説明

露光装置およびデバイス製造方法

【課題】レーザ干渉計の計測精度を改善する。
【解決手段】露光装置は、投影光学系ULと、原版Rまたは基板Wを保持して移動可能なステージ1r、1wと、ステージを支持する定盤4と、原版または基板の表面の高さ及び傾きを検出する検出手段7と、投影光学系と検出手段とを支持する架台8と、定盤と架台との間における、ステージを含む空間の空調を行う空調手段と、該空間内に光路を有してステージの位置を計測するレーザ干渉計6と、を有する。上記検出手段は、光電検出手段27と、パターンを投影する投光光学系と、原版または基板上に投影された上記パターンの像を光電検出手段に再結像させる受光光学系とを有する。光電検出手段を含む検出手段の第1の部分は、上記空間の外において架台に支持され、検出手段の第2の部分は、上記空間内において架台に支持され、第1の部分と第2の部分とは、受光光学系の瞳面と像面との間で分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原版を介して基板を露光する露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等を製造するフォトリソグラフィ工程では、投影型露光装置を使用してレチクルやフォトマスク上に形成されているパターンを、感光剤が塗布された基板(ウエハ)等に転写する。投影型露光装置としては、ウエハの各ショット領域を投影光学系の露光領域内に移動させ、ショット領域ごとに対応するレチクルのパターン像を一括露光し、再び移動、一括露光を繰り返すステップ・アンド・リピート方式の縮小型露光装置(ステッパ)や、露光領域を拡大する為にレチクル及びウエハを相対的に同期走査しながらレチクルのパターンをウエハ上に露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャナ)が用いられている。
【0003】
これらの投影型露光装置においては、露光対象であるウエハ面の露光領域の持つ投影光学系の光軸方向に対する位置及び傾斜角を読みとり、最適な状態に該露光領域の位置及び傾斜角を制御することが必須である。露光領域の投影光学系の光軸方向に対する位置や傾斜角、即ち露光面のフォーカス状態を読みとる機構である面位置検出装置としては、従来、以下に説明する光学的な測定方式が用いられている。
【0004】
図1は半導体素子製造における投影型露光装置の構成概略図である。転写用のパターンが形成されレチクルステージ1上に保持されたレチクルRには、照明光学系(不図示)からの照明光束ILで照明が行われる。照明されたレチクルR上のパターンは投影光学系ULによりウエハW上に投影される。ウエハWはウエハWを保持しつつ、ウエハWの傾斜角及び投影光学系ULに対する光軸方向の高さを調整するフォーカス・レベリングステージ2上に搭載される。フォーカス・レベリングステージ2は、投影光学系ULの光軸に垂直な平面内でウエハWの位置決めを行うXYステージ3上に搭載され、更にXYステージ3はウエハステージベース4上に保持される。投影光学系ULの光軸方向に対する位置は、面位置検出装置7を用いて測定する。
【0005】
図2は面位置検出装置を示している平面図である。この面位置検出装置は、ウエハWに対し非感光性の光を照射する焦点位置測定用光束の光源(不図示)を用い、光源から光ファイバ10を通じて送られる照明光11の光束により照明される焦点検出用パターン板13、焦点検出用パターン板13上のパターン(開口)を投影光学系ULの露光領域の近傍、あるいは露光領域内に位置する複数の測定点に斜めから投影する投光光学系により投光側が構成される。ここで、前記投光光学系には、ミラー14、リレーレンズ15、開口絞り16、ミラー17、照射対物レンズ18、及び投光プリズムミラー19等が含まれている。投影された複数の測定点からの反射光は受光光学系に入射して集光され、各測定点の焦点検出用のパターン(開口)の像が各測定点に対応した光電検出手段27に再結像される。光電検出手段27で検出された出力信号を画像処理検出することにより、各測定点についてウエハWの高さ及び傾斜角に起因するずれ量に対応した検出信号が生成される。光電検出手段27からの検出信号に基づいてフォーカス・レベリングステージ2は制御手段(不図示)により、ウエハWの露光領域の位置及び傾斜角を補正制御する。ここで、前記受光光学系には、受光プリズムミラー20、集光対物レンズ21、ミラー22、開口絞り23、リレーレンズ24、及びミラー25,26等が含まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常の投影型露光装置においては、図1に示すように、投影光学系ULは定盤9上に固定された架台8の上面に投影光学系ULのフランジ等を介して支持されている。面位置検出装置7は架台8の下面に固定され、フォーカス・レベリングステージ2、XYステージ3と共に架台8と定盤9で囲まれた空間(以下ステージ空間という。)に設置されている。
【0007】
また、XYステージ3の投影光学系の光軸に垂直な平面内での位置を観察するために、XYステージ3に固定された干渉計ミラー5にレーザビームを投射するレーザ干渉計6も架台8下面に固定され、ステージ空間に含まれている。
【0008】
従来、レーザ干渉計6及び面位置検出装置7の光路は、ステージ駆動ストロークの関係上カバーを用いて局所的に空調の安定化と空気の流れの最適化ができない領域が存在し、温度勾配に起因した空気の温度ゆらぎ(屈折率の変動)が計測精度に大きな影響を与えているために、ステージ空間には、吹出し温度が±0.05℃以下に制御した専用の空調系(不図示)を備えている。
【0009】
また、焦点検出信号を光電検出手段によって処理し、発熱源である光電検出手段を構成するセンサ部28を有する面位置検出装置7は、センサ部28に局所排気機構29を設けてステージ空間において温度勾配の発生を防いでいる。
【0010】
しかしながら、センサ部28に局所的排気機構29を設けても、完全には熱を排気することは不可能であり、空調系の吹出し設定温度に対してセンサカバー部の表面温度は0.5〜1.0℃程度高くなっている。このため、ステージ空間において温度勾配が生じ、面位置検出装置7及びレーザ干渉計6の光路上には空気の温度ゆらぎをもたらし、面位置検出装置7及びレーザ干渉計6の測定結果は数10nm程度の測定誤差が生じていた。
【0011】
面位置検出装置7の測定誤差は、レチクルRのパターンを投影光学系ULを介してウエハW上に露光する際の焦点位置ずれとなり、レチクルパターンがウエハ上に良好に解像しないなどの問題となる。また、レーザ干渉計6による測定誤差に関しては、レチクルRのパターンを投影光学系6を介してウエハW上に露光する際、ウエハW上の同一領域に複数のパターンを重ね合わせて露光する際の重ね合わせ精度が低下してしまう。
【0012】
今後も、露光装置の解像力向上のために、投影光学系の開口数(NA)の拡大や、露光波長の短波長化が図られていくが、これに伴い、投影光学系の許容深度(焦点深度)が減少し、ウエハ面を投影光学系の合焦位置に設定する際の測定精度もより一層厳しくなっていく。面位置検出装置の測定精度を向上させていくために、ウエハ面での露光領域における面情報を増加させていく傾向にあるが、ウエハ面での測定点の増加は、光電検出手段であるセンサの増加につながるため、発熱量も増加し、面位置検出装置及びレーザ干渉計の計測精度を更に悪化させる可能性もある。
【0013】
本発明は、レーザ干渉計の計測精度を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の露光装置は、原版を介して基板を露光する露光装置であって、
前記原版または前記基板を保持して移動可能なステージと、
前記ステージを支持する定盤と、
前記ステージに保持された前記原版または前記基板の表面の高さ及び傾きを検出する検出手段と、
前記検出手段を支持する架台と、
前記定盤と前記架台との間における、前記ステージを含む空間の空調を行う空調手段と、
前記空間内に光路を有して前記ステージの位置を計測するレーザ干渉計とを有し、
前記検出手段は、光電検出手段と、前記原版または前記基板上にパターンを投影する投光光学系と、前記原版または前記基板上に投影された前記パターンの像を前記光電検出手段に再結像させる受光光学系とを有し、前記光電検出手段を含む前記検出手段の第1の部分は、前記空間の外において前記架台に支持され、前記検出手段の第2の部分は、前記空間内において前記架台に支持され、前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記受光光学系の瞳面と像面との間において該像面より該瞳面の近傍で分割されている、
ことを特徴とする露光装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーザ干渉計の計測精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来例である露光装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】従来例である露光装置に設置されている面位置検出装置の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る露光装置を示す立面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る露光装置を示す立面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る露光装置に適用した面位置検出装置のセンサ部土台の断面図である。
【図6】本発明に係る装置を用いた半導体デバイスの生産システムをある角度から見た概念図である。
【図7】本発明に係る装置を用いた半導体デバイスの生産システムを別の角度から見た概念図である。
【図8】ユーザインタフェースの具体例である。
【図9】デバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
【図10】ウエハプロセスを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図3は本発明の第1の実施形態に係る露光装置の要部概略図である。本実施形態は本発明をデバイス製造用のステップ・アンド・リピート方式やステップ・アンド・スキャン方式等を用いた投影露光装置に適用した場合を示している。図中、Rは投影される原版いわゆるレチクル(第1物体)であり、レチクルステージ1rに載置されており、本体に対してアライメント系(不図示)で位置合わせされ、保持されている。レチクルRは照明光学系(不図示)からの照明光束ILで照明されている。ULは投影光学系であり、架台8に支持され、レチクルRのパターンをウエハ(感光基板)W上に投影結像している。
【0018】
ウエハWを保持しているウエハステージ1wは、架台8と定盤9で囲まれたステージ空間内に配置し、ウエハステージベース4上に載置されており、ウエハWを投影光学系ULの光軸に垂直なXY平面上を移動するXYステージ3と、XYステージ3上に載置されたフォーカス・レベリングステージ2とで構成されている。このフォーカス・レベリングステージ2は、ウエハWを吸着保持するウエハチャック(不図示)を投影光学系ULの光軸方向(Z方向)へ微少駆動(フォーカス駆動)及び光軸回りに微少回転駆動(レベリング駆動)が可能である。
【0019】
5は、干渉計ミラーであって、XYステージ3に固定されており、そのX方向位置を架台8の下面に支持されているレーザ干渉計6でモニタするものである。なお、干渉計ミラー5とレーザ干渉計6はY方向についても同様に配置している。干渉計ミラー5とレーザ干渉計6から得られる信号を用いて、ウエハWは、XYステージ3の制御系(不図示)により、常に所定の位置となるように位置決めされる。
【0020】
ステージ空間には、面位置検出装置7も架台8の下面に固定されており、この露光装置は、投影光学系ULに対するウエハWの表面の高さ及び傾きを検出し、その検出値が所定のベストフォーカス値(投影光学系の像面の高さを示す所定の司令値)になるように、フォーカス・レベリングステージ2の制御手段(不図示)に検出信号を送ることにより、ウエハWの露光領域の高さ及び傾きを補正制御している。
【0021】
これらの主要構成要素は、恒温チャンバ内に設置されている。また、恒温チャンバ内では、通常のクリーンルームよりも精度の高い温度制御がなされており、例えば、クリーンルームの温度制御が±2〜3℃の範囲であるのに対して、恒温チャンバ内では、±0.1℃程度に保たれている。
【0022】
特に、精密計測が必要である面位置検出装置7及びレーザ干渉計6を配置しているステージ空間は、温調エア吹出しフィルタ(不図示)を用いて、ステージ空間全域の温度を吹出し温度とほぼ同じにしてあり、温度勾配に起因する面位置検出装置7及びレーザ干渉計6の光路上の空気の温度ゆらぎ(屈折率の変動)による計測誤差を防いでいる。
【0023】
本実施形態に係る露光装置は、ステージ空間に発熱源を配置することにより発生する温度ゆらぎを防止することに着目し、ステージ空間に設置される面位置検出装置7の発熱源であるセンサ部28の配置位置を変更したものであり、以下に本実施形態に係る露光装置に設置される面位置検出装置7の構成を詳細に説明する。
【0024】
投光光学系に関しては、従来と同様であり、図2を用いて説明し、受光光学系に関しては、図3を用いて説明する。
【0025】
投光光学系は次のように構成される。ウエハWに対し非感光性の光を照射する焦点位置測定用光束の光源が収納されている光源BOX(不図示)は、熱源部であるため、ステージ空調空間外部に配置してある。照明光11は、光ファイバ10を介して照出され、照明系レンズ12で集光されて焦点検出用パターン板13を照明し、ミラー14、リレーレンズ15、開口絞り16、ミラー17、照射対物レンズ18、及び投光プリズムミラー19を経てパターン(開口)を投影光学系ULの露光領域の近傍あるいは露光領域内に位置する複数の測定点に斜めから投影する。
【0026】
投影された複数の測定点からの反射光は、図3に示す受光光学系に入射して受光プリズムミラー20、集光対物レンズ21で集光され、ミラー22で架台8の上方に反射した後、開口絞り23(瞳面)、架台8の穴に挿入しているリレーレンズ系24で集光され、ミラー25で架台8の上面に反射し、光電検出手段27で構成されるセンサ部28に導光され、各測定点の焦点検出用のパターン(開口)の像が各測定点に対応した光電検出手段27の受光面に再結像する。リレーレンズ以降の要素は、センサ部28に構成され、土台30を介して架台8の上面に固定されている。光電検出手段27は、1次元または2次元CCD(電荷結合素子)であり、出力信号を画像処理検出することにより、各測定点についてウエハWの高さ及び傾斜角に起因するずれ量に対応した検出信号が生成される。
【0027】
このように、本実施形態においては、架台8に光路用及び光学部材挿入用の穴を設け、面位置検出装置7の受光光学系は、ミラーを用いて垂直方向に展開し、光学的な調整敏感度が低い瞳面近傍で、面位置検出手段の本体部(投光光学系、受光光学系)とセンサ部28を分割することによって、光電検出手段27から構成されるセンサ部28の配置位置を架台8下面から上面に変更し、センサ部28の発熱に起因する面位置検出装置7及びレーザ干渉計6の計測誤差を防止している。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は第2の実施形態に係る露光装置を示しており、面位置検出装置7のセンサ部28を架台8の側面に配置したものである。
【0029】
面位置検出装置7の投光光学系までの構成は図3に示した第1の実施形態と同様であり、受光光学系の引廻しを以下に説明する。
【0030】
投光光学系によりウエハに投影された複数の測定点からの反射光は受光光学系に入射して受光プリズムミラー20、集光対物レンズ21で集光され、第1の実施形態とは異なり、ミラーを用いて折り曲げずに、開口絞り23(瞳面)、リレーレンズ24で集光され、ミラー25で架台8の側面に立上げられ、光電検出手段27で構成されるセンサ部28に導光され、各測定点の焦点検出用のパターン(開口)の像が各測定点に対応した光電検出手段27の受光面に再結像する。リレーレンズ以降の要素は、センサ部28に構成され、土台30を介して架台8の側面に固定されている。その他は、第1の実施形態と同様であり、光電検出手段27は、出力信号を画像処理検出することにより、各測定点についてウエハWの高さ及び傾斜角に起因するずれ量に対応した検出信号を生成する。そしてこの露光装置は、フォーカス・レベリングステージ2の制御手段(不図示)に検出信号を送ることにより、ウエハWの露光領域の高さ及び傾きを補正制御している。
【0031】
なお、本実施形態においては、センサ部28を固定している架台8の側面からセンサ部28の熱がステージ空間に流入しないように、該センサ部28の熱は架台8の側面開口部に遮蔽板31を設けて遮断している。
【0032】
このように、本実施形態においては、面位置検出装置7の受光光学系は、ミラーを用いずに水平方向に展開し、光学的な調整敏感度が低い瞳面近傍で、本体部とセンサ部28を分割することによって、光電検出手段27から構成されるセンサ部28の配置位置を架台8の下面から側面に変更し、センサ部28の発熱に起因する面位置検出装置7及びレーザ干渉計6の計測誤差を防止している。
【0033】
以上の実施形態のように、センサ部28を架台8の上面または側面に配置するにあたっては、通常、投光光学系の焦点検出用パターン板13の焦点検出用パターン面からウエハW面までの光学系とウエハW面から光電検出手段27の受光面までの光学系は、同一のものを用いることが可能であったが、架台8の厚さ、幅等により、受光光学系の焦点距離を伸ばすなどの対応が必要な場合もある。
【0034】
また、本実施形態に係る露光装置に設置される面位置検出装置7は、センサ部28に従来のような局所排気機構29を設けて、センサ部28自体の温度上昇及び外部空間への熱の流出を防ぐだけでなく、センサ部28の熱がセンサ部28の架台8に接する土台30から架台8に伝わることによるステージ空間における空気の温度ゆらぎの防止や、架台8に固定している投影光学系UL、レーザ干渉計6、面位置検出装置7及びセンサ部28自体の熱による機械的な変形の発生を防止するために、センサ部28の架台8と接する土台30の内部には、図5のような冷却配管32を設けており、この冷却配管32の中を温度制御された冷媒体である液体を循環させている。
【0035】
以上、説明した各実施形態では、ウエハステージ空間に関して説明したが、本発明は、レチクルステージ空間におけるレチクルパターン面の高さ及び傾き、たわみ等を計測する面位置検出装置を備えた露光装置にも適用可能である。
【0036】
また、本発明は、投影光学系を用いた縮小型の露光装置だけでなく、等倍のミラー光学系を用いてマスク上のパターンを感光基板上に露光するミラープロジェクション方式の露光装置(アライナ)などにも適用可能である。
【0037】
更に、本発明は、光学式の露光装置以外の例えば電子ビームと電子レンズとを使用して、回路パターンを描画したり、或いは回路パターンを投影したりする電子ビーム露光装置やX線露光装置にも同様に適用することができる。
【0038】
(半導体生産システムの実施形態)
次に、本発明に係る装置を用いた半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の生産システムの例を説明する。これは半導体製造工場に設置された製造装置のトラブル対応や定期メンテナンス、あるいはソフトウェア提供などの保守サービスを、製造工場外のコンピュータネットワークを利用して行うものである。
【0039】
図6は全体システムをある角度から切り出して表現したものである。図中、101は半導体デバイスの製造装置を提供するベンダ(装置供給メーカ)の事業所である。製造装置の実例としては、半導体製造工場で使用する各種プロセス用の半導体製造装置、例えば、前工程用機器(露光装置、レジスト処理装置、エッチング装置等のリソグラフィ装置、熱処理装置、成膜装置、平坦化装置等)や後工程用機器(組立て装置、検査装置等)を想定している。事業所101内には、製造装置の保守データベースを提供するホスト管理システム108、複数の操作端末コンピュータ110、これらを結んでイントラネット等を構築するローカルエリアネットワーク(LAN)109を備える。ホスト管理システム108は、LAN109を事業所の外部ネットワークであるインターネット105に接続するためのゲートウェイと、外部からのアクセスを制限するセキュリティ機能を備える。
【0040】
一方、102〜104は、製造装置のユーザとしての半導体製造メーカの製造工場である。製造工場102〜104は、互いに異なるメーカに属する工場であっても良いし、同一のメーカに属する工場(例えば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良い。各工場102〜104内には、夫々、複数の製造装置106と、それらを結んでイントラネット等を構築するローカルエリアネットワーク(LAN)111と、各製造装置106の稼動状況を監視する監視装置としてホスト管理システム107とが設けられている。各工場102〜104に設けられたホスト管理システム107は、各工場内のLAN111を工場の外部ネットワークであるインターネット105に接続するためのゲートウェイを備える。これにより各工場のLAN111からインターネット105を介してベンダの事業所101側のホスト管理システム108にアクセスが可能となり、ホスト管理システム108のセキュリティ機能によって限られたユーザだけにアクセスが許可となっている。具体的には、インターネット105を介して、各製造装置106の稼動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生した製造装置の症状)を工場側からベンダ側に通知する他、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに対する対処方法を指示する情報、対処用のソフトウェアやデータ)や、最新のソフトウェア、ヘルプ情報などの保守情報をベンダ側から受け取ることができる。各工場102〜104とベンダの事業所101との間のデータ通信および各工場内のLAN111でのデータ通信には、インターネットで一般的に使用されている通信プロトコル(TCP/IP)が使用される。なお、工場外の外部ネットワークとしてインターネットを利用する代わりに、第三者からのアクセスができずにセキュリティの高い専用線ネットワーク(ISDNなど)を利用することもできる。また、ホスト管理システムはベンダが提供するものに限らずユーザがデータベースを構築して外部ネットワーク上に置き、ユーザの複数の工場から該データベースへのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0041】
さて、図7は本実施形態の全体システムを図6とは別の角度から切り出して表現した概念図である。先の例ではそれぞれが製造装置を備えた複数のユーザ工場と、該製造装置のベンダの管理システムとを外部ネットワークで接続して、該外部ネットワークを介して各工場の生産管理や少なくとも1台の製造装置の情報をデータ通信するものであった。これに対し本例は、複数のベンダの製造装置を備えた工場と、該複数の製造装置のそれぞれのベンダの管理システムとを工場外の外部ネットワークで接続して、各製造装置の保守情報をデータ通信するものである。図中、201は製造装置ユーザ(半導体デバイス製造メーカ)の製造工場であり、工場の製造ラインには各種プロセスを行う製造装置、ここでは例として露光装置202、レジスト処理装置203、成膜処理装置204が導入されている。なお図7では製造工場201は1つだけ描いているが、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されている。工場内の各装置はLAN206で接続されてイントラネットを構成し、ホスト管理システム205で製造ラインの稼動管理がされている。
【0042】
一方、露光装置メーカ210、レジスト処理装置メーカ220、成膜装置メーカ230などベンダ(装置供給メーカ)の各事業所には、それぞれ供給した機器の遠隔保守を行うためのホスト管理システム211,221,231を備え、これらは上述したように保守データベースと外部ネットワークのゲートウェイを備える。ユーザの製造工場内の各装置を管理するホスト管理システム205と、各装置のベンダの管理システム211,221,231とは、外部ネットワーク200であるインターネットもしくは専用線ネットワークによって接続されている。このシステムにおいて、製造ラインの一連の製造機器の中のどれかにトラブルが起きると、製造ラインの稼動が休止してしまうが、トラブルが起きた機器のベンダからインターネット200を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可能であり、製造ラインの休止を最小限に抑えることができる。
【0043】
半導体製造工場に設置された各製造装置はそれぞれ、ディスプレイと、ネットワークインタフェースと、記憶装置にストアされたネットワークアクセス用ソフトウェアならびに装置動作用のソフトウェアを実行するコンピュータを備える。記憶装置としては内蔵メモリやハードディスク、あるいはネットワークファイルサーバーなどである。上記ネットワークアクセス用ソフトウェアは、専用又は汎用のウェブブラウザを含み、例えば図8に一例を示す様な画面のユーザインタフェースをディスプレイ上に提供する。各工場で製造装置を管理するオペレータは、画面を参照しながら、製造装置の機種401、シリアルナンバー402、トラブルの件名403、発生日404、緊急度405、症状406、対処法407、経過408等の情報を画面上の入力項目に入力する。入力された情報はインターネットを介して保守データベースに送信され、その結果の適切な保守情報が保守データベースから返信されディスプレイ上に提示される。またウェブブラウザが提供するユーザインタフェースはさらに図示のごとくハイパーリンク機能410〜412を実現し、オペレータは各項目の更に詳細な情報にアクセスしたり、ベンダが提供するソフトウェアライブラリから製造装置に使用する最新バージョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの参考に供する操作ガイド(ヘルプ情報)を引出したりすることができる。ここで、保守データベースが提供する保守情報には、上記説明した本発明に関する情報も含まれ、また前記ソフトウェアライブラリは本発明を実現するための最新のソフトウェアも提供する。
【0044】
次に上記説明した生産システムを利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図9は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。前工程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行い、これらの工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされる。また前工程工場と後工程工場との間でも、インターネットまたは専用線ネットワークを介して生産管理や装置保守のための情報がデータ通信される。
【0045】
図10は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する製造機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もしトラブルが発生しても迅速な復旧が可能であり、従来に比べて半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1,1r レチクルステージ
1w ウエハステージ
2 フォーカス・レベリングステージ
3 XYステージ
4 ウエハステージベース
5 干渉計ミラー
6 レーザ干渉計
7 面位置検出装置
8 架台
9 定盤
10 光ファイバ
11 照明光
12 照明系レンズ
13 焦点検出用パターン板
14 ミラー
15 リレーレンズ
16 開口絞り
17 ミラー
18 照射対物レンズ
19 投光プリズムミラー
20 受光プリズムミラー
21 集光対物レンズ
22 ミラー
23 開口絞り
24 リレーレンズ
25 ミラー
26 ミラー
27 光電検出手段
28 センサ部
29 局所排気機構
30 土台
31 遮蔽板
32 冷却配管
IL 照明光束
UL 投影光学系
R レチクル
W ウエハ
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230 成膜装置メーカ
231 成膜装置メーカの事業所のホスト管理システム
401 製造装置の機種
402 シリアルナンバー
403 トラブルの件名
404 発生日
405 緊急度
406 症状
407 対処法
408 経過
410,411,412 ハイパーリンク機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
前記原版または前記基板を保持して移動可能なステージと、
前記ステージを支持する定盤と、
前記ステージに保持された前記原版または前記基板の表面の高さ及び傾きを検出する検出手段と、
前記検出手段を支持する架台と、
前記定盤と前記架台との間における、前記ステージを含む空間の空調を行う空調手段と、
前記空間内に光路を有して前記ステージの位置を計測するレーザ干渉計とを有し、
前記検出手段は、光電検出手段と、前記原版または前記基板上にパターンを投影する投光光学系と、前記原版または前記基板上に投影された前記パターンの像を前記光電検出手段に再結像させる受光光学系とを有し、前記光電検出手段を含む前記検出手段の第1の部分は、前記空間の外において前記架台に支持され、前記検出手段の第2の部分は、前記空間内において前記架台に支持され、前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記受光光学系の瞳面と像面との間において該像面より該瞳面の近傍で分割されている、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記再結像は、前記架台の穴を介して行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1の部分を冷却する冷却機構を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記冷却機構は、排気機構を含む、ことを特徴とする請求項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記冷却機構は、前記第1の部分と前記架台との間に設けられた冷却配管を含む、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記レーザ干渉計は、前記架台に支持されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系を有する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−238947(P2011−238947A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149199(P2011−149199)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2001−204484(P2001−204484)の分割
【原出願日】平成13年7月5日(2001.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】