説明

音響歪変並び音響脱焦点による立体画像処理

【課題】
広い領域からの情報を使用して、知られた物質内に含まれる散乱物体の音響画像処理情報を迅速に収集させる。
【解決手段】
本発明は平面画像からの情報を利用して散乱構造物の立体音響画像処理を行うシステムに関する。このシステムは特徴的センサアレイ300を使用してセンサアレイ300から対象物体内に信号を放出し、対象物体の平面表示を発生させる。この平面表示は複数のxとyの座標対と少なくとも1つの候補散乱構造物106とを含む。候補散乱構造物106形状は少なくとも1対のxとyの座標に限定される。続いてこの候補散乱構造物106のxとyの座標対は第1座標依存応答関数と比較され、散乱構造物のx、yおよびzの位置を立体空間に振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特徴的な音響衝撃信号の伝統的な焦点領域の外側に存在する物質内に埋め込まれた散乱構造物の立体(三次元)位置情報を取得するシステムに関する。特に、サイドローブの形態のアーチファクト並びに他の歪源をルックアップ表または比較関数を使用して検査することで散乱構造物の立体位置情報、サイズおよび物質組成を調査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面(二次元)画像処理技術は変動性解像度および確率により物質の位置または別物質内の散乱構造物の位置を測定するのに利用できる。標準平面画像処理ではセンサアレイシステムの焦点領域内の物体のみが画像スライス内で十分に明瞭となる。焦点領域の外側の物体はぼやけた状態で歪変したアーチファクトを提供する。よって平面画像処理システムは広範な領域の物体に関して十分な画像処理情報を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら多くの場合に広い領域から明確な画像処理情報を入手することが望ましい。よって広い領域からの情報を使用して、知られた物質内に含まれる散乱物体の音響画像処理情報を迅速に収集させる方法の需要が存在する。
【0004】
[政府権利]
米国政府は全米科学財団により授与された助成番号CTS0421568により本発明に一定の権利を有する。
【0005】
[優先権主張]
本願は非仮出願であり、2006年4月5日出願の米国仮特許願60/789335「音響歪変並び音響脱焦点による立体画像処理」の優先権を主張する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は平面画像からの情報を利用して立体空間での散乱構造物の位置を測定するシステムに関する。このような方法は、対象物体の少なくとも1つの平面画像を発生させるために対象物体内にセンサアレイからの信号を放出する特徴的なセンサアレイを使用して実行される。平面画像は複数のxとyの座標の対と、少なくとも1つの候補散乱構造物とを含む。この候補散乱構造物は少なくとも1対のxとyの座標によって決定される形状である。この候補散乱構造物形状はその少なくとも1対のxとyの座標に実質的に限定されている。その後にこの候補散乱構造物形状のこの少なくとも1対のxとyの座標は第1座標依存応答関数と比較され、散乱構造物のx、yおよびzの位置を立体空間に割り当てる。
【0007】
別特徴においては、このシステムはさらに第2座標依存応答関数を備えている。第1座標応答関数は第1物質を含む第1散乱構造物を表示する特徴を含んでおり、第2座標依存応答関数は第2物質を表示する第2散乱構造物を表示する。
【0008】
さらに別な特徴では、このシステムは候補散乱構造物形状のその少なくとも1対のxとyの座標を座標依存応答関数と比較し、少なくとも1つの座標依存応答関数はさらにその候補散乱構造物の表示をその散乱構造物サイズに関連付ける。
【0009】
別の特徴では、このシステムは候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数とさらに比較する。この座標依存応答関数は候補散乱構造物図のxとyの座標対を立体空間でのx、yおよびzの位置と関連付ける複数の関連性を含んだルックアップ表である。
【0010】
さらに、特徴的なセンサアレイを利用したときはその特徴的なセンサアレイの信号は非対称的信号である。
【0011】
さらに別な特徴では、このシステムはさらに散乱構造物登録操作を実行するように設計されている。この散乱構造物登録は、立体空間の少なくとも1つの位置にて知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得するためにセンサアレイから知られた物質内に信号を放出させるよう特徴的センサアレイを使用して実行される。散乱構造物は知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの画像が特徴的なセンサアレイの焦点領域外となるよう、知られた物質内に実質的に存在する。立体空間の散乱構造物の画像形状並びにx、yおよびzの位置情報は座標依存ルックアップ表に記録される。
【0012】
その後、この知られた物質に関する特徴的センサアレイの位置が調整される。さらに特徴的センサアレイは再び使用されてセンサアレイから知られた物質内に信号を放出し、立体空間の少なくとも1つの位置にて知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得する。前出の例と同様に、散乱構造物は、知られたサイズの少なくとも1つの散乱構造物が特徴的センサアレイの焦点領域内に存在するように、実質的に知られた物質内に存在する。さらに立体空間で散乱構造物の画像形状およびx、y並びにzの位置情報は座標依存ルックアップ表に記録される。
【0013】
最後に、本発明は方法並びにコンピュータプログラム製品も含んでいる。この方法は本明細書で解説する操作を実現化する複数のステップを含んでいる。さらに、このコンピュータプログラム製品は、コンピュータにそれら操作を実行させるためにコンピュータによって実行可能であるコンピュータ読取可能な媒体に保存されたコンピュータ読取可能指示手段を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は音響画像処理技術を活用して物質内に埋め込まれた散乱構造物の立体(三次元)位置情報を獲得するための改良方法を提供する。
【0015】
以下の解説は当業の通常技術者に本発明を利用させ、特定の利用形態にて採用することができるように提供されている。様々な改良並びに異なる適用方法での活用は当業技術者にとっては容易であろう。また、ここで開示する本発明の一般的原理は様々な実施形態で適用できよう。よって本発明はそのような実施例に限定されることなく、ここに解説する本発明の原理並びに新規な特徴に即した最大範囲が保護されるべきである。
【0016】
以下の詳細な解説では本発明の完全な理解を提供するために数々の特定細部が解説されている。しかし当業技術者であれば本発明はそれら特定細部が存在せずとも実行できることを理解しよう。さらに、周知構造および周知装置はブロック図の形態で図示されているが、これは本発明の解説を簡素化して本発明の理解を助けるためである。
【0017】
本発明の理解を補助として、本願と共に出願され、現在公開されている全出願物が有効であろう。それらの内容を本願に借用する。本願において開示されている発明の全特徴は同一目的、均等目的または類似目的に叶う代用特徴によって置換が可能である。従って特に記載されていない限り、開示されているそれぞれの特徴は一般的な等価の特徴あるいは類似特徴のただの例示である。
【0018】
さらに特定機能を実行するための“手段”または“ステップ”と明記していない請求項の全ての限定要素は米国特許法(35U.S.C.108、パラ6)が想定する“手段”または“ステップ”の意であると解釈されるべきではない。請求項中での“ステップ”の使用は米国特許法の当該条項(35U.S.C.108、パラ6)の限定を意図してはいない。
【0019】
本発明を詳細に解説する前に、明細書中の使用用語を解説する。続いて本発明の詳細が提供され、特定の特徴の理解が図られる。引き続いて本発明の主要な特徴の概説が提供されている。
【0020】
[用語解説]
本発明を詳細に説明する前に、本明細書で試用する用語の説明をする。この解説は用語の意図されている意味の理解を図ることを目的としており、各用語の完全な意味を説明するものではない。用語解説は明細書の残り部分で使用される用語をさらに正確に説明するための補助として提供されている。
【0021】
非対称信号:“非対称信号”とはx−y平面、y−z平面あるいはx−z平面で対称性を欠く信号のことである。一般的に非対称信号は候補散乱構造物内で歪変並びに脱焦点をバイアスするのに使用できる全ての信号である。
【0022】
候補散乱構造物:“候補散乱構造物”とは散乱構造物と関連する、あるいは関連しない少なくとも1対のxとyの座標で提供される平面(二次元)音響画像の形状のことである。
【0023】
特徴的センサアレイ:“特徴的センサアレイ”とはx座標、y座標およびz座標にてセンサアレイからの発生信号の強度と形状とが測定されているセンサアレイのことである。この特徴的センサアレイのパラメータは物質内に埋め込まれた候補散乱構造物をサーチするのに先立って、あるいは候補散乱構造物のサーチに引き続いてセンサアレイの生成後直ちに確立される。一般的にサーチプロセスを促進させるために候補散乱構造物のサーチに先立ってセンサアレイを特徴付けるのが望ましい。
【0024】
座標依存応答関数:“座標依存応答関数”とは散乱構造物と特徴的センサアレイとの間の距離が変動している特徴的センサアレイ信号に応答して散乱構造物から収集された情報に関する表または数学的関数のことである。
【0025】
指示手段:本発明に関して使用される“指示手段”とはコンピュータで実行される操作セットを一般的に示し、プログラム全体または個別に分離できるソフトウェアモジュールを表すものである。“指示手段”の非限定例にはコンピュータプログラムコード(ソースまたはオブジェクトコード)および“ハードコード化”電子機器(すなわちコンピュータチップにコードされたコンピュータ操作)が含まれる。“指示手段”はコンピュータメモリー内に保存できる。あるいはフロッピデスク、CD−ROM及びフラッシュドライブのごときコンピュータ読取可能媒体に保存される。
【0026】
センサアレイ:“センサアレイ”とは焦点合致および焦点外れの散乱構造物の両方からの応答情報の収集に使用される協調的信号発信器並びに信号受信器のシステムのことである。適したセンサアレイの非限定例には一次元線状アレイのセンサ要素、1.5次元位相アレイ、二次元アレイ並びに一般的に随意な三次元分布の送信および検出要素のごとき標準音響画像処理システムが含まれる。
【0027】
[発明の特定詳細]
上述したように、本発明は物質内に埋め込まれた散乱構造物に関する立体位置情報を獲得するための音響画像処理技術に関する。図1で示すようにセンサアレイ100は信号102が物質104を通過して拡散し、センサアレイ100に戻る際に対象物体104内へ信号102を放出し、代わりに応答信号を受領するように設計することができる。センサアレイ100は信号の送受ができるならどのようなセンサアレイであってもよい。この非限定例には圧電トランスジューサアレイが含まれる。
【0028】
運用に際しては物質104内の散乱構造物106は信号102に応答して前後に振動する。一般的に散乱構造物106は、散乱構造物106のサイズおよび物質組成、散乱構造物106とセンサアレイ100との間の距離並びにセンサアレイ100の放出パターンに関する特徴的応答で放出信号102に応答するであろう。散乱構造物106の振動は、その振動が物質104内を通って伝達される際にセンサアレイ100によって拾われる。センサアレイ100からの信号102は本質的に、例えばx平面とz平面のごとき2平面に限定されるが、センサアレイ100の焦点領域110の外側の散乱構造物108は焦点領域110内で散乱構造物106に応答して振動開始する。これら焦点外れの散乱構造物108の振動はセンサアレイ100によって受領された信号に対して小さな影響を及ぼす。これは図2Aで示す二次元(平面)画像204にてしばしば不明瞭な候補散乱構造物画像214として現れる。
【0029】
図2Aで示すように焦点領域110内での振動は潜在的候補散乱構造物200の最も明瞭な平面画像を創出する。これら候補散乱構造物200の平面画像204は非対称信号と組み合わされると図2Bで示すような明瞭な画像スライス202を創出するために立体空間での追加情報の検出に使用が可能である。
【0030】
センサアレイ100と散乱構造物106との間の線状距離を除いて全ての距離が一定に保たれるとセンサアレイ100と散乱構造物106との間の直線距離は増加する。よって候補散乱構造物106の平面画像206は図2Cに示すように明瞭性が低減し、不明瞭で歪変したアーチファクト200’を創出する。その結果、図2Dで示すように画像スライス208の明瞭性も低下する。図2Eと図2Fで例示するようにこの傾向は継続する。一般的に候補散乱構造物200’が焦点領域110からさらに移動すると、不鮮明な平面画像210は明瞭性が向上し、不鮮明度と歪変度が減少したアーチファクト214と216を含んだ画像スライス212を創出する。知られた物質104内の散乱構造物106の登録プロセスは特徴的非対称信号102で画像204、206および210を捕獲することにより実行される。
【0031】
特に図1で示すように登録プロセスはセンサアレイ信号102および歪変マップへのそのポイント拡散関数を特徴付ける。これは指紋と同様にその幾何図形と、そのアレイを含む物質104に特有なものである。このプロセスには、センサアレイ100の全視野114内の複数の位置での知られたサイズを有した散乱構造物106の画像の記録が関与する。これは焦点合致領域110と脱焦点領域112の両方を含んでいる。
【0032】
この情報はルックアップ表に入力され、焦点領域412の位置400と400’上方で位置406と406’下方の散乱構造物位置を抽出するために標準画像で数学的畳込み演算が実行される(図4)。散乱構造物は不鮮明あるいは得られた平面画像では歪変領域として表れ、鮮明粒物としては表れない。z距離が増加するとポイント拡散関数はさらに散乱したものになる傾向がある。登録プロセスはこの拡散を考慮し、ピクセルの拡散にも拘わらずさらに正確な散乱構造物の位置を計算する。
【0033】
登録プロセスと脱歪変・脱焦点システムを現在の映像化方法で採用すると平面外の対象物体の位置の決定が容易になる。専門家であれば理解しようがこのようなプロセスは様々な技術分野で役立つ。その例には物体の音響面および容量画像化、粒体画像速度測定(PIV)、粒体追尾速度測定(PTV)、ドップラ追尾並びに可視領域内の物体位置を求めるその他の技術が含まれる。
【0034】
このシステムは情報の追加次元でさらに多くの粒物を発見させる。図1に示すように、本発明は焦点領域110内部の音響散乱構造物106並びにセンサアレイ100の焦点領域110音響信号102(標準平面スライス超音波等)の境界外部の領域112内の散乱構造物108の立体位置情報を獲得する。センサアレイ登録プロセスに引き続いて、標準音響反射技術で創出された画像(図2A、2Cおよび2E参照)は歪変あるいは不鮮明なアーチファクトの形態で存在する焦点外データ200’および200”のために分析される。
【0035】
図2A、図2Cおよび図2Eは各フレーム内で位置が変動するリフレクタの平面超音波画像群を図示する。プローブは各画像の上部中央に提供されている。一方、図2B、図2Dおよび図2Fは対応する立体画像を図示する。図2Aと図2Bにおいて散乱構造物はプローブの近くに存在し、鮮明画像スライスを創出する。散乱構造物がプローブから離れるにつれ(図2Cから図2F)、画像スライスは鮮明性を消失する。この変化の特徴すなわちポイント拡散関数はx、yおよびzの位置で変化する。これらの画像はx−z平面内での変化を示すが、登録プロセスはy方向(紙面に対して垂直方向)での特徴付けも実行し、粒物位置付けのための立体的な脱歪変に供する音波アレイを特徴付ける。
【0036】
散乱構造物は視野のどこに存在するかによって画像内で異なって見える(図2A、図2Cおよび図2E参照)。z距離が増加するとポイント拡散関数(図2B、図2Dおよび図2F参照)はさらに拡散する傾向がある。登録プロセスはこの拡散を考慮し、ピクセルの拡散にも拘わらず散乱構造物のさらに正確な位置を計算する。
【0037】
限定はされないが、本発明は焦点外108および平面外リフレクタの“右手系座標システム”内でx−y−z位置を特定するために音響および他の定量位置分析を利用する。
【0038】
図3で示すように信号310の非対称特性はビーム外散乱構造物302と焦点外散乱構造物306からの反射信号に、x−y−z位置に関して感知できる位置情報を提供させることができる。センサアレイ300と、知られた位置での知られたサイズの特定散乱構造物との間の距離を変えることで収集された散乱構造物の情報は座標依存応答ルックアップ表または応答関数の開発に利用することができる。散乱構造物302、304および306の斜視図は登録プロセアス時にとりえる散乱位置を例示する。
【0039】
図3はセンサアレイ300、放出された特徴的信号310、接近散乱構造物302、焦点合致散乱構造物304および焦点外信号内散乱構造物306の相互空間位置関係を示す。非対称信号310は焦点合致領域308を有している。これは信号の最狭部分である。焦点合致領域308内の散乱構造物306は典型的には明瞭な平面画像200を図2Aで示すように創出する。散乱構造物を一連のパルスで反復した複数回にわたって接近位置、焦点合致位置並びに焦点外位置(散乱構造物302、304および306で表す)に移動することで、一連の平面画像を反復的に創出することができる。
【0040】
これら立体画像は座標依存応答ルックアップ表の開発のために利用することができる。散乱構造物302、304および306は発生信号パターン310の形状に基づいた分布で応答するであろう。信号パターン310に基づくデータを利用することで焦点外信号内散乱構造体306はy方向に高さを有することが推定できる。これは一般的に平面画像処理では得られないデータである。さらに散乱構造物302の上方と散乱構造物308の下方は非対称性をビームパターンに採り入れることで区別され、ビーム特性は識別可能上部あるいは識別可能下部となる。
【0041】
さらに図4は3体の音響リフレクタ402、404および406を図示する。それぞれは同一のx座標を有するがセンサアレイからの距離が異なっている。これら3体のリフレクタ402、404および406は画像面(x−z)の上下でyが変動する位置にも存在する。リフレクタ402は標準画像で鮮明なリフレクタとして現れる平面画像のための最良位置の焦点面内に存在する。リフレクタ406は最良焦点距離を越えた位置にある。
【0042】
よってリフレクタ406は鮮明ではなく、一般的に応答明度全体で劣るさらに大きな構造物(ピクセル数の観点)の形態である。本発明はz内でさらに正確な距離を測定し、ルックアップ表との比較に基づいてy内でx−y画像面からのさらに正確な距離も測定する。あるいはリフレクタ404は近隣界内であり、画像面の上方に存在する。そのような位置のリフレクタとの間でいくらかのエネルギーが送受される。標準画像処理では、典型的にはそのような応答は視覚的検査では見られない。なぜなら得られた平面画像内でピクセルの多く、または全部にわたってエネルギーが拡散されるからである。しかし本発明は平面画像の大型拡散領域をルックアップ表と合致させることでそのようなリフレクタを見つける。ルックアップ表は歪変マップとも呼称できる。それら歪変マップの各々は登録プロセスを介して異なる物質のために創出できる。
【0043】
位相アレイ内の焦点距離の制御により散乱構造物の特徴付けが得られる。信号形成および歪変は図5で示すもののごとき非対称信号510の形成に利用できる。非対称信号510は上半面と名目信号面508の上方区域、並びに下半面と名目信号面508の下方区域をコード化するために創出できる。例えば、信号510が名目信号面508の上方または下方に存在する散乱構造物512と遭遇するとき、信号510の非対称性は散乱構造物512が存在する平面を暴露する座標依存応答関数を反射してセンサ500に戻すことができる。
【0044】
図5は散乱構造物512内の歪変と脱焦点をバイアスするためにx−y面、y−z面およびx−z面で非対称性を創出するため、上方葉部502、中央葉部506および下方葉部504を含んだ可能な信号形成形状510を図示する。信号形成のための可能な方法は、限定はしないが位相アレイ歪形、音響レンズおよび空間完全通路障害または空間部分通路障害を含んでいる。
【0045】
[主要特徴]
本発明は3つの“主要”な特徴を有している。上述したように第1の主要特徴は音響歪変並びに脱焦点を利用した立体画像処理システムである。このシステムは典型的にはソフトウェアを適用するコンピュータシステムあるいは“ハードコード処理”された指令セットの形態である。このシステムは異なる機能を提供する多様な装置に利用できる。第2の主要特徴は方法であり、典型的にはデータプロセスシステム(コンピュータ)を使用して適用されるソフトウェアの形態である。第3の主要特徴はコンピュータプログラム製品である。このコンピュータプログラム製品は一般的には光学式保存装置である例えばコンパクトディスク(CD)やデジタル多用途ディスク(DVD)、あるいは磁気保存装置である例えばフロッピディスクや磁気テープのようなコンピュータ読取可能媒体に保存されたコンピュータ読取可能指令を提供する。コンピュータ読取可能媒体のその他の非限定的な例にはハードディスク、読取専用メモリ(ROM)およびフラッシュメモリが含まれる。これらの特徴を以下で更に詳細に解説する。
【0046】
本発明の立体画像処理システムのコンポーネント機器はブロック図形態で図6にて図示されている。画像処理システム600は画像の検出に使用する少なくとも1体のセンサ(例えばトランスジューサアレイ)から情報を受領する入力機器602を含む。入力機器602は複数の“ポート”を含むことができる。典型的には入力は少なくとも1体のセンサから受領される。その非限定例はビデオ画像センサである。出力機器604はプロセッサと接続され、コンピュータシステムのネットワークが画像処理システムとして機能するよう、光景内での対象物の存在及び/又は特定に関する情報を提供する。
【0047】
出力はそこで利用するために他の装置または他のプログラム、例えば他のソフトウェアモジュールにも提供できる。入力装置602および出力装置604は両方ともプロセッサ606と作動的に連結されている。
【0048】
このプロセッサは汎用コンピュータプロセッサでも、本発明用として特別に設計されている特殊プロセッサでもよい。プロセッサ606はメモリ608とカップリングされ、プロセッサ606へのコマンドによって操作されるデータおよびソフトウェアの保存をさせる。
【0049】
本発明を実施するコンピュータプログラム製品の説明図は図7にて提供されている。コンピュータプログラム製品700はCDまたはDVDのような光ディスクとして図示されている。しかしながら前述したように、コンピュータプログラム製品は一般的にどのような互換性コンピュータ読取可能媒体にでも保存可能なコンピュータ読取可能指令を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、従来の平面画像処理技術が、そこで散乱構造物から情報を抽出するであろう焦点合致区域と、そこで焦点外れ散乱構造物から有益な情報を抽出するであろう区域との比較対照図である。
【図2A】図2Aはセンサアレイ信号に対する焦点合致散乱構造物応答の平面画像である。
【図2B】図2Bは特徴的センサアレイ信号源に対する高解像座標依存応答を示す立体グラフである。
【図2C】図2Cは幾分離れた特徴的センサアレイ信号源に対する焦点外れ候補散乱構造物応答を図示する。
【図2D】図2Dは幾分離れた特徴的センサアレイ信号源に対する座標依存応答を図示する。
【図2E】図2Eは離れたセンサアレイに対する焦点外れ散乱構造物応答の平面画像である。
【図2F】図2Fは特徴的センサアレイ信号源がそこで候補散乱構造物から大きく離れている低解像座標依存応答関数を図示する立体画像である。
【図3】図3は焦点合致および焦点外れ散乱構造物の検出に使用されるセンサアレイと特徴的センサアレイ信号を図示する。
【図4】図4は焦点合致および焦点外れ散乱構造物の検出に使用されるセンサアレイと特徴的センサアレイ信号の平面図並びに側面図である。
【図5】図5は散乱構造物あるいは物体音響物内の歪変および脱焦点をバイアスするためにx−y平面、y−z平面またはx−z平面に非対称性を創出するための信号形成を図示する。
【図6】図6は本発明による立体画像処理システムのブロック図である。
【図7】図7は本発明を実施するコンピュータプログラム製品を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面(2D)画像からの情報を利用して立体(3D)空間における散乱構造物の位置を決定する方法であって、本方法は、
対象物体の少なくとも1つの平面表示を発生させるためにセンサアレイから前記対象物体内へ信号を放出すべく特徴的センサアレイを使用するステップであって、前記平面表示は複数対のxとyの座標と、少なくとも1つの候補散乱構造物とを含んでおり、前記候補散乱構造物は少なくとも1対のxとyの座標によって形成される形状を含んでいることを特徴とするステップと、
前記候補構造物の形状を前記少なくとも1対のxとyの座標に実質的に限定するステップと、
立体空間内に前記散乱構造物のx、yおよびzの位置を割り当てるために前記候補散乱構造物形状の前記少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
第2座標依存応答関数を使用するステップをさらに含んでおり、第1座標応答関数は第1物質を含んだ第1散乱構造物を表す特徴を含み、前記第2座標依存応答関数は第2物質を表す第2散乱構造物を表すことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を座標依存応答関数と比較するステップにおいて、少なくとも1つの座標依存応答関数は候補散乱構造物の図を散乱構造物サイズにさらに関連付けることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較するステップにおいて、座標依存応答関数は候補散乱構造物形状の前記xとyの座標対を立体空間内のx、yおよびzの位置と関連付ける複数の関係を含むルックアップ表であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
特徴的センサアレイを使用するステップにおいて、前記特徴的センサアレイによって放出される信号は非対称信号であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
本方法は散乱構造物の登録プロセスをさらに含んでおり、該散乱構造物登録プロセスは、
対象物体の少なくとも1つの平面表示を発生させるためにセンサアレイから前記対象物体内へ信号を放出すべく特長的センサアレイを使用するステップであって、前記平面表示は複数対のxとyの座標と、少なくとも1つの候補散乱構造物とを含んでおり、前記候補散乱構造物は少なくとも1対のxとyの座標によって形成される形状を含んでいることを特徴とするステップと、
立体空間における散乱構造物の画像形状とx、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録するステップと、
知られた物質に対して特徴的センサアレイの位置を調整するステップと、
立体空間内の少なくとも1位置で知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得するため、前記センサアレイから知られた物質内に信号を放出すべく特徴的センサアレイを使用するステップであって、前記散乱構造物は実質的に前記知られた物質内に存在し、知られたサイズの前記散乱構造物の少なくとも1つの画像は前記特徴的センサアレイの焦点領域内に存在していることを特徴とするステップと、
立体空間内の前記散乱構造物の前記形状とx、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録するステップと、
を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
平面(2D)画像からの情報を利用して立体(3D)空間における散乱構造物の位置を決定するシステムであって、
対象物体の少なくとも1つの平面表示を発生させるためにセンサアレイから前記対象物体内へ信号を放出するために特徴的センサアレイを使用する操作であって、前記平面表示は少なくとも複数対のxとyの座標と、少なくとも1つの候補散乱構造物とを発生させるために前記センサアレイから対象物体内に信号を放出するアレイを含んでおり、前記候補散乱構造物は少なくとも1対のxとyの座標によって形成される形状を含んでいることを特徴とする操作と、
前記候補構造物の形状を前記少なくとも1対のxとyの座標に実質的に限定する操作と、
立体空間内に前記散乱構造物のx、yおよびzの位置を割り当てるために前記候補散乱構造物の形状の前記少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較する操作と、
を実行するように設計されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
第2座標依存応答関数をさらに含んでおり、第1座標応答関数は第1物質を含んだ第1散乱構造物を表す特徴を含み、前記第2座標依存応答関数は第2物質を表す第2散乱構造物を表すことを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を座標依存応答関数と比較し、少なくとも1つの座標依存応答関数は候補散乱構造物の図を散乱構造物サイズにさらに関連付けることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較し、座標依存応答関数は候補散乱構造物の図の前記xとyの座標対を立体空間内のx、yおよびzの位置と関連付ける複数の関係を含むルックアップ表であることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項11】
特徴的センサアレイを使用する際の該特徴的センサアレイの信号は非対称信号であることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項12】
散乱構造物の登録操作をさらに実行するように設計されており、該散乱構造物登録操作は、
立体空間内の少なくとも1つの位置で知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得するためにセンサアレイから知られた物質内に信号を放出すべく特徴的センサアレイを使用する操作であって、前記散乱構造物は実質的に前記知られた前記物質内に存在し、知られたサイズの前記散乱構造物の少なくとも1つの画像が前記特徴的センサアレイの焦点領域外に存在していることを特徴とする操作と、
立体空間における前記散乱構造物の画像形状とx、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録する操作と、
前記知られた物質に対して前記特徴的センサアレイの位置を調整する操作と、
立体空間内の少なくとも1位置で知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得するため、前記センサアレイから前記知られた物質内に信号を放出すべく特徴的センサアレイを使用する操作であって、前記散乱構造物は実質的に前記知られた物質内に存在し、知られたサイズの前記散乱構造物の少なくとも1つの画像は前記特徴的センサアレイの焦点領域内に存在していることを特徴とする操作と、
立体空間内の前記散乱構造物の前記画像形状と前記x、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録する操作と、
を含んでいることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項13】
平面(2D)画像からの情報を利用して立体(3D)空間における散乱構造物の位置を決定するコンピュータプログラム製品であって、コンピュータによって実行可能なコンピュータ読取可能媒体に保存されたコンピュータ読取可能指令手段を含んでおり、本コンピュータプログラム製品は該コンピュータに、
対象物体の少なくとも1つの平面表示を発生させるためにセンサアレイから前記対象物体内へ信号を放出させるべく特徴的センサアレイを使用させ、前記平面表示は複数のxとyの座標対と、少なくとも1つの候補散乱構造物とを含んでおり、前記候補散乱構造物は少なくとも1対のxとyの座標によって形成される形状を含んでおり、本コンピュータプログラム製品はさらに前記コンピュータに、
前記候補構造物の形状を前記少なくとも1対のxとyの座標に実質的に限定させ、
立体空間内に前記散乱構造物のx、yおよびzの位置を割り当てるために前記候補散乱構造物の形状の前記少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
コンピュータに第2座標依存応答関数を使用させる指令手段をさらに含んでおり、第1座標応答関数は第1物質を含んだ第1散乱構造物を表す特徴を含み、前記第2座標依存応答関数は第2物質を表す第2散乱構造物を表すことを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピュータに候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を座標依存応答関数と比較させる指令手段をさらに含んでおり、少なくとも1つの座標依存応答関数は前記候補散乱構造物の図を散乱構造物サイズにさらに関連付けることを特徴とする請求項14記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
コンピュータに候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数と比較させる指令手段をさらに含んでおり、前記座標依存応答関数は前記候補散乱構造物の前記xとyの座標対を立体空間内のx、yおよびzの位置と関連付ける複数の関係を含むルックアップ表であることを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
コンピュータに特徴的センサアレイを使用させる指令手段をさらに含んでおり、前記特徴的センサアレイによって放出される信号は非対称信号であることを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
コンピュータに散乱構造物の登録プロセスを実行させる指令手段をさらに含んでおり、該散乱構造物登録プロセスは、コンピュータによって実行可能なコンピュータ読取可能媒体に保存されたコンピュータ読取可能指令手段を含んでおり、本コンピュータプログラム製品は前記コンピュータに、
立体空間内の少なくとも1つの位置で知られたサイズの散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を捕獲するためにセンサアレイから知られた物質内に信号を発信させるべく特徴的センサアレイを使用させ、前記散乱構造物は実質的に前記知られた物質内に存在し、前記散乱構造物の少なくとも1つの画像は前記特徴的センサアレイの焦点領域外に存在し、本コンピュータプログラム製品は前記コンピュータにさらに、
立体空間における前記散乱構造物の画像形状とx、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録させ、
前記知られた物質に対して前記特徴的センサアレイの位置を調整させ、
立体空間内の少なくとも1位置で知られたサイズの前記散乱構造物の少なくとも1つの平面画像を獲得するために前記センサアレイから知られた前記物質内に信号を放出すべく特徴的センサアレイを使用させ、前記散乱構造物は実質的に前記知られた物質内に存在し、知られたサイズの前記散乱構造物の少なくとも1つの画像は前記特徴的センサアレイの焦点領域内に存在しており、本コンピュータプログラム製品は前記コンピュータにさらに、
立体空間内の前記散乱構造物の前記画像形状と前記x、yおよびzの位置情報を座標依存ルックアップ表に記録させる、
ことを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
コンピュータに候補散乱構造物形状の少なくとも1対のxとyの座標を第1座標依存応答関数を比較させ、座標依存応答関数は、候補散乱構造物の図のxとyの座標対を立体空間のx、yおよびzの位置と関連付ける複数の関連性を含んだルックアップ表であり、さらにコンピュータに特徴的センサアレイの放出された信号は非対称信号である特徴的センサアレイを使用させることを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532702(P2009−532702A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504318(P2009−504318)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/008598
【国際公開番号】WO2008/054496
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(501272937)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】