説明

高周波発振回路

【課題】発振回路の発振周波数を広帯域に制御可能でIC化に適した比較的小規模な発振回路を提供する。
【解決手段】一方の電源に接続される電流源と、他方の電源に接続されて誘導起電力によって電流を変動させる1組の負荷インダクタと、前記電流源と前記負荷インダクタとそれぞれに結合する1組の差動回路と、前記一方の差動回路の入力と前記他方の差動回路の出力との間に抵抗値を制御可能な可変抵抗を備えて正帰還が掛るように構成されて、前記可変抵抗の抵抗値に対応して発振周波数が定まる高周波発振回路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ素子を用いた発振器において、利用周波数帯域の広いRF無線機の局部発振信号発振回路として好適な可変周波数の範囲が広い周波数可変発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周波数可変発振回路はRF無線機の局部発振回路として広く使われている。その例を図16に2つ示す。
【0003】
周波数可変発振回路は、発振周波数を定めるインダクタとキャパシタで構成されるタンク回路と負性抵抗を作り出すアクティブ回路とから構成される。2例とも発振周波数はタンク回路の並列共振周波数で定まる。特に半導体上にICとしてワンチップ上に作りこまれる発振回路の場合インダクタの値を自在に変更するのは困難であるためキャパシタの容量値を変更することで共振周波数を変えて発振周波数を変更可能に構成する手法が一般的に採用される。
【0004】
また半導体上にICとしてワンチップ上に作りこまれる可変容量素子としては可変容量ダイオード(PN接合容量やMOS容量)が用いられるが、一般的にICで用いられる可変容量ダイオードの容量の可変割合は6割前後(非特許文献1)と狭い。これはICに用いられる電源電圧が1乃至3Vと小さく接合容量の可変範囲を有効に使えていないことによる。従って、可変容量素子を用いた共振回路では、可変容量素子の可変割合が6割程度であるため、可変周波数の可変割合も3割程度しかない。
【0005】
発振周波数可変範囲を広くするために、特許文献1ではタンク共振回路に移相回路を付加して周波数可変する方法が採用されている。図17にその回路図を示す。タンク回路の移相量と移相回路の移相量をあわせた総移相量でループ帰還をかけ、正帰還になる周波数で発振する仕組みであり、移相回路の移相量を可変にすることで発振周波数をコントロールする。特許文献1によれば1.78−2.06GHzの設計例が示されているが、最大/最小発振周波数の比は1.16倍程度でしかない。
【0006】
他に提案されている方法として特許文献2では、容量成分の可変量が大きくとれる可変容量を実現する方法が提示されている。図18にその発明例である可変容量素子とインダクタ、アクティブ素子で構成される発振回路を示す。可変容量素子は並列接続した容量と可変抵抗で構成される。この可変容量は可変抵抗の値を100オーム以上に設定したとき高い周波数でQ値が高く発振回路として動作しやすい。しかし、この可変抵抗の範囲では容量の大きな変化は得られない。可変抵抗値が100オームより低いときには等価容量値は大きくなるがQ値が小さくなる欠点があり、発振回路を組むためのアクティブ素子側の能力が高くなければならず、このため、アクティブ素子による消費電力が大きくなる。場合によっては、可変容量素子結合されているアクティブ素子で十分な利得が得られず発振させられない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−156545号公報
【特許文献2】特許第2793856号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】著 Behazad Razavi/監 黒田 忠広「アナログCMOS集積回路の設計」出版 2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の技術が有する問題点を解決するためになされたもので、発振回路の発振周波数を広帯域に制御可能でIC化に適した比較的小規模な発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る高周波発振回路は、一方の電源に接続される電流源と、他方の電源に接続されて誘導起電力によって電流を変動させる1組の負荷インダクタと、前記電流源と前記負荷インダクタとそれぞれに結合する1組の差動回路と、前記一方の差動回路の入力と前記他方の差動回路の出力との間に抵抗値を制御可能な可変抵抗を備えて正帰還が掛るように構成されて、前記可変抵抗の抵抗値に対応して発振周波数が定まることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高周波発振回路を用いることで、発振回路の発振周波数を広帯域に制御可能である点と、IC化に適した比較的小規模な発振回路を構成することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路図である。
【図2】インダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の原理を説明するための図である。
【図3】インダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の原理を確認するためのシミュレーション回路図である。
【図4】インダクタ素子を負荷とする本発明による発振回路の発振周波数と回路抵抗素子値の関係を表す図である。
【図5】インダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の実施例である。
【図6】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路図である。
【図7】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の原理を説明するための図である。
【図8】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路のアクティブインダクタ部のインピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図9】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の原理を確認するためのシミュレーション回路図である。
【図10】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明による発振回路の発振周波数と回路抵抗素子値の関係を表す図である。
【図11】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の動作を確認するためのシミュレーション回路図である。
【図12】図11の回路の発振出力シミュレーション結果である。
【図13】図11の回路の発振周波数のRs抵抗値依存性および消費電流のRS抵抗値依存性を示すグラフである。
【図14】アクティブインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路の実施例を示す。
【図15】pチャネル型MOSから構成されるインダクタ素子を負荷とする本発明の発振回路図である。
【図16】従来例を示す。
【図17】他の従来例を示す。
【図18】他の従来例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る高周波発振回路を実施例1で実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の構成および動作について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の基本的な実施形態を示す。VDD電源に、負荷インダクタ素子L101a、101bの各一端が結合される。負荷インダクタ素子L101aの他端は可変抵抗素子Rs102bと容量素子Cgd103aと差動回路を構成するFET(FIELD EFECT TRANSISTOR:電界効果トランジスタ、本実施例ではnチャネル型である)106aのドレインと接続される。他方、負荷インダクタ素子L101bの他端は可変抵抗素子Rs102aと容量素子Cgd103bとFET106bのドレインと接続される。可変抵抗素子Rs102bの他端は、容量素子Cgd103bの他端とFET106bのゲートと接続される。可変抵抗素子Rs102aの他端は、容量素子Cgd103aの他端とFET106aのゲートと接続される。FET106aのソースは、可変抵抗素子Rss105の一端と電流源104aの一端とに接続される。また、FET106bのソースは、可変抵抗素子Rssの他端と電流源104bの一端とに接続される。電流源104a、104bはいずれも他端がグランドと結合される。
【0016】
ここで、可変可能なソースデジェネレーション抵抗素子(可変抵抗素子)Rss105と負荷インダクタを有する差動回路と差動回路出力と差動回路入力間の容量Cgd103a、103bと差動回路出力と差動入力とを可変抵抗Rs102a、102bを介して正帰還が掛かるよう互いにクロスする結線を有する構成となっている。この回路の発振周波数fは、
【0017】
【数1】

【0018】
と表される。GMは差動回路の相互コンダクタンスを表しRssにより可変可能である。式(1)からL、Cgdが固定値であっても図1の回路のようにRsまたはRssが可変であれば発振周波数を制御することができる。
【0019】
回路の動作原理を示すため、図1の回路の半回路を考えてアンプとしての動作を調べる。図2に簡略化したアンプの回路図を示す。図2では、負荷インダクタンス素子201が電圧制御電流源202と直列に結合し、容量素子cgd203と容量素子cgs204が直列に結合したものが、電圧制御電流源202と並列に結合している。一方入力信号源vin206が抵抗素子rs206と結合され、この抵抗素子rs206は、容量素子cgd203と容量素子cgs204との連結点に結合される。
【0020】
図でgmはvin’の電圧とgm値に比例して電流を出力する電圧制御電流源202である。電流電圧信号源vin206で駆動したとき、インダクタに流れる電流iLは、
【0021】
【数2】

【0022】
と解くことができる。jωの項が小さいとみなせる回路パラメータを選べば、
【0023】
【数3】

【0024】
と表され、iLが発散する周波数が求められ、(1)式が得られる。アンプとして解析すると(1)式の周波数の時に利得が最大となる。
【0025】
図1の発振回路は図2のアンプ回路の出力の反転出力をrsを介してアンプ回路の入力に戻している回路とみなすことができるので等価的に図3に示す回路として示すことができる。図3では、負荷インダクタ素子L301と電圧制御電流源302との連結点と反転増幅器304の入力が結合され、反転増幅器304の出力が抵抗素子RS305に入力され、この抵抗素子RS305は、容量素子cgd303と容量素子cgs304との連結点に結合される。つまり、対となる回路の出力を接続する代わりに反転アンプを介して出力と入力とを接続していることとなる。
【0026】
(3)式を発散させる周波数、すなわち共振周波数を、(1)式に適応して図3に示される回路が発振するかどうかについて、回路シミュレーションを行い、図3に示される回路の動作解析を行った。図3の回路素子は線形素子のみで構成されているのでそのままでは発振波形を得ることができないので反転アンプに振幅制限(出力飽和)の機能をもうけて算出した。この回路で過渡解析を行い、rsをパラメータに発振周波数をプロットしたものを図4に示す。図4から、図3の回路におけるrsと発振周波数の関係を得ることができる。ここで、各パラメータであるL,Cgd,cgs,gmはそれぞれ49.5μH,17fF,30fF,8mSである。同じグラフに(1)式で計算した結果をプロットしているが、両プロットはよく一致しており、(1)式で発振周波数が予測できることがわかる。この(1)式から、抵抗の値を2桁変えられれば発振周波数が2倍程度可変できることがわかる。
【0027】
特許文献1にも述べられているように可変抵抗器をトランジスタで構成すると抵抗値を2桁変化させることは容易であるので、本発明を適用することで周波数可変範囲を2倍程度可変することは容易にできるようになる。
【0028】
以上、rsを可変した場合について述べたがrsとgmとは(1)式中に両パラメータの積の形で含まれるのでgmを変えても同じように周波数が変化する。ただし、gmが小さくなると差動回路の利得が小さくなるので発振波形が持続しなくなることもありrsほど自由に値を可変することはできない。
【0029】
図5(A)に可変抵抗器にFETを用いた例を示す。図5(A)について、図1と異なる回路を中心にその結合関係について説明する。図5(A)では、可変抵抗素子102a、102bに対応してFET502a、502bは、作動回路のトランジスタのゲートへ接続される。他方、FET502a、502bの他端は、それぞれACカップリング容量素子501a、501bと接続され、これらのACカップリング容量素子501a、501b差動回路の逆側の出力でもあるインダクタと結合される。また、作動回路への入力はバイアス抵抗素子503a、503bを介して結合される。また、電流源504が作動回路のソース側に1つ設けられる。
【0030】
差動回路の入力に増幅器として動作するためのバイアスが加わる必要があるため発振周波数に対して十分低インピーダンスの容量とバイアス電圧源のインピーダンスを高くするための抵抗素子が付け加えられ外部からバイアスを調整できるようになっている。可変抵抗として挿入したFETはゲートバイアスを外の電圧で変えることによりFETのチャネル抵抗を変化させることができ抵抗値として数十オームからキロオーム程度の値を得ることができる。
【0031】
負荷インダクタはIC化する場合、面抵抗の小さい厚い配線層をスパイラル上に形成することで得られる。ドレインとゲート間の容量は発振周波数が高い場合FETの持つドレイン−ゲート間容量を用いることもできるし、発振させたい周波数が低い場合にはMIMキャパシタを接続してもよい。
【0032】
図5(B)は(A)の構成に加えてデジェネレーションソース抵抗の部分をFETに置き換えその抵抗値を可変できるようにしたものである。図5(B)の回路と異なる回路構成についてのみ説明する。図5(A)では電流源504が一つであったのに対して、図5(B)では電流源508aと508bの二つ設けられており、差動回路であるFETとグランド間に設けられている。また、電流源508aと508bのグランド側とは反対側の端子が、FET509を介して結合されている。また、FET509のゲートへは外部から電圧を印加できるよう構成される。
【0033】
ここで、ソース抵抗を大きくするとアンプのgmは小さくできるのでこの抵抗値をゲートバイアスにより可変することによっても周波数を制御することができる。Rsに相当する部分の制御電圧に対する抵抗可変/周波数の感度は大きく、Rssに相当するデジェネレーションソース抵抗による周波数可変の制御電圧に対する感度を小さくなるように設計すれば、周波数バンドを飛び越えるような荒いチューニングをRsでおこない、フェーズロックループでの周波数制御はRssで行うといった使い方が可能になる。
【0034】
以上述べた回路の負荷インダクタは配線などによる受動素子で説明してきたが、FETなどの能動素子によって構成されるアクティブインダクタ素子であってもよい。
【0035】
図6に示す回路はアクティブインダクタを負荷とする本発明の発振器の例を示す。インダクタ部を除けば、図1と同様の回路で構成される。
【0036】
アクティブインダクタとして動作する部分は図7の「アクティブインダクタ」と囲った部分である。2つのFET605a、605bが互いのゲートとドレインとをACカップリング容量素子CF604a、604bを介して高周波成分のみを接続し、バイアス抵抗素子RF601a、601bを介して2つのFET605a、605bのゲートへ最適なバイアス電圧を供給する構成となっている。負荷抵抗素子RL602a,602bと容量素子Cds603a、603bとFET605a、605bのgmからインダクタ成分を生成する。この部分の回路の入力インピーダンスZinを図7に示す分割点から見込んだインピーダンスと定義する。
【0037】
Rf,Cf,RL,Cdsを適当な値に設定すると、入力インピーダンスの絶対値は図8に示す周波数特性を得る。ここで、Rf=10kオーム,Cf=80fF,RL=1.5kオーム、Cds=33fF,gm=0.96mSとして計算した。グラフは大きく2つの領域に分かれ周波数が低いところは容量Cf・Rf・gmと抵抗1/gmの並列回路のインピーダンスに見え、周波数が高いところではインダクタcds・RL/gmと抵抗1/gmの並列回路のインピーダンスに見える。発振器として発振動作させたい周波数が丁度、所望のインダクタとなるように、Cf,Rf,gm,Cds,RLを決めることで、図6の回路は発振器として動作させることができる。
【0038】
インダクタ負荷の例と同じく、リニア素子による半回路リニア等価回路で動作解析をした。半回路リニア等価回路の回路図を図9に示す。図3に対してその上段に抵抗素子RL904と電流源906とが直列に結合して構成される。抵抗素子RL904は一方がVDD電源と結合し、他方で、電流源906の他に反転増幅器903と容量素子cds905と連結される。反転増幅器903は容量素子Cf902を介して抵抗素子Rf901と結合し、抵抗素子Rf901は電源と結合する。
【0039】
元の回路は対になっているが図9の回路では反転アンプを使って等価な回路構成としている。図上の素子パラメータでアクティブインダクタの部分は前出の値を用い、そのほかCgd=17fF,Cgs=30fF,ソース接地アンプ部gm=8mSとした。過渡解析で発振波形を得るためソース接地アンプの入出力を接続する反転アンプにリミッタ機能を入れていて、一定振幅以上にならないようにしてある。これは前記と同様に、リニア素子のみでは発散して発振しないためである。
【0040】
図10にrsをパラメータとしたときの前出半回路の過渡解析による発振周波数と(1)式により評価した発振周波数をプロットしている。(1)式の評価において、インダクタンスはRL・Cds/gmとした。発振周波数のrs依存性は過渡解析の結果および(1)式とはよく一致しており、アクティブインダクタ素子として動作していることがわかる。また、アクティブインダクタ素子を用いた場合においてもrsの可変範囲が2桁あれば周波数可変範囲を2倍確保できるということがわかる。
【0041】
図11はアクティブ素子にゲート長0.13μmのFETを用いた場合の具体的例を示す。アクティブインダクタ素子におけるFETのゲート長/ゲート幅は、0.13um/12umであり、作動段のFETのゲート長/ゲート幅は、0.13um/600umであり、電流源段のFETのゲート長/ゲート幅は、0.13um/600umである。また、抵抗Rfは20kΩ、キャパシタCfは28fF、抵抗RLは1kΩ、抵抗Rssは1Ω、抵抗Rcは20kΩ、キャパシタCcは9pFである。Cgdに相当する素子はFETが構造的に持ちうるドレインとゲート間の容量を用いている。電源電圧VDDは1.2VでバイアスV1は0.7V,バイアスV2は0.5V、バイアスV3は0.5Vである。
【0042】
この条件で過渡解析した結果を図12に示した。アクティブ型ではあるがインダクタと容量による共振を用いた発振回路であるため、高調波成分が少ない発振波形を得ることができる。
【0043】
図13はRsに対する発振周波数と消費電流の依存性を示している。抵抗値100オームから10kオームの範囲で発振周波数は1.5GHzから0.5GHzと3倍変化させることができる。
【0044】
Rsの値は基本的にバイアス電流を変化させないため、電流はほとんど変化せず安定している。また1mA以下で1.5GHzを超える発振周波数を得ることができる。
【0045】
図14の実施例は周波数を制御する可変抵抗をFETに置き換えたアクティブインダクタ負荷型の可変周波数発振回路を示す。FETのゲート電圧により抵抗値が変わるので電圧制御型の発振回路となる。可変抵抗用FETのゲートに電圧の交流信号を加えれば発振回路は周波数変調として機能する。
【0046】
図15の実施例はpチャネル型FETから構成される本発明に記載の高周波発振回路を図示する。グランドに、インダクタL1501a、1501bの各一端と結合される。インダクタL1501aの他端は可変抵抗Rs1502bと容量Cgd1503aと差動回路であるpチャネル型FET1506aのドレインと接続される。他方、インダクタL1501bの他端は可変抵抗Rs1502aと容量Cgd1503bとFET1506bのドレインと接続される。可変抵抗Rs1502bの他端は、容量Cgd1503bの他端とpチャネル型FET1506bのゲートと接続される。可変抵抗Rs1502aの他端は、容量Cgd1503aの他端とFET1506aのゲートと接続される。FET1506aのソースは、可変抵抗Rssと電流源1504aとに接続される。また、FET1506bのソースは、可変抵抗Rssと電流源1504bとに接続される。電流源1504a、1504bはいずれも他端がVDD電源と結合される。
【0047】
本構成のようなpチャネル型FETであっても、可変可能なソースデジェネレーション抵抗Rss1505と負荷インダクタを有する差動回路と差動回路出力と差動回路入力間の容量Cgd1503a、1503bと差動回路出力と差動入力とを可変抵抗Rs1502a、1502bを介して正帰還が掛かるよう互いにクロスする結線を有する構成となっている。図1の回路同様にRsまたはRssが可変であれば発振周波数を制御することができる。
【0048】
また、可変抵抗部分を光強度により抵抗値が変化する素子を使えば光強度の変化を発振回路の周波数の変化としてセンスする機能回路として用いることができるし、温度により抵抗値が変化する素子を用いれば温度変化を発振回路の周波数の変化としてセンスする機能回路として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る高周波発振回路は、半導体上にICとしてワンチップで作り込むこともできることによって、マクロセルとして構成することができる。また、従来、複数のデバイスとして分割されていた発振回路を他の回路と同一基板上に組み込むことができ、デバイス小型化や機器そのものの小型化に貢献するような用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
101a,101b 負荷インダクタ素子L
102a,102b 可変抵抗素子Rs
103a,103b 容量素子Cgd
104a,104b 電流源
105 可変抵抗素子Rss
106a,106b FET
201 負荷インダクタ素子
202 電圧制御電流源
203 容量素子
204 容量素子
205 入力信号源
206 抵抗素子
301 負荷インダクタ素子
302 電圧制御電流源
303 容量素子
304 反転増幅器
305 抵抗素子
306 容量素子
501a,501b ACカップリング容量素子
502a,502b FET
503a,503b バイアス抵抗素子
504 電流源
505a,505b ACカップリング容量素子
506a,506b FET
507a,507b バイアス抵抗素子
508a,508b 電流源
509 FET
601a,601b バイアス抵抗素子
602a,602b 負荷抵抗素子
603a,603b 容量素子
604a,604b ACカップリング容量素子
605a,605b トランジスタ
606a,606b 容量素子
607a,607b 可変抵抗素子
608a,608b トランジスタ
609a,609b 電流源
610 可変抵抗素子
901 バイアス抵抗素子
902 ACカップリング容量素子
903 反転増幅器
904 負荷抵抗素子
905 容量素子
906,907 電圧制御電流源
908 反転増幅器
909 抵抗素子
910 容量素子
911 容量素子
1401a,1401b トランジスタ
1402a,1402b ACカップリング容量素子
1403a,1403b バイアス抵抗素子
1501a,1501b インダクタL
1502b 可変抵抗Rs
1502a 可変抵抗Rs
1503a 容量Cgd
1503b 容量Cgd
1504a 電流源
1504b 電流源
1506a pチャネル型FET
1506b pチャネル型FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の電源に接続される電流源と、他方の電源に接続されて誘導起電力によって電流を変動させる1組の負荷インダクタと、前記電流源と前記負荷インダクタとそれぞれに結合する1組の差動回路と、前記一方の差動回路の入力と前記他方の差動回路の出力との間に抵抗値を制御可能な可変抵抗を備えて正帰還が掛るように構成されて、前記可変抵抗の抵抗値に対応して発振周波数が定まる高周波発振回路。
【請求項2】
前記1組の差動回路は、前記一方の差動回路の入力と前記他方の差動回路の出力との間に抵抗値を制御可能な第一の可変抵抗とを備えて正帰還が掛るように構成され、前記他方の差動回路の入力と前記一方の差動回路の出力との間に抵抗値を制御可能な第二の可変抵抗とを備えて正帰還が掛るように構成されていることにより第一の可変抵抗と第二の可変抵抗との値により発振周波数が定まることを特徴とする請求項1に記載の高周波発振回路。
【請求項3】
前記1組の差動回路は、前記一方の差動回路の入力と前記一方の差動回路の出力との間に第一の容量素子とを備えて、前記他方の差動回路の入力と前記他方の差動回路の出力との間に第二の容量素子を備えていることを特徴とする請求項2に記載の高周波発振回路。
【請求項4】
前記第一の可変抵抗と前記他方の差動回路の出力との間に第三の容量素子とを備えて、前記第二の可変抵抗と前記一方の差動回路の出力との間に第四の容量素子とを備え、
前記差動回路の入力はそれぞれ抵抗を介して外部から入力されるバイアス電源と接続されることにより第一の可変抵抗と第二の可変抵抗との値とバイアス電源とにより発振周波数が定まることを特徴とする特徴とする請求項2に記載の高周波発振回路。
【請求項5】
前記電流源は、一方の差動回路と第一の結合点で結合する第一のトランジスタと、他方の差動回路と第二の結合点で結合する第一のトランジスタとを備え、第一の結合点と第二の結合点とが第一の抵抗素子で結合されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一つに記載の高周波発振回路。
【請求項6】
前記第一の抵抗素子が可変抵抗素子であることを特徴とする請求項5に記載の高周波発振回路。
【請求項7】
前記可変抵抗がトランジスタで構成されてこのトランジスタのソースとドレイン間の抵抗がゲート電圧によって変化する請求項1乃至6いずれか一つに記載の高周波発振回路。
【請求項8】
1組の負荷インダクタは、アクティブインダクタから構成されることを特徴とする請求項1乃至7いずれか一つに記載の高周波発振回路。
【請求項9】
請求項8の発振回路の第一のアクティブインダクタ素子は、ゲートとソースとドレインを有する第一のトランジスタを有し前記ソースが前記一方の差動回路に接続され、前記ドレインが第二の抵抗素子と第五の容量素子に接続され、第二の抵抗素子の他方の端子は一方の電源に接続され、第五の容量素子の他方の端子は交流的に他方の電源の端子に接続され、前記ゲートが第六の容量素子に接続されて構成され、
前記第二のアクティブインダクタ素子はゲートとソースとドレインを有する第二のトランジスタを有し、前記ソースが前記他方の差動回路に接続され前記ドレインが第三の抵抗素子と第六の容量素子に接続され、第五の抵抗素子の他方の端子は電源に接続され、第六の容量素子の他方の端子は交流的に他方の電源に接続され、前記ゲートが第七の容量素子に接続されて構成され、前記第一のトランジスタのドレインに前記第五の容量素子の他方の端子が接続され、前記第二のトランジスタのドレインに前記第五の容量素子の他方の端子が接続されて交差接続され、前記第一のトランジスタと第二のトランジスタのゲート電圧が外部の電源によりバイアス電圧を加えるための第一と第二の抵抗素子から構成されることを特徴とする高周波発振回路。
【請求項10】
請求項1から9において二組の差動回路となる第三と第四のトランジスタのそれぞれのドレインとゲートに接続される第一と第二の容量素子が第三と第四のトランジスタのドレインとゲート間に寄生する容量を用いることを特徴とする高周波発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−15315(P2011−15315A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159371(P2009−159371)
【出願日】平成21年7月4日(2009.7.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】