説明

電話機およびその制御方法、電話機制御プログラム、並びに、該プログラムを記録した記録媒体

【課題】呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作を行う。
【解決手段】固定電話機は、公衆網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行うものであり、呼出しの発信元番号を取得する発信元番号取得部42と、携帯電話機と近距離無線通信を行う近距離無線通信部28と、呼出しを検知すると、近距離無線通信部28と近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、発信元番号取得部42が取得した発信元番号が存在するか否かの判定を行う存否判定部43と、存否判定部43の判定結果に基づいて、呼出動作を制御する呼出動作制御部44とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行う電話機およびその制御方法、電話機制御プログラム、並びに、該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼出動作とは、電話網からの呼出しを検知した場合に行われる動作をいい、例えば報知動作、留守番電話動作などが挙げられる。近時の携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ装置などの各種電話機は、呼出音に関する設定、留守番電話機能に関する設定など、種々の呼出動作の設定を、ユーザが選択することができる。また、ユーザが在宅か不在かを検知して、検知結果に基づいて上記呼出動作の設定を行う電話機が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のボタン電話機は、電話応答者を特定できるRFIDタグが、自機の周辺に存在するか否かを識別し、識別結果に基づいて、留守番電話モードを設定または解除するものである。これにより、電話応答者の不在を特定して、留守番電話機能へ移行することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載の設定統一装置は、携帯電話機とファクシミリ装置との間で送受信が可能であることを検出すると、類似する設定項目について、設定内容を統一するものである。これにより、携帯電話機とファクシミリ装置とを、ユーザが個別に操作し、電話機としての設定内容を統一させる手間を省くことができる。
【0005】
また、特許文献3に記載のファクシミリ装置は、搭載された携帯電話機が取り外されたことを検出すると、自動的に留守モードに設定するものである。これにより、携帯電話機が取り外されると自動的に留守モードになるので、留守モードにするためにわざわざスイッチなどで設定しなくて済む。
【特許文献1】特開2006−074179号公報(2006年03月16日公開)
【特許文献2】特開2006−050261号公報(2006年02月16日公開)
【特許文献3】特開平10−126526号公報(1998年05月15日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、固定電話機およびファクシミリ装置は、複数のユーザによって利用される。しかしながら、特許文献1〜3では、電話応答者の不在をユーザ別に特定して、留守番電話機能へ移行することが困難である。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作を行う電話機などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電話機は、電話網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行う電話機であって、上記課題を解決するために、前記呼出しの発信元の電話番号である発信元番号を取得する発信元取得手段と、携帯電話機と近距離通信を行う近距離通信部と、前記呼出しを検知すると、前記近距離通信部と近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が存在するか否かの判定を行う存否判定手段と、該存否判定手段の判定結果に基づいて、前記呼出動作を制御する呼出動作制御手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る電話機の制御方法は、電話網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行う電話機の制御方法であって、上記課題を解決するために、前記呼出しの発信元の電話番号である発信元番号を取得する発信元取得ステップと、前記呼出しを検知すると、近距離通信部を介して近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、前記発信元取得ステップにて取得された発信元番号が存在するか否かの判定を行う存否判定ステップと、該存否判定ステップの判定結果に基づいて、前記呼出動作を制御する呼出動作制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0010】
上記の構成および方法によると、電話網からの呼出しを検知すると、近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、上記呼出しの発信元番号が存在するか否かの判定を行い、該判定結果に基づいて、呼出動作が制御される。ところで、携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号は、上記携帯電話機のユーザが応答する可能性の高い電話番号であると考えられる。従って、上記呼出しの発信元番号が電話帳に存在する携帯電話機のユーザは、上記呼出しに対し応答する可能性が高いと考えられる。また、近距離通信が可能な携帯電話機は、電話機から近距離通信可能な範囲内に存在する。従って、近距離通信が可能な携帯電話機のユーザは、電話機から近距離通信可能な範囲内、すなわち電話機での呼出しに応答可能な範囲内に存在すると推測される。
【0011】
このことから、近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に上記呼出しの発信元番号が存在する場合、上記呼出しに対し応答する可能性が高いユーザが、上記呼出しに応答可能な範囲内に存在すると考えられる。従って、近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に上記呼出しの発信元番号が存在するか否かの判定に基づいて呼出動作が制御されることにより、上記呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作を行うことができる。
【0012】
なお、近距離通信とは、近距離で行われる通信をいい、例えば、近距離無線通信、近距離のケーブルを利用した有線通信などが挙げられる。
【0013】
本発明に係る電話機では、情報を記憶する記憶部と、前記携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号を取得する電話番号取得手段とをさらに備えており、前記記憶部は、前記電話番号取得手段が取得した電話番号を前記携帯電話機に対応付けた電話番号対応情報を記憶しており、前記存否判定手段は、前記呼出しを検知すると、前記近距離通信部と近距離通信を行う携帯電話機を検知する携帯電話機検知手段と、該携帯電話機検知手段が検知する携帯電話機の集合と、前記発信元取得手段が取得した発信元番号と、前記記憶部に記憶された電話番号対応情報とを利用して前記判定を行う第1判定手段とを備えてもよい。
【0014】
上記構成の電話機は、上記存否判定手段の判定を、記憶部に記憶された電話番号対応情報を利用して行うので、上記呼出しを検知してから携帯電話機から電話帳の電話番号を取得する必要が無い。その結果、上記存否判定手段の判定を迅速に行うことができる。
【0015】
なお、第1判定手段は、上記発信元番号と一致する電話番号に対応付けられた携帯電話機を、上記携帯電話検知手段が検知しているか否かに基づいて上記判定を行ってもよいし、上記携帯電話検知手段が検知した携帯電話機に対応する電話番号の集合に上記発信元番号が含まれるか否かに基づいて上記判定を行ってもよい。また、電話番号取得手段は、携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号を、近距離通信で取得することが望ましいが、電話網、記録媒体など、種々の媒体を介して取得してもよい。
【0016】
本発明に係る電話機では、前記記憶部は、登録された携帯電話機のみを対象として、前記電話番号対応情報を記憶しており、前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できなかった場合、前記呼出動作制御手段は、前記携帯電話機検知手段が前記登録された携帯電話機の少なくとも1つを検知するか否かに基づいて、前記呼出動作を制御してもよい。
【0017】
電話帳に登録された全ての携帯電話機の電話帳に上記呼出しの発信元番号が存在しない場合、上記呼出しは、電話機のユーザ、すなわち上記登録された携帯電話機の何れのユーザが応答しても問題が無いと考えられる。従って、上記構成の場合、上記登録された携帯電話機のユーザが上記電話機にて応答可能な範囲内に、少なくとも1人存在するか、或いは誰も存在しないかに基づいて呼出動作を制御するので、登録された携帯電話機の電話帳に存在しない電話番号からの呼出しに対しても、上記ユーザの有無に対応した適切な呼出動作を行うことができる。
【0018】
本発明に係る電話機では、前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機を前記携帯電話機検知手段が検知していない場合、前記呼出しを検知した旨を、前記電話網を介して前記対応する携帯電話機に通知する呼出通知手段をさらに備えてもよい。
【0019】
この場合、上記呼出しに対して応答する可能性が高いけれども、電話機にて応答可能な範囲内に存在しないユーザの携帯電話機に、上記呼出しを検知した旨を通知できるので、利便性が向上する。なお、上記通知は、電話で行ってもよいし、電子メールで行ってもよい。また、ファクシミリ通信の場合、ファクシミリの画像を、上記携帯電話機に送信してもよい。
【0020】
本発明に係る電話機では、前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機を、前記携帯電話機検知手段が検知していない場合、前記呼出動作制御手段が制御する呼出動作は、発信元からのメッセージを、前記電話網を介して取得し、取得したメッセージを、前記携帯電話機を識別する識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶するものであってもよい。
【0021】
この場合、音声、動画等の上記メッセージは、上記呼出しに対して応答する可能性が高いけれども、電話機にて応答可能な範囲内に存在しないユーザ専用のメッセージとなるので、利便性が向上する。例えば、上記識別情報が電話番号であり、携帯電話機から電話網を介して上記メッセージをリモート再生する場合、発信元番号(すなわち上記携帯電話機の電話番号)に対応するメッセージを優先的に送信したり、上記携帯電話機のみに送信したりすることができる。また、上記携帯電話機が近距離通信可能となった場合、該携帯電話機の識別情報に対応するメッセージを優先的に再生したり、上記の場合にのみ再生したりすることができる。
【0022】
本発明に係る電話機では、前記存否判定手段は、前記呼出しを検知すると、前記携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号の集合を、前記携帯電話機から前記近距離通信部を介して取得する電話番号取得手段と、前記電話番号取得手段が取得した電話番号の集合に、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が存在するか否かに基づいて前記判定を行う第2判定手段とを備えてもよい。この場合、上記電話番号対応情報を予め記憶部に記憶する必要がないので、記憶部の記憶容量を低減することができる。
【0023】
本発明に係る電話機では、前記存否判定手段は、前記呼出しを検知すると、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が、前記携帯電話機の電話帳に存在するか否かを、前記近距離通信部を介して前記携帯電話機に問い合せることにより、前記判定を行う発信元番号問合手段を備えてもよい。この場合、携帯電話機から近距離通信を介して上記問合結果を取得すればよく、携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号の集合を、記憶部にて記憶したり、携帯電話機から近距離通信を介して取得したりする必要がない。従って、電話機のリソースの負担を軽減することができる。
【0024】
本発明に係る電話機では、情報を記憶する記憶部をさらに備えており、該記憶部は、前記存否判定手段の判定結果と、呼出動作の設定情報とを対応付けた呼出動作対応情報を記憶しており、前記呼出動作制御手段は、前記記憶部の呼出動作対応情報を参照して、前記存否判定手段の判定結果に対応する呼出動作の設定情報に基づいて呼出動作を制御することが好ましい。この場合、上記呼出動作の設定情報を変更することにより、呼出動作を容易に変更することができる。なお、上記呼出動作対応情報は、携帯電話機ごとに設定してもよい。この場合、携帯電話機ごとに呼出動作を変更することができる。
【0025】
本発明に係る電話機では、前記存否判定手段は、登録された携帯電話機のみを対象として前記判定を行うことが好ましい。この場合、近距離通信可能な第三者の携帯電話機に対し、電話帳の電話番号を要求したり、問合せを行ったりすることを防止できる。
【0026】
なお、上記電話機の各手段を、電話機制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記電話機制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記電話機制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係る電話機は、近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に呼出しの発信元番号が存在するか否かの判定に基づいて呼出動作を制御するので、上記呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作が可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図2は、本実施形態の電話システムの概要を示している。図示のように、電話システム10は、公衆網(電話網)と接続された固定電話機(電話機)11と、固定電話機11と近距離無線通信可能な複数の携帯電話機12とを備える構成である。なお、図示の例では、携帯電話機12は2台であるが、1台でもよいし、3台以上でもよい。以下では、携帯電話機12をそれぞれ区別する場合には「第1携帯電話機12a」・「第2携帯電話機12b」と記載し、総称する場合には「携帯電話機12」と記載する。
【0029】
固定電話機11は、公衆網からの呼出しを検知すると、報知動作、留守番電話動作などの呼出動作を行うものである。本実施形態では、固定電話機11は、上記呼出しを検知すると、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳に、上記呼出しの発信元の電話番号である発信元番号が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記呼出動作を制御している。
【0030】
近距離無線通信を行う携帯電話機の電話帳に上記呼出しの発信元番号が存在する場合、上記呼出しに対し応答する可能性が高いユーザが、上記呼出しに応答可能な範囲内に存在すると考えられる。従って、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳に上記呼出しの発信元番号が存在するか否かの判定に基づいて呼出動作が制御されることにより、上記呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作を行うことができる。
【0031】
次に、電話システム10の詳細について説明する。図3および図4は、それぞれ固定電話機11および携帯電話機12の概略構成を示している。図3に示すように、固定電話機11は、制御部(呼出通知手段)20、記憶部21、公衆網通信部22、ハンドセット24、表示部25、操作部26、スピーカ27、および近距離無線通信部(近距離通信部)28を備える構成である。
【0032】
制御部20は、固定電話機11内の各種構成を統括的に制御するものである。制御部20の機能は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。なお、制御部20の詳細は後述する。
【0033】
記憶部21は、各種データおよびプログラムを記憶するものである。記憶部21の例としては、制御部20が動作するときに必要なプログラムや、通信制御データなどの固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)と、通信に関するデータ、演算に使用するデータ、および演算結果などを一時的に記憶する、いわゆるワーキングメモリとしてのRAMと、各種の設定データなどを記憶する書換え可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)とが挙げられる。なお、記憶部21の詳細は後述する。
【0034】
公衆網通信部22は、公衆網と通信するためのものである。すなわち、公衆網通信部22は、公衆網からの信号を、固定電話機11での処理に適した形式に変換して、固定電話機11内の各部に送信すると共に、固定電話機11の各部からの信号を、公衆網での送信に適した形式に変換して、公衆網に送信するものである。なお、公衆網の例としては、公衆交換電話網、公衆交換回線網などが挙げられる。
【0035】
ハンドセット24は、固定電話機11にて通話を行うためのものであり、マイクなどの音声入力デバイスと、イヤホンなどの音声出力デバイスとを備えるものである。音声入力デバイスを介して音声入力された音声信号は、公衆網通信部22に送信される一方、公衆網通信部22から受信した音声信号は、音声出力デバイスを介して音声出力される。
【0036】
表示部25は、制御部20から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて表示画面に画像を表示するものである。具体的には、表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示素子と、受信した画像データに基づいて表示素子を駆動するドライバ回路とを備える構成である。
【0037】
操作部26は、固定電話機11の表面に設けられたダイヤルキーなどの入力デバイスをユーザが操作することにより、操作データを作成して制御部20に送信するものである。入力デバイスとしては、ボタンスイッチの他にタッチパネルなどが挙げられる。
【0038】
スピーカ27は、制御部20からの電気信号を音波に変換して、各種の情報を外部に音声出力するものである。特に、スピーカ27は、公衆網呼出しなどの報知を行うものである。
【0039】
近距離無線通信部28は、携帯電話機12と近距離無線通信を行うためのものである。具体的には、近距離無線通信部28は、制御部20から受信したデータを近距離無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号を、アンテナを介して外部に送信するものである。また、近距離無線通信部28は、外部からアンテナを介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部20に送信するものである。近距離無線通信部28では、データの変復調処理、RF(Radio Frequency)処理などが行われる。
【0040】
なお、近距離無線通信の例としては、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)、UWB(Ultra WideBand)、無線LAN(IEEE802.11)などが挙げられる。また、上記近距離無線通信のデータ伝送媒体の例としては、光、電波などが挙げられる。しかしながら、赤外線などの光を利用する場合、照射方向を送信先の受光部に合わせる必要がある。従って、データ伝送媒体としては電波が望ましい。
【0041】
本実施例では、近距離無線通信により携帯電話機12の存在を検知した場合、検知した携帯電話機12のユーザが、固定電話機11での呼出動作に対応できる距離に存在していると判断している。このため、近距離無線通信部28は、近距離無線通信が可能な距離が、固定電話機11での呼出動作に対して人が対応できる距離(例えば20m程度)となるように、無線通信の出力強度が調整されている。
【0042】
携帯電話機12は、図4に示すように、制御部30、記憶部31、携帯電話通信部32、ハンドセット34、表示部35、操作部36、スピーカ37、および近距離無線通信部38を備える構成である。なお、携帯電話機12における制御部30、記憶部31、ハンドセット34、表示部35、操作部36、スピーカ37、および近距離無線通信部38は、固定電話機11における制御部20、記憶部21、ハンドセット24、表示部25、操作部26、スピーカ27、および近距離無線通信部28とそれぞれ同様の機能を有するので、その説明を省略する。
【0043】
携帯電話通信部32は、携帯電話用基地局(図示せず)と無線通信するためのものである。具体的には、携帯電話通信部32は、制御部30から受信したデータを、上記携帯電話用基地局への無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号を、アンテナを介して外部に送信するものである。また、携帯電話通信部32は、外部から上記アンテナを介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部30に送信するものである。携帯電話通信部32では、チャネルコーデック処理、ベースバンド信号処理、データの変復調処理、RF(Radio Frequency)処理などが行われる。
【0044】
記憶部31には、携帯電話機12のユーザが登録した電話帳データ31aが記憶されている。電話帳データ31aは、氏名または名称と電話番号とが対応付けられたデータを少なくとも含む公知の構成である。
【0045】
次に、固定電話機11の制御部20および記憶部21の詳細について説明する。図1は、固定電話機11の制御部20および記憶部21の概略構成を示している。図示のように、制御部20は、電話番号取得部(電話番号取得手段)40、呼出検知部41、発信元番号取得部(発信元取得手段)42、存否判定部(存否判定手段)43、および呼出動作制御部(呼出動作制御手段)44を備える構成である。また、記憶部21は、電話番号テーブル(電話番号対応情報)21aおよび呼出動作設定テーブル(呼出動作対応情報)21bを記憶している。
【0046】
電話番号テーブル21aは、各携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号の集合を、携帯電話機12を識別する識別情報と対応付けて含むものである。図5は、電話番号テーブル21aの一例を示している。図示の例では、電話番号テーブル21aは、3台の携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号の集合を、当該携帯電話機12の識別情報A・B・Cに対応付けて含んでいる。
【0047】
なお、携帯電話機12を識別する識別情報は、携帯電話機12から近距離無線通信を介して受信可能なものであればよい。また、上記識別情報は、固定電話機11と近距離無線通信を行う可能性のある複数の携帯電話機12のみを識別できる程度のものでよい。上記識別情報の例としては、携帯電話機12の加入者識別情報、電話番号、携帯電話機12固有の識別情報、MAC(Media Access Control)アドレス、ユーザの氏名、ユーザのニックネーム、ユーザの間柄、などが挙げられる。
【0048】
また、図5に示す電話番号テーブル21aは、電話番号以外にも、電話帳データ31aに含まれる氏名などのデータを含んでもよい。この場合、呼出履歴を出力する場合に、発信元番号に対応する氏名などの各種情報を出力することができる。
【0049】
呼出動作設定テーブル21bは、呼出動作の設定情報を、近距離無線通信部28が近距離無線通信する携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在するか否かに対応付けて含むものである。図6は、呼出動作設定テーブル21bの一例を示している。図示の例では、呼出動作の設定情報として、報知の設定情報、留守番電話の設定情報、および自機設定と同じ設定情報の中から選択される。上記報知の設定情報は、スピーカ27から音を出力したり、表示部25の表示画面を点滅したりするなどして、着呼を周囲に報知するものである。また、上記留守番電話の設定情報は、公知の留守番電話の動作を行うものである。また、上記自機設定と同じ設定情報は、自機(固定電話機11)の呼出動作と同じ呼出動作を行うものである。
【0050】
例えば、図6において「ある」に対し「報知」が設定されている場合を考える。この場合に呼出しを検知すると、固定電話機11は、本体設定が留守番電話の設定であっても、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在すると、報知の呼出動作が行われることになる。従って、上記携帯電話機12のユーザが呼出しに応答でき、利便性が向上する。
【0051】
また、図6において「ある」に対し「留守番電話」が設定されている場合を考える。この場合に呼出しを検知すると、固定電話機11は、本体設定が報知の設定であっても、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在すると、留守番電話が実行されることになる。これは、上記携帯電話機12のユーザが、多忙のために居留守を利用したい場合や、電話帳が私的な電話番号のみを含み、かつ仕事場で私的な電話に対し応答したくない場合などに有効である。
【0052】
また、図6において「ない」に対し「留守番電話」が設定されている場合を考える。この場合に呼出しを検知すると、固定電話機11は、本体設定が報知の設定であっても、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在しないと、留守番電話が実行されることになる。これは、携帯電話機12を所有していない幼い子供が、固定電話機11の近くに存在しても、上記呼出しに対し誤って応答することを防止できるので、利便性が向上する。
【0053】
また、図6において「ない」に対し「報知」が設定されている場合を考える。この場合に呼出しを検知すると、固定電話機11は、本体設定が留守番電話の設定であっても、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在しないと、報知の呼出動作が実行されることになる。これは、電話帳が私的な電話番号のみを含み、かつ仕事場で公的な電話に対し応答したい場合などに有効である。
【0054】
なお、呼出動作の設定情報は、図6に示すものに限られない。例えば、呼出音、音量、呼出回数、呼出時間、点滅パターンなどを呼出動作の設定情報として呼出動作設定テーブル21bに含むこともできる。また、呼出動作の設定情報は、ユーザが操作部26を介して操作することにより、変更可能であることが望ましい。また、呼出動作の設定情報は、携帯電話機12ごとに設定可能であってもよい。
【0055】
電話番号取得部40は、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号を取得するものである。電話番号取得部40は、取得した電話番号を、当該携帯電話機12の識別情報と対応付けて、記憶部21の電話番号テーブル21aに格納する。なお、電話番号テーブル21aに当該携帯電話機12の電話番号の集合が既に存在する場合には、該集合に追加または上書きすればよい。
【0056】
本実施形態では、近距離無線通信部28が携帯電話機12と近距離無線通信を行う時に、電話番号取得部40は、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号の集合を、携帯電話機12から近距離無線通信部28を介して取得している。なお、電話番号取得部40は、上記電話番号の集合を、赤外線通信などの別の近距離無線通信を介して取得してもよいし、ケーブルを接続して近距離有線通信により取得してもよいし、電話網を介して取得してもよいし、着脱可能な記録媒体を介して取得してもよいし、ユーザが操作部26を介して入力することにより取得してもよい。このように、電話番号取得部40は、上記電話番号の集合を種々の方法で取得することができる。
【0057】
呼出検知部41は、公衆網から公衆網通信部22を介して呼出信号を取得することにより、呼出しを検知するものである。呼出検知部41は、呼出しを検知した旨を発信元番号取得部42および存否判定部43に通知する。
【0058】
発信元番号取得部42は、呼出検知部41が検知した呼出しの発信元番号を、公衆網から公衆網通信部22を介して取得するものである。発信元番号取得部42は、取得した発信元番号を存否判定部43に送出する。
【0059】
存否判定部43は、呼出検知部41からの通知を受け取ると、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに、発信元番号取得部42からの発信元番号が存在するか否かを判定する存否判定を行うものである。存否判定部43は、上記存否判定の結果を呼出動作制御部44に送出する。なお、存否判定部43の詳細については後述する。
【0060】
呼出動作制御部44は、存否判定部43からの上記存否判定の結果に基づき、固定電話機11における報知、留守番電話などの呼出動作を制御するものである。具体的には、呼出動作制御部44は、記憶部21の呼出動作設定テーブル21bを参照して、存否判定部43からの上記存否判定の結果に対応する呼出動作の設定情報を取得し、取得した設定情報に対応する呼出動作を行うように、各種デバイスを制御するものである。
【0061】
例えば、取得した呼出動作の設定情報が報知の設定情報である場合、呼出動作制御部44は、記憶部21に記憶された着信音データを読み出し、読み出した着信音データをスピーカ27に送信することにより、着信音を出力する。また、取得した呼出動作の設定情報が留守番電話の設定情報である場合、呼出動作制御部44は、公衆網通信部22に指示して発信元との接続を確立させ、記憶部21から音声メッセージを読み出して公衆網通信部22を介して送信元に送信し、送信元から公衆網通信部22を介して受信した音声メッセージを記憶部21に記憶する。なお、呼出動作は公知であるので、その他の呼出動作の説明は省略する。
【0062】
次に、存否判定部43の詳細について説明する。本実施形態では、存否判定部43は、携帯電話機検知部(携帯電話機検知手段)45および第1判定部(第1判定手段)46を備える構成である。
【0063】
携帯電話機検知部45は、呼出検知部41からの通知を受け取ると、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12を検知するものである。携帯電話機検知部45は、検知している携帯電話機12の識別情報を第1判定部46に送出する。
【0064】
第1判定部46は、携帯電話機検知部45からの携帯電話機12の識別情報の集合と、発信元番号取得部42からの発信元番号と、記憶部21の電話番号テーブル21aとを利用して、上記存否判定を行うものである。第1判定部46は、上記存否判定の判定結果を呼出動作制御部44に送出する。
【0065】
一例では、第1判定部46は、まず、電話番号テーブル21aを参照して、上記発信元番号と一致する電話番号に対応付けられた携帯電話機12の識別情報を取得する。そして第1判定部46は、取得した携帯電話機12の識別情報が、携帯電話機検知部45からの携帯電話機12の識別情報の集合に含まれるか否かにより上記存否判定を行うことができる。
【0066】
他の例では、第1判定部46は、まず、携帯電話機検知部45からの携帯電話機12の識別情報の集合に対応付けられた電話番号の集合を、電話番号テーブル21aを参照して取得する。そして、第1判定部46は、取得した電話番号の集合に上記発信元番号が含まれるか否かにより上記存否判定を行うことができる。
【0067】
上記構成の固定電話機11における処理動作について、図7を参照して説明する。図7は、固定電話機11の制御部20が行う処理動作を示している。
【0068】
図7に示すように、まず、電話番号取得部40は、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12が存在するまで待機する(ステップS10(以下「S10」と略称することがある。他のステップについても同様である。))。上記携帯電話機12が存在すると、電話番号取得部40は、当該携帯電話機12の電話帳データ31aから近距離無線通信部28を介して電話番号を取得し、取得した電話番号を携帯電話機12の識別情報と対応付けて電話番号テーブル21aに記憶する(S11)。
【0069】
次に、呼出検知部41が公衆網からの呼出しを検知したか否かを判断する(S12)。上記呼出しを検知していない場合、ステップS10に戻って上記動作を繰り返す。一方、上記呼出しを検知した場合、発信元番号取得部42は、上記呼出しの発信元番号を取得すると共に(S13)、携帯電話機検知部45は、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12を検知する(S14)。
【0070】
次に、第1判定部46は、携帯電話機検知部45が検知した携帯電話機12の識別情報の集合と、発信元番号取得部42が取得した発信元番号と、記憶部21の電話番号テーブル21aとを利用して、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳に上記発信元番号が存在するか否かの存否判定を行う(S15)。そして、呼出動作制御部44は、上記存否判定の結果に対応する呼出動作の設定情報に基づいて呼出動作を制御する(S16)。その後、処理動作を終了する。
【0071】
従って、本実施形態の固定電話機11は、記憶部21に予め記憶された電話番号テーブル21aを利用して上記存否判定を行うので、上記呼出しを検知してから、携帯電話機12から電話帳データ31aの電話番号を取得する必要が無い。その結果、上記存否判定を迅速に行うことができる。
【0072】
ところで、近距離無線通信部28と近距離無線通信が可能な範囲が広い場合、見知らぬ第三者の携帯電話機12の電話帳データ31aから電話番号を取得してしまう虞がある。そこで、記憶部21の電話番号テーブル21aに格納する対象となる携帯電話機12を、家族や社員など、予め登録された携帯電話機12のみとすることが望ましい。この場合、電話番号取得部40は、未登録の携帯電話機12の電話帳データ31aにおける電話番号を無駄に取得して記憶部21の電話番号テーブル21aに格納することを防止できるので、リソースの負担を軽減できる。
【0073】
さらに、上記発信元番号に一致する電話番号を第1判定部46が記憶部21の電話番号テーブル21aにて検索できなかった場合、呼出動作制御部44は、携帯電話機検知部45が上記登録された少なくとも1つの携帯電話機12を検知するか否かに基づいて、呼出動作を制御してもよい。
【0074】
固定電話機11に予め登録された全ての携帯電話機12の電話帳データ31aに上記呼出しの発信元番号が存在しない場合、上記呼出しは、固定電話機11のユーザ、すなわち上記登録された携帯電話機12の何れのユーザが応答しても問題が無いと考えられる。従って、上記構成の場合、上記登録された携帯電話機12のユーザが固定電話機11にて応答可能な範囲内に、少なくとも1人存在するか、或いは誰も存在しないかに基づいて呼出動作を制御するので、上記登録された携帯電話機12の電話帳データ31aに存在しない電話番号からの呼出しに対しても、上記ユーザの有無に対応した適切な呼出動作を行うことができる。
【0075】
また、上記発信元番号に一致する電話番号を第1判定部46が記憶部21の電話番号テーブル21aにて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機12が、携帯電話機検知部45が検知していない場合、制御部(呼出通知手段)20は、上記呼出しを検知した旨を、公衆網を介して上記対応する携帯電話機12に通知してもよい。
【0076】
この場合、上記呼出しに対して応答する可能性が高いけれども、固定電話機11にて応答可能な範囲内に存在しないユーザの携帯電話機12に、上記呼出しを検知した旨を通知できるので、利便性が向上する。なお、上記通知は、電話で行ってもよいし、電子メールで行ってもよい。また、ファクシミリ通信の場合、ファクシミリの画像を、上記携帯電話機12に送信してもよい。
【0077】
また、上記発信元番号に一致する電話番号を第1判定部46が記憶部21の電話番号テーブル21aにて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機12が、携帯電話機検知部45が検知していない場合、呼出動作制御部44が制御する呼出動作は、発信元からのメッセージを、公衆網を介して取得し、取得したメッセージを、上記携帯電話機12を識別する識別情報と対応付けて記憶部21に記憶するものであってもよい。
【0078】
この場合、上記メッセージは、上記呼出しに対して応答する可能性が高いけれども、固定電話機11にて応答可能な範囲内に存在しないユーザ専用のメッセージとなるので、利便性が向上する。例えば、上記識別情報が電話番号であり、携帯電話機12から公衆網を介して上記メッセージをリモート再生する場合、発信元番号(すなわち上記携帯電話機12の電話番号)に対応するメッセージを優先的に送信したり、上記携帯電話機12のみに送信したりすることができる。また、上記携帯電話機12が近距離無線通信可能となった場合、当該携帯電話機12の識別情報に対応するメッセージを優先的に再生したり、上記の場合にのみ再生したりすることができる。
【0079】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について図8および図9を参照して説明する。図1〜図7に示す固定電話機11では、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号を、公衆網からの呼出しを検知する前に取得していたが、本実施形態の固定電話機11では、上記呼出しを検知した時に取得している。これにより、電話帳データ31aを予め記憶部21に記憶する必要がないので、記憶部21の記憶容量を低減することができ、また、プライバシー保護の観点からも有利である。
【0080】
図8は、本実施形態の固定電話機11における制御部20の概略構成を示している。本実施形態の固定電話機11は、図1に示す固定電話機11に比べて、電話番号取得部40および電話番号テーブル21aが省略される点と、存否判定部43に代えて、存否判定部50が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
存否判定部50は、電話番号取得部(電話番号取得手段)51および第2判定部(第2判定手段)52を備える構成である。電話番号取得部51は、呼出検知部41からの通知を受け取ると、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号の集合を、携帯電話機12から近距離無線通信部28を介して取得するものである。電話番号取得部51は、取得した電話番号の集合を第2判定部52に送出する。
【0082】
第2判定部52は、電話番号取得部51からの電話番号の集合に、発信元番号取得部42からの発信元番号が存在するか否かに基づいて上記存否判定を行うものである。第2判定部52は、上記存否判定の判定結果を呼出動作制御部44に送出する。
【0083】
上記構成の固定電話機11における処理動作について、図9を参照して説明する。図9は、固定電話機11の制御部20が行う処理動作を示している。
【0084】
まず、呼出検知部41が公衆網からの呼出しを検知するまで待機する(S12)。上記呼出しを検知すると、発信元番号取得部42は、上記呼出しの発信元番号を取得する(S13)。また、電話番号取得部51は、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12を検知し、検知した携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号の集合を、携帯電話機12から近距離無線通信部28を介して取得する(S20)。
【0085】
次に、第2判定部52は、電話番号取得部51が取得した電話番号の集合に、発信元番号取得部42が取得した発信元番号が存在するか否かに基づいて、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳に上記発信元番号が存在するか否かの存否判定を行う(S21)。そして、呼出動作制御部44は、上記存否判定の結果に対応する呼出動作の設定情報に基づいて呼出動作を制御する(S16)。その後、処理動作を終了する。
【0086】
〔実施の形態3〕
次に、本発明の他の実施形態について図10および図11を参照して説明する。図8および図9に示す固定電話機11では、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号を、公衆網からの呼出しを検知した時に取得している。これに対し、本実施形態の固定電話機11では、発信元番号取得部42が取得した発信元番号が携帯電話機12の電話帳データ31aに存在するか否かを、近距離無線通信部28を介して携帯電話機12に問い合せている。
【0087】
これにより、携帯電話機12は、受信した発信元番号に一致する電話番号を電話帳データ31aにて検索する必要があるが、固定電話機11は、携帯電話機12の電話帳データ31aに含まれる電話番号を取得する必要がない。その結果、リソースの負担を軽減することができ、プライバシー保護の観点からも著しく有利である。
【0088】
図10は、本実施形態の固定電話機11における制御部20の概略構成を示している。本実施形態の固定電話機11は、図8に示す固定電話機11に比べて、存否判定部50に代えて、存否判定部53が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理と同様の構成および処理には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
存否判定部53は、存否問合部(発信元番号問合手段)54を備える構成である。存否問合部54は、呼出検知部41からの通知を受け取ると、発信元番号取得部42からの発信元番号を、近距離無線通信部28を介して携帯電話機12に送信することにより、上記発信元番号が携帯電話機12の電話帳データ31aに存在するか否かを、近距離無線通信部28を介して携帯電話機12に問い合せるものである。存否問合部54は、問合せの結果を、携帯電話機12から近距離無線通信部28を介して取得し、取得した問合せの結果に基づいて上記存否判定を行う。存否問合部54は、上記存否判定の判定結果を呼出動作制御部44に送出する。
【0090】
上記構成の固定電話機11における処理動作について、図11を参照して説明する。図11は、固定電話機11の制御部20が行う処理動作を示している。
【0091】
まず、呼出検知部41が公衆網からの呼出しを検知するまで待機する(S12)。上記呼出しを検知すると、発信元番号取得部42は、上記呼出しの発信元番号を取得する(S13)。また、存否問合部54は、上記発信元番号が携帯電話機12の電話帳データ31aに存在するか否かを、近距離無線通信部28を介して携帯電話機12に問い合せる(S22)。
【0092】
具体的には、存否問合部54は、近距離無線通信部28と近距離無線通信を行う携帯電話機12を検知し、検知した携帯電話機12へ上記発信元番号を、近距離無線通信部28を介して送信する。一方、携帯電話機12は、受信した発信元番号に一致する電話番号を電話帳データ31aにて検索し、検索結果を問合結果として近距離無線通信を介して固定電話機11に送信する。
【0093】
次に、存否問合部54は、携帯電話機12から近距離無線通信部28を介して取得した問合せの結果に基づいて、携帯電話機12の電話帳に上記発信元番号が存在するか否かの存否判定を行う(S23)。そして、呼出動作制御部44は、上記存否判定の結果に対応する呼出動作の設定情報に基づいて呼出動作を制御する(S16)。その後、処理動作を終了する。
【0094】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0095】
例えば、存否判定部43・50・53は、予め登録された携帯電話機12のみを対象として上記存否判定を行うことが好ましい。この場合、近距離無線通信可能な第三者の携帯電話機12に対し、電話帳データ31aの電話番号を要求したり、呼出しの発信元番号を送信したりすることを防止できる。
【0096】
また、上記実施形態では、近距離無線通信を近距離通信として利用しているが、近距離のケーブルを利用した有線通信を利用することもできる。例えば、特許文献3に記載のファクシミリ装置のように、固定電話機11に携帯電話機12が着脱可能に取り付けられる構成でもよいし、長さの短いケーブルで接続可能でもよい。また、携帯電話機が着脱可能に取り付けられるクレードルと近距離通信可能でもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、本発明を固定電話機11に適用しているが、ファクシミリ装置にも適用できるし、携帯電話機、自動車電話機などの移動体通信端末にも適用可能である。
【0098】
また、上記実施形態では、記憶部21に記憶する呼出動作設定テーブル21bは、呼出動作の設定情報を、近距離無線通信を行う携帯電話機12の電話帳データ31aに発信元番号が存在するか否かに対応付けているが、さらに、固定電話機11本体の電話帳データ(図示せず)に発信元番号が存在するか否かとの組合せに対応付けてもよい。この場合、さらに緻密な呼出動作を設定することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0099】
最後に、固定電話機11および携帯電話機12の各ブロック、特に制御部20・30は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0100】
すなわち、固定電話機11および携帯電話機12は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである固定電話機11および携帯電話機12の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記固定電話機11および携帯電話機12に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0101】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0102】
また、固定電話機11および携帯電話機12を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明に係る電話機は、近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に呼出しの発信元番号が存在するか否かの判定に基づいて呼出動作を制御するので、上記呼出しに対して応答する可能性の高いユーザの有無に対応した呼出動作が可能である。従って、本発明は、固定電話機だけでなく、ファクシミリ装置、携帯電話機などの任意の電話機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態である電話システムの固定電話機における制御部および記憶部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記電話システムの概要を示す図である。
【図3】上記固定電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】上記電話システムの携帯電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記固定電話機の記憶部に記憶される電話番号テーブルの一例を表形式で示す図である。
【図6】上記固定電話機の記憶部に記憶される呼出動作設定テーブルの一例を表形式で示す図である。
【図7】上記固定電話機の制御部が行う処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の別の実施形態である電話システムの固定電話機における制御部および記憶部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】上記固定電話機の制御部が行う処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態である電話システムの固定電話機における制御部および記憶部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】上記固定電話機の制御部が行う処理動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10 電話システム
11 固定電話機(電話機)
12 携帯電話機
20 制御部(呼出通知手段)
21 記憶部
21a 電話番号テーブル(電話番号対応情報)
21b 呼出動作設定テーブル(呼出動作対応情報)
22 公衆網通信部
24・34 ハンドセット
25・35 表示部
26・36 操作部
27・37 スピーカ
28 近距離無線通信部(近距離通信部)
31a 電話帳データ
30 制御部
31 記憶部
32 携帯電話通信部
38 近距離無線通信部(近距離通信部)
40 電話番号取得部(電話番号取得手段)
41 呼出検知部
42 発信元番号取得部(発信元取得手段)
43・50・53 存否判定部(存否判定手段)
44 呼出動作制御部(呼出動作制御手段)
45 携帯電話機検知部(携帯電話機検知手段)
46 第1判定部(第1判定手段)
51 電話番号取得部(電話番号取得手段)
52 第2判定部(第2判定手段)
54 存否問合部(発信元番号問合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行う電話機であって、
前記呼出しの発信元の電話番号である発信元番号を取得する発信元取得手段と、
携帯電話機と近距離通信を行う近距離通信部と、
前記呼出しを検知すると、前記近距離通信部と近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が存在するか否かの判定を行う存否判定手段と、
該存否判定手段の判定結果に基づいて、前記呼出動作を制御する呼出動作制御手段とを備えることを特徴とする電話機。
【請求項2】
情報を記憶する記憶部と、
前記携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号を取得する電話番号取得手段とをさらに備えており、
前記記憶部は、前記電話番号取得手段が取得した電話番号を前記携帯電話機に対応付けた電話番号対応情報を記憶しており、
前記存否判定手段は、
前記呼出しを検知すると、前記近距離通信部と近距離通信を行う携帯電話機を検知する携帯電話機検知手段と、
該携帯電話機検知手段が検知する携帯電話機の集合と、前記発信元取得手段が取得した発信元番号と、前記記憶部に記憶された電話番号対応情報とを利用して前記判定を行う第1判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記記憶部は、登録された携帯電話機のみを対象として、前記電話番号対応情報を記憶しており、
前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できなかった場合、前記呼出動作制御手段は、前記携帯電話機検知手段が前記登録された携帯電話機の少なくとも1つを検知するか否かに基づいて、前記呼出動作を制御することを特徴とする請求項2に記載の電話機。
【請求項4】
前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機を前記携帯電話機検知手段が検知していない場合、前記呼出しを検知した旨を、前記電話網を介して前記対応する携帯電話機に通知する呼出通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の電話機。
【請求項5】
前記発信元取得手段が取得した発信元番号に一致する電話番号を第1判定手段が前記記憶部の電話番号対応情報にて検索できたが、検索した電話番号に対応する携帯電話機を、前記携帯電話機検知手段が検知していない場合、前記呼出動作制御手段が制御する呼出動作は、発信元からのメッセージを、前記電話網を介して取得し、取得したメッセージを、前記携帯電話機を識別する識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶するものであることを特徴とする請求項2から4までの何れか1項に記載の電話機。
【請求項6】
前記存否判定手段は、
前記呼出しを検知すると、前記携帯電話機の電話帳に含まれる電話番号の集合を、前記携帯電話機から前記近距離通信部を介して取得する電話番号取得手段と、
前記電話番号取得手段が取得した電話番号の集合に、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が存在するか否かに基づいて前記判定を行う第2判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項7】
前記存否判定手段は、
前記呼出しを検知すると、前記発信元取得手段が取得した発信元番号が、前記携帯電話機の電話帳に存在するか否かを、前記近距離通信部を介して前記携帯電話機に問い合せることにより、前記判定を行う発信元番号問合手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項8】
情報を記憶する記憶部をさらに備えており、
該記憶部は、前記存否判定手段の判定結果と、呼出動作の設定情報とを対応付けた呼出動作対応情報を記憶しており、
前記呼出動作制御手段は、前記記憶部の呼出動作対応情報を参照して、前記存否判定手段の判定結果に対応する呼出動作の設定情報に基づいて呼出動作を制御することを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の電話機。
【請求項9】
前記存否判定手段は、登録された携帯電話機のみを対象として前記判定を行うことを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の電話機。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか1項に記載の電話機としてコンピュータを機能させるための電話機制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための電話機制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の電話機制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項12】
電話網からの呼出しを検知すると、呼出動作を行う電話機の制御方法であって、
前記呼出しの発信元の電話番号である発信元番号を取得する発信元取得ステップと、
前記呼出しを検知すると、近距離通信部を介して近距離通信を行う携帯電話機の電話帳に、前記発信元取得ステップにて取得された発信元番号が存在するか否かの判定を行う存否判定ステップと、
該存否判定ステップの判定結果に基づいて、前記呼出動作を制御する呼出動作制御ステップとを含むことを特徴とする電話機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−290558(P2009−290558A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141017(P2008−141017)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】