説明

電装基板の取り付け構造

【課題】電装基板の配置スペースを極力小さくでき、電装基板の交換も容易な電装基板の取り付け構造及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100の本体フレーム30には切り抜き穴30aが形成されている。凹部35を有する基板取り付け板37には、電装基板31が基板固定ビス45a〜45dにより固定され、電装基板31が固定された基板取り付け板37の凹部35を切り抜き穴30aに挿入し、取り付け板固定ビス43a〜43dにより基板取り付け板37を本体フレーム30に固定する。これにより、電装基板31の表面が本体フレーム30aの表面と略面一となるように、基板取り付け板37を介して電装基板31が本体フレーム30に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を備えた電子機器等に用いられる電装基板の取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やパーソナルコンピュータ、テレビなどの電子機器においては、高電圧を必要とする装置内部のユニット(構成部材)に高電圧を印加するための電装基板が備えられている。この電装基板は、電装基板から発生する電磁波によるユニットへの悪影響を回避するためにユニットから離れた位置に配置され、ユニットの接点端子と電装基板とがコネクタ付電線で接続されることで電圧が供給される構成となっている。
【0003】
一方、電装基板上の電子部品から発生する電磁波ノイズがさらに外部にも漏れ出て周囲にある電気製品に影響を与えるおそれがある。この電磁波ノイズの漏出を防止する対策として、例えば特許文献1には、電磁波ノイズを遮断するシールドボックス内に電装基板を収納することにより、電磁波ノイズの遮蔽を効果的に行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−95967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、電装基板を取り付けたシールドボックスを本体フレームの板金表面に重ねて取り付ける構成であるため、板金表面からシールドボックスが突出して装置本体の外寸が大きくなり、装置の小型化、省スペース化の妨げとなる。
【0006】
ここで、本体フレームの裏面(内側面)に電装基板を取り付けることにより、電装基板の本体フレーム表面からの突出を回避することも可能である。しかし、この場合には、電装基板を交換するために本体フレームを取り外す必要が生じ、電装基板の交換作業が困難となる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、電装基板の配置スペースを極力小さくでき、電装基板の交換も容易な電装基板の取り付け構造及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、電子部品が配置された電装基板を装置本体のフレームに取り付ける電装基板の取り付け構造であって、前記フレームは、前記電子部品を挿入可能な開口部を有しており、前記電装基板が前記フレームに、前記電子部品が前記開口部に挿入されると共に前記電装基板の前記電子部品とは反対側の第1の面が前記フレームの前記反対側の第2の面と略面一または前記第2の面よりも前記電子部品側に配置されるように取り付けられることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の電装基板の取り付け構造において、前記フレームに、前記電子部品を収納可能な凹部が設けられ、前記開口部は、前記凹部の開口から形成されることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の電装基板の取り付け構造において、前記電装基板は、前記フレームに取り付け部材を介して取り付けられることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の電装基板の取り付け構造において、前記電装基板は、前記フレームに取り付け部材を介して取り付けられるものであり、前記凹部は、前記取り付け部材に形成され、前記フレームには、前記凹部が挿入される切り欠き穴が形成されたことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の電装基板の取り付け構造において、前記電装基板は、前記装置本体の構成部材に高電圧を印加するためのものであり、前記凹部の底面と前記電装基板との間に、前記底面に形成された穴部を貫通する円筒部を有する絶縁部材が配置され、前記円筒部に、一端が前記電装基板により押圧されると共に他端が前記構成部材と電気的に接続された接点に対して押圧される金属製のバネ部材が挿入されると共に支持され、前記バネ部材を介して前記電装基板と前記構成部材とが電気的に接続されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、フレームを、電子部品を挿入可能な開口部を有する構成とし、電装基板をフレームに、電子部品が開口部に挿入されると共に電装基板の電子部品とは反対側の第1の面がフレームの上記反対側の第2の面と略面一または第2の面よりも電子部品側に配置されるように取り付けることによって、電装基板の配置スペースを極力小さくすると共に電装基板の交換を容易とすることができる。
【0015】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の電装基板の取り付け構造において、フレームに、電子部品を収納可能な凹部を設け、開口部を、凹部の開口から形成することによって、電子部品から発生する電磁波ノイズを遮蔽することができる。
【0016】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の電装基板の取り付け構造において、電装基板をフレームに取り付け部材を介して取り付けることによって、電装基板を、該電装基板と装置本体の構成部材との間に介在する部品と共に、取り付け部材にサブアセンブリー化することが可能となるため、電装基板の交換作業を効率良く行うことができる。
【0017】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第2の構成の電装基板の取り付け構造において、電装基板を、フレームに取り付け部材を介して取り付けられる構成とし、凹部を、取り付け部材に形成し、フレームに、凹部が挿入される切り欠き穴を形成することによって、電子部品から発生する電磁波ノイズを遮蔽するのみならず、サブアセンブリー化が容易となるため電装基板の交換作業をより効率良く行うことができる。
【0018】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の電装基板の取り付け構造において、電装基板を、装置本体の構成部材に高電圧を印加するためのものとし、凹部の底面と電装基板との間に、底面に形成された穴部を貫通する円筒部を有する絶縁部材を配置し、円筒部に、一端が電装基板により押圧されると共に他端が構成部材と電気的に接続された接点に対して押圧される金属製のバネ部材を挿入して支持し、バネ部材を介して電装基板と構成部材とを電気的に接続することによって、電装基板を交換するとき電装基板と共に絶縁部材及びバネ部材も同時に取り外し及び取り付けることが可能となる。
【0019】
これにより、電装基板の交換に伴う煩雑な作業を回避することができるため、電装基板の交換作業をより効率良く行うことができる。加えて、電装基板と構成部材とを電気的に接続することが容易となる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1〜第5のいずれかの構成の電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置とすることによって、装置本体の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置の概略図である。
【図2】画像形成装置の側面カバーを取り外した状態を示す斜視図
【図3】図2における電装基板周辺の拡大図
【図4】電装基板周辺の縦断面図(図3のAA′断面)
【図5】図3の基板取り付け板の概略平面図
【図6】図5の基板取り付け板に絶縁板が配置された状態を示す概略平面図
【図7】円筒部周辺の縦断面図(図5のCC’断面)
【図8】電装基板周辺の電気的な接続状態を示す横断面図(図3のBB’断面)
【図9】本発明の第2実施形態に係る電装基板の取り付け構造を示す縦断面図
【図10】本発明の第3実施形態に係る電装基板の取り付け構造を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置の概略図である。画像形成装置100はタンデム式のカラー複写機であり、画像形成装置(装置本体)100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、図1では左側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像を順次形成する。
【0023】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに図1において反時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写されて重畳された後、二次転写ローラ9の作用によって記録媒体の一例としての用紙P上に転写され、さらに、定着部7において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0024】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ13a及びレジストローラ対13bを介して二次転写ローラ9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラ11との間のニップへと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9から見て中間転写ベルト8の移動方向の下流側には、電圧が印加され中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するクリーニングブレード17が配置されている。
【0025】
画像読取部20は、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサ等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0026】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0027】
画像読取部20から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって画像データに応じて光ビームを照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像読取部20からの画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ(現像剤担持体)を備え、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dの現像ローラにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0028】
そして、一次転写ローラ6a、6b、6c及び6dにより一次転写ローラ6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
【0029】
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ12に掛け渡されており、ベルト駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ13bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に近接して設けられた二次転写ローラ9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
【0030】
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラ対14のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対15を経て用紙搬送路19の分岐部に配置された搬送ガイド部材21によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路23に送られて両面コピーされた後に)、排出ローラ対25を介して排出トレイ18に排出される。
【0031】
用紙搬送路19は、具体的には、搬送ローラ対15の下流側において左右二股に分岐し、一方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は排出トレイ18に連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は両面搬送路23に連通するように構成されている。また、装置本体の剛性を高めて画像読取部20の重量を支えるために、装置本体の上面と画像読取部20との間には補強部材としての補強板金27が取り付けられている。
【0032】
図2は、画像形成装置の側面カバーを取り外した状態を示す斜視図、図3は、図2における電装基板周辺の拡大図、図4は、電装基板周辺の縦断面図(図3のAA′断面)であり、図5は、図3の基板取り付け板の概略平面図、図6は、図5の基板取り付け板に絶縁板が配置された状態を示す概略平面図、図7は円筒部周辺の縦断面図(図5のCC’断面)、図8は、電装基板周辺の電気的な接続状態を示す横断面図(図3のBB’断面)である。なお、図4では絶縁板51及び円錐バネ53、図8では電子部品33をそれぞれ省略して示す。
【0033】
図2〜図4に示すように、側面カバーの内側には板金製の本体フレーム(フレーム)30が存在し、本体フレーム30には高電圧を発生させるための電装基板31が取り付けられている。電装基板31の裏面(装置本体の内側面)には、トランジスタや交流電圧を直流電圧に変換するトランス、チョークコイル等の電子部品33が配置され、表面(装置本体の外側面)は、ハンダ面となっている。
【0034】
また、本体フレーム30には電装基板31を取り付けるための凹部35が設けられている。ここでは、凹部35は、後述する基板取り付け板(取り付け部材)37に形成されている。また、凹部35は、装置本体の内側(図4の左側参照)に向かって凹んでおり、その開口により開口部36が形成されている。開口部36の大きさは電装基板31とほぼ等しく、凹部35の深さは電装基板31上に配置された電子部品33の最大高さよりも深く形成されている。
【0035】
そして、電装基板31は、基板取り付け板37を介して、電子部品33が凹部35内に収納されるように本体フレーム30に取り付けられている。また、図4に示すように、電装基板31の表面(第1の面、図の右側面)と本体フレーム30の表面(第2の面、図の右側面)とは略面一となっている。なお、電装基板31の表面を本体フレーム30の表面よりも裏面側(電気部品33側、図の左側)に配置することもできる。
【0036】
図4に示すように、基板取り付け板37は、金属製の箱状から形成され、本体フレーム30よりも内側に凹んだ凹部35を有しており、凹部35は、本体フレーム30に形成された切り抜き穴30aに挿入されている。図3〜図5に示すように、凹部35における開口部36の各辺から本体フレーム30に沿って外側に、切り抜き穴30aの周縁と重なるフランジ部38a〜38dが突出している。このような凹部35及びフランジ部38a〜38dは、絞りや鋳型成形等により形成することができる。
【0037】
このうちフランジ部38a〜38cには、図5に示すように、取り付け板固定ビス43a〜43d(図3参照)のビス部が貫通する貫通孔39a〜39dが形成されている。また、本体フレーム30の貫通孔39a〜39dと対向する位置には、取り付け板固定ビス43a〜43dが捻じ込まれる不図示のビス孔が形成されている。そして、取り付け板固定ビス43a〜43dを用いてフランジ部38a〜38cを本体フレーム30に固定することにより、基板取り付け板37が本体フレーム30に取り付けられる。
【0038】
基板取り付け板37の凹部35の底面35aには、基板固定ビス45a〜45d(図3参照)のビス部が捻じ込まれるビス孔40a〜40dが形成されている。また、電装基板31のビス孔40a〜40dと対向する位置には、基板固定ビス45a〜45dのビス部が貫通する不図示の貫通孔が形成されている。そして、基板固定ビス45a〜45dを用いて電装基板31を底面35aに固定することにより、電装基板31が、基板取り付け板37に取り付けられる。
【0039】
また、底面35aには、図5の左右方向に沿って、複数(ここでは5つ)の穴部41が形成されている。図6に示すように、底面35aには、例えば樹脂材料から成る絶縁板(絶縁部材)51が配置されるようになっている。絶縁板51の穴部41と対向する位置には、絶縁板51から裏面側(図6の紙面奥側、図7の左側参照)及び表面側(図6の紙面手前側、図7の右側参照)に突出する円筒部51aが突設されており、絶縁板51を底面35aに配置すると、円筒部51aが穴部41に挿入される(図7参照)。
【0040】
図7に示すように、円筒部51aの内周面51aaの直径は、表面側(図7の右側)の方が裏面側(図7の左側)よりも大きくなっている。かかる円筒部51aには、表面側から金属製の円錐バネ(バネ部材)53が挿入され、円筒部51aに円錐バネ53が挿入されると、内周面51aaの直径の違いにより、裏面側への移動が規制される。
【0041】
これにより、円錐バネ53は、円筒部51から表面側及び裏面側に突出した状態で円筒部51に支持される。図8に示すように、電装基板31が基板取り付け板37に固定されると、円錐バネ53の表面側(図8の右側)端部は、電装基板31により裏面側(図8の左側)に押圧されると共に電装基板31の不図示の接点部と電気的に接続される。また、基板取り付け板37に、電装基板31、絶縁板51及び円錐バネ53がサブアセンブリー化される。
【0042】
また、本体フレーム30の裏面にはクリップ59が配置されており、クリップ59には、電源65(図2参照)から延出され、電源65から供給される電圧を電装基板31に供給するためのケーブル60が挟持されている。ケーブル60の先端には第1コネクタ60aが設けられており、第1コネクタ60aが凹部35に形成された不図示の貫通孔を貫通し、電装基板31に配置された第2コネクタ57と電気的に接続されることにより、電源65から電装基板31に電圧が供給される。
【0043】
また、基板取り付け板37の凹部35を挟んで電装基板31とは反対側(図8の左側)において円錐バネ53と対向する位置には、一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17(構成部材、図1参照)と電気的に接続された接点55a〜55eが配置されている。かかる接点55a〜55eは、接点保持台55に設けられている。
【0044】
電装基板31が固定された基板取り付け板37が本体フレーム30に固定されると、円錐バネ53の裏面側端部は、接点55a〜55eに対して押圧されると共に接点55a〜55eと電気的に接続される。これにより、円錐バネ53を介して電装基板31と接点55a〜55eとが電気的に接続され、電装基板31から一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17に高電圧を供給することが可能となる。
【0045】
次に、本体フレーム30への電装基板31の取り付け及び取り外しについて説明する。本体フレーム30に電装基板31を取り付ける際は、先ず、図8に示すように、基板取り付け板37の凹部35の底面35aに絶縁板51を配置して穴部41(図5参照)に円筒部51aを挿入し、円筒部51aに円錐バネ53を表面側から挿入する。
【0046】
その後、電装基板31を、これにより円錐バネ53の表面側端部を裏面側に押圧しながら凹部35の開口部36に配置し、基板固定ビス45a〜45dを締結して、電装基板31を基板取り付け板37に固定する。これにより、円錐バネ53と電装基板31とが電気的に接続される。
【0047】
そして、第1コネクタ60aを第2コネクタ57と接続し、電装基板31が取り付けられ円錐バネ53の裏面側端部が突出する基板取り付け板37の凹部35を、これにより円錐バネ53の裏面側端部を接点55a〜55eに対して押圧しながら本体フレーム30の切り抜き穴30aに挿入し、取り付け板固定ビス43a〜43dを締結して、基板取り付け板37を本体フレーム30に固定する。
【0048】
これにより、円錐バネ53と接点55a〜55eとが電気的に接続され、全体として、円錐バネ53を介して電装基板31と接点55a〜55eとが電気的に接続される。また、基板取り付け板37を介して電装基板31が本体フレーム30に取り付けられる。
【0049】
一方、本体フレーム30から電装基板31を取り外す際は、上記とは逆に、先ず取り付け板固定ビス43a〜43dを弛めて基板取り付け板37と共に電装基板31、絶縁板51及び円錐バネ53を取り外し、第2コネクタ57から第1コネクタ60aを取り外す。そして、基板固定ビス45a〜45dを弛めて基板取り付け板37から電装基板31を取り外し、電装基板31上の電子部品33を交換した後、再び上記の様に、電装基板31を本体フレーム30に基板取り付け板37を介して取り付ける。
【0050】
なお、必要に応じて、基板取り付け板37から電装基板31を取り外すと共に円錐バネ53及び絶縁板51を取り外すこともできる。また、基板取り付け板37を本体フレーム30から取り外すことなく、基板固定ビス45a〜45dを弛めることにより、電装基板31のみを本体フレーム30から取り外すこともできる。
【0051】
上記の通り、本体フレーム30を、電子部品33を挿入可能な開口部36を有する構成とし、電装基板31が本体フレーム30に、電子部品33が開口部36に挿入されると共に電装基板31の表面が本体フレーム30の表面と略面一またはこれよりも裏面側に配置されるように取り付けることにより、本体フレーム30表面から電装基板31が突出せず、本体フレーム30と側面カバーとの間隔を小さくすることができる。
【0052】
その結果、画像形成装置100本体の外寸も小さくなるため、装置の小型化、コンパクト化に寄与することができる。また、電装基板31を交換するために本体フレーム30を外す必要もないため、電装基板31の交換作業を容易とすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、本体フレーム30に、電子部品33を収納可能な凹部35を設け、開口部36を、凹部35の開口から形成したため、電子部品33から発生する電磁波ノイズを遮蔽することができる。
【0054】
また、本実施形態では、電装基板31を、本体フレーム30に基板取り付け板37を介して取り付けたため、電装基板31を、該電装基板31と一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17との間に介在する絶縁板51及び円錐バネ53と共に、本体フレーム30に取り付ける前に予め基板取り付け板37に取り付けてサブアセンブリー化することが可能となる。これにより、電装基板31の交換作業を効率良く行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、電装基板31を、本体フレーム30に基板取り付け板37を介して取り付ける構成とし、凹部35を、基板取り付け板37に形成し、本体フレーム30に、凹部35が挿入される切り欠き穴30aを形成したため、上記の様に凹部35により電子部品33から発生する電磁波ノイズを遮蔽することができる。加えて、凹部35に絶縁板51及び円錐バネ53を配置することができるため、サブアセンブリー化がより容易となり、電装基板31の交換作業をより効率良く行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、電装基板31を、一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17に高電圧を印加するためのものとし、凹部35の底面35aと電装基板31との間に、底面35aに形成された穴部41を貫通する円筒部51aを有する絶縁板51を配置し、円筒部51aに、表面側端部が電装基板31により押圧されると共に裏面側端部が接点55a〜55dに対して押圧される円錐バネ53を挿入すると共に支持し、円錐バネ53を介して電装基板31と一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17とを電気的に接続した。
【0057】
これにより、電装基板31を交換するとき電装基板31と共に絶縁板51及び円錐バネ53も同時に本体フレーム30から取り外し及び取り付けることが可能となる。従って、高電圧印加用の電装基板31の交換に伴う煩雑な作業を回避することができるため、電装基板31の交換作業をより効率良く行うことができる。
【0058】
加えて、電装基板31と一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17とを電気的に接続することが容易となる。特に、本実施形態では、カラーの画像形成装置100に設けられた複数の一次転写ローラ6a〜6dに円錐バネ53を用いて高電圧を印加することとしたため、電装基板31の交換に伴う煩雑さが一層回避されると共に、電気的な接続も一層容易となる。
【0059】
なお、電装基板31は、一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17のみならず、感光体ドラム1a〜1d、帯電装置2a〜2dや現像装置3a〜3d等、高電圧を必要とする装置本体のその他の構成部材に高圧を印加するためのものとすることもできる。ただし、電装基板31は、かかる高電圧印加用に特に限定されるものではない。
【0060】
また、本体フレーム30や基板取り付け板37の形状等は、本実施形態に特に限定されるものではなく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、電装基板31を、基板取り付け板37を用いることなく本体フレーム30に直接取り付けることもできる。
【0061】
図9は、本発明の第2実施形態に係る電装基板の取り付け構造を示す縦断面図である。第1実施形態の図4と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1実施形態のように基板取り付け板37に凹部35が形成される代わりに、本体フレーム30が凹んだ形状から凹部35が形成され、電装基板31が、基板取り付け板37を介することなく本体フレーム30に直接取り付けられている。また、第1実施形態と同様に、本体フレーム30の表面と電装基板31の表面とは略面一となっている。
【0062】
本実施形態においても、電装基板31上の電子部品33が開口部36及び凹部35内に収納されるため、本体フレーム30表面から電装基板31が突出せず、本体フレーム30と側面カバーとの間隔を小さくする共に、電装基板31の交換作業を容易とするこができる。なお、その他、本実施形態の本体フレーム30の凹部35に、例えば後述する第3実施形態と同様の基板取り付け板37を介して電装基板31を取り付けることもできる。
【0063】
また、本実施形態において、電装基板31を一次転写ローラ6a〜6d及びクリーニングブレード17に高電圧を印加するためのものとする場合には、本体フレーム30の凹部35の底面35aに第1実施形態の穴部41(図5参照)と同様の穴部を形成し、第1実施形態と同様に、かかる穴部に円筒部51aが挿入されるように絶縁板51を配置し、円筒部51aに円錐バネ53を挿入して、円錐バネ53の裏面側端部を接点55a〜55dに当接させる(図8参照)。
【0064】
そして、ケーブル60の第1コネクタ60aを電装基板31の第2コネクタ57に接続した後、電装基板31を、これにより円錐バネ53の表面側端部を裏面側に押圧しながら開口部36に配置し、基板固定ビス45a〜45dを用いて本体フレーム30に直接取り付ければよい。これにより、円錐バネ53の表面側端部が電装基板31により押圧され、裏面側端部が接点55a〜55eに対して押圧され、円錐バネ53を介して電装基板31と接点55a〜55eとが電気的に接続される。
【0065】
図10は、本発明の第3実施形態に係る電装基板の取り付け構造を示す縦断面図である。第1実施形態の図4と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1実施形態と同様に本体フレーム30には切り欠き穴30aが形成されているが、基板取り付け板37が箱状に形成される代わりに額縁状に形成され、かかる額縁状の基板取り付け板37の開口により開口部36が形成されている。
【0066】
また、基板取り付け板37の開口部36の周縁から内側に向かって、基板固定ビス45a〜45d(図3参照)が捻じ込まれる突出片47a〜47d(図10では47b、47cのみを示す)が突設されている。そして、電装基板31は、かかる基板取り付け板37を介して本体フレーム30に取り付けられている。また、第1実施形態と同様に、本体フレーム30の表面と電装基板31の表面とは略面一となっている。
【0067】
本実施形態においても、電装基板31上の電子部品33が開口部36内に収納されるため、本体フレーム30表面から電装基板31が突出せず、本体フレーム30と側面カバーとの間隔を小さくする共に、電装基板31の交換作業を容易とするこができる。また、本実施形態は、電装基板31の電磁波ノイズが小さい場合に効果的である。なお、その他、基板取り付け板37を用いることなく、上記した突出片47a〜47dと同様の突出片を本体フレーム30の切り欠き穴30aの周縁から開口の内側に突設し、かかる突出片に電装基板31を直接取り付けることもできる。
【0068】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、電装基板31上の電子部品33の個数や配置位置についても何ら制限はなく、電装基板31の構成に応じて適宜設計することができる。また、絶縁板51の大きさは、電装基板31と基板取り付け板37との絶縁状態等に応じて適宜設定することができる。
【0069】
また、上記実施形態で示した円錐バネ53及び円筒部51aの構成は、本発明の電装基板の取り付け構造に用いられるバネ部材及び円筒部の一例に過ぎず、電装基板31を取り付ける際、円筒部に挿入されるバネ部材を円筒部により支持することが可能であれば、バネ部材及び円筒部としてその他の構成を用いることもできる。
【0070】
また、電装基板31の交換作業の容易さを考慮すれば、バネ部材及び円筒部は、円筒部によりバネ部材の裏面側への移動を規制してこれを支持できる構成が好ましい。また、これらバネ部材や円筒部は本発明の必須構成要素ではなく、電装基板31の用途等に応じて用いればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、本発明の電装基板の取り付け構造をカラー複合機に適用したが、その他、複写機、ファクシミリやスキャナ、レーザプリンタ等のカラー及びモノクロの画像形成装置、或いはテレビ、パソコン等の電子機器に適用することにより、装置の小型化、コンパクト化に貢献するとともに、電装基板の着脱作業性も向上する。特に、高電圧を必要とする装置内部の構成部材に高電圧を印加するための電装基板を備えた画像形成装置やパーソナルコンピュータ、テレビなどの電子機器に適用することにより効果的となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、フレームが電子部品を挿入可能な開口部を有し、電装基板がフレームに、電子部品が開口部に挿入されると共に電装基板の電子部品とは反対側の第1の面がフレームの上記反対側の第2の面と略面一または第2の面よりも電子部品側に配置されるように取り付けられる電装基板の取り付け構造である。
【0073】
これにより、電装基板の配置スペースを極力小さくすると共に電装基板の交換作業を容易とすることができる。また、上記電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置とすることによって、装置本体の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0074】
6a〜6d 一次転写ローラ(構成部材)
17 クリーニングブレード(構成部材)
30 本体フレーム(フレーム)
30a 切り抜き穴
31 電装基板
33 電子部品
35 凹部
35a 底面
36 開口部
37 基板取り付け板(取り付け部材)
43a〜43d 取り付け板固定ビス
45a〜45d 基板固定ビス
51 絶縁板(絶縁部材)
51a 円筒部
51aa 内周面
53 円錐バネ(バネ部材)
55a〜55e 接点
100 画像形成装置(装置本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が配置された電装基板を装置本体のフレームに取り付ける電装基板の取り付け構造であって、
前記フレームは、前記電子部品を挿入可能な開口部を有しており、
前記電装基板が前記フレームに、前記電子部品が前記開口部に挿入されると共に前記電装基板の前記電子部品とは反対側の第1の面が前記フレームの前記反対側の第2の面と略面一または前記第2の面よりも前記電子部品側に配置されるように取り付けられることを特徴とする電装基板の取り付け構造。
【請求項2】
前記フレームに、前記電子部品を収納可能な凹部が設けられ、前記開口部は、前記凹部の開口から形成されることを特徴とする請求項1に記載の電装基板の取り付け構造。
【請求項3】
前記電装基板は、前記フレームに取り付け部材を介して取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電装基板の取り付け構造。
【請求項4】
前記電装基板は、前記フレームに取り付け部材を介して取り付けられるものであり、
前記凹部は、前記取り付け部材に形成され、
前記フレームには、前記凹部が挿入される切り欠き穴が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の電装基板の取り付け構造。
【請求項5】
前記電装基板は、前記装置本体の構成部材に高電圧を印加するためのものであり、
前記凹部の底面と前記電装基板との間に、前記底面に形成された穴部を貫通する円筒部を有する絶縁部材が配置され、
前記円筒部に、一端が前記電装基板により押圧されると共に他端が前記構成部材と電気的に接続された接点に対して押圧される金属製のバネ部材が挿入されると共に支持され、
前記バネ部材を介して前記電装基板と前記構成部材とが電気的に接続されることを特徴とする請求項4に記載の電装基板の取り付け構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電装基板の取り付け構造を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−249700(P2011−249700A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123747(P2010−123747)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】