説明

非ステロイド性抗炎症剤

本発明は、一般式(I)の化合物、及び炎症、アレルギー及び/又は増殖工程により付随する疾病の処理及び予防のために使用される薬剤の生成のためへのその使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド性化合物、及び炎症の処理のための医薬製剤の製造のためへの非ステロイド性化合物の使用に関する。
【0002】
グルココルチコイド受容体に良好に結合し、そして抗炎症作用(グルココルチコイド)を有する多数のステロイド化合物の他に、今日まで、抗炎症作用が示されていない、グルココルチコイド受容体に結合する非ステロイド化合物が知られている[例えば、Nature Medicine 4 (1998) 92, Mol. Pharmacol. 52 (1997) 571を参照のこと]。さらに、ステロイド化合物から誘導され、グルココルチコイド受容体に対する親和性を有し、そしてたぶん、受容体により仲介される抗炎症作用を有する非ステロイド化合物で記載されている[J. Med. Chem. 36 (1993), 3278-3285]。しかしながら、動物実験においては、それらの化合物は、ステロイド性グルココルチコイドに関していずれの利点を示さず、すなわち代謝効果から抗炎症作用、例えば腎上機能の抑制を分離することは不可能であった。
【0003】
WO00/32584号から、抗炎症作用と所望しない代謝副作用との間の作用の分離を有するフェノール誘導体が、非ステロイド性抗炎症剤として知られている。
従来技術に開示される化合物は、それらの抗炎症性活性強度、及び抗炎症作用と所望しない副作用との間の作用のそれらの分離に関して、まだ改良の必要性がある。
従って、目的は、改良された活性強度を有さなければ、少なくとも適合できる活性強度を有する、従来技術の化合物により良好な作用の分離を示す新規非ステロイド性抗炎症剤を入手できることであった。
見出された化合物は、WO00/32584号からの選択である。
【0004】
グルココルチコイド受容体に良好に結合し、そしてこの結合により仲介される場合、抗炎症作用を生成する非ステロイド性化合物が現在見出されている。この実験においては、それらの化合物は、抗炎症性作用と所望しない作用との間の作用の有意に良好な又は少なくとも同等に良好な分離を示し、そして前に記載された非ステロイド性グルココルチコイドよりも卓越するか、又は少なくとも良好な作用を有する。
【0005】
本発明によれば、抗炎症作用を有する医薬剤の生成のための適切な化合物は、下記一般式I:
【化1】

【0006】
[式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていても良く、そしてC1-C2−アルキル基、又は鎖のC原子と共に、合計3〜4個の結合を有する環を表し、
R3は、水素原子又はC1-C2−アルキル基を表し、
R4は、水素原子又はC1-C2−アルキル基を表し、
R5〜R8は、お互い同じであっても又は異なっていても良く、そして水素原子又はハロゲン原子を表すか、又はR4及びR5は一緒になって、5−員の複素環式環を表し、これは酸素原子の他に、任意にはもう1つの酸素原子又は窒素原子を含むことができる]
で表される非ステロイド性化合物、及びその純粋な鏡像異性体及びラセミ体である。
【0007】
本発明の一般式Iの化合物は、不斉中心の存在のために、異なった立体異性体として存在することができる。ラセミ体及び別々に存在する立体異性体の両者は、本発明の目的物の一部である。(+)−鏡像異性体が好ましい。
WO98/54159号から、そこに言及される化合物に非常に類似するが、しかしエスタゲンとしての非常に明白な作用を示す化合物は知られている。この化合物の絶対的形状は、(R)によるx−線構造分析により決定され得る。WO98/54159号及びそこに存在する化合物からのそれらの物質の高い結合類似性のために、(R)形状がまた、そこに存在する(+)−鏡像異性体に関して想定される。
【0008】
一般式Iの化合物における基として定義される置換基は、個々の場合、下記意味を有することができる。
C1-C2−アルキル基は、メチル又はエチル基であってもよい。
弗素、塩素、臭素又はヨウ素は、ハロゲン原子を代表することができる。
R1及びR2が鎖のC原子と共に、3−〜4−員の環を形成する場合、後者はシクロプロピル環又はシクロブチル環である。
R4及びR5が共通する環を形成する場合、1,3−ジオキソール、フラニル、ジヒドロフラニルル及び1,3−オキサゾール環系が特に好ましい。
置換基R4〜R8はお互い独立して、上記のように、水素原子又はハロゲン原子を意味するか、又は一緒に環を形成する。フェニル環の芳香族性質は同じままである。
【0009】
本発明においては言及されるセラミ混合物は、当業者に知られているラセミ体分離方法に従って、工学的に活性的な純粋な形に分離され得る。例えば、ラセミ体混合物は、光学的に活性的なキャリヤー材料(CHIRALPAK ADR)上でのクロマトグラフィー処理により、その純粋な異性体に分離され得る。一般式Iのラセミ体化合物における遊離ヒドロキシ基を、光学的活性の酸によりエステル化し、そして分別結晶化又はクロマトグラフィーにより得られるジアステレオマーエステルを分離し、そして光学的に純粋な異性体を形成するために個々の場合、前記分離されたエステルを鹸化することが可能である。光学的活性酸として、例えばマンデリン酸、樟脳スルホン酸又は酒石酸が使用され得る。
【0010】
本発明によれば、
R1及びR2は、同じであっても又は異なっていても良く、そしてメチル基又はエチル基を表すか、又は鎖のC原子と共に、シクロプロピル環又はシクロブチル環を表し;
R3は、水素原子又はメチル基を表し、
R4は、水素原子又はメチル基を表し、そして
R5〜R8は、水素原子、及び任意には、1又は2つの位置での弗素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表すか、又はR4及びR5は、フェニル環原子2及び3の包含と共に、フラン環、ジヒドロフラン環、1,3−ジオキソール環又は1,3−オキサゾール環を表し、そしてR6, R7及びR8は、水素原子及び任意には、1又は2つの位置における弗素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する一般式Iのそれらの化合物、及びその純粋な鏡像異性体及びラセミ体が好ましい。
【0011】
下記表1及び2に示される基の意味を有する、下記式I:
【化2】

で表される化合物が特に好ましく;この態様についての異性体は無視され得;それはすべての異性体形及びそのラセミ体を含んで成る:
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
前記表は次の通りに読まれ得る:
縦列R4-R8(≠H)においては、水素を意味しない基のみが一本線で表される。他方では、示されない基R4〜R8は水素を意味する。
本発明のもう1つの態様は特に、それらの示される立体化学を考慮する場合、表1及び2に示される式Iの化合物を含んで成る。
特定の態様は、上記表の化合物1〜36の(+)−鏡像異性体に関する。
グルココルチコイド受容体(GR)への物質の結合は、組換え的に生成された受容体の助けにより試験される。GRをコードする組換えバキュロウィルスにより感染されたSf9細胞のシトソール調製物が、結合研究のために使用される。対照物質[3H]-デキサメタゾンに比較して、前記物質は、GRに対して高い〜非常に高い親和性を示す。
【0015】
さらに、MRをコードするバキュロウィルスにより感染されたSf9細胞から成るシトソール調製物の使用、及び対照物質としての[3H]-アルドステロンの使用による鉱物コルチコイド受容体(MR)-結合試験におけるそれらの化合物は、MRに対する親和性を示す。
グルココルチコイドの抗炎症作用のための必要分子機構として、サイトカイン、付着分子、酵素及び他のプロ炎症因子の転写のGR−介在性阻害が見られ得る。この阻害は、他の転写因子、例えばAP-1及びNF-カッパ-BとGRとの相互作用により生成される(調査については、Gato, A.C. B. and Wada, E., BioEssays 18, 371-378, 1996を参照のこと)。
本発明の一般式Iの化合物は、ヒト単球細胞系THP-1におけるリポ多糖類(LPS)により誘発されるサイトカインIL-8の分泌を阻害する。サイトカインの濃度は、市販のELISAキットの使用により上清液において決定された。
【0016】
式Iの化合物は、トランスアクチベーション構造に対する応答よりも、GR(低い力)を通してより強くトランスリプレッション構造に対して応答するそれらの能力により区別される。これは、ヒトHeLa細胞におけるレポーター遺伝子試験の助けにより、トランスアクチベーション及びトランスリプレッションの決定を通して測定された。MMTVプロモーター(トランスアクチベーション)及びIL−6プロモーター(トランスリプレッション)は個々の場合、ルシフェラーゼをコードする遺伝子の上流に存在した。ルシフェラーゼの酵素活性の測光決定により、GRによる転写(MMTV−プロモーター−構造体)の活性化又は転写(IL-6−プロモーター−構造体)の阻害を測定することが可能であった。
【0017】
一般式Iの化合物の抗炎症作用は、ラット及びマウスにおけるハズ油誘発された炎症における試験により動物実験において試験された(J. Exp. Med. (1995), 182, 99-108)。これに関しては、エタノール中、ハズ油溶液が動物の耳に局部投与された。試験物質はまた、ハズ油と同時に又はその2時間前、局部又は全身投与された。16〜24時間後、耳の重量が、炎症性水腫の基準として測定され、ペルオキシダーゼ活性が顆粒球の侵入の基準として測定された。この試験においては、一般式Iの化合物は、局部投与の後、及び全身性投与の後、3種の上記炎症パラメーターを阻害する。
【0018】
グルココルチコイド療法の最も頻繁な所望しない効果の1つは、いわゆる“ステロイド糖尿病”である[Hatz, H.J., Glucocorticoide: Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien (Glucocorticoids: Immunological Bases, Pharmacology and Therapy Guidelines), Wissenschaftbiche Verlesellschaft mbH, stuttgart, 1998を参照のこと]。これに関する理由は、この効果を担当する酵素の誘発による、及びタンパク質の分解(グルココルチコイドの異化作用)から進行する遊離アミノ酸による肝臓における糖新生の刺激である。
【0019】
肝臓における異化代謝のキー酵素は、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)である。この酵素の活性は、肝臓均質物から光度測定的に決定され得、そしてグルココルチコイドの所望しない代謝作用の良好な基準を表す。TAT誘発を測定するために、動物が、試験物質の投与の8時間後に殺され、肝臓が除去され、そして前記均質物におけるTAT活性が測定される。この試験においては、それらが抗炎症作用を有する用量で、一般式Iの化合物はほとんどか又はまったくチロシンアミノトランスフェラーゼを誘発しなか、又はそれをわずかな程度のみ誘発する。
【0020】
要約すると、これまで使用されて来たステロイドグルココルチコイドに比較しての一般式Iの新規化合物は、次の利点を有する:
−非ステロイド構造(すなわち、前記物質はまた、従来のグルココルチコイドのステロイド基本構造に対するアレルギー反応のために、治療のための物質をもはや接近できない患者において効果的である)(Lutz, M.E., Azhary R.A., Mayo Clin. Proc. 72, 1141-1144, 1997を参照のこと)。
【0021】
−ほとんどの代謝作用を伴わないでの類似する良好な抗炎症作用。
−従来技術に関して少なくとも同等に良好な作用を伴ってのより良好な分離。
それらの抗炎症性及び追加の抗アレルギー性、免疫制御性及び抗増殖作用のために、本発明の一般式Iの化合物は、哺乳類及びヒトにおける次の病理学的状態の処理又は予防のための薬剤として使用され得る:この場合、用語“DISEASE”とは、次の指標を表す:
【0022】
(i)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する肺疾患
−いずれかの起源、主に気管支ぜん息の慢性閉鎖性肺疾患;
−異なった起源の気管支炎;
−すべての形の制限性肺疾患、主にアレルギー性肺胞炎;
−すべての形の肺水腫、主に毒性肺水腫;
−サイコイドーシス及び肉芽腫症、特にBoeck’s病;
【0023】
(ii)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生するリウマチ性疾患/自己免疫疾患/変形性関節疾患
−すべての形のリウマチ性疾患、特にリウマチ様関節炎、急性リウマチ性発熱、リウマチ性多発性筋痛;
−反応性関節炎;
−他の起源の炎症性柔組織疾患;
−変形性関節疾患(関節症)における関節炎徴候;
−外傷性関節炎;
−他の起源のコラーゲン疾患、例えば全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スティル症候群、フェルティ症候群;
【0024】
(iii)炎症及び/又は増殖性過程と同時発生するアレルギー
−すべての形のアレルギー性反応、例えばQuincke’s水腫、枯草熱、昆虫咬傷、医薬剤、血液誘導体、対比培地、等に対するアレルギー反応、過敏性ショック、蕁麻疹、接触性皮膚炎;
(iv)血管炎症(脈管炎)
−汎動脈炎性結節、側頭動脈炎、結節性紅斑;
【0025】
(v)炎症、アレルギー及び/又は増殖性過程と同時発生する皮膚疾患
−アトピー性皮膚炎(主に子供において);
−乾癬;
−毛孔性紅色ひこう疹;
−病毒、例えば放射線、化学物質、熱傷、等により誘発される紅斑性疾患;
−水疱性皮膚症;
−苔癬様グループの疾病;
−かゆみ(例えば、アレルギー性起源の);
−脂漏性湿疹;
−しゅさ;
−尋常性天疱瘡;
−滲出性多形性紅斑;
−亀頭炎;
−外陰炎;
−脱毛、例えば円形脱毛症;
−皮膚性T−細胞リンパ腫;
【0026】
(vi)炎症、アレルギー及び/又は増殖性過程と同時発生する腎症:
−ネフローゼ症候群;
−すべての腎炎;
(vii)炎症、アレルギー及び/又は増殖性過程と同時発生する肝臓疾患
−急性肝臓細胞分解;
−異なった起源、例えばウィルス−、毒性−又は医薬剤−誘発された急性肝炎;
−慢性攻撃性及び/又は慢性的断続的肝炎;
【0027】
(viii)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する胃腫疾患
−限局性腸炎(クローン病);
−潰瘍性大腸炎;
−胃炎;
−逆流性食道炎;
−他の起源、例えば生来のスプルーの胃腸炎;
【0028】
(ix)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する直腸疾患
−肛門湿疹;
−裂;
−痔;
−特発性直腸炎;
【0029】
(x)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する限疾患
−アレルギー性角膜炎、ブドウ膜炎、紅彩炎;
−結膜炎;
−眼瞼炎;
−視神経炎;
−脈絡膜炎;
−交感性眼炎;
【0030】
(xi)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する耳鼻咽喉領域の疾病
−アレルギー性鼻炎、枯草熱;
−例えば接触性皮膚炎、感染、等により引き起こされる出血性外耳炎;
−中耳炎;
(xii)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する神経疾患
−大脳水腫、主に腫瘍誘発性大脳水腫;
−多発性硬化症;
−急性脳脊髄炎;
−髄膜炎;
−異なった形の痙攣、例えば点頭痙攣;
【0031】
(xiii)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する血液疾患
−後天性溶血性貧血;
−特発性血小板減少症;
(xiv)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する腫瘍疾患
−急性リンパ性白血病;
−悪性リンパ腫;
−リンパ肉芽腫症;
−リンパ肉腫;
−主に乳癌、気管支癌及び前立腺癌における集中的転移;
【0032】
(xv)炎症、アレルギー及び/又は増殖過程と同時発生する内分泌疾患
−内分泌眼窩症;
−甲状腺クリーゼ;
−ド・ケルヴァン甲状腺炎;
−橋本甲状腺炎;
−甲状腺機能亢進症;
【0033】
(xvi)気管及び組織移植片、対宿主性移植片病
(xvii)重度のショック状態、例えば過敏症ショック、全身性炎症応答症候群(SIRS)
(xvii)下記による置換療法
−先天性一次腎上不全、例えば先天性副腎性器症候群;
−後天性一次腎上不全、例えばアジソン病、自己免疫副腎炎、後感染性腫瘍、転移、等;
−先天性二次腎上不全、例えば先天性化垂体低下症;
−後天性二次腎上不全、例えば後感染性腫瘍、等;
【0034】
(xix)炎症、アレルギー及び/又は増殖性過程と同時発生する嘔吐
−例えば、細胞増殖抑制剤誘発性嘔吐における5−HT3−アンタゴニストと組合して;
(xx)炎症起源の痛み(腰痛)
【0035】
本発明の一般式Iの化合物はまた、合成グルココルチコイドが現在使用される、上記で言及されていない追加の病理学的状態の治療及び予防のために使用され得る(これに関しては、Hatz, H. J., Glucocorticoide: Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien, Wissenschafthiche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart, 1998を参照のこと)。
【0036】
すべてのこれまで言及された表示(i)〜(xx)は、Hatz, H. J., Glucocorticoid: Immunologische Grundlagen, Pharmakologie und Therapierichtlinien, Wissenschaftliche Verlagesgesellschaft mbH, Stuttgart, 1998に詳細に記載されている。
上記に言及される病理学的状態における治療作用に関しては、適切な用量は異なっており、そしてそれは、例えば一般式Iの化合物の活性強度、宿主、投与の型、及び処理される病状の型及び重症度、並びに予防剤又は治療材の使用に依存する。
【0037】
さらに、本発明は、
(i)疾病を処理するための薬剤の製造のためへの本発明の式Iの化合物又はその混合物の使用;
(ii)そのような薬剤を必要とする患者に、疾病を抑制する量、本発明の化合物を投与することを含んで成る、疾病の処理方法;
(iii)本発明の化合物の1つ又はその混合物、及び少なくとも1つの医薬的アジュバント及び/又はビークルを含んで成る、疾病の処理のための医薬組成物を提供する。
【0038】
一般的に、満足の行く結果が、毎日の用量がkg体重当たり1μg〜100,000μgの本発明の化合物を含んで成る場合、動物において予測される。より大きな哺乳類、例えばヒトにおいては、推薦される毎日の用量は、kg体重当たり1μg〜100,000μgの範囲である。10〜30,000μg/kgの用量が好ましく、10〜10,000μg/kg の用量がより好ましい。例えば、この用量は適切には、1日数回、投与される。急性ショック(例えば、過敏性ショック)の処理に関しては、個々の用量は、相当に上記用量の以上であり得る。
【0039】
新規化合物に基づいての医薬製剤の配合は、生薬に通常使用され、そして所望する投与形に転換される、ビークル、充填剤、分解に影響を及ぼす物質、結合剤、保湿剤、滑剤、吸着剤、希釈剤、風味修正剤、染色剤、等と共に活性剤を加工することによって、当業者に知られている手段により行われる。この場合、Remington’s Pharmaceutical Science, 15th Ed. Mack Publishing Company, East Pennsylvania (1980) を参照のこと。
経口投与に関しては、特に錠剤、被覆された錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、ロゼンジ、懸濁液、エマルジョン又は溶液が適切である。
【0040】
非経口投与に関しては、注射及び注入剤が可能である。
関節内注射に関しては、相応じて調製された結晶性懸濁液が使用され得る。
筋肉内注射に関しては、水性及び油性注射溶液又は懸濁液、及び対応するデポット(depot)製剤が使用され得る。
直腸投与に関しては、新規化合物は、坐剤、カプセル、溶液(例えば、浣腸の形での)、及び軟膏の形で、全身性及び局部治療のために使用され得る。
新規化合物の肺投与に関しては、その化合物は、エアロゾル及び吸入剤の形で使用され得る。
【0041】
眼、外耳道、中耳、鼻腔及び副鼻腔への局部投与に関しては、新規化合物は、応答する医薬製剤において、ドロップ、軟膏及びチンキとして使用され得る。
局部投与に関しては、ゲル、軟膏、脂肪性軟膏、クリーム、ペースト、粉末、乳液、及びチンキにおける配合が可能である。一般式Iの化合物の用量は、適切な薬理学的作用を達成するためにそれらの製剤において0.01%〜20%であるべきである。
本発明はまた、治療用活性成分として、本発明の一般式Iの化合物を含んで成る。さらに、本発明の一般式Iの化合物は、医薬的に適合でき且つ許容できるアジュバント及びビークルと共に、治療用活性成分としての本発明の一部である。本発明はまた、本発明の医薬的活性化合物の1つ又はその混合物、及び医薬的に適合できる塩又は医薬的に適合できるアジュバント及びビークルを含む医薬組成物を含んで成る。
【0042】
本発明の化合物の生成方法:
一般式Iの化合物の生成についてのWO98/54159号(51488号)、WO00/32584号(51642号)及びWO02/10143号から知られている方法がまた、本発明のこの特許出願の化合物の生成のためにも使用され得る。合成に関しては、WO98/54159号, WO00/32584号 及び WO02/10143号に記載される生成方法のために必要であるニトリル(VII)は、次の方法により得られる。
【0043】
【化3】

【0044】
一般式II(基R4〜R8は、式Iにおいて定義される意味を有する)のカルボン酸は、対応するアルキルハロゲン化物又は対応するアルコールにより、塩基性又は酸性条件下で、当業者に知られている方法に従って、R9を有するその対応するエステルに転換される。得られるカルボン酸エステル(III )は、複合水素化物試薬、例えば水素化リチウムアルミニウムと反応せしめられ、式IVの化合物が得られる。一般式IVのアルコールは、無機混合された酸無水物、例えばSOCl2、PCl3、又はPBr3と反応せしめられ、式Vの化合物が得られる。一般式Vのハロゲン化ベンジルは、無機シアン化合物と反応せしめられ、式VIの化合物が得られる。一般式VIのベンジルシアン化合物と、強塩基、例えば水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム又はリチウムジイソプロピルアミン及び対応するハロゲン化アルキルとの反応により、一般式VII の化合物が得られる。流れ図Iにおける化合物II−VII の基R1, R2, R4-R8は、式Iに示される意味を有する。
【0045】
さらに、式VIのニトリルは、次の工程に従って得られる。
【化4】

【0046】
一般式VIIIのフェニルは、無水酢酸と反応せしめられ、その反応するアセテートIXが形成され、そしてそれらは、ルイス酸、例えば三塩化アルミニウムと反応せしめられ、一般式Xの化合物が形成される。一般式Xの化合物は、塩基、例えば炭酸カリウム及びハロゲン化アルキルと反応せしめられ、一般式XIの化合物が形成される。次に、一般式XIの化合物は、Willgerodt 及び Kindler (Brown E. V., Synthesis 1975, S. 358- 375)の方法に従って反応せしめられ、一般式XIIのフェニル酢酸誘導体が形成される。無機、混合された酸無水物、例えばSOCl2、PCl3又はPBr3との反応及びアンモニアとの続く反応により、一般式XIII の化合物が、式XIIの化合物から出発して得られる。次に一般式XIII の化合物は、強力な脱水試薬、例えばPOCl3又はP2O5との反応により、一般式VIのニトリルに転換され得る。流れ図における化合物VI−XIII の基R4-R8は、式Iに示される意味を有する。
【0047】
WO98/54159号, WO00/32584号 及び/又は WO02/10143号に記載される生成方法のために必要である第三アルコール(VIII )の合成は、次の工程に従って得られる:
【0048】
【化5】

【0049】
市販されているか、又は流れ図2に従って得られる一般式XIのアセトフェノン誘導体は、メチルアルキル化合物、例えば塩化メチルマグネシウム又は臭化メチルマグネシウムとの反応により、一般式XIVの化合物を形成するために反応せしめられる。
他方では、市販されているか、又は当業者に知られている合成方法から出発して得られる、R9を有する一般式XVの安息香酸誘導体は、塩基性又は酸性条件下で、対応するハロゲン化アルキル又は反応するアルコールにより、その反応するエステルに転換され得る。この場合、R9は、C1-C5のアルキル鎖を表す。得られるカルボン酸エステルXVIは、複合水素化物試薬、例えば水素化リチウムアルミニウムと反応せしめられ、式XIVの化合物が得られる。
【0050】
メチルベンゾキサジン部分の鎖及び結合の創造は、WO98/54159、WO00/32584号 及び WO02/10143号に記載されている。
下記例は、本発明のより詳細な説明のために使用されるが、本発明を制限するものではない。実験部分の範囲内に開示されない重要な前駆体の合成及び中間段階は、すでに従来の技術であり、そしてWO98/54159、WO00/32584号 及び WO02/10143(51877)号からの例において推定され得る。
【0051】
命名法
【化6】

【0052】
(+/−)−6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK238526)。
【実施例】
【0053】
例1:(+/−)−6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK238526)
【化7】

【0054】
前駆体
1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−1−メチルエタノール:
25.5gの4−アセチルベンゾ[1,3]ジオキソールを、375mlのTHF中、57.2mlの塩化メチルマグネシウム溶液(THF中、3M)と共に、アルゴン下で室温で混合する。それを室温で16時間、攪拌し、そして氷/2Hの塩酸に添加する。それを酢酸エチルにより抽出し、そして有機相を水及びブラインにより洗浄し、そしてそれを乾燥する(硫酸ナトリウム)。27.89gの1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−1−メチルエタノールを、褐色油状物として得る。
1H-NMR (CDCl3), δ(ppm) = 1.6 (s, 6H), 5.95 (s, 2H), 6.76 (dd, 1H), 6.82 (t, 1H), 6.91 (dd, 1H)。
【0055】
4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−ペンタン酸:
9.5gの1−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−1−メチルエタノール及び14.2gの2−トリメチルシリルオキシ−アクリル酸エチルエステルを、−70℃で200mlのジクロロメタンにおいて、47mlの塩化錫(IV)と共に混合する。15分後、その溶液を、炭酸カリウム溶液に添加する。ジエチルエーテルによる抽出の後、水により洗浄し、乾燥し、そして蒸発により濃縮する。
【0056】
14.4gのこのようにして得られた4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−ペンタン酸エチルエステルを、150mlの1Mの水酸化ナトリウム及び300mlのメタノールと共に室温で10時間、攪拌する。次に、メタノールを真空下で除去し、そして残りの溶液をジエチルエーテルにより抽出する。水性相を1Mの塩酸により酸性にし、そしてジエチルエーテルにより抽出する。乾燥及び蒸発による濃縮の後、11.1gの4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−ペンタン酸を、黄色がかった油状物として得る。
MS(ei)m/e:M+=251
【0057】
6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
10gの4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−ペンタン酸を、125mlのジメチルアセトアミドに溶解し、そして3.5mlの塩化チオニルと共にアルゴン下で−0℃で混合する。−3〜+30℃での20分間の攪拌の後、7.6gの6−アミノ−4−エチル−2,3−ベンゾキサジン−オン(WO00/32584号(51642号))を添加する。
【0058】
それを室温で96時間、攪拌し、次に水と共に混合し、酢酸エチルにより抽出し、有機相を水により洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして溶媒の蒸発により濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチル(100:0→60:40)を用いてのシリカゲル上での粗生成物のクロマトグラフィー処理の後、6.56gの6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、ベージュ色の固形物として得る。
融点=165−166℃、MS(ei)m/e:M+=409
【0059】
(+/−)−6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
2.67gの6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、35mlのジメチルホルムアミドにアルゴン下で溶解し、そして4.66mlのトリフルオロメチル−トリメチルシラン及び2.6gの炭酸セシウムと共に、氷により冷却しながら混合する。室温での18時間の攪拌の後、ヘラ先端の十分な弗化テトラブチルアンモニウムを添加し、そしてそれを、室温で1時間、攪拌する。300mlの水を添加した後、それを酢酸エチルにより抽出し、有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。粗生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィー処理する。ヘキサン/酢酸エチル(80:20)により、1.33gの標記化合物を、純粋な状態で得る。
融点:215−218℃
【0060】
例2:(+)−6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK238587)
(+/−)−6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンの分離:
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(95:5、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、融点:218−220℃、[α]D=+98.9°(c=0.55、CHCl3)を有する(+)−鏡像異性体を得る。
【0061】
例3:(Davies経路)(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロ−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK247700)
【化8】

【0062】
前駆体
(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−カルボニトリル:
500mlのメタノール及び50mlのジオキサン中、24.8gの2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒドを、硼水素化ナトリウムと共に0℃で少しづつ混合する。室温での3時間の攪拌の後、それを真空下で濃縮し、そして1Nの塩酸/氷水に添加する。それを、酢酸エチルにより抽出し、ブラインにより洗浄し、そして有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。0℃で25mlのジクロロメタンにおいて、26.3mlの塩化チオニルと共に混合することにより、23.6gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−メタノールを得る。それを2時間、攪拌し、そして氷水に添加する。それを酢酸エチルにより抽出し、ブラインにより洗浄し、そして有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。
【0063】
24.3gの2,3−メチレンジオキシベンジル塩化物を、赤色の油状物として得る。150mlのエタノール及び45mlの水中、前記油状物20gを、14.3gのシアン化ナトリウムと共に混合し、そして90℃で2時間、攪拌する。それを水により希釈し、酢酸エチルにより抽出し、2Nの塩酸及びブラインにより洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。100mlのジメチルホルムアミド中、前記油状物9.7g及び5.3mlの1,2−ジブロモメタンを0℃で、4.9gの水素化ナトリウム(油中、60%)と共に混合し、そして室温で12時間、攪拌する。それを水に添加し、エーテルにより抽出し、そして有機相を、水により5度、洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。8.24gの標記化合物を得る。
1N-NMR (CDCl3), δ (ppm) = 1.50-1.58 (m, 2H), 1.59-1.67 (m, 2H), 6.0 (s, 2H), 6.756.92 (m, 3H)。
【0064】
3−(ベンゾ[2,3]ジオキソール−4−イル)シクロプロピル−アクリル酸エチルエステル:
66mlのトリエン中、8.2gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−カルボニトリルの溶液を、1.2Mの水素化ジイソブチルアルミニウム−トルエン溶液45mlのと共に−70℃で混合する。−70℃での4時間後、それを33mlの酢酸エチルと共に混合し、そして室温で一晩、攪拌する。有機相を分離し、そしてブラインにより洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。6.1gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−カルバルデヒドを得る。
【0065】
後者を、45mlのTHF中、8.92gのホスホノ酢酸トリエチルエステル及び17.3mlのリチウムジイソプロピルアミン(ヘプタン/エチルベンゼン/THF中、2M)の、−78℃で調製され、そして0℃に調節された溶液に添加し、そしてそれを、室温で12時間、攪拌する。そのバッチを、飽和NH4Clと共に混合し、そして酢酸エチル及び水により希釈する。相を分離し、水性相を酢酸エチルにより抽出し、そして組合された有機抽出物をブラインにより洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。9.3gの3−(ベンゾ[2,3]ジオキソール−4−イル)シクロプロピル−アクリル酸エチルエステルを、ベージュ色の固形物として得る。
1N-NMR (CDCl3), δ (ppm) = 1.26 (t, 3H), 1.19-1.39 (m, 4H), 4.15 (q, 2H), 5.4 (d, 1H), 5.96 (s, 2H), 6.6 (d, 1 H), 6.7-6.85 (m, 3H)。
【0066】
3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステル:
9.2gの3−(ベンゾ[2,3]ジオキソール−4−イル)シクロプロピル−アクリル酸エチルエステルを、0.9の10%パラジウム/活性化された炭素触媒の存在下で、150mlのエタノールにおいて、水素雰囲気(1 atm)下で15時間、攪拌する。そのバッチを、セライト上で濾過し、そして蒸発により濃縮する。7.1gの3−(ベンゾ[2,3]ジオキソール−4−イル)シクロプロピル−プロピオン酸エチルエステルを得る。その5.9gを、78mlのTHFに溶解し、そして62.9mlのカリウムヘキサメチルジシラジド−トルエン溶液(0.2M)により−78℃で処理する。30分後、78mlのTHF中、8.2gの3−フェニル−2−フェニルスルホニルオキサジリジン(F.A. Davis, S. Chattopadhyay, J.C. Towson, S. Lal, T. Reddy J. Org. Chem. 1988, 53, 2087)を、それに滴下し、そして−78℃で1時間、攪拌する。
【0067】
そのバッチを、飽和NH4Clと共に混合し、そして1時間以内に、室温に加熱する。THFを真空下で除去し、残渣をエーテルに取り、固形物を濾過し、相を分離し、そして水性相をエーテルにより抽出する。組合された有機抽出物を、ブラインにより洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。ヘキサン/酢酸エチル(100:0→80:20)によるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー処理により、4.85gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステルを得る。
1H-NMR (CDCl3), δ (ppm) = 0.79-0.91 (m, 4H), 1.23 (t, 3H), 1.82 (dd, 1H), 2.21 (dd, 1H), 3.97-4.18 (m, 3H), 5.99 (s, 2H), 6.70 (dd, 1H), 6.76 (t, 1H), 6.82 (dd, 1H)。
【0068】
3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオン酸:
13.9gの1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾジオキソール−3(1H)−オン(Dess-Martin-Periodinan, vgl. D.B. Dess, J.C. Martin, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 7277)を、205mlのジクロロメタン中、4.55gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシプロピオン酸エチルエステルの溶液に添加する。室温での6時間後、そのバッチを、チオ硫酸ナトリウムの飽和溶液に添加し、そしてエーテルにより抽出する。それを水、飽和炭酸水素溶液及びブラインにより洗浄し、そして蒸発により濃縮する。残渣を、ヘキサン−酢酸エチル(100:0→80:20)によるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー処理により精製する。
【0069】
2.52gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオン酸エチルエステルを得る。後者を、エタノール/水(2:1)中、1Nの水酸化ナトリウム溶液84mlにおいて、室温で12時間、攪拌する。そのバッチを真空下で濃縮し、そして残りの溶液をジエチルエーテルにより抽出する。水性相を、1Mの塩酸により酸性にし、そしてジエチルエーテルにより抽出する。乾燥及び蒸発による濃縮の後、2.2gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオン酸を、黄色がかった油状物として得る。
1N-NMR (CDCl3),δ (ppm) = 0.9-0.95 (m, 2H), 0.98-1.06 (m, 2H), 3.21 (s, 2H), 5.92 (s, 2H), 6.63-6.79 (m, 3H)。
【0070】
6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
855mgの標記化合物を、6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−オキソ−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−オン(Beispiel 1, Vorstufen)について記載される方法に類似して、2.2gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオン酸及び1.78gの6−アミノ−4−エチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンから、無色の固形物として得る。
融点:185−186℃、MS(ei)m/e:M+=406
【0071】
(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
170mgの標記化合物を、6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(Beispiel 1)について記載される方法に類似して、840mgの6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−オキソプロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンから、無色の固形物として得る。
MS(ei)m/e:M+=477
【0072】
例4:(+)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK247811)
(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンの分離:
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(95:5、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、融点:218−219℃、[α]D=+82°(c=0.70、CHCl3)を有する(+)−鏡像異性体を得る。
【0073】
例5:(Phosphonatverfahren)(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK247843)
【化9】

【0074】
前駆体
(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−カルボニトリル:
(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロプロピル−カルボニトリルについての記載される方法に類似して、及び(Beispiel 2, Vorstufen)、10gの(ベンゾ[2,3]ジオキソール−4−イル)−アセトニトリル及び8.2mlの1,3−ジブロモプロパンから出発して、4,8gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−カルボニトリルを、淡黄色の油状物として得る。
1H-NMR (CDCl3), δ(ppm) = 2.0-2.21 (m, 1H), 2.36-2.52 (m, 1H), 2.76 (d, 2H), 2.78 (d, 2H), 6.01 (s, 2H), 6.75-6.89 (m, 3H)。
【0075】
3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−オキソプロピオン酸:
45mlのトルエンに溶解された、4.8gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−カルボニトリルを、トルエン中、1.2Mのジイソブチルアルミニウム水素化物溶液20.2mlと共に−70℃でゆっくりと混合する。−78℃での4時間後、15mlの酢酸エチルを滴下する。それを室温に加熱し、水/酢酸エチルに添加し、そして珪藻土を通して濾過する。水性相を酢酸エチルにより抽出し、そして組合された有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。ヘキサン−酢酸エチル(80:20)によるシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理の後、3.05gの(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−カルバルデヒドを得る。
【0076】
後者を、25mlの水中、3.9gの2−ジエチルホスホノ−2−エトキシ酢酸エチルエステル及び7.9mlのリチウムジイソプロピルアミン(ヘキサン/エチルベンゼン/THF中、2M)の、−78℃で調製され、そして0℃に調節された溶液に添加する。その反応混合物を、水に添加し、酢酸エチルにより抽出し、ブラインにより洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発により濃縮する。粗生成物を、エタノール/水(2:1)中、1Nの水酸化ナトリウム溶液137mlにおいて室温で12時間、攪拌する。そのバッチを真空下で濃縮し、そして残る溶液をジエチルエーテルにより抽出する。
【0077】
水性相を、1Mの塩酸により酸性にし、そしてジエチルエーテルにより抽出する。55mlの2Nの硫酸及び10mlの氷酢酸により、激しく攪拌しながら、数時間、還流された酸2.95gを得る。酢酸エチルによる抽出及び水による洗浄の後、1.66gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−オキソプロピオン酸を、黄色がかった油状物として得る。
1H-NMR (CDCl3), δ(ppm) = 1.82-1.99 (m, 2H), 2.22-2.35 (m, 2H), 2.46-2.59 (m, 2H), 3.54 (s, 2H), 5.9 (s, 2H), 6.68-6.74 (m, 2H), 6.79 (t, 1H)。
【0078】
6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−オキソプロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−4−メチル−2−オキソ−バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(Beispiel 1, Vorstufen)についての記載される方法に類似して、1.6gの3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−オキソプロピオン酸及び1.2gの6−アミノ−4−エチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンから、標記化合物を無職の固形物として得る。
融点:180−183℃、1N-NMR (CDCl3), δ (ppm) = 1.88-2.01 (m, 1H), 2.08-2.21 (m, 1H), 2.27-2.39 (m, 2H), 2.5-2.62 (m, 2H), 2.58 (s, 3H), 3.67 (s, 2H), 5.92 (s, 2H), 6.636.69 (m, 1H), 6.7-6.76 (m, 2H), 7.71 (dd, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.34 (d, 1H, 8.92 (s, 1H)。
【0079】
(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
402mgの標記化合物を、6−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチル−バレロイル−アミノ]−4−2,3−ベンゾキサジン−オン(Beispiel 1)についての記載される方法に類似して、550mgの6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−オキソプロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンから無色の固形物として得る。
融点:170−171℃、MS(ei)m/e:M+=492
【0080】
例6:(+)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK248249)
(+/−)−6−[3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イル)−シクロブチル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピオニル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンの分離:
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(93:7、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、融点:115−117℃、[α]D=+74.3°(c=0.7、CHCl3)を有する(+)−鏡像異性体を得る。
【0081】
例7:(Methyletherspaltung):(+)−6−[4−(5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK216771)
【化10】

【0082】
前駆体
(+/−)−6−[4−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK 207820):
(+/−)−6−[4−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、例1からの類似する教示に従って調製する。融点:175−176℃。
【0083】
(+)−6−[4−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK216755):
(+/−)−6−[4−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンの分離:
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(95:5、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、融点:198−199℃、[α]D=+119.0°(c=0.17、THF)を有する(+)−鏡像異性体を得る。
【0084】
例7:(+)−6−[4−(5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK216771)
2.5mlのジクロロメタン中、43.2mgの(+)−6−[4−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン、及びジクロロメタン中、1Mの三臭化硼素0.4mlを、0℃で1.5時間、攪拌し、そして酢酸エチル及び炭酸水素ナトリウム溶液と共に混合する。有機相を、水により洗浄し、乾燥し、蒸発により濃縮し、そして残渣を、シリカゲル上でクロマトグラフィー処理する(ヘキサン/酢酸エチル、1.5+1)。ジイソプロピルエーテルからの結晶化の後、34mgの(+)−6−[4−(5−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを得る。
MS, 融点:237−239、[α]D:99.6°(c=0.5、クロロホルム)
【0085】
例8:(Dehydrierung):(+)−4−エチル−6−[4−(7−ベンゾフラニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチルバレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK243149)
【化11】

【0086】
前駆体
(+/−)−4−エチル−6−[4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイル−アミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK218044):
(±)−4−エチル−6−[4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、例1からの類似する教授に従って調製する。融点:198℃。
【0087】
(+/−)−4−エチル−6−[4−(7−ベンゾフラニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチルバレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK237548):
90mlのジオキサン中、930mgの(±)−4−エチル−6−[4−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチルバレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オン及び680mgの2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンを、水と共に混合し、そして吸引する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理(ヘキサン/酢酸エチル、1.5+1)の後、810mgの(±)−4−エチル−6−[4−(7−ベンゾフラニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを得る。融点:212℃
【0088】
例8:(+)−4−エチル−6−[4−(7−ベンゾフラニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK243149)
(+/−)−4−エチル−6−[4−(7−ベンゾフラニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチルバレロイルアミノ]−2,3−ベンゾキサジン−1−オンの分離。
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(95:5、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、融点:219℃、[α]D=+25.1°(c=0.5、CHCl3)を有する(+)−鏡像異性体を得る。
【0089】
例9:(ベンゾキサゾール):(+)−6−[4−(5−フルオロベンゾキサゾール−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−トリフルオロメチルバレロイルアミノ]−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK214416)
【化12】

【0090】
前駆体
(−)−6−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
90mlの酢酸エチル及び40mlのトリフルオロ酢酸中、1.6gの(+/−)−6−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(1. Glucopatent, 51642)中、3.5mlの硝酸と共に−10℃で混合、−10℃で0.5時間、及び0℃で5時間、攪拌し、炭酸水素ナトリウム溶液に添加し、そしてジクロロメタンにより抽出する。
【0091】
ジクロロメタン相を乾燥し、そして蒸発により濃縮する。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル、1.5+1)上で精製する。ジイソプロピルエーテルからの結晶化の後、570mgの(+/−)−6−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを得る。融点:198−199℃。
【0092】
鏡像異性体の分離
(−)−6−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
鏡像異性体混合物を、ヘキサン/エタノール(85:15、wv)によるキラルキャリヤー材料(CHIRALPAK AD(商標), DAICEL Company)上でのクロマトグラフィー処理により分離する。従って、 [α]D=−37.8°(c=0.5、THF)を有する(−)−鏡像異性体を得る。
【0093】
(+)−6−[4−(5−フルオロベンゾキサゾール−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
5mlのテトラヒドロフラン及び1mlの酢酸中、103mgの(−)−6−[4−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイル−アミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、300mgの鉄と共に2.5時間、攪拌し、0.5mlのオルト−蟻酸トリエチルエステル及び酢酸エチルと共に混合し、吸引し、そして室温での4時間の静置の後、蒸発により濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、そして0.05mlのオルト蟻酸と供に混合する。室温で20時間後、72mgの(+)−6−[4−(5−フルオロベンゾキサゾール−7−イル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−(トリフルオロメチル)バレロイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを吸引する。MS, 融点:276−277℃、[α]D=+53.0℃c=0.25、THF)を有する(+)−鏡像異性体。
【0094】
例10:(求核性芳香族置換):(+)−6−[3−(2−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロ−プロピオニルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン(ZK259512)
【化13】

【0095】
前駆体
(2−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)−シクロプロピル−カルボニトリル:
5g(34.7mモル)の2,6−ジフルオロアニソール及び2.62g(40mモル)のシクロプロピルニトリルを、100mlのトルエンに添加する。室温で、トルエン中、KHMDSの0.5M溶液77mlを滴下する。その反応混合物をわずかに加熱する。室温での一晩の攪拌の後、水及び酢酸エチルを添加する。それを10%硫酸と共に振盪し、そして有機相を分離する。酢酸エチルと共に水性相を反復して振盪した後、組み合わされた有機抽出物をブラインにより洗浄する。硫酸ナトリウム上での乾燥の後、それを濾過し、そして溶媒を回転除去する。シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理(移動溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)の後、2.53g(38.2%)の所望する化合物を得る。
MS(CI)m/e (相対的強度):209(M++18, 100)
【0096】
(+)−6−[4−(2−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロパノイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オン:
(+)−6−[4−(2−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロパノイルアミノ]−4−メチル−2,3−ベンゾキサジン−1−オンを、例3に記載される方法に従って、(2−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)シクロプロピル−カルボニトリルから出発して得る。
MS(FAB)m/e (相対的強度):481(M++1, 45)
【0097】
表3及び4の次の物質が、上記方法に従って調製された:
【化14】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
*(方法):Msの質量分析法であり、EI=電子衝撃、esi=電子スプレーイオン化、FAB=高速原子衝撃、m/e (相対的強度)。
**(方法):20℃での回転の比角度;回転の比角度が示されない場合、回転の方法がHPLCにおける旋光検出により測定された。
【0101】
例11
火とGRを発現するSf9細胞のシトソール調製物の使用、及び対照物質としての10nMの[3H]−デキサメタゾンの使用によるグルココルチコイド受容体−(GR)−結合試験(Lefebvreなど., J. Steroid Biochem., 33, 557-563, 1989を参照のこと)においては、式Iの化合物は、GRに対して非常に高い親和性を示し(IC50<4nM)(表5を参照のこと)、それにより、ラセミ化合物の結合親和性は純粋な鏡像異性体の結合親和性よりも低い。
【0102】
【表5】

【0103】
例12
炎症障害の有効性を、細胞試験におけるサイトカインIL−8の分泌の阻害により決定する。本発明の一般式Iの化合物は、ヒト単球細胞系THP-1においてリポ多糖(LPS)により誘発される、IL-8の分泌を阻害する。サイトカインの濃度を、市販のELISAキットにより上清液において決定する。これに関しては、式Iの化合物は、阻害において非常に高い有効性及び作用(50%以上)を示す(表6を参照のこと)。ラセミ体の有効性は、純粋な鏡像異性体の有効性よりも相当に低い。
【0104】
【表6】

【0105】
例13
式Iの化合物は好ましくは、GRによるトランスレプレッションを、及びそれよりも弱い程度ではあるが、トランスアクチベーションを誘発することができる。作用の機構の分離を、安定した固定されたヒトHeLa細胞におけるレポーター遺伝子試験の助けにより決定した。GRにより誘発されたトランスアクチベーションを決定するために、ルシフェラーゼ遺伝子の前に決定されるMMTVプロモーターを使用する。ルシフェラーゼ活性の測光決定を通して、試験化合物の結合の後、GRのトランスアクチベーション活性を決定することが可能であった。
【0106】
試験物質を結合した後、GRによるIL−6プロモーター又はコラゲナーゼプロモーター(トランスレプレッション)の制御下でテトラデカノイル−ホルボールアセテート(TPA)により誘発される、ルシフェラーゼ遺伝子の転写の阻害をまた、HeLa細胞におけるルシフェラーゼ活性の測定により決定した。式Iの化合物は、トランスアクチベーション(MMTVプロモーター)よりもトランスレプレッション(IL-6プロモーター)において5倍以上の良好な有効性、及びIL-6活性又はコラゲナーゼ−プロモーター活性の少なくとも60%阻害性を示す。トランスレプレッションにおいては、ラセミ体化合物に比較して、純粋な鏡像異性体は、良好な活性(有効性)を示す。
【0107】
【表7】

【0108】
【表8】

【0109】
【表9】

【0110】
例14
一般式Iの化合物の抗炎症作用を、ラット及びマウスにおけるはず油により誘発された炎症における動物実験において試験した(J. Exp. Med. (1995), 182, 99-108)。これに関しては、エタノール溶液中、はず油を、動物の耳に局部的投与した。試験物質を、はず油の2時間前、全身投与した。16〜24時間後、耳の重量を、炎症性水腫の基準として測定した。このために、式Iの化合物は、標準(プレドニソロン)に相当できる抗炎症性、及び、ある程度、はず油誘発された炎症の強い阻害性を示す(表10を参照のこと)。
【0111】
【表10】

【0112】
例15
ステロイド誘発された異化代謝の副作用についてのパラメーターとして、酵素チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の活性を、分光計により肝臓均質物から決定した。その活性は、グルココルチコイドの所望しない代謝作用の良好な基準を表す。TAT誘発を測定するために、動物(マウス及びラット)を、試験物質の投与後8時間で殺害し、肝臓を取り出し、そして均質物におけるTAT活性を測定する。それらが抗炎症作用を有する用量で、一般式Iの化合物は、ステロイドに比較して、TATを誘発しないか、又は単なる低い程度、誘発する(表11)。
【0113】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I:
【化1】

[式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていても良く、そしてC1-C2−アルキル基、又は鎖のC原子と共に、合計3〜4個の結合を有する環を表し、
R3は、水素原子又はC1-C2−アルキル基を表し、
R4は、水素原子又はC1-C2−アルキル基を表し、
R5〜R8は、お互い同じであっても又は異なっていても良く、そして水素原子又はハロゲン原子を表すか、又はR4及びR5は一緒になって、5−員の複素環式環を表し、これは酸素原子の他に、任意にはもう1つの酸素原子又は窒素原子を含むことができる]
で表される化合物、及びその純粋な鏡像異性体及びラセミ体。
【請求項2】
R1及びR2は、同じであっても又は異なっていても良く、そしてメチル基又はエチル基を表すか、又は鎖のC原子と共に、シクロプロピル環又はシクロブチル環を表し;
R3は、水素原子又はメチル基を表し、
R4は、水素原子又はメチル基を表し、そして
R5〜R8は、水素原子、及び任意には、1又は2つの位置での弗素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表すか、又はR4及びR5は、フェニル環原子2及び3の包含と共に、フラン環、ジヒドロフラン環、1,3−ジオキソール環又は1,3−オキサゾール環を表し、そしてR6, R7及びR8は、水素原子及び任意には、1又は2つの位置における弗素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する請求項1記載の化合物、及びその純粋な鏡像異性体及びラセミ体。
【請求項3】
下記表:
【表1】

【表2】

の通りである一般式Iの化合物、及びその純粋な鏡像異性体及びラセミ体。
【請求項4】
請求項3記載の化合物の(+)−鏡像異性体。
【請求項5】
少なくとも1つの請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物及び医薬的に適合できるビークルを含む医薬製剤。
【請求項6】
医薬剤の製造のためへの請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項7】
炎症、アレルギー及び/又は増殖工程と同時に起こる疾病の処理及び予防のための医薬剤の製造のためへの請求項1,2,3又は4のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項8】
肺疾患;リウマチ性疾患/自己免疫疾患/変形性関節疾患;アレルギー;血管炎症(脈管炎);皮膚疾患;腎症;肝臓疾患;胃腸疾患;直腸疾患;眼疾患;耳鼻咽喉領域の疾病;神経疾患;血液疾患;腫瘍疾患;内分泌疾患;器官及び組織移植片;対宿主性移植片病;重度のショック状態;先天性又は後天性一次腎上不全による置換療法;先天性又は後天性一次腎上不全;嘔吐;炎症起源の痛みの処理及び予防のためへの請求項5記載の医薬製剤の使用。

【公表番号】特表2006−512382(P2006−512382A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562728(P2004−562728)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014081
【国際公開番号】WO2004/058733
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(300049958)シエーリング アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】