説明

電鋳型とその製造方法

【課題】フォトリソグラフィー法により、微細性、アスペクト比に優れ、且つ、外形形状となるフォトレジスト部に傾斜部が形成された電鋳型とその製造方法を提供する。
【解決手段】電鋳型1は、紫外線に対して透過性を有する基板2と、前記基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜3と、前記導電膜の上面に形成され、前記導電膜の上面から前記第1のフォトレジスト層4の上面に向かって傾斜する第1の貫通孔を有する第1のフォトレジスト層と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっき法による電鋳体を作製するために使用する電鋳型とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電鋳法によれば、精密に加工された電鋳型と呼ばれる部材を用いることにより、非常に高い転写性を有する部材を製造することが出来る。特に近年、シリコンプロセスにより感光性材料を用いて電鋳型形状に加工するLIGA(Lithographie Galvanofomung Abformung)法によって電鋳型を製造し、合わせて微小な形状を有する部品や金型を製造することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
LIGA法による電鋳型の製造では、X線による露光方法と紫外線による露光方法が行われているが、通常のフォトリソグラフィーに使用する設備で対応できる紫外線による露光方法が広く用いられている。
【0004】
フォトリソグラフィー法により、電鋳型を作製する場合、電鋳時に電流を流すため基板に導電性を付与することが必要である。一般に、基板として平坦度を有する金属板や金属膜を形成したシリコン、ガラスや樹脂が用いられるが、いずれの場合も紫外線に対して、透過性を有せず、且つ、反射性を有する。このため、パターンを形成するためのフォトマスクをフォトレジストが塗布された基板上に設置して露光する際、斜め方向から紫外線を照射すると、基板からの反射が生じるため、基板に対して斜めのレジスト貫通孔を有する電鋳型を作製することが困難であり、基板に対して垂直な開口となる電鋳型しか作製することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−15126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、紫外線による露光で作製されるフォトレジストを用いた電鋳型において、微細性に優れると同時に基板に対して角度を有する電鋳壁を有する電鋳型と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る電鋳型は、紫外線に対して透過性を有する基板と、前記基板の表面に形成され、導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜と、前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に形成され、前記基板に接する面と反対の面まで貫通する第1の貫通孔を有するとともに、前記基板の表面の垂直方向に対して傾斜を有する前記第1の貫通孔側の側面を有する第1のフォトレジスト層と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この電鋳型は、基板に対して傾斜を有する硬化したフォトレジスト壁による貫通孔を有し、基板上に形成されている紫外線に対して透過性を有し、導電性を有する膜を通して電気的な導通をとり電鋳を行うことにより、貫通孔に電鋳体を形成することができるので基板に対して、傾斜をもった断面を有する電鋳体を提供できるものとなる。
【0009】
また、本発明に係る電鋳型は、前記基板側から前記第1の貫通孔の開口部側に向かって広がることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電鋳型は、前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜と接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層が形成され、前記第2のフォトレジスト層は、前記第1の貫通孔まで貫通する第2の貫通孔を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電鋳型は、前記第2のフォトレジスト層は、前記基板の表面の垂直方向に対して傾斜を有する前記第2の貫通孔側の側面で構成され、前記第1のフォトレジスト層の前記第1の貫通孔側の側面の傾斜角度と、前記第2のフォトレジスト層の前記第2の貫通孔の側面の傾斜角度とが異なることを特徴とする。
【0012】
この電鋳型は、基板に対して傾斜を有する硬化した第1のフォトレジスト壁による貫通孔とこれとは異なる傾斜角を有する硬化した第2のフォトレジスト壁による貫通孔を有し、基板上に形成されている紫外線に対して透過性を有し、導電性を有する膜を通して電気的な導通をとり電鋳を行うことにより、貫通孔に電鋳体を形成することができるので基板に対して、複数の傾斜角からなる断面を有する電鋳体を提供できるものとなる。
【0013】
また、本発明に係る電鋳型は、前記第2のフォトレジスト層の第2の貫通孔側の側面は、基板表面に対して垂直な側面で構成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電鋳型は、前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔の貫通孔は、平面視略円形又は平面視略方形に形成されることを特徴とする。
本発明に係る電鋳型の製造方法は、紫外線を透過する基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程と、前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、前記基板の表面の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射し、露光を行う第1の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層を現像して、前記第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この電鋳型の製造方法は、ガラス、樹脂等の紫外線を透過する基板の一表面に導電性を有し、紫外線に対して透過性を有する膜を形成した後、電鋳型となるべきフォトレジストをコートし、この上に所望とするパターンが描かれたフォトマスクを配置し、フォトマスクに対して、適宜角度をつけて紫外線を照射することにより、フォトレジストの厚み方向に対して傾斜をつけた露光を行い、未露光部を現像により除去することにより、硬化したフォトレジストの開口断面部に傾斜を持たせることができるので、基板に導電性を有する層を備え、基板に対して傾斜をもった外形断面を有する電鋳型を提供できる。
【0016】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、紫外線を透過する基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程と、前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、前記基板の表面の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射し、露光を行う第1の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層を形成する第2のフォトレジスト形成工程と、前記第2のフォトレジスト層の前記第1のフォトレジスト層に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、紫外線を照射し、露光を行う第2の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を現像して、前記第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成し、前記第2のフォトレジスト層に第2の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この電鋳型の製造方法は、ガラス、樹脂等の紫外線を透過する基板の一表面に導電性を有し、紫外線に対して透過性を有する膜を形成した後、この一表面に第1のフォトレジスト層を形成し、この上に所望とするパターンが描かれたフォトマスクを配置し、フォトマスクに対して、適宜角度をつけて紫外線を照射することにより、フォトレジストの厚み方向に対して傾斜をつけた露光を行い、さらに、この表面に第2のフォトレジスト層を形成し、この上に所望とするパターンが描かれたフォトマスクを配置し、紫外線を照射することにより露光を行った後、現像により不要部分を除去することにより、基板に導電性を有する層を備え、基板に対して複数の傾斜をもった外形断面を有する電鋳型を提供できる。
【0018】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第1の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略円形であり、前記遮光部の中心を軸として、前記基板を回転させて紫外線を照射することを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第1の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略方形であり、前記遮光部の各辺に向かって紫外線を照射することを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第2の露光工程において、前記基板の表面の垂直方向から前記第1の露光工程と異なる角度に傾斜させて紫外線を照射し、露光を行うことを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第2の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略円形であり、前記遮光部の中心を軸として、前記基板を回転させることを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第2の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略方形であり、前記遮光部の各辺に向かって紫外線による露光を行うことを特徴とする。
【0023】
また、この発明に係る電鋳型の製造方法は、前記第2の露光工程において、基板表面に対して垂直に紫外線を照射し、露光を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、解像度が高く、基板に対して垂直方向に傾斜を持った外形形状を有する電鋳体を形成することができる電鋳型を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電鋳型の断面を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、導電性を有し紫外線に対して透過性を有する膜を形成する工程とフォトレジストをコートする工程とを示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電鋳型の作製方法のうち、フォトマスク配置し基板に対して傾斜を有する方向から紫外線を照射する露光工程を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、露光工程後の部材と現像工程を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る電鋳型を用いて、電鋳体を製造する方法の例を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型を用いて作製された電鋳部材の断面を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、導電性を有し紫外線に対して透過性を有する膜を形成する工程と第1のフォトレジスト層を形成する工程とを示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、フォトマスク配置し基板に対して傾斜を有する方向から紫外線を照射する第1の露光工程を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、第2のフォトレジスト層を形成する工程を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第2の露光工程を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第2の露光工程後の露光状態と現像後の状態を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る電鋳型を用いて、電鋳体を製造する方法の例を示す説明図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型を用いて作製された電鋳部材の断面を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、導電性を有し紫外線に対して透過性を有する膜を形成する工程と第1のフォトレジスト層を形成する工程とを示す説明図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、フォトマスク配置し基板に対して傾斜を有する方向から紫外線を照射する第1の露光工程を示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る製造方法において、第1の露光工程後の露光状態と第2のフォトレジスト層を形成する工程を示す説明図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第2の露光工程を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第2の露光工程後の露光状態と現像後の状態を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型を用いて、電鋳体を製造する方法の例を示す説明図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る電鋳型を用いて、電鋳体を形成したのち電鋳部材とした例を示す説明図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型を用いて作製された電鋳部材の断面を示す図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型の製造方法において使用したフォトマスクのパターン例と傾斜をつけて露光する方向を示す図である。
【図23】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第1の露光工程後の露光状態を示す図である。
【図24】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型の製造方法のうち、第2のフォトレジスト層を形成する工程を示す説明図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、フォトマスク配置し基板に対して傾斜を有する方向から紫外線を照射する第1の露光工程を示す図である。
【図26】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型の製造方法において、第2の露光工程後の露光状態と現像後の状態を示す図である。
【図27】本発明の第4の実施形態に係る電鋳型を用いて作製された電鋳部材の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の電鋳型の断面を示す図である。
【0027】
本実施例の電鋳型1は、紫外線に対して透過性を有する基板2と、基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜3と、導電膜の基板に接する面と反対の面に形成され、前記基板に接する面と反対の面まで貫通する第1の貫通孔を有するとともに、前記基板の表面の垂直方向に対して傾斜を有する前記第1の貫通孔側の側面を有する第1のフォトレジスト層4と、を備えている。
【0028】
基板2は、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、無機ガラスなどのガラスなどで形成されている。また、後述するフォトレジスト層として、水系現像液を用いるものを使用すれば、アクリルやポリカーボネートを初めとする光透過性が高い樹脂を用いることができる。また、石英やサファイアなどの透明なセラミックなどでも形成することができる。
【0029】
導電膜3は、例えば、酸化インジウムと酸化スズからなるITО膜、酸化インジウムなどの透明導電膜を用いる。
【0030】
第1のフォトレジスト層4は、エポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストを用いることができる。また、他にも、アクリル系のネガタイプのフォトレジストや、ドライフィルムフォトレジストなども用いることができる。また、化学増幅型以外のフォトレジストも用いることができる。
【0031】
第1の貫通孔の傾斜は、基板側から第1の貫通孔の開口部側に向かって広がっている。
以下に、本実施形態に係る電鋳型を製造する方法について図2から図4を用いて説明する。
【0032】
図2(a)は、紫外線を透過する基板の第1の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程を示す図である。
【0033】
基板5は、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、無機ガラスなどのガラスなどで形成されている。また、アクリルやポリカーボなどの透明なプラスチックや、石英やサファイアなどの透明なセラミックなどでも形成することができる。
【0034】
また、この工程では、基板5に導電膜6を形成する。導電膜6は、例えば、例えば、酸化インジウムと酸化スズからなるITО膜、酸化インジウムなどの透明導電膜を用いる。導電膜6はスパッタリング法などで形成する。また、導電膜6の厚さは、100Å〜10μmで形成する。100Å以下の場合、必要な導電率が得られない。また、10Å以上の場合、透過率が低下する問題が起きる。さらに、好ましくは、数百〜数千Åの厚さで形成する。なお、ガラス基板にあらかじめITO膜が接合されているものを用いた場合、この工程は不要となる。
【0035】
この工程において、基板5にソーダガラスを用いて、導電膜6としてITO膜を1000Åの厚さで形成した場合、紫外線の透過率は、基板5及び導電膜6を含めた値で65%であり、表面電気抵抗は13Ω/□である。また、無アルカリガラスを基板5として用いて、導電膜6としてITO膜を1000Åの厚さで形成した場合、紫外線の透過率は、基板5及び導電膜6を含めた値で75%であり、表面電気抵抗は13Ω/□である。なお、紫外線の透過率及び表面電気抵抗は、基板5及び導電膜6の材質、膜厚や、電鋳を行う面積によって調整することができる。
【0036】
図2(b)は、導電膜の基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程を示す図である。この工程では、例えばエポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストをスピンコートによりコートする。その後、加熱により溶剤成分を蒸発することにより約50μm〜2mmの厚みを有する第1のフォトレジスト層7を形成する。なお、化学増幅型のフォトレジストを用いない場合、加熱する必要がなくなる。
【0037】
図3は、第1のフォトレジスト層の導電膜に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、基板の表面の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射し、露光を行う第1の露光工程を示す図である。
【0038】
この工程に用いるフォトマスク8は、紫外線透過部9と紫外線遮光部10からなる。紫外線遮光部10には、電鋳型により形成する電鋳体の第1のフォトレジスト層側のパターンが描かれている。
【0039】
このパターンが描かれたフォトマスク8を第1のフォトレジスト層の導電膜に接する面と反対の面に配置する。さらに、基板5の垂直方向から角度Cの傾斜となるように、紫外線11を第1のフォトレジスト層に照射する。このとき、基板5の垂直方向から角度Cの傾斜となるように、紫外線透過部9及び第1のフォトレジスト層7の屈折率を考慮する。
【0040】
図3では、紫外線11を基板の垂直方向から角度A傾斜させてフォトマスク8に照射する。このとき、紫外線11は、フォトマスク8全体を照射するために必要な平行度を有するものとする。次に、角度Aで入射する紫外線11は紫外線透過部9の屈折率により、紫外線透過部9を基板5に対して垂直方向から角度B傾斜されて透過する。その結果、第1のフォトレジスト層7に角度Bで入射する紫外線11は、第1のフォトレジスト層7の屈折率により、基板5の垂直方向から角度C傾斜されて透過する。このとき、第1のフォトレジスト層9において、紫外線遮光部10が配置された部分は露光されない。その後、紫外線11は、導電膜6及び基板5を透過する。
【0041】
ここで、第1のフォトレジスト層7を透過する紫外線11を基板5の垂直方向から角度Cの傾斜となる各方向から照射する。このとき、例えば基板5を回転させながら照射すると全方向から照射することができる。また、例えば1方向、2方向又は3方向などのような任意の方向からのみ照射することも可能である。
【0042】
図4は、第1のフォトレジスト層を現像して、第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成する貫通孔形成工程を示す図である。
【0043】
図4(a)は、第1のフォトレジスト層7において、露光部12と未露光部13を形成する工程を示す図である。ここでは、第1の露光工程において、図3で行った照射方向に加え、少なくとも該照射方向と反対方向の2方向から露光を行っている状態である。
【0044】
なお、エポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストを用いた場合、露光による硬化を増幅させるため、部材全体を加熱することにより、層露光部12と未露光部13とを形成することができる。
【0045】
図4(b)は、現像して第1の貫通孔を形成する工程を示す図である。図4(a)で形成した部材を現像液に浸漬する。これにより、フォトレジスト未露光部13を除去され、導電膜6の基板に接する面と反対の面から第1の貫通孔の開口部に向かって広がる傾斜側面14からなる第1の貫通孔15を有する電鋳型16が作製される。
【0046】
図5は、作製された電鋳型16を用いて、電鋳体17を作製した例を示した図である。
電鋳に際しては、電鋳型16を目的とする材質の電鋳を行うための電鋳液に浸漬し、導電膜6により導通をとり通電を行う。これにより貫通孔15内に電鋳体17を形成し、必要に応じて、研磨等の後、加工を行い電鋳部材18を得ることができる。
【0047】
このようにして作製された電鋳部材18の厚み方向の断面は、上下面に対して、傾斜を有するものとなる。
【0048】
本発明に係る第2の実施形態について、図6から図11を参照して説明する。
図6(a)および(b)は、本実施形態に係る電鋳型を用いて作製したテーパー部を持つ円筒形状を有する電鋳部材19の上面および断面を示した図である。
【0049】
次に、この電鋳部材19を作製するための本実施形態に係る電鋳型を製造する方法について説明する。なお、第1実施形態と同様の工程を行う部分については、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図7(a)は、紫外線を透過する基板20の第1の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜21を形成する導電膜形成工程を示す図である。
【0051】
図7(b)は、導電膜の基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層22を形成する第1のフォトレジスト層形成工程を示す図である。この工程では、例えばエポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストをスピンコートによりコートする。その後、加熱により溶剤成分を蒸発することにより約50μm〜2mmの厚みを有する第1のフォトレジスト層7を形成する。
【0052】
図8は第1の露光工程を示した図である。第1の露光工程では、フォトマスク23を第1のフォトレジスト層22の表面に密着固定する。また、中心軸Hを中心にして回転しながら、ガラス基板20の垂直方向に対して角度がGとなるように、紫外線透過部24および第1のフォトレジスト層22の屈折率を考慮して、十分平行度を有する紫外線26を照射する。さらに、紫外線遮光部25により遮光される部分を除いて露光を行う。つぎに、露光による硬化を増幅させるため、部材全体を加熱する。これにより、フォトレジスト層において露光部27と未露光部28とを形成する。
【0053】
図9は、第1のフォトレジスト層の導電膜に接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層を形成する第2のフォトレジスト形成工程を示す図である。
【0054】
図9に示した第2のフォトレジスト層を形成する工程では、エポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストをスピンコートによりコートした後、加熱により溶剤成分を蒸発することにより約50μm〜2mmの厚みを有するフォトレジスト層29を形成する。なお、第2のフォトレジスト層29は、第1のフォトレジスト層27と同様に、エポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストを用いることができる。また、他にも、アクリル系のネガタイプのフォトレジストや、ドライフィルムフォトレジストなども用いることができる。また、化学増幅型以外のフォトレジストも用いることができる。
【0055】
図10は、第2のフォトレジスト層の第1のフォトレジスト層に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、紫外線を照射し、露光を行う第2の露光工程を示す図である。
【0056】
図10に示した第2の露光工程では、第1の露光工程で用いたフォトマスク23を用いて、基板側のパターンとフォトマスク側のパターンの位置あわせを行う。すなわち、第1のフォトレジスト層27の導電膜に接する面と反対の面のパターンとフォトマスクの紫外線遮光部25のパターンが一致するように位置合わせする。その後、ガラス基板20の垂直方向から露光を行う。
【0057】
図11は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して、第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成し、第2のフォトレジスト層に第2の貫通孔を形成する貫通孔形成工程を示した図である。
【0058】
図11(a)に示したように、各フォトレジスト層は、第1のフォトレジスト層の露光部27、第1のフォトレジスト層のうち2回露光された部分31、第2のフォトレジスト層の露光部30、第1のフォトレジスト層の未露光部28および第2のフォトレジスト層の未露光部32からなっている。
【0059】
図11(b)は、現像して貫通孔を形成する工程である。図11(b)に示したように、不要部である第1のフォトレジスト層の未露光部28および第2のフォトレジスト層の未露光部32を除去することにより、傾斜側面を有する第1の貫通孔33と垂直壁を有する第2の貫通孔34からなる貫通孔35を有する電鋳型36が作製される。
【0060】
図12は、作製された電鋳型36を用いて、電鋳体37を作製した例を示した図である。
電鋳に際しては、電鋳型36を目的とする材質の電鋳を行うための電鋳液に浸漬し、透明導電膜21により導通をとり通電を行う。これにより貫通孔35内に電鋳体37を形成し、必要に応じて電鋳表面等の研磨・後加工等の後、電鋳部材38を得ることができる。
【0061】
このようにして作製された電鋳部材38の厚み方向の断面は、上下面の垂直方向に対して、角度Gの傾斜側面を有し、その上部に垂直壁を有するものとなっている。さらに、基板の平面方向の断面では、図6に示したように、円形となっている。
【0062】
本発明に係る第3の実施形態について、図13から図20を参照して説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態と同様の工程を行う部分については、その詳細な説明を省略する。
【0063】
図13(a)および(b)は、本実施形態に係る電鋳型を用いて作製したテーパー穴を有する電鋳部材の上面および断面を示した図である。
【0064】
次に、電鋳部材39を作製するための本実施形態に係る電鋳型を製造工程について図14から図18を用いて説明する。
【0065】
図14(a)は、紫外線を透過する基板40の第1の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜41を形成する導電膜形成工程を示す図である。
【0066】
図14(b)は、導電膜の基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層42を形成する第1のフォトレジスト層形成工程を示す図である。この工程では、例えばエポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストをスピンコートによりコートする。その後、加熱により溶剤成分を蒸発することにより約50μm〜2mmの厚みを有する第1のフォトレジスト層47を形成する。
【0067】
図15は第1の露光工程を示した図である。第1の露光工程では、フォトマスク43を第1のフォトレジスト層42の露出している表面に密着固定する。また、中心軸Iを中心にして回転しながら、第2の実施形態と同様にガラス基板40の垂直方向に対して角度がGとなるように、紫外線透過部44および第1のフォトレジスト層42の屈折率を考慮して、十分平行度を有する紫外線46を照射する。第2の実施形態と異なる点は、紫外線遮光部45がフォトマスク内において中央に配置されず、2つ配置されている点である。さらに、紫外線遮光部45により遮光される部分を除いて露光を行う。つぎに、露光による硬化を増幅させるため、部材全体を加熱する。なお、化学増幅型のフォトレジストを用いない場合、加熱する必要がなくなる。
【0068】
図16(a)は、第1のフォトレジスト層において形成された露光部47と未露光部48とを示す図である。図16(a)に示したように、第1のフォトレジスト層において、露光部47と未露光部48とを形成する。
【0069】
図16(b)は、第1のフォトレジスト層の導電膜に接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層を形成する第2のフォトレジスト形成工程を示す図である。図16(b)に示した第2のフォトレジスト層49を形成する工程では、例えば、エポキシ系の化学増幅型のネガタイプフォトレジストをスピンコートによりコートした後、加熱により溶剤成分を蒸発することにより約50μm〜2mmの厚みを有するフォトレジスト層49を形成する。
【0070】
図17は、第2のフォトレジスト層の第1のフォトレジスト層に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、紫外線による露光を行う第2の露光工程を示す図である。
【0071】
図17に示した第2の露光工程では、フォトマスク50を用いて、基板側のパターンとフォトマスク側のパターンの位置あわせを行う。その後、ガラス基板40の垂直方向から露光を行う。
【0072】
図18(a)に示したように、各フォトレジスト層は、第1のフォトレジスト層の露光部47、第1のフォトレジスト層のうち2回露光された部分55、第2のフォトレジスト層の露光部54、第1のフォトレジスト層の未露光部48および第2のフォトレジスト層の未露光部56からなっている。
【0073】
図18(b)は、現像して貫通孔を形成する工程である。図18(b)に示したように、不要部である第1のフォトレジスト層の未露光部48および第2のフォトレジスト層の未露光部56を除去することにより、少なくとも1つの側壁が傾斜側面からなる第1の貫通孔と垂直壁を有する第2の貫通孔からなる貫通孔59を有する電鋳型60が作製される。
【0074】
図18(b)では、基板40の中央部に各フォトレジスト層が形成されている。また、第1のフォトレジスト層の第1の貫通孔において、中央部側の側壁が傾斜し、反対側の側壁は、垂直になっている。さらに、第2のフォトレジスト層の第2の貫通孔は、基板40に対して垂直となっている。また、第1の貫通孔及び第2の貫通孔において、中央側と反対側の側面は略同一平面状に形成することができる。なお、各貫通孔の形状は、フォトマスクの位置あわせによる調節により所望の形状を形成することができる。
【0075】
図19は、作製された電鋳型60を用いて、電鋳体61を作製した例を示した図である。
電鋳に際しては、電鋳型60を目的とする材質の電鋳を行うための電鋳液に浸漬し、透明導電膜41により導通をとり通電を行う。これにより、貫通孔59内に電鋳体60を形成しする。また、必要に応じて、研磨等の後、加工を行い、電鋳部材61を得ることができる。図20は、作製された電鋳部材61の上面図及び断面図である。
【0076】
このようにして作製された電鋳部材61の厚み方向の断面は、上下面の垂直方向に対して、角度Gの傾斜有するテーパー部と、その上部に垂直部を有する穴を有する。さらに、基板平行方向の断面では、図20に示したように、平面視略円形となっている。
本発明に係る第4の実施形態について、図21から図27を参照して説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と同様の工程を行う部分については、その詳細な説明を省略する。
【0077】
図21(a)および(b)は、本実施形態に係る電鋳型を用いて作製したテーパー面と垂直面を有する電鋳部材の上面および断面図を示した図である。
【0078】
次に、電鋳部材63を作製するための本実施形態に係る電鋳型を製造工程について図22から図27を参照して説明する。
【0079】
図22は、第1の露光におけるフォトマスクの概略図を示したものである。フォトマスク64のうち、紫外線遮光部66のパターンは略方形をなしている。
【0080】
紫外線を透過する基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程と、導電膜の基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程と、は第1の実施形態と同様である。
【0081】
次に第1の露光工程を説明する。このフォトマスク64を第1のフォトレジスト層69の導電膜に接する面と反対の面にセットする。次に、フォトマスク64の紫外線遮光部66の方形の各辺に向かって紫外線による露光を行う。すなわち、紫外線遮光部66の各辺に対して平行方向または直角方向から、基板の垂直方向から傾斜した状態で順次、露光を行う。図22では、W、X、Y、Zの4方向から照射を行う。
【0082】
図23は、第1の露光工程後の露光状態を示す図である。図23(a)は上面、図23(b)は断面を示す図である。図23に示したように、紫外線遮光部66の方形の辺にそって傾斜した露光部である第1のフォトレジスト層のうち傾斜をつけて露光された部分71が形成されると同時に第1のフォトレジスト層のうち垂直に露光された部分70も形成される。
【0083】
図24は、第2の実施形態と同様に、第1のフォトレジスト層の導電膜に接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層を形成する工程である。
【0084】
図25は、第2の露光工程で使用する第2のフォトマスク74を示す図である。紫外線透過部75と紫外線遮光部76を有している通常のフォトマスクである。
【0085】
第2の露光工程では、第2のフォトマスク74を用いて、第2の実施形態と同様の工程を行う。すなわち、基板側のパターンとフォトマスク側のパターンの位置あわせを行った後、基板67に対して、垂直方向から紫外線を照射し露光を行う。
【0086】
図26は、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して、第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成し、第2のフォトレジスト層に第2の貫通孔を形成する貫通孔形成工程を示した図である。
【0087】
図26(a)に示したように、各フォトレジスト層は、第1のフォトレジスト層の露光部70、第1のフォトレジスト層のうち二回露光された部分75、第2のフォトレジスト層の露光部74、第1のフォトレジスト層の未露光部72および第2のフォトレジスト層の未露光部76が得られる。
【0088】
図26(b)は、現像して貫通孔を形成する工程を示す。図26(b)に示したように、不要部である第1のフォトレジスト層の未露光部72および第2のフォトレジスト層の未露光部76を除去することにより、傾斜側面77で構成された第1の貫通孔と垂直壁78で構成された第2の貫通孔からなる貫通孔79を有する電鋳型80が作製される。本実施形態では、傾斜側面77と垂直壁78の間に基板に対して平行な面が形成されている。
【0089】
図27は、作製された電鋳型80を用いて、電鋳体81を作製した例を示した図である。
電鋳に際しては、電鋳型80を目的とする材質の電鋳を行うための電鋳液に浸漬し、透明導電膜68により導通をとり通電を行う。これにより貫通孔79内に電鋳体81を形成する。また、必要に応じて、研磨等の後、加工を行い図27(b)に示した電鋳部材82を得ることができる。
【0090】
このようにして作製された電鋳部材82の厚み方向の断面は、上下面に対して、テーパー部と、その上部に垂直部を有する穴を有する。さらに、基板平行方向の断面では、第1のフォトレジスト層69では略方形を有したものとなるが、この部分を略方形とすることにより、傾斜部と垂直部が作る稜線に対して垂直方向に平坦な傾斜面を有する電鋳とすることができる。
【0091】
なお、本実施形態では、第2のフォトマスク74のフォトマスク遮光部76の形状を略方形としたが、露光を基板に対して垂直方向に行う場合においては、第2の露光工程により垂直面のみが得られるので、その形状は任意のものが適用できる。
【0092】
なお、第2の実施形態から第4の実施形態において、第2のフォトレジスト層は、基板の垂直方向から紫外線を照射したが、第1のフォトレジスト層と同様に、基板の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射することができる。この場合、第2のフォトレジスト層についても傾斜側面で構成される貫通孔を有することになる。また、この場合、第1のフォトレジスト層の第1の貫通孔の傾斜角と第2のフォトレジスト層の第2の貫通孔の傾斜角とが異なって形成することが可能である。
【0093】
また、第1の実施形態から第4の実施形態において、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層にネガタイプのフォトレジストを用いたが、ポジタイプのフォトレジストを用いることも可能である。その場合、貫通孔の傾斜が第1の実施形態から第4の実施形態と逆になる。すなわち、電鋳型において、貫通孔は、導電膜の上面からフォトレジスト層の上面に向かって狭くなる傾斜側面で構成される。
【0094】
以上、本発明による電鋳型およびその製造方法によれば、電鋳型の外形を決定するフォトレジスト部に傾斜を持たせたものとすることができるので、この電鋳型を使用することによれば、微細性に優れ、且つ、傾斜部を有する電鋳部品を製造することが出来る。
【符号の説明】
【0095】
1、16、36、60、80 電鋳型
2、5、20、40、67 ガラス基板
3、6、21、41、68 透明導電膜
4 硬化したフォトレジスト
7 フォトレジスト層
8、23、43、64 フォトマスク
9、24、44、51、65、75 フォトマスク透過部
10、25、45、52、66、76 フォトマスク遮光部
11、26、46、53 紫外線
12 フォトレジスト層露光部
13 フォトレジスト層未露光部
14、33、57、77 傾斜側面
15、35、59、79 貫通孔
17、37、61、81 電鋳体
18、19、38、39、62、63、82 電鋳部材
22、42、69 第1のフォトレジスト層
27、47 第1のフォトレジスト層露光部
28、48、72 第1のフォトレジスト層未露光部
29、49、73 第2のフォトレジスト層
30、54、74 第2のフォトレジスト露光部
31、55、75 第1のフォトレジストのうち二回露光された部分
32、56、76 第2のフォトレジスト未露光部
34、58、78 垂直壁
50、74 第2のフォトマスク
70 第1のフォトレジスト層のうち垂直に露光された部分
71 第1のフォトレジスト層のうち傾斜をつけて露光された部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線に対して透過性を有する基板と、
前記基板の表面に形成され、導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜と、
前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に形成され、前記基板に接する面と反対の面まで貫通する第1の貫通孔を有するとともに、前記基板の表面の垂直方向に対して傾斜を有する前記第1の貫通孔側の側面を有する第1のフォトレジスト層と、
を備えることを特徴とする電鋳型。
【請求項2】
前記第1の貫通孔は、前記基板側から前記第1の貫通孔の開口部側に向かって広がることを特徴とする請求項1に記載の電鋳型。
【請求項3】
前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜と接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層が形成され、
前記第2のフォトレジスト層は、前記第1の貫通孔まで貫通する第2の貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電鋳型。
【請求項4】
前記第2のフォトレジスト層は、前記基板の表面の垂直方向に対して傾斜を有する前記第2の貫通孔側の側面で構成され、
前記第1のフォトレジスト層の前記第1の貫通孔側の側面の傾斜角度と、前記第2のフォトレジスト層の前記第2の貫通孔の側面の傾斜角度とが異なることを特徴とする請求項3に記載の電鋳型。
【請求項5】
前記第2のフォトレジスト層の前記第2の貫通孔側の側面は、前記基板表面に対して垂直な側面で構成されることを特徴とする請求項3に記載の電鋳型。
【請求項6】
前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔は、平面視略円形又は平面視略方形に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電鋳型。
【請求項7】
前記導電膜が酸化インジウムを含む透明導電膜であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電鋳型。
【請求項8】
紫外線を透過する基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程と、
前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、前記基板の表面の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射し、露光を行う第1の露光工程と、
前記第1のフォトレジスト層を現像して、前記第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
を備えることを特徴とする電鋳型の製造方法。
【請求項9】
紫外線を透過する基板の表面に導電性を有し、かつ紫外線に対して透過性を有する導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記導電膜の前記基板に接する面と反対の面に第1のフォトレジスト層を形成する第1のフォトレジスト層形成工程と、
前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、前記基板の表面の垂直方向から傾斜させて紫外線を照射し、露光を行う第1の露光工程と、
前記第1のフォトレジスト層の前記導電膜に接する面と反対の面に第2のフォトレジスト層を形成する第2のフォトレジスト形成工程と、
前記第2のフォトレジスト層の前記第1のフォトレジスト層に接する面と反対の面にフォトマスクを配置し、紫外線を照射し、露光を行う第2の露光工程と、
前記第1のフォトレジスト層及び前記第2のフォトレジスト層を現像して、前記第1のフォトレジスト層に第1の貫通孔を形成し、前記第2のフォトレジスト層に第2の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
を備えることを特徴とする電鋳型の製造方法。
【請求項10】
前記第1の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略円形であり、前記遮光部の中心を軸として、前記基板を回転させて紫外線を照射することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電鋳型の製造方法。
【請求項11】
前記第1の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略方形であり、前記遮光部の各辺に向かって紫外線を照射することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電鋳型の製造方法。
【請求項12】
前記第2の露光工程において、前記基板の表面の垂直方向から前記第1の露光工程と異なる角度に傾斜させて紫外線を照射し、露光を行うことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の電鋳型の製造方法。
【請求項13】
前記第2の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略円形であり、前記遮光部の中心を軸として、前記基板を回転させることを特徴とする請求項12に記載の電鋳型の製造方法。
【請求項14】
前記第2の露光工程において、前記フォトマスクの遮光部が平面視略方形であり、前記遮光部の各辺に向かって紫外線による露光を行うことを特徴とする請求項12に記載の電鋳型の製造方法。
【請求項15】
前記第2の露光工程において、基板表面に対して垂直に紫外線を照射し、露光を行うことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の電鋳型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−195911(P2011−195911A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65130(P2010−65130)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】