説明

高分子アミン−フェノール系抗酸化剤組成物、それの製造技術および使用

【化1】


本発明は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易い有機材料、例えば石油製品、合成重合体および弾性重合体物質などに添加した時に酸化防止特性を示す新規な高分子アミン−フェノール系組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易い有機材料、例えば石油製品、合成重合体および弾性重合体物質などに添加した時に酸化防止特性を示す新規な高分子アミン−フェノール系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広く多様な有機材料が空気または酸素の存在下で酸化劣化を受け易く、特に温度が高い時に受け易いことは良く知られている。そのような有機材料には、例えばガソリン、ディーゼル燃料、バーナー燃料、ガスタービンおよびジェット燃料、オートマチックトランスミッション用流体、ギアオイル、エンジン潤滑油、熱可塑性重合体、天然および合成ゴムなどが含まれる。そのような材料の中の1種以上の劣化を最小限にする能力を有する化合物を発見および開発する努力が長年に渡ってかなり行われてきた。そのような材料がいろいろな酸素含有環境下で使用されかつそのような環境にさらされる条件が長年に渡って変化してきたことから、新規で有効な高分子酸化防止剤(即ち抗酸化剤)の必要性が継続して存在する。また、公知の有効な高分子酸化防止剤を製造するに適した新規で高度に有効な工程技術が提供されると、それも当該技術分野にとって多大な利益になる。
【0003】
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコールとアリールアミン、カルバゾール、フェナジンまたはアクリジンを反応させて酸化防止剤を生じさせることが特許文献1に開示されている。不幸なことには、その結果としてもたらされる反応生成物は未反応のアミン出発材料を多量に含有する複雑な混合物でありかつ所望生成物の生成収率も低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,673,091号
【発明の概要】
【0005】
本発明は、いくつかの態様において、酸化防止剤、特にこの上に示した種類の石油製品用の酸化防止剤としての有用性を高める特性を有する高分子抗酸化剤生成物に関する。そのような高分子反応生成物は、典型的に、1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンおよびvi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、およびvii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンを含有して成る。この高分子抗酸化剤生成物は室温で液体であるか或は約100℃未満で溶融する固体でありかつ液状炭化水素溶媒に溶解し得る。
【0006】
本発明の好適な高分子抗酸化剤生成物は、室温(約23℃)で液体であるか或は約100℃未満、好適には約60℃未満で溶融する固体でありかつ通常の有機溶媒、特に液状炭
化水素溶媒に溶解し得る化合物である。加うるに、多くの場合、そのような生成物は潤滑油、例えば高い粘度指数の100 Neutralが50体積%で高い粘度指数の250
Neutralが50体積%の基油、例えば米国特許第3,673,091号に示されている如き基油など中でも高い溶解性を示す。
【0007】
本発明の更に別の面では、潤滑油、特に内燃機関用潤滑油で用いるに特に適した新規な抗酸化剤配合物を提供する。また、前記および他の抗酸化剤配合物の詳細な説明をまた本明細書の以下でも行う。
【0008】
以下の説明および添付請求項から本発明の前記および他の面、特徴および態様が更に明らかになるであろう。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の生成物
上述したように、本発明の高分子反応生成物は抗酸化剤として用いるに有用であり、このように、本高分子フェノール−芳香族アミン反応生成物を本明細書では簡潔さの目的で時にはアルキル置換芳香族アミン、抗酸化剤生成物、高分子抗酸化剤組成物または高分子酸化防止剤とも呼ぶ。上述したように、本発明の好適な抗酸化剤生成物は、室温(約23℃)で液体であるか或は約100℃未満、好適には約60℃未満で溶融する固体でありかつ通常の有機溶媒、特に液状炭化水素溶媒に溶解し得る化合物である。加うるに、多くの場合、そのような生成物は潤滑油、例えば高い粘度指数の100 Neutralが50体積%で高い粘度指数の250 Neutralが50体積%の基油、例えば米国特許第3,673,091号に示されている如き基油など中でも高い溶解性を示す。
【0010】
本発明の抗酸化剤生成物は、典型的に、1種以上のアルキル置換芳香族アミンおよび1個以上のメチレンブリッジを有する1種以上のアルキル置換芳香族アミンを含有して成る。そのようなアルキル置換芳香族アミンは、典型的に、1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として一アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として二アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として三アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として四アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として五アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、vi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン(本明細書では時として六アルキル置換芳香族アミンと呼ぶ)、およびvii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンを含有して成る。本発明の反応生成物が含有する1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの量が反応生成物の総重量を基準にして約5重量%未満であるのが好適である。他の態様において、本発明の反応生成物が含有する2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの量は10重量%以下である。更に他の態様において、本発明の抗酸化剤生成物が含有する1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンと2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの量は同じ基準で5重量%以下である。いくつかの態様では、本発明の抗酸化剤生成物が含有する4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンまたは6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの量は40重量%以上、いくつかの態様では約45重量%以上、他の態様では約50重量%以上である(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)。この上に示した態様において、本発明の抗酸化剤生成物が含有する1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの量は約1から約20重量%の範囲内、好適には約1から約15重量%の範囲内、最も好適には約1から10重量%の範囲内(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)である。
【0011】
いくつかの態様において、本発明の抗酸化剤生成物は、i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約5重量%未満、好適には約1重量%未満、より好適には約0.5重量%未満(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約10重量%未満、好適には約5重量%未満、より好適には約1重量%未満(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)であり、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約1重量%から約35重量%の範囲内、好適には約5重量%から約25重量%の範囲内、より好適には約5重量%から約20重量%の範囲内(同じ基準)であり、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約10重量%から約65重量%の範囲内、好適には約15重量%から約60重量%の範囲内、より好適には約20重量%から約55重量%の範囲内(同じ基準)であり、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約5重量%から約60重量%の範囲内、好適には約8重量%から約50重量%の範囲内、より好適には約10重量%から約40重量%の範囲内(同じ基準)であり、vi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が約1重量%から約50重量%の範囲内、好適には約5重量%から約35重量%の範囲内、より好適には約5重量%から約20重量%の範囲内(同じ基準)であり、かつvii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が約1から約20重量%の範囲内、好適には約1から約15重量%の範囲内、より好適には約1重量%から約10重量%の範囲内であるとして記述可能である。
【0012】
本発明の抗酸化剤生成物は、また、下記の一般式:
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分も約1から約10重量%の範囲内、好適には約1から約5重量%の範囲内の量で含有する。好適な態様におけるRおよびR’はHまたは直鎖もしくは分枝鎖、好適には分枝鎖アルキル基である。特に好適な態様におけるRおよびR’はt−ブチルであり、その場合の化合物は4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール):
【0015】
【化2】

【0016】
である。
【0017】
いくつかの態様における本発明の高分子抗酸化剤組成物は、下記の一般式である式I:
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、RはHまたはヒドロカルビルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、RおよびRは3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RおよびRはHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であり、pおよびqは整数であり、そしてp+qは約1から約10の範囲内であり、n=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表され得る1種以上の化合物を含有して成る。いくつかの態様における本発明の高分子抗酸化剤組成物は上述した一般式で表される分子を2種以上含有することを注目すべきである。そのような態様では、その1種以上の化合物の各々のR、R、R、R、RおよびRの構成は同じまたは異なってもよくかつ前記1種以上の化合物の各々のp、q、mおよびnの値も同じもしくは異なってもよい。
【0020】
いくつかの態様における本発明の高分子抗酸化剤組成物は、下記の一般式II:
【0021】
【化4】

【0022】
[ここで、式IIのR、R、RおよびRは独立してHまたはヒドロカルビルであり、RおよびR’は独立して水素または炭素を約1から約8の範囲内、好適には炭素原子を約1から約4の範囲内の数で含有する分枝もしくは直鎖アルキルであり、そしてpおよびqは独立して約1から約10の範囲内の整数であり、かつp+qは約10である]
で表される化合物を1種以上、好適には2種以上含有する。本発明の高分子抗酸化剤組成物が式IIで表される化合物を2種以上含有する場合には前記化合物の各々のR、R、RおよびR、RおよびR’の構成は同じまたは異なってもよくかつ前記1種以上の化合物の各々のpおよびqの値も同じもしくは異なってもよいことを注目すべきである。
本発明の高分子抗酸化剤組成物は、また、下記の一般式III:
【0023】
【化5】

【0024】
[ここで、R、R、R、R、R、R’は上述したそれらと同じであり、そしてpおよびqは整数であり、かつp+qは約1から約12の範囲内である]
で表される化合物を1種以上、好適には2種以上含有する。本発明の高分子抗酸化剤組成物が式IIIで表される化合物を2種以上含有する場合には前記化合物の各々のR、R、RおよびR、RおよびR’の構成は同じまたは異なってもよくかつ前記1種以上の化合物の各々のpおよびqの値も同じもしくは異なってもよいことを注目すべきである。
【0025】
また、式I、IIおよびIIIに示した置換パターンは単に可視的表示の目的でありかつアルキルおよびフェノールの置換はアミン分子上のあらゆる有効活性部位上に起こり得ることも当業者に明らかであろう。
【0026】
上述した式で表される具体的化合物のいくつかの非限定例は下記である:
【0027】
【化6】

【0028】
本発明の抗酸化剤生成物、例えば上述した抗酸化剤生成物などが大気圧下で示す沸点は好適には少なくとも約175℃である。本発明の生成物が有する2,6−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジル基の数もしくは平均数は、電子が豊富に存在する芳香環上の置換可能水素原子の数に応じて多様であり得る。例えば、炭素原子数が3から約24の範囲内の単一の分枝鎖アルキルで1個の環のみが置換されているジフェニルアミンの場合、置換されていない位置の数は9であるが、活性位の数はたいてい実際上5であり、このように、本発明の生成物が有するジフェニルアミン環上の2,6−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジル基の数は典型的に5以下であろう。
【0029】
いくつかの態様において、本発明の高分子抗酸化剤生成物は、下記の特性:
1. 未反応の芳香族アミン出発材料を実質的に含有しないこと、
2. フェノール系出発材料を実質的に含有しないこと、
3. 1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンを実質的に含有しないこと、
4. 2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンの濃度が非常に低いこと(非常に低いは上述した範囲内であること
を意味する)、
5. 多置換芳香族アミンが豊富に存在すること(豊富に存在するは上述した範囲内であ
ることを意味する)、
6. アルキル置換メチレン橋渡しアミンフェノール系高分子を含有すること、
の中の1つ以上、好適には2つ以上、より好適には全部を有することで特徴づけ可能であり、好適には特徴づけられる。
【0030】
好適な態様において、本発明の反応生成物が1−6の中の1つを有するとして記述する場合のそれは6である。
【0031】
本発明の高分子抗酸化剤組成物は、また、上述したように、エンジンオイル中で高い溶解性を示す液体または低融点の非晶質固体であるとしても記述可能である。
【0032】
本発明の反応生成物の使用
本発明の反応生成物は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易いいずれかの有機基質材料に入れる抗酸化剤として用いる目的で「混ぜ物無し」組成物として使用または販売で使用可能である。これを使用する時、本発明の新規な生成物を抗酸化量で当該基質、例えば潤滑油、液体燃料、熱可塑性重合体、樹脂もしくはオリゴマー、または天然もしくは合成ゴムもしくは弾性重合体などと混合してもよい。
【0033】
本発明の添加剤組成物は、そのような有機材料が空気または酸素の存在下で早期の酸化劣化を起こさないようにそれを保護する別の様式の保護を構成するものである。このように、本発明の1種以上の反応生成物を油に入れる添加剤として用いるに適するようにする場合には、それを基油もしくは加工油である程度希釈するか或はそれに溶解させてもよいか、或は幅広く多様な潤滑油で通常用いられる他の成分と混合してもよい。使用可能な基油の例には、グループI、IIおよびIIIの鉱油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得られた油(gas to liquid derived oils)、バイオが基になった油が含まれる。本発明の反応生成物を用いて新規で有用な潤滑添加剤混合物を生じさせようとする時に使用可能な他の添加剤の例には、これらに限定するものでないが、分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、粘度指数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤(seal swell agents)、可溶化剤、消泡剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤および他の抗酸化剤もしくは安定剤が含まれる。そのような成分の中の1種以上の組み合わせを本発明の反応生成物の中の1種以上と一緒に用いることで添加剤混合物を生じさせることができる。また、本発明の反応生成物の中の1種以上を希釈剤、溶媒または担体流体および/または他の1種以上の適切な添加剤と混合することで内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガスエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイル、グリースなどに入れて用いるに適した添加剤組成物を生じさせることも可能である。油に入れて用いるに適した本発明の添加剤組成物のそれの含有量は、当該混合物に入れる他の成分の数および種類に応じて、本添加剤組成物の総重量を基準にして5重量%から95重量%の範囲内であってもよい。本発明の完成潤滑油は本発明の生成物を抗酸化量で含有し、その量は典型的に本完成潤滑油の総重量を基準にして少なくとも約0.1重量%、好適には少なくとも約1重量%、より好適には少なくとも約3重量%である。潤滑粘度を有する油の使用を意図するサービスの種類に応じて、それに単一の添加剤としてか或は他の1種以上の成分を含有する添加剤組成物として混合する本発明の生成物の量は同じ基準で典型的に約15重量%以下である。
【0034】
本発明のそのような態様で用いる潤滑油は、鉱物、合成または鉱物および/または合成潤滑油の混合物であってもよい。そのような油はガスもしくは蒸気タービン、トランスミッションもしくは油圧油、火花点火および圧縮点火内燃機関、例えば天然ガスエンジン、自動車およびトラック用エンジン、海洋および列車用ディーゼルエンジンなどに適した典型的な産業用およびクランクケース用潤滑油である。潤滑用鉱油は、芳香、アスファルト系、ナフテン系、パラフィン系もしくは混合基原油から精製した油であってもよい。そのような潤滑油は、所望特性を有する完成ベースストックをもたらす潤滑用蒸留もしくは残油、例えばブライトストックなどまたはそのような油の混合物であってもよい。用いる合成基油は、(i)ジカルボン酸とポリグリコールとアルコールのアルキルエステル、(ii)ポリ−アルファ−オレフィン(ポリブテンを包含)、(iii)アルキルベンゼン、(iv)燐酸の有機エステルまたは(v)ポリシリコーン油であってもよい。そのような基油が100℃で示す粘度は典型的に約2から約15cSt、好適には約2.5から約11cStである。
【0035】
本発明の液体燃料組成物(例えばガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ガスタービンエンジン燃料など)を生じさせようとする時に用いるに適した添加剤組成物の製造は、本発明の少なくとも1種の新規な化合物を他の1種以上の添加剤、例えば洗浄剤、担体流体、解乳化剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、セタンもしくはオクタン価改良剤、アンチノック剤、防氷剤などと一緒に含有して成る本発明の添加剤組成物の形態で本発明の反応生成物の中の1種以上を抗酸化量でそれに混合もしくは供給することで実施可能である。そのような基質である燃料は石油から得られた燃料であってもよいか或は合成燃料であってもよいか或はそれは前記種類の両方の材料の混合物であってもよい。そのような新規な組成物を本発明の添加剤混合物に入れる量は、この混合物に入れる他の成分の種類および数に応じて、この添加剤混合物の総重量を基準にして5重量%から95重量%に及んで多様であり得る。
【0036】
本発明の液体燃料組成物の製造を典型的には本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を抗酸化量で燃料と一緒に単一の添加剤組成物(即ち他の種類の燃料添加剤を含有する)としてか或は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を他の少なくとも1種の燃料添加剤と一緒に含有する添加剤濃縮液として混合することで実施する。このように、本発明の添加剤濃縮液は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を約5から約95重量%の範囲内で含有していてもよく、100重量%に対する残りは他の1種以上の添加剤および場合により希釈剤、溶媒または担体流体であってもよいが、全部本添加剤濃縮液の総重量を基準にした重量%である。その完成した燃料組成物は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を典型的には約0.0001から約0.1重量%の範囲内、好適には約0.001から約0.05重量%の範囲内(全部完成燃料組成物の総重量を基準)の量の抗酸化量で含有する。
【0037】
勿論、本発明の反応生成物の中の1種以上を液状の基質である燃料または油と混合すると本発明の反応生成物はこれをそのような基質である燃料または油に添加した時ともはや正確に同じ組成および形態では存在しないことは理解されるであろう。例えば、それらは当該燃料もしくは油に入っている他の成分の中の1種以上と相互作用する可能性がありそして/またはそれらは当該基質である燃料もしくは油に溶解することで複合体を形成するか或は他の様式で変化する可能性もある。しかしながら、完成燃料もしくは潤滑油はこれに本発明の1種以上の反応生成物を添加したことから抗酸化特性を有することで、そのような基質が希釈された時にそのような変換が起こったとしてもそれは問題にならない。本発明に関して問題になる事項は、そのような希釈を行った時にどのような物が生じようともそれが抗酸化剤として有効であることである。従って、「の範囲内で含有」、「の中」
などの如き表現を本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を言及する時に用いる場合、それは、液体燃料または基油のいずれかおよび/または他のいずれかの成分とブレンドまたは混合する直前にそれが存在していたかのように本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を言及するとして理解されるべきである。
【0038】
また、完成潤滑油に入れる本発明の反応生成物の量は潤滑油の種類、用いる本発明の1種以上の反応生成物の同定および要求される性能の所望レベルに応じて変わることも理解されるであろう。例えば、タービンオイルに入れる本発明の反応生成物1種または2種以上の濃度はしばしば完成タービンオイルの総重量を基準にして約0.05から約1.0重量%に及んで多様である。しかしながら、エンジンオイルに入れる濃度は典型的にエンジンオイルの総重量を基準にして約0.2から約2重量%に及んで多様である。低燐エンジンオイルに入れる濃度は低燐エンジンオイルの総重量を基準にして約0.3から約3重量%に及んで多様であり得る。無燐エンジンオイルに入れる濃度は、無燐エンジンオイルの総重量を基準にして約4または5重量%の如く高くてもよい。重量%は全部あらゆる添加剤などを含有する完成油の総重量を基準にした重量%であることは理解されるであろう。本発明の反応生成物を適切に用いると、これは抗酸化剤組成物として働く。このように、本発明は、また、酸化の度合を低下させ、粘度上昇および重合の度合を低下させ、酸生成度合を低下させかつ潤滑油の塩基性を維持させ(TANおよびTBN)、ワニスおよび付着物の生成度合を低下させ、摩擦および摩耗の度合を低下させ、酸化および付着物の制御に関してZDDPおよび燐への依存度を低下させ、上述したあらゆる潤滑油の使用可能寿命を長引かせかつオイル交換および車整備の回数を低下させる新規な改良方法も提供する。そのような方法の各々で本発明の少なくとも1種の新規な生成物が抗酸化量で混ざり合っている潤滑粘度の油を含有して成る本発明の潤滑油組成物を潤滑油として用いる。本発明の更に別の方法は潤滑油の酸化安定性を向上させる方法であり、この方法は、潤滑油に本発明の少なくとも1種の反応生成物を酸化安定性を向上させる量で混合することを含んで成る。このようにして、油の酸化安定性が本発明の反応生成物を含有しない同じ油に比べて有意に向上する。
【0039】
本発明のエンジンオイル組成物の一例は、下記:
・ 洗浄剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として0.5から5.0重量%
・ 分散剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として1.0から10.0重量%
・ ジアルキルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP):高純度成分として0.1から1.5重量%(この量を低くする方が好適である)
・ 任意成分としての粘度調整剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を5から50重量%含有]として1.0から15.0重量%
・ 1種以上の追加的任意成分としての追加的抗酸化剤1種または2種以上:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として0.01から1.0重量%
・ 1種以上の任意成分としての下記の追加的添加剤を当該添加剤1種または2種以上が意図した機能を示すに充分な使用量:1種以上の摩擦調整剤、補足的抗摩耗添加剤、消泡剤、シールスウェル剤、乳化剤、解乳化剤、極圧添加剤、腐食防止剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤および/または錆防止剤
・ 本発明の少なくとも1種の生成物:0.1−2.5重量%[100重量%に対する残りを1種以上の基油で構成]
を含有して成る成分を一緒に混合することで生じさせた組成物である。重量%は全部あらゆる添加剤などを含有する完成油の総重量を基準にした重量%であることは理解されるであろう。
【0040】
本発明では、また、本発明の少なくとも1種の反応生成物を
1)少なくとも1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤
2)少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン系抗酸化剤
3)少なくとも1種の有機モリブデン化合物
4)少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミンおよび少なくとも1種の有機モリブデン化合物
5)少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤
6)少なくとも1種のモリブデン含有もしくはホウ素含有分散剤
7)少なくとも1種の有機ホウ素化合物
8)少なくとも1種の有機ホウ素化合物および少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン
9)少なくとも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤
10)少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合物
11)少なくとも1種の基油もしくは加工油
と一緒にすることで構成させた新規な組成物も提供する。このパラグラフに記述した組成物が1)−11)の中のいずれか1つまたは1)−11)の中のいずれか2つ以上の組み合わせを含有していてもよいことは本発明の範囲内であることは理解されるであろう。
【0041】
本発明の生成物の製造方法
本発明の高分子反応生成物の製造は、例えば下記:
(A)立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノール、好適には立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジアルキルフェノール、より好適には4−アルコキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール(アルコキシメチル基はエトキシメチルまたはメトキシメチルである)、更により好適には4−メトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、または立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノール、好適には立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジアルキルフェノール、より好適には4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、および
(B)芳香環を分子中に1から約4の範囲内の数で有しかつ環が複数の時には縮合環もしくは単結合環または両方の形態でありかつ第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR、ここで、Rは炭素原子数が約18以下のヒドロカルビル基である)または第三級アミノ基(NR、ここで、各Rは独立して炭素原子数が約18以下のヒドロカルビル基である)を少なくとも1個、好適にはそのような第一級もしくは第二級アミノ基を少なくとも1個有する少なくとも1種の芳香族アミン、または
(B)(a)置換可能水素原子を環上に少なくとも1個有し、(b)各々が炭素原子を3から約24個の範囲内、好適には炭素原子を4から約12個の範囲内の数で有する1個以上の分枝鎖アルキル基で置換されておりかつ(c)場合により各々が炭素原子を1から約3個の範囲内の数で有する1個以上の追加的アルキル側鎖を持っていてもよい少なくとも1種の芳香族アミン、
を反応体として用いることなどで実施可能である。
【0042】
そのような方法では、反応体(A)と反応体(B)を(C)アルキル化用触媒および場合により(D)有機溶媒の存在下で一緒にすることでとりわけ抗酸化剤として用いるに適した反応生成物を生じさせる。
【0043】
成分(A)
本発明の方法で反応体として用いる立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールもしくは4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールは、かなり大きな群の化合物のいずれであってもよい。ヒドロキシル基を持つ炭素原子
に対してオルソ位に位置するヒドロカルビル基は一価の如何なる炭化水素基であってもよいが、但し結果としてもたらされる2位と6位の置換によってヒドロキシル基が立体障害を受けることを条件とする。立体障害を達成するには前記オルソ位の炭素原子総数が典型的には少なくとも4または5になるようにする必要がある。オルソ位に位置させることができる適切なヒドロカルビル基はとりわけアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリールおよびアラルキルであり、かつ環式部分は、飽和もしくは不飽和であるかに拘わらず、アルキルで置換されていてもよい。アルキルおよびアルケニル基は直鎖もしくは分枝していてもよい。オルソ位に位置させる個々のヒドロカルビル基各々の炭素原子数は1から約12の範囲内であってもよく、オルソ位に位置させるそれらの炭素原子総数は炭素原子数が約4から約18の範囲内、好適には炭素原子数が8から約16の範囲内になるような総数であってもよい。オルソ位の中の少なくとも一方が第三アルキル基で置換されている4−アルコキシメチルフェノールもしくは4−ヒドロキシメチルフェノールが好適である。そのアルコキシ基は直鎖もしくは分枝していてもよく、それの炭素原子数は約18以下、好適には炭素原子数は約6以下であってもよい。アルコキシ基がエトキシ、より好適にはアルコキシ基がメトキシである4−アルコキシメチルヒンダードフェノールが好適である。アルキルもしくはアルケニル基が分枝している場合、その分枝の場所はアルキルもしくはアルケニル基の中の如何なる場所(第二アルキル基のアルファ−炭素原子の所を包含)であってもよく[例えばイソプロピルまたはs−ブチルの如く]、またはより離れた場所であってもよい[例えば2−エチルヘキシルの場合のようにベータ位など]。また、アルキルもしくはアルケニル基が有する分枝の数は如何なる数であってもよく、例えば1,1,3,3−テトラメチルブチル基の場合のように4個の分枝が存在していてもよい。
【0044】
適切な立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェニルの非限定例には、4−エトキシメチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ブトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヘキサデシルオキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−デシルオキシメチル−2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、4−ヘキシルオキシメチル−2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール、4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−フェニルフェノール、4−プロポキシメチル−2−ベンジル−6−イソプロピルフェノール、4−エトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−メトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよび類似ヒンダードフェノール化合物が含まれる。立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジアルキルフェノールの好適なサブグループは、オルソアルキル基の中の一方がt−ブチルでありかつもう一方がメチル、より好適にはt−ブチルでありかつアルコキシメチル基の総炭素原子数が9であるサブグループである。特に4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノールが好適である。より特別には4−メトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールが好適である。
【0045】
適切な立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールの非限定例には、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−フェニルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−ベンジル−6−イソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよび類似ヒンダードフェノール化合物が含まれる。立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジアルキルフェノールの好適なサブグループは、オルソアルキル基の中の一方がt−ブチルでありかつもう一方がメチル、より好適にはt−ブチルであるサブグループである。特に4
−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノールが好適である。1つの典型的な態様における(A)は4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールである。
【0046】
成分(B)
本発明の実施では、幅広い範囲の芳香族アミンを本発明で用いることを意図する。そのアリール基の環の数は1、2またはそれ以上であってもよく、それらは例えばフェニル、ナフチルなどであってもよくかつ置換されているか或は置換されていなくてもよい。各アリール基の炭素原子数は置換基の性質および置換度に応じて6から36またはそれ以上の範囲内であってもよいが、それの炭素原子数は一般に6から約18である。環の中の少なくとも1個が炭素原子数が3から約24の範囲内、好適には4から約12の範囲内の分枝鎖アルキル基で置換されている置換ジフェニルアミンがそのような種類の置換の例である。
【0047】
適切な芳香族アミンの非限定例には、ジフェニルアミン、ノニル化ジフェニルアミンの1種もしくは混合物(例えばプロピレン三量体とジフェニルアミンから生じた)、ジイソブチレンとジフェニルアミンから生じたオクチル化ジフェニルアミンの1種もしくは混合物、イソブチレンとジフェニルアミンから生じたブチル化ジフェニルアミンの1種もしくは混合物、スチレンとジフェニルアミンから生じたスチレン化ジフェニルアミンの1種もしくは混合物、フェニル−α−ナフチルアミン、プロピレン三量体とフェニル−α−ナフチルアミンから生じたノニル化フェニル−α−ナフチルアミンの1種もしくは混合物、ジイソブチレンとフェニル−α−ナフチルアミンから生じたオクチル化フェニル−α−ナフチルアミンの1種もしくは混合物、イソブチレンとフェニル−α−ナフチルアミンから生じたブチル化フェニル−α−ナフチルアミンの1種もしくは混合物、スチレンとフェニル−α−ナフチルアミンから生じたスチレン化フェニル−α−ナフチルアミンの1種もしくは混合物、オルソ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、N−メチル−o−トルイジン、N−メチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、2,6−ジエチルアニリン、2−エチル−6−メチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、o−t−ブチルアニリン、トリフェニルアミン、2−4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、N−メチル−1−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノ−4’−メチルビフェニルおよび同様なアルキル置換もしくは非置換モノアミンもしくはポリアミンおよび前記のいずれか2種以上の混合物が含まれる。いくつかの態様における(B)はジフェニルアミンであり、そして他の態様における(B)は1種以上のアルキル置換ジフェニルアミンである。
【0048】
成分(C)
本発明の実施では、(A)と(B)の間の反応を助長する目的でアルキル化用触媒を用いてもよく、このように、(A)と(B)の間の反応を本明細書では時にはアルキル化反応と呼ぶ。本明細書で用いるアルキル化反応用触媒は、(A)と(B)の反応を助長することが知られているアルキル化用触媒のいずれからも選択可能である。いくつかの態様における(C)は、好適には、酸性触媒、例えば硫酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホン酸またはアリールアルキルスルホン酸などである。他の適切なアルキル化用触媒の非限定例には、例えば塩酸、臭化水素酸、塩化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム/塩化水素、塩化第二鉄、塩化亜鉛、三塩化アンモニウム、塩化第二錫、三フッ化ホウ素、酸性ゼオライト、酸性粘土および高分子スルホン酸、例えば名称Amberlyst(商標)の下で販売されているそれらが含まれる。
【0049】
成分(D)
本方法を液状の反応用媒体中で実施するが、そのような液状の反応用媒体は、アルキル化反応条件下で液体である反応体の中の1つに由来する媒体であってもよいか或は不活性な有機溶媒の使用に由来する媒体であってもよい。使用可能な有機溶媒の非限定例には、例えば酢酸、プロピオン酸、1種以上のヘキサン異性体、1種以上のヘプタン異性体、1種以上のオクタン異性体、1種以上のデカン、アルカン溶媒、例えば上述した溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの中の1種以上の混合物、二塩化メチレン、二臭化メチレン、ブロモクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、1種以上の塩化および/または臭化溶媒の混合物、例えば上述した溶媒の混合物など、およびアルカノール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコールおよび他の液状もしくは低沸点の類似アルカノールなどの中の1種または混合物、および1種以上のエーテル、例えばジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはこれらの混合物などが含まれる。いくつかの態様における溶媒は炭化水素溶媒である。好適な態様では(D)を本発明の実施で用いる。
【0050】
工程条件
本発明の高分子反応生成物を生じさせる時に用いる方法を典型的には約20℃から約160℃またはそれ以上の範囲の中の1つ以上の温度で実施する。いくつかの態様では、この方法を40℃以上、好適には70℃から約160℃またはそれ以上の範囲の中の1つ以上の温度で実施する。本発明者らは、本発明の反応生成物をもたらすには前記範囲内の反応温度がより適切であることが見いだした。更に、本発明者らは、温度をより高くする、即ち40℃以上にすると本工程がより速く進行することで以前に考えていた時間よりも短い時間内に完了に到達し得ることも見いだした。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを(A)として用いる場合の反応は、室温(約23℃)で2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールが約1当量消費されるまでは比較的速い速度で始まる傾向がある。その後、反応の進行がより遅くなる傾向があり、従って、追加的熱エネルギーをかける必要がありそして/または追加的触媒を用いる必要がある。しかしながら、温度をより高くする、即ち40℃以上にすると、前記反応がより速く進行することでより短い時間内に完了に到達し得る。
【0051】
沸点がより低い反応体および/または溶媒を用いる時には反応を加圧下で実施してもよいか或は反応を冷却器の存在下で実施してもよい。たいていは、その反応の結果として電子が豊富に存在する活性環上にアルキル化が起こる。ある場合には、アルキル化が窒素原子上に起こることもあり得る。
【0052】
本発明者らは、(A)と(B)の相対的モル比を変えることによって以下に記述する如きいろいろな高分子反応生成物を生じさせることができかつそのような高分子反応生成物を抗酸化剤として用いることができることを見いだした。いくつかの態様では、(A)と(B)を(B)対(A)のモル比が約1:1から約1:10の範囲内、好適には約1:1から約1:7の範囲内になるように用い、いくつかの態様では、(B)対(A)のモル比を約1:3から約1:10の範囲内、好適には約1:3から約1:7の範囲内にする。好適な態様では、(B)対(A)のモル比を約1:1、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、約1:5、約1:5.5、約1:6、約1:6.5または約1:7のいずれかにしてもよい。
【0053】
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当業者は、本発明の精神を実施する目的で等しく有効な他の手段を考案することができることを認識するであろう。また、本発明の好適な態様では本明細書に考察する範囲の全部がより低いいずれ
かの量からより高いいずれかの量の範囲を包含することを意図することも注目すべきである。
【0054】
以下の実施例は本発明を例示するものであり、決して限定を意味するものでない。
【0055】
[実施例]
【実施例1】
【0056】
この実施では、一アルキル置換ジフェニルアミンが比較的豊富に存在する分枝鎖ノニルジフェニルアミン(NDPA)混合物を反応体の1つとして用いた。このNDPAの組成はGC分析(面積%)で示されるように下記の如くであった:遊離DPAが1.50;オルソ−一アルキル置換DPAが0.33;パラ−一アルキル置換DPAが21.90;オルソ−二アルキル置換DPAが3.29;パラ−二アルキル置換DPAが65.54および三アルキル置換DPAが7.33(アルキル基は主に分枝鎖ノニル基である)。用いた他の反応体は2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールである。このように、500mLの丸底フラスコに分枝鎖ノニルジフェニルアミンを25.1g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを4.0g、塩化メチレンを80g、酢酸を108gおよび濃硫酸である触媒を1.6g仕込んだ。その混合物を60℃に1時間加熱した後、100gのエーテルと100gの水で希釈した。相分離を実施した後、その有機相を水(3x200g)で洗浄しそしてMgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去することで濃密な暗色の油を25.3g得たが、それが本発明の生成物を構成していた。
【0057】
本発明のそのような生成物が抗酸化剤として有効であることを標準的酸化試験手順(ASTM D 6186)を用いて示したが、この手順では、添加剤を指定量で含有させておいた潤滑油に酸化を酸素を仕込んで160℃の温度に加熱しておいた耐圧容器内で500psigの初期高圧下で受けさせる。当該組成物の安定性は圧力降下が起こる前の誘導時間(OIT)が長ければ長いほど高い。
【0058】
そのような1つの試験では、実施例1で生じさせるアルキル置換NDPAのサンプルを抗酸化剤として用いた。それをEHC 60油(100℃における動粘度が6.1cStで粘度指数が114でNoack揮発性が8重量%の基鉱油;ExxonMobil)と混合した後、その結果として得た混合物に上述した酸化試験手順を受けさせた。比較の目的で、また、NDPAを単独で別の部分の同じ基油と混合した実験および2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを単独で別の部分の同じ基油と混合した実験も実施した。これらの試験の結果を表1に要約する。
【0059】
【表1】

【実施例2】
【0060】
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。ジフェニルアミン(0.02モル、3.4g)をジクロロメンタン(20mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を10mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.12モル、30g)をジクロロメタン(60mL)に入れることで生じさせた溶液を室温で少しずつ増やしながら(約2mL/分)添加した。最初の1当量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを添加している間に発熱反応が起こったが、添加を継続すると止んだ。その反応混合物を40−45℃にしそして2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールの添加を5時間で完了した。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。酸性相を分離した後、有機相を水(2x30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(1x30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を水アスピレーター圧力下で蒸発させることで明黄色/オレンジ色の固体を得た。NMRおよびLC−Massで分析した結果、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(14%)、五置換異性体(5%)、六置換異性体(30%)および分子量がより高い成分(51%)が存在することが分かった。PDSCで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25%の時には99分であり、0.50%の時には123分でありそして0.75%の時には136分であった。
【実施例3】
【0061】
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。ジフェニルアミン(0.1モル、16.9g)をジクロロメンタン(40mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を10mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.3モル、75g)をジクロロメタン(130mL)に入れることで生じさせた溶液を室温で少しずつ増やしながら添加した。最初の1当量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを添加している間に発熱反応が起こったが、添加を継続すると止んだ。その反応混合物を40−45℃にしそして2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールの添加を3時間で完了した。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。酸性相を分離した後、有機相を水(2x30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(1x30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を水アスピレーター圧力下で蒸発させることで明黄色/オレンジ色の固体を得た。NMRおよびLC−Massで分析した結果、一置換異性体(6%)、二置換異性体(26%)、三置換異性体(29%)、四置換異性体(28%)、五置換異性体(5%)が存在することが分かった。PDSCで測定した酸化防止時間(OIT)は、充填率が0.25%の時には138分であり、0.50%の時には170分でありそして0.75%の時には191分であった。
【実施例4】
【0062】
4つ口フラスコに機械的撹拌機、滴下漏斗、冷却器、窒素入り口および温度探針を装備した。この反応槽にジフェニルアミン(38.9g)、トルエン(175mL)、濃硫酸(3g、98%)および酢酸(6g)を仕込んだ。その反応混合物を撹拌しながら約70℃に加熱し、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(300g)をトルエン(350mL)に入れることで生じさせた温溶液を約70℃で2時間かけて仕込んだ後、共生成物であるメタノールを塔頂から留出させた。そのような条件にすると反応が全体で6時間後に完了した。その反応混合物を水(2x200mL)で洗浄した。トルエンを蒸留で除去した後、その結果として得た油状残留物に熱処理(60−80℃で2−10mmHg)を1時間受けさせた。その結果として得た油状生成物を室温に放置すると固化した。HPLCによる分析の結果、一置換ジフェニルアミン生成物はゼロパーセントであり、二置換生成物もゼロパーセントであり、三置換生成物は1%であり、四置換生成物は14%であり、五置換生成物は43%であり、六置換生成物は24%であることが分かった。加うるに、サンプル中に4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が3.4重量%およびメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が15%存在することを同定した。
【実施例5】
【0063】
使用するジフェニルアミン/2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールのモル比を1:3にする以外は実施例3と同じ手順を用いた。その生成物は一置換ジフェニルアミン生成物を1%、二置換生成物を17%、三置換生成物を36%、四置換生成物を22%、五置換生成物を2%、六置換生成物を1%含有していた。加うるに、サンプル中に4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が4.3重量%およびメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が15%存在することを同定した。
【実施例6】
【0064】
使用するジフェニルアミン/2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールのモル比を1:4にする以外は実施例3と同じ手順を用いた。その生成物は一置換ジフェニルアミン生成物を1%、二置換生成物を1%、三置換生成物を14%、四置換生成物を34%、五置換生成物を11%、六置換生成物を1%含有していた。加うるに、サンプル中に4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が6.0重量%およびメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が26%存在することを同定した。
【実施例7】
【0065】
硫酸の代わりにメタンスルホン酸を用いる以外は実施例5の手順と同じ手順を試みた。その生成物は一置換ジフェニルアミン生成物を1%、二置換生成物を2%、三置換生成物を13%、四置換生成物を40%、五置換生成物を23%、六置換生成物を3%含有していた。加うるに、サンプル中に4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が4.7重量%およびメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が13%存在することを同定した。
【実施例8】
【0066】
トルエンの代わりにメタノールを用いかつ硫酸の代わりにAmberlyst(商標)35触媒を用いる以外は実施例3の手順と同じ手順を試みた。その生成物は一置換ジフェニルアミン生成物を0.5%、二置換生成物を3%、三置換生成物を19%、四置換生成物を56%、五置換生成物を15%、六置換生成物を0.5%含有していた。加うるに、サンプル中に4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が1.7重量%およびメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が4%存在することを同定した

【実施例9】
【0067】
ジフェニルアミン(「DPA」)と2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(「フェノール」)を用いて本発明に従う抗酸化剤組成物を数種類製造した。使用した成分のモル比および条件に加えてそのようにして生じさせた抗酸化剤生成物の含有量を以下の表1に含める。
【0068】
【表2】

【0069】
表1に示した生成物は全部が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)を2−3.5重量%の量で含有していた。
【0070】
(比較実施例1)
米国特許第3,673,091号に記述されている方法を反復した。その生成物をLC−Massで分析した結果、未反応ジフェニルアミンを35%、一置換生成物を43%、二置換生成物を16%および三置換生成物を2%含有することに加えて置換度がより高い異性体の含有量は1%未満であった。そのようにして生じさせた抗酸化剤生成物の成分およびそれらの量を以下の表2に示す。
【0071】
(比較実施例2)
米国特許第3,673,091号に記述されている方法をジフェニルアミンと2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコールのモル比を1:4にして反復した。その単離した生成物は一置換異性体を20%、二置換異性体を36%、三置換異性体を21%、四置換異性体を3%含有し、五置換異性体の含有量は0.5%未満であり、六置換異性体の含有量は0.1%未満でありかつメチレン橋渡し異性体の量はゼロであった。そのようにして生じさせた抗酸化剤生成物の成分およびそれらの量を以下の表2に示す。
【0072】
(比較実施例3)
ジフェニルアミンと2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール(「アルコール」)の反応を使用するモル比を変えて実施例2の方法に従って起こさせ、そのモル比および反応時間を表2に示す。そのようにして生じさせた抗酸化剤生成物の成分およびそれらの量を以下の表2に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
表1に示した生成物は全部が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)を0.1−7.0重量%の量で含有していた。
【0075】
また、本発明の新規な生成物は天然もしくは合成ゴムもしくは弾性重合体および合成重合体、特に熱可塑性オリゴマー、熱可塑性重合体および熱可塑性樹脂に入れて用いる抗酸化剤としても有効である。そのような材料を空気または酸素の存在下で使用または貯蔵している間にそれらが起こす酸化劣化を防止するには一般に約10重量%以下の量で充分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンおよびvi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミン、およびvii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンを含有して成る高分子抗酸化剤生成物であって、室温で液体であるか或は約100℃未満で溶融する固体でありかつ液状炭化水素溶媒に溶解し得かつ下記の一般式:
【化1】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約10重量%の範囲内の量で含有する高分子抗酸化剤生成物。
【請求項2】
i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミンの含有量が約5重量%未満であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミンの含有量が約10重量%未満であり、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミンの含有量が約1重量%から約35重量%の範囲内であり、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミン、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミン、vi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の芳香族アミンの中の少なくとも1種の含有量が40重量%以上でありかつvii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が約1から約20重量%の範囲内でありかつあらゆる重量%が高分子反応生成物の総重量を基準にした重量%である高分子反応生成物であって、室温で液体であるか或は約100℃未満で溶融する固体でありかつ下記の一般式:
【化2】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約10重量%の範囲内の量で含有する高分子反応生成物。
【請求項3】
i)とii)の含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%未満である請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項4】
下記の特性:
a)未反応の芳香族アミン出発材料を実質的に含有しないこと、
b)フェノール系出発材料を実質的に含有しないこと、
c)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
芳香族アミンを実質的に含有しないこと、
の中の1つ以上を有することを特徴とする請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項5】
vii)の含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1から約15重量%の範囲内である請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項6】
下記の一般式である式I:
【化3】

[式中、RはHまたはヒドロカルビルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、RおよびRは3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RおよびRは独立してHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であり、pおよびqは整数であり、そしてp+qは約1から約10の範囲内であり、n=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項7】
下記の一般式:
【化4】

[ここで、式IIおよびIIIの各R、R、RおよびRは独立してHまたはヒドロカルビルであり、各RおよびR’は独立して水素または炭素を約1から約8の範囲内
の数で含有する分枝もしくは直鎖アルキルであり、式IIの各pおよびqは独立して約1から約10の範囲内の整数であり、そしてp+qは約10であり、式IIIの各pおよびqは独立して整数であり、そしてp+qは約1から約12の範囲内である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項8】
前記1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンが式II、式IIIまたは式IIと式IIIで表される請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項9】
i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%未満
であり、
ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約10重量%未
満であり、
iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1重量%
から約35重量%の範囲内であり、
iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約10重量%か
ら約65重量%の範囲内であり、
v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%から約6
0重量%の範囲内であり、
vi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されてい
る芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1重量%から
約50重量%の範囲内であり、
vii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換さ
れている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が約1から約15重量
%の範囲内であり、かつ下記の一般式:
【化5】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約5重量%の範囲内の量で含有するか、或は
i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1重量%未満であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%未満であり、
iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%から約25重量%の範囲内であり、
iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約15重量%から約60重量%の範囲内であり、
v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約8重量%から約50重量%の範囲内であり、
vi)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量%から約35重量%の範囲内であり、
vii)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1から約10重量%の範囲内であり、かつ下記の一般式:
【化6】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約5重量%の範囲内の量で含有する、
請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項10】
下記の特性:
a)未反応の芳香族アミン出発材料を実質的に含有しないこと、
b)フェノール系出発材料を実質的に含有しないこと、
c)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
芳香族アミンを実質的に含有しないこと、
の中の1つ以上を有することを特徴とする請求項9記載の高分子反応生成物。
【請求項11】
下記の化合物:
【化7】

【化8】

の中の1種以上を含有する請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項12】
空気または酸素の存在下で酸化を受け易い1種以上の有機材料および
a)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量
%未満であり、
b)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約10重
量%未満であり、
c)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1重量
%から約35重量%の範囲内であり、
d)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約10重
量%から約65重量%の範囲内であり、
e)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約5重量
%から約60重量%の範囲内であり、
f)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約1重量
%から約50重量%の範囲内であり、かつ
g)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が高分子反応生成物の総重量を
基準にして約1から約20重量%の範囲内であり、かつ下記の一般式:
【化9】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約10重量%の範囲内の量で含有する、抗酸化剤生成物から生じさせた組成物。
【請求項13】
前記抗酸化剤生成物が下記の一般式である式I:
【化10】

[式中、RはHまたはヒドロカルビルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、RおよびRは3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RおよびRは独立してHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であり、pおよびqは整数であり、そしてp+qは約1から約10の範囲内であり、n=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンが式II、式IIIまたは式IIと式IIIで表される請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記抗酸化剤生成物が下記の化合物:
【化11】

の中の1種以上を含有する請求項12記載の組成物。
【請求項16】
前記抗酸化剤生成物が1個の3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンを実質的に含有しない請求項13記載の組成物。
【請求項17】
更に1種以上の分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、アンチノック剤、防氷剤、粘度指数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤、可溶化剤、消泡剤、他の抗酸化剤もしくは安定剤、希釈剤、溶媒、担体流体またはジアルキルジチオ燐酸亜鉛、少なくとも1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン系抗酸化剤、少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミンと少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤、少なくとも1種のモリブデン含有もしくはホウ素含有分散剤、少なくとも1種の有機ホウ素化合物、少なくとも1種の有機ホウ素化合物と少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン、少なくとも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合物も含有して成る請求項13記載の組成物。
【請求項18】
前記1種以上の有機材料が1種以上の熱可塑性重合体、樹脂もしくはオリゴマー;天然
もしくは合成ゴムもしくは弾性重合体;グループI、IIおよびIIIの鉱油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得られた油、バイオが基になった油、内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガスエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイルおよびグリースである請求項13記載の組成物。
【請求項19】
a)グループI、IIおよびIIIの鉱油から選択される潤滑粘度を有する少なくとも
1種の油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得ら
れた油、バイオが基になった油、内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガ
スエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイ
ル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、
マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイルおよびグ
リースから選択される空気または酸素の存在下で酸化され易い1種以上の有機材料

b)i)(1)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約5重量%未満であり、
(2)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約10重量%未満であり、
(3)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約1重量%から約35重量%の範囲内であり、
(4)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約10重量%から約65重量%の範囲内であり、
(5)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約5重量%から約60重量%の範囲内であり、
(6)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物1の総重量を基準にし
て約1重量%から約50重量%の範囲内であり、
(7)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で
置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が抗酸化
剤生成物1の総重量を基準にして約1から約20重量%の範囲内であり、
かつ下記の一般式:
【化12】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約10重量%の範囲内の量で含有する、抗酸化剤生成物1、または
ii)(1)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約1重量%未満であり、
(2)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約5重量%未満であり、
(3)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約5重量%から約25重量%の範囲内であり、
(4)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約15重量%から約60重量%の範囲内であり、
(5)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約8重量%から約50重量%の範囲内であり、
(6)6個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換
されている芳香族アミンの含有量が抗酸化剤生成物2の総重量を基準にし
て約5重量%から約35重量%の範囲内であり、かつ
(7)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で
置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンの含有量が抗酸化
剤生成物2の総重量を基準にして約1から約20重量%の範囲内であり、
かつ下記の一般式:
【化13】

[式中、各RおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上のフェノール成分を約1から約10重量%の範囲内の量で含有する、抗酸化剤生成物2、
から選択される抗酸化剤生成物、
c)分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、アンチノック剤、防氷剤、粘度指数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤、可溶化剤、消泡剤、他の抗酸化剤もしくは安定剤、希釈剤、溶媒、担体流体またはジアルキルジチオ燐酸亜鉛、少なくとも1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン系抗酸化剤、少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミンと少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤、少なくとも1種のモリブデン含有もしくはホウ素含有分散剤、少なくとも1種の有機ホウ素化合物、少なくとも1種の有機ホウ素化合物と少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン、少なくとも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合物から選択される1種以上の添加剤、
を含有して成る組成物。
【請求項20】
前記抗酸化剤生成物が下記の一般式である式I:
【化14】

[式中、RはHまたはヒドロカルビルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、RおよびRは3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RおよびRは独立してHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であ
り、pおよびqは整数であり、そしてp+qは約1から約10の範囲内であり、n=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記抗酸化剤組成物が式IIおよび式IIIで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項20記載の組成物。
【請求項22】
前記抗酸化剤生成物が下記の化合物:
【化15】

【化16】

の中の1種以上を含有する請求項20記載の組成物。
【請求項23】
前記抗酸化剤生成物が1個の3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンを実質的に含有しないか或は1個の3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンを実質的に含有せずかつ2個の3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている芳香族アミンを実質的に含有しない請求項19記載の組成物。
【請求項24】
b)とc)が少なくとも1種以上の油と一緒に濃縮液として混合されておりかつ前記濃縮液がa)を約5から約95重量%の範囲内の量で含有しかつ希釈用油も含有する請求項19記載の組成物。
【請求項25】
前記抗酸化剤生成物1および抗酸化剤生成物2が含有する1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し芳香族アミンが式II、式IIIまたは式IIと式IIIで表される請求項19記載の組成物。

【公表番号】特表2010−507012(P2010−507012A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533498(P2009−533498)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/081604
【国際公開番号】WO2008/048989
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】