説明

頭部保護エアバッグ

【課題】袋織りバッグ部と縫製バッグ部とを連結して形成する構成としても、容易に、シール性を確保しつつ縫合できる頭部保護エアバッグを提供すること。
【解決手段】頭部保護エアバッグ20は、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とを連結させている。袋織りバッグ部の結合縁37,47は、上縁から下縁まで、車内外方向で分離した帯状の車内側縫代部38,48と車外側縫代部39,49とからなる。バッグ部50の車内側と車外側の結合縁56,57は、それぞれ、袋織りバッグ部の車内側や車外側の縫代部38,48,39,49に対し、縦縫合部63,64,65,66により、結合される。そしてさらに、縫製バッグ部の区画縫合部54から延ばすように略前後方向に沿って縫合する横縫合部71,72,73,74を設けて、ガス連通部53と袋織りバッグ部のガス流入部31,41とを連結させることにより、エアバッグ20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張用ガスの流入時、車両のサイドウインドの車内側を覆うように、折り畳まれて収納された車内側のサイドウインドの上縁側から下方側へ展開膨張する頭部保護エアバッグに関し、特に、袋織りにより形成される袋織りバッグ部と、2枚のシートを縫合することにより形成される縫製バッグ部と、が前後方向に連結されて構成される頭部保護エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部保護エアバッグでは、外周壁の構成を異ならせた複数のバッグ部を連結させて形成するものがあった(例えば、特許文献1,2参照)。このようなエアバッグでは、配置する部位に応じて、袋織りしたバッグ部、縫製により袋状に形成したバッグ部、あるいは、合成樹脂から袋状に形成したバッグ部を、使用して、低コストで、製造することができる。
【特許文献1】特表2005−524565号公報
【特許文献2】米国特許第6805374号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来公報のエアバッグでは、袋織りバッグ部と縫製バッグ部との連結に関し、シール性を確保しつつ、容易に、縫合して連結できる構成に関し、何等、開示乃至示唆がなく、課題があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、袋織りバッグ部と縫製バッグ部とを連結して形成する構成としても、容易に、シール性を確保しつつ縫合できる頭部保護エアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る頭部保護エアバッグは、膨張用ガスの流入時、車両のサイドウインドの車内側を覆うように、折り畳まれて収納された車内側のサイドウインドの上縁側から下方側へ展開膨張する構成とするとともに、
袋織りにより形成される袋織りバッグ部と、車内側シートと車外側シートとを縫合することにより形成される縫製バッグ部と、を前後方向に沿って並設させるとともに、袋織りバッグ部と縫製バッグ部とを縫合して連結させることにより、形成される頭部保護エアバッグであって、
袋織りバッグ部が、膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを車内外方向に離すように膨らみ可能なガス流入部と、車内側壁部と車外側壁部とを結合させるように配設されてガス流入部の周縁を区画する周縁部と、を備え、
縫製バッグ部が、袋織りバッグ部のガス流入部と連通して膨張用ガスを流入可能なガス連通部を備え、ガス連通部が、車内側シートと車外側シートとを縫合する区画縫合部を設けて形成され、
袋織りバッグ部における縫製バッグ部側との結合縁が、ガス流入部の車内側壁部と車外側壁部とにそれぞれ連なって、袋織りバッグ部の上縁から下縁まで、車内外方向で対向し、かつ、車内側と車外側とで相互に分離する帯状の車内側縫代部及び車外側縫代部から、構成され、
縫製バッグ部における袋織りバッグ部側との結合縁が、縫製バッグ部の上縁から下縁まで、車内側シートと車外側シートとを車内外方向で相互に分離させた端縁縫代部として、構成され、
縫製バッグ部の車内側シートの端縁縫代部と袋織りバッグ部の車内側縫代部との相互と、縫製バッグ部の車外側シートの端縁縫代部と袋織りバッグ部の車外側縫代部との相互と、が、それぞれ、上下方向に沿って縫合する縦縫合部により、結合され、かつ、
縫製バッグ部の区画縫合部が、ガス連通部と、ガス連通部に対応する袋織りバッグ部のガス流入部の部位と、を連通させるように、袋織りバッグ部のガス流入部の周縁の周縁部に対して、縫製バッグ部の車内側シート、車外側シート、及び、袋織りバッグ部を略前後方向に沿って縫合する横縫合部を設けて、連結されることにより、
形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る頭部保護エアバッグでは、袋織りバッグ部の縫製バッグ部側への結合縁が、袋織りバッグ部の上縁から下縁まで延びる帯状の車内側縫代部及び車外側縫代部から構成されている。そして、それらの車内側縫代部と車外側縫代部とを、縫製バッグ部の上下方向に延びる車内側シートと車外側シートとの端縁縫代部に、合わせ、縦縫合部を設けて相互を縫合すれば、まず、袋織りバッグ部と縫製バッグ部とは、上縁から下縁まで前後方向に沿って、ガス流入部の車内側壁部と車内側シートとが連結され、かつ、車外側壁部と車外側シートとが連結される。なお、この時、袋織りバッグ部のガス流入部と縫製バッグ部のガス連通部とは、エアバッグの上縁と下縁とにおいて、上下に貫通するように開口されている。
【0007】
その後、縫製バッグ部の車内側シート、車外側シート、及び、袋織りバッグ部を略前後方向に沿って縫合する横縫合部を設けて、縫製バッグ部の区画縫合部を、袋織りバッグ部のガス流入部の周縁の周縁部に、連結させれば、縦縫合部の形成後におけるエアバッグの上縁から下縁まで貫通するような開口が閉塞されて、袋織りバッグ部のガス流入部の部位と縫製バッグ部のガス連通部とが、シール性良く、連通されることとなる。
【0008】
したがって、本発明に係る頭部保護エアバッグでは、袋織りバッグ部と縫製バッグ部とを連結して形成する構成としても、エアバッグの上縁から下縁までの上下に沿う全域を縫合する縦縫合部と、区画縫合部と周縁部とを連結するような横縫合部と、を設けるだけで、容易に、シール性を確保しつつ縫合して形成(製造)することができる。
【0009】
また、本発明に係る頭部保護エアバッグの構成では、袋織りバッグ部と縫製バッグ部の一方を取替えることが可能となり、逆に、他方を共用することができる。そのため、異なる車両に頭部保護エアバッグを搭載する場合、例えば、袋織りバッグ部を共用することとして、変更部位を縫製バッグ部で対処する構成とすれば、縫製バッグ部では、前後方向の長さ寸法や膨張部位の形状を変更する際に、単に、使用する車内側シートや車外側シートの長さ寸法を変えたり、縫合部位の配置をずらす等の変更で対処できて、袋織りに比べて、容易に変更できる。すなわち、本発明に係る頭部保護エアバッグの構成では、種々のバリエーションの頭部保護エアバッグを製造するにあたり、容易に対処でき、かつ、製造工数・コストを低減させて製造することが可能となる。
【0010】
そして、縫製バッグ部が、二つの袋織りバッグ部の間に、配設されている場合には、縦縫合部は、縫製バッグ部の前後両端における車内側シートと車外側シートとの端縁縫代部に対応して、4箇所に、配設されることとなるが、その際、縦縫合部の少なくとも1箇所は、端縁縫代部と、車内側縫代部若しくは車外側縫代部と、のエアバッグの内周面側となる面相互を合わせるように重ねて、縫合することが望ましい。
【0011】
すなわち、縫製バッグ部の前後に袋織りバッグ部が連結される場合には、縦縫合部が、縫製バッグ部の前後両端の車内側シートと車外側シートとの端縁縫代部に対応して、4箇所に配設されることととなるが、端縁縫代部と、車内側縫代部若しくは車外側縫代部とのエアバッグの内周面側となる面相互を合わせるように重ねて、縫合する仕様(以下、合掌縫い仕様とする)が、少なくとも1箇所に設けられれば、円滑に、4箇所の縦縫合部により、縫製バッグ部の前後に袋織りバッグ部を連結することができる。具体的に説明すれば、例えば、縦縫合部の3箇所を、端縁縫代部と車内側縫代部若しくは車外側縫代部とを車内外方向に重ねて縫合する仕様(以下、重ね縫い仕様とする)で縫合され、残りの縦縫合部の箇所が、端縁縫代部と車外側縫代部とする。その場合には、既に、その車内側では、車内側縫代部と端縁縫代部とが、重ね縫い仕様で縫合されており、その縦縫合部が邪魔をして、端縁縫代部と車外側縫代部とを車内外方向に重ねて縫合する重ね縫い仕様では、縫合できない。しかし、合掌縫い仕様では、車外側縫代部と端縁縫代部とを、エアバッグの内周面側となる面相互を合わせるようにでき、換言すれば、エアバッグ側から引っ張り出して、前後方向で重ねるように合わせることができ、そして、車内側方向で重ねていないことから、容易に、前後方向で重ねた端縁縫代部と車外側縫代部とを、前後方向に縫合糸を貫通させて、縫合することができる。
【0012】
なお、縫製バッグ部の前後方向の端部における先に縫合する一方側の端部での車内側と車外側との縦縫合部では、縫製バッグ部を形成する前の状態、すなわち、区画縫合部を設けなければ、車内側シートと車外側シートとを相互に車内外方向に大きく離すことができて、共に、重ね縫い仕様により、縫合でき、そして、車内側と車外側との縦縫合部を共に重ね縫い仕様により、縫合した後、区画縫合部を設けて縫製バッグ部を形成し、そして縫製バッグ部の前後方向の他方の端部では、既述したように、例えば、車内側の縦縫合部を重ね縫い仕様で縫合し、残りの車外側の縦縫合部を、合掌縫い仕様で縫合すればよい。
【0013】
ただし、縫製バッグ部が、予め、区画縫合部を備えて構成されている場合には、縫製バッグ部の前後両端に、それぞれ、1箇所ずつ、すなわち、車内側若しくは車外側の少なくとも一方側を、合掌縫い仕様で縦縫合部を形成すれば、容易に、シール性を確保して、縫製バッグ部の前後に袋織りバッグ部を連結させることができる。この場合、全ての縦縫合部を合掌縫い仕様としてもよいし、少なくとも1箇所の縦縫合部、若しくは、縫製バッグ部の前後両端の計2箇所の縦縫合部を、重ね縫い仕様とすることができる。なお、この場合、勿論、予め、区画縫合部が設けられていれば、2箇所の縦縫合部は、一方、若しくは、両方を合掌縫い仕様で縫合することとなる。
【0014】
勿論、頭部保護エアバッグが、袋織りバッグ部と縫製バッグ部とを単に前後で連結して形成される場合には、縫製バッグ部の区画縫合部を、袋織りバッグ部と縫製バッグ部との連結後に形成する構成とすれば、2箇所の縦縫合部は、共に、重ね縫い仕様の縫合により形成することができる。
【0015】
そして、重ね縫い仕様の場合には、車内外方向に重ねる際のエアバッグの内周面側に位置する側が、他側より、膨張用ガスの上流側に配置される端縁縫代部、あるいは、車内側縫代部若しくは車外側縫代部、とすることが望ましい。このような構成では、膨張用ガスの通過時、下流側の縫代部の端面が、上流側の縫代部に覆われて車外側に位置するため、めくれず、エアバッグにダメージを与えることなく、円滑に、膨張用ガスを流すことができる。
【0016】
さらに、重ね縫い仕様の場合、縫製バッグ部と袋織りバッグ部とに、ガス漏れ防止用のシリコンゴム等のコーティング層が設けられていれば、すなわち、縫製バッグ部の車内側シートと車外側シートとの端縁縫代部を含めた相互の内周面側と、袋織りバッグ部の車内側縫代部及び車外側縫代部を含めた外周面側とに、それぞれ、ガス漏れ防止用のコーティング層が設けられていれば、縫製バッグ部と袋織りバッグ部とのコーティング層を連続させるように配置させて、コーティング層のガス漏れ防止効果を、安定して確保するように構成してもよい。すなわち、この場合の重ね縫い仕様では、端縁縫代部と、車内側縫代部若しくは車外側縫代部と、を車内外方向に重ねる際に、相互の接触面側にコーティング層を配置させて、縦縫合部を形成すればよい。
【0017】
また、縫製バッグ部のガス連通部と袋織りバッグ部のガス流入部との連結部位における膨張用ガスの流路形状は、膨張用ガスの上流側から下流側に向かって、同等若しくは漸次広がるように設定されて、区画縫合部と周縁部におけるガス流入部の周縁近傍とが、横縫合部を介在させて、結合されていることが望ましい。このような構成では、ガス連通部とガス流入部とを通過する膨張用ガスが、開口面積を狭めるような段差を極力無くした区画結合部と周縁部との連結部位を、通過することができて、段差部位での大きな内圧上昇を防止でき、エアバッグにダメージを与えることなく、円滑に、膨張用ガスを下流側へ流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1に示すように、実施形態の頭部保護エアバッグ(以下、特に断らない限り、単にエアバッグとする)20は、車両Vに搭載される頭部保護用のエアバッグ装置Mに使用されるものである。このエアバッグ装置Mは、エアバッグ20と、インフレーター12と、取付ブラケット10,13と、エアバッグカバー8と、を備えて構成されている。そして、エアバッグ20は、車両Vの車内側におけるサイドウインドW1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方側までの範囲に、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、サイドウインドW1,W2の車内側を覆うように、収納部位のサイドウインドW1,W2の上縁側から下方側へ展開膨張する。
【0019】
インフレーター12は、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、エアバッグ20における膨張用ガスを流入させるための接続口部21に挿入され、周囲から締め付けるクランプ15を利用して、エアバッグ20と連結されている。そして、インフレーター12は、取付ブラケット13を利用して、センターピラー部CPの上方付近におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に、ルーフヘッドライニング5の下縁に覆われて、取付固定されている。なお、インナパネル2は、車両Vのボディ(車体)1側の部材である。また、取付ブラケット13は、板金製として、インフレーター12を保持し、取付ボルト14を利用して、インナパネル2に固定されている。
【0020】
各取付ブラケット10は、板金製として、エアバッグ20の各取付部25に取り付けられ、取付ボルト11によって、各取付部25をインナパネル2に取付固定している。
【0021】
エアバッグカバー8は、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4とルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5とのそれぞれの下縁側から構成されている。なお、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製とし、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。また、ルーフヘッドライニング5は、フロントピラー部FPの上方付近から、センターピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方付近まで、配設されている。
【0022】
エアバッグ20は、図1,2に示すように、インフレーター12からの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、サイドウインドW1,W2やセンターピラー部CP、リヤピラー部RPのセンターピラーガーニッシュ7、リヤピラーガーニッシュ6の車内側を覆うように、展開膨張する。そして、エアバッグ20は、サイドウインドW1やセンターピラー部CPの車内側とサイドウインドW2の前部側の車内側とを覆う前席用膨張部23、及び、サイドウインドW2の後部側とリヤピラー部RPの前部側の車内側とを覆う後席用膨張部24、を備えるとともに、接続口部21からの膨張用ガスGを前席用膨張部23と後席用膨張部24とに導く導管部22を備えて構成されている。導管部22は、図2に示すように、エアバッグ20の上縁20a側に配設されて、前部側を、上縁20aから上方に延びる接続口部21と連通させている。また、前席用膨張部23と後席用膨張部24とは、複数のセル23a,24aを配設させて、構成されている。複数のセル23a,24aは、セル区画部35a,45a,54g,54hにより前後方向に沿って並設されるように区画されて、袋状に膨らむように配設されている。さらに、エアバッグ20の上縁20a側には、取付ボルト11(図1参照)を挿通させる取付孔25aを備えた複数の取付部25が配設されている。エアバッグ20の前端には、取付部25を設けた取付ベルト26が取り付けられている。
【0023】
なお、エアバッグ20の下縁20b側における前席用膨張部23と後席用膨張部24との間には、膨張用ガスGを流入させない板状部55が配設されている。また、接続口部21内には、整流布28が配設され、実施形態の場合、整流布28は、板状部55の部位の車内側シート51と車外側シート52とを繰り抜いて、形成されている(図3,9参照)。繰り抜き部位29には、板状部55の領域を含めて、当て布27が縫合されている。整流布28は、インフレーター12からの膨張用ガスGを導管部22の部位で、前後両側に流すように、配設されている(図2参照)。
【0024】
そして、実施形態のエアバッグ20は、図1〜3に示すように、前端側と後端側とに、袋織りバッグ部30,40を配設させ、前後の袋織りバッグ部30,40の間に縫製バッグ部50を配設させて、構成されている。前端側の袋織りバッグ部30は、エアバッグ20の前席用膨張部23の前部側を構成し、後端側の袋織りバッグ部40は、エアバッグ20の後席用膨張部24を構成し、縫製バッグ部50は、前席用膨張部23の後部側と導管部22の部位とを構成している。なお、これらの袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とは、エアバッグ20の上縁20aから下縁20bまでの領域にそれぞれ配置されて、エアバッグ20の前後方向に沿って並設されている。
【0025】
そして、袋織りバッグ部30,40は、図2,3,9に示すように、それぞれ、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維からなる糸を使用した袋織りから形成されて、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部32,42と車外側壁部33,43とを車内外方向に離すように膨らみ可能なガス流入部31,41と、車内側壁部32,42と車外側壁部33,43とを結合させるように配設されてガス流入部31,41の周縁を区画する周縁部35,45と、を備えて構成されている。周縁部35,45は、複数のセル23a,24aを区画するために、ガス流入部31,41に侵入するように線状に延びるセル区画部35a,45aを備えている。なお、袋織りバッグ部30,40は、内周面側に設け難いことから、その外周面側にガス漏れ防止用のシリコンゴム等からなるコーティング層を設けて構成されている。また、袋織りバッグ部30の後端(後縁)30c側と袋織りバッグ部40の前端(前縁)40c側とには、縫製バッグ部50との結合用の結合縁37,47が、エアバッグ20の上縁20aから下縁20bまでの全域にわたって、形成されている。
【0026】
袋織りバッグ部30の後縁30cに配設される結合縁37は、図3,5,7,9に示すように、ガス流入部31の車内側壁部32と車外側壁部33とにそれぞれ連なって、袋織りバッグ部30の上縁30aから下縁30bまで、周縁部35の後端36の上部36aや下部36bの後側の位置として、車内外方向で対向し、かつ、車内側Iと車外側Oとで相互に分離する帯状の車内側縫代部38及び車外側縫代部39から、構成されている。袋織りバッグ部40の前縁40cに配設される結合縁47は、図3,6,8,9に示すように、ガス流入部41の車内側壁部42と車外側壁部43とにそれぞれ連なって、袋織りバッグ部40の上縁40aから下縁40bまで、周縁部45の前端46の上部46aや下部46bの前側の位置として、車内外方向で対向し、かつ、車内側Iと車外側Oとで相互に分離する帯状の車内側縫代部48及び車外側縫代部49から、構成されている。
【0027】
縫製バッグ部50は、図2〜4,9に示すように、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維の糸を織った織布からなる車内側シート51と車外側シート52とを縫合することにより形成されている。なお、実施形態の場合には、車内側シート51と車外側シート52とのエアバッグ20の内周面側となる部位には、ガス漏れ防止用のシリコンゴム等からなるコーティング層が設けられている。そして、縫製バッグ部50は、袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41と連通して膨張用ガスGを流入可能なガス連通部53を備え、ガス連通部53は、車内側シート51と車外側シート52とを縫合する区画縫合部54を設けて形成されている。実施形態の場合、ガス連通部53は、エアバッグ20における前席用膨張部23の後部側の二つのセル23aと、接続口部21を備えた導管部22と、を構成するように配設されている。そして、実施形態の場合、ガス連通部53は、前端部53aを、袋織りバッグ部30のガス流入部31の後端側の連結部31aに連結させ、後端部53bを袋織りバッグ部40のガス流入部41の前端側の連結部41aに連結させている。前側のガス流入部31の連結部31aは、袋織りバッグ部30の上縁30aから下縁30bまでの略全域に開口しており、その開口に対応して、前端部53aが連結されることとなる。また、後側のガス流入部41の連結部41aは、導管部22と連通するように開口されており、その開口に対応して、後端部53bが連結されることとなる。
【0028】
区画縫合部54は、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維からなる縫合糸Sを使用して形成しており、エアバッグ20の上縁20a側(縫製バッグ部50の上縁50a側)における導管部22の上縁22a側や接続口部21の周縁を区画するように形成する上縁区画部54aと、エアバッグ20の下縁20b側(縫製バッグ部50の下縁50b側)を形成する下縁区画部54dと、を備えて構成されている。下縁区画部54dは、前席用膨張部23の後部側の下縁20bから、板状部55の前縁55aを経て、板状部55の上縁55b側、すなわち、導管部22の下縁22b側を区画するように配設されている。さらに、下縁区画部54dは、セル23aを区画するセル区画部54g,54hを、連続的に縫製して、形成している。セル区画部54gは、導管部22の下縁22b側を区画するように、板状部55の上縁55bから前方に延び、かつ、斜め前下方向に延びるように配設され、セル区画部54hは、エアバッグ20の下縁20b側から導管部22の下縁22bに接近するように、上方に延びて配設されている。なお、区画縫合部54は、縫合糸Sを使用したロックステッチにより形成され、この縫合糸Sを使用するロックステッチは、取付ベルト26の結合、後述する縦縫合部63,64,65,66、横縫合部71,72,73,74にも採用されている。
【0029】
そして、縫製バッグ部50における袋織りバッグ部30側との結合縁56は、図3,5,7,9に示すように、縫製バッグ部50の前縁50c側での上縁50aから下縁50bまで、車内側シート51と車外側シート52とを車内外方向で相互に分離させた端縁縫代部58,59として、構成されている。また、袋織りバッグ部40側との結合縁57は、図3,6,8,9に示すように、縫製バッグ部50の後縁50d側での上縁50aから下縁50bまで、車内側シート51と車外側シート52とを車内外方向で相互に分離させた端縁縫代部60,61として、構成されている。
【0030】
なお、袋織りバッグ部30,40や縫製バッグ部50の結合縁37,47,56,57の前後方向の長さ寸法WL(図9参照)は、約40mmとしている。
【0031】
そして、これらの結合縁37,47,56,57相互の結合は、上下方向に沿って縫合する縦縫合部63,64,65,66(図5,6参照)と、前後方向に沿って縫合する横縫合部71,72,73,74(図7,8参照)と、によって行なわれている。
【0032】
実施形態の場合、具体的に説明すると、袋織りバッグ部30と縫製バッグ部50との縦縫合部63,64に関しては、図5に示すように、前側の袋織りバッグ部30の結合縁37の車内側縫代部38と縫製バッグ部50の前縁50cの結合縁56の端縁縫代部58とは、合掌縫い仕様69の縦縫合部63を形成して、結合し、袋織りバッグ部30の結合縁37の車外側縫代部39と縫製バッグ部50の前縁50cの結合縁56の端縁縫代部59とは、重ね縫い仕様68の縦縫合部64を形成して、結合している。合掌縫い仕様69は、端縁縫代部と、車内側縫代部若しくは車外側縫代部とのエアバッグ20の内周面側となる面相互を合わせるように重ねて、縫合する仕様であり、実施形態の場合、端縁縫代部58と車内側縫代部38とのエアバッグ20の内周面側となる面相互を合わせるように、車内側Iに引っ張り出して、前後方向に沿う方向に重ねて、縫合し、さらに、その縫代部位69aを袋織りバッグ部30側に重ねている。重ね縫い仕様68は、端縁縫代部と車内側縫代部若しくは車外側縫代部とを車内外方向に重ねて縫合する仕様であり、実施形態の場合、端縁縫代部59と車外側縫代部39とを車内外方向に重ねて縫合している。さらに、実施形態の場合における重ね縫い仕様68の縦縫合部64では、接続口部21に近い膨張用ガスGの上流側となる縫製バッグ部50側の端縁縫代部59が、車外側縫代部39よりエアバッグ20の内周面側に位置するように、配設されている。
【0033】
なお、縫製バッグ部50の車内側Iの縦縫合部63と車外側Oの縦縫合部64とが、重ね縫い仕様68と合掌縫い仕様69との別々の仕様の場合には、後から縫合が可能な合掌縫い仕様69より、先に、重ね縫い仕様68の縫合を行なう。
【0034】
袋織りバッグ部40と縫製バッグ部50との縦縫合部65,66に関しては、図6に示すように、袋織りバッグ部40の結合縁47の車内側縫代部48と縫製バッグ部50の後縁50dの結合縁57の端縁縫代部60とは、合掌縫い仕様69の縦縫合部65を形成して、結合し、その縫代部位69aを袋織りバッグ部40側に重ねている。また、袋織りバッグ部40の結合縁47の車外側縫代部49と縫製バッグ部50の後縁50dの結合縁57の端縁縫代部61とは、重ね縫い仕様68の縦縫合部66を形成して、結合している。この場合の重ね縫い仕様68の縦縫合部66でも、接続口部21に近い膨張用ガスGの上流側となる縫製バッグ部50側の端縁縫代部61が、車外側縫代部49よりエアバッグ20の内周面側に位置するように、配設されている。
【0035】
なお、単に、縦縫合部63,64,65,66を設けただけでは、袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41と縫製バッグ部50のガス連通部53とは、エアバッグ20の上縁20aと下縁20bとにおいて、上下に貫通するように開口されている。なぜなら、各結合縁37,47,56,57の領域には、袋織りで形成する周縁部35,45の後端36や前端46、あるいは、区画縫合部54の前端54b,54eや後端54c,54fが存在せず、そして、これらの周縁部35,45や区画縫合部54の存在しない領域において、対応する結合縁37,47,56,57相互の重ねた部位に、エアバッグ20の上縁20aから下縁20bまで、縫合糸Sによる上下方向に沿うロックステッチの縫合ラインを設けて、結合縁37,47,56,57相互を縫合して縦縫合部63,64,65,66を設けているだけである。そのため、縦縫合部63,64,65,66からその前後方向近傍の周縁部35,45や区画縫合部54までの領域は、上下に貫通するように開口されている状態となっている。
【0036】
そして、袋織りバッグ部30と縫製バッグ部50との上方側の横縫合部71は、図7に示すように、縫製バッグ部50の区画縫合部54が、その上縁区画部54aの前端54bを、袋織りバッグ部30の周縁部35の上側下縁端35bに、連結させるように、縫製バッグ部50の車内側シート51、車外側シート52、及び、袋織りバッグ部30を略前後方向に沿って縫合することにより、形成されている。周縁部35の上側下縁端35bは、袋織りバッグ部30の後縁30cにおけるガス流入部31の上下方向の縁となる上縁の境界部位として、結合縁37近傍における周縁部35の後端36の上部36a側で前後方向に沿って配置される部位である。そして、実施形態の場合、上縁区画部54aは、前端54b付近を上側下縁端35bと平行として上側下縁端35bより下方に位置させており、横縫合部71は、前端54bから前後方向に沿って前方に延びる横線部71aと、横線部71aの前端から斜め前上方向に延ばして上側下縁端35bと交差させる斜線部71bと、から構成されている。
【0037】
また、下方側の横縫合部72は、図7に示すように、縫製バッグ部50の区画縫合部54が、その下縁区画部54dの前端54eを、袋織りバッグ部30の周縁部35の下側上縁端35cに、連結させるように、縫製バッグ部50の車内側シート51、車外側シート52、及び、袋織りバッグ部30を略前後方向に沿って縫合することにより、形成されている。周縁部35の下側上縁端35cは、袋織りバッグ部30の後縁30cにおけるガス流入部31の上下方向の縁となる下縁の境界部位として、結合縁37近傍における周縁部35の後端36の下部36b側で前後方向に沿って配置される部位である。そして、実施形態の場合、下縁区画部54dは、前端54e付近を下側上縁端35cと平行として下側上縁端35cより上方に位置させており、横縫合部72は、前端54eから前後方向に沿って前方に延びる横線部72aと、横線部72aの前端から斜め前下方向に延ばして下側上縁端35cと交差させる斜線部72bと、から構成されている。
【0038】
袋織りバッグ部40と縫製バッグ部50との上方側の横縫合部73は、図8に示すように、縫製バッグ部50の区画縫合部54が、その上縁区画部54aの後端54cを、袋織りバッグ部40の周縁部45の上側下縁端45bに、連結させるように、縫製バッグ部50の車内側シート51、車外側シート52、及び、袋織りバッグ部40を略前後方向に沿って縫合することにより、形成されている。周縁部45の上側下縁端45bは、袋織りバッグ部40の前縁40cにおけるガス流入部41の上下方向の縁となる上縁の境界部位として、結合縁47近傍における周縁部45の前端46の上部46a側で前後方向に沿って配置される部位である。そして、実施形態の場合、上縁区画部54aは、後端54c付近を上側下縁端45bと平行として上側下縁端45bより下方に位置させており、横縫合部73は、後端54cから前後方向に沿って後方に延びる横線部73aと、横線部73aの後端から斜め後上方向に延ばして上側下縁端45bと交差させる斜線部73bと、から構成されている。
【0039】
また、下方側の横縫合部74は、図8に示すように、縫製バッグ部50の区画縫合部54が、その下縁区画部54dの後端54fを、袋織りバッグ部40の周縁部45の下側上縁端45cに、連結させるように、縫製バッグ部50の車内側シート51、車外側シート52、及び、袋織りバッグ部40を略前後方向に沿って縫合することにより、形成されている。周縁部45の下側上縁端45cは、袋織りバッグ部40の前縁40cにおけるガス流入部41の上下方向の縁となる下縁の境界部位として、結合縁47近傍における周縁部45の前端46の下部46b側で前後方向に沿って配置される部位である。そして、実施形態の場合、下縁区画部54dは、後端54f付近を、若干の後上がりとなる直線状の略前後方向に沿わせるとともに、後端54fを下側上縁端45cと上下方向の高さ位置を略一致させるように配置させ、横縫合部74は、後端54f付近の傾斜方向に沿って後端54fから斜め後上方向に延びる横線部74aと、横線部74aにおける下側上縁端45cより上方側に高くなった後端から斜め後下方向に延ばして下側上縁端45cと交差させる斜線部74bと、から構成されている。
【0040】
これらの横縫合部71,72,73,74が形成されれば、縫製バッグ部50の区画縫合部54と袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41の周縁の周縁部35,45とが連結され、その結果、縦縫合部63,64,65,66の形成後におけるエアバッグ20の上縁20aから下縁20bまで貫通するような、縦縫合部63,64,65,66の近傍の開口が閉塞される。そして、袋織りバッグ部30のガス流入部31の連結部31aと縫製バッグ部50のガス連通部53の前端部53aとが、シール性良く、連通され、また、袋織りバッグ部40のガス流入部41の連結部41aと縫製バッグ部50のガス連通部53の後端部53bとが、シール性良く、連通されることとなる。
【0041】
なお、実施形態の場合、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とは、予め、袋織りや縫製により製造されており、そして、既述の縦縫合部63,64,65,66と横縫合部71,72,73,74とを形成し、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とを連結して、エアバッグ20を形成することとなる。取付ベルト26は、適宜、袋織りバッグ部30自体の製造直後、若しくは、エアバッグ20の製造完了時に、袋織りバッグ部30の前端側に縫合しておく。また、整流布28は、縫製バッグ部50の製造時に、車内側シート51と車外側シート52との板状部55の部位から繰り抜いて、製造しておき、適宜、縫製バッグ部50自体の製造直後、若しくは、エアバッグ20の製造完了時に、接続口部21内に組み付けておく。さらに、縫製バッグ部50の製造時、板状部55の整流布28を繰り抜き部位29には、当て布27を当てて、製造する。
【0042】
このように製造したエアバッグ20を、車両Vに搭載するまでの工程を説明すると、まず、エアバッグ20を平らに展開させて、エアバッグ20の下縁20b側を上縁20a側に接近させるように、ロール折りや蛇腹折りを併用してエアバッグ20を折り畳む。
【0043】
そして、エアバッグ20を折り畳んだ後には、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないテープにより、エアバッグ20の所定箇所をくるむとともに、インフレーター12,取付ブラケット10,13を取り付けて、エアバッグ組付体を形成する。
【0044】
その後、各取付ブラケット10,13を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させ、各取付孔25aを挿通させる等して、取付ボルト11,14を締め付け、各取付ブラケット10,13をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体をボディ1に取り付ける。ついで、インフレーター12に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、リヤピラーガーニッシュ6、センターピラーガーニッシュ7をボディ1に取り付ければ、エアバッグ装置Mを、車両Vに搭載することができる。
【0045】
そして、エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、インフレーター12が作動されれば、インフレーター12からの膨張用ガスGが、図2の二点鎖線に示すように、接続口部21内の整流布28を経て、導管部22の前後両側に流れ、前席用膨張部23と後席用膨張部24とに流入して、前席用膨張部23と後席用膨張部24とが、折りを解消させつつ、展開し、さらに、膨張し始める。そして、エアバッグ20は、くるんでおいた図示しないテープを破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5の下縁側のエアバッグカバー8を押し開いて、図1の二点鎖線に示すように、下方へ突出しつつ、サイドウインドW1,W2,センターピラー部CP,リヤピラー部RPの車内側Iを覆うように、大きく展開膨張することとなる。
【0046】
そして、実施形態のエアバッグ20では、図9に示すように、袋織りバッグ部30,40の縫製バッグ部50側への結合縁37,47が、袋織りバッグ部30,40の上縁30a,40aから下縁30b,40bまで延びる帯状の車内側縫代部38,48及び車外側縫代部39,49から構成されている。そして、図5,6に示すように、それらの車内側縫代部38,48と車外側縫代部39,49とを、縫製バッグ部50の上下方向に延びる車内側シート51と車外側シート52との端縁縫代部58,59,60,61に、合わせ、縦縫合部63,64,65,66を設けて相互を縫合すれば、まず、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とは、上縁30a,40a,50aから下縁30b,40b,50bまで前後方向に沿って、ガス流入部31,41の車内側壁部32,42と車内側シート51とが連結され、かつ、車外側壁部33,43と車外側シート52とが連結される。なお、この時、袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41と縫製バッグ部50のガス連通部53とは、エアバッグ20の上縁20aと下縁20bとにおいて、上下に貫通するように開口されている。
【0047】
その後、図7,8に示すように、縫製バッグ部50の車内側シート51、車外側シート52、及び、袋織りバッグ部30,40を略前後方向に沿って縫合する横縫合部71,72,73,74を設けて、縫製バッグ部50の区画縫合部54の前端54b,54eや後端54c,54fを、袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41の周縁の周縁部35,45の上側下縁端35bや下側上縁端35c、あるいは、上側下縁端45bや下側上縁端45cに、連結させれば、縦縫合部63,64,65,66の形成後におけるエアバッグ20の上縁20aから下縁20bまで貫通するような開口が閉塞されて、袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41の部位と縫製バッグ部50のガス連通部53とが、シール性良く、連通されることとなる。
【0048】
したがって、実施形態のエアバッグ20では、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50とを連結して形成する構成としても、エアバッグ20の上縁20aから下縁20bまでの上下に沿う全域を縫合する縦縫合部63,64,65,66と、区画縫合部54と周縁部35,45とを連結するような横縫合部71,72,73,74と、を設けるだけで、容易に、シール性を確保しつつ縫合して形成(製造)することができる。
【0049】
また、実施形態のエアバッグ20の構成では、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50の一方を取替えることが可能となり、逆に、他方を共用することができる。そのため、異なる車両に頭部保護エアバッグを搭載する場合、例えば、袋織りバッグ部30,40を共用することとして、変更部位を縫製バッグ部で対処する構成とすれば、縫製バッグ部では、前後方向の長さ寸法や膨張部位の形状を変更する際に、単に、使用する車内側シートや車外側シートの長さ寸法を変えたり、縫合部位の配置をずらす等の変更で対処できて、袋織りに比べて、容易に変更できる。すなわち、実施形態のエアバッグ20の構成では、種々のバリエーションの頭部保護エアバッグを製造するにあたり、容易に対処でき、かつ、製造工数・コストを低減させて製造することが可能となる。例えば、図10に示すエアバッグ20Aのように、エアバッグ20より前後方向の寸法を短くし、かつ、袋織りバッグ部30,40を共用する場合には、図2に示すエアバッグ20の縫製バッグ部50より、前後方向の寸法を短くした縫製バッグ部50Aを、使用する構成として、袋織りバッグ部30,40と縫製バッグ部50Aとを、縦縫合部63,64,65,66と横縫合部71,72,73,74とにより、連結して、製造してもよい。
【0050】
そして、実施形態のエアバッグ20のように、縫製バッグ部50が、二つの袋織りバッグ部30,40の間に、配設されている場合には、縦縫合部63,64,65,66は、縫製バッグ部50の前後両端における車内側シート51と車外側シート52との端縁縫代部58,59,60,61に対応して、4箇所に、配設されることとなるが、その際、縦縫合部63,64,65,66の少なくとも1箇所は、合掌縫い仕様69とすることが望ましい(図5,6,11〜13参照)。
【0051】
すなわち、縫製バッグ部50の前後に袋織りバッグ部30,40が連結される場合には、縦縫合部63,64,65,66が、縫製バッグ部50の前後両端の車内側シート51と車外側シート52との端縁縫代部58,59,60,61に対応して、4箇所に配設されることととなるが、合掌縫い仕様69が、少なくとも1箇所に設けられれば、円滑に、4箇所の縦縫合部63,64,65,66により、縫製バッグ部50の前後に袋織りバッグ部30,40を連結することができる。具体的に説明すれば、例えば、図11に示すエアバッグ20Bのように、縦縫合部63,64,66の3箇所を、端縁縫代部58,59,61と車内側縫代部38若しくは車外側縫代部39,49とを車内外方向に重ねて縫合する重ね縫い仕様68とし、残りの縦縫合部65の箇所が、端縁縫代部60と車内側縫代部48とする。その場合には、既に、その車外側では、車外側縫代部49と端縁縫代部61とが、重ね縫い仕様68で縫合されており、その縦縫合部66が邪魔をして、端縁縫代部60と車内側縫代部48とを車内外方向に重ねて縫合する重ね縫い仕様68では、縫合できない。しかし、合掌縫い仕様69では、車内側縫代部48と端縁縫代部60とを、エアバッグ20の内周面側となる面相互を合わせるようにでき、換言すれば、図11の二点鎖線に示すように、エアバッグ20B側から引っ張り出して、前後方向で重ねるように合わせることができ、そして、車内側方向で重ねていないことから、容易に、前後方向で重ねた端縁縫代部60と車内側縫代部48とを、前後方向に縫合糸Sを貫通させて、縫合することができる。
【0052】
なお、図11に示すエアバッグ20Bでは、縫製バッグ部50の前後方向の一方の端部である前縁50c側の車内側Iと車外側Oとの縦縫合部63,64は、縫製バッグ部50を形成する前の状態、すなわち、区画縫合部54を設けなければ、車内側シート51と車外側シート52とを相互に車内外方向に大きく離すことができて、共に、重ね縫い仕様68により、縫合でき、そして、車内側Iと車外側Oとの縦縫合部63,64を共に重ね縫い仕様68により、縫合した後、区画縫合部を設けて縫製バッグ部50を形成し、そして、縫製バッグ部50の前後方向の他方の端部となる後縁50d側で、既述したように、車外側Oの縦縫合部66を重ね縫い仕様68で縫合し、残りの車内側の縦縫合部65を、合掌縫い仕様68で縫合すればよい。
【0053】
しかし、縫製バッグ部50が、予め、区画縫合部54を備えて構成されている場合には、図5,6に示す実施形態のように、縫製バッグ部50の前後両端に、それぞれ、1箇所ずつ、すなわち、車内側I若しくは車外側Oの少なくとも一方側を、合掌縫い仕様69で縦縫合部63,65を形成すれば、容易に、シール性を確保して、縫製バッグ部50の前後に袋織りバッグ部30,40を連結させることができる。この場合、先に、重ね縫い仕様68の縫合を行なって、その車内側I若しくは車外側Oで、合掌縫い仕様69の縫合を行なえばよい。そして、図12に示すエアバッグ20Cのように、全ての縦縫合部63,64,65,66を合掌縫い仕様69で縫合してもよい。あるいは、図13に示すエアバッグ20Dのように、少なくとも1箇所の縦縫合部66だけを、重ね縫い仕様68とし、他の3箇所の縦縫合部63,64,65を合掌縫い仕様69として縫合することができる。
【0054】
勿論、図14に示すように、エアバッグ20Eが、袋織りバッグ部30と縫製バッグ部50Eとを単に前後で連結して形成される場合には、縫製バッグ部50の区画縫合部54を、袋織りバッグ部30と縫製バッグ部50Eとの連結後に形成する構成とすれば、車内側Iと車外側Oとの合計二箇所の縦縫合部63,64は、共に、重ね縫い仕様68の縫合により形成することができる。なお、この場合、勿論、予め、区画縫合部54が設けられていれば、2箇所の縦縫合部63,64は、一方、若しくは、両方を合掌縫い仕様69で縫合することとなる。
【0055】
そして、端縁縫代部59,61と車内側縫代部38,48若しくは車外側縫代部39,49とを車内外方向で重ねて縫合する重ね縫い仕様68として、実施形態のエアバッグ20では、図5,6に示すように、車内外方向に重ねる際のエアバッグ20の内周面側に位置する側が、他側の車外側縫代部39,49より、膨張用ガスGの上流側に配置される端縁縫代部59,61としている。そのため、膨張用ガスGの通過時、下流側の車外側縫代部39,49の端面39a、49aが、上流側の端縁縫代部59,61に覆われて車外側Oに位置するため、めくれず、エアバッグ20にダメージを与えることなく、円滑に、膨張用ガスGを流すことができる。
【0056】
また、実施形態のエアバッグ20では、縫製バッグ部50のガス連通部53と袋織りバッグ部30,40のガス流入部31,41との連結部位における膨張用ガスGの流路形状が、膨張用ガスGの上流側から下流側に向かって、漸次広がるように設定されて、区画縫合部54と周縁部35,45におけるガス流入部31,41の周縁近傍とが、横縫合部71,72,73,74を介在させて、結合されている。具体的には、図7に示すように、縫製バッグ部50の前縁50c側では、上方の横縫合部71が、横線部71aの前端から斜線部71bを斜め前上方向に延ばして、周縁部35の前後方向に沿って配置された上側下縁端35bと交差させ、下方の横縫合部72が、横線部72aの前端から斜線部72bを斜め前下方向に延ばして、周縁部35の前後方向に沿って配置された下側上縁端35cと交差させており、ガス連通部53の前端部53a付近からガス流入部31の後端の連結部31a付近にかけて、膨張用ガスGの流れる開口面積は、テーパ状に広がり、流路形状が、膨張用ガスGの上流側から下流側に向かって、漸次広がるように設定されている。同様に、図8に示すように、縫製バッグ部50の後縁50d側でも、上方の横縫合部73が、横線部73aの後端から斜線部73bを斜め後上方向に延ばして、周縁部45の前後方向に沿った上側下縁端45bと交差させ、下方の横縫合部74が、横線部74aの後端から斜線部74bを斜め後下方向に延ばして、周縁部45の前後方向に沿った下側上縁端45cと交差させており、ガス連通部53の後端部53b付近からガス流入部41の後端の連結部41a付近にかけて、膨張用ガスGの流れる開口面積は、テーパ状に広がり、流路形状が、膨張用ガスGの上流側から下流側に向かって、漸次広がるように設定されている。
【0057】
そのため、膨張用ガスGの上流側となるガス連通部53からガス流入部31,41へと流れる膨張用ガスGは、段差を極力無くした区画縫合部54と周縁部35,45との連結部位を通過することができて、段差部位での大きな内圧上昇を防止でき、エアバッグ20にダメージを与えることなく、円滑に、下流側へ流れることとなる。
【0058】
なお、図15に示すエアバッグ20Fのように、縫製バッグ部50のガス連通部53と袋織りバッグ部30のガス流入部31との連結部位における膨張用ガスGの流路形状を、膨張用ガスGの上流側から下流側に向かって、略同等とするようにしてもよい。このエアバッグ20Fでは、周縁部35の上側下縁端35bと下側上縁端35cとの結合縁37側に、ガス流入部31の連結部31aを拡径するように、曲り縁35e,35gに設ける。そして、この曲り縁35e,35gにおける前後方向に沿った上側下縁端35bや下側上縁端35cからの屈曲点35d,35f近傍に、横縫合部71,72の斜線部71b,72bを交差させている。また、横縫合部71,72の横線部71a,72aは、前後方向に沿った上側下縁端35bや下側上縁端35cの上下方向の高さ位置と略一致させている。このようなエアバッグ20Fでも、膨張用ガスGの上流側となるガス連通部53からガス流入部31へと流れる膨張用ガスGは、段差を極力無くした区画縫合部54と周縁部35との連結部位を通過させることができて、段差部位での大きな内圧上昇を防止でき、エアバッグ20Fにダメージを与えることなく、円滑に、下流側へ流すことができる。
【0059】
また、実施形態では、縫製バッグ部50に、インフレーター12と接続される接続口部21を設けた場合を示したが、袋織りバッグ部30,40側に、インフレーター12と接続される接続口部21を設けてもよい。
【0060】
さらに、実施形態では、整流布28を、板状部55の車内側シート51と車外側シート52との部位から繰り抜いた二枚構成とした場合を示したが、図16に示すエアバッグ20Gのように、板状部55の車内側シート51と車外側シート52との一方から繰り抜いた一枚構成の整流布28を使用してもよい。このエアバッグ20Gでは、実施形態のエアバッグ20と相違して、当て布27を不要にできる。
【0061】
さらにまた、実施形態では、縫製バッグ部50の車内側シート51と車外側シート52とを、コーティング層を設けたコート布から構成する場合を示したが、これらの車内側シート51と車外側シート52とは、コーティング層を有しないノンコート布から構成してもよい。
【0062】
なお、縫製バッグ部と袋織りバッグ部とに、ガス漏れ防止用のシリコンゴム等のコーティング層が設けられていれば、換言すれば、縫製バッグ部の車内側シートと車外側シートとの端縁縫代部を含めた相互の内周面側と、袋織りバッグ部の車内側縫代部及び車外側壁部を含めた外周面側とに、それぞれ、ガス漏れ防止用のコーティング層が設けられていれば、縫製バッグ部と袋織りバッグ部とのコーティング層を連続させるように配置させて、コーティング層のガス漏れ防止効果を、安定して確保するように構成してもよい。
【0063】
すなわち、図17に示すように、縫製バッグ部50には、車内側シート51と車外側シート52との端縁縫代部58,59,60,61を含めた相互の内周面側に、シリコンゴム等のガス漏れ防止用のコーティング層CLが、塗布等により配設され、また、袋織りバッグ部30,40には、車内側壁部32,42や車外側壁部33,43の内周面側には塗布等ができないことから、車内側縫代部38,48や車外側縫代部39,49を含めた外周面側に、シリコンゴム等のガス漏れ防止用のコーティング層CLが、塗布等により配設されている。この場合の重ね縫い仕様68の部位の縦縫合部64では、縫製バッグ部50の端縁縫代部59を袋織りバッグ部30の車外側縫代部39の車外側Oに配置させ、重ね縫い仕様68の部位の縦縫合部66では、縫製バッグ部50の端縁縫代部61を袋織りバッグ部40の車外側縫代部49の車外側Oに配置させ、相互の接触面側にコーティング層CLを配置させて、縫合糸Sを使用して重ね縫いし、縦縫合部64,66を形成している。このような構成では、重ね縫いの仕様68の縦縫合部64,66の部位において、縫製バッグ部50と袋織りバッグ部30,40とのコーティング層CLを連続させるように配置させることができ、コーティング層のガス漏れ防止効果を、安定して確保することができる。
【0064】
なお、コーティング層CL相互を接触させて重ね縫い仕様68とする場合において、車内外方向に重ねる際のエアバッグの内周面側に位置する側が、他側より、膨張用ガスの上流側に配置される端縁縫代部、あるいは、車内側縫代部若しくは車外側縫代部、として、下流側の縫代部の端面が、上流側の縫代部に覆われて車外側に位置させる構成に着目すれば、例えば、図18に示すように、袋織りバッグ部40側を膨張用ガスGの上流側に配置させればよい。このような構成では、重ね縫いの仕様68の縦縫合部66の部位において、車外側縫代部49の車外側Oに端縁縫代部61を配置させて縫合すれば、縫製バッグ部50と袋織りバッグ部40とのコーティング層CLを連続させるように配置させることができるとともに、車外側Oの端縁縫代部61の端面61aを膨張用ガスGの上流側の車外側縫代部49が覆うことができて、端面61a側のめくれを防止できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態のエアバッグが使用される頭部保護用のエアバッグ装置の車両搭載状態を示す概略正面図である。
【図2】実施形態のエアバッグの正面図である。
【図3】実施形態のエアバッグにおける膨張時の横断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のエアバッグにおける膨張時の縦断面図であり、図2のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のエアバッグにおける膨張時の概略部分横断面図であり、図2のV−V部位に対応する。
【図6】実施形態のエアバッグにおける膨張時の概略部分横断面図であり、図2のVI−VI部位に対応する。
【図7】実施形態のエアバッグの前部側の横縫合部付近を示す拡大概略正面図である。
【図8】実施形態のエアバッグの後部側の横縫合部付近を示す拡大概略正面図である。
【図9】実施形態のエアバッグの構成部材を示す概略分解斜視図である。
【図10】実施形態の変形例を示すエアバッグの正面図である。
【図11】実施形態の他の変形例を示すエアバッグの縦縫合部を示す概略部分横断面図である。
【図12】実施形態のさらに他の変形例を示すエアバッグの縦縫合部を示す概略部分横断面図である。
【図13】実施形態のさらに別の変形例を示すエアバッグの縦縫合部を示す概略部分横断面図である。
【図14】実施形態の他の変形例を示すエアバッグの正面図である。
【図15】実施形態のさらに他の変形例のエアバッグの横縫合部付近を示す拡大概略正面図である。
【図16】実施形態のさらに別の変形例のエアバッグの構成部材を示す概略分解斜視図である。
【図17】実施形態の変形例における縦縫合部を示す概略部分横断面図である。
【図18】図17に示す縦縫合部のさらに変形例を示す。
【符号の説明】
【0066】
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G…(頭部保護)エアバッグ、
20a,30a,40a,50a…上縁、
20b,30b,40b,50b…下縁、
30,40…袋織りバッグ部、
31,41…ガス流入部、
32,42…車内側壁部、
33,43…車外側壁部、
35,45…周縁部、
37,47,56,57…結合縁、
38,48…車内側縫代部、
39,49…車外側縫代部、
50,50A,50E…縫製バッグ部、
51…車内側シート、
52…車外側シート、
53…ガス連通部、
54…区画縫合部、
58,59,60,61…端縁縫代部、
63,64,65,66…縦結合部、
68…重ね縫い仕様、
69…合掌縫い仕様、
71,72,73,74…横縫合部、
CL…コーティング層、
S…縫合糸、
G…膨張用ガス、
W1,W2…サイドウインド、
I…車内側、
O…車外側、
V…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスの流入時、車両のサイドウインドの車内側を覆うように、折り畳まれて収納された車内側の前記サイドウインドの上縁側から下方側へ展開膨張する構成とするとともに、
袋織りにより形成される袋織りバッグ部と、車内側シートと車外側シートとを縫合することにより形成される縫製バッグ部と、を前後方向に沿って並設させるとともに、前記袋織りバッグ部と前記縫製バッグ部とを縫合して連結させることにより、形成される頭部保護エアバッグであって、
前記袋織りバッグ部が、前記膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを車内外方向に離すように膨らみ可能なガス流入部と、前記車内側壁部と前記車外側壁部とを結合させるように配設されて前記ガス流入部の周縁を区画する周縁部と、を備え、
前記縫製バッグ部が、前記袋織りバッグ部の前記ガス流入部と連通して前記膨張用ガスを流入可能なガス連通部を備え、該ガス連通部が、前記車内側シートと前記車外側シートとを縫合する区画縫合部を設けて形成され、
前記袋織りバッグ部における前記縫製バッグ部側との結合縁が、前記ガス流入部の前記車内側壁部と前記車外側壁部とにそれぞれ連なって、前記袋織りバッグ部の上縁から下縁まで、車内外方向で対向し、かつ、車内側と車外側とで相互に分離する帯状の車内側縫代部及び車外側縫代部から、構成され、
前記縫製バッグ部における前記袋織りバッグ部側との結合縁が、前記縫製バッグ部の上縁から下縁まで、前記車内側シートと前記車外側シートとを車内外方向で相互に分離させた端縁縫代部として、構成され、
前記縫製バッグ部の前記車内側シートの前記端縁縫代部と前記袋織りバッグ部の前記車内側縫代部との相互と、前記縫製バッグ部の前記車外側シートの前記端縁縫代部と前記袋織りバッグ部の前記車外側縫代部との相互と、が、それぞれ、上下方向に沿って縫合する縦縫合部により、結合され、かつ、
前記縫製バッグ部の前記区画縫合部が、前記ガス連通部と、該ガス連通部に対応する前記袋織りバッグ部の前記ガス流入部の部位と、を連通させるように、前記袋織りバッグ部の前記ガス流入部の周縁の前記周縁部に対して、前記縫製バッグ部の前記車内側シート、前記車外側シート、及び、前記袋織りバッグ部を略前後方向に沿って縫合する横縫合部を設けて、連結されることにより、
形成されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ。
【請求項2】
前記縫製バッグ部が、二つの前記袋織りバッグ部の間に、配設され、
前記縦縫合部が、前記縫製バッグ部の前後両端における前記車内側シートと前記車外側シートとの前記端縁縫代部に対応して、4箇所に、配設され、
前記縦縫合部の少なくとも1箇所が、前記端縁縫代部と、前記車内側縫代部若しくは前記車外側縫代部と、の前記エアバッグの内周面側となる面相互を合わせるように重ねて、縫合されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【請求項3】
前記縫製バッグ部が、予め、前記区画縫合部を備えて構成され、
前記エアバッグの内周面側となる面相互を合わせるように重ねて縫合されて形成される前記縦縫合部が、前記縫製バッグ部の前後両端に、それぞれ、少なくとも1箇所ずつ、配設されていることを特徴とする請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
【請求項4】
前記縦縫合部の内の少なくとも1箇所が、前記端縁縫代部と、前記車内側縫代部若しくは前記車外側縫代部と、を車内外方向に重ねて、縫合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ。
【請求項5】
車内外方向に重ねる際の前記エアバッグの内周面側に位置する側が、他側より、前記膨張用ガスの上流側に配置される前記端縁縫代部、あるいは、前記車内側縫代部若しくは前記車外側縫代部、としていることを特徴とする請求項4に記載の頭部保護エアバッグ。
【請求項6】
前記縫製バッグ部の前記車内側シートと前記車外側シートとの前記端縁縫代部部を含めた相互の内周面側と、前記袋織りバッグ部の前記車内側縫代部及び前記車外側壁部を含めた外周面側とに、それぞれ、ガス漏れ防止用のコーティング層が設けられ、
前記端縁縫代部と、前記車内側縫代部若しくは前記車外側縫代部と、を車内外方向に重ねて、縫合される前記縦縫合部が、相互の接触面側に前記コーティング層を配置させて、縫合されていることを特徴とする請求項4若しくは請求項5に記載の頭部保護エアバッグ。
【請求項7】
前記縫製バッグ部の前記ガス連通部と前記袋織りバッグ部の前記ガス流入部との連結部位における前記膨張用ガスの流路形状が、前記膨張用ガスの上流側から下流側に向かって、同等若しくは漸次広がるように設定されて、前記区画縫合部と前記周縁部における前記ガス流入部の周縁近傍とが、前記横縫合部を介在させて、結合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−56977(P2009−56977A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227061(P2007−227061)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】