説明

食品の乾燥方法及び装置

【課題】食品の旨みを維持しながら、乾燥効果を向上させて乾燥処理時間を短縮し、かつ食品周囲の乾燥雰囲気を常に設定された一定の温湿度環境の形成を可能として、乾燥ムラを解消する。
【解決手段】食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥方法において、内部に密閉空間を形成した乾燥室31に貫通配置されコンベア面33に多数の通気孔を有する搬送コンベア32上に食品fを載置して該食品を乾燥室31の内部に搬送し、該乾燥室の内部で搬送コンベア32の上下に配設されたノズル36a、39aから食品fに向かって垂直方向に除湿冷気rを衝突させ、食品fの上下表面に該除湿冷気の膜Rを形成することにより、乾燥室31の内部で食品fを搬送しながら乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚体や野菜等を含む食品の冷風乾燥方法及び装置に関し、乾燥時間を短縮でき、かつ食品の乾燥雰囲気を所望の温度及び湿度へ設定するのが容易であり、高品質の干物の製造が可能となるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より魚類の干物を製造する際には、鱗を除去し、場合によっては塩付けを行う等の前処理した魚体を一定時間日当たりの良い屋外に晒すことにより、太陽光及び自然風によって乾燥させて表面の水分を除去する、いわゆる天日干しと呼ばれる製造方法が広く行なわれている。天日干しでは、品質の良い干物を製造するためには、所定量の太陽光、大気温度及び水分気化のための風の有無等が主たる条件になる。
【0003】
例えば、夏場の天日干しにあっては、十分な太陽光は得やすいものの、大気温度が高過ぎるために、変色や臭気等が発生して品質が劣化しやすく、これに対して、特に冬場の天日干しでは、大気温度が低くかつ湿度も低いために、有害微生物が減少して異常発酵による変質や腐敗の進行が抑制される。そのため、低温による乾燥が効率的に行なわれて品質の良い干物を生産することができる。冷風に晒し、ゆっくり時間をかけて乾燥することにより、味が凝縮するために必要なだけの水分を抜くことができ、これによって、生さかなの風味と魚の旨味を凝縮させることができる。
【0004】
しかしながら、昔ながらの自然干しはどうしても温度や湿度の影響を受けてしまい、所望の大気温度で、かつ必要とされる日照時間が確保される時期のみに限定されるため、常に一定した数量でかつ優れた品質の干物を確実に生産することが困難であるという問題があった。加えて、魚類を屋外に晒すことになるため、空気中の異物や雑菌の付着防止や、はえ等の害虫の排除等、別途衛生面で施策が必要になるという問題があった。
【0005】
従来、天日干しの代わりに、魚類を乾燥させて干物を製造する人工的な方法として、例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、減圧乾燥、除湿冷風乾燥及びこれらを組み合わせた様々な方法が使用されていた。
このうち、除湿冷風乾燥は、前述の冬場の天日干しの環境条件を模擬することにより、品質の良い干物を生産しようとするものである。
【0006】
特許文献1(特開平11−294896号公報)には、冷風乾燥機が開示されている。従来の除湿冷風乾燥は、上下に多段に配置され金網等で多孔状に構成された収納棚に魚類を載置し、該収納棚を乾燥室内に収納し各収納棚間に一方向から冷気を流すことにより乾燥するというバッチ式乾燥方法が採用されている。特許文献2(特開2001−103905号公報)には、このような乾燥処理に用いられる収納棚が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−294896号号公報
【特許文献2】特開2001−103905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のバッチ式除湿冷風乾燥では、図12に示すように、乾燥室内で、金網等で構成された収納棚t上に載置された魚体fに対して一方向から除湿冷気の平行流cを供給する。この場合、除湿冷風cが収納棚t間の狭い隙間を一方向に流れるため、各魚体fに当る風量が少なくなり、そのため、魚体fの表面に十分に除湿冷風cが当らない。従って、各魚体fの乾燥が促進されにくいという問題がある。
【0009】
また、除湿冷風cが一方向から流れるため、除湿冷風cの風下に行くほど、乾燥が進みにくくなり、乾燥ムラの原因となる。また、収納棚tが上下に多段に重ねられているため、上下方向でも乾燥ムラが発生する。このように、従来のバッチ式除湿冷風乾燥では、乾燥効率が悪いため、乾燥時間が長くなり、かつ乾燥ムラが発生するという問題がある。
【0010】
さらに、従来のバッチ式除湿冷風乾燥では、乾燥室内の温度範囲を設定し、その温度範囲内で除湿冷却運転又は加熱運転を繰り返すことにより、乾燥室内の温度を設定温度範囲に維持させるようにしている。例えば、乾燥室内を25℃に設定した場合、室内温度が23℃になれば、加熱運転を行なって室内の温度を上昇させ、室内温度が27℃になれば、加熱運転を停止して除湿冷却運転に切り替えている。このように、乾燥室内の加熱又は冷却運転を絶えず繰り返しているため、常に設定された一定の温湿度環境とすることが困難である。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、従来のバッチ式除湿冷風乾燥方法の前記問題点を解消し、魚体や野菜等を含めた食品の旨みを維持しながら、乾燥効果を向上させて乾燥処理時間を短縮することを目的とする。また、食品周囲の乾燥雰囲気を常に設定された一様の温湿度環境の形成を可能として、乾燥ムラを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、本発明の食品の乾燥方法は、
食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥方法において、
内部に密閉空間を形成した乾燥室に貫通配置されコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベア上に食品を載置して該食品を該乾燥室の内部に搬送し、
該乾燥室の内部で該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に該除湿冷気の膜を形成することにより、
該乾燥室の内部で食品を搬送しながら乾燥させるものである。
【0013】
本発明方法は、魚体に限らず、野菜等を含む食品全体に適用可能である。魚体を乾燥対象にする場合は、鱗除去及び、場合によっては塩付け等の前処理をして開腹した魚体を対象とする。本発明方法においては、魚体、野菜、その他の食品を前記搬送コンベアに載置して密閉空間を形成した乾燥室の内部に搬送する。該乾燥室の内部で搬送コンベア上の食品に向かって該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから垂直方向に除湿冷気を衝突させる。この状態を図1に模式的に示す。図1において、被乾燥物である食品fは、多数の通気孔を有するネット式の搬送コンベアs上を矢印b方向に搬送される。除湿冷気は低湿度、例えば、相対湿度が30〜35%に設定される。
【0014】
スリットノズルn等から搬送コンベアs上の食品fに向けて垂直方向に噴射された除湿冷気rは食品fに衝突する。そして、衝突後、食品fの表面を舐めるように流れ、食品fの表面に除湿冷気rの膜Rを形成する。その後、除湿冷気rは食品fの搬送方向b又は搬送方向bと直角方向に排出される。搬送コンベアsは、例えばネット式等の多数の通気孔sを有するので、除湿冷気rは食品fの上下表裏面全体に接触する。そのため、食品fの表裏面全体から除湿乾燥が促進される。
【0015】
例えば、スリットノズルnを搬送コンベアsの上下で該搬送コンベアの幅方向に配置し、かつ各スリットノズルを搬送コンベアsの搬送方向に沿って一定ピッチで設けることにより、食品fは常に除湿冷気rの衝突を受けながら進むので、常に食品fの表面全体に密着した除湿冷気の膜が形成される。従って、食品fの乾燥が促進され、かつ乾燥ムラを防止できる。
また、除湿冷気rの温度及び湿度を搬送方向に沿って任意の温度及び湿度に調整することにより、乾燥室内の温湿度環境を搬送コンベアに沿って常に一定にすることができる。従って、食品の旨みを維持しながら、乾燥能力を向上させて乾燥処理時間を短縮することができる。
【0016】
本発明方法において、好ましくは、除湿冷気の温度を10〜40℃、好ましくは、25〜30℃とするのがよい。除湿冷気の温度を40℃以下とすることにより、有害微生物等が減少して異常発酵による変質や腐敗が抑制される。このため、変色や臭気の発生を抑えられ、品質の劣化を防ぐことができる。また、除湿冷気の温度を10℃以上とすることにより、乾燥能力を向上させて乾燥時間を短縮することができる。また、この温度範囲において、酵素、酵母菌等が十分に活動でき、そのため、旨味の成分であるアミノ態窒素や遊離アミノ酸が増大するため、従来の天日干しによって得られるものと同様の美味な干物を製造することができる。
【0017】
また、本発明方法において、乾燥室に冷蔵室又は冷凍室を隣接配置し、又は該乾燥室に閉空間を介して冷蔵室又は冷凍室を隣接配置し、食品を該乾燥室から該冷蔵室又は冷凍室に食品の温度上昇を生じさせることなく連続搬送可能にするとよい。
このようにすれば、食品の乾燥後、食品の温度上昇を生じさせることなく、冷却保管又は冷凍保管が可能になる。該冷蔵室内の温度を例えば−2〜8℃に保持することによって冷却保管する。また、該冷凍室内の温度を−20℃以下、例えば−20〜−50℃に保持することによって冷凍保管する。
【0018】
このように、乾燥処理後に、食品fの温度上昇を生じさせることなく、冷却保管又は冷凍保管できるので、食品に有害微生物等を増大させず、変質や腐敗を起こすことなく、冷却保管することができる。
【0019】
さらに、本発明方法において、乾燥室の内部に複数の搬送コンベアを同一高さで並列に配置するか又は上下方向に複数段に配置し、各搬送コンベアに乾燥所要時間の異なる食品を載置して各搬送コンベアの搬送速度を異ならしめることにより、乾燥所要時間の異なる複数種の食品を同時に乾燥処理することができる。
【0020】
また、本発明方法において、除湿冷気を噴出するノズルを、断面が先細りとなる山形に形成されかつ該山形部の先端に噴出孔(図1のn)と同一断面積をもつ助走流路(図1のd)を備え、搬送コンベアの幅方向に配置されたスリットノズルで構成し、該スリットノズルをコンベア搬送方向に沿って複数列に配置するようにするとよい。
【0021】
断面が先細りとなる山形に形成されかつ該山形部の先端に噴出孔と同一断面積をもつ助走流路を備えるようにすることにより、除湿冷気の到達距離を長くすることができる。これによって、食品に当る除湿冷気の衝突噴流の衝撃力を強めることができるので、食品表面の除湿冷気膜の形成を確実にし、食品の乾燥能力を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明方法では、搬送コンベアの搬送方向に沿って除湿冷気の温度又は湿度を調整することにより、乾燥室の内部を常に設定された温度又は湿度に保持するようにすれば、乾燥室内の温度及び湿度を搬送コンベアの搬送方向に沿って一定となるように調整することが容易になる。
【0023】
従って、従来のバッチ式冷風乾燥のように、加熱運転と冷却運転とを交互に繰り返して設定温度に調整する操作を行なう必要がない。そのため、乾燥室内の雰囲気を常に設定された一定の温湿度環境に保持することが可能になり、これによって、乾燥時間を短縮することができる。また、食品の種類によっては、搬送コンベアの上流側から下流側に沿って温度又は湿度に勾配を持たせることもできる。即ち、搬送コンベアの入口から出口に向かって下降傾向、上昇傾向あるいは上下に傾向をもたせるようにすることができる。
【0024】
また、本発明の食品の乾燥装置は、
食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥装置において、
食品の乾燥に供する除湿冷気を形成する除湿冷気形成ユニットと、内部に密閉空間を形成した乾燥室とよりなり、
該乾燥室に食品を搬送しコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベアを貫通配置し、該乾燥室の内部で該除湿冷気形成ユニットで形成された除湿冷気を該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に該除湿冷気の膜を形成させるように構成したものである。
【0025】
本発明装置においては、搬送コンベアは多数の通気孔を有するので、除湿冷気は食品の上下表裏面全体に接触する。そのため、食品の表裏面全体から除湿乾燥が促進される。また、食品は上下表面に該除湿冷気の膜を形成されながら搬送されるので、乾燥ムラを生じない。従って、冷風乾燥の特徴である食品の旨みを維持しながら、乾燥能力を向上させて乾燥処理時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明方法によれば、食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥方法において、
内部に密閉空間を形成した乾燥室に貫通配置されコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベア上に食品を載置して該食品を該乾燥室の内部に搬送し、
該乾燥室の内部で該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に該除湿冷気の膜を形成することにより、
該乾燥室の内部で食品を搬送しながら乾燥させるようにしているため、従来のバッチ式冷風乾燥と比べて乾燥能力を向上させ、乾燥時間を短縮することができるとともに、食品が載置され搬送される乾燥室内の温湿度条件の設定が容易になる。
【0027】
これによって、食品を取り巻く雰囲気を設定された一定の温湿度環境にできるため、乾燥時間を短縮できるとともに、温湿度条件を適宜設定することにより、従来の天日干しと同様の美味な干物を製造することができる。
【0028】
また、本発明装置によれば、食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥装置において、
食品の乾燥に供する除湿冷気を形成する除湿冷気形成ユニットと、内部に密閉空間を形成した乾燥室とよりなり、該乾燥室に食品を搬送しコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベアを貫通配置し、該乾燥室の内部で該除湿冷気形成ユニットで形成された除湿冷気を該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に該除湿冷気の膜を形成させるように構成したことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0030】
(実施形態1)
次に本発明を魚体の乾燥に適用した第1実施形態を図2〜図5に基づいて説明する。図2は本実施形態に係る除湿冷風乾燥装置の全体構成図である。図2において、本実施形態の除湿冷風乾燥装置は屋外に設置された屋外熱源ユニット10と、屋内に設置された乾燥器ユニット20及び搬送ユニット30とから構成されている。屋外熱源ユニット10は、NHを熱交換媒体とするヒートポンプ装置11と密閉式冷却塔12とから構成されている。
【0031】
ヒートポンプ装置11では、図示しない蒸発器でブラインとして用いられる水をNHと熱交換させて冷水とし、ポンプ13aが介設された管路13を介して乾燥器ユニット20の冷却除湿コイル24に冷水を供給する。冷却除湿コイル24では、魚体の乾燥に供した後の排冷風aを該冷水と熱交換させて排冷風aを冷却除湿する。排冷風aと熱交換した後の冷水を管路14を介してヒートポンプ装置11に戻す。
【0032】
また、ヒートポンプ装置11内の図示しない凝縮器でブラインとして用いられる水と熱交換し、該水を加熱して温水とし、該温水を管路15a及び15bを介して乾燥器ユニット20の加熱コイル22に供給する。加熱コイル22で該温水を除湿冷気の加熱に供した後、管路17を介してヒートポンプ装置11に戻す。管路15aには三方弁16が介設され、加熱コイル22に不必要な温水は管路15cを介して密閉式冷却塔12に送られる。
【0033】
密閉式冷却塔12では管路15cを介して供給された温水を補助的に冷却している。加熱コイル22に送られた該温水は、除湿冷気の加熱に供した後、管路17を介してヒートポンプ装置11へ戻す。加熱コイル22より管路17を介して戻った水と密閉式冷却塔12で冷却され管路18を介して戻った水は管路19で合流し、管路19に介設されたポンプ19aによりヒートポンプ装置11の図示しない蒸発器に戻される。かかる構成により、加熱コイル22に供給する温水量を、加熱コイル22が必要長手方向熱量に応じて調整することができる。
【0034】
乾燥器ユニット20では、魚体fの乾燥に供された排冷風aを、まず、冷却除湿コイル24でヒートポンプ装置11から送られる冷水と熱交換させて冷却し除湿する。通常、デシカント除湿ユニット23は不要であるが、通常より低湿度、低温の環境が必要な場合は、冷却除湿コイル24で冷却除湿された排冷風aをデシカント除湿ユニット23でさらに低湿度となるように除湿する。
【0035】
その後、排冷風aは、加熱コイル22でヒートポンプ装置11から送られる温水と熱交換して加熱乾燥され、必要に応じて補助加熱ヒータ21でさらに加熱されて設定された温度及び湿度に調整される。ここで排冷風aは10〜40℃で相対湿度が35%以下に調整され、除湿冷気rとして搬送ユニット30に送られる。
【0036】
搬送ユニット30には外部から密閉された乾燥室31が設けられると共に、乾燥室31には搬送コンベア32が貫設されている。乾燥室31の外部で搬送コンベア32に魚体fが載置され、魚体fは搬送コンベア32で乾燥室31の入口から内部に搬送される。そして、乾燥室31内で搬送中の魚体fに対して上下垂直方向から除湿冷気rが当てられる。
【0037】
図3は搬送ユニット30の内部を示す斜視図、図4は搬送ユニット30の内部を別な角度から示す斜視図、図5は噴射された除湿冷風cの流れを示す搬送ユニット30の一部を示す斜視図である。図3〜5において、搬送ユニット30を構成する乾燥室31は、好ましくは、断熱性の壁で構成されている。乾燥室31は、搬送コンベア32の搬送面を構成するメッシュベルト33が出入りする図示しない入口開口部及び出口開口部以外は密閉され、内部で除湿冷風rが循環する密閉空間を形成している。
【0038】
メッシュベルト33は、例えば金網等で構成され、冷風が通過できる多数の細孔を有する。ファン34は乾燥室31内の上部でフレーム31aに取り付けられている。除湿冷風rは、ファン34の駆動力により、乾燥器ユニット20から乾燥室31の隔壁に設けられた開口35を通って乾燥室31の内部に供給される。メッシュベルト33が通過する上方に上部ノズルユニット36が設けられ、上部ノズルユニット36には、複数個の上部スリットノズル36aが一体に形成されている。メッシュベルト33及び上部ノズルユニット36等は支柱37で支持されている。
【0039】
支柱37間に縦フレーム38が装架され、複数の上部ノズルユニット36が縦フレーム38に載置されている。上部ノズルユニット36は縦フレーム38に固着されず、縦フレーム38に対して持ち上げ可能に載置されている。メッシュベルト33が通過する下方位置に下部ノズルユニット39が設けられている。下部ノズルユニット39には、上部ノズルユニット36と同様に、複数個の下部スリットノズル39aが一体となって形成され、支柱37に支持された横フレーム41に支持されている。
【0040】
図3及び図4に示すように、乾燥室31の内部で、複数の上下ノズルユニット36及び39がメッシュベルト33の上下位置でメッシュベルト33の搬送方向に配置されることにより、多数の上下スリットノズル36a及び39aがメッシュベルト33の全幅方向に向いて並列配置されるとともに、メッシュベルト33の搬送方向に沿って多段に配置される。そして、上下スリットノズル36a及び39aの冷風噴出孔はメッシュベルト33に向けられている。
【0041】
図6に示すように、上下スリットノズル36a及び39aは、断面が先細りの山形36b、39bをなし、該山形部の先端に噴出孔36c、39cと同一断面積をなす助走管路dが設けられている。これによって、噴出孔36c、39cから噴出する除湿冷風rの到達距離を長くすることができる。そのため、魚体fに当る除湿冷風rの押圧力を高めることができ、魚体fに当った除湿冷風rを魚体fの表面にさらに密着させることができるので、乾燥能力を高めることができる。
【0042】
本発明において、上下スリットノズル36a及び39aは、魚体fの種類に応じてエアカーテンを形成するごとく、メッシュベルト33の幅方向に連続した開口を有してもよいし、あるいはメッシュベルト33の幅方向に断続的に噴出孔を配置するようにしてもよい。
【0043】
メッシュベルト33の両側には、縦フレーム38と交互にダクト42が配置され、ダクト42の開口42aが縦フレーム38と同一高さで上方に開口している。除湿冷風rは、ファン34で矢印のように上部ノズルユニット36のほうに向けられる。除湿冷風rの一部はダクト42の開口42aからダクト42内に導入されて、下部ノズルユニット39の下方に配置されたダクト43に導入される。その後下部スリットノズル39aからメッシュベルト33の下面に向けて上向きに噴出され、メッシュベルト33の下面から魚体fを冷却する。
【0044】
なおメッシュベルト33は、本実施形態では、熱伝達率の良いスチール製でつくられているため、除湿冷気rの冷気の熱伝達率が良く、除湿冷気rで急速に冷却されて、魚体fの冷却効果を高めることができる。
【0045】
かかる構成の本実施形態において、図5に示すように、乾燥室31の内部でメッシュベルト33に魚体fを載置して矢印b方向に移動する。一方、除湿冷風rは、図3又は図4の矢印で示すように、ファン34によって上部ノズルユニット36に向けられ、上部スリットノズル36aからメッシュベルト33の魚体fに向けて垂直方向に噴出され、魚体fを冷却する。除湿冷風rの一部はダクト42の開口42aに導入され、ダクト42からダクト43及び及び下部スリットノズル39aを経て下部スリットノズル39aの噴出孔39cからメッシュベルト33の下面に向けて垂直方向に噴出する。
【0046】
魚体fの上面及び下面に衝突した除湿冷風rは、図1に示すように、コアンダ効果により魚体fの全表面をなめるように流れた後、図5に示すように、上下スリットノズル36a及び39aの間に形成された凹部(排気路)44を通って、矢印e方向、即ちメッシュベルト33の両側方へ排出される。その後該排冷風aは、乾燥室31の隔壁に設けられた開口45を通って乾燥器ユニット20に戻る。
【0047】
本実施形態によれば、断面が先細りとなる山形に形成されかつ該山形部の先端に噴出孔36c、39cと同一断面積をもつ助走管路dを有する上下スリットノズル36a、39aにより整流されかつ流れに方向性を有し、到達距離hを長くした除湿冷風rを魚体fに対し垂直方向に衝突させるため、コアンダ効果により魚体fの全長に亘り魚体fの表面に密着した状態で魚体fを包む安定した薄膜流R(図1参照)を形成することができる。従って、魚体fの除湿効果をきわめて良好にし、魚体fの乾燥効果を向上できる。
【0048】
また、除湿冷風rを乾燥室31内の上方空間に供給し、上部スリットノズル36aを通して魚体fに噴出した後、メッシュベルト33の搬送方向と直角方向に配置した排気路44に排出し、一方、除湿冷風rの一部をメッシュベルト33の両側に設けられたダクト42を通って下部スリットノズル39aに導入し、下方から魚体fに噴出した後、排気路44に排出している。このような除湿冷風rの循環経路を形成したことによって、魚体fに噴出した後の排冷風aが魚体fに噴出される除湿冷風r及び魚体f周辺の雰囲気を乱すことなく、スムーズにメッシュベルト33の周辺から排出される。
【0049】
また、排冷風aの排気路44を上下スリットノズル36a,39a間の凹部にメッシュベルト33の側方に向けて並列に形成したことによって、排気路44の形成が該上下スリットノズルの配置を阻害することがなくなる。そのため、除湿冷風rの魚体fへの噴射と排冷風aの排出を圧力損失を極力低減して行なうことができるいう利点がある。
【0050】
また、スリットノズル36a、39aを複数個ずつ一体に構成した上下ノズルユニット36及び39を配置したため、スリットノズルの製造及び取り付けがきわめて容易になる。さらには、上部ノズルユニット36をメッシュベルト33の両側方に設けられた縦フレーム38上に持ち上げ可能に載置することにより、洗浄、その他の保守点検の際に、上部ノズルユニット36の取り外しがきわめて容易になるという利点がある。
【0051】
なお、本実施形態では、乾燥室31内で同一の温度及び湿度に設定された除湿冷風rを用いているが、ノズルユニットごとに異なる温度又は湿度の除湿冷風rを噴射させるようにして、搬送方向に沿って噴射する除湿冷風rの温度又は湿度を異ならしめるようにしてもよい。例えば、乾燥室31の入口側で比較的高温度及び高湿度の除湿冷風rを噴射させ、出口側に向かって低温度及び低湿度の除湿冷風rとし、搬送方向に沿って温度及び湿度に勾配をもたせることにより、魚体fを表面から内部まで均一に乾燥させることができる。これによって、表面にひび割れを生じない旨みのある干物を製造することができる。
【0052】
また、本実施形態では、図7に示すように、搬送ユニット30の搬送方向下流側に冷蔵室又は冷凍室50が設けられている。そして、搬送ユニット30と冷蔵室又は冷凍室50との間には閉空間51が形成され、閉空間51の内部は乾燥室31内と近似した温湿度状態を保っている。搬送ユニット30で乾燥処理を終了した魚体fは、搬送コンベア32に載置されたまま冷蔵室又は冷凍室50に搬送される。
【0053】
その際、搬送ユニット30と冷蔵室又は冷凍室50との間は閉空間51が形成されているので、搬送ユニット30で乾燥処理された魚体fを温度上昇させることなく、連続的にに冷蔵室又は冷凍室50に搬送することができる。従って、乾燥処理後に、魚体fに有害微生物等を増大させず、変質や腐敗を起こすことなく、冷却保管又は冷凍保管することができる。なお、本実施形態では、ブラインとして水を用いることにより、夜間に氷を製造する氷蓄熱システムや、冷水、冷海水を製造するシステムの設置が可能になる。また、温熱(温水)側を利用し、乾燥ユニット20の内部洗浄水を製造(蓄熱)することが可能である。
【0054】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図8に基づいて説明する。図8において、本実施形態は、搬送ユニット30に対して3組の搬送コンベア61〜63を並列に配設したものである。被乾燥処理体となる魚体は、魚種又は前処理時に加えられた原料の脂分によって乾燥所要時間が異なる。搬送コンベア61は搬送速度が大のコンベアであり、ここには乾燥所要時間が短い魚体fを載置する。搬送コンベア62は搬送速度が中のコンベアであり、ここには乾燥所要時間が中間の魚体fを載置する。搬送コンベア63は搬送速度が小のコンベアであり、ここには乾燥所要時間が長い魚体fを載置する。
【0055】
かかる構成によって、乾燥所要時間の異なる複数種の魚体fを同時に乾燥処理することができるので、全体の乾燥処理時間を短縮することができる。
【0056】
(実施形態3)
次に本発明の第3実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態は、複数の搬送コンベアを上下方向に配置した実施形態を示す。図9において、搬送ユニット30の内部に、4段の搬送コンベア71a〜dが上下方向に配置されている。そして、これら搬送コンベアの上下位置に、前記第1実施形態で用いられた上下ノズルユニットが配置され、各搬送コンベアに上下方向から除湿冷風rの衝突噴流を吹き付けるように構成されている。
【0057】
搬送ユニット30の上流側には、投入用ストックローラコンベア72が配設されている。投入用ストックローラコンベア72は、支持フレーム74に上下方向に固定された4段のローラコンベア73a〜dからなる。該各ローラコンベアのコンベア面が搬送コンベア71a〜dのコンベア面と同一高さに配置され、各ローラコンベア73a〜dにトレイ79を介して載置された魚体fが搬送ユニット30内の搬送コンベア71a〜dに乗せ替えられるようになっている。
【0058】
搬送ユニット30の下流側には、排出用ストックローラコンベア75が配設されている。排出用ストックローラコンベア75も支持フレーム77に上下方向に固定された4段のローラコンベア76a〜dからなる。該各ローラコンベアのコンベア面が搬送コンベア71a〜dのコンベア面と同一高さに配置され、各搬送コンベア71a〜dで乾燥処理された魚体fが、ローラコンベア76a〜dに乗せ替えられて、搬送ユニット30の外に搬出される。
【0059】
本実施形態においても、前記第2実施形態と同様に、乾燥所要時間の異なる複数種の魚体fを同時に乾燥処理することができるので、全体の乾燥処理時間を短縮することができる。なお、図9中、一点斜線78a〜cは、夫々バッチ処理用の扉である。魚体fをバッチ式で乾燥処理したいときは、扉78a〜cのいずれかを開けて、魚体fが載置されたトレイ79を左右方向(紙面と直角方向)に動かして、魚体fを搬送ユニット30外に取り出すようにする。
【0060】
(実施形態4)
次に、本発明の第4実施形態を図10に基づいて説明する。図10において、本実施形態では、屋内型乾燥機ユニット80と、屋外型熱源ユニット90とが設けられている。屋内型乾燥機ユニット80は、乾燥器ユニット81と搬送ユニット82とからなる。乾燥器ユニット81には、冷却除湿コイル83と加熱コイル84とが設けられ、搬送ユニット82で魚体fの乾燥に供した排冷気aを冷却除湿コイル83で冷却除湿した後、加熱コイル84で加熱して除湿冷気rをつくり、この除湿冷気rをファン85で搬送ユニット82に戻すようにしている。
【0061】
搬送ユニット82では、魚体fを載置して搬送する搬送コンベア86が上下方向に多段に配置されている。除湿冷気rは、ダクト87を通り、搬送コンベア86の上下位置に配置されたダクト88を介して、ノズルユニット89から魚体fに噴射される。
【0062】
屋外型熱源ユニット90は、NHを熱交換媒体とするヒートポンプ装置91と、密閉式冷却塔92と、氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93と、温水槽94とを備えている。ヒートポンプ装置91で冷却されたブラインとしての水は、ポンプ96が介設された管路95aに排出され、三方弁97及び管路95bを経て冷却除湿コイル83に供給される。そして、冷却除湿コイル83で排冷風aと熱交換して排冷風aを冷却除湿させた後、管路98a及び98bを通ってヒートポンプ装置91に戻る。
【0063】
ヒートポンプ装置91で加熱された温水は、管路99aに排出され、三方弁101及び管路99bを通って加熱コイル84に供給される。加熱コイル84で排冷風aと熱交換して排冷風aを加熱した後、管路102、三方弁103、管路104、三方弁105及びポンプ107が介設された管路106を通ってヒートポンプ装置91に戻る。なお、温水の一部は三方弁101から管路99cを経て、密閉式冷却塔92に供給され、密閉式冷却塔92で補助的に冷却される。これによって、加熱コイル84に供給される温水の流量を加熱コイル84の必要熱量に応じて調節することができる。密閉式冷却塔92で冷却された温水は、管路108、104及び106を通ってヒートポンプ装置91に戻される。
【0064】
ヒートポンプ装置91から管路95aに排出された冷水の一部は、分岐管路95cを介して氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93に送られ、氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93の冷熱源として供される。氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93の冷熱源として供された後の冷水は、管路95dから管路98aに戻される。また、加熱コイル22から管路102に排出された温水の一部は、三方弁103から管路109を経て温水槽94に供給され、温水槽94の熱源として供される。温水槽94の熱源に供された温水は、温水槽94から管路110を経てヒートポンプ装置91に戻される。
【0065】
本実施形態によれば、ヒートポンプ装置91のブラインとして用いられる水の冷熱を氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93の冷熱源に供し、氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽93で蓄えた冷水を管路111から、仕込み水や工場内の空調設備等に供給することができる。
また、ヒートポンプ装置91のブラインとして用いられる温水の熱で温水槽94内に40℃の温水をつくり、該温水を洗浄用水や解凍用熱源等として使用することができる。
【実施例】
【0066】
次に、本発明の実施例を図11に基づいて説明する。本実施例は、本発明の前記第1実施形態の装置を用いて行ったものであり、比較例として、乾燥室内に収納棚を置いて乾燥処理したバッチ式冷風乾燥を行なった。その結果を図11に示す。図11において、本発明方式では、10℃及び25℃の除湿冷風rを用いて行なったが、25℃の除湿冷風rを用いた場合では、従来方式と比べて、乾燥時間が1/4〜1/5に短縮できる。
【0067】
また、本発明方式では、10℃の除湿冷風rを用いた場合でも、従来方式を比べて、乾燥時間を1/2に短縮できることがわかった。従って、本発明では10℃の低温冷風でも除湿能力が高いことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、魚体や野菜等を含めて食品全体の乾燥処理を短時間で連続的に行うことができ、乾燥物の生産効率を向上させることができる。また、乾燥ムラをなくし、従来の天日干しと同様の旨みのある干物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の除湿冷気の挙動を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る乾燥装置の全体構成図である。
【図3】前記第1実施形態の搬送ユニット30の内部を示す斜視図である。
【図4】前記第1実施形態の搬送ユニット30の内部を別な角度から示す斜視図である。
【図5】前記第1実施形態に係る搬送ユニット30の一部を示し、噴射された除湿冷風cの流れを示す斜視図である。
【図6】前記第1実施形態の搬送コンベア32付近の断面図である。
【図7】前記第1実施形態の搬送コンベア32に沿う装置全体の平面視配置図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る装置全体の平面視配置図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る乾燥装置の正面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る乾燥装置の全体構成図である。
【図11】本発明の実施例を示す線図である。
【図12】従来方式の乾燥工程を示す模式図である。
【符号の説明】
【0070】
10、90 屋外熱源ユニット
11、91 ヒートポンプ装置
20、81 乾燥器ユニット(除湿冷気形成ユニット)
22、84 加熱コイル(第2熱交換器)
24、83 冷却除湿コイル(第1熱交換器)
30、82 搬送ユニット
31 乾燥室
32、61〜63、71a〜d 搬送コンベア
33 メッシュベルト
36a 上部スリットノズル
36b、39b 山形部
39a 下部スリットノズル
36c、39c 噴出孔
50 冷蔵室又は冷凍室
51 閉空間
93 氷蓄熱槽又は冷水(海水)槽
94 温水槽
d 助走管路
f 魚体(食品)
噴出孔
r 除湿冷気
R 除湿冷気膜
s 搬送コンベア
空気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥方法において、
内部に密閉空間を形成した乾燥室に貫通配置されコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベア上に食品を載置して該食品を該乾燥室の内部に搬送し、
該乾燥室の内部で該搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に該除湿冷気の膜を形成することにより、
該乾燥室の内部で食品を搬送しながら乾燥させることを特徴とする食品の乾燥方法。
【請求項2】
食品が前処理して開腹した魚体であることを特徴とする請求項1に記載の食品の乾燥方法。
【請求項3】
除湿冷気が10〜40℃の温度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品の乾燥方法。
【請求項4】
前記乾燥室に冷蔵室又は冷凍室を隣接配置し、又は該乾燥室に閉空間を介して冷蔵室又は冷凍室を隣接配置し、
食品を該乾燥室から該冷蔵室又は冷凍室に該食品の温度上昇を生じさせることなく連続搬送可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の食品の乾燥方法。
【請求項5】
乾燥室の内部に複数の搬送コンベアを同一高さで並列に配置するか又は上下方向に複数段に配置し、各搬送コンベアに乾燥所要時間の異なる食品を載置して各搬送コンベアの搬送速度を異ならしめることにより、乾燥所要時間の異なる複数の食品を同時に乾燥処理することを特徴とする請求項1に記載の食品の乾燥方法。
【請求項6】
前記ノズルが、断面が先細りとなる山形に形成されかつ該山形部の先端に噴出孔と同一断面積をもつ助走流路を備え、前記搬送コンベアの幅方向に配置されたスリットノズルであって、該スリットノズルがコンベア搬送方向に沿って複数列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の食品の乾燥方法。
【請求項7】
搬送コンベアの搬送方向に沿って除湿冷気の温度又は湿度を調整することにより、乾燥室の内部を常に設定された温度又は湿度に保持するようにしたことを特徴とする請求項1又は6に記載の食品の乾燥方法。
【請求項8】
食品に冷風を吹き付けて乾燥する食品の乾燥装置において、
食品の乾燥に供する除湿冷気を形成する除湿冷気形成ユニットと、内部に密閉空間を形成した乾燥室とよりなり、
該乾燥室に食品を搬送しコンベア面に多数の通気孔を有する搬送コンベアを貫通配置し、乾燥室の内部で除湿冷気形成ユニットで形成された除湿冷気を搬送コンベアの上下に配設されたノズルから食品に向かって垂直方向に除湿冷気を衝突させ、食品の上下表面に除湿冷気の膜を形成させるように構成したことを特徴とする食品の乾燥装置。
【請求項9】
除湿冷気形成ユニットが乾燥室で食品の乾燥に供した後の排冷風を冷却除湿する第1熱交換器と、該熱交換器で冷却除湿された排冷風を加熱する第2熱交換器とを備え、
第1熱交換器に冷媒体を供給すると共に、第2熱交換器に熱媒体を供給するヒートポンプ装置を備えたことを特徴とする請求項8に記載の食品の乾燥装置。
【請求項10】
氷蓄熱槽と温水槽とを備え、前記冷媒体の一部の保有冷熱を該氷蓄熱槽の冷熱源として供し、前記熱媒体の一部の保有熱を該温水槽の熱源に供するように構成したことを特徴とする請求項9に記載の食品の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−213357(P2009−213357A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57066(P2008−57066)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】