説明

食品処理装置

【課題】より効率的に、除外物を処理対象物から分離することを目的とする。
【解決手段】水槽12の横断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成し、水槽12の一方の上側縁部21aに側縁開口部22を設けると共に、すだれ部23を設け、側縁開口部22を設けた上側縁部21aの外側に樋部26を設け、この樋部26の一部に分離部27aを設け、分離部27aの下方に排水回収部27を設け、側縁開口部22が設けられた側の側壁又は底壁に水送出装置31を設け、水送出装置31から、所定の水流を生じさせ、かつ、この水流を、所定の第1水流、及び第2水流に分離させ、側縁開口部22に向かう第1水流にのって、除外物を樋部26に排出させると共に、水槽12の底部に向かう第2水流にのって、除外物を分離した処理対象物を水槽12の底部に送って、再び、上記水流にのせることにより、処理対象物に付随する除外物を分離除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物の洗浄や加温処理等の処理、及び搬送を行う食品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を洗浄する装置としては、特許文献1に示すような、上面が開放された水槽内に、上面が開放された処理籠を収納し、上記処理籠を上記水槽内で支持すると共に、これを水槽外部まで持ち上げてこの処理籠の開放面が一方向に傾斜するように回動させる駆動装置を設けてなる装置があげられる。
【0003】
この装置は、水槽の底部に空気噴出装置を設け、これから空気を噴出してバブリングすることにより、処理籠内の食品が洗浄され、この食品に付着しているごみを分離させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−266800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の空気噴出装置を用いて分離された除外物は、その大半が樋部から外部に出されるものの、一部のごみは、再び食品と接触するため、除外物と食品の付着が生じてしまい、洗浄が不十分となってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、より効率的に、ごみを食品から分離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この第1の発明は、上面が開放された水槽で処理を行う食品処理装置において、上記水槽の横断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成し、上記水槽の一方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部を設けると共に、上記水槽の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、上記側縁開口部を設けた上側縁部の外側に、上記側縁開口部から溢れる水を受ける樋部を設け、この樋部の一部に複数の穴を有する分離部を設け、分離部の下方に排水回収部を設け、上記側縁開口部が設けられた側の側壁又は底壁に、この水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、上記水槽に水を溜め、除外物の付着した処理対象物を投入し、上記水送出装置を駆動させることにより、上記処理対象物から除外物を分離させ、上記水送出装置を駆動させることにより、この水送出装置から、上記水槽の底壁又は上記水送出装置に相対する側壁、上記水槽の水面付近、及び上記すだれ部に向かう水流を生じさせ、かつ、この水流を、上記すだれ部を経由して、上記水槽の側縁開口部に向かう第1水流、及び上記すだれ部を経由して、上記水槽の底部に向かう第2水流に分離させ、上記の側縁開口部に向かう第1水流にのって、上記除外物を上記樋部に排出させると共に、上記水槽の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物を分離した処理対象物を上記水槽の底部に送って、再び、上記水流にのせることにより、処理対象物に付随する除外物を分離除去することを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、上面が開放された水槽で処理を行う連続食品処理装置において、上記水槽の横断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成し、上記水槽の一方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部を設けると共に、上記水槽の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、上記水槽の他方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、凹状段部を設け、この凹状段部には、処理対象物留出防止部材が取り付けられ、上記水槽の両上側縁部の外側に、上記の側縁開口部及び凹状段部から溢れる水を受ける樋部を設け、上記樋部の終端部に、上記の溢れる水を回収する排水回収部を設けると共に、この排水回収部に、複数の穴を有する分離部を設け、上記側縁開口部が設けられた側の側壁又は底壁の数カ所に、この水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、上記水槽の一方の端部に、この水槽内部から水槽外部に向かうコンベアが設けられ、上記水槽に水を溜め、上記コンベアが設けられた端部と反対側の端部に、除外物の付着した処理対象物を投入し、上記水送出装置を駆動させることにより、上記処理対象物から除外物を分離させ、上記水送出装置を駆動させることにより、この水送出装置から、上記水槽の底壁又は上記水送出装置に相対する側壁、上記水槽の水面付近、及び上記すだれ部に向かう水流を生じさせ、かつ、この水流を、上記すだれ部を経由して、上記水槽の側縁開口部に向かう第1水流、上記すだれ部を経由して、上記水槽の底部に向かう第2水流、及び上記水送出装置に相対する側壁から上記凹状段部へ向かう第3水流に分離させ、上記の側縁開口部に向かう第1水流及び凹状段部へ向かう第3水流にのって、上記除外物を上記樋部に排出させると共に、上記水槽の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物を分離した処理対象物を上記水槽の底部に送って、上記水送出装置による水流、又は他の水送出装置による水流にのせることにより、処理対象物に付随する除外物を分離除去し、上記コンベアにより、除外物を除去した処理対象物を取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる食品処理装置は、水槽内を回る水流と、水槽外に出る水流を生じさせる。このため、すだれ部によって処理対象物と除外物とを分離するので、上記の水槽外に出る水流に除外物をのせることにより、除外物のみを水槽外に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
この発明は、図1〜図5に示す食品処理装置11にかかる第1発明と、図6〜図8に示す食品処理装置11’にかかる第2発明からなる。
【0011】
<第1発明にかかる食品処理装置11について>
第1発明にかかる食品処理装置11は、図1〜図3に示すように、上面が開放された上面開口部12aを有する水槽12で処理を行う装置である。
【0012】
上記水槽12は、水を溜めることのでき、架台33に取り付けられる。また、この水槽12の横断面、すなわち、この水槽12の両端面を結ぶ方向に対する直角方向の断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成する。これにより、後述する水流をおこしやすくなる。特に、この断面が、図1に示すように、上面開口部12aを除いて円形を有すると、後述する水流をよりおこしやすくなり、好ましい。
【0013】
上記水槽12の一方の上側縁部21aに沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部22が設けられる。この側縁開口部22は、図5に示すように、各種の食品や食品加工品等からなる処理対象物13から分離されたごみや食品くず(以下、「除外物」と称する。)14を、後述する水槽12の樋部26に送り出すための開口部である。
【0014】
また、上記水槽12の内側であって、上記側縁開口部22の近傍に、すだれ部23を設けられる。このすだれ部23は、水槽12に回転自在に取り付けたすだれ支持部23aと、このすだれ支持部23aに一定間隔を開けて取り付けた多数のくし部23bからなる。このすだれ部23は、図5に示すように、処理対象物13が側縁開口部22から水槽12の樋部26に出るのを防止するために設けられるものであり、上記くし部23bは、側縁開口部22がすだれ部23の遠方となる位置で見たとき、側縁開口部22を、一定間隔を開けて覆うように設けられる。また、すだれ支持部23aのくし部23b間の距離は、上記除外物14の大きさにあわせて設定すればよい。
【0015】
ところで、図2において、上記水槽12の一方の上側縁部21aに沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、1つの側縁開口部22が設けられるが、それ以外にも、上記水槽12の一方の上側縁部21aに沿って、複数の側縁開口部22を直列に配してもよい。このようにすることにより、1つの側縁開口部22と隣の側縁開口部22との間の仕切り部が存在することとなり、側縁開口部22が設けられる水槽12の上側縁部21aの強度を増すことができる。なお、この場合、すだれ部23のくし部23bは、側縁開口部22の配置にあわせて設ければよい。
【0016】
上記側縁開口部22を設けた上側縁部21aの外側に、上記側縁開口部22から溢れる水を受ける樋部26を設ける。この樋部26で、水槽12から水をオーバーフローさせたとき、溢れた水を回収することができる。
【0017】
上記樋部26は、図1、図2や図4に示すように、上記水槽12側に、溢れた水が通る水通路26aが設けられ、上記水槽12から遠い側に、細かい穴のあいた分離部27a、及び凸状段部26bが設けられる。そして、水槽12から溢れた水は、水通路26aを通って分離部27aに至り、分離部27aの細かい穴より水のみが落下し、除外物14は、細かい穴を通らずに、分離部27a上に残る。落下した水は、分離部27aの下方に設けられた排水回収部27に回収され、後述する水送出装置31に送られ、水送出装置31から送り出される水の一部(又は全部)として使用されることにより、水槽12内に戻される。
【0018】
上記の分離部27aとしては、樋部26の所定の位置にパンチングして多数の穴をあけたものや、金属板等の板にパンチングして多数の穴をあけたものや、所定のメッシュや網目の大きさを有する織布や不織布等を、樋部26の所定の位置に取り付けたもの等があげられる。
また、上記水送出装置31としては、スクリュー装置、ポンプ等があげられる。
【0019】
なお、上記凸状段部26bは、上記水槽12から遠い側の樋部26の部分で、分離部27aが形成されていない箇所に、溢れた水が溜まるのを防止するために設けられるものである。このため、上記水槽12から遠い側の樋部26の部分の全面に分離部27aが形成された場合は、凸状段部26bは設けられない。また、上記分離部27aに設けられた細かい穴の大きさは、除去対象の除外物14の大きさに合わせて、適宜選択される。
【0020】
上記側縁開口部22が設けられた側の側壁又は底壁に、この水槽12の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置31が設けられる。この水送出装置31は、撹拌羽根32を有し、この撹拌羽根32を回転させて、水送出装置31に供給される水を水槽12内に送り出す装置である。
【0021】
この水送出装置31が設けられると、この水送出装置31が設けられる水槽12の境界部は、開放されることとなるが、単に開放されると、処理対象物13や除外物14が水送出装置31の撹拌羽根32等に絡まるおそれが生じる。このため、水送出装置31が設けられる水槽12の境界部には、処理対象物13や除外物14が通過できない程度の穴や網目を有するネット等を設けるのが好ましい。
【0022】
水を溜めた上記水槽12に、除外物14の付着した処理対象物13を投入したとき、上記水送出装置31を駆動させると、この水送出装置31の撹拌力により、処理対象物13から除外物14を分離させることができる。
【0023】
また、上記の水送出装置31を駆動させると、この水送出装置31から、上記水槽12の底壁又は上記水送出装置31に相対する側壁、上記水槽12の水面付近、及び上記すだれ部23の順に向かう水流が生じる。そして、上記すだれ部23を経由して、上記側縁開口部22に向かい、側縁開口部22から樋部26に流れる第1水流と、上記すだれ部23を経由して、水槽12の底部に向かう第2水流に分かれるが、この第2水流は、上記水送出装置31によって送り出される上記水流と合流するので、水槽12内は、上記水送出装置31により、一方向に循環する水流を生じさせることとなる。
【0024】
水槽12内に温水又はスチームを供給して水槽12内の水の温度を上昇させると、水槽12に供給される処理対象物の加温処理をすることができる。この加温処理とは、処理対象物に水を介して熱を加える処理をいい、例えば、処理対象物を炊いたり、煮たり、茹でたりする処理があげられる。
【0025】
上記水槽12内の温度を上昇させるために、温水を供給する手段としては、水槽12に設けられた給水口(図示せず)から直接、温水を供給する方法や、水送出装置31に送られ、噴射される水の一部(又は全部)として、温水又はスチームを供給する方法があげられる。
【0026】
次に、この第1発明にかかる食品処理装置11の機作について説明する。まず、洗浄や加温等の処理の対象となる除外物14を付随する処理対象物13を、水を溜めた水槽12内に入れる。次いで、水送出装置31を駆動し、その水流の勢いで、処理対象物13に付随していた除外物14を分離する。
【0027】
また、加温処理する場合は、後述するように、水槽12内の水を対流させることができ、温度むらをなくし、処理対象物を均一に加温処理することができる。さらに、水送出装置31に供給される水の温度によっては、さらなる加温も可能となる。
【0028】
さらにまた、上記水送出装置31を駆動させると、この水送出装置31から、水槽12の底壁又は水送出装置31に相対する水槽12の側壁、水槽12の水面、及びすだれ部23に向かう水流が生じる。そして、すだれ部23を経由して、側縁開口部22から樋部26に向かう第1水流、及びすだれ部23を経由して、水槽12の底部に向かう第2水流が分離して生じる。
【0029】
図5に示すように、上記のすだれ部23で、処理対象物13は、進路を妨害されるので、水槽12の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物14を分離した処理対象物13を上記水槽の底部に送る。そして、再び水送出装置31から発する水流に合流し、上記の処理対象物13は、この一方向に循環する水流にのる。
【0030】
一方、図5に示すように、上記除外物14は、上記のすだれ部23を通過し、水槽12の側縁開口部22に向かう。そして、この除外物14は、水と共に側縁開口部22から樋部26に排出される。樋部26に送られた水は、排水回収部27に送られ、除外物14が、分離された後、水送出装置31を介して、水槽12内に戻される。
【0031】
除外物14が十分に排出された後、水送出装置31を停止し、水槽12中の処理対象物13を取り出すことにより、除外物14を分離除去した処理対象物13が得られ、次工程に送ることができる。
【0032】
その後、次の処理対象物13の洗浄や加温処理等の処理を行う。このとき、水槽12の水が多い場合は、水槽12の底から、排水口28aを経由して、排水弁28bから水を排出すればよい。また、水槽中の水の量が少ないときは、水槽12や水送出装置31に設けられた給水口(図示せず)から水を供給すればよい。
【0033】
<第2発明にかかる食品処理装置11’について>
次に、第2発明について説明する。第2発明にかかる食品処理装置11’は、図6〜図8に示すように、上面が開放された上面開口部12a’を有する水槽12’で処理を行う装置である。
【0034】
上記水槽12’は、水を溜めることのでき、架台33’に取り付けられる。また、この水槽12’の横断面、すなわち、この水槽12’の両端面を結ぶ方向に対する直角方向の断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成する。これにより、後述する水流をおこしやすくなる。特に、この断面が、図7に示すように、上面開口部12a’を除いて円形を有すると、後述する水流をよりおこしやすくなり、好ましい。
【0035】
上記水槽12’の一方の上側縁部21a’に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部22’が設けられる。この側縁開口部22’は、図7に示すように、各種の食品や食品加工品等からなる処理対象物13から分離されたごみや食品くず(以下、「除外物」と称する。)14を、後述する水槽12’の樋部26’に送り出すための開口部である。
【0036】
また、上記水槽12’の内側であって、上記側縁開口部22’の近傍に、すだれ部23’を設けられる。このすだれ部23’の構成及び役割は、上記すだれ部23と同様である。
【0037】
ところで、図6や図8において、上記水槽12’の一方の上側縁部21a’に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、1つの側縁開口部22’が設けられるが、それ以外にも、上記水槽12’の一方の上側縁部21a’に沿って、複数の側縁開口部22’を直列に配してもよい。このようにすることにより、1つの側縁開口部22’と隣の側縁開口部22’との間の仕切り部が存在することとなり、側縁開口部22’が設けられる水槽12’の上側縁部21a’の強度を増すことができる。
【0038】
上記水槽12’の他方の上側縁部21b’に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、凹状の段部(以下、「凹状段部」と称する。)24’が設けられる。そして、この凹状段部24’には、処理対象物留出防止部材25’が取り付けられる。上記凹状段部24’が設けられることにより、後述する水槽12’内の水の水流の一部が、この凹状段部24’から、水槽12’外に飛び出る。特に、水槽12’の断面が、図7に示すように、上面開口部12a’を除いて円形を有する場合、水槽12’内の水の水流の一部が、この凹状段部24’から、水槽12’外に飛び出しやすくなる。
【0039】
上記の凹状段部24’から水槽12’外に飛び出す水に処理対象物13が含まれるのは好ましくないため、この処理対象物13の飛び出しを防ぐため、凹状段部24’には、上記処理対象物留出防止部材25’が取り付けられる。この処理対象物留出防止部材25’は、水は通すが、処理対象物13は通さない隙間、穴等を有する、スリット、網等からなる。この隙間や穴の大きさは、処理対象物13にしたがって、適宜選択される。
【0040】
また、この処理対象物留出防止部材25’は、水槽12’に固着して取り付けてもよいが、この処理対象物留出防止部材25’に付着する除外物14を洗浄除去するため、脱着自在に取り付けるのが好ましい。
【0041】
上記水槽12’の両上側縁部21a’、21b’の外側に、上記側縁開口部22’及び凹状段部24’から溢れる水を受ける樋部26’を設ける。この樋部26’で、水槽12’から水をオーバーフローさせたとき、溢れた水を回収することができる。
【0042】
上記樋部26’は、図6や図7に示すように、上記側縁開口部22’及び凹状段部24’から溢れる水を受けることができるように、それぞれの場所に設けられる。そして、水槽12’から溢れた水は、各樋部26’を通って、水槽12’の後端部に設置された排水回収部27’に回収される。この排水回収部27’の上部には、複数の穴を有する分離部27a’を有し、ここで、分離部27a’の穴より水のみが排水回収部27’内に回収され、除外物14は、細かい穴を通らずに、分離部27a’上に残る。なお、上記分離部27a’に設けられた穴の大きさは、除去対象の除外物14の大きさに合わせて、適宜選択される。上記分離部27a’の例としては、上記分離部27aと同様の例をあげることができる。
【0043】
回収された水は、後述する水送出装置31’に送られ、水送出装置31’から送り出される水の一部(又は全部)として使用されることにより、水槽12’内に戻される。また、回収された水の一部は、戻し配管34’を経由して、水槽12’の前端部から水槽12’内に戻される。この戻し配管34’から戻される水により、水槽12’内の水は、水槽12’の前端から後端に向かう流れを得ることができる。上記水送出装置31’としては、上記水送出装置31と同様の例をあげることができる。
【0044】
また、水槽12’内の水は、水槽12’の前端から後端に向かう流れを得る他の方法として、水槽12’の後端にゲート(図示せず)を設け、このゲートを開け、水槽12’内の水を排水回収部27’に送出する方法があげられる。
【0045】
なお、水槽12’の前端から後端に向かう水の流れを得る方法としては、上記の戻し配管34’を設ける方法以外に、上記戻し配管34’の代わりに、水槽12’の前端部に、後端に向かって水送出装置を設けてもよい。
【0046】
上記側縁開口部22’が設けられた側の側壁又は底壁の数カ所に、この水槽12’の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置31’が設けられる。この水送出装置31’は、上記水送出装置31と同等のものである。
【0047】
この水送出装置31’が設けられると、この水送出装置31’が設けられる水槽12’の境界部は、開放されることとなるが、単に開放されると、処理対象物13や除外物14が水送出装置31’の撹拌羽根32’等に絡まるおそれが生じる。このため、水送出装置31’が設けられる水槽12’の境界部には、処理対象物13や除外物14が通過できない程度の穴や網目を有するネット等を設けるのが好ましい。
【0048】
水を溜めた上記水槽12’に、除外物14の付着した処理対象物13を投入したとき、上記水送出装置31’を駆動させると、この水送出装置31’の撹拌力により、処理対象物13から除外物14を分離させることができる。
【0049】
また、上記水送出装置31’の方向を、水槽12’の前端から後端に向かう方向に、少し向けることにより、上記水送出装置31’を駆動させると、水が水槽12’の前端から後端に向かう方向に向かう力が与えられる。
【0050】
また、上記の水送出装置31’を駆動させると、この水送出装置31’から、上記水槽12’の底壁又は上記水送出装置31’に相対する側壁、上記水槽12’の水面付近、及び上記すだれ部23’の順に向かう水流が生じる。そして、上記すだれ部23’を経由して、上記側縁開口部22’に向かい、側縁開口部22’から樋部26’に流れる第1水流、上記すだれ部23’を経由して、水槽12’の底部に向かう第2水流、及び水送出装置31’に相対する側壁から上記凹状段部24’へ向かう第3水流に分離する。
【0051】
上記水送出装置31’の方向を、水槽12’の両端面と平行にすると、上記第2水流は、上記水送出装置31’によって送り出される上記水流と合流するので、水槽12’内は、上記水送出装置31’により、一方向に循環する水流を生じさせることとなる。
【0052】
また、上記水送出装置31’の方向を、水槽12’の前端から後端に向かう方向に、少し向けることにより、上記第2水流は、元の水送出装置31’によって送り出される上記水流でなく、隣の水送出装置31’等、別の水送出装置31’によって送り出される上記水流と合流することができる。この場合、水槽12’内は、水槽12’の前端から後端に向かう方向に、向かう螺旋状の水流を生じさせることができる。
【0053】
上記水槽12’の一方の端部である後端部に、この水槽12’内部から水槽12’外部に向かうコンベア35’が設けられる。このコンベア35’により、水槽12’内の処理対象物13を外部に搬出することが可能となる。
【0054】
水槽12’内に温水又はスチームを供給して水槽12’内の水の温度を上昇させると、水槽12’に供給される処理対象物の加温処理をすることができる。この加温処理とは、処理対象物に水を介して熱を加える処理をいい、例えば、処理対象物を炊いたり、煮たり、茹でたりする処理があげられる。
【0055】
上記水槽12’内の温度を上昇させるために、温水を供給する手段としては、水槽12’に設けられた給水口(図示せず)から直接、温水を供給する方法や、水送出装置31’に送られ、噴射される水の一部(又は全部)として、温水又はスチームを供給する方法があげられる。
【0056】
次に、この第2発明にかかる食品処理装置11’の機作について説明する。まず、洗浄や加温等の処理の対象となる除外物14を付随する処理対象物13を、水を溜めた水槽12’内に入れる。次いで、水送出装置31’を駆動し、その水流の勢いで、処理対象物13に付随していた除外物14を分離する。
【0057】
また、加温処理する場合は、後述するように、水槽12’内の水を対流させることができ、温度むらをなくし、処理対象物を均一に加温処理することができる。さらに、水送出装置31’に供給される水の温度によっては、さらなる加温も可能となる。
【0058】
さらにまた、上記水送出装置31’を駆動させると、この水送出装置31’から、水槽12’の底壁又は水送出装置31’に相対する水槽12’の側壁、水槽12’の水面、及びすだれ部23’に向かう水流が生じる。そして、すだれ部23’を経由して、側縁開口部22’から樋部26’に向かう第1水流、すだれ部23’を経由して、水槽12’の底部に向かう第2水流、及び上記水送出装置31’に相対する側壁から上記凹状段部24’へ向かう第3水流が分離して生じる。
【0059】
上記記除外物14を分離した処理対象物13は、上記のすだれ部23’で、進路を妨害されるので、水槽12’の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物14を分離した処理対象物13を上記水槽12’の底部に送る。
【0060】
そして、上記水送出装置31’の方向を、水槽12’の両端面と平行にすることにより、上記第2水流は、上記水送出装置31’によって送り出される上記水流と合流し、水槽12’内は、上記水送出装置31’により、一方向に循環する水流を生じさせることができ、上記処理対象物13をこの水流にのせることができる。
【0061】
また、上記水送出装置31’の方向を、水槽12’の前端から後端に向かう方向に、少し向けることにより、上記第2水流は、元の水送出装置31’によって送り出される上記水流でなく、隣の水送出装置31’等、他の水送出装置31’によって送り出される上記水流と合流することができ、水槽12’の前端から後端に向かう方向に、向かう螺旋状の水流を生じさせることができ、上記処理対象物13をこの水流にのせることができる。
【0062】
一方、上記除外物14は、上記のすだれ部23’を通過し、水槽12’の側縁開口部22’に向かう。そして、この除外物14は、水と共に側縁開口部22’から樋部26’に排出される。樋部26’に送られた水は、排水回収部27’に送られ、除外物14が、分離除去された後、水送出装置31’及び戻し配管34’を介して、水槽12’内に戻される。
【0063】
上記水槽12’内の水は、戻し配管34’からの水、水送出装置31’の傾き等により、水槽12’の前端から後端への流れが生じる。このため、水槽12’の後端に設けた上記コンベア35’により、除外物14を除去した処理対象物13が水槽12’から外部に取り出すことができ、次工程に送ることができる。
【0064】
その後、次の処理対象物13の洗浄や加温処理等の処理を行う。このとき、水槽12’の水が多い場合は、水槽12’の底から、排水口28a’を経由して、排水弁28b’から水を排出すればよい。また、水槽中の水の量が少ないときは、水槽12’や水送出装置31’に設けられた給水口(図示せず)から水を供給すればよい。
【0065】
この食品処理装置11’は、1つの水槽中に複数の水送出装置31’を有するので、除外物の分離除去処理を、より長期間行うことができ、1つの食品処理装置11’で十分に、除外物14を付随した処理対象物13から、除外物14の除去を行うことができる。
【0066】
<第1発明と第2発明の共通事項>
なお、洗浄時、又は加温処理時に、処理対象物添加物等を添加すれば、味付けや処理対象物加工も洗浄、又は加温処理と同時に行うことができる。
【0067】
さらに、水槽内の水温を沸点近くの水で加温処理をする場合等の必要に応じて、水槽12の開放面の上部又は上方にカバーを取り付けることもできる。
【0068】
この発明にかかる食品処理装置で処理できる処理対象物13は特に限定されず、野菜類、穀物類、果物類、豆類等の農産物、魚、貝、甲殻類等の水産物、農産物や水産物のカット、調理等された中間加工品や食品加工品等の任意の処理対象物があげられる。
【0069】
上記除外物としては、髪の毛、加温処理で生じたあく、規格より小さい処理対象物らその片等の食品くず、小石、紙くず等があげられる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1発明にかかる食品処理装置の例を示す正面断面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1の側面図
【図4】図1に示す食品処理装置のすだれ部及び側縁開口部の関係を示す一部拡大斜視図
【図5】図1に示す食品処理装置の処理対象物と除外物を分離する状態を示す模式図
【0071】
【図6】第2発明にかかる食品処理装置の例を示す側面図
【図7】図6の正面断面図
【図8】図6の水槽、すだれ部及び処理対象物留出防止部材の例を示した部分拡大斜視図
【符号の説明】
【0072】
11、11’ 食品処理装置
12、12’ 水槽
12a、12a’ 上面開口部
13 処理対象物
14 除外物
【0073】
21a、21a’ 一方の上側縁部
21b’ 他方の上側縁部
22、22’ 側縁開口部
23、23’ すだれ部
23a、23a’ すだれ支持部
23b、23b’ くし部
24’ 凹状段部
25’ 処理対象物留出防止部材
26、26’ 樋部
26a 水通路
26b 凸状段部
27、27’ 排水回収部
27a,27a’ 分離部
28a、28a’ 排水口
28b、28b’ 排水弁
31、31’ 水送出装置
32、32’ 撹拌羽根
33、33’ 架台
34’ 戻し配管
35’ コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された水槽で処理を行う食品処理装置において、
上記水槽の横断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成し、
上記水槽の一方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部を設けると共に、上記水槽の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、
上記側縁開口部を設けた上側縁部の外側に、上記側縁開口部から溢れる水を受ける樋部を設け、この樋部の一部に複数の穴を有する分離部を設け、分離部の下方に排水回収部を設け、
上記側縁開口部が設けられた側の側壁又は底壁に、この水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、
上記水槽に水を溜め、除外物の付着した処理対象物を投入し、上記水送出装置を駆動させることにより、上記処理対象物から除外物を分離させ、
上記水送出装置を駆動させることにより、この水送出装置から、上記水槽の底壁又は上記水送出装置に相対する側壁、上記水槽の水面付近、及び上記すだれ部に向かう水流を生じさせ、かつ、この水流を、上記すだれ部を経由して、上記水槽の側縁開口部に向かう第1水流、及び上記すだれ部を経由して、上記水槽の底部に向かう第2水流に分離させ、
上記の側縁開口部に向かう第1水流にのって、上記除外物を上記樋部に排出させると共に、上記水槽の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物を分離した処理対象物を上記水槽の底部に送って、再び、上記水流にのせることにより、処理対象物に付随する除外物を分離除去することを特徴とする食品処理装置。
【請求項2】
上面が開放された水槽で処理を行う連続食品処理装置において、
上記水槽の横断面は、少なくとも底壁が円弧状を形成し、
上記水槽の一方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、口の字状の側縁開口部を設けると共に、上記水槽の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、
上記水槽の他方の上側縁部に沿って、一方の端部から他方の端部にかけて、凹状段部を設け、この凹状段部には、処理対象物留出防止部材が取り付けられ、
上記水槽の両上側縁部の外側に、上記の側縁開口部及び凹状段部から溢れる水を受ける樋部を設け、
上記樋部の終端部に、上記の溢れる水を回収する排水回収部を設けると共に、この排水回収部に、複数の穴を有する分離部を設け、
上記側縁開口部が設けられた側の側壁又は底壁の数カ所に、この水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、
上記水槽の一方の端部に、この水槽内部から水槽外部に向かうコンベアが設けられ、
上記水槽に水を溜め、上記コンベアが設けられた端部と反対側の端部に、除外物の付着した処理対象物を投入し、上記水送出装置を駆動させることにより、上記処理対象物から除外物を分離させ、
上記水送出装置を駆動させることにより、この水送出装置から、上記水槽の底壁又は上記水送出装置に相対する側壁、上記水槽の水面付近、及び上記すだれ部に向かう水流を生じさせ、かつ、この水流を、上記すだれ部を経由して、上記水槽の側縁開口部に向かう第1水流、上記すだれ部を経由して、上記水槽の底部に向かう第2水流、及び上記水送出装置に相対する側壁から上記凹状段部へ向かう第3水流に分離させ、
上記の側縁開口部に向かう第1水流及び凹状段部へ向かう第3水流にのって、上記除外物を上記樋部に排出させると共に、上記水槽の底部に向かう第2水流にのって、上記除外物を分離した処理対象物を上記水槽の底部に送って、上記水送出装置による水流、又は他の水送出装置による水流にのせることにより、処理対象物に付随する除外物を分離除去し、
上記コンベアにより、除外物を除去した処理対象物を取り出すことを特徴とする食品処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−72911(P2008−72911A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252849(P2006−252849)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(591043787)株式会社アルス (16)
【Fターム(参考)】