高出力マイクロ波支援化学技法のための反応及び温度制御
【解決手段】 マイクロ波支援化学反応を実行するための方法が開示されている。本方法は、マイクロ波透過容器内に反応物を配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、マイクロ波放射を空洞内で容器とその内容物に印加すると同時に容器を伝導によって外部的に冷却する段階を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的にはマイクロ波支援化学技法の分野に関しており、厳密には、比較的少量の反応物で実行される化学合成の様な、より高度な技法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波支援化学技法は、教育と商業の領域でほぼ確立されている。マイクロ波は、或る物質を加熱するのに幾つかの顕著な利点を有している。具体的には、マイクロ波が、極性分子又はイオン種を代表例とするマイクロ波の結合できる物質と相互作用すると、マイクロ波は、そのような種の中に、各種化学反応を開始又は加速できるだけのエネルギーを提供する大量の運動エネルギーを即時に作り出すことができる。マイクロ波は、所望の種と即座に反応することができるので周囲を加熱する必要がないという点で、伝導加熱に勝る利点を有している。
【0003】
「マイクロ波」という用語は、約1ミリメートル(1mm)から1メートル(1m)の間の波長を有する約300から300,000メガヘルツ(MHz)の電磁スペクトルの部分を指す。勿論これらは厳密な境界線ではないが、赤外線のの周波数より下、無線周波数より上に入ることで、マイクロ波を定量化する役に立つ。同様に、周波数と波長の間には逆比例の関係が確立されているので、マイクロ波の波長は、赤外線より長く、無線周波数より短い。
【0004】
マイクロ波は、その波長とエネルギーの故に、歴史的に比較的大量のサンプルを反応させるのに最も効果的に使用されてきた。言い替えると、大部分のマイクロ波の波長は、マイクロ波が印加されている空洞内に多重モードの状況を作り出す傾向がある。これは、数多くの種類の化学反応にとって不都合な点が殆ど又は全くないので、マイクロ波技法は、温浸又は乾燥損失含水量分析の様な反応に関して、商業的に巧く確立されている。
【0005】
しかしながら、マイクロ波は、少量の材料サンプルにはあまり上手く使われていない。化学技法の中には、化学反応を比例拡大するという明確な目標を有しているものもあるが、多くの実験室的及び研究的技法において、少量のサンプルで化学反応を実行することが必要又は有用であることも多い。例えば、或る種の化合物の入手性は、少量のサンプルに限定されることもある。反応物のコストのため、大量のサンプルを躊躇することもある。組み合わせ化学のような別の技法は、多数の少量のサンプルを使用して、相当量の情報を迅速に集め、結果を導き出して、例えば薬品化合物又はその有用な先駆物質に好適な候補というような所望の回答を提供する。
【0006】
別の型式のマイクロ波支援技法(例えば乾燥、温浸など)に適している、大きな多重モード空洞を備えたマイクロ波装置は、空洞内の出力密度が比較的低く、そのパターンが不均一なので、一般的に、少量の有機サンプルには適していない。
【0007】
従って、マイクロ波支援化学にもっと焦点を絞った取り組みの必要性が、そのための装置の改善に繋がっている。例えば、本発明の譲受人は、DISCOVERの商標(CEM社、ノースカロライナ州28106、マシューズ、スミスファームロード3100)で販売されている市販の装置で、少量のサンプル、及び化学合成の様な高度な反応に適している単一モードに焦点を絞ったマイクロ波装置を提供している。単一モード装置は、マサチューセッツ州ボストンのパーソナル化学社からもEMRYSTMの商標で入手可能である。
【0008】
しかしながら、このような単一モード装置の成功が、関連する問題を生み出している。具体的には、単一モード装置では出力密度が改良されているので、少量のサンプルを著しく加熱し、場合によっては望ましくない過熱を引き起こすこともある。
【0009】
従って、幾つかの潜在的な利点が実現されないまま残っている。例えば、化学合成では、特定の反応が開始、実行又は維持される温度が、反応の成功にとって重要である。温度が異なれば、生成物又は反応物が望ましくないほど劣化することもあるし、競争反応が所望又は意図している化合物以外の化合物を形成することもある。単一モードの器具は、或る材料を加熱するには非常に効率的で、この効率性が、場合によっては、合成反応物を過熱し、単一モード器具によってもたらされる利点を台無しにすることもある。言い換えれば、マイクロ波の印加は、反応物(及び、溶剤が用いられている場合は恐らくその溶剤)の混合平均温度ではなく反応の効率を制御する。従って、放射を受けている材料の混合平均温度を必要以上に上げることなく、多量のマイクロ波エネルギーを印加できれば、高い効率を得ることができる。従って、混合平均温度は、制御すべき因子ではあるが、マイクロ波を上手く使用した場合の副産物を表しており、要件を表しているわけではない。
【0010】
更に、大部分のマイクロ波温度制御は、マイクロ波装置のデューティサイクル(信号がオンである持続(時間)の、信号の合計期間に対する割合)を使って、即ち、反復を基本にして印加電力を切ったり入れたりすることによって行われることが多い。従って、多くの場合、マイクロ波装置は、「50%の電力」で実行するよう設定されていれば、印加電力(通常はワットWで表される)は同じに留まり、デューティサイクルの割合が低減し、即ち、サイクルの「オン」部分が減少し、「オフ」部分が増大する。そのようなマクロの制御は、大量のサンプルか、又は温浸及び水分量分析のような感度があまり高くない化学処理には適しているが、高度な化学反応を実行する場合や、実験室規模の有機合成技法で典型的な少量のサンプルを使用する場合には、極めて不十分である。
【0011】
電力を適度にして、その結果として二次的に温度を適度にするためのデューティサイクル技法は、多少非効率であるという欠点もある。言い換えれば、デューティサイクルが加減されると、分子は、マイクロ波放射で継続的ではなく断続的に励起されることになる。従って、分子は、特定のエネルギーレベルに維持されるか、又は継続する電力レベルに曝されるのではなく、マイクロ波励起状態と、通常又は基底状態との間で継続的に循環することになる。その結果、高度な反応を開始又は加速するために分子にエネルギーを加えるのにマイクロ波を使用するという利点が損なわれる。
【0012】
マイクロ波支援化学におけるデューティサイクルの性質及び状況的欠点についての更なる議論が、米国特許第6,288,379号に述べられている。具体的には、有用な背景の議論が、第1欄66行目から第2欄52行目に記載されている。
【0013】
このように、デューティサイクル技法は、欠点を有しており非効率だが、歴史的に、あらゆる種類の反応、特に高度な有機合成反応が、所望の温度以上で進行するのを防ぐのに利用できる唯一の方法であった。
【0014】
従って、或る種の反応には望ましくないか、又は致命的でさえある高い混合平均温度を生じることなく、マイクロ波と反応物の相互作用の利点を犠牲にすることなく、更に多量のマイクロ波エネルギーを印加できるマイクロ波技法が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第6,288,379号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、できるだけ頻繁にマイクロ波と反応物の相互作用の利点を犠牲にすることなく高度な有機合成反応の温度を制御できるだけの感度を保った、高感度なマイクロ波技法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、マイクロ波支援化学反応を実行する方法でこの目的を果たしており、当該方法は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、前記空洞内で前記容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加すると同時に、容器を外部的に冷却する段階と、から成る。
【0017】
別の態様では、本発明は、反応物をマイクロ波透過耐圧容器内に配置して容器を密閉する段階と、密閉容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、空洞内で容器とその内容物にマイクロ波放射を連続して印加すると同時に、容器又はその内容物の温度を監視しながら、密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階と、から成るマイクロ波支援化学反応を実行する方法である。
【0018】
更に別の態様では、本発明は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、容器又はその内容物の温度を監視する段階と、前記温度が所望の設定値に達するまで空洞内で容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加する段階と、温度を設定値に実質的に維持するために連続するマイクロ波放射を印加すると同時に容器とその内容物を外部的に冷却する段階と、から成るマイクロ波支援化学反応を実行する方法である。
【0019】
更に別の態様では、本発明は、容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使って容器内の反応物にエネルギーを印加すると同時に、容器の外側を流体と接触させることにより伝導によって容器を冷却する段階から成る、化学反応を特定の温度で実行する方法である。
【0020】
更に別の態様では、本発明は、容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して反応物を加熱する器具の容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、同時に伝導流体の流れを器具内の容器に対して提供することによって器具内の容器を冷却する段階と、同時に器具内の容器又はその内容物の温度を監視する段階と、加熱源を調整して、所望温度を、器具が容器に提供できる冷却容量に維持する段階と、から成る化学反応を実行する方法である。
【0021】
更に別の態様では、本発明は、マイクロ波支援化学反応を実行するための器具である。この態様では、本発明は、マイクロ波空洞と、空洞内のマイクロ波透過容器と、空洞内の容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、前記検出器により測定される温度が所望の設定値に達するまで、空洞内で容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加するための手段と、容器とその内容物を外部的に冷却しながら、同時に連続するマイクロ波放射を印加するための手段と、マイクロ波放射を印加しながら温度を実質的に設定値に維持するための手段と、を備えている。
【0022】
本発明の上記及びその他の目的と利点、及びそれらが実現される方法は、添付図面と関連付けて以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実行するための最良の形態】
【0023】
最も広範な態様では、本発明は、伝導加熱以外の加熱源を使って反応物又は容器内の反応物にエネルギーを加え、同時に、容器の外側を流体と接触させることによって伝導で容器を冷却することで、化学反応、特に特定の温度での複雑又は高感度の化学反応を実行する方法である。正味の結果は、熱伝導以外で相当量のエネルギーを加える能力を保持しながら、所望温度を維持するということである。
【0024】
厳密に言えば、「試薬」という用語は、Van Nostrand Reinhold社の「ホーリーの要約化学辞典」第12版(1993年)の語彙によれば「他の物質を検出、計測、検査又は分析するために反応に用いられる物質」のことであり、「反応物」という用語は、マグロヒル社のアクセスサイエンス(www.accesscience.com)によれば「別の物質と反応して、新しい物質(生成物)を生成する物質」のことである。これらの用語は、交換可能に用いられることも多いが、本明細書では適切に使用する。
【0025】
好適な実行形態では、エネルギーを加える段階は、容器と、反応物と、そして必ずというわけではないが溶剤と、を電磁放射線に曝す段階を含んでおり、この電磁放射線は、マイクロ波が最適であるが、マイクロ波、赤外線、スペクトルの可視部の放射線、及び、紫外線から成るグループから選択される。これらの電磁放射線のセットのそれぞれの性質と周波数は、よく知られているので、特に何かなければここでは詳細に論じない。
【0026】
この態様では、本方法は、空気の流れを器具から容器へ送り、伝導流体の流れを提供する段階を更に含んでいる。本明細書のどこかで論じるように、空気の流れは、ファン、圧縮空気の供給源、調整器、又は、加熱又は反応自体を妨害することのない他の適切な供給源から送ることができる。
【0027】
ここで「容器」という用語を使用しているが、本発明は、特定の寸法又は形状の密閉された又は密閉されていない容器に限定されるものではない。更に、容器という用語は、流れ過ぎるシステムを含め、反応物を取り扱うためのこの他の物理的な装置も含んでいる。
【0028】
より好適な実行形態では、方法は、器具内の容器又はその内容物の温度を監視し、同時に、加熱源を調整して器具が容器に提供できる冷却容量で所望の温度を維持する段階を更に含んでいる。温度は、同時に行われる加熱段階と冷却段階を妨害しない装置又は方法を使って、監視するのが望ましい。従って、好適な実行形態では、温度測定は、しばしば、光学的に、最も望ましくは赤外線(IR)温度センサーを使って実行される。赤外線センサーは、容器又はその内容物によって放出される放射線を測定するわけで容器と直接接触する必要が無いので、特に、反応物にエネルギーを供給するために掛ける周波数がIR以外である場合は、IRセンサーが有用である。従って、赤外線センサーは、電磁放射を妨害せず、通常は空気である流体の冷却流れを妨害しない場所に配置される。
【0029】
この様に、温度制御は、一定のやり方でマイクロ波放射線を印加しながら冷却を変えるか、又は、一定の冷却流れを提供しながらマイクロ波の印加を変えることによって実行することができる。
【0030】
別の態様では、本方法は、マイクロ波透過容器内に反応物を配置する段階を含んでおり、マイクロ波の印加前に密閉することのできる耐圧容器内に反応物を配置する段階を含んでいる可能性もあるが、必ずしも含んでいるわけではない。容器とその内容物をマイクロ波の空洞内に配置すると、連続する単一モードのマイクロ波放射が、空洞内で容器とその内容物に印加され、同時に外部的に容器が冷却される。
【0031】
周知の波動伝播の法則に従うマイクロ波の性質の故に、単一モードは、単一モードをサポートする形状寸法を有する空洞を設計することにより生成される場合が最も多い。ここでも用いており、この分野では一般的によく知られているように、「モード」という用語は、空洞内で可能な電磁界のパターンを指す。
【0032】
マイクロ波モードは、一般的に、TEn、l、m記号(磁界のTM)で表され、下付き文字は、伝播方向のヌルの数のことである。単一モードをサポートできる空洞については当該技術において説明されており、マイクロ波とその伝播に詳しい業者には広く理解されている。単一モードのマイクロ波放射を伝播するための代表的な空洞については、先に援用されている出願に記載されている。しかしながら、本発明は、単一モードの技法又は空洞に限定されるわけではない。
【0033】
連続するマイクロ波放射の印加は、米国特許第6,288,379号に記載の共鳴インバーター切替電力サプライを使って実現するのが望ましい。従って、「連続する」という用語は、ここでは、絶対的な意味ではなく説明的な意味で用いており、供給源を、60ヘルツを超える周波数で駆動しながら、供給源からの放射を印加することを指している。供給源は、600ヘルツを超える周波数で駆動すると更に望ましく、6,000ヘルツを超えると更に望ましく、10,000ヘルツと250,000ヘルツの間であれば最も望ましい。‘379号特許に記載されているように、これによって、50サイクル(欧州で一般的)又は60サイクル(米国の標準)の交流で作動する従来の装置よりも長い期間に亘ってより均一なレベルで電力を加えることができる。本発明の他の面と矛盾せず、マグネトロン、クライストロン又はガンダイオードのような半導体の供給源を一般的に備えている適切なマイクロ波供給源であれば、使用することができる。
【0034】
本方法は、様々なロボットによる搬送を使用して、反応物をマイクロ波透過容器内に配置し、更に容器と内容物をマイクロ波空洞内へ配置する段階を含んでいる。
本発明の目的の1つは、反応温度を注意深く制御することなので、容器とその内容物を冷却する段階は、一般的に、容器とその内容物を所望の温度に維持できるだけの速度(通常、単位時間又は所与の圧力当りの容積で測定する)で、空気の流れを容器に(容器の回りに)送る段階を含んでいる。約40℃から250℃の間の範囲で起きる典型的な有機反応では、空気の流れを、1平方インチ当り約1から80ポンド(psi)で送るか生成するのが適切であると分かっている。機能的な観点からすると、空気の流れは、望ましくないか又は不必要なバフェテイング又は他の機械的な問題を引き起こす恐れがあり、或いは混合平均温度を特定の反応計画又は別の目的に必要な値以下に下げる恐れのあるもの以下でも、冷却には十分である。
【0035】
本方法は、例えば、測定された温度に応じて空気流れの速度を変えることによって、冷却の速度と程度を変える段階も含んでおり、その段階は、マイクロ波を印加し、容器を外部的に冷却しながら実行するのが望ましい。
【0036】
別の態様では、本方法は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞へ配置する段階と、容器又はその内容物の温度を連続して監視する段階と、温度が所望の設定値に達するまで連続する単一モードのマイクロ波放射を空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に容器とその内容物を外部的に冷却して温度を実質的に設定値に維持する段階を含んでいる。最も好ましくは、冷却する段階は、流体供給源からの流体で容器を冷却する段階を含んでおり、マイクロ波放射を印加する段階は、温度を実質的に設定値に維持しながら、マイクロ波の出力を冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる。
【0037】
言い換えると、目標は、所望の設定値温度を超えないようにしながら、反応物に、できるだけ多くのマイクロ波出力(エネルギー)を印加することである。冷却システムの容量が、容器と反応物からどれほど多くの熱を伝達できるかの決定因子であるとすれば、マイクロ波出力は、マイクロ波器具に付帯する冷却装置の冷却容量と整合の取れたできるだけ高い状態に維持される。
【0038】
化学反応は複数の段階で実行することができ、多くの場合それが望ましいので、本方法は、反応の所望の時間又は段階で設定値を変える段階と、次いでマイクロ波放射を印加し、外部的に冷却して、温度を新しい設定値に到達させ維持する段階を再び実行する段階を含んでいる。
【0039】
この様に、本発明の方法は、熱的又は伝導的に加熱する反応とは対照的に、反応物(溶剤ではなく)に、所与の温度で高い反応速度を提供する。このことは、マイクロ波放射によって直接的に分子を加熱して過熱分子を作り出すことの結果である。そのエネルギーの内の幾らかは、勿論、溶液に伝達され、混合平均温度となって測定される。本発明は、冷却段階があるので、更に、混合平均温度を制御するために印加電力を積極的に抑えている従来型のマイクロ波技法に勝る利点を提供している。
【0040】
言い換えると、伝導加熱で始まり、維持される、150℃で実行される反応は、或る所与の速度で進む。同じ反応の温度がマイクロ波加熱を使ってを150℃に維持される場合は、直接分子加熱なので速度が速くなる。しかしながら、本発明を使えば更に良く、マイクロ波放射と順向冷却を使って150℃で実行される反応は、反応物に直接印加されるマイクロ波エネルギーを最大化する最高の機会を提供するので、速度が最高になる。
【0041】
マイクロ波放射とマイクロ波支援化学に詳しい人にはよく知られているように、マイクロ波周波数の範囲では、極性(又はイオン)分子は、急速に変化する電界に絶えず整列しようとする。この運動が混合平均熱を生成する。発生する混合平均温度は、感熱反応か、或いは、感熱反応物を使っているか又は感熱生成物を生成する反応が実行される場合は欠点となることもある。蛋白質は、高温に過剰に反応する傾向がある代表的な分子なので、本発明の冷却段階無しに、マイクロ波を使って穏やかに加熱するのは難しい。
【0042】
本発明の方法は、薬剤製品の開発のような複雑な有機合成で炭素―炭素結合を作る交差カップリング反応で、特に有用である。これには、当該技術で周知のヘック、カラーシ、ネギシ、スティル又はスズキの反応が含まれる。概して、ジアリール化合物は、数多くの触媒を使った交差カップリング反応によってハロゲン化アリール又はトリフラート及びアリールメタル試薬から合成され、例えば、グリニャール試薬(カラーシ反応)、アリール亜鉛試薬(ネギシ反応)、パラジウム触媒のビニール置換(ヘック反応)、アリールすず試薬(スティル反応)、アリールホウ素試薬(スズキ反応)、アリールシリル試薬などがそうである。
【0043】
例えば、ネギシ反応では、塩化アリールは、ハロゲン化亜鉛アリールと反応する。反応は、パラジウムを触媒にしてテトラヒドロフラン中で行われる。2つの競争反応が起こり得る。望ましくない競争反応では、ハロゲン化亜鉛アリールがそれ自体と置換するだけで二アリール分子ができる。代わりに、好適な反応では、ジハロゲン化亜鉛を副産物として、置換された二アリール化合物ができる。本発明の方法を使った比較試験では、2個の置換基を持つ芳香族化合物を生成した所望の反応は、冷却段階を伴わずに反応を実行したときよりも収量が多かった。これは、勿論、温度を制御して競争反応の進行を防いだ結果である。
【0044】
言い換えると、本発明は、熱駆動活性の競争反応ではなくマイクロ波活性反応錯合体を駆動して、従来の伝導加熱で行うには難しいと思われる方法で所望の反応を作り出す。
同様の利点が、ディールス・アルダー反応(即ち、不飽和カルボニル化合物と共役ジエンの反応)にも期待される。
【0045】
図面は、本発明の方法の段階を実行するのに適した好適な器具を示している。
図1は、本発明の方法を実行する目下の好適な実施形態の斜視図である。図1は、全体を10で表したマイクロ波空洞を示しており、この空洞は、同時係属中で先に援用した米国特許出願第‘914号、第‘628号、第‘838号及び第‘846号に記載され、請求されているのと同じ型式の空洞である。空洞の性質と器具全体の作動についてはこれらの出願で明確に述べられているので、空洞については、本発明を説明する以外は、ここで詳しく説明はしない。図1は、マイクロ波供給源が空洞10へと送るためにマイクロ波を伝播する導波管11の一部も示している。反応容器12は、援用した出願に記載されている方式で空洞10内に配置される。なお、図1では、反応容器12が明確な支持具無しでぶら下がっているように示しているが、実際には、上記出願に記載されている追加構造体(減衰器が望ましい)によって所定の位置に保持されている。
【0046】
好適な実施形態では、冷却段階は、空気であるのが望ましい冷却流体の流れを、冷却ノズル13から容器12の周囲に送ることによって実行される。冷却流体は、図示の管14を通って冷却ノズルに達するが、その流れはソレノイド15で制御される。本発明の方法の態様に関して述べたように、ソレノイドを制御して管14を通る流体の流れを制御し、冷却ノズル13から空洞10内へ流れ込み、反応バイアル12に向かう流体の冷却流量を調整するのに、適切なソフトウェアが用いられる。これらの要素全ての性質及び作動は、当該技術及び他の技術分野で良く知られており、本発明を説明する以外は、ここで詳しく論じる必要はない。
【0047】
図1に示す追加要素には、ソレノイド15と管14を、圧縮空気又は他の気体である冷却流体の供給源に接続する入口金具16が含まれている。管14は、金具17を介して冷却ノズル13に接続され、好適な実施形態では、冷却ノズルは、空洞10の下の排気ハウジング20内に配置されている。図1は、更に、本書の初めに言及したDISCOVERツールの或るバージョンである好適な実施形態では、マイクロ波空洞10が環状又は円筒形に形成されている部分を有しており、マイクロ波が導波管11から入る際に、通過して伝播する複数のスロット21を含んでいることを示している。図示の実施形態では、導波管11は、概ね長方形の形状であり、数個の垂直に配列された壁で形成されており、中で図1に示している最大の壁は壁22と23である。上部壁24と底壁25の部分も、図1に示している。空洞10の底部に隣接している円筒形ハウジング26については、援用した出願に詳細に記載されているが、赤外線温度測定装置のような温度感知装置用のハウジングとして概ね機能している。
【0048】
図2は、図1に示している好適な器具と同じ部分の断面図である。全要素が同じであり、同じ参照番号を付している。しかしながら、図2は、更に、冷却流体の流れの方向を示すのに役立つ矢印27を含んでいる。
【0049】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に従ってマイクロ波支援化学反応を実行するための器具である。この態様では、本発明は、マイクロ波空洞と、前記空洞内のマイクロ波透過容器と、空洞内の容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、前記検出器によって測定される温度が所望の設定値に達するまで、連続する単一モードマイクロ波放射を空洞内の容器とその内容物に印加するための手段と、連続するマイクロ波放射を印加しながら、同時に外部的に容器とその内容物を冷却するための手段と、マイクロ波放射を印加しながら温度を実質的に設定値に維持するための手段を備えている。
【0050】
図3は、これらの要素の幾つかを概略的に示しており、図1と図2を補足している。図3は、反応容器12(図1)が配置される空洞を、ここでも10で示している。マイクロ波放射の供給源30は、矢印31で示すように空洞10と連通している。この連通の経路は、概ね導波管11で形成されており、その一部を図1と図2に示している。温度検出器を32で示しており、好適な実施形態では、援用した出願に記載されているように赤外線温度検出器で構成されている。そこに述べているように、赤外線検出器は、供給源30から空洞10内に印加される周波数とは異なる周波数を検出するので、特に有用である。更に、赤外線検出器は、温度測定の対象部品と実際に物理的に接触する必要がない。適切な赤外線温度検出器は、市販されており、よく理解されており、相当に耐久性があるので、この用途に関する数多くの要件を満たしている。
【0051】
図3は、好適な実施形態では、本器具が、検出器32と信号交信(即ち、電気通信)しているプロセッサー33を更に備えていることも示している。図3は、データ記号34を使って、検出器32からプロセッサー33への温度情報の流れを示している。ここで使用している「プロセッサー」という用語は、インストラクションを記憶し、それを実行できる装置のことである。好適な実施形態では、プロセッサーは、半導体のマイクロプロセッサーであり、それらの性質と作動は、当該技術及び他の技術分野で広く理解されている。そのようなプロセッサーは、「CPU」(中央処理ユニット)とも呼ばれる。プロセッサーは、マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間及び設定値温度から成るグループから選択されたデータをプロセッサーに提供するために、入力装置(最も一般的なのはキーボード又はキーパッド)と交信可能になっているのが望ましい。
【0052】
図1と図2に関して述べたように、容器12とその内容物を冷却するための手段は、冷却流体の供給源と、供給源から空洞10への流体連通経路を備えているのが望ましい。図1と図2、及び図3に概略的に示しているように、流体連通経路は、図1に示され、図3では概略的に表されている管14を、冷却ノズル13及びフィッティング17と共に含んでいる。好適な実施形態では、器具は、更に、ソレノイド流量制御器15を含んでいる。図3に示すように、プロセッサー33は、流量ソレノイド15を制御して、代表的には空気である流体の、流体供給源35から空洞10への流れを穏やかにする。この様に、流量ソレノイド15はプロセッサー33と信号交信しており、プロセッサーは、温度検出器32とも信号交信している。この様にして、流量ソレノイド15は、プロセッサー33からの信号に応じて、流体供給源35から空洞10への流体の流れを穏やかにする。プロセッサー33から流量ソレノイド15への信号は、温度検出器32からプロセッサー33へ送られるデータ34に基づいている。プロセッサーは、適切な様式であれば、どの様にプログラムしても、或いは使用してもよく、図3は、先に述べたようにキーボード又はキーパッドの様な手動入力36の使用を図示している。
【0053】
図4は、プロセッサー33の論理系列を示す別の概略図である。図4も、空洞10と、流体(一般的には圧縮空気)の供給源35と、流体供給源35と空洞10の間の流量ソレノイド15と、温度検出器32を示している。プロセッサー33は、点線で囲まれた長方形で示されており、2つの決定ポイントと、処理容量と、入力装置36を含んでいる。第1の決定ポイントを40は、検出器32で測定された温度が所望の設定又は制御ポイントにあるか否かをプロセッサーが評価するポイントである。温度が制御ポイントにある場合、プロセッサーは行動を起こさない。温度が制御ポイントにない場合、プロセッサーは冷却アルゴリズム41を使用して流量ソレノイド15を制御し、供給源35からソレノイド15を通って空洞10に到る空気の流れを穏やかにする。同様の方法で、プロセッサーは、出力が決定の平行四辺形42で示している所望のレベルにあるか否かを評価する能力を有している。
【0054】
この方式で、本発明は、温度の設定値をプロセッサーに入力し、反応物に出力を印加する機能を提供する。反応物が設定温度に達すると、プロセッサーは、流量ソレノイド15を制御して冷却を開始するよう指示する。先にも述べたように、これによって、印加する出力を減らすか又はデューティサイクルのオフ部分を伸ばす以外のやり方で、温度制御が実行されるので、多量のマイクロ波出力を反応物に印加できるようになる。反応が完了すると(反応時間を事前設定してもよい)、プロセッサーは、容器とその内容物が、所望の低温、通常は室温又はその近くに達するまで冷却を継続するよう指示することができる。
【0055】
このような情報をこの型式のプロセッサーに提供するのに必要な性質及びインストラクションは、当該技術及び他の技術分野で広く良く知られており、当業者であれば、過度な実験無しで実施することができる。
【0056】
既に述べたように、この型式の制御システムは広く良く知られており、当該技術及び他の技術分野の当業者であれば、過度な実験無しで選択し実施することができる。様々な型式の制御システムに関する合理的な議論は、Dorfによる「電気工学の手引き」CRCプレスの第20版(1997年)、に記載されている。
【実施例】
【0057】
代表的なマイクロ波反応を、ノースカロライナ州マシュー、CEM社のCEM DISCOVERシステムの単一モードマイクロ波器具を使って実行した。全ての反応は、攪拌バーを備え、テフロン(登録商標)/シリコン隔壁で密閉した特別設計のパイレックス(登録商標)圧力管内で行なった。全ての気体クロマトグラム(GC)と質量スペクトル(MS)を、PerkinElmerオートシステムXL GC/ターボマスMSシステムを使って得た。2クロロピリジン、ヨウ化1−メチルフェニル亜鉛、フラン、及びジエチルアセチレン・ジカルボキシレートは、全てAldrichから購入し、受け取ったままを使用した。有機亜鉛のヨウ化物試薬は、確実に密閉されたビン入りのTHFの0.5M溶液であった。Pd(P(t−Bu)3)2は、Strem化学薬品社から購入し、受け取ったままを使用した。
【0058】
ネギシ反応:2―ο―トリルピリジンの調合。反応管内で、2−クロロピリジン(100mg、0.88mmol)、Pd(P(t−Bu)3)2(23mg、0.044mmol)及びヨウ化1−メチルフェニル亜鉛(2.7mL、1.3mmol)を反応管内で一体に混ぜ合わせた。管を密閉し、内容物を、50Wの出力、180℃で10分間(1分間のランプ時間を含まず)照射した。或る反応では、同時冷却を行なった。出力は、ゆっくりと5W刻みで75Wまで上げ、混合平均温度は約150℃に保った。未処理混合物をカラムクロマトグラフィ(10:1のヘキサン/EtOAc)で直ぐに精製し、淡黄色の液体を得た。これをGC/MSで分析した。この化合物のMSは、NIST MSライブラリー内のスペクトルと一致していた。この化合物は、以前に調合されていて、分光顕微鏡的に特徴付けられており、例えば、Dai、C;Fu、G.C.J.Am.Chem.Soc.2001、第123、2719−24頁参照。図5は、反応の概要を示している。
【0059】
ディールス・アルダー反応:1,2−ジカルボン酸ジエチルエステル−3、6―エポキシシクロヘキサ−1、4−ジエンの調合。フラン(100mg、0.11mL、1.5mmol)とジエチルアセチレン・ジカルボキシレート(250mg、0.24mL、1.5mmol)を反応管内で一つに混ぜ合わせた。反応は混入物無し、溶剤無しで行った。管を密閉し、内容物を、100Wの出力、200℃で5分間(5分間のランプ時間を含まず)照射した。或る反応では、同時冷却を行なった。出力は、ゆっくりと10W刻みで250Wまで上げ、混合平均温度は約120℃に保った。未処理混合物は、冷却した反応では暗赤色のオイルであり、冷却しなかった反応ではこげ茶色のタール状の物質であった。両方をGC/MSで分析した。この化合物のMSは、NIST MSライブラリー内のスペクトルと一致していた。図6は、この反応の概要を示している。
【0060】
図7から図16は、従来のマイクロ波技法と比較して、本発明の方法の成功を裏付ける実験結果を示している。図は、具体的な化合物のガスクロマトグラフのフラクションをプロットしたものか、又は質量スペクトルである。ガスクロマトグラフと質量分光測定の理論と作用は、当該技術では良く知られており、当業者であれば実施できるので、本発明を説明する以外は、特にここでは詳細に論じない。
【0061】
図7は、従来のマイクロ波加熱の下で(即ち、本発明の冷却段階無しで)上記ディールス・アルダー反応を実行した後に得られた化合物のガスクロマトグラフである。図7に示すディールス・アルダー反応では、温度は200℃に達したので(熱は、ディールス・アルダー反応で一般的に予測されている副産物である)、印加するマイクロ波出力を100ワットに制限した。
【0062】
図7では、横座標(x軸)は時間を示し、従って個々のピークは、各フラクションがコラムを出た時間を示している。縦軸(y軸)の尺度は任意で、100%が、その特定のサンプルの実行時にカラムから回収した最大のフラクションを示す。各ピークには2つの数字を標示しており、例えば、図7の最大ピークでは11.08と125である。最初の数字(11.08)は、その特定のフラクションの保持時間、即ち、フラクションがカラムを出た注入後の時間を分で表したものである。2番目の数字(125)は、クロマトグラフカラムを出るときに各フラクションで実施される質量スペクトルから得たもので、質量分光計がその特定のフラクションから検出する最大フラグメントの分子量を示している。図7では、11.08分のピークは、開始材料を示しており、16.28分のピークは所望の生成物、1、2−ジカルボキシ酸ジエチルエステル−3、6−エポキシシクロヘキサン−1、4−ジエンを示している。質量スペクトルは、対応するピークの化合物の識別を確認し、16.28分のピークが所望の生成物であることを具体的に確認している。従って、残りの全てのピークは、未反応の開始材料又は望ましくない副産物である。特に、14.40分でカラムを出る副産物のフラクション(二重置換されたフランであり、置換基はエチルエステルである)は、(図11に関して論じる積分で確認される)所望の生成物の量を僅かに上回る量であることに注目されたい。この様に、図7は、これらの化合物の間のディールス・アルダー反応を、マイクロ波放射の下で冷却を伴わずに実行すると、結果には、大量の未反応開始材料と、大量の副産物と、少なくとも開始材料と比べて比較的少量の収量の生成物が含まれることを示している。
【0063】
図8は、図7に示す16.28分で回収されたフラクションの質量スペクトルである。
図9は、図7のクロマトグラフで示したのと同じディールス・アルダー反応のガスクロマトグラフであるが、本発明の冷却段階を組み込んだものである。比較の第1点として、本発明を組み込んだディールス・アルダー反応を実行する際には、冷却によって、温度を、マイクロ波の出力を250ワットに上げることのできる約100℃から125℃の間に維持した。
【0064】
比較の別の点として、見れば即座に分かるように、図9のクロマトグラフは極めて明確で、獲られた支配的なフラクションは、図7でカラムを出たのと同じ(実験のばらつきを考慮して)時間にカラムを出る所望の生成物である。所望の生成物とそのフラクションは、開始材料より遙かに多量に存在しており反応からの収量が大きいことも観察できる。更に、他の副産物ピークが無いということは、反応が、本発明を組み込まずに行った場合よりも成功裏に所望の方式で進行したことを示している。
【0065】
図10は、図9の生成物ピークの質量スペクトルであり、ここでもフラクションが所望の生成物であったと確認できる。図10は、図8と比べて僅かに異なる分の数字が記してあるが、フラグメントのピークが同じ位置(分子量)になっていることがすぐに分かるので、各場合で所望の化合物の識別を確認できる。
【0066】
図11は、図7と図9のガスクロマトグラフの別のセットであるが、各クロマトグラフは2度複製されており、一度ピーク下の面積を積分している。従って、図11Aは、従来式で実行されたディールス・アルダー反応であり、ピーク下で積分された面積を示している。図11Bは、図11Aと同じであるが、積分していない。
【0067】
同じ方式で、図11Cは、図9と同じガスクロマトグラフであり、ピークを積分しており、図11Dは、図11Cと同じであるが、ピークを積分していない。
図11Aと11Cでは、ピークは3つの数字で識別される。最初の2つは前に述べたのと同じで、カラム内でのフラクションの保持時間と、質量スペクトルにおける支配的なフラクションの分子量である。3つ目の数字は、ピーク下の面積(単位は任意)である。従って、生成物、副産物、又は残っている開始材料でも、その収量は、そのピーク下の面積を全てのピーク下の合計面積で割れば得ることができる。こうすると、図11Aの積分結果は、本発明の冷却段階無しでマイクロ波加熱を使った場合の所望の生成物の収量(16.28分に出るフラクション)は、僅かに21%であることを示している。しかしながら、対照的に、図11Cは、本発明の方法を使えば、所望の生成物の収量が76%であることを示している。
【0068】
図12は、2―ο―トリルピリジンを形成するために2−クロロピリジンとヨウ化2−メチルフェニル亜鉛の間で実行したネギシ反応のガスクロマトグラフである。図12は、マイクロ波放射を使うが、冷却段階を使用しないで反応を実行したときのガスクロマトグラフを示している。そうすると、温度は、印加されるマイクロ波の出力を50ワット以下に維持する必要のある180℃の高さまで急激に上がる。図12では、17.43分にカラムを出るフラクション(支配的フラグメント重量168)が、所望の生成物を表している。6.9分に出るピークは2−クロロピリジン開始材料を表し、16.27分に出るフラクションを表すピークは、望ましくない2、2’−ジメチルビフェニール副産物を示している。望ましくない副産物を表す幾つかの他のピークも、図12のクロマトグラフに同様に存在する。従って、図12は、所望の生成物が最大のフラクションである反応を示してはいるが、その存在は、望ましくない副産物の量に、開始材料と他の望ましくない副産物の相当の量を加えたものと、ほぼ完全に匹敵している。
【0069】
図13は、図12に示す17.43分にカラムを出たフラクションの質量スペクトルであり、所望の2―ο―トリルピリジエン生成物の識別を確認している。
図14は、同じ開始材料を使って同じ所望の生成物を得る同じネギシ反応を示しているが、本発明の冷却方法を使って実行したものである。冷却によって、温度を150℃以下に維持することができ、それにより最大のマイクロ波出力を75ワットまで上げることができる。図14に示す反応の生成物は、僅かに異なるガスクロマトグラフのカラムを抜け出るので、保持時間は図12の場合と同様ではあるが同じではない。しかしながら、各フラクションにおける支配的なフラグメントに関係する分子量は同じままなので、同じ開始材料と副産物を識別することができる。従って、特徴的な9つのフラクションを備えた2−クロロピリジン開始材料は、図12の場合よりも遙かに少ない相対量で図14にも存在することが分かる。同様に、167で特徴的なフラグメントによる、望ましくない2,2’−ジメチルビフェニールの副産物は、他の副産物と同様に最小である。
【0070】
図15は、図14で19.29分に表されているカラムを出るフラクションの質量スペクトルであり、図13の場合のように、所望の生成物がそのフラクションであることが確認できる。
【0071】
図16は、図11に似ており、A−Dの4つの区分を含んでおり、その内の2つ(AとC)は、比較反応のための、ガスクロマトグラフのフラクションのピークの積分を含んでいる。従って、図16Aと図16Bは、マイクロ波放射を使って冷却無しで実行したネギシ反応のガスクロマトグラフの結果であり、図16Cと図16Dは、同じ反応を本発明の冷却段階を使って実行した場合を示している。図11の場合と同様に、各ピークは、3つの数字で特徴付けられており、1つ目は保持時間、2つ目は、質量分光学で求められたフラクションの支配的なフラグメントの分子量であり、3つ目は、任意の単位で表したピーク下の面積である。図11について説明したのと同じ分析を使うと、従来のマイクロ波技法を使った図16Aの所望の生成物の収量(17.43分のフラクション)は、36.5パーセントである。図16Cでは、本発明の方法を使っているので、収量は66パーセントである。
【0072】
これらの結果は、表のフォーマットに要約できる。
【表1】
【0073】
以上、図面と明細書で、本発明の好適実施形態について述べてきた。説明では特殊な用語を使用しているが、これらの用語は、包括的且つ説明的感覚で使用しており、限定を目的としてはおらず、本発明の範囲は特許請求の範囲に定義している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の器具の各部分の斜視図である。
【図2】図1に示す要素の断面図である。
【図3】本発明の器具の要素の概略相関図である。
【図4】本発明によるプロセッサーの作動の概略相関図である。
【図5】本発明の方法を使って実行された代表的なネギシ反応の反応概要である。
【図6】本発明の方法を使って実行された代表的なディールス・アルダー反応の反応概要である。
【図7】従来のようにフランとジエチルアセチレン・ジカルボキシレートとの間で架橋シクロヘキサジエンを形成するために実行されたディールス・アルダー反応のガスクロマトグラムである。
【図8】図7からの生成物ピークの質量スペクトルである。
【図9】同じディールス・アルダー反応のガスクロマトグラムであるが、本発明に従って実行されたものである。
【図10】図9の生成物ピークの質量スペクトルである。
【図11】図7及び図9に示すガスクロマトグラムの別のバージョンであるが、ピーク下の面積が収量を計算するため積分されている。
【図12】2クロロピリジンと2メチルフェニル亜鉛ヨウ化物の間で従来通り実行されたネギシ反応のガスクロマトグラムである。
【図13】図12の生成物ピーク質量スペクトルである。
【図14】本発明の方法を使って実行された同じネギシ反応のガスクロマトグラムである。
【図15】図14からの生成物ピーク/フラクションの質量スペクトルである。
【図16】図12と図14のガスクロマトグラムの別の複製であり、それぞれの一方が収量を計算するために積分されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的にはマイクロ波支援化学技法の分野に関しており、厳密には、比較的少量の反応物で実行される化学合成の様な、より高度な技法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波支援化学技法は、教育と商業の領域でほぼ確立されている。マイクロ波は、或る物質を加熱するのに幾つかの顕著な利点を有している。具体的には、マイクロ波が、極性分子又はイオン種を代表例とするマイクロ波の結合できる物質と相互作用すると、マイクロ波は、そのような種の中に、各種化学反応を開始又は加速できるだけのエネルギーを提供する大量の運動エネルギーを即時に作り出すことができる。マイクロ波は、所望の種と即座に反応することができるので周囲を加熱する必要がないという点で、伝導加熱に勝る利点を有している。
【0003】
「マイクロ波」という用語は、約1ミリメートル(1mm)から1メートル(1m)の間の波長を有する約300から300,000メガヘルツ(MHz)の電磁スペクトルの部分を指す。勿論これらは厳密な境界線ではないが、赤外線のの周波数より下、無線周波数より上に入ることで、マイクロ波を定量化する役に立つ。同様に、周波数と波長の間には逆比例の関係が確立されているので、マイクロ波の波長は、赤外線より長く、無線周波数より短い。
【0004】
マイクロ波は、その波長とエネルギーの故に、歴史的に比較的大量のサンプルを反応させるのに最も効果的に使用されてきた。言い替えると、大部分のマイクロ波の波長は、マイクロ波が印加されている空洞内に多重モードの状況を作り出す傾向がある。これは、数多くの種類の化学反応にとって不都合な点が殆ど又は全くないので、マイクロ波技法は、温浸又は乾燥損失含水量分析の様な反応に関して、商業的に巧く確立されている。
【0005】
しかしながら、マイクロ波は、少量の材料サンプルにはあまり上手く使われていない。化学技法の中には、化学反応を比例拡大するという明確な目標を有しているものもあるが、多くの実験室的及び研究的技法において、少量のサンプルで化学反応を実行することが必要又は有用であることも多い。例えば、或る種の化合物の入手性は、少量のサンプルに限定されることもある。反応物のコストのため、大量のサンプルを躊躇することもある。組み合わせ化学のような別の技法は、多数の少量のサンプルを使用して、相当量の情報を迅速に集め、結果を導き出して、例えば薬品化合物又はその有用な先駆物質に好適な候補というような所望の回答を提供する。
【0006】
別の型式のマイクロ波支援技法(例えば乾燥、温浸など)に適している、大きな多重モード空洞を備えたマイクロ波装置は、空洞内の出力密度が比較的低く、そのパターンが不均一なので、一般的に、少量の有機サンプルには適していない。
【0007】
従って、マイクロ波支援化学にもっと焦点を絞った取り組みの必要性が、そのための装置の改善に繋がっている。例えば、本発明の譲受人は、DISCOVERの商標(CEM社、ノースカロライナ州28106、マシューズ、スミスファームロード3100)で販売されている市販の装置で、少量のサンプル、及び化学合成の様な高度な反応に適している単一モードに焦点を絞ったマイクロ波装置を提供している。単一モード装置は、マサチューセッツ州ボストンのパーソナル化学社からもEMRYSTMの商標で入手可能である。
【0008】
しかしながら、このような単一モード装置の成功が、関連する問題を生み出している。具体的には、単一モード装置では出力密度が改良されているので、少量のサンプルを著しく加熱し、場合によっては望ましくない過熱を引き起こすこともある。
【0009】
従って、幾つかの潜在的な利点が実現されないまま残っている。例えば、化学合成では、特定の反応が開始、実行又は維持される温度が、反応の成功にとって重要である。温度が異なれば、生成物又は反応物が望ましくないほど劣化することもあるし、競争反応が所望又は意図している化合物以外の化合物を形成することもある。単一モードの器具は、或る材料を加熱するには非常に効率的で、この効率性が、場合によっては、合成反応物を過熱し、単一モード器具によってもたらされる利点を台無しにすることもある。言い換えれば、マイクロ波の印加は、反応物(及び、溶剤が用いられている場合は恐らくその溶剤)の混合平均温度ではなく反応の効率を制御する。従って、放射を受けている材料の混合平均温度を必要以上に上げることなく、多量のマイクロ波エネルギーを印加できれば、高い効率を得ることができる。従って、混合平均温度は、制御すべき因子ではあるが、マイクロ波を上手く使用した場合の副産物を表しており、要件を表しているわけではない。
【0010】
更に、大部分のマイクロ波温度制御は、マイクロ波装置のデューティサイクル(信号がオンである持続(時間)の、信号の合計期間に対する割合)を使って、即ち、反復を基本にして印加電力を切ったり入れたりすることによって行われることが多い。従って、多くの場合、マイクロ波装置は、「50%の電力」で実行するよう設定されていれば、印加電力(通常はワットWで表される)は同じに留まり、デューティサイクルの割合が低減し、即ち、サイクルの「オン」部分が減少し、「オフ」部分が増大する。そのようなマクロの制御は、大量のサンプルか、又は温浸及び水分量分析のような感度があまり高くない化学処理には適しているが、高度な化学反応を実行する場合や、実験室規模の有機合成技法で典型的な少量のサンプルを使用する場合には、極めて不十分である。
【0011】
電力を適度にして、その結果として二次的に温度を適度にするためのデューティサイクル技法は、多少非効率であるという欠点もある。言い換えれば、デューティサイクルが加減されると、分子は、マイクロ波放射で継続的ではなく断続的に励起されることになる。従って、分子は、特定のエネルギーレベルに維持されるか、又は継続する電力レベルに曝されるのではなく、マイクロ波励起状態と、通常又は基底状態との間で継続的に循環することになる。その結果、高度な反応を開始又は加速するために分子にエネルギーを加えるのにマイクロ波を使用するという利点が損なわれる。
【0012】
マイクロ波支援化学におけるデューティサイクルの性質及び状況的欠点についての更なる議論が、米国特許第6,288,379号に述べられている。具体的には、有用な背景の議論が、第1欄66行目から第2欄52行目に記載されている。
【0013】
このように、デューティサイクル技法は、欠点を有しており非効率だが、歴史的に、あらゆる種類の反応、特に高度な有機合成反応が、所望の温度以上で進行するのを防ぐのに利用できる唯一の方法であった。
【0014】
従って、或る種の反応には望ましくないか、又は致命的でさえある高い混合平均温度を生じることなく、マイクロ波と反応物の相互作用の利点を犠牲にすることなく、更に多量のマイクロ波エネルギーを印加できるマイクロ波技法が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第6,288,379号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、できるだけ頻繁にマイクロ波と反応物の相互作用の利点を犠牲にすることなく高度な有機合成反応の温度を制御できるだけの感度を保った、高感度なマイクロ波技法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、マイクロ波支援化学反応を実行する方法でこの目的を果たしており、当該方法は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、前記空洞内で前記容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加すると同時に、容器を外部的に冷却する段階と、から成る。
【0017】
別の態様では、本発明は、反応物をマイクロ波透過耐圧容器内に配置して容器を密閉する段階と、密閉容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、空洞内で容器とその内容物にマイクロ波放射を連続して印加すると同時に、容器又はその内容物の温度を監視しながら、密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階と、から成るマイクロ波支援化学反応を実行する方法である。
【0018】
更に別の態様では、本発明は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、容器又はその内容物の温度を監視する段階と、前記温度が所望の設定値に達するまで空洞内で容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加する段階と、温度を設定値に実質的に維持するために連続するマイクロ波放射を印加すると同時に容器とその内容物を外部的に冷却する段階と、から成るマイクロ波支援化学反応を実行する方法である。
【0019】
更に別の態様では、本発明は、容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使って容器内の反応物にエネルギーを印加すると同時に、容器の外側を流体と接触させることにより伝導によって容器を冷却する段階から成る、化学反応を特定の温度で実行する方法である。
【0020】
更に別の態様では、本発明は、容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して反応物を加熱する器具の容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、同時に伝導流体の流れを器具内の容器に対して提供することによって器具内の容器を冷却する段階と、同時に器具内の容器又はその内容物の温度を監視する段階と、加熱源を調整して、所望温度を、器具が容器に提供できる冷却容量に維持する段階と、から成る化学反応を実行する方法である。
【0021】
更に別の態様では、本発明は、マイクロ波支援化学反応を実行するための器具である。この態様では、本発明は、マイクロ波空洞と、空洞内のマイクロ波透過容器と、空洞内の容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、前記検出器により測定される温度が所望の設定値に達するまで、空洞内で容器とその内容物に連続する単一モードのマイクロ波放射を印加するための手段と、容器とその内容物を外部的に冷却しながら、同時に連続するマイクロ波放射を印加するための手段と、マイクロ波放射を印加しながら温度を実質的に設定値に維持するための手段と、を備えている。
【0022】
本発明の上記及びその他の目的と利点、及びそれらが実現される方法は、添付図面と関連付けて以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実行するための最良の形態】
【0023】
最も広範な態様では、本発明は、伝導加熱以外の加熱源を使って反応物又は容器内の反応物にエネルギーを加え、同時に、容器の外側を流体と接触させることによって伝導で容器を冷却することで、化学反応、特に特定の温度での複雑又は高感度の化学反応を実行する方法である。正味の結果は、熱伝導以外で相当量のエネルギーを加える能力を保持しながら、所望温度を維持するということである。
【0024】
厳密に言えば、「試薬」という用語は、Van Nostrand Reinhold社の「ホーリーの要約化学辞典」第12版(1993年)の語彙によれば「他の物質を検出、計測、検査又は分析するために反応に用いられる物質」のことであり、「反応物」という用語は、マグロヒル社のアクセスサイエンス(www.accesscience.com)によれば「別の物質と反応して、新しい物質(生成物)を生成する物質」のことである。これらの用語は、交換可能に用いられることも多いが、本明細書では適切に使用する。
【0025】
好適な実行形態では、エネルギーを加える段階は、容器と、反応物と、そして必ずというわけではないが溶剤と、を電磁放射線に曝す段階を含んでおり、この電磁放射線は、マイクロ波が最適であるが、マイクロ波、赤外線、スペクトルの可視部の放射線、及び、紫外線から成るグループから選択される。これらの電磁放射線のセットのそれぞれの性質と周波数は、よく知られているので、特に何かなければここでは詳細に論じない。
【0026】
この態様では、本方法は、空気の流れを器具から容器へ送り、伝導流体の流れを提供する段階を更に含んでいる。本明細書のどこかで論じるように、空気の流れは、ファン、圧縮空気の供給源、調整器、又は、加熱又は反応自体を妨害することのない他の適切な供給源から送ることができる。
【0027】
ここで「容器」という用語を使用しているが、本発明は、特定の寸法又は形状の密閉された又は密閉されていない容器に限定されるものではない。更に、容器という用語は、流れ過ぎるシステムを含め、反応物を取り扱うためのこの他の物理的な装置も含んでいる。
【0028】
より好適な実行形態では、方法は、器具内の容器又はその内容物の温度を監視し、同時に、加熱源を調整して器具が容器に提供できる冷却容量で所望の温度を維持する段階を更に含んでいる。温度は、同時に行われる加熱段階と冷却段階を妨害しない装置又は方法を使って、監視するのが望ましい。従って、好適な実行形態では、温度測定は、しばしば、光学的に、最も望ましくは赤外線(IR)温度センサーを使って実行される。赤外線センサーは、容器又はその内容物によって放出される放射線を測定するわけで容器と直接接触する必要が無いので、特に、反応物にエネルギーを供給するために掛ける周波数がIR以外である場合は、IRセンサーが有用である。従って、赤外線センサーは、電磁放射を妨害せず、通常は空気である流体の冷却流れを妨害しない場所に配置される。
【0029】
この様に、温度制御は、一定のやり方でマイクロ波放射線を印加しながら冷却を変えるか、又は、一定の冷却流れを提供しながらマイクロ波の印加を変えることによって実行することができる。
【0030】
別の態様では、本方法は、マイクロ波透過容器内に反応物を配置する段階を含んでおり、マイクロ波の印加前に密閉することのできる耐圧容器内に反応物を配置する段階を含んでいる可能性もあるが、必ずしも含んでいるわけではない。容器とその内容物をマイクロ波の空洞内に配置すると、連続する単一モードのマイクロ波放射が、空洞内で容器とその内容物に印加され、同時に外部的に容器が冷却される。
【0031】
周知の波動伝播の法則に従うマイクロ波の性質の故に、単一モードは、単一モードをサポートする形状寸法を有する空洞を設計することにより生成される場合が最も多い。ここでも用いており、この分野では一般的によく知られているように、「モード」という用語は、空洞内で可能な電磁界のパターンを指す。
【0032】
マイクロ波モードは、一般的に、TEn、l、m記号(磁界のTM)で表され、下付き文字は、伝播方向のヌルの数のことである。単一モードをサポートできる空洞については当該技術において説明されており、マイクロ波とその伝播に詳しい業者には広く理解されている。単一モードのマイクロ波放射を伝播するための代表的な空洞については、先に援用されている出願に記載されている。しかしながら、本発明は、単一モードの技法又は空洞に限定されるわけではない。
【0033】
連続するマイクロ波放射の印加は、米国特許第6,288,379号に記載の共鳴インバーター切替電力サプライを使って実現するのが望ましい。従って、「連続する」という用語は、ここでは、絶対的な意味ではなく説明的な意味で用いており、供給源を、60ヘルツを超える周波数で駆動しながら、供給源からの放射を印加することを指している。供給源は、600ヘルツを超える周波数で駆動すると更に望ましく、6,000ヘルツを超えると更に望ましく、10,000ヘルツと250,000ヘルツの間であれば最も望ましい。‘379号特許に記載されているように、これによって、50サイクル(欧州で一般的)又は60サイクル(米国の標準)の交流で作動する従来の装置よりも長い期間に亘ってより均一なレベルで電力を加えることができる。本発明の他の面と矛盾せず、マグネトロン、クライストロン又はガンダイオードのような半導体の供給源を一般的に備えている適切なマイクロ波供給源であれば、使用することができる。
【0034】
本方法は、様々なロボットによる搬送を使用して、反応物をマイクロ波透過容器内に配置し、更に容器と内容物をマイクロ波空洞内へ配置する段階を含んでいる。
本発明の目的の1つは、反応温度を注意深く制御することなので、容器とその内容物を冷却する段階は、一般的に、容器とその内容物を所望の温度に維持できるだけの速度(通常、単位時間又は所与の圧力当りの容積で測定する)で、空気の流れを容器に(容器の回りに)送る段階を含んでいる。約40℃から250℃の間の範囲で起きる典型的な有機反応では、空気の流れを、1平方インチ当り約1から80ポンド(psi)で送るか生成するのが適切であると分かっている。機能的な観点からすると、空気の流れは、望ましくないか又は不必要なバフェテイング又は他の機械的な問題を引き起こす恐れがあり、或いは混合平均温度を特定の反応計画又は別の目的に必要な値以下に下げる恐れのあるもの以下でも、冷却には十分である。
【0035】
本方法は、例えば、測定された温度に応じて空気流れの速度を変えることによって、冷却の速度と程度を変える段階も含んでおり、その段階は、マイクロ波を印加し、容器を外部的に冷却しながら実行するのが望ましい。
【0036】
別の態様では、本方法は、反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、容器とその内容物をマイクロ波空洞へ配置する段階と、容器又はその内容物の温度を連続して監視する段階と、温度が所望の設定値に達するまで連続する単一モードのマイクロ波放射を空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に容器とその内容物を外部的に冷却して温度を実質的に設定値に維持する段階を含んでいる。最も好ましくは、冷却する段階は、流体供給源からの流体で容器を冷却する段階を含んでおり、マイクロ波放射を印加する段階は、温度を実質的に設定値に維持しながら、マイクロ波の出力を冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる。
【0037】
言い換えると、目標は、所望の設定値温度を超えないようにしながら、反応物に、できるだけ多くのマイクロ波出力(エネルギー)を印加することである。冷却システムの容量が、容器と反応物からどれほど多くの熱を伝達できるかの決定因子であるとすれば、マイクロ波出力は、マイクロ波器具に付帯する冷却装置の冷却容量と整合の取れたできるだけ高い状態に維持される。
【0038】
化学反応は複数の段階で実行することができ、多くの場合それが望ましいので、本方法は、反応の所望の時間又は段階で設定値を変える段階と、次いでマイクロ波放射を印加し、外部的に冷却して、温度を新しい設定値に到達させ維持する段階を再び実行する段階を含んでいる。
【0039】
この様に、本発明の方法は、熱的又は伝導的に加熱する反応とは対照的に、反応物(溶剤ではなく)に、所与の温度で高い反応速度を提供する。このことは、マイクロ波放射によって直接的に分子を加熱して過熱分子を作り出すことの結果である。そのエネルギーの内の幾らかは、勿論、溶液に伝達され、混合平均温度となって測定される。本発明は、冷却段階があるので、更に、混合平均温度を制御するために印加電力を積極的に抑えている従来型のマイクロ波技法に勝る利点を提供している。
【0040】
言い換えると、伝導加熱で始まり、維持される、150℃で実行される反応は、或る所与の速度で進む。同じ反応の温度がマイクロ波加熱を使ってを150℃に維持される場合は、直接分子加熱なので速度が速くなる。しかしながら、本発明を使えば更に良く、マイクロ波放射と順向冷却を使って150℃で実行される反応は、反応物に直接印加されるマイクロ波エネルギーを最大化する最高の機会を提供するので、速度が最高になる。
【0041】
マイクロ波放射とマイクロ波支援化学に詳しい人にはよく知られているように、マイクロ波周波数の範囲では、極性(又はイオン)分子は、急速に変化する電界に絶えず整列しようとする。この運動が混合平均熱を生成する。発生する混合平均温度は、感熱反応か、或いは、感熱反応物を使っているか又は感熱生成物を生成する反応が実行される場合は欠点となることもある。蛋白質は、高温に過剰に反応する傾向がある代表的な分子なので、本発明の冷却段階無しに、マイクロ波を使って穏やかに加熱するのは難しい。
【0042】
本発明の方法は、薬剤製品の開発のような複雑な有機合成で炭素―炭素結合を作る交差カップリング反応で、特に有用である。これには、当該技術で周知のヘック、カラーシ、ネギシ、スティル又はスズキの反応が含まれる。概して、ジアリール化合物は、数多くの触媒を使った交差カップリング反応によってハロゲン化アリール又はトリフラート及びアリールメタル試薬から合成され、例えば、グリニャール試薬(カラーシ反応)、アリール亜鉛試薬(ネギシ反応)、パラジウム触媒のビニール置換(ヘック反応)、アリールすず試薬(スティル反応)、アリールホウ素試薬(スズキ反応)、アリールシリル試薬などがそうである。
【0043】
例えば、ネギシ反応では、塩化アリールは、ハロゲン化亜鉛アリールと反応する。反応は、パラジウムを触媒にしてテトラヒドロフラン中で行われる。2つの競争反応が起こり得る。望ましくない競争反応では、ハロゲン化亜鉛アリールがそれ自体と置換するだけで二アリール分子ができる。代わりに、好適な反応では、ジハロゲン化亜鉛を副産物として、置換された二アリール化合物ができる。本発明の方法を使った比較試験では、2個の置換基を持つ芳香族化合物を生成した所望の反応は、冷却段階を伴わずに反応を実行したときよりも収量が多かった。これは、勿論、温度を制御して競争反応の進行を防いだ結果である。
【0044】
言い換えると、本発明は、熱駆動活性の競争反応ではなくマイクロ波活性反応錯合体を駆動して、従来の伝導加熱で行うには難しいと思われる方法で所望の反応を作り出す。
同様の利点が、ディールス・アルダー反応(即ち、不飽和カルボニル化合物と共役ジエンの反応)にも期待される。
【0045】
図面は、本発明の方法の段階を実行するのに適した好適な器具を示している。
図1は、本発明の方法を実行する目下の好適な実施形態の斜視図である。図1は、全体を10で表したマイクロ波空洞を示しており、この空洞は、同時係属中で先に援用した米国特許出願第‘914号、第‘628号、第‘838号及び第‘846号に記載され、請求されているのと同じ型式の空洞である。空洞の性質と器具全体の作動についてはこれらの出願で明確に述べられているので、空洞については、本発明を説明する以外は、ここで詳しく説明はしない。図1は、マイクロ波供給源が空洞10へと送るためにマイクロ波を伝播する導波管11の一部も示している。反応容器12は、援用した出願に記載されている方式で空洞10内に配置される。なお、図1では、反応容器12が明確な支持具無しでぶら下がっているように示しているが、実際には、上記出願に記載されている追加構造体(減衰器が望ましい)によって所定の位置に保持されている。
【0046】
好適な実施形態では、冷却段階は、空気であるのが望ましい冷却流体の流れを、冷却ノズル13から容器12の周囲に送ることによって実行される。冷却流体は、図示の管14を通って冷却ノズルに達するが、その流れはソレノイド15で制御される。本発明の方法の態様に関して述べたように、ソレノイドを制御して管14を通る流体の流れを制御し、冷却ノズル13から空洞10内へ流れ込み、反応バイアル12に向かう流体の冷却流量を調整するのに、適切なソフトウェアが用いられる。これらの要素全ての性質及び作動は、当該技術及び他の技術分野で良く知られており、本発明を説明する以外は、ここで詳しく論じる必要はない。
【0047】
図1に示す追加要素には、ソレノイド15と管14を、圧縮空気又は他の気体である冷却流体の供給源に接続する入口金具16が含まれている。管14は、金具17を介して冷却ノズル13に接続され、好適な実施形態では、冷却ノズルは、空洞10の下の排気ハウジング20内に配置されている。図1は、更に、本書の初めに言及したDISCOVERツールの或るバージョンである好適な実施形態では、マイクロ波空洞10が環状又は円筒形に形成されている部分を有しており、マイクロ波が導波管11から入る際に、通過して伝播する複数のスロット21を含んでいることを示している。図示の実施形態では、導波管11は、概ね長方形の形状であり、数個の垂直に配列された壁で形成されており、中で図1に示している最大の壁は壁22と23である。上部壁24と底壁25の部分も、図1に示している。空洞10の底部に隣接している円筒形ハウジング26については、援用した出願に詳細に記載されているが、赤外線温度測定装置のような温度感知装置用のハウジングとして概ね機能している。
【0048】
図2は、図1に示している好適な器具と同じ部分の断面図である。全要素が同じであり、同じ参照番号を付している。しかしながら、図2は、更に、冷却流体の流れの方向を示すのに役立つ矢印27を含んでいる。
【0049】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に従ってマイクロ波支援化学反応を実行するための器具である。この態様では、本発明は、マイクロ波空洞と、前記空洞内のマイクロ波透過容器と、空洞内の容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、前記検出器によって測定される温度が所望の設定値に達するまで、連続する単一モードマイクロ波放射を空洞内の容器とその内容物に印加するための手段と、連続するマイクロ波放射を印加しながら、同時に外部的に容器とその内容物を冷却するための手段と、マイクロ波放射を印加しながら温度を実質的に設定値に維持するための手段を備えている。
【0050】
図3は、これらの要素の幾つかを概略的に示しており、図1と図2を補足している。図3は、反応容器12(図1)が配置される空洞を、ここでも10で示している。マイクロ波放射の供給源30は、矢印31で示すように空洞10と連通している。この連通の経路は、概ね導波管11で形成されており、その一部を図1と図2に示している。温度検出器を32で示しており、好適な実施形態では、援用した出願に記載されているように赤外線温度検出器で構成されている。そこに述べているように、赤外線検出器は、供給源30から空洞10内に印加される周波数とは異なる周波数を検出するので、特に有用である。更に、赤外線検出器は、温度測定の対象部品と実際に物理的に接触する必要がない。適切な赤外線温度検出器は、市販されており、よく理解されており、相当に耐久性があるので、この用途に関する数多くの要件を満たしている。
【0051】
図3は、好適な実施形態では、本器具が、検出器32と信号交信(即ち、電気通信)しているプロセッサー33を更に備えていることも示している。図3は、データ記号34を使って、検出器32からプロセッサー33への温度情報の流れを示している。ここで使用している「プロセッサー」という用語は、インストラクションを記憶し、それを実行できる装置のことである。好適な実施形態では、プロセッサーは、半導体のマイクロプロセッサーであり、それらの性質と作動は、当該技術及び他の技術分野で広く理解されている。そのようなプロセッサーは、「CPU」(中央処理ユニット)とも呼ばれる。プロセッサーは、マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間及び設定値温度から成るグループから選択されたデータをプロセッサーに提供するために、入力装置(最も一般的なのはキーボード又はキーパッド)と交信可能になっているのが望ましい。
【0052】
図1と図2に関して述べたように、容器12とその内容物を冷却するための手段は、冷却流体の供給源と、供給源から空洞10への流体連通経路を備えているのが望ましい。図1と図2、及び図3に概略的に示しているように、流体連通経路は、図1に示され、図3では概略的に表されている管14を、冷却ノズル13及びフィッティング17と共に含んでいる。好適な実施形態では、器具は、更に、ソレノイド流量制御器15を含んでいる。図3に示すように、プロセッサー33は、流量ソレノイド15を制御して、代表的には空気である流体の、流体供給源35から空洞10への流れを穏やかにする。この様に、流量ソレノイド15はプロセッサー33と信号交信しており、プロセッサーは、温度検出器32とも信号交信している。この様にして、流量ソレノイド15は、プロセッサー33からの信号に応じて、流体供給源35から空洞10への流体の流れを穏やかにする。プロセッサー33から流量ソレノイド15への信号は、温度検出器32からプロセッサー33へ送られるデータ34に基づいている。プロセッサーは、適切な様式であれば、どの様にプログラムしても、或いは使用してもよく、図3は、先に述べたようにキーボード又はキーパッドの様な手動入力36の使用を図示している。
【0053】
図4は、プロセッサー33の論理系列を示す別の概略図である。図4も、空洞10と、流体(一般的には圧縮空気)の供給源35と、流体供給源35と空洞10の間の流量ソレノイド15と、温度検出器32を示している。プロセッサー33は、点線で囲まれた長方形で示されており、2つの決定ポイントと、処理容量と、入力装置36を含んでいる。第1の決定ポイントを40は、検出器32で測定された温度が所望の設定又は制御ポイントにあるか否かをプロセッサーが評価するポイントである。温度が制御ポイントにある場合、プロセッサーは行動を起こさない。温度が制御ポイントにない場合、プロセッサーは冷却アルゴリズム41を使用して流量ソレノイド15を制御し、供給源35からソレノイド15を通って空洞10に到る空気の流れを穏やかにする。同様の方法で、プロセッサーは、出力が決定の平行四辺形42で示している所望のレベルにあるか否かを評価する能力を有している。
【0054】
この方式で、本発明は、温度の設定値をプロセッサーに入力し、反応物に出力を印加する機能を提供する。反応物が設定温度に達すると、プロセッサーは、流量ソレノイド15を制御して冷却を開始するよう指示する。先にも述べたように、これによって、印加する出力を減らすか又はデューティサイクルのオフ部分を伸ばす以外のやり方で、温度制御が実行されるので、多量のマイクロ波出力を反応物に印加できるようになる。反応が完了すると(反応時間を事前設定してもよい)、プロセッサーは、容器とその内容物が、所望の低温、通常は室温又はその近くに達するまで冷却を継続するよう指示することができる。
【0055】
このような情報をこの型式のプロセッサーに提供するのに必要な性質及びインストラクションは、当該技術及び他の技術分野で広く良く知られており、当業者であれば、過度な実験無しで実施することができる。
【0056】
既に述べたように、この型式の制御システムは広く良く知られており、当該技術及び他の技術分野の当業者であれば、過度な実験無しで選択し実施することができる。様々な型式の制御システムに関する合理的な議論は、Dorfによる「電気工学の手引き」CRCプレスの第20版(1997年)、に記載されている。
【実施例】
【0057】
代表的なマイクロ波反応を、ノースカロライナ州マシュー、CEM社のCEM DISCOVERシステムの単一モードマイクロ波器具を使って実行した。全ての反応は、攪拌バーを備え、テフロン(登録商標)/シリコン隔壁で密閉した特別設計のパイレックス(登録商標)圧力管内で行なった。全ての気体クロマトグラム(GC)と質量スペクトル(MS)を、PerkinElmerオートシステムXL GC/ターボマスMSシステムを使って得た。2クロロピリジン、ヨウ化1−メチルフェニル亜鉛、フラン、及びジエチルアセチレン・ジカルボキシレートは、全てAldrichから購入し、受け取ったままを使用した。有機亜鉛のヨウ化物試薬は、確実に密閉されたビン入りのTHFの0.5M溶液であった。Pd(P(t−Bu)3)2は、Strem化学薬品社から購入し、受け取ったままを使用した。
【0058】
ネギシ反応:2―ο―トリルピリジンの調合。反応管内で、2−クロロピリジン(100mg、0.88mmol)、Pd(P(t−Bu)3)2(23mg、0.044mmol)及びヨウ化1−メチルフェニル亜鉛(2.7mL、1.3mmol)を反応管内で一体に混ぜ合わせた。管を密閉し、内容物を、50Wの出力、180℃で10分間(1分間のランプ時間を含まず)照射した。或る反応では、同時冷却を行なった。出力は、ゆっくりと5W刻みで75Wまで上げ、混合平均温度は約150℃に保った。未処理混合物をカラムクロマトグラフィ(10:1のヘキサン/EtOAc)で直ぐに精製し、淡黄色の液体を得た。これをGC/MSで分析した。この化合物のMSは、NIST MSライブラリー内のスペクトルと一致していた。この化合物は、以前に調合されていて、分光顕微鏡的に特徴付けられており、例えば、Dai、C;Fu、G.C.J.Am.Chem.Soc.2001、第123、2719−24頁参照。図5は、反応の概要を示している。
【0059】
ディールス・アルダー反応:1,2−ジカルボン酸ジエチルエステル−3、6―エポキシシクロヘキサ−1、4−ジエンの調合。フラン(100mg、0.11mL、1.5mmol)とジエチルアセチレン・ジカルボキシレート(250mg、0.24mL、1.5mmol)を反応管内で一つに混ぜ合わせた。反応は混入物無し、溶剤無しで行った。管を密閉し、内容物を、100Wの出力、200℃で5分間(5分間のランプ時間を含まず)照射した。或る反応では、同時冷却を行なった。出力は、ゆっくりと10W刻みで250Wまで上げ、混合平均温度は約120℃に保った。未処理混合物は、冷却した反応では暗赤色のオイルであり、冷却しなかった反応ではこげ茶色のタール状の物質であった。両方をGC/MSで分析した。この化合物のMSは、NIST MSライブラリー内のスペクトルと一致していた。図6は、この反応の概要を示している。
【0060】
図7から図16は、従来のマイクロ波技法と比較して、本発明の方法の成功を裏付ける実験結果を示している。図は、具体的な化合物のガスクロマトグラフのフラクションをプロットしたものか、又は質量スペクトルである。ガスクロマトグラフと質量分光測定の理論と作用は、当該技術では良く知られており、当業者であれば実施できるので、本発明を説明する以外は、特にここでは詳細に論じない。
【0061】
図7は、従来のマイクロ波加熱の下で(即ち、本発明の冷却段階無しで)上記ディールス・アルダー反応を実行した後に得られた化合物のガスクロマトグラフである。図7に示すディールス・アルダー反応では、温度は200℃に達したので(熱は、ディールス・アルダー反応で一般的に予測されている副産物である)、印加するマイクロ波出力を100ワットに制限した。
【0062】
図7では、横座標(x軸)は時間を示し、従って個々のピークは、各フラクションがコラムを出た時間を示している。縦軸(y軸)の尺度は任意で、100%が、その特定のサンプルの実行時にカラムから回収した最大のフラクションを示す。各ピークには2つの数字を標示しており、例えば、図7の最大ピークでは11.08と125である。最初の数字(11.08)は、その特定のフラクションの保持時間、即ち、フラクションがカラムを出た注入後の時間を分で表したものである。2番目の数字(125)は、クロマトグラフカラムを出るときに各フラクションで実施される質量スペクトルから得たもので、質量分光計がその特定のフラクションから検出する最大フラグメントの分子量を示している。図7では、11.08分のピークは、開始材料を示しており、16.28分のピークは所望の生成物、1、2−ジカルボキシ酸ジエチルエステル−3、6−エポキシシクロヘキサン−1、4−ジエンを示している。質量スペクトルは、対応するピークの化合物の識別を確認し、16.28分のピークが所望の生成物であることを具体的に確認している。従って、残りの全てのピークは、未反応の開始材料又は望ましくない副産物である。特に、14.40分でカラムを出る副産物のフラクション(二重置換されたフランであり、置換基はエチルエステルである)は、(図11に関して論じる積分で確認される)所望の生成物の量を僅かに上回る量であることに注目されたい。この様に、図7は、これらの化合物の間のディールス・アルダー反応を、マイクロ波放射の下で冷却を伴わずに実行すると、結果には、大量の未反応開始材料と、大量の副産物と、少なくとも開始材料と比べて比較的少量の収量の生成物が含まれることを示している。
【0063】
図8は、図7に示す16.28分で回収されたフラクションの質量スペクトルである。
図9は、図7のクロマトグラフで示したのと同じディールス・アルダー反応のガスクロマトグラフであるが、本発明の冷却段階を組み込んだものである。比較の第1点として、本発明を組み込んだディールス・アルダー反応を実行する際には、冷却によって、温度を、マイクロ波の出力を250ワットに上げることのできる約100℃から125℃の間に維持した。
【0064】
比較の別の点として、見れば即座に分かるように、図9のクロマトグラフは極めて明確で、獲られた支配的なフラクションは、図7でカラムを出たのと同じ(実験のばらつきを考慮して)時間にカラムを出る所望の生成物である。所望の生成物とそのフラクションは、開始材料より遙かに多量に存在しており反応からの収量が大きいことも観察できる。更に、他の副産物ピークが無いということは、反応が、本発明を組み込まずに行った場合よりも成功裏に所望の方式で進行したことを示している。
【0065】
図10は、図9の生成物ピークの質量スペクトルであり、ここでもフラクションが所望の生成物であったと確認できる。図10は、図8と比べて僅かに異なる分の数字が記してあるが、フラグメントのピークが同じ位置(分子量)になっていることがすぐに分かるので、各場合で所望の化合物の識別を確認できる。
【0066】
図11は、図7と図9のガスクロマトグラフの別のセットであるが、各クロマトグラフは2度複製されており、一度ピーク下の面積を積分している。従って、図11Aは、従来式で実行されたディールス・アルダー反応であり、ピーク下で積分された面積を示している。図11Bは、図11Aと同じであるが、積分していない。
【0067】
同じ方式で、図11Cは、図9と同じガスクロマトグラフであり、ピークを積分しており、図11Dは、図11Cと同じであるが、ピークを積分していない。
図11Aと11Cでは、ピークは3つの数字で識別される。最初の2つは前に述べたのと同じで、カラム内でのフラクションの保持時間と、質量スペクトルにおける支配的なフラクションの分子量である。3つ目の数字は、ピーク下の面積(単位は任意)である。従って、生成物、副産物、又は残っている開始材料でも、その収量は、そのピーク下の面積を全てのピーク下の合計面積で割れば得ることができる。こうすると、図11Aの積分結果は、本発明の冷却段階無しでマイクロ波加熱を使った場合の所望の生成物の収量(16.28分に出るフラクション)は、僅かに21%であることを示している。しかしながら、対照的に、図11Cは、本発明の方法を使えば、所望の生成物の収量が76%であることを示している。
【0068】
図12は、2―ο―トリルピリジンを形成するために2−クロロピリジンとヨウ化2−メチルフェニル亜鉛の間で実行したネギシ反応のガスクロマトグラフである。図12は、マイクロ波放射を使うが、冷却段階を使用しないで反応を実行したときのガスクロマトグラフを示している。そうすると、温度は、印加されるマイクロ波の出力を50ワット以下に維持する必要のある180℃の高さまで急激に上がる。図12では、17.43分にカラムを出るフラクション(支配的フラグメント重量168)が、所望の生成物を表している。6.9分に出るピークは2−クロロピリジン開始材料を表し、16.27分に出るフラクションを表すピークは、望ましくない2、2’−ジメチルビフェニール副産物を示している。望ましくない副産物を表す幾つかの他のピークも、図12のクロマトグラフに同様に存在する。従って、図12は、所望の生成物が最大のフラクションである反応を示してはいるが、その存在は、望ましくない副産物の量に、開始材料と他の望ましくない副産物の相当の量を加えたものと、ほぼ完全に匹敵している。
【0069】
図13は、図12に示す17.43分にカラムを出たフラクションの質量スペクトルであり、所望の2―ο―トリルピリジエン生成物の識別を確認している。
図14は、同じ開始材料を使って同じ所望の生成物を得る同じネギシ反応を示しているが、本発明の冷却方法を使って実行したものである。冷却によって、温度を150℃以下に維持することができ、それにより最大のマイクロ波出力を75ワットまで上げることができる。図14に示す反応の生成物は、僅かに異なるガスクロマトグラフのカラムを抜け出るので、保持時間は図12の場合と同様ではあるが同じではない。しかしながら、各フラクションにおける支配的なフラグメントに関係する分子量は同じままなので、同じ開始材料と副産物を識別することができる。従って、特徴的な9つのフラクションを備えた2−クロロピリジン開始材料は、図12の場合よりも遙かに少ない相対量で図14にも存在することが分かる。同様に、167で特徴的なフラグメントによる、望ましくない2,2’−ジメチルビフェニールの副産物は、他の副産物と同様に最小である。
【0070】
図15は、図14で19.29分に表されているカラムを出るフラクションの質量スペクトルであり、図13の場合のように、所望の生成物がそのフラクションであることが確認できる。
【0071】
図16は、図11に似ており、A−Dの4つの区分を含んでおり、その内の2つ(AとC)は、比較反応のための、ガスクロマトグラフのフラクションのピークの積分を含んでいる。従って、図16Aと図16Bは、マイクロ波放射を使って冷却無しで実行したネギシ反応のガスクロマトグラフの結果であり、図16Cと図16Dは、同じ反応を本発明の冷却段階を使って実行した場合を示している。図11の場合と同様に、各ピークは、3つの数字で特徴付けられており、1つ目は保持時間、2つ目は、質量分光学で求められたフラクションの支配的なフラグメントの分子量であり、3つ目は、任意の単位で表したピーク下の面積である。図11について説明したのと同じ分析を使うと、従来のマイクロ波技法を使った図16Aの所望の生成物の収量(17.43分のフラクション)は、36.5パーセントである。図16Cでは、本発明の方法を使っているので、収量は66パーセントである。
【0072】
これらの結果は、表のフォーマットに要約できる。
【表1】
【0073】
以上、図面と明細書で、本発明の好適実施形態について述べてきた。説明では特殊な用語を使用しているが、これらの用語は、包括的且つ説明的感覚で使用しており、限定を目的としてはおらず、本発明の範囲は特許請求の範囲に定義している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の器具の各部分の斜視図である。
【図2】図1に示す要素の断面図である。
【図3】本発明の器具の要素の概略相関図である。
【図4】本発明によるプロセッサーの作動の概略相関図である。
【図5】本発明の方法を使って実行された代表的なネギシ反応の反応概要である。
【図6】本発明の方法を使って実行された代表的なディールス・アルダー反応の反応概要である。
【図7】従来のようにフランとジエチルアセチレン・ジカルボキシレートとの間で架橋シクロヘキサジエンを形成するために実行されたディールス・アルダー反応のガスクロマトグラムである。
【図8】図7からの生成物ピークの質量スペクトルである。
【図9】同じディールス・アルダー反応のガスクロマトグラムであるが、本発明に従って実行されたものである。
【図10】図9の生成物ピークの質量スペクトルである。
【図11】図7及び図9に示すガスクロマトグラムの別のバージョンであるが、ピーク下の面積が収量を計算するため積分されている。
【図12】2クロロピリジンと2メチルフェニル亜鉛ヨウ化物の間で従来通り実行されたネギシ反応のガスクロマトグラムである。
【図13】図12の生成物ピーク質量スペクトルである。
【図14】本発明の方法を使って実行された同じネギシ反応のガスクロマトグラムである。
【図15】図14からの生成物ピーク/フラクションの質量スペクトルである。
【図16】図12と図14のガスクロマトグラムの別の複製であり、それぞれの一方が収量を計算するために積分されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波支援化学反応を実行する方法において、
反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、
前記容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加すると同時に前記容器を外部的に冷却する段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記マイクロ波放射を印加する段階の前に前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器又はその内容物の温度を測定する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波透過耐圧容器を密閉する段階と、
マイクロ波放射を印加すると同時に前記密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階の間に前記容器の温度を監視する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連続するマイクロ波放射を印加する段階は、マイクロ波供給源からの放射を印加して、前記供給源を、約10,000ヘルツから250,000ヘルツの周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記容器を連続して冷却する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を、温度が所望の設定値に達するまで、前記空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、
連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却して温度を前記設定値に実質的に維持する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度を連続して監視する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記監視温度が指定された設定値に達すると、冷却段階を開始する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却段階は、前記容器を、流体供給源からの流体によって冷却する段階を含んでおり、
前記マイクロ波放射を印加する段階は、前記温度を実質的に設定値に維持しながら前記マイクロ波出力を前記冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
所望の設定値を変更する段階と、温度を新しい設定値にして維持するために、マイクロ波放射を印加し、且つ外部的に冷却する段階を実行する段階と、を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記容器とその内容物を前記マイクロ波空洞内に配置する段階は、前記容器のロボットによる搬送を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項14】
マグネトロン、クリストロン、及び半導体の供給源から成るグループから選択された供給源からのマイクロ波放射を印加する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項15】
前記容器とその内容物を冷却する段階は、空気の流れを、前記容器と内容物を所望の温度に維持できるだけの速度で前記容器の周りに送る段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項16】
前記空気の流れを断続的に送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定された温度に応じて前記空気の流れの速度を変える段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記空気の流れを、約1から80psiの間で送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、60ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項20】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、600ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項21】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、6000ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項22】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、約10,000から250,000ヘルツの間の周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項23】
化学反応を特定の温度で実行する方法において、
容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して、容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記容器を、前記容器の外側を流体と接触させることによる伝導によって冷却する段階と、から成る方法。
【請求項24】
前記容器又は前記反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して前記反応物を加熱する器具の中で、前記容器内の前記反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器を、伝導流体の流れを前記器具内の前記容器に対して提供することによって冷却する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
所望の温度を、前記器具が前記容器に提供できる冷却容量で維持するために、前記加熱源を調整する段階と、を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記容器と反応物を、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線から成るグループから選択された周波数を有する電磁放射に曝す段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記伝導流体の流れを提供する段階は、空気の流れを前記器具から前記容器に送る段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項27】
前記温度を監視する段階は、同時加熱及び冷却の段階を妨害することなく温度を監視する段階を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
マイクロ波支援化学反応を実行するための器具において、
マイクロ波空洞と、
前記空洞内のマイクロ波透過容器と、
前記空洞内の前記容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、
前記検出器により測定される温度が所望の設定値に達するまで、連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加するための手段と、
前記連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却するための手段と、
前記マイクロ波放射を印加しながら前記温度を実質的に前記設定値に維持するための手段と、を備えている器具。
【請求項29】
前記マイクロ波を印加する手段は、マイクロ波供給源と、前記供給源及び前記空洞と連通している導波管とを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項30】
前記温度を維持する手段は、前記検出器と信号交信しているプロセッサーを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項31】
前記冷却手段は、冷却流体の供給源と、前記供給源から前記空洞への流体連通経路とを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項32】
前記温度を維持する手段は、前記プロセッサーからの信号に応じて、前記供給源から前記空洞への流体の流れを緩和するために、前記プロセッサーと信号交信し、且つ前記流体供給源及び前記空洞と流体連通している流量制御器を更に含んでいる、請求項31に記載の器具。
【請求項33】
前記プロセッサーは、前記検出器からの温度データに応じて、前記流量制御器を制御する、請求項32に記載の器具。
【請求項34】
マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間、及び設定値温度から成るグループから選択されたデータを、前記プロセッサーに提供するための入力装置を含んでいる、請求項28に記載の器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波支援化学反応を実行する方法において、
反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、
前記容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加すると同時に前記容器を外部的に冷却する段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記マイクロ波放射を印加する段階の前に前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器又はその内容物の温度を測定する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波透過耐圧容器を密閉する段階と、
マイクロ波放射を印加すると同時に前記密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階の間に前記容器の温度を監視する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連続するマイクロ波放射を印加する段階は、マイクロ波供給源からの放射を印加して、前記供給源を、約10,000ヘルツから250,000ヘルツの周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記容器を連続して冷却する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を、温度が所望の設定値に達するまで、前記空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、
連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却して温度を前記設定値に実質的に維持する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度を連続して監視する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記監視温度が指定された設定値に達すると、冷却段階を開始する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却段階は、前記容器を、流体供給源からの流体によって冷却する段階を含んでおり、
前記マイクロ波放射を印加する段階は、前記温度を実質的に設定値に維持しながら前記マイクロ波出力を前記冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
所望の設定値を変更する段階と、温度を新しい設定値にして維持するために、マイクロ波放射を印加し、且つ外部的に冷却する段階を実行する段階と、を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記容器とその内容物を前記マイクロ波空洞内に配置する段階は、前記容器のロボットによる搬送を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項14】
マグネトロン、クリストロン、及び半導体の供給源から成るグループから選択された供給源からのマイクロ波放射を印加する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項15】
前記容器とその内容物を冷却する段階は、空気の流れを、前記容器と内容物を所望の温度に維持できるだけの速度で前記容器の周りに送る段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項16】
前記空気の流れを断続的に送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定された温度に応じて前記空気の流れの速度を変える段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記空気の流れを、約1から80psiの間で送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、60ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項20】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、600ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項21】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、6000ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項22】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、約10,000から250,000ヘルツの間の周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項23】
化学反応を特定の温度で実行する方法において、
容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して、容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記容器を、前記容器の外側を、前記器具から前記容器へ流れる空気の流れと接触させることによる伝導によって冷却する段階と、から成る方法。
【請求項24】
前記容器又は前記反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して前記反応物を加熱する器具の中で、前記容器内の前記反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器を、伝導流体の流れを前記器具内の前記容器に対して提供することによって冷却する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
所望の温度を、前記器具が前記容器に提供できる冷却容量で維持するために、前記加熱源を調整する段階と、を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記容器と反応物を、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線から成るグループから選択された周波数を有する電磁放射に曝す段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記温度を監視する段階は、同時加熱及び冷却の段階を妨害することなく温度を監視する段階を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
マイクロ波支援化学反応を実行するための器具において、
マイクロ波空洞と、
前記空洞内のマイクロ波透過容器と、
前記空洞内の前記容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、
前記検出器が所定の温度を測定するまで、連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加するための手段と、
前記連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却するための手段と、
前記マイクロ波放射を印加しながら前記温度を実質的に前記設定値に維持するための手段と、
前記検出器と信号交信しているプロセッサを備えている、前記マイクロ波放射を印加しながら前記所定の温度を維持するための手段と、を備えている器具。
【請求項28】
前記マイクロ波を印加する手段は、マイクロ波供給源と、前記供給源及び前記空洞と連通している導波管とを含んでいる、請求項27に記載の器具。
【請求項29】
前記冷却手段は、冷却流体の供給源と、前記供給源から前記空洞への流体連通経路とを含んでいる、請求項27に記載の器具。
【請求項30】
前記温度を維持する手段は、前記プロセッサーからの信号に応じて、前記供給源から前記空洞への流体の流れを緩和するために、前記プロセッサーと信号交信し、且つ前記流体供給源及び前記空洞と流体連通している流量制御器を更に含んでいる、請求項29に記載の器具。
【請求項31】
前記プロセッサーは、前記検出器からの温度データに応じて、前記流量制御器を制御する、請求項30に記載の器具。
【請求項32】
マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間、及び設定値温度から成るグループから選択されたデータを、前記プロセッサーに提供するための入力装置を含んでいる、請求項27に記載の器具。
【請求項1】
マイクロ波支援化学反応を実行する方法において、
反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、
前記容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加すると同時に前記容器を外部的に冷却する段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記マイクロ波放射を印加する段階の前に前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器又はその内容物の温度を測定する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波透過耐圧容器を密閉する段階と、
マイクロ波放射を印加すると同時に前記密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階の間に前記容器の温度を監視する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連続するマイクロ波放射を印加する段階は、マイクロ波供給源からの放射を印加して、前記供給源を、約10,000ヘルツから250,000ヘルツの周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記容器を連続して冷却する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を、温度が所望の設定値に達するまで、前記空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、
連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却して温度を前記設定値に実質的に維持する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度を連続して監視する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記監視温度が指定された設定値に達すると、冷却段階を開始する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却段階は、前記容器を、流体供給源からの流体によって冷却する段階を含んでおり、
前記マイクロ波放射を印加する段階は、前記温度を実質的に設定値に維持しながら前記マイクロ波出力を前記冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
所望の設定値を変更する段階と、温度を新しい設定値にして維持するために、マイクロ波放射を印加し、且つ外部的に冷却する段階を実行する段階と、を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記容器とその内容物を前記マイクロ波空洞内に配置する段階は、前記容器のロボットによる搬送を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項14】
マグネトロン、クリストロン、及び半導体の供給源から成るグループから選択された供給源からのマイクロ波放射を印加する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項15】
前記容器とその内容物を冷却する段階は、空気の流れを、前記容器と内容物を所望の温度に維持できるだけの速度で前記容器の周りに送る段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項16】
前記空気の流れを断続的に送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定された温度に応じて前記空気の流れの速度を変える段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記空気の流れを、約1から80psiの間で送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、60ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項20】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、600ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項21】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、6000ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項22】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、約10,000から250,000ヘルツの間の周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項23】
化学反応を特定の温度で実行する方法において、
容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して、容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記容器を、前記容器の外側を流体と接触させることによる伝導によって冷却する段階と、から成る方法。
【請求項24】
前記容器又は前記反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して前記反応物を加熱する器具の中で、前記容器内の前記反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器を、伝導流体の流れを前記器具内の前記容器に対して提供することによって冷却する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
所望の温度を、前記器具が前記容器に提供できる冷却容量で維持するために、前記加熱源を調整する段階と、を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記容器と反応物を、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線から成るグループから選択された周波数を有する電磁放射に曝す段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記伝導流体の流れを提供する段階は、空気の流れを前記器具から前記容器に送る段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項27】
前記温度を監視する段階は、同時加熱及び冷却の段階を妨害することなく温度を監視する段階を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
マイクロ波支援化学反応を実行するための器具において、
マイクロ波空洞と、
前記空洞内のマイクロ波透過容器と、
前記空洞内の前記容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、
前記検出器により測定される温度が所望の設定値に達するまで、連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加するための手段と、
前記連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却するための手段と、
前記マイクロ波放射を印加しながら前記温度を実質的に前記設定値に維持するための手段と、を備えている器具。
【請求項29】
前記マイクロ波を印加する手段は、マイクロ波供給源と、前記供給源及び前記空洞と連通している導波管とを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項30】
前記温度を維持する手段は、前記検出器と信号交信しているプロセッサーを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項31】
前記冷却手段は、冷却流体の供給源と、前記供給源から前記空洞への流体連通経路とを含んでいる、請求項28に記載の器具。
【請求項32】
前記温度を維持する手段は、前記プロセッサーからの信号に応じて、前記供給源から前記空洞への流体の流れを緩和するために、前記プロセッサーと信号交信し、且つ前記流体供給源及び前記空洞と流体連通している流量制御器を更に含んでいる、請求項31に記載の器具。
【請求項33】
前記プロセッサーは、前記検出器からの温度データに応じて、前記流量制御器を制御する、請求項32に記載の器具。
【請求項34】
マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間、及び設定値温度から成るグループから選択されたデータを、前記プロセッサーに提供するための入力装置を含んでいる、請求項28に記載の器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波支援化学反応を実行する方法において、
反応物をマイクロ波透過容器内に配置する段階と、
前記容器とその内容物をマイクロ波空洞内に配置する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加すると同時に前記容器を外部的に冷却する段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記マイクロ波放射を印加する段階の前に前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器又はその内容物の温度を測定する段階を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波透過耐圧容器を密閉する段階と、
マイクロ波放射を印加すると同時に前記密閉容器とその内容物を外部的に冷却する段階の間に前記容器の温度を監視する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
連続するマイクロ波放射を印加する段階は、マイクロ波供給源からの放射を印加して、前記供給源を、約10,000ヘルツから250,000ヘルツの周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記容器を連続して冷却する段階を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
連続する単一モードのマイクロ波放射を、温度が所望の設定値に達するまで、前記空洞内で容器とその内容物に印加する段階と、
連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却して温度を前記設定値に実質的に維持する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物を耐圧容器内に配置し、前記容器を密閉する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度を連続して監視する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記監視温度が指定された設定値に達すると、冷却段階を開始する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却段階は、前記容器を、流体供給源からの流体によって冷却する段階を含んでおり、
前記マイクロ波放射を印加する段階は、前記温度を実質的に設定値に維持しながら前記マイクロ波出力を前記冷却供給源の容量で最大化する段階を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
所望の設定値を変更する段階と、温度を新しい設定値にして維持するために、マイクロ波放射を印加し、且つ外部的に冷却する段階を実行する段階と、を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記容器とその内容物を前記マイクロ波空洞内に配置する段階は、前記容器のロボットによる搬送を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項14】
マグネトロン、クリストロン、及び半導体の供給源から成るグループから選択された供給源からのマイクロ波放射を印加する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項15】
前記容器とその内容物を冷却する段階は、空気の流れを、前記容器と内容物を所望の温度に維持できるだけの速度で前記容器の周りに送る段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項16】
前記空気の流れを断続的に送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定された温度に応じて前記空気の流れの速度を変える段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記空気の流れを、約1から80psiの間で送る段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、60ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項20】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、600ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項21】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、6000ヘルツより高い周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項22】
前記連続するマイクロ波放射を印加する段階は、供給源からの放射を印加し、前記供給源を、約10,000から250,000ヘルツの間の周波数で駆動する段階を含んでいる、請求項1、4又は7に記載の方法。
【請求項23】
化学反応を特定の温度で実行する方法において、
容器又は反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して、容器内の反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記容器を、前記容器の外側を、前記器具から前記容器へ流れる空気の流れと接触させることによる伝導によって冷却する段階と、から成る方法。
【請求項24】
前記容器又は前記反応物の伝導加熱以外の加熱源を使用して前記反応物を加熱する器具の中で、前記容器内の前記反応物にエネルギーを印加する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器を、伝導流体の流れを前記器具内の前記容器に対して提供することによって冷却する段階と、
同時に、前記器具内の前記容器又はその内容物の温度を監視する段階と、
所望の温度を、前記器具が前記容器に提供できる冷却容量で維持するために、前記加熱源を調整する段階と、を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記容器と反応物を、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線から成るグループから選択された周波数を有する電磁放射に曝す段階を含んでいる、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記温度を監視する段階は、同時加熱及び冷却の段階を妨害することなく温度を監視する段階を含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
マイクロ波支援化学反応を実行するための器具において、
マイクロ波空洞と、
前記空洞内のマイクロ波透過容器と、
前記空洞内の前記容器又はその内容物の温度を監視するための検出器と、
前記検出器が所定の温度を測定するまで、連続する単一モードのマイクロ波放射を前記空洞内で前記容器とその内容物に印加するための手段と、
前記連続するマイクロ波放射を印加しながら同時に前記容器とその内容物を外部的に冷却するための手段と、
前記マイクロ波放射を印加しながら前記温度を実質的に前記設定値に維持するための手段と、
前記検出器と信号交信しているプロセッサを備えている、前記マイクロ波放射を印加しながら前記所定の温度を維持するための手段と、を備えている器具。
【請求項28】
前記マイクロ波を印加する手段は、マイクロ波供給源と、前記供給源及び前記空洞と連通している導波管とを含んでいる、請求項27に記載の器具。
【請求項29】
前記冷却手段は、冷却流体の供給源と、前記供給源から前記空洞への流体連通経路とを含んでいる、請求項27に記載の器具。
【請求項30】
前記温度を維持する手段は、前記プロセッサーからの信号に応じて、前記供給源から前記空洞への流体の流れを緩和するために、前記プロセッサーと信号交信し、且つ前記流体供給源及び前記空洞と流体連通している流量制御器を更に含んでいる、請求項29に記載の器具。
【請求項31】
前記プロセッサーは、前記検出器からの温度データに応じて、前記流量制御器を制御する、請求項30に記載の器具。
【請求項32】
マイクロ波出力レベル、マイクロ波印加の持続時間、及び設定値温度から成るグループから選択されたデータを、前記プロセッサーに提供するための入力装置を含んでいる、請求項27に記載の器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−516104(P2006−516104A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−517543(P2004−517543)
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/014494
【国際公開番号】WO2004/002617
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(500119569)シーイーエム・コーポレーション (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/014494
【国際公開番号】WO2004/002617
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(500119569)シーイーエム・コーポレーション (16)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]