁往復動流体装置300である。図13に示す該C型コア310は、対向する一対の磁極面312を有し、この磁極面312の間に第1及び第2の永久磁石を備える往復動部材306が配置されている。略矩形状の磁極面312には、その四隅に矩形状の切欠き部319が設けられており、磁極面312の形状を変化させると共に磁極面312の面積を減少させている。このように磁極面312に切欠き部319があることで、第1及び第2の実施形態と同様に、第1及び第2の永久磁石を磁極面間の磁束路内に吸引する効率が向上し、それによって電磁往復動流体装置300の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0040】
100 ピストン型の電磁往復動流体装置、
102 外枠本体、 104 シリンダ、
106 往復動部材、 108 アーマチャ、
110 ステータコア、 112 磁極面、
116 磁極部、 118 連結部、
120 ソレノイドコイル、 122 ダイオード、
124 コイルバネ、 130,132 矢印、
140 吸気バルブ、 142 吸気ポート、
144 排出バルブ、 146 排出ポート、
150,151,152 磁極面の領域
200 ダイアフラム型の電磁往復動流体装置、
202 装置筐体、 206 往復動部材、
208a 第1の永久磁石、 208b 第2の永久磁石、
210 E型コア、 210a 第1のE型コア、
210b 第2のE型コア、 212a 中央磁極面、
212b 第1側部磁極面、 212c 第2側部磁極面、
216a 中央磁極部、 216b 第1側部磁極部、
216c 第2側部磁極部、 218 連結部、
219 切欠き部、 220 ソレノイドコイル、
240a 第1の吸気バルブ、 240b 第2の吸気バルブ、
242a 第1の吸気ポート、 242b 第2の吸気ポート、
244a 第1の排出バルブ、 244b 第2の排出バルブ、
246a 第1の排出ポート、 246b 第2の排出ポート、
250 第1のダイアフラム、 251 第2のダイアフラム、
252 第1のポンプ室、 253 第2のポンプ室、
254 ダイアフラム固定部材、 260 第1側面、
261 第2側面、
300 ダイアフラム型の電磁往復動流体装置、
306 往復動部材、 310 C型コア
312 磁極面、 319 切欠き部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動部材と、該往復動部材を直線状経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記駆動部は、
前記往復動部材に固定された磁性体からなるアーマチャと、
該アーマチャを磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むためのステータコアであって、前記直線状経路を挟んで相互に対向するように設定される一対の磁極部を有し、該一対の磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する磁極面であって、該磁極面間に磁束路を形成する一対の磁極面を有しており、前記一対の磁極面の一方の磁極面の側から見た他方の磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直な2つの端縁を有する矩形状となっており、前記磁極面に切欠き部が設けられているステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、
前記アーマチャを前記ステータコアによって引込まれる方向とは反対の方向に付勢する弾性体と、を備え、
前記ソレノイドコイルを間歇的に励磁することにより、前記弾性体の付勢力に抗して前記アーマチャを間歇的に引込駆動する電磁往復動流体装置。
【請求項2】
前記切欠き部が、前記直線状経路の方向での前記磁極面の中心位置よりも、前記2つの端縁のうちの前記アーマチャが引込まれてくる側の端縁側に設けられている請求項1に記載の電磁往復動流体装置。
【請求項3】
前記切欠き部が、矩形状の前記磁極面の4つの頂点の位置にそれぞれ設けられており、各切欠き部の形状が矩形状である、請求項1に記載の電磁往復動装置。
【請求項4】
往復動部材と、該往復動部材を直線状経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記駆動部は、
前記往復動部材に固定された永久磁石と、
該永久磁石を、磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むためのステータコアであって、前記直線状経路を挟んで相互に対向するように設定される一対の磁極部を有し、該一対の磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する一対の磁極面を有しており、前記一対の磁極面の一方の磁極面の側から見た他方の磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直な2つの端縁を有する矩形状となっており、前記磁極面に切欠き部が設けられているステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、を備え、
前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより、前記往復動部材を交番的に引込駆動する電磁往復動流体装置。
【請求項5】
前記往復動部材は、前記直線状経路に沿って相互に平行に延びる第1側面及び第2側面を有する板状の部材であり、
前記永久磁石は、前記直線状経路の方向で所定間隔離して前記往復動部材に固定された第1及び第2の永久磁石からなり、
前記往復動部材は、前記第1側面及び第2側面が、それぞれ、前記一対の磁極面の一方に面するようにされ、
前記第1の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にN極が位置し前記第2側面側にS極が位置するように配置され、前記第2の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にS極が位置し前記第2側面側にN極が位置するように配置され、且つ前記第1及び第2の永久磁石は、前記ステータコアが励磁されていない状態で、該第1及び第2の永久磁石の間に前記一対の磁極面の間の前記磁束路が位置するように配置されており、
前記引込駆動は、前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより前記一対の磁極面の間の前記磁束路に交番磁界を生じさせ、前記第1及び第2の永久磁石を前記磁束路内に交互に引込み、前記往復動部材を往復駆動するようになされる、請求項4に記載の電磁往復動流体装置。
【請求項6】
前記切欠き部が、前記2つの端縁のうちの少なくとも一方の端縁の両端に設けられ、各切欠き部の形状が矩形状である、請求項4又は5に記載の電磁往復動流体装置。
【請求項7】
往復動部材と、該往復動部材を直線状の経路に沿って往復駆動させる駆動部とを有し、該往復動部材の往復動により流体を吸引排出するようにした電磁往復動流体装置であって、
前記往復動部材は、前記直線状経路に沿って相互に平行に延びる第1側面及び第2側面を有する板状の部材であり、
前記駆動部は、
前記直線状経路の方向で所定間隔離して前記往復動部材に固定された第1及び第2の永久磁石と、
該第1及び第2の永久磁石を磁気吸引力により前記直線状経路に沿って引込むための、前記往復動部材の前記直線状経路の両側に相互に対向するように設定される一対のE型コアからなるステータコアであって、
前記一対のE型コアは、それぞれ、前記往復動部材の前記直線状経路の方向に延びる連結部と、該連結部から前記直線状経路に向けて延びる中央磁極部及び該中央磁極部の両側の第1及び第2側部磁極部を有し、一方のE型コアの中央磁極部、第1及び第2側部磁極部は前記直線状経路を挟んで他方のE型コアの中央磁極部、第1及び第2側部磁極部とそれぞれ対向するようにされ、
前記一対のE型コアの前記中央磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する中央磁極面であって、該中央磁極面間に中央磁束路を形成する中央磁極面を有し、
前記一対のE型コアの前記第1側部磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する第1側部磁極面であって、該第1側部磁極面間に第1側部磁束路を形成する第1側部磁極面を有し、
前記一対のE型コアの前記第2側部磁極部は、前記直線状経路に隣接し且つ相互に対向する第2側部磁極面であって、該第2側部磁極面間に第2側部磁束路を形成する第2側部磁極面を有し、
一対の前記中央磁極面の対向する一方の中央磁極面から見た他方の中央磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの中央磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記中央磁極面に切欠き部が設けられている、ステータコアと、
該ステータコアに磁束を発生させるためのソレノイドコイルと、を有し、
前記往復動部材は、前記第1側面及び第2側面が、それぞれ、前記一対の磁極面の一方に面するようにされ、
前記ステータコアの一対の前記第1側部磁極面の対向する一方の第1側部磁極面から見た他方の第1側部磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの第1側部磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記第1側部磁極面に切欠き部が設けられ、
前記ステータコアの一対の前記第2側部磁極面の対向する一方の第2側部磁極面から見た他方の第2側部磁極面の面形状が、前記往復動部材の前記直線状経路に対して垂直とされた2つの第2側部磁極面端縁を有する矩形状とされており、前記第2側部磁極面に切欠き部が設けられている、ステータコアと、
前記第1の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にN極が位置し前記第2側面側にS極が位置するように配置され、前記第2の永久磁石は前記往復動部材の前記第1側面側にS極が位置し前記第2側面側にN極が位置するように配置され、且つ前記ステータコアが励磁されていない状態で、前記第1の永久磁石は前記中央磁束路と前記第1側部磁束路の間に位置し、前記第2の永久磁石は前記中央磁束路と前記第2側部磁束路の間に位置するように配置され、
前記ソレノイドコイルを交番的に励磁することにより、前記往復動部材を往復駆動するようにしたことを特徴とする、電磁往復動流体装置。
【請求項8】
前記中央磁極面における前記切欠き部が、前記2つの中央磁極面端縁のうちの少なくとも一方の両端に設けられ、
前記第1側部磁極部における前記切欠き部が、前記2つの第1側部磁極面端縁のうちの前記中央磁極部に近い側の端縁の両端に設けられ、
前記第2側部磁極部における前記切欠き部が、前記2つの第2側部磁極面端縁のうちの前記中央磁極部に近い側の端縁の両端に設けられており、
各切欠き部の形状が矩形状である請求項7に記載の電磁往復動流体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−32723(P2013−32723A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168501(P2011−168501)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000227386)日東工器株式会社 (158)
【Fターム(参考)】