説明

高周波モジュールの製造方法

【課題】 長時間の手作業を要することなく、再利用可能な部材にて、所望の領域に防湿材のマスキングを行う高周波モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】 一方の面に高周波回路を形成し他方の面に高周波回路の地導体パターンを有する基板1に電子部品を載置する工程と、所定の肉厚を有する弾性部材43を基板1側に貼り付けた硬質部材42を基板1の両面に配置する工程と、高周波回路及び地導体パターンが弾性部材43と密接するように両側から硬質部材42で基板1を挟み込んで弾性部材43を圧縮させる工程と、基板1に防湿材を塗布する工程と、防湿材を塗布した後に硬質部材42を除去する工程と、地導体パターンに導電性の筐体11を当接させる工程とを備え、軟質部材43と密接していた領域を除いて防湿材を基板1に選択的に付着させると共に地導体パターンと筐体11とを導通させて高周波接地するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信装置、レーダ装置、ECM装置など主として屋外装置に搭載されるマイクロ波・ミリ波モジュールなどの高周波モジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外装置に用いられる高周波モジュールでは、外部からの水分の浸入により、電源回路、制御回路などに搭載する半導体素子の絶縁性低下による故障を防止するため、防湿材として、一般的にアクリルやポリウレタンなどを主成分とした耐湿性に優れた絶縁コーティング剤を用いる。しかし、高周波モジュールにおいては、モジュールケースと高周波回路基板裏面にあるGNDパターンとの導通が必要であり、絶縁性を有する防湿材は塗布しない。そのため、高周波回路領域と電源回路や制御回路領域とを同一基板に実装するような回路基板においては選択的に防湿材を塗布する。特に製造数量の少ない基板においては、ブラシ塗布等の手作業、あるいはマスキングテープを用いてマスキング後に防湿材をスプレー塗布することにより塗布しない領域を選択する方法が一般的である。
【0003】
例えば、特開平6−154663号公報(特許文献1参照)の段落〔0029〕には、回路基板12に絶縁性コーティング材料14をスプレーするために使用するもので、空気補助アタッチメント20を備えたエアレス・ノズル・アッセンブリ18を具備し、二つの動作モードで、絶縁性コーティング材料14を回路基板の選択領域に塗布するが、被覆すべきでない領域、即ち非被覆領域には塗布を行わない空気補助装置が開示されている。
【0004】
また、特開平10−93228号公報図2(特許文献2参照)には、防湿コーティング剤の塗布禁止領域の近傍に防湿コーティング剤を塗布する場合に、防湿コーティング剤が塗布禁止領域に付着するのを防止ため、プリント回路基板1上に設けられた防湿コーティング剤の塗布領域3と、防湿コーティング剤の塗布禁止領域5との境界部に、塗布領域3に塗布された防湿コーティング剤が塗布禁止領域5側に流出するのを阻止する境界ライン6,7をスクリーン印刷等によって形成してからマスキングテープを用いるプリント回路基板およびその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−154663号公報(段落0029)
【特許文献2】特開平10−93228号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスプレジェットノズルを用いた方式においては、回路基板12の一部に選択的に防湿材を塗布することが可能であるが、専用の塗布装置や、塗布領域のプログラミング等の比較的大規模な専用塗布装置が必要となり、少量生産には不向きであるという課題がある。
【0007】
特許文献2に記載の防湿材の流出を防ぐ方法は、スクリーン印刷により、境界線を設け、部品の取り付けランド等のごく小さい領域へ防湿材が染み出すことを抑制する効果はあるものの、基板全体にスプレー塗布を行う場合には、マスキングの効果を得ることは困難であるという課題がある。
【0008】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、長時間の手作業を要することなく、再利用可能な部材にて、所望の領域に防湿材のマスキングを行う高周波モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る高周波モジュールの製造方法は、一方の面に高周波回路を形成し他方の面に前記高周波回路の地導体パターンを有する基板に電子部品を載置する工程と、所定の肉厚を有する弾性部材を前記基板側に貼り付けた硬質部材を前記基板の両面に配置する工程と、少なくとも前記高周波回路及び前記地導体パターンが前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させる工程と、前記基板に防湿材を塗布する工程と、前記防湿材を塗布した後に前記硬質部材を除去する工程と、前記地導体パターンに導電性の筐体を当接させる工程とを備え、前記軟質部材と密接していた領域を除いて前記防湿材を前記基板に選択的に付着させると共に前記地導体パターンと前記筐体とを導通させて高周波接地したものである。
【0010】
請求項2に係る高周波モジュールの製造方法は、前記弾性部材より肉厚の大きい大型電子部品の周囲は前記弾性部材に開口部を設け、前記大型電子部品と前記弾性部材とは当接しないようにした請求項1に記載のものである。
【0011】
請求項3に係る高周波モジュールの製造方法は、長手方向の前記基板端部は前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させ、長手方向の前記基板端部に前記防湿材が付着しないようにした請求項1又は2に記載のものである。
【0012】
請求項4に係る高周波モジュールの製造方法は、一方の面に高周波回路を形成し他方の面に前記高周波回路の地導体パターンを有する基板に電子部品を載置する工程と、所定の肉厚を有する弾性部材を前記基板側に貼り付けた硬質部材を前記基板の両面に配置する工程と、少なくとも前記高周波回路及び前記地導体パターンが前記弾性部材と密接するように一端に枢軸部を有する防湿処理装置で前記硬質部材を固定して両側から前記枢軸部を回転させて前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮する工程と、前記基板に防湿材を塗布する工程と、前記防湿材を塗布した後に前記防湿処理装置を含み前記硬質部材を除去する工程と、前記地導体パターンに導電性の筐体を当接させる工程とを備え、前記軟質部材と密接していた領域を除いて前記防湿材を前記基板に選択的に付着させると共に前記地導体パターンと前記筐体とを導通させて高周波接地したものである。
【0013】
請求項5に係る高周波モジュールの製造方法は、前記弾性部材より肉厚の大きい大型電子部品の周囲は前記弾性部材に開口部を設け、前記大型電子部品と前記弾性部材とは当接しないようにした請求項4に記載のものである。
【0014】
請求項6に係る高周波モジュールの製造方法は、長手方向の前記基板端部は前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させ、長手方向の前記基板端部に前記防湿材が付着しないようにした請求項4又は5に記載のものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明による高周波モジュールの製造方法によれば、所望の領域のみに防湿材のマスキングを行うことにより、防湿材による高周波特性の変動や電力損失を生ずることなく防湿性を高めると共に簡易な防湿処理装置を用いることで高周波モジュールの製造コストを低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1による高周波モジュールの平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による高周波モジュールの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による高周波モジュールの防湿材の塗布範囲を説明する平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による高周波モジュールのマスキング方法を説明する図である。
【図5】図4に示す高周波モジュールの断面図である。
【図6】大型部品を搭載する場合のマスキング方法を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1による高周波モジュールの製造フロー図であり、図7(a)は配置工程、図7(b)は圧縮工程、図7(c)は防湿材塗布工程、図7(d)は除去工程を示す。
【図8】この発明の実施の形態2による高周波モジュールの防湿処理装置を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による高周波モジュールの平面図である。図1において、1は高周波線路を含み、電源回路や制御回路を載置するプリント配線板(基板)、2はプリント配線板1に載置された制御回路の一部を構成するフラット形状の信号処理IC(ASIC)、3はプリント配線板1に載置された電源回路の一部を構成する比較的大型の電解コンデンサである。
【0018】
4は高周波信号を増幅する前置増幅器、5は前置増幅器4からの高周波信号を電力増幅するWBG(WIDE BAND GAP)素子やFETトランジスタなどで構成した高出力増幅器、6は送受信伝送経路切換用のサーキュレータ、7は高出力増幅器5などに電源を供給する定電流源などの回路で構成したバイアス回路、8は外部又は外部からの信号を受け渡しするアンテナ接続用のコネクタ、9はシステム側と接続され、送信信号又は受信信号を受け渡しする給電回路接続用のコネクタ、10は電源を含み、送信指示信号や受信信号などを制御する制御信号の受け渡しを行う多芯の電源・制御用コネクタ(多極コネクタ)である。
【0019】
11は一体化した金属の基台(ベース)や枠体で構成され、基板1や電子部品などを収納又は保持する筐体(モジュールケース)であり、11aは筐体11の一部に設けた固定部(穴部)を示す。なお、プリント配線板1に形成された前置増幅器4、高出力増幅器5、サーキュレータ6及びこれらを接続する伝送線路で構成された回路領域を高周波回路部分と称する。また、高周波回路部分に搭載される立体部品の一部又は全部には対応するプリント配線板1裏面に高周波接地パターンがある。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0020】
図2は、この発明の実施の形態1による高周波モジュールの図1に示すA−A断面図である。図2において、12は高周波回路部分の伝送線路に沿って設けられたプリント配線板1の裏面に配置した幅広のグランドパターン(接地導体 地導体パターンとも呼ぶ)、11bは筐体11の一部であり、接地導体12に当接された筐体11の平坦部である。したがって、プリント配線板1の接地導体12と筐体11との接地(GND接続)は、プリント配線板1の裏面グランド(GND)パターンと筐体11との当接により導通がとられる。また、高出力増幅器5、サーキュレータ6などの立体回路部品、コネクタ8、9及びコネクタ10は、プリント配線板1を筐体11にネジ止めなどの方法で固定される。また、信号処理IC2やコンデンサ3などの電子部品などは、半田付け、ワイヤ(導線)、金属リボン等の部材を用いて電気接続される。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0021】
次に電子部品などを保護する防湿材の塗布について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による高周波モジュールの防湿材の塗布範囲を説明する平面図である。図3において、20は高周波回路部分の防湿材塗布禁止領域(マスキング範囲)を示す。21はプリント配線板1の端部に設置する給電回路接続用のコネクタ9や電源・制御用のコネクタ10のあるコネクタ部分、及び一部の電源回路部分の防湿材塗布禁止領域(マスキング範囲)を示す。
【0022】
図4は、この発明の実施の形態1による高周波モジュールのマスキング方法を説明する図である。図4において、30は防湿材が塗布される概略領域、31は実質塗布領域を示す。40はプリント配線板1を周囲から取り囲むように設けた金属構成のクリップ部材、41はクリップ部材40をネジ止めする固定ネジを示す。
【0023】
図5は図4に示すクリップ部材40などを付加した高周波モジュール基板のA−A’断面図である。図5において、42は防湿材塗布領域の一部に開口部を設け、マスキングするための金属等で構成した硬質部材、43は硬質部材42に対応して貼り付けられたシリコンスポンジ等で構成した柔軟性の軟質部材(弾性部材)である。軟質部材43を貼り付けた硬質部材42は、プリント配線板1を囲うように設けられたクリップ部材40を用いて固定ネジ41で固定され、プリント配線基板1を挟み込む。なお、硬質部材42と軟質部材43とを合わせてマスキング部材と呼び、クリップ部材40と固定ネジ41とを合わせて防湿処理装置と呼ぶ。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0024】
防湿材塗布領域に開口部を設けた硬質部材42と軟質部材43とを貼り付けたマスキング部材を上下に配置し、中央にプリント配線板1を挟んでクリップ部材40に設けた固定ネジ41より締め付ける。高周波回路部分に設けられた比較的厚みが小さい高出力増幅器5などの高周波伝送線路に設置された電子部品は、圧縮力が加わっても軟質部材43の弾性作用で加わるストレスに対して保護される。プリント配線板1の高周波回路部分は電子部品配置部分を除き軟質部材43と密接される。
【0025】
同様にプリント配線板1の高周波接地領域は、軟質部材43と密接され、締め付けが十分行われる。コネクタ領域は上下に設けられた軟質部材43で締め付けが十分行われる。したがって、マスキング部材が無い領域に対して実質的に防湿材が塗布される。
【0026】
また、比較的多芯で電極間ピッチが狭いコネクタの端子などでは、防湿材の誘電損失などの影響で高周波駆動を行う回路に漏れ電流などの発生を防止するため防湿材を塗布させないようにコネクタ領域もマスキングを行う。この場合もマスキング部材を上下に配置し、中央にプリント配線板1を挟んでクリップ部材40に設けた固定ネジ41より締め付ける。したがって、プリント配線板1のコネクタ領域は、軟質部材43と密接される。
【0027】
次に比較的肉厚が大きい電子部品をマスキングする場合について説明する。図6は、大型部品を搭載する場合のマスキング方法を説明する図である。フラット形状のICなど部品高さが比較的低い部品では軟質部材43の弾性により、十分にプリント配線板1と軟質部材43とを密接させることは容易であるが、アルミ電解コンデンサ3のような部品高さの高い部品の場合には、軟質部材43の肉厚が小さいときには、軟質部材43の弾性効果が不十分となる。
【0028】
すなわち、プリント配線板1の基板面の凹凸を吸収できず、隙間などが発生し、マスキング効果が十分に得られない。したがって、軟質部材43の弾性により周辺部を良好にマスキングすることが困難な部品高さの高い部品に対応して周囲を軟質部材43の開口部とするように局部的に軟質部材43を除去することにより、プリント配線板1の所望領域全体のマスキングが行えるようにする。
【0029】
以上から、高周波回路部分にマスキング部材を介在させて防湿材の混入を防止し、高周波回路部分裏面に設けられた高周波接地領域にマスキング部材を介在させて防湿材の混入を防止し、多芯コネクタ10を配置したコネクタ領域にマスキング部材を介在させて防湿材の混入を防止することにより、簡易な部材を用いて、マスキングテープ等の長時間の手作業を要することなく、かつ、再利用可能な部材にて、所望の領域のみに防湿材のマスキングを行うことが可能となる効果を奏する。
【0030】
また、アルミ電解コンデンサ3のような、軟質部材43の弾性により周辺部を良好にマスキングすることが困難な部品高さの高い部品を実装したプリント配線板1の場合、その部品の周辺の軟質部材43を開口形状とし、部品高さの高い部品の周囲が十分にマスキングされるようにすることで防湿材の塗布が可能となる。
【0031】
次に高周波モジュールの製造方法について説明する。図7は、この発明の実施の形態1による高周波モジュールの製造フローであり、図7(a)は、防湿材塗布領域に開口部を設けた硬質部材42と軟質部材43とを貼り付けたマスキング部材を上下に配置し、中央にプリント配線板1を配置する工程、図7(b)はプリント配線板1とマスキング部材とを挟んでクリップ部材40により合体させ、固定ネジ41で締め付ける圧縮工程、図7(c)は、防湿材塗布工程、図7(d)は、クリップ部材40を除去して硬質部材42や軟質部材43をプリント配線板1から除去する工程を示す。
【0032】
図7において、まず、高周波回路部分に設置した高出力増幅器5や高周波接地領域を有するプリント配線板1に信号処理IC2やコンデンサ3などの電子部品を半田付けなどで電気接続して載置する。(電子部品載置工程)。
【0033】
次に高周波回路部分及び高周波接地領域に、軟質部材43をプリント配線板1側に配置した硬質部材42をプリント配線板1の両面(両側)に配置する。(硬質部材配置工程)。
【0034】
次に軟質部材43とプリント配線板1とが密接するように硬質部材42でプリント配線板1を挟み込んでプリント配線板1の両側から軟質部材43を圧縮させる。(圧縮工程)。
【0035】
次にプリント配線板1両面にスプレーで防湿材を塗布する。(防湿材塗布工程)。
【0036】
次に防湿材を塗布した後に軟質部材43と硬質部材42を除去する。(硬質部材除去工程)。
【0037】
次にプリント配線基板1の高周波接地領域に導電性の筐体11を当接させる。(組立工程)。
【0038】
以上のように、高周波回路部分及び高周波接地領域は防湿材の付着を除去するほかに長手方向のプリント配線板1端部に設置されたコネクタ領域には防湿材を塗布しないように選択的に防湿材を付着させることでコネクタの電極間ピッチが高密度であっても入出力信号の漏れやリーク電流の発生を防止する。
【0039】
また、軟質部材43より肉厚の大きい大型電子部品3の周囲は軟質部材43に開口部を設け、大型電子部品3と軟質部材43とが接触しないようにすることで所定の軟質部材43の肉厚でプリント配線板1と密接させることが可能になる。なお、超大型のアルミ電解コンデンサなどで耐湿性に影響を与えるものにあっては、対応する軟質部材43の開口部に加えて硬質部材42に開口部を設けて選択的に多めに防湿材を塗布しても良い。
【0040】
さらに、シリコンモールド材などであらかじめ耐湿性能が確保した電子部品にあっては、防湿材の塗布は不要なので防湿材の塗布を硬質部材42を用いて選択的に塗布しないようにしても良い。
【0041】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について図を用いて説明する。図8は、この発明の実施の形態2による高周波モジュールの防湿処理装置を説明する側面図である。図8において50はクリップ部材40に取り付けられた蝶番型の回転機構部(枢軸部)、51は機構的な凹凸を嵌合させるなどの方法で、クリップ部材40の上下をロックするロック機構部を示す。このような回転機構部50とロック機構部51とを備えたクリップ部材40では、固定ネジ41の着脱に要する時間が不要となるため、より簡便に防湿材塗布のマスキングを行うことが容易になる。また、本図では、蝶番型の回転機構部50の場合を示したが、クリップ部材40を上下にスライドさせ、密着時に回転機構部50の場合と同様にロックさせる機構によって、上下のマスキング部材をプリント配線板1に密着させるような機構としても同様の効果を奏する。図中、図5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0042】
以上から、クリップ部材40にロック機能を有したスライド機構又は回転機構を設け、スライド機構あるいは回転機構でマスキング部材とプリント配線板1との合体・分離を容易に行えるようにしたのでマスキングテープ等の長時間の手作業を要することなく、かつ、再利用可能な部材にて、所望の領域のみに防湿材のマスキングを行うことが可能となる。
【0043】
実施の形態1及び2では、回路基板としてプリント配線板1で説明したが、ガラス基板やセラミック基板を用いた基板であっても相応の効果を奏する。
【符号の説明】
【0044】
1・・・基板(プリント配線板) 2・・・信号処理IC(電子部品)
3・・・電解コンデンサ(電子部品) 4・・・前置増幅器
5・・・高出力増幅器 6・・・サーキュレータ
7・・・バイアス回路 8・・・アンテナ接続用のコネクタ(コネクタ)
9・・・コネクタ(給電回路用のコネクタ)
10・・・多芯コネクタ(電源・制御用のコネクタ)
11・・・筐体(モジュールケース)
11a・・・固定部(穴部) 11b・・・平坦部
12・・・グランドパターン(地導体パターン)
20・・・高周波回路部分の防湿材塗布禁止領域(マスキング範囲)
21・・・コネクタ部分の防湿材塗布禁止領域(マスキング範囲)
30・・・防湿材が塗布される概略領域
31・・・実質塗布領域
40・・・クリップ部材
41・・・固定ネジ
42・・・硬質部材
43・・・軟質部材(弾性部材)
50・・・回転機構部(枢軸部)
51・・・ロック機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に高周波回路を形成し他方の面に前記高周波回路の地導体パターンを有する基板に電子部品を載置する工程と、所定の肉厚を有する弾性部材を前記基板側に貼り付けた硬質部材を前記基板の両面に配置する工程と、少なくとも前記高周波回路及び前記地導体パターンが前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させる工程と、前記基板に防湿材を塗布する工程と、前記防湿材を塗布した後に前記硬質部材を除去する工程と、前記地導体パターンに導電性の筐体を当接させる工程とを備え、前記軟質部材と密接していた領域を除いて前記防湿材を前記基板に選択的に付着させると共に前記地導体パターンと前記筐体とを導通させて高周波接地した高周波モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記弾性部材より肉厚の大きい大型電子部品の周囲は前記弾性部材に開口部を設け、前記大型電子部品と前記弾性部材とは当接しないようにした請求項1に記載の高周波モジュールの製造方法。
【請求項3】
長手方向の前記基板端部は前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させ、長手方向の前記基板端部に前記防湿材が付着しないようにした請求項1又は2に記載の高周波モジュールの製造方法。
【請求項4】
一方の面に高周波回路を形成し他方の面に前記高周波回路の地導体パターンを有する基板に電子部品を載置する工程と、所定の肉厚を有する弾性部材を前記基板側に貼り付けた硬質部材を前記基板の両面に配置する工程と、少なくとも前記高周波回路及び前記地導体パターンが前記弾性部材と密接するように一端に枢軸部を有する防湿処理装置で前記硬質部材を固定して両側から前記枢軸部を回転させて前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮する工程と、前記基板に防湿材を塗布する工程と、前記防湿材を塗布した後に前記防湿処理装置を含み前記硬質部材を除去する工程と、前記地導体パターンに導電性の筐体を当接させる工程とを備え、前記軟質部材と密接していた領域を除いて前記防湿材を前記基板に選択的に付着させると共に前記地導体パターンと前記筐体とを導通させて高周波接地した高周波モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記弾性部材より肉厚の大きい大型電子部品の周囲は前記弾性部材に開口部を設け、前記大型電子部品と前記弾性部材とは当接しないようにした請求項4に記載の高周波モジュールの製造方法。
【請求項6】
長手方向の前記基板端部は前記弾性部材と密接するように両側から前記硬質部材で前記基板を挟み込んで前記弾性部材を圧縮させ、長手方向の前記基板端部に前記防湿材が付着しないようにした請求項4又は5に記載の高周波モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−245947(P2010−245947A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94021(P2009−94021)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】