説明

骨粗鬆症の治療

本発明によれば、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における使用のための、式(I)の化合物(式中、R1、R2、R3およびnは、本明細書中に記載した意味を有する)または薬学的に許容されるその溶媒和物、塩、もしくはプロドラッグが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨粗鬆症及び骨減少症の治療における使用のための化合物、並びに前記化合物を含む組合せ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、骨折の多大な危険性をもたらす骨の疾患である。骨粗鬆症においては、骨塩密度(BMD)が減少し、骨微細構造が破壊され、骨中の非コラーゲン性タンパク質の量及び種類が変化する。世界保健機関は、(女性における)骨粗鬆症を、骨塩密度が、最大骨量(健康な30歳女性の平均)を下回ること2.5標準偏差であると定義している。骨粗鬆症は、更年期以降の女性にもっともよく見られ、この場合は閉経後骨粗鬆症と呼称されるが、男性にも発生する可能性があり、特定のホルモン障害または別の慢性疾患が存在する場合に、あるいは投薬、特にグルココルチコイド類の結果として、誰にでも起こる可能性があり、この場合、前記疾患はステロイド-もしくはグルココルチコイド-誘発性骨粗鬆症と呼称され、また、栄養失調状態または低ナトリウム血症を含むがこれに限定されるものではない別の代謝疾患の結果として、あるいは癌の二次的結果としても、誰にでも起こる可能性がある。脆弱性骨折の危険性へのその影響を考慮すれば、骨粗鬆症は、平均余命及び生活の質に著しく影響を及ぼしうる。
【0003】
骨減少症は、骨塩密度が通常よりも低い状態である。多くの医師により、これは骨粗鬆症の前兆と見なされている。とりわけ、骨減少症は、骨塩密度偏差値が-1.0乃至-2.5であることと定義されている。さらにまた、骨減少症は、特定の状態、例えば、長期に亘る床上安静、あるいは長期間を微小重力環境、例えば地球近傍軌道または宇宙飛行にて過ごすことによって誘発されうる。
【0004】
骨粗鬆症の全ての場合の原因となる機構は、骨吸収と骨形成との不均衡である。正常な骨では、常に骨のマトリクス再形成が行われており、全骨量の10%までが常に再形成中であってよい。骨は、(骨髄前駆細胞から誘導される)破骨細胞によって吸収される。再形成過程においては、新生骨は、骨芽細胞によって沈着する。
【0005】
骨粗鬆症が発生する三つの主な機構は、不適切な最大骨量(骨格が成長中に不十分な骨量及び骨強度を発生させる)、過度の骨吸収、及び再形成中の新生骨の不適切な形成である。これら三つの機構の相互作用が脆弱な骨組織の発生の原因となる。ホルモン因子は、骨吸収の割合を強力に決定し、(例えば閉経の結果としての)エストロゲンの欠如は、骨吸収を増加させると共に、通常は体重支持骨において起こる新生骨の沈着を減少させる。エストロゲン受容体のα形態は、骨代謝回転の制御においてもっとも重要であるようである。エストロゲンに加えて、カルシウム代謝は、骨代謝回転において顕著な役割を担い、カルシウム及びビタミンDの欠如は骨沈着障害をもたらす。また、副甲状腺は、副甲状腺ホルモンを分泌することによって低カルシウム濃度に反応し、これにより骨吸収が増大して血中に十分なカルシウムを確保する。
【0006】
骨粗鬆症は、生活様式の変化及び投薬によって、進行の度合いを制限することができ、骨粗鬆症の人においては、治療はこれら両方を含んでよい。生活様式の変化には、適切な栄養バランス、転倒の回避、及び運動が含まれる。既存の薬剤には、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、ビスホスホネート、カルシトニン、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、ホルモン補充、及び選択的エストロゲン受容体モジュレーターが含まれる。
【0007】
確定した骨粗鬆症においては、ビスホスホネート薬剤がしばしば第一の治療となる。もっとも頻繁に処方されるビスホスホネートは、現在は経口ナトリウムアレンドロネート(Fosamax(登録商標))、経口リセドロネート(Actonel(登録商標))、または経口エチドロネート(Didronel(登録商標))、あるいは日毎もしくは月に一回の経口イバンドロネート(Boniva(登録商標))または月もしくは年に一回の静脈内ゾレンドロネート(Zometa(登録商標))または月一回または3乃至6回の静脈内パミドロネート(Aredia(登録商標))である。経口ビスホスホネート類は、比較的に吸収が悪く、したがって空腹時、少なくとも飲食の30分前に摂取されねばならない。これらはまた食道炎を伴い、そのため症状を悪化させる。週または月に一度の投薬であれば食道炎の可能性は低下する。
【0008】
しかしながら、静脈内投与製剤、例えば、ゾレンドロネートを用いる間欠投与は、顎骨壊死と呼称される、稀だが不快な口腔疾患に関連する。
【0009】
テリパラチドは、骨粗鬆症治効においては使用に時間的制限を有するが、多くの国において、ビスホスホネート類が無効であった場合または禁忌である場合にのみ、治療に許可されており、年若い患者または以前放射線治療を受けていた患者、またはページェット病の患者はこの薬剤を回避すべきである。
【0010】
経口ストロンチウムラネレートは、骨芽細胞の増殖を刺激すると共に破骨細胞の増殖を阻害することが提唱されている代替経口治療薬である。しかしながら、これは静脈血栓塞栓症の危険性を増大させるため、様々な理由から血栓形成の危険性のある患者には適切でない。また、ストロンチウムは、吸収の際にカルシウムがストロンチウムと競合することから、食品またはカルシウム含有調剤と共に摂取してはならない。しかしながら、カルシウム、マグネシウム、及びビタミンDを、治療的な量で毎日、しかしストロンチウムと同時にではなく、摂取すべきことは非常に重要である。
【0011】
エストロゲン補充療法は、骨粗鬆症の予防のために優れた治療であるが、今日では、その使用に別の適応症がさらにない限りは、普遍的に推奨されるものではない。エストロゲンが閉経後最初の10年以内である女性に推奨すべきか否かについては、不確定要素及び論争がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】英国特許第2,314,773号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Remington The Science and Practice of Pharmacy、第19版、Mack Printing Company、ペンシルヴェニア州イーストン(1995)
【非特許文献2】Langer、Science (1990) 249、1527
【非特許文献3】Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、SSCI, Inc (米国ウェストラフィエット)刊、1999、ISBN 0-967-06710-3
【非特許文献4】Bundegaard, H.「Design of prodrugs」、1〜92頁、Elsevier, New York-Oxford (1985)
【非特許文献5】Ruttimannら、「Chimica」(1986) 40 (9) 290〜306
【非特許文献6】Gerorkzanら、「Chem. Hetrocyclic Compd」(英訳版) (1989) 2、269
【非特許文献7】Manolagas SC, Ann N Y Acad Sci. 1998 May 1 ;840: 194-204
【非特許文献8】Houben, R. J.ら(1997)、「Assay of Vitamin K-Dependent Carboxylase Activity in Hepatic and Extrahepatic Tissues」、Methods in Enzymology 282: 358〜368
【非特許文献9】Houben, R. J.、D. Jinら(1999)、「Osteocalcin binds tightly to the gamma-glutamylcarboxylase at a site distinct from that of the other known vitamin K-dependent proteins」、Biochem J 341 (Pt 2): 265〜9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかるに、従来入手可能であった治療における欠点を解消する、骨粗鬆症及び骨減少症の新規な治療が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
今回、驚くべきことに、ある種のナフトキノン化合物が骨量減少を阻害し、骨粗鬆症及び/または骨減少症のための有効な治療を提供しうることが判明した。
【0016】
本発明は、骨粗鬆症の治療のための医薬の製造における使用のための、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における使用のための、式(I)の化合物
【化1】

[式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環基を含む炭化水素基を表し、
R2は、各出現につき独立に、水素、または特に、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し
(たとえば、R1またはR2が、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し)、
R3は、18個までの炭素原子をそれぞれが含有し、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1個の部分で置換されている、直鎖状、分枝状、もしくは環状の基を含む炭化水素基を表し、
RaおよびRbは、各出現につき独立に、水素、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し
(たとえば、RaおよびRbは、独立に、水素、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し)、
nは、0、または特に1、2、3もしくは4である]
または薬学的に許容されるその塩またはプロドラッグに関する。
【0017】
本明細書中の骨粗鬆症における使用への言及は、特記のない限り骨減少症への言及を含むこととする。
【0018】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物を、薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。本発明の別の態様では、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療のための、並びに本明細書中に記載される組合せ剤における使用のための、式(I)の化合物と、そのための薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
医薬組成物におけるような、用語「組成物」とは、活性成分と、担体を構成する不活性成分(薬学的に許容される賦形剤)とを含む成果物、ならびに成分のいずれか2種以上が組み合わさり、複合体形成し、もしくは集合し、または成分の1種または複数が解離し、または成分の1種または複数が他のタイプの反応もしくは相互作用を経る結果として、直接または間接的に生じる任意の成果物を包含するものとする。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、追加の活性成分、および薬学的に許容される賦形剤を混ぜて作製されたいかなる組成物も包含する。
【0020】
医薬組成物におけるような、用語「組成物」とは、活性成分と、担体を構成する不活性成分(薬学的に許容される賦形剤)とを含む成果物、ならびに成分のいずれか2種以上が組み合わさり、複合体形成し、もしくは集合し、または成分の1種または複数が解離し、または成分の1種または複数が他のタイプの反応もしくは相互作用を経る結果として、直接または間接的に生じる任意の成果物を包含するものとする。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、追加の活性成分、および薬学的に許容される賦形剤を混ぜて作製されたいかなる組成物も包含する。適切な医薬組成物は、たとえば、Remington The Science and Practice of Pharmacy、第19版、Mack Printing Company、ペンシルヴェニア州イーストン(1995)で見ることができる。非経口投与については、発熱物質を含まず、必要なpH、等張性、および安定性を有する、非経口的に許容される水溶液を用いることができる。適切な溶液は、当業者のよく知るところとなり、数多くの方法が文献に記載されている。薬物送達方法についての簡潔な総説は、たとえば、Langer、Science (1990) 249、1527でも見ることができる。
【0021】
本明細書における式(I)の化合物への言及は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、薬学的に許容されるすべての塩、プロドラッグ、もしくは互変異性体への言及を包含すると解釈される。したがって、その最も広い態様では、本発明は、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における使用のための、並びにその治療のための医薬の製造における使用のための、式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、もしくは互変異性体に関する。
【0022】
用語「薬学的に許容される塩」とは、無機塩基および有機塩基を含めた薬学的に許容される非毒性の塩基から調製された塩(たとえば、R3に置換基-CO2Raが存在する場合)、または無機酸および有機酸を含めた薬学的に許容される非毒性の酸から調製された塩(たとえば、R1またはR2のいずれかに塩基性置換基が存在する場合)を指す。
【0023】
無機塩基から導かれる塩として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される非毒性有機塩基から導かれる塩として、第一級、第二級、および第三級アミン、自然発生する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、たとえば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リシン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンなどの塩が挙げられる。
【0024】
酸から導かれる塩として、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などの塩が挙げられる。
【0025】
上述のように、式Iには、化合物およびその塩の任意の溶媒和物も包含される。好ましい溶媒和物は、固体状態の構造(たとえば、結晶構造)の本発明の化合物に、薬学的に許容される非毒性溶媒(以下では溶媒和溶媒と呼ぶ)の分子が組み込まれて形成された溶媒和物である。そのような溶媒の例としては、水、アルコール(エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、およびジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和物は、本発明の化合物を、溶媒和溶媒を含有する溶媒または溶媒の混合物で再結晶化することにより調製できる。任意の所与の事例において溶媒和物が生成したかどうかは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶学などの、よく知られた標準の技術を使用した分析にかけて、判定することができる。
【0026】
溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的溶媒和物でよい。特に好ましい溶媒和物は、水和物であり、水和物の例として、半水和物、一水和物、および二水和物が挙げられる。
【0027】
溶媒和物、およびその生成および特徴付けに使用する方法のより詳細な論述については、Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、SSCI, Inc (米国ウェストラフィエット)刊、1999、ISBN 0-967-06710-3を参照されたい。
【0028】
本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物のプロドラッグの使用も包含する。一般に、そのようなプロドラッグは、in vivoで、求められる化合物に容易に変換可能である、式(I)の化合物の機能性誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、当業界でよく知られている。
【0029】
該当する式Iの化合物の「プロドラッグ」という用語は、投与(たとえば、経口または非経口投与)された後、in vivoで代謝されて、実験的に検出可能な量で、かつ所定の時間内に(たとえば、6時間〜24時間の間の投薬間隔のうちに(すなわち、1日1〜4回))その化合物となる、任意の化合物を包含する。
【0030】
式Iの化合物のプロドラッグは、化合物上に存在する官能基を、そのプロドラッグが哺乳動物対象に投与されたとき、in vivoで変更官能基が切断されるような方法で変更することにより調製できる。変更は通常、プロドラッグ置換基を有する親化合物を合成することにより実現される。プロドラッグとしては、式Iの化合物中にあるヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシル、またはカルボニル基が、in vivoで切断されると遊離のヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシル、またはカルボニル基をそれぞれ生じ得る任意の基に結合している、式Iの化合物が挙げられる。
【0031】
プロドラッグの例として、その限りでないが、ヒドロキシル官能基のエステルおよびカルバメート、カルボキシル官能基のエステル、N-アシル誘導体、およびN-マンニッヒ塩基が挙げられる。プロドラッグについての全般的な情報は、たとえば、Bundegaard, H.「Design of prodrugs」、1〜92頁、Elsevier, New York-Oxford (1985)で見ることができる。
【0032】
一態様では、プロドラッグは、ビタミンKでない。別段記載しない限り、用語「ビタミンK」は、本明細書では、まとめてビタミンK1およびビタミンK2に関するものであり、ビタミンKの人工類似体に関するものではない。
【0033】
式Iの化合物は、二重結合を含有する場合もあり、したがって、個々の各二重結合についてE(エントゲーゲン)およびZ(ツザメン)幾何異性体として存在することがある。そのようなすべての異性体およびその混合物が、本発明の範囲内に含まれる。
【0034】
式Iの化合物は、位置異性体として存在する場合もあり、また互変異性を示す場合もある。すべての互変異性体形態およびその混合物が、本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
式Iの化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含有する場合もあり、したがって、光学および/またはジアステレオ異性を示すことがある。ジアステレオ異性体は、従来の技術、たとえば、クロマトグラフィーまたは分別結晶を使用して分離することができる。種々の立体異性体は、化合物のラセミ混合物または他の混合物を、従来の、たとえば、分別結晶またはHPLCの技術を使用して分離することにより単離できる。あるいは、光学活性のある適切な出発材料を、ラセミ化もしくはエピマー化を引き起こさない条件下で反応させる(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発材料を、適切な段階で後に除去することのできる「キラル助剤」と反応させる、たとえばホモキラルな酸を用いて誘導体化(すなわち、動的分割を含めて分割)した後、ジアステレオ異性体誘導体をクロマトグラフィーなどの従来の手段によって分離する、または適切なキラル試薬もしくはキラル触媒と反応させることにより、所望の光学異性体を、すべて当業者に知られている条件下で、生成することができる。すべての立体異性体およびその混合物が、本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
本発明の上述の態様において言及した使用のための、式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物は、医学的治療の方法において利用することができる。したがって、本発明の別の態様によれば、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療または予防の方法が提供され、この方法は、式(I)の化合物の有効量、または式(I)の化合物を含む医薬組成物を、こうした治療を必要とする患者に投与する工程を含む。
【0037】
本明細書中に開示される骨粗鬆症/骨減少症の治療には、骨量減少の予防または骨量減少の軽減、あるいは骨成長の刺激、あるいは骨密度の増大が含まれ、さらに廃用性骨粗鬆症、例えば長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び対麻痺状態の患者を含む(例えば、本明細書中に開示される骨粗鬆症/骨減少症の治療には、骨量減少の予防または骨量減少の軽減、あるいは骨成長の刺激、あるいは骨密度の増大が含まれる。この治療にはい、廃用性骨粗鬆症、例えば長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び対麻痺状態の患者が含まれる)。
【0038】
したがって、本発明の別の態様は以下に関する。
(a) 骨密度を増大させ、廃用性骨粗鬆症(例えば、長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び対麻痺状態の患者)を治療もしくは予防するための、骨量減少の予防、骨量減少の軽減、骨成長の刺激における使用のための、本明細書中に既に規定したような式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物。
(b) 骨密度を増大させ、廃用性骨粗鬆症(例えば、長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び対麻痺状態の患者)を治療もしくは予防するための、骨量減少の予防、骨量減少の軽減、骨成長の刺激のための医薬の調製のための、本明細書中に既に規定したような式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物の使用。
(c) 骨密度を増大させ、廃用性骨粗鬆症(例えば、長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び対麻痺状態の患者)を治療もしくは予防するための、骨量減少の予防、骨量減少の軽減、骨成長の刺激のための方法であって、本明細書中に既に規定したような式(I)の化合物の有効量、または式(I)の化合物を含む医薬組成物を、こうした治療が必要な患者に投与する工程を含む方法。
【0039】
骨密度の減少の予防における使用、こうした治療のための医薬の調製における使用、及び本発明の化合物がこうした治療を必要とする患者に投与される医療治療を含む、骨粗鬆症の治療における、式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物の使用に関する。
【0040】
一態様では、式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物は、骨密度の減少の予防による骨粗鬆症の予防において使用され、予防薬的設定で使用される。治療はまた、既に骨粗鬆症に罹患した患者における、骨密度のいかなる低下も予防もしくは軽減させるために行ってもよい。
【0041】
したがって、本発明の別の態様は以下に関する。
(A) (a)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹病性の患者における骨密度の低下を予防すること、または
(b)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹患した患者における骨密度のいかなる低下も予防もしくは軽減すること
による、患者における骨粗鬆症及び/または骨減少症の予防または治療における使用のための、本明細書中に規定される式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物。
(B) (a)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹病性の患者における骨密度の低下を予防すること、または
(b)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹患した患者における骨密度のいかなる低下も予防もしくは軽減させること
による、患者における骨粗鬆症及び/または骨減少症の予防または治療のための医薬の調製のための、本明細書中に規定される式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物の使用。
(C) (a)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹病性の患者における骨密度の低下を予防すること、または
(b)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹患した患者における骨密度のいかなる低下も予防もしくは軽減させること
による、患者における骨粗鬆症及び/または骨減少症の予防または治療のための方法であって、こうした治療を必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【0042】
一態様においては、本発明の化合物の使用は、ステロイドホルモンレベルが低下した個人、例えば、通常の骨密度が維持されるレベルに対する、女性のエストロゲンレベル低下または男性のテストステロンレベル低下、またはデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)レベルの低下向けである。一態様では、これは閉経後の女性である。一態様では、これは50、55、60、65、または70歳以上の成人である。
【0043】
「骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹病性の患者」なる語は、本明細書中では、
(i)ステロイドホルモンレベルが低下した患者、例えば、通常の骨密度が維持されるレベルに対して、女性ではエストロゲンレベルが低下した患者、または男性ではテストステロンレベルが低下した患者、あるいはデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)レベルが低下した患者;
(ii)閉経後の女性患者;
(iii) 50、55、60、65、または70歳以上の成人患者;及び/または
(iv)長期に亘る床上安静を経た患者、低重力状態及び/または対まひ患者;
を意味する。
【0044】
疑義を回避するために、本発明においては、用語「治療」は、その治療を必要とする患者の治療的または姑息的治療、ならびに該当する疾患状態に陥りやすい患者の予防的治療および/または診断への言及を包含する。
【0045】
用語「患者」は、哺乳動物(たとえば、ヒト)患者への言及を包含する。
【0046】
用語「有効量」とは、治療を受ける患者に対して治療効果を付与する(たとえば、疾患の治療または予防に十分な)化合物の量を指す。効果は、他覚的(すなわち、ある種の試験またはマーカーによって測定可能)でも、または自覚的(すなわち、対象が効果の徴候を示すもしくは効果を感じる)でもよい。
【0047】
用語「ハロゲン」は、本明細書では、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素(たとえば、臭素、特に、塩素またはフッ素)を包含する。
【0048】
用語「炭化水素」は、本明細書で、R1、R2、R3、RaおよびRbのいずれかに関して使用するとき、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルキル、アリール、アリール-アルキル、アリール-アルケニル、およびアリール-アルキニルを包含する。
【0049】
適切なアルキル基には、1〜18個の炭素原子、またはより好ましくは1〜9個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基が含まれる。たとえば、典型的な例として、メチルもしくはエチル、または直鎖状もしくは分枝状のプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを挙げることができる。
【0050】
適切なアルケニル基には、2〜18個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状のアルケニル基が含まれ、ビニル、アリル、もしくはイソプレン部分、2-、3-もしくは4-ペンテニル、または2-、3-もしくは4-ヘキセニルなど、およびこれらの異性体形態を挙げることができる。本発明の化合物中に存在するアルケニル基は、1価または複数の不飽和を含むものでよい。
【0051】
適切なアルキニル基には、2〜18個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状のアルキニル基が含まれる。たとえば、典型的な例として、エチニル基およびプロピニル基を挙げることができる。
【0052】
適切なシクロアルキル基には、3〜7個の炭素原子を含有する基、たとえば、シクロプロピルまたはシクロヘキシルが含まれる。
【0053】
適切なアリール基には、フェニルやナフチルなどの、1個の環または縮合した2個もしくは3個の環を有する芳香族炭化水素系を含めることができる。特に適切なアリール基は、フェニルでよい。
【0054】
適切なヘテロ環基には、5または6個の環原子を有し、その少なくとも1個の環原子が酸素、硫黄、または窒素である環系を含めることができる。この環系は、芳香族でも、または芳香族でなくてもよい。例としては、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、または知られている他のヘテロ環系を挙げることができる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によれば、R1は、18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、または環状の基を含む炭化水素基を表す。R1は、1〜18個の炭素原子、またはより好ましくは1〜9個の炭素原子(たとえば、1〜6個の炭素原子、たとえば、1〜5個の炭素原子)を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基を含めて、アルキル基を表すことがより好ましい。R1がメチルを表すことが特に好ましい。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、nは0を表し、または別法として、nは4であり、R2は、各出現につき水素である(たとえば、R2は水素を表し、nは4である)。
【0057】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、R3は、18個までの炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素基を含む炭化水素基、好ましくは、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1個の部分で置換されている適切なアルキル基またはアルケニル基を表す。より好ましくは、R3は、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1個の部分で置換されている、直鎖状でも分枝状でもよいC1-9アルキルまたはC2-9アルケニルを表し、Raは、実質的に上で規定した通りである。R3に関しては、Raは、水素、または18個までの炭素原子、好ましくは9個までの炭素原子、さらにより好ましくは6個までの炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素基を含む炭化水素基を表すことが好ましい。Raは、水素または直鎖状または分枝状のC1-6アルキル、特にメチルを表すことが好ましい。
【0058】
好ましくは、R3は、次式(II)によって表すことができる。
【0059】
【化2】

ここで、連結していない結合は、式(II)の構造断片が式(I)の化合物の残部に結合する点を表し、
Raは、上で規定した通りであり、
Rc、RdおよびReは、水素またはC1-6アルキル(直鎖状でも分枝状でもよい)から独立に選択され、
qは、1、2、3または4であり、
rおよびsは、0、1、2、3または4から独立に選択され、
【0060】
【化3】

は、単結合または二重結合を表し、これが二重結合であるとき、Reは、上記式(II)中に存在しない。
【0061】
式(II)は、-CO2Raで置換されている、直鎖状もしくは分枝状のC4-8アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC4-8アルケニル基を表すことが好ましく、Raは、水素、または直鎖状もしくは分枝状のC1-6アルキル、特にメチルを表すことが好ましい(たとえば、Raは、R3に結合しているとき、HまたはCH3を表す)。
【0062】
式(II)で表される特に好ましい基として、
-(CH2)7CO2H、
-CH2CH=C(CH3)(CH2)2CO2H、および
-CH2CH=C(CH3)CO2H
が挙げられる。
【0063】
詳細には、本発明は、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療のための医薬の製造における使用のための、あるいは骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における使用のための、以下の化合物の1つまたは複数を提供する。
(i)2,3-ジメトキシ-1,4-ナフトキノン(XVI)、
(ii)メナジオン(III)、
(iii)KCAT-5C-Me(XIX)、
(iv)NaQuinate-Me(VII)、
(v)(4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘキサ-4-エン酸(VIII)、
(vi)(2E)-4-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-2-メチルブタ-2-エン酸(XIV)、および
(vii)8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)。
【0064】
疑義を回避するため、示した化学名と化学構造とに不一致があれば、化学構造が優先される。
【0065】
実質的に上述の通りである本発明による治療において使用するのに特に好ましいのは、(4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘキサ-4-エン酸(VIII)である。
【0066】
本発明は、実質的に上述の通りである本発明による治療において使用するための新規化合物も提供する。詳細には、それら新規化合物は、(2E)-4-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-2-メチルブタ-2-エン酸(XIV)および8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)である。
【0067】
一態様では、本発明の化合物の使用は、別の治療剤と共に、組合せ療法の一部としてのものでもよい。更なる態様では、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における本発明の化合物の使用は、別の治療剤と共に、組合せ療法の一部としてのものでもよい。
【0068】
本発明の化合物は、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、またはエストロゲン補充療法、ビタミン類、ミネラル類、または凝固剤と組み合わせて使用してもよい。
【0069】
別の治療剤は、凝固剤であってよい。これは、本発明の化合物が凝固防止活性を有する場合にとりわけ使用してよい。
【0070】
別の治療剤は、天然もしくは合成のビタミンK(例えば、ビタミンK3、とりわけ、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)であってよい。本発明はまた、式Iの化合物と凝固剤、例えば、ビタミンK(例えば、ビタミンK3、とりわけ、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)との組み合わせにも関する。本発明により、骨粗鬆症及び/または骨減少症の組合せ剤の調製方法であって、式Iの化合物と凝固剤、例えば、ビタミンK(例えば、ビタミンK3、とりわけ、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)と、任意に医薬用賦形剤、担体、または希釈剤を組み合わせる方法が提供される。
【0071】
別の態様では、別の治療剤は、ビタミンDであってよく、一態様では、ビタミンD3またはビタミンD2形態であってよい。
【0072】
別の態様では、別の治療剤は、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは他の微量ビタミンもしくはビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸であってよい。
別の態様では、別の治療剤は、ビタミンCまたはビタミンAであってよい。
【0073】
別の態様では、別の治療剤はミネラル、例えば、カルシウム及びマグネシウム(例えばマグネシウム)であってよい。
別の態様では、別の治療剤は、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、またはエストロゲン補充療法(すなわちエストロゲン)であってよい。
【0074】
本発明は、式Iの化合物、または式Iの化合物と凝固剤(例えば、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)とを、カルシウム、マグネシウム、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、またはエストロゲン補充療法、または特に、ビタミンD、ビタミンB1、B2、B6、もしくは別のビタミン様化合物、例えば以下に限定されるものではないが、パントテン酸または葉酸または上記のものの組み合わせからなるリストから選択される一つもしくは複数の化合物との組み合わせにも関する。
【0075】
別の態様では、本発明の化合物は、ビタミンK(例えば、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)及び一つもしくは複数の別のビタミン類、またはビタミン様化合物、例えば、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは微量ビタミン類、ビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸と組合せられる。
【0076】
これらの化合物は骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療において、組合せ剤として同時に、別個に、または順次使用するための組合せ調製物として、一緒に使用することができる。例えば、式(I)の化合物は、経口送達されてよく、凝固剤は静脈送達されてよい。
【0077】
一態様では、本発明は、組合せ剤の調製方法に関し、この方法は、凝固剤、例えばビタミンKを、式(I)の化合物と組み合わせることを含む。
【0078】
本発明によれば、式(I)の化合物は、単独で(すなわち、単剤療法、たとえば、骨粗鬆症及び/または骨減少症の予防または治療のための単剤療法として)投与することもできる。しかし、本発明のもう1つの実施形態では、式(I)の化合物は、別の治療剤と組み合わせて投与することもできる。
【0079】
したがって、本発明の別の態様は、
(A)本明細書中で既に規定したような式(I)の化合物と、
(B)別の治療剤(たとえば、凝固剤(たとえばビタミンC、ビタミンA、または特に、カルシウム、マグネシウム、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン補充療法、凝固剤(例えば、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)、ビタミンD(ビタミンD3またはビタミンD2)、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは他の微量ビタミンもしくはビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸)と
を含み、構成要素(A)および(B)それぞれに、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混合されて製剤されている、組合せ製品に関する。
【0080】
本明細書で使用するとき、用語「別の治療剤」は、ミネラル、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン補充療法、または特に、凝固剤またはビタミンから選択される1種または複数(たとえば1、2、または3種)の治療剤(たとえば、1または2種の治療剤)への言及を包含する。
【0081】
挙げることのできる特定の他の治療剤には、例えば、カルシウム、マグネシウム、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン補充療法、特に、凝固剤(例えば、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)、ビタミン類、例えばビタミンC、ビタミンA、特にビタミンD(例えばビタミンD3またはビタミンD2)、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは他の微量ビタミンもしくはビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸が含まれる。
【0082】
したがって、本発明の別の態様は、
(I)本明細書中に規定される式(I)の化合物、
(II)凝固剤(例えば、ビタミンK1、K2、K4、またはK5)、
(III) ビタミンC、ビタミンA、特に、カルシウム、マグネシウム、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン、ビタミンD(例えばビタミンD3またはビタミンD2)、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは他の微量ビタミンもしくはビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸から選択される1種または複数(たとえば3、2、特に1種)の作用剤、
を含み、各構成要素(I)、(II)、及び(III)は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体と混合されて製剤されている、組合せ製品に関する。
【0083】
挙げることのできる特段の組合せ製品には、
(AA)本明細書中に規定される式(I)の化合物、
(BB)ビタミンK1、K2、K4、またはK5
(CC)カルシウム、及び
(DD)ビタミンD
が含まれ、各構成成分(AA)、(BB)、(CC)、及び(DD) は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体と混合されて製剤されている。
【0084】
本明細書で使用するとき、用語「順次、並行して、または同時に投与する」は、
別個の医薬製剤(一方が式Iの化合物を含有し、1種または複数の他方が1種または複数の他の治療剤を含有する)の投与、および
式Iの化合物と他の治療剤とを含有する単一の医薬製剤の投与
への言及を包含する。
【0085】
上述の組合せ製品は、構成要素(A)の構成要素(B)と合わせた投与をもたらすものであり、したがって、製剤の少なくとも1種が構成要素(A)を含み、少なくとも1種が構成要素(B)を含む別個の製剤としての体裁にしてもよいし、または組合せ調製物としての体裁(すなわち、製剤)にしてもよい(すなわち、構成要素(A)と構成要素(B)を含む単一の製剤としての体裁にしてもよい)。上述の、2つ以上の構成要素を含む組合せ製品(例えば、構成要素(I)、(II)、及び(III)あるいは(AA)、(BB)、(CC)、及び(DD)を含むもの)は、類似性により提示することができる。
【0086】
したがって、以下のものがさらに提供される。
(I)薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体と混合された、上で規定したような式Iの化合物と別の治療剤とを含んでいる医薬製剤(この製剤を、以下では「組合せ調製物」と呼ぶ)、ならびに
(II)次の構成要素、すなわち、
(i)薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられた、上で規定したような式Iの化合物を含んでいる医薬製剤と
(ii)薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられた別の治療剤を含んでいる医薬製剤と
を含み、構成要素(i)および(ii)が、他方と合わせて投与するのに適する形態でそれぞれ提供される、パーツキット。
【0087】
すなわち、パーツキットの構成要素(i)は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体と混合された構成要素(A)である。同様に、構成要素(ii)は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混合された構成要素(B)である。別の組み合わせについても、類似性により提示することができる。
【0088】
一態様では、本発明は、凝固剤、たとえば、ビタミンK(ビタミンK1、K2、K4、またはK5)を式(I)の化合物と組み合わせる工程を含む、組合せ医薬の調製方法に関する。
【0089】
場合により、次いで、組合せ医薬を、薬学的に許容される任意の賦形剤、希釈剤、または担体と合わせて、医薬組成物にしてもよい。
【0090】
場合により、組合せ医薬または医薬組成物を、経口送達用の錠剤に製剤することもできる。
【0091】
本発明はまた、医療、特に骨粗鬆症の治療における、上述の組合せの使用、並びに骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療のための医薬の調製における前記組合せの使用に関する。
【0092】
本発明の別の態様では、骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療または予防のための方法が提供され、この方法は、治療を必要とする患者に化合物の治療的有効量または本発明の組合せを投与する工程を含む。
【0093】
式(I)の化合物の予防的または治療的用量の度合いは、当然、治療する状態の性質および重症度ならびにその特定の式Iの化合物およびその投与経路により変わる。また、個々の患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、および応答を始めとする様々な要素に応じても様々となる。一般に、日用量は、哺乳動物の体重1kgあたり約0.001mg〜約1000mg(たとえば、0.001mg〜約100mg)、好ましくは1kgあたり0.01mg〜約10mgである。その一方で、場合によっては、これら限界の範囲外にある投与量の使用が必要なこともある。たとえば、ヒトへの経口投与を目的とした製剤は、組成物全体の約5〜約99.95パーセントの間で様々でよい、適切で好都合な量の担体材料が配合された、0.05mg〜5gの活性薬剤を含有してよい。単位剤形は一般に、約0.1mg〜約0.4gの間、通常は0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、または400mgの活性成分を含有する。いずれにせよ、医療従業者または他の技術者は、個々の患者に最も適するであろう実際の投与量を常法どおりに決定することができる。
【0094】
単一の剤形を生成するために担体材料と合わせることのできる活性成分の量は、治療を受けるホストおよびその特定の投与方式に応じて変わる。たとえば、ヒトへの経口投与を目的とした製剤は、組成物全体の約5〜約99.95パーセントの間で様々でよい、適切で好都合な量の担体材料が配合された、0.05mg〜5gの活性薬剤を含有してよい。単位剤形は一般に、約0.1mg〜約0.4gの間、通常は0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、または400mgの活性成分を含有する。
【0095】
式(I)の化合物の好ましい用量は、1日に40mgより多い用量、より好ましくは1日に少なくとも45mgの用量である。
【0096】
合計日用量は、単独で、または他の治療と組み合わせて、その日のうちに1または複数回で送達することができる。
【0097】
式(I)の化合物は、従来の薬学的に許容される非毒性担体、補助剤、および賦形剤を含有する投与量単位製剤にして、適切な任意の手段によって、たとえば、経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、非経口的に、または直腸に投与することができる。用語「非経口」は、本明細書では、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射または注入技術を包含する。
【0098】
活性成分を含有する医薬組成物は、たとえば、錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、乳濁液、硬もしくは軟カプセル剤、またはシロップもしくはエリキシルとしての、経口的使用に適する形態にすることができる。経口的使用を目的とした組成物は、医薬組成物の製造について当分野で知られているいかなる方法に従って調製してもよく、このような組成物は、医薬として洗練され、味のよい調製物とするために、甘味剤、着香剤、着色剤、および保存剤からなる群から選択される1種または複数の薬剤を含有してよい。錠剤は、錠剤の製造に適する、薬学的に許容される非毒性の賦形剤が混ぜられた活性成分を含有する。それら賦形剤は、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化および崩壊剤、たとえば、トウモロコシデンプン、アルギン酸;結合剤、たとえば、デンプン、ゼラチン、アカシア;ならびに滑沢剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクでよい。
【0099】
錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、または既知の技術によってコーティングして、消化管での崩壊および吸収を遅らせ、それによってより長時間にわたり作用を持続させることもできる。たとえば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。錠剤をコーティングして、制御放出のための治療用浸透圧錠剤を生成することもできる。
【0100】
経口的使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、たとえば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンと混合されている、硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が、水と混和性の溶媒、たとえば、プロピレングリコール、PEG、エタノール、もしくは油性媒質、たとえば、ラッカセイ油、流動パラフィン、オリーブ油と混合されている、軟ゼラチンカプセル剤としての体裁にすることもできる。
【0101】
たとえば、錠剤やカプセル剤などの固体経口組成物は、1〜99%(w/w)の活性成分、0〜99%(w/w)の希釈剤または充填剤、0〜20%(w/w)の崩壊剤、0〜5%(w/w)の滑沢剤、0〜5%(w/w)の流動助剤(flow aid)、0〜50%(w/w)の顆粒化剤または結合剤、0〜5%(w/w)の抗酸化剤、および0〜5%(w/w)の顔料を含有してよい。加えて、制御放出錠剤は、0〜90%(w/w)の放出制御ポリマーも含有してよい。
【0102】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤が混ぜられた活性材料を含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムであり、分散または湿潤剤は、自然発生するホスファチド、たとえば、レシチンでよい。水性懸濁液は、1種または複数の保存剤、1種または複数の着色剤、1種または複数の着香剤、および1種または複数の甘味剤も含有してよい。
【0103】
非経口製剤(注射用の溶液もしくは懸濁液または注入用の溶液など)は、1〜50%(w/w)の活性成分、50%(w/w)〜99%(w/w)の液体または半固体の担体または賦形剤(たとえば、水などの溶媒)、および0〜20%(w/w)の他の1種または複数の賦形剤、たとえば、緩衝剤、抗酸化剤、懸濁液安定剤、張性調整剤、保存剤を含有してよい。
【0104】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、たとえば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油、または鉱油、たとえば、流動パラフィンに懸濁させることにより製剤できる。油性懸濁液は、増粘剤、たとえば、蜜蝋、固形パラフィン、セチルアルコールを含有してもよい。甘味剤および着香剤を加えて、味のよい経口調製物とすることもできる。これら組成物は、アスコルビン酸、ビタミンE、または何らかのそうした同等の薬剤などの抗酸化剤を加えることにより保存することができる。
【0105】
水を加えることによる水性懸濁液の調製に適する分散性粉末および顆粒は、分散もしくは湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数の保存剤が混ぜられた活性成分を備える。適切な分散もしくは湿潤剤、および懸濁化剤は、上ですでに挙げたものによって例示される。追加の賦形剤、たとえば、甘味剤、着香剤、および着色剤が存在してもよい。
【0106】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳濁液の形にすることもできる。油相は、植物油、たとえば、オリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、たとえば、流動パラフィン、またはこれらの混合物でよい。適切な乳化剤は、自然発生するホスファチド、たとえば大豆レシチン、脂肪酸とヘキシトール無水物から得られるエステルまたは部分エステル、たとえばモノオレイン酸ソルビタン、および前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、たとえばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。乳濁液は、甘味剤および着香剤も含有してよい。
【0107】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースを加えて製剤することができる。このような製剤は、保存剤、着香剤、および着色剤も含有してよい。医薬組成物は、注射可能な水性または油脂性の滅菌懸濁液の形にすることもできる。この懸濁液は、適切な分散もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用し、知られている技術に従って製剤することができる。注射可能な滅菌調製物は、たとえば、1,3-ブタンジオール溶液として、非経口的に許容される非毒性の希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液または懸濁液にすることもできる。用いることのできる許容される賦形剤および溶媒の中でも、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの共溶媒を使用してもよい。加えて、滅菌固定油も、溶媒または懸濁媒として慣例的に用いられる。この目的では、合成のモノ-もしくはジ-グリセリドを始めとする、無刺激性のいかなる固定油を用いてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤の調製に使用することができる。
【0108】
式(I)の化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形で投与することもできる。こうした組成物は、薬物を、周囲温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって直腸で融解して薬物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製できる。そのような材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0109】
局所的使用については、式(I)の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、溶液、または懸濁液などを用いる(本出願の目的では、局所施用は、洗口剤および含嗽剤を包含するものとする)。局所製剤は、一般に、医薬用担体、共溶媒、乳化剤、浸透性改善剤、保存剤系、および皮膚軟化薬からなるものでよい。
【0110】
ここで、本発明について、単に例として、添付の図面に即して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】E. coli lipopolysaccharide (LPS)による、培養MG63骨芽様細胞からのインターロイキン-6の濃度依存性放出を示す図である。
【図2】NaQuinateによる、MG63骨芽様細胞からのE.coli LPS-刺激(25ng/ml)インターロイキン-6放出の濃度依存性阻害を示す図である。
【図3】非常に高濃度(10-5M)においてのみ培養MG63骨芽様細胞からのインターロイキン-6阻害に活性である本発明の化合物XIVによる、MG63骨芽様細胞からのE.coli LPS-刺激(25ng/ml)インターロイキン-6放出の濃度依存性阻害を示す図である。
【図4】培養MG63骨芽様細胞からのインターロイキン-6の阻害に完全に不活性であるようである化合物XVによる、MG63骨芽様細胞からのE.coli LPS-刺激(25ng/ml)インターロイキン-6放出の濃度依存性阻害を示す図である。
【図5】DNA形成への3Hでラベルされたチミンの取込の測定による、培養骨芽様MG63細胞の生存能力に対する本発明の化合物の効果を示す図である。
【図6A】Sham手術したマウス(すなわちSham手術後のもの)、卵巣摘出手術した(OVx)マウス、及び、マウス1匹につき本発明の化合物15μg/日で治療したOVxマウスにおける、マウス脛骨の骨梁画分由来の定量μCTデータ(骨梁数の形態)を示す図である。
【図6B】Sham手術したマウス、卵巣摘出手術した(OVx)マウス、及び、マウス1匹につき本発明の化合物15μg/日で治療したOVxマウスにおける、マウス脛骨の骨梁画分由来の定量μCTデータ(骨量%の形態)を示す図である。
【図7A】Shamマウス、OVxマウス、及び卵巣摘出後にNaQuinateで治療したOVxマウスの骨梁画分の、前後方向のX線μCT画像である。
【図7B】Shamマウス、OVxマウス、及び卵巣摘出後にNaQuinateで治療したOVxマウスの骨梁画分の、冠状足首-膝X線μCT画像である。
【図8】式(VIII)の化合物(本明細書中ではNaQuinateとも呼称)の合成経路の一例を示す図である。
【図9】図8に示す経路で使用する化合物Vの合成経路の一例を示す図である。
【図10】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのKCAT-5C (XIV)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図11】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのKCAT-5C-Me (XIX)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図12】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのNaQuinate (VIII)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図13】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのNaQuinate-Me (VII)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図14】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのQCAT-Me (XVIII)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図15】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのDMK (XVI)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図16】220μMのビタミンK1ヒドロキノン存在下でのビタミンK3 (III)によるγ-カルボキシラーゼの阻害(n=1)を示すグラフである。
【図17】NaQuinateが正常骨の骨梁数を変化させないことを示す図である。
【図18】NaQuinateが神経切断された肢における骨量減少を阻害することを示す図である。
【図19】NaQuinateが正常骨の骨量を変化させないことを示す図である。
【図20】NaQuinateが神経切断された肢における骨量減少を阻害することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本発明による化合物は、適切ないかなる方法によって合成してもよい。適切な方法は、Ruttimannら、「Chimica」(1986) 40 (9) 290〜306およびGerorkzanら、「Chem. Hetrocyclic Compd」(英訳版) (1989) 2、269ならびに図8および図9に即して以下に記載する。加えて、本発明の化合物は、英国特許第2,314,773号で開示され、参照により本明細書に援用される方法の類推によって生成することもできる。察せられる通り、本発明の化合物は、上で挙げた参考文献で開示されている方法の類推によって調製することもでき、または市販品として購入することもできる(指摘する場合)。
【0113】
本明細書において図8に示すように、出発材料のメナジオン(Aldrich Chemical Company、III)を用い、25℃でシクロペンタジエンと反応させて、その縮合誘導体(IV)を生成した。塩基O-K+(たとえば、カリウムtert-ブトキシド)で処理し、引き続いてメチル4-メチル-6-ブロモ-ヘキサ-4-エノエート(V)で処理して、3-置換基を導入した(VI)。70℃〜110℃の範囲の熱をかけてさらに中間体を反応させ、シクロペンタジエンを脱離させ、その結果として生成物メチルエステルNaQuinate (VII)が単離された。この化合物の特徴付けについては、上で参考文献として挙げたRuttimannらにより示されており、それを参照により本明細書に援用する。
【0114】
化合物(VII)は、たとえばKOHを使用する塩基加水分解、およびたとえばH3O+ (たとえば塩酸水溶液)または同等物を使用する後続の酸処理によって、既知のやり方で対応するカルボン酸に変換し、それによってNaQuinate (VIII)を生成する。この化合物の特徴付けについては、上で参考文献として挙げたRuttimannらにより示されている。
【0115】
上で使用した中間体(V)の調製は、図9Aに示す通りに実施する。臭化プレニル(Aldrich Chemical Company) (L=BrであるIX)を、mCPBAを使用してエポキシドに変換し、これを引き続いて加熱して、L=Brである中間体(X)を得た。Ac2O-DMAPで処理して、L=Brであるエステル(XII)を生成し、次いでこれを、LDAおよびTMSCI(図2AではTMSUと称する)などの標準試薬を使用してクライゼン(たとえば、アイルランド-クライゼン)転位にかけた。L=Brである、その転位生成物(XIII)を、CH2N2との反応によって、上で明らかにしたNaQuinateの調製で使用する、メチルエステル(V)に変換した。その特徴付けについては、上で参考文献として挙げたGerorkzanらにより示されており、その開示を参照により本明細書に援用する。
【0116】
別法として、上で使用した中間体(V)のより特別な調製は、図9Bに示す通りに実施する。プレニルアルコール(17)をtert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl)で保護して、TBDMSエーテル18とした。18をメタ-クロロペルオキシ安息香酸と反応させてエポキシド19を生成し、これが、高温還流下で、引き続いて転位を起して、アルコール20となった。プロピオン酸の存在下、20をトリメチルオルトアセテートと反応させると、エステル21が生じ、これを(フッ化テトラブチルアンモニウムを使用して)脱保護して、遊離アルコール22を得た。引き続いて22を臭化物23(本明細書では化合物(V)とも呼ぶ)にする官能基相互変換を、四臭化炭素およびトリフェニルホスフィンを使用して実現した。
【0117】
本発明の範囲内にある他の化合物の生成にも同等の方法を使用することができる。
【0118】
生物学的活性の判定:以下のアッセイのいずれかを使用し、種々の式Iの化合物を試験して、その骨量減少の阻害における活性を判定することができる。
1. 適切には骨芽細胞様細胞株、例えば本明細書中の実施例に開示されるようなMG63からの、IL-6の放出の防止における化合物の使用。一態様では、本発明の化合物は、こうした実験において2-5×10-7M以下のIC50を有する。
2. 本明細書中の実施例に開示されるように、エストロゲン欠乏齧歯類における骨量減少の阻害における化合物の使用。一態様では、本発明の化合物は、卵巣摘出されたコントロール(control)齧歯類と比較した場合の骨密度の減少を防止できる。
【0119】
特許出願および認められた特許を含めて、本出願におけるすべての参考文献の教示は、参照により本明細書に完全に援用される。本出願が優先権を主張する特許出願があれば、刊行物および参照文献について本明細書で記載したようにして、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0120】
疑義を回避するため、本明細書では、用語「comprising(含む)」、「comprise(含む)」、および「comprises(含む)」について、本発明者らは、あらゆる場合において、用語「consisting of(からなる)」、「consist of(からなる)」、および「consists of(からなる)」によってそれぞれ場合により置き換え可能であるものとしている。用語「約」(または「およそ」)は、すべての数値に使用する場合、5%の変動を見込んでおり、すなわち、約1.25%の値であれば、1.19%〜1.31%の間を意味することになる。
【0121】
本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明を限定するものとしてではなく、実例として示していることは理解されよう。本発明の主な特色は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態で用いることができる。当業者なら、型どおりの調査だけで、本明細書に記載の詳細な手順の数多くの同等形態を察知し、または突きとめることができよう。そうした同等形態は、本発明の範囲内であるとみなされ、特許請求の範囲に包含される。本出願において挙げたすべての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の技術者の技量を示すものである。すべての刊行物および特許出願は、個々の各刊行物または特許出願について参照により援用されることが詳細かつ個別に表記されたのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0122】
単語「a」または「an」の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において用語「comprising」と共に使用するとき、「1つ」を意味する場合もあるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたはそれ以上」の意味とも矛盾しない。特許請求の範囲における用語「または」の使用は、単に選択肢を指すことを明示しない限り、または選択肢が互いに両立しないものでない限り、この開示で単なる選択肢および「および/または」を指す定義が支持されているとしても、「および/または」を意味するのに用いる。本出願では終始、用語「約」は、値が、その測定、その値を求めるのに用いる方法、または調査対象の中に存在するばらつきについての誤差の固有の変動を包含することを示すのに用いる。
【0123】
用語「またはこれらの組合せ」とは、本明細書では、この用語に先行する、列挙された細目のすべての交換および組合せを指す。
組合せにおける使用のための構成成分は、同時送達のために同一の製剤内に混合されても、別々に使用されても、併用されるかまたは連続して送達されてもよく、本明細書中の組合せはこうした全ての可能性を想定したものである。
【0124】
本明細書で開示し、特許請求する組成物および/または方法はすべて、この開示に照らして、必要以上の実験をすることなく、製造し、実施することができる。本発明の組成物および方法について、好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者には、本発明の構想、真意、および範囲から逸脱することなく、組成物および/または方法に変化を添え、また本明細書に記載の方法の工程または工程の順序を変化させてもよいことは明らかとなろう。当業者に明らかなそうしたすべての同様の代替形態および変更形態は、添付の特許請求の範囲によって規定される、本発明の真意、範囲、および構想の範囲内にあると考える。
【0125】
本発明の個々の任意の態様は、文脈から明らかな場合を除き、他の任意の態様と組み合わせることができる。
【0126】
本発明について、以下の非限定的な実施例に即してさらに説明する。
【0127】
(実施例)
(実施例1)
骨生理学を制御する多数の因子が存在する。骨量減少を誘発する細胞(破骨細胞)を補充/活性化することにより骨吸収を誘発する作用剤をターゲットとする暴露/有効性は、限られていた。最近の治療は、補充もしくは活性化された時点で破骨細胞をターゲットとすることである。サイトカインと呼称される局所的(骨)に生成されたタンパク質の一群は、破骨細胞数/活性に影響し得る様々な刺激を誘発しうる。これらのサイトカインの1つは、インターロイキン-6(IL-6)と呼称される。IL-6は、様々なアゴニストからのチャレンジの後に造骨細胞(骨芽細胞)を含む多数の細胞型によって放出される。これらのアゴニストは、生理学的(1,25(OH)2ビタミンD3、インターロイキン1β)または病態生理学的(インターロイキン-1β;細菌内毒素)であってよい。
【0128】
ヒト骨肉腫(骨癌)由来の、MG63と呼称される不死化骨芽細胞様細胞株に着目したイン・ビトロ研究。これらの細胞は、培養され、IL-6を含む様々なサイトカインを合成及び放出するその性能に関して選別された。IL-6誘発骨量減少の既述の活性により、このサイトカインに着目した(Manolagas SC, Ann N Y Acad Sci. 1998 May 1 ;840: 194-204参照)。上述のアゴニストの影響下での培養MG63細胞によるIL-6の放出が検討された。3つ全てのアゴニストが濃度依存性様式で培養MG63細胞からのIL-6放出を引き起こしたが、実験条件の操作及び費用の管理の簡便性のために、細菌性リポ多糖(LPS; E. coli)が使用したアゴニストであった。図1に示される通り、IL-6は、LPSによって、濃度依存性方式で培養MG63細胞から放出される。このデータは更なる研究の条件を規定するために使用され、特に、MG63からの最大IL-6応答を50%誘発した細菌性リポ多糖の濃度は、本発明の化合物を用いた研究のためのチャレンジ条件として使用された。図2に見られるように、本発明の一化合物(4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘクス-4-エン酸(VIII)(この実施例においてはNaQuinateとも呼称)は、培養MG63細胞からの刺激されたIL-6放出を2-5×10-7MのIC50で、濃度依存性方式で阻害する。IL-6は、市販の免疫測定器、例えば、R&D systems製のQuantiGlo IL-6 Immunoassayによって測定することができる。
【0129】
二つの異なるNaQuinate様分子、すなわち、(2E)-4-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-2-メチルブト-2-エン酸(XIV)及び8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)の当量活性を、それぞれ図3及び4に示す。
【0130】
MG63骨芽細胞様細胞は、いかなる治療的範囲をも大幅に逸脱すると見られる、試験した全濃度(上限10-5M)のもとで正常なDNA合成を継続することから、IL-6放出の阻害は、MG63骨芽細胞様細胞がNaQuinateによって細胞死するためではない。図5は、骨芽細胞様MG63細胞のコントロール試料(「コントロール+LPS」及び「コントロール-LPS」)とNaQuinate濃度10-8M乃至10-5Mにさらした試料との、同等の3H-チミンの取込を示す。このように細胞毒性のないことは、皮膚及び肝臓由来の細胞株においても示された。
【0131】
(実施例2)
骨粗鬆症の最も一般に受け入れられている動物モデルは、エストロゲン欠乏齧歯類であり、このモデルで本発明の効果がイン・ビボにて試験された。全ての操作は内務省認可及び完全な地域的要件の下で行われた。C57ブラックマウスに、完全両側卵巣摘出または偽手術を受けるようランダムに割り当てた。卵巣摘出された動物を、治療または未治療コントロールグループにランダムに割り当てた。手術に当たっては各グループに8匹の動物がいた。
【0132】
マウスは、12時間明暗サイクルの標準動物舎条件下、温度及び湿度が制御された状態で5週間に亘って収容した。Shamマウス及び卵巣摘出されたコントロールマウスは、一日一回、生理食塩水中10%のエタノール注射を腹腔内に受けた。NaQuinate治療されたマウスは、腹腔内の生理食塩水注射で10%のエタノール中として投与される単回投与(15μg/マウス/日)を受けた。全ての動物が同体積の試験試料を受容し、このことは内務省の規則にかなっていた。
【0133】
5週間の治療の後、動物をスケジュール1法で殺し、脛骨をX線マイクロコンピューター断層撮影(μCT)画像分析のために取出した。骨梁数(図6A)及び骨梁画分中の骨含量(%)(図6B)を用いて示される通り、NaQuinateの投薬量は、卵巣摘出されたコントロール動物に見られる、卵巣摘出によって誘発された骨量減少を完全に軽減した。これらの観察結果は図7A及びBにμCT画像として示される。図7Aは脛骨骨梁画分の前後方向の図を示し、図7Bは足首-膝の冠状図を示す。
【0134】
(実施例3)
NaQuinateは、ビタミンK依存性酵素によるγ-カルボキシル化反応を阻害する
NaQuinateおよび関連化合物の活性を、ビタミンKサイクルにおいて調べた。
【0135】
【化4】

【0136】
カルボキシラーゼアッセイ
Houbenら(1997)の方法[Houben, R. J.ら(1997)、「Assay of Vitamin K-Dependent Carboxylase Activity in Hepatic and Extrahepatic Tissues」、Methods in Enzymology 282: 358〜368]。
【0137】
実験用試験管はすべて、ウシミクロソーム調製物25μl、10% 3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(CHAPS) 5μl、飽和硫酸アンモニウム溶液25μlおよび0.1Mジチオスレイトール(DTT) (Sigma) 5μl、飽和硫酸アンモニウム(Sigma)溶液25μlおよび500μM脱炭酸オステオカルシン(d-Oc) 5μlを加えることにより準備した。化合物を10μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたので、10μlのDMSOを陽性対照および陰性対照試験管に加えた。各試験管に緩衝液D (500mMのNaClおよび25mMのTris-HCl (pH7.5))を加えて、均一な体積の反応混合物(125μl)を得た。陰性対照は別として、それぞれの試験管に、化合物(KCAT-5C (XIV)、KCAT-5C-Me (XIX)、NaQuinate (VIII)、NaQuinate-Me (VII)、QCAT-Me (XVIII)、DMK (XVI)、およびビタミンK3 (III))またはビタミンK1 (濃度889μM) (Konakion(登録商標)、Hoffmann-La Rocheの混合ミセル)を加えた。各試験管に5μlのNaH14CO3 (New England Nuclear)溶液を加えて(最終放射活性を試験管あたり5μCiとする)、直ちに反応を開始した。試験管をボルテックスで混合し、30分間水浴(20℃)に浸した。各混合物100μlを、5%(w/v)のトリクロロ酢酸(TCA) 800μlを含有するバイアルにピペットで移して、タンパク質を沈殿させ、反応を停止した。3分間沸騰させることにより、取り込まれていない14CO2を除去した。冷却した後、5mlのOptifluorを加え、Wallac 1414 Winspectral液体シンチレーションカウンターで14CO2取込みのレベルを測定した。
【0138】
組換えヒトγ-カルボキシラーゼの阻害
化合物の調製
試験対象の化合物は、化合物のDMSO溶液に0.2M DTTを加え(最終v/v比を1:3のDTT:DMSOとする)、水浴(37℃)で終夜インキュベートすることにより、そのヒドロキノン型に還元した。
【0139】
カルボキシラーゼアッセイ
このアッセイでは、上述のものとは異なるミクロソーム調製物を使用した。そのミクロソーム調製物は、ヒトγ-カルボキシラーゼのcDNAがそのDNAに組み込まれている、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni) High Five細胞から調製したミクロソームからなる。Houben, R. J.、D. Jinら(1999)、「Osteocalcin binds tightly to the gamma-glutamylcarboxylase at a site distinct from that of the other known vitamin K-dependent proteins」、Biochem J 341 (Pt 2): 265〜9に記載の通りに調製されたミクロソームを、店舗から購入した。
【0140】
標準反応混合物は、ミクロソーム調製物5μl、500μM脱炭酸オステオカルシン(d-OC) 5μl (陰性対照試験管を除く)、飽和硫酸アンモニウム溶液25μl、5% PC/CHAPS 5μlを含有するものとした。これに加え、(化合物を1:3のDMSO:0.2M DTTに溶解させたことを考慮に入れて)試験管に1:3 (v/v)のDMSO:0.2M DTTを加えて、DMSO:0.2M DTTの合計体積を試験管あたり40ulとした。緩衝液Dの溶液を加えて、すべての最終試験管を125μlの均一な体積とした。ビタミンKヒドロキノン(最終濃度220μM)とNaH14CO3(最終放射活性5μCi)の1:1(v/v)混合物10μlを各試験管に加えた後、一定範囲の濃度の化合物を加えることにより、実験を開始した。
【0141】
結果
ウシ肝臓γ-カルボキシラーゼの活性化
試験した化合物に、14CO2のオステオカルシンへの取込みを陰性対照より大きく増加させたものはなかった。したがって、γ-カルボキシラーゼの補因子としての活性を有する化合物はなかったという結論を下すことができる。
【0142】
組換えヒトγ-カルボキシラーゼの阻害
試験した化合物はすべて、還元型ビタミンK1の存在下でγ-カルボキシラーゼ酵素を阻害することが判明した。以下に濃度反応曲線を示す。結果は、試験中の化合物の濃度に対する14CO2の取込みとして表示され、図11-16に図示される。
【0143】
結果を以下の通りまとめて示す。
阻害活性に応じてランク付けした試験化合物の阻害活性
【0144】
【表1】

【0145】
【化5】

【0146】
本発明は、本明細書で開示するような使用について、実施例におけるすべての個別の化合物に関する。
【0147】
(実施例4:廃用性骨減少症/廃用性骨粗鬆症)
坐骨神経切除
廃用性骨粗鬆症を、右側坐骨神経切除(SN)により誘発した。マウスを酸素及びハロタンで麻酔し、股関節後方の坐骨神経の断片3-4mmを切除することによってSNを行った。手術後4日目に、マウスをコントロールとNaQuinateとのいずれかで週に5日、2週間にわたって治療した。両脚の脛をマイクロコンピューター断層撮影(μCT)によって分析した。実験の結果を図17-20に示す。NaQuinateは、骨量(%)及び骨梁数によって評価されるように、神経切除した脚における骨量減少を阻害する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療における使用のための、式(I)の化合物
【化1】

[式中、
R1は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環基を含む炭化水素基を表し、
R2は、各出現につき独立に、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し、
R3は、18個までの炭素原子をそれぞれが含有し、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分で置換されている、直鎖状、分枝状、もしくは環状の基を含む炭化水素基を表し、
RaおよびRbは、各出現につき独立に、水素、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し、
nは、0、1、2、3または4である]
または薬学的に許容されるその溶媒和物、または特に塩もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
R1またはR2が、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、-ORa、SRa、SORa、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRaRb、-NRaCORb、-NRaCO2Rb、-CORa、-CO2Ra、-CONRaRb、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環基を含む炭化水素基を表し、
R3が、18個までの炭素原子をそれぞれが含有し、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分で置換されている、直鎖状、分枝状、もしくは環状の基を含む炭化水素基を表し、
RaおよびRbは、独立に、水素、あるいは18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、もしくは環状の基、または18個までの炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式の基を含む炭化水素基を表し、
nは、0、1、2、3または4である、
請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
R1が、18個までの炭素原子をそれぞれが含有する直鎖状、分枝状、または環状の基を含む炭化水素基を表す、請求項1または請求項2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
R1が、1〜9個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキル基を含めたアルキル基を表す、請求項2に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
R1がメチルを表す、請求項3に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
nが0を表す、請求項1および請求項3から5のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
nが4を表し、R2が、各出現につき水素である、請求項2から5のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
R3が、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分で置換されている、18個までの炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素基を含む炭化水素基を表す、請求項1から7のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項9】
R3が、-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分で置換されている、直鎖状でも分枝状でもよいC1-9アルキルまたはC2-9アルケニルを表す、請求項8に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分のRaが、水素、または18個までの炭素原子を含有する直鎖状もしくは分枝状の炭化水素基を含む炭化水素基を表す、請求項9に記載の使用のための化合物。
【請求項11】
-CO2Ra置換基を含んでいる少なくとも1つの部分のRaが、水素、または直鎖状もしくはメチルを含む炭化水素基を表す、請求項10に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
R3が次式(II)
【化2】

によって表される、請求項8から11のいずれか一項に記載の使用のための化合物
[式中、連結していない結合は、式(II)の構造断片が式(I)の化合物の残部に結合する点を表し、
Raは、請求項1から11のいずれかで規定した通りであり、
Rc、RdおよびReは、水素またはC1-6アルキル(直鎖状でも分枝状でもよい)から独立に選択され、
qは、1、2、3または4であり、
rおよびsは、0、1、2、3または4から独立に選択され、
【化3】

は、単結合または二重結合を表し、これが二重結合であるとき、Reは、上記式(II)中に存在しない]。
【請求項13】
式(II)の構造断片が、
-(CH2)7CO2H、
-CH2CH=C(CH3)(CH2)2CO2H、および
-CH2CH=C(CH3)CO2H
から選択される、請求項12に記載の使用のための化合物。
【請求項14】
式(I)の化合物が、
(i) 2,3-ジメトキシ-1,4-ナフトキノン(XVI)、
(ii)メナジオン(III)、
(iii) KCAT-5C-Me(XIX)、
(iv) NaQuinate-Me(VII)、特に
(v) (4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘキサ-4-エン酸(VIII)、
(vi) (2E)-4-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-2-メチルブタ-2-エン酸(XIV)、および
(vii) 8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)
を含むリストから選択される、請求項1から13のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項15】
式(I)の化合物が、
(a) (4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘキサ-4-エン酸(VIII)、
(b) (2E)-4-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-2-メチルブタ-2-エン酸(XIV)、および
(c) 8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)
を含むリストから選択される、請求項14に記載の使用のための化合物。
【請求項16】
式(I)の化合物が(4E)-6-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)-4-メチルヘキサ-4-エン酸(VIII)である、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項17】
骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療のための、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と、そのための薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項18】
骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療のため医薬の製造における、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または請求項17に記載の組成物の使用。
【請求項19】
骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療または予防のための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項17に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項20】
骨密度の増加及び/または廃用性骨粗鬆症の治療もしくは予防のための、骨量減少の予防、骨量減少の軽減、骨成長の刺激における使用のための、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
(a)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹病性の患者における骨密度の低下を予防すること、または
(b)骨粗鬆症及び/または骨減少症に罹患した患者における骨密度のいかなる低下も予防もしくは軽減すること
による、患者における骨粗鬆症及び/または骨減少症の予防または治療における使用のための、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
別の治療剤と共に、組合せ療法の一部として使用するための、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
(A)請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と、
(B)別の治療剤と
を含み、構成要素(A)および(B)それぞれに、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられて製剤されている、組合せ製品。
【請求項24】
(I)請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、
(II)凝固剤、
(III) ビタミンC、ビタミンA、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン、ビタミンD、ビタミンB1、またはB2、またはB6、あるいは他の微量ビタミンもしくはビタミン様化合物、例えば、葉酸またはパントテン酸から選択される1種または複数の作用剤、
を含み、各構成要素(I)、(II)、及び(III)は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体と混合されて製剤されている、組合せ製品。
【請求項25】
薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられた、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と別の治療剤とを含んでいる医薬製剤。
【請求項26】
次の構成要素、すなわち、
(i)薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられた、請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を含んでいる医薬製剤と、
(ii)薬学的に許容される補助剤、希釈剤、または担体が混ぜられた別の治療剤を含んでいる医薬製剤と
を含み、構成要素(i)および(ii)が、他方と合わせて投与するのに適する形態でそれぞれ提供される、パーツキット。
【請求項27】
別の治療剤が、ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン、ミネラル類、ビタミン類、または凝固剤、あるいはこれらの組合せから選択される、請求項21から24に記載の使用、組合せ、製剤、およびキット。
【請求項28】
ビタミン類、ミネラル類、または凝固剤が、ビタミンC、ビタミンA、カルシウム、マグネシウム、ビタミンK、ビタミンD、ビタミンB1、B2、B6、あるいは他のビタミン様化合物、あるいはこれらの組合せから選択される、請求項27に記載の使用、組合せ、製剤、およびキット。
【請求項29】
請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項17に記載の組成物の凝固剤との組合せ。
【請求項30】
凝固剤がビタミンKである、請求項27に記載の組合せ。
【請求項31】
凝固剤がビタミンK1、K2、K4、またはK5である、請求項30に記載の組合せ。
【請求項32】
1種または複数のビタミン類またはミネラル類との組み合わせとしての、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物または請求項27から29のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項33】
1種または複数のビタミン類またはミネラル類が、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、カルシウム、及びマグネシウムから選択される、請求項32に記載の組合せ。
【請求項34】
1種または複数のビタミン類またはミネラル類が、ビタミンD及びカルシウムである、請求項33に記載の組合せ。
【請求項35】
ビスホスホネート剤、テリパラチド、ストロンチウムラネレート、エストロゲン補充療法の1種または複数との組み合わせとしての、請求項27から34のいずれか一項に記載の化合物または組合せ。
【請求項36】
医薬における使用のための、請求項27から35のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項37】
骨粗鬆症及び/または骨減少症における使用のための、請求項36に記載の組合せ。
【請求項38】
請求項1から16のいずれか一項に記載の式(I)の化合物が、凝固剤、任意の薬学的賦形剤、担体、または希釈剤と混合されている、骨粗鬆症及び/または骨減少症のための組合せ剤の調製方法。
【請求項39】
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物または請求項17に記載の組成物と凝固剤とを含むキット。
【請求項40】
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物または請求項17に記載の組成物と1種または複数のビタミン類またはミネラル類とを、患者への送達に適切な形態で含むキット。
【請求項41】
1種または複数のビタミン類またはミネラル類が、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、カルシウム、及びマグネシウムから選択される、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
1種または複数のビタミン類またはミネラル類が、ビタミンD及びカルシウムである、請求項40に記載の組合せ。
【請求項43】
骨粗鬆症及び/または骨減少症の治療または予防のための方法であって、治療を必要とする患者に請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物の治療的有効量または請求項22乃至37のいずれか一項に記載の組合せを投与する方法。
【請求項44】
8-(1,4-ジヒドロ-2-メチル-1,4-ジオキソナフタレン-3-イル)オクタン酸(XV)
【請求項45】
式(I)の化合物がビタミンK3でない、請求項1から44のいずれかに記載の化合物、使用、キット、組合せ、医薬製剤、および/または方法。

【図8】
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【図9B】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2013−515712(P2013−515712A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545450(P2012−545450)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052195
【国際公開番号】WO2011/077159
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512166407)ハオマメディカ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】