説明

高カロリーの栄養補助食品

本発明は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源を含む栄養補助食品、並びに、その作製と個体における栄養欠乏を治療する上での使用とに関連した方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、全般には栄養補助食品、より詳細には、主要な、又は唯一のタンパク質源として乳タンパク質分離物を含む高カロリーの栄養補助食品に関する。さらに本発明は、そのような栄養補助食品を製造及び投与する方法にも関する。
【0002】
[背景技術]
個体のカロリー摂取は、3つの一般源、すなわちタンパク質、脂肪、及び炭水化物に由来する。個体の食餌中の各カロリー源の適切な比率は、例えば個体の年齢、身体活動の程度、個体が罹患している可能性のある何らかの疾患、障害又は状態など、いくつかの因子によって決まる。例えば、高齢の個体が必要とする、総カロリー及び脂肪に由来するカロリーは、若齢の個体に比べていずれも一般に少ない。
【0003】
栄養補助食品は、摂取される総カロリーを増やし、及び/又は個体の食餌中のタンパク質、脂肪及び炭水化物の比率を変化させるために開発されてきた。病態の個体は食欲が低下することがあるため、少なくした分量で十分な総カロリーを得ることが可能なカロリー含量の高い栄養補助食品から利益を得られると考えられる。
【0004】
特に、体重減少に悩まされている個体にとっては、高カロリーの栄養補助食品は有益と考えられる。体重減少を特徴とする、又は通常体重減少を伴う疾患、障害及び状態としては、例えば、神経性食欲不振症、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び筋肉減少症(加齢に伴う筋量の減少)などの消耗性疾患、慢性疾患、心理的障害及び身体的能力障害などの機能的制限、認知能力低下、並びに外傷が挙げられる。
【0005】
意図せずに体重が減少する場合の多くは、筋量の減少が関与している。このような場合、タンパク質及び/又はアミノ酸を高めの比率で含有する栄養補助食品は、新しい筋組織を作るための原材料を供給することから、特に有益であると考えられる。しかしながら、栄養補助食品の総カロリー含量及びタンパク質含量を両方とも増やすと、該補助食品の粘度が増す傾向がある。このことは、経口投与可能な補助食品及び経腸投与可能な補助食品のいずれにおいても問題となりかねない。加えて、タンパク質含量の高い補助食品は、不快なにおいを示す傾向もあり、経口投与可能な補助食品にとってはさらに問題となる。
【0006】
乳タンパク質は、高濃度の消化されやすいアミノ酸を供給するため、栄養補助食品中のタンパク質源として含めるのに理想的に適している。より具体的には、乳タンパク質は、吸収速度の遅いタンパク質(カゼイン)及び吸収速度の速いタンパク質(乳清)の両方を供給する。吸収速度の遅いカゼインタンパク質成分は、アミノ酸の濃度を過剰に高めずにタンパク質の分解を阻害することにより、食後のタンパク質の堆積を促進する。吸収速度の速い乳清タンパク質成分は、タンパク質の合成を刺激する。したがって、カゼイン及び乳清タンパク質の比率を調節すれば、特定の個体の必要性に合わせてタンパク質含量を調整することが可能である。例えば、乳清タンパク質の包含比率を高めれば筋組織の生成が促進され、筋組織の減少に悩まされている個体において特に有利であろう。
【0007】
上で説明したように、タンパク質含量が増えると、栄養補助食品の粘度が増す傾向がある。このことは、特に乳タンパク質、大豆タンパク質及びカゼイネートについて当てはまる。釜で加熱してしばらく保持する処理、高温短時間(HTST)処理、及び直接蒸気噴射(DSI)などの無菌処理、並びにレトルトでの超高温殺菌(UHT)単独施用など、該補助食品の粘度を低下させる試みでは補助食品の粘度を適切に低下させることができず、タンパク質の燃焼、粘度の上昇、粉っぽさなどの望ましくない食感、褐変、製品の分離及びパディング(padding)など、望ましくない結果を招いてきた。その結果、高タンパク質の栄養補助食品中では、大豆タンパク質及びカゼイネートなど、乳タンパク質以外のタンパク質源が使用され、カロリー含量が制限されてきた。しかしながら、このようなタンパク質源の使用には、重大な欠点が伴う。例えば、乳タンパク質と比較した場合、大豆タンパク質にはメチオニン、リジン及び分枝鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)が不足している。加えて、大豆タンパク質中のトリプシンインヒビターの存在により、その消化性、ひいてはその生体利用性が影響を受ける。結果的に、大豆タンパク質は、乳タンパク質に比べて低品質のタンパク質源であると一般にみなされている。
【0008】
キャノーラタンパク質は、動物の飼料として使用されヒトの摂取用には使用されていないが、その理由は摂取歴がないことである。キャノーラは、かつてナタネとして知られていた。ナタネは単胃の哺乳動物にとっては毒であるエルカ酸に富む。エルカ酸は、品種改良によりこの植物から除かれ、そのことがキャノーラ(「カナディアンオイル」という語句に由来する)の大規模な通年栽培につながった。ヒトによる摂取歴がなかったため、キャノーラ油の生産後に残された植物原料は動物用飼料に回された。最近、複数企業により、キャノーラ種子タンパク質のアミノ酸プロファイルは質が優れていることが立証されている。
【0009】
このようなことから、当技術分野では、上述した欠陥のない高品質のタンパク質源を含む高カロリーの栄養補助食品が必要とされている。
【0010】
[発明の概要]
本発明は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源を含む栄養補助食品、並びに、その作製と個体における栄養欠乏を治療する上での使用とに関連した方法を提供する。
【0011】
第一の態様では、本発明は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源と、脂肪源と、炭水化物源とを含み、カロリー含量が1ミリリットル当り約2.25から約3.25カロリーの間であり、粘度が約120センチポアズ未満である栄養補助食品を提供する。
【0012】
第二の態様では、本発明は、粘度が約120センチポアズ未満である液体の栄養補助食品を作製する方法を提供するが、この方法は、水と、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源とを包含する混合物を準備することと、その混合物を直接蒸気噴射(DSI)に供することと、その混合物をホモジナイズすることとを含む。
【0013】
第三の態様では、本発明は、個体における栄養欠乏を治療する方法を提供するが、この方法は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源と、脂肪源と、炭水化物源とを包含し、カロリー含量が1ミリリットル当り約2.25から約3.25カロリーの間であり、粘度が約100センチポアズ未満である栄養補助食品を個体に投与することを含む。
【0014】
本発明の例証的な態様は、本明細書に記載の問題と、論じてはいないが当業者には見出され得る他の問題とを解決するために設計されている。
【0015】
本発明のさまざまな特徴は、本発明の多様な実施形態を示す添付図面と併せて読むことにより、本発明の多様な態様についての上述の詳細な説明から、より容易に理解されよう。
【0016】
この図面は比率を正確に表したものでないことをことわっておく。この図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図したものであり、したがって本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0017】
[詳細な説明]
上に示したとおり、本発明は、主要な又は唯一のタンパク質源として乳タンパク質分離物を含む高カロリーの栄養補助食品を提供する。さらに本発明は、このような栄養補助食品を製造及び投与する方法も提供する。
【0018】
本明細書で使用する際、「治療」及び「治療する」という用語は、予防的又は防止的な治療と治癒的又は疾患修飾的な治療との両方を指し、疾患に罹患するリスクのある患者又は疾患に罹患したことが疑われる患者、並びに病態の患者又は疾患若しくは病状を有すると診断された患者の治療を包含する。また、「治療」及び「治療する」という用語は、疾患に罹患してはいないものの窒素平衡の異常、筋肉減少又は体重減少などの不健康な状態が生じやすいと思われる個体における健康の維持及び/又は促進も指す。したがって、「有効量」は、個体における疾患若しくは病状を治療する量、又はより一般的には、個体に栄養的、生理的若しくは医学的な利益をもたらす量である。加えて、本明細書ではヒトを指すために「個体」及び「患者」という用語を頻繁に使用しているが、本発明はそのように限定されているものではない。したがって、「個体」及び「患者」という用語は、体重減少などの病状を有しているか、又はそのリスクのある任意の哺乳動物を指す。
【0019】
乳タンパク質分離物の直接蒸気噴射(DSI)
驚くべきことに、直接蒸気噴射(DSI)を用いて乳タンパク質分離物を処理すると、乳タンパク質分離物の粘度が、栄養補助食品、特に経口投与可能な栄養補助食品中での使用に適したレベルまで低下することが見出された。DSIは、食品業界では1930年代初期から使用されている。したがって、その原理は当業者には公知であるはずなので、ここで詳述するつもりはない。
【0020】
話題を図に移すと、図1は、本発明の一実施形態による液体の栄養補助食品を作製する方法のフローチャートを示している。まず、ステップS1では、タンパク質スラリーを混合するが、このタンパク質スラリーは、水と、乳タンパク質分離物を包含するタンパク質源とを含む。一般的には、水は、華氏約120度から約190度の間、好ましくは華氏約125度から約175度の間、より好ましくは華氏約130度から約150度の間、さらにより好ましくは華氏約135度から約145度の間に加熱してから、タンパク質源と合わせる。タンパク質スラリーは、例えば、消泡剤、シトレート(複数可)、脂肪源、炭水化物源、乳化剤、ビタミン、ミネラル及び香味剤など、通常利用される他の成分を任意の数だけさらに含んでもよい。好ましくは、ステップS1のタンパク質スラリーは、少なくとも、加熱した水と、乳タンパク質分離物を包含するタンパク質源とを包含している。消泡剤を使用する場合は、それがステップS1のタンパク質スラリー中に包含されていることが好ましい。
【0021】
任意選択のステップS2では、通常利用されているがステップS1のタンパク質スラリー中には包含されていない成分、又はステップS1のタンパク質スラリー中に加えた成分の追加分量を、タンパク質スラリーに加えて混合する。上述のとおり、そのような成分としては、例えば、シトレート(複数可)、脂肪源、炭水化物源、乳化剤、ビタミン、ミネラル及び香味剤を挙げ得る。配合した成分に1種又は複数種のシトレートを加える場合は、それらは好ましくはステップS1又はS2の間に加える。
【0022】
ステップS3では、ステップS1及び場合によりステップS2の配合済成分を、直接蒸気噴射(DSI)に供する。好ましくは、本発明のDSIステップは、配合成分を約45秒間、華氏約250度に加熱してから真空チャンバー中で華氏約160度に瞬間冷却することを包含する。
【0023】
任意選択のステップS4では、ステップS1又はS2で加えていない成分、又はそうしたステップで加えた成分の追加分量を、配合済成分に加える。上述のとおり、そのような成分としては、例えば、脂肪源、炭水化物源、乳化剤、ビタミン、ミネラル及び香味剤を挙げ得る。脂肪源、炭水化物源又は乳化剤を加える場合は、それらは好ましくはステップS1又はS2又はS4の間に加える。
【0024】
ステップS5では、配合済成分をホモジナイズする。任意のホモジナイゼーション法を採用してよい。しかしながら、本発明の好ましいホモジナイゼーション法は、それぞれ約2500p.s.i.及び約500p.s.i.での2段階のホモジナイゼーションである。場合により、ステップS5は配合済成分の2回以上のホモジナイゼーションを包含してよい。
【0025】
任意選択のステップS6では、ステップS1、S2、又はS4で加えていない成分、又はそうしたステップで加えた成分の追加分量を、配合済成分に加える。上述のとおり、そのような成分としては、例えば、ビタミン、ミネラル及び香味剤を挙げることができる。
【0026】
任意選択のステップS7では、配合済成分を再びホモジナイズする。任意選択のステップS7のホモジナイゼーション法及び/又はパラメーターは、ステップS5のものと同じであっても異なっていてもよい。採用する場合は、ステップS7は、配合済成分を華氏約45度未満に冷却してからホモジナイゼーションすることを包含する。任意選択のステップS7を採用しない場合は、配合済成分は、ステップS5のホモジナイゼーションの後、又は任意選択のステップS6での追加成分の添加後に華氏約45度未満に冷却し得る。いずれの場合も、配合済成分は、場合により華氏約45度未満で最大約36時間維持してよい。
【0027】
最後に、配合済成分をステップS8での無菌処理、又はステップS9でのレトルト処理のいずれかに供する。ステップS8の無菌処理は、例えば、華氏約280度超の温度にして超高温(UHT)処理又はDSI処理してから無菌ホモジナイゼーションすることを包含する。その後、完成した補助食品を、ブリック(brik)、缶、瓶、又はその他当技術分野で公知のような任意の適切な容器に無菌充填することができる。
【0028】
ステップS9のレトルト処理は、例えば、完成した補助食品を缶、瓶、又はその他当技術分野で公知のような任意の適切な容器に充填し、その後無菌化のためにレトルト処理することを包含し得る。
【0029】
図1の方法に従って調製された補助食品は、乳タンパク質分離物を含有する公知の補助食品より粘度が低い。一般に、本発明に従って調製された補助食品の粘度は、約120センチポアズ未満、好ましくは約100センチポアズ未満、より好ましくは約50センチポアズから約90センチポアズの間、最も好ましくは約50センチポアズから約75センチポアズの間である。加えて、乳タンパク質分離物又は他のタンパク質源を製造工程の初期にDSIで処理すると、製造工程の残りの期間中に、配合済成分の粘度が大きく低下する。場合によっては、処理前の粘度が華氏50度で500から1000センチポアズも低下することがある。これにより、例えば、貯蔵タンクから最終的なホモジナイゼーション又は殺菌の現場への補助食品の送出など、製造工程の1段階から別の段階へ補助食品を容易に移動させることが可能になるため、このことは補助食品の大規模製造における大きな利点である。
【0030】
以下の実施例は、本発明による補助食品調製の、例証的で非限定的な方法である。
【0031】
実施例1
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質及び消泡剤を加え、混合する。
シトレート(複数可)を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
炭水化物及び脂肪/乳化剤を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiでホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0032】
実施例2
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
炭水化物及び脂肪/乳化剤を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiでホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0033】
実施例3
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、脂肪、乳化剤及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500でホモジナイズする。
炭水化物を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiでホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0034】
実施例4
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、脂肪、炭水化物、乳化剤及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500でホモジナイズする。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0035】
実施例5
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、炭水化物及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
脂肪及び乳化剤を加える。
2500/500でホモジナイズする。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0036】
実施例6
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、炭水化物、脂肪、乳化剤、ミネラル、数種のビタミン及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500でホモジナイズする。
ビタミン及び香味剤を加え、混合する。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
280°F超でUHT又はDSIしてから、殺菌ホモジナイズする。
ブリック、缶又は瓶に無菌充填する。
【0037】
実施例7
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質及び消泡剤を加え、混合する。
シトレート(複数可)を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
炭水化物及び脂肪/乳化剤を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiで2回ホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0038】
実施例8
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
炭水化物及び脂肪/乳化剤を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiで2回ホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0039】
実施例9
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、脂肪、乳化剤及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500でホモジナイズする。
炭水化物を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500psiでホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0040】
実施例10
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、脂肪、炭水化物、乳化剤及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500でホモジナイズする。
炭水化物を加え、混合する。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
2500/500でホモジナイズする。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0041】
実施例11
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、炭水化物及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
脂肪及び乳化剤を加える。
2500/500で2回ホモジナイズする。
ビタミン、ミネラル及び香味剤を加え、混合する。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0042】
実施例12
水を140〜180°Fに加熱する。タンパク質、炭水化物、脂肪、乳化剤、ミネラル、数種のビタミン及び消泡剤を加え、混合する。
250°Fで45秒間DSIしてから、真空チャンバー中で約160°Fに瞬間冷却する。
2500/500で2回ホモジナイズする。
ビタミン及び香味剤を加え、混合する。
45°F未満に冷却する。
製品は45°F未満で0〜36時間保存できる。
缶又は瓶に充填してから、レトルト処理する。
【0043】
高カロリーの栄養補助食品
本発明は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含し、経口投与に適した粘度のタンパク質源を含む栄養補助食品をさらに提供する。本発明による栄養補助食品は、上述の方法又は他の任意の方法によって作製できる。
【0044】
本発明による栄養補助食品は、一般に、カロリー面から見て密度が高く、1ミリリットル当り約2.25から約3.25カロリーの間を供給する。タンパク質源は、該補助食品の総カロリーの約10%から約22%の間を供給し、脂肪源は、該補助食品の総カロリーの約34%から約55%の間を供給し、炭水化物源は、該補助食品の総カロリーの約25%から約55%の間を供給する。
【0045】
表1は、本発明による栄養補助食品の典型的な成分範囲を示すものである。
【0046】
【表1】

【0047】
本発明による栄養補助食品は、主要な又は唯一のタンパク質源として乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含する。上述のように、本発明の方法によって調製すると、DSIが該補助食品の粘度を低下させるため、乳タンパク質分離物はタンパク質源として使用されることが可能であり、したがって公知の補助食品の不完全性は回避される。また、本発明による栄養補助食品は、全乳タンパク質、乳タンパク質濃縮物、大豆タンパク質分離物、乳清加水分解物及び遊離アミノ酸のうち1つ又は複数を、タンパク質源として包含してもよい。タンパク質源は、ADM製の、キャノーラ種子タンパク質由来の2S画分のスーパーテイン(Supertein)及び12S画分のプラテイン(Puratein)などのキャノーラ植物タンパク質を包含してもよい。タンパク質源は、分枝鎖アミノ酸(BCAA)(すなわちロイシン、イソロイシン及び/又はバリン)を、例えば、遊離BCAAとして、未処理タンパク質中で、ジペプチド、トリペプチド、分画タンパク質又は加水分解タンパク質として、栄養強化した形態(タンパク質分離物)で、及び/又は塩の形態で、というようにさまざまな任意の形態で包含してよい。同様に、BCAAは、上述の任意の組合せ中に包含されていてもよい。本発明の栄養補助食品中に包含される場合、BCAAは、好ましくは、アミノ態窒素源の重量の少なくとも約5%から約50%(すなわち、総アミノ酸の比率(%)、したがってタンパク質源の総カロリーの比率(%))、より好ましくは該重量の少なくとも約10%から約40%、さらにより好ましくは該重量の少なくとも約15%から約35%、最も好ましくは該重量の少なくとも約22%から約35%を構成する。
【0048】
また、本発明による栄養補助食品は、脂肪源(例えば、キャノーラ油、コーン油、綿実油、大豆油、大豆レシチン、高オレイン酸ヒマワリ油、ヒマワリ油、魚油、中鎖トリグリセリド(MCT)、高オレイン酸ベニバナ油、ベニバナ油、オリーブ油、ルリヂサ油、クロスグリ油、月見草油、アマニ油、パーム核油及びココナッツ油のうち1つ又は複数)をさらに含んでもよい。好ましくは、エイコサペンタエン酸(EPA)を約70%含む濃縮魚油、又はEPAを約45%及びドコサヘキサエン酸(DHA)を約10%含む油などの魚油を使用し得る。後者の油としては、例えば、Pronova biocareからEPAX(登録商標)4510の商品名で市販されているものが挙げられる。一実施形態では、本発明による組成物は、1食分当り約2.5gから約7.5gの間、より好ましくは約3.5gから約6.5gの間、さらにより好ましくは約4.5gから約5.5gの間、最も好ましくは約5.5gの魚油を包含する。このような組成物は、1食分当り約0.5gから約5gの間、好ましくは約1gから約4.5gの間、より好ましくは約1.5gから約4gの間、さらにより好ましくは約2gから約3.5gの間、さらにより好ましくは約2.5gから約3gの間のMCTを、代替的に又は同時に包含してもよい。典型的には、本発明による組成物は、1日当り5から6食分を投与してもよいが、1日当り2から3食分を投与してよい。
【0049】
上述の脂肪源の多くは、α−リノレン酸(LNA)、EPA及びDHAなどのn−3多価不飽和(ω−3)脂肪酸を、単独又は組み合わせた状態のいずれかで包含する。一実施形態では、本発明による組成物は、約0.5gから約3gの間のn−3多価不飽和脂肪酸、好ましくは約1.5gから約2gの間のn−3多価不飽和脂肪酸を供給する魚油を包含する。
【0050】
EPAは、例えば、1食分当り少なくとも約600mgから約2g、好ましくは1食分当り少なくとも約1.5gから約1.8gの量で、単独で存在させ得る。EPA及びDHAは、例えば、EPAが1食分当り約500mgから約1.5gの間、好ましくは約1.0gの量で存在し、一方DHAが1食分当り約250mgから約1.5gの間、好ましくは約500mgから約750mgの間、より好ましくは約650mgの量で存在する組合せで存在させ得る。一実施形態では、本発明による組成物は、約2:1、約1:2、又は約1.5:1の比率で、EPA及びDHAを両方とも包含する。
【0051】
別の実施形態では、本発明の組成物は、リノール酸などのn−6多価不飽和脂肪酸と、LNA、EPA及びDHAなど1種又は複数種のn−3多価不飽和脂肪酸との混合物を包含し得る。このようなn−6及びn−3多価不飽和酸は、例えば0.1:1.0から約1.0:0.1の間(例えば、0.2:1.0、0.5:1.0、0.8:1.0、1:1、1.2:1.0及び1.5:1.0、より好ましくは約1.1:1.0)の比率で存在させ得る。
【0052】
場合により、本発明による組成物は、一価不飽和脂肪酸(MUFA)を包含してもよい。そのようにして包含される場合、本発明による組成物は、好ましくは1食分当り約2gから約3.5gの間のMUFA、より好ましくは1食分当り約2.5gから約3gの間のMUFA及び1食分当り約3gから約6gの間の多価不飽和脂肪酸、より好ましくは1食分当り約4.5gから約5gの間の多価不飽和脂肪酸を包含する。
【0053】
また、本発明による栄養補助食品は、炭水化物源(例えば、糖、液体ショ糖、マルトデキストリン、固形コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、コーンシロップ、可溶性繊維、トレハロース、イソマルツロース及び果糖のうち1つ又は複数)をさらに含んでもよい。栄養密度の高い調合物として提供される場合、本発明による組成物は、代謝が持続しインスリン分泌応答が低下する結果が得られるように、好ましくは消化速度が遅い又は代謝速度が遅い糖を包含する。そのような糖の使用により、インスリン感受性を改善し、血液/血漿ブドウ糖濃度を低下させ、窒素平衡及び内因性タンパク質合成の改善などの代謝応答を改善し得る。適切な糖としては、例えば、イソマルト、イソマルツロース、トレハロース、D−タガトース、タピオカデキストリン及びスクロマルト(sucromalt)が挙げられる。
【0054】
また、本発明による栄養補助食品は、ビタミン(例えば、A、C、D、E、K、B6、B12、チアミン、リボフラビン、葉酸、パントテン酸、ビオチン及びコリンのうち1つ又は複数)及びミネラル(例えば、ナイアシン、カルシウム、鉄、マンガン、塩化物、リン、ヨウ素、マグネシウム、亜鉛、銅、ナトリウム、カリウム、クロム、モリブデン及びセレンのうち1つ又は複数)をさらに含んでもよい。
【0055】
乳タンパク質由来のペプチドは、降圧性及び抗血栓性など多様な生物活性特性を持つことが示されている。このようなペプチドは、ミネラル担体としても役立ち得る。カゼイン由来及び乳清由来のペプチドは両方とも、さらなる生理的及び/又は医学的利益を提供し得る。例えば、消化中にカゼインから遊離する数種のペプチドは、消化管運動を刺激し、消化管通過時間を延長し、止瀉作用を発揮し得る。このことは、疾患又は疾患治療が原因の体重減少に悩まされている個体には、特に有益であり得る。カゼインフォスフォペプチドは、リン酸カルシウムの沈殿を防止し、それにより小腸の内腔中の可溶性カルシウム濃度を上昇させることもできる。加えて、乳清タンパク質中の生物活性化合物及びアミノ酸は、免疫機能及び消化管の健康を改善することができ、また、抗酸化物質として機能することもできる。
【0056】
消化管の健康をさらに助長するものとして、本発明による組成物は、可溶性及び/又は不溶性繊維をさらに含んでもよい。繊維摂取量が増えると、通過時間の短縮、糞便重量の増加、糞便排出の改善、腸に対するバリア防御の改善(それにより、細菌が血流中に侵入するのを防ぐ)、短鎖脂肪酸(SCFA)の発酵及び産生の促進、腸管粘膜細胞にとってのエネルギー源、及び消化管の免疫細胞の刺激など、多数の利益がもたらされることが示されている。
【0057】
本発明の組成物に繊維を加えることは、さらなるカロリー及びタンパク質を必要とする個体、並びに、以下にさらに詳細を記載する「医薬パスプログラム(medication pass program)」で治療を受けている可能性のある個体にとって、特に有益であり得る。
【0058】
本発明の組成物中に包含するのに適切な繊維としては、不溶性繊維及び可溶性繊維が挙げられる。セルロース、数種のヘミセルロース及びリグニンなどの不溶性繊維は、水に全く溶けず、大腸中でほとんど発酵しない。こうした不溶性繊維は水を保持するその能力により、主に膨張性下剤としてその有益な効果を発揮する。不溶性繊維は、糞便量を増加させ、腸管を通る糞便の通過時間を短縮し、便秘症の防止又は緩和に役立つ。加えて、不溶性繊維は胆汁酸の分泌を増やし得る。セルロース及びヘミセルロースは野菜の柄及び葉、並びに種子の外皮中に見られ、一方リグニンは果実及び野菜の茎及び種子、並びに穀類のふすま層中で見られる。大豆、小麦ふすま及び他の全粒の穀類中でも、相当量の不溶性繊維が見られる。
【0059】
可溶性繊維は、水に溶け、大腸内で発酵する。発酵量は繊維の可溶性の度合、及び粒子の大きさに依存する。したがって、繊維の可溶性が増してその粒子の大きさが減少すれば、繊維はより迅速に、また完全に発酵する。可溶性繊維の有益な効果としては、胃内容排出の遅延、小腸内でのいくつかの栄養素の吸収遅延、及び血清コレステロール値の低下が挙げられる。可溶性繊維としては、ペクチン、ゴム、数種のヘミセルロース、サイリウム、グアーゴム、フルクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン及びガラクトオリゴ糖(GOS)が挙げられる。また、果実、野菜、並びに大麦及びオート麦などの穀類中でも相当量の可溶性繊維が見られる。
【0060】
発酵過程の間にSCFAが産生され、繊維によってもたらされる有益ないくつかの効果の原因になっていると考えられる。酢酸、プロピオン酸及び酪酸は、大腸内で産生されるSCFAの83%を構成している。SCFAは腸管粘膜により容易に吸収され、腸及び肝臓内で代謝されて、エネルギーを供給し、大腸でのナトリウム及び水の吸収を刺激し、腸の拡張を促進する。このような性質により、SCFAは、疾患、薬物及び腸の細菌汚染により引き起こされる下痢のリスク及び発生頻度を低下させると考えられる。酪酸は、大腸内の粘膜細胞にとって好ましいエネルギー源であり、血流中への細菌の侵入に対する主要なバリアである腸管粘膜を維持するために重要である。また、SCFAは健康な腸環境も促進する。SCFAは有害な細菌の増殖を阻害し、ビフィズス菌及び乳酸菌などの有益な細菌の増殖を刺激する。有益な細菌は、腸の健康の促進、免疫応答の刺激、及び、特に抗生物質療法期間中の有害な細菌の増殖の阻害など、消化管中でいくつか重要な機能を有している。細菌増殖及び発酵の刺激を通して、可溶性繊維は穏やかな緩下剤効果を有し、便秘症の防止又は緩和に役立つことができる。
【0061】
本発明により任意選択で使用するための他の繊維の数例は、ふすま及び種子に由来する繊維、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロース、リグニン、炭水化物(例えば、β−ガラクトオリゴ糖、α−ガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、フコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キシロオリゴ糖、シアリルオリゴ糖、N−糖タンパク質オリゴ糖、O−糖タンパク質オリゴ糖、糖脂質オリゴ糖、セロオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、ガラクトウロノ(galactourono)オリゴ糖、グルコウロノ(glucourono)オリゴ糖、β−グルカンオリゴ糖、アラビノキシロオリゴ糖、アラビノガラクトオリゴ糖、キシログルコオリゴ糖、ガラクトマンノオリゴ糖、ラムノオリゴ糖)、可溶性炭水化物又は糖類(例えば、フルクトース(フルクトサン)(fructo(os)ane)/イヌリン、ガラタン、フコイダン、アラビナ(arabina)、ジラン(zylan)、キサンタン、β−グルカン、ガラクツロナン、N−グリカン、O−グリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キシログルカン、アラビノガラクタン、アルギン酸、カラギーナン、ガラクトマンナン、アラビノキシラン、糖脂質グリカン、糖タンパク質グリカン、プロテオグリカン、貯蔵炭水化物、フルクタン、豆類由来のガラクトオリゴ糖、フコイダン、α−グルカン、ラミナリン、カラギーナン、マンナン、ガラクトマンナン、寒天、天然ゴム、糖タンパク質のN−グリコシド結合した炭水化物、糖脂質のグリカン、酵素的に調製した炭水化物(ガラクト−/グルコ−/キシロ−オリゴ糖)、細菌性の炭水化物(キサンタン)、オリゴ糖、ガラクト−/グルコ−(α1−2及びα1−3のブドウ糖残基由来)、キシロ−オリゴ糖、セルロース、ヘミセルロース(アラビアン、ガラクタン)、ペクチン、キチン、D−ブドウ糖、D−果糖、D−ガラクトース、D−マンノース、L−フコース、D−N−アセチルグルコサミン、D−N−アセチルガラクトサミン、D−キシロース、L−ラムノース、D−アラビノース、D−アロース、D−タロース、L−イドース、D−リボース、D−ガラクツロン酸、D−グルクロン及びD−マンヌロン酸である。
【0062】
以下の表2〜4は、本発明による栄養補助食品製剤の例証的な実施例を提供するものである。より高い、また、より低いカロリー値も可能であり本発明の範囲内であるが、示した製剤は、1mL当り2.25、2.5及び3.0カロリーの、高いカロリー値を有している。好ましくは、本発明による栄養補助食品は、1mL当り約2.25から約3.25カロリーの間のカロリー値を有する。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
上述のように、本発明による栄養補助食品は、概して120センチポアズ未満、好ましくは100センチポアズ未満、より好ましくは約50センチポアズから約90センチポアズの間、最も好ましくは約50センチポアズから約75センチポアズの間の粘度を有する。そのため、本発明による栄養補助食品は、経口又は経腸投与に適している。この栄養補助食品が経口投与可能な栄養補助食品である場合、該補助食品は1種又は複数種の香味剤をさらに包含することが好ましいと思われる。
【0067】
高カロリーの栄養補助食品を用いた栄養欠乏の治療
本発明は、乳タンパク質分離物及び/又はキャノーラ植物タンパク質を包含するタンパク質源と、脂肪源と、炭水化物源とを包含し、1ミリリットル当りのカロリー含量が約2.25から約3.25カロリーの間である栄養補助食品を個体に投与することを含む、個体における栄養欠乏を治療するための方法をさらに包含する。この栄養欠乏は、疾患、障害又は病状に伴うものであってよい。この栄養補助食品の投与は、経口又は経腸投与としてよい。
【0068】
本発明による治療に適した疾患、障害及び病状としては、例えば、神経性食欲不振症、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び筋肉減少症(加齢に伴う筋量の減少)などの消耗性疾患、慢性疾患、心理的障害及び身体的能力障害などの機能的制限、認知能力低下、並びに外傷が挙げられる。本発明の一実施形態で提供されるものなどの高カロリー、高タンパク質の栄養補助食品は、上述の状態及び他の状態に伴う筋肉減少を治療する上で特に有益である。
【0069】
上述のとおり、本発明による組成物は、少なくとも部分的に、分枝鎖アミノ酸(BCAA)から成るタンパク質源を包含し得る。BCAA、並びにインスリン及びインスリン様成長因子1(IGF−1)は、タンパク質分解誘導因子(PIF)が原因で生じるタンパク質分解を阻害することが示されている。結果として、証拠は、単独での、又はインスリン及びIGF−1のいずれか若しくは両方と組み合わせてのBCAAの治療的使用を支持している。加えて、報告によれば、PIFに誘導されるタンパク質分解は、エイコサペンタエン酸(EPA)によって減少した。また、BCAAは、PIF以外の因子が原因で生じるタンパク質分解を阻害することもでき、とりわけタンパク質分解の治療におけるBCAAの治療的使用がさらに支持され得る。驚くべきことに、各BCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)は、タンパク質分解の拮抗において等しく有効であることが見出された。こうした結果は、合成装置のアップレギュレーションによりタンパク質の合成を開始及び促進する特定のアミノ酸(例えば、ロイシン)の能力に焦点を絞った従来研究を考えると、特に興味深い。そのような研究の最終目的は、骨格筋の同化作用の向上であった。
【0070】
本発明による治療の方法は、医薬又は他の治療剤の投与をさらに包含し得る。一実施形態では、本発明による栄養補助食品は、1種又は複数種の医薬と併用して少量の栄養補助食品を個体に投与する「医薬パスプログラム」中に包含される。好ましい一実施形態では、そのような併用投与は定期的なもので、規則的に、少量の該栄養補助食品を供給する。そのような治療方法は、大量の食品又は栄養補助食品に対して敏感な個体、及びそのため栄養不良又は体重減少のリスクが高まっている個体にとって特に有益である。したがって、本発明による栄養補助食品を「医薬パスプログラム」の一部として投与することは、栄養補助食品及び医薬の両方の投与の遵守を促進し、体重維持及び/又は体重増加のためにカロリー及びタンパク質を供給し、外傷治癒に役立てるためにタンパク質を供給し、不適切な栄養摂取に伴う栄養欠乏を回避し、栄養不良及びそれに伴う合併症のリスクを低下させ、食欲を向上させ、早期満腹感を回避し、個体の総合的な食餌摂取の向上に役立ち得る。加えて、そのような投与により、投与不遵守に伴う無駄が減り、栄養不良及び体重減少に伴うコストが削減され得る。
【0071】
本発明の多様な態様についての上述の記載は、例証及び説明の目的で示したものである。開示内容と全く同じ形態に本発明を徹底又は制限することを意図してはおらず、当然ながら、多くの改変及び変形が可能である。当業者には自明と思われるそのような改変及び変形は、添付の請求の範囲により定義したとおりに、本発明の範囲内に包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による例証的な方法のフローチャートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳タンパク質分離物、又はキャノーラ植物タンパク質、又は乳タンパク質分離物及びキャノーラ植物タンパク質を含むタンパク質源と、
脂肪源と、
炭水化物源と
を含み、
カロリー含量が1ミリリットル当り約2.25から約3.25カロリーの間であり、粘度が約120センチポアズ未満であり、
但し、前記タンパク質源がカゼイネートを包含しない
栄養補助食品。
【請求項2】
前記脂肪源が、キャノーラ油、コーン油、綿実油、大豆油、大豆レシチン、高オレイン酸ヒマワリ油、ヒマワリ油、魚油、中鎖トリグリセリド、高オレイン酸ベニバナ油、ベニバナ油、パーム核油、オリーブ油、ルリヂサ油、クロスグリ油、月見草油、アマニ油及びココナッツ油のうち少なくとも1つを包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項3】
前記炭水化物源が、糖、液体ショ糖、マルトデキストリン、固形コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、コーンシロップ、可溶性繊維、トレハロース、イソマルツロース及び果糖のうち少なくとも1つを包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項4】
前記タンパク質源が乳タンパク質分離物である、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項5】
前記タンパク質源が、全乳タンパク質、乳タンパク質濃縮物、大豆タンパク質分離物、乳清加水分解物及び遊離アミノ酸のうち少なくとも1つをさらに包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項6】
前記タンパク質源がキャノーラ植物タンパク質である、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項7】
前記キャノーラ植物タンパク質が、キャノーラ種子タンパク質由来の2S画分、キャノーラ種子タンパク質由来の12S画分、又はその組合せのうち少なくとも1つを包含する、請求項6に記載の栄養補助食品。
【請求項8】
前記タンパク質源が、未処理タンパク質、遊離ペプチド、分画タンパク質、及びその組合せのうち少なくとも1つをさらに包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項9】
前記タンパク質源が、少なくとも1種の分枝鎖アミノ酸(BCAA)を包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項10】
前記少なくとも1種のBCAAが、未処理BCAA、部分的に加水分解されたBCAA、その塩、及びその組合せのうち少なくとも1つを包含する、請求項9に記載の栄養補助食品。
【請求項11】
前記少なくとも1種のBCAAが、好ましくは前記タンパク質のカロリーの約5〜50%を構成する、請求項9に記載の栄養補助食品。
【請求項12】
前記少なくとも1種のBCAAが、好ましくは前記タンパク質のカロリーの約10〜40%を構成する、請求項11に記載の栄養補助食品。
【請求項13】
前記少なくとも1種のBCAAが、好ましくは前記タンパク質のカロリーの約15〜35%を構成する、請求項11に記載の栄養補助食品。
【請求項14】
前記少なくとも1種のBCAAが、好ましくは前記タンパク質のカロリーの約22〜35%を構成する、請求項11に記載の栄養補助食品。
【請求項15】
前記タンパク質源が、前記補助食品のカロリー含量の約10%から約22%の間を供給する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項16】
前記脂肪源が、前記補助食品のカロリー含量の約34%から約55%の間を供給する、請求項15に記載の栄養補助食品。
【請求項17】
前記炭水化物源が、前記補助食品のカロリー含量の約25%から約55%の間を供給する、請求項15に記載の栄養補助食品。
【請求項18】
前記脂肪源が、α−リノレン酸(LNA)、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)から成る群から選択される少なくとも1種のn−3多価不飽和脂肪酸を包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項19】
前記脂肪源が、EPA及びDHAを約2:1の比率で包含する、請求項18に記載の栄養補助食品。
【請求項20】
前記脂肪源が、EPA及びDHAを約1:2の比率で包含する、請求項18に記載の栄養補助食品。
【請求項21】
前記脂肪源が、EPA及びDHAを約1.5:1の比率で包含する、請求項18に記載の栄養補助食品。
【請求項22】
前記脂肪源が、少なくとも1種のn−6多価不飽和脂肪酸をさらに包含する、請求項18に記載の栄養補助食品。
【請求項23】
前記脂肪源が、n−6多価不飽和脂肪酸及びn−3多価不飽和脂肪酸を約0.1:1.0から約1.0:0.1の間の比率で包含する、請求項22に記載の栄養補助食品。
【請求項24】
前記脂肪源が、少なくとも1種の一価不飽和脂肪酸をさらに包含する、請求項18に記載の栄養補助食品。
【請求項25】
A、C、D、E、K、B6、B12、チアミン、リボフラビン、葉酸、パントテン酸、ビオチン及びコリンから成る群から選択される少なくとも1種のビタミンをさらに含む、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項26】
ナイアシン、カルシウム、鉄、マンガン、塩化物、リン、ヨウ素、マグネシウム、亜鉛、銅、ナトリウム、カリウム、クロム、モリブデン及びセレンから成る群から選択される少なくとも1種のミネラルをさらに含む、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項27】
不溶性繊維及び可溶性繊維のうち少なくとも1つを包含する繊維源をさらに含む、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項28】
前記不溶性繊維及び可溶性繊維のうち少なくとも1つが、
セルロース;
キチン;
キトサン;
ヘミセルロース;
リグニン;
β−ガラクトオリゴ糖、α−ガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、フコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キシロオリゴ糖、シアリルオリゴ糖、N−糖タンパク質オリゴ糖、O−糖タンパク質オリゴ糖、糖脂質オリゴ糖、セロオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、ガラクトウロノオリゴ糖、グルコウルノオリゴ糖、β−グルカンオリゴ糖、アラビノキシロオリゴ糖、アラビノガラクトオリゴ糖、キシログルコオリゴ糖、ガラクトマンノオリゴ糖、ラムノオリゴ糖;
フルクトース(フルクトサン)/イヌリン、ガラタン、フコイダン、アラビナ、ジラン、キサンタン、β−グルカン、ガラクツロナン、N−グリカン、O−グリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キシログルカン、アラビノガラクタン、アルギン酸、カラギーナン、ガラクトマンナン、アラビノキシラン、糖脂質グリカン、糖タンパク質グリカン、プロテオグリカン、貯蔵炭水化物、フルクタン、豆類由来のガラクトオリゴ糖、フコイダン、α−グルカン、ラミナリン、カラギーナン、マンナン、ガラクトマンナン、寒天、天然ゴム、糖タンパク質のN−グリコシド結合した炭水化物、糖脂質のグリカン、ガラクト−/グルコ−/キシロ−オリゴ糖、細菌性の炭水化物、キサンタン、オリゴ糖、ガラクト−/グルコ−(α1−2及びα1−3のブドウ糖残基由来)、キシロ−オリゴ糖、ペクチン、キチン;
D−ブドウ糖:
D−果糖;
D−ガラクトース;
D−マンノース;
L−フコース:
D−N−アセチルグルコサミン;
D−N−アセチルガラクトサミン;
D−キシロース:
L−ラムノース;
D−アラビノース;
D−アロース;
D−タロース;
L−イドース;
D−リボース;
D−ガラクツロン酸;
D−グルクロン及び
D−マンヌロン酸
から成る群から選択される、請求項24に記載の栄養補助食品。
【請求項29】
前記炭水化物源が、イソマルト、イソマルツロース、トレハロース、D−タガトース、タピオカデキストリン及びスクロマルトのうち少なくとも1つを包含する、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項30】
香味剤をさらに含む、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項31】
粘度が約120センチポアズ未満である、請求項1に記載の栄養補助食品。
【請求項32】
粘度が約100センチポアズ未満である、請求項31に記載の栄養補助食品。
【請求項33】
粘度が約50センチポアズから約120センチポアズの間である、請求項31に記載の栄養補助食品。
【請求項34】
粘度が約50センチポアズから約90センチポアズの間である、請求項31に記載の栄養補助食品。
【請求項35】
粘度が約120センチポアズ未満である液体の栄養補助食品を作製する方法であって、
水と、乳タンパク質分離物を包含するタンパク質源とを包含する混合物を準備するステップと、
前記混合物を直接蒸気噴射(DSI)に供するステップと、
前記混合物をホモジナイズするステップと
を含む方法。
【請求項36】
前記混合物が、消泡剤、シトレート、脂肪源、炭水化物源、ビタミン、ミネラル及び香味剤のうち少なくとも1つをさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記水の温度が華氏約120から約190度の間である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記水の温度が華氏約125から約175度の間である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記水の温度が華氏約130から約150度の間である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記水の温度が華氏約135から約145度の間である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記DSIが、前記混合物を約45秒間、華氏約250度に加熱するステップを包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記DSIが、前記混合物を真空チャンバー中で華氏約160度に瞬間冷却するステップをさらに包含する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
シトレート、脂肪源、炭水化物源、ビタミン、ミネラル及び香味剤のうち少なくとも1つを前記混合物に添加するステップ
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記混合物を華氏約45度未満に冷却するステップ
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記混合物を華氏約280度超の温度に加熱するステップを包含する2回目のDSIに前記混合物を供するステップ
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
請求項1〜34のいずれかに記載のものから成る群から選択される前記栄養補助食品を個体に投与すること
を含む、個体における栄養欠乏を治療する方法。
【請求項47】
少なくとも1種の医薬を前記個体に投与すること
をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記栄養補助食品が経口投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記栄養補助食品が経腸投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記個体が、神経性食欲不振症、癌、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び筋肉減少症などの消耗性疾患、慢性疾患、心理的障害及び身体的能力障害などの機能的制限、認知能力低下並びに外傷のうち少なくとも1つに罹患している、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−529914(P2009−529914A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501404(P2009−501404)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/040628
【国際公開番号】WO2007/108827
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】