露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法
【課題】ウエハテーブルの位置計測を高精度に行う。
【解決手段】エンコーダ本体(16Ya,16Yb等)から射出されるレーザ光(Ly1,Ly2等)は、ウエハテーブルWTBにPBS18を介して外部から入射し、露光領域IAの直下に位置する点IAaにて、グレーティング24に到達し、該グレーティングで回折される。そして、グレーティングから戻ってきた第1の偏光成分と、PBSで反射された第2の偏光成分との干渉光を受光することにより、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する。従って、PBSを透過した第1の偏光成分が、第2の偏光成分と再度合成されるまでの間は、ウエハテーブル内を通過し、外部雰囲気中を進行することが無いので、測長ビームがウエハテーブルの周辺雰囲気の揺らぎの影響を受けることなく、高精度なウエハテーブルの位置計測を行うことが可能である。
【解決手段】エンコーダ本体(16Ya,16Yb等)から射出されるレーザ光(Ly1,Ly2等)は、ウエハテーブルWTBにPBS18を介して外部から入射し、露光領域IAの直下に位置する点IAaにて、グレーティング24に到達し、該グレーティングで回折される。そして、グレーティングから戻ってきた第1の偏光成分と、PBSで反射された第2の偏光成分との干渉光を受光することにより、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する。従って、PBSを透過した第1の偏光成分が、第2の偏光成分と再度合成されるまでの間は、ウエハテーブル内を通過し、外部雰囲気中を進行することが無いので、測長ビームがウエハテーブルの周辺雰囲気の揺らぎの影響を受けることなく、高精度なウエハテーブルの位置計測を行うことが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に係り、特に、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置及び露光方法、並びに前記露光装置又は露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)又はステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが比較的多く用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の被露光物体(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージはXY2次元方向に例えばリニアモータ等により駆動される。このウエハステージの位置計測は、長期に渡って計測の安定性が良好で、高分解能なレーザ干渉計を用いて行われるのが、一般的であった。
【0004】
しかるに、半導体素子の高集積化に伴う、パターンの微細化により、より高精度なステージの位置制御が要求されるようになり、今や、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化及び/又は温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになっている。
【0005】
一方、ステージの位置計測に使用されるレーザ干渉計以外の計測装置として、エンコーダがあるが、エンコーダは、計測においてスケール(グレーティングなど)を使用するため、格子ピッチのドリフト、固定位置ドリフト、あるいは熱膨張等などによりそのスケールの機械的な長期安定性に欠ける。このため、エンコーダは、レーザ干渉計に比べて計測値のリニアリティに欠け、長期安定性に劣るという欠点を有している。
【0006】
上述のレーザ干渉計とエンコーダとの欠点に鑑みて、レーザ干渉計とエンコーダ(回折格子を用いる位置検出センサ)とを併用して、ステージの位置を計測する装置が、種々提案されている(例えば特許文献1、2等参照)。特に、最近では、計測分解能が、レーザ干渉計と同程度以上のエンコーダが出現しており(例えば、特許文献3等参照)、上述のレーザ干渉計とエンコーダとを組み合わせる技術が注目されるようになってきた。
【0007】
しかるに、干渉計のミラー又はエンコーダのスケール(グレーティングなど)は、ステージの外面、例えば側面などに設けられた場合、そのステージが加速した際のステージの微小変形に伴い、ステージ上の位置(ステージ上の所定点との位置関係)が変化してしまい、これがステージの位置計測精度を低下させる蓋然性が高い。また、たとえば、スループットを向上させる観点から、スキャニング・ステッパにおいてウエハステージの加速中に露光を開始するという新技術が提案されたとしても、上記のステージの加速に伴うミラー又はスケールのステージ上での位置の変化が、上記新技術の実施のための障害要因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,819,425号明細書
【特許文献2】特開2004−101362号公報
【特許文献3】米国特許第7,238,931号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置であって、表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有し、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動するステージシステムと;前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有し、前記光学部材を介して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムと;を備え、前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光装置である。
【0010】
これによれば、エンコーダシステムは、保持部材に光学部材から計測ビームを入射させ、保持部材の裏面側に設けられたグレーティングからの反射光を含む光を受光することにより、保持部材の所定平面内の計測方向の位置情報を計測する。これにより、可動部材周辺雰囲気の揺らぎ等の影響をほとんど受けることなく、保持部材の高精度な位置計測ひいては、高精度な露光が可能となる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、デバイス製造方法であって、本発明の露光装置を用いて基板を露光することと;露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法である。
【0012】
本発明は、第3の観点からすると、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光方法であって、表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有するステージシステムによって、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動することと;前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有するエンコーダシステムによって、前記保持部材の位置情報を計測することと;前記計測された位置情報に基づいて前記保持部材を移動して、前記照明ビームに対して前記基板を位置付けることと;を含み、前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光方法である。
【0013】
これによれば、エンコーダシステムは、保持部材に光学部材から計測ビームを入射させ、保持部材の裏面側に設けられたグレーティングからの反射光を含む光を受光することにより、保持部材の所定平面内の計測方向の位置情報を計測する。これにより、可動部材周辺雰囲気の揺らぎ等の影響をほとんど受けることなく、保持部材の高精度な位置計測ひいては、高精度な露光が可能となる。
【0014】
本発明は、第4の観点からすると、デバイス製造方法であって、本発明の露光方法を用いて基板を露光することと;露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置を示す概略図である。
【図2】図1のウエハテーブルとエンコーダ本体の位置関係を示す斜視図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、第1の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、第1の実施形態に係る、ウエハテーブル及びエンコーダの変形例を説明するための図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、第2の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、第3の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図7】第4の実施形態にかかる露光装置を一部省略して示す平面図である。
【図8】第5の実施形態にかかる露光装置の一部を示す正面図である。
【図9】図8のウエハステージ及び該ウエハステージの位置計測を行うエンコーダ本体の構成を示す図である。
【図10】デバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10のステップ404の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図3(C)に基づいて説明する。
【0017】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置である。この露光装置100は、光源及び照明光学系を含み、照明光ILによりレチクルRを照明する照明系12、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、ウエハWを保持するウエハステージWST、及び装置全体を統括制御する制御装置(不図示)等を備えている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0018】
照明系12は、不図示のレチクルブラインドで規定されたレチクルR上でX軸方向に延びるスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0019】
前記レチクルステージRST上には、回路パターン等が描かれたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置制御のため、不図示のレチクルステージ駆動系により、照明系12の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
【0020】
レチクルステージRSTの移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)324によって、レチクルステージRSTの側面(鏡面加工された端面)を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計324からのレチクルステージRSTの位置情報は不図示の制御装置に送られている。制御装置は、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動系を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0021】
前記投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有する。このため、照明系12からの照明光ILによって照明領域が照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面側)に配置される、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域に共役な領域(露光領域IA)に形成される。そしてレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動するとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動することで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが形成される。すなわち、本実施形態では、照明系12、レチクルR及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
【0022】
前記ウエハステージWSTは、その上面にて不図示の静電チャック機構によりウエハホルダWHを吸着保持している。また、ウエハホルダWHは、該ウエハホルダWHが有する静電チャック機構により、ウエハWを吸着保持する。ウエハステージWSTは、図1に示されるように、ステージ本体14と、該ステージ本体14上に固定されたウエハテーブルWTBと、不図示の静電チャック機構によってウエハテーブルWTBに対して着脱自在のウエハホルダWHと、を含んでいる。なお、ウエハホルダWHをウエハテーブルWTBに固定する保持機構は静電チャック機構に限らず、例えば真空チャック機構あるいはクランプ機構などでも良い。また、ウエハホルダWHは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されても良いし、静電チャック機構と異なる機構、例えば真空チャック機構などによってウエハWを保持しても良い。
【0023】
前記ステージ本体14(ウエハステージWST)は、例えばリニアモータ及びボイスコイルモータ(VCM)などを含む駆動系により、X軸方向,Y軸方向,Z軸方向、θx方向、θy方向、及びθz方向の6自由度方向に駆動される。これにより、ウエハWは6自由度方向に移動可能である。なお、ステージ本体14はX軸方向、Y軸方向、及びθz方向に駆動し、ウエハテーブルWTBを少なくともZ軸方向、θx方向、及びθy方向に微動可能としても良い。この場合、ウエハテーブルWTBは6自由度方向に微動可能としても良い。
【0024】
ウエハテーブルWTBは、透明な部材(例えば、ガラス等)から成り、平面視(上方から見て)、略正方形の板状部材である。ウエハテーブルWTBは、1辺の長さがウエハWの直径の約3倍である。ウエハテーブルWTBの上面の中央部にウエハホルダWHが保持されている。ウエハテーブルWTBは、その内部を後述するエンコーダシステムの計測用レーザ光が進行するので、少なくともこの計測用レーザ光に対して透明な透過部材で構成される。また、ウエハテーブルWTBは、XY平面と実質的に平行な第1面(上面)及び第2面(下面)と、X軸方向にそれぞれ延びる一対の側面及びY軸方向にそれぞれ延びる一対の側面とを有する。本実施形態では、後述するように、ウエハテーブルWTBの上面にグレーティング24が形成され、4つの側面(以下では、端面とも呼ぶ)からそれぞれ計測用レーザ光がウエハテーブルWTBの内部に入射する。なお、透過部材は、低熱膨張率の材料であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英などが用いられる。また、ウエハテーブルWTBはその全体が透過部材で構成されても良いが、計測用レーザ光が通るウエハテーブルWTBの一部のみを透過部材で構成しても良い。
【0025】
ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面は、図3(A)等に示されるように、X軸方向に延び、かつXZ平面に対して所定角度(θ(0°<θ<90°))傾斜している。すなわち、−Y側端面及び+Y側端面は、ウエハテーブルWTBの底面(下面)とのなす角が鋭角(90°−θ)、換言すればウエハテーブルWTBの上面(グレーティング24の形成面)とのなす角が鈍角(90°+θ)となっている。さらに、−Y側端面及び+Y側端面のそれぞれには、偏光フィルタ(以下、単に「PBS」とも呼ぶ)18が貼付されている。また、不図示ではあるが、同様に、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面は、Y軸方向に延び、かつYZ平面に対して、所定角度(θ)傾斜している。すなわち、−X側端面及び+X側端面は、ウエハテーブルWTBの底面とのなす角が鋭角(90°−θ)、換言すればウエハテーブルWTBの上面とのなす角が鈍角(90°+θ)となっている。さらに、−X側端面及び+X側端面のそれぞれには、不図示の偏光フィルタ(PBS)が貼付されている。
【0026】
前記PBS18は、例えば、一対のガラス板と、該一対のガラス板に挟まれた偏光膜とを含んで構成され、特定の方向の振動を有する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を反射する性質を有するものである。ここでは、PBS18に入射する光のうち、特定の方向の振動を有する第1の偏光成分が通過し、これに直交する方向の振動を有する第2の偏光成分が反射されるものとする。
【0027】
また、ウエハテーブルWTBの上面中央部(ウエハホルダWHよりも一回り大きい部分)には、X軸方向を周期方向とするグレーティングと、Y軸方向を周期方向とするグレーティングとを組み合わせた2次元のグレーティング24が水平に設置され、このグレーティング24の上面は、保護部材としてのカバーガラス51によって覆われている。本実施形態では、このカバーガラス51の上面にウエハホルダWHを吸着保持する前述の静電チャック機構が設けられている。なお、本実施形態では、ウエハテーブルWTBの上面のほぼ全面を覆うようにカバーガラス51を設けているが、グレーティング24を含む上面の一部のみを覆うようにカバーガラス51を設けても良い。また、本実施形態では、カバーガラス51をウエハテーブルWTBと同一の材料で構成するが、他の材料、例えば金属、セラミックス、あるいは薄膜などで構成しても良い。なお、ウエハテーブルWTBはカバーガラス51を含むものとしても良く、この場合にはグレーティング24の形成面がウエハテーブルWTBの最上面ではなくその内部に配置されることになる。
【0028】
ウエハステージWSTのXY平面内における位置は、後述するエンコーダ本体により、グレーティング24を介して常時検出されている。このエンコーダ本体により検出されるウエハステージWSTの位置情報は、不図示の制御装置に送られ、不図示の制御装置は、この位置情報に基づいて、前述したリニアモータ及びボイスコイルモータを駆動して、ウエハステージWSTの位置を制御する。
【0029】
前記制御装置は、例えばワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、上記検出系などの、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0030】
次に、本第1の実施形態において、ウエハステージWSTの位置計測に用いられるエンコーダシステム(計測システム)の構成等について図1〜図3(C)を用いて詳細に説明する。本第1の実施形態のエンコーダシステムは、前述したグレーティング24と、該グレーティング24に計測用のレーザ光を照射する4つのエンコーダ本体(計測装置)16Ya,16Yb,16Xa,16Xb(エンコーダ本体16Xa,16Xbについては図1では不図示、図2参照)とを含んでいる。
【0031】
図2には、4つのエンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbの位置関係を説明するための斜視図が示されている。エンコーダ本体16Ya,16Ybは、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を検出するためのものである。エンコーダ本体16Ya,16Ybは、図2に示されるように、露光領域IAの中心(露光中心)から−Y側及び+Y側に等間隔離れた位置に配置されている。また、エンコーダ本体16Xa,16Xbは、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のX軸方向に関する位置情報を検出するためのものである。エンコーダ本体16Xa,16Xbは、図2に示されるように、露光領域IAの中心から−X側及び+X側に等間隔離れた位置に配置されている。なお、本実施形態では、露光領域IAの中心はXY平面内で投影光学系PLの光軸AXと一致し、露光動作では露光領域IAの中心に対してウエハステージWSTの位置決め(すなわち、ウエハWのアライメント)が行われる。
【0032】
ここで、エンコーダ本体16Yaについて、具体的に説明する。エンコーダ本体16Yaは、不図示ではあるが、その内部に、計測用レーザ光(以下、適宜、レーザ光と略述する)を射出する光源と、光学系と、CCD等を含んで構成される光検出器とを含んでいる。
【0033】
エンコーダ本体16Yaでは、図3(A)に示されるように、その内部に設けられた光源から計測用レーザ光Ly1を射出する。そして、このレーザ光Ly1は、図3(A)に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y端面に設けられたPBS18に対して垂直に入射する。そして、PBS18により、レーザ光Ly1が、偏光方向が互いに直交する第1の偏光成分と第2の偏光成分とに偏光分離される。すなわち、第1の偏光成分及び第2の偏光成分のいずれか一方(ここでは、第1の偏光成分)がPBS18を通過し、他方の偏光成分(ここでは、第2の偏光成分)は、PBS18で反射される。
【0034】
そして、PBS18を通過した第1の偏光成分(例えばp偏光成分)は、ウエハテーブルWTBの内部に進入し、底面22aに入射角(90°−θ)で入射し、ここで、反射されて、グレーティング24に入射角(90°−θ)で入射する。そして、グレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子にて回折され、所定次数の回折光が、グレーティング24に入射したレーザ光の光路と全く同一の光路を戻る。ここで、図3(A)〜図3(C)からわかるように、本実施形態では、グレーティング24に入射する光は、常に、露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射するように、設定されている。この点IAaは、XY平面内での位置が露光領域IAの中心と同一となっている。
【0035】
そして、上記の戻り光(PBS18を通過した光(第1の偏光成分)の戻り光)は、PBS18で反射された第2の偏光成分(例えばs偏光成分)と同一の光路を通ってエンコーダ本体16Yaに戻る。
【0036】
エンコーダ本体16Yaでは、前述の光学系(例えば、偏光子などを含む)によって、グレーティング24で反射された第1の偏光成分の反射光と、PBS18で反射された第2の偏光成分の反射光とが合成されて干渉光となり、光検出器にてこの干渉光を受光し、光検出器の受光面上に形成される干渉縞を検出する。この検出結果は、不図示の制御装置に送られ、該制御装置では、この検出結果からウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を算出する。
【0037】
図2に戻り、エンコーダ本体16Ybの構成も、エンコーダ本体16Yaと同様となっている。すなわち、エンコーダ本体16Ybは、不図示ではあるが、その内部に、計測用レーザ光を射出する光源と、光学系と、CCD等を含んで構成される光検出器とを含む。エンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2も、ウエハテーブルWTBの+Y端面に設けられたPBS18にて、第1の偏光成分(通過光)と第2の偏光成分(反射光)とに偏光分離される。PBS18を通過した偏光成分(第1の偏光成分)のうち底面22a及びグレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子を介して戻ってくる光と、PBS18で反射された偏光成分(第2の偏光成分)の光とがエンコーダ本体16Ybに戻る。この場合において、エンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2のうち、グレーティング24に入射する光は、常に、レーザ光Ly1が入射する、露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射する。そして、エンコーダ本体16Yb内の光検出器にて干渉光を受光し、該検出結果に基づいて、不図示の制御装置が、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を算出する。
【0038】
本実施形態では、図3(A)〜図3(C)に示されるように、エンコーダ本体16Yaから射出されるレーザ光Ly1、及びエンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2は、PBS18にそれぞれ入射し、露光領域IAの中心の直下の同一の点IAaに入射するようになっている。このため、計測方向であるY軸方向に関して図3(A)〜図3(C)の範囲でウエハテーブルWTBが移動する間は常に、エンコーダ本体16Ya、16Ybを用いたウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報の計測を行うことが可能である。また、少なくともウエハW上に露光領域IAが存在する間は、ウエハステージWSTがX軸方向に移動しても、レーザ光Ly1、Ly2がPBS18から外れることがない。このため、少なくとも露光動作の間は、エンコーダ本体16Ya、16Ybによって常にウエハテーブルWTBのY軸方向の位置情報を計測可能である。
【0039】
従って、不図示の制御装置は、これらY軸方向に関する位置情報を計測することが可能なエンコーダ本体(16Ya,16Yb)による計測結果(座標値)を平均化し、その平均値を、Y軸方向に関する位置情報として算出する。
【0040】
なお、X軸方向に関する位置計測を行うエンコーダ本体16Xa,16Xbについても、計測方向がX軸方向である点、及びこれに伴って、計測用レーザ光Lx1,Lx2(図2参照)の射出方向がXZ平面に平行な方向である点、及びグレーティング24のX軸方向を周期方向とする格子を用いる点などが異なるのみで、その他の構成及び計測方法は同様となっている。また、少なくともウエハW上に露光領域IAが存在する間は、ウエハステージWSTがY軸方向に移動しても、レーザ光Lx1、Lx2がウエハテーブルWTBのPBSから外れることがない。従って、少なくとも露光動作の間は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の位置情報をエンコーダ本体16Xa,16Xbのそれぞれを用いて常時計測することが可能となっている。不図示の制御装置は、上述と同様に、エンコーダ本体16Xa,16Xbの計測結果(座標値)を平均化し、その平均値を、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置情報として算出する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によると、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbから射出されるレーザ光Ly1,Ly2,Lx1,Lx2は、ウエハテーブルWTBに外部から入射し、露光領域IAの中心の直下に位置する点IAaに到達し、グレーティング24で回折される。そして、グレーティング24から戻ってきた第1の偏光成分と、PBS18で反射された第2の偏光成分との干渉光を、各エンコーダ本体の光検出器で受光することにより、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する。従って、PBS18を透過した第1の偏光成分は、第2の偏光成分と合成されるまでの間、すなわちPBS18から外部に射出するまでの間は、ウエハテーブルWTB内を通過し、外部雰囲気中を進行することが無い。これにより、PBS18とグレーティング24との間では第1の偏光成分(測長ビーム)がウエハテーブルWTBの周辺雰囲気の揺らぎの影響を受けることがない。さらに、ウエハテーブルWTBの外部では、第1の偏光成分と第2の偏光成分とが同一の光路を通る。このため、高精度なウエハテーブルWTBの位置計測を行うことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、ウエハテーブルWTBの位置計測を高精度に行うことができるので、該計測結果に基づいて、制御装置が、ウエハテーブルWTBを移動させることで、レチクルRとウエハWとを精度良く相対移動することが可能となる。従って、高精度な露光を実現することが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、ウエハテーブルWTBのウエハホルダWHの裏面部分にグレーティング24が設けられていることから、ウエハテーブルWTBの加速により、ウエハテーブルWTB上でのグレーティング24の位置が微小に変化することが無い。このため、ウエハテーブルWTBを加速している間にも高精度な位置計測を行うことができる。従って、例えば加速している間に露光を開始することも可能となり、高スループットが期待できる。
【0044】
また、本実施形態では、露光領域IAの中心の直下の所定点IAaにてウエハテーブルWTBの位置を計測しているので、アッベ誤差無く、高精度な位置計測を行うことができ、該計測結果を用いて、露光の際のウエハの位置制御を行うことで、高精度な露光を行うことが可能である。
【0045】
なお、上記実施形態では、説明の便宜上、Y軸方向の位置情報を計測するエンコーダ本体(Y位置計測用のエンコーダ本体)を一対設け、X軸方向の位置情報を計測するエンコーダ本体(X位置計測用のエンコーダ本体)を一対設けることとしたが、これに限らず、例えば、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz方向の回転情報)を計測する場合には、Y位置計測用のエンコーダ本体とX位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。この場合、二対のエンコーダ本体を、計測用レーザ光が、露光領域IAの中心を挟んで等距離の位置でグレーティングに入射するように、配置することができる。例えば、Y位置計測用のエンコーダ本体を二対設ける場合、第1対のエンコーダ本体からの計測用レーザ光の照射点と、第2対のエンコーダ本体からの計測用レーザ光の照射点とは、Y軸方向に関して露光領域IAの中心と同一位置で、かつX軸方向に関して露光領域IAの中心から等距離の位置に設定される。この場合、第1対のエンコーダ本体の少なくとも一方、及び第2対のエンコーダ本体の少なくとも一方の計測値からθz方向の位置情報を求めることができる。また、第1対のエンコーダ本体、及び第2対のエンコーダ本体の一方または両方を1つのみ設けることとし、この2つ又は3つのエンコーダ本体の計測値からウエハテーブルWTBのY軸方向及びθz方向の位置情報を求めても良い。
【0046】
なお、上記実施形態では、Y位置計測用のエンコーダ本体(又はX位置計測用のエンコーダ本体)の計測値(座標値)を平均化して、ウエハテーブルWTBのY位置(X位置)とする場合について説明したが、これに限らず、一対のエンコーダ本体のいずれか一方の計測値をY位置(又はX位置)とすることとしても良い。この場合、例えば、いずれか一方のエンコーダ本体を常時使用し、何らかの原因により、その一方のエンコーダ本体による計測ができなくなった場合にのみ他方のエンコーダ本体を使用するようにしても良いし、例えば、一対のエンコーダ本体を時間ごとに切り替えることとしても良い。また、例えば、いずれか一方のエンコーダ本体を常時使用し、他方のエンコーダを一方のエンコーダのキャリブレーション用(調整用)に用いることとしても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、計測用レーザ光の照射点(すなわち、エンコーダ本体の計測点)が同一位置となる、X位置及びY位置計測用のエンコーダ本体をそれぞれ一対設け、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の計測結果(座標値)の平均値を、ウエハテーブルWTBの計測方向の位置情報とすることとした。しかし、これに限らず、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の計測点を、XY平面内で計測方向と直交する非計測方向に関して異なる位置、例えば露光領域IAの中心に関して対称な位置に配置しても良い。換言すれば、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の測長軸(上記実施形態では、計測用レーザ光と一致)を、XY平面内で測長軸と直交する方向に関してずらして配置しても良い。この場合、その一対のエンコーダ本体の計測結果(座標値)の少なくとも一方からウエハテーブルWTBの計測方向の位置情報を求め、両方の計測結果からウエハテーブルWTBのθz方向の位置情報を求めることができる。上記実施形態では、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の測長軸(及び計測用レーザ光の入射方向)はその計測方向と平行になっている。なお、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体でその計測点のX軸及びY軸方向の位置を両方とも異ならせても良い。また、上記実施形態では、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体を、ウエハテーブルWTBを挟んでその両側に配置するものとしたが、ウエハテーブルWTBに対して同一の側に配置しても良い。この場合、計測方向の位置情報だけでなくθz方向の位置情報も計測可能である。さらに、上記実施形態では、一対のX位置計測用のエンコーダ本体と、一対のY位置計測用のエンコーダ本体とを設けるものとしたが、エンコーダ本体の数は4個に限られるものでなく、3個以下あるいは5個以上でも良い。例えば、X位置計測用のエンコーダ本体及びY位置計測用のエンコーダ本体の一方を1つのみ設け、かつ他方を一対設けても良い。この場合、その一対のエンコーダ本体を、ウエハテーブルWTBに対して同一の側に配置することで、X軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の位置情報とが計測可能となる。あるいは、1つのX位置計測用のエンコーダ本体、及び/又は1つのY位置計測用のエンコーダ本体のみ設け、ウエハテーブルWTBのX軸及び/又はY軸方向の位置情報を計測することとしても良い。この場合であっても、エンコーダ本体による計測が常時行われるので、高精度なウエハの位置決めを実現することが可能である。
【0048】
なお、上記実施形態では、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(θ)傾斜させ、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面を、YZ平面に対して所定角度(θ)傾斜させる場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図4(A)等に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させるとともに、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面(不図示)を、YZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させても良い。この場合、Y側端面及びX側端面はいずれも、ウエハテーブルWTBの底面とのなす角が鈍角(90°+θ)、すなわち上面(グレーティング24が形成される格子面)とのなす角が鋭角(90°−θ)となっている。また、図4(A)に示されるように、レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)それぞれが、対応する端面に対して垂直に入射する。なお、他の構成は上記実施形態と全く同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0049】
このような構成を採用しても、上記実施形態と同様、エンコーダ本体16Ya、16Yb(16Xa、16Xb)から射出した計測用レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)が露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射する(図4(A)〜図4(C)参照)。従って、図4(A)〜図4(C)に示される構成を採用した場合、上記実施形態と同様にして、ウエハテーブルWTBの位置計測を行うことが可能である。また、図4(A)〜図4(C)に示される構成を採用した場合には、計測用レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)をウエハテーブルWTBの底面で反射させる必要がないので、図4(A)等と図3(A)等とを比較すると分かるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向及びX軸方向のサイズを小さくすることが可能である。また、図4(A)〜図4(C)に示される構成では、ウエハテーブルWTBをX軸及びY軸方向に大型化することなく、斜入射する計測用レーザ光とグレーティング24とのなす角を小さくすることが可能である。このため、上記実施形態と比較して、ウエハテーブルWTBのZ軸方向のサイズ(高さ又は厚さ)を小さくできる。従って、図4(A)〜図4(C)に示される構成では、上記実施形態に比べてウエハテーブルWTBを大幅に小型化できる。
【0050】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図5(A)〜図5(C)に基づいて説明する。本第2の実施形態は、図5(A)〜図5(C)に示されるように、ウエハテーブルWTBとしてウエハホルダWHよりわずかに大きなサイズのものが用いられている点が、前述の第1の実施形態(図2)と異なるが、その他の構成等は、第1の実施形態と同様である。従って、以下では、この相違点を中心に説明するとともに、重複説明を避けるため、同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。なお、本第2の実施形態のウエハテーブルWTBは、図4(A)〜図4(C)に示したウエハテーブルWTBとサイズがほぼ等しい。
【0051】
本第2の実施形態においても、ウエハテーブルWTBの±Y側及び±X側にエンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbが配置されている。ここで、図5(A)に示されるように、ウエハWの中心が露光領域IAの中心とほぼ一致する位置にウエハテーブルWTBが位置決めされている場合、エンコーダ本体16Ya、16Ybからのレーザ光が、ウエハテーブルWTBの−Y側端面、+Y側端面に設けられた一対のPBS18の下端部に、それぞれ入射するように、エンコーダ本体16Ya、16Ybの位置関係が設定されている。エンコーダ本体16Xa,16Xbは、Y軸方向とX軸方向との違いはあるが、エンコーダ本体16Ya、16Ybと同様の位置関係に設定されている。
【0052】
このため、図5(B)、図5(C)にそれぞれ示されるように、ウエハテーブルWTBが図5(A)よりも−Y側、又は+Y側に移動したときには、エンコーダ本体16Ya,16Ybのうちの一方(図5(B)の場合には、エンコーダ本体16Yb、図5(C)の場合には、エンコーダ本体16Ya)からの光がPBS18に入射しなくなる。従って、本実施形態ではY軸方向の位置情報の計測に使用するエンコーダ本体16Ya,16Ybの切り替えが行われる。すなわち、エンコーダ本体16Ya,16Ybの一方による位置情報の計測を、他方のエンコーダ本体による位置情報の計測に切り替え可能となっている。
【0053】
そこで、本第2の実施形態では、エンコーダ本体16Ya、16Ybの一方からのレーザ光がPBS18から外れる前、すなわちエンコーダ本体16Ya,16Ybからのレーザ光が、ウエハテーブルWTBの−Y側端面、+Y側端面に設けられた一対のPBS18に同時に入射可能な位置、例えば図5(A)の位置にウエハテーブルWTBがあるときに、不図示の制御装置により、一方のエンコーダ本体の計測値と他方のエンコーダ本体の計測値とのつなぎが実行される。すなわち、制御装置は、一方のエンコーダ本体の計測結果と他方のエンコーダ本体の計測結果とが一致するように、他方のエンコーダ本体の計測値の初期値を与えるようになっている。このつなぎ処理は、他方のエンコーダ本体においてPBS18から外れているレーザ光がPBS18に再度入射した時点から、一方のエンコーダ本体からのレーザ光がPBS18から外れる(あるいは、一方のエンコーダ本体による位置計測が他方のエンコーダ本体による位置計測に切り替えられる)までの間に行えば良い。また、つなぎ処理は、位置計測に用いるエンコーダ本体の切り替えと同時に行わなくてもよく、その切り替え前に行っても構わない。さらに、つなぎ処理とエンコーダ本体の切り替えとはそれぞれ、ウエハテーブルWTBのY軸方向の位置に応じて行われる、すなわち実行タイミングが決定される。
【0054】
また、X位置計測用のエンコーダ本体16Xa,16Xbについても、制御装置は、同様の処理を行なう。すなわち、制御装置は、一方のエンコーダ本体からのレーザ光がPBS18に入射しなくなる以前に、上記と同様に、計測値の初期値を与える。
【0055】
このようにすることで、制御装置は、ウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報を、エンコーダ本体16Ya,16Ybのうちの少なくとも一方により、常に計測することができ、また、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置情報を、エンコーダ本体16Xa,16Xbのうちの少なくとも一方により、常に計測することができる。従って、ウエハテーブルWTBを小型化しても特に支障はなくなる。
【0056】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、前述の第1の実施形態と同等の作用効果を得られるほか、制御装置により、エンコーダ本体間の計測値のつなぎが実行されるので、ウエハテーブルWTBを小型化しても特に支障なくウエハテーブルWTBの位置制御ができる。従って、ウエハテーブルWTBの軽量化、及びこれによるウエハテーブルWTBの位置決め精度を含む位置制御性の向上、ひいては高精度な露光が可能となる。また、ウエハテーブルWTBの軽量化に伴い、高加速度化も実現できるので、露光装置のスループットの向上も期待できる。
【0057】
なお、上記第2の実施形態においても、説明の便宜上、計測点が同一位置に設定される、Y位置計測用、及びX位置計測用のエンコーダ本体をともに一対設けることとしたが、これに限らず、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz回転)を計測する場合には、Y位置計測用及びX位置計測用のエンコーダ本体の少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。この場合、二対のエンコーダ本体を、それぞれが射出する光が、露光領域IAの中心を挟んで等距離の位置に入射するように、配置することとしても良い。
【0058】
また、上記第2の実施形態においても、図4(A)等に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させるとともに、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面を、YZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させることとしても良い。この場合、ウエハテーブルWTBの更なる小型化、エンコーダシステムによる位置計測が可能な範囲の拡大を図ることができる。これに限らず、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態で説明した他の変形例と同様の構成を、適用することも可能である。
【0059】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について、図6(A)〜図6(C)に基づいて説明する。この第3の実施形態は、ウエハテーブルWTBの上面側からレーザ光を入射させている点、及びこれに伴って、その端面にPBS18が設けられていない点などが、ウエハテーブルWTBの側面から計測用レーザ光を入射させていた前述の第1、第2の実施形態と異なるが、その他の部分の構成等は、前述の第1の実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明し、同一の構成等については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
【0060】
本第3の実施形態では、計測用レーザ光をウエハテーブルWTBの上面側から入射させるため、図6(A)に示されるように、ウエハテーブルWTB上方に光軸AXに関して左右対称に配置された一対の偏光分離・合成部材49A,49Bを備えている。
【0061】
偏光分離・合成部材49A、49Bは、不図示の支持部材によって、エンコーダ本体16Ya、16Ybそれぞれの近傍のウエハテーブルWTBの上方に固定されている。偏光分離・合成部材49Aは、キューブ型の偏光ビームスプリッタ28Aと、偏光ビームスプリッタ28Aの最も下側(−Z側)に位置する面に固定された反射ミラー30ABとを含む。同様に、偏光分離・合成部材49Bは、偏光ビームスプリッタ28Bと、反射ミラー30Bとを含み、偏光分離・合成部材49Aと同様に構成されている。
【0062】
偏光分離・合成部材49A、49Bでは、エンコーダ本体16Ya、16Ybからそれぞれ入射するレーザ光が、偏光ビームスプリッタ28A、28Bを透過する偏光成分(例えば、第1の偏光成分とする)と、反射する偏光成分(例えば、第2の偏光成分とする)とに分けられる。そして、反射した偏光成分(第2の偏光成分)は、反射ミラー30A、30Bで反射されると共に、再度偏光ビームスプリッタ28A、28Bで反射され、エンコーダ本体16Ya、16Ybに戻る。すなわち、偏光分離・合成部材49A、49Bが、前述した第1、第2の実施形態におけるPBS18と同様の機能を果たしている。従って、本第3の実施形態においても、上記第1、第2の実施形態と同様に位置計測を行うことが可能である。
【0063】
また、本第3の実施形態においては、図6(A)に示されるように、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの一辺がウエハWの直径の約3倍とされているので、図6(B)に示される位置と図6(C)に示される位置との間の範囲内でウエハテーブルWTBが移動しても、エンコーダ本体16Ya,16Ybからの計測用レーザ光が常に、ウエハテーブルWTBに入射するようになっている。従って、常に、2つのエンコーダ本体16Ya,16Ybを用いたウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報の計測を行うことができる。従って、不図示の制御装置では、これらの計測結果(座標値)の平均値に基づいて、ウエハテーブルWTBのY位置を高精度に算出することが可能である。
【0064】
なお、図示は省略されているが、露光領域IAの+X側には、上記第1、第2の実施形態と同様に、エンコーダ本体16Xaが設けられ、−X側には、エンコーダ本体16Xbが設けられている。また、これらエンコーダ本体16Xa,16Xbの近傍にも、上記偏光分離・合成部材49A,49Bと同様の偏光分離・合成部材が設けられ、Y軸方向に関する位置計測と同様にして、X軸方向に関する位置計測を行う。これにより、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置についても、高精度な計測を行うことが可能である。
【0065】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの高精度な位置計測を行うことができるので、該計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTBを駆動することにより、高精度な位置決めを行うことができ、ひいては高精度な露光を実現することが可能となる。
【0066】
なお、上記第3の実施形態では、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの一辺がウエハWの直径の約3倍に設定されている場合について説明したが、これに限らず、第2の実施形態と同様に、ウエハテーブルWTBをウエハWよりも一回り大きい程度に設定しても良い。この場合、上記第2の実施形態と同様にX軸及びY軸方向それぞれについて、2つのエンコーダ本体による計測のつなぎを行う(例えば、一方のエンコーダ本体の計測結果と他方のエンコーダ本体の計測結果とが一致するように、他方のエンコーダ本体の計測値の初期値を与える)ことにより、ウエハテーブルWTBの位置を常時計測することができる。このようにすることで、ウエハテーブルWTBの小型・軽量化が問題なく行えるので、この点からも、高精度なウエハテーブルWTBの位置決めを実現することができる。
【0067】
なお、上記第3の実施形態においては、第1、第2の実施形態と同様、例えば、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz回転)を計測する場合には、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。また、第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態で説明した各変形例と同様の構成を適用することもできる。
【0068】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態について図7に基づいて説明する。
【0069】
図7には、本第4の実施形態に係る露光装置100’の一部省略した平面図が示されている。
【0070】
この露光装置100’は、本体チャンバ112と、該本体チャンバ112内に設けられたウエハステージWSTを含む露光装置本体100a’と、本体チャンバ112の近傍に設けられたアライメントチャンバ116と、該アライメントチャンバ116内に収容された測定部110と、アライメントチャンバ116の−X側に設けられたウエハ交換チャンバ118と、該ウエハ交換チャンバ118内に設けられたウエハ交換部120と、を含んでいる。
【0071】
前記本体チャンバ112の内部は、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0072】
前記露光装置本体100a’は、前述した第1の実施形態(第1の実施形態では露光装置100)とほぼ同様の構成を有しており、ウエハステージWSTは、床面F上に設けられたベースBS1に対して、不図示の磁気浮上機構(あるいはエアベアリンクなど)により所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0073】
露光装置本体100a’を構成するウエハステージWST上には、ウエハホルダWH1が載置されている。このウエハホルダWH1の下面には、二次元のグレーティング(不図示)が設けられている。また、グレーティングの近傍には、グレーティングの原点を決定するためのマーク(以下、「原点マーク」と呼ぶものとする)が設けられている。この原点マークは、ウエハステージWST上にウエハホルダWH1が載置された状態で、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより検出可能なものであり、また、後述するアライメント系ALGによっても検出可能なものである。
【0074】
また、ウエハテーブルWTBは、例えば第2の実施形態と同様に、ガラス等の透明な板状部材から構成され、その+Y側及び−Y側の側面は、X軸方向に延び、かつXZ平面に対して傾斜し、かつ+X側及び−X側の側面は、Y軸方向に延び、かつYZ平面に対して傾斜し、これらの側面にはPBS(不図示)が設けられている。なお、ウエハテーブルWTBの上面には、第2の実施形態とは異なり、グレーティングは設けられていないが、ウエハホルダWH1の裏面にグレーティングが設けられている。このグレーティングを用いて、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより、上記各実施形態と同様に、ウエハホルダWH1のXY平面内の位置を計測することが可能となっている。なお、ウエハホルダWH1の裏面を保護部材(例えば、カバーガラスあるいは薄膜など)で覆っても良い。
【0075】
なお、ウエハテーブルWTBは、ウエハホルダWH1に代えて、図7のウエハホルダWH2、WH3を保持することも可能である。本実施形態では、ウエハテーブルWTBに保持されるウエハホルダWH2、WH3の裏面に設けられたグレーティングを用いて、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより、ウエハホルダWH2、WH3のXY平面内の位置を計測することが可能となっている。
【0076】
前記アライメントチャンバ116の内部は、前述した本体チャンバ112とは別個に、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0077】
前記測定部110は、ベースBS1とは独立して、床面F上に設けられたベースBS2と、該ベースBS2上に設けられた第1のホルダ保持部材22と、アライメント系ALGと、アライメント系ALGをベースBS2上で2次元駆動するアライメントステージASTとを含んでいる。なお、不図示ではあるが、ベースBS2は、例えば4つの防振ユニットを介して床面F(又はベースプレートなど)上に配置されている。
【0078】
前記第1のホルダ保持部材22は、平面視略正方形状の形状を有し、図7においては、その上面にて、ウエハWを保持可能なウエハホルダWH2を支持している。このウエハホルダWH2は、前述したウエハホルダWH1と同様の構成となっており、その裏面には2次元のグレーティングが設けられている。なお、第1のホルダ保持部材22は、ウエハホルダWH2に代えて、図7のウエハホルダWH1、WH3を支持することも可能である。
【0079】
前記アライメントステージASTは、図7では、図示が省略されているが、アライメント系ALGを保持して、例えば、X軸方向駆動用のXリニアモータと、Y軸方向駆動用のY軸リニアモータとにより、第1のホルダ保持部材22上方で、XY2次元方向に移動可能とされている。これにより、ウエハ上でアライメント系ALGの検出領域が移動され、ウエハ上の複数のアライメントマークを検出できる。
【0080】
アライメント系ALGとしては、例えば光学系と、該光学系に接続された、光源を含む照明系と、CCDを含む受光系とを含むアライメント系を採用している。なお、アライメント系ALGの照明系については、アライメントステージASTによって移動させずに、アライメントステージASTの外部に設け、光ファイバなどで接続することとしても良い。なお、これに限らず、外部に設けられた光源からのビームをアライメント系ALGの光学系に伝送する、ミラーなどを含むリレー光学系を用いても良い。なお、アライメント系ALGは画像処理方式に限られるものではなく、その他、各種方式のセンサを用いることもできる。また、アライメントステージAST及びアライメント系ALGに接続されるケーブル類は、アライメントステージASTの移動の妨げにならないようにすることが望ましい。
【0081】
アライメント系ALGのXY平面内の位置は、計測装置(例えば干渉計又はエンコーダ)を用いて計測され、不図示の制御装置は、計測装置によって計測されるアライメント系ALGの位置と、アライメント系ALGによる検出結果とに基づいて、ウエハ上に設けられたアライメントマークの位置を算出する。また、アライメント系ALGは、ウエハホルダWH2(又はウエハホルダWH1、WH3)に設けられた原点マークを検出し、不図示の制御装置は、該原点マークと、アライメントマークとの位置関係を算出する。
【0082】
前記ウエハ交換チャンバ118の内部は、前述した本体チャンバ112及びアライメントチャンバ116とは別個に、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0083】
前記ウエハ交換部120は、ウエハ交換チャンバ118内の床面F上に前述のベースBS1,BS2とは独立して設けられたベースBS3と、ベースBS3上に設けられた第2のホルダ保持部材26とを含んでいる。図7では、第2のホルダ保持部材26上で、ウエハホルダWH3を介してウエハWが保持されている。ウエハホルダWH3は、前述したウエハホルダWH1,WH2と同様の構成となっており、その裏面には2次元のグレーティングが設けられている。なお、第2のホルダ保持部材26は、ウエハホルダWH3に代えて、図7のウエハホルダWH1、WH2も載置可能である。
【0084】
更に、本実施形態では、ウエハホルダWH1〜WH3を、ウエハステージWSTと、第1のホルダ保持部材22と、第2のホルダ保持部材26との間で、搬送するホルダ搬送装置(不図示)が設けられている。
【0085】
このように構成される本実施形態の露光装置100’では、以下のような動作が行われる。なお、以下の動作は、不図示の制御装置により行われるが、説明の煩雑化を避けるため、制御装置に関する記載は省略するものとする。
【0086】
まず、ウエハ交換部120の第2のホルダ保持部材26に保持されているウエハホルダWH3に対するウエハのロード(露光済みのウエハが保持されている場合には、新たなウエハへの交換)が行われる。
【0087】
次いで、不図示のホルダ搬送装置により、ウエハWを保持したウエハホルダWH3がウエハ交換部120から搬出され、ウエハステージWST上のウエハホルダWH1がウエハ交換部120に搬入されて第2のホルダ保持部材26で保持される。その後、第1のホルダ保持部材22上のウエハホルダWH2がウエハステージWST1上に搬送され、ウエハ交換部120から搬出されたウエハホルダWH3が第1のホルダ保持部材22上に搬送される。以下では、このようなウエハホルダの搬送動作を、ホルダ巡回動作と呼ぶ。
【0088】
次いで、測定部110において、第1のホルダ保持部材22上のウエハホルダWH3に保持されたウエハのアライメントが行われる。このアライメントでは、アライメントステージASTにより、アライメント系ALGが2次元駆動され、ウエハ上に形成されたアライメントマーク(例えば8個)が検出される。また、ウエハホルダWH3に設けられた原点マークの検出も行われ、該原点マークとアライメントマークの位置関係についても算出される。
【0089】
一方、ウエハ交換部120においては、上記アライメント動作と並行して、第2のホルダ保持部材26上に載置されているウエハホルダWH1上にウエハWがロードされる。
【0090】
次いで、前述したホルダ巡回動作が行われ、ウエハホルダWH3がウエハテーブルWTB上に載置され、ウエハホルダWH1が第1のホルダ保持部材22上に載置され、ウエハホルダWH2が第2のホルダ保持部材26上に載置される。
【0091】
次いで、露光装置本体100a’では、ウエハテーブルWTB上に載置されたウエハホルダWH3の原点マークが、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより検出され、その検出結果と、アライメント系ALGを用いて計測されたアライメントマークとウエハホルダWH3の原点マークとの位置関係とから、アライメントマークの露光座標系上の座標値が算出される。そして、算出されたアライメントマークの座標値を用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)が行われ、該EGA結果に基づいて、ウエハW上の複数のショット領域に対する露光動作が行われる。
【0092】
また、露光装置本体100a’における露光動作と並行して、測定部110では、前述したのと同様、ウエハホルダWH1上のウエハWに対するアライメント動作が行われ、ウエハ交換部120では、ウエハホルダWH2に対するウエハのロード(ここではウエハ交換)が行われる。
【0093】
以下、ウエハ巡回動作と、露光装置本体100a’、測定部110、及びウエハ交換部120における各動作が繰り返し実行され、所定枚数のウエハに対する露光動作が行われる。
【0094】
以上説明したように、本第4の実施形態によると、ウエハホルダWH1〜WH3がウエハテーブルWTBに対して着脱自在であり、ウエハホルダWH1〜WH3に原点(原点マーク)が設けられていることから、ウエハホルダWH1〜WH3がウエハテーブルWTBから取り外された状態で、ウエハWのアライメント動作を行った後、ウエハテーブルWTB上に載置されても、原点(原点マーク)を基準として、アライメント結果を用いることができるので、一のウエハに対するアライメント動作と他のウエハに対する露光動作とを並行して行うことができる。これにより、高スループットを実現可能である。
【0095】
また、本実施形態においても、第1〜第3の実施形態と同様に、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbを用いたウエハテーブルWTBの位置計測を行うので、高精度なウエハテーブルWTBの位置決め、ひいては高精度な露光を実現可能である。
【0096】
なお、上記第4の実施形態では、露光装置100’が、露光装置本体100a’と、測定部110と、ウエハ交換部120とを備えている場合について説明したが、これに限られるものではなく、露光装置本体100a’と測定部110のみを備えていても良い。また、これらの構成に限らず、ウエハテーブルWTBに対してウエハホルダが着脱自在で、ウエハテーブルWTBを用いることなくウエハホルダ上のウエハに対するアライメントを行う場合などには、ウエハホルダの裏面にグレーティングが設けられている上記第4の実施形態の構成は、好適である。
【0097】
なお、上記第4の実施形態では、可動のアライメント系ALGを用いて、固定のウエハのアライメントを実行する場合について説明したが、これに限らず、アライメント系ALGが固定で、ウエハが搭載されたウエハホルダを保持する第1のホルダ保持部材22がXY平面内で移動可能な構成を採用することとしても良い。
【0098】
なお、上記第4の実施形態では、露光装置本体、測定部、ウエハ交換部のそれぞれを、別々のチャンバ内に配置する場合について説明したが、これに限らず、1つのチャンバ内に構成各部を配置しても良いし、上記構成各部のいずれか2つを同一のチャンバ内に配置することとしても良い。
【0099】
なお、上記第4の実施形態では、第2の実施形態のエンコーダシステム及びウエハテーブルを採用するものとしたが、第1又は第3の実施形態のエンコーダシステム及びウエハテーブルを採用しても良い。また、上記第4の実施形態において、ウエハテーブルWTBのθz回転を計測する場合には、X軸及びY軸計測用のエンコーダ本体の少なくとも一方を、一対から二対に変更することとしても良い。また、上記第4の実施形態においては、前述の第1〜第3の実施形態の各変形例と同様の構成を適用することもできる。
【0100】
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態について、図8、図9に基づいて説明する。図8には、本第5の実施形態に係る露光装置の投影光学系PL及びその下方の構成部分が示されている。なお、投影光学系PLよりも上方の構成部分については、図1の第1の実施形態と同様であるので、図示及び説明を省略するものとする。また、図8に示される投影光学系PL及びその下方の構成は、図1の露光装置100でそのまま採用することも可能である。
【0101】
本第5の実施形態では、投影光学系PLが、床面F上から複数(例えば3本)の支持柱34により支持された投影光学系定盤(鏡筒定盤(以下、定盤と略述する))32により支持されている。投影光学系PLは、その下端部が、定盤32の中央部に形成された円形開口32a内に挿入され、その高さ方向中央より幾分下側に設けられたフランジFLGを介して定盤32に支持されている。なお、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、レチクルステージが配置されるベース部材などに対して投影光学系PL(及び定盤32)を吊り下げ支持しても良い。
【0102】
定盤32の下面には、吊り下げ支持部材36を介して、ウエハステージ定盤BSが吊り下げ支持されている。なお、図8のように1つの吊り下げ支持部材36で支持せずに、吊り下げ支持部材36を複数用いて、ウエハステージ定盤BSを支持しても良い。
【0103】
ウエハステージ定盤BS上方では、ウエハステージWSTが例えば磁気力により、非接触にて移動可能に浮上支持されている。ウエハステージ定盤BSは、厚板状の定盤本体42と、該定盤本体42の上面に設けられたガラス板等から成るカバー部材38と、を含んでいる。また、定盤本体42の上面には、凹部が形成され(不図示)、該凹部内には、Y位置計測用のエンコーダ本体ENC及びX位置計測用のエンコーダ本体が設けられている。ただし、X位置計測用のエンコーダ本体は図示が省略されている。
【0104】
ウエハステージWSTは、第1〜第4の実施形態とは異なる構成が採用されている。すなわち、ウエハステージWSTがウエハテーブルとステージ本体部とにより構成されておらず、例えば、直方体状のガラス部材により一体物として構成されている。一例として、ウエハステージWSTは前述したウエハテーブルWTBの透過部材と同一の材料で構成される。このウエハステージWSTは、不図示ではあるが、例えば、リニアモータ又は平面モータを含む、ウエハステージ駆動系により、XY平面内で自在に駆動(θz方向の回転を含む)される。
【0105】
また、ウエハステージWSTの上面には、第1〜第3の実施形態のウエハテーブルWTBと同様、2次元のグレーティング24が設置され(図9参照)、その上面がカバーガラスで覆われている。なお、グレーティング24は、第4の実施形態と同様に、ウエハホルダWHの下面に設けられていても良い。
【0106】
図9には、エンコーダ本体ENCがウエハステージWSTとともに示されている。本実施形態では、エンコーダ本体がウエハステージWSTの下方に配置され、ウエハステージWSTの下面からその内部に計測用レーザ光を入射させてグレーティング24に照射する。計測用レーザ光の照射点(すなわち、エンコーダ本体の計測点)は、露光領域IAの中心の直下の点IAaと一致している。
【0107】
エンコーダ本体ENCは、光照射部210aと、受光部210bとを含んでいる。光照射部210aは、半導体レーザ212と、レンズ214と、偏光ビームスプリッタBS1と、一対の反射ミラー216a、216bと、一対のレンズ218a,218bと、一対のλ/4板220a、220bと、一対の平面ミラー222a,222bとを含んでいる。また、前記受光部210bは、半透過ミラー(ハーフミラー)224と、一対の偏光ビームスプリッタBS2、BS3と、λ/4板226と、4つの光検出器228a,228b,228c,228dと、を含んでいる。
【0108】
本実施形態において、エンコーダ本体ENCでは、半導体レーザ212から射出されたレーザ光がレンズ214を介して偏光ビームスプリッタBS1に入射し、偏光ビームスプリッタBS1により偏光分離(s偏光成分とp偏光成分とへの分離)されて2つのレーザ光となる。そのうちの一方のレーザ光(偏光ビームスプリッタBS1で反射された偏光成分)が、反射ミラー216aにて反射され、ウエハステージWST内に入射して、ウエハステージWST上面のグレーティング24に到達する。このレーザ光の照射点は、露光領域IAの中心の直下の点IAaとされている。一方、他方のレーザ光(偏光ビームスプリッタBS1を透過した偏光成分)は、反射ミラー216bにて反射され、ウエハステージWST内に入射して、ウエハステージWST上面のグレーティング24に到達する。このレーザ光の照射点も点IAaとなっている。そして、グレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子において回折された光(次数が同一符号の1次又はより高次の回折光)は、それぞれレンズ218a,218b、及びλ/4板220a,220bを介して平面ミラー222a,222bで反射される。そして、それぞれの反射光は、再度λ/4板220a,220bを通過した後、入射時と同一の光路を逆方向に辿って、偏光ビームスプリッタBS1に入射する。
【0109】
この場合、偏光ビームスプリッタBS1に達した光は、それぞれ、λ/4板220a,220bを2回通過しているので、入射時とは、偏光方向が90°回転されている。従って、反射ミラー216aを介した一方の光(すなわち偏光ビームスプリッタBS1で反射された偏光成分)は、偏光ビームスプリッタBS1を透過し、反射ミラー216bを介した他方の光(偏光ビームスプリッタBS1を透過した偏光成分)は、偏光ビームスプリッタBS1で反射される。すなわち、これらの光は、偏光ビームスプリッタBS1で同軸に合成されて、半透過ミラー224に向かう。
【0110】
そして、半透過ミラー224に達した光束は、二分割され、そのうちの一方が偏光ビームスプリッタBS3に到達し、他方がλ/4板226を介して偏光ビームスプリッタBS2に到達する。
【0111】
偏光ビームスプリッタBS2で偏光分離された光束(干渉光)は、光検出器228a、228bそれぞれに到達し、それぞれの光検出器228a、228bにおいて光強度が電気信号に変換される。また、偏光ビームスプリッタBS3で偏光分離された光束(干渉光)は、光検出器228c,228dそれぞれに到達し、それぞれの光検出器228c,228dにおいて光強度が電気信号に変換される。
【0112】
このようにして出力される電気信号は、不図示の制御装置に入力され、該電気信号に基づいてウエハステージWSTのY軸方向の位置情報を計測する。
【0113】
なお、X位置計測用のエンコーダ本体についても、同様に構成されており、グレーティング24のX軸方向を周期方向とする格子において回折される回折光を用いて、ウエハステージWSTのX軸方向の位置情報を計測する。また、エンコーダ本体はその光軸がウエハステージWSTの上面(グレーティング24が形成される格子面)と実質的に直交するように設けられている。なお、エンコーダ本体は上記構成に限られるものでなく、他の構成のエンコーダ本体を採用しても良いし、その構成によっては光軸がウエハステージWSTの上面と直交するように設けなくても良い。
【0114】
以上説明したように、本第5の実施形態によると、グレーティング24がウエハステージの上面に設けられているので、第1〜第4の実施形態と同様、ウエハステージWSTの高精度な計測を行うことが可能である。
【0115】
なお、上記各実施形態では、各エンコーダ本体から射出される計測用レーザ光が、露光領域IAの中心の直下の点IAaにて、グレーティング24に入射するように設計するものとしたが、これに限られるものではなく、そのような設定が困難な場合には、点IAaとは異なる別の点で、グレーティング24に入射するように設計しても良い。また、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体とでその計測点の位置を異ならせても良い。さらに、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を複数設けても良い。この場合、計測方向が同じ複数のエンコーダ本体の計測点の位置を異ならせても良い。この複数のエンコーダ本体のうち、少なくとも非計測方向に関して計測点の位置が異なる2つのエンコーダ本体によって、ウエハステージWSTのθz方向の位置情報が計測可能となる。
【0116】
なお、上記各実施形態では、ウエハテーブルWTBの少なくとも一部を、エンコーダシステムの計測用レーザ光が透過可能な材料(合成石英などの)で構成するものとしたが、これに限らず、例えば中空の枠部材などで構成しても良い。この場合、枠部材の開口部に透過部材を設けてその内部を密封しても良いし、その内部の温度を調整可能としても良い。ウエハテーブルを中空の枠部材などで構成する場合を含み、上記各実施形態では、エンコーダ本体の構成部分のうち、熱源となる部分(光源、ディテクタなど)と、熱源と成らない部分(光学系など)とを分離し、両者を光ファイバで接続するような構成を採用しても良い。
【0117】
また、上記第1〜第3、第5の実施形態では、ウエハテーブルWTB又はウエハステージWSTの上面にグレーティング24を設けるものとしたが、これに限らず、例えばカバーガラスの下面あるいはウエハホルダの裏面などにグレーティングを設けても良い。さらに、カバーガラスなどの保護部材を設ける代わりに、例えばウエハホルダなどで代用しても良い。
【0118】
なお、上記各実施形態では露光装置が単一のウエハステージを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備える露光装置にも、本発明を適用することが可能である。また、例えば、米国特許第6,897,963号明細書に開示されるように、ウエハステージと、ウエハステージとは独立して移動可能な計測ステージとを含むステージ装置を備える露光装置に本発明を適用することも可能である。
【0119】
なお、例えば国際公開第2004/053955号及びこれに対応する米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される液浸露光装置に、本発明を適用することも可能である。
【0120】
また、上記各実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。さらに、前述の露光領域IAは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号に開示されるインライン型の反射屈折系と同様に、光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。また、露光領域IAの形状は矩形に限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
【0121】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、例えば米国特許7,023,610号明細書などに開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外域に波長変換した高調波を用いても良い。
【0122】
また、上記各実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことは言うまでもない。例えば、SOR又はプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射光学系、及び反射型マスクを用いるEUV露光装置にも本発明を好適に適用することができる。このほか、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0123】
また、上記各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
【0124】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0125】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0126】
また、物体上にパターンを形成する装置は、前述の露光装置(リソグラフィシステム)に限られず、例えばインクジェット方式にて物体上にパターンを形成する装置にも本発明を適用することができる。
【0127】
なお、上記各実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0128】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写形成する液晶用の露光装置、あるいは有機EL、薄型磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0129】
なお、本発明の移動体システムは、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等の2次元面内で移動するステージ等の移動体を備えた装置にも広く適用できる。
【0130】
また、上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0131】
次に上述した露光装置(パターン形成装置)をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0132】
図10には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図10に示されるように、まず、ステップ401(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ402(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ403(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0133】
次に、ステップ404(ウエハ処理ステップ)において、ステップ401〜ステップ403で用意したマスク(レチクル)とウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ405(デバイス組立てステップ)において、ステップ404で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ405には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0134】
最後に、ステップ406(検査ステップ)において、ステップ405で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0135】
図11には、半導体デバイスにおける、上記ステップ404の詳細なフロー例が示されている。図11において、ステップ411(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ412(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ413(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ414(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ411〜ステップ414それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0136】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ415(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ416(露光ステップ)において、上で説明した露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法(パターン形成方法)によってマスク(レチクル)の回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ417(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ418(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ419(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0137】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0138】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ416)において上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法(パターン形成方法)が用いられるので、重ね合せ精度を高く維持しつつ、高スループットな露光を行うことができる。従って、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上説明したように、本発明の露光装置及び露光方法は、エネルギビームの照射によって物体にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、高集積度のデバイスの製造に適している。
【符号の説明】
【0140】
12…照明系(パターニング装置の一部)、16Ya,16Yb,16Xa,16Xb…エンコーダ本体(計測システム)、18…PBS(偏光ビームスプリッタ)、24…グレーティング、28A,28B…偏光ビームスプリッタ、30A,30B…反射ミラー(反射部材)、49A,49B…偏光分離・合成部材、100…露光装置(パターン形成装置)、ALG…アライメント系(アライメント装置)、IL…照明光(エネルギビーム)、PL…投影光学系(パターニング装置の一部)、W…ウエハ(物体)、WH1〜WH3…ウエハホルダ(保持部材)、WTB…ウエハテーブル(移動体、テーブル)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に係り、特に、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置及び露光方法、並びに前記露光装置又は露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子、液晶表示素子等のマイクロデバイス(電子デバイスなど)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)又はステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが比較的多く用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の被露光物体(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージはXY2次元方向に例えばリニアモータ等により駆動される。このウエハステージの位置計測は、長期に渡って計測の安定性が良好で、高分解能なレーザ干渉計を用いて行われるのが、一般的であった。
【0004】
しかるに、半導体素子の高集積化に伴う、パターンの微細化により、より高精度なステージの位置制御が要求されるようになり、今や、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化及び/又は温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになっている。
【0005】
一方、ステージの位置計測に使用されるレーザ干渉計以外の計測装置として、エンコーダがあるが、エンコーダは、計測においてスケール(グレーティングなど)を使用するため、格子ピッチのドリフト、固定位置ドリフト、あるいは熱膨張等などによりそのスケールの機械的な長期安定性に欠ける。このため、エンコーダは、レーザ干渉計に比べて計測値のリニアリティに欠け、長期安定性に劣るという欠点を有している。
【0006】
上述のレーザ干渉計とエンコーダとの欠点に鑑みて、レーザ干渉計とエンコーダ(回折格子を用いる位置検出センサ)とを併用して、ステージの位置を計測する装置が、種々提案されている(例えば特許文献1、2等参照)。特に、最近では、計測分解能が、レーザ干渉計と同程度以上のエンコーダが出現しており(例えば、特許文献3等参照)、上述のレーザ干渉計とエンコーダとを組み合わせる技術が注目されるようになってきた。
【0007】
しかるに、干渉計のミラー又はエンコーダのスケール(グレーティングなど)は、ステージの外面、例えば側面などに設けられた場合、そのステージが加速した際のステージの微小変形に伴い、ステージ上の位置(ステージ上の所定点との位置関係)が変化してしまい、これがステージの位置計測精度を低下させる蓋然性が高い。また、たとえば、スループットを向上させる観点から、スキャニング・ステッパにおいてウエハステージの加速中に露光を開始するという新技術が提案されたとしても、上記のステージの加速に伴うミラー又はスケールのステージ上での位置の変化が、上記新技術の実施のための障害要因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,819,425号明細書
【特許文献2】特開2004−101362号公報
【特許文献3】米国特許第7,238,931号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情の下になされたものであり、第1の観点からすると、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置であって、表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有し、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動するステージシステムと;前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有し、前記光学部材を介して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムと;を備え、前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光装置である。
【0010】
これによれば、エンコーダシステムは、保持部材に光学部材から計測ビームを入射させ、保持部材の裏面側に設けられたグレーティングからの反射光を含む光を受光することにより、保持部材の所定平面内の計測方向の位置情報を計測する。これにより、可動部材周辺雰囲気の揺らぎ等の影響をほとんど受けることなく、保持部材の高精度な位置計測ひいては、高精度な露光が可能となる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、デバイス製造方法であって、本発明の露光装置を用いて基板を露光することと;露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法である。
【0012】
本発明は、第3の観点からすると、光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光方法であって、表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有するステージシステムによって、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動することと;前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有するエンコーダシステムによって、前記保持部材の位置情報を計測することと;前記計測された位置情報に基づいて前記保持部材を移動して、前記照明ビームに対して前記基板を位置付けることと;を含み、前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光方法である。
【0013】
これによれば、エンコーダシステムは、保持部材に光学部材から計測ビームを入射させ、保持部材の裏面側に設けられたグレーティングからの反射光を含む光を受光することにより、保持部材の所定平面内の計測方向の位置情報を計測する。これにより、可動部材周辺雰囲気の揺らぎ等の影響をほとんど受けることなく、保持部材の高精度な位置計測ひいては、高精度な露光が可能となる。
【0014】
本発明は、第4の観点からすると、デバイス製造方法であって、本発明の露光方法を用いて基板を露光することと;露光された前記基板を現像することと;を含むデバイス製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置を示す概略図である。
【図2】図1のウエハテーブルとエンコーダ本体の位置関係を示す斜視図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、第1の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、第1の実施形態に係る、ウエハテーブル及びエンコーダの変形例を説明するための図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、第2の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、第3の実施形態における、エンコーダ本体による計測を説明するための図である。
【図7】第4の実施形態にかかる露光装置を一部省略して示す平面図である。
【図8】第5の実施形態にかかる露光装置の一部を示す正面図である。
【図9】図8のウエハステージ及び該ウエハステージの位置計測を行うエンコーダ本体の構成を示す図である。
【図10】デバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10のステップ404の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図3(C)に基づいて説明する。
【0017】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装置である。この露光装置100は、光源及び照明光学系を含み、照明光ILによりレチクルRを照明する照明系12、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、ウエハWを保持するウエハステージWST、及び装置全体を統括制御する制御装置(不図示)等を備えている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0018】
照明系12は、不図示のレチクルブラインドで規定されたレチクルR上でX軸方向に延びるスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0019】
前記レチクルステージRST上には、回路パターン等が描かれたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置制御のため、不図示のレチクルステージ駆動系により、照明系12の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
【0020】
レチクルステージRSTの移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)324によって、レチクルステージRSTの側面(鏡面加工された端面)を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計324からのレチクルステージRSTの位置情報は不図示の制御装置に送られている。制御装置は、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージ駆動系を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0021】
前記投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有する。このため、照明系12からの照明光ILによって照明領域が照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面側)に配置される、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域に共役な領域(露光領域IA)に形成される。そしてレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動するとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動することで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが形成される。すなわち、本実施形態では、照明系12、レチクルR及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
【0022】
前記ウエハステージWSTは、その上面にて不図示の静電チャック機構によりウエハホルダWHを吸着保持している。また、ウエハホルダWHは、該ウエハホルダWHが有する静電チャック機構により、ウエハWを吸着保持する。ウエハステージWSTは、図1に示されるように、ステージ本体14と、該ステージ本体14上に固定されたウエハテーブルWTBと、不図示の静電チャック機構によってウエハテーブルWTBに対して着脱自在のウエハホルダWHと、を含んでいる。なお、ウエハホルダWHをウエハテーブルWTBに固定する保持機構は静電チャック機構に限らず、例えば真空チャック機構あるいはクランプ機構などでも良い。また、ウエハホルダWHは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されても良いし、静電チャック機構と異なる機構、例えば真空チャック機構などによってウエハWを保持しても良い。
【0023】
前記ステージ本体14(ウエハステージWST)は、例えばリニアモータ及びボイスコイルモータ(VCM)などを含む駆動系により、X軸方向,Y軸方向,Z軸方向、θx方向、θy方向、及びθz方向の6自由度方向に駆動される。これにより、ウエハWは6自由度方向に移動可能である。なお、ステージ本体14はX軸方向、Y軸方向、及びθz方向に駆動し、ウエハテーブルWTBを少なくともZ軸方向、θx方向、及びθy方向に微動可能としても良い。この場合、ウエハテーブルWTBは6自由度方向に微動可能としても良い。
【0024】
ウエハテーブルWTBは、透明な部材(例えば、ガラス等)から成り、平面視(上方から見て)、略正方形の板状部材である。ウエハテーブルWTBは、1辺の長さがウエハWの直径の約3倍である。ウエハテーブルWTBの上面の中央部にウエハホルダWHが保持されている。ウエハテーブルWTBは、その内部を後述するエンコーダシステムの計測用レーザ光が進行するので、少なくともこの計測用レーザ光に対して透明な透過部材で構成される。また、ウエハテーブルWTBは、XY平面と実質的に平行な第1面(上面)及び第2面(下面)と、X軸方向にそれぞれ延びる一対の側面及びY軸方向にそれぞれ延びる一対の側面とを有する。本実施形態では、後述するように、ウエハテーブルWTBの上面にグレーティング24が形成され、4つの側面(以下では、端面とも呼ぶ)からそれぞれ計測用レーザ光がウエハテーブルWTBの内部に入射する。なお、透過部材は、低熱膨張率の材料であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英などが用いられる。また、ウエハテーブルWTBはその全体が透過部材で構成されても良いが、計測用レーザ光が通るウエハテーブルWTBの一部のみを透過部材で構成しても良い。
【0025】
ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面は、図3(A)等に示されるように、X軸方向に延び、かつXZ平面に対して所定角度(θ(0°<θ<90°))傾斜している。すなわち、−Y側端面及び+Y側端面は、ウエハテーブルWTBの底面(下面)とのなす角が鋭角(90°−θ)、換言すればウエハテーブルWTBの上面(グレーティング24の形成面)とのなす角が鈍角(90°+θ)となっている。さらに、−Y側端面及び+Y側端面のそれぞれには、偏光フィルタ(以下、単に「PBS」とも呼ぶ)18が貼付されている。また、不図示ではあるが、同様に、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面は、Y軸方向に延び、かつYZ平面に対して、所定角度(θ)傾斜している。すなわち、−X側端面及び+X側端面は、ウエハテーブルWTBの底面とのなす角が鋭角(90°−θ)、換言すればウエハテーブルWTBの上面とのなす角が鈍角(90°+θ)となっている。さらに、−X側端面及び+X側端面のそれぞれには、不図示の偏光フィルタ(PBS)が貼付されている。
【0026】
前記PBS18は、例えば、一対のガラス板と、該一対のガラス板に挟まれた偏光膜とを含んで構成され、特定の方向の振動を有する偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を反射する性質を有するものである。ここでは、PBS18に入射する光のうち、特定の方向の振動を有する第1の偏光成分が通過し、これに直交する方向の振動を有する第2の偏光成分が反射されるものとする。
【0027】
また、ウエハテーブルWTBの上面中央部(ウエハホルダWHよりも一回り大きい部分)には、X軸方向を周期方向とするグレーティングと、Y軸方向を周期方向とするグレーティングとを組み合わせた2次元のグレーティング24が水平に設置され、このグレーティング24の上面は、保護部材としてのカバーガラス51によって覆われている。本実施形態では、このカバーガラス51の上面にウエハホルダWHを吸着保持する前述の静電チャック機構が設けられている。なお、本実施形態では、ウエハテーブルWTBの上面のほぼ全面を覆うようにカバーガラス51を設けているが、グレーティング24を含む上面の一部のみを覆うようにカバーガラス51を設けても良い。また、本実施形態では、カバーガラス51をウエハテーブルWTBと同一の材料で構成するが、他の材料、例えば金属、セラミックス、あるいは薄膜などで構成しても良い。なお、ウエハテーブルWTBはカバーガラス51を含むものとしても良く、この場合にはグレーティング24の形成面がウエハテーブルWTBの最上面ではなくその内部に配置されることになる。
【0028】
ウエハステージWSTのXY平面内における位置は、後述するエンコーダ本体により、グレーティング24を介して常時検出されている。このエンコーダ本体により検出されるウエハステージWSTの位置情報は、不図示の制御装置に送られ、不図示の制御装置は、この位置情報に基づいて、前述したリニアモータ及びボイスコイルモータを駆動して、ウエハステージWSTの位置を制御する。
【0029】
前記制御装置は、例えばワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、上記検出系などの、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0030】
次に、本第1の実施形態において、ウエハステージWSTの位置計測に用いられるエンコーダシステム(計測システム)の構成等について図1〜図3(C)を用いて詳細に説明する。本第1の実施形態のエンコーダシステムは、前述したグレーティング24と、該グレーティング24に計測用のレーザ光を照射する4つのエンコーダ本体(計測装置)16Ya,16Yb,16Xa,16Xb(エンコーダ本体16Xa,16Xbについては図1では不図示、図2参照)とを含んでいる。
【0031】
図2には、4つのエンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbの位置関係を説明するための斜視図が示されている。エンコーダ本体16Ya,16Ybは、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を検出するためのものである。エンコーダ本体16Ya,16Ybは、図2に示されるように、露光領域IAの中心(露光中心)から−Y側及び+Y側に等間隔離れた位置に配置されている。また、エンコーダ本体16Xa,16Xbは、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のX軸方向に関する位置情報を検出するためのものである。エンコーダ本体16Xa,16Xbは、図2に示されるように、露光領域IAの中心から−X側及び+X側に等間隔離れた位置に配置されている。なお、本実施形態では、露光領域IAの中心はXY平面内で投影光学系PLの光軸AXと一致し、露光動作では露光領域IAの中心に対してウエハステージWSTの位置決め(すなわち、ウエハWのアライメント)が行われる。
【0032】
ここで、エンコーダ本体16Yaについて、具体的に説明する。エンコーダ本体16Yaは、不図示ではあるが、その内部に、計測用レーザ光(以下、適宜、レーザ光と略述する)を射出する光源と、光学系と、CCD等を含んで構成される光検出器とを含んでいる。
【0033】
エンコーダ本体16Yaでは、図3(A)に示されるように、その内部に設けられた光源から計測用レーザ光Ly1を射出する。そして、このレーザ光Ly1は、図3(A)に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y端面に設けられたPBS18に対して垂直に入射する。そして、PBS18により、レーザ光Ly1が、偏光方向が互いに直交する第1の偏光成分と第2の偏光成分とに偏光分離される。すなわち、第1の偏光成分及び第2の偏光成分のいずれか一方(ここでは、第1の偏光成分)がPBS18を通過し、他方の偏光成分(ここでは、第2の偏光成分)は、PBS18で反射される。
【0034】
そして、PBS18を通過した第1の偏光成分(例えばp偏光成分)は、ウエハテーブルWTBの内部に進入し、底面22aに入射角(90°−θ)で入射し、ここで、反射されて、グレーティング24に入射角(90°−θ)で入射する。そして、グレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子にて回折され、所定次数の回折光が、グレーティング24に入射したレーザ光の光路と全く同一の光路を戻る。ここで、図3(A)〜図3(C)からわかるように、本実施形態では、グレーティング24に入射する光は、常に、露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射するように、設定されている。この点IAaは、XY平面内での位置が露光領域IAの中心と同一となっている。
【0035】
そして、上記の戻り光(PBS18を通過した光(第1の偏光成分)の戻り光)は、PBS18で反射された第2の偏光成分(例えばs偏光成分)と同一の光路を通ってエンコーダ本体16Yaに戻る。
【0036】
エンコーダ本体16Yaでは、前述の光学系(例えば、偏光子などを含む)によって、グレーティング24で反射された第1の偏光成分の反射光と、PBS18で反射された第2の偏光成分の反射光とが合成されて干渉光となり、光検出器にてこの干渉光を受光し、光検出器の受光面上に形成される干渉縞を検出する。この検出結果は、不図示の制御装置に送られ、該制御装置では、この検出結果からウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を算出する。
【0037】
図2に戻り、エンコーダ本体16Ybの構成も、エンコーダ本体16Yaと同様となっている。すなわち、エンコーダ本体16Ybは、不図示ではあるが、その内部に、計測用レーザ光を射出する光源と、光学系と、CCD等を含んで構成される光検出器とを含む。エンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2も、ウエハテーブルWTBの+Y端面に設けられたPBS18にて、第1の偏光成分(通過光)と第2の偏光成分(反射光)とに偏光分離される。PBS18を通過した偏光成分(第1の偏光成分)のうち底面22a及びグレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子を介して戻ってくる光と、PBS18で反射された偏光成分(第2の偏光成分)の光とがエンコーダ本体16Ybに戻る。この場合において、エンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2のうち、グレーティング24に入射する光は、常に、レーザ光Ly1が入射する、露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射する。そして、エンコーダ本体16Yb内の光検出器にて干渉光を受光し、該検出結果に基づいて、不図示の制御装置が、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のY軸方向に関する位置情報を算出する。
【0038】
本実施形態では、図3(A)〜図3(C)に示されるように、エンコーダ本体16Yaから射出されるレーザ光Ly1、及びエンコーダ本体16Ybから射出されるレーザ光Ly2は、PBS18にそれぞれ入射し、露光領域IAの中心の直下の同一の点IAaに入射するようになっている。このため、計測方向であるY軸方向に関して図3(A)〜図3(C)の範囲でウエハテーブルWTBが移動する間は常に、エンコーダ本体16Ya、16Ybを用いたウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報の計測を行うことが可能である。また、少なくともウエハW上に露光領域IAが存在する間は、ウエハステージWSTがX軸方向に移動しても、レーザ光Ly1、Ly2がPBS18から外れることがない。このため、少なくとも露光動作の間は、エンコーダ本体16Ya、16Ybによって常にウエハテーブルWTBのY軸方向の位置情報を計測可能である。
【0039】
従って、不図示の制御装置は、これらY軸方向に関する位置情報を計測することが可能なエンコーダ本体(16Ya,16Yb)による計測結果(座標値)を平均化し、その平均値を、Y軸方向に関する位置情報として算出する。
【0040】
なお、X軸方向に関する位置計測を行うエンコーダ本体16Xa,16Xbについても、計測方向がX軸方向である点、及びこれに伴って、計測用レーザ光Lx1,Lx2(図2参照)の射出方向がXZ平面に平行な方向である点、及びグレーティング24のX軸方向を周期方向とする格子を用いる点などが異なるのみで、その他の構成及び計測方法は同様となっている。また、少なくともウエハW上に露光領域IAが存在する間は、ウエハステージWSTがY軸方向に移動しても、レーザ光Lx1、Lx2がウエハテーブルWTBのPBSから外れることがない。従って、少なくとも露光動作の間は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の位置情報をエンコーダ本体16Xa,16Xbのそれぞれを用いて常時計測することが可能となっている。不図示の制御装置は、上述と同様に、エンコーダ本体16Xa,16Xbの計測結果(座標値)を平均化し、その平均値を、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置情報として算出する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によると、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbから射出されるレーザ光Ly1,Ly2,Lx1,Lx2は、ウエハテーブルWTBに外部から入射し、露光領域IAの中心の直下に位置する点IAaに到達し、グレーティング24で回折される。そして、グレーティング24から戻ってきた第1の偏光成分と、PBS18で反射された第2の偏光成分との干渉光を、各エンコーダ本体の光検出器で受光することにより、ウエハテーブルWTBの位置情報を計測する。従って、PBS18を透過した第1の偏光成分は、第2の偏光成分と合成されるまでの間、すなわちPBS18から外部に射出するまでの間は、ウエハテーブルWTB内を通過し、外部雰囲気中を進行することが無い。これにより、PBS18とグレーティング24との間では第1の偏光成分(測長ビーム)がウエハテーブルWTBの周辺雰囲気の揺らぎの影響を受けることがない。さらに、ウエハテーブルWTBの外部では、第1の偏光成分と第2の偏光成分とが同一の光路を通る。このため、高精度なウエハテーブルWTBの位置計測を行うことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、ウエハテーブルWTBの位置計測を高精度に行うことができるので、該計測結果に基づいて、制御装置が、ウエハテーブルWTBを移動させることで、レチクルRとウエハWとを精度良く相対移動することが可能となる。従って、高精度な露光を実現することが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、ウエハテーブルWTBのウエハホルダWHの裏面部分にグレーティング24が設けられていることから、ウエハテーブルWTBの加速により、ウエハテーブルWTB上でのグレーティング24の位置が微小に変化することが無い。このため、ウエハテーブルWTBを加速している間にも高精度な位置計測を行うことができる。従って、例えば加速している間に露光を開始することも可能となり、高スループットが期待できる。
【0044】
また、本実施形態では、露光領域IAの中心の直下の所定点IAaにてウエハテーブルWTBの位置を計測しているので、アッベ誤差無く、高精度な位置計測を行うことができ、該計測結果を用いて、露光の際のウエハの位置制御を行うことで、高精度な露光を行うことが可能である。
【0045】
なお、上記実施形態では、説明の便宜上、Y軸方向の位置情報を計測するエンコーダ本体(Y位置計測用のエンコーダ本体)を一対設け、X軸方向の位置情報を計測するエンコーダ本体(X位置計測用のエンコーダ本体)を一対設けることとしたが、これに限らず、例えば、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz方向の回転情報)を計測する場合には、Y位置計測用のエンコーダ本体とX位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。この場合、二対のエンコーダ本体を、計測用レーザ光が、露光領域IAの中心を挟んで等距離の位置でグレーティングに入射するように、配置することができる。例えば、Y位置計測用のエンコーダ本体を二対設ける場合、第1対のエンコーダ本体からの計測用レーザ光の照射点と、第2対のエンコーダ本体からの計測用レーザ光の照射点とは、Y軸方向に関して露光領域IAの中心と同一位置で、かつX軸方向に関して露光領域IAの中心から等距離の位置に設定される。この場合、第1対のエンコーダ本体の少なくとも一方、及び第2対のエンコーダ本体の少なくとも一方の計測値からθz方向の位置情報を求めることができる。また、第1対のエンコーダ本体、及び第2対のエンコーダ本体の一方または両方を1つのみ設けることとし、この2つ又は3つのエンコーダ本体の計測値からウエハテーブルWTBのY軸方向及びθz方向の位置情報を求めても良い。
【0046】
なお、上記実施形態では、Y位置計測用のエンコーダ本体(又はX位置計測用のエンコーダ本体)の計測値(座標値)を平均化して、ウエハテーブルWTBのY位置(X位置)とする場合について説明したが、これに限らず、一対のエンコーダ本体のいずれか一方の計測値をY位置(又はX位置)とすることとしても良い。この場合、例えば、いずれか一方のエンコーダ本体を常時使用し、何らかの原因により、その一方のエンコーダ本体による計測ができなくなった場合にのみ他方のエンコーダ本体を使用するようにしても良いし、例えば、一対のエンコーダ本体を時間ごとに切り替えることとしても良い。また、例えば、いずれか一方のエンコーダ本体を常時使用し、他方のエンコーダを一方のエンコーダのキャリブレーション用(調整用)に用いることとしても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、計測用レーザ光の照射点(すなわち、エンコーダ本体の計測点)が同一位置となる、X位置及びY位置計測用のエンコーダ本体をそれぞれ一対設け、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の計測結果(座標値)の平均値を、ウエハテーブルWTBの計測方向の位置情報とすることとした。しかし、これに限らず、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の計測点を、XY平面内で計測方向と直交する非計測方向に関して異なる位置、例えば露光領域IAの中心に関して対称な位置に配置しても良い。換言すれば、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の測長軸(上記実施形態では、計測用レーザ光と一致)を、XY平面内で測長軸と直交する方向に関してずらして配置しても良い。この場合、その一対のエンコーダ本体の計測結果(座標値)の少なくとも一方からウエハテーブルWTBの計測方向の位置情報を求め、両方の計測結果からウエハテーブルWTBのθz方向の位置情報を求めることができる。上記実施形態では、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体の測長軸(及び計測用レーザ光の入射方向)はその計測方向と平行になっている。なお、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体でその計測点のX軸及びY軸方向の位置を両方とも異ならせても良い。また、上記実施形態では、計測方向が同じ一対のエンコーダ本体を、ウエハテーブルWTBを挟んでその両側に配置するものとしたが、ウエハテーブルWTBに対して同一の側に配置しても良い。この場合、計測方向の位置情報だけでなくθz方向の位置情報も計測可能である。さらに、上記実施形態では、一対のX位置計測用のエンコーダ本体と、一対のY位置計測用のエンコーダ本体とを設けるものとしたが、エンコーダ本体の数は4個に限られるものでなく、3個以下あるいは5個以上でも良い。例えば、X位置計測用のエンコーダ本体及びY位置計測用のエンコーダ本体の一方を1つのみ設け、かつ他方を一対設けても良い。この場合、その一対のエンコーダ本体を、ウエハテーブルWTBに対して同一の側に配置することで、X軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の位置情報とが計測可能となる。あるいは、1つのX位置計測用のエンコーダ本体、及び/又は1つのY位置計測用のエンコーダ本体のみ設け、ウエハテーブルWTBのX軸及び/又はY軸方向の位置情報を計測することとしても良い。この場合であっても、エンコーダ本体による計測が常時行われるので、高精度なウエハの位置決めを実現することが可能である。
【0048】
なお、上記実施形態では、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(θ)傾斜させ、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面を、YZ平面に対して所定角度(θ)傾斜させる場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図4(A)等に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させるとともに、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面(不図示)を、YZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させても良い。この場合、Y側端面及びX側端面はいずれも、ウエハテーブルWTBの底面とのなす角が鈍角(90°+θ)、すなわち上面(グレーティング24が形成される格子面)とのなす角が鋭角(90°−θ)となっている。また、図4(A)に示されるように、レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)それぞれが、対応する端面に対して垂直に入射する。なお、他の構成は上記実施形態と全く同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0049】
このような構成を採用しても、上記実施形態と同様、エンコーダ本体16Ya、16Yb(16Xa、16Xb)から射出した計測用レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)が露光領域IAの中心の直下の点IAaに入射する(図4(A)〜図4(C)参照)。従って、図4(A)〜図4(C)に示される構成を採用した場合、上記実施形態と同様にして、ウエハテーブルWTBの位置計測を行うことが可能である。また、図4(A)〜図4(C)に示される構成を採用した場合には、計測用レーザ光Ly1、Ly2(及びLx1、Lx2)をウエハテーブルWTBの底面で反射させる必要がないので、図4(A)等と図3(A)等とを比較すると分かるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向及びX軸方向のサイズを小さくすることが可能である。また、図4(A)〜図4(C)に示される構成では、ウエハテーブルWTBをX軸及びY軸方向に大型化することなく、斜入射する計測用レーザ光とグレーティング24とのなす角を小さくすることが可能である。このため、上記実施形態と比較して、ウエハテーブルWTBのZ軸方向のサイズ(高さ又は厚さ)を小さくできる。従って、図4(A)〜図4(C)に示される構成では、上記実施形態に比べてウエハテーブルWTBを大幅に小型化できる。
【0050】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について、図5(A)〜図5(C)に基づいて説明する。本第2の実施形態は、図5(A)〜図5(C)に示されるように、ウエハテーブルWTBとしてウエハホルダWHよりわずかに大きなサイズのものが用いられている点が、前述の第1の実施形態(図2)と異なるが、その他の構成等は、第1の実施形態と同様である。従って、以下では、この相違点を中心に説明するとともに、重複説明を避けるため、同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。なお、本第2の実施形態のウエハテーブルWTBは、図4(A)〜図4(C)に示したウエハテーブルWTBとサイズがほぼ等しい。
【0051】
本第2の実施形態においても、ウエハテーブルWTBの±Y側及び±X側にエンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbが配置されている。ここで、図5(A)に示されるように、ウエハWの中心が露光領域IAの中心とほぼ一致する位置にウエハテーブルWTBが位置決めされている場合、エンコーダ本体16Ya、16Ybからのレーザ光が、ウエハテーブルWTBの−Y側端面、+Y側端面に設けられた一対のPBS18の下端部に、それぞれ入射するように、エンコーダ本体16Ya、16Ybの位置関係が設定されている。エンコーダ本体16Xa,16Xbは、Y軸方向とX軸方向との違いはあるが、エンコーダ本体16Ya、16Ybと同様の位置関係に設定されている。
【0052】
このため、図5(B)、図5(C)にそれぞれ示されるように、ウエハテーブルWTBが図5(A)よりも−Y側、又は+Y側に移動したときには、エンコーダ本体16Ya,16Ybのうちの一方(図5(B)の場合には、エンコーダ本体16Yb、図5(C)の場合には、エンコーダ本体16Ya)からの光がPBS18に入射しなくなる。従って、本実施形態ではY軸方向の位置情報の計測に使用するエンコーダ本体16Ya,16Ybの切り替えが行われる。すなわち、エンコーダ本体16Ya,16Ybの一方による位置情報の計測を、他方のエンコーダ本体による位置情報の計測に切り替え可能となっている。
【0053】
そこで、本第2の実施形態では、エンコーダ本体16Ya、16Ybの一方からのレーザ光がPBS18から外れる前、すなわちエンコーダ本体16Ya,16Ybからのレーザ光が、ウエハテーブルWTBの−Y側端面、+Y側端面に設けられた一対のPBS18に同時に入射可能な位置、例えば図5(A)の位置にウエハテーブルWTBがあるときに、不図示の制御装置により、一方のエンコーダ本体の計測値と他方のエンコーダ本体の計測値とのつなぎが実行される。すなわち、制御装置は、一方のエンコーダ本体の計測結果と他方のエンコーダ本体の計測結果とが一致するように、他方のエンコーダ本体の計測値の初期値を与えるようになっている。このつなぎ処理は、他方のエンコーダ本体においてPBS18から外れているレーザ光がPBS18に再度入射した時点から、一方のエンコーダ本体からのレーザ光がPBS18から外れる(あるいは、一方のエンコーダ本体による位置計測が他方のエンコーダ本体による位置計測に切り替えられる)までの間に行えば良い。また、つなぎ処理は、位置計測に用いるエンコーダ本体の切り替えと同時に行わなくてもよく、その切り替え前に行っても構わない。さらに、つなぎ処理とエンコーダ本体の切り替えとはそれぞれ、ウエハテーブルWTBのY軸方向の位置に応じて行われる、すなわち実行タイミングが決定される。
【0054】
また、X位置計測用のエンコーダ本体16Xa,16Xbについても、制御装置は、同様の処理を行なう。すなわち、制御装置は、一方のエンコーダ本体からのレーザ光がPBS18に入射しなくなる以前に、上記と同様に、計測値の初期値を与える。
【0055】
このようにすることで、制御装置は、ウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報を、エンコーダ本体16Ya,16Ybのうちの少なくとも一方により、常に計測することができ、また、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置情報を、エンコーダ本体16Xa,16Xbのうちの少なくとも一方により、常に計測することができる。従って、ウエハテーブルWTBを小型化しても特に支障はなくなる。
【0056】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、前述の第1の実施形態と同等の作用効果を得られるほか、制御装置により、エンコーダ本体間の計測値のつなぎが実行されるので、ウエハテーブルWTBを小型化しても特に支障なくウエハテーブルWTBの位置制御ができる。従って、ウエハテーブルWTBの軽量化、及びこれによるウエハテーブルWTBの位置決め精度を含む位置制御性の向上、ひいては高精度な露光が可能となる。また、ウエハテーブルWTBの軽量化に伴い、高加速度化も実現できるので、露光装置のスループットの向上も期待できる。
【0057】
なお、上記第2の実施形態においても、説明の便宜上、計測点が同一位置に設定される、Y位置計測用、及びX位置計測用のエンコーダ本体をともに一対設けることとしたが、これに限らず、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz回転)を計測する場合には、Y位置計測用及びX位置計測用のエンコーダ本体の少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。この場合、二対のエンコーダ本体を、それぞれが射出する光が、露光領域IAの中心を挟んで等距離の位置に入射するように、配置することとしても良い。
【0058】
また、上記第2の実施形態においても、図4(A)等に示されるように、ウエハテーブルWTBの−Y側端面及び+Y側端面を、XZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させるとともに、ウエハテーブルWTBの−X側端面及び+X側端面を、YZ平面に対して所定角度(−θ)傾斜させることとしても良い。この場合、ウエハテーブルWTBの更なる小型化、エンコーダシステムによる位置計測が可能な範囲の拡大を図ることができる。これに限らず、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態で説明した他の変形例と同様の構成を、適用することも可能である。
【0059】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について、図6(A)〜図6(C)に基づいて説明する。この第3の実施形態は、ウエハテーブルWTBの上面側からレーザ光を入射させている点、及びこれに伴って、その端面にPBS18が設けられていない点などが、ウエハテーブルWTBの側面から計測用レーザ光を入射させていた前述の第1、第2の実施形態と異なるが、その他の部分の構成等は、前述の第1の実施形態と同様である。以下では、相違点を中心に説明し、同一の構成等については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
【0060】
本第3の実施形態では、計測用レーザ光をウエハテーブルWTBの上面側から入射させるため、図6(A)に示されるように、ウエハテーブルWTB上方に光軸AXに関して左右対称に配置された一対の偏光分離・合成部材49A,49Bを備えている。
【0061】
偏光分離・合成部材49A、49Bは、不図示の支持部材によって、エンコーダ本体16Ya、16Ybそれぞれの近傍のウエハテーブルWTBの上方に固定されている。偏光分離・合成部材49Aは、キューブ型の偏光ビームスプリッタ28Aと、偏光ビームスプリッタ28Aの最も下側(−Z側)に位置する面に固定された反射ミラー30ABとを含む。同様に、偏光分離・合成部材49Bは、偏光ビームスプリッタ28Bと、反射ミラー30Bとを含み、偏光分離・合成部材49Aと同様に構成されている。
【0062】
偏光分離・合成部材49A、49Bでは、エンコーダ本体16Ya、16Ybからそれぞれ入射するレーザ光が、偏光ビームスプリッタ28A、28Bを透過する偏光成分(例えば、第1の偏光成分とする)と、反射する偏光成分(例えば、第2の偏光成分とする)とに分けられる。そして、反射した偏光成分(第2の偏光成分)は、反射ミラー30A、30Bで反射されると共に、再度偏光ビームスプリッタ28A、28Bで反射され、エンコーダ本体16Ya、16Ybに戻る。すなわち、偏光分離・合成部材49A、49Bが、前述した第1、第2の実施形態におけるPBS18と同様の機能を果たしている。従って、本第3の実施形態においても、上記第1、第2の実施形態と同様に位置計測を行うことが可能である。
【0063】
また、本第3の実施形態においては、図6(A)に示されるように、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの一辺がウエハWの直径の約3倍とされているので、図6(B)に示される位置と図6(C)に示される位置との間の範囲内でウエハテーブルWTBが移動しても、エンコーダ本体16Ya,16Ybからの計測用レーザ光が常に、ウエハテーブルWTBに入射するようになっている。従って、常に、2つのエンコーダ本体16Ya,16Ybを用いたウエハテーブルWTBのY軸方向に関する位置情報の計測を行うことができる。従って、不図示の制御装置では、これらの計測結果(座標値)の平均値に基づいて、ウエハテーブルWTBのY位置を高精度に算出することが可能である。
【0064】
なお、図示は省略されているが、露光領域IAの+X側には、上記第1、第2の実施形態と同様に、エンコーダ本体16Xaが設けられ、−X側には、エンコーダ本体16Xbが設けられている。また、これらエンコーダ本体16Xa,16Xbの近傍にも、上記偏光分離・合成部材49A,49Bと同様の偏光分離・合成部材が設けられ、Y軸方向に関する位置計測と同様にして、X軸方向に関する位置計測を行う。これにより、ウエハテーブルWTBのX軸方向に関する位置についても、高精度な計測を行うことが可能である。
【0065】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの高精度な位置計測を行うことができるので、該計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTBを駆動することにより、高精度な位置決めを行うことができ、ひいては高精度な露光を実現することが可能となる。
【0066】
なお、上記第3の実施形態では、第1の実施形態と同様、ウエハテーブルWTBの一辺がウエハWの直径の約3倍に設定されている場合について説明したが、これに限らず、第2の実施形態と同様に、ウエハテーブルWTBをウエハWよりも一回り大きい程度に設定しても良い。この場合、上記第2の実施形態と同様にX軸及びY軸方向それぞれについて、2つのエンコーダ本体による計測のつなぎを行う(例えば、一方のエンコーダ本体の計測結果と他方のエンコーダ本体の計測結果とが一致するように、他方のエンコーダ本体の計測値の初期値を与える)ことにより、ウエハテーブルWTBの位置を常時計測することができる。このようにすることで、ウエハテーブルWTBの小型・軽量化が問題なく行えるので、この点からも、高精度なウエハテーブルWTBの位置決めを実現することができる。
【0067】
なお、上記第3の実施形態においては、第1、第2の実施形態と同様、例えば、ウエハテーブルWTBのヨーイング(θz回転)を計測する場合には、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を二対以上設けることとしても良い。また、第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態で説明した各変形例と同様の構成を適用することもできる。
【0068】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態について図7に基づいて説明する。
【0069】
図7には、本第4の実施形態に係る露光装置100’の一部省略した平面図が示されている。
【0070】
この露光装置100’は、本体チャンバ112と、該本体チャンバ112内に設けられたウエハステージWSTを含む露光装置本体100a’と、本体チャンバ112の近傍に設けられたアライメントチャンバ116と、該アライメントチャンバ116内に収容された測定部110と、アライメントチャンバ116の−X側に設けられたウエハ交換チャンバ118と、該ウエハ交換チャンバ118内に設けられたウエハ交換部120と、を含んでいる。
【0071】
前記本体チャンバ112の内部は、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0072】
前記露光装置本体100a’は、前述した第1の実施形態(第1の実施形態では露光装置100)とほぼ同様の構成を有しており、ウエハステージWSTは、床面F上に設けられたベースBS1に対して、不図示の磁気浮上機構(あるいはエアベアリンクなど)により所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0073】
露光装置本体100a’を構成するウエハステージWST上には、ウエハホルダWH1が載置されている。このウエハホルダWH1の下面には、二次元のグレーティング(不図示)が設けられている。また、グレーティングの近傍には、グレーティングの原点を決定するためのマーク(以下、「原点マーク」と呼ぶものとする)が設けられている。この原点マークは、ウエハステージWST上にウエハホルダWH1が載置された状態で、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより検出可能なものであり、また、後述するアライメント系ALGによっても検出可能なものである。
【0074】
また、ウエハテーブルWTBは、例えば第2の実施形態と同様に、ガラス等の透明な板状部材から構成され、その+Y側及び−Y側の側面は、X軸方向に延び、かつXZ平面に対して傾斜し、かつ+X側及び−X側の側面は、Y軸方向に延び、かつYZ平面に対して傾斜し、これらの側面にはPBS(不図示)が設けられている。なお、ウエハテーブルWTBの上面には、第2の実施形態とは異なり、グレーティングは設けられていないが、ウエハホルダWH1の裏面にグレーティングが設けられている。このグレーティングを用いて、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより、上記各実施形態と同様に、ウエハホルダWH1のXY平面内の位置を計測することが可能となっている。なお、ウエハホルダWH1の裏面を保護部材(例えば、カバーガラスあるいは薄膜など)で覆っても良い。
【0075】
なお、ウエハテーブルWTBは、ウエハホルダWH1に代えて、図7のウエハホルダWH2、WH3を保持することも可能である。本実施形態では、ウエハテーブルWTBに保持されるウエハホルダWH2、WH3の裏面に設けられたグレーティングを用いて、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより、ウエハホルダWH2、WH3のXY平面内の位置を計測することが可能となっている。
【0076】
前記アライメントチャンバ116の内部は、前述した本体チャンバ112とは別個に、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0077】
前記測定部110は、ベースBS1とは独立して、床面F上に設けられたベースBS2と、該ベースBS2上に設けられた第1のホルダ保持部材22と、アライメント系ALGと、アライメント系ALGをベースBS2上で2次元駆動するアライメントステージASTとを含んでいる。なお、不図示ではあるが、ベースBS2は、例えば4つの防振ユニットを介して床面F(又はベースプレートなど)上に配置されている。
【0078】
前記第1のホルダ保持部材22は、平面視略正方形状の形状を有し、図7においては、その上面にて、ウエハWを保持可能なウエハホルダWH2を支持している。このウエハホルダWH2は、前述したウエハホルダWH1と同様の構成となっており、その裏面には2次元のグレーティングが設けられている。なお、第1のホルダ保持部材22は、ウエハホルダWH2に代えて、図7のウエハホルダWH1、WH3を支持することも可能である。
【0079】
前記アライメントステージASTは、図7では、図示が省略されているが、アライメント系ALGを保持して、例えば、X軸方向駆動用のXリニアモータと、Y軸方向駆動用のY軸リニアモータとにより、第1のホルダ保持部材22上方で、XY2次元方向に移動可能とされている。これにより、ウエハ上でアライメント系ALGの検出領域が移動され、ウエハ上の複数のアライメントマークを検出できる。
【0080】
アライメント系ALGとしては、例えば光学系と、該光学系に接続された、光源を含む照明系と、CCDを含む受光系とを含むアライメント系を採用している。なお、アライメント系ALGの照明系については、アライメントステージASTによって移動させずに、アライメントステージASTの外部に設け、光ファイバなどで接続することとしても良い。なお、これに限らず、外部に設けられた光源からのビームをアライメント系ALGの光学系に伝送する、ミラーなどを含むリレー光学系を用いても良い。なお、アライメント系ALGは画像処理方式に限られるものではなく、その他、各種方式のセンサを用いることもできる。また、アライメントステージAST及びアライメント系ALGに接続されるケーブル類は、アライメントステージASTの移動の妨げにならないようにすることが望ましい。
【0081】
アライメント系ALGのXY平面内の位置は、計測装置(例えば干渉計又はエンコーダ)を用いて計測され、不図示の制御装置は、計測装置によって計測されるアライメント系ALGの位置と、アライメント系ALGによる検出結果とに基づいて、ウエハ上に設けられたアライメントマークの位置を算出する。また、アライメント系ALGは、ウエハホルダWH2(又はウエハホルダWH1、WH3)に設けられた原点マークを検出し、不図示の制御装置は、該原点マークと、アライメントマークとの位置関係を算出する。
【0082】
前記ウエハ交換チャンバ118の内部は、前述した本体チャンバ112及びアライメントチャンバ116とは別個に、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持されている。
【0083】
前記ウエハ交換部120は、ウエハ交換チャンバ118内の床面F上に前述のベースBS1,BS2とは独立して設けられたベースBS3と、ベースBS3上に設けられた第2のホルダ保持部材26とを含んでいる。図7では、第2のホルダ保持部材26上で、ウエハホルダWH3を介してウエハWが保持されている。ウエハホルダWH3は、前述したウエハホルダWH1,WH2と同様の構成となっており、その裏面には2次元のグレーティングが設けられている。なお、第2のホルダ保持部材26は、ウエハホルダWH3に代えて、図7のウエハホルダWH1、WH2も載置可能である。
【0084】
更に、本実施形態では、ウエハホルダWH1〜WH3を、ウエハステージWSTと、第1のホルダ保持部材22と、第2のホルダ保持部材26との間で、搬送するホルダ搬送装置(不図示)が設けられている。
【0085】
このように構成される本実施形態の露光装置100’では、以下のような動作が行われる。なお、以下の動作は、不図示の制御装置により行われるが、説明の煩雑化を避けるため、制御装置に関する記載は省略するものとする。
【0086】
まず、ウエハ交換部120の第2のホルダ保持部材26に保持されているウエハホルダWH3に対するウエハのロード(露光済みのウエハが保持されている場合には、新たなウエハへの交換)が行われる。
【0087】
次いで、不図示のホルダ搬送装置により、ウエハWを保持したウエハホルダWH3がウエハ交換部120から搬出され、ウエハステージWST上のウエハホルダWH1がウエハ交換部120に搬入されて第2のホルダ保持部材26で保持される。その後、第1のホルダ保持部材22上のウエハホルダWH2がウエハステージWST1上に搬送され、ウエハ交換部120から搬出されたウエハホルダWH3が第1のホルダ保持部材22上に搬送される。以下では、このようなウエハホルダの搬送動作を、ホルダ巡回動作と呼ぶ。
【0088】
次いで、測定部110において、第1のホルダ保持部材22上のウエハホルダWH3に保持されたウエハのアライメントが行われる。このアライメントでは、アライメントステージASTにより、アライメント系ALGが2次元駆動され、ウエハ上に形成されたアライメントマーク(例えば8個)が検出される。また、ウエハホルダWH3に設けられた原点マークの検出も行われ、該原点マークとアライメントマークの位置関係についても算出される。
【0089】
一方、ウエハ交換部120においては、上記アライメント動作と並行して、第2のホルダ保持部材26上に載置されているウエハホルダWH1上にウエハWがロードされる。
【0090】
次いで、前述したホルダ巡回動作が行われ、ウエハホルダWH3がウエハテーブルWTB上に載置され、ウエハホルダWH1が第1のホルダ保持部材22上に載置され、ウエハホルダWH2が第2のホルダ保持部材26上に載置される。
【0091】
次いで、露光装置本体100a’では、ウエハテーブルWTB上に載置されたウエハホルダWH3の原点マークが、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbにより検出され、その検出結果と、アライメント系ALGを用いて計測されたアライメントマークとウエハホルダWH3の原点マークとの位置関係とから、アライメントマークの露光座標系上の座標値が算出される。そして、算出されたアライメントマークの座標値を用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)が行われ、該EGA結果に基づいて、ウエハW上の複数のショット領域に対する露光動作が行われる。
【0092】
また、露光装置本体100a’における露光動作と並行して、測定部110では、前述したのと同様、ウエハホルダWH1上のウエハWに対するアライメント動作が行われ、ウエハ交換部120では、ウエハホルダWH2に対するウエハのロード(ここではウエハ交換)が行われる。
【0093】
以下、ウエハ巡回動作と、露光装置本体100a’、測定部110、及びウエハ交換部120における各動作が繰り返し実行され、所定枚数のウエハに対する露光動作が行われる。
【0094】
以上説明したように、本第4の実施形態によると、ウエハホルダWH1〜WH3がウエハテーブルWTBに対して着脱自在であり、ウエハホルダWH1〜WH3に原点(原点マーク)が設けられていることから、ウエハホルダWH1〜WH3がウエハテーブルWTBから取り外された状態で、ウエハWのアライメント動作を行った後、ウエハテーブルWTB上に載置されても、原点(原点マーク)を基準として、アライメント結果を用いることができるので、一のウエハに対するアライメント動作と他のウエハに対する露光動作とを並行して行うことができる。これにより、高スループットを実現可能である。
【0095】
また、本実施形態においても、第1〜第3の実施形態と同様に、エンコーダ本体16Ya,16Yb,16Xa,16Xbを用いたウエハテーブルWTBの位置計測を行うので、高精度なウエハテーブルWTBの位置決め、ひいては高精度な露光を実現可能である。
【0096】
なお、上記第4の実施形態では、露光装置100’が、露光装置本体100a’と、測定部110と、ウエハ交換部120とを備えている場合について説明したが、これに限られるものではなく、露光装置本体100a’と測定部110のみを備えていても良い。また、これらの構成に限らず、ウエハテーブルWTBに対してウエハホルダが着脱自在で、ウエハテーブルWTBを用いることなくウエハホルダ上のウエハに対するアライメントを行う場合などには、ウエハホルダの裏面にグレーティングが設けられている上記第4の実施形態の構成は、好適である。
【0097】
なお、上記第4の実施形態では、可動のアライメント系ALGを用いて、固定のウエハのアライメントを実行する場合について説明したが、これに限らず、アライメント系ALGが固定で、ウエハが搭載されたウエハホルダを保持する第1のホルダ保持部材22がXY平面内で移動可能な構成を採用することとしても良い。
【0098】
なお、上記第4の実施形態では、露光装置本体、測定部、ウエハ交換部のそれぞれを、別々のチャンバ内に配置する場合について説明したが、これに限らず、1つのチャンバ内に構成各部を配置しても良いし、上記構成各部のいずれか2つを同一のチャンバ内に配置することとしても良い。
【0099】
なお、上記第4の実施形態では、第2の実施形態のエンコーダシステム及びウエハテーブルを採用するものとしたが、第1又は第3の実施形態のエンコーダシステム及びウエハテーブルを採用しても良い。また、上記第4の実施形態において、ウエハテーブルWTBのθz回転を計測する場合には、X軸及びY軸計測用のエンコーダ本体の少なくとも一方を、一対から二対に変更することとしても良い。また、上記第4の実施形態においては、前述の第1〜第3の実施形態の各変形例と同様の構成を適用することもできる。
【0100】
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態について、図8、図9に基づいて説明する。図8には、本第5の実施形態に係る露光装置の投影光学系PL及びその下方の構成部分が示されている。なお、投影光学系PLよりも上方の構成部分については、図1の第1の実施形態と同様であるので、図示及び説明を省略するものとする。また、図8に示される投影光学系PL及びその下方の構成は、図1の露光装置100でそのまま採用することも可能である。
【0101】
本第5の実施形態では、投影光学系PLが、床面F上から複数(例えば3本)の支持柱34により支持された投影光学系定盤(鏡筒定盤(以下、定盤と略述する))32により支持されている。投影光学系PLは、その下端部が、定盤32の中央部に形成された円形開口32a内に挿入され、その高さ方向中央より幾分下側に設けられたフランジFLGを介して定盤32に支持されている。なお、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、レチクルステージが配置されるベース部材などに対して投影光学系PL(及び定盤32)を吊り下げ支持しても良い。
【0102】
定盤32の下面には、吊り下げ支持部材36を介して、ウエハステージ定盤BSが吊り下げ支持されている。なお、図8のように1つの吊り下げ支持部材36で支持せずに、吊り下げ支持部材36を複数用いて、ウエハステージ定盤BSを支持しても良い。
【0103】
ウエハステージ定盤BS上方では、ウエハステージWSTが例えば磁気力により、非接触にて移動可能に浮上支持されている。ウエハステージ定盤BSは、厚板状の定盤本体42と、該定盤本体42の上面に設けられたガラス板等から成るカバー部材38と、を含んでいる。また、定盤本体42の上面には、凹部が形成され(不図示)、該凹部内には、Y位置計測用のエンコーダ本体ENC及びX位置計測用のエンコーダ本体が設けられている。ただし、X位置計測用のエンコーダ本体は図示が省略されている。
【0104】
ウエハステージWSTは、第1〜第4の実施形態とは異なる構成が採用されている。すなわち、ウエハステージWSTがウエハテーブルとステージ本体部とにより構成されておらず、例えば、直方体状のガラス部材により一体物として構成されている。一例として、ウエハステージWSTは前述したウエハテーブルWTBの透過部材と同一の材料で構成される。このウエハステージWSTは、不図示ではあるが、例えば、リニアモータ又は平面モータを含む、ウエハステージ駆動系により、XY平面内で自在に駆動(θz方向の回転を含む)される。
【0105】
また、ウエハステージWSTの上面には、第1〜第3の実施形態のウエハテーブルWTBと同様、2次元のグレーティング24が設置され(図9参照)、その上面がカバーガラスで覆われている。なお、グレーティング24は、第4の実施形態と同様に、ウエハホルダWHの下面に設けられていても良い。
【0106】
図9には、エンコーダ本体ENCがウエハステージWSTとともに示されている。本実施形態では、エンコーダ本体がウエハステージWSTの下方に配置され、ウエハステージWSTの下面からその内部に計測用レーザ光を入射させてグレーティング24に照射する。計測用レーザ光の照射点(すなわち、エンコーダ本体の計測点)は、露光領域IAの中心の直下の点IAaと一致している。
【0107】
エンコーダ本体ENCは、光照射部210aと、受光部210bとを含んでいる。光照射部210aは、半導体レーザ212と、レンズ214と、偏光ビームスプリッタBS1と、一対の反射ミラー216a、216bと、一対のレンズ218a,218bと、一対のλ/4板220a、220bと、一対の平面ミラー222a,222bとを含んでいる。また、前記受光部210bは、半透過ミラー(ハーフミラー)224と、一対の偏光ビームスプリッタBS2、BS3と、λ/4板226と、4つの光検出器228a,228b,228c,228dと、を含んでいる。
【0108】
本実施形態において、エンコーダ本体ENCでは、半導体レーザ212から射出されたレーザ光がレンズ214を介して偏光ビームスプリッタBS1に入射し、偏光ビームスプリッタBS1により偏光分離(s偏光成分とp偏光成分とへの分離)されて2つのレーザ光となる。そのうちの一方のレーザ光(偏光ビームスプリッタBS1で反射された偏光成分)が、反射ミラー216aにて反射され、ウエハステージWST内に入射して、ウエハステージWST上面のグレーティング24に到達する。このレーザ光の照射点は、露光領域IAの中心の直下の点IAaとされている。一方、他方のレーザ光(偏光ビームスプリッタBS1を透過した偏光成分)は、反射ミラー216bにて反射され、ウエハステージWST内に入射して、ウエハステージWST上面のグレーティング24に到達する。このレーザ光の照射点も点IAaとなっている。そして、グレーティング24のY軸方向を周期方向とする格子において回折された光(次数が同一符号の1次又はより高次の回折光)は、それぞれレンズ218a,218b、及びλ/4板220a,220bを介して平面ミラー222a,222bで反射される。そして、それぞれの反射光は、再度λ/4板220a,220bを通過した後、入射時と同一の光路を逆方向に辿って、偏光ビームスプリッタBS1に入射する。
【0109】
この場合、偏光ビームスプリッタBS1に達した光は、それぞれ、λ/4板220a,220bを2回通過しているので、入射時とは、偏光方向が90°回転されている。従って、反射ミラー216aを介した一方の光(すなわち偏光ビームスプリッタBS1で反射された偏光成分)は、偏光ビームスプリッタBS1を透過し、反射ミラー216bを介した他方の光(偏光ビームスプリッタBS1を透過した偏光成分)は、偏光ビームスプリッタBS1で反射される。すなわち、これらの光は、偏光ビームスプリッタBS1で同軸に合成されて、半透過ミラー224に向かう。
【0110】
そして、半透過ミラー224に達した光束は、二分割され、そのうちの一方が偏光ビームスプリッタBS3に到達し、他方がλ/4板226を介して偏光ビームスプリッタBS2に到達する。
【0111】
偏光ビームスプリッタBS2で偏光分離された光束(干渉光)は、光検出器228a、228bそれぞれに到達し、それぞれの光検出器228a、228bにおいて光強度が電気信号に変換される。また、偏光ビームスプリッタBS3で偏光分離された光束(干渉光)は、光検出器228c,228dそれぞれに到達し、それぞれの光検出器228c,228dにおいて光強度が電気信号に変換される。
【0112】
このようにして出力される電気信号は、不図示の制御装置に入力され、該電気信号に基づいてウエハステージWSTのY軸方向の位置情報を計測する。
【0113】
なお、X位置計測用のエンコーダ本体についても、同様に構成されており、グレーティング24のX軸方向を周期方向とする格子において回折される回折光を用いて、ウエハステージWSTのX軸方向の位置情報を計測する。また、エンコーダ本体はその光軸がウエハステージWSTの上面(グレーティング24が形成される格子面)と実質的に直交するように設けられている。なお、エンコーダ本体は上記構成に限られるものでなく、他の構成のエンコーダ本体を採用しても良いし、その構成によっては光軸がウエハステージWSTの上面と直交するように設けなくても良い。
【0114】
以上説明したように、本第5の実施形態によると、グレーティング24がウエハステージの上面に設けられているので、第1〜第4の実施形態と同様、ウエハステージWSTの高精度な計測を行うことが可能である。
【0115】
なお、上記各実施形態では、各エンコーダ本体から射出される計測用レーザ光が、露光領域IAの中心の直下の点IAaにて、グレーティング24に入射するように設計するものとしたが、これに限られるものではなく、そのような設定が困難な場合には、点IAaとは異なる別の点で、グレーティング24に入射するように設計しても良い。また、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体とでその計測点の位置を異ならせても良い。さらに、X位置計測用のエンコーダ本体とY位置計測用のエンコーダ本体との少なくとも一方を複数設けても良い。この場合、計測方向が同じ複数のエンコーダ本体の計測点の位置を異ならせても良い。この複数のエンコーダ本体のうち、少なくとも非計測方向に関して計測点の位置が異なる2つのエンコーダ本体によって、ウエハステージWSTのθz方向の位置情報が計測可能となる。
【0116】
なお、上記各実施形態では、ウエハテーブルWTBの少なくとも一部を、エンコーダシステムの計測用レーザ光が透過可能な材料(合成石英などの)で構成するものとしたが、これに限らず、例えば中空の枠部材などで構成しても良い。この場合、枠部材の開口部に透過部材を設けてその内部を密封しても良いし、その内部の温度を調整可能としても良い。ウエハテーブルを中空の枠部材などで構成する場合を含み、上記各実施形態では、エンコーダ本体の構成部分のうち、熱源となる部分(光源、ディテクタなど)と、熱源と成らない部分(光学系など)とを分離し、両者を光ファイバで接続するような構成を採用しても良い。
【0117】
また、上記第1〜第3、第5の実施形態では、ウエハテーブルWTB又はウエハステージWSTの上面にグレーティング24を設けるものとしたが、これに限らず、例えばカバーガラスの下面あるいはウエハホルダの裏面などにグレーティングを設けても良い。さらに、カバーガラスなどの保護部材を設ける代わりに、例えばウエハホルダなどで代用しても良い。
【0118】
なお、上記各実施形態では露光装置が単一のウエハステージを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備える露光装置にも、本発明を適用することが可能である。また、例えば、米国特許第6,897,963号明細書に開示されるように、ウエハステージと、ウエハステージとは独立して移動可能な計測ステージとを含むステージ装置を備える露光装置に本発明を適用することも可能である。
【0119】
なお、例えば国際公開第2004/053955号及びこれに対応する米国特許出願公開第2005/0259234号明細書などに開示される液浸露光装置に、本発明を適用することも可能である。
【0120】
また、上記各実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。さらに、前述の露光領域IAは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号に開示されるインライン型の反射屈折系と同様に、光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。また、露光領域IAの形状は矩形に限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
【0121】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、例えば米国特許7,023,610号明細書などに開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外域に波長変換した高調波を用いても良い。
【0122】
また、上記各実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことは言うまでもない。例えば、SOR又はプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射光学系、及び反射型マスクを用いるEUV露光装置にも本発明を好適に適用することができる。このほか、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0123】
また、上記各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
【0124】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0125】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0126】
また、物体上にパターンを形成する装置は、前述の露光装置(リソグラフィシステム)に限られず、例えばインクジェット方式にて物体上にパターンを形成する装置にも本発明を適用することができる。
【0127】
なお、上記各実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0128】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写形成する液晶用の露光装置、あるいは有機EL、薄型磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0129】
なお、本発明の移動体システムは、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等の2次元面内で移動するステージ等の移動体を備えた装置にも広く適用できる。
【0130】
また、上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0131】
次に上述した露光装置(パターン形成装置)をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0132】
図10には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図10に示されるように、まず、ステップ401(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ402(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ403(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0133】
次に、ステップ404(ウエハ処理ステップ)において、ステップ401〜ステップ403で用意したマスク(レチクル)とウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ405(デバイス組立てステップ)において、ステップ404で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ405には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0134】
最後に、ステップ406(検査ステップ)において、ステップ405で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0135】
図11には、半導体デバイスにおける、上記ステップ404の詳細なフロー例が示されている。図11において、ステップ411(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ412(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ413(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ414(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ411〜ステップ414それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0136】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ415(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ416(露光ステップ)において、上で説明した露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法(パターン形成方法)によってマスク(レチクル)の回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ417(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ418(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ419(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0137】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0138】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ416)において上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法(パターン形成方法)が用いられるので、重ね合せ精度を高く維持しつつ、高スループットな露光を行うことができる。従って、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上説明したように、本発明の露光装置及び露光方法は、エネルギビームの照射によって物体にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、高集積度のデバイスの製造に適している。
【符号の説明】
【0140】
12…照明系(パターニング装置の一部)、16Ya,16Yb,16Xa,16Xb…エンコーダ本体(計測システム)、18…PBS(偏光ビームスプリッタ)、24…グレーティング、28A,28B…偏光ビームスプリッタ、30A,30B…反射ミラー(反射部材)、49A,49B…偏光分離・合成部材、100…露光装置(パターン形成装置)、ALG…アライメント系(アライメント装置)、IL…照明光(エネルギビーム)、PL…投影光学系(パターニング装置の一部)、W…ウエハ(物体)、WH1〜WH3…ウエハホルダ(保持部材)、WTB…ウエハテーブル(移動体、テーブル)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置であって、
表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有し、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動するステージシステムと;
前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有し、前記光学部材を介して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムと;を備え、
前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記計測点は、前記露光領域の中心又はその近傍である露光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の露光装置において、
前記計測点は、前記保持部材を位置決めすべき所定点又はその近傍である露光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の露光装置において、
前記エンコーダシステムは、前記光学部材を介して複数の計測ビームを前記グレーティングに照射して、前記保持部材の異なる方向の位置情報を計測する露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の露光装置において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点の位置が異なる計測ビームを含む露光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の露光装置において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点が露光中心に関して対称に配置される計測ビームを含む露光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記グレーティングが前記所定平面と実質的に平行な一面に配置される露光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の露光装置において、
前記保持部材はその裏面に前記グレーティングが設けられる露光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記可動部材が配置されるベース部材と;
前記ベース部材上で浮上支持される前記可動部材を駆動する平面モータと、をさらに備える露光装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記可動部材に微動可能に載置される露光装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記可動部材が配置されるベース部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記ベース部材の上面よりも下方に配置される露光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の露光装置において、
前記可動部材は、前記ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の露光装置において、
前記可動部材は、磁気力によって浮上支持される露光装置。
【請求項14】
請求項11に記載の露光装置において、
前記ベース部材はその上面に前記計測ビームが通過する光透過部が設けられる露光装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記光学系が載置される支持部をさらに備え、
前記光学部材は、前記支持部によって支持される露光装置。
【請求項16】
請求項15に記載の露光装置において、
前記支持部に吊り下げ支持されるベース部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記ベース部材に設けられる露光装置。
【請求項17】
請求項16に記載の露光装置において、
前記ベース部材はその上面に前記計測ビームが通過する光透過部が設けられる露光装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記グレーティングを覆う保護部材を有する露光装置。
【請求項19】
請求項18に記載の露光装置において、
前記保護部材は薄膜を含む露光装置。
【請求項20】
デバイス製造方法であって、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項21】
光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光方法であって、
表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有するステージシステムによって、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動することと;
前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有するエンコーダシステムによって、前記保持部材の位置情報を計測することと;
前記計測された位置情報に基づいて前記保持部材を移動して、前記照明ビームに対して前記基板を位置付けることと;を含み、
前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光方法。
【請求項22】
請求項21に記載の露光方法において、
前記計測点は、前記露光領域の中心又はその近傍である露光方法。
【請求項23】
請求項21に記載の露光方法において、
前記計測点は、前記保持部材を位置決めすべき所定点又はその近傍である露光方法。
【請求項24】
請求項21に記載の露光方法において、
前記光学部材を介して複数の計測ビームを前記グレーティングに照射して、前記保持部材の異なる方向の位置情報を計測する露光方法。
【請求項25】
請求項24に記載の露光方法において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点の位置が異なる計測ビームを含む露光方法。
【請求項26】
請求項25に記載の露光方法において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点が露光中心に関して対称に配置される計測ビームを含む露光方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記保持部材は、前記グレーティングが前記所定平面と実質的に平行な一面に配置される露光方法。
【請求項28】
請求項27に記載の露光方法において、
前記保持部材はその裏面に前記グレーティングが設けられる露光方法。
【請求項29】
請求項21〜28のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記可動部材は、ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光方法。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記保持部材は、前記可動部材に対して微動可能である露光方法。
【請求項31】
請求項21〜30のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記可動部材が配置されるベース部材の上面よりも下方に配置される露光方法。
【請求項32】
請求項31に記載の露光方法において、
前記可動部材は、前記ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光方法。
【請求項33】
請求項32に記載の露光方法において、
前記可動部材は、磁気力によって浮上支持される露光方法。
【請求項34】
請求項31に記載の露光方法において、
前記計測ビームは、前記ベース部材の上面に設けられる光透過部を介して前記グレーティングに照射される露光方法。
【請求項35】
請求項21〜34のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記光学系が載置される支持部によって支持される露光方法。
【請求項36】
請求項35に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記支持部に吊り下げ支持されるベース部材に設けられる露光方法。
【請求項37】
請求項36に記載の露光方法において、
前記計測ビームは、前記ベース部材の上面に設けられる光透過部を介して前記グレーティングに照射される露光方法。
【請求項38】
請求項21〜37のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記グレーティングは保護部材で覆われる露光方法。
【請求項39】
請求項38に記載の露光方法において、
前記保護部材は薄膜を含む露光方法。
【請求項40】
デバイス製造方法であって、
請求項21〜39のいずれか一項に記載の露光方法を用いて基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光装置であって、
表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有し、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動するステージシステムと;
前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有し、前記光学部材を介して前記保持部材の位置情報を計測するエンコーダシステムと;を備え、
前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記計測点は、前記露光領域の中心又はその近傍である露光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の露光装置において、
前記計測点は、前記保持部材を位置決めすべき所定点又はその近傍である露光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の露光装置において、
前記エンコーダシステムは、前記光学部材を介して複数の計測ビームを前記グレーティングに照射して、前記保持部材の異なる方向の位置情報を計測する露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の露光装置において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点の位置が異なる計測ビームを含む露光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の露光装置において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点が露光中心に関して対称に配置される計測ビームを含む露光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記グレーティングが前記所定平面と実質的に平行な一面に配置される露光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の露光装置において、
前記保持部材はその裏面に前記グレーティングが設けられる露光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記可動部材が配置されるベース部材と;
前記ベース部材上で浮上支持される前記可動部材を駆動する平面モータと、をさらに備える露光装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記可動部材に微動可能に載置される露光装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記可動部材が配置されるベース部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記ベース部材の上面よりも下方に配置される露光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の露光装置において、
前記可動部材は、前記ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の露光装置において、
前記可動部材は、磁気力によって浮上支持される露光装置。
【請求項14】
請求項11に記載の露光装置において、
前記ベース部材はその上面に前記計測ビームが通過する光透過部が設けられる露光装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記光学系が載置される支持部をさらに備え、
前記光学部材は、前記支持部によって支持される露光装置。
【請求項16】
請求項15に記載の露光装置において、
前記支持部に吊り下げ支持されるベース部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記ベース部材に設けられる露光装置。
【請求項17】
請求項16に記載の露光装置において、
前記ベース部材はその上面に前記計測ビームが通過する光透過部が設けられる露光装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の露光装置において、
前記保持部材は、前記グレーティングを覆う保護部材を有する露光装置。
【請求項19】
請求項18に記載の露光装置において、
前記保護部材は薄膜を含む露光装置。
【請求項20】
デバイス製造方法であって、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項21】
光学系を介して照明ビームで基板を露光する露光方法であって、
表面側に前記基板が載置され、かつ裏面側にグレーティングが配置される保持部材と、前記保持部材が載置される可動部材と、を有するステージシステムによって、前記光学系の光軸と直交する所定平面内で前記基板を移動することと;
前記保持部材の裏面側に配置され、前記グレーティングに照射する計測ビームを射出するとともに、前記グレーティングからの反射ビームが入射する光学部材を有するエンコーダシステムによって、前記保持部材の位置情報を計測することと;
前記計測された位置情報に基づいて前記保持部材を移動して、前記照明ビームに対して前記基板を位置付けることと;を含み、
前記計測ビームが照射される計測点は、前記光学系を介して前記照明ビームが照射される露光領域内に設定される露光方法。
【請求項22】
請求項21に記載の露光方法において、
前記計測点は、前記露光領域の中心又はその近傍である露光方法。
【請求項23】
請求項21に記載の露光方法において、
前記計測点は、前記保持部材を位置決めすべき所定点又はその近傍である露光方法。
【請求項24】
請求項21に記載の露光方法において、
前記光学部材を介して複数の計測ビームを前記グレーティングに照射して、前記保持部材の異なる方向の位置情報を計測する露光方法。
【請求項25】
請求項24に記載の露光方法において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点の位置が異なる計測ビームを含む露光方法。
【請求項26】
請求項25に記載の露光方法において、
前記複数の計測ビームは、前記露光領域内で前記計測点が露光中心に関して対称に配置される計測ビームを含む露光方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記保持部材は、前記グレーティングが前記所定平面と実質的に平行な一面に配置される露光方法。
【請求項28】
請求項27に記載の露光方法において、
前記保持部材はその裏面に前記グレーティングが設けられる露光方法。
【請求項29】
請求項21〜28のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記可動部材は、ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光方法。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記保持部材は、前記可動部材に対して微動可能である露光方法。
【請求項31】
請求項21〜30のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記可動部材が配置されるベース部材の上面よりも下方に配置される露光方法。
【請求項32】
請求項31に記載の露光方法において、
前記可動部材は、前記ベース部材上で浮上支持され、かつ平面モータによって移動される露光方法。
【請求項33】
請求項32に記載の露光方法において、
前記可動部材は、磁気力によって浮上支持される露光方法。
【請求項34】
請求項31に記載の露光方法において、
前記計測ビームは、前記ベース部材の上面に設けられる光透過部を介して前記グレーティングに照射される露光方法。
【請求項35】
請求項21〜34のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記光学系が載置される支持部によって支持される露光方法。
【請求項36】
請求項35に記載の露光方法において、
前記光学部材は、前記支持部に吊り下げ支持されるベース部材に設けられる露光方法。
【請求項37】
請求項36に記載の露光方法において、
前記計測ビームは、前記ベース部材の上面に設けられる光透過部を介して前記グレーティングに照射される露光方法。
【請求項38】
請求項21〜37のいずれか一項に記載の露光方法において、
前記グレーティングは保護部材で覆われる露光方法。
【請求項39】
請求項38に記載の露光方法において、
前記保護部材は薄膜を含む露光方法。
【請求項40】
デバイス製造方法であって、
請求項21〜39のいずれか一項に記載の露光方法を用いて基板を露光することと;
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−3927(P2011−3927A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207840(P2010−207840)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2008−536436(P2008−536436)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2008−536436(P2008−536436)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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