説明

高エネルギーパルス抑制方法

【課題】負荷制御音響光学変調器(AOM)に対する不規則な熱的負荷変動による、レーザビーム品質及び位置決め精度に歪みを引き起こすことなく、高繰り返しレートレーザパルス列から不規則に加工レーザパルスを捕獲する。
【解決手段】レーザは、レーザ空洞放出動作によって、かつエネルギー誤差を補償するためにダミーパルス期間を調節するためのその情報を利用することによって、工作物を任意の期間でかつ実質的に一定のエネルギーレベルで供給されるレーザパルス192で処理する。ダミーパルス194は、工作物に到達することから遮断されるレーザパルスである。第2の方法は工作物に送られるレーザエネルギー量を変動させるAOMを使用する。第3の方法は、ダミーパルス194が開始されるときはいつでも、追加のレーザ空洞充電時間を許容するために選択パルスのパルス期間200を延長することを伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザに関し、詳細には、レーザビームの品質又は位置精度の歪みを最小限にするために、要求に応じて高繰り返しレートの、安定したエネルギーを有するレーザパルスを負荷制御音響光学変調器(「AOM」)に提供する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、電子材料及び基板を検査し、加工または微細加工することを含む工業的作業や分光学的バイオ技術研究を含む種々の研究開発において採用されている。例えば、動的ランダムアクセスメモリ(「DRAM」)を修復するためには、レーザパルスは不良メモリセルをDRAMデバイスから切り離すために導電性リンクを電気的に切断し、その後その不良メモリセルを取り替えるために余剰のメモリセルを作動させるために使用される。リンクからの除去を必要とする不良メモリセルは不規則に配置されているので、切断される必要のあるリンクは不規則に配置されている。したがって、レーザのリンク修復プロセス間に、レーザパルスは不規則なパルス期間に発出される。換言すると、レーザパルスは一定のパルス繰り返し周波数(「PRF」)でなく、広い可変範囲のPRFで出力する。工業的プロセスがより大きい生産スループットを達成するためには、レーザパルスはレーザビーム走査機構を停止することなく、ターゲットリンクに発出される。この生産技術は業界において、「オンザフライ」(「OTF」)リンク加工と称される。他の一般的なレーザ応用例は、レーザパルスが不規則な時期に必要とされるときにのみ発出されるレーザパルスを使用する。
【0003】
しかしながら、1パルス当たりのレーザエネルギーはPRFを増大させることにより典型的に減少し、一方、レーザパルス幅は、Qスイッチ固体レーザに特に当てはまるPRF特性を増大させることにより増加する。多くのレーザ応用例は要求に応じて不規則に時間変位されたレーザパルスを要求するが、これらの応用例もまた、1パルス当たりのレーザエネルギー及びパルス幅は実質的に一定に維持される。メモリ又は他のICチップのリンク加工処理に対して、不十分なエネルギーは不完全なリンク切断になり、一方、多すぎるレーザエネルギーはパッシベーション構造又はシリコン基板に許容できないダメージを引き起こす。レーザエネルギーの許容範囲はしばしば、「プロセスウインドウ」と称される。多くの実用ICデバイスでは、プロセスウインドウはレーザエネルギーが選択パルスエネルギー値から5%未満で変動することを要求する。
【0004】
当業者は、プロセスウインドウ内での作業を確実にするために、又はプロセスウインドウを拡張するために様々なアプローチを採っている。例えば、本特許出願の譲受人に譲渡される、「レーザ生成物質(lasants)内で高密度の励起イオンを発生させて使用する方法及び装置」に関する米国特許第5,590,141号はPRFの関数として軽減したパルスエネルギー降下を発揮し、ゆえにより高い使用可能なPRFを発揮するレーザ生成物質を有する固体レーザを記載する。したがって、かかるレーザは、最大値未満で動作させると、より安定したパルスエネルギーレベルを発生させることができる。また、本特許出願の譲受人に譲渡される、「多材料多層デバイスの1又はそれ以上の材料からなるターゲット構造を選択的にレーザ加工するためのシステム及び方法」に関する米国特許第5,265,114号は、プロセス中にレーザパルスエネルギーのより広い変動を許容するためにリンクプロセス窓を拡張するためにより長いレーザ波長、例えば1,320ナノメートル(「nm」)を使用することを記載する。「出力パワー安定用レーザ励起制御」に関する米国特許第5,226,051号は、励起ダイオードの電流を制御することによってレーザパルスエネルギーを等化する技術を記載する。この技術は約25KHz又は30KHz以下のレーザPRFを使用する実用化例において功を奏する。
【0005】
上記レーザ加工応用例は典型的に、約25KHz又は30KHzを越えないPRFで稼働する、1,047nmから1,342nmの波長を有する赤外線(「IR」)レーザを使用する。しかしながら、生産ニーズはより高い処理量を要求し、レーザは約25KHzよりもっと高い、例えば50〜60KHz以上のPRFで動作させることができなければならない。また、多くのレーザ加工応用例は、典型的に約400nm未満の紫外(「UV」)エネルギー波長を使用することによって改良される。かかるUV波長はIRレーザをそのIRレーザの第2、第3又は第4高調波を活性化する高調波発生プロセスに付することによって発生できる。残念ながら、高調波発生の性質により、かかるUVレーザのパルス対パルスエネルギーレベルは、PRFの時間変動及びレーザパルス間隔に特に敏感である。
【0006】
また、本特許出願の譲受人に譲渡される、「レーザ加工パワー出力安定装置及び加工位置フィードバックを行う方法」に関する米国特許第6,172,325号は、レーザパルス間隔の倍数である不規則時間間隔で、要求に応じて、レーザパルス捕獲を行うための位置フィードバック制御レーザパルス捕獲又は開閉制御デバイスに関連して一定の高繰り返しレートでレーザを動作させる、良好なパルスエネルギー安定性及び高スループットの技術を記載する。
【0007】
典型的なレーザパルス捕獲又は開閉制御デバイスは、ポッケルセルと呼ばれる、音響光学変調器(「AOM」)及び電子光学変調器(「EOM」)を含む。典型的なEOM材料、例えばKD*PまたはKDPは、UV波長の比較的強い吸収の被害を受け、使用周波数での材料のより低い閾値及び開閉制御デバイス内のレーザビーム路に沿って位置決めされた光学デバイスの局所加熱を生じ、それによって半波長遅延を行うための変調器によって要求される電圧変化を生じさせる。EOMの別の不利な点は、50KHzを超える繰り返し周波数で十分機能する能力が疑わしいことである。AOM材料は、他方では、250nmのUVから2000nmのIRまで、非常に高い透過性を有し、それによりAOMはその範囲内で典型的なレーザ波長を通して十分機能できる。AOMも、数百KHzまでの繰り返しレートでパルスの望ましい開閉制御を容易に調節できる。AOMの1つの利点は約75〜90%のその制限回折効率にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,590,141号明細書
【特許文献2】米国特許第5,265,114号明細書
【特許文献3】米国特許第5,226,051号明細書
【特許文献4】米国特許第6,172,325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図1は、無線周波数(「RF」)ドライバー12によって駆動され、レーザパルス捕獲又は開閉制御適用に使用される典型的な先行技術に係るAOM10を示し、また図2A〜図2D(総称して図2)は、入来レーザパルス14、AOMのRFパルス15及びAOM出力パルス16,20の対応する先行技術のタイミンググラフを示す。図2Aはレーザ(図示せず)によって放射されかつAOM10に伝搬される一定の繰り返しレートレーザパルス14a〜14kを示す。図2Bは、対応する期間22a〜22kに生起するレーザパルス22a〜22kのうちのいずれがターゲットに対して伝搬されるかを選択するためにAOM10にRFパルスを印加するための2個の模範的なスキームを示す。第1のスキームにおいて、単一のRFパルス15cde(点線で示される)はレーザパルス14c、14d及び14eに対応する期間22c〜22eを包含するために延長され、第2のスキームにおいて、分離RFパルス15c、15d及び15eはレーザパルス14c、14d及び14eの各期間22c、22d及び22eを個別に包含するために発生される。図2C及び図2Dは各々、AOM10に印加されるRFパルス15の有無によって決定されるように、AOM10から伝搬される1次ビーム20及び0次ビーム16を示す。
【0010】
図1,2を参照して、AOM10はRFドライバー12によって駆動される。RFパルス15がAOM10に印加されない場合、入来レーザパルス14はそれらの元のビーム路に実質的に沿ってAOM10を通過し、0次ビーム16として典型的に呼ばれるビーム16として出て行く。RFパルス15はAOM10に印加される場合、入来レーザパルス14のエネルギーの一部分は0次ビーム16から1次ビーム20の経路に逸らされる。AOM10は1次ビーム20の入来レーザパルス14に対する入来レーザパルス14のレーザエネルギーの比として定義される回折効率を有する。異なる適用条件次第で、1次ビーム20又は0次ビーム16は加工ビームとして使用できる。簡易化のために、AOM10に入力するレーザパルス14は、以降、「レーザパルス」又は「レーザ出力」として参照され、ターゲットに供給されるパルスは「加工レーザパルス」又は「加工レーザ出力」として参照される。なぜなら、それらはAOM10によって捕獲されるからである。
【0011】
1次ビームが加工ビームとして使用される場合、RFパワーがその最大パワーから実質的にゼロに変化するにつれて、加工レーザパルスのエネルギーはその最大値である100%パワーから実質的にゼロに動的に制御できる。許容最大RFパワー下でのAOM10の実用的な回折効率は約75%〜90%であるので、加工レーザパルスの最大エネルギー値はレーザからのレーザパルスエネルギーの約75〜90%である。しかしながら、0次ビーム16が加工ビームとして使用される場合、RFパワーが実質的にゼロからその最大パワーに変化するにつれて、加工レーザパルスのエネルギーは、レーザからのレーザパルスエネルギーの最大値の100%からその最大値の15〜20%まで動的に制御できる。例えば、メモリリンク加工に対して、加工レーザパルスが要求に応じていない場合、システムレーザパルスエネルギーの漏れは許容されない。すなわち、加工レーザパルスエネルギーは、1次レーザビーム20が加工ビームとして使用されるようにゼロになる。
【0012】
再度、図2に関して、RFパルス15は不規則な時間間隔でAOM10に印加され、加工レーザパルスが要求されるときのみは、不規則な整数倍のレーザパルス間隔でAOM10に印加される。加工レーザパルスの不規則な出力はAOM10に対する不規則に変動する熱的負荷を生じる。変動する熱的負荷により、AOM10内に幾何的な歪み及び温度勾配を生じ、その屈折率に勾配を生じさせる。熱的負荷を与えることの結果により、AOM10を通過するレーザビームは歪められ、レーザビームの品質劣化及びレーザビーム路における不安定性又はビーム位置決め精度の不良を生じる。これらの歪みは、それらが一定に維持されるのであれば、ある程度補正され得る。しかしながら、システムレーザパルスが例えばレーザリンク加工において不規則に要求される場合、これらの歪みは同じ不規則性を持ち、実際には補正され得ない。
【0013】
AOMデバイス、例えばFL.のメルボルン、NEOSテクノロジー社によって製造されるモデルN23080−2−1.06−LTDに対する試験結果は、わずか2WのRFパワーの場合、レーザビーム位置決め精度はAOM10へのRFパワーが不規則で断続的に適用されるとき、1ミリラジアンも逸脱し得ることを示した。この逸脱は典型的なメモリリンク加工システムに許容される最大値より数百倍大きい。AOM10への不規則な熱的負荷によるレーザビーム品質の歪みも、レーザビームの焦点可能性を低下させ、より大きいビームスポットサイズを焦点に生じる。レーザビームスポットサイズをできるだけ小さくなるように要求する応用例、例えばメモリリンク加工には、この歪みは極めて望ましくない。
【0014】
したがって、必要なものは、AOMに対する不規則な熱的負荷変動による、レーザビーム品質及び位置決め精度への歪みを引き起こすことなく、高繰り返しレートレーザパルス列から不規則に加工レーザパルスを捕獲する装置及び方法である。さらに必要なものは、要求に応じて、及び/又はオンザフライで、メモリチップのレーザリンク加工を含む、幅広いレーザ応用例、例えば分光器適用、バイオテクノロジー適用、又は微細加工適用に対して広範な異なるパルス時間間隔で高PRFかつ高精度でパルス毎に一定のレーザエネルギー及び一定のパルス幅を有する加工レーザパルスを発生させる装置及び方法である。
【0015】
したがって、本発明の目的は、第1の期間によって分割されかつ第1のエネルギーレベルを有する1セットの第1のレーザパルスを生成するためのレーザを発生させること、第2のレーザパルス及び第3のレーザパルスを生成するために前記レーザを発生させること、前記第2のレーザパルスが前記工作物に到達することを防止すること、前記1セットの第1のレーザパルス及び前記第3のレーザパルスが前記工作物に伝搬できるようにすることを含み、前記第3のレーザパルスは前記第1の期間より大きい第2の期間によって前記1セットの第1のレーザパルスから分離され、前記第2のレーザパルスは、前記第3のレーザパルスに前記第1のエネルギーレベルと実質的に同一である第2のエネルギーレベルを持たせる所定の時間に引き起こされる、レーザパルスを工作物に供給する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、選択レーザパルスが要求に応じてターゲットに送られ、一方レーザパルスの残りは遮蔽されるようにレーザパルスを捕獲又は開閉制御するための追加空洞AOMデバイスと協働して、高繰り返しレートのパルス出力でレーザを使用する。加工レーザパルスは先行技術において行われたように要求されるときのみ、AOMにRFパルスを印加する代わりに、実質的に類似のパルス間隔時間、例えばレーザパルスのパルス間隔時間を有するRFパルスは、加工レーザパルスが要求されるかどうかにかかわらず、AOMに印加される。加工レーザパルスが要求されるときは、RFパルスは対応レーザパルスと同時に印加される。加工レーザパルスが要求されないときは、RFパルスも対応レーザパルスに印加されるが、対応レーザパルスと同時ではない。レーザパルスに不一致のRFパルスはレーザパルスと同時のRFパルスと同じRFパワー及び持続時間を好ましくは持つ。不一致RFパルス及びレーザパルス間の時間シフトは、その時間シフトがAOMに対する熱的負荷の観点から実質的に無視できるほど十分小さい。したがって、AOMは、どれだけ不規則に加工レーザパルスが要求されるかにかかわらず、実質的に熱的負荷変動を経験しない。
【0017】
好ましい実施例において、加工レーザパルスは一定の高繰り返しレート又は一定のレーザパルス間隔で発生されるレーザパルスから捕獲又はゲート制御される。かかる加工レーザパルスはそれらのエネルギー及びパルス幅における高安定性及び整合性を持つ。
【0018】
同様に、AOMは加工レーザパルスがどれだけ不規則に要求されるかにかかわらず、実質的に一定のRFパワー負荷又は一定熱的負荷で動作される。したがって、AOMを不規則に透過的にすることにより、加工レーザビーム品質及びそのポインティング精度への悪影響は実質的にない。
【0019】
また、RFパルスパワーは、適用ニーズに適合させるために同じAOMデバイスで加工レーザパルスエネルギー制御を行うために制御できる。レーザパルスエネルギー制御を行うためのRFパルスパワーの不規則な変動により、加工レーザビーム品質に対する悪影響を回避するために、RFパルス持続時間はRFパルスパワー及びRFパルス持続時間の積は実質的に一定に維持されるように変調されか、または追加のRFパルスは1つのパルス間隔の間にAOMに適用される全RFエネルギーは実質的に一定に維持されるように追加できる。
【0020】
もし、工作物加工応用例はレーザパルスが任意の時間間隔で供給されることを要求するならば、何らかの行動が、パルス毎のエネルギーは望ましい許容範囲内にあることを保証するために必要とされる。正確なパルスエネルギーを提供する第1の好ましい方法は、不完全な空洞放電挙動を特徴付けること及びエネルギー誤差を補償するために時間間隔Tdを調節するためにその情報を利用することを含む、パルス期間の補償を伴う。
【0021】
正確なパルスエネルギーを提供する第2の好ましい方法は、工作物を通過するのに許容されるレーザエネルギーの量を変化させるAOMを使用する、パルス高さの補償を伴う。
【0022】
正確なパルスエネルギーを提供する第3の好ましい方法は、ダミーパルスが開始されるときはいつでも、追加のエネルギーがレーザ空洞から放射され得るためのQスイッチ信号期間を延長することを伴うRF窓補償を含む。「ダミーパルス」は、本明細書において遮断AOMで放射されるレーザパルスとして記載される。ダミーパルスは、空洞充電期間Tcが望ましい量のパルスエネルギーレベルになるように空洞から余分なエネルギーを放電する延長期間を含む。
【0023】
正確なパルスエネルギーを提供する第3の好ましい方法は、加工パルスの放射前に励起電流をレーザに低減することを伴う。パルスタイミング要件に基づいて予め特徴付けられた励起電流を選択することは、放射実パルスが望ましい量のエネルギーレベルを持つようにレーザ媒体内で確立されたエネルギーレートを低減する。
【0024】
本発明は、ICチップリンク切断のような適用例を含む、レーザパルスを不規則にオン・オフすることを普通要求する適用例に対して安定パルス対パルス加工レーザパルスを発生させるために利点がある。また、本発明は、加工レーザパルスが不規則にオン・オフする2倍周波数、3倍周波数、又は4倍周波数レーザパルスを生成するために非線形高調波発生プロセスを採用するQスイッチ固体レーザの加工レーザパルス対パルスエネルギーを安定化させるために利点がある。
【0025】
本発明は、典型的なAOM材料、UVスペクトルから近IR、例えば250nm〜2000nmの広いスペクトル範囲のレーザ波長に極めて透過性である、例えば上記AOMモデルN23080−2−1.06−LTDに使用される溶融水晶及び二酸化テルル(Teθ2)に対して利点がある。好ましい実施例では、1次ビームは加工ビームとして使用される。しかし、いくつかの適用では、レーザパルスエネルギーの15〜10%の漏れが問題を引き起こさなければ、1次又は0次ビームのいずれかは加工ビームとして使用できる。
【0026】
本発明の別の利点は高繰り返しレートパルスレーザから要求に応じてレーザパルスを捕獲する装置及び方法を提供することである。
【0027】
本発明の別の利点はレーザビーム品質及び位置決め精度に対する歪みを最小限にするためにAOMに最小の熱的負荷変動で上記パルス捕獲を行うことである。
【0028】
本発明の別の利点は、UVから近IRまでの選択波長で、また高精度レーザ加工応用例、例えばメモリリンク切断用に高PRFで安定パルスエネルギー及び安定パルス幅を維持しつつ、要求に応じてシステムレーザパルスを発生させる装置及び方法を提供することにある。
【0029】
本発明の追加の特徴及び利点は、添付図面に関連して進める、その好ましい実施例の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】0次及び/又は1次ビームを伝送する先行技術のAOM及びRFドライバーの部分概略図である。
【図2A】レーザパルス、RFパルス、及び1次及び0次AOM出力レーザパルスの対応先行技術のタイミンググラフである。
【図2B】レーザパルス、RFパルス、及び1次及び0次AOM出力レーザパルスの対応先行技術のタイミンググラフである。
【図2C】レーザパルス、RFパルス、及び1次及び0次AOM出力レーザパルスの対応先行技術のタイミンググラフである。
【図2D】レーザパルス、RFパルス、及び1次及び0次AOM出力レーザパルスの対応先行技術のタイミンググラフである。
【図3A】好ましい実施例において採用されるレーザパルス、RFパルス、及び加工レーザパルス出力に対応する模範タイミンググラフである。
【図3B】好ましい実施例において採用されるレーザパルス、RFパルス、及び加工レーザパルス出力に対応する模範タイミンググラフである。
【図3C】好ましい実施例において採用されるレーザパルス、RFパルス、及び加工レーザパルス出力に対応する模範のタイミンググラフである。
【図4A】加工レーザパルス出力のエネルギー制御用AOMの使用を説明する、レーザ出力、RFパルス、及び加工レーザパルス出力の代替の対応模範タイミンググラフである。
【図4B】加工レーザパルス出力のエネルギー制御用AOMの使用を説明する、レーザ出力、RFパルス、及び加工レーザパルス出力の代替の対応模範のタイミンググラフである。
【図4C】加工レーザパルス出力のエネルギー制御用AOMの使用を説明する、レーザ出力、RFパルス、及び加工レーザパルス出力の代替の対応模範のタイミンググラフである。
【図5A】AOMによって供給される加工レーザ出力エネルギーの動的制御範囲を説明する、RFパルス及び加工レーザ出力の代替の対応模範タイミンググラフである。
【図5B】AOMによって供給される加工レーザ出力エネルギーの動的制御範囲を説明する、RFパルス及び加工レーザ出力の代替の対応模範タイミンググラフである。
【図6A】対応ビーム位置を有する模範メモリリンク列構造の等角投影図及びどのように加工レーザ出力がリンク処理適用に任意に要求され得るかを示すためのタイミンググラフである。
【図6B】対応ビーム位置を有する模範メモリリンク列構造の等角投影図及びどのように加工レーザ出力がリンク処理適用に任意に要求され得るかを示すためのタイミンググラフである。
【図6C】対応ビーム位置を有する模範メモリリンク列構造の等角投影図及びどのように加工レーザ出力がリンク処理適用に任意に要求され得るかを示すためのタイミンググラフである。
【図7】除去用に選択される不等間隔リンクを処理する要求に応じて安定したパルス対パルスUVレーザエネルギーを提供するために連続熱的負荷時AOMを採用する模範的レーザシステムの好ましい実施例を示す概略ブロック図である。
【図8A】等間隔期間で放射される先行技術のQスイッチ信号及びその結果生じるレーザパルスのタイミンググラフである。
【図8B】不等間隔期間で放射される先行技術のQスイッチ信号及び生じるレーザパルスのタイミンググラフである。
【図9A】図8Aの等間隔期間にしたがって放射される先行技術のQスイッチ信号及び生じるレーザパルスのタイミンググラフであり、さらにダミーパルスを加える作用を示す。
【図9B】図8Bの不等間隔期間にしたがって放射される先行技術のQスイッチ信号及び生じるレーザパルスのタイミンググラフであり、さらにダミーパルスを加える作用を示す。
【図10】本発明のダミーパルスタイミングを考慮して、A及びBは各々、図9A及び図9Bのダミーパルスを採用することによって一定のエネルギーレベルレーザパルスを放射する本発明のQスイッチ信号及び生じるレーザパルスのタイミンググラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図3A〜3C(総称して、図3)はレーザ出力24a〜24k(総称して、レーザ出力24)、先行技術のAOM10に印加されるRFパルス38a〜38k(総称して、RFパルス38)及び加工レーザ出力40a、40b、40c、40d、40e及び40i(総称して、加工レーザ出力40)の対応タイミンググラフを示す。特に、図3Aは一定の繰り返しレートでレーザ(図示せず)によって放射され、実質的に同一のレーザ出力間隔41によって分離されるレーザ出力24a〜24kを示す。典型的な実施例において、レーザ出力繰り返しレートは約1KHzから約500KHzまでの範囲にすることができる。模範的なレーザ出力繰り返しレートは約25KHzから約100KHzより大きい範囲にある。リンク加工実施例の場合、各加工レーザ出力40は、多数のナノ秒パルス幅を有する単一のレーザパルスを望ましくは含む。しかし、当業者は、各加工レーザ出力40は1又はそれ以上のレーザパルスのバーストを含むことができ、その各々は、超短パルス幅、例えば本特許出願の譲受人に譲渡される、超短パルス幅を有するレーザパルスのバーストでメモリリンクを加工するレーザシステム及び方法に関する米国特許第6,574,250号に開示されるような超短パルス幅を有するか、又は約10ピコ秒から約1,000ピコ秒の範囲のパルス幅を有する1又はそれ以上のパルスのバーストを有することを認識する。
【0032】
図3Bは、AOM10に対する熱的負荷の変動を所定の動作上の許容範囲に維持させるために実質的に規則的又は均一であるRFパルス間隔32a〜32jによって分離されるRFパルスを使用するRFパルス発射スキーム30の好ましい実施例を示す。かかる許容範囲は特有の熱的負荷の窓にすることができるが、所定の許容範囲も又は代替的にスポットサイズ又はビーム位置精度を有する窓にすることができる。ある実施例において、熱的負荷変動は、5%以内に維持される及び/又はビームポインティング精度が0.005ミリラジアン以内に維持される。好ましい実施例では、少なくとも1つのRFパルス38は各レーザ出力24に一致させるために発生させる。
【0033】
加工レーザ出力40が、ターゲット、例えば導電性リンク60(図6A)に衝突させるために要求されるときは、RFパルス38は、レーザ出力24がAOM10を通して送信され、加工レーザ出力40になるようにレーザ出力24と同時にAOM10に印加される。
【0034】
図3Bにおいて、一致RFパルス38はRFパルス38a,38c,38d,38e,38iである。図3Cは結果として生じる対応加工レーザ出力40a,40c,40d,40e,40iである。加工レーザ出力がレーザ出力24に一致するように要求されないときは、RFパルス38はレーザ出力24の対応するものと異なる時間にAOM10に印加される。図3Bにおいて、不一致RFパルス38はRFパルス38b,38f,38g,38h,38j,38kである。図3Cは不一致RFパルス38に一致する加工レーザ出力40がないことを示す。
【0035】
不一致RFパルス38は、約0.5マイクロ秒より長い時間オフセット42によって、各レーザ出力24の開始から、好ましくはずれている。当業者は、時間オフセット42はレーザ出力24に付随するように示されるが、時間オフセット42は、レーザ加工出力40をターゲットにすることを防ぐ十分な時間だけ、レーザ出力24に交互に先行できることを理解する。したがって、1つの不一致RFパルス38を囲むRFパルス間隔32(例えば、RFパルス間隔32b,32h)は、平均RFパルス間隔32の全体(例えば、32c,32d,32f,32g,32j)より短くすることができ、又は1つの不一致RFパルス38を囲むRFパルス間隔32(例えば、RFパルス間隔32a,32e,32i)は、平均RFパルス間隔32の全体より長くすることができる。
【0036】
再び、図3Cに関して、加工レーザ出力40c,40d間の非衝突間隔50b及び加工レーザ出力40d,40e間の非衝突間隔50cは各々、レーザ出力間隔41とほぼ同じである。加工レーザ出力40a,40c間の非衝突間隔50a及び加工レーザ出力40e,40i間の非衝突間隔50dは各々、レーザ出力間隔41(図3A)のほぼ整数倍である。
【0037】
当業者は、たとえ、加工レーザ出力40がほとんどの適用例、例えばリンク加工に対して、望ましくは1次ビーム20であるとしても、加工レーザ出力40は、漏れが許容範囲であり、より高い加工レーザ出力パワーが望ましい場合には0次ビーム16にすることができることを理解する。
【0038】
好ましい実施例において、一致及び不一致RFパルス38は、RFパワー値及びRF持続時間の積である同じRFエネルギーを使用するだけでなく、ほぼ同じRFパワー値及びほぼ同じRF持続時間を使用する。
【0039】
図4A〜4C(総称して、図4)は、どのようにAOM10が加工レーザ出力40の出力パワーを制御するのに追加的に使用されるかを示す、レーザ出力24、AOM10に印加されるRFパルス38及び加工レーザ出力40の対応タイミンググラフを示す。図4Aは、図3Aと同じであり、便宜上のためにのみ示される。図4B及び図4CはRFパルス38’及び加工レーザパルス出力40’を示し、対応RFパルス38及び加工レーザパルス40は便宜上点線でそれらに重ねて示される。加工レーザ出力40’のエネルギー値は、RFパルス38用よりRFパルス38’用にAOM10にRFパワーを少なく適用することによって減衰される。しかし、RFパルス持続時間42’は、AOM10に実質的に一定の熱的負荷を維持するための、RFパワー値及びRF持続時間の実質的に一定の積を維持するために、RFパルス38用に使用されるRF持続時間42を超えてRFパルス38’用に増加される。これにより、AOM10への熱的負荷における実質的な変化なく、加工レーザ出力40、40’間の出力パワーの連続に対するオンデマンド選択を可能にする。当業者は、不一致(incoincident)RFパルス38のRFパワー値及びRF持続時間42が元の値に維持できる、又は一致(coincident)RFパルス38’のRF負荷変化の特定許容範囲内で変更できることを理解する。
【0040】
RFパルス持続時間42’は約1マイクロ秒からレーザ出力間隔41のおよそ半分、より好ましくはレーザ出力間隔41の30%未満から好ましくは選択される。例えば、レーザ繰り返しレートが50KHzであり、レーザ出力間隔41が20マイクロ秒であるならば、RFパルス持続時間42’は1マイクロ秒から10マイクロ秒までのいずれかにすることができる。最小RFパルス持続時間42又は42’はレーザパルスジッタ及びAOM10の応答時間によって決定される。レーザ出力24の中点を囲むRFパルス38、38’の対応するものから開始することが望ましい。同様に、RFパルス38、38’は対応レーザ出力24の開始から最小RFパルス持続時間の約半分ぐらい遅延又はずれることが望ましい。
【0041】
図5A及び図5B(総称して図5)は加工レーザ出力エネルギーの大きい動的制御を示すRFパルス38及び加工レーザ出力40用の代替対応タイミンググラフを示す。
【0042】
図4A及び図5に関して、非常に小さいエネルギーの加工レーザ出力40aは、加工レーザ出力40a〜iのターゲットにされた伝播を許容するために十分なほぼ最小限のRFパワーのRFパルス38a〜iを印加することによって生成できる。レーザ出力24aに一致するRFパルス持続時間44aiは、RFパルス間隔32の変化を最小限にするために短く維持でき、より高いRFパワーを持つ、1又はそれ以上の追加の不一致RFパルス38aだけでなく、短いRFパルス持続時間44aは、RFパルス38a、38a用のRFエネルギー充填量の合計がRFパルス38bの充填量と実質的に等しくなるようにAOM10に印加できる。好ましい実施例において、RFパルス38ai、38a間のオフセット時間52aは0から数マイクロ秒にすることができる。当業者は、RFパルス38a、38aは、レーザ出力24aが完了後にRFパワーに上昇する1つのRFパルス38に併合することができることを理解する。また、当業者は、RFパルス38aはそれに続く代わりに、RFパルス38aiに先行することができることを理解する。当業者は、AOM10の熱的慣性によって、RF間隔32a及びRF間隔32の小さい差は、レーザビーム品質及びポインティング精度の劣化の観点から、いかなる重大な熱的負荷変動をも生じないことを理解する。したがって、AOM10への熱的負荷の変動を所定の動作上の許容範囲内に維持するために、RF間隔32に類似するRF間隔32aは十分維持できる。元の不一致RFパルス38bは、その元のRFパルス持続時間44b及びRFパワー値に維持でき、又は元の不一致RFパルス38bは、RFパルス38a、38aのセットと同じ態様で変調できる。
【0043】
図6A〜6C(総称して、図6)は、模範的なレーザ微細加工プロセス、例えば電気伝導リンク60a〜60kのレーザ加工間のターゲット整合位置70(走査位置70でもある)(図7)及び加工レーザ出力40のタイミンググラフを示す。図6Aはビーム位置決めシステムのターゲット整合位置70の近くで走査方向54に交差する等間隔に離隔したリンク60を有する典型的なリンクバンク62を示す。チップの試験結果に基づいて、位置決めシステムは、ICデバイス又は他の工作物120(図7)を修理するために切断されねばならない不規則な配置のリンク60をターゲットにし、一方残存するリンク60は損なわれないようにするために制御される。例えば、ビーム位置決めシステムの走査速度は一定に設定される、又は制御されることができ、またターゲット整合位置70が実質的に一定の位置決め間隔で各リンク60を越えて交差するように変化するように設定又は制御でき、レーザ126(図7)は、位置決め間隔に等しい実質的に一定の間隔でレーザ出力を放射する。したがって、適切なタイミング調整で、位置70がリンク60を交差するときは、レーザ出力24(図3A)が放射される。便宜上、リンク60a,60c,60d,60e,60iは、加工レーザ出力40を示す図6Bが図3Cと同一になるように切断用に示される。したがって、加工レーザ出力40a,40c,40d,40e,40iは、リンク60a,60c,60d,60e,60iに衝突する。図6Cは、リンク60a,60c,60d,60e,60iが切断された後のリンク60a,60c,60d,60e,60iを示す。レーザ出力24は走査位置70に同期してかつ各加工レーザ出力40が1つのリンク60に当たるように同じ一定間隔で放射される。したがって、レーザパルス捕獲又は開閉制御AOM10によって、リンク60が除去用に選択されるときは、AOM10はリンク60を切断するために加工レーザ出力40としてレーザ出力24を送信する。リンク60が選択されないと、AOM10は、リンク60が損なわれないようにレーザ出力24を送信しない。このように、レーザ126は実質的に一定の繰り返しレートで出力し、レーザ出力24は実質的に一定の出力間隔26を持つが、加工レーザ出力40はレーザ出力間隔26の任意の整数倍で発生する。
【0044】
図7は、歪んでいない加工レーザ出力40で不等間隔リンクを加工するために要求に応じて安定パルス対パルスUVレーザエネルギーを提供するためにAOM10上のRF負荷制御を行うICチップリンク切断システム110を一例として示す。システム110において、システム制御コンピュータ120及び埋込制御コンピュータ114は、加工レーザ出力40のターゲット整合位置70に対して工作物120を位置付けるX−Y位置決め器118からの位置情報を受信するビーム位置コントローラ116を制御するために協働する。加工レーザ出力40は、図示される折り畳みミラー(fold mirror)の他に種々の光学要素(図示せず)を通して伝播させることができる。X−Y位置決め器118も、X又はY段に接続できるZ位置決め器123を含むことができる。X−Y位置決め器118は、本特許出願の譲渡人に譲渡される、「高速高精度多段工具位置決めシステム」に関する米国特許第5,751,585号に記載される位置決めシステムに好ましくは基づいている。
【0045】
ある実施例において、UVレーザサブシステム124は、Qスイッチ固体IRレーザ126、例えばダイオード励起音響光学QスイッチNd:YVO、IRレーザ126のレーザ出力を捕獲又は開閉制御及び振幅変調するAOM10、及び周知の第2、第3又は第4高調波変換プロセスを使用することによってIRレーザ126からの赤外線波長放射をグリーン波長及び/又はUV波長に変換する周波数逓倍器130を好ましくは含む。AOM10は、代替として、仮想線で示されるAOM10a(総称して、AOM10)の位置によって示されるように周波数逓倍器130の後に配置できる。いずれの実施例においても、レーザコントローラ134は、要求にしたがって加工レーザ出力40を工作物120に伝播させるためにレーザ126からのレーザパルスを伝達又は遮蔽するAOM10の透過度を制御する。
【0046】
システム制御コンピュータ112はバス136を通して埋込制御コンピュータ114内にレーザ加工を要求する工作物120の位置の位置座標を伝達する。典型的な標本加工応用例において、工作物120は規則的に離隔するデバイス構造、例えば、いくつかのみが加工を要求する溶解結合リンク60を含む。加工を要求する配置はターゲット配置と呼ばれ、加工を要求しない配置は中間配置と呼ばれる。埋込制御コンピュータ114は、ほぼ等しい間隔41(図4A)でIRレーザ126を放射するために離隔された中間配置座標にターゲット配置座標を追加する。埋込制御コンピュータ114は、バス138を通して所定のレートで一度に1つで、ターゲット及び中間位置座標をビーム位置コントローラ116のレジスタ140に伝達し、同時に、バス142を通して制御データをレーザコントローラ134のレジスタ144に読み込む。所定のレートはX−Y位置決め器118の移動速度を制御し、制御データは座標位置が加工ターゲット位置であるかどうかを示し、出力モード情報、タイミング情報、及び振幅情報をさらに含むことができる。
【0047】
レーザコントローラ134は、自動パルスモード又はパルスオンターゲットモードのいずれかでタイマー146を動作させる。自動パルスモードにおいて、タイマー146は、レジスタ144の制御データに応答して開始し、パルスオンターゲットモードにおいて、タイマー146は、ビーム位置コントローラ116の比較器150からの位置一致信号レジスタ148の受信に応答して開始する。ビーム位置コントローラ116の位置符号器152は、X−Y位置決め器118の現在位置を比較器150に指示し、現在位置がレジスタ140に記憶された位置座標に一致するとき、工作物120がターゲット位置又は中間位置上方に適切に位置付けられていることを示す位置一致信号148は発生される。したがって、工作物120がターゲット位置上に位置付けされると、タイマー146はIRレーザ126のQスイッチを作動させ、加工レーザ出力40がAOM10を通過しかつターゲットリンク60(図6C)に当たるように所定のRFパワー及びRF持続時間44’(図5A)でRFパルス38(図4B)をAOM10に印加することによって、同時にAOM10を透過状態に設定する。工作物120が中間位置上方に位置付けされると、タイマー146はIRレーザのQスイッチを作動させ、Qスイッチ作動から所定のオフセット時間42(図3B)の後にのみ、所定のRFパワー及びRF持続時間44でRFパルス38をAOM10に印加する。したがって、RFパルス38はレーザ出力24に不一致であり、加工レーザ出力40は開閉制御されない。
【0048】
X−Y位置決め器118の移動速度は、位置決め器118はターゲット及び中間位置の組み合わせ上方を一定速度で移動するように好ましくは制御されるので、レーザQスイッチはかかる一定の繰り返しレートで放射され、すなわち換言すると、レーザ出力間隔26は、位置移動時間に実質的に等しくなる。したがって、IRレーザ126は実質的に一定の繰り返しレートで動作され、又はレーザ出力間隔41は実質的に一定であり、したがって、レーザ出力24に仮想的な無視できる不安定性及びレーザ出力間隔41の変動によるレーザパルス高調波変換における不安定性を生じる。また、AOM10のオンデマンド制御に関する詳細は、参照によって本明細書に導入される、「レーザ加工パワー出力安定化装置及び加工位置フィードバックを使用する方法」に関する米国特許第6,172,325号に見ることができる。
【0049】
RF負荷制御技術は、位置決め器118がターゲット上にあるとき、すなわち換言すると、加工レーザ出力40が要求されるとき、レーザ出力24と同時にAOM10にRFパルス38を印加することによって、AOM10にほとんど一定の熱的負荷を提供し、また位置決め器118が中間位置上にあるとき、すなわち換言すると加工レーザ出力40が要求されないとき、同じRFエネルギーを有するRFパルス38をレーザ出力24と同時ではないがAOM10に印加することによって、AOM10にほとんど一定の熱的負荷を提供する。当業者は、AOM10へのかかる実質的に一定の熱的負荷では、加工レーザ出力40の品質及び位置決め精度にAOM10による最小限の悪影響になることを理解する。
【0050】
AOM10へのRFパルス38のRFパワーはターゲット加工のニーズを満たすために加工レーザ出力のエネルギーを制御できるが、RFパルス38のRF持続時間44は、実質的に一定のRFエネルギーすなわちRFパルス38のRFパワー及びRF持続時間44の算術積を維持するために適宜制御できることがさらに認識される。
【0051】
しかしながら、すべてのレーザ加工適用は、本質的に一定のレーザPRFで作動するのにふさわしいとは限らない。本明細書の背景技術に記載されるように、多くの応用が任意に時間が計られたレーザパルス放射を要求する。不運にも、任意に時間が計られる場合、パルスエネルギー量は先のパルスから経過した時間間隔に依存するので、レーザ、例えばIRレーザ126は反復可能なレーザパルスエネルギーを放射しない。
【0052】
パルスレーザ空洞動作の大体の実用的な類似物はキャパシタである。一般的にポンプと称される電源からのエネルギーは時間と共にレーザ空洞に「充電」される。Qスイッチ信号が生じるとき、空洞に貯蔵されるエネルギーは放電され、空洞は再度、充電し始める。結果として生じるレーザパルスによって供給されるエネルギー量は空洞がどれだけ長く充電することができるかに依存する。2つのQスイッチ信号が短期間内に生じるならば、レーザパルスによって供給されるエネルギー量は2つのQスイッチ信号がより長い期間によって分離されている場合よりも低い。したがって、いくつかの形態のパルスエネルギー制御がなければ、典型的な許容範囲である5%のプロセスウインドウ変動を十分外れる10〜20%のパルスエネルギー変動は可能である。
【0053】
したがって、本発明はまた、不規則なタイミング間隔で所定のレーザパルスエネルギーレベルを提供するために要求される訂正要因を自動的に決定するパルスエネルギー補償技術を提供する。
【0054】
再度、図7を参照して、本発明の不規則な時間に作動するレーザシステムはICチップリンク切断システム110に基づくことができ、このICチップリンク切断システム110は、レーザビームを工作物120に到達することから選択的に遮蔽するための、又は遮蔽しないためのQスイッチ固体IRレーザ126及びAOM10を含む。しかしながら、工作物120の加工適用例はレーザパルスが一様なQスイッチ信号期間の整数倍でない時間間隔で供給されることを要求されるならば、いくつかの動作は、パルス毎のエネルギーが所望の許容範囲内にあることを保証するために採られる必要がある。これに対する1つの解決策は、加工パルスに先立って1又はそれ以上のダミーパルスを使用することである。「ダミーパルス」は本明細書においてAOM10が遮蔽される状態で放射されるレーザパルスとして称され、「加工パルス」は本明細書においてAOM10が遮蔽されない状態で放射されるレーザパルスとして称される。
【0055】
図8A及び図8Bは各々、等間隔時間間隔1/F及び不等間隔時間間隔Tで放射される慣用のQスイッチ信号160及び結果として生じるレーザパルス162のタイミンググラフを示す。IRレーザ126は典型的に一定期間1/Fによって分離されるQスイッチ信号を受信し、実質的に一定のエネルギーパルス164(遮蔽される又は遮蔽されないかのいずれかである)を放射する。しかしながら、IRレーザ126は、実パルス168を放射するために、1/Fとは異なり、望ましくは1/Fより大きく2/Fより小さい期間Tによってレーザパルス160の先行するものから分離される少なくとも1つのQスイッチパルス166をさらに受信する。Qスイッチ信号間の期間Tが増加するにつれてエネルギーパルスが増加するので、実パルス168は、一定エネルギーパルス164のエネルギーレベル172より大きいエネルギーレベル170を持つ。
【0056】
図9A及び図9Bは各々、図8A及び図8Bの離隔時間間隔にしたがって放射される先行技術のQスイッチ信号180及び結果として生じるレーザパルス182のタイミンググラフを示し、さらにダミーパルス184を追加する効果を示す。実パルス168前に期間1/Fでダミーパルス184を追加することにより、実パルス168は一定エネルギーのパルス164のエネルギーレベル172と実質的に同じであるエネルギーレベル186を持つ。理想的には、ダミーパルス184はレーザ空洞にエネルギーを放電し、レーザが期間1/F内に要求エネルギー値に再充電されるのを許容する。AOM10はダミーパルス184によって引き起こされるレーザパルスを遮蔽するので、レーザパルスエネルギーが工作物120(図7)に到達するのは防止される。
【0057】
いくつかの工作物加工適用例には適切であるが、実験は実パルス168のパルスエネルギー誤差に寄与するIRレーザ126の2次効果があることを示した。例えば、一定エネルギーパルス164及びダミーパルス184間の期間Tdが減少するにつれて、実パルス168のエネルギーレベル186は増加する。この効果は、期間Tdがより短くなると、空洞に貯蔵されたエネルギーが効率よく放電されないので、生じるように思われる。期間Td中に空洞に蓄積されるエネルギーはダミーパルスによって一部だけ放電される。その後、空洞がダミーパルス184及び 実パルス168間の間隔に充電されるにつれて、空洞に貯蔵されるエネルギー量は所望量より大きくなり、実パルス168のエネルギーレベルは予想より大きくなる。
【0058】
図10のA及び図10のBは、本発明のダミーパルスのタイミングを考察したダミーパルス194を使用することによって、本発明のQスイッチ信号190及びその結果として生じる、実質的に一定のエネルギーレベルのレーザパルス192の各タイミンググラフを示す。
【0059】
不完全な空洞放電現象への第1の好ましい解決法は、不完全な空洞放電動作を特徴付けること及びエネルギー誤差を補償するために期間Tdを調節するためにその情報を利用することを伴うパルス期間補償を伴う。これは、1セットのパルス期間Tp値と関連セットのエネルギー値196と実パルス198を発生させることに関連した期間Tdとの間の関係を含む、データセットを収集するための埋込制御コンピュータ114(図7)を望ましくは使用する。このデータセットは、所定のパルス期間Tp値毎に所定パルスエネルギー値196を発生させるダミーパルス194を開始するために要求される期間Tdを決定するために実行時に使用することができる。望ましくは、期間Tdは、パルスエネルギー値196は実質的に一定エネルギーパルス164のエネルギーレベル172に等しくなるように選択される。
【0060】
不完全な空洞放電現象の別の好ましい解決法は、図4,5に関して上述のように工作物120を通過するのに許容されるレーザエネルギー量を変更させるAOM10(図7)を使用するパルス高さの補償を伴う。これは、パルスエネルギーレベル値を所定の値に設定するために、パルスエネルギー値196、パルス期間Td及びAOM10の減衰レベル間の関係を含むデータセットを収集する埋込制御コンピュータ114を使用することを望ましくは伴う。
【0061】
不完全空洞放電現象への第3の好ましい解決策は、ダミーパルス194が開始されるときはいつでも、追加のエネルギーがレーザ空洞から放射され得るようにダミーパルス194に延長期間200を提供することを伴うRF窓補償を使用する。追加のエネルギーも、AOM10によって遮断される。それによって、ダミーパルス194は、ダミーパルス194及び実パルス198間の充電期間Tcは、望ましくは実質的に同じエネルギーレベル172である望ましい量のエネルギーレベル196になるように空洞から余分なエネルギーを放出するための延長期間を含む。
【0062】
不完全空洞放電現象に対する第4の好ましい解決策は、実パルス168(図8B又は図9B)又は実パルス198(図10のB)の放射前に励起電流をレーザ126(図7)に減少させることを伴うレーザ励起補償を使用する。パルスタイミング要件に基づいて、予め特徴付けられた励起電流を選択することは、放射実パルスが、望ましくは実質的に同じエネルギーレベル172である、望ましい量のエネルギーレベル170、186又は196を持つようにレーザ媒体でエネルギー増強の割合を減少させる。
【0063】
上記技術の利点は、レーザベースの工作物加工システムが、内部システムのタイミング及びレーザパルスエネルギー測定値に基づいて要求されるレーザパルスエネルギーレベルの訂正要因を決定できることである。
【0064】
当業者は、本発明の部分は好ましい実施例に対して上述の実施形態から異なって実行できることを認識する。多くの変形が本発明の基礎原理から逸脱することなく、上述の実施例の細部に対して行うことができることを当該技術分野の当業者には自明である。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザパルスを工作物に供給する方法であって、
第1のエネルギーレベルを有する1セットの第1のレーザパルスであって各々が第1の期間によって分離されている1セットの第1のレーザパルスを生成するためのレーザを発生すること、
第2のレーザパルス及び第3のレーザパルスを生成するための前記レーザを発生すること、
前記第2のレーザパルスが前記工作物に到達することを防止すること、
前記第1のレーザパルス及び前記第3のレーザパルスを前記工作物に伝搬できるようにすることを含み、
前記第3のレーザパルスは前記第1の期間より大きい第2の期間によって前記第1のレーザパルスから分離されており、前記第2のレーザパルスは、前記第3のレーザパルスが前記第1のエネルギーレベルと実質的に同一である第2のエネルギーレベルを持つようになる所定の時間に発生する、レーザパルスを工作物に供給する方法。
【請求項2】
第1のエネルギーレベルのセットと第2のエネルギーレベルのセットと所定の時間のセットとを関連付ける関係データセットを決定すること、
前記関係データセットから前記所定の時間を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザパルス及び前記第3のレーザパルスを前記工作物に伝搬できるようにすることは、減衰係数によって前記第3のレーザパルスの前記エネルギーレベルを減衰することを含み、前記方法は前記第2のエネルギーレベルのセットと減衰係数のセットと所定の時間のセットとを関連付ける関係データセットを決定すること及び前記第2のエネルギーレベルが前記第1のエネルギーレベルと実質的に等しくなる、前記所定の時間及び減衰係数のうちの少なくとも1つを前記関係データセットから選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記防止すること、前記減衰すること及び前記第1のレーザパルス及び前記第3のレーザパルスを前記工作物に伝搬できるようにすることは音響光学変調器及び電子光学変調器のうちの少なくとも1つによって実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のエネルギーレベルが前記第1のエネルギーレベルに実質的に等しくなる所定のパルス幅に前記第2のレーザパルスを設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザはQスイッチ固体レーザを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
遮蔽すること及び遮蔽しないことは音響光学変調器及び電子光学変調器のうちの少なくとも1つによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の期間は2倍の前記第1の期間に等しいか又は小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の時間は前記第1のレーザパルスからの時間の関数及び前記第3のレーザパルスからの時間の関数のうちの少なくとも1つによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記工作物は切断可能なリンクを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
Qスイッチレーザ空洞によって生成されるレーザパルスから、実質的に一定のパルスエネルギーを有する、不均一に時間変位された加工レーザ出力パルス流を形成する方法であって、
前記Qスイッチレーザ空洞によって放射されるレーザパルスの合成流を形成するために所定の不均一時間変位レーザ出力パルス流にダミーレーザ出力パルスを挿入すること、
前記所定の不均一時間変位レーザ出力パルス流内の前記ダミーレーザ出力パルス及び該ダミーレーザ出力パルスに対応する最も隣接するレーザ出力パルスの相互作用から発生する空洞エネルギー放電の異常から生じた加工レーザ出力パルスのパルスエネルギー変動誤差を予め割り当てられた動作許容レーザ範囲内に制限するためのダミーレーザ出力パルス補償を行うこと、
一定のパルスエネルギーを有しかつ前記所定の不均一時間変位レーザ出力パルス流に対応する加工レーザ出力パルス流を提供するために前記レーザパルスの合成流の選択的な開閉制御を行うことを含む、不均一に時間変位された加工レーザ出力パルス流をレーザパルスから形成する方法。
【請求項12】
前記ダミーレーザ出力パルス及び最も隣接するレーザ出力パルスの各々は開始時間を有し、前記ダミーレーザ出力パルス補償は、前記レーザパルスの合成流内の所定のダミーレーザ出力パルスの前記開始時間及び前記所定のダミーレーザ出力パルスに最も隣接するレーザ出力パルスの前記開始時間の間に、前記所定のダミーレーザ出力パルス後に生起する加工レーザパルスのパルスエネルギーを前記予め割り当てられた動作上の許容範囲内で設定する量に前記相互作用を弱める遅延を導入することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
後続の加工レーザ出力パルスは所定のダミーレーザ出力パルス後に生起し、前記ダミーレーザ出力パルス補償は、前記レーザパルスの合成流の前記選択的な開閉制御によって、前記後続の加工レーザ出力パルスのパルスエネルギーを前記予め割り当てられた動作上の許容範囲内の値に設定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ダミーレーザ出力パルスは持続時間を有し、前記ダミーレーザ出力パルス補償は、前記ダミーレーザ出力パルス後に生起する後続の加工レーザ出力パルスの望ましいパルスエネルギーを提供するために十分な空洞エネルギー放電を生じさせる値に前記ダミーレーザ出力パルスの前記持続時間を設定すること、
前記加工レーザ出力パルス流内に前記ダミーレーザ出力パルスを包含させることを防止するために前記選択的な開閉制御を行うことを含む、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93581(P2013−93581A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−235972(P2012−235972)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【分割の表示】特願2007−543013(P2007−543013)の分割
【原出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】