説明

高周波電力増幅器

【課題】高周波電力増幅器の入力端子と増幅回路の入力端子の間で発生するループ発振を抑止することができる高周波電力増幅器を提供する
【解決手段】入力端子20と入力端子20により入力された入力信号を分配する複数の分岐端子21〜24を有する導体パターン19を備える分配回路基板4と、各分岐端子からの入力信号をそれぞれ増幅する増幅回路基板5と、増幅回路基板5からの入力信号を合成する合成回路基板6と、を備え、分配回路基板4の導体パターン19は、絶縁基板に形成された第1導電層19Aと、第1導電層19A上に形成された第2導電層19Bと、第2導電層19B上に形成された第3導電層19Cを有し、分配回路基板の導体パターン19には、入力端子20から分岐端子21〜24が分岐された位置に、第1導電層19Aと第2導電層19Bのみからなる抵抗パターン部41〜44が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号を電力増幅する高周波電力増幅器に関し、特に内部で発生するループ発振を抑止する高周波電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電力増幅器は、大電力を得るために入力信号を複数の増幅素子で増幅した後に、増幅された入力信号を合成して出力する。このため、高周波電力増幅器は、入力信号を分配する分配回路と、この分配回路で分配された入力信号を増幅する複数の増幅素子を有する増幅回路と、複数の増幅素子の出力を合成する合成回路とを備えている。このような高周波電力増幅器は、特許文献1に開示されている。
【0003】
最近になって、高周波電力増幅器はE級増幅に用いられることがあり広帯域化されてきており、高調波を使って増幅効率を上げるようになってきている。高周波電力増幅器の後段の合成回路側では、この高調波を反射させて出力端子側には出さない系を作れている。
【0004】
一方、分配回路の入力端子側の方では、これまでの高周波電力増幅器の方式であると、高周波電力増幅器の入力端子〜分配回路の一方の分岐〜増幅回路〜合成回路の一方の分岐〜高周波電力増幅器の出力端子〜合成回路の他方の分岐〜増幅回路〜分配回路の他方の分岐〜高周波電力増幅器の入力端子に至るループが形成されて、回路条件によっては、このループで発振が起こる場合がある。このループ発振が起こった場合には、それぞれの分配回路の分岐に電気的に接続された増幅素子は互いに逆位相で動作することから、このループ発振をオッドモード発振と呼ぶ。
【0005】
また、高周波電力増幅器では、高周波電力増幅器の入力端子および出力端子に接続される負荷によっては発振する場合がある。この発振が起こった場合には、増幅回路の複数の増幅素子は同相で動作することから、この発振をイーブンモード発振と呼ぶ。
【0006】
このイーブンモード発振を防止する方法としては、高周波電力増幅器の入力端子と増幅素子の入力端子の間に直列に抵抗を挿入することが有効である。高周波電力増幅器の増幅回路では、もともと長いチップの上に多くの増幅素子を並べて並列化することで、増幅出力を高くすることが行われている。分配回路の入力端子では、これらの増幅素子に対応して導体パターン部にいちいち1つずつ抵抗を並べて形成するのは作成上大変であることから、単に1つの直列の抵抗を形成している。ところが、複数の増幅素子からの増幅された信号を並列に合成して高出力を得る高周波電力増幅器では、分配回路の複数の分岐同士を導体パターンで繋げてしまうと、この複数の分岐端子と導体パターンで形成されるループには発振防止のための抵抗が存在しないことになり、上述したオッドモード発振を防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008―160449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、高周波電力増幅器がE級増幅において使われるようになって、目的とする周波数でかなり高い増幅効率の高周波電力増幅器が求められており、目的とする周波数のはるか上の周波数までも対応できるような広帯域の高周波電力増幅器が使われるようになっている。しかし、目的とする周波数のはるか上の周波数は、実際には使われないがこのはるか上の周波数に高調波が乗ってきやすいので、高周波電力増幅器の入力端子と増幅回路の入力端子の間で上述したループ発振が起きやすい。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、高周波電力増幅器の入力端子と増幅回路の入力端子の間で発生するループ発振を抑止することができる高周波電力増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の高周波電力増幅器は、入力端子と前記入力端子により入力された入力信号を分配する複数の分岐端子を有する導体パターンを備える分配回路基板と、
各前記分岐端子からの前記入力信号をそれぞれ増幅する増幅回路基板と、
前記増幅回路基板からの前記入力信号を合成する合成回路基板と、を備え、
前記分配回路基板の前記導体パターンは、絶縁基板に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成された第2導電層と、前記第2導電層上に形成された第3導電層と、を有し、
前記分配回路基板の前記導体パターンには、前記入力端子から前記分岐端子が分岐された位置に、前記第1導電層と前記第2導電層のみからなる抵抗パターン部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高周波電力増幅器の入力端子と増幅回路の入力端子の間で発生するループ発振を抑止することができる高周波電力増幅器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の高周波電力増幅器の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す高周波電力増幅器のA−A線における断面図である。
【図3】図1に示す高周波電力増幅器をB方向から見た側面図である。
【図4】図2に示す分配回路基板と増幅回路基板と合成回路基板と、複数本のボンディングワイヤを示す平面図である。
【図5】図5(A)は、図4に示す分配回路基板上の導体パターンをC方向から見た側面図、図5(B)は、図4に示す分配回路基板上の導体パターンのD−D線における断面図、図5(C)は、分配回路基板上の導体パターンの斜視図である。
【図6】本発明の高周波電力増幅器の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明の高周波電力増幅器の第3実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の高周波電力増幅器の変形例を示す図である。
【図9】本発明の高周波電力増幅器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の高周波電力増幅器の第1実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示す高周波電力増幅器のA−A線における断面図である。図3は、図1に示す高周波電力増幅器をB方向から見た側面図である。
【0015】
図1に示すように、高周波電力増幅器1は、例えばE級増幅に用いることができ、パッケージ2と、入力端子部材3と、分配回路基板4と、増幅回路基板5と、合成回路基板6と、出力端子部材7と、ベース基板8を有する。
【0016】
図2と図3に示すようにパッケージ2は、ベース基板8の上に配置されており、ベース基板8は、例えば放熱性に優れた材質、CuまたはCu/WまたはCu/Moにより作られている。図2に示すように、ベース基板8の上には、セラミック製の誘電体部材9A,9B,9C,9Dを介してパッケージ2が配置されている。このパッケージ2は、4つの側面部材10と、これらの側面部材10上に固定された平面部材11を有している。側面部材10と平面部材11は、例えばコバールにより作られている。誘電体部材9Aには導体部12が形成され、導体部12には入力端子部材3が電気的に接続されている。誘電体部材9Bには導体部13が形成され、導体部13には出力端子部材7が電気的に接続されている。
【0017】
図2に示すように、分配回路基板4と増幅回路基板5と合成回路基板6は、ベース基板8上に配置されており、パッケージ2により囲まれて外気からは遮断されている。導体部12と分配回路基板4は、ボンディングワイヤ16により電気的に接続されている。分配回路基板4と増幅回路基板5とは、複数本のボンディングワイヤ14により電気的に接続されている。増幅回路基板5と合成回路基板6とは、複数本のボンディングワイヤ15により電気的に接続されている。合成回路基板6と導体部13は、ボンディングワイヤ17により電気的に接続されている。ボンディングワイヤ15はボンディングワイヤ14に比べて数倍以上長い。
【0018】
図4は、図2に示す分配回路基板4と増幅回路基板5と合成回路基板6と、複数本のボンディングワイヤ14,15を示す平面図である。ボンディングワイヤ14,15は、例えばAuの導体線である。図4に示すように、分配回路基板4と増幅回路基板5と合成回路基板6は、例えば長手方向Xに沿って長く形成されたセラミックス製の誘電体基板である。
【0019】
図4に示す分配回路基板4上には、導体パターン19が基板の長手方向Xに沿って形成されている。この導体パターン19は、高周波電力増幅器1の入力端子20と、複数の分岐端子21,22,23,24と、を有している。入力端子20は図2に示す入力端子部材3に電気的に接続されている。入力端子20は入力端子の中間部分18を介して分岐端子21,22,23,24に電気的に接続されている。入力端子20は入力端子の中間部分18の中間位置からK方向に突出するように形成されている。
【0020】
図5(A)は、図4に示す分配回路基板4上の導体パターン19をC方向から見た側面図であり、図5(B)は、図4に示す分配回路基板4上の導体パターン19のD−D線における断面図である。図5(C)は、分配回路基板4上の導体パターン19の斜視図である。
【0021】
図5に示すように、導体パターン19は、分配回路基板4上に形成された第1導電層19Aと、第1導電層19Aの上に形成された第2導電層19Bと、第2導電層19Bの上に形成された第3導電層19Cとを有している。第1導電層19Aは例えばNiであり、第2導電層19Bは例えばタンタルであり、第3導電層19Cは例えばAuである。第1導電層19Aは最下層であり、第2導電層19Bは中間層であり、第3導電層19Cは最上層である。
【0022】
図4と図5(A)に示すように、導体パターン19の入力端子の中間部分18は、基板の長手方向Xに沿って連続に形成されている。分岐端子21,22,23,24は、切り欠き部31,32,33を設けることにより、入力端子の中間部分18に対して4つに分岐されており、基板の長手方向Xに沿って配列されている。
【0023】
図4と図5(B)に示すように、分岐端子21,22,23,24に対応する位置には、それぞれ抵抗パターン部41,42,43,44が形成されている。これらの抵抗パターン部41,42,43,44はスリット(溝)状の部分であり、各抵抗パターン部41,42,43,44は基板の長手方向Xに沿って直列に形成されている。
【0024】
図5(C)に示すように、各抵抗パターン部41,42,43,44の基板の長手方向Xの長さMは、分岐端子21,22,23,24の基板の長手方向Xの長さNと同じである。入力端子の中間部分18の全長Sは、分岐端子21,22,23,24の各長さNと切り欠き部31,32,33の各長さGを加えた長さである。
【0025】
図4と図5(B)と図5(C)に示すように、抵抗パターン部41,42,43,44は、対応する分岐端子21,22,23,24と入力端子20の間に、基板の長手方向Xに沿ってそれぞれ形成されている。
【0026】
抵抗パターン部41,42,43,44は、図5(B)と図5(C)に示すように、第1導電層19Aと第2導電層19Bを残した状態で、第3導電層19Cだけを除去することで形成されている。すなわち、入力端子20と分岐端子21,22,23,24の間に分岐端子21,22,23,24に対応して、第1導電層19Aと第2導電層19Bだけからなる抵抗パターン部41,42,43,44が形成されている。これにより、第3導電層19Cだけを除去しているので、第1導電層19Aと第2導電層19Bと第3導電層19Cがすべて形成されている入力端子の中間部分18の電気抵抗値と各分岐端子21,22,23,24の電気抵抗値に比べて、抵抗パターン部41,42,43,44では電流が通り断面積が減少することから電気抵抗値を増加させることができる。
【0027】
このように、導体パターン19の入力端子の中間部分18と分岐端子21,22,23,24は、第1導電層19Aと第2導電層19Bと第3導電層19Cにより形成されているが、抵抗パターン部41,42,43,44は、第1導電層19Aと第2導電層19Bだけで形成されて第3導電層19Cが除去されているので、電気抵抗値を増加させることができる。
【0028】
図4に示す抵抗パターン部41,42,43,44は、入力信号を導通する方向である信号導通方向Tに対して垂直に横切る方向(基板の長手方向X)に沿って形成されている。すなわち、抵抗パターン部41,42,43,44は、高周波電力増幅器1の入力端子20および入力端子の中間部分18と、複数の分岐端子21,22,23,24との間に挿入されるようにして形成されている。
【0029】
図4に示す増幅回路基板5には、増幅素子であるトランジスタ素子51,52,53,54が形成されている。トランジスタ素子51,52,53,54は、例えば電界効果型トランジスタ(FET)であり、分岐端子21,22,23,24にそれぞれ対応している。分岐端子21,22,23,24は、増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の入力端子に対してそれぞれボンディングワイヤ14により電気的に接続されている。
【0030】
また、図4に示すように、合成回路基板6と増幅回路基板5の間隔は、分配回路基板4と増幅回路基板5の間隔に比べて大きくなっている。合成回路基板6の上には導体パターン60が、基板の長手方向Xに沿って形成されており、増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の出力端子は、合成回路基板6の導体パターン60に対してそれぞれボンディングワイヤ15により電気的に接続されている。ボンディングワイヤ15の長さは、ボンディングワイヤ14の長さに比べて数倍以上長い。
【0031】
次に、上述した高周波電力増幅器1の動作を説明する。
【0032】
図1に示す高周波電力増幅器1では、高周波の入力信号が入力端子部材3から図4に示す分配回路基板4の入力端子20に入力されて、入力端子の中間部分18を通り分岐端子21,22,23,24により分配される。分配された入力信号は、ボンディングワイヤ14を通じて増幅回路基板5の対応するトランジスタ素子51,52,53,54によりそれぞれ電力増幅される。電力増幅された入力信号は、ボンディングワイヤ14を通じて合成回路基板6において合成される。
【0033】
図4に示す高周波電力増幅器1の分配回路基板4では、抵抗パターン部41,42,43,44が対応する分岐端子21,22,23,24と入力端子の中間部分18の間に、基板の長手方向Xに沿ってそれぞれ形成されている。分配回路基板4の導体パターン19には、抵抗パターン部41,42,43,44が、信号導通方向Tに垂直に横切る方向(基板の長手方向X)に沿って形成されており、抵抗パターン部41,42,43,44では、入力端子20と分岐端子21,22,23,24に比べて電気抵抗値が大きくなるように設定されている。
【0034】
このように、分配回路基板4の入力端子20と増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の間において、図5(B)と図5(C)に示すように第3導電層19Cを除去することで抵抗パターン部41,42,43,44が形成されている。入力端子20と増幅回路基板5の入力端子の間に抵抗パターン部41,42,43,44が形成されているので、高周波電力増幅器のイーブンモード発振を防止できる。
【0035】
しかも、図4と図5(C)に示すように、分配回路基板4の入力端子の中間部分18から分岐端子21,22,23,24が分岐した後の位置であって、抵抗パターン部41,42,43,44が分岐端子21,22,23,24にそれぞれ対応する位置に配置されている。つまり、抵抗パターン部41,42,43,44は分岐端子21,22,23,24に対してそれぞれ対応して形成され、分岐端子21,22,23,24は入力端子20と入力端子の中間部分18に対してそれぞれ抵抗パターン部41,42,43,44を介在させているので、抵抗が挿入されないループが構成されてしまうことがなく、この抵抗パターン部41,42,43,44が高周波電力増幅器のオッドモード発振をも防止することができる。
【0036】
次に説明する本発明の第2実施形態と第3実施形態の高周波電力増幅器および変形例の高周波電力増幅器の箇所が、図4に示す高周波電力増幅器1の対応する箇所と実質的に同じである場合には、同じ符号を記して、その説明を用いることにする。
(第2実施形態)
図6は、本発明の高周波電力増幅器の第2実施形態を示す平面図である。図6に示す高周波電力増幅器1Aが、図4に示す高周波電力増幅器1と比較して異なるのは、抵抗パターン部141の長さである。
【0037】
図4に示す各抵抗パターン部41,42,43,44の基板の長手方向Xの長さMは、分岐端子21,22,23,24の基板の長手方向Xの長さNと同じに設定されていて、各抵抗パターン部41,42,43,44は切り欠き部31,32,33により互いに離れて形成されている。
【0038】
これに対して、図6に示す抵抗パターン部141は、基板の長手方向Xに沿って導体パターン19の一端部から他端部まで切れ目なく形成されており、抵抗パターン部141は分岐端子21,22,23,24毎に対応して分離して形成されていない。抵抗パターン部141は、分配回路基板4の入力端子の中間部分18から分岐端子21,22,23,24が分岐した後の位置に形成されている。図6に示す高周波電力増幅器1Aも図4に示す高周波電力増幅器1と同様な効果を発揮できる。
【0039】
(第3実施形態)
図7は、本発明の高周波電力増幅器の第3実施形態を示す平面図である。図7に示す高周波電力増幅器1Bが、図4に示す高周波電力増幅器1と比較して異なるのは、分配回路基板4と増幅回路基板5の間に整合回路部70が挿入されていることである。
【0040】
整合回路部70は、平行平板コンデンサ71と、ボンディングワイヤ72,73から成る。分岐端子21,22,23,24は、平行平板コンデンサ71のコンデンサ部71Cに対してボンディングワイヤ72によりそれぞれ電気的に接続されている。増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の入力端子は、平行平板コンデンサ71のコンデンサ部71Cに対してボンディングワイヤ73により電気的に接続されている。整合回路部70は、分配回路基板4と増幅回路基板5のインピーダンス整合を取るために配置され、イーブンモード発振は抑止できるがオットモード発振し易い。通常整合回路部70が挿入されることにより位相回転が大きくなるのでよりループ発振が起こり易い。
【0041】
しかし、分配回路基板4の入力端子20と増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の間において、図5(B)と図5(C)に示すように第3導電層19Cを除去することで抵抗パターン部41,42,43,44が形成されているので、抵抗パターン部41,42,43,44がループ内に存在していることから、イーブンモード発振を防止できる。
【0042】
しかも、分配回路基板4の入力端子の中間部分18から分岐端子21,22,23,24が分岐した後の位置であって、抵抗パターン部141が分岐端子21,22,23,24にそれぞれ対応する位置に配置されている。つまり、抵抗パターン部141は分岐端子21,22,23,24に対して対応して形成され、分岐端子21,22,23,24は入力端子20と入力端子の中間部分18に対してそれぞれ抵抗パターン部141を介在させているので、抵抗が挿入されないループが構成されてしまうことがなく、この抵抗パターン部141が高周波電力増幅器のオッドモード発振をも防止することができる。
【0043】
図8と図9は、本発明の高周波電力増幅器の変形例を示している。
【0044】
図8に示す高周波電力増幅器1Cでは、増幅回路基板5と合成回路基板6の間に整合回路部80が挿入されている。整合回路部80は、平行平板コンデンサ81と、ボンディングワイヤ82,83から成る。増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の入力端子は平行平板コンデンサ81のコンデンサ部81Cに対してそれぞれボンディングワイヤ82により電気的に接続されている。平行平板コンデンサ81のコンデンサ部81Cは合成回路基板6の導体パターン60に対してそれぞれボンディングワイヤ83により電気的に接続されている。整合回路部80が挿入されることで、高調波を反射させて高調波が出力端子62側に出るのを防いで出力信号の出力効率を上げる。
【0045】
図9に示す高周波電力増幅器1Dでは、図6に示す合成回路基板6に代えて、信号合成基板85が配置されている。信号合成基板85はコンデンサである。増幅回路基板5のトランジスタ素子51,52,53,54の出力端子は信号合成基板85に対してそれぞれボンディングワイヤ90により電気的に接続されている。
【0046】
本発明の高周波電力増幅器では、入力端子側に抵抗パターン部を形成することが目的であるので、出力端子側では上述した変形例のような構成を採用でき、出力端子側には抵抗パターン部を形成しないことで、効率よく高周波電力増幅させる。
【0047】
本発明の高周波電力増幅器は、入力端子と前記入力端子により入力された入力信号を分配する複数の分岐端子を有する導体パターンを備える分配回路基板と、各前記分岐端子からの前記入力信号をそれぞれ増幅する増幅回路基板と、前記増幅回路基板からの前記入力信号を合成する合成回路基板と、を備え、前記分配回路基板の前記導体パターンは、絶縁基板に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成された第2導電層と、前記第2導電層上に形成された第3導電層と、を有し、前記分配回路基板の前記導体パターンには、前記入力端子から前記分岐端子が分岐された位置に、前記第1導電層と前記第2導電層のみからなる抵抗パターン部が形成されていることを特徴とする。
【0048】
これにより、抵抗パターン部がループ内に存在していることから、イーブンモード発振を防止できる。しかも、分岐端子は入力端子20と入力端子に対して抵抗パターン部を介在させているので、抵抗が挿入されないループが構成されてしまうことがなく、この抵抗パターン部が高周波電力増幅器のオッドモード発振をも防止することができる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されない。本発明の高周波電力増幅器はE級増幅だけでなくF級増幅に用いることもできる。図示の実施形態では、分配回路基板4が4つの分岐端子21〜24を有しているが、これに限らず4つを超える分岐端子を形成しても良い。
【0050】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1・・・高周波電力増幅器、2・・・パッケージ、4・・・分配回路基板、5・・・増幅回路基板、6・・・合成回路基板、8・・・ベース基板、14,15・・ボンディングワイヤ、18・・・中間部分、19・・・導体パターン、19A・・・第1導電層、19B・・・第2導電層、19C・・・第3導電層、21,22,23,24・・・分岐端子、41,42,43,44・・・抵抗パターン部、T・・・信号導通方向、X・・・基板の長手方向X、51,52,53,54・・・トランジスタ素子(増幅素子)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と前記入力端子により入力された入力信号を分配する複数の分岐端子を有する導体パターンを備える分配回路基板と、
各前記分岐端子からの前記入力信号をそれぞれ増幅する増幅回路基板と、
前記増幅回路基板からの前記入力信号を合成する合成回路基板と、を備え、
前記分配回路基板の前記導体パターンは、絶縁基板に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成された第2導電層と、前記第2導電層上に形成された第3導電層と、を有し、
前記分配回路基板の前記導体パターンには、前記入力端子から前記分岐端子が分岐された位置に、前記第1導電層と前記第2導電層のみからなる抵抗パターン部が形成されていることを特徴とする高周波電力増幅器。
【請求項2】
前記分配回路基板の複数の前記分岐端子と前記増幅回路基板との間には、整合回路が挿入され、前記整合回路は、コンデンサと、各前記分岐端子と前記コンデンサを電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、前記コンデンサと前記増幅回路基板の入力端子を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、を有することを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−44812(P2011−44812A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190349(P2009−190349)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】