説明

駐車場内情報提供システム

【課題】特に駐車場内を通行する車両を考慮した有効な駐車場内情報を提供できる駐車場内情報提供システムを提供することにある。
【解決手段】駐車場内の駐車位置情報を提供する駐車場内情報提供システムにおいて、空き駐車スペースを示す駐車位置候補までの経路探索を駐車場内を通行する車両を考慮して行なう経路探索部12、及び当該経路探索結果に基づいて推奨駐車位置情報を作成する推奨駐車位置選定部13を有する駐車場内情報提供システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に駐車場内で車両の駐車動作を支援するための情報を提供する情報提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に外から駐車状況が確認できない建物内などに設けられた駐車場において、車両(自動車と表記する場合がある)のドライバに対して駐車状況を示す情報を提供する設備が普及している。
【0003】
近年では、駐車状況の情報を提供するための各種のシステムや方法が提案されている。具体的には、道路を走行している自動車の車載器に対して、駐車場の満空車の情報を提供する駐車場情報配信システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このシステムは、駐車場外において複数の駐車場の混み具合情報(駐車場外情報)を提示する機能も有する。また、駐車場内の空きスペース情報を車両に提供するシステムが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
さらに、カメラにより空きを見つけて、その空きまでの距離に基づいて経路を探索し誘導する駐車支援システムが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。また、駐車場内空きスペースまでの誘導を行う駐車場内誘導システムが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【特許文献1】特開2007−271397号公報
【特許文献2】特許第3767285号公報
【特許文献3】特開2005−182504号公報
【特許文献4】特開2007−280073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムにおいて、駐車場の入り口などで、センサやカメラで確認した空き駐車スペース情報を提供するシステムでは、自動車のドライバには、実際には、駐車場内のどの位置が駐車可能な空きスペースであるかを判断することは困難である。また、駐車場内で、空き駐車スペースまで経路誘導を行なうシステムが提案されている。しかしながら、駐車場内を通行する車両を考慮しない誘導であるため、誘導に従わない車両等が先に駐車してしまうなどの事態の発生が予想されるため、必ずしも有効な情報提供とならない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、特に駐車場内を通行する車両を考慮した有効な駐車場内情報を提供できる駐車場内情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点は、駐車場内を通行する車両を考慮した駐車位置候補までの経路探索を実行し、当該経路に基づいて選定した推奨駐車位置情報を提供する駐車場内情報提供システムである。
【0008】
本発明の観点に従った駐車場内情報提供システムは、駐車場内の通路を走行する車両を検知する通路側センサ手段と、前記駐車場内で駐車位置に駐車している車両を検知する駐車位置側センサ手段と、前記駐車場内で駐車位置を設定するための設定情報を取得する取得手段と、前記駐車位置側センサ手段の検知結果及び前記設定情報に基づいて、前記駐車場内の空き駐車スペースである駐車位置候補を選定する駐車位置候補選定手段と、前記通路側センサ手段の検知結果及び前記駐車位置候補に基づいて、前記駐車位置候補まで車両が走行する経路を示す全経路情報を生成する手段と、前記全経路情報の中でコストの最小値を示す経路情報を決定し、当該決定された経路情報に基づいて前記駐車位置候補から選定した推奨駐車位置を示す推奨駐車位置情報を提供する推奨駐車位置選定手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に駐車場内を通行する車両を考慮した有効な駐車場内情報を提供できるため、駐車までに要する時間の短縮化や、無駄な空きスペースを抑制できるなどの効率的な駐車場運営を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に関する駐車場内情報提供システムの要部を示すブロック図である。
【0012】
駐車場内情報提供システムは大別して、通路側センサ1、駐車位置側センサ2、駐車場データ処理部(ローカルシステム)3及び駐車場側通信設備16を有する駐車場内の構成要素と、中央処理装置(中央システム)4とから構成されている。
【0013】
図2に示すように、駐車場内の出入り口の近傍には、駐車場側通信設備16が配置されている。また、駐車場内の通路には、一定間隔で複数の通路側センサ1が配置されている。通路側センサ1は、通路を走行する自動車を検知し、その検知信号をローカルシステム3に伝送する。駐車場内の指定の各駐車エリア(駐車位置)には、駐車位置側センサ2が配置されている。駐車位置側センサ2は、各駐車エリアに駐車された自動車を検知し、その検知信号をローカルシステム3に伝送する。
【0014】
ここで、通路側センサ1及び駐車位置側センサ2として、例えば道路交通管制システム等で利用されている車両感知器を利用する。車両感知器は、超音波式やループコイル式等があり、自動車の交通量、時間オキュパンシ(occupancy : 占有時間)、走行速度の計測が可能である。これにより、通路側センサ1は、駐車場内の通路を自動車が走行したことを計測できる。また、駐車位置側センサ2は、自動車が駐車位置に駐車していることを計測できる。
【0015】
また、通路側センサ1として、DSRC(dedicated short range communication : 狭域無線通信)設備を使用することにより、DSRC設備を搭載している車両が通路を走行したことを計測することができる。同様に駐車位置側センサ2として、DSRC設備を使用することにより、DSRC設備を搭載している車両が駐車位置に駐車していることを計測することができる。但し、当然ながら、DSRCの通信範囲外またはDSRC設備を搭載していない車両については、適用することができない。
【0016】
さらに、通路側センサ1として監視カメラを使用し、監視カメラの動画像を背景差分等の画像解析技術を用いて解析することにより、自動車が通路を走行していることを計測することができる。同様に駐車位置側センサ2として、監視カメラを使用することにより、自動車が駐車位置に駐車していることを計測することができる。但し、監視カメラを死角が発生しない場所に設置する必要がある。
【0017】
ローカルシステム(駐車場データ処理部)3は、通路側センサ1及び駐車位置側センサ2から検知結果(計測値)を受信し、ディジタルデータに変換するなどのデータ処理を実行する。ローカルシステム3は、データ処理した各検知結果を纏めて中央システム(中央処理装置)4に送信する。
【0018】
中央システム4は、駐車場データ管理部5と、駐車場内情報データベース(駐車場内データDB)6と、駐車場設定情報データベース(駐車場設定データDB)7と、駐車位置状況把握部8と、駐車場通路状況把握部9と、駐車場設定データ抽出部10と、駐車位置候補選定部11と、経路探索部12と、推奨駐車位置選定部13と、提供情報作成部14と、提供情報送信部15とを有する。中央システム4は、後述するように、ローカルシステム3から送信された駐車場の通路や駐車位置の各状況を示すデータに基づいて、自動車のユーザ(ドライバ)に提供する推奨駐車位置情報を推奨駐車位置選定部13で生成する。中央システム4は、提供情報送信部15から生成した推奨駐車位置情報を、駐車場側通信設備16に送信する。
【0019】
駐車場側通信設備16は、駐車場側通信インフラ内提供情報作成部(以下、提供情報作成部と省略する)17と、駐車場側通信インフラ内提供情報送信部(以下、提供情報送信部と省略する)18とを有する。駐車場側通信設備16は、中央システム4から送信された推奨駐車位置情報を使用して提供情報を作成し、自動車(車両)22に搭載されている車載器19にDSRCにより送信する。車載器19は、車載器内提供情報受信部(以下、受信部と省略する)20と、車載器内情報提供部21とを有する。
【0020】
(システムの動作)
以下、図2から図8を参照して、本実施形態のシステムの動作を説明する。
【0021】
本実施形態では、図2に示すように、ユーザ(ドライバ)が運転する自動車22が駐車場の出入り口から駐車場内に入る直前の状況を想定する。本システムは、出入り口の近傍に配置された駐車場側通信設備16から、自動車22の車載器19に対してDSRCの無線通信により、推奨駐車位置情報を提供する。ユーザは、車載器19の車載器内情報提供部21に含まれるディスプレイ上で、駐車場内の推奨駐車位置を確認することができる。以下、詳細に説明する。
【0022】
まず、中央システム4は、常時、ローカルシステム3から送信されたデータを受信し、駐車場内の通路での自動車の走行状況(特に、通路毎の車両台数など)や、駐車位置の状況(空きスペースの位置など)を時系列的に把握する。具体的には、駐車場データ管理部5は、ローカルシステム3から送信されたデータを駐車場内データDB6に蓄積し、必要に応じて駐車場内データDB6から要求されたデータを抽出するデータ管理を行なう。
【0023】
ここで、駐車場設定データDB7には、駐車場内の駐車位置を識別するための駐車場構成情報(駐車位置レイアウト情報)が蓄積されている。駐車場データ管理部5は、駐車場設定データDB7から駐車場構成情報を取得し、ローカルシステム3から送信されたデーから現時点で車両が駐車している駐車位置情報を管理している。
【0024】
以下、駐車場が相対的に小規模の場合について、図5のフローチャートを参照して、中央システム4の動作を説明する。
【0025】
駐車場位置状況把握部8は、駐車場データ管理部5から取得される駐車場構成情報及び駐車位置情報に基づいて、駐車場内で車両が駐車していない駐車位置を示す情報(駐車位置を設定するための設定情報)、即ち、駐車可能な空き駐車スペースを抽出する(ステップS1)。この空き駐車スペースを示す情報を用いて、駐車位置候補選定部11は、現時点での駐車位置候補を選定し、駐車位置候補情報を経路探索部12に出力する。
【0026】
ここで、駐車位置候補選定部11は、例えば相対的に出入り口から距離の近い駐車位置や、空き駐車スペースが多いエリアに含まれる駐車位置を優先的に候補として選定する。また、空き駐車スペースである駐車位置の絶対数が少ない場合には、駐車位置候補選定部11は、全ての空き駐車スペースを駐車位置候補として選定する。
【0027】
一方、駐車場通路状況把握部9は、駐車場データ管理部5から情報により駐車場内の通路での自動車の走行状況(車両通行状況)を把握し、それを示す情報を生成する。具体的には、駐車場通路状況把握部9は、駐車場内の通路毎に、何台の車両が通行しているかを示す情報を作成する。ここで、通路側センサ1として、例えば超音波式の車両感知器を使用する場合、直線通路の始点および終点に車両感知器を設置する。基本的に、駐車場内の通路では追い越しはないと想定できるから、通過台数のカウントをすることで、始点から終点間に何台の車両が走行しているかを推定することが可能となる。
【0028】
次に、経路探索部12は、駐車位置候補選定部11及び駐車場通路状況把握部9により得られる情報を使用して、後述するように、推奨駐車位置を選定するための経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部12は、出入り口等の対象車両位置(図2に示す自動車22の位置)から駐車位置候補選定部11により選定された駐車位置候補(空き駐車スペース)までの経路候補を示す全経路情報を抽出する(ステップS2)。
【0029】
経路探索に利用する経路情報は、図3に示すように、ノード30とリンク31で表現されて、予め駐車場設定データDB7に蓄積されている。経路情報は、ノード30の情報として当該ノードの位置と接続されているリンク31の番号、及びリンク31の情報としてリンクが接続しているノード30の番号を含む。また、経路情報は、全駐車位置に対する入り口からの経路を示す情報である。なお、図3において、駐車位置32は、現時点で空き駐車スペースである駐車位置候補を示す。経路探索部12は、必要に応じて駐車場設定データ抽出部10を介して、駐車場設定データDB7から経路情報を抽出して利用する。
【0030】
次に、経路探索部12は、抽出した経路候補を示す全経路情報に対して、経路走行中の車両の影響を反映させるために、駐車場通路状況把握部9から駐車場内の通路毎に、走行する車両の台数などを示す情報を取得する(ステップS3)。具体的には、経路探索部12は、経路探索時に経路の優先順位を評価するために利用するコスト(後述するコスト情報)として反映する。例えば、経路候補上の走行車両の台数が多い場合、台数が少ない場合と比較してスコアが高くなるので、推奨駐車位置の候補として選択される可能性が低くなるようにコスト付けを行なう。
【0031】
ここで、経路探索部12は、一般的な経路探索ソフトウェアを利用して経路を抽出する方法以外に、全駐車位置までの全経路とその経路の構成要因に対応する前述のコスト(換言すれば、メリット)のスコアをコスト情報として登録し、このコスト情報を利用して各空き駐車スペースまでの全経路情報を抽出する。スコアとは、例えば車両の走行距離、走り易さ、方向変換回数などにより評価される指数であって、数値が高いほど自動車22のユーザに対する負担が大きくなる値である。端的には、コストは、出入り口から駐車位置まで走行するための走行時間に換算できる。従って、コストを示すスコアは、走行時間が多くなるほど大きい値となる。
【0032】
経路探索部12は、取得した情報を使用して、全空き駐車スペースの全経路情報に対してコストを計算してコスト情報を作成する(ステップS4)。即ち、全経路情報に対して、それぞれの経路情報(対称車両22の位置から各駐車候補位置までの経路を示す情報)における合計コストを計算してコスト情報を生成する。コスト情報は、図4に示すように、各経路(1,2,3…)と駐車候補位置(駐車スペース1,2,3…)に対応するコストからなるテーブル情報であり、コストのスコアが低いほど選定すべき優先順位が高くなる。
【0033】
以上要するに、経路探索部12は、例えばコストとして走行所要時間とし、これらのコストを最小化する経路を探索する。よって、コストは大きな値が負荷となるため、通路に車両がいる場合には、そのリンクを選択されにくいように正の値を付加し、台数が多いほど大きな値を付加すればよい。更には、車両が存在するリンクのみでなく、これから車両が進行していく可能性のあるリンクに対しても、当該リンクより低いレベルでコストに影響をあたえることで、より精度が高い経路探索が期待できる。
【0034】
次に、推奨駐車位置選定部13は、経路探索部12により作成されたコスト情報を使用して、最優先候補の経路に対応する推奨駐車位置を選定し、その推奨駐車位置情報を提供情報作成部14に出力する(ステップS5)。具体的には、図4に示すコスト情報から、推奨駐車位置選定部13は、抽出された経路の中でスコアの低い優秀なコストを示す経路、例えばスコア10の経路1を最優先候補とし、それに対応する駐車スペース2を推奨駐車位置として選定する。
【0035】
また、次案としては、例えばスコア15の経路3を候補とし、それに対応する駐車スペース1を推奨駐車位置として選定する。なお、コスト情報として、第1の候補と第2の候補との距離を算出し、例えば次案としては経路2に対応する駐車スペース2を推奨駐車位置として選定するなど、複数の候補間が近くなる第3の候補により優先順位を変更してもよい。
【0036】
提供情報作成部14は、推奨駐車位置選定部13により選定された推奨駐車位置情報を、自動車22のユーザに提供する形式の情報に変換(作成)する。提供情報送信部15は、提供情報作成部14により作成された提供情報を、駐車場側通信設備16に送信する。駐車場側通信設備16では、提供情報作成部17は、中央システム4から送信された推奨駐車位置情報を車載器19に送信する提供情報を作成する。
【0037】
提供情報送信部18は、提供情報作成部17により作成された提供情報を、DSRCにより提供対象の自動車22に搭載されている車載器19に送信する。車載器19では、受信部20がDSRCにより提供情報を受信し、車載器内情報提供部21に転送する。車載器内情報提供部21はディスプレイ上に提供情報を表示し、ユーザに推奨駐車位置情報を提供する。
【0038】
図6は、駐車場が相対的に中または大規模の場合について、中央システム4の動作を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図6に示すステップS11〜S13までの処理は、図5のステップS1〜S3までの処理と同様である。即ち、駐車場位置状況把握部8は、駐車可能な空き駐車スペースを抽出する(ステップS11)。経路探索部12は、出入り口等の対象車両位置(図2に示す自動車22の位置)から駐車位置候補選定部11により選定された駐車位置候補(空き駐車スペース)までの経路候補を示す全経路情報を抽出する(ステップS12)。
【0040】
さらに、経路探索部12は、抽出した経路候補を示す全経路情報に対して、経路走行中の車両の影響を反映させるために、駐車場通路状況把握部9から駐車場内の通路毎に、走行する車両の台数などを示す情報を取得する(ステップS13)。
【0041】
次に、経路探索部12は、取得した情報を使用して、全空き駐車スペースの全経路情報に対して経路探索を実行し、各経路の上位の数ケースを経路候補として抽出する(ステップS14)。即ち、経路探索部12は、各空き駐車スペースの全経路情報に対して経路探索を実行し、コストの優秀な、即ち低コストの数ケースを各空き駐車スペースにおける経路候補として抽出する。なお、抽出方法は、図5の場合と同様である。
【0042】
次に、推奨駐車位置選定部13は、経路探索部12により作成されたコスト情報を使用して、最優先候補の経路に対応する推奨駐車位置を選定し、その推奨駐車位置情報を提供情報作成部14に出力する(ステップS15)。即ち、推奨駐車位置選定部13は、抽出された各空き駐車スペースにおける経路候補からスコアの低い優秀なコスト(低コスト)を示す経路を最優先候補とし、それに対応する駐車スペース2を推奨駐車位置として選定する。
【0043】
以上のように本実施形態のシステムであれば、自動車22のユーザ(ドライバ)は、駐車場の出入り口から駐車場内に入る直前に、駐車場側通信設備16からDSRCの無線通信により推奨駐車位置情報が提供される。本実施形態であれば、駐車場内の通路の車両通行状況や駐車位置の状況に応じた適切な経路が探索されて、ユーザに対して駐車するために最も時間がかからないと推定される推奨駐車位置情報(換言すれば低コストの候補駐車位置情報)を提供できる。これにより、ユーザは、ストレスなく駐車でき、かつ駐車場内で駐車位置を探し回る無駄な時間を節約できる。このため、駐車場内での混雑を緩和できる効果が得られる。
【0044】
ここで、本実施形態の特徴としては、ユーザに対して空き駐車スペースまで誘導する方式ではなく、推奨駐車位置情報として低コストの駐車候補となる空き駐車スペースの情報を提供する方式である。従って、実際に駐車する位置は、最終的にはユーザの判断に任せられる。これにより、システムとしては最小コストの駐車位置を推奨しても、ユーザは別の理由で次案の推奨駐車位置を選択することができる。
【0045】
なお、通路側センサ1としてDSRCを利用する場合に、当該DSRCにより路車間通信が可能であるため、駐車場の出入り口だけでなく、通路においても自動車22の車載器19に対して最新の情報(推奨駐車位置情報)を提供することができる。また、駐車位置側センサ2として監視カメラを利用する場合に、車載器19に対して推奨駐車位置情報として監視カメラにより撮影された画像も提供してもよい。
【0046】
具体的には、図7に示すように、車載器19のモニタ(ディスプレイ)に、複数の推奨駐車位置を示す複数ケース情報(ここでは3ケース分の画面情報)を提供してもよい。但し、車載器19のモニタ画面のサイズ等に基づいて、提供するケース数には限界がある。また、監視カメラがない場合は、図8に示すように、駐車場を上から見た平面図を図形化した情報を車載器19に提供する方法でもよい。この場合、図8に示すように、推奨駐車位置として第1候補80と第2候補81とを区別して表示することが望ましい。さらに、車載器19のスピーカを利用して、音声による情報提供でもよい。
【0047】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に関する駐車場内情報提供システムの要部を示すブロック図である。
【0048】
本実施形態のシステムは、図9に示すように、中央システム4から駐車場側情報提供設備23を介して、例えば駐車場の入り口の通路側に設置された情報提供装置26に提供情報を伝送する構成である。なお、本実施形態において、駐車場側情報提供設備23及び情報提供装置26以外の中央システム4を含む構成は、図1に示す第1の実施形態と同様であるため、同一符号を付して構成及び動作の説明を省略する。
【0049】
駐車場側情報提供設備23は、駐車場側情報提供用インフラ内提供情報作成部(以下、提供情報作成部と省略する)24と、駐車場側情報提供用インフラ内提供情報伝送部(以下、提供情報伝送部と省略する)25とを有する。また、情報提供装置26は、車両向け提供情報受信部(以下、受信部と省略する)27と、車両向け情報提供部28とを有する。
【0050】
本実施形態では、提供情報作成部24は、中央システム4から送信された推奨駐車位置情報を使用して提供情報を作成する。提供情報伝送部25は、例えば有線通信を利用して情報提供装置26に提供情報を伝送する。情報提供装置26では、車両向け情報提供部28は、受信部27で受信された提供情報を、通路を通過する車両のユーザ(ドライバ)が視認可能仕様の可変情報板や大型モニタに表示する。
【0051】
以上のように本実施形態によれば、例えば駐車場入り口の通路側に設置された情報提供装置26により、駐車する予定の自動車22のユーザに対して推奨駐車位置情報を提供することができる。前述の第1の実施形態のシステムと比較して、自動車22として路車間通信機能を有する車載器19を搭載していない車両の場合でも、推奨駐車位置情報の提供サービスを受けられるという効果がある。他の効果については、前述の第1の実施形態と同様である。
【0052】
なお、第1及び第2の各実施形態は、推奨駐車位置情報の提供を行うシステムに関して説明したが、この機能に加えて駐車料金の収集機能を付加したシステムを実現することが可能である。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に関する駐車場内情報提供システムの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関する駐車場内の構成を説明するための概念図。
【図3】本実施形態に関する経路情報を説明するための概念図。
【図4】本実施形態に関するコスト情報を説明するための概念図。
【図5】本実施形態に関するシステムの動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態に関するシステムの動作を説明するためのフローチャート。
【図7】本実施形態に関する車載器の表示例を示す図。
【図8】本実施形態に関する車載器の表示例を示す図。
【図9】第2の実施形態に関する駐車場内情報提供システムの要部を示すブロック図。
【符号の説明】
【0055】
1…通路側センサ、2…駐車位置側センサ、
3…駐車場データ処理部(ローカルシステム)、4…中央処理装置(中央システム)、
5…駐車場データ管理部、6…駐車場内情報データベース(駐車場内データDB)、
7…駐車場設定情報データベース(駐車場設定データDB)、8…駐車位置状況把握部、
9…駐車場通路状況把握部、10…駐車場設定データ抽出部、
11…駐車位置候補選定部、12…経路探索部、13…推奨駐車位置選定部、
14…提供情報作成部、15…提供情報送信部、16…駐車場側通信設備、
17…駐車上側通信インフラ内提供情報作成部(提供情報作成部)、
18…駐車場側通信インフラ内提供情報送信部(提供情報送信部)、
19…車載器、20…車載器内提供情報受信部(受信部)、21…車載器内情報提供部、
22…自動車(車両)、23…駐車場側情報提供設備、
24…駐車場側情報提供用インフラ内提供情報作成部(提供情報作成部)、
25…駐車場側情報提供用インフラ内提供情報伝送部(提供情報伝送部)、
26…情報提供装置、27…車両向け提供情報受信部(受信部)、
28…車両向け情報提供部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内の通路を走行する車両を検知する通路側センサ手段と、
前記駐車場内で駐車位置に駐車している車両を検知する駐車位置側センサ手段と、
前記駐車場内で駐車位置を設定するための設定情報を取得する取得手段と、
前記駐車位置側センサ手段の検知結果及び前記設定情報に基づいて、前記駐車場内の空き駐車スペースである駐車位置候補を選定する駐車位置候補選定手段と、
前記通路側センサ手段の検知結果及び前記駐車位置候補に基づいて、前記駐車位置候補まで車両が走行する経路候補を示す全経路情報を生成する経路探索手段と、
前記全経路情報の中で、駐車するまでの負担の程度を評価するためのコストの最小値を示す経路候補を決定し、当該決定された経路候補に基づいて前記駐車位置候補から選定した推奨駐車位置を示す推奨駐車位置情報を提供する推奨駐車位置選定手段と
を具備したことを特徴とする駐車場内情報提供システム。
【請求項2】
前記経路探索手段は、
前記通路側センサ手段の検知結果から駐車場内の車両通路の状況に基づいて、前記駐車位置候補まで車両が走行する経路候補を決定するための前記コストのスコアを算出し、
前記駐車位置候補、前記経路候補及び前記スコアからなるテーブル情報としてコスト情報を生成する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項3】
前記推奨駐車位置選定手段により選定された推奨駐車位置情報を提供情報として作成する手段と、前記提供情報を情報提供対象である車両に対して伝送するための通信手段とを含む情報提供手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項4】
前記推奨駐車位置選定手段により選定された推奨駐車位置情報を提供情報として作成する手段と、前記提供情報を、前記駐車場の外部又は内部に設置された情報提供用設備に対して伝送するための通信手段とを含む情報提供手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項5】
前記経路探索手段は、
前記駐車場の入り口から前記駐車位置候補位置までの通路をノードとリンクで表現する経路情報を使用し、通路走行中の車両が与える影響を前記コストとして前記経路情報に反映させて前記経路候補を示す全経路情報を生成する経路探索処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項6】
前記通路側センサ手段または前記駐車位置側センサ手段のいずれかは、車両感知器により構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項7】
前記通路側センサ手段または前記駐車位置側センサ手段のいずれかは、狭域無線通信設備により構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項8】
前記通路側センサ手段または前記駐車位置側センサ手段のいずれかは、動画象を撮影するカメラより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項9】
前記推奨駐車位置選定手段は、前記推奨駐車位置情報として複数の候補情報を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項10】
前記情報提供手段は、前記推奨駐車位置情報としてカメラによる動画像を含む情報を提供するように構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項11】
前記情報提供手段は、前記推奨駐車位置情報として前記駐車場のレイアウトを示す図形情報を含む情報を提供するように構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。
【請求項12】
前記情報提供手段は、前記推奨駐車位置情報として音声出力情報を提供するように構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の駐車場内情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−117864(P2010−117864A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290226(P2008−290226)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】