電磁連結装置
【課題】アーマチュアを回転プレートに圧接する際に生じる鳴き音と称される異音の発生に善処する。
【解決手段】同一軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及びアーマチュア2と、これら回転プレート1及びアーマチュア2同士を前記軸心m方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備し、回転プレート1及びアーマチュア2間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段3のオンオフ切替動作を通じて両者を圧接する際の鳴き音に対処すべく、回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面に第1の消音プレート4及び第2の消音プレート5を、これら消音プレート4、5同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けることとした。
【解決手段】同一軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及びアーマチュア2と、これら回転プレート1及びアーマチュア2同士を前記軸心m方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備し、回転プレート1及びアーマチュア2間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段3のオンオフ切替動作を通じて両者を圧接する際の鳴き音に対処すべく、回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面に第1の消音プレート4及び第2の消音プレート5を、これら消音プレート4、5同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ブレーキ、電磁クラッチ等として利用可能な電磁連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電磁連結装置を利用したものとして、例えば特許文献1に示されるような無励磁作動形電磁ブレーキが知られている。
【0003】
この電磁ブレーキは、インダクションモータに取り付けられた回転軸と、前記インダクションモータに固定された電磁駆動手段と、前記回転軸に装着されたフェーシング付帯する回転プレートと、前記電磁駆動手段と前記回転プレートとの間に軸方向に移動可能に装着された制動プレートとなるアーマチュアとを有している。
【0004】
そして、この種のブレーキにおいてブレーキ作動時に前記回転軸が振動して連結音が発生するという不具合を解決するために、前記回転プレートの剛性を下げて前記回転軸の振動を吸収するように、その回転プレートの材質をアルミニウムにし且つ窓抜きを設けた構成を開示している。
【0005】
或いは、前記アーマチュアの剛性を下げて振動を吸収するように、そのアーマチュアにスリットを設け、前記回転プレートの剛性を下げて振動を吸収するように、その回転プレートにスリット及び窓抜きを設けると共に、背面に粘弾性の両面粘着テープを介して制振板を接触面全域に亘って均等に貼り付け、且つ前記制振板にスリットを設けた構成も開示されている。
【特許文献1】特開平10−30658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような対策を講じた場合にも、電磁駆動手段が励磁されてアーマチュアが回転プレートに圧接された際に、いわゆる鳴き音が発生するという課題が残る。これについて検討を加えた結果、この鳴き音は、制動時にフェーシングとアーマチュア間に発生する摩擦振動(自励振動)に起因し、この摩擦振動が共振による増幅作用で可聴域における耳障りな音になっていると考えられる。
【0007】
このような課題は、叙述したインダクションモータに限らず、一般に、同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成された装置類全般に通ずるものである。
【0008】
本発明は、このような鳴き音に有効に善処した電磁連結装置を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明の電磁連結装置は、同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するという電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を部分的に接着した状態で取り付けたことを特徴とする。
【0011】
このように、消音プレートを接離動作するプレートに部分的に取り付けることで、圧接の際の衝撃に対して質量のある消音プレートの接着又は連結されていない部分が、取付対象プレートとともに振動し易い状態に置かれることになる。この振動により、摩擦振動の減衰が大きくなり、鳴き音の解消ないし抑制が図られる。
【0012】
この場合、「同一軸心上」は、軸心が合致していれば2軸に亘ってもよい。また、「相対的な接離動作」は、一方が回転し他方が静止していても、双方が回転していても構わない。消音プレートは、取付対象プレートに対して必ずしも直接取り付ける必要はなく、他の部材を介して間接的に取り付ける態様も可能である。
【0013】
「オンオフ切替動作を通じて」とは、通電時に解離し非通電時に圧接される態様のほか、通電時に圧接され非通電時に解離される態様も含まれる。
【0014】
或いは、本発明の他の構成からなる電磁連結装置は、上記電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレート同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたことを特徴とする。
【0015】
この場合、消音プレートと取付対象プレートとの接触面間が全域接着されているものも含まれる。
【0016】
このように構成すると、消音プレートの相互作用による減衰が消音プレート間に期待できる上に、質量の組み合わせや取付態様の組み合わせに多様性が生じるため、消音効果を追求する上で有効となる。
【0017】
消音プレートを部分的に接着する態様には様々なものが挙げられるが、特に質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることが望ましい。
【0018】
軸心回りにアンバランスに接着するには、接着箇所を偏在させればよいが、好ましい態様としては、軸心を基点とした扇形の領域を接着するようにしたものが挙げられる。
或いは、部分的に接着する他の態様としては、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態で接着されるようにしておくものも好適である。
【0019】
この場合、消音プレートに大きな振動を期待するためには、内径側が接着され、外径側が接着されずに開放されるものが望ましい。
【0020】
更に、上記以外の構成からなる本発明の電磁連結装置は、電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を連結具を用いて部分的に連結した状態で取り付け、その部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする。
【0021】
このように構成しても、接着に準じた作用効果を得ることができる。
【0022】
或いは、電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレートの接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付け、その部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられる場合も、接着と事情は同様である。
【0023】
本発明の適用例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0024】
一対のプレートのうち、一方をモータの回転軸とともに一体回転可能な回転プレートとし、他方が前記回転プレートに制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレートに対して接離動作を行う制動プレートとした電磁ブレーキ。
【0025】
一対のプレートのうち、一方をクラッチを構成する駆動側クラッチ板とし、他方を前記駆動側クラッチ板に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板とした電磁クラッチ。
【0026】
一対のプレートのうち、一方をディスクブレーキを構成する回転ディスクとし、他方を前記回転ディスクを両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスクとした電磁ディスクブレーキ。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上説明した構成であるから、プレート同士を圧接する際に生じる摩擦振動に起因した共振増幅による振動を、そのプレートの少なくとも一方に振動し易い状態で消音プレートを取り付けるだけの構成で有効に抑制することができ、これにより鳴き音と称される異音の発生を効果的に低減若しくは解消した優れた電磁連結装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
この実施形態の電磁連結装置は、図1の汎用インダクションモータMの回転軸Sを制動するための無励磁作動形電磁ブレーキBに適用される。このモータMは、図1及び図6に示すように、モータハウジングmh内を貫通して両端面から回転軸Sを突出させており、一方の軸端部s1側に前記電磁ブレーキBを構成し、他方の軸端部s2側に駆動対象である負荷Wが接続される。
【0030】
電磁ブレーキBは、前記回転軸Sの軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及び制動プレート2と、これら両プレート1,2を軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備する。制動プレート2は電磁駆動手段3の出力端をなすものであり、以下アーマチュアと称する。
【0031】
電磁駆動手段3は、モータMの端面に固定されるヨーク31と、このヨーク31(或いはモータMの端面)とアーマチュア2との間に弾設される圧縮コイルばね32とを備える。図1の圧縮コイルばね32は模式的に示してある。ヨーク31は、鉄等の強磁性体からなり、軸心m回りに励磁コイル31bが巻回される。また、ヨーク31の端面31aには、複数の連結ピン33が固定され、先端を端面31aから外方に突出させている。
【0032】
アーマチュア2は、鉄等の強磁性体からなるもので、図1及び図2に示すように、前記連結ピン33に対応する位置にガイド孔21を有し、このガイド孔21を連結ピン33に係合させることによって、ヨーク31に対して軸心m方向のみに移動可能とされる。ヨーク31とアーマチュア2との間には、励磁コイル32への通電時に図示しない磁路が形成され、アーマチュア2をコイルばね32の弾性力に抗してヨーク31の端面31aに吸着する方向の磁気吸引力を発生する。励磁コイル32への通電が断たれると、アーマチュア2はコイルばね32に弾性付勢されて、ヨーク31から離れる方向に移動する。アーマチュア2には、外周側の等角3箇所に中心に向かって剛性を下げるための切欠22が設けられ、中心部に回転軸Sを挿通させるための軸孔23が設けられている。
【0033】
回転プレート1は、図1及び図3に示すように、モータMの回転軸Sに固定されて内側面をヨーク31の端面31aに対向させたプレート本体11を主体とし、このプレート本体11の内側面に摩擦面となるフェーシング(制動部)12を形成している。プレート本体11にはボス部11aが突設されて、中心部にプレート本体11からボス部11aに至る軸孔11bを有しており、この軸孔11bにモータMの回転軸Sが挿通されて、固定用ネジ11cによって回転軸Sに固定される。フェーシング12は、この実施形態の場合、部分円弧状をなす摩擦係数の大きいパッドをプレート本体11の内側面に円環状に連なるように貼着することによって構成され、アーマチュア2に対向配置される。回転プレート1とヨーク31の端面31aとの間隙は、ボス部11aの回転軸Sへの取付位置によって調整される。プレート本体11には、剛性を低下させるための円弧状の抜き窓13と、外周側の等角3箇所から中心に向かって剛性を下げるための切欠14とが設けられている。
【0034】
従って、アーマチュア2は前記間隙において、励磁された際に図1の状態からヨーク31側に移動して当該ヨーク31の端面31aに密着することにより回転プレート1を開放し、消磁された際にコイルばね32に付勢されてアーマチュア2をフェーシング12に当接する位置まで移動させ、更にフェーシング12を介してアーマチュアー2を回転プレート1に弾接させて、回転プレート1に制動トルクを作用させる。
【0035】
そして、そのブレーキ作動時に、回転中の回転プレート1に対してアーマチュア2がフェーシング12を介して圧接されると、その際の摩擦衝撃により、フェーシング12及び回転プレート1がアーマチュア2とともに摩擦振動し、このときの共振による増幅作用でいわゆる鳴き音と称される異音が発生する。
【0036】
そこで本実施形態は、前記回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面1aに、特許文献1の制振板に相当する円盤状の第1の消音プレート4(図1及び図4参照)を、当該第1の消音プレート4とほぼ同径に設けた両面テープ40を介して貼り付けるとともに、その上から更に円盤状の第2の消音プレート5(図1及び図5参照)を、当該第2の消音プレート5とほぼ同径であって1/3に分割した形状の両面テープ50を介して貼り付けている。
【0037】
第1の消音プレート4は、図1及び図4に示すように、挿通孔4aを回転プレート1のボス部11aに嵌め合わせてプレート本体11の反圧接側の面1aに添設されるもので、剛性を低下させるために外周側の等角3箇所から軸心方向に向かって切欠41を設け、プレート本体11に対する接触面に全域接着されるようにしている。より正確には、図4の右図に斜線で示すように、両面テープ40は、軸孔4aと切欠41を除く全域に設けられている。但し、接着先であるプレート本体11の形状を考慮した場合、プレート本体11と接触しない部分、すなわちプレート本体11の抜き窓13等に対応する部分には両面テープ40は存在しなくてもよい。この実施形態に係る第1の消音プレート41は、プレート本体11の一部に設けたピン15(図3及び図4参照)に切欠41を係合させて位置決めされているが、本発明の必須の構成ではない。
【0038】
一方、第2の消音プレート5は、図1及び図5に示すように、挿通孔5aを回転プレート1のボス部11aに嵌め合わせてプレート本体11の反圧接側の面1aに第1の消音プレート4を介して重合配置され、その第1の消音プレート4に対して、軸心m回りにアンバランスとなるように部分的に接着した状態で取り付けられる。この消音プレート5も、前記第1の消音プレート4の形状に対応させて外周側の等角3箇所に切欠51を有するもので、この実施形態の場合、取付状態で切欠51は第1の消音プレート4の切欠41の位置に合致させられる。この第2の消音プレート5を軸心m及び切欠51の中心を通る仮想線tによって3つの概略扇形の領域Aに区画した場合に、そのうちの1つの扇形の領域Aを、図5の右図において斜線で示す扇形の両面テープ50を用いて前記第1の消音プレート4の対向する面4bに貼着し、他の2つの扇形の領域A,Aを非接着状態としている。消音プレート5自体の質量からすれば両面テープ50の質量は無視し得るので、これにより第2の消音プレート5は、質量中心をほぼ軸心m上に位置づけられ、接着位置が消音プレート4の円周方向の1/3扇形領域のみに限定されて、軸心mに対してアンバランスな接着状態となる。
【0039】
図6は、このような構造からなる電磁ブレーキBに対する振動、騒音試験を行うために構成した測定構成図である。測定構成図は、電磁ブレーキBに騒音計Cを対峙させ、回転軸Sに所定の負荷Wを取り付けて、騒音計Cの出力を波形記録計Dに記録するとともに、高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析を行うようにしたものである。また、圧接時の振動を取り出すために静止円盤であるアーマチュア2に臨んで電磁ブレーキBのハウジングBhに加速度ピックアップEを取り付け、この加速度ピックアップEからの出力を前記波形記録計Dに記録し、高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析を行う。
【0040】
試験条件は、第1の消音プレート40(厚み1.2mm)を上述したように回転プレートに対する接触面全域に均等に貼り付け、第2の消音プレート50(厚み1.2mm)を上述したように第1の消音プレート40に部分的に貼り付ける。そして、負荷慣性1.15×10−4kgm2の負荷Wを取り付けて、電圧200V、60HzでモータMと電磁ブレーキBに通電し、定常の回転速度に保持する。その後、モータMと電磁ブレーキBの電源を同時にOFFにし、その時に発生する(鳴き音に対する)振動波形と騒音波形を、加速度ピックアップEと騒音計Cを用いて測定する。
【0041】
図9が上記の試験を行った場合の測定データであり、図8は第1の消音プレート40の厚みを0.8mmにして同様の試験を行った場合の測定データである。また、図7は比較例として、第1の消音プレート4のみを取り付け第2の消音プレート5を取り外して試験を行った場合の測定データである。
【0042】
すなわち、第1の消音プレート4を回転プレート1に対して1枚のみ接触面全域に均等に貼り付けた特許文献1とほぼ同様の構造に基づく場合には、図7に示すように、ブレーキ作動時の衝撃振動から0.07秒程度の鳴き区間が発生し、騒音レベルは約87dB程度であった。
【0043】
一方、やや薄肉の第1の消音プレート4に対して第2の消音プレート5を部分的に接着した場合には、図8に示すように、鳴き区間がブレーキ作動時の衝撃振動から0.03秒程度に短縮され、騒音レベルは約59dB程度に低下した。
【0044】
更に、薄肉にしていない第1の消音プレート4に対して第2の消音プレート5を部分的に接着した場合には、図9に示すように、ブレーキ作動時の衝撃振動からの鳴き音は聴感されず、騒音レベルは約50dB程度にまで低下した。
【0045】
聴感レベルとの相関で言えば、一般に、50dB以下で鳴き音無し、50〜60dBで鳴き音小、60dB以上で鳴き音大と捉えることができるので、図8の場合で鳴き音の発生時間及び騒音レベルを有効に抑制でき、図9の場合で鳴き音自体を有効に解消できることが確認できた。
【0046】
目的や用途によっては、要求される鳴き音の低減レベルが異なるが、これらのデータから、接触面全域の接着よりもアンバランスな接着が有効である点、互いに圧接されるプレートにはある程度質量がある方が有効である点等が確認できた。
【0047】
以上のように、本実施形態の電磁連結装置は、同一軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及びアーマチュア2と、これら回転プレート1及びアーマチュア2同士を前記軸心m方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備し、回転プレート1及びアーマチュア2間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段3のオンオフ切替動作を通じて両者を圧接する際の鳴き音に対処すべく、回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面1aに第1の消音プレート4及び第2の消音プレート5を、これら消音プレート4、5同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたものである。
【0048】
このように、消音プレート5を接離動作する回転プレート1に間接的であれ部分的に取り付けることで、圧接時の衝撃に対して質量のある第2の消音プレート5の接着されていない部分が、消音プレート4を含め取付対象である回転プレート1とともに振動し易い状態に置かれることになる。この振動により、摩擦振動の減衰を大きくして、鳴き音の解消ないし抑制を有効に実現することができる。特に、本実施形態の回転プレート1のように十分な接着面積が期待できない場合には第1の消音プレート4を接触面全域において取り付けた上で第2の消音プレート5を部分的に取り付けることが有効であり、また、特許文献1のように消音プレート4に相当するものが当初より存在している場合にも、消音プレート5を後付けするだけで本発明を容易に構成することができる。勿論、両消音プレート4,5の質量の組み合わせや取付態様の組み合わせにも多様性が得られるため、消音効果の大きい構造を追求する上でも有効となる。
【0049】
また、部分的に接着される第2の消音プレート5は、質量中心がほぼ軸心m上にあり、接着位置が軸心m回りにアンバランスな状態で取り付けられるため、第2の消音プレート5が回転プレート1の回転に悪影響を及ぼすことを回避しつつ、取付位置のアンバランスさによって第2の消音プレート5自体に比較的大きい振動を期待することができる。
【0050】
さらに、接着による場合、ある程度の取付強度と、ある程度の取付位置のアンバランスさが要求されるが、部分的に接着される第2の消音プレート5は、軸心mを基点とした扇形の領域Aを接着されるため、簡単な構造でこれらを有効に両立させる態様が実現可能となる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、モータや電磁ブレーキの具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0052】
例えば、プレート本体の抜き窓や、プレート本体、アーマチュア、消音プレートに設けられている各切欠等は本発明の必須要件ではないし、切欠を設ける場合にもその数や位置は特に限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、プレート本体の形状を勘案して、接着面積を確保すべく第1の消音プレート4を接触面の全域に接着し、第2の消音プレート5を接触面に部分的に接着したが、プレート本体に部分的に接着しても取付強度に支障がない場合、或いは抜き孔等が存在しないなど部分的に接着し易い場合などには、第1の消音プレートを部分的にプレート本体に接着し、第2の消音プレートは無くても構わない。勿論、第1の消音プレートを部分的に接着してもある程度の取付強度が得られれば、第2の消音プレートを第1の消音プレートに対し更に接着して質量を増やす構成ことも有効である。この場合の第2の消音プレートは、第1の消音プレートに対して全域接着でも部分接着でも可能である。
【0054】
また、部分的に接着する態様としては、図10に示す消音プレート6のように、質量中心がほぼ軸心m上にあり、両面テープ60による接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態、即ち、図示例のように内径側に部分的に配置した両面テープ60によって消音プレート6が図示しない取付対象プレートに接着され、外径側が接着されずに開放された状態で取り付けるようにすることも有効である。消音プレート6自体の振動が惹起できる点で同様の効果があり、特に内径側よりも外径側の方が振動し易いため、より良好な効果が期待できる。
【0055】
また、上記実施形態では両面テープを用いたが、接着は、両面テープによるほか、接着剤等を用いても勿論構わない。
【0056】
また、接着以外の態様によって、上記実施形態に準じた作用効果を得ることも可能である。
【0057】
例えば、図11に示すように、取付対象プレートに対してその反圧接側の面に消音プレート7を、それらの接触面間をボルト等の連結具70を用いて部分的に連結した状態で取り付けるようにしてもよい。その際に、部分的に連結される消音プレート7は、連結具70を含めた質量中心がほぼ軸心m上にあるように、必要に応じて肉盗みやバランサ等のウェイト補償手段61によってバランスを採り、連結具60による連結位置のみが軸心m回りにアンバランスな状態で取り付けられるようにすればよい。
【0058】
この場合にも、取付対象プレートに対して、その反圧接側の面に複数の消音プレート7を取り付ける場合には、消音プレート7の接触面間に上記のような連結具を導入して軸心回りにアンバランスな状態で取り付けることで同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
さらにまた、本発明に係る電磁連結装置の適用対象自体も、上記実施形態に限定されるものではない。
【0060】
すなわち、上記実施形態の電磁連結装置を適用した電磁ブレーキBでは、一対のプレートのうち、一方がモータMの回転軸Sとともに一体回転可能な回転プレート1であり、他方が前記回転プレート1に制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレート1に対して接離動作を行う制動プレートたるアーマチュア2であり、回転プレート1の反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間、或いは積層した消音プレートのプレート間を部分的に接着した状態で取り付けるものであった。
【0061】
これに対して、図12に示すように、一対のプレートのうち、一方をクラッチを構成する駆動側クラッチ板101とし、他方を前記駆動側クラッチ板101に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板102として、本発明を適用することも有効である。すなわち、少なくともクラッチ板101,102(図では従動側クラッチ板102)の反圧接側の面に板バネ103及びリテーナ104を介して消音プレート105を、当該リテーナ104と消音プレート105との接触面間を部分的に接着もしくは連結した状態で取り付け、或いは消音プレートを複数導入した場合には当該消音プレート間を部分的に接着或いは連結した状態で取り付ければ、電磁クラッチの鳴き音対策として有効に利用することができる。図示例のものは、電磁駆動手段103の励磁により駆動側クラッチ板101に従動側クラッチ102が吸着されてシャフト106,107間が接続され、消磁により板バネ103によって解離する構成になっている。
【0062】
なお、この例のように、消音プレート105は取付対象プレート102に直接取り付ける態様に限らず、間接的に取り付ける態様も可能である。この事は上記実施形態のインダクションモータに付帯する電磁ブレーキB等においても全く同様である。
【0063】
或いは、図13に示すように、一対のプレートのうち、一方を電磁ディスクブレーキを構成する回転ディスク201とし、他方を前記回転ディスク201を両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスク202,202として、本発明を適用することも有効である。すなわち、制動ディスク202の反圧接側の面に消音プレート203を、当該制動ディスク202と消音プレート203との接触面間を部分的に接着もしくは連結した状態で取り付け、或いは消音プレートを複数導入した場合には当該消音プレート間を部分的に接着或いは連結した状態で取り付ければ、電磁ディスクブレーキの鳴き音対策として有効に利用することができる。図示例のものは、電磁駆動手段203の励磁により制動ディスク202,202間の距離が開いて回転ディスク201が開放され、消磁により図示しない圧縮バネ等で制動ディスク202間の距離が回転ディスク201の従動動作とともに縮まって当該回転ディスク201を制動ディスク202,202によって両側から挟み込む構成になっている。
【0064】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る電磁連結装置を適用した電磁ブレーキの縦断面図。
【図2】同電磁ブレーキを構成する制動プレートたるアーマチュアの構成図。
【図3】同電磁ブレーキを構成する回転プレートの構成図。
【図4】同電磁ブレーキを構成する第1の消音プレートの構成図。
【図5】同電磁ブレーキを構成する第2の消音プレートの構成図。
【図6】同電磁ブレーキに対する振動、騒音試験のための測定装置を示す構成図。
【図7】図6の装置を用いた従来構成の測定データを示す図。
【図8】図6の装置を用いた同実施形態の測定データを示す図。
【図9】図6の装置を用いた同実施形態の他の測定データを示す図。
【図10】本発明の変形例を示す図。
【図11】本発明の他の変形例を示す図。
【図12】本発明の他の適用例を示す図。
【図13】本発明の更に他の適用例を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1…回転プレート
2…制動プレート(アーマチュア)
3…電磁駆動手段
4…第1の消音プレート
5…第2の消音プレート
6…消音プレート
60…連結具
101,102…プレート
105…消音プレート
201,202…プレート
203…消音プレート
A…扇形の領域
m…軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ブレーキ、電磁クラッチ等として利用可能な電磁連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電磁連結装置を利用したものとして、例えば特許文献1に示されるような無励磁作動形電磁ブレーキが知られている。
【0003】
この電磁ブレーキは、インダクションモータに取り付けられた回転軸と、前記インダクションモータに固定された電磁駆動手段と、前記回転軸に装着されたフェーシング付帯する回転プレートと、前記電磁駆動手段と前記回転プレートとの間に軸方向に移動可能に装着された制動プレートとなるアーマチュアとを有している。
【0004】
そして、この種のブレーキにおいてブレーキ作動時に前記回転軸が振動して連結音が発生するという不具合を解決するために、前記回転プレートの剛性を下げて前記回転軸の振動を吸収するように、その回転プレートの材質をアルミニウムにし且つ窓抜きを設けた構成を開示している。
【0005】
或いは、前記アーマチュアの剛性を下げて振動を吸収するように、そのアーマチュアにスリットを設け、前記回転プレートの剛性を下げて振動を吸収するように、その回転プレートにスリット及び窓抜きを設けると共に、背面に粘弾性の両面粘着テープを介して制振板を接触面全域に亘って均等に貼り付け、且つ前記制振板にスリットを設けた構成も開示されている。
【特許文献1】特開平10−30658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような対策を講じた場合にも、電磁駆動手段が励磁されてアーマチュアが回転プレートに圧接された際に、いわゆる鳴き音が発生するという課題が残る。これについて検討を加えた結果、この鳴き音は、制動時にフェーシングとアーマチュア間に発生する摩擦振動(自励振動)に起因し、この摩擦振動が共振による増幅作用で可聴域における耳障りな音になっていると考えられる。
【0007】
このような課題は、叙述したインダクションモータに限らず、一般に、同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成された装置類全般に通ずるものである。
【0008】
本発明は、このような鳴き音に有効に善処した電磁連結装置を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明の電磁連結装置は、同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するという電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を部分的に接着した状態で取り付けたことを特徴とする。
【0011】
このように、消音プレートを接離動作するプレートに部分的に取り付けることで、圧接の際の衝撃に対して質量のある消音プレートの接着又は連結されていない部分が、取付対象プレートとともに振動し易い状態に置かれることになる。この振動により、摩擦振動の減衰が大きくなり、鳴き音の解消ないし抑制が図られる。
【0012】
この場合、「同一軸心上」は、軸心が合致していれば2軸に亘ってもよい。また、「相対的な接離動作」は、一方が回転し他方が静止していても、双方が回転していても構わない。消音プレートは、取付対象プレートに対して必ずしも直接取り付ける必要はなく、他の部材を介して間接的に取り付ける態様も可能である。
【0013】
「オンオフ切替動作を通じて」とは、通電時に解離し非通電時に圧接される態様のほか、通電時に圧接され非通電時に解離される態様も含まれる。
【0014】
或いは、本発明の他の構成からなる電磁連結装置は、上記電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレート同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたことを特徴とする。
【0015】
この場合、消音プレートと取付対象プレートとの接触面間が全域接着されているものも含まれる。
【0016】
このように構成すると、消音プレートの相互作用による減衰が消音プレート間に期待できる上に、質量の組み合わせや取付態様の組み合わせに多様性が生じるため、消音効果を追求する上で有効となる。
【0017】
消音プレートを部分的に接着する態様には様々なものが挙げられるが、特に質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることが望ましい。
【0018】
軸心回りにアンバランスに接着するには、接着箇所を偏在させればよいが、好ましい態様としては、軸心を基点とした扇形の領域を接着するようにしたものが挙げられる。
或いは、部分的に接着する他の態様としては、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態で接着されるようにしておくものも好適である。
【0019】
この場合、消音プレートに大きな振動を期待するためには、内径側が接着され、外径側が接着されずに開放されるものが望ましい。
【0020】
更に、上記以外の構成からなる本発明の電磁連結装置は、電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を連結具を用いて部分的に連結した状態で取り付け、その部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする。
【0021】
このように構成しても、接着に準じた作用効果を得ることができる。
【0022】
或いは、電磁連結のための構成を備えるものにおいて、少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレートの接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付け、その部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられる場合も、接着と事情は同様である。
【0023】
本発明の適用例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0024】
一対のプレートのうち、一方をモータの回転軸とともに一体回転可能な回転プレートとし、他方が前記回転プレートに制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレートに対して接離動作を行う制動プレートとした電磁ブレーキ。
【0025】
一対のプレートのうち、一方をクラッチを構成する駆動側クラッチ板とし、他方を前記駆動側クラッチ板に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板とした電磁クラッチ。
【0026】
一対のプレートのうち、一方をディスクブレーキを構成する回転ディスクとし、他方を前記回転ディスクを両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスクとした電磁ディスクブレーキ。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上説明した構成であるから、プレート同士を圧接する際に生じる摩擦振動に起因した共振増幅による振動を、そのプレートの少なくとも一方に振動し易い状態で消音プレートを取り付けるだけの構成で有効に抑制することができ、これにより鳴き音と称される異音の発生を効果的に低減若しくは解消した優れた電磁連結装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
この実施形態の電磁連結装置は、図1の汎用インダクションモータMの回転軸Sを制動するための無励磁作動形電磁ブレーキBに適用される。このモータMは、図1及び図6に示すように、モータハウジングmh内を貫通して両端面から回転軸Sを突出させており、一方の軸端部s1側に前記電磁ブレーキBを構成し、他方の軸端部s2側に駆動対象である負荷Wが接続される。
【0030】
電磁ブレーキBは、前記回転軸Sの軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及び制動プレート2と、これら両プレート1,2を軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備する。制動プレート2は電磁駆動手段3の出力端をなすものであり、以下アーマチュアと称する。
【0031】
電磁駆動手段3は、モータMの端面に固定されるヨーク31と、このヨーク31(或いはモータMの端面)とアーマチュア2との間に弾設される圧縮コイルばね32とを備える。図1の圧縮コイルばね32は模式的に示してある。ヨーク31は、鉄等の強磁性体からなり、軸心m回りに励磁コイル31bが巻回される。また、ヨーク31の端面31aには、複数の連結ピン33が固定され、先端を端面31aから外方に突出させている。
【0032】
アーマチュア2は、鉄等の強磁性体からなるもので、図1及び図2に示すように、前記連結ピン33に対応する位置にガイド孔21を有し、このガイド孔21を連結ピン33に係合させることによって、ヨーク31に対して軸心m方向のみに移動可能とされる。ヨーク31とアーマチュア2との間には、励磁コイル32への通電時に図示しない磁路が形成され、アーマチュア2をコイルばね32の弾性力に抗してヨーク31の端面31aに吸着する方向の磁気吸引力を発生する。励磁コイル32への通電が断たれると、アーマチュア2はコイルばね32に弾性付勢されて、ヨーク31から離れる方向に移動する。アーマチュア2には、外周側の等角3箇所に中心に向かって剛性を下げるための切欠22が設けられ、中心部に回転軸Sを挿通させるための軸孔23が設けられている。
【0033】
回転プレート1は、図1及び図3に示すように、モータMの回転軸Sに固定されて内側面をヨーク31の端面31aに対向させたプレート本体11を主体とし、このプレート本体11の内側面に摩擦面となるフェーシング(制動部)12を形成している。プレート本体11にはボス部11aが突設されて、中心部にプレート本体11からボス部11aに至る軸孔11bを有しており、この軸孔11bにモータMの回転軸Sが挿通されて、固定用ネジ11cによって回転軸Sに固定される。フェーシング12は、この実施形態の場合、部分円弧状をなす摩擦係数の大きいパッドをプレート本体11の内側面に円環状に連なるように貼着することによって構成され、アーマチュア2に対向配置される。回転プレート1とヨーク31の端面31aとの間隙は、ボス部11aの回転軸Sへの取付位置によって調整される。プレート本体11には、剛性を低下させるための円弧状の抜き窓13と、外周側の等角3箇所から中心に向かって剛性を下げるための切欠14とが設けられている。
【0034】
従って、アーマチュア2は前記間隙において、励磁された際に図1の状態からヨーク31側に移動して当該ヨーク31の端面31aに密着することにより回転プレート1を開放し、消磁された際にコイルばね32に付勢されてアーマチュア2をフェーシング12に当接する位置まで移動させ、更にフェーシング12を介してアーマチュアー2を回転プレート1に弾接させて、回転プレート1に制動トルクを作用させる。
【0035】
そして、そのブレーキ作動時に、回転中の回転プレート1に対してアーマチュア2がフェーシング12を介して圧接されると、その際の摩擦衝撃により、フェーシング12及び回転プレート1がアーマチュア2とともに摩擦振動し、このときの共振による増幅作用でいわゆる鳴き音と称される異音が発生する。
【0036】
そこで本実施形態は、前記回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面1aに、特許文献1の制振板に相当する円盤状の第1の消音プレート4(図1及び図4参照)を、当該第1の消音プレート4とほぼ同径に設けた両面テープ40を介して貼り付けるとともに、その上から更に円盤状の第2の消音プレート5(図1及び図5参照)を、当該第2の消音プレート5とほぼ同径であって1/3に分割した形状の両面テープ50を介して貼り付けている。
【0037】
第1の消音プレート4は、図1及び図4に示すように、挿通孔4aを回転プレート1のボス部11aに嵌め合わせてプレート本体11の反圧接側の面1aに添設されるもので、剛性を低下させるために外周側の等角3箇所から軸心方向に向かって切欠41を設け、プレート本体11に対する接触面に全域接着されるようにしている。より正確には、図4の右図に斜線で示すように、両面テープ40は、軸孔4aと切欠41を除く全域に設けられている。但し、接着先であるプレート本体11の形状を考慮した場合、プレート本体11と接触しない部分、すなわちプレート本体11の抜き窓13等に対応する部分には両面テープ40は存在しなくてもよい。この実施形態に係る第1の消音プレート41は、プレート本体11の一部に設けたピン15(図3及び図4参照)に切欠41を係合させて位置決めされているが、本発明の必須の構成ではない。
【0038】
一方、第2の消音プレート5は、図1及び図5に示すように、挿通孔5aを回転プレート1のボス部11aに嵌め合わせてプレート本体11の反圧接側の面1aに第1の消音プレート4を介して重合配置され、その第1の消音プレート4に対して、軸心m回りにアンバランスとなるように部分的に接着した状態で取り付けられる。この消音プレート5も、前記第1の消音プレート4の形状に対応させて外周側の等角3箇所に切欠51を有するもので、この実施形態の場合、取付状態で切欠51は第1の消音プレート4の切欠41の位置に合致させられる。この第2の消音プレート5を軸心m及び切欠51の中心を通る仮想線tによって3つの概略扇形の領域Aに区画した場合に、そのうちの1つの扇形の領域Aを、図5の右図において斜線で示す扇形の両面テープ50を用いて前記第1の消音プレート4の対向する面4bに貼着し、他の2つの扇形の領域A,Aを非接着状態としている。消音プレート5自体の質量からすれば両面テープ50の質量は無視し得るので、これにより第2の消音プレート5は、質量中心をほぼ軸心m上に位置づけられ、接着位置が消音プレート4の円周方向の1/3扇形領域のみに限定されて、軸心mに対してアンバランスな接着状態となる。
【0039】
図6は、このような構造からなる電磁ブレーキBに対する振動、騒音試験を行うために構成した測定構成図である。測定構成図は、電磁ブレーキBに騒音計Cを対峙させ、回転軸Sに所定の負荷Wを取り付けて、騒音計Cの出力を波形記録計Dに記録するとともに、高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析を行うようにしたものである。また、圧接時の振動を取り出すために静止円盤であるアーマチュア2に臨んで電磁ブレーキBのハウジングBhに加速度ピックアップEを取り付け、この加速度ピックアップEからの出力を前記波形記録計Dに記録し、高速フーリエ変換(FFT)によって周波数解析を行う。
【0040】
試験条件は、第1の消音プレート40(厚み1.2mm)を上述したように回転プレートに対する接触面全域に均等に貼り付け、第2の消音プレート50(厚み1.2mm)を上述したように第1の消音プレート40に部分的に貼り付ける。そして、負荷慣性1.15×10−4kgm2の負荷Wを取り付けて、電圧200V、60HzでモータMと電磁ブレーキBに通電し、定常の回転速度に保持する。その後、モータMと電磁ブレーキBの電源を同時にOFFにし、その時に発生する(鳴き音に対する)振動波形と騒音波形を、加速度ピックアップEと騒音計Cを用いて測定する。
【0041】
図9が上記の試験を行った場合の測定データであり、図8は第1の消音プレート40の厚みを0.8mmにして同様の試験を行った場合の測定データである。また、図7は比較例として、第1の消音プレート4のみを取り付け第2の消音プレート5を取り外して試験を行った場合の測定データである。
【0042】
すなわち、第1の消音プレート4を回転プレート1に対して1枚のみ接触面全域に均等に貼り付けた特許文献1とほぼ同様の構造に基づく場合には、図7に示すように、ブレーキ作動時の衝撃振動から0.07秒程度の鳴き区間が発生し、騒音レベルは約87dB程度であった。
【0043】
一方、やや薄肉の第1の消音プレート4に対して第2の消音プレート5を部分的に接着した場合には、図8に示すように、鳴き区間がブレーキ作動時の衝撃振動から0.03秒程度に短縮され、騒音レベルは約59dB程度に低下した。
【0044】
更に、薄肉にしていない第1の消音プレート4に対して第2の消音プレート5を部分的に接着した場合には、図9に示すように、ブレーキ作動時の衝撃振動からの鳴き音は聴感されず、騒音レベルは約50dB程度にまで低下した。
【0045】
聴感レベルとの相関で言えば、一般に、50dB以下で鳴き音無し、50〜60dBで鳴き音小、60dB以上で鳴き音大と捉えることができるので、図8の場合で鳴き音の発生時間及び騒音レベルを有効に抑制でき、図9の場合で鳴き音自体を有効に解消できることが確認できた。
【0046】
目的や用途によっては、要求される鳴き音の低減レベルが異なるが、これらのデータから、接触面全域の接着よりもアンバランスな接着が有効である点、互いに圧接されるプレートにはある程度質量がある方が有効である点等が確認できた。
【0047】
以上のように、本実施形態の電磁連結装置は、同一軸心m上に対面配置される一対のプレートたる回転プレート1及びアーマチュア2と、これら回転プレート1及びアーマチュア2同士を前記軸心m方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段3とを具備し、回転プレート1及びアーマチュア2間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段3のオンオフ切替動作を通じて両者を圧接する際の鳴き音に対処すべく、回転プレート1を取付対象プレートとして、その反圧接側の面1aに第1の消音プレート4及び第2の消音プレート5を、これら消音プレート4、5同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたものである。
【0048】
このように、消音プレート5を接離動作する回転プレート1に間接的であれ部分的に取り付けることで、圧接時の衝撃に対して質量のある第2の消音プレート5の接着されていない部分が、消音プレート4を含め取付対象である回転プレート1とともに振動し易い状態に置かれることになる。この振動により、摩擦振動の減衰を大きくして、鳴き音の解消ないし抑制を有効に実現することができる。特に、本実施形態の回転プレート1のように十分な接着面積が期待できない場合には第1の消音プレート4を接触面全域において取り付けた上で第2の消音プレート5を部分的に取り付けることが有効であり、また、特許文献1のように消音プレート4に相当するものが当初より存在している場合にも、消音プレート5を後付けするだけで本発明を容易に構成することができる。勿論、両消音プレート4,5の質量の組み合わせや取付態様の組み合わせにも多様性が得られるため、消音効果の大きい構造を追求する上でも有効となる。
【0049】
また、部分的に接着される第2の消音プレート5は、質量中心がほぼ軸心m上にあり、接着位置が軸心m回りにアンバランスな状態で取り付けられるため、第2の消音プレート5が回転プレート1の回転に悪影響を及ぼすことを回避しつつ、取付位置のアンバランスさによって第2の消音プレート5自体に比較的大きい振動を期待することができる。
【0050】
さらに、接着による場合、ある程度の取付強度と、ある程度の取付位置のアンバランスさが要求されるが、部分的に接着される第2の消音プレート5は、軸心mを基点とした扇形の領域Aを接着されるため、簡単な構造でこれらを有効に両立させる態様が実現可能となる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、モータや電磁ブレーキの具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0052】
例えば、プレート本体の抜き窓や、プレート本体、アーマチュア、消音プレートに設けられている各切欠等は本発明の必須要件ではないし、切欠を設ける場合にもその数や位置は特に限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、プレート本体の形状を勘案して、接着面積を確保すべく第1の消音プレート4を接触面の全域に接着し、第2の消音プレート5を接触面に部分的に接着したが、プレート本体に部分的に接着しても取付強度に支障がない場合、或いは抜き孔等が存在しないなど部分的に接着し易い場合などには、第1の消音プレートを部分的にプレート本体に接着し、第2の消音プレートは無くても構わない。勿論、第1の消音プレートを部分的に接着してもある程度の取付強度が得られれば、第2の消音プレートを第1の消音プレートに対し更に接着して質量を増やす構成ことも有効である。この場合の第2の消音プレートは、第1の消音プレートに対して全域接着でも部分接着でも可能である。
【0054】
また、部分的に接着する態様としては、図10に示す消音プレート6のように、質量中心がほぼ軸心m上にあり、両面テープ60による接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態、即ち、図示例のように内径側に部分的に配置した両面テープ60によって消音プレート6が図示しない取付対象プレートに接着され、外径側が接着されずに開放された状態で取り付けるようにすることも有効である。消音プレート6自体の振動が惹起できる点で同様の効果があり、特に内径側よりも外径側の方が振動し易いため、より良好な効果が期待できる。
【0055】
また、上記実施形態では両面テープを用いたが、接着は、両面テープによるほか、接着剤等を用いても勿論構わない。
【0056】
また、接着以外の態様によって、上記実施形態に準じた作用効果を得ることも可能である。
【0057】
例えば、図11に示すように、取付対象プレートに対してその反圧接側の面に消音プレート7を、それらの接触面間をボルト等の連結具70を用いて部分的に連結した状態で取り付けるようにしてもよい。その際に、部分的に連結される消音プレート7は、連結具70を含めた質量中心がほぼ軸心m上にあるように、必要に応じて肉盗みやバランサ等のウェイト補償手段61によってバランスを採り、連結具60による連結位置のみが軸心m回りにアンバランスな状態で取り付けられるようにすればよい。
【0058】
この場合にも、取付対象プレートに対して、その反圧接側の面に複数の消音プレート7を取り付ける場合には、消音プレート7の接触面間に上記のような連結具を導入して軸心回りにアンバランスな状態で取り付けることで同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
さらにまた、本発明に係る電磁連結装置の適用対象自体も、上記実施形態に限定されるものではない。
【0060】
すなわち、上記実施形態の電磁連結装置を適用した電磁ブレーキBでは、一対のプレートのうち、一方がモータMの回転軸Sとともに一体回転可能な回転プレート1であり、他方が前記回転プレート1に制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレート1に対して接離動作を行う制動プレートたるアーマチュア2であり、回転プレート1の反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間、或いは積層した消音プレートのプレート間を部分的に接着した状態で取り付けるものであった。
【0061】
これに対して、図12に示すように、一対のプレートのうち、一方をクラッチを構成する駆動側クラッチ板101とし、他方を前記駆動側クラッチ板101に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板102として、本発明を適用することも有効である。すなわち、少なくともクラッチ板101,102(図では従動側クラッチ板102)の反圧接側の面に板バネ103及びリテーナ104を介して消音プレート105を、当該リテーナ104と消音プレート105との接触面間を部分的に接着もしくは連結した状態で取り付け、或いは消音プレートを複数導入した場合には当該消音プレート間を部分的に接着或いは連結した状態で取り付ければ、電磁クラッチの鳴き音対策として有効に利用することができる。図示例のものは、電磁駆動手段103の励磁により駆動側クラッチ板101に従動側クラッチ102が吸着されてシャフト106,107間が接続され、消磁により板バネ103によって解離する構成になっている。
【0062】
なお、この例のように、消音プレート105は取付対象プレート102に直接取り付ける態様に限らず、間接的に取り付ける態様も可能である。この事は上記実施形態のインダクションモータに付帯する電磁ブレーキB等においても全く同様である。
【0063】
或いは、図13に示すように、一対のプレートのうち、一方を電磁ディスクブレーキを構成する回転ディスク201とし、他方を前記回転ディスク201を両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスク202,202として、本発明を適用することも有効である。すなわち、制動ディスク202の反圧接側の面に消音プレート203を、当該制動ディスク202と消音プレート203との接触面間を部分的に接着もしくは連結した状態で取り付け、或いは消音プレートを複数導入した場合には当該消音プレート間を部分的に接着或いは連結した状態で取り付ければ、電磁ディスクブレーキの鳴き音対策として有効に利用することができる。図示例のものは、電磁駆動手段203の励磁により制動ディスク202,202間の距離が開いて回転ディスク201が開放され、消磁により図示しない圧縮バネ等で制動ディスク202間の距離が回転ディスク201の従動動作とともに縮まって当該回転ディスク201を制動ディスク202,202によって両側から挟み込む構成になっている。
【0064】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る電磁連結装置を適用した電磁ブレーキの縦断面図。
【図2】同電磁ブレーキを構成する制動プレートたるアーマチュアの構成図。
【図3】同電磁ブレーキを構成する回転プレートの構成図。
【図4】同電磁ブレーキを構成する第1の消音プレートの構成図。
【図5】同電磁ブレーキを構成する第2の消音プレートの構成図。
【図6】同電磁ブレーキに対する振動、騒音試験のための測定装置を示す構成図。
【図7】図6の装置を用いた従来構成の測定データを示す図。
【図8】図6の装置を用いた同実施形態の測定データを示す図。
【図9】図6の装置を用いた同実施形態の他の測定データを示す図。
【図10】本発明の変形例を示す図。
【図11】本発明の他の変形例を示す図。
【図12】本発明の他の適用例を示す図。
【図13】本発明の更に他の適用例を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1…回転プレート
2…制動プレート(アーマチュア)
3…電磁駆動手段
4…第1の消音プレート
5…第2の消音プレート
6…消音プレート
60…連結具
101,102…プレート
105…消音プレート
201,202…プレート
203…消音プレート
A…扇形の領域
m…軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を部分的に接着した状態で取り付けたことを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレート同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたことを特徴とする電磁連結装置。
【請求項3】
部分的に接着される消音プレートは、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられる請求項1又は2何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項4】
部分的に接着される消音プレートは、軸心を基点とした扇形の領域を接着される請求項3記載の電磁連結装置。
【請求項5】
部分的に接着される消音プレートは、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態で接着される請求項1又は2何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項6】
内径側が接着され、外径側が接着されずに開放される請求項5記載の電磁連結装置。
【請求項7】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を連結具を用いて部分的に連結した状態で取り付けるようにしたものであり、部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項8】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレートの接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたものであり、部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項9】
一対のプレートのうち、一方がモータの回転軸とともに一体回転可能な回転プレートであり、他方が前記回転プレートに制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレートに対して接離動作を行う制動プレートである請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項10】
一対のプレートのうち、一方がクラッチを構成する駆動側クラッチ板であり、他方が前記駆動側クラッチ板に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板である請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項11】
一対のプレートのうち、一方がディスクブレーキを構成する回転ディスクであり、他方が前記回転ディスクを両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスクである請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項1】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を部分的に接着した状態で取り付けたことを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレート同士の接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたことを特徴とする電磁連結装置。
【請求項3】
部分的に接着される消音プレートは、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられる請求項1又は2何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項4】
部分的に接着される消音プレートは、軸心を基点とした扇形の領域を接着される請求項3記載の電磁連結装置。
【請求項5】
部分的に接着される消音プレートは、質量中心がほぼ軸心上にあり、接着位置が内径側と外径側とでアンバランスな状態で接着される請求項1又は2何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項6】
内径側が接着され、外径側が接着されずに開放される請求項5記載の電磁連結装置。
【請求項7】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に消音プレートを、それらの接触面間を連結具を用いて部分的に連結した状態で取り付けるようにしたものであり、部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項8】
同一軸心上に対面配置される一対のプレートと、これら両プレート同士を前記軸心方向に相対的に接離動作させる電磁駆動手段とを具備し、両プレート間に解離時に相対角速度差が存する状態から、電磁駆動手段のオンオフ切替動作を通じて両プレートを圧接するように構成されるものにおいて、
少なくとも何れかのプレートを取付対象プレートとして、その反圧接側の面に複数の消音プレートを、当該消音プレートの接触面間を部分的に接着した状態で重合させて取り付けたものであり、部分的に連結される消音プレートは、連結具を含めた質量中心がほぼ軸心上にあり、連結具による連結位置が軸心回りにアンバランスな状態で取り付けられることを特徴とする電磁連結装置。
【請求項9】
一対のプレートのうち、一方がモータの回転軸とともに一体回転可能な回転プレートであり、他方が前記回転プレートに制動トルクを加えるべく励磁によって回転プレートに対して接離動作を行う制動プレートである請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項10】
一対のプレートのうち、一方がクラッチを構成する駆動側クラッチ板であり、他方が前記駆動側クラッチ板に対して駆動トルクの伝達を行うべくすべく相対的に接離可能に配置される従動側クラッチ板である請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【請求項11】
一対のプレートのうち、一方がディスクブレーキを構成する回転ディスクであり、他方が前記回転ディスクを両側から挟んで制動トルクを加えるべく離間距離を変更可能に配置される一組の制動ディスクである請求項1〜8何れかに記載の電磁連結装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−185874(P2009−185874A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25359(P2008−25359)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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