駐車支援装置及び駐車支援方法
【課題】車両の駐車目標位置までの移動時間の短縮を図りながら、移動の際の軌跡ずれを生じさせずに車両を駐車目標位置へと誘導できるようにする。
【解決手段】自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて制御車速(上限速度)を可変制御し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速が低く、逆に舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高くなるように、誘導経路上の各位置における舵角速度に応じて制御車速を設定する。
【解決手段】自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて制御車速(上限速度)を可変制御し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速が低く、逆に舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高くなるように、誘導経路上の各位置における舵角速度に応じて制御車速を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駐車目標位置へと誘導して駐車操作を支援する駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駐車支援装置として、車両を駐車目標位置へと誘導する際の車速上限を車両周囲の障害物の状況に応じて可変とし、障害物までの距離が大きいほど車速上限を大きくすることで、駐車目標位置までの移動時間を短縮しつつ、車両が障害物に不用意に近付くことを抑制して安全性の確保を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている駐車支援装置では、障害物が存在しない場合には車速上限が最大速度に設定されるために、特に操舵量が大きい位置で実際の車両走行軌跡が誘導軌跡からずれ易く、所望の駐車目標位置へと車両を適切に誘導することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みて創案されたものであって、車両の駐車目標位置までの移動時間の短縮を図りながら、移動の際の軌跡ずれを生じさせずに車両を駐車目標位置へと誘導することができる駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、車両の操舵を自動制御しながら車両を駐車目標位置へと誘導する際に、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させるようにしているので、舵角に応じて軌跡ずれが生じない範囲の車速で車両を移動させることができ、車両の駐車目標位置までの移動時間の短縮を図りながら、移動の際の軌跡ずれを生じさせずに車両を駐車目標位置へと誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した駐車支援システムの一例を示す構成図である。
【図2】自車が後退開始位置から後退しながら駐車目標位置へと移動して駐車する駐車シーンを示す模式図である。
【図3】本発明を適用した駐車支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】誘導動作中における自車の舵角速度と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【図6】第2の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】誘導動作中における自車の舵角速度と警告車速との関係を示すグラフ図である。
【図8】第3の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】誘導動作中における自車の舵角偏差と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【図10】第4の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】誘導動作中における自車の舵角偏差及び舵角速度と警告車速との関係を示すグラフ図である。
【図12】舵角偏差と舵角速度の補正基準値との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は本実施形態の駐車支援システムの構成図、図2は本実施形態で想定する駐車シーンを示す模式図、図3は本実施形態の駐車支援システムによる一連の動作を示すフローチャート、図4は駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャート、図5は誘導動作中における自車の舵角速度と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【0011】
本実施形態の駐車支援システムは、図2に示すように、自車Vが後退開始位置Pから後退しながら駐車目標位置Tへと移動して駐車する駐車シーンを想定し、後退開始位置Pから駐車目標位置Tまでの誘導軌跡Lを求めて自車Vがその誘導軌跡Lに沿って移動するように、自車Vの操舵及び駆動・制動を自動制御するものである。そして、特に本実施形態では、自車Vを後退開始位置Pから駐車目標位置Tへと誘導する際の制御車速、つまり制御目標とする車速の上限値(上限車速)を、自車Vの舵角速度に応じて変化させるようにしている。
【0012】
本実施形態の駐車支援システムは、図1に示すように、システム全体の動作を司る駐車支援コントローラ1を中心に構成される。この駐車支援コントローラ1には、駐車支援システムの動作を開始させる際に自車のドライバにより操作される駐車支援開始スイッチ2と、右側方ソナー3及び左側方ソナー4が接続されている。右側方ソナー3は自車の右側方の障害物を検出するソナーであり、左側方ソナー4は自車の左側方の障害物を検出するソナーである。これらソナー3,4の信号は駐車支援コントローラ1に随時入力される。
【0013】
また、駐車支援コントローラ1は、例えばCANなどの車載ネットワークシステムの通信ラインL1,L2を介して、電動パワーステアリングコントローラ5、横滑り防止装置(VDC)6、舵角センサ7、変速機(AT/CVT)8、エンジン制御装置(ECM)9、ディスプレイ10、オーディオシステム11のそれぞれと通信可能に接続されている。また、横滑り防止装置6には車輪速センサ12が接続され、ディスプレイ10にはバックビューカメラ13が接続されている。なお、図1における通信ラインL1は車両制御系の通信ラインであり、通信ラインL2は情報系の通信ラインである。
【0014】
電動パワーステアリングコントローラ5は、自車のステアリングを駆動制御する機能を持つ。横滑り防止装置(VDC)6は、車輪側センサ12からの車速情報と舵角センサ7からの舵角情報とに応じてブレーキを制御する機能を持つ。変速器(AT/CVT)8は、自車の変速比を制御する機能を持つ。また、エンジン制御装置(ECM)9は、エンジンのスロットル開度を制御する機能を持つ。さらに、ディスプレイ10は、バックビューカメラ13により撮影された自車後方の映像を表示する機能を持ち、オーディオシステム11は、各種の音声ガイダンスを出力する機能を持つ。なお、自車のブレーキを自動制御する装置としてはアンチロックブレーキシステム(ABS)が知られており、横滑り防止装置(VDC)6の代わりに、このアンチロックブレーキシステム(ABS)を駐車支援システムの構成要素に加えるようにしてもよい。
【0015】
以上のように構成される本実施形態の駐車支援システムは、自車のドライバにより駐車支援開始スイッチ2が操作されることで起動し、駐車支援コントローラ1において予め組み込まれた処理プログラムが実行されることによって、主に下記の(1)〜(3)の機能を実現する。
【0016】
(1)駐車目標位置の設定
駐車支援コントローラ1は、自車が駐車場の駐車枠に沿って前進している間に、右側方ソナー3又は左側方ソナー4の検知信号を入力し、その検知信号に基づいて自車を駐車可能な空きスペースを探索し、空きスペースが検知された場合にそのスペースを自車の駐車目標位置として自動設定する。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが2台の他車両A,Bの前方を前進している過程で、右側方ソナー3の検知信号をもとに2台の他車両A,B間に空きスペースがあることを検知したら、この空きスペースを自車Vの駐車目標位置Tとして設定する。
【0017】
(2)後退開始位置までの音声ガイダンス
駐車支援コントローラ1は、駐車目標位置を設定した後、横滑り防止装置6から自車の車速情報、舵角センサ7から自車の舵角情報を随時入力して、自車の位置をデッドレコニングしながら、自車を後退させながら駐車目標位置に到達させるのに最適な後退開始位置へと自車を誘導するための音声ガイダンスを、オーディオシステム11のスピーカから出力させる。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが駐車目標位置Tを横切って前進する過程で、例えば「ステアリングを左に回してください。」といった音声ガイダンスをスピーカから出力させ、自車Vが後退開始位置Pに近付くと、例えば「車を停めてシフトレバーをリバースに入れてください。」といった音声ガイダンスをスピーカから出力させる。なお、この後退開始位置までの自車の移動は、自車のドライバによるステアリング操作及びアクセル・ブレーキ操作に委ねている。
【0018】
(3)後退開始位置から駐車目標位置への誘導
駐車支援コントローラ1は、自車が後退開始位置に到達すると、自車位置のデッドレコニングの結果をもとに駐車目標位置に対する後退開始位置(自車の現在位置)の相対位置関係を求め、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導するための誘導軌跡を算出する。そして、自車がこの誘導軌跡に沿って後退開始位置から駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御する。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが後退開始位置Pに到達すると、後退開始位置Pから右方向に操舵しながら後退した後に中立状態にして駐車目標位置Tに到達する誘導軌跡Lを求めて、この誘導軌跡Lに沿って自車が移動するように、後退開始位置Pから駐車目標位置Tまでの自車Vの操舵及び駆動・制動を自動制御する。
【0019】
ここで、自車の操舵の自動制御は、ステアリング操作を電気的にアシストする電動パワーステアリングコントローラ5と駐車支援コントローラ1との連係動作により実施される。具体的には、駐車支援コントローラ1が、舵角センサ7からの舵角情報をもとに、自車を誘導軌跡に沿わせるための目標舵角と実際の舵角との差分の絶対値である舵角偏差を求めて、この舵角偏差をゼロにするための電流指令を電動パワーステアリングコントローラ5に出力する。電動パワーステアリングコントローラ5は、この駐車支援コントローラ1からの電流指令に基づいてステアリングアクチュエータを駆動し、ステアリングを操作する。
【0020】
また、自車の駆動・制動の自動制御は、駐車支援コントローラ1からの指令に基づくエンジン制御装置9でのスロットル開度制御と、駐車支援コントローラ1からの指令に基づく変速機8での変速比制御と、駐車支援コントローラ1からの指令に基づく横滑り防止装置6(又はアンチロックブレーキシステム)でのブレーキ制御の何れか、又はこれらの組み合わせにより実施される。このとき、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速(上限車速)を超えないように各部への指令を出力する。例えば、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速となるようにエンジン制御装置9に対してスロットル開度指令を出力し、自車の車速が制御車速を超える場合には、エンジン制御装置9に対してスロットル開度を小さくする指令を出力するとともに、横滑り防止装置6に対してブレーキ指令を出力し、或いは、変速機8に変速比指令を出力して自車の車速を低減させる。
【0021】
そして、特に本実施形態では、駐車支援コントローラ1が自車の駆動・制動の自動制御を行う際に用いる制御車速(上限車速)を、誘導軌跡に沿って移動している自車の舵角速度(単位時間当たりの操舵量)に応じて変化させ、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に、舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。
【0022】
なお、本実施形態の駐車支援システムでは、以上の主要な機能のほかに、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際には、バックビューカメラ13で撮影された自車後方の画像をディスプレイ10に表示するといった機能も有する。すなわち、ディスプレイ10は、変速機8からのシフト位置信号により自車のシフト位置がリバースになったことを検知すると、バックビューカメラ13からの映像信号を取り込んで、自車後方の映像を表示する。このとき、駐車支援コントローラ1において駐車目標位置を示す駐車枠と自車の舵角に基づく予想進路とを生成し、これら駐車枠と予想進路とをディスプレイ10の画面上に重畳して表示するようにしてもよい。
【0023】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際に、自車の駆動・制動を自動制御する機能に何らかの異常が生じ、或いは自車のドライバが不用意にアクセル操作を行うことにより、自車の車速が制御車速を大きく上回って解除車速(例えば4km/h)を超えた場合に、システムを強制的に停止させる機能を有する。また、そのほかにも、例えば、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際に、右側方ソナー3又は左側方ソナー4により自車に急接近する障害物を検出した場合に、オーディオシステム11のスピーカから警告音を出力といった機能を持たせるようにしてもよい。
【0024】
次に、本実施形態の駐車支援システムの動作を説明する。本実施形態の駐車支援システムは、自車のドライバにより駐車支援開始スイッチ2が操作されることによって図3のフローチャートに示す一連の動作を開始する。
【0025】
システム動作が開始されると、まず、駐車支援コントローラ1が右側方ソナー3及び左側方ソナー4の検知信号を入力し、これらの検知信号に基づいて自車を駐車可能な空きスペースを探索する(ステップS1)。そして、自車を駐車可能な空きスペースが検知されると(ステップS2でYESの判定)、その検知された空きスペースを自車の駐車目標位置として設定する(ステップS3)。
【0026】
次に、駐車支援コントローラ1は、自車の車速情報及び舵角情報をもとに自車の位置をデッドレコニングしながら、自車を後退開始位置へと誘導するための音声ガイダンスをオーディオシステム11のスピーカから出力させる(ステップS4)。そして、自車が後退開始位置に到達して停止したら(ステップS5でYESの判定)、その位置と駐車目標位置との相対位置関係に基づいて、駐車目標位置に誘導するための誘導軌跡を算出する(ステップS6)。
【0027】
次に、ディスプレイ10が変速機8からのシフト位置信号に基づいて、ドライバ操作により自車のシフト位置がリバースに切替えられたかどうかを判断し(ステップS7)、自車のシフト位置がリバースに切替えられると(ステップS7でYESの判定)、バックビューカメラ13からの映像信号を入力し、自車後方の映像を表示する(ステップS108)。この際、駐車支援コントローラ1は、駐車目標位置を示す駐車枠と自車の舵角に基づく予想進路とを、ディスプレイ10の画面上に重畳表示させる。
【0028】
また、駐車支援コントローラ1は、ディスプレイ10に自車後方の映像を表示させた状態で、ステップS6で算出した誘導軌跡に沿って自車が駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御する(ステップS9)。その際、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速を超えないように自車の駆動・制動を制御するが、その処理手順については詳細を後述する。
【0029】
駐車支援コントローラ1は、以上の誘導動作を行っている間、自車の車速情報及び舵角情報をもとにした自車位置のデッドレコニングを継続し、自車が駐車目標位置に到達したか否かを監視している(ステップS10)。そして、自車が駐車目標位置に到達すると(ステップS10でYESの判定)、一連のシステム動作を終了する。
【0030】
駐車支援コントローラ1は、図3のステップS9において駐車目標位置までの誘導動作を行っている間、図4のフローチャートで示す処理手順に従って、自車の車速を制御する。この図4の処理フローは、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0031】
図4の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS101において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握し、ステップS102において、例えば、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0032】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS103において、自車の現在の舵角速度に対応した制御車速を設定する。舵角速度と制御車速との関係は、図5に示すように、舵角速度ωが大きいほど制御車速が低い値となるようにする。具体的には、舵角速度ωが最大値、最小値をとるときの誘導軌跡に追従可能な車速の限界値をそれぞれ求めて、図5(a)に示すように、それらの車速限界値を直線で結んで、舵角速度ωに対応する制御車速を規定すればよい。なお、舵角速度に応じた制御車速の変化は、サーボ及び制御対象の特性を考慮して、図5(b)に示すようにステップ状に変化するものとしてもよいし、また、曲線的に変化するようにしても構わない。駐車支援コントローラ1は、この図5に示すような舵角速度ωと制御車速との関係を制御マップとして記憶しておき、自車の現在の舵角速度が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角速度に対応した制御速度を設定すればよい。
【0033】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS104において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS105において、自車の現在の車速とステップS103で設定した制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が現在の舵角速度に応じて設定した制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS106において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS107において、自車の速度を低減させる処理を実行する。具体的には、駐車支援コントローラ1は、例えばエンジン制御装置9に対してスロットル開度を小さくする指令を出力するとともに、横滑り防止装置6に対してブレーキ指令を出力し、或いは、変速機8に変速比指令を出力して自車の車速を低減させる。
【0034】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS108においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0035】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて制御車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を駐車目標位置へと誘導する際に、自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するようにしているので、自車のドライバによる操作負担を大幅に軽減することができる。さらに、この駐車支援システムは、自車を駐車目標位置に適切に駐車させるために最適な軌跡や車速の変化等を自車のドライバに体感させることができるので、自車のドライバに駐車動作時における適切なステアリング、アクセル、ブレーキ操作を習得させる上でも有効である。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、後退開始位置から駐車目標位置までの誘導動作が第1の実施形態とは異なるものである。つまり、第1の実施形態の駐車支援システムでは、自車が後退開始位置から駐車目標位置に到達するまでの間、自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するようにしていたが、本実施形態の駐車支援システムでは、操舵制御のみを自動制御で行い、駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねている。そして、自車が後退開始位置から駐車目標位置に到達するまでの間で車速が警告車速を超えると、ディスプレイ10による表示やオーディオシステム11のスピーカからの音声出力により自車のドライバに対して警告を行うようにしており、このときの警告車速、つまり警告を行わなわずに許容する車速の上限値(上限車速)を、自車の舵角速度に応じて変化させるようにしている。
【0038】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、駐車支援コントローラ1からエンジン制御装置9へのスロットル開度指令の出力や、横滑り防止装置6へのブレーキ指令の出力、変速機8への変速比指令の出力は行わず、代わりに、自車の車速が警告車速を超えた場合に、ディスプレイ10やオーディオシステム11を用いた警告動作が行われる。
【0039】
本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際の動作以外は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。本実施形態の駐車支援システムでは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)、駐車支援コントローラ1が、誘導軌跡に沿って自車が駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵を自動制御する。このとき、自車の駆動・制動はドライバのアクセル・ブレーキ操作により行われるが、駐車支援コントローラ1は、図6のフローチャートで示す処理手順に従って自車の車速を監視し、車速が警告車速を超えると警告を出力させる。なお、この図6の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0040】
図6のフローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS201において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握し、ステップS202において、例えば、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0041】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS203において、自車の現在の舵角速度に対応した警告車速を設定する。舵角速度と警告車速との関係は、図7に示すように、舵角速度ωが大きいほど警告車速が低い値となるようにする。なお、舵角速度ωに応じた警告車速の変化は、第1の実施形態で説明した制御車速の変化と同様に、直線状に変化するものとしてもよいし、ステップ状に変化するもの、或いは曲線的に変化するものとしてもよい。駐車支援コントローラ1は、この図7に示すような舵角速度ωと警告車速との関係を制御マップとして記憶しておき、自車の現在の舵角速度が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角速度に対応した警告速度を設定すればよい。
【0042】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS204において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS205において、自車の現在の車速とステップS203で設定した警告車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が現在の舵角速度に応じて設定した警告車速を超えていなければ、ステップS206において前回の処理周期で速度警告を出力しているか否かを確認し、速度警告出力中であればステップS207において速度警告を解除し、また、速度警告出力中でなければそのまま今回の処理周期における処理を終了して、次の処理が開始されるまで待機する。
【0043】
また、駐車支援コントローラ1は、ステップS205で自車の車速が警告車速を超えていると判定した場合には、ステップS208において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS209において、車速が過剰である旨の速度警告を行ってドライバのブレーキ操作を促す。具体的には、駐車支援コントローラ1は、例えばディスプレイ10に車速が過剰になっている旨のメッセージ等を表示させ、また、オーディオシステム11のスピーカから警告音や音声メッセージ等を出力させる。
【0044】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS210においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0045】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵を自動制御しながら、ドライバのアクセル・ブレーキ操作により車速が警告車速を超えると警告を行うようにして自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて警告車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では警告車速を低く設定し、逆に、舵角速度が小さくなる位置では警告車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を駐車目標位置へと誘導する際に、自車の操舵のみを自動制御し、アクセル・ブレーキ操作はドライバが行うようにしているので、処理負荷を低減しながら適切な駐車支援を行うことができる。
【0047】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、第1の実施形態と同様に、自車を後退開始位置から駐車目標位置まで誘導する際に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムにおいて、制御目標とする車速の上限値である制御車速(上限車速)を、自車を誘導軌跡に沿わせるための目標舵角と実際の舵角との差分の絶対値である舵角偏差に応じて変化させるようにしたものである。
【0048】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。また、本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)に、駐車支援コントローラ1が、図8のフローチャートで示す一連の処理手順に従って、自車の車速を制御するようにしている。なお、この図8の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0049】
図8の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS301において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握する。そして、ステップS302において、自車を誘導軌跡に沿って誘導するための目標舵角と現在の舵角との差分を求めて、舵角偏差を算出する。
【0050】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS303において、ステップS302で算出した舵角偏差に対応した制御車速を設定する。舵角偏差と制御車速との関係は、図9に示すように、舵角偏差θdが大きいほど制御車速が低い値となるようにする。具体的には、舵角偏差θdが最大値、最小値をとるときの誘導軌跡に追従可能な車速の限界値をそれぞれ求めて、それらの車速限界値に基づいて舵角速度θdに対応する制御車速を規定すればよい。なお、舵角偏差θdに応じた制御車速の変化は、第1の実施形態で説明した舵角速度に応じた制御車速の変化と同様に、直線状に変化するものとしてもよいし、ステップ状に変化するもの、或いは曲線的に変化するものとしてもよい。駐車支援コントローラ1は、この図9に示すような舵角偏差θdと制御車速との関係を制御マップとして記憶しておき、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角偏差に対応した制御速度を設定すればよい。
【0051】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS304において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS305において、自車の現在の車速とステップS303で設定した制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が舵角偏差に応じて設定した制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS306において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS307において、第1の実施形態で説明したような速度低減処理を実行する。
【0052】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS308においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0053】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差に応じて制御車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角偏差が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に、舵角偏差が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵を自動制御する際に用いる舵角偏差の情報をパラメータとして制御車速を設定するようにしているので、制御車速を設定するために舵角速度などの新たなパラメータを計算する必要がなく、処理負荷の低減を図ることができる。
【0055】
なお、以上は、駐車目標位置までの誘導時に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムを前提とし、制御車速を設定するパラメータとして舵角速度の代わりに舵角偏差を用いる例を説明したが、第2の実施形態と同様に、操舵制御のみを自動制御で行って駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねるシステムにおいて、警告車速を設定するパラメータとして舵角速度に代えて舵角偏差を用いることも可能である。
【0056】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、第1の実施形態と同様に、自車を後退開始位置から駐車目標位置まで誘導する際に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムにおいて、制御目標とする車速の上限値である制御車速(上限車速)を舵角偏差に基づいて設定し、さらにその制御車速を舵角速度に応じて補正するようにしたものである。
【0057】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。また、本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)に、駐車支援コントローラ1が、図10のフローチャートで示す一連の処理手順に従って、自車の車速を制御するようにしている。なお、この図10の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0058】
図10の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS401において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握する。そして、ステップS402において、自車を誘導軌跡に沿って誘導するための目標舵角と現在の舵角との差分を求めて舵角偏差を算出するとともに、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0059】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS403において、ステップS402で算出した舵角偏差に対応した制御車速を第1の実施形態と同様に設定する。さらに、駐車支援コントローラ1は、ステップS404〜ステップS408での処理により、ステップS402で算出した現在の舵角偏差と舵角速度との関係を考慮して、図11に示すように、舵角速度ωが大のときは制御車速を大きく、舵角速度ωが小のときは制御車速を小さくするように、舵角偏差θdに対応する制御車速を舵角速度ωをもとに補正することで、系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させる。
【0060】
具体的には、駐車支援コントローラ1は、ステップS404において、舵角偏差に応じた系の標準的な舵角速度を基準として、現在の舵角偏差に対応する舵角速度の補正基準値を算出する。舵角偏差と舵角速度の補正基準値との関係は、例えば図12に示すように、舵角偏差θdの値に応じて、系の標準的な舵角速度ωの値(図中の破線)に対して所定の割合で上側にシフトした値を−側補正基準値、下側にシフトした値を+側補正基準値として算出する。そして、ステップS405において、ステップS402で算出した現在の舵角速度が−側補正基準値を超えているかを判定し、現在の舵角速度が−側補正基準値を超えている場合には、ステップS406において、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を−側に補正(例えば−10%)する。
【0061】
一方、現在の舵角速度が−側補正基準値を超えていなければ、ステップS407において、現在の舵角速度が+側補正基準値未満であるかどうかを判定し、現在の舵角速度が+側補正基準値未満であれば、ステップS408において、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を+側に補正(例えば+10%)する。なお、現在の舵角速度が−側補正基準値と+側補正基準値との間にある場合には、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を補正することなく、そのまま維持する。
【0062】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS409において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS410において、自車の現在の車速と補正後の制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が補正後の制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が補正後の制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS411において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS412において、第1の実施形態で説明したような速度低減処理を実行する。
【0063】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS413においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0064】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差に応じて制御車速(上限速度)を変更し、さらに、舵角偏差をもとに設定した制御車速を舵角速度に応じて補正するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができ、さらに、制御系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させて、系の安定性を確保することが可能となる。
【0065】
なお、以上は、駐車目標位置までの誘導時に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムを前提とし、制御車速を設定するパラメータとして舵角速度の代わりに舵角偏差を用いる例を説明したが、第2の実施形態と同様に、操舵制御のみを自動制御で行って駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねるシステムにおいて、警告車速を設定するパラメータとして舵角速度に代えて舵角偏差を用いることも可能である。
【0066】
また、以上の例では、自車の現在の舵角偏差に基づいて設定した制御車速を現在の舵角速度に応じて補正するようにしているが、自車の現在の舵角速度に基づいて設定した制御車速又は警告車速を舵角偏差に応じて補正するようにしても、上記の例と同様に、制御系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させる効果を得ることができ、系の安定性を確保することが可能となる。
【0067】
以下、参考として、上述した各実施形態と特許請求の範囲に記載の構成要件との対応関係を付記する。上述した各実施形態の駐車支援システムにおいて、駐車支援コントローラ1に接続された舵角センサ7が、特許請求の範囲に記載の「舵角検出手段」に相当する。また、自車の現在の舵角速度又は舵角偏差に応じて制御車速又は警告車速を設定する駐車支援コントローラ1による処理(例えば図4のフローチャートにおけるステップS103の処理)が、特許請求の範囲に記載の「上限車速設定手段」に相当する。また、横滑り防止装置6に接続された車輪速センサ12が、特許請求の範囲に記載の「車速検出手段」に相当する。また、エンジン制御装置9、横滑り防止装置6、変速機8に制御指令を出力する駐車支援コントローラ1による処理(例えば図4のフローチャートにおけるステップS107の処理)が、特許請求の範囲に記載の「駆動制御手段」に相当する。また、ディスプレイ10にメッセージ等を表示させたり、オーディオシステム11のスピーカから警告音や音声メッセージ等を出力さる駐車支援コントローラ1による処理(例えば図6のフローチャートにおけるステップS209の処理)が、特許請求の範囲に記載の「警報手段」に相当する。
【0068】
なお、以上説明した本発明の実施形態は、本発明の一適用例を例示的に示したものであり、本発明の技術的範囲が上記の実施形態として開示した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【符号の説明】
【0069】
1 駐車支援コントローラ
5 電動パワーステアリングコントローラ
6 横滑り防止装置
7 舵角センサ
8 変速機
9 エンジン制御装置
10 ディスプレイ
11 オーディオシステム
12 車輪速センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駐車目標位置へと誘導して駐車操作を支援する駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駐車支援装置として、車両を駐車目標位置へと誘導する際の車速上限を車両周囲の障害物の状況に応じて可変とし、障害物までの距離が大きいほど車速上限を大きくすることで、駐車目標位置までの移動時間を短縮しつつ、車両が障害物に不用意に近付くことを抑制して安全性の確保を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−335239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている駐車支援装置では、障害物が存在しない場合には車速上限が最大速度に設定されるために、特に操舵量が大きい位置で実際の車両走行軌跡が誘導軌跡からずれ易く、所望の駐車目標位置へと車両を適切に誘導することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みて創案されたものであって、車両の駐車目標位置までの移動時間の短縮を図りながら、移動の際の軌跡ずれを生じさせずに車両を駐車目標位置へと誘導することができる駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、車両の操舵を自動制御しながら車両を駐車目標位置へと誘導する際に、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させるようにしているので、舵角に応じて軌跡ずれが生じない範囲の車速で車両を移動させることができ、車両の駐車目標位置までの移動時間の短縮を図りながら、移動の際の軌跡ずれを生じさせずに車両を駐車目標位置へと誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した駐車支援システムの一例を示す構成図である。
【図2】自車が後退開始位置から後退しながら駐車目標位置へと移動して駐車する駐車シーンを示す模式図である。
【図3】本発明を適用した駐車支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】誘導動作中における自車の舵角速度と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【図6】第2の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】誘導動作中における自車の舵角速度と警告車速との関係を示すグラフ図である。
【図8】第3の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】誘導動作中における自車の舵角偏差と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【図10】第4の実施形態の駐車支援装置において、駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】誘導動作中における自車の舵角偏差及び舵角速度と警告車速との関係を示すグラフ図である。
【図12】舵角偏差と舵角速度の補正基準値との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は本実施形態の駐車支援システムの構成図、図2は本実施形態で想定する駐車シーンを示す模式図、図3は本実施形態の駐車支援システムによる一連の動作を示すフローチャート、図4は駐車目標位置への誘導動作の処理手順を示すフローチャート、図5は誘導動作中における自車の舵角速度と制御車速との関係を示すグラフ図である。
【0011】
本実施形態の駐車支援システムは、図2に示すように、自車Vが後退開始位置Pから後退しながら駐車目標位置Tへと移動して駐車する駐車シーンを想定し、後退開始位置Pから駐車目標位置Tまでの誘導軌跡Lを求めて自車Vがその誘導軌跡Lに沿って移動するように、自車Vの操舵及び駆動・制動を自動制御するものである。そして、特に本実施形態では、自車Vを後退開始位置Pから駐車目標位置Tへと誘導する際の制御車速、つまり制御目標とする車速の上限値(上限車速)を、自車Vの舵角速度に応じて変化させるようにしている。
【0012】
本実施形態の駐車支援システムは、図1に示すように、システム全体の動作を司る駐車支援コントローラ1を中心に構成される。この駐車支援コントローラ1には、駐車支援システムの動作を開始させる際に自車のドライバにより操作される駐車支援開始スイッチ2と、右側方ソナー3及び左側方ソナー4が接続されている。右側方ソナー3は自車の右側方の障害物を検出するソナーであり、左側方ソナー4は自車の左側方の障害物を検出するソナーである。これらソナー3,4の信号は駐車支援コントローラ1に随時入力される。
【0013】
また、駐車支援コントローラ1は、例えばCANなどの車載ネットワークシステムの通信ラインL1,L2を介して、電動パワーステアリングコントローラ5、横滑り防止装置(VDC)6、舵角センサ7、変速機(AT/CVT)8、エンジン制御装置(ECM)9、ディスプレイ10、オーディオシステム11のそれぞれと通信可能に接続されている。また、横滑り防止装置6には車輪速センサ12が接続され、ディスプレイ10にはバックビューカメラ13が接続されている。なお、図1における通信ラインL1は車両制御系の通信ラインであり、通信ラインL2は情報系の通信ラインである。
【0014】
電動パワーステアリングコントローラ5は、自車のステアリングを駆動制御する機能を持つ。横滑り防止装置(VDC)6は、車輪側センサ12からの車速情報と舵角センサ7からの舵角情報とに応じてブレーキを制御する機能を持つ。変速器(AT/CVT)8は、自車の変速比を制御する機能を持つ。また、エンジン制御装置(ECM)9は、エンジンのスロットル開度を制御する機能を持つ。さらに、ディスプレイ10は、バックビューカメラ13により撮影された自車後方の映像を表示する機能を持ち、オーディオシステム11は、各種の音声ガイダンスを出力する機能を持つ。なお、自車のブレーキを自動制御する装置としてはアンチロックブレーキシステム(ABS)が知られており、横滑り防止装置(VDC)6の代わりに、このアンチロックブレーキシステム(ABS)を駐車支援システムの構成要素に加えるようにしてもよい。
【0015】
以上のように構成される本実施形態の駐車支援システムは、自車のドライバにより駐車支援開始スイッチ2が操作されることで起動し、駐車支援コントローラ1において予め組み込まれた処理プログラムが実行されることによって、主に下記の(1)〜(3)の機能を実現する。
【0016】
(1)駐車目標位置の設定
駐車支援コントローラ1は、自車が駐車場の駐車枠に沿って前進している間に、右側方ソナー3又は左側方ソナー4の検知信号を入力し、その検知信号に基づいて自車を駐車可能な空きスペースを探索し、空きスペースが検知された場合にそのスペースを自車の駐車目標位置として自動設定する。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが2台の他車両A,Bの前方を前進している過程で、右側方ソナー3の検知信号をもとに2台の他車両A,B間に空きスペースがあることを検知したら、この空きスペースを自車Vの駐車目標位置Tとして設定する。
【0017】
(2)後退開始位置までの音声ガイダンス
駐車支援コントローラ1は、駐車目標位置を設定した後、横滑り防止装置6から自車の車速情報、舵角センサ7から自車の舵角情報を随時入力して、自車の位置をデッドレコニングしながら、自車を後退させながら駐車目標位置に到達させるのに最適な後退開始位置へと自車を誘導するための音声ガイダンスを、オーディオシステム11のスピーカから出力させる。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが駐車目標位置Tを横切って前進する過程で、例えば「ステアリングを左に回してください。」といった音声ガイダンスをスピーカから出力させ、自車Vが後退開始位置Pに近付くと、例えば「車を停めてシフトレバーをリバースに入れてください。」といった音声ガイダンスをスピーカから出力させる。なお、この後退開始位置までの自車の移動は、自車のドライバによるステアリング操作及びアクセル・ブレーキ操作に委ねている。
【0018】
(3)後退開始位置から駐車目標位置への誘導
駐車支援コントローラ1は、自車が後退開始位置に到達すると、自車位置のデッドレコニングの結果をもとに駐車目標位置に対する後退開始位置(自車の現在位置)の相対位置関係を求め、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導するための誘導軌跡を算出する。そして、自車がこの誘導軌跡に沿って後退開始位置から駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御する。例えば、図2に示した駐車シーンにおいて、自車Vが後退開始位置Pに到達すると、後退開始位置Pから右方向に操舵しながら後退した後に中立状態にして駐車目標位置Tに到達する誘導軌跡Lを求めて、この誘導軌跡Lに沿って自車が移動するように、後退開始位置Pから駐車目標位置Tまでの自車Vの操舵及び駆動・制動を自動制御する。
【0019】
ここで、自車の操舵の自動制御は、ステアリング操作を電気的にアシストする電動パワーステアリングコントローラ5と駐車支援コントローラ1との連係動作により実施される。具体的には、駐車支援コントローラ1が、舵角センサ7からの舵角情報をもとに、自車を誘導軌跡に沿わせるための目標舵角と実際の舵角との差分の絶対値である舵角偏差を求めて、この舵角偏差をゼロにするための電流指令を電動パワーステアリングコントローラ5に出力する。電動パワーステアリングコントローラ5は、この駐車支援コントローラ1からの電流指令に基づいてステアリングアクチュエータを駆動し、ステアリングを操作する。
【0020】
また、自車の駆動・制動の自動制御は、駐車支援コントローラ1からの指令に基づくエンジン制御装置9でのスロットル開度制御と、駐車支援コントローラ1からの指令に基づく変速機8での変速比制御と、駐車支援コントローラ1からの指令に基づく横滑り防止装置6(又はアンチロックブレーキシステム)でのブレーキ制御の何れか、又はこれらの組み合わせにより実施される。このとき、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速(上限車速)を超えないように各部への指令を出力する。例えば、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速となるようにエンジン制御装置9に対してスロットル開度指令を出力し、自車の車速が制御車速を超える場合には、エンジン制御装置9に対してスロットル開度を小さくする指令を出力するとともに、横滑り防止装置6に対してブレーキ指令を出力し、或いは、変速機8に変速比指令を出力して自車の車速を低減させる。
【0021】
そして、特に本実施形態では、駐車支援コントローラ1が自車の駆動・制動の自動制御を行う際に用いる制御車速(上限車速)を、誘導軌跡に沿って移動している自車の舵角速度(単位時間当たりの操舵量)に応じて変化させ、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に、舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。
【0022】
なお、本実施形態の駐車支援システムでは、以上の主要な機能のほかに、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際には、バックビューカメラ13で撮影された自車後方の画像をディスプレイ10に表示するといった機能も有する。すなわち、ディスプレイ10は、変速機8からのシフト位置信号により自車のシフト位置がリバースになったことを検知すると、バックビューカメラ13からの映像信号を取り込んで、自車後方の映像を表示する。このとき、駐車支援コントローラ1において駐車目標位置を示す駐車枠と自車の舵角に基づく予想進路とを生成し、これら駐車枠と予想進路とをディスプレイ10の画面上に重畳して表示するようにしてもよい。
【0023】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際に、自車の駆動・制動を自動制御する機能に何らかの異常が生じ、或いは自車のドライバが不用意にアクセル操作を行うことにより、自車の車速が制御車速を大きく上回って解除車速(例えば4km/h)を超えた場合に、システムを強制的に停止させる機能を有する。また、そのほかにも、例えば、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際に、右側方ソナー3又は左側方ソナー4により自車に急接近する障害物を検出した場合に、オーディオシステム11のスピーカから警告音を出力といった機能を持たせるようにしてもよい。
【0024】
次に、本実施形態の駐車支援システムの動作を説明する。本実施形態の駐車支援システムは、自車のドライバにより駐車支援開始スイッチ2が操作されることによって図3のフローチャートに示す一連の動作を開始する。
【0025】
システム動作が開始されると、まず、駐車支援コントローラ1が右側方ソナー3及び左側方ソナー4の検知信号を入力し、これらの検知信号に基づいて自車を駐車可能な空きスペースを探索する(ステップS1)。そして、自車を駐車可能な空きスペースが検知されると(ステップS2でYESの判定)、その検知された空きスペースを自車の駐車目標位置として設定する(ステップS3)。
【0026】
次に、駐車支援コントローラ1は、自車の車速情報及び舵角情報をもとに自車の位置をデッドレコニングしながら、自車を後退開始位置へと誘導するための音声ガイダンスをオーディオシステム11のスピーカから出力させる(ステップS4)。そして、自車が後退開始位置に到達して停止したら(ステップS5でYESの判定)、その位置と駐車目標位置との相対位置関係に基づいて、駐車目標位置に誘導するための誘導軌跡を算出する(ステップS6)。
【0027】
次に、ディスプレイ10が変速機8からのシフト位置信号に基づいて、ドライバ操作により自車のシフト位置がリバースに切替えられたかどうかを判断し(ステップS7)、自車のシフト位置がリバースに切替えられると(ステップS7でYESの判定)、バックビューカメラ13からの映像信号を入力し、自車後方の映像を表示する(ステップS108)。この際、駐車支援コントローラ1は、駐車目標位置を示す駐車枠と自車の舵角に基づく予想進路とを、ディスプレイ10の画面上に重畳表示させる。
【0028】
また、駐車支援コントローラ1は、ディスプレイ10に自車後方の映像を表示させた状態で、ステップS6で算出した誘導軌跡に沿って自車が駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御する(ステップS9)。その際、駐車支援コントローラ1は、自車の車速が制御車速を超えないように自車の駆動・制動を制御するが、その処理手順については詳細を後述する。
【0029】
駐車支援コントローラ1は、以上の誘導動作を行っている間、自車の車速情報及び舵角情報をもとにした自車位置のデッドレコニングを継続し、自車が駐車目標位置に到達したか否かを監視している(ステップS10)。そして、自車が駐車目標位置に到達すると(ステップS10でYESの判定)、一連のシステム動作を終了する。
【0030】
駐車支援コントローラ1は、図3のステップS9において駐車目標位置までの誘導動作を行っている間、図4のフローチャートで示す処理手順に従って、自車の車速を制御する。この図4の処理フローは、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0031】
図4の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS101において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握し、ステップS102において、例えば、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0032】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS103において、自車の現在の舵角速度に対応した制御車速を設定する。舵角速度と制御車速との関係は、図5に示すように、舵角速度ωが大きいほど制御車速が低い値となるようにする。具体的には、舵角速度ωが最大値、最小値をとるときの誘導軌跡に追従可能な車速の限界値をそれぞれ求めて、図5(a)に示すように、それらの車速限界値を直線で結んで、舵角速度ωに対応する制御車速を規定すればよい。なお、舵角速度に応じた制御車速の変化は、サーボ及び制御対象の特性を考慮して、図5(b)に示すようにステップ状に変化するものとしてもよいし、また、曲線的に変化するようにしても構わない。駐車支援コントローラ1は、この図5に示すような舵角速度ωと制御車速との関係を制御マップとして記憶しておき、自車の現在の舵角速度が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角速度に対応した制御速度を設定すればよい。
【0033】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS104において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS105において、自車の現在の車速とステップS103で設定した制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が現在の舵角速度に応じて設定した制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS106において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS107において、自車の速度を低減させる処理を実行する。具体的には、駐車支援コントローラ1は、例えばエンジン制御装置9に対してスロットル開度を小さくする指令を出力するとともに、横滑り防止装置6に対してブレーキ指令を出力し、或いは、変速機8に変速比指令を出力して自車の車速を低減させる。
【0034】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS108においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0035】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて制御車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に舵角速度が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を駐車目標位置へと誘導する際に、自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するようにしているので、自車のドライバによる操作負担を大幅に軽減することができる。さらに、この駐車支援システムは、自車を駐車目標位置に適切に駐車させるために最適な軌跡や車速の変化等を自車のドライバに体感させることができるので、自車のドライバに駐車動作時における適切なステアリング、アクセル、ブレーキ操作を習得させる上でも有効である。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、後退開始位置から駐車目標位置までの誘導動作が第1の実施形態とは異なるものである。つまり、第1の実施形態の駐車支援システムでは、自車が後退開始位置から駐車目標位置に到達するまでの間、自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するようにしていたが、本実施形態の駐車支援システムでは、操舵制御のみを自動制御で行い、駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねている。そして、自車が後退開始位置から駐車目標位置に到達するまでの間で車速が警告車速を超えると、ディスプレイ10による表示やオーディオシステム11のスピーカからの音声出力により自車のドライバに対して警告を行うようにしており、このときの警告車速、つまり警告を行わなわずに許容する車速の上限値(上限車速)を、自車の舵角速度に応じて変化させるようにしている。
【0038】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、駐車支援コントローラ1からエンジン制御装置9へのスロットル開度指令の出力や、横滑り防止装置6へのブレーキ指令の出力、変速機8への変速比指令の出力は行わず、代わりに、自車の車速が警告車速を超えた場合に、ディスプレイ10やオーディオシステム11を用いた警告動作が行われる。
【0039】
本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際の動作以外は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。本実施形態の駐車支援システムでは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)、駐車支援コントローラ1が、誘導軌跡に沿って自車が駐車目標位置へと移動するように、自車の操舵を自動制御する。このとき、自車の駆動・制動はドライバのアクセル・ブレーキ操作により行われるが、駐車支援コントローラ1は、図6のフローチャートで示す処理手順に従って自車の車速を監視し、車速が警告車速を超えると警告を出力させる。なお、この図6の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0040】
図6のフローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS201において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握し、ステップS202において、例えば、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0041】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS203において、自車の現在の舵角速度に対応した警告車速を設定する。舵角速度と警告車速との関係は、図7に示すように、舵角速度ωが大きいほど警告車速が低い値となるようにする。なお、舵角速度ωに応じた警告車速の変化は、第1の実施形態で説明した制御車速の変化と同様に、直線状に変化するものとしてもよいし、ステップ状に変化するもの、或いは曲線的に変化するものとしてもよい。駐車支援コントローラ1は、この図7に示すような舵角速度ωと警告車速との関係を制御マップとして記憶しておき、自車の現在の舵角速度が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角速度に対応した警告速度を設定すればよい。
【0042】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS204において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS205において、自車の現在の車速とステップS203で設定した警告車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が現在の舵角速度に応じて設定した警告車速を超えていなければ、ステップS206において前回の処理周期で速度警告を出力しているか否かを確認し、速度警告出力中であればステップS207において速度警告を解除し、また、速度警告出力中でなければそのまま今回の処理周期における処理を終了して、次の処理が開始されるまで待機する。
【0043】
また、駐車支援コントローラ1は、ステップS205で自車の車速が警告車速を超えていると判定した場合には、ステップS208において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS209において、車速が過剰である旨の速度警告を行ってドライバのブレーキ操作を促す。具体的には、駐車支援コントローラ1は、例えばディスプレイ10に車速が過剰になっている旨のメッセージ等を表示させ、また、オーディオシステム11のスピーカから警告音や音声メッセージ等を出力させる。
【0044】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS210においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0045】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵を自動制御しながら、ドライバのアクセル・ブレーキ操作により車速が警告車速を超えると警告を行うようにして自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、自車の舵角速度に応じて警告車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角速度が大きくなる位置では警告車速を低く設定し、逆に、舵角速度が小さくなる位置では警告車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車を駐車目標位置へと誘導する際に、自車の操舵のみを自動制御し、アクセル・ブレーキ操作はドライバが行うようにしているので、処理負荷を低減しながら適切な駐車支援を行うことができる。
【0047】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、第1の実施形態と同様に、自車を後退開始位置から駐車目標位置まで誘導する際に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムにおいて、制御目標とする車速の上限値である制御車速(上限車速)を、自車を誘導軌跡に沿わせるための目標舵角と実際の舵角との差分の絶対値である舵角偏差に応じて変化させるようにしたものである。
【0048】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。また、本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)に、駐車支援コントローラ1が、図8のフローチャートで示す一連の処理手順に従って、自車の車速を制御するようにしている。なお、この図8の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0049】
図8の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS301において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握する。そして、ステップS302において、自車を誘導軌跡に沿って誘導するための目標舵角と現在の舵角との差分を求めて、舵角偏差を算出する。
【0050】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS303において、ステップS302で算出した舵角偏差に対応した制御車速を設定する。舵角偏差と制御車速との関係は、図9に示すように、舵角偏差θdが大きいほど制御車速が低い値となるようにする。具体的には、舵角偏差θdが最大値、最小値をとるときの誘導軌跡に追従可能な車速の限界値をそれぞれ求めて、それらの車速限界値に基づいて舵角速度θdに対応する制御車速を規定すればよい。なお、舵角偏差θdに応じた制御車速の変化は、第1の実施形態で説明した舵角速度に応じた制御車速の変化と同様に、直線状に変化するものとしてもよいし、ステップ状に変化するもの、或いは曲線的に変化するものとしてもよい。駐車支援コントローラ1は、この図9に示すような舵角偏差θdと制御車速との関係を制御マップとして記憶しておき、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差が算出されたときに、この制御マップを参照して現在の舵角偏差に対応した制御速度を設定すればよい。
【0051】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS304において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS305において、自車の現在の車速とステップS303で設定した制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が舵角偏差に応じて設定した制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS306において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS307において、第1の実施形態で説明したような速度低減処理を実行する。
【0052】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS308においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0053】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差に応じて制御車速(上限速度)を変更し、誘導軌跡上で舵角偏差が大きくなる位置では制御車速を低く設定し、逆に、舵角偏差が小さくなる位置では制御車速を高く設定するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵を自動制御する際に用いる舵角偏差の情報をパラメータとして制御車速を設定するようにしているので、制御車速を設定するために舵角速度などの新たなパラメータを計算する必要がなく、処理負荷の低減を図ることができる。
【0055】
なお、以上は、駐車目標位置までの誘導時に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムを前提とし、制御車速を設定するパラメータとして舵角速度の代わりに舵角偏差を用いる例を説明したが、第2の実施形態と同様に、操舵制御のみを自動制御で行って駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねるシステムにおいて、警告車速を設定するパラメータとして舵角速度に代えて舵角偏差を用いることも可能である。
【0056】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援システムは、第1の実施形態と同様に、自車を後退開始位置から駐車目標位置まで誘導する際に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムにおいて、制御目標とする車速の上限値である制御車速(上限車速)を舵角偏差に基づいて設定し、さらにその制御車速を舵角速度に応じて補正するようにしたものである。
【0057】
本実施形態の駐車支援システムの構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同様である。また、本実施形態の駐車支援システムにおける一連の動作は、図3のフローチャートで示した第1の実施形態の駐車支援システムにおける動作と同様である。ただし、本実施形態の駐車支援システムにおいては、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導する際(図3のステップS9)に、駐車支援コントローラ1が、図10のフローチャートで示す一連の処理手順に従って、自車の車速を制御するようにしている。なお、この図10の処理フローは、自車を後退開始位置から駐車目標位置へと誘導している間、駐車支援コントローラ1により、所定周期(例えば20msec程度)ごとに繰り返し実行されるものである。
【0058】
図10の処理フローが開始されると、駐車支援コントローラ1は、まずステップS401において、舵角センサ7から舵角情報を入力して自車の現在の舵角を把握する。そして、ステップS402において、自車を誘導軌跡に沿って誘導するための目標舵角と現在の舵角との差分を求めて舵角偏差を算出するとともに、現在の舵角値を一階微分することによって、現在の舵角速度を算出する。
【0059】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS403において、ステップS402で算出した舵角偏差に対応した制御車速を第1の実施形態と同様に設定する。さらに、駐車支援コントローラ1は、ステップS404〜ステップS408での処理により、ステップS402で算出した現在の舵角偏差と舵角速度との関係を考慮して、図11に示すように、舵角速度ωが大のときは制御車速を大きく、舵角速度ωが小のときは制御車速を小さくするように、舵角偏差θdに対応する制御車速を舵角速度ωをもとに補正することで、系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させる。
【0060】
具体的には、駐車支援コントローラ1は、ステップS404において、舵角偏差に応じた系の標準的な舵角速度を基準として、現在の舵角偏差に対応する舵角速度の補正基準値を算出する。舵角偏差と舵角速度の補正基準値との関係は、例えば図12に示すように、舵角偏差θdの値に応じて、系の標準的な舵角速度ωの値(図中の破線)に対して所定の割合で上側にシフトした値を−側補正基準値、下側にシフトした値を+側補正基準値として算出する。そして、ステップS405において、ステップS402で算出した現在の舵角速度が−側補正基準値を超えているかを判定し、現在の舵角速度が−側補正基準値を超えている場合には、ステップS406において、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を−側に補正(例えば−10%)する。
【0061】
一方、現在の舵角速度が−側補正基準値を超えていなければ、ステップS407において、現在の舵角速度が+側補正基準値未満であるかどうかを判定し、現在の舵角速度が+側補正基準値未満であれば、ステップS408において、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を+側に補正(例えば+10%)する。なお、現在の舵角速度が−側補正基準値と+側補正基準値との間にある場合には、ステップS403で設定した舵角偏差に対応する制御車速を補正することなく、そのまま維持する。
【0062】
次に、駐車支援コントローラ1は、ステップS409において、横滑り防止装置6から車速情報を入力して自車の現在の車速を把握し、ステップS410において、自車の現在の車速と補正後の制御車速とを比較する。ここで、自車の現在の車速が補正後の制御車速を超えていなければ、今回の処理周期における処理を終了し、次の処理が開始されるまで待機する。一方、自車の車速が補正後の制御車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、次のステップS411において自車の現在の車速と予め設定された解除車速とを比較し、自車の現在の車速が解除車速以下であれば、ステップS412において、第1の実施形態で説明したような速度低減処理を実行する。
【0063】
一方、自車の車速が予め設定された解除車速を超えている場合には、駐車支援コントローラ1は、ステップS413においてシステム解除処理を実行して、本実施形態の駐車支援システムによる駐車支援動作を停止させる。
【0064】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援システムでは、自車の操舵及び駆動・制動を自動制御して自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと移動させる際に、駐車支援コントローラ1が、目標舵角と実際の舵角との舵角偏差に応じて制御車速(上限速度)を変更し、さらに、舵角偏差をもとに設定した制御車速を舵角速度に応じて補正するようにしている。したがって、この駐車支援システムによれば、第1の実施形態と同様に、自車に軌跡ずれを生じさせずに自車を誘導軌跡に沿って駐車目標位置へと誘導できるとともに、駐車目標位置に到達するまでの移動時間を短縮し、効率の良い駐車支援を行うことができ、さらに、制御系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させて、系の安定性を確保することが可能となる。
【0065】
なお、以上は、駐車目標位置までの誘導時に自車の操舵と駆動・制動の全てを自動制御するシステムを前提とし、制御車速を設定するパラメータとして舵角速度の代わりに舵角偏差を用いる例を説明したが、第2の実施形態と同様に、操舵制御のみを自動制御で行って駆動・制動については自車のドライバのアクセル・ブレーキ操作に委ねるシステムにおいて、警告車速を設定するパラメータとして舵角速度に代えて舵角偏差を用いることも可能である。
【0066】
また、以上の例では、自車の現在の舵角偏差に基づいて設定した制御車速を現在の舵角速度に応じて補正するようにしているが、自車の現在の舵角速度に基づいて設定した制御車速又は警告車速を舵角偏差に応じて補正するようにしても、上記の例と同様に、制御系の遅れ及び外乱に対する耐性を向上させる効果を得ることができ、系の安定性を確保することが可能となる。
【0067】
以下、参考として、上述した各実施形態と特許請求の範囲に記載の構成要件との対応関係を付記する。上述した各実施形態の駐車支援システムにおいて、駐車支援コントローラ1に接続された舵角センサ7が、特許請求の範囲に記載の「舵角検出手段」に相当する。また、自車の現在の舵角速度又は舵角偏差に応じて制御車速又は警告車速を設定する駐車支援コントローラ1による処理(例えば図4のフローチャートにおけるステップS103の処理)が、特許請求の範囲に記載の「上限車速設定手段」に相当する。また、横滑り防止装置6に接続された車輪速センサ12が、特許請求の範囲に記載の「車速検出手段」に相当する。また、エンジン制御装置9、横滑り防止装置6、変速機8に制御指令を出力する駐車支援コントローラ1による処理(例えば図4のフローチャートにおけるステップS107の処理)が、特許請求の範囲に記載の「駆動制御手段」に相当する。また、ディスプレイ10にメッセージ等を表示させたり、オーディオシステム11のスピーカから警告音や音声メッセージ等を出力さる駐車支援コントローラ1による処理(例えば図6のフローチャートにおけるステップS209の処理)が、特許請求の範囲に記載の「警報手段」に相当する。
【0068】
なお、以上説明した本発明の実施形態は、本発明の一適用例を例示的に示したものであり、本発明の技術的範囲が上記の実施形態として開示した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【符号の説明】
【0069】
1 駐車支援コントローラ
5 電動パワーステアリングコントローラ
6 横滑り防止装置
7 舵角センサ
8 変速機
9 エンジン制御装置
10 ディスプレイ
11 オーディオシステム
12 車輪速センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵を自動制御して車両を駐車目標位置へと誘導する駐車支援装置において、
車両の舵角を検出する舵角検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させる上限車速設定手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度が大きいほど上限車速を低い値に設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角偏差が大きいほど上限車速を低い値に設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度と舵角偏差とに基づいて上限車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角偏差に基づいて設定した上限車速を車両の舵角速度に応じて補正することを特徴とする請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度に基づいて設定した上限車速を車両の舵角偏差に応じて補正することを特徴とする請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
車速を検出する車速検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車速が上限車速を超えないように車両の駆動及び制動を自動制御する駆動制御手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
車速を検出する車速検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車速が上限車速を超えた場合に警告を出力する警報手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
車両の操舵を自動制御しながら車両を駐車目標位置へと誘導する際に、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させることを特徴とする駐車支援方法。
【請求項1】
車両の操舵を自動制御して車両を駐車目標位置へと誘導する駐車支援装置において、
車両の舵角を検出する舵角検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させる上限車速設定手段と、を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度が大きいほど上限車速を低い値に設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角偏差が大きいほど上限車速を低い値に設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度と舵角偏差とに基づいて上限車速を設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角偏差に基づいて設定した上限車速を車両の舵角速度に応じて補正することを特徴とする請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記上限車速設定手段は、車両の舵角速度に基づいて設定した上限車速を車両の舵角偏差に応じて補正することを特徴とする請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
車速を検出する車速検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車速が上限車速を超えないように車両の駆動及び制動を自動制御する駆動制御手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
車速を検出する車速検出手段と、
駐車目標位置に移動中の車速が上限車速を超えた場合に警告を出力する警報手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
車両の操舵を自動制御しながら車両を駐車目標位置へと誘導する際に、駐車目標位置に移動中の車両の舵角に応じて上限車速を変化させることを特徴とする駐車支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−195118(P2010−195118A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40214(P2009−40214)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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