説明

露光ヘッド、画像形成装置

【課題】制御回路が実装されたFPCを発光素子が配設されたヘッド基板に接続した構成において、FPCとヘッド基板との接続部分の破損を抑制する。
【解決手段】発光素子が配設されたヘッド基板と、ヘッド基板を支持する支持部材と、ヘッド基板に接続されたフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板に配設されて、発光素子の発光を制御する制御回路と、フレキシブルプリント基板を支持部材に固定する固定部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御回路が実装されたFPCを、発光素子が配設されたヘッド基板に接続した露光ヘッドおよび当該露光ヘッドを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ガラス基板(同文献でのヘッド基板)上に複数の発光素子を形成し、これら複数の発光素子に対向して光学系を配置した露光ヘッドが提案されている。つまり、この露光ヘッドは、複数の発光素子それぞれを発光させて、各発光素子からの光を光学系によって結像する。こうして、感光体ドラム表面等の被露光面に光のスポットを形成して、被露光面を露光することができる。
【0003】
また、この露光ヘッドにはドライバーIC(Integrated Circuit)が設けられており、このドライバーICが各発光素子の発光を制御する制御回路として機能する。しかも、この露光ヘッドでは、発光素子が形成されたヘッド基板の端部に、FPCと一般に略称されるフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit)が取り付けられており、このFPCにドライバーICがCOF(Chip On Film)技術によって実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
つまり、上述の露光ヘッドは、発光素子が形成されたヘッド基板からFPCを引き出して、このFPCに制御回路としてのドライバーICを実装している。しかしながら、このような露光ヘッドでは、次のような問題が生じるおそれがあった。つまり、FPCは可撓性のある柔軟な構成を備えているため、露光ヘッドの姿勢を変えた際等に、ドライバーICの自重によってドライバーICとFPCとが大きく揺れ動き、その結果、FPCとヘッド基板との接続部に過大な応力が作用して、FPCとヘッド基板との接続部分が破損してしまうおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、制御回路が実装されたFPCを、発光素子が配設されたヘッド基板に接続した構成において、FPCとヘッド基板との接続部分の破損を抑制することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、発光素子が配設されたヘッド基板と、ヘッド基板を支持する支持部材と、ヘッド基板に接続されたフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板に配設されて、発光素子の発光を制御する制御回路と、フレキシブルプリント基板を支持部材に固定する固定部材と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、発光素子が配設されたヘッド基板およびヘッド基板を支持する支持部材を有する露光ヘッドと、発光素子が発光した光により潜像が形成される潜像担持体と、ヘッド基板に接続されたフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板に実装されて、発光素子の発光を制御する制御回路と、フレキシブルプリント基板を支持部材に固定する固定部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、固定部材が、ヘッド基板を支持する支持部材にフレキシブルプリント基板を固定している。したがって、固定部材がフレキシブルプリント基板の揺動を規制するため、フレキシブルプリント基板とヘッド基板との接続部分の破損を抑制することができる。
【0010】
ところで、制御回路は動作を繰り返すうちに発熱する。したがって、制御回路の熱がフレキシブルプリント基板に伝導して、フレキシブルプリント基板には相当量の熱が蓄熱されると考えられる。そこで、支持部材は金属製であり、固定部材はフレキシブルプリント基板を支持部材に接触させるように構成しても良い。このように構成することで、金属製の支持部材によりフレキシブルプリント基板を冷却して、フレキシブルプリント基板の蓄熱を抑制することができる。
【0011】
なお、制御回路が実装された面と反対の面を支持部材に向けてフレキシブルプリント基板が配設されている場合には、固定部材は制御回路を支持部材の側に押圧して、フレキシブルプリント基板を支持部材に圧接するように構成しても良い。このように、フレキシブルプリント基板を支持部材に圧接することで、支持部材によるフレキシブルプリント基板の冷却を促進することができ、その結果、フレキシブルプリント基板の蓄熱をより効果的に抑制することができる。
【0012】
また、発光素子が発光した光を結像する光学部材を備えた場合には、固定部材は光学部材からヘッド基板までを覆うカバー部材であるように構成しても良い。このように、フレキシブルプリント基板を固定する機能のみならず光学部材からヘッド基板までを覆うカバー部材としての機能を固定部材に担わせることで、各機能毎に部材を備える必要が無くなるため、露光ヘッドの部品点数を減らして、露光ヘッドの低コスト化および構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0013】
また、フレキシブルプリント基板の枚数は1枚に限られない。そこで、上記制御回路と別の第2の制御回路が配設された、上記フレキシブルプリント基板とは別の第2のフレキシブルプリント基板を備えるように構成しても良い。この際、第2のフレキシブルプリント基板を支持部材に固定する第2の固定部材とを備えることで、第2のフレキシブルプリント基板の揺動を規制して、第2のフレキシブルプリント基板とヘッド基板との接続部分の破損を抑制することができる。
【0014】
また、ヘッド基板は第1の方向に長く第2の方向に短い平板形状を有する場合に、フレキシブルプリント基板はヘッド基板の第2の方向の一方側に接続され、第2のフレキシブルプリント基板はヘッド基板の前記第2の方向の他方側に接続されても良い。そして、第1の固定部材はフレキシブルプリント基板を支持部材の第2の方向の一方側に固定し、第2の固定部材は第2のフレキシブルプリント基板を支持部材の第2の方向の他方側に固定するように構成しても良い。
【0015】
また、フレキシブルプリント基板の制御回路にデータを転送するとともに第1の部品を有する第1のデータ転送基板と、第2のフレキシブルプリント基板の第2の制御回路にデータを転送するとともに第2の部品を有する第2のデータ転送基板とを備えても良い。また、この際、第1のデータ転送基板と第2のデータ転送基板とを第2の方向に対向させて配設しても良い。ただし、露光ヘッドの省スペース化という観点からは、互いに対向する2枚のデータ転送基板の間隔をできるだけ狭小化することが好適である。一方で、2枚のデータ転送基板それぞれの部品の接触が、データ転送基板間隔の狭小化の障害となるおそれがある。そこで、第2の方向から見て第1の部品と第2の部品とは重複しないように位置をずらして配設されているように構成しても良い。これにより、2枚のデータ転送基板の間隔を狭小化して、露光ヘッドの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す平面図。
【図2】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す部分階段断面図。
【図3】遮光部材のA−A線における階段断面図。
【図4】遮光部材の分解斜視図。
【図5】発光素子グループでの発光素子の配列態様を示す部分平面図。
【図6】ラインヘッドの電気的構成を示すブロック図。
【図7】ヘッド基板周りの構成を展開した部分展開図。
【図8】ラインヘッドの全体構成を示す部分斜視図。
【図9】ラインヘッドの全体構成の幅方向部分断面図。
【図10】ラインヘッドの部分分解斜視図。
【図11】データ転送基板にビデオデータおよび電源を供給する構成の部分斜視図。
【図12】ラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図13】図12の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図14】変形例にかかるラインヘッドの部分分解斜視図。
【図15】さらなる変形例にかかるラインヘッドの部分分解斜視図。
【図16】屈折率分布型ロッドレンズアレイを用いたラインヘッドを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1実施形態
図1および図2は、本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図である。特に、図1は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係をラインヘッド29の厚さ方向TKDから見た平面図であり、図2は、ラインヘッド29のA−A線(図1の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺であるとともに、厚さ方向TKDに所定の厚さ(高さ)を有するものである。図1および図2含む以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGD、幅方向LTDおよび厚さ方向TKDを示す。なお、これらの方向LGD、LTD、TKDは互いに直交もしくは略直交している。また、以下では、必要に応じて、厚さ方向TKDの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、厚さ方向TKDの矢印と反対側を「裏」あるいは「下」と表現する。
【0018】
また、後述するとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する被露光面ES(感光体ドラム表面)に対して露光を行なうものであり、しかも、被露光面ESの主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、被露光面ESの副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0019】
第1実施形態のラインヘッド29では、複数の発光素子Eをグループ化して1つの発光素子グループEGが構成されており(発光素子Eの配置態様は後に図5を用いて詳述する)、さらに、複数の発光素子グループEGが千鳥状(3行千鳥)で離散的に並べられている(図1)。こうして、複数の発光素子グループEGのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にずれるとともに幅方向LTDに距離Dtだけ相互にずれて配置されている。なお、見方を変えれば、複数の発光素子グループEGが長手方向に直線的に並ぶ発光素子グループ行GRが、幅方向LTDの異なる位置に3行GRa、GRb、GRc配置されているとも言える。
【0020】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されて、ガラス製の封止部材294により封止されている。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0021】
複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系が対向している。この結像光学系は、発光素子グループEG側に凸の2枚のレンズLS1、LS2から構成されている。なお、図1では、レンズLS1、LS2が一点鎖線円で示されているが、これらは、厚さ方向TKDの平面視における発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との位置関係を示すものであり、レンズLS1、LS2がヘッド基板293に直接形成されていることを示すものではない。また、図2では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間には部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0022】
このラインヘッド29では、3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2を配置するために、複数のレンズLS1を3行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を3行千鳥で並べたレンズアレイLA2とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2)では、複数のレンズLS1(LS2)それぞれが、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にずれるとともに幅方向LTDに距離Dtだけ相互にずれて配置されている。
【0023】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺なレンズアレイLA1(LA2)を一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で並べて1つの短尺なレンズアレイを作製し、この短尺レンズアレイを長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイLA1(LA2)を構成している。
【0024】
より具体的には、ヘッド基板293の表面293−hの幅方向LTDの両端部には、スペーサーAS1が配置されており、長手方向LGDに並ぶ複数の短尺レンズアレイのそれぞれがこれらスペーサーAS1、AS1に架設されて、1つのレンズアレイLA1が構成されている。また、レンズアレイLA1の表面の幅方向LTDの両側にはスペーサーAS2が配置されており、長手方向LGDに並ぶ複数の短尺レンズアレイのそれぞれがこれらスペーサーAS2、AS2に架設されて、1つのレンズアレイLA2が構成されている。さらに、レンズアレイLA2の表面には平板状の支持ガラス299が接着されており、レンズアレイLA2を構成する各短尺レンズアレイはスペーサーAS2のみならず、当該スペーサーAS2の反対側から支持ガラス299によっても支持されている。また、この支持ガラス299は、レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0025】
こうして、厚さ方向TKDにおいて、所定間隔を空けて並ぶレンズアレイLA1、LA2がヘッド基板293に対向する。これにより、厚さ方向TKDに平行もしくは略平行な光軸OAを有する結像光学系LS1、LS2が発光素子グループEGに対向することとなり、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、ヘッド基板293、結像光学系LS1、LS2および支持ガラスSSをこの順番に透過して、被露光面ESに照射される(図2の破線)。これにより、発光素子グループEGの各発光素子Eからの光が結像光学系LS1、LS2から結像作用を受けてスポットとして被露光面ESに照射され、被露光面ESに複数のスポットから成るスポットグループSGが形成される。なお、ここでは、結像光学系LS1、LS2は、結像倍率の絶対値が1未満であって倒立像を形成する(結像倍率が負の)縮小反転光学系である。
【0026】
上述の説明から判るように、第1実施形態のラインヘッド29は、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系LS1、LS2を配置している。そして、このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系にのみ入射し、それ以外の結像光学系に入射しないことが望ましい。そこで、第1実施形態では、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間に、遮光部材297が設けられている。
【0027】
図3は、遮光部材のA−A線における階段断面図であり、図4は、遮光部材の分解斜視図である。両図では、光軸OAに平行であって発光素子グループEGから被露光面ESに向かう方向に、光進行方向Doaがとられている(この光進行方向Doaは厚さ方向TKDに平行もしくは略平行となる)。両図に示すように、遮光部材297は、第1遮光平板FP、第2遮光平板LSPa、第3遮光平板LSPbおよび絞り平板APと、これら平板FP、LSPa、LSPb、APの間隔を規定する第1スペーサーSSaおよび第2スペーサーSSbから成っており、具体的には、これらの平板およびスペーサーを厚さ方向TKDに積層して接着剤で固定した構成を備えている。
【0028】
平板FP、LSPa、LSPb、APはいずれも、発光素子グループEGからの光の一部の通過を許し、その他の光の通過を遮る機能を有するものであり、発光素子グループEGとこれに対向する結像光学系LS1、LS2との間に開口Hf、Ha、Hb、Hpを有している。これら開口Hf、Ha、Hb、Hpそれぞれは、幾何重心が結像光学系LS1、LS2の光軸に一致もしくは略一致するように位置決めされている。つまり、図3、図4に示すように、平板FP、LSPa、LSPb、APのそれぞれには、発光素子グループEGの3行千鳥配列に対応して、厚さ方向TKDに貫通する円形の開口Hf、Ha、Hb、Hpが3行千鳥で並んでいる。そして、発光素子グループEGから射出された光のうち、開口Hf、Ha、Hb、Hpを通過した光が結像光学系LS1、LS2に入射し、その他の光のほとんどは平板FP、LSPa、LSPb、APに遮られる。なお、平板FP、LSPa、LSPb、APの厚さは次の大小関係、FP≒AP≒LSPa<LSPbを満たしており、各開口の径は次の大小関係、Hf<Hp<Ha<Hbを満たしている。
【0029】
スペーサーSSa、SSbは、厚さ方向TKDに貫通する略長方形の長孔Hsa、Hsbが形成された枠体である。この長孔Hsa、Hsbは、厚さ方向TKDから遮光部材297を平面透視した場合において、各開口Hf、Ha、Hb、Hpをすっぽりとその内部に含む程度に十分な大きさで形成されている。したがって、各発光素子グループEGから射出された光は、長孔Hsa、Hsbを抜けて被露光面ES(図2)に向けて進行する。
【0030】
続いて、遮光部材297のより具体的な配列態様について詳述する。第1遮光平板FPはヘッド基板293の表面293−h(図2)上に載置・固定されており、さらに、この第1遮光平板FPの光進行方向Doa側に第2遮光平板LSPaが配置されている。これら第1遮光平板FPと第2遮光平板LSPaとの間には2枚のスペーサーSSa、SSbが介挿されている。この第2遮光平板LSPaの光進行方向Doa側では、2種類の平板から迷光吸収層ALが構成されており、当該第2遮光平板LSPaと迷光吸収層ALとの間には第1スペーサーSSaが介挿されている。迷光吸収層ALは、開口径および厚さにおいて異なる2種類の遮光平板LSPa、LSPbを光進行方向Doaに交互に積層したものであり、具体的には、4枚の第1遮光平板LSPaおよび3枚の第2遮光平板LSPbで構成されている。迷光吸収層ALの光進行方向Doa側には、第1遮光平板LSPaと絞り平板APとが光進行方向Doaにこの順番に配置されている。また、迷光吸収層ALと第1遮光平板LSPaとの間にはスペーサーSSaが介挿されており、当該第1遮光平板LSPaと絞り平板APとの間には2枚のスペーサーSSa、SSbが介挿されている。
【0031】
このように、遮光部材297を設けることで、各発光素子グループEGとこれに対向する結像光学系LS1、LS2との間には、複数の開口Hf、Ha、Hb、Hpが光の進行方向Doaに並ぶこととなる。その結果、発光素子グループEGから射出された光のうち、当該発光素子グループEGに対向する開口Hf、Ha、Hb、Hpを通過した光が結像光学系LS1、LS2にまで到達し、その他の光のほとんどは遮光平板FP、LSPa、LSPb、APに遮光されて結像光学系LS1、LS2に到達しない。こうして、ゴーストの影響の少ない良好な露光の実現が図られている。
【0032】
続いて、発光素子グループEGにおける発光素子Eの配置態様について説明する。図5は、発光素子グループでの発光素子の配列態様を示す部分平面図である。同図の左端の1点鎖線円は、同図略中央の一点鎖線円で囲まれた範囲を抜粋したものである。同図はヘッド基板293の裏面293−tの構成を示しており、同図に示された構成はいずれもヘッド基板293の裏面293−tに形成されている。同図が示すように、17個の発光素子Eが長手方向LGDにピッチPe1で直線的に並んで1行の発光素子行ERが構成されており、しかも、1個の発光素子グループEGは、幅方向LTDにおいて異なる位置に配置された4行の発光素子行ER1〜ER4から構成されている。より詳しくは、発光素子グループEGは次のような発光素子Eの配置態様を有する。
【0033】
発光素子行ER1と発光素子行ER2とは、長手方向LGDにピッチPe2(=Pe1/2)だけ互いにシフトしており、その結果、発光素子行ER1に属する発光素子Eと発光素子行ER2に属する発光素子Eとが交互に、長手方向LGDにピッチPe2で千鳥状に並んでいる。また、同様に、発光素子行ER3と発光素子行ER4とは、長手方向LGDにピッチPe2だけ互いにシフトしており、その結果、発光素子行ER3に属する発光素子Eと発光素子行ER4に属する発光素子Eとが交互に、長手方向LGDにピッチPe2で千鳥状に並んでいる。また、発光素子行ER1、ER2の発光素子Eから成る千鳥配置ZA12と発光素子行ER3、ER4の発光素子Eから成る千鳥配置ZA34とは、長手方向LGDにピッチPe3(=Pe2/2)だけ互いにシフトしている。その結果、発光素子行ER2、ER4、ER1、ER2に属する4個の発光素子Eがこの順番で周期的に、長手方向LGDにピッチPe3で並んでいる。
【0034】
ここで、例えば、長手方向LGDへの発光素子Eのピッチは、当該ピッチで並ぶ2個の発光素子E、Eそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDへの距離として求めることができる。
【0035】
また、発光素子グループEGにおける、4行の発光素子行ER1〜ER4それぞれの間の幅方向LTDへの距離Dr12、Dr23、Dr34は次の通りである。つまり、発光素子行ER1と発光素子行ER2との距離Dr12と、発光素子行ER2と発光素子行ER3との距離Dr23と、発光素子行ER3発光素子行ER4との距離Dr34とは、整数比を満たす。すなわち次式、Dr12:Dr23:Dr34=l:m:n(l、m、nは正の自然数)が満足される。特に、第1実施形態では、Dr12:Dr23:Dr34=l:m:n=2:3:2となっている。
【0036】
ここで、例えば、距離Dr12は、発光素子行ER1の発光素子Eの幾何重心を通って長手方向LGDに平行な仮想直線と、発光素子行ER2の発光素子Eの幾何重心を通って長手方向LGDに平行な仮想直線との間の幅方向LTDへの距離として求められる。距離Dr23、Dr34についても同様にして求めることができる。
【0037】
また、発光素子グループEGの幅方向LTDの一方側には、発光素子行ER1、ER2に属して千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eを駆動するための駆動回路DC1、DC2が配置されている。具体的には、発光素子行ER1の発光素子Eを駆動する駆動回路DC1と、発光素子行ER2の発光素子Eを駆動する駆動回路DC2とが長手方向LGDに交互に並んでいる。これら駆動回路DC1、DC2、…は、ピッチPdc(>Pe2)で長手方向LGDに直線的に並んでいる。駆動回路DC1、DC2のそれぞれは、TFT(thin film transistor)から構成されており、後述するドライバーIC295により書き込まれた信号値を一時的に保持し(具体的には、信号値としての電圧値を容量に記憶し)、当該信号値に応じた駆動電流を発光素子Eに供給するものである。
【0038】
また、幅方向LTDにおいて、千鳥配置ZA12を構成する発光素子Eと駆動回路DC1、DC2、…との間には、複数のコンタクトCTが形成されている。これら複数のコンタクトCTは、千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eに対して一対一の対応関係で隣接して設けられており、これら複数の発光素子Eと同じピッチPe2で長手方向LGDに直線的に並んでいる。そして、千鳥配置ZA12を構成する各発光素子Eと、当該発光素子Eに隣接するコンタクトCTとが配線WLa(図5の破線)で接続される。なお、図5に示すように、発光素子行ER1の発光素子EとコンタクトCTとを接続する配線Wlaは略一定の幅を有している。これに対して、発光素子行ER2の発光素子EとコンタクトCTとを接続する配線Wlaの幅は一定ではなく、発光素子E側の先端部分が細くなっている。これは、発光素子行ER1の発光素子Eの間を抜けて、発光素子行ER2の発光素子Eにまで配線WLaを通すためである。
【0039】
そして、発光素子行ER1の発光素子Eに接続されたコンタクトCTと、駆動回路DC1とが配線WLbで接続される。また、発光素子行ER2の発光素子Eに接続されたコンタクトCTと、駆動回路DC2とが配線WLbで接続される。そして、これらの配線経路を介して、駆動回路DC1、DC2はそれぞれ対応する発光素子Eに駆動電流を供給する。なお、図5に示すように、千鳥配置ZA12を構成する複数の発光素子Eのうち、長手方向LGDの両端部に2個ずつ形成された発光素子Eには駆動回路DC1、DC2が接続されていない。つまり、これらの発光素子Eは、駆動電流が供給されず、実際には発光しないダミー素子である。
【0040】
また、同様に、発光素子グループEGの幅方向LTDの他方側にも、複数の駆動回路が長手方向LGDにピッチPdc(>Pe2)で並んでいる。これら駆動回路DC3、DC4は、発光素子行ER3、ER4に属して千鳥配置ZA34を構成する複数の発光素子Eを駆動するために設けられたものであり、駆動回路DC3、DC4と発光素子行ER3、ER4(千鳥配置ZA34)との関係は、上述した駆動回路DC1、DC2と発光素子行ER1、ER2(千鳥配置ZA12)との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
このように、発光素子グループEGの発光素子Eには、駆動回路DC1〜DC4が接続されており、駆動回路DC1〜DC4からの駆動電流の供給を受けて、各発光素子Eは光を射出する。この駆動回路DC1〜DC4による電流供給は、ラインヘッド29が備える電気的構成により制御される。
【0042】
図6は、ラインヘッドの電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、ラインヘッド29の電気的構成は、上述した駆動回路DC1〜DC4以外に、データ転送基板TBと複数のドライバーIC295とを備える。データ転送基板TBは、外部から受信したビデオデータVDを各ドライバーIC295に転送する。また、各ドライバーIC295は、ビデオデータVD(具体的には、電圧値に変換されたビデオデータVD)を駆動回路DC1〜DC4に書き込んで、発光素子Eの発光制御を行う。この際、ドライバーIC295は、発光素子Eの劣化や温度特性等に応じて補正したビデオデータVDを駆動回路DC1〜DC4に書き込んでも良い。また、この書き込み動作は、いわゆる時分割駆動によって実行しても良い。
【0043】
また、データ転送基板TBは、外部から供給された電源Vddを、ヘッド基板293(の駆動回路DC1〜DC4)に給電する機能も果たす。そして、第1実施形態のラインヘッド29は、ヘッド基板293に対するビデオデータVDの転送および電源Vddの給電を実現するために、ヘッド基板293周りに図7に示すような構成を備えている。
【0044】
図7は、ヘッド基板周りの構成を展開した部分展開図であり、ヘッド基板293周りの構成を展開した様子をヘッド基板293の表面293−t側から平面視した場合を示している。なお、同図の破線部分は、平面視においてヘッド基板293およびデータ転送基板TBに隠れる部分を示している。同図に示すように、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側にはデータ転送基板TB、TBが設けられている。このデータ転送基板TBは、フレキシブルプリント基板Ftbを介して外部からビデオデータVDを受信するとともに、電源ハーネスVtbを介して外部から電源Vddの供給を受ける。こうして受け取ったビデオデータVDおよび電源Vddを、データ転送基板TBは、フレキシブルプリント基板2961、2962を介してヘッド基板293に転送・供給する。具体的には、データ転送基板TBは、フレキシブルプリント基板2961を介してビデオデータVDをヘッド基板293の各駆動回路DC1〜DC4に転送するとともに、フレキシブルプリント基板2962を介して電源Vddをヘッド基板293に給電する。つまり、フレキシブルプリント基板2961はビデオデータVDの転送用に用いられ、フレキシブルプリント基板2962は電源Vddの給電用に用いられる。
【0045】
かかる動作を実現するために、具体的には、ヘッド基板293の幅方向LTDの各端部とデータ転送基板TBとがフレキシブルプリント基板2961、2962により接続されている。より詳細には、フレキシブルプリント基板2961、2962の各端子が、データ転送基板TBのコネクタCtbあるいはヘッド基板裏面293−tに形成された端子(不図示)に接続される。すなわち、図7において、フレキシブルプリント基板2961、2962の表面(同図平面視で見える面)の両端部それぞれには、不図示の端子が形成されており、フレキシブルプリント基板2961、2962の一方(他方)端子が、ヘッド基板裏面293−tの端子に接続されるとともに、フレキシブルプリント基板2961、2962の他方(一方)端子が、データ転送基板TBのコネクタCtbに接続される。
【0046】
また、上述したとおり、ヘッド基板293の駆動回路DC1〜DC4に対するビデオデータVDへの書き込みは、ドライバーIC295の制御下で実行される。そこで、図7において、フレキシブルプリント基板2961の表面(同図平面視で見える面)の中央部には、不図示の端子が形成されており、当該端子にドライバーIC295がCOF技術により実装されている。したがって、データ転送基板TBが出力したビデオデータVDはドライバーIC295に一度受け渡され、その後にドライバーIC295が当該ビデオデータVDをヘッド基板293の駆動回路DC1〜DC4に書き込む。
【0047】
このように、第1実施形態では、ドライバーICを、ヘッド基板293ではなくフレキシブルプリント基板2961に実装しているため、ヘッド基板293を幅方向LTDに狭小化することができ、延いては、ラインヘッド29の省スペース化の実現が可能となる。
【0048】
そして、第1実施形態では、ヘッド基板293の幅方向LTDの一方側および他方側のそれぞれに、フレキシブルプリント基板2961、2962が複数づつ設けられている。つまり、ヘッド基板293の幅方向LTDの一方側には、4つのフレキシブルプリント基板2962が長手方向LGDに間隔を空けて設けられており、さらに、隣り合うフレキシブルプリント基板2962、2962の間に2枚のフレキシブルプリント基板2961、2961が設けられている。こうして、ヘッド基板293の幅方向LTDの一方側には、2枚のフレキシブルプリント基板2961、2961と1枚のフレキシブルプリント基板2962とが長手方向LGDにこの順番で周期的に設けられる。また、同様に、ヘッド基板293の幅方向LTDの他方側にも、2枚のフレキシブルプリント基板2961、2961と1枚のフレキシブルプリント基板2962とが長手方向LGDにこの順番で周期的に設けられる。
【0049】
ちなみに、ヘッド基板293の幅方向LTDの一方側に設けられたフレキシブルプリント基板2961に対しては、発光素子グループ行GRaの各発光素子Eおよび発光素子グループ行GRbの発光素子行ER1、ER2の各発光素子Eを駆動する駆動回路が接続されている。これに対して、ヘッド基板293の幅方向LTDの他方側に設けられたフレキシブルプリント基板2961に対しては、発光素子グループ行GRcの各発光素子Eおよび発光素子グループ行GRbの発光素子行ER3、ER4の各発光素子Eを駆動する駆動回路が接続されている。このように、第1実施形態では、ヘッド基板293の幅方向LTDの両側にフレキシブルプリント基板2961を設けることで、駆動回路DC1〜DC4とフレキシブルプリント基板2961とを接続する配線の引き回しを容易にしている。特に、2400dpi(dot per inch)以上の解像度で露光可能であるようにラインヘッド29を構成する場合には、フレキシブルプリント基板2961を幅方向LTDの両側から引き出して、ヘッド基板293での配線引き回しを簡素化することが好適となる。
【0050】
また、上述のとおり、2枚のフレキシブルプリント基板2961、2961と1枚のフレキシブルプリント基板2962とが長手方向LGDにこの順番で周期的に設けられており、換言すれば、複数のデータ用のフレキシブルプリント基板2961を配置する中に、各電源用のフレキシブルプリント基板2962を分散して配置している。このように、長手方向LGDに電源用のフレキシブルプリント基板2962を分散してヘッド基板293に給電を行なうことで、ヘッド基板293での電源ラインの長さを短くし、電圧降下を抑制することができる。
【0051】
このように、ラインヘッド29は、ヘッド基板293とデータ転送基板TBとをフレキシブルプリント基板2961、2962で接続し、さらに、フレキシブルプリント基板2961にドライバーICを実装した電気的構成を備える。そして、ラインヘッド29は、これら電気的構成と、図2に示した光学的構成とを一体的に支持するために、以下に説明するような全体構成を備える。図8は、ラインヘッドの全体構成を示す部分斜視図である。図9は、ラインヘッドの全体構成の幅方向部分断面図である。図10は、ラインヘッドの部分分解斜視図であり、特に、後述するカバー部材291が取り外された様子を示している。
【0052】
これらの図に示すように、ラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺な略直方体形状を有するベース290を備えている。このベース290は鉄等の金属を基材とした剛性部材である。そして、このベース290によって、図2に示した光学的構成が支持される。具体的には、ヘッド基板293の裏面293−tに接着された封止部材294の底面が、ベース290の上面に接着・固定される。
【0053】
また、このベース290の下方には、上述した2枚のデータ転送基板TB、TBが幅方向TKDに互いに対向した状態で配置されている。このように、ベース290から下方に外れた位置にデータ転送基板TB、TBを配置する理由は、ベース290に干渉されること無く、データ転送基板TBに部品を実装するための空間を十分に確保するためである。さらに、ベース290の底面にはこれらデータ転送基板TB、TBを支持するための基板支持板2901が設けられている。この基板支持板2901は厚さ方向TKDにおいてデータ転送基板TB、TBの略中間に位置しており、その上端がベース290の底面に固定されている。なお、この基板支持板2901は長手方向LGDに3ヵ所設けられている。そして、各基板支持板2901に設けられたスペーサー2902に対して、データ転送基板TBがネジ2903によって固定される。こうして、データ転送基板TB、TBがベース290に対して固定される。
【0054】
このように、データ転送基板TB、TBがベース290の下方に設けられることから、ヘッド基板裏面293−tに接続されたフレキシブルプリント基板2961、2962は、幅方向LTDの外側に湾曲した後に、ベース290の(幅方向LTDの)側方を通って、データ転送基板TBにまで引き出される。また、ベース290の側方を通る際に、フレキシブルプリント基板2961は、ドライバーICが実装されていない面をベース290の幅方向LTDの側面に向ける一方、ドライバーICが実装されている面を幅方向LTDの外側に向ける。また、上述のとおり、複数のフレキシブルプリント基板2961のそれぞれにドライバーIC295が実装されているため、ベース290の幅方向LTDの側方では、複数のドライバーIC295が長手方向LGDに略一直線状に並ぶこととなる(図10)。
【0055】
さらに、図8〜図10に示すように、幅方向LTDの両側には金属製のカバー部材(板金カバー)291、291が設けられている。カバー部材291の上部には、幅方向LTDの外側に湾曲したカバーフレーム2911が形成されている。このカバーフレーム2911は、ヘッド基板293からレンズアレイLA2までの間を幅方向LTD側から覆って、ラインヘッド29内部からの漏光やラインヘッド29外部からの電磁波の侵入を抑制する機能を果たす。また、この実施形態では、かかる漏光や電磁波の侵入をより確実に抑制するために、支持ガラス299からカバーフレーム2911にかけて遮光シート298が貼られている。この遮光シート298は、不透明な絶縁性の樹脂シートである。
【0056】
また、このカバーフレーム2911の上面は長手方向LGDに大きく切り欠けられて、切欠部2912が形成されている。したがって、発光素子グループEGから射出されて結像光学系LS1、LS2を透過した光は、この切欠部2912を通って被露光面ESへと向かうことができる。
【0057】
一方、カバー部材291の下部には、複数の押圧片2913と複数のネジ固定用片2915とが形成されている。図8および図10から判るように、これら押圧片2913とネジ固定用片2915とは長手方向LGDに交互に形成されている。ネジ固定用片2915にはネジ2916を挿入するためのネジ挿入孔が貫通形成されている。そして、このネジ挿入孔にネジ2916を挿入した状態で、ネジ2916をベース290のネジ孔に取り付けることで、カバー部材291をベース290に装着することができる。
【0058】
そして、カバー部材291の装着状態において、押圧片2913はフレキシブルプリント基板2962(ドライバーICが実装されていないFPC)をベース290側に押し遣って、フレキシブルプリント基板2962をベース290の幅方向LTDの側面に沿わせる。また、同じくカバー部材291の装着状態において、押圧片2913はドライバーIC295に接触する。したがって、ネジ2916をベース290のネジ孔に締め込むと、押圧片2913はドライバーICをベース290側に押圧して、フレキシブルプリント基板2961をベース290に圧接する。こうして、フレキシブルプリント基板2961は、押圧片2913からの押圧力と、ベース290との接触面における摩擦力とによって、ベース290に固定される。
【0059】
ちなみに、この際、ドライバーIC295の表面と押圧片2913との間に絶縁膜(フィルム)を入れて、絶縁膜を介して押圧片2913がドライバーIC295を押圧するように構成しても良い。このような場合、絶縁膜によって、ドライバーIC295がカバー部材291と電気的に絶縁されるため、外部からカバー部材291に飛び込む誘導ノイズ等がドライバーICのシリコン基板の電位に影響を、小さく抑えることができる。その結果、カバー部材291に飛び込む誘導ノイズに起因したドライバーIC295の誤動作を抑制することができる。
【0060】
そして、第1実施形態では、このようなカバー部材291を幅方向LTDの両側に設けることで、幅方向LTDの一方側のフレキシブルプリント基板2961をベース290の幅方向LTDの一方側に固定し、幅方向LTDの他方側のフレキシブルプリント基板2961をベース290の幅方向LTDの他方側に固定している。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態のラインヘッド29では、カバー部材291が、ヘッド基板293を支持するベース290にフレキシブルプリント基板2961を固定している。したがって、フレキシブルプリント基板2961の揺動が規制されて、フレキシブルプリント基板2961とヘッド基板293との接続部分の破損を抑制することができる。
【0062】
特に、ラインヘッド29を画像形成装置(詳細は後述する)の内部で用いた場合、画像形成装置内部の振動源の影響によりフレキシブルプリント基板2961が振動して、これによりフレキシブルプリント基板2961とヘッド基板293との接続状態が劣化するおそれがある。これに対して、第1実施形態のラインヘッド29によれば、カバー部材291でフレキシブルプリント基板2961をベース290に固定しているため、フレキシブルプリント基板2961の振動を抑えることができ、その結果、フレキシブルプリント基板2961とヘッド基板293との接続部分の劣化の抑制が期待できる。
【0063】
ところで、上述のようなドライバーIC295は動作を繰り返すうちに発熱する。したがって、ドライバーIC295の熱がフレキシブルプリント基板2961に伝導して、フレキシブルプリント基板2961には相当量の熱が蓄熱されると考えられる。これに対して、第1実施形態のラインヘッド29では、金属製のベース290が用いられ、しかも、カバー部材291が、この金属製のベース290にフレキシブルプリント基板2961を接触させている。したがって、金属製のベース290によりフレキシブルプリント基板2961を冷却して、フレキシブルプリント基板2961の蓄熱を抑制することが可能となっている。
【0064】
特に、第1実施形態では、フレキシブルプリント基板2961をベース290に圧接しているため、ベース290によるフレキシブルプリント基板2961の冷却を促進することができ、その結果、フレキシブルプリント基板2961の蓄熱をより効果的に抑制することができる。また、第1実施形態では、フレキシブルプリント基板2961の近くに金属製のカバー部材291が配置されており、このカバー部材291によるフレキシブルプリント基板2961の放熱も期待できる。
【0065】
また、第1実施形態のラインヘッド29では、カバー部材291は、レンズアレイLA2からヘッド基板293までを覆って、ラインヘッド29内部からの漏光やラインヘッド29外部からの電磁波の侵入を抑制する機能をも果たす。このように、カバー部材291はフレキシブルプリント基板2961を固定する機能のみならず、漏光や電磁波侵入の抑制機能をも担っている。したがって、各機能毎に部材を備える必要が無くなるため、ラインヘッド29の部品点数を減らして、ラインヘッド29の低コスト化および構成の簡素化を図ることが可能となっている。
【0066】
第2実施形態
上記第1実施形態では、図7に示したように、幅方向LTDに2枚のデータ転送基板TB、TBが対向して配置されていた。そして、データ転送基板TB、TBそれぞれは、フレキシブルプリント基板Ftbを介して外部からビデオデータVDを受信するとともに、電源ハーネスVtbを介して外部から電源Vddの供給を受ける。そこで、第2実施形態では、データ転送基板TB、TBにビデオデータVDおよび電源Vddを供給する構成について説明する。
【0067】
図11は、データ転送基板にビデオデータおよび電源を供給する構成の部分斜視図である。第2実施形態では、幅方向LTDに対向する2枚のデータ転送基板TB、TBのうち、幅方向LTDの一方側の基板TBに符号TB1を付し、幅方向LTDの他方側の基板TBに符号TB2を付して説明することとする。また、以下の説明では、特に断らない限り、データ転送基板TB1、TB2の互いに対向する面(部品実装面)に電子部品を実装するものとする。
【0068】
図7の説明では省略していたが、図11に示すように、データ転送基板TB1(TB2)には、2つのデータ用コネクタCf1、Cf1(Cf2、Cf2)が長手方向LGDに間隔を空けて実装されるとともに、各データ用コネクタCf1、Cf1(Cf2、Cf2)の長手方向LGDの間に電源用コネクタCv1(Cv2)が実装される。また、データ転送基板TB1、TB2の下方にはヘッドコントローラーHC(ヘッド制御基板HC)が配置されている。このヘッドコントローラーHCの幅方向LTDの一方側では、コネクタJ1-A、J1-v、J1-Bがこの順番で長手方向LGDに並んで配置されているとともに、他方側では、コネクタJ2-A、J2-v、J1-Bがこの順番で長手方向LGDに並んで配置されている。ちなみに、コネクタJ1-A、J2-Aのピン数とコネクタJ1-B、J2-Bのピン数とは異なっている。このようにコネクタのピン数を異ならせることで、コネクタJ1-A、J2-A、J1-B、J2-Bに対して誤ったフレキシブルプリント基板Ftbが接続されることがないように構成されている。
【0069】
そして、コネクタJ1-A、J1-B(J2-A、J2-B)がフレキシブルプリント基板Ftbを介してデータ用コネクタCf1、Cf1(Cf2、Cf2)に接続されており、この経路を介して、ヘッドコントローラーHCからデータ転送基板TB1(TB2)にビデオデータVDが送信される。一方、コネクタJ1-v(J2-v)が電源ハーネスVtbを介して電源用コネクタCv1(Cv2)に接続されており、この経路を介して、ヘッドコントローラーHCからデータ転送基板TB1(TB2)に電源Vddが供給される。
【0070】
上述してきたとおり、ラインヘッド29は、データ転送基板TB1、TB2を幅方向LTDに対向させて配置させている。ただし、ラインヘッド29の省スペース化という観点からは、これら2枚のデータ転送基板TB1、TB2の間隔をできるだけ狭小化することが好適である。一方で、データ転送基板TB1、TB2それぞれの部品の接触が、基板間隔の狭小化の障害となるおそれがある。特に、電源用コネクタCv1、Cv2は、給電能力を十分に確保するために大型化する傾向にあるため、基板間隔の狭小化の妨げとなりやすい。そこで、第2実施形態では、幅方向LTDから見て、電源用コネクタCv1と電源用コネクタCv2とは重複しないように位置をずらして配置されている。したがって、2枚のデータ転送基板TB1、TB2の間隔を狭小化して、ラインヘッド29の省スペース化を図ることが可能となっている。
【0071】
また、第2実施形態では、データ転送基板TB1、TB2にデータ用コネクタCf1、Cf2および電源用コネクタCv1(Cv2)を設けて、データ転送基板TB1、TB2に対してフレキシブルプリント基板Ftbや電源ハーネスVtbを着脱可能に構成している。したがって、組立の際等に不良品が見つかったような場合には、当該不良品を良品に交換することが可能であり、組立性の向上が図られている。
【0072】
第3実施形態
図12は上述したラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図13は図12の装置の電気的構成を示すブロック図である。第3実施形態では、上述したラインヘッド29を備えた画像形成装置の一例について、これらの図を用いて説明する。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0073】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0074】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図12では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図12に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0075】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図12の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図12中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0076】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図12では、時計回り)に沿って配設されている。
【0077】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0078】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がビデオデータVDに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29のデータ転送基板TB(図6)にビデオデータVDを送信すると、データ転送基板TBが各ドライバーIC295にビデオデータVDを転送し、ドライバーICがこのビデオデータVDに基づいて各発光素子Eを発光させる。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の具体的構成は、既に述べたとおりである。
【0079】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図12紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0080】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0081】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0082】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0083】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー圧縮コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー圧縮コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー圧縮コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0084】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0085】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0086】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図12の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0087】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0088】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0089】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0090】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0091】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当する。また、発光素子Eが本発明の「発光素子」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「ヘッド基板」に相当し、フレキシブルプリント基板2961が本発明の「フレキシブルプリント基板」、「第2のフレキシブルプリント基板」に相当し、ドライバーIC295が本発明の「制御回路」、「第2の制御回路」に相当し、ベース290が本発明の「支持部材」に相当し、カバー部材291が本発明の「固定部材」、「第2の固定部材」に相当する。また、レンズアレイLA1とレンズアレイLA2とが協働して本発明の「光学部材」として機能している。また、データ転送基板TBが本発明の「第1のデータ転送基板」、「第2のデータ転送基板」に相当し、電源用コネクタCv1、Cv2が本発明の「第1の部品」、「第2の部品」に相当する。また、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当する。
【0092】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、カバー部材291がドライバーIC295を押圧して、フレキシブルプリント基板2961をベース290に固定していた。しかしながら、カバー部材291以外の部材によって、フレキシブルプリント基板2961を固定しても良い。
【0093】
図14は、変形例にかかるラインヘッドの部分分解斜視図である。同図のラインヘッドでは、長手方向LGDに長尺な平板形状をした金属製のドライバーICホルダー2917が設けられている。このドライバーICホルダーには、長手方向LGDの複数箇所にネジ挿入孔が貫通形成されている。そして、このネジ挿入孔にネジ2916を挿入した状態で、ネジ2916をベース290のネジ孔に取り付けることで、ドライバーICホルダー2917がベース290に装着される。
【0094】
この装着状態において、ドライバーICホルダー2917はフレキシブルプリント基板2962(ドライバーICが実装されていないFPC)をベース290側に押し遣って、フレキシブルプリント基板2962をベース290の幅方向LTDの側面に沿わせる。また、同じく装着状態において、ドライバーICホルダー2917はドライバーIC295に接触する。したがって、ネジ2916をベース290に締め込むと、ドライバーICホルダー2917はドライバーICをベース290側に押圧して、フレキシブルプリント基板2961をベース290に圧接する。こうして、フレキシブルプリント基板2961は、押圧片2913からの押圧力と、ベース290との接触面における摩擦力とによって、ベース290に固定される。したがって、フレキシブルプリント基板2961の揺動が規制されて、フレキシブルプリント基板2961とヘッド基板293との接続部分の破損を抑制することができる。また、同図の例においても、金属製のベース290にフレキシブルプリント基板2961を接触させているため、金属製のベース290によりフレキシブルプリント基板2961を冷却して、フレキシブルプリント基板2961の蓄熱を抑制することが可能となっている。また、この実施形態では、フレキシブルプリント基板2961の近くに金属製のドライバーICホルダー2917が配置されており、このドライバーICホルダー2917によるフレキシブルプリント基板2961の放熱も期待できる。
【0095】
図15は、さらなる変形例にかかるラインヘッドの部分分解斜視図である。同図のラインヘッド29では、フレキシブルプリント基板2961に、長手方向LGDからドライバーICを挟んで2つのネジ挿入孔2918、2918が貫通形成されている。そして、このネジ挿入孔2918、2918にネジ2919、2919を挿入した状態で、ネジ2919、2919をベース290のネジ孔にねじ込むことで、フレキシブルプリント基板2961をベース290に固定することができる。こうして、フレキシブルプリント基板2961の揺動が規制されて、フレキシブルプリント基板2961とヘッド基板293との接続部分の破損を抑制することができる。また、同図の例においても、金属製のベース290にフレキシブルプリント基板2961を接触させているため、金属製のベース290によりフレキシブルプリント基板2961を冷却して、フレキシブルプリント基板2961の蓄熱を抑制することが可能となっている。
【0096】
また、図15のラインヘッド29においては、フレキシブルプリント基板2961のグランドパターンをベース290に電気的に設定しておいても良い。この際、データ用のフレキシブルプリント基板2961だけでなく、電源用のフレキシブルプリント基板2962のグランドパターンもベース290に電気的に設定しても良い。このように構成することで、フレキシブルプリント基板2961、2962のグランド電位を安定化させることができる。
【0097】
また、上述した実施形態のラインヘッド29は、所定個数毎に発光素子Eをグループ化して発光素子グループEGを構成し、さらに、複数の発光素子グループEGを離散的かつ2次元的に配置していた。しかしながら、本発明を適用可能なラインヘッド29はこれに限られない。つまり、正立等倍の結像特性を有する屈折率分布型のロッドレンズを複数俵積みしたロッドレンズアレイを用いてラインヘッドを構成することができるが、このロッドレンズアレイを用いた場合には、複数の発光素子Eはグループ化されることなくガラス基板に形成される。
【0098】
図16は、屈折率分布型ロッドレンズアレイを用いたラインヘッドの構成を示す図であり、特に、ヘッド基板の裏面293−tに形成された部材を平面視した場合を示している。同図に示すように、ヘッド基板293には、複数の発光素子Eが4行千鳥で長手方向LGDに並んで形成されており、さらに、これら発光素子Eの幅方向LTDの一方側には、複数の駆動回路DCが長手方向LGDに直線的に並んで形成されている。この駆動回路DCは発光素子E毎に1つずつ設けられたものであり、配線WLを介して発光素子Eに駆動電流を供給する。また、これら駆動回路DCの幅方向LTDの一方側には、配線(選択線Ws、データ線Wd)が引き出されている。これら配線Ws、Wdは、ヘッド基板293の幅方向LTDの一方側に設けられたフレキシブルプリント基板に接続されており、フレキシブルプリント基板に実装されたドライバーICからの信号を駆動回路DCに伝達する。なお、図16のラインヘッドでは、フレキシブルプリント基板は幅方向LTDの片側にのみ設ければ足りる。そして、引き出されたフレキシブルプリント基板を、上述した要領でベース290に固定することで、上述と同様の効果を奏することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、発光素子Eとしてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
【符号の説明】
【0100】
21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 290…ベース、 291…カバー部材、 293…ヘッド基板、 295…ドライバーIC、 2961…フレキシブルプリント基板(データ用)、 2962…フレキシブルプリント基板(電源用)、 LA1,LA2…レンズアレイ、 TB,TB1,TB2…データ転送基板、 Cv1、Cv2…電源用コネクタ、 HC…ヘッドコントローラー、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 TKD…厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が配設されたヘッド基板と、
前記ヘッド基板を支持する支持部材と、
前記ヘッド基板に接続されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に配設されて、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、
前記フレキシブルプリント基板を前記支持部材に固定する固定部材と、
を備えたことを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記支持部材は金属製であり、前記固定部材は前記フレキシブルプリント基板を前記支持部材に接触させる請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板は前記制御回路が実装された面と反対の面を前記支持部材に向け、前記固定部材は前記制御回路を前記支持部材の側に押圧して、前記フレキシブルプリント基板を前記支持部材に圧接する請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記発光素子が発光した光を結像する光学部材を備え、前記固定部材は前記光学部材から前記ヘッド基板までを覆うカバー部材である請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記制御回路と別の第2の制御回路が配設された前記フレキシブルプリント基板とは別の第2のフレキシブルプリント基板と、前記第2のフレキシブルプリント基板を前記支持部材に固定する第2の固定部材とを備えた請求項1ないし4のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記ヘッド基板は第1の方向に長く第2の方向に短い平板形状を有し、前記フレキシブルプリント基板は前記ヘッド基板の前記第2の方向の一方側に接続され、前記第2のフレキシブルプリント基板は前記ヘッド基板の前記第2の方向の他方側に接続され、前記第1の固定部材は前記フレキシブルプリント基板を前記支持部材の前記第2の方向の前記一方側に固定し、前記第2の固定部材は前記第2のフレキシブルプリント基板を前記支持部材の前記第2の方向の前記他方側に固定する請求項5に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板の前記制御回路にデータを転送するとともに第1の部品を有する第1のデータ転送基板と、前記第2のフレキシブルプリント基板の前記第2の制御回路にデータを転送するとともに第2の部品を有する第2のデータ転送基板とを備え、前記第1のデータ転送基板と前記第2のデータ転送基板とは前記第2の方向に対向し、前記第2の方向から見て前記第1の部品と前記第2の部品とは重複しないように位置をずらして配設されている請求項6に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
発光素子が配設されたヘッド基板および前記ヘッド基板を支持する支持部材を有する露光ヘッドと、
前記発光素子が発光した光により潜像が形成される潜像担持体と、
前記ヘッド基板に接続されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に実装されて、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、
前記フレキシブルプリント基板を前記支持部材に固定する固定部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−110761(P2011−110761A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267674(P2009−267674)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】