説明

食品生地の熱処理装置

【課題】 食品生地が上段の金網コンベヤーに付着してしまうことなく次段の金網コンベヤーに確実に移送することができる食品生地の熱処理装置を提供する。
【解決手段】 熱風乾燥室2内に複数の金網コンベヤー3を複数段設けると共に、上段の金網コンベヤー3に移送コンベヤー5を圧接させ、熱処理室2内で金網コンベヤー3上へ載置した食品生地を移送コンベヤー5を介して上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3へ順次移送させつつ熱処理するものにおいて、金網コンベヤー3の網目とその内側から噛み合って外側へ突出する突出部を有するガイドローラを設けることにより、その金網コンベヤー3の外側に付着している米菓生地7を落下させて移送コンベヤー5上及び/又は次段の金網コンベヤー3上のそれぞれ米菓生地7の欠落部に戻すようにしたことにより、前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煎餅などの米菓その他の軽食品を製造する際に用いられて好適な食品生地の熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
菓子類等の軽食品を製造するに当たっては、軽食品が例えば煎餅などのような米菓の場合、圧延型抜装置を用いて米菓生地を所望の形状、厚さに型抜きした後、この米菓生地を乾燥用の搬送コンベヤー上に整列載置して熱処理装置の一種である熱風乾燥装置へ送り、この熱風乾燥装置で米菓生地を熱風乾燥させている。このような米菓生地の熱風乾燥装置としては、以下の特許文献1、2に記載されたものが公知である。この従来公知の熱風乾燥装置は、当該熱風乾燥室内に複数の搬送コンベヤーが複数段上下方向へ間隔を開けて設けられ、この熱風乾燥室内に熱風を循環させつつ搬送コンベヤー上に載置した米菓生地を、上段の搬送コンベヤーより下段の搬送コンベヤーへ順次移送させつつ乾燥させるものである(特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開2002−34460号公報
【特許文献2】特許第3380786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来公知の熱風乾燥室は、内部に多数の加熱用ヒーターと多数の熱風撹拌用ファンが設けられていると共に、搬送コンベヤーが複数段上下方向へ間隔を開けて積み重ねて設けられている。上段の搬送コンベヤーから次段の搬送コンベヤーへの米菓生地の移送には移送コンベヤーが用いられている。移送コンベヤーは、上段の搬送コンベヤーの搬出端側の端部を略U字状に覆うようにその搬送コンベヤーの搬出端に圧接されており、米菓生地がその移送コンベヤーと搬送コンベヤーの間に挟まれて搬送コンベヤーに沿って移動しつつ反転して移送コンベヤー上に載置されてから次段の搬送コンベヤー上に移送される。
【0004】
ところで、搬送コンベヤーは、その両側にそれぞれエンドレスチェーンを取り付け、これら一対のエンドレスチェーン間に複数の支持棒を所定間隔をあけて取り付け、これらの支持棒の上にキャンパス布地を貼り付け、このキャンパス布地上に米菓生地を載置して米菓生地を搬送するものであったが、製作コストが高くつく上にエンドレスチェーンを用いるために潤滑油が必要となりこの潤滑油が軽食品へ混入する等の問題があった。このため、この搬送コンベヤーとしてエンドレスチェーンやキャンパス布地を用いない金網コンベヤーが開発された。この金網コンベヤーは、無端状の金網ベルトを駆動ローラと従動ローラに掛け渡して駆動するものである。
【0005】
米菓生地は、金網コンベヤー上に載置された状態でその搬入端側から搬出端側に熱風乾燥されつつ移送され、その搬出端側の端部で移送コンベヤーと金網コンベヤーとで挟持されつつ金網コンベヤーの端部に沿って略U字状に移動した後、自重により移送コンベヤー上に載置され、そして、次段の金網コンベヤー上に載置されるが、特に十分に乾燥される前のまだ軟質の状態の時に米菓生地が金網コンベヤーに付着する場合が生じた。すなわち、上段の金網コンベヤーから次段の金網コンベヤーへの移動は、移送コンベヤーによって上段の金網コンベヤーに米菓生地を押し付けて行うために、米菓生地が軟質の状態であると、米菓生地が金網コンベヤーに付着することがある。その結果、米菓生地は、上段の金網コンベヤーから移送コンベヤー又は次段の金網コンベヤーに移送されない場合が生じた。そうすると、移送されなかった米菓生地が金網コンベヤーに付着した状態で移動することになるから、目詰まりを生じたり、あらぬところへ落下して他の米菓生地と重なり合ってしまったりして、装置の故障の原因となったり、歩留りを悪くするという問題が生じることになった。
【0006】
また、金網コンベヤーの長さが、例えば、20m、30mというように長くなると、走行移動する金網コンベヤーが波打つ(波状に移動する)、いわゆるノッキング現象が生じることがあった。その結果、金網コンベヤーの円滑が走行移動が阻害されて装置の駆動に支障を来たす他、搬送される食品生地の列が乱れて円滑な搬送できないという問題が生じた。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、食品生地が金網コンベヤーに付着することを防止し、合わせて金網コンベヤーのノッキングを防止できるようにした食品生地の熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明に係る食品生地の熱処理装置は、食品生地の熱処理室内に、乾燥又は焼成する前記食品生地を搬送する複数の金網コンベヤーを複数段設けると共に、上段の金網コンベヤーの搬出端部に移送コンベヤーを圧接させ、前記熱処理室内で前記金網コンベヤー上へ載置した食品生地を前記移送コンベヤーを介して上段の金網コンベヤーから次段の金網コンベヤーへ順次移送させつつ熱処理する食品生地の熱処理装置において、前記移送コンベヤーが圧接する前の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることにより、その上段の金網コンベヤーの外側に付着している前記食品生地を金網コンベヤー上に押し上げて金網コンベヤーから離間させると共に前記金網コンベヤーのノッキングを防止するように構成したことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ガイドローラの周面に設けた突出部が上段の金網コンベヤーの内側からその外側に突出するために、上段の金網コンベヤーに食品生地が付着している場合には、その食品生地が突出部によって金網コンベヤー上に押し上げられて金網コンベヤーから離間するので、食品生地を次段の金網コンベヤーへ確実に移送することが可能となる。また、ガイドローラの周面に設けた突出部が金網コンベヤーの網目に噛み合うので、金網コンベヤーのノッキングを有効に防止することができる。
【0010】
また、前記の目的を達成するための本発明に係る食品生地の熱処理装置は、食品生地の熱処理室内に、乾燥又は焼成する前記食品生地を搬送する複数の金網コンベヤーを複数段設けると共に、上段の金網コンベヤーの搬出端部に移送コンベヤーを圧接させ、前記熱処理室内で前記金網コンベヤー上へ載置した食品生地を前記移送コンベヤーを介して上段の金網コンベヤーから次段の金網コンベヤーへ順次移送させつつ熱処理する食品生地の熱処理装置において、前記移送コンベヤーから離間した後の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることにより、その上段の金網コンベヤーの外側に付着している前記食品生地を落下させて前記移送コンベヤー上及び/又は前記次段の金網コンベヤー上のそれぞれ前記食品生地の欠落部に戻すと共に前記金網コンベヤーのノッキングを防止するように構成したことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ガイドローラの周面に設けた突出部が上段の金網コンベヤーの内側からその外側に突出するために、上段の金網コンベヤーに食品生地が付着している場合には、その食品生地が突出部によって上段の金網コンベヤーから落下して移送コンベヤー上や次段の金網コンベヤー上のその食品生地の欠落部に戻されるので、食品生地を次段の金網コンベヤーへ確実に移送することが可能となる。また、ガイドローラの周面に設けた突出部が金網コンベヤーの網目に噛み合うので、金網コンベヤーのノッキングを有効に防止することができる。
【0012】
本発明に係る食品生地の熱処理装置において、前記移送コンベヤーが圧接する前の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることが好ましい。また、本発明に係る食品生地の熱処理装置において、前記移送コンベヤーから離間した後の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることが好ましい。また、本発明に係る食品生地の熱処理装置において、前記金網コンベヤーが、駆動ローラと従動ローラに掛け渡されて循環走行する無端状のベルトを有し、このベルトの搬出端部側の駆動ローラ又は従動ローラに接している前記ベルトに前記移送コンベヤーが圧接されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る食品生地の熱処理装置によれば、ガイドローラの周面に金網コンベヤーの網目にその内側から噛み合って外側へ突出する突出部を設けることにより、上段の金網コンベヤーに付着している食品生地をその上段の金網コンベヤーから離間させることができるので、食品生地を次段の金網コンベヤーへ確実に移送することができる。また、ガイドローラの周面に設けた突出部が金網コンベヤーの網目に噛み合うので、金網コンベヤーのノッキングを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る食品生地の熱処理装置を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1〜図3は本発明に係る食品生地の熱処理装置の例を示す図である。本発明に係る食品生地の熱処理装置としては、煎餅などの菓子類等の軽食品の食品生地を乾燥又は焼成するものであり、例えば、熱風乾燥装置やオーブン、焼成装置等が用いられる。本発明の形態では、熱処理装置として熱風乾燥装置を用いた場合について説明するが、これに限定されるものではない。また、食品生地とは、米菓生地という場合も含めて熱風乾燥前、乾燥後焼成される前の状態のものを含むものとする。本発明の形態では、食品生地として米菓生地を用いた場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0016】
本発明に係る熱処理装置である熱風乾燥装置は、図1〜図3に示すように、熱処理室である熱風乾燥室2内に、乾燥する米菓生地7を搬送する複数の金網コンベヤー3を複数段設けると共に、上段の金網コンベヤー3の搬出端部に移送コンベヤー5を圧接させ、熱風乾燥室2の内部に熱風を循環させつつ金網コンベヤー3上へ載置した米菓生地7を移送コンベヤー5を介して上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3に順次移送させて乾燥させるものにおいて、移送コンベヤー5から離間した後の上段の金網コンベヤー3の内側に気体噴出口6を設け、この気体噴出口6から気体を上段の金網コンベヤー3を介して当該上段の金網コンベヤー3の下側に対向する移送コンベヤー5及び/又は次段の金網コンベヤー3に向けて噴出させることにより、その上段の金網コンベヤー3の外側に付着している米菓生地7を落下させて移送コンベヤー5上及び/又は次段の金網コンベヤー3上のそれぞれ米菓生地7の欠落部に戻すようにしたことに特徴がある。
【0017】
熱風乾燥室2は、長い箱型で形成されている。熱風乾燥室2は、周囲を断熱材で覆われていると共に、長さが例えば80mから200mという長大なものもあり、図面では大幅に長さを省略して図示している。熱風乾燥室2の内部には、多数の加熱用ヒーター11と多数の熱風撹拌用ファン12が略全長に渡って設置されており、同じく内部容積のほとんどを使用して、金網コンベヤー3が全長に渡って複数段設けられている。
【0018】
金網コンベヤー3は、搬送コンベヤーであり、無端状の金網ベルト31a、31が駆動ローラ32と従動ローラ33に掛け渡されて循環走行するものである。例えば、駆動ローラ32の表面に駆動突起(図示せず)が設けられており、この駆動突起に金網ベルト31a、31の網目が係合して駆動ローラ32の回転駆動により無端状の金網ベルト31a、31が循環走行する。
【0019】
金網ベルト31a、31は、長さが長いものであり、例えば、80mから200mと寸法が長い。金網ベルト31a、31は、エンドレスの無端状の網目を有するベルトである。金網ベルト31a、31としては、特に限定されず、例えば、右巻き螺旋材と左巻き螺旋材と屈曲線材とを組み合わせて構成されているもの等が挙げられる。螺旋材及び屈曲線材の材質は、例えば、煎餅の製造工程に耐え得るものであれば特に限定されず、例えば、ステンレス、亜鉛引き線材等が挙げられる。
【0020】
最上段の金網コンベヤー3の金網ベルト31aのみは、熱風乾燥室2の一端部に形成された入口より外部へ導出され、型抜き装置の搬送コンベヤー15の下側に設置した従動ローラ33に掛け渡されており、搬送コンベヤー15から米菓生地7がその金網ベルト31a上に搬送されるようになっている。その従動ローラ33の近傍であって、この従動ローラ33に掛け渡された金網ベルト31aのリターン側ベルト31abの下方には、離型剤塗布装置18が設けられている。離型剤塗布装置18は、リターン側ベルト31abの米菓生地7が載せられる表面に離型剤を塗布するものである。この離型剤塗布装置18は、リターン側ベルト31abの表面に離型剤を塗布できれば特に限定されるものではない。
【0021】
駆動ローラ32の外周に巻架されている金網ベルト31a、31(金網コンベヤー3の搬出端)には、上段の金網ベルト31a、31から次段の金網ベルト31に米菓生地7を順次移送する次段移送手段である移送コンベヤー5が設けられている。移送コンベヤー5は、例えば、キャンパス布製の移送エンドレスベルト51を金網ベルト31a、31に圧接させることによって、米菓生地7を金網ベルト31a、31と移送エンドレスベルト51の間に挟んで上段の金網ベルト31a、31上から次段の金網ベルト31上へ移送するように構成されている。
【0022】
移送コンベヤー5は、例えば、金網コンベヤー3の搬出端側の駆動ローラ32より上方に設けられている駆動ローラ52と、金網コンベヤー3の搬出側の前方に設けられている従動ローラ53と、次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31の近傍であって上段の金網コンベヤー3の搬出端側の駆動ローラ32より次段の金網コンベヤー3の搬出方向前方に設けられているガイド部材54とで構成されている。
【0023】
ガイド部材54は、金網コンベヤー3の走行方向に沿って移動可能に設けられている。ガイド部材54には、位置調節手段56が接続されている。この位置調節手段56は、例えば、ハンドル57を一方の方向又は逆方向に回すと、調節手段本体58に対して先端にガイド部材54が連結されているロッド59が伸縮してガイド部材54の位置が調節されて、移送コンベヤー5の金網コンベヤー3に対する押圧力が調節されるようになっている。
【0024】
熱風乾燥室2の他端部側つまり入口とは反対側の移送コンベヤー5の近傍には、移送コンベヤー5の脱着を行う脱着装置19が取り付けられている。脱着装置19は、熱風乾燥室2内を重力方向上下に移動して任意の移送コンベヤー5の脱着を行うように構成されている。脱着装置19を設けた側の移送コンベヤー5を取り付けた駆動ローラ32の下側には、米菓生地7を熱風乾燥室2より外へ取り出す生地取出コンベヤー17が設けられている。このように、脱着装置19及び生地取出コンベヤー17を設けることにより、任意の金網ベルト31a、31上から生地取出コンベヤー17を介して米菓生地7を取り出すことができる。
【0025】
気体噴出口6は、上段の金網コンベヤー3のリターン側ベルト31abに付着している米菓生地7を落下させるべく気体をリターン側ベルト31abに向けて噴出させるもので、落下させた米菓生地7を上段の金網コンベヤー3の下側に対向する移送コンベヤー5上及び/又は次段の金網コンベヤー3上の当該米菓生地7の欠落部に戻すものである。気体噴出口6は、移送コンベヤー5が設けられる金網コンベヤー3のリターン側ベルト31abの内側近傍であってその移送コンベヤー5のガイド部材54の上方に配設されている。気体噴出口6は、気体を上段の金網コンベヤー3を介して当該上段の金網コンベヤー3の下側に対向する移送コンベヤー5と次段の金網コンベヤー3の両方又はいずれか一方に向けて噴出させることができるならばどのように形成してもよく、例えば、図示するように、複数の孔によって形成してもよいし、また、スリット状に形成して、リターン側ベルト31abの幅方向全域に気体を噴出するようにしてもよい。
【0026】
気体噴出口6を複数の孔によって形成する場合には、図4及び図5に示すように、金網コンベヤー3で搬送される米菓生地7が金網ベルト31a、31上にその幅方向に順序よく整列されているので、金網コンベヤー3の幅方向に位置されている各米菓生地7の中央部に向けて例えば空気が噴出されるように、各米菓生地7に対応したリターン側ベルト31abの幅方向に延びる気体供給管61の下部に間隔をあけて複数の孔が設けられていることが好ましい。これにより、リターン側ベルト31abに米菓生地7が付着している場合には、その米菓生地7をリターン側ベルト31abから確実に下方に吹き落とすことができる。なお、気体噴出口から空気を常時噴出するようにしてもよいし、また、リターン側ベルト31abに米菓生地7が付着していたとする場合にその米菓生地7が位置されたときのみ気体噴出口から空気を噴出するようにしてもよい。
【0027】
気体供給管61は、1つでもよいが、金網ベルト31の走行方向に間隔をあけて2つ以上、例えば3つ設けられていることが好ましい。これら3つの気体供給管61は、例えば、1つがガイド部材54の上方で、このガイド部材54の上方の気体供給管61の前後に残りの2つが配置されていることが好ましい。
【0028】
これら気体供給管61の両端部は気体供給部62、63にそれぞれ接続されて連通されている。気体供給部62、63は、例えば、一方の端部が閉塞された管状に形成されている。これら気体供給部62、63は、リターン側ベルト31abの両側部近傍にその長手方向に延びている。一方の気体供給部62の他方の端部62aは、ポンプやコンプレッサー等の気体供給装置(図示せず)に連通されていると共に、他方の気体供給部62の他方の端部は、ソケット65が取り付けられて閉塞されている。これにより、例えば、空気が気体供給装置から気体供給部62を介して各気体供給管61に送られて気体供給管61の気体噴出口6からリターン側ベルト31abに向けて噴出され、リターン側ベルト31abに米菓生地7が付着している場合には、その米菓生地7が噴出された空気によりリターン側ベルト31abから落下して、移送エンドレスベルト51上や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31上に至り、次段の金網コンベヤー3上の当該米菓生地7の欠落部に導かれるようになっている。なお、一方の気体供給部62を用いて例えば空気を気体噴出口6から噴出させるようにしたが、これに限定されるものではなく、両方の気体供給部62、63を用いて例えば空気を気体噴出口6から噴出させるようにしてもよいし、また、他方の気体供給部63を用いて例えば空気を気体噴出口6から噴出させるようにしてもよい。
【0029】
次に本発明に係る熱風乾燥装置1の作用を説明する。
【0030】
所望の形状、厚さに型抜きされた米菓生地7が、図1に示すように、搬送コンベヤー15から最上段の金網コンベヤー3の金網ベルト31a上にその幅方向及び長手方向に順序よく整列された状態で載置されて熱風乾燥室2内に搬送される。熱風乾燥室2内では、加熱用ヒーター11及び熱風攪拌用ファン12により熱風が循環されている。米菓生地7は、この熱風乾燥室2内を上段の金網コンベヤー3上に載置された状態でその搬入端側から搬出端側に移送され、図1及び図3に示すように、その搬出端側の端部で移送コンベヤー5と金網コンベヤー3とで挟持されつつ金網コンベヤー3の端部に沿って略U字状に移動した後、自重により移送コンベヤー5上に載置され、そして、次段の金網コンベヤー3上に載置され、熱風乾燥室2内を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3へと順次移動しつつ熱風により乾燥される。
【0031】
上段の金網コンベヤー3の内側には気体噴出口6が設けられており、気体噴出口6から空気が上段の金網コンベヤー3の内側から上段の金網コンベヤー3のリターン側ベルト31abに向けて噴出されている。この空気は、移送コンベヤー5と次段の金網コンベヤー3の両方又はいずれか一方に向けて噴出されているために、リターン側ベルト31abに米菓生地7が付着している場合には、その米菓生地7が噴出された空気によりリターン側ベルト31abから落下して、移送エンドレスベルト51上や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31上の当該米菓生地7の欠落部に戻される。このとき、リターン側ベルト31abと移送エンドレスベルト51や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31との間隔が小さいために、リターン側ベルト31abから落下した米菓生地7は、当該米菓生地7の欠落部及びその近傍に確実に落下するので、付着しなかった状態と略同じように他の米菓生地7と共に整列された状態で金網コンベヤー3によって熱風乾燥室2内を移動する。そして、米菓生地7は、乾燥された後にねかし処理されてから揚げ処理や焼き処理等の焼成処理が焼成装置(図示せず)で行われて、米菓が製出されることになる。
【0032】
したがって、本発明に係る熱風乾燥装置1は、気体噴出口6から空気が上段の金網コンベヤーのリターン側ベルト31abの内側から移送コンベヤー5や下段の金網コンベヤー3に向けて噴出されるために、上段の金網コンベヤー3のリターン側ベルト31abに米菓生地7が付着しても噴出された気体によりリターン側ベルト31abから米菓生地7が落下して移送コンベヤー5の移送エンドレスベルト51上や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31上の付着した米菓生地7の欠落部に戻されるので、米菓生地7を次段の金網コンベヤー3に確実に移送することができる。
【0033】
図6は本発明に係る第2の食品生地の熱処理装置の例を示す図である。この第2の食品生地の熱処理装置は、図6に示すように、上段の金網コンベヤー3の内側に、この金網コンベヤー3の幅方向に延びて金網コンベヤー3をガイドするガイドローラ8を設け、このガイドローラ8の周面に、前記金網コンベヤー3の網目に噛み合って金網コンベヤー3の外側に突出する突出部9を設けることに特徴がある。なお、前記の第1の食品生地の熱処理装置と同じ部材には同じ名称を付し、その説明を省略することがある。
【0034】
突出部9を有するガイドローラ8を設ける位置は、上段の金網コンベヤー3の移送コンベヤー5が圧接する前でも後でも前後両方でもよい。すなわち、突出部9を有するガイドローラ8を上段の金網コンベヤー3のキャリア側ベルト(金網ベルト)31aaの内側に設けるようにしてもよいし、そのリターン側ベルト(金網ベルト)31abの内側に設けるようにしてもよいし、これら両方の金網ベルト31aa、31abの内側に設けるようにしてもよい。
【0035】
ガイドローラ8は、金網ベルト31aa、31abの裏面にそのベルト31aa、31abに接するように設けられている。ガイドローラ8は、金網ベルト31aa、31abの幅方向に延び、金網ベルト31aa、31abの幅より大きな例えば若干大きな寸法で形成されていることが好ましい。ガイドローラ8の両端部は熱風乾燥室2の例えば両側板(図示せず)に回転可能に軸支されている。ガイドローラ8の周面には、突出部9が設けられている。突出部9は、金網ベルト31aa、31abの網目に噛合って金網ベルト31aa、31abの外側に突出しその金網ベルト31aa、31abに付着している米菓生地7を金網ベルト31aa、31abから押し上げて離間させたり落下させたりし得る形状及び長さに形成されている。突出部9の個数及び配置位置は、金網ベルト31aa、31abの網目に応じて異なるが、金網ベルト31aa、31abの各編目から突出するように例えば千鳥状に設けられていることが好ましい。すなわち、突出部9の形状は、金網ベルト31aa、31abの網目に噛み合えってその外側に突出すれば特に限定されず、例えば、断面略台形、断面略矩形状等に形成されている。突出部9は、金網ベルト31aa、31abの各網目に噛み合ってその外側に突出することができれば、個数及び配置位置は特に限定されない。
【0036】
この突出部9を有するガイドローラ8をキャリア側ベルト31aaの内側に設ける場合には、ガイドローラ8の個数は特に限定されず、単数でも複数でもよく、ガイドローラ8の配置位置も特に限定されない。また、突出部9を有するガイドローラ8をリターン側ベルト31abの内側に設ける場合には、単数でも複数でもよいが、1つは駆動ローラ32とガイド部材54の間の移送コンベヤー5上のリターン側ベルト31abの内側に設けることが好ましい。また、このようにガイドローラ8を設ける場合においても前記の気体噴出口6を有する気体供給管61を金網コンベヤー3の内側に設けるようにしてもよい。
【0037】
このように構成しても、米菓生地7を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3に確実に移送することができる。すなわち、米菓生地7は、熱風乾燥室2内を上段の金網コンベヤー3上に載置された状態でその搬入端側から搬出端側に移送され、その搬出端側の端部で移送コンベヤー5と金網コンベヤー3とで挟持されつつ金網コンベヤー3の端部に沿って略U字状に移動した後、自重により移送コンベヤー3上に載置され、そして、次段の金網コンベヤー3上に載置され、熱風乾燥室2内を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3へと順次移動しつつ熱風により乾燥される。
【0038】
この米菓生地7は、特に十分に乾燥される前のまだ軟質の状態の時に金網コンベヤー3に付着することがあっても、キャリア側ベルト31aaの内側に突出部9を有するガイドローラ8が設けられていると、突出部9がキャリア側ベルト31aaの網目に噛合ってキャリア側ベルト31aaの外側に突出することによりキャリア側ベルト31aaから押し上げられる。その結果、米菓生地7が金網ベルト31aaに付着しても突出部9によってベルト31aaから押し上げられて離間するので、米菓生地7を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3に確実に移送することができる。
【0039】
また、ガイドローラ8の周面に突出部9が設けられていると、突出部9が金網コンベヤー3の網目に噛み合うので、金網コンベヤー3のノッキングを有効に防止することができる。すなわち、単数又は複数ガイドローラ8を設けると、ガイドローラ8に設けた突出部9が金網ベルト31aaの網目に噛み合うために、金網ベルト31aaの走行移動する速度がガイドローラ8によって調節されることになる。このため、金網ベルト31aaが波状に走行移動息つき現象、いわゆるノッキング現象が抑えられ、スムーズに略同一速度で金網ベルト31aaが走行移動することになる。その結果、米菓生地7が金網コンベヤー3に付着することが防止されて上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3に確実に移送することができると共に、合わせて金網コンベヤー3のノッキングを防止することができる。
【0040】
また、リターン側ベルト31abの内側に突出部9を有するガイドローラ8が設けられていると、突出部9がリターン側ベルト31abの網目に噛合ってリターン側ベルト31abの外側に突出して米菓生地7がリターン側ベルト31abに付着しても突出部9によってベルト31abから離間するように押される。その結果、米菓生地7が金網ベルト31abから落下して、移送エンドレスベルト51上や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31ab上の当該米菓生地7の欠落部に戻される。このとき、リターン側ベルト31abと移送エンドレスベルト51や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31との間隔が小さいために、リターン側ベルト31abから落下した米菓生地7は、当該米菓生地7の欠落部及びその近傍に確実に落下するので、付着しなかった状態と略同じように他の米菓生地7と共に整列された状態で金網コンベヤー3によって熱風乾燥室2内を移動する。従って、米菓生地7を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3に一層確実に移送することができる。
【0041】
また、上段の金網コンベヤー3の内側に気体噴出口6が設けられていると、気体噴出口6から空気が上段の金網コンベヤー3の内側から上段の金網コンベヤー3のリターン側ベルト31abに向けて噴出されるので、リターン側ベルト31abに米菓生地7が付着している場合には、その米菓生地7が噴出された空気によりリターン側ベルト31abから落下して、移送エンドレスベルト51上や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31上の当該米菓生地7の欠落部に戻される。このとき、リターン側ベルト31abと移送エンドレスベルト51や次段の金網コンベヤー3の金網ベルト31との間隔が小さいために、リターン側ベルト31abから落下した米菓生地7は、当該米菓生地7の欠落部及びその近傍に確実に落下するので、付着しなかった状態と略同じように他の米菓生地7と共に整列された状態で金網コンベヤー3によって熱風乾燥室2内を移動する。従って、米菓生地7を上段の金網コンベヤー3から次段の金網コンベヤー3により一層確実に移送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように本発明に係る食品生地の熱処理装置は、金網コンベヤーと噛み合う突出部を有するガイドローラを設けることで、上段の金網コンベヤーに付着している食品生地をその上段の金網コンベヤーから離間させることができるので、食品生地を次段の金網コンベヤーへ確実に移送することができる上に、金網コンベヤーのノッキング現象を押さえることから、特に煎餅などの菓子類を製造する食品生地の熱風乾燥装置として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る食品生地の熱処理装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係る食品生地の熱処理装置の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明に係る第1の食品生地の熱処理装置の要部の一例を示す概略側面図である。
【図4】本発明に係る気体供給管の一例を示す斜視図である。
【図5】図4中A−A線矢視断面図である。
【図6】本発明に係る第2の食品生地の熱処理装置の要部の一例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 熱風乾燥装置
2 熱風乾燥室
3 金網コンベヤー
5 移送コンベヤー
6 気体噴出口
7 米菓生地
8 ガイドローラ
9 突出部
31 金網ベルト
31a 金網ベルト
31ab リターン側ベルト
51 移送エンドレスベルト
61 気体供給管
62 気体供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品生地の熱処理室内に、乾燥又は焼成する前記食品生地を搬送する複数の金網コンベヤーを複数段設けると共に、上段の金網コンベヤーの搬出端部に移送コンベヤーを圧接させ、前記熱処理室内で前記金網コンベヤー上へ載置した食品生地を前記移送コンベヤーを介して上段の金網コンベヤーから次段の金網コンベヤーへ順次移送させつつ熱処理する食品生地の熱処理装置において、
前記移送コンベヤーが圧接する前の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることにより、その上段の金網コンベヤーの外側に付着している前記食品生地を金網コンベヤー上に押し上げて金網コンベヤーから離間させると共に前記金網コンベヤーのノッキングを防止するように構成したことを特徴とする、食品生地の熱処理装置。
【請求項2】
食品生地の熱処理室内に、乾燥又は焼成する前記食品生地を搬送する複数の金網コンベヤーを複数段設けると共に、上段の金網コンベヤーの搬出端部に移送コンベヤーを圧接させ、前記熱処理室内で前記金網コンベヤー上へ載置した食品生地を前記移送コンベヤーを介して上段の金網コンベヤーから次段の金網コンベヤーへ順次移送させつつ熱処理する食品生地の熱処理装置において、
前記移送コンベヤーから離間した後の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けることにより、その上段の金網コンベヤーの外側に付着している前記食品生地を落下させて前記移送コンベヤー上及び/又は前記次段の金網コンベヤー上のそれぞれ前記食品生地の欠落部に戻すと共に前記金網コンベヤーのノッキングを防止するように構成したことを特徴とする、食品生地の熱処理装置。
【請求項3】
前記移送コンベヤーが圧接する前の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の食品生地の熱処理装置。
【請求項4】
前記移送コンベヤーから離間した後の前記上段の金網コンベヤーの内側に、この金網コンベヤーの幅方向に延びて金網コンベヤーをガイドする単数又は複数のガイドローラを設け、該ガイドローラの周面に、前記金網コンベヤーの網目に内側から噛み合って金網コンベヤーの外側に突出する突出部を設けたことを特徴とする、請求項2に記載の食品生地の熱処理装置。
【請求項5】
前記金網コンベヤーが、駆動ローラと従動ローラに掛け渡されて循環走行する無端状の金網ベルトを有し、この金網ベルトの搬出端部側の駆動ローラ又は従動ローラに接している前記ベルトに前記移送コンベヤーが圧接されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品生地の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−77726(P2009−77726A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273729(P2008−273729)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【分割の表示】特願2005−205485(P2005−205485)の分割
【原出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(591095708)株式会社新井機械製作所 (15)
【Fターム(参考)】