説明

高出力型三次元電池

【課題】容易に大型化(スケールアップ)が可能で、大型化により性能が低下することなく高出力が得られ、しかも、製造コスト、製作時間を低減することができる高出力型三次元電池を提供すること
【解決手段】
対向して設けられた正極集電体48と負極集電体50の間に、蛇腹状のセパレータ46が交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータ46と正極集電体48で区画される空間に電解液とともに正極活物質40の粉末又は成形体が装填され、蛇腹状のセパレータ46と負極集電体50で区画される空間に電解液とともに負極活物質42の粉末又は成形体が装填され、正極活物質40と負極活物質42とがセパレータ46を挟んで交互に組み込まれている
【選択図】図6

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状あるいは粒状、板状などに成形した活物質を充填して構成され、蛇腹状単位ユニットを基本とし、スケールアップが容易な高出力型三次元電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は高出力型三次元電池に関するものであり、本発明が解決しようとする課題は、次に説明するとおりである
【0003】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、容易に大型化が可能で、大型化により性能が低下することなく、高出力が得られる高出力型三次元電池を提供することにある。以下、上記課題を先行技術との比較において、順次説明する
【0004】
特許文献1には、活物質を粉体又は粒子にして構成した、いわゆる三次元電池が開示されており、特許文献2には、積層化された三次元電池が開示されており、粒子状活物質を充填して固定層とした三次元電池については、特許文献3および特許文献4に開示されている。
【0005】
一方、従来の構造の電池において、ニッケル水素二次電池の正極である水酸化ニッケルは電気伝導性がないので、電気伝導性のあるコバルト化合物で水酸化ニッケルの表面をコーティングした後、これを形状支持と電気伝導を目的として発泡ニッケルシートに塗り込み、アルカリ電解液中では発泡ニッケルシートと水酸化ニッケルの接着は不可能なので、外部からの物理的圧力により剥離を防止するようにしている。また、発泡ニッケルシートと水酸化ニッケルとの間の電気抵抗を下げるために、発泡ニッケルシートを薄くする必要があるので、水酸化ニッケルのペースト状のものを塗り込んだ1.1mm程度の発泡ニッケルシートを0.6mm程度に圧密している。また、イオン拡散をスムーズにするため、正極と負極はできるだけ近距離にする必要があるので、正極+セパレー夕+負極の電池構造が2mm以下となるようにしている。
【0006】
従来構造のニッケル水素二次電池において、上述の必要条件を満たした状態で大型化するためには、発泡ニッケルシートの厚みは同じとし、正極、負極の面積を大きくするしかなく、シート1枚当たりの面積を大きくするのも限度があるので、発泡ニッケルシートの枚数を増やして接続する方法をとっている。この場合、接続方法としては、導線(ニッケル板など)の溶接接続を行っているが、電気抵抗が増大するので、大型化した電池は性能が低下している。
【0007】
また、従来の乾電池の構造では、薄く圧密した平面状活物質シートをセパレータを挟んで巻物状として電池セルに装填している。例えば、ニッケル水素二次電池では、電池セルに直接接触している最外面の平面状活物質(ニッケル水素電池の場合は負極である水素吸蔵合金を塗り込んだシート)は集電体(電池セルが負極集電体と共用)との接触面積が大きいが、正極活物質(水酸化ニッケル)を塗り込んだシートは、微小な導線(ニッケル板など)と溶接し、さらに外部端子に溶接している。ここで問題になるのは、溶接部分が2カ所あることと、活物質と外部端子を接続している導線(ニッケル板など)の断面積が小さいことである。
【0008】
すなわち、溶接部分があることにより、電気抵抗の増大と製造コスト、製作時間の増大が発生する。また、活物質と外部端子を接続している導線(ニッケル板など)の断面積が小さいため、大電流を流したとき電気抵抗と発熱量の増大が避けられない。
【0009】
また、従来の産業用電池の構造は、例えば、ニッケルカドミウム二次電池では、薄く圧密した平面状活物質シートを、正極+セパレー夕+負極+セパレータ+正極+・・・と積層していき、それぞれの平面状活物質シートに微小な導線(ニッケル板など)を溶接して、正極は正極同士、負極は負極同士一つにまとめて、外部端子に溶接している。ここで問題になるのは、複数の平面状活物質シートを溶接して接続しているので、電気抵抗の増大と製造コスト、製作時間の増大が発生することである。
【0010】
単一型乾電池は良好な性能を持っているが、大容量の電池を必要とするとき、単一型電池を複数個並列又は直列に接続すると、外部端子の接触抵抗のため電圧が降下して、性能が低下したものしか得られない。また、産業用電池のように初めから大型の電池とした場合、上述したように、溶接接続の箇所が多いという基本的な構造上の問題があるので、高性能な電池は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
特許文献1 特許第3051401号明細書
特許文献2 国際公開第00/59062号パンフレット
特許文献3 特開2002−141101号公報
特許文献4 特開2002−141104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、容易に大型化(スケールアップ)が可能で、大型化により性能が低下することなく高出力が得られ、しかも、製造コスト、製作時間を低減することができる高出力型三次元電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の高出力型三次元電池は、対向して設けられた正極集電体と負極集電体の間に、蛇腹状のセパレータが交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータと正極集電体で区画される空間に電解液とともに正極活物質の粉末又は成形体が装填され、蛇腹状のセパレータと負極集電体で区画される空間に電解液とともに負極活物質の粉末又は成形体が装填され、正極活物質と負極活物質とがセパレータを挟んで交互に組み込まれた構成である。
【0014】
上記の構成において、蛇腹状のセパレータを挟んで交互に装填された少なくとも1つの正極活物質と少なくとも1つの負極活物質とからなる単位ユニットを、正極集電体と負極集電体の間に形成されるセルに並列に組み込むことで、高出力化を図ることができる。
【0015】
また、正極活物質と負極活物質をセパレータを挟んで蛇腹状に組み込んだ上記の電池を、隔壁を介して直列に積層して、高電圧を得ることができる。
【0016】
また、上記の単位ユニットを並列に組み込んだ電池を、隔壁を介して直列に積層して、高電圧を得ることができる。
【0017】
また、上記の構成においては、装填される正極活物質、負極活物質の形態として、粉末状、又は粒状、板状、ブロック状もしくは棒状の成形体、又は粒子をブロック状もしくは板状に二次成形したもの、又は粉末もしくは粒子をペースト状にしたものなどが用いられる。ペースト状にする場合は、粉末等を分散させる溶媒として、ポリビニルアルコール(PVA)等が使用可能である。
【0018】
また、上記の構成において、蛇腹状のセパレータを挟んで組み込んだ活物質の任意の箇所(表面及び内部)にイオン通過型集電体を設置することが好ましい。
【0019】
また、上記の構成において、蛇腹状のセパレー夕を挟んで組み込んだ活物質の表面の任意の面をイオン通過型集電体で被覆することが好ましい。この場合、活物質の表面をイオン通過型集電体で被覆して一体成形したものを使用することができる。
【0020】
イオン通過型集電体としては、内部に空隙があってイオンが通過し電気伝導性があるもの、例えば、発泡ニッケル金属、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル、エキスパンドメタル等の金属、ニッケルメッキしたウレタン等の発泡樹脂、ニッケルメッキしたポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、綿、カーポン繊維等の多孔質材料、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
【0021】
セパレータとしては、アルカリ電解液中で腐食など変質せず電気的絶縁が可能でイオンが通過するもの、例えば、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの織物や不織布又はメンブレンフィルター等が使用可能である。
【0022】
正極集電体、負極集電体としては、アルカリ電解液中で腐食など変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるもの、例えば、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄、ニッケルメッキしたステンレス鋼、ニッケルメッキした炭素等が使用可能である。
【0023】
隔壁としては、アルカリ電解液中で腐食など変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるもの、例えば、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄、ニッケルメッキしたステンレス鋼、ニッケルメッキした炭素等が使用可能である。
【0024】
活物質としては、電池反応を起こす材料に導電性フィラーと樹脂を加えて硬化させたものが使用できる。
【0025】
活物質の材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることができる。一例として、ニッケル水素二次電池の正極活物質である水酸化ニッケル、同じく負極活物質である水素吸蔵合金などが用いられる。
【0026】
導電性フィラーとしては、炭素繊維、炭素繊維にニッケルメッキしたもの、炭素粒子、炭素粒子にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの、繊維状ニッケル、ニッケル粒子、ニッケル箔を単独又は組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、活物質に加える樹脂としては、軟化温度120℃までの熱可塑性樹脂、硬化温度が常温から120℃までの樹脂、蒸発温度120℃以下の溶剤に溶解する樹脂、水に可溶な溶剤に溶解する樹脂、又はアルコールに可溶な溶剤に溶解する樹脂を用いることができる。例えば、活物質として水酸化ニッケルを使用する場合は、130℃以上でその活性を失うため、130℃未満で各種処理を行うことが必要である。また、活物質をアルカリ電解液中で使用するため耐アルカリ性が必要である。
【0028】
軟化温度120℃までの熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)などが使用可能である。硬化温度が常温から120℃までの樹脂としては、反応硬化型樹脂(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、熱硬化型樹脂(フェノール樹脂など)などが使用可能である。蒸発温度120℃以下の溶剤に溶解する樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂が使用可能である。溶剤に可溶性の樹脂は、溶剤に溶解させて活物質材料に添加し、その溶剤を蒸発、抽出などで除去する方法で使用する。また、水に可溶で抽出可能な溶剤に溶解する樹脂としては、ポリエーテルスルフオン(PES)樹脂、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフツ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド等が使用できる。また、アルコールに可溶で抽出可能な溶剤に溶解する樹脂としては、酢酸セルロース、オキサイドフェニレンエーテル(PPO)等が使用できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上記のように構成されているので、次のような効果を奏する
(1) 正極活物質と負極活物質をセパレータを挟んで蛇腹状に配置することにより、正極活物質と負極活物質の距離が近くなるので、電子の移動距離が短くなって高出力が得られ、かつ、イオンの拡散距離が短くなって良好なイオン拡散が得られる。また、過充電などにより活物質から気体が発生した場合は、気体がその反対極へ移動して消費されやすいので、密閉化が容易である。
(2) 正極活物質、負極活物質それぞれを多孔性ニッケルなどのイオン通過型集電体で覆ったものを使用することで、活物質と集電体の距離が近くなって電子の移動距麟が短くなると同時に、集電面積が多くなり、電気抵抗が小さい高性能な電池となる。
(3) 電池セルに蛇腹状単位ユニットを複数個装填することにより、容易に大型化(スケールアップ)が可能であり、かつ、電気抵抗を増大させる溶接箇所が無いので、大型化による性能低下が起こらない。また、製造コストや製作時間を低減することができる。
(4) 電池セル内にセパレー夕とイオン通過型集電体が比較的多く存在するので、単位体積当たりの正極活物質、負極活物質の充填量が少なく、セル内に多くの電解液を確保することが可能であり、電解液が枯渇して固液反応(電池反応)が起こらなくなるドライアウト現象が発生しにくい。
(5) 電池性能として高出力が必要な場合は、活物質の厚みを減らすことにより、相対的にセパレータとイオン通過型集電体の割合が多くなり、体積エネルギー密度は低下するが、高出力の電池を得ることができる。
(6) 電池性能として高出力が不要な場合は、活物質の厚みを増やすことにより、相対的にセパレータとイオン通過型集電体の割合が小さくなり、体積エネルギー密度が大きな電池を得ることができる。
(7) 活物質の厚さ等を増減するだけで、任意に電池仕様を変更することができ、容易に所望の電池仕様を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、粒状の正極活物質と粒状の負極活物質を有する電池の一例を示す概略断面構成図である。
【図2】図2は、積層型三次元電池のセル構造の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、突起を設けた集電体(隔壁)の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、突起を設けた集電体(隔壁)の一例を示す側面図である。
【図5】図5は、冷却構造を有する集電体(隔壁)の一例を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第1形態による一例(基本ユニットのみ)を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第1形態による他の例(基本ユニットのみ)を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第2形態による一例(基本ユニットを4個並列に装填)を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第3形態による一例(基本ユニットを4個並列に装填、4層直列に積層)を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第4形態による一例(基本ユニットのみ、厚型活物質)を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第5形態による一例(基本ユニットのみ)を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第5形態による他の例(基本ユニットを2個並列に装填)を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態による一例を示す部分拡大模式図である。
【図14】図14は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態による他の例を示す部分拡大模式図である。
【図15】図15は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態による他の例を示す部分拡大模式図である。
【図16】図16は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態による他の例を示す部分拡大模式図である。
【図17】図17は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態によるさらに他の例を示す部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
【0032】
まず、三次元電池の電池反応の詳細について、図1を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、粒状の正極活物質と粒状の負極活物質を有する電池の一例を示している。図1に示すように、イオン透過性フィルター(セパレータ)1を介して負極セル2、正極セル3が設けられ、負極セル2には電解質溶液とともに負極の粒状活物質4が装填され、正極セル3には電解質溶液とともに正極の粒状活物質5が装填されている。粒状活物質は電解質溶液中に固定層として存在している。図1においては、便宜上、各粒状活物質の大きさは同じにしているが、実際には、各粒状活物質の大きさが異なることは当然である。
【0034】
なお、セパレータ1は、電気的に絶縁性でイオンを通すためのフィルターで、粉粒体は通過しない膜であり、例えば、素焼、イオン交換樹脂膜、高分子繊維等が用いられる。
【0035】
また、負極セル2、正極セル3の中には、それぞれ導電体からなる負極集電器(体)6、正極集電器(体)7が設けられており、集電器6、7が負荷手段(放電の場合)又は発電手段(充電の場合)8と接続される。なお、9は電解液界面である。
【0036】
つぎに、本実施例の電池について充電及び放電の機構を説明する。
(充電)
電池に電圧をかけ、負極集電器6より電子を供給する。電子は負極集電器6より負極の粉粒体活物質に直接又は粉粒体を介して移動して反応する。反応によって発生したイオンはセパレーター1を通過して正極セル3に入り、ここで正極の粉粒体活物質と反応して電子を放出する。この電子は粉粒体を介して、あるいは直接、正極集電器7に移動して発電手段8に送られる。
(放電)
電池に負荷をかけ、負極集電器6より電子が供給される。電子は負極セル2内で陽イオン化した活物質が放出し、負極集電器6に直接又は粉粒体を介して移動する。反応によって発生したイオンはセパレータ1を通過して正極セル3に入り、ここで正極の粉粒体活物質及び電子と反応する。電子は粉粒体を介して、あるいは直接、正極集電器7に移動して負荷手段8に供給される。
【0037】
次に、図2は、積層型三次元電池のセル構造の一例を模式的に示している。図2は、3層積層タイプの三次元電池である。アルカリ電解液中で腐食など変質せず、電気的絶縁が可能でイオンが通過する物質からなるセパレータ10を介して、正極、負極それぞれのセルが形成され、正極セルに正極活物質12、負極セルに負極活物質14が電解質(KOH、NaOH、LiOH等)溶液とともに装填されている。正極、負極セルで構成される単位電池は、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンが通過しなくて電気伝導性がある物質からなる隔壁16を介して直列に積層され、両端部のセルに、正極活物質12と接触する正極集電体18、負極活物質14と接触する負極集電体20が設けられている。正極集電体18、負極集電体20は、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンが通過しなくて電気伝導性がある物質からなり、集電体を介して外部に電気が取り出される。
【0038】
セパレータ10としては、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの織物や不織布又はメンブレンフィルターなどが使用可能である。隔壁16、正極集電体18、負極集電体20としては、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、鉄にニッケルメッキしたもの、ステンレス鋼にニッケルメッキしたもの、炭素にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。また、隔壁16、正極集電体18、負極集電体20は、平板状でも良いが、針状、板状、波状、粒状などの突起をつけて集電面積を増大させることが好ましい。例えば、図3、図4に示すように、集電体(又は隔壁)24に突起26を設けることが可能である。また、隔壁16、正極集電体18、負極集電体20の内部に冷媒を流せるようにして、冷却構造のある集電体、隔壁とすることが可能である。例えば、図5に示すように、板状の集電体(又は隔壁)28の内部に冷媒を流通させる伝熱管30を蛇腹状などに配置した冷却構造とすることができる。32は冷媒入口、34は冷媒出口である。
【0039】
また、活物質との接触面を多くして集電面積を増大させるために、バイパス用の集電体として、ニッケル金属網、鉄やステンレス鋼等にニッケルメッキした網状体(パンチングメタル、エキスパンドメタル等)、発泡ニッケル金属、発泡樹脂にニッケルメッキしたもの、ニッケルメッキしたカーボン繊維、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、シリ力、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたものなど、内部に空隙があってイオンが通過し、電気伝導性があるイオン通過型集電体を付加することが好ましい。図2では、一例として、イオン通過型集電体22をセパレータ10と正極活物質12との間に設置し、イオン通過型集電体22を正極集電体18と接続してーつの集電体としている。イオン通過型集電体はセパレータ側にも設置することが可能であり、活物質と多くの面で接触して集電面積を増やすことができる。
【0040】
上記の三次元電池では、電池反応を起こす活物質材料として、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることが可能である。一例として、ニッケル・水素電池の場合、正極活物質12として水酸化ニッケル、負極活物質14として水素吸蔵合金が用いられる。また、ニッケル・カドミウム電池の場合、正極活物質12として水酸化ニッケル、負極活物質14として力ドミウムが用いられる。
【0041】
活物質としては、粉末状のもの、あるいは導電性フィラーと樹脂を添加して粒状、板状などに成形したものが用いられ、この活物質とセパレー夕、隔壁、集電体(イオン通過型集電体も含む)の複数種類を組み合わせて一体成形したものが電極材として使用される。電極材の製造方法については後述する。
【0042】
導電性フィラーは、炭素繊維、炭素繊維にニッケルメッキしたもの、炭素粒子、炭素粒子にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの、繊維状ニッケル、ニッケル粒子、ニッケル箔などである。
【0043】
活物質を粒状、板状などに成形する際に添加する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー等の熱可塑性樹脂が使用可能である。この場合、熱可塑性樹脂を加熱溶融して活物質材料等と混合分散してもよいが、樹脂を溶剤で溶解して添加しても良い。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどは、加熱したべンゼン、トルエン又はキシレンなどの溶剤に可溶である。これらの溶剤に溶解した樹脂を活物質材料、必要に応じて導電性フィラーと混合した後、溶剤を蒸発させて除去することにより、樹脂で固化した活物質成形体を作ることが可能である。
【0044】
また、反応硬化型の樹脂としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など、熱硬化型の樹脂としてフェノール樹脂などがバインダーとして使用可能である。
【0045】
また、活物質を粒状、板状などに成形する際に、水に可溶な溶剤に溶解した樹脂を添加する場合は、その溶剤を水で抽出除去することで、樹脂で固化した活物質成形体を作ることができる。例えば、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂はジメチルスルフォオキサイド(DMSO)に可溶である。また、ポリスチレンはアセトンに可溶であり、ポリスルホンはジメチルホルムアミド(DMF)、DMSOに可溶であり、ポリアクリロニトリルはDMF、DMSO、エチレンカーボネートに可溶であり、ポリフッ化ビニリデンはDMF、DMSO、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に可溶であり、ポリアミドはDMF、NMPに可溶であり、ポリイミドはDMF、NMPに可溶である。
【0046】
また、活物質を粒状、板状などに成形する際に、アルコールに可溶な溶剤に溶解した樹脂を添加する場合は、その溶剤をアルコールで抽出除去することで、樹脂で固化した活物質成形体を作ることができる。例えば、酢酸セルロースは塩化メチレンに可溶であり、オキサイドフェニレンエーテル(PPO)は塩化メチレンに可溶である。
【0047】
また、粒状、板状などに成形した活物質の表面に、炭素繊維、炭素繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、シリ力、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの、炭素粉、炭素粉にニッケルメッキしたもの、繊維状ニッケル、ニッケル粉、ニッケル箔などの導電材をコーティングしてもよい。コーティング法としては、成形体の硬化前に、これら金属粉、金属繊維、金属メッキした繊維などを添加し、転動、撹拌などして、やわらかい状態の成形体外表面にこれらを付着させることが可能である。樹脂で固化した後の成形体の場合、熱軟化樹脂を用いた成形体、溶剤に可溶な樹脂を用いた成形体の場合は、成形体温度を昇温して加熱軟化したり、溶剤を添加して膨潤・軟化させる等して成形体を未硬化状態にし、そこに添着金属を加えて添着することができる。また、粒状、板状などに成形した活物質の表面に、ニッケルメッキを施工してもよい。
【0048】
三次元電池の電極材の製造方法について説明する。
【0049】
三次元電池の電極をつくるに際して、上述した構成の活物質を、セパレータ、隔壁、集電体(イオン通過型集電体も含む)のうちの1種類又は複数種類と組み合わせて一体に成形する。
【0050】
成形方法としては、活物質材料の粉末と導電性フィラー、樹脂を混合・撹拌したものを、セパレータ、隔壁又は/及び集電体と一体にして、加熱しながら加圧成形することができる。この場合、導電性フィラーを混合した樹脂により加圧を行わずに成形することも可能である。樹脂としては、上述したポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどの熱可塑性樹脂が使用可能である。
【0051】
また、加熱トルエン、加熱キシレンなどの溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂に、活物質材料の粉末と導電性フィラーを混合して分散させ、撹拌しながら造粒して活物質の造粒粒子をつくり、この活物質造粒粒子を、セパレータ、隔壁又は/及び集電体と一体にして、加熱しながら加圧成形することができる。この際、成形体に含まれる溶剤を蒸発させることで樹脂を固化することができる。この場合も、導電性フィラーを混合した樹脂により加圧を行わずに成形することが可能である。
【0052】
また、粒状、板状などに成形した活物質を、セパレータ、隔壁又は/及び集電体と一体成形する場台は、新たに樹脂を添加せずに、成形体に含まれる樹脂を再度溶解させて、一体成形することが可能である。
【0053】
また、反応硬化型樹脂(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、熱硬化型樹脂(フェノール樹脂など)などを用いて一体成形することも可能である。
【0054】
また、水に可溶な溶剤に溶解した樹脂として、DMSOに溶解したPES樹脂、アセトンに溶解したボリスチレン、DMF、DMSOに溶解したポリスルホン、DMF、DMSO、エチレンカーボネートに溶解したポリアクリロニトリル、DMF、DMSO、NMPに溶解したポリフッ化ビニリデン、DMF、NMPに溶解したポリアミド、DMF、NMPに溶解したポリイミドなどを用いて一体成形することも可能であり、この場合は、成形体から溶剤を水で抽出除去する。また、アルコールに可溶な溶剤に溶解した樹脂として、塩化メチレンに溶解した酢酸セルロース、塩化メチレンに溶解したオキサイドフェニレンエーテル(PPO)などを用いて一体成形することも可能であり、この場合は、成形体から溶剤をアルコールで抽出除去する。
【0055】
上記の方法で製造した電極構造では、活物質とセパレータ、隔壁、集電体を複数種類組み合わせて成形しているので、電池組立時の部品点数が少なくなり、組立時間の減少、組立コストの低減が図れる。
【0056】
以下、電極材の製造例について説明する。
電極材の製造例1
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、水酸化ニッケル紛末を1000g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。これに、エチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、軟化温度以上、かつ130℃以下の温度で10分間混合、撹拌した。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の水酸化ニッケル混合物を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータを一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例2
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。型枠中で圧力をかけずにそのまま冷却し、樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータを一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例3
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例4
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。型枠中で圧力をかけずにそのまま冷却し、樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例5
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。さらに、その上側に集電体(ニッケル板)を設置した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータと集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例6
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。さらに、その上側に集電体(ニッケル板)を設置した。型枠中で圧力をかけずにそのまま冷却し、樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータと集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例7
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)を敷き、その上にイオン通過型集電体(発泡ニッケルシート)を敷いた。その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填し、さらに、その上側に集電体(ニッケル板)を設置した。このとき、イオン通過型集電体が集電体と接触するようにした。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータとイオン通過型集電体と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例8
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部にセパレータ(ナイロン不織布)を敷き、その上にイオン通過型集電体(発泡ニッケルシート)を敷いた。その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填し、さらに、その上側に集電体(ニッケル板)を設置した。このとき、イオン通過型集電体が集電体と接触するようにした。型枠中で圧力をかけずにそのまま冷却し、樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質とセパレータとイオン通過型集電体と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例9
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、水酸化ニッケル粉末を1000g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記の水酸化ニッケル粉と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して紛末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテー夕で粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジデー夕の回転数は600rpm、チョッパーの回転数は1500rpmで、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0057】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例10
製造例9と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して造粒した。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)を予め敷いておき、その上から上記造粒粒子を充填した。型枠中で圧力をかけずにそのまま冷却し、樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例11
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を+分に分散した。これに、水素吸蔵合金粉末を2500g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記の水素吸蔵合金粉と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジテータの回転数は600rpm、チョッパーの回転数は1500rpmで、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0058】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例12
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、砂(豊浦標準砂)を2500g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記の砂と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテー夕で粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジデータの回転数は600rpm、 チョッパーの回転数は1500rpm で、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0059】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例13
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、石炭粒子(大同炭の微粉炭)を1000g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記の石炭と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジデータの回転数は600rpm、チョッパーの回転数は1500rpmで、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0060】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状熊で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例14
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、炭(材木を600℃で2時間焼成したもの)を500g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpmで混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記の炭と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジテータの回転数は600rpm、チョッパーの回転数は1500rpmで、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0061】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例15
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、シリカ(もみ殻を600℃で2時間焼成したもの)を500g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記のシリ力と導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹枠しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジテータの回転数は600rpm、チョッパーの回転数は1500rpmで、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0062】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いおき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例16
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、スラグ(ゴミ焼却灰を1500℃で溶融した後冷却したもの)を1000g、炭素繊維(商品名:ドナS−247)を100g添加し、約3分間1000rpm で混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記のスラグと導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジテータの回転数は600rpm、 チョッパーの回転数は1500rpm で、この条件で撹伴しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0063】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例17
内容積10リットルのへンシェルミキサーに粒子状黒鉛(アセチレンブラック)を150g入れ、1000rpm で約3分間撹拌して粒子状黒鉛を十分に分散した。これに、カーボン(炭素繊維を1100℃で焼成したもの)を500g添加し、約3分間1000rpmで混合した。別途、60℃に加熱したキシレン1000gにエチレン酢酸ビニルコポリマーを150g添加し、溶解させた。60℃に加熱した前記のカーボンと導電性フィラーの混合物に、加熱キシレンに溶解した樹脂を添加し、60℃に加熱保持しながらへンシェルミキサーで撹拌した。次いで、撹拌しながらへンシェルミキサーを冷却し、混練物を冷却粉砕して粉末状とした。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節した。ハイスピードミキサーは2リットル容量の物、アジテータの回転数は600rpm、 チョッパーの回転数は1500rpm で、この条件で撹拌しつつ、粉体の温度を常温から50℃に昇温した。造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止した。粒子はキシレンを含んでいるため、この粒子を減圧乾燥機に入れ、50℃に加熱してキシレンを除去した。この粒子を冷却した後、2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子とした。
【0064】
断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に集電体(ニッケル板)をあらかじめ敷いておき、その上から上記の造粒粒子を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例18
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。また、図3、図4に示すような突起がついた集電体(電池セル内寸法100mm×100mm×10mm用のニッケル集電体:10mmピッチで長さ8mmの突起がついた集電体)を作製した。断面の大きさが100mm×100mmの型枠の底部に、突起がついた上記集電体をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
電極材の製造例19
製造例1と同様の方法で水酸化ニッケル粉末と導電性フィラーと樹脂を混合、撹拌して水酸化ニッケル混合物を得た。また、図5に示すような冷却構造を有する集電体(電池セル内寸法100mm×100mm×10mm用のニッケル集電体:内部に冷却水等の冷媒を流通させる伝熱管を配置した集電体)を作製した。断面の大きさ100mm×100mmの型枠の底部に、冷却構造を有する上記集電体をあらかじめ敷いておき、その上から上記水酸化ニッケル混合物を充填した。上部から加熱しながら0.1MPaの圧力を加えて加圧成形し、その状態で温度を下げて樹脂を硬化させた。この成形品を型枠から取り出し、活物質と集電体を一体に成形した電極材を得た。
【0065】
図6は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第1形態による一例を示している。本実施の形態は、基本ユニットのみで電池を構成した場合である。電池反応を起こす活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させ、粒状、板状、ブロック状、棒状などの活物質成形体をつくる。この場合、粉末状の活物質材料をそのまま使用することも可能であり、粒子状の活物質を二次成形して使用することも可能である。また、粉末状や微粒子状の活物質をPVA等でペースト状にしたものを使用することも可能である。電池反応を起こす活物質材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることが可能であるが、ニッケル水素二次電池の場合、一例として、水酸化ニッケル粉末2000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaの圧力で加圧成形して、100mm×30mm×3mm厚さのプレート状の正極活物質40をつくることができる。同様に、ニッケル水素二次電池の場台、一例として、水素吸蔵合金粉末6000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaの圧力で加圧成形して、100mm×30mm×2mm厚さのプレート状の負極活物質42をつくることができる。
【0066】
正極活物質40、負極活物質42の表面はイオン通過型集電体44で彼覆する。例えば、プレート状の正極活物質40、負極活物質42の場合、1〜6面の任意の面をイオン通過型集電体44で被覆することができる。なお、上述した活物質の成形工程において、活物質をイオン通過型集電体で覆って一体成形することも可能である。また、活物質を粉末状、ペースト状で使用する場合は、イオン通過型集電体を袋状等としたものに、活物質を充填すればよい。本実施の形態では一例として、プレート状の正極活物質40、負極活物質42の4面をイオン通過型集電体44(発泡ニッケルシート)で覆っている。イオン通過型集電体としては、内部に空隙があってイオンが通過し、電気伝導性があるもの、例えば、上記の発泡ニッケル金属の他、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル、エキスパンドメタル等の金属、ニッケルメッキしたウレタン等の発泡樹脂、ニッケルメッキしたポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、綿、力ーボン繊維等の多孔質材料、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
【0067】
アルカリ電解液中で腐食など変質せず、電気的絶縁が可能でイオンが通過する物質からなるセパレータ46を蛇腹状に配置し、電池セルに装填したときに正極集電体48と接触する側に正極活物質40を、同じく負極集電体50と接触する側に負極活物質42を、それぞれセパレータ46を挟んで交互に組み込む。このようにして得られた基本ユニットを、電解質(KOH、NaOH、LiOH等)溶液とともに、電池セルにおける正極集電体48と負極集電体50の間に装填して電池を構成する。セパレータ46としては、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの織物や不織布又はメンブレンフィルターなどが使用可能である。正極集電体48、負極集電体50としては、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、鉄やステンレス鋼などにニッケルメッキしたもの、炭素にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
【0068】
基本ユニットである蛇腹状単位ユニットは、図6に示す正極、負極活物質2組からなる構成に限定されず、図7に示す最小単位のものから任意の組数のものまで適宜選定して製作することが可能である。
【0069】
つぎに、本実施形態の電池について充電及び放電の詳細を説明する。
(充電)
電池に電圧をかけ、発電手段(図示せず)から負極集電体50へ電子を供給する。電子は負極集電体50より負極活物質42に移動して反応する。反応によって発生したイオンはセパレータ46を通過し、正極活物質40と反応して電子を放出する。この電子は正極集電体48に移動して発電手段に送られる。
(放電)
負荷から正極集電体48へ電子が供給される。電子は正極集電体48より正極活物質40に移動し反応する。反応によって発生したイオンはセパレータ46を通過し、負極活物質42と反応して電子を放出する。この電子は負極集電体50に移動して負荷に送られる。
【0070】
正極活物質40と負極活物質42を蛇腹状のセパレータ46を挟んで配置した電池では、正極活物質40と負極活物質42の距麟が近いので、電子の移動距離が短くなって高出力が得られ、かつ、イオンの拡散距離が短くなって良好なイオン拡散が得られる。同時に、過充電などにより活物質から気体が発生した場合には、気体がその反対極へ移動し消費されやすく、密閉化が容易である。
【0071】
また、正極活物質40、負極活物質42それそれを多孔性ニッケルなどのイオン通過型集電体44で覆ったものを使用することで、活物質と集電体の距離が近くなって電子の移動距離が短くなると同時に、集電面積が多くなり、電気抵抗が小さい高性能な電池となる。
【0072】
また、電池セル内にセパレータ46とイオン通過型集電体44が比較的多く存在するので、単位体積当たりの正極活物質40、負極活物質42の充填量が少なく、セル内に多くの電解液を確保することが可能であり、電解液が枯渇して固液反応(電池反応)が起こらなくなるドライアウト現象が発生しにくい。
【0073】
図8は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第2形態による一例を示している。本実施の形態は、基本ユニットを複数個(図8では、一例として4個)並列に組み込んで電池を構成した場合である。基本ユニット52として、実施の第1形態で説明したような蛇腹状単位ユニットを製作する。4セットの基本ユニット52を並列に、電池セルにおける正極集電体48と負極集電体50の間に装填して電池を構成する。
【0074】
図9は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第3形態による一例を示している。本実施の形態は、基本ユニットを複数個(図9では、一例として4個)並列に組み込んだものを複数層(図9では、ー例として4層)積層して電池を構成した場合である。基本ユニット52として、実施の第1形態で説明したような蛇腹状単位ユニットを製作する。4セットの基本ユニット52を並列に電池セルに装填し、これを隔壁54を介して4層積層して電池を構成する。セルを直列に積層することで高電圧の電池となる。隔壁54としては、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、鉄やステンレス鋼などにニッケルメッキしたもの、炭素にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
【0075】
上記の実施の第2、第3形態のように、電池セルに蛇腹状単位ユニットを複数個装填することにより、容易に大型化が可能であり、かつ、電気抵抗を増大させる溶接箇所が無いので、大型化による性能低下が起こらない。また、製造コストや製作時間を低減することができる。
【0076】
図10は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第4形態による一例を示している。本実施の形態は、基本ユニットのみで電池を構成した場合であり、実施の第1形態のときよりも活物質の厚みを増やして、体積エネルギー密度の大きな電池としたものである。例えば、ニッケル水素二次電池の場合、一例として、水酸化ニッケル粉末2000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaの圧力で加圧成形して、100mm×30mm×12mm厚さのプレート状の正極活物質40をつくる。同様に、一例として、水素吸蔵合金粉末6000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaの圧力で加圧成形して、100mm×30mm×8mm厚さのプレート状の負極活物質42をつくる。実施の第1形態の場合と同様に、正極活物質40、負極活物質42の表面(一例として、4面)をイオン通過型集電体44で被覆した後、セパレータ46を挟んで蛇腹状に正極活物質40、負極活物質42を組み込む。このようにして得られた基本ユニットを、電解質溶液とともに電池セルにおける正極集電体48と負極集電体50の間に装填して電池を構成する。
【0077】
上記のように、活物質の厚みを増やすことにより、相対的にセパレー夕46とイオン通過型集電体44の割合が少なくなるので、電池の容積当りの出力は低下するが、体積エネルギー密度が大きな電池を得ることができる。一方、電池性能として高出力が必要な場合は、上述した実施形態において、活物質の厚みを減らすことにより、相対的にセパレータ46とイオン通過型集電体44の割合が多くなるので、体積エネルギー密度は低下するが、高出力の電池を得ることができる。このように、活物質の厚さ等を増減するだけで、任意に電池仕様を変更することができ、容易に所望の電池仕様を得ることができる。
【0078】
図11図12は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第5形態による一例を示している。本実施の形態は、基本ユニットである蛇腹状単位ユニットにおいて、セパレータを挟んで組み込まれる正極活物質と負極活物質のどちらか一方が1個多く、多い方の活物質が単位ユニットの両端部に配置される場合である。
【0079】
図11では、一例として、蛇腹状のセパレータ46を挟んで正極活物質40の両側に負極活物質42を配置した基本ユニットとしている。他の構成及び作用は、実施の第1形態の場合と同様である。なお、本実施形態の蛇腹状単位ユニットは、図11に示す最小単位のものから任意の数のものまで適宜選定して製作することが可能である。
【0080】
図11に示すような蛇腹状単位ユニットを並列に装填して大型化する場合は、図12に示すように組み込む必要がある。
【0081】
図13図17は、本発明の高出力型三次元電池の実施の第6形態による一例を示している。本実施の形態は、正極活物質、負極活物質の任意の箇所にイオン通過型集電体を設置するようにしたものである。図13は、一例として、プレート状の負極活物質42の3面をイオン通過型集電体44で覆ったものであり、正極活物質40、負極活物質42の任意の面をイオン通過型集電体44で被覆できることを示すものである。図14図17は、負極活物質42の表面及び内部にイオン通過型集電体44を設置した場合の例であり、正極活物質40、負極活物質42の任意の箇所にイオン通過型集電体44が設置できることを示すものである。イオン通過型集電体を正極活物質、負極活物質の内部に設置した場合も、活物質と集電体の距離が近くなって電子の移動距離が短くなると同時に、集電面積が多くなり、電気抵抗が小さい高性能な電池となる。
【0082】
他の構成及び作用は、実施の第1〜第5形態の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、以上説明したように構成されているので、電池組立時の部品点数が少なくなり、組立時間の減少、組立コストの低減が図れる三次元電池及びその電極構造並びに容易に大型化が可能で大型化により性能が低下することなく高出力が得られる三次元電池として適している。
【符号の説明】
【0084】
1 セパレータ
2 負極セル
3 正極セル
4 負極活物質
5 正極活物質
6 負極集電体
7 正極集電体
8 負荷手段又は発電手段
9 電解液界面
10 セパレータ
12 正極活物質
14 負極活物質
16 隔壁
18 正極集電体
20 負極集電体
22 イオン通過型集電体
24 集電体
26 突起
28 集電体
30 伝熱管
32 冷媒入口
34 冷媒出口
40 正極活物質
42 負極活物質
44 イオン通過型集電体
46 セパレータ
48 正極集電体
50 負極集電体
52 基本ユニット
54 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設けられた正極集電体と負極集電体の間に、蛇腹状のセパレータが交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータと正極集電体で区画される空間に電解液とともに正極活物質の粉末又は成形体が装填され、蛇腹状のセパレータと負極集電体で区画される空間に電解液とともに負極活物質の粉末又は成形体が装填され、正極活物質と負極活物質とがセパレータを挟んで交互に組み込まれたことを特徴とする高出力型三次元電池。
【請求項2】
蛇腹状のセパレー夕を挟んで交互に装填された少なくとも1つの正極活物質と少なくとも1つの負極活物質とからなる単位ユニットが、正極集電体と負極集電体の間に形成されるセルに並列に組み込まれた請求項1記載の高出力型三次元電池。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電池を隔壁を介して直列に積層したことを特徴とする高出力型三次元電池。
【請求項4】
装填される正極活物質及び負極活物質の形態が、粉末状、又は粒状、板状、ブロック状もしくは棒状の成形体、又は粒子をブロック状もしくは板状に二次成形したもの、又は粉末もしくは粒子をペースト状にしたものである請求項1、2又は3記載の高出力型三次元電池。
【請求項5】
蛇腹状のセパレータを挟んで組み込んだ活物質の任意の箇所にイオン通過型集電体を設置した請求項1ないし4のいずれかに記載の高出力型三次元電池。
【請求項6】
蛇腹状のセパレータを挟んで組み込んだ活物質の表面の任意の面をイオン通過型集電体で被覆した請求項1ないし4のいずれかに記載の高出力型三次元電池。
【請求項7】
蛇腹状のセパレー夕を挟んで組み込まれる正極活物質及び負極活物質が、活物質をイオン通過型集電体で被覆して一体成形したものである請求項6記載の高出力型三次元電池。
【請求項8】
イオン通過型集電体が、内部に空隙があってイオンが通過し電気伝導性があるものであり、発泡ニッケル金属、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル、エキスパンドメタル等の金属、ニッケルメッキしたウレタン等の発泡樹脂、ニッケルメッキしたポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、綿、カーボン繊維等の多孔質材料、シリ力、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたものの少なくともいずれかである請求項5、6又は7記載の高出力型三次元電池。
【請求項9】
セパレータが、アルカリ電解液中で変質せず電気的絶縁が可能でイオンが通過するものであり、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン及びナイロンの少なくともいずれかからなる織物、不織布又はメンブレンフィルターである請求項1ないし8のいずれかに記載の高出力型三次元電池。
【請求項10】
正極集電体及び負極集電体が、アルカリ電解液中で変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるものであり、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄、ニッケルメッキしたステンレス鋼及びニッケルメッキした炭素の少なくともいずれかである請求項1ないし9のいずれかに記載の高出力型三次元亀池。
【請求項11】
隔壁が、アルカリ電解液中で変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるものであり、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄、ニッケルメッキしたステンレス鋼及びニッケルメッキした炭素の少なくともいずれかである請求項3項記載の高出力型三次元電池。
【請求項12】
活物質が、電池反応を起こす材料に導電性フィラーと樹脂を加えて硬化させたものである請求項1ないし11のいずれかに記載の高出力型三次元電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−105063(P2009−105063A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8038(P2009−8038)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【分割の表示】特願2003−531551(P2003−531551)の分割
【原出願日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】