説明

香料容器及びそれを備えた芳香発生装置

【課題】非使用状態において容器本体の内部に貯留された香料から揮発された芳香が容器本体の外部に漏洩するのを簡単な構成で防止することができる香料容器を提供する。
【解決手段】有底筒状の容器本体18の上端開口縁に対し開口部19aを有する固定弁プレート19を接合固定し、該固定弁プレート19の裏面に対し、前記開口部19aを開閉するための可動弁プレート20を接着剤21により接着する。そして、可動弁プレート20は常には自身の弾性復元力により閉弁位置に保持され、該可動弁プレート20の表面に空気が吹き付けられると、該可動弁プレート20がそれ自身の弾性復元力に抗して閉弁位置から開弁位置に切り換えられるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料容器及びそれを備えた芳香発生装置に係り、詳しくは貯留された香料が外部に漏洩するのを防止することができる香料容器及びそれを備えた芳香発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調香器として、特許文献1に開示されたものが提案されている。この調香器は空気ポンプから空気供給室に空気を供給するとともに、この空気供給室から分岐されたビニールパイプを要素臭瓶に接続し、前記複数本のビニールパイプの途中に電磁弁を設け、前記複数の臭瓶の内部に収容された香料に空気を吹き付けて、臭瓶から放出された芳香をブレンダー室に導き、該ブレンダー室により複数種の香臭をブレンドして、室内に放出するようになっている。
【特許文献1】特許第3714630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に開示された調香器は、ブレンドされた香臭を室外に放出しない場合において、要素臭瓶から自然に揮発した香臭が外部に漏洩するという問題があった。この問題を解消するため、前記要素臭瓶からブレンダー室に至る芳香の流れる経路に開閉弁を設けることが考えられる。この場合には、調香器の運転のオンオフに連動して前記開閉弁をオンオフ制御する必要が生じて、部品点数が多くなり、構造が複数となって製造及び組付作業が面倒でコストの低減を図ることができないという問題が生じる。
【0004】
本発明の目的は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、非使用状態において容器本体の内部に貯留された香料から揮発された芳香が容器本体の外部に漏洩するのを簡単な構成で防止することができる香料容器及びそれを備えた芳香発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、有底筒状の容器本体の上端開口縁に対し開口部を有する固定弁プレートを接合固定し、該固定弁プレート又は前記容器本体の上部内周面に対し、前記開口部を開閉する可動弁プレートを装着し、該可動弁プレートは常には付勢手段により閉弁位置に保持され、該可動弁プレートの表面に空気が吹き付けられると、前記付勢手段の付勢力に抗して前記可動弁プレートが閉弁位置から開弁位置に切り換えられるように構成したことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記固定弁プレートの裏面に対しそれ自身弾性を有する可動弁プレートの基端部が接合固定されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記容器本体の上端外周面には雄ネジ部が形成され、該雄ネジ部には、固定弁プレートの外周縁に形成されたネジ筒が螺合されていることを要旨とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の香料容器を収容する容器収容ケースと、該容器収容ケースに装着され、かつ前記可動弁プレートの表面に空気を吹き付け可能な空気吹付手段とを備えたことを特徴とすることを要旨とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記容器収容ケースには、複数種の香料を個別に収容可能な複数の香料容器が収容され、前記空気吹付手段は、前記容器収容ケースに装着されたファン収容ケースと、該ファン収容ケースに対し前記各香料容器とそれぞれ対応するように、かつ各香料容器の可動弁プレートに空気を吹き付けて芳香を香料容器の外部に発散させるモータ及びファンを有する複数の送風ファンと、前記各送風ファンのモータを個別に制御するモータ制御手段とにより構成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記各香料容器から排出された複数種の芳香をブレンドするブレンド室を有するブレンド容器を備えていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記ブレンド容器にはブレンド室から芳香を外部に排出するための排出ファンが設けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項において、前記各香料容器は、容器収容ケースの収容孔に対し上端面が同一平面となるように収容され、前記各送風ファンは、ファン収容ケースのファン収容室に収容され、該収容ケースには前記ファンから空気を前記香料容器に供給するための空気通路が形成され、前記容器収容ケースに対し、前記ファン収容ケースが脱着可能に構成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記香料容器の固定弁プレートには二つの開口部が形成され、前記空気通路には仕切板が設けられ、該仕切板によって前記一方の開口部に前記送風ファンからの空気が供給され、香料容器の内部の芳香が他方の開口部から外部に排出されるように構成されていることを要旨とする。
【0012】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9において、前記容器収容ケースの複数の収容孔及び前記香料容器には、各収容孔に対する香料容器の収容ミスを防止するための収容ミス防止手段が設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項8において、前記ファン収容ケースは、下端を開口した有蓋筒状のハウジングの下側開口部に収容固定され、前記ファン収容ケースの上面とハウジングの蓋部の下面との間には、ブレンド室を有するブレンド容器が配設され、前記ファン収容ケースには各送風ファンと対応して前記空気通路が形成され、該空気通路と連通するようにファン収容ケースに形成された各放出通路は、エアパイプを介して前記ブレンド室に連通されていることを要旨とする。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項5〜11のいずれか一項において、前記モータ制御手段は、複数種の香料の組合せ及び組み合わされた各芳香のブレンド割合に関する調香パターンデータに基づいて各送風ファンのモータのオン・オフ制御及び各モータの回転を個別に制御する機能を備えていることを要旨とする。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項12において、前記モータ制御手段は、パーソナルコンピュータ又は携帯電話によって作成された調香パターンデータを受信するように構成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項14に記載の発明は、請求項13において、前記コンピュータ又は携帯電話には、インターネットを介してプロバイダの調香用データベースに記憶された調香パターンデータをダウンロードする機能が備えられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば芳香発生装置の空気吹付手段により空気が香料容器の可動弁プレートに吹き付けられると、香料容器の可動弁プレートが付勢手段の付勢力に抗して閉弁位置から開弁位置に切り換えられ、空気の吹き付けが停止されると、可動弁プレートが前記付勢手段の畜勢力により開弁位置から閉弁位置に復帰される。このため、非使用状態において容器本体の内部に貯留された香料から揮発された芳香が容器本体の外部に漏洩する構成を簡素化して、部品点数を低減し、製造を容易に行いコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の香料容器を用いた芳香発生装置の一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
図3に示すように、この芳香発生装置11は、下部ユニット12及び上部ユニット13を蝶番14によって開閉可能に構成されている。前記下部ユニット12は図3に示すように、例えばABS(acrylonitrile butadiene styrene )樹脂等の合成樹脂により成形された円筒状のハウジング15と、このハウジング15の上部開口に収容された容器収容ケース16と、この容器収容ケース16に形成された複数(この実施形態では図5に示すように6箇所)の収容孔16aに対し、脱着可能に収容される複数個の香料容器17とによって構成されている。前記ハウジング15の内周面には前記容器収容ケース16の下端外周縁を支持する段差部15aが形成されている。
【0019】
図1に示すように、前記香料容器17は例えばポリプロピレン樹脂等の透明合成樹脂により成形された有底円筒状の容器本体18と、該容器本体18の上端開口部に対し例えばエポキシ樹脂系等の接着剤により接着された例えばポリエステルフィルム(PET)等の合成樹脂製の開口部19aを有する固定弁プレート19と、該固定弁プレート19の開口部19aと対応するように、該固定弁プレート19の裏面に例えばアクリル系等の接着剤21により接着された例えばポリエステルフィルム(PET)等の合成樹脂製の弾性材料よりなる可動弁プレート20とによって構成されている。前記各香料容器17にはそれぞれ異なる種類の香料Kが貯留されている。この実施形態においては、前記固定弁プレート19及び可動弁プレート20によって、容器本体18内に貯留された香料Kから揮発した芳香が自然には容器本体18の外部に漏洩するのを防止する逆止弁22が形成されている。
【0020】
図3に示すように、前記容器収容ケース16の収容孔16aに前記香料容器17が収容された状態において、前記香料容器17の内部に貯留された香料Kの貯留量を確認するために、前記容器収容ケース16の収容孔16aには凹部16bが切り欠き形成され、この凹部16bと対応するように前記ハウジング15の上部には確認用の窓15bが形成されている。
【0021】
次に、前記上部ユニット13の構成について説明する。
前記下部ユニット12のハウジング15の上端開口縁に対し前記蝶番14によって回動可能に連結された例えばABS樹脂等の合成樹脂よりなる有蓋円筒状のハウジング25の内周面には、図6に示すように複数箇所にボス部25aが一体に形成され、各ボス部25aにはネジ孔25bが形成されている。前記ハウジング25の下側開口部には、例えばABS樹脂等の合成樹脂よりなる円盤状のファン収容ケース26が収容されている。このファン収容ケース26には、前記ハウジング25のボス部25aと対応するように取付台座26a及びボルト挿通孔26bが形成され、該ボルト挿通孔26bから上方向に挿入されたボルトB(図7参照)を前記ボス部25aのネジ孔25bに螺合することによって前記ハウジング25にファン収容ケース26を固定するようになっている。
【0022】
前記ファン収容ケース26の上面には平面視四角形状をなす複数のファン収容室26cが所定深さに、かつファン収容ケース26の円周方向に等ピッチで、前記容器収容ケース16の収容孔16aに収容された各香料容器17と対応するように形成されている。各ファン収容室26cの底面には円筒状をなす空気通路26dが下方にそれぞれ貫通形成されている。前記各ファン収容室26cには空気吹付手段としての第1〜第6の送風ファン27A〜27Fが収容されている。第1〜第6の送風ファン27A〜27Fは全て同様に構成されているので、第1の送風ファン27Aについて、図7により説明する。この第1の送風ファン27Aは有蓋四角筒状のハウジング28の蓋部28aの下面にモータ29を固定し、該モータ29の回転軸の下端部にファン30を連結して構成されている。前記蓋部28aには、通気孔28bが上下に貫通形成され、前記モータ29によりファン30が回転されると、ハウジング28の上方から前記通気孔28bを通して空気が前記空気通路26d内に送られて、該空気通路26dの下端開口から前記香料容器17の可動弁プレート20に吹き付けられ、可動弁プレート20がそれ自身の弾性力に抗して、閉弁状態から開弁状態に切り換えられ、容器本体18の香料Kに空気が吹き付けられ芳香が揮発されるようにしている。
【0023】
前記ファン収容ケース26には、図3に示すように前記各空気通路26d内の空気をそれぞれ外部に放出する放出通路26eが形成され、香料容器17の内部から固定弁プレート19の開口部19aを通して空気通路26d内に流入した芳香を、前記各放出通路26eによってファン収容ケース26の外部に導くようになっている。前記各放出通路26eはファン収容ケース26の上面に一体形成されたノズル部26fに連通されている。
【0024】
図7に示すように、前記ファン収容ケース26の中央部上面には、平面視円環状の係合溝26gが形成され、該係合溝26gには複数種の芳香のブレンド室31aを有する円筒状のブレンド容器31の下端縁が係合されている。ブレンド容器31の上端に一体形成された小径の芳香の放出部31bは、図3に示すように前記ハウジング25の蓋板部に形成された係合孔25cに係合されている。
【0025】
前記ブレンド容器31の外周面には複数(この実施形態では6個)の継手32が内外を貫通するように支持されている。各継手32と前記各ノズル部26fは、図3に示すようにエアパイプ33によってそれぞれ接続されている。
【0026】
図3に示すように、前記ファン収容ケース26の下面には前記各空気通路26dの外周縁と対応するようにシールリング34が接着剤により接着されている。これらのシールリング34の下面が前記香料容器17の容器本体18の上端縁と対応する前記固定弁プレート19の上面に接触されることにより前記空気通路26dのシール性が保持されるようにしている。
【0027】
図6に示すように前記ハウジング15の上端縁には、係合突起15cが一体に形成され、この係合突起15cには挿入孔15dが水平方向に貫通形成され、該挿入孔15dには一対の係合ピン35が該挿入孔15d内から離脱不能に挿入されている。両係合ピン35はバネ36によって互いに離隔する方向に付勢されている。一方、前記ハウジング25の下端縁には、図6に示すように前記ハウジング15の係合突起15cと対応するように係合凹部25dが形成され、該係合凹部25dの左右両側面には、前記両係合ピン35の先端部を係合可能な一対の凹部25eが形成されている。従って、図3に示すように、前記下部ユニット12に対し上部ユニット13が接合された閉鎖状態においては、図6に示す前記凹部25eに対し前記係合ピン35の先端部が係合され、閉鎖状態が安定して保持される。又、図3において、下部ユニット12から上部ユニット13を開放する場合には、一方の手で下部ユニット12を把持するとともに、他方の手で上部ユニット13を把持して、この上部ユニット13を蝶番14を中心に時計回り方向に回動すると、前記凹部25eから係合ピン35が離脱されて、上部ユニット13が図4に示す開放状態に切り換えられる。
【0028】
次に、前記のように構成された芳香発生装置11の第1〜第6の送風ファン27A〜27Fの各モータ29のオン・オフ制御及び各モータ29の回転を制御することにより複数種の芳香のブレンド量を制御することができるモータ制御手段について説明する。
【0029】
図8に示すように、芳香発生装置11の各モータ29にはそれぞれ駆動回路37が接続され、各駆動回路37には、前記各モータ29に電流をそれぞれ供給するためのプラグ38aを有するリード線38が接続されている。前記芳香発生装置11には前記各モータ29の動作を制御するための制御装置40が備えられている。この制御装置40は中央演算処理装置(CPU)41を備えるとともに、リードオンリーメモリ(ROM)42及びランダムアクセスメモリ(RAM)43を備えている。前記制御装置40は信号線44を介して前記各駆動回路37に調香動作に関する制御信号を出力するようになっている。前記RAM43或いはディスク等の記憶媒体には調香パターンデータ等の各種のデータが記憶されるようになっている。前記ROM42には前記RAM43に記憶された調香パターンデータに基づいて前記各駆動回路37に対し制御信号を出力するためのプログラムを実行するソフトウェアが格納されている。前記RAM43等の記憶媒体には外部から調香パターンデータ等の各種のデータが取り込まれるようになっている。この各種のデータの入力手段について以下に説明する。
【0030】
図8に示す前記パーソナルコンピュータ45には表示装置46及び操作パネル47が接続されている。又、パーソナルコンピュータ45はインターネット48を介して調香パターンデータ等の各種のデータを提供するプロバイダ49に接続することができる機能を備えている。前記パーソナルコンピュータ45は中央演算処理装置(CPU)50、リードオンリーメモリ(ROM)51及びランダムアクセスメモリ(RAM)52を備えている。そして、前記プロバイダ49から調香パターンデータ等の各種のデータをダウンロードして前記RAM52等の記憶媒体に記憶するようになっている。前記ROM51には前記記憶媒体に記憶された多種多様な調香パターンデータを用いて前記操作パネル47の操作によって、前記表示装置46の表示画面を目視しながら所望する調香パターンデータを後述するように選択設定することができるプログラムを記憶したソフトフェアが格納されている。前記パーソナルコンピュータ45にはリセプタクル53が設けられ、一方、前記制御装置40にもリセプタクル54が設けられている。そして、前記リセプタクル53,54にはUSBケーブル55に接続されたプラグ56が接続されるようになっている。このUSBケーブル55によって、パーソナルコンピュータ45から作成された調香パターンデータを制御装置40に送信することができるようにしている。
【0031】
次に、前記のように構成した芳香発生装置11及びモータ制御手段の動作について説明する。
図5に示す6個の香料容器17の内部には、全て異なる種類の香料Kが収容されている。この香料Kとして、この実施形態では例えば、精油名がアンジェリカ、ベンゾイン、イランイラン、オレンジ、ジャスミン、ラベンダーが用いられている。
【0032】
図3に示すように、前記下部ユニット12の容器収容ケース16の6つ(図5参照)の収容孔16aに種類の異なる香料Kを貯留した前記各香料容器17が収容された状態で、上部ユニット13のハウジング25が下部ユニット12のハウジング15の上端縁に接合された状態においては、シールリング34が各香料容器17の上端部外周縁に押圧される。この状態において、6種類の香料Kのうち室内の状況、使用者の心理状態、あるいは来客の有無等の各種の諸条件に応じて、図8に示すパーソナルコンピュータ45の操作パネル47を使用者が操作することにより、ブレンドする複数の香料Kの選択を行うとともに、選択された複数の香料Kの芳香のブレンド割合を設定する。これらの香料Kの選択及び選択された香料Kの芳香のブレンド割合の選択・設定作業は、多数種類用意された香料の組合せ及び各香料の芳香のブレンド割合に関する調香パターンデータの中から選択される。具体的には、前記操作パネル47を操作することによりインターネット48を介してプロバイダ49から調香パターンデータをダウンロードして、パーソナルコンピュータ45の記録媒体に記録する。次に、多種多様の調香パターンデータを表示装置46の表示画面46aに表示する。この調香パターンの極く一例を挙げると、例えば図9に示すようになる。
【0033】
図9に示すように表示画面46aに調香パターンのリストが表示された状態で、パターンの選定用アイコンS1をクリックすることにより五種類のパターン1〜5のなかから例えばパターン1を選択する。これによって、ブレンドされる香料Kの種類及びブレンド割合が設定される。なお、前記芳香のブレンド割合は各モータ29の電圧又は電流を変更することにより回転速度を制御したり、モータ29の基準時間内における動作時間を制御したりすることによって設定される。このモータ29の動作時間制御は、例えば一分間を基準として、モータ29を何秒作動させるかを変更設定することにより行われる。
【0034】
次に、前記操作パネル47を操作して表示画面46aに表示された作動時間設定用アイコンS2をクリック操作することにより、芳香発生装置11の作動時間を所定時間(例えば3時間)に設定する。
【0035】
そして、上記の選択・設定動作が終了した後、表示画面46aに設けられた起動スイッチS3をクリック操作すると、パーソナルコンピュータ45からUSBケーブル55を介して前記制御装置40のRAM43に選択された調香データ(パターン1)が転送される。この結果、制御装置40から駆動回路37に調香データ(パターン1)に基づいて各種の制御信号が伝送され、これにより、前記第1〜第6の送風ファン27A〜27Fのうち選択された第1,第3,第4の送風ファン27A,27C,27Dが作動され、芳香のブレンド割合(50:30:20)に基づいて各送風ファンがそれぞれ所定の回転速度で回転される。これにより、選択された第1,第3,第4の香料容器17の容器本体18の内部からブレンド容器31の内部に三種類の芳香が供給され、ブレンド容器31の内部でブレンドされた芳香が放出部31bから室内に放出される。
【0036】
上記実施形態の芳香発生装置11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、香料容器17の香料Kの漏洩を防止するため、開口部19aを有する固定弁プレート19の下面に可動弁プレート20を接着剤21によって開閉可能に接着して逆止弁22を形成した。このため、送風ファン27A〜27Fが停止された状態においては、前記可動弁プレート20がそれ自身の弾性復元力により開弁位置から閉弁位置に復元され、これによって容器本体18の内部に収容された香料Kから揮発した芳香が外部に漏洩するのを防止することができる。
【0037】
(2)上記実施形態では、固定弁プレート19の下面に可動弁プレート20を接着するという簡単な構成により、香料Kから揮発した芳香の漏洩を防止することができるので、構造を簡素化して、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行い、コストを低減することができる。
【0038】
(3)上記実施形態では、固定弁プレート19及び可動弁プレート20が容器本体18の上端開口部の蓋板の機能を有するので、容器本体18に香料Kを貯留した状態で運搬する際に、別途専用の蓋を容器本体18の開口部に嵌合しなくても済むという利点がある。
【0039】
(4)上記実施形態では、前記芳香発生装置11の容器収容ケース16の複数の収容孔16aに香料容器17をそれぞれ収容するとともに、上部ユニット13のハウジング25の内部に収容したファン収容ケース26のファン収容室26cに複数の送風ファン27A〜27Fを収容した。又、各送風ファン27A〜27Fによって空気を前記香料容器17の容器本体18内に送り込み、容器本体18に収容された香料Kに空気を作用させて芳香を揮発させるようにした。このため、部品点数を低減し、製造及び組付作業を容易に行い、小型化を図ることができるとともに、コストを低減することができる。
【0040】
(5)上記実施形態では、ハウジング25の上部内側空間にブレンド容器31を設け、複数種類の芳香のブレンドを行うようにしたので、適正にブレンドされた芳香を室内に容易に供給することができる。
【0041】
(6)上記実施形態では、下部ユニット12の上面に対し上部ユニット13の下面を開閉可能に蝶番14によって連結したので、複数の香料容器17の香料Kが消費された後に、香料容器17を新しいものと交換する作業を容易に行うことができる。
【0042】
(7)上記実施形態では、パーソナルコンピュータ45に対し、調香パターンデータを、プロバイダ49からインターネット48を介してダウンロードすることができるように構成した。このため、パーソナルコンピュータ45の操作パネル47を操作することによって多種多様な調香パターンデータに基づいて調香パターンの作成作業を非常に容易に行うことができる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 図10に示すように、固定弁プレート19に対し前記可動弁プレート20を軸受機構59により回動可能に連結し、軸受機構59に付勢手段としてのコイルばね60を装着し、常には前記可動弁プレート20が閉弁位置に保持されるように構成してもよい。又、前記軸受機構59を前記容器本体18の上部内周面に装着してもよい。
【0044】
・ 図11に示すように、容器本体18の上端外周面に対し雄ネジ部18aを形成し、該雄ネジ部18aに対し固定弁プレート19の外周縁に形成されたネジ筒部19bを螺合すようにしてもよい。
【0045】
・ 図12に示すように、前記芳香発生装置11に電話ホルダ57を装着し、芳香発生装置11に接続されたUSBケーブル55のプラグ56を携帯電話58のリセプタクルに接続するようにしてもよい。この場合にも携帯電話58の表示部を目視しながら操作部を操作することによって、前述したパーソナルコンピュータ45よる作成作業と同様に、芳香発生装置11の調香パターンの作成作業を容易に行うことができる。
【0046】
・ 図13に示すように、自動車のコンソールボックス61に装着されたカップホルダ62の保持穴62aに対し、芳香発生装置11を装着する。前記リード線38の先端に対しプラグ64を接続し、該プラグ64を自動車のシガーライターのソケット63に接続可能に構成する。又、芳香発生装置11に接続されたUSBケーブル55のプラグ56を携帯電話58のリセプタクルに接続するようにしてもよい。
【0047】
この実施形態においては、自動車の運転者が前記携帯電話58を操作することにより所望する香料Kのブレンドを行うことができ、車室内に放出するブレンドされた芳香を好みに応じて容易に設定することができる。
【0048】
・ 図14に示すように、前記収容ケース70の収容孔70aに収容された香料容器17の上部に、送風ファン27A,27B・・・を装着したファンホルダ71の下端雄ネジ部71aを、前記収容ケース70の上面に形成したネジ筒70bに対し取り外し可能に螺合するようにしてもよい。
【0049】
上記の実施形態においては、ブレンド容器31はないが、各香料容器17からハウジング28の通気孔28bを通して室内に放出された複数種の芳香が室内でブレンドされる。
・ 図15に示すように、前記ファン収容ケース26の空気通路26dの内周面に対し仕切板72を収容し、前記固定弁プレート19に二つの開口部19a,19cを形成し、前記仕切板72によってファン30が回転されると、空気が一方の開口部19aから容器本体18の内部に供給され、芳香が他方の開口部19cから前記放出通路26eに誘導されるようにしてもよい。この実施形態においては前記空気の流れが適正化されるので芳香の排出が円滑に行われる。
【0050】
・ 図16に示すように、前記ブレンド容器31の放出部31bに対し雄ネジ部31cを形成し、該雄ネジ部31cに排出ファン74を収容したファンホルダ73を螺合するようにしてもよい。この実施形態においては、前記第1〜第6の送風ファン27A〜27Fによって発生される空気流の強弱に関係なく、前記排出ファン74によってブレンド容器31のブレンド室31aの空気が強制的に外部に排出される。従って、各エアパイプ33に吸引気流をそれぞれ発生させることができ、前記各空気通路26d内の芳香をそれぞれ適正にブレンド室31a内に導くことができる。又、この実施形態においては、前記放出通路26e及びエアパイプ33内に吸引気流を発生させるので、香料分子の通路内面への付着が抑制され、清掃作業の回数を低減することができる。
【0051】
・ 図17に示すように、前記各容器収容ケース16の収容孔16aに対し形状の異なる係合凹部16cを形成し、一方、前記各香料容器17の容器本体18の外周面に対し前記係合凹部16cに係合される形状の異なる係合凸部18bを形成し、前記香料容器17が特定の収容孔16aにしか収容されないようにすることにより、前記各香料容器17の収容ミスを防止するようにしてもよい。前記係合凹部16c、係合凸部18bに代えて、前記各収容孔16aの内周面又は収容孔16aの上端縁に対しそれぞれ異なる色彩の目印を形成するとともに、前記各香料容器17の容器本体18の外周面又は固定弁プレート19あるいは可動弁プレート20の表面に対し、前記各色彩とそれぞれ同じ色彩を施すことにより香料容器17の収容ミスを防止することができる収容ミス防止手段を構成してもよい。
【0052】
・ 図示しないが、図8に示す前記表示装置46の表示画面46aに対し複数種類の香料データを表示した状態で、ブレンドする香料を適宜に選択設定するとともに、選択された香料のブレンド割合を適宜に設定することができるようにしてもよい。
【0053】
・ 図示しないが、前記芳香発生装置11の制御装置40の記録媒体に対し香料データ及び調香パターンデータを予め記憶するとともに、芳香発生装置11に表示部及び操作部を設け、該操作部を操作することによって前記パーソナルコンピュータ45と同様に調香パターンを選択・設定することができるようにしてもよい。さらに、前記制御装置40に対し、ブレンドする複数の香料を選択して設定するとともに、選択された香料のブレンド割合をそれぞれ設定することができる機能を付与したり、送風ファンの各作動時間をそれぞれ設定する機能を付与したりしてもよい。
【0054】
・ 前記香料容器17の配置個数を2、3、4、5、7あるいは8箇所以上に設定してもよい。
・ パーソナルコンピュータ45又は携帯電話58から無線通信により前記制御装置40に対し各種のデータを送信するようにしてもよい。
【0055】
・ 前記実施形態では前記下部ユニット12に対し上部ユニット13を蝶番14によって回動可能に連結したが、蝶番14に代えて、下部ユニット12のハウジング15及び上部ユニット13のハウジング25に対しそれぞれフランジ部を形成し、両フランジ部を複数のボルトにより連結するようにしてもよい。
【0056】
・ 一つの香料容器17を用いた芳香発生装置に具体化してもよい。
・ 前記各実施形態を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】香料容器の中央部縦断面図。
【図2】香料容器の平面図。
【図3】この発明の芳香発生装置を具体化した1実施形態を示す縦断面図。
【図4】芳香発生装置の上部ユニットを開放した状態を示す縦断面図。
【図5】ハウジング、容器収容ケース及び香料容器の分離斜視図。
【図6】香料容器のハウジング、送風ファンのハウジングの斜視図。
【図7】ファン収容ケース、送風ファン及びブレンド容器の分離斜視図。
【図8】芳香発生装置の芳香動作を行う制御システムの回路図。
【図9】表示装置の表示画面の正面図。
【図10】この発明の芳香容器の別の実施形態を示す部分断面図。
【図11】この発明の芳香容器の別の実施形態を示す部分断面図。
【図12】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す斜視図。
【図13】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す斜視図。
【図14】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す縦断面図。
【図15】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す部分縦断面図。
【図16】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す部分縦断面図。
【図17】この発明の芳香発生装置の別の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0058】
K…香料、16…容器収容ケース、16a,70a…収容孔、17…香料容器、18…容器本体、18a,31c…雄ネジ部、19…固定弁プレート、19a,19c…開口部、20…可動弁プレート、25…ハウジング、26…ファン収容ケース、26c…ファン収容室、26d…空気通路、26e…放出通路、27A〜27F…送風ファン、28a…蓋部、29…モータ、30…ファン、31…ブレンド容器、31a…ブレンド室、33…エアパイプ、45…パーソナルコンピュータ、48…インターネット、49…プロバイダ、58…携帯電話、70…収容ケース、70b…ネジ筒、72…仕切板、74…排出ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の容器本体の上端開口縁に対し開口部を有する固定弁プレートを接合固定し、該固定弁プレート又は前記容器本体の上部内周面に対し、前記開口部を開閉する可動弁プレートを装着し、該可動弁プレートは常には付勢手段により閉弁位置に保持され、該可動弁プレートの表面に空気が吹き付けられると、前記付勢手段の付勢力に抗して前記可動弁プレートが閉弁位置から開弁位置に切り換えられるように構成したことを特徴とする香料容器。
【請求項2】
請求項1において、前記固定弁プレートの裏面に対しそれ自身弾性を有する可動弁プレートの基端部が接合固定されていることを特徴とする香料容器。
【請求項3】
請求項2において、前記容器本体の上端外周面には雄ネジ部が形成され、該雄ネジ部には、固定弁プレートの外周縁に形成されたネジ筒が螺合されていることを特徴とする香料容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の香料容器を収容する容器収容ケースと、該容器収容ケースに装着され、かつ前記可動弁プレートの表面に空気を吹き付け可能な空気吹付手段とを備えたことを特徴とする芳香発生装置。
【請求項5】
請求項4において、前記容器収容ケースには、複数種の香料を個別に収容可能な複数の香料容器が収容され、前記空気吹付手段は、前記容器収容ケースに装着されたファン収容ケースと、該ファン収容ケースに対し前記各香料容器とそれぞれ対応するように、かつ各香料容器の可動弁プレートに空気を吹き付けて芳香を香料容器の外部に発散させるモータ及びファンを有する複数の送風ファンと、前記各送風ファンのモータを個別に制御するモータ制御手段とにより構成されていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項6】
請求項5において、前記各香料容器から排出された複数種の芳香をブレンドするブレンド室を有するブレンド容器を備えていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項7】
請求項6において、前記ブレンド容器にはブレンド室から芳香を外部に排出するための排出ファンが設けられていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項において、前記各香料容器は、容器収容ケースの収容孔に対し上端面が同一平面となるように収容され、前記各送風ファンは、ファン収容ケースのファン収容室に収容され、該収容ケースには前記ファンから空気を前記香料容器に供給するための空気通路が形成され、前記容器収容ケースに対し、前記ファン収容ケースが脱着可能に構成されていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項9】
請求項8において、前記香料容器の固定弁プレートには二つの開口部が形成され、前記空気通路には仕切板が設けられ、該仕切板によって前記一方の開口部に前記送風ファンからの空気が供給され、香料容器の内部の芳香が他方の開口部から外部に排出されるように構成されていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、前記容器収容ケースの複数の収容孔及び前記香料容器には、各収容孔に対する香料容器の収容ミスを防止するための収容ミス防止手段が設けられていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項11】
請求項8において、前記ファン収容ケースは、下端を開口した有蓋筒状のハウジングの下側開口部に収容固定され、前記ファン収容ケースの上面とハウジングの蓋部の下面との間には、ブレンド室を有するブレンド容器が配設され、前記ファン収容ケースには各送風ファンと対応して前記空気通路が形成され、該空気通路と連通するようにファン収容ケースに形成された各放出通路は、エアパイプを介して前記ブレンド室に連通されていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項において、前記モータ制御手段は、複数種の香料の組合せ及び組み合わされた各芳香のブレンド割合に関する調香パターンデータに基づいて各送風ファンのモータのオン・オフ制御及び各モータの回転を個別に制御する機能を備えていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項13】
請求項12において、前記モータ制御手段は、パーソナルコンピュータ又は携帯電話によって作成された調香パターンデータを受信するように構成されていることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項14】
請求項13において、前記コンピュータ又は携帯電話には、インターネットを介してプロバイダの調香用データベースに記憶された調香パターンデータをダウンロードする機能が備えられていることを特徴とする芳香発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−189411(P2009−189411A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30537(P2008−30537)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000193634)瑞浪精機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】