説明

高いカロチノイド含有量を有するマイクロカプセル類

【課題】カロチノイドが高濃度で安定なカロチノイド含有製品の提供。
【解決手段】マイクロカプセルの摂取時にカロチノイド類を放出する保護コーティングを含む、マイクロカプセルのカロチノイド含有量が約5%〜約20重量%である、一つ以上のカロチノイド類のマイクロカプセル。コーティングは、糖又は多価アルコール、デンプン又はデキストリン、及び場合により蛋白質を含む。かかるコーティング材を噴霧する流動床コーティング装置で加工する。完成したマイクロカプセル類のカロチノイド含有量は、出発原料に存在するカロチノイド類の80%を超える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、マイクロカプセル化したカロチノイド化合物類、特に約5%〜約20重量%の範囲のカロチノイド含有量を有し、食品及びパーソナルケア製品類、並びに主として
タブレット類又はカプセル類の形状の栄養補助食品類への添加に好適なマイクロカプセル類に関する。
【背景技術】
【0002】
カロチノイド類は、天然に存在する黄色から赤色のテルペノイド類の色素で、植物類、藻類、バクテリア、並びに鳥類及び貝のような特定の動物類に見つけることができる。カロチノイド類としては、炭化水素類(カロチン類)及びそれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。それらとして、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポ−カロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチン類の混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。カロチノイド類の多くは、シス及びトランス異性体の形で天然に存在するが、合成物はしばしばラセミ混合物である。
【0003】
カロチノイド類は、色素としても生物活性化合物としても有用である。カロチノイド類は、食品、パーソナルケア、製薬産業及び栄養補助剤において、これまで最も一般的にはそれらが有する健康上の利益のために使用されている。カロチノイド類は、加齢性黄斑変性、皮膚癌及び心疾患のような種々の慢性疾患に対してそれらの有する効果が広く研究されている。食物カロチノイド類の中でも、β−カロチンはそれが有するプロビタミンAの
働きのために焦点が当てられている。しかしながら多くの調査研究によって、他のカロチノイド類がヒト及び動物の健康において果たす広範な役割が引き出されている。キサントフィル類は特に、強い酸化防止剤の働きを持つことが示されており、特定の疾病からヒト類を守るのに有用でありうる。例えば、ルテイン及びゼアキサンチンは、赤みがかったオレンジ色の色素で、黄斑変性に対する危険性の減少と反比例の関係を持っている(Seddon他、1994. J. Amer. Med. Assoc. 272(18):1413〜1420); リコピンは赤色の色素で、
前立腺癌の危険性の減少に関係している。
【0004】
カロチノイド類の色素としての魅力は、少なくとも一部にはカロチノイド類が天然に存在する化合物であることに起因する。カロチノイド類は養鶏産業で長く使用されており、ブロイラーの皮及び卵黄の外観を良くする。食品類及び飲料類ではβカロチンなどのカロチノイド類を添加し、人工的な色に取って代わり、それらの有する栄養価を高める。
【0005】
カロチノイド類が使用されている分野の一つは、ヒトのマルチビタミン/マルチミネラル製品類及び栄養補助食品類における分野で、それらは主としてタブレット又はカプセル製剤に添加される。栄養補助剤のタブレット類を含む食品及びパーソナルケア製品類に、カロチノイド類を使用することに関する問題は、ほとんどのカロチノイド類が熱、酸素、及び光にさらされると分解することである。分解はタブレット化に使用する高圧で加速されるであろう。通常、タブレットを形成する間の損失を考慮して望ましいレベルを満たすために、カロチノイドの初期量のわずかな余剰量(10〜30%)をタブレットに添加する。
カロチノイド類の安定性を高めるために、現在商業的に使用される一つの方法では、カロチノイド類を10%までの濃度でマイクロカプセル化する。不活性コーティング材は、タブ
レットの形成及び保存期間の両方の間、カロチノイド類の安定性を高める。
【0006】
タブレットを処方する者が考慮すべきことは、消費者が飲み込むはずのタブレットの容積である。特にいわゆるマルチビタミン/マルチミネラル製品類では、特定の新しい成分を、すでに多数の成分を含有する製剤に添加するかどうかの判断は、新しい成分を含むためにタブレットに添加しなければならない原料の追加の容積に依存しうる。明らかに、新製品中のタブレット製剤に添加する活性成分含有量が高ければ高いほど、添加しなければならない原料の容積はより少なくなる。
【0007】
従来技術では、カロチノイド類の熱及び酸素に対する不安定性に対処しようと、流動床、噴霧乾燥器又は同様のマイクロカプセル化プロセスによって、カロチノイド源をコーティング材混合物でカプセル化している。タブレット化及びタブレット化後(保存期間)の間の活性成分損失に対する抵抗は、従来のマイクロカプセル化技術で高めることができるが、これらの技術は結果としてマイクロカプセル化の間に活性を損失させることが知られており、さらにマイクロカプセル又はビードレット(beadlet)中のカロチノイドを約5〜10%より多くすることはできない。タブレット化はまた、特定のマイクロカプセル類の完
全性には不利であることが知られており、カロチノイドを酸素及びタブレット内で酸化触媒類として作用する金属類又はミネラル類にさらす結果となる。
【0008】
多量のカロチノイドを含有するカロチノイド類のマイクロカプセル類又はビードレット類は、マイクロカプセルを形成する間のカロチノイドの損失を好ましくは制限する方法で形成し、食品、栄養補助食品又はパーソナルケア製品の製造又は加工の間の損失からカロチノイドを保護するコーティングを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Seddon他、1994. J. Amer. Med. Assoc. 272(18):1413〜1420
【発明の概要】
【0010】
本発明は、コーティングを施した一つ以上のカロチノイド類のマイクロカプセルで、約10%〜約50重量%のカロチノイド含有量を有するものからなる。マイクロカプセル類は、マイクロカプセル化プロセスの間のカロチノイドの働きの損失を最小限とする流動床コーティング装置を使用して形成する。本プロセスで製造するマイクロカプセル類は、カプセル化したカロチノイド類を摂取時に放出し、食品、マルチビタミン類、栄養補助食品類及びパーソナルケア製品類への添加に好適である。マイクロカプセル類はまた実質的に無傷でタブレット化に耐え、タブレット化の間、及び消費者が消費又は使用する前にタブレット又は他の食品又はパーソナルケア製品を保存する間、カプセル化したカロチノイド類の働きを保護する。
【0011】
本プロセスで出発原料として使用するカロチノイドは、好ましくは、出発原料のカロチノイド含有量が既に希薄な油状懸濁液などとは反対に、カロチノイドの純粋または結晶性形状である。本プロセスの一つの方法では、カロチノイドを含有する出発原料を流動床乾燥器に添加し、熱風の流動を開始する。液体コーティング材をカロチノイドの流動床に噴霧する。コーティング材は、糖又はソルビトールの水溶液、デンプン又はマルトデキストリン、及び場合によりゼラチンなどのコーティング蛋白質からなる。形成するマイクロカプセルの目的処方と等しくなるように水分調整した加重が加わるまで、液体コーティング材を乾燥器内でカロチノイドに塗布する。本プロセスの代替方法では、糖又は他の不活性物質を流動床乾燥器に浮遊(suspend)させ、カロチノイドをデンプン/マルトデキスト
リンの水溶液、又はデンプン/マルトデキストリン及びゼラチンに添加し、糖に噴霧する。驚くべきことに、最初は保護されていないカロチノイドが、酸素を豊富に含む(すなわち、大気)環境で高温(約150〜約200°F)にさらされるにもかかわらず、マイクロカプセ
ル化のプロセス直後、及び100°Fまでの温度におけるマイクロカプセル類の長期保存期間の後にマイクロカプセルを測定したとき、本質的にカロチノイドの働きの損失は全く見られないことがわかった。
【0012】
慣用的なタブレット化の技術を使用して形成したタブレット類の顕微鏡検査によって、
マイクロカプセル類は実質的に無傷のままで、タブレット化の間、コーティング材がカプセル化したカロチノイドを分解から保護することが示された。
【0013】
本発明のマイクロカプセル類に加えるのに最も好適なカロチノイド類として、特に熱、酸素、又は光に対して不安定であることで知られるカロチノイド類、具体的にはルテイン、β−カロチン、β−クリプトキサンチン、カンタキサンチン、α−カロチン、リコピン、及びゼアキサンチンが挙げられる。
【0014】
これらのカロチノイド類は、個別に又は二つ以上を組み合わせてマイクロカプセル類に含むことができる。
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、タブレット類及びカプセル類の製剤、並びに食品及びパーソナルケア製品類への添加に使用し、カロチノイドが高濃度である安定したカロチノイド含有製品を提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、栄養補助食品の製造業者が、過剰量の不活性コーティング材類を添加することなく、より高い濃度の活性物質を含むことができるようなコーティングを施したカロチノイドのマイクロカプセル又はビードレットを提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、事前に選択した様々な濃度で、単独のカロチノイド又は二つ以上のカロチノイド類の混合物類を含有しうる、コーティングを施したカロチノイドのマイクロカプセル又はビードレットを提供することである。
【0018】
更に本発明のもう一つの目的は、加工する間は最小限の働きの損失だけを引き起こし、結果として長期保存期間を持つ製品となる方法で製造するマイクロカプセルを提供することである。
【0019】
本発明のこれら及び他の目的は、本明細書及び付属の特許請求の範囲を精査することで、当業者には理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のマイクロカプセル類は、カロチノイドを酸素、熱、及び光による分解から保護する保護コーティングに包まれた一つ以上のカロチノイド類のマイクロカプセル類である。マイクロカプセル類は、約10%〜約50重量%のカロチノイド含有量を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
マイクロカプセルが含有するカロチノイド類として、加工したり、食品、栄養補助食品又はパーソナルケア製品に加えたりする間、或いは保存する間に分解しやすい全ての天然又は合成のカロチノイド類が挙げられる。カロチノイド類は、個別にマイクロカプセルに、又は二つ以上のカロチノイド類を組み合わせて任意の望ましい相対量に加えることができる。マイクロカプセル化したマイクロカプセルに加えるのに特に適したカロチノイド類として、ルテイン、β−カロチン、β−クリプトキサンチン、カンタキサンチン、α−カロチン、リコピン及びゼアキサンチンが挙げられる。
【0022】
コーティング材は、糖又はソルビトールのような多価アルコール及びデンプン又はマルトデキストリンを含み、コーティング蛋白質を含むことができる。いくつかの好ましい例として、コーティング材は牛肉、豚肉又は魚のゼラチンなどの水溶性又はゲル化タイプのゼラチンを含む。加水分解しないゼラチンは、約180〜約220ブルームのゲル強度を有していなければならず、タイプA(低pH)又はタイプB(高pH)のゼラチン類のいずれか又は両方を含むことができる。好ましいゼラチンは、Kosherとして認定されたタイプAの魚ゼラ
チンである。ゼラチンは、約0〜約20重量パーセントの量でコーティング材に含まれる。
【0023】
コーティング材での使用に適した糖類として、単糖類及びオリゴ糖類が挙げられる。特定の糖類として、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、及びラクトースが挙げられる。コーティング材に含まれる糖の量は、約10〜約50重量パーセントである。好ましい糖類としてスクロースが挙げられる。多価アルコール類、ソルビトール又はグリセロールなどの糖質誘導体類は、糖類と組み合わせて、又は糖を含まないマイクロカプセル類を製造するために糖類の代わりとして使用することができる。コーティング材に含まれる多価アルコールの量は、約10〜約20重量パーセントである。好ましい多価アルコールはソルビトールである。
【0024】
デンプン又はデキストリンもまたコーティング材に含まれる。典型的なデンプン類として、トウモロコシ、ジャガイモ類、米、タピオカ、又は小麦から得られる食用デンプン類が挙げられる。典型的なデキストリン類としてマルトデキストリンが挙げられる。好ましいデンプンは、タピオカから得られる変性食用デンプンでNational Starch and Chemical
CompanyがCAPSUL(登録商標)TAという商標で販売している。デンプン及び/又はデキストリンは、約20〜約40重量パーセントの量でコーティング材に含まれる。
【0025】
本発明のマイクロカプセル類は、コーティングが浮遊粒子に塗布されるエアサスペンション(air suspension)技術によって形成する。かかるエアサスペンション技術は、エアサスペンション法として分類される、コーティングを施すカロチノイド粒子の働きが実質的に損失することなく充分なコーティングを塗布することができるいかなる技術でもよい。かかるエアサスペンション技術の例は、流動床乾燥器で行うWurster法である。Wurster法では、コーティングを施す粒子は空気又はガスの流れに浮遊する間互いに分離し、浮遊中にコーティング製剤を噴霧する。本プロセスは、二つの部分に分かれる槽の下端に置いた流動床ボウルを含む、改良した流動床で行う。高速の空気が、流動床ボールの中心の位置から上方へ向けられる。粒子は空気流に乗って槽の内側の部分に噴流し、そこで高速域が作り出され、粒子を分離しそれらを空気圧で垂直方向に輸送する。コーティング製剤を噴霧するための一つ以上の噴射ノズルは、製剤を垂直に移動する粒子に向ける。ノズルを通過した後、粒子は槽の拡張部分に入り、そこでは空気流の速度は遅くなっており、粒子は流動床ボウルの外側の部分に落ちる。コーティング材は、粒子が浮遊して凝集が起こるのを防ぐために分離している間に乾燥する。コーティングを施した粒子は、ボウルの底に移動を続けさせるのに充分なだけ流動させておく。粒子が底に達すると、高速の空気流に引き戻されこのサイクルが繰り返される。本プロセスは、望ましいレベルのコーティングが得られるまで続ける。
カロチノイド及びルテイン含有量の分析方法
本発明に従って製造したマイクロカプセル類は、カロチノイド含有量を分析する。この分析方法は、わずか約5〜7mgカロチノイド類試料の使用を必要とする。従って、かかる方法の最初に添加する試料の量は、期待量がこの範囲となるように選択する。10重量%のカ
ロチノイド類を含有するとされるマイクロカプセルを使用する場合、75mgのマイクロカプセルの試料を計量し、止め具を備えた50mlのガラスの遠心分離管に添加する;25%のカロ
チノイド類を含有するとされるマイクロカプセルを使用する場合、30mgの試料を計量し、止め具を備えた50mlのガラスの遠心分離管に添加する;以下同様である。約20mlの0.1 M EDTA/2NaH2O(37.224g/L)を添加する。止め具を管に取り付け、管を60℃の水槽で20分間加熱する。管を水槽から取り除き、時々管を回しながら15分間超音波処理する。管を室温まで冷却させ、次に30mlのジクロロメタンをピペットで添加する。止め具を付けて内容物を繰り返し反転させて混合し、通気のために止め具をたびたび取り外す。管を暗所に置き、層を約30分間分離させる。ピペットを使用して最上層の水を吸い上げ廃棄する。2〜3g
の硫酸ナトリウムをジクロロメタン層に添加し、取り付けた止め具及び管を穏やかに振る。硫酸ナトリウムは沈殿させ、1mlのジクロロメタン層をピペットで取り除いて100mlの容
量フラスコに添加し、印までエタノールで希釈する。エタノール混合物を、あらかじめエタノールに対してゼロに合わせた紫外可視分光光度計(Agilent, Palo Alto, CA)に入れる。446nmでの吸光度を読み取る。全カロチノイド類の割合は、以下の式に従って決定す
る:
【0026】
【化1】

【0027】
HPLC分析のため、1ml溶液Aを0.45ミクロンシリンジフィルターでろ過し、HPLC試料瓶に入れる。この試料を窒素の流れを使用して乾燥させ、次にこの固体をヘキサン/エチルアセテートの75:25の溶液に溶解させる。この溶液を2分間超音波処理し、この試料を、シリ
カカラム(Agilent, Palo Alto, CA)を使用し、定組成溶離(75:25のヘキサン/エチルアセテート)及び446nmでの検出によるHPLCに注入し、ルテインの最大パーセント領域を
決定する。
【0028】
【化2】

【0029】
製造方法
本プロセスは、Coating Place, Inc., Verona, Wisconsinからの4"/6"移動式流動床コーターを使用して実施した。コーターは、バッチあたり0.60〜1.7Lの容量を有する。カロチノイド類の供給源は、Kemin Industries, Inc., Des Moines, IowaからのFloraGLO(登録商標)ブランド結晶性ルテインであった(ここでは「ドライケーキ」と称する)。このカロチノイド類の供給源を分析すると、典型的な結果として製品が85%のカロチノイド類
(78%のルテイン、5%のゼアキサンチン、及び2%の他のカロチノイド類)、8%のパラフィ
ン蝋類、及び1%のパルミチン酸塩のような脂肪酸を含むことがわかった。
【実施例1】
【0030】
実験は、38重量%のカロチノイド類及び21重量%のルテインを目標レベルとして、ドライケーキを魚ゼラチン、デンプン、及びスクロースの混合物でコーティングするために実施した。コーターに250gのドライケーキを入れた。コーティング混合物は、(250gのCapsul
TAを750gの純水に溶解させ、攪拌しながら160°Fに加熱したものから)900gの25% Capsul(登録商標)TA;(125gのスクロースを125gの純水に溶解させ、スクロースを溶解させ
るために攪拌しながら加熱したものから)250gの50%スクロース;425gの純水に溶解させ
た125gの魚ゼラチン(Rousellot 200A FE 8)を、ゼラチンを溶解させるために攪拌しな
がら120°Fに加熱したもの;並びに、共にBASFからの25gのビタミンEアセテート50% CWD
及び25gのビタミンA(VSP 1% トコフェロール)を含むように調製した。コーターは、180°Fに加熱した流動空気を1分当たり13〜14立法フィートの量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプを6.2〜6.6rpmで動かして噴霧した。コーターは、38%及び21%の
理論上の全カロチノイド含有量に達するまで運転した。マイクロカプセル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセル類は、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値38%及び21%のカロチノイド含有量と比較して、37.9%及び22.6%のカロチノイド測定量を有することがわ
かった。従って、本プロセスの間にカロチノイド含有量の本質的な損失はなかった。前記の試料におけるルテイン含有量はそれぞれ33.17%及び19.71%であったが、これはまた本質的にルテインが本プロセスの間に失われなかったことも示す。
【実施例2】
【0031】
実験は、21重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、ドライケーキを魚ゼラチン、
マルトデキストリン、及びソルビトールの混合物でコーティングするために実施した。コーターに350gのドライケーキを入れた。コーティング混合物は、1172gの純水、225gのMaltrin(登録商標)M100マルトデキストリン(Grain Processing Corp., Muscatine, Iowa)、179gの70%ソルビトール、125gの魚ゼラチン(Rousellot 200A FE 8)、並びに、共にBASFからの25gのビタミンEアセテート50% CWD及び25gのビタミンA(VSP 1% トコフェロール)を含むように調製した。コーターは、180°Fに加熱した流動空気を1分当たり25立法フ
ィートの量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプを7.0rpmで動かして噴霧した。コーターは合計約6時間運転し、501gのマイクロカプセルとなった。マイクロカプ
セル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値21.25%のカロチノイド類及び19.5%のルテイン含有量と比較して、22.87%の全カロチ
ノイド類及び20.25%のルテインという測定量を有することがわかった。言い換えれば、本プロセスにおけるルテインの損失は取るに足りないものであった。
【実施例3】
【0032】
実験は、13重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、結晶化したスクロースをビタ
ミンA及びビタミンEに加えて、ルテインドライケーキ、Capsul(登録商標)TA、及びスクロースの混合物でコーティングするために実施した。コーターに260gのスクロースを入れた。コーティング混合物は、1000gの純水及び230gのCapsul(登録商標)TAを含むように
調製した。混合物は攪拌しながら160℃に加熱した。次に、96gのスクロース、104gのルテインドライケーキ、並びに、共にBASFからの16gのビタミンEアセテート50% CWD及び16gのビタミンA(VSP 1% トコフェロール)を添加した。コーターは、180°Fに加熱した流動空気を1分当たり18立法フィートの量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプ
を6.8rpmで動かして噴霧した。コーターは合計約3時間運転し、585gのマイクロカプセル
となった。マイクロカプセル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値11.0%のカロチノイド類及び10.14%のルテイン含有量と比較
して、8.20%の全カロチノイド類及び7.49%のルテインという測定値を有することがわかった。言い換えれば、本プロセスにおけるルテインの損失は取るに足りないものであった。
【0033】
【表1】

【実施例4】
【0034】
実験は、13重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、結晶化したスクロースをビタ
ミンA及びビタミンEに加えて、ルテインドライケーキ、Capsul(登録商標)TA、スクロース及び魚ゼラチンの混合物でコーティングするために実施した。コーターに260gのスクロースを入れた。コーティング混合物は、934gの純水、141gのCapsul(登録商標)TA及び68gの魚ゼラチンを含むように調製した。混合物は攪拌しながら160℃に加熱した。次に、79gのスクロース、87gのルテインドライケーキ、並びに、共にBASFからの14gのビタミンEアセテート50% CWD及び14gのビタミンA(VSP 1% トコフェロール)を添加した。コーターは、180°Fに加熱した流動空気を1分当たり24立法フィートの量で供給するように調整した
。コーティングは、ポンプを6.5rpmで動かして噴霧した。コーターは合計約4.4時間運転
し、585gのマイクロカプセルとなった。マイクロカプセル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値11.8%のカロチノイド類及び9.88%のルテイン含有量と比較して、11.48%の全カロチノイド類及び9.89%のルテインという測定値を有することがわかった。言い換えれば、本プロセスにおけるルテインの損失はなかった。これらのマイクロカプセル類の安定性は、100°Fで2ヶ月までの保存の場合に優れていた。
【0035】
【表2】

【実施例5】
【0036】
実験は、13重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、結晶化したスクロースをクエ
ン及びアスコルビン酸に加えて、ルテインドライケーキ、Capsul(登録商標)TA、及びソルビトールの混合物でコーティングするために実施した。コーターに260gのスクロースを入れた。コーティング混合物は、1000gの純水及び230gのCapsul(登録商標)TAを含むよ
うに調製した。混合物は攪拌しながら160℃に加熱した。次に、123gのソルビトール(70%)、104gのルテインドライケーキ、並びに16gのクエン酸及び16gのアスコルビン酸を添加した。コーターは、147〜157°Fに加熱した流動空気を1分当たり20〜26立法フィートの量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプを0〜4.0rpmで動かして噴霧した。
コーターは合計約104分運転し、390gのマイクロカプセルとなった。マイクロカプセル類
は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値11.18%のカロチノイド類及び9.88%のルテイン含有量と比較して、8.88%の全カロチノイド類及び8.09%のルテインという測定値を有することがわかった。言い換えれば、本プロセス
におけるルテインの損失は取るに足りないものであった。
【0037】
【表3】

【実施例6】
【0038】
実験は、13重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、マルトデキストリンをクエン
及びアスコルビン酸に加えて、ルテインドライケーキ、Capsul(登録商標)TA、及びソルビトールの混合物でコーティングするために実施した。コーターに300gのMaltrin(登録
商標)を入れた。コーティング混合物は、1000gの純水、248gのMaltrin(登録商標)並びに103gのソルビトール(70%)、104gのルテインドライケーキ、13.5gのクエン酸及び13.5gのアスコルビン酸を含むように調製した。コーターは、177°Fに加熱した流動空気を1分当たり14〜15立法フィートの量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプを3.2rpmで動かして噴霧した。コーターは合計約4時間半運転し、439gのマイクロカプセルと
なった。マイクロカプセル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を使用して決定した計算値11.18%のカロチノイド類及び9.88%のルテイン含有量と比較し
て、9.7%の全カロチノイド類及び8.9%のルテインという測定値を有することがわかった。言い換えれば、本プロセスにおけるルテインの損失は約12%であった。しかしながら、マ
イクロカプセル類は100°Fで26日間安定したままであった。
【0039】
【表4】

【実施例7】
【0040】
実験は、25.6重量%のカロチノイド類を目標レベルとして、ドライケーキを魚ゼラチン
、マルトデキストリン、及びソルビトールの混合物でコーティングするために実施した。コーターに300gのドライケーキを入れた。コーティング混合物は、337gの純水、491gのMaltrin(登録商標)M100マルトデキストリン(Grain Processing Corp., Muscatine, Iowa)、389gの70%ソルビトール、273gの魚ゼラチン(Rousellot 200A FE 8)、0.75gのクエ
ン酸、0.12gのアスコルビン酸、及びBASFからの7.5gのビタミンEアセテート50% CWDを含
むように調製した。コーターは、180°Fに加熱した流動空気を1分当たり14立法フィート
の量で供給するように調整した。コーティングは、ポンプを6.0〜6.3rpmで動かして噴霧
した。コーターは合計約9時間半運転し、1091gのマイクロカプセルとなった。マイクロカプセル類は、前記のカロチノイド及びルテイン含有量の分析方法を使用して8日及び28日
後に分析した。マイクロカプセルは、典型的なドライケーキのロットからの分析証明書を
使用して決定した計算値25.6%のカロチノイド類及び20%のルテイン含有量と比較して、23.1%の全カロチノイド類及び21.0%のルテインという測定値を有することがわかった。言い換えれば、本プロセスにおけるルテインの損失はなかった。このプロトタイプでは、100
°Fで1ヶ月間保存した後ルテイン含有量に17%の損失が見られた。
【0041】
【表5】

【0042】
前記の記載は、実例となる本発明の態様を含む。ここに記載する前記の態様及び方法は、当業者の能力、経験、及び好みに基づいて異なりうる。かかる方法のステップを単に特定の順序に並べることは、必ずしもかかる方法のステップの順序への制限とはならない。前記の記載及び図面は、単に本発明を説明し例示するに過ぎず、請求項が制限される範囲を除き本発明はそれに制限されるものではない。本開示を前にした当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、そこに修正及び変化を加えることができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセルの摂取時にカロチノイド類を放出する保護コーティングを含む、マイクロカプセルのカロチノイド含有量が約5%〜約20重量%である、一つ以上のカロチノイド類
のマイクロカプセル。
【請求項2】
コーティングが糖又は多価アルコール、デンプン又はデキストリン、及び場合により蛋白質を含む、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
蛋白質がゼラチンを含む、請求項2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
糖がグルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、及びラクトースからなる群から選択され、デキストリンがマルトデキストリンであり、多価アルコールがソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される、請求項2に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
カロチノイド類が、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポ−カロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチンの混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類からなる群の一つ以上を含む、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
カロチノイド類が大量の油を含まない結晶性形状のものを含んでなる、請求項5に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
以下のステップ:
(a) カロチノイドを含有する出発原料の循環流を生成するコーティング装置で、カロチノイドを含有する出発原料を循環させること;
(b) 糖、デンプン又はマルトデキストリン、及び場合によりコーティング蛋白質を含む液体コーティング材を調製すること;並びに
(c) 出発原料に保護コーティングを形成するため、循環するカロチノイドを含有する出発原料に液体コーティング材を噴霧すること
を含む、マイクロカプセルの摂取時にカロチノイド類を放出する保護コーティングを有する、一つ以上のカロチノイド類のマイクロカプセルを形成する方法。
【請求項8】
マイクロカプセルに存在するカロチノイド類の量が、出発原料中のカロチノイド類の量の80%より大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
糖がグルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、ソルビトール、及びラクトースからなる群から選択され、デンプンがタピオカデンプン、コーンスターチ、じゃがいもデンプン、及びアロールートデンプンからなる群から選択され、蛋白質が牛、豚、及び魚のゼラチンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。

【公開番号】特開2012−6943(P2012−6943A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167283(P2011−167283)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2003−565624(P2003−565624)の分割
【原出願日】平成15年1月28日(2003.1.28)
【出願人】(504008209)
【Fターム(参考)】