説明

高脂血症、異常脂質血症、および不完全な炭水化物代謝と関連するSNPの同定

本発明は、高脂血症および/または異常脂質血症、または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である染色体領域を含む核酸分子に関するものであり、該核酸分子は、(a)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1機能に対する効果を有する1個以上の変異を有する;(b)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のイントロン7の位置3966においてグアニンまたはアデニン残基を含むことにより特徴付けられる;および/または(c)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のエクソン11の位置5205においてシトシンまたはチミン残基を含むことにより特徴付けられる、からなる群から選択され、該核酸分子は、配列番号:1の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて最大50000ヌクレオチド伸長する。本発明はさらに、USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子を含む診断用組成物、本明細書に開示の核酸分子、本発明のベクター、プライマーまたはプライマーペア、またはUSF1特異的抗体に関するものである。最後に、本発明は、高脂血症、異常脂質血症、冠状動脈性心臓病、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、またはアテローム性動脈硬化症の処置用医薬組成物を製造するための本発明の核酸分子の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝(defective crbohydrate metabolism)に関与するか、あるいはそれらの指標である染色体領域を含む核酸分子に関するものであり、該核酸分子は、(a)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1機能に対する効果を有する1個以上の変異を有する;(b)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のイントロン7の位置3966においてグアニンまたはアデニン残基を含むことにより特徴付けられる;および/または(c)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のエクソン11の位置5205においてシトシンまたはチミン残基を含むことにより特徴付けられる、からなる群より選択され;該核酸分子は、配列番号:1の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて最大50000ヌクレオチド伸長する。本発明はさらに、USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子を含む診断用組成物、本明細書に開示の核酸分子、本発明のベクター、プライマー、またはプライマーペア、またはUSF1特異的抗体に関するものである。最後に、本発明は、高脂血症、異常脂質血症、冠状動脈性心臓病、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧、またはアテローム性動脈硬化症の処置用医薬組成物を製造するための本発明の核酸分子の使用に関するものである。
【0002】
様々な文書が本明細書を通じて引用される。製造マニュアルおよびカタログを含むこれらの文書の開示内容は、本明細書において引用により取り込まれる。
【0003】
家族性混合型高脂血症(FCHL)は、血清の総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、またはそれらの両方の上昇した濃度により特徴付けられる(参考文献1および2)。最近、31のフィンランド人FCHL家族において、FCHLの第1の主要な遺伝子座がヒト染色体1q21〜q23上で同定された(参考文献4)。この知見は、他のより不均一な集団由来のFCHL家族において反復された(参考文献5〜7)。さらに全ゲノムスキャンにより、いくつかのFCHLの他の推定遺伝子座がフィンランド人およびドイツ人研究試料において同定された(参考文献8〜9)。興味深いことに、フィンランド人についての研究(参考文献15)を含む多くの研究(参考文献10〜14)において、1q21領域の同一マーカーが2型糖尿病(T2DM)とも関連付けられた。1q21について得られた関連性の証拠は、おそらく遺伝子の多様性、ならびに集団に基づく相違および診断上の相違を反映して、これらのFCHLおよびT2DM研究において変動した。しかしながら、重大なことに、FCHLの決定的な代謝特徴の多く、例えば、高トリグリセリド血症およびインスリン抵抗性はまた、T2DMの特性要素を表す。興味深いことに、混合型高脂血症のげっ歯類遺伝子座は、おそらくヒト1q21とオルソロガスであるマウス第3染色体の領域と関連付けられる(参考文献16)。最近、根底の遺伝子であるチオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)が同定され、これによりヒトFCHLの強力な位置候補がもたらされた(参考文献17)。
【0004】
上述の通り、家族性混合型高脂血症(FCHL)は、血清総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、または両方の上昇した濃度により特徴付けられる(参考文献1、2)。この複合型疾患は最も一般的な家族性高脂血症であり、西洋人集団において1%から2%の有病率である(参考文献1)。FCHLは、60歳未満の冠状動脈性心臓病(CHD)患者の約20%において観察されるので、アテローム性動脈硬化症の強力な遺伝因子を構成する(参考文献3)。FCHLの根底にある分子メカニズムを同定するための途方もない努力にも関わらず、その病因はわからないままである。結果、現時点では家族性混合型高脂血症(FCHL)に襲われた患者を診断または処置することはできない。
【0005】
以上を鑑みて、本発明の根底にある技術的な課題は、高脂血症および/または異常脂質血症、または不完全な炭水化物代謝、またはこれらの病気の素因の正確かつ適切な診断を可能にする手段および方法を提供することである。
【0006】
該技術的な課題は、請求の範囲で特徴付けられる実施態様により解決される。
【0007】
従って、本発明は、高脂血症および/または異常脂質血症、または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である染色体領域を含む核酸分子に関するものであり、該核酸分子は:(a)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1機能に対する効果を有する1個以上の変異を有する;(b)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のイントロン7の位置3966においてグアニンまたはアデニン残基を含むことにより特徴付けられる;および/または(c)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のエクソン11の位置5205においてシトシンまたはチミン残基を含むことにより特徴付けられる、からなる群より選択され;該核酸分子は、配列番号:1の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて最大5000ヌクレオチド伸長する。好ましい実施態様において、核酸分子は、配列番号:1の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて40000ヌクレオチドまで、または25000ヌクレオチドまで、または5000ヌクレオチドまで伸長する。
【0008】
用語「高脂血症および異常脂質血症」は、血清総コレステロールおよび/またはトリグリセリドの濃度の上昇、ならびに低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールおよび/またはアポリポタンパク質Bの濃度の上昇、および/または血清高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールおよび/または低密度LDLの濃度の低減と関連する疾患を意味する。本発明をふまえて、かかる疾患は、家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(hyperapobetalipoproteinemia)(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、高血圧、冠状動脈性心臓病、およびアテローム性動脈硬化症を含む。
【0009】
本発明をふまえて、用語「不完全な炭水化物代謝」は、耐糖能異常およびインスリン抵抗性を意味する。それゆえ、不完全な炭水化物代謝は、2型糖尿病(T2DM)およびメタボリックシンドロームのような疾患の指標となり得る。
【0010】
用語「高脂血症および/または異常脂質血症、または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である」は、見出されたSNPおよび対応する核酸分子が、該病気の指標であり、それゆえおそらく病因でもあるという事実を意味する。従って、この用語は、示された位置が該病気の指標であることを必然的に必要とする。他方、該用語は、SNPを含有する具体的な位置が、実際に該病気の病因であるか、あるいは関与することを必ずしも必要としない。なお、該用語は、いずれかのSNP、または両方のSNPの病因または関与上の役割を排除しない。
【0011】
配列番号:1を指定されたヌクレオチド配列は、USF1を表す5687bpのゲノムヌクレオチド配列であり、ヒトUSF1 mRNAはデータバンク受託番号RefSeq:NM_007122の下寄託され、対応するゲノム配列は、2003年7月にヒトのUCSC Genome Browserに>hg16_refGene_NM_007122 範囲=chr1:158225833−158231519の下寄託されている。本発明の目的上、このヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの活性または機能は、「野生型USF1タンパク質活性」と定義される。同様に、配列位置3966がアデニンであり、配列位置5205がチミンであると、配列番号:1は野生型USF1を表すと解される。USF1は、Eボックスと呼ばれる認識配列CACGTGと結合でき、かつアポリポタンパク質CIII(APOC3)、AII(APOA2)、APOE、ホルモン感受性リパーゼ(LIPE)、脂肪酸合成酵素(FAS)、グルコキナーゼ(GCK)、グルカゴン受容体(GCGR)、ATP結合カセット、サブファミリーA(ABCA1)、レニン(REN)、およびアンジオテンシノーゲン(AGT)のような遺伝子の発現を調節できる転写因子として知られている。さらに、USF1は、USF2のような細胞転写機構の他因子と相互作用することが知られている。
【0012】
本明細書で用いられる用語「(ポリ)ペプチド」は、ペプチドまたは(ポリ)ペプチドを意味する。通常、ペプチドは30残基までの共有結合したアミノ酸であり、一方ポリペプチド(本明細書において、「タンパク質」とも称される)は、31個以上のアミノ酸残基を含む。
【0013】
用語「USF1機能に対する効果を有する1個以上の変異」は、USF1機能に影響を及ぼす変異を意味する。本発明を通じて、用語「機能」および「活性」は互換使用される。USF1は転写因子であるので、用語「USF1機能」は、ゲノムDNA上のその標的認識配列に対する特異性、そのタンパク質相互作用配列、および転写を調整または調節するその能力を含む転写因子としてのその活性を意味する。しかしながら、USF1のコード領域の外側の変異もUSF1機能に対する効果を有し得ることに注意することが重要である。かかる変異は、例えば、細胞で転写されたUSF1の量に影響する変異(プロモーター活性に影響する変異を含む)、またはRNA転写物のスプライシングまたは細胞内デリバリーに影響する変異である。任意のこれらの変異も、本発明に含まれる。
【0014】
用語「核酸分子」は、天然に存在する核酸分子および天然に存在しない核酸分子の両方を意味する。天然に存在しない核酸分子は、cDNAならびにPNAのような誘導体を含む。
【0015】
本明細書を通じて用いられる用語「配列番号:の核酸配列を含む核酸分子[...]」は、配列番号により特定される核酸分子より少なくとも1ヌクレオチド長い核酸分子を意味する。同時に、これらの核酸分子は、例えば、配列番号:1により特定される本発明の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて最大50000ヌクレオチド伸長する。
【0016】
哺乳類における多くの従前の研究は、家族性混合型高脂血症に関与するか、あるいは関連する染色体領域を同定しようとするものであった。混合型高脂血症のげっ歯類遺伝子座は、おそらくヒト染色体1q21とオルソロガスなマウス第3染色体上の領域と関連付けられた(参考文献16)。最近、基礎をなす遺伝子のチオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)が同定され、これによりヒトFCHLの強力な位置候補がもたらされた(参考文献17)。驚くことに、本発明により開示される結果は、それぞれヒトUSF1のイントロン7およびエクソン11に位置する2つの一塩基多型が、高脂血症、異常脂質血症、および不完全な炭水化物代謝と関連することを示すものである。開示の多型により、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について個体をスクリーニングすることが可能になる。
【0017】
本発明者等は、FCHLと関連するアリール、およびメタボリックシンドロームのいくつかの構成形質を特徴付けることが報告された非コードSNPを調べた(参考文献6A、7A)(Ng, M.C.Y. et al., manuscript submitted)。本発明者等は、最も強力に関連するSNP usf1s2を含有するDNA配列が、種を超えて保存され、核抽出物のタンパク質と結合することを観察した(EMSA実験での移動度シフトを生み出すその能力により示される)。このインビトロの証拠に加えて、本発明者等は、19個体の脂肪組織におけるUSF1の下流遺伝子の差次的発現を観察することができ、それは、それらがSNP usf1s2のリスクまたはリスクのないアリールを有するかどうかに依存するものであった。
【0018】
転写因子は、可変数の縮重ヌクレオチドに隣接する約4〜6bpの短いコア配列により特徴付けられる非常に特異的なヌクレオチド配列と結合する。イントロン7のusf1s2の周りの配列はこれらの基準と十分に一致し、5bpの完全な異種間での保存を示す。本発明者等のEMSAの結果は、実際、usf1s2を囲む配列が機能的エレメントを表すという知見を支持する強力な証拠となった。本発明者等はまず、この保存されたDNAモチーフを含む268bpのセグメントが、正しい向きのレポーター遺伝子の発現のみを増強することを報告した(参考文献6A)。これは、このイントロン配列のcis調節機能を強く示すものである。本発明者等の認識上、USF1遺伝子の調節エレメントについて最初に示したものである。EMSAは単純なインビトロアッセイであり、ここで、研究下のDNA配列は本質的にネイキッドであり、そのすべての転写機構を有する正常細胞環境および他の調節エレメントの宿主の不存下で試験される。これらの相互作用エレメントのいくつかを有意な距離で見出すことができ、かつそれらはEMSAのために用いられるプローブに存在しないであろう。任意の組織特異的効果もインビトロアッセイでは無効にされるだろう。しかしながら、本発明者等の、脂肪において遺伝子を調節したUSF1の発現プロファイルデータは、これらの遺伝子の発現パターンにおけるアリール特異的な差を示し、そしてUSF1の機能におけるアリール特異的な差を含意するだろう。
【0019】
本発明者等は、発現において可能性のある変化についてUSF1の既知の下流遺伝子を分析した。通常、遺伝子の転写調節は、組織および異なるホルモン/環境合図に依存した種々の転写因子からなる提携が、上手く整調された結果であるので、任意のシグナル因子における変化が劇的な効果を有するとは予測されない。さらに、本発明者等は、USF1が、SNP usf1s2における特異的アリールに依存して有意に異なって遺伝子APOE(参考文献13A)、ABCA1(参考文献14A)、およびAGT(参考文献15A)を調節することを見出した。3種の遺伝子全てが、異常脂質血症表現型に高度に関連する。ABCA1は、マクロファージから新生HDL粒子へのリン脂質およびコレステロールの流れを仲介することにより、コレステロールの逆のデリバリーの第1の工程に関与する(参考文献22A)。ABCA1の機能的アリールの欠如は、非常に低いHDL濃度により特徴付けられるタンジール病および家族性低αリポ蛋白血症を生じることが示された(参考文献23A)。AGTは、特に腎臓による水分吸収量を調節することによる血圧および血液容量の制御において必須の要素である。APOEは、肝臓におけるLDL受容体関連タンパク質(LRP)介在性エンドサイトーシスを介した循環からのカイロミクロンおよびVLDL残遺物の除去を促進する(参考文献24A〜26A)。APOEは、LDL受容体に対して高い親和性を有し、APOEの過剰発現は、血漿低密度リポタンパク質の顕著な低減を生じる(参考文献27A)。従って、APOEの低減は、循環中のコレステロールに富むカイロミクロンおよびVLDL残遺物の蓄積および抵抗時間の増長(極めて、アテローム生成表現型)を生じる(参考文献24A、28A)。APOEの欠損は、血漿からのコレステロールおよびトリグリセリドのクリアランスの障害を伴う家族性異常βリポ蛋白血症を生じることも示された(参考文献29A、30A)。最近の証拠により、APORは、細胞内脂質代謝において重要な役割を果たすことも示唆されている。APOEのトリグリセリドに富むリポタンパク質(TRL)からの再循環は、HDL代謝およびコレステロール流出に重要である(参考文献31A)。本明細書で示されるAPOE発現に対するusf1s2リスクアリールの明らかに非所望な効果は、USF1のFHCLとの関連の本発明者等の初期の知見、および構成形質に見合っている(参考文献6A)。
【0020】
ACACA発現のインスリン濃度との相関は、初期知見において反復された(参考文献18A)が、2種のUSF1アリールハプロタイプ間のこの相関の程度の差が重要であることがさらに明らかとなった。該相関は、保護ハプロタイプ群内で特に高かった。インスリンに対するこの異なる転写応答は、非常に興味深いものであり、代謝遺伝子のインスリンおよび糖濃度の変化に対する応答の仲介におけるUSF1の既知の役割を担うものである(参考文献16A)。ACACAは、長鎖脂肪酸の生合成における律速工程を触媒する酵素として、全体的な脂質代謝の鍵となる位置を占める(参考文献32A)。これらの知見は、FCHLおよびメタボリックシンドロームの患者組織において十分に確立されたインスリン抵抗性を生じる複合体分子経路におけるUSF1の役割を示唆する。
【0021】
USF1局所遺伝子の調査は、usf1s2アリールのそれらの発現を超えた影響を全く示さなかった。これは、効果がUSF1遺伝子に含有されることを示唆している。しかしながら、F16Rの3’直後の小さな未知のEST(AW995043)は、usf1s2で異なるアリールを有する群間で差次的に発現した。通常、ESTは転写された遺伝子のフラグメントを表すが、AW995043は、F11Rに対して逆の鎖から転写され、かつ任意の既知のスプライスバリアントとオーバーラップしないので、その一部ではないようであった。このESTの差次的発現は例外的であり得るか、あるいはそれは今のところ未知の機能を有する小さな調節RNA分子を表し得る。好ましい実施態様において、本発明の核酸分子はゲノムDNAである。本発明のこの好ましい実施態様は、通常、分析が、研究中の人から単離された体液、細胞または組織由来のゲノムDNAに基づき行われるという事実を反映する。本発明の核酸分子のさらに好ましい実施態様において、該ゲノムDNAは遺伝子の一部である。本発明をふまえて、好ましくは、USF1遺伝子と比較して、位置3966にSNP1を有するUSF1遺伝子のイントロン7、および/または位置5205にSNP2を有するUSF1遺伝子のエクソン11が少なくとも分析される。本発明の中心的態様は、USF1遺伝子の位置3966のグアニン残基が疾患関連アリールの存在を示し、一方、USF1遺伝子の同じ位置のアデニン残基は健常アリールの指標であることである。同様に、USF1遺伝子の位置5205のシトシン残基は疾患関連アリールの存在を示し、一方、チミン残基は健常アリールの指標である。
【0022】
本発明はまた、少なくとも20ヌクレオチドを有する本発明の核酸分子のフラグメントに関するものであり、該フラグメントは、配列番号:1のヌクレオチド位置3966および/または位置5205を含む。本発明のフラグメントは、天然起源ならびに(半)合成起源のものであり得る。従って、フラグメントは、例えば、有機化学の通常のプロトコールにより合成された核酸分子であってもよい。重大なことに、本発明の核酸フラグメントは、USF1遺伝子のイントロン7のヌクレオチド位置3966、またはUSF1遺伝子のエクソン11のヌクレオチド位置5205を含む。これらの位置で、フラグメントは、野生型ヌクレオチド、または高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標であるヌクレオチド(「変異」または「疾患関連」配列とも称される)のいずれかを有し得る。結果として、本発明のフラグメントは、例えば、野生型配列と変異配列とを区別するアッセイにおいて用いられ得る。
【0023】
さらに好ましくは、本発明のフラグメントは、少なくとも17ヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも20ヌクレオチド、最も好ましくは、少なくとも25ヌクレオチド(例えば、30ヌクレオチド)からなる。しかしながら、好ましくは、該フラグメントは、100bpまで、200bpまで、300bpまで、400bpまで、500bpまで、600bpまで、700bpまで、800bpまで、900bpまで、または1000bpまでの長さである。
【0024】
さらに、本発明は、本発明の核酸分子に相補的であって、かつ少なくとも17または少なくとも20ヌクレオチド長を有する核酸分子に関するものである。しかしながら、好ましくは、相補核酸分子は、100bpまで、200bpまで、300bpまで、400bpまで、500bpまで、600bpまで、700bpまで、800bpまで、900bpまで、または1000bpまでの長さである。
【0025】
少なくとも15または少なくとも20ヌクレオチドを含み、かつUSF1遺伝子の少なくとも位置3966または位置5205をカバーする本発明のこの実施態様は、ハイブリダイゼーションアッセイにおける列挙した位置の遺伝子セットアップの分析において特に有用である。従って、例えば、野生型配列、または高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である変異体のいずれかに厳密に相補的な15merを用いて、多型変異体間が区別され得る。これは、適切なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が選択されたなら、分析される試料中のDNAに正確に相補的でない、検出可能な標識で標識された核酸分子は検出可能なシグナルを生じないからである。
【0026】
これと関連して、本発明の核酸分子、そのフラグメント、ならびに相補核酸分子が検出可能に標識され得ることに注意することが重要である。検出可能な標識は、H、または32Pのような放射標識、または蛍光標識を含む。核酸の標識は当該技術分野でよく理解されており、例えば、Sambrook et al.,"Molecular Cloning, A Laboratory Manual";ISBN:0879695765, CSH Press, Cold Spring Harbor, 2001に記載されている。
【0027】
好ましくは、ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントまたは高度にストリンジェントな条件下で行われる。ハイブリダイゼーションの「ストリンジェントまたは高度にストリンジェントな条件」は、当業者によく知られているか、あるいは通常のプロトコールに従い、当業者によって確立され得る。各配列についての適当なストリンジェントな条件は、温度、核酸分子の組成、塩濃度などのようなよく知られたパラメーターに基づき確立され得る:例えば、Sambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual";ISBN:0879695765, CSH Press, Cold Spring Harbor, 2001および初版のSambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual";CSH Press, Cold Spring Harbor, 1989、またはHiggins and Hames (eds.), "Nucleic acid hybridization, a practical approach", IRL Press, Oxford 1985(参考文献54)、特に、chapter"Hybridization Strategy"by Britten & Davidson, 3 to 15を参照。典型的な(高度にストリンジェントな)条件は、65℃、0.5×SSCおよび0.1% SDS中でのハイブリダイゼーション、または42℃、50% ホルムアミド、4×SSC、および0.1%SDSでのハイブリダイゼーションを含む。通常、ハイブリダイゼーションに、非特異的なシグナルを除去するための洗浄が続く。洗浄条件は、65℃、0.2×SSCおよび0.1% SDS、または2×SSCおよび0.1% SDS、または0.3×SSCおよび0.1% SDS、25℃〜65℃のような条件を含む。ハイブリダイゼーションはまた、より低いストリンジェンシー条件下で行われてもよい。かかるハイブリダイゼーション条件のパラメーターは、Sambrook et al., "Molecular Cloning, A Laboratory Manual";ISBN:0879695765, CSH Press, Cold Spring Harbor, 2001により詳細に記載されている。低ストリンジェンシー条件の非限定的な例は、35% ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/ml 変性サケ血清DNA、10%(wt/vol) 硫酸デキストラン中、40℃でのハイブリダイゼーション、次に、2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDS中、55℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る低ストリンジェンシーの他の条件は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、異種間ハイブリダイゼーションのため利用されるもの)。例えば、Ausubel, et al. (eds.), 1993, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons. NY, and Kriegler, 1990, GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL, Stockton Press, NY;Shilo and Weinberg, 1981, Proc Natl Acad Sci USA 78: 6789-6792を参照。
【0028】
さらに、本発明は、上述の核酸分子を含むベクターに関するものである。具体的には、該ベクターは、本発明の核酸分子を含む、遺伝子操作で通常用いられるプラスミド、コスミド、ウイルス、またはバクテリオファージであり得る。好ましくは、該ベクターは、発現ベクター、および/または遺伝子移入または標的ベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマ・ウイルスのようなウイルス由来の発現ベクターが、本発明の核酸分子の標的細胞集団へのデリバリーのために用いられ得る。当業者によく知られた方法を用いて、組換えウイルスベクターが構築され得る;例えば、Sambrook et al., loc. cit.およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (2001)に記載の技術を参照。別法として、本発明の核酸分子およびベクターは、標的細胞へのデリバリーのためリポソーム内に再構築され得る。本発明の核酸分子を含有するベクターは、よく知られた方法(細胞宿主の種類に依存して変動する)により細胞宿主細胞に移入され得る。例えば、原核細胞には、塩化カルシウムトランスフェクションが一般に用いられるが、一方、他の細胞宿主には、例えば、リン酸カルシウムまたはDEAE−デキストラン介在性トランスフェクション、またはエレクトロポレーションが用いられ得る;上記Sambrook参照。
【0029】
かかるベクターは、適当な宿主細胞中かつ適当な条件下で該ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子のような遺伝子をさらに含んでもよい。好ましくは、本発明の核酸分子は、原核細胞または真核細胞における発現を可能にする発現制御配列に作動可能に結合する。該ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドの翻訳可能なmRNAへの転写を含む。真核細胞、好ましくは、哺乳類細胞での発現を確かなものとする調節エレメントは、当業者によく知られている。通常、それらは、転写開始を確かなものとする調節配列、必要に応じて、転写終結および転写物の安定を確かなものとするポリAシグナル、および/または該ポリヌクレオチドの発現をさらに増強するイントロンを含む。さらなる調節エレメントは、転写ならびに翻訳エンハンサー、および/またはもともと関連するかあるいは異種性プロモーター領域を含み得る。原核生物宿主細胞での発現を可能にする可能性のある調節エレメントは、例えば、エシエリキア・コリ(E. coli)のPL、lac、trp、またはtacプロモーターを含み、原核生物宿主細胞での発現を可能にする調節エレメントの例は、酵母のAOX1またはGAL1、または哺乳類または他の動物細胞のCMV−、SV40−、RSV−プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV−エンハンサー、SV40−エンハンサー、またはグロビンイントロンである。加えて、調節エレメントのような転写の開始に関与するエレメントは、該ポリヌクレオチドの下流にSV40−ポリ−A部位またはtk−ポリ−A部位のような転写終結シグナルも含んでいてもよい。必要に応じて、異種性配列は、所望の特徴、例えば、発現した組換え産物の安定化または単純化された精製を与える、C−またはN−末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。この関連で、OKAYAMA−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pCDNA3、Echo[登録商標]クローニングシステム(Invitorogen)、pSPORT1(GIBCO BRL)、またはpRevTet−On/pRevTet−OffまたはpCI(Promega)のような適当な発現ベクターが当該技術分野で知られている。
【0030】
好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションすることが可能なベクターにおける真核生物のプロモーターシステムであるだろうが、真核生物宿主の制御配列も用いられ得る。
【0031】
上述の通り、本発明のベクターはまた、遺伝子移入またはターゲティングベクターであってもよい。エキソビボまたはインビボ技術による治療用遺伝子の細胞内への導入に基づく遺伝子治療は、遺伝子移入の最も重要な応用の1つである。インビトロまたはインビボ遺伝子治療に適当なベクターおよび方法は、文献に記載されており、当業者に知られている(例えば、Giordano, Nature Medicine 2 (1996), 534-539;Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919;Anderson, Science 256 (1992), 808-813;Isner, Lancet 348 (1996), 370-374;Muhlhauser, Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086;Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716;W094/29469;WO97/00957;Schaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640;またはKay et al. (2001) Nature Medicine, 7, 33-40、および本明細書において引用する参考文献)。本発明のポリヌクレオチドおよびベクターは、細胞内への直接的導入、またはリポソームまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入用に設計され得る。好ましくは、該細胞は、生殖系列細胞、胚細胞、または卵細胞、またはそれらに由来するものであり、最も好ましくは、該細胞は幹細胞である。野生型核酸分子のみを用いた遺伝子治療が予想される。
【0032】
本発明はまた、プライマーまたはプライマーペアに関するものであり、該プライマーまたはプライマーペアは、ストリンジェントな条件下で、配列番号:1のヌクレオチド位置3966および/または5205を含む本発明の核酸分子、またはその相補鎖にハイブリダイゼーションする。好ましい実施態様において、該プライマーは、USF1配列の位置3966に対応する位置にアデニンまたはグアニン残基を有する。別の好ましい実施態様において、該プライマーは、USF1配列の位置5205に対応する位置にシトシンまたはチミン残基を有する。プライマーは、DNA2本鎖のコード(+)鎖または非コード(−)鎖に結合し得る。
【0033】
好ましくは、本発明のプライマーは、17、20、または21ヌクレオチドのような少なくとも14ヌクレオチド長を有する。1つの実施態様において、プライマーの標的配列がSNPの3’側に位置する事実により、プライマーが配列分析に実際有用であること、すなわち、伸長プライマー配列は実際SNPを含有することが確認される。PCR反応が行われる場合、例えば、通常は2つのプライマーが含まれ、1つのプライマーは+鎖のSNPの3’側に結合し、残りのプライマーが−鎖のSNPの3’側に結合する。
【0034】
1つの実施態様において、プライマーは実際にSNPの位置に結合する。結果として、結合がストリンジェントな条件下で行われる場合、該結合はプライマーと標的の配列が完全な相補性を有するときのみ生じるので、かかるプライマーは異なる多型変異体を区別するのに有用である。さらに好ましくは、プライマーは最大24ヌクレオチド長を有する。しかしながら、特定の場合では、好ましくは、最大30から35ヌクレオチド長を有するプライマーが用いられ得る。伸長反応または増幅反応のような適当な検出方法と結びつけて、適当な条件下での位置3966または位置5205のいずれかを含むゲノム配列とのプライマーのハイブリダイゼーションまたはハイブリダイゼーションの欠如を用いて、多型変異体が区別され、次に、例えば、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の研究下の人の素因についての結果が示される。本発明は、2種類のプライマー/プライマーペアを予測する。1種類目は、変異を含む配列、すなわち、疾患関連配列にハイブリダイゼーションする。言い換えると、プライマーペアの1つのヌクレオチドは、位置3966のグアニン残基(または相補鎖のシトシン残基)、または位置5205のチミン残基(または相補鎖のアデニン残基)を有する。他の種類のプライマーは、野生型配列に正確に相補的である。好ましくは、十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が選択されるので、例えば、変異配列に正確に相補なプライマーの野生型アリールとの接触は、ミスマッチ形成に起因して有効なハイブリダイゼーションを生じない。洗浄後、プライマーの除去に起因するシグナルは検出されない。
【0035】
さらに、本発明は、上述の本発明のベクターで形質転換された非ヒト宿主に関するものである。宿主は、変異または野生型配列のいずれかを有し得る。繁殖などの際、宿主は、SNPの1つまたは両方にヘテロ接合性またはホモ接合性であってもよい。
【0036】
本発明の宿主は、一過性または安定的のいずれかでゲノムに組み込まれた本発明のベクターを有し得る。本発明の非ヒト宿主を生成する方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook et al., loc. cit.,に記載の通常のトランスフェクションプロトコールを利用して、形質転換された細菌(例えば、エシエリキア・コリ)または形質転換された酵母が生成され得る。本発明の非ヒト宿主を用いて、例えば、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の発症が明らかにされ得る。
【0037】
本発明の好ましい実施態様において、非ヒト宿主は、細菌、酵母細胞、昆虫細胞、真菌細胞、哺乳類細胞、植物細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物である。
【0038】
エシエリキア・コリが好ましい細菌であり、好ましい酵母細胞はサッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞である。好ましい真菌細胞はアスペルギルス細胞であり、好ましい昆虫細胞はスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞を含む。好ましい哺乳類細胞は、USF1転写因子の発現を示すCHO細胞、大腸癌腫、および肝癌細胞株である。しかしながら、HeLa細胞などまたは線維芽細胞を含むUSF1を非常に低く発現する細胞株も、特定の実験に特に有用であり得る。
【0039】
トランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスを生成する方法は、上述のポリヌクレオチドまたは標的ベクターを生殖細胞、胚性細胞、幹細胞、卵細胞、またはそれらに由来する細胞に導入することを含む。非ヒト動物は、本明細書に記載の本発明のスクリーニング方法をふまえて用いられ得る。例えば、A. L. Joyner Ed., Gene Targeting, A Practical Approach (1993), Oxford University Pressにより記載のトランスジェニック胚の生成およびそれらのスクリーニングが行われてもよい。胚の胚性メンバーのDNAは、例えば、適当な相補核酸分子を用いたサザンブロット法を用いて分析され得る(上記参照)。トランスジェニック非ヒト動物を生成する一般的な方法は、当該技術分野、例えば、WO94/24274に記載されている。トランスジェニック非ヒト生物(相同的に標的化された非ヒト動物を含む)の生成には、胚性幹細胞(ES細胞)が好ましい。有糸分裂上不活性なSNL76/7細胞の支持細胞層(McMahon and Bradley, Cell 62: 1073-1085 (1990)、本質的には、Robertson, E. J. (1987) in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach. E. J. Robertson, ed. (Oxford : IRL Press), p. 71-112に記載)上で成長させたAB−1株のようなマウスES細胞が、相同的遺伝子ターゲティングのために用いられ得る。他の適当なES細胞は、E14株(Hooper et al., Nature 326: 292-295 (1987))、D3株(Doetschman et al., J. Embryol. Exp. Morph. 87: 27-45 (1985))、CCE株(Robertson et al., Nature 323: 445-448 (1986))、AK−7株(Zhuang et al., Cell 77: 875-884 (1994))を含むが、これらに限定されない。特定の標的変異を生じるES細胞由来のマウス系統の生成の成功は、ES細胞の多能性(すなわち、胚胎胞または桑実胚のような発生期の宿主の胚に注入されたときに、胚形成に関与し、かつ生じた動物の生殖細胞に寄与するそれらの能力)に依存する。注入されたES細胞を含有する胚胎胞は、偽妊娠非ヒトメスの子宮での発生が可能であり、キメラマウスとして生まれる。生じたトランスジェニックマウスは、所望の核酸分子を有する細胞についてキメラであり、それは戻し交配され、子孫の尾の生検DNAでのPCRまたはサザンブロット分析により、正確に標的化された導入遺伝子の存在についてスクリーニングされ、本発明の核酸分子についてヘテロ接合性のトランスジェニックマウスが同定される。
【0040】
トランスジェニック非ヒト動物は、例えば、トランスジェニックマウス、ラット、ハムスター、イヌ、サル(類人猿)、ウサギ、ブタ、またはウシであってもよい。好ましくは、該トランスジェニック非ヒト動物はマウスである。本発明のトランスジェニック動物は、とりわけ、本発明の核酸およびベクターの表現型の発現/結果を研究するのに有用である。さらに、本発明のトランスジェニック動物は、例えば、げっ歯類の腸において、USF1遺伝子の発生上の発現、および高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の発症に対するその役割を研究するのに有用である。さらに、本発明の非ヒトトランスジェニック動物は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に有用な治療用物質/組成物または他の可能性のある治療剤について試験するために利用されることが予測される。
【0041】
本発明はまた、USF1またはそのフラグメント、USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子、またはUSF1特異的抗体を含む医薬組成物に関するものである。
【0042】
本発明の医薬組成物の成分は、医薬的に許容される担体、および/または希釈剤、および/または賦形剤と組み合わされてもよい。好ましくは、USF1は、疾患症状を緩和する能力のある任意のUSF1を意味する。一般に、USF1は野生型のものであるだろう。しかしながら、特定の場合では、1個以上の点変異、挿入、欠損などを有し、かつ増大または低減した機能または活性を示す変異USF1の投与に有用であり得る。ポリペプチドの取り込みまたは安定性を改良した化学的に修飾された分子も本発明に包含される。
【0043】
適当な医薬担体の例は、当該技術分野でよく知られており、それは、リン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水エマルジョンのようなエマルジョン、様々な種類の湿潤剤、無菌溶液などを含む。かかる担体を含む組成物は、よく知られた通常の方法により製剤され得る。これらの医薬組成物は、適当な用量で対象に投与され得る。適当な組成物の投与は、異なった方法、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、経皮、経鼻、または気管支内投与により達成され得る。投与計画は、主治医および臨床上のファクターにより決定されるだろう。医薬分野においてよく知られているとおり、任意の1人の患者に対する投薬量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与されるべき具体的な化合物、性別、投与時間および経路、一般的な健康状態、および同時に投与される他の薬物を含む多くのファクターに依存する。典型的な用量は、例えば、発現または発現の阻害のために核酸0.001から1000μgの範囲にあり得るが;この例示的な範囲より下またはそれより上の用量は、特に上述のファクターを考慮して予測される。投薬量は変動するだろうが、DNAの静脈内投与に好ましい投薬量は、DNA分子約10から1012コピーである。進行は定期的な評価によりモニタリングされ得る。本発明の組成物は、局所または全身性に投与され得る。一般に、投与は非経腸、例えば、静脈内投与であり;DNAはまた、例えば、内部または外部標的部位への遺伝子銃デリバリーにより、あるいは動脈内部位へのカテーテルにより標的部位に直接投与され得る。非経腸投与用製剤は、無菌水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルである。水性担体は、生理食塩水および緩衝媒体を含む水、アルコール/水性溶液、エマルジョン、または懸濁液を含む。非経腸ビークルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、または不揮発性油を含む。静脈注射用ビークルは、液体および栄養補充薬、電解質補充薬(例えば、リンゲルのデキストロースベースのもの)などを含む。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどのような保存剤および他の添加剤も存在していてもよい。
【0044】
さらに、本発明は、USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子、上述の核酸分子、上述のベクター、上述のプライマーまたはプライマーペア、またはUSF1特異的抗体を含む診断用組成物に関するものである。
【0045】
診断用組成物は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝を発症する彼または彼女の素因に関して、または急性疾患の診断に関して、人の遺伝子状態を評価するのに有用である。診断用組成物の様々な可能性のある成分は、溶媒中、そうでなければ凍結乾燥形態で1個以上のバイアルにパッケージされ得る。溶媒中に溶解されるなら、好ましくは、診断用組成物は少なくとも+8℃から+4℃に冷却される。他の場合では、凍結するのが好ましい。
【0046】
本発明はまた、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について試験する方法に関し、該方法は、予測患者またはかかる素因を有することが疑われる人から得た試料を、USF1遺伝子の野生型または変異体アリールの存在について分析することを含む。好ましくは、該変異体は、ホモ接合またはヘテロ接合状態でUSF1遺伝子の位置3966および/または位置5205のSNPを含む。様々な実施例において、野生型配列または変異配列の存在のいずれかについて試験され得る。本発明をふまえて、USF1遺伝子の位置3966のグアニン残基は疾患関連アリールの存在を示し、一方、USF1遺伝子の同じ位置のアデニン残基は、健常アリールの指標である。同様に、USF1遺伝子の位置5205のシトシン残基は疾患関連アリールの存在を示し、一方、チミン残基は健常アリールの指標である。
【0047】
本発明の方法は、該人/患者の遺伝子セットアップの検出、および該患者が罹患している病気が高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝であるかどうかの適当な結論を示すのに有用である。別法では、病気に罹患していない人が、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の素因を有するかどうかが評価され得る。USF1遺伝子のエクソン11の位置5205に関して、シトシンのみがホモ接合性またはヘテロ接合性状態で見出される場合、病気は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝と診断されるか、あるいは対応の素因が判然する。一方、チミンがホモ接合性状態で見出される場合、患者が罹患している病気は、高脂血症、または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝と関連せず、かつ該患者はこの病気を発症する素因を有さないと結論付けられ得る。位置3966のSNPの分析についても、状況は同じであり、本質的に同じ結論が適用される:USF1遺伝子のイントロン7の位置3966に関して、グアニンのみがホモ接合性またはヘテロ接合性状態で見出される場合、病気は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝と診断されるか、あるいは対応の素因が判然とする。一方、アデニンがホモ接合性状態で見出される場合、患者が罹患している病気は、高脂血症または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝と関連せず、さらに患者はこの病気を発症する素因を有さないと結論付けられ得る。
【0048】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該試験は、(高度に)ストリンジェントな条件下で、プローブとして高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である核酸分子に相補的な上記相補核酸分子、または野生型配列に相補的な上記核酸分子を、該試料に含まれる核酸分子にハイブリダイゼーションさせること、および該ハイブリダイゼーションを検出することを含み、該相補核酸分子はSNPを含有する配列位置を含む。
【0049】
加えて、用いられる核酸プローブに依存して、野生型または変異配列(すなわち、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に関与するか、またはそれらの指標である配列)のいずれかが検出されるだろう。野生型配列に相補的な核酸分子が、変異配列にハイブリダイゼーションしないか、あるいは本質的にハイブリダイゼーションしないように、ハイブリダイゼーション条件が選択されることが理解される。同様に、変異配列に相補的な核酸分子は、野生型配列にハイブリダイゼーションしないか、あるいは本質的にハイブリダイゼーションしない。本発明のハイブリダイゼーション方法においてホモ接合性およびヘテロ接合性遺伝子型から得られた結果を同定するために、例えば、ハイブリダイゼーション後のそれぞれの検出シグナルの強さ/強度をモニタリング/検出することができる。本発明のハイブリダイゼーション方法において野生型ホモ接合性、ヘテロ接合性、および/または変異ホモ接合性アリールを区別するために、対応の遺伝子型の内部対照試料が分析に含まれるだろう。
【0050】
さらに好ましい実施態様において、本発明の方法はさらに、該ハイブリダイゼーション産物を制限酵素で消化すること、または該ハイブリダイゼーション産物を制限酵素での消化の対象とし、次に該消化産物を分析することを含む。
【0051】
本発明のこの好ましい実施態様は、通常の方法により、有効なハイブリダイゼーションと無効なハイブリダイゼーションとの区別を可能にする。例えば、位置3966または位置5205に隣接するDNA配列が制限酵素認識部位を含む場合、ハイブリダイゼーション産物は、適当な制限酵素により、有効なハイブリダイゼーション上で開裂され、一方、ハイブリダイゼーションの欠如は、2本鎖産物を生じないか、あるいは制限酵素認識部位を含まず、従って開裂されない。適当な制限酵素は、例えば、Webcutterプログラムを用いて見出され得る。消化産物の分析は、ゲル電気泳動法のような通常の方法により達成され、必要に応じて、例えば、核酸をエチジウムブロマイドで染色することと組合せれてもよい。サザンブロット法のようなさらなる技術との組合せも予想される。
【0052】
該ハイブリダイゼーションの検出は、例えば、抗DNA2本鎖抗体により、あるいは標識オリゴヌクレオチドを利用して、達成され得る。通常、本発明の方法は、サザンブロット法またはノーザンブロット法のようなブロット技術、および関連技術と共に利用される。標識は、例えば、標準的プロトコールにより達成され、それは、放射マーカー、蛍光、リン光、化学発光、酵素標識などでの標識を含む。標識は、核酸分子の5’および/または3’末端に位置するか、あるいは内部に位置することができる。好ましい標識は、蛍光色素、例えば、カルボキシフルオレッセイン(FAM)および6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレッセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレッセイン(JOE)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレッセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレッセイン(5−FAM)、またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、放射標識、例えば、32P、35S、Hなどを含むが、これらに限定されない。標識はまた2工程システムであってもよく、ここで、プローブは、高親和性結合パートナー、例えば、アビジン、特異的抗体などを有するビオチン、ハプテンなどと結合し、該結合パートナーは検出可能な標識と結合している。
【0053】
上記をふまえて、本発明の方法の別の好ましい実施態様において、該プローブは、例えば、上述の方法および標識により検出可能に標識される。
【0054】
本発明の方法のなお別の好ましい実施態様において、該試験は、SNP位置を含む、上述の核酸分子の少なくとも一部分の核酸配列を決定することを含む。核酸分子の決定は、サンガーまたはマクサム・ギルバートプロトコール(さらなる手引のため、Sambrook et al., loc. cit.を参照)のような通常のプロトコールの1つに従い達成され得る。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様において、核酸配列の決定は、固相ミニシークエンスにより達成される。固相ミニシークエンスは、溶液中の野生型および変異ヌクレオチドの定量的分析に基づくものである。第1に、変異を含有するゲノム領域が、1つのビオチン化または非ビオチン化プライマー(ビオチン化プライマーは、ストレプトアビジン(SA)コートプレートに結合する)を用いたPCRにより増幅される。PCR産物は1本鎖形態に変性されて、ミニ配列決定プライマーが変異部位の直前のこの鎖と結合することが可能となる。トリチウム(H3)または蛍光標識変異および野生型ヌクレオチドは、非標識dNTPと共に、ミニシークエンス反応液に添加され、Taqポリメラーゼを用いて配列決定される。結果は、βカウンターまたは蛍光光度計により測定されR比として表された反応物中の野生型および変異ヌクレオチド量に基づくものである。Syvaunen AC, Sajantila A, Lukka M. Am J Hum Genet 1993: 52, 46-59およびSuomalainen A and Syvanen AC. Methods Mol Biol 1996; 65:73-79も参照。
【0056】
本発明の方法の好ましい実施態様は、該核酸配列の決定に先立ち、該核酸分子の少なくとも該一部分を増幅することをさらに含む。好ましくは、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により達成される。リガーゼ連鎖反応法のような他の増幅方法も利用され得る。
【0057】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該試験は、増幅反応を行うこと、ここで、該増幅反応で利用されるプライマーの少なくとも1つが上記のプライマーであるか、あるいは上記プライマーペアに属する、および該増幅産物についてアッセイすることを含む。この実施態様において、かつ情報に依存して、研究者/医師は、用いる野生型または変異配列のいずれかとハイブリダイゼーションするプライマーを得たいと願う。特に好ましい実施態様において、プライマーの少なくとも1つが実際にSNP位置に結合する。結果として、結合がストリンジェントな条件下で行われると、結合はプライマーおよび標的の配列が完全な相補性を有する場合にのみ生じるので、異なる多型変異体を区別するのに有用である。
【0058】
標的配列がハイブリダイゼーションに用いられるプライマーに正確に相補的な配列を含むと、本発明の方法は標的配列のみの増幅を生じるだろう。これは、オリゴヌクレオチドプライマーが、好ましくは(高度に)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、野生型/変異配列とハイブリダイゼーションしないが−用いたプライマーの種類に依存する−(結果、増幅産物は全く得られない)正確に一致した配列にのみハイブリダイゼーションすることによる。当然、両方のSNPにハイブリダイゼーションするプライマーペアの組合せが用いられ得る。この場合、予測増幅産物(これは、第2の区別できないプライマーが各遺伝子座について同じであると、0、1、2、3、または4種の増幅産物であり得る)の分析により、位置3966および5205の両方の遺伝子状態についての情報が提供されるだろう。
【0059】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により達成されるか、あるいは該増幅がポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である。PCRは当該技術分野で十分に確立されている。本発明をふまえて用いられるべき典型的な条件は、例えば、合計容量50μl中、合計35サイクルを含み、例えば、95℃、3分間の変性工程;55℃、30秒間のアニーリング工程;72℃、75秒間の伸長工程;次に、72℃、10分間の最終伸長工程である。
【0060】
本発明はさらに、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について試験する方法に関するものであり、該方法は、ヒトから得られた試料を、該試料に含有される(a)USF1、(b)ABCA1、(c)アンジオテンシノーゲン、または(d)アポリポタンパク質Eの量についてアッセイすることを含む。USF1の量は任意の適当な方法により決定され得る。
【0061】
好ましくは、USF1の量は、試料、すなわち、該試料中に含有されるUSF1を、(a)USF1、(b)ABCA1、(c)アンジオテンシノーゲン、または(d)アポリポタンパク質Eに特異的な抗体またはアプタマー、またはそれらの誘導体と接触させることにより決定される。例えば、USF1含有試料は、ウエスタンブロットまたはRIAアッセイにおいて分析されてもよい。これに関連して、ホモ接合性野生型対照試料(2つの持続アリールを含む)と比較して、本発明の抗原の存在についてより弱い染色は、ヘテロ接合性野生型(1つの持続アリールおよび1つの疾患関連アリール)の指標であり、一方、ヘテロ接合性疾患状態については、適当な抗体が用いられた場合、染色されないか、あるいは低減された染色が予測される。好ましくは、本発明の方法は、全部で3種類の可能性のあるアリールの組合せに対応する対照試料の存在下で行われる。試験は、野生型に特異的または変異配列に特異的な抗体またはアプタマーなどを用いて行われ得る。加えて、結合試験は、ELISAのような標準的技術の利用を含んでもよい;例えば、Harlow and Lane(参考文献53), loc. citを参照。本発明を通じて用いられる用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、1本鎖抗体、またはそれらのフラグメントを意味する。好ましくは、抗体は、USF1、または野生型もしくは疾患関連USF1に特異的である。抗体は、二重特異的抗体、ヒト化抗体、合成抗体、Fab、F(ab)’、Fv、またはscFvフラグメントなどのような抗体フラグメント、またはこれらのいずれかの化学的に修飾された誘導体である(全て、用語「抗体」に含まれる)。モノクローナル抗体は、例えば、Kouhler and Milstein, Nature 256 (1975), 495およびGalfre, Meth. Enzymol. 73 (1981), 3にもとは記載の技術であって、当該技術分野で開発された修飾を含む、マウスミエローマ細胞の免疫動物由来脾細胞との融合を含む技術により製造され得る。抗体は、本発明に記載の標識のいずれかを用いて標識されてもよい。
【0062】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該抗体またはアプタマーは検出可能に標識される。好ましくは、アプタマーはHまたは32Pで放射標識されるか、あるいは蛍光マーカーで標識され、一方抗体は、対応する方法(好ましい放射標識として131Iを用いて)で標識されるか、あるいはHis−タグ、FLAG−タグ、またはmyc−タグのようなタグで標識され得る。
【0063】
本発明の方法のさらに好ましい実施態様において、試験は免疫アッセイである。
【0064】
本発明はまた、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因についての試験方法に関するものであり、該方法は、ヒトから得られた試料を、該試料に含有される(a)ABCA1、(b)アンジオテンシノーゲン、または(c)アポリポタンパク質EをコードするRNA量についてアッセイすることを含む。試験は、ノーザンブロット分析のような当業者に既知の方法のいずれかにより、あるいは本明細書に記載の方法により行われ得る。
【0065】
本発明の方法の別の好ましい実施態様において、該試料は、血液、血清、血漿、脂肪組織、唾液、尿、粘膜組織、粘液、膣組織、膣から得られた胎児組織、皮膚、髪、毛包、または別のヒト組織である。
【0066】
本発明の方法のさらなる好ましい実施態様において、該試料由来の該核酸分子は、固体支持体に固定される。
【0067】
核酸分子の固体支持体への固定は、試験アッセイの取扱を容易にし、さらに、チップ、シリカウエハ、またはマイクロタイタープレートのような少なくともある種の個体支持体により、より多くの試料の同時分析が可能になる。理想的には、固体支持体は、例えば、ロボット装置を利用した自動試験を可能にする。
【0068】
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、該固体支持体は、チップ、シリカウエハ、ビーズ、またはマイクロタイタープレートである。
【0069】
本発明の方法は、エキソビボ、インビトロ、またはインビボで行われ得る。
【0070】
本発明はまた、高脂血症、異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因を分析するための、USF1をコードする核酸分子、上述の核酸分子、またはUSF1ポリペプチドの使用に関するものである。上で詳述した通り、該核酸分子は、病気または該病気の素因の不存の同時分析を可能にする。特定の場合では、試験のためにUSF1ポリペプチドを使用することが可能である。これは、例えば、USF1の発現がUSF1に対する自己免疫反応を生じさせる場合であってもよい。かかる場合、USF1ポリペプチドを用いることで、USF1に対する抗体を検出することで患者をモニタリングすることが可能だろう。かかるアッセイは、例えば、ウエスタンブロット技術または(放射)免疫沈降法に基づくものであり得る。
【0071】
加えて、本発明は、家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、および/または家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、冠状動脈性心臓病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、またはメタボリックシンドロームを含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬組成物を製造するための、USF1またはそのフラグメント、USF1をコードし、および/または少なくともUSF1のイントロン7および/またはエクソン11の野生型配列を含む核酸の使用に関する。本発明に記載の疾患のいずれかは、疾患の症状を改善するのに十分な量および質のUSF1を患者に投与することにより、処置され得る。例えば、疾患症状が、患者の低減したUSF1量により引き起こされたなら、USF1の患者への投与は、患者の低減したUSF1を補填するだろう。USF1は、例えば、ポリペプチドとして患者に提供されてもよい。別法として、USF1をコードする核酸分子が投与され得る。好ましくは、USF1は、全長の野生型ポリタンパク質である。しかしながら、特定の場合、1個以上の点変異、挿入、欠損などを有し、かつ増大または低減した機能または活性を示す変異USF1を投与することも有用であり得る。ポリペプチドの取り込みまたは安定性が改良された化学的に修飾された分子も本発明に包含される。遺伝子治療法は、本発明のベクターと関連して上述され、同様にここで適用される。本発明をふまえて、本明細書において上で定義した核酸分子のフラグメントも遺伝子治療法において利用され得る。該フラグメントは、USF1遺伝子の位置3966または位置5205のヌクレオチドを含む。好ましくは、該フラグメントは、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、そして最も好ましくは、少なくとも500ヌクレオチドを含む。本発明の使用の好ましい実施態様において、該遺伝子治療は、高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝を処置または予防する。
【0072】
本発明は、本発明の核酸分子、プライマーまたはプライマーペア、および/またはベクターを1個以上の容器内に含むキットに関するものである。
【0073】
本発明はまた、家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、または高血圧を含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬を製造するためのUSF1発現の阻害剤の使用に関し、該阻害剤は、(a)USF1遺伝子の転写領域に相補的なヌクレオチド配列を含むsiRNAまたはアンチセンスRNA分子、または(b)USF1遺伝子に特異的な抗体、アプタマー、または小分子阻害剤である。
【0074】
本明細書に開示の阻害分子は、インビボまたはインビトロで用いられ得る。本発明の1つの実施態様において、阻害性RNA分子、アプタマー、および抗体は発現カセットから発現される。この発現カセットを用いて、例えば、本明細書に開示のsiRNAを発現する安定な細胞株が生成され得る。安定な細胞株は、例えば、本明細書に記載の疾患の処置の必要な患者から得られる幹細胞に基づくものであってもよい。これらの安定な細胞株は、患者に再導入されてもよい。本発明の別の実施態様において、siRNAはウイルスベクターから発現される。siRNAの発現は、特定の標的遺伝子のダウンレギュレーションを生じる。
【0075】
本明細書で用いられる用語「siRNA」は、「低分子干渉RNA」を意味する。RNA干渉において、低分子干渉RNA(siRNA)は、配列に特異的な方法で標的mRNAに結合し、その分解を促進し、これにより、コードタンパク質の翻訳を妨げる。細胞のsiRNAでのトランスフェクションは、例えば、親油性薬物(中でも、Oligofectamine[登録商標]およびTransit−TKO[登録商標])およびエレクトロポレーションを用いて達成され得る。
【0076】
哺乳類細胞またヒト細胞において低分子干渉RNAまたは低分子ヘアピン型RNAを安定的に発現させる方法は、当業者に知られており、例えば、Paul et al. 2002 (Nature Biotechnology 20: 505-508)、Brummelkamp et al. 2002 (Science 296: 550-553)、Sui et al. 2002 (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99: 5515-5520)、Yu et al. 2002 (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99: 6047-6052)、Lee et al. 2002 (Nature Biotechnology 20: 500-505)、Xia et al. 2002 (Nature Biotechnology 20: 1006-1010)により記載されている。疾患関連変異アリールを特異的に標的にするsiRNAを設計し、それにより、変異遺伝子からの発現を選択的にサイレンシングさせることにより、RNAiアプローチは遺伝的疾患の可能性のある処置の開発に適していることが、いくつかの研究により示されている(Miller et al. 2003, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100: 7195-7200;Gonzalez-Alegre et al. 2003, Ann. Neurol. 53: 781-787)。
【0077】
siRNA分子は、本質的には2本鎖であるが、3’または5’オーバーハングを含み得る。それらは、標的遺伝子と同一でないか、あるいは本質的に同一でない配列も含み得るが、これらの配列は、同一性のある配列の外側に位置していなければならない。配列同一性または実質的同一性は、少なくとも14、より好ましくは、少なくとも19ヌクレオチド長である。好ましくは、それは23ヌクレオチドを超えない。必要に応じて、siRNAは、同一性または実質的同一性のある2箇所の領域を含み、それは同一性のない領域により隔離される。用語「実質的同一性」は、標的mRNAに対するsiRNAのセンス鎖の1個以上のミスマッチ、または同一性のある領域内の標的mRNAミスマッチに対してsiRNAの全長の10から15%を有する領域を意味する。該ミスマッチは、ヌクレオチド置換、付加、欠損、重複などの結果であり得る。23bpより長く、40bp未満のdsRNAも、3または4個のミスマッチを含有し得る。
【0078】
siRNAの標的mRNAとの干渉は、転写/翻訳が、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも90%、なおより好ましくは、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%、そして最も好ましくは、少なくとも99%低減されるという効果を有する。
【0079】
用語「小分子阻害剤」または「小分子化合物」は、多くとも1000Da、好ましくは、多くとも500Daの相対分子量を有する化合物を意味する。それは、有機または無機性質のものであり得る。多数の市販の小分子ライブラリーが当該技術分野で知られている。従って、例えば、小分子阻害剤は、かかるライブラリーに含有される化合物、またはかかるライブラリーに含有される化合物由来の修飾化合物のいずれかであってもよい。好ましくは、かかる阻害剤は、十分な特異性でもって標的タンパク質と結合する。ここで、十分な特異性は、好ましくは、500nM未満、より好ましくは、200nM未満、なおより好ましくは、50nM未満、さらにより好ましくは、10nM未満、最も好ましくは、1nM未満の解離定数(Kd)を意味する。
【0080】
用語「アンチセンス核酸分子」は、遺伝子発現を調節するために用いられ得る核酸分子を意味する。根底技術であるアンチセンス技術は、アンチセンスDNAまたはRNAを通じて、または3重らせんの形成を通じて遺伝子発現を制御するために用いられ得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano, J. Neurochem. 56: 560 (1991) ;"Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression." CRC Press, Boca Raton, FL (1988)またはPhilips MI (ed.), Antisense Technology, Methods in Enzymology, Vol. 313, Academic Press, San Diego (2000)において考察されている。3重らせんの形成は、例えば、Lee et al., Nucleic Acids Research 6: 3073 (1979);Cooney et al., Science 241: 456 (1988);およびDervan et al., Science 251: 1360 (1991)において考察されている。該方法は、標的ポリヌクレオチドの相補DNAまたはRNAとの結合に基づくものである。例えば、USF1をコードするポリヌクレオチドの5’コード部分を用いて、約10から40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドが設計され得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子領域に相補的であるよう設計され、それにより、USF1の転写および産生を妨げる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAとハイブリダイゼーションし、mRNA分子のUSF1タンパク質への翻訳をブロックする。
【0081】
用語「リボザイム」は、触媒活性を有するRNA分子を意味し(例えば、Sarver et al, Science 247: 1222-1225 (1990)参照);しかしながら、DNA触媒(デオキシリボザイム)も知られている。リボザイムおよび新たな治療ツールの開発のためのそれらの可能性は、例えば、Steele et al. 2003 (Am. J. Pharmacogenomics 3: 131-144)およびPuerta-Fernandez et al.2003 (FEMS Microbiology Reviews 27: 75-97)により考察されている。認識配列に特異的な部位でmRNAを開裂するリボザイムを用いて、USF1 mRNAが破壊されうる際、好ましくは、trans−作用型ヘアピンまたはハンマーヘッドリボザイムが用いられる。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAを有する相補塩基対を形成する隣接領域により指示される位置でmRNAを開裂する。唯一必要なことは、標的mRNAが2塩基からなる次の配列:5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッドリボザイムの構築および産生は、当該技術分野でよく知られており、より詳細にはHaseloff and Gerlach, Nature 334: 585-591 (1988)において考察されている。当業者に明らかな凝固因子XII mRNAのヌクレオチド配列内に可能性のあるハンマーヘッドリボザイム開裂部位が多数存在する。好ましくは、リボザイムは、開裂認識部位がmRNAの5’末端近くに位置するよう;すなわち、効果を増大させ、かつ非機能的mRNAの細胞内蓄積を最小とするよう設計される。RNase Pは、病因RNAの選択的阻害のために用いられる別のリボザイムアプローチである。リボザイムは、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、安定性、ターゲッティングなどの改善)からなり、USF1を発現する細胞にデリバリーされるべきである。リボザイムをコードするDNAコンストラクトは、事実上当業者に知られた方法のいずれかにより細胞内に導入され得る。好ましいデリバリー方法は、トランスフェクションされた細胞が、USF1メッセンジャーを破壊し、翻訳を阻害するのに十分な量のリボザイムを産生するように、例えば、pol IIIまたはpol IIプロモーターのような強力な構成プロモーターの制御下でリボザイムを「コードする」DNAコンストラクトを用いることを含む。アンチセンス分子同様リボザイムは触媒であるので、一般に、効率上より低い細胞内濃度が必要とされる。リボザイム介在性RNA修復は、リボザイム技術を応用した別の治療オプションであり(Watanabe & Sullenger 2000, Adv. Drug Deliv. Rev. 44: 109-118)、本発明の目的上有用である。
【0082】
用語「アプタマー」は、モノクローナル抗体の親和性および特異性に匹敵する親和性および特異性で標的タンパク質に結合できるRNA、およびまたDNA分子を意味する。所望の標的に特異的なアプタマーを得る方法または同定する方法は、当該技術分野で知られている。好ましくは、これらの方法は、「試験管内進化法」(SELEX)の過程に基づくものであり得る(Ellington and Szostak, Nature, 1990, 346 : 818-822;Tuerk and Gold, 1990, Science 249: 505-510;Fitzwater & Polisky, 1996, Methods Enzymol. 267: 275-301)。例えば、出発ライブラリーの2’−フルオロピリミジンの使用、およびアプタマーの5’末端へのポリエチレングリコールの結合のような様々な化学的修飾を用いて、安定性を確かにし、アプタマーの生物学的利用能が増強され得る(例えば、Toulme 2000, Current Opinion in Molecular Therapeutics 2: 318-324参照)。
【0083】
阻害剤はまた、抗体またはフラグメント、またはそれらの誘導体であり得る。本明細書で用いられる用語「抗体またはフラグメント、またはそれらの誘導体」は、USF1と特異的に結合する、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、1本鎖抗体、1本鎖Fv抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはFabフラグメントを意味する。
【0084】
最後に、本発明は、家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、または高血圧を含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬組成物を製造するためのUSF1遺伝子の発現の活性化剤の使用に関するものであり、該活性化剤は小分子である。
【0085】
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【0086】
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【0087】
実施例は、本発明を説明するものである。
実施例1:実施例2から5の実験の概略
分析した全てのFCHL家族が、重度のCHDおよび脂質表現型を有する発端者、および平均5〜6人のFCHL罹患家族構成員を有していた。極端かつ十分に定義された表現型を示すこれらのFCHL家族を分析して、1q21上のFCHLに関与する根本的な遺伝子を同定した。本発明者等は、局所候補遺伝子アプローチを選択し、1q21上の4つの機能上関連する局所候補遺伝子について配列決定した。TXNIP、USF1、レチノイドX受容体γ(RGRG)、およびアポリポタンパク質A2(APOA2)遺伝子を配列決定し、可能性のある変異体全てを同定した。これらのうち、まずTXNIPが最も有望な位置候補遺伝子であることを示した。なぜならそれはマウスにおける混合型高脂血症表現型を示したからである(参考文献17)。さらに3種の局所遺伝子を、それらの機能上の候補およびオリジナルの最高連鎖マーカーD1S104およびD1S104と隣接する位置(<2.5Mb)に基づき選択し、配列決定した(図1)。並行して、本発明者等は機能上無作為な遺伝子アプローチを利用し、最高連鎖マーカー付近の遺伝子の最初のSNPセットの関連について試験した。1q21上の26遺伝子について、合計60種のSNPの遺伝子型を特定した。これらのSNPのうち50個は、D1S104およびD1S1677に隣接する5.8Mb内に位置していた。オリジナルの連鎖研究の31家族(参考文献4)を含む42のFCHL家族の238人の構成員において全60種のSNP、および60のFCHL家族の721人の家族構成員の拡大試料において最も有望な10種のSNPの遺伝子型を特定した(以下参照)。60種のSNPの結果を補充の表1において示す。
【0088】
補充の表1 2ポイントの連鎖において得た60種の遺伝子型を同定したSNPおよび関連する分析の結果 4種の特性全てを分析した:全ての患者について、FCHLおよびTG特性、ならびに罹患男性について、FCHLおよびTG特性。
2ポイントの連鎖分析(詳細については方法を参照)においてロッドスコアを、そしてHHRR試験を用いた関連する分析においてp−値を得た。Nfは、dbSNPまたはCelaraデータベースにおいて見出されなかったことを示す。これらのSNPについてのSNP情報を公的データベース(dbSNP)に登録する予定である。60の拡大したFCHL家族において、太字で示したSNPの遺伝子型を特定した。他の結果全てが、42の中心的FCHL家族において得たものである。また、0.05未満のp−値を太字で示し、nsは有意でないことを示す(p−値が0.05より大きい)。
【0089】
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0090】
実施例2:候補遺伝子としてのUSF1遺伝子
本発明者等は、USF1遺伝子の5687bpの配列について、計23種のSNPを同定した(補充の表2):これらのうち3種はエクソン中のサイレント変異体であり、残りは非コード領域および推定プロモーターに位置するものであった。23種のSNPのうち8種が新規であった。本発明者等はまず、USF1遺伝子の3種のSNPの遺伝子型を同定した:usf1s1(エクソン11)、usf1s2(イントロン7)、およびusf1s7(エクソン2)(遺伝子型を同定したSNPの対応するrs数を表2〜3に示す)。
【0091】
表1.SNP usf1s1(=rs3737787)およびusf1s2(=rs2073658)についてのマルチポイントHHRRおよび配偶子間の競争分析
全ての値は、両SNPの同時分析のp−値を表す。nsは有意でないことを示す。初めに示したp−値は、60の拡大したFCHL家族において得たものであり、括弧に示す値は、42の中心的FCHL家族において得たものである。少なくとも50,000回のシミレーションを用いて、60の拡大したFCHL家族においてのみジーンドロッピングをを行った。上記の配偶子間の競争分析の全てにおいて、分離ハプロタイプは1−1(1は、共通するアリールを示す)であった。
【0092】
【表5】

【0093】
補充の表2 FCHLを有するTXNIPの関連性および連鎖分析
ロッドは、MLINKプログラムおよび基本モードの遺伝的形質を用いたパラメーター2ポイントまたはマルチポイント連鎖分析の最高ロッドスコアを示す(組換え画分を括弧内に示す)。ASPは、罹患同胞対解析にて得たロッドスコアを示し;配偶子は、配偶子間の競争分析にて得たp−値を示し;HHRRおよびマルチ−HHRRは、ハプロタイプベースのハプロタイプ関連リスク分析において得たp−値を示し;そしてHBATは、TXNIPハプロタイプ間試験のp−値、およびFCHL特性を示す。nsは有意でないことを示す。TG特性について、関連する分析の全ての対応p−値は依然として有意でなく、2ポイントおよびマルチポイントロッドスコアの両方が<1.5であった。新規SNP2のナンバリングは、2003年7月のUCSC Genome BrowserのTXNIP領域のゲノム配列に基づくものである。60のFCHL家族由来の721人の家族構成員からなる拡大試料において、これらのSNPの全ての遺伝子型を同定した。
【0094】
【表6】

【0095】
usf1s1およびusf1s2は、FCHLについて最大ロッドスコア3.5および2.0、およびTGについて3.7および2.0を有する42のFCHL家族における連鎖の証拠をもたらした。これらのSNPの組み合わせ分析も、FCHL(p=0.005)およびTG(p=0.008)について配偶子の競合と関連する証拠をもたらした(表1)が、個々のSNPの結果は有意なものではなかった。本発明者等は、罹患男性と非罹患男性との間のアリール頻度、特に、TG特性の相違も観察した。usf1s1のマイナーアリールの頻度は、TG−罹患男性において22.0%、そして非罹患男性家族構成員において40%であった。これらの罹患および非罹患家族構成員は、独立した男性群を表すので、本発明者等は、家族ベースの関連性、HHRRおよびマルチ−、および配偶子の競争を用いて、TG罹患男性においてusf1s1およびusf1s2を試験し:HHRR分析において、p−値0.01および0.02を、そして42の中心的FCHL家族の配偶子の競争試験において0.008および0.02を得た(表2)。これらのSNPの組合せ分析は、HHRR試験においてp−値0.0003を、そして男性のTGについての配偶子の競争試験において0.004を生じた(表1)。
【0096】
表2.男性におけるTGおよびFCHLについてのJAM1−USF1領域の個々のSNPの関連性分析
全結果はp−値を表し、nsは有意でないことを示し、HHRRは、ハプロタイプベースのハプロタイプ関連リスク試験を示し、そして配偶子は、配偶子間の競争試験を示す。最後の列のLDクラスター数は、高TG(>90 人口パーセンタイル)を有する男性発端者における強力な内部マーカーLD(p<0.00002)を示すSNPクラスターを示す。すなわち、同じクラスター数を有するSNPは、強力な対LDにおけるものである。60を超えるFCHL家族において、太字で示すSNPの遺伝子型を特定し、括弧内の値は、42の中心的FCHL家族において、これらのSNPについて得たものである。他の結果全てを、42の中心的FCHL家族において得た。
【0097】
【表7】

【0098】
補充の表3 オリジナルの連鎖研究(参考文献3)の31人のFCHL発端者におけるUSF1遺伝子配列決定により同定した変異体
【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
FCHL家族において、下線を引いた変異体の遺伝子型を特定した。これらのSNPについて、本明細書および表1〜3で用いた数usf1s1〜s9も示す;新規とは、SNPデータベースで見出されなかったSNPを示す。新規SNPのナンバリングは、2003年7月のUCSC Genome BrowserのUSF1のゲノム配列(refGene_NM_007122)に基づくものである。
【0102】
次に、本発明者等は、より多くの研究試料である60の拡大したFCHL家族において、これら2種の関連SNPであるusf1s1およびusf1s2の遺伝子型を特定した。さらにUSF1領域について、12種のSNPの遺伝子型を特定した(表2、図1)。配列決定により同定した23種のSNPのうち、本発明者等は、3人以下の個体に存在する6種の希なSNPを除き、SNP全ての遺伝子型を同定したが、これは31人の発端者の強力なLDには存在しなかった(補充の表2)。中心的な研究試料における有望な結果および/またはLDパターンに基づき、60の拡大家族において4種のUSF1 SNP全ての遺伝子型を特定した(表2)。60の拡大FCHL家族において遺伝子型を特定する場合、2種の個々のSNPであるusf1s1およびusf1s2は、男性のTGについてHHRR試験においてp−値0.0009および0.002を、ならびに配偶子間の競争試験において0.00001および0.0006を生じた(表2)。両SNPの共通アリールは、両試験の罹患個体にFCHLおよびTG特性を伴ってより高頻度で遺伝した。男性のTGについてのこれらの2種のSNPの組合せた分析の漸近的p−値は、HHRRにおいて0.00003、そして組合せた配偶子間の競争試験において0.0000009であった(表1)。分離ハプロタイプは1−1(1は、共通アリールを示す)であった。全てのTG罹患家族構成員について、組合せた分析も、HHRRにおけるp−値0.05および配偶子間の競争試験におけるp−値0.00006、加えて分離ハプロタイプ1−1と関連する証拠を提供した(表1)。
【0103】
配偶子間の競争の結果が実際に有意であり、分散データのような関与因子によって偏らないことを確かめるために、本発明者等は、少なくとも50,000シミレーションを伴うジーンドロッピング(方法を参照)を用いて、複数のSNP(表1)に関与する全配偶子間の競争分析についての経験的p−値を計算した。得られた経験的p−値は、配偶子間の競争分析の経験的p−値と非常によく一致した(表1)。このことは、観察された結果が、分散データを伴う漸近的近似のアーチファクトを表さないことを示す。
【0104】
USF1領域の計15種のSNPの遺伝子型を同定した後、本発明者等は、高TGを有する男性において少なくとも46kbに達し、セントロメアジャンクション接着分子1(JAM1)遺伝子からUSF1遺伝子に及ぶ関連性およびLDパターンを同定した(図1および表2):usf1s1およびusf1s2に加えて、他の3種のSNP、jam1s1、jam1s4、jam1s5も、男性における高TGについて、42の中心的FCHL家族における関連性の証拠を示した(表2)。これらの3種のSNPは、usf1s1およびusf1s2(p<0.00002)を有する強力なLDにおいて存在した。JAM1−USF1領域のSNPについてGenepopプログラムにより試験したLDパターンを表2に示す。これら5種のSNPに加えて、USF1のイントロン1中の1つのSNP(usf1s8)が、十分な関連性の証拠を示した(表2)。このSNPは、14種の他のSNPのいずれかを有するLDにおいては存在しなかった(表2)。
【0105】
全ての罹患家族構成員において、FCHLおよびTG特性両方を用いた関連性の証拠は、USF1遺伝子内のusf1s1およびusf1s2(表2)に限定された。JAM1−USF1領域について遺伝子型を同定した残りの13種のSNPは、関連性の有意な証拠をもたらさなかった。しかしながら、本発明者等は、配列決定により同定したそれらの23種のSNPのうちさらに2種のUSF1 SNPであるイントロン3におけるrs2073655およびイントロン6におけるrs2073656も、31人のFCHL発端者において関連するusf1s2を有する全LDに存在し、FCHL関連領域がUSF1のイントロン3に及ぶようであると観察した。JAM1−USF1領域の外側に生じるSNPとの関連性は得られなかった(補充の表1)。結論として、関連性およびLDの証拠は、FCHL家族の罹患個体全てのUSF1遺伝子内の1239bp領域に限定されるが、高TGを有する男性のJAM1−USF1領域内の少なくとも46kbに及ぶ(表2〜3、図1)。
【0106】
FCHLおよびTGについての有意なハプロタイプを生じるusf1s1−usf1s2 SNPの組合せも、さらに3種の定性的脂質特性:高アポリポタンパク質B(アポB)、高TC、および小分子低密度リポタンパク質(LDL)ピーク粒子直径を用いて試験した。配偶子間の競争分析において、全ての罹患個体および罹患男性の感受性のあるハプロタイプ1−1について、アポBについてのp−値0.00003および0.0007を得た。TCについて、p−値は0.0001および0.007であり;そしてLDLピーク粒子直径は、それぞれ0.002および0.01であった。これらの結果は、FCHLについて得られた結果と共に、根底にある遺伝子がTGのみには影響しないが、複雑なFCHL表現型に影響することを示唆する。
【0107】
実施例3:JAM1−USF1遺伝子領域のハプロタイプ分析
HBATプログラムを用いて、本発明者等は、usf1s1およびusf1s2の領域において共有されるハプロタイプの証拠を得た(表3)。この知見は、マルチポイントHHRR分析により支持された(表3)。ハプロタイプ1−1(1は、共通アリールを示す)について、−oオプションを用いてp−値0.0007を得た。
【0108】
表3.HMATプログラムを用いたTG罹患男性におけるハプロタイプ分析(多遺伝視座−PDTおよびマルチ−HHRR結果を比較のため下部に示す)
SNP jam1s4−s6およびusf1s1−s5のSNP間距離および対応するrs数を表2に示す;1は共通アリールを示し、nsは有意でないことを示す。HBATプログラムのp−値は、特定のハプロタイプがオプション−o(オフセットを最適化する)またはオプション−e(経験的試験)を用いて罹患個体に遺伝する確率を示す。多遺伝子座−PDTは、一般家系の遺伝子型に基づく関連性を示す。マルチ−HHRR分析は、SNPの遺伝アリールと非遺伝アリールとの間のマーカーアリール分布の均一性の仮説を試験する。
【0109】
【表10】

【0110】
このオプションは、感受性ハプロタイプの罹患患者への優性遺伝ばかりでなく、非罹患患者への程度を抑えた優性遺伝も測定する。これらの拡大した家族において、非罹患患者も重要な情報を含有するので、それは有用となる。連鎖を付与する関連性の試験であるHBAT−eオプションの結果も表3に示す。この試験の統計は連鎖情報の状態を暗に示すものなので、それはよりいっそう強力ではなく、低減したp−値となる。しかしながら、これはHHRR分析の結果と一体となって、本発明者等に1−1ハプロタイプは表現型と関連すると結論づけさせる(表3)。さらに、ハプロタイプ2−2は、罹患対象に有意に低く遺伝される(p=0.004)。これは、このアリールの保護機能を示唆している。これらの結果は、一般家系(遺伝子型−PDT)の遺伝子型に基づく関連性試験(これは、関連性の証拠(表3)をもたらす)、ならびに同じハプロタイプ1−1がFCHLおよびTG特性両方を有する罹患個体に分離する、配偶子間の競争分析(表1)によりサポートされる。
【0111】
実施例4:脂肪生検の発現プロファイルおよび初期機能分析
本発明者等は、SNP usf1s1およびusf1s2により構成される感受性ハプロタイプ1−1を有する6人の罹患FCHL家族構成員由来の脂肪生検遺伝子発現プロファイルが、Affymetrix HGU133Aプローブアレイを用いて、推定保護ハプロタイプ2−2(上記参照)ホモ接合性罹患FCHL家族構成員4人と比較したとき、相違を示すかどうかを調べた。USF1は、Affymetrix HGU133Aチップ上では十分に表されないので、本発明者等は、USF1が脂肪組織において発現するかどうかも具体的に調べた。RT−PCRを用いて、USF1が脂肪生検試料において発現することを見出した(データは示していない)。定量的リアルタイムPCRも行い、リスクハプロタイプを有する罹患FCHL家族構成員、およびリスクハプロタイプを有さない罹患構成員の脂肪組織におけるUSF1相対的発現レベルを決定した。USF1発現レベルの検出可能な差は観察されなかった。これは、USF1のFCHL関連アリールの可能性のある機能的有意性は、脂肪組織の定常状態の転写レベルに対する直接的効果を介してデリバリーされないことを示唆している。
【0112】
入手可能な試料の数は限られているので、ハプロタイプ群の遺伝子発現の差を検出する統計的検出力は有意であるとはみなされない。それゆえ代わりとして、本発明者等は、有意差と実験手順における技術的または生物学的ノイズに起因する差を区別するためにカットオフ値を定義した(方法を参照)。これらの基準を用いて、本発明者等は、感受性ハプロタイプ保因者において、アップレギュレーションを示す25遺伝子、およびダウンレギュレーションを示す73遺伝子を同定した(完全なリストは、本発明者等のウェブサイトで入手可能となるが、未処理のデータは、GEOアクセション番号GSE590を用いてNCBIのGene Expression Omnibusを通じてアクセス可能である)。これらの知見に生物学的妥当性を付与するために、Expressioni Analysis Systematic Explorer(EASE)ツールを用いて、遺伝子オントロジー(GO)コンソーシアムにより定義された機能的分類の過剰出現について、差次的発現遺伝子を調べた。3分類のみが、アップレギュレーションされる遺伝子(主に脂肪代謝に関与する遺伝子を意味する)間で統計上有意に過剰出現することが見出された(図2)。ダウンレギュレーションされる遺伝子間で、免疫応答遺伝子の顕著なダウンレギュレーションを観察した(図2)。対応するEASEスコア(p−値)を含むEASE分析の全結果、および有意(=p−値<0.05)な機能カテゴリーの遺伝子リストを、補充の表3a〜bに示す。
【0113】
次に、本発明者等は、ハプロタイプ1−1に隣接するゲノム配列を調べ、次の91ヒト遺伝子において見出された60bpの配列エレメントを同定した:ハプロタイプ1−1の一部を形成するSNP usf1s2(306bpのAluSx反復に隣接する残基(8bp))。このAluSx反復の2つの部分(2〜61bp、および137〜196bp)は、マウス反復との配列類似性を示す(図3a)。マウス配列データベースで検索した場合、B1エレメントはマウスmRNAの非翻訳領域に位置するので、AluSx配列のこれら2つの部分は多数のESTを同定する。ヒト配列データベースで検索した場合、USF1を含む91ヒト遺伝子は、コード鎖(43遺伝子)または逆鎖(48遺伝子)のいずれかにAluSxのこの60bp部分を有する。フグおよび線虫(Caenorhabeditis elegans)で見出されるが、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)および酵母(Saccharomyces cerevisiae)では見出されないので、該60bp部分はヒトから虫で高度に保存される。91ヒト遺伝子の全リスト、ならびにそれらの個々のp−値および同一性パーセンテージ(83〜98%の間)を補充の表4に示す。91遺伝子のドメイン注釈の分析は、タンパク質修飾に関与するドメイン(n=16)および核酸と関連するドメイン(n=35)の濃縮を示す。この知見は、生物学的過程について利用可能な注釈(大部分の遺伝子が核酸代謝(n=18)、ならびに転写およびシグナル伝達(n=33)に関与する)によってもサポートされる。
【0114】
この保存された60bp DNAエレメントの機能的有意性の証拠を得るために、本発明者等は、重要な60bp配列ならびにusf1s2 SNP領域を含有する268bp長のコンストラクトを生成し、SEAPレポーターシステムを用いて、インビトロでその調節機能を試験した(図3b)。1人のホモ接合性感受性保因者(ハプロタイプ1−1)および1人のホモ接合性非保因者(2−2)由来のゲノムDNAを、SEAP受容体遺伝子の前に2方向でクローニングした。レポーター遺伝子の転写に対する効果は、両コンストラクトにおけるフォワード方向にて関与し、一方リバース方向は、負対照に匹敵する転写効率となった(図3b)。
【0115】
補充の表4a EASEツール(参考文献27)を用いた機能的カテゴリーの過剰出現についてのハプロタイプ保因者と非保因者との間の差次的発現遺伝子を含むリストの分析結果 この補充の表4a〜bを本発明者等のウェブサイトに示す予定である。機能的カテゴリーによるこれらの遺伝子の図式的分布については図2を参照されたい。
【0116】
【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】

【0117】
遺伝子オントロジー(GO)分類による、生物学的過程(参考文献41) 略語:LH−リストにヒット、LT−全リスト、PH−集団ヒット、PT−全集団、およびEASE−Expression Analysis Systematic Explorer(参考文献42) それぞれの機能カテゴリーの遺伝子の全リストは、本発明者等のウェブサイトにて提示する予定である。
【0118】
補充の表4b 上記表3aにおける有意(=EASE p−値<0.05)な機能的カテゴリーの遺伝子リスト この補充の表4a〜bを本発明者等のウェブサイトにて示す予定である。
【0119】
【表17】


【表18】

【表19】


【表20】


【表21】


【表22】


【表23】


【表24】


【表25】


【表26】


【表27】


【表28】


【表29】


【表30】


【表31】


【表32】


【表33】


【表34】


【表35】


【表36】


【表37】


【表38】


【表39】


【表40】


【表41】


【表42】


【表43】


【表44】


【表45】


【表46】


【表47】


【表48】


【表49】


【表50】

【0120】
この実験の目的は、usf1s1 SNPがFCHLの直接的原因であるかどうかを解くことではない。1つの非コードSNPの機能的有意性について結論を下す前に、より複雑な機能的研究を行うことが必要である。しかしながら、異種間の保存と組み合わせたこれらの予備的データは、感受性ハプロタイプに隣接するDNA領域が、転写の調節に影響するエレメントを含有することを意味する。データはまた、エレメントが方向依存性エンハンサーエレメントよりむしろ、おそらくCis作用性制御因子であることを示唆する。
【0121】
実施例5:実施例1から4における実験の設定−方法
フィンランドのFCHL家族は、既に記載(参考文献4、9)の通りHelsinki, Turku and Kuopio University Central Hospitalsにおいて見出された。それぞれの対象者は、研究への参加に先立ち書面のインフォームドコンセントを受けた。全ての試料をヘルシンキ宣言に従い採取し、加入センターの倫理委員会が研究の計画を承認した。FCHL発端者の組み入れ基準は、次の通りである(参考文献4):1)血清TCおよび/またはTG>90人口(age-sex)特定フィンランド人集団パーセンタイル(参考文献4)(発端者が上昇した脂質特性のみを有している場合、一等親血縁者は組み合わされた表現型;2を有する);2)年齢 男性<30歳かつ<55歳、女性<65歳;3)冠動脈造影における1ヶ所以上の冠動脈の少なくとも50%の狭窄。FCHL発端者の除外基準は、1型糖尿病、肝疾患または腎疾患、および甲状腺機能低下症であった。リンパ球培養法により発端者のLDL受容体の状態を決定することで、家族性高コレステロール血症をそれぞれの家系から除外した(参考文献4)。上記基準を完全に満たした場合、少なくとも2人の罹患構成員を有する家族を研究に組み入れ、受入可能な家族構成員全てを調べた。2種類の特性:FCHLおよびTGを分析した。National Public Health Institute, Finlandのウェブサイトから入手可能な高TCおよび高TGについてのフィンランド人口特定90パーセンタイルを用いて、本発明者等のオリジナルの連鎖研究(参考文献4)におけるものと同じ診断基準により、家族構成員を罹患と記録した。これらの確認基準は、オリジナルの基準と非常に類似する(参考文献1)。TG分析については、TG濃度>90フィンランド人口特定集団パーセンタイルを有する家族構成員を罹患と記録した。FCHLおよびTG特性に加えて、FCHLおよびTG特性の有意なハプロタイプとなるusf1s1−usf1s2 SNPの組合せも、アポリポタンパク質B(アポB)、LDLピーク粒子径、およびTC特性を用いて分析した。アポBおよびTCについては、National Public Health Institute, Finlandのウェブサイトから公的に入手可能な90人口特定フィンランド集団パーセンタイルを用いた。LDLピーク粒子径については、カットポイント25.5mmを用いて、小さなLDL粒子を有する個体を罹患と記録した。LDL−CはFCHLの重要な成分特性であるが、フィンランド人FCHL家族の確認、ならびにUSF1感受性ハプロタイプ形成SNPの統計的分析においては血清TCが代わりに用いられる。この理由は、有意な高トリグリセリド血症はFCHLと有意に関連するからである。一般に、TGがオーバーしたとき(しばしば、高トリグリセリド血症のFCHL家族構成員の場合である)は、Friedewaldの式は推奨されない。加えて、この因子を含む場合のLDL−Cの集団パーセンタイルポイントが確立されているので、本発明者等は現時点でLDL−Cの集団パーセンタイルを有していない。
【0122】
生化学分析
血清脂質パラメーターおよびLDLピーク粒子径を既に記載の通り測定した(参考文献4、9、39)。脂質降下剤を用いている発端者または高脂血症の血縁者については、処置を4週間ひかえた後に調べた。60のFCHL家族において、それぞれ家族構成員721人および771人について、DNAおよび脂質測定値を入手した。これらの60のFCHL家族において、220人がTC>90人口特定フィンランド人集団パーセンタイルを有し、321人がTCおよび/またはTG>90人口特定パーセンタイルを有し、および125人がTCおよびTG共に>90人口特定パーセンタイルを有していた。全部で96人の男性、および124人の女性が高TGを示した(>人口90パーセンタイル)。
【0123】
配列決定、遺伝子型特定、および配列注釈
TXNIP遺伝子を60人のFCHL発端者において配列決定し、APOA2、RXRG、およびUSF1遺伝子をオリジナルの連鎖研究(参考文献4)の31人の発端者において配列決定した。TXNIPおよびUSF1については、遺伝子の5’末端から2000bp上流も配列決定した。USF1については、残る29人の発端者において、DNA結合ドメインも配列決定した。巨大な44,261bpのRXRG遺伝子(エクソンおよび100bpのエクソン−イントロン境界部のみ配列決定した)を除き、全ての遺伝子についてエクソンおよびイントロンの両方を配列決定した。ヘテロ接合性を確実に同定するために両方向で配列決定した。わずかに修飾したBig Dye Terminator Cycle Sequencingプロトコール(Applied Biosystems)に従い配列を決定し、試料を自動DNAシークエンサーABI 377XL(Applied Biosystems)を用いて分類した。シークエンサーのソフトウェア(GeneCodes)を用いて、配列コンティグをアセンブリした。dbSNPおよびCELERAデータベースを用いて、SNPを選択した。既に記載(参考文献4、40)の通り、ピロシーケンスおよび固相ミニシークエンス技術をSNPの遺伝子型の特定に適用した。PSQ96指示書およびSNP試薬キット(Pyrosequencing AB)を用いて、ピロシーケンスを行った。まず、60のうち18のFCHL家族由来の家族構成員46人のサブセットにおいて、全SNPの遺伝子型を同定した。SNPが多型(このサブセットにおけるマイナーアリール頻度>10%)の場合、オリジナルの連鎖研究(参考文献4)の31FCHL家族を含む42FCHL家族の家族構成員238人において、SNPの遺伝子型を同定した。このストラテジーは、変異体がマイナーアリール頻度<10%を有しているTXNIP遺伝子については適用しなかった。UCSC Genome Browserを用いてマーカーおよび遺伝子の天然オーダーを決定した。この研究で特徴付けた新規SNPを公的データベース(NCBI)に登録予定である。National Public Health Institute of FinlandのDr. Markus Perolaにより開発されたHWSNPプログラムを用いて、3つの群(全家族構成員、発端者、および配偶者)におけるハーディ・ワインベルグ平衡(HWE)の可能性のある相違について、全SNPを試験した。Aluエレメントの注釈データをUCSC Genome Browserからダウンロードし、RepeatMaskerを用いて、散在反復配列についてDNA配列をスクリーニングした。これらのAluエレメント上の60bpの配列の位置をBLASTを用いて同定した。他の注釈データをLocusLinkからダウンロードした。
【0124】
脂肪組織の発現アレイ分析
遺伝子発現の評価のため、感受性ハプロタイプを示す罹患FCHL家族構成員6人(結果を参照)、および保護ハプロタイプホモ接合性罹患FCHL家族構成員4人を選択した。感受性ハプロタイプ保因者の6人は全て、6つの個々のファミリーに由来した。ホモ接合性保護ハプロタイプ保因者4人は、2家族由来の2人の同胞対であった。局所麻酔下、臍皮下脂肪組織にて生検を行い、脂肪組織50〜2000mgを採取した。STAT RNA−60試薬(Tel-Test, Inc.)を用いて、製造元の指示に従いRNAを抽出し、次に、DNAse Iにより処理し、さらにRNeasy Mini Kitカラム(Qiagen)を用いて精製した。リボソームのS28/S18RNA比、および分解のサインについてモニタリングしながら、Bioanalyzer(Agilent)においてRNA 6000ナノアッセイを用いて、RNAのクオリティを評価した。試料の濃度およびA260/A280比を分光光時計を用いて測定した。許容可能な比は1.8〜2.2であった。次に、SuperScript Choice System(Invitrogen)およびT7−オリゴ(dT)24プライマーを用いて、プライマー60pmolおよび反応容量10μlを用いる以外Affymetrixにより提供される指示に従い、トータルRNA2μgをcDNAに逆転写し、次に、Enzo[登録商標]BioArray[商標]HighYield[商標]RNA Transcript Labeling Kit(Affymetrix)を用いて、ビオチン標識cRNAを生成した。ハイブリダイゼーションに先立ち、cRNAを断片化し、50から200bpの転写物サイズを分布させ、次に、試料をAffymetrix Human Genome U133Aアレイにハイブリダイズさせ、製造元の推奨に従いスキャンした。
【0125】
統計的発現アルゴリズムを利用したAffymetrix Microarray Suite5(Affymetrix, Santa Clara, CA)ソフトウェアを用いて、スキャンしたイメージを分析した。分析パラメーター全てを、Affymetrixにより推奨されるデフォルト値に設定した。標的強度100に対するグローバルスケーリングを全アレイに適用したが、この時点ではさらなる標準化を行わなかった。GeneSpring 5.0データ分析ソフトウェア(Silicon Genetics, Redwood City, CA)を用いて、測定したシグナル強度の値および不存、境界、または存在として表される対応する検出信号を含む結果メトリクスの出力ファイルをさらに処理した。それぞれのプローブアレイについて、シグナル強度を全10プローブアレイを用いて測定した中間強度で割り、遺伝子毎の標準化を適用した。GeneSpringにおいて実行されたCross Gene Error Modelを用いて確立された比例値で基準値を割り、それぞれのハプロタイプ群について別々に低クオリティのデータを識別するためのカットオフ値を決定した。2つのハプロタイプ間の差次的発現遺伝子を同定するために、平均標準化強度の比を計算した。生じた比が、log10比の分布から計算した平均比の外側少なくとも3標準偏差にある場合、差を有意であるとみなした。結果のストリンジェンシーをさらに増大させるために、全10試料において存在、あるいは全ケースで不存または境界、かつ全対照において存在(または逆)と記録された遺伝子のみを含めた(参考文献41)。それぞれの遺伝子が関与する生物学的過程を定義する注釈情報を、遺伝子オントロジー(OG)協会提供の分類から検索した。閾値を3に設定したExpression Analysis Systematic Explorer(EASE)ツールを用いて、プローブアレイ上の遺伝子の全集団において観察される部分と比較して、それぞれの遺伝子リストに表されるカテゴリー濃縮の統計的評価を行った(参考文献41)。フィッシャーの抽出検定を用いて、検定統計量を計算した。ロバスト性を最大にするために、数個の遺伝子によりサポートされるカテゴリーを非常に不利にし、一方多くの遺伝子によりサポートされるカテゴリーをわずかに不利にするよう、フィッシャー抽出確率を調節したEASEスコア(p−値)を計算した。0.05未満となるEASEスコア(p−値)を統計上有意とみなす。
【0126】
USF1の定量的リアルタイムPCR分析 SYBR−Greenアッセイ(Applied Biosystems)を利用して、脂肪組織におけるUSF1発現を評価するため、感受性ハプロタイプを示す罹患FCHL家族構成員2人、および該ハプロタイプを有さない罹患FCHL家族構成員2人を選択した。TaqMan Gold RT−PCRキットを用いて、製造元の推奨に従い、2ステップRT−PCRを行った。反応液(1μlを定量的PCR反応に用いる)100μlにおいて、RNA計1μgをcDNAに変換した。2つのハウスキーピング遺伝子GAPDHおよびHPBGDに対するUSF1比を用いて、データを標準化した。鋳型を含まない対照に加え、解離曲線を用いて反応の特異性を評価した。次のPCRプライマーをそれぞれSYBR−Green反応溶液10μlにおいて用いた:USF1について;フォワード:5’−ATGACGTGCTTCGACAACAG−3’、リバース:5’−GGGCTATCTGCAGTTCTTGG−3’。GAPDHについて:フォワード:5’−CGGAGTCAACGGATTTGGTCGTAT−3’、リバース:5’−AGCCTTCTCCATGGTGGTGAAGAC−3’。HPBGDについて;フォワード:5’−AACCCTCATGATGCTGTTGTC−3’、リバース:5’−TAGGATGATGGCACTGAACTC−3’。ABI Prism 7900 HT配列検出システムを用いて、製造元の推奨に従い、反応をトリプリケートで行い、次に、Sequence Detectorバージョン2.0ソフトウェアを用いてデータを分析した。
【0127】
初期機能分析 COS細胞において、SEAPレポーターシステム(Clontech Laboratories, Palo Alto, CA)を用いて初期機能分析を行った。このシステムは、ヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌形態であるSEAPをリポーター分子として利用し、可能性のあるプロモーターおよびエンハンサー配列の活性をモニターする。コンストラクトをSV40エンハンサー含有SEAP2−Enhancerベクターにクローニングした。それぞれのコンストラクトの正確なアリールおよび向きを配列決定により証明した。SEAPレポーターアッセイのため、トランスフェクションの48時間後と72時間後の細胞培養液を採取した。蛍光アッセイにおいて蛍光基質4−メチルウンベリフェリルリン酸(MUP)を用いて、製造元の指示に従い、SEAPタンパク質のモニタリングを行った。データは、少なくとも2回の独立実験の代表的なものである。
【0128】
統計的分析 オリジナルの連鎖研究(参考文献4)におけるものと同じプログラムおよびパラメーターを用いて、パラメトリック連鎖および非パラメトリック罹患同胞対(ASP)の分析を行った。2種類の特性、FCHLおよびTG特性を調べた。ANALYZEパッケージ(参考文献46)により実行される、LINKAGEパッケージ(参考文献43)バージョンFASTLINK4.1P(参考文献44〜45)のMLINKプログラムを用いて、パラメトリック2ポイントおよびマルチポイント連鎖分析を行った。ANALYZEパッケージのSIBPAIRプログラムを用いて、ASP分析を行った(参考文献46)。それぞれのマーカーについて、DOWNREQプログラムを用いて、全個体からアリール頻度を確立した。
【0129】
HHRR(参考文献27)および配偶子間の競争試験(参考文献29)を用いて、関連性についてSNPを試験した。行う試験数を最小とするために、TGおよびFCHL罹患男性を分析するときはHHRR(参考文献27)のみを用いて、関連性についてUSF1−JAM1領域の外側に存在するSNPを試験した。HRRLAMBプログラム(参考文献48)を使用して行われるHHRRおよびマルチ−分析は、遺伝アリールと非遺伝アリール間のマーカーアリールの分布の均一性を試験するものである。マルチポイント−HHRR分析は、いくつかのSNPを用いて同じ仮説を試験するものである。配偶子間の競争試験は一般化したTDTであり、罹患した子供へのマーカーアリールの遺伝をアリール間の競争として示すものである。これにより、全血統データの有効な使用が可能になる。配偶子間の競争の方法は単なる関連性の試験ではない。なぜなら、帰無仮説は無関連かつ無連鎖であり、従って、連鎖自体も観察されるp−値に影響するからである。さらに、配偶子間の競争試験は、2連鎖マーカーまで容易に及び、これにより、遺伝子の多SNPの同時分析が可能になる。漸近的近似に基づくp−値は、それらを計算するために用いたデータが比較的まばらなら、バイアスを受けることができる。配偶子間の競争の結果が本当に有意であることを確かめるために、本発明者等は、ジーンドロッピングを用いて、複数のSNP(表1)を含む全分析について経験的p−値も計算した。ジーンドロッピングにおいて、確立したアリール頻度を用いてHWEおよび連鎖平衡(LE)を仮定し、発端者の遺伝子型を指定した。メンデル型分離を仮定し、子孫の遺伝子型を指定した。これにより、LEおよび無連鎖の帰無仮説下で、ジーンドロッピングを行う。実験的p−値を計算するために、ジーンドロッピングを複数回行う。ここで、各分析について、少なくとも50,000回シミレーションを行った。それぞれのジーンドロッピング相互作用の尤度比検定統計(LRT)を、観察したデータのLRTと比較する。経験的p−値は相互作用の割合であり、ここで、ジーンドロッピングLRTは、観察したLRTと等しくなるか、あるいはそれを超える。一般に、得られたジーンドロッピングの経験的p−値は、小さな試料サイズの漸近p−値より保存性である。
【0130】
オフセット(−o)および経験的試験(−e)を最適化するオプションのHBATプログラムを実行し、ハプロタイプと特性との間の関連性について試験した(参考文献49)。オプション−oは、感受性ハプロタイプの罹患患者への優性遺伝ばかりでなく、非罹患患者への程度を抑えた優性遺伝も測定する。−eオプションは、連鎖を付与する関連性の試験となり、これにより、分散の経験的評価が可能になる。これらのハプロタイプの分析は、60の拡大したFCHL家族において、JAM1−USF1領域の15のうち4つのSNPの遺伝子型を同定し、42の中心的FCHL家族において11のSNPの遺伝子型を同定したという事実により、影響される。一般の家系遺伝子型に基づく関連性の試験を提供する遺伝子型Pedigree Disequilibrium Test(geno−PDT)(参考文献50)も、選択したUSF1 SNP由来の遺伝子型の組合せについて行った(表3)。Genpop v301bプログラム、オプション2を用いて、それらのウェブサイトでJAM1−USF1領域のSNPについてのマーカー遺伝子型間のLDを試験した。このプログラムにおいて、遺伝子型LDについて関連性の1試験を行う。帰無仮説は、1つの遺伝子座の遺伝子型は、他の遺伝子座の遺伝子型から独立しているというものである。プログラムは、それぞれの手段における遺伝子座の全対についての分割表を作成し、マルコフ連鎖を用いて、それぞれの表についてフィッシャー抽出試験を行う。
【0131】
URL
補充の表1〜4およびマイクロアレイデータのさらなる詳細は、本発明者等のウェブサイト(www.genetics.ucla.edu/labs/pajukanta/fchl/chr1/)において入手可能となるだろう。プローブアレイの全セットの未処理のデータは、GEOアクセション番号GSE590を用いてNCBIのGene Expression Omnibus(www.ncbi.nim.nih.gov/geo)を通じてアクセス可能である。TCおよびTGについて、90フィンランド人の人口特定パーセンタイル値が、National Public Health Institute of Finlandのウェブサイト(www.ktl.fi.molbio/wwwpub/fchl/genomescan)において入手可能である。本発明者等は、SNPの選択のためdbSNP(www.ncbi.nim.nih.govにて入手可能)およびCELERA(www.celera.com)を用いた;遺伝子の天然オーダーおよびAluエレメントの注釈については、UCSC Genome Browser(genome.ucsc.edu);ヒトおよびマウスデータベースに対する配列の検索のためには、BLAST(www.ncbi.nim.nih.gov/blast/);注釈データをダウンロードするためには、LocusLink(www.ncbi.nim.nih.gov/LocusLink/);そして内部マーカーLDを計算するためには、Genepop(wbiomed.curtin.edu.au/genepop/index.htmi)。
【0132】
実施例6:実施例7から11における方法
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
対象領域の両方の差を表すDNAプローブをProligoに発注し、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて[γ−32P]ATPで5’末端を標識した。QIAquikキット(Qiagen)を用いて、製造元の指示に従い過剰な未結合標識を除去した。核抽出物を、結合バーファー(50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl、2.5mM EDTA、2.5mM DTT、2.5mM NaCl、0.25μg/μl ポリ(dI−dC)・ポリ(dI−dC)、20% グリセロール)中、室温にて30分間インキュベーションし、次に、0.5M TBEバッファー含有6% ポリアクリルアミドゲルにて電気泳動した。−70℃にてゲルをオートラジオグラフィーにかけた。結合の特異性について試験するために、増加濃度の非標識「非放射性」ds−プローブ、ならびにゲルシフトを生じない3’−UTR SNP usf1s1の周囲の配列を表す非特異的プローブを用いて、抽出を行った。
【0133】
発現アレイ分析
本発明者等は、USF1ハプロタイプに基づき、本発明者等のFCHL(参考文献6A)および低HDL−C家族(参考文献33A)由来の脂肪生検のため、19個体を選択した。それらは、重要なSNP usf1s2のリスクアリールの保因者12人、およびリスクのないアリールのホモ接合性個体7人を含むものであった。これらのうち9人が、本発明者等のオリジナルの報告(参考文献6A)に含まれていた。両方の群の平均年齢は49歳であり、性別の割合は五分五分に近かった(リスク群、女性7人および男性5人対リスクのない群、女性4人および男性3人)。脂肪生検を回収し、既に記載の通り(参考文献6A)、RNAを抽出し、定量した。既に記載の通り(参考文献6A)、Affymetrixによる標準的プロトコール(若干の修飾を含む)に従い、RNAの標識、アレイ処理、およびスキャンを行った。
【0134】
統計的発現アルゴリズムを利用したAffymetrix Microarray Suite5(Affymetrix, Santa Clara, California)ソフトウェアを用いて、スキャンしたイメージを分析した。標的強度100に対するグローバルスケーリングを全アレイに適用し、次に、GeneSpring 6.1データ分析ソフトウェア(Silicon Genetics, Redwood City, California)を用いて、さらなるデータ処理を行った。それぞれのプローブアレイについて、全19プローブアレイを用いて測定した中間強度で強度を割り(有効にデータを単一中心化する)、遺伝子毎の標準化を適用した。
【0135】
2つのハプロタイプ間の差次的発現遺伝子を同定するために、本発明者等は、統計的分析と組み合わせた2フィルタリング工程からなるストラテジーを採用した。第1に、本発明者等は、Affymetrix検出値を用いて、不確かなデータまたは一貫性のないデータを除去した。これは、それぞれのハプロタイプ群において50%より多くの試料に存在すると記録されるべき遺伝子を必要とする。発現が、ある群では「オフ」にされ、他の群では「オン」にされる遺伝子に関与する、可能性のある興味深いデータの損失を避けるために、本発明者等は、ある群では100%の試料で不存と記録され、他の群では少なくとも50%存在すると記録された遺伝子も含めた。次に、標準化した値をそれぞれのハプロタイプ群の試料において平均化し、これらの比を計算した。比の分布を評価し、1.5倍のカットオフリミットを選択し、最も顕著かつ確かな発現変化に注意を向けた。本発明者等は、群間の不等分散を可能にする2試料t−検定を利用して、有意な変化を決定し、両側p−値0.05以下を統計上有意とみなした;アレイ上で1つ以上のプローブセットにより表される遺伝子については、保存性p−値と関連する測定値を用いた。
【0136】
統計的分析
本発明者等は、均等分散の仮定のない2試料t−検定を用いて、選択した遺伝子について遺伝子発現に対するハプロタイプの効果を評価した。両側の有意な値を計算し、タイプIエラー確率5%以下を用いて、統計上の有意性を決定した。ハプロタイプ群で観察した相違において、臨床的に関連するパラメーター由来の可能性のある混同関与を制御するために、本発明者等は、共分散分析(ANCOVA)を行った。BMI、インスリンおよびトリグリセリド濃度、およびHOMA指標を、ハプロタイプ群により決定された因子に共分散として含め、主要かつ相互作用効果について、それぞれの共分散の別々のモデルを評価した。また、本発明者等は、タイプIエラー5%以下を統計上有意とみなした。遺伝子発現と共分散との関係に対するハプロタイプ効果の精査を、線形回帰分析により行った。線形モデルを評価し、R、R、およびF統計を研究した。
【0137】
群平均連鎖法、UPGA、合同ルールを用いた凝集アルゴリズムを利用して、選択した遺伝子について、遺伝子発現パターンと関連する試料の教師なし階層的クラスタ分析を行った。クラスター類似性をピアソンの相関を用いて決定した。本発明者等は、系統樹および視覚的に評価した可能性のあるクラスター上のオーバーレイ状態の情報により、分枝パターンと性、罹患状態(FCHLまたは低−LDL)と家族関係との間の可能性のある関連性を分析した。
【0138】
実施例7:重要なイントロン配列は核タンパク質と結合する
9つの同定した遺伝子内USF1 SNPのうち、2つがコード領域の代表的同義変異体を表し、一方7つがイントロンに位置していた(図4a)。FCHL家族における関連性の強力な証拠を、2つのSNPを用いて最初に観察した:3’−UTRにおけるusf1s1、および1.24kbに離れて、本質的には完全なLD(D’=0.98)に位置するイントロン7のusf1s2。本発明者等は、異種間の全7つのイントロンSNPの配列環境を分析し、それらの機能上の重要性のかぎを提供するであろう系統的保存についてモニターした。イントロン7の強く関連するSNP usf1s2は、ゲノム領域内に、そうでなければ非保存ヌクレオチドにおいて濃縮されて、ヒトからチンパンジーを経て、イヌ、マウス、およびラットにおいて、完全に保存されたDNAストレッチに位置していた(図4)。かかる保存配列ストレッチに位置すべき他のSNPは、イントロン1のusf1s9のみであるが、それは、FCHLまたはその成分特性との関連性を示さないので、本発明者等は、それをさらに追跡しなかった。usf1s2を含有するこの配列の領域保存により、本発明者等は、それがUSF1の転写のダイナミクスの機能上重要ないくつかのエレメントを有するかどうかを調べるよう促された。
【0139】
本発明者等はまず、usf1s2の領域が、DNA結合タンパク質の結合部位を表すかどうかを決定した。本発明者等は、SNP usf1s2〜4を含有する2つの34merプローブ(図4b)を構築した。それはusf1s2の2つのアリールについて変動可能であった。HeLa細胞の核抽出物タンパク質と共にインキュベーションした後、両方の重要な配列の変異体は、ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動移動度シフト(EMS)を生じた。可能性のある機能的配列モチーフをさらに限定するため、本発明者等は、より短い2−merのプローブペア(重要な最も保存されたヌクレオチド配列を34−merプローブと共有する)を用いてEMS分析を行った。このプローブは、34bpのシフトに匹敵する移動度シフトを生じたが、USF1の3’UTRに位置する他の強く関連するSNP usf1s1を含有する配列を表す類似の20bpプローブは、シフトを生じなかった(図5a)。プローブの核タンパク質との結合は、非標識特異的プローブを用いて競合され得るが、非特異的プローブとは競合しない(図5b)。
【0140】
実施例8:USF1リスクアリールの保因者は、脂肪において下流遺伝子の差次的発現を示す
USF1のような転写因子の定性的または定量的機能変化は、その制御下での発現の効率または遺伝子パターンに影響すると予測される。本発明者等は、usf1s2多型またはそれ自体のいずれかが、近隣で機能するか、あるいは未知の機能エレメントのマーカーとして作用すると仮説を立て、「リスクのある」または「リスクのない」アリールのいずれかを有する個体の脂肪生検におけるUSF1制御遺伝子の転写プロファイルにおける相違を観察した。これは、可能性のある感受性多型の機能を強調するための説得力のあるインビボアプローチを表している。本発明者等は、転写因子データベースのクエリー(Transfac)を作成し、文献において公開した。合計40個のUSF1制御遺伝子を同定し、生物学的経路または組織特異性についての知識にもかかわらず、さらなる分析のためそれらを選択した(表4)。
【0141】
表4:制御におけるUSF1の報告された関与を有する遺伝子
USF1は、インビトロまたはインビボのいずれかにおいてこれらの遺伝子のプロモーターと結合することが報告されており、いくつかは、機能的証拠が存在する。参考文献の全リストは、要請に応じて入手可能である。これらの遺伝子のうち、29個が、本研究で用いたAffymetrix U133Aチップにおいて出現した。13個は、脂肪生検において、確かなシグナルを生じるレベルで発現した。太字の遺伝子は、usf1s2の異なるアリールを有する個体間で統計上有意に差次的発現した。
【0142】
【表51】

【0143】
転写プロファイルのUSF1のアリール変異体の可能性のある効果を調べるために、本発明者等は、異常脂質血症家族(FCHLおよび低−HDL−C)のコホート由来の19個体から脂肪生検を得た。それらは、usf1s2の希な2−2遺伝子型(「リスクのなり」ハプロタイプを示す)ホモ接合性の7個体、およびヘテロ接合性(8)またはホモ接合性(4)形態のいずれかで共通アリール1(「リスクのある」ハプロタイプを示す)を有する12個体を含むものであった。40個のリストに挙げたUSF1制御遺伝子のうち、29個が本研究で用いたAffymetrix U133Aチップ上に出現し、いくつかの遺伝子が複数のプローブセットにより出現した。本発明者等は、合計19個のプローブセットにより表される13個の遺伝子が、確かなシグナルを生じる有意に高レベルで脂肪組織において発現することを見出し、本研究に含めた(表4)。脂質およびグルコース代謝のいくつかの高度に関係する遺伝子がこのリスト上にあるが、いくつかの遺伝子の関係性はすぐには明らかにならない。標準化の後、3個の遺伝子(合計6個のプローブセット全てにより一致して表される)は、USF1の2つのハプロタイプ群でそれらの発現において有意(p<0.05)に異なった(均等分散の仮定のない2試料t−検定を用いて評価した)。USF1の「リスクのある」または「リスクのない」ハプロタイプのいずれかを有する個体間で差次的に発現する3個の遺伝子全てが、表現型:ATP−結合カセットサブファミリーA(ABCA1)(参考文献13A)、アンジオテンシノーゲン(AGT)(参考文献14A)およびアポリポタンパク質E(APOE)(参考文献15A)と高度に関係した(図7)。
【0144】
実施例9:インスリンに対するACACAの異なる応答
血清インスリンおよびグルコースのようなシグナルは、様々な代謝遺伝子の調節において重要である。インスリンは、Eボックス配列と結合するUSF1の能力に影響し、それにより、代謝変化に応答して遺伝子発現の調節に関与することが知られている(参考文献16A)。USF1制御遺伝子の発現におけるこれらの遺伝子の可能性のある関与を評価するために、本発明者等はANCOVAモデルをデータに合わせた。本発明者等は、さらにモデルを拡大し、ボディー・マス・インデックス(BMI)、トリグリセリドおよびHOMA(ホメオスタシスモデル評価)、空腹時血清インスリンおよびグルコースの値に基づくインスリン抵抗性の測定値の可能性のある効果についても試験した(参考文献17A)。試験した遺伝子のうち1個を除き、本発明者等は、種々の共変量に由来する有意な分布を観察し、ゆえに、2試料t−検定のものと本質的に同じ試験統計となった。しかしながら、初期の知見(参考文献18A)と一致して、本発明者等は、アセチル−CoAカルボキシラーゼα(ACACA)の発現に対するインスリン濃度の検出可能な効果を観察した(p=0.05)。この関係は、直線回帰を用いて精査され、ACACAの定常状態の転写レベルとインスリンの空腹時濃度との間で中程度の負の相関(R=0.453)を示した。ハプロタイプ群の偏回帰はさらに、この相関がUSF1の「リスクのある」ハプロタイプ(R=0.093)を有する個体においてよりむしろ、2−2「リスクのない」ハプロタイプ(R=0.956)を有する個体において本質的にずっと強いことを示した。
【0145】
本発明者等は、性別または研究コホート(FCHLまたは低HDL)のようなパラメーターの任意の効果が、個々の発現レベルの教師のいないクラスタリングの実施による分析において考慮されるべきかどうかも試験した。本発明者等は、観察した任意の測定についての効果を検出しなかった。これは、これらの変化と関連する個体のランダムなクラスタリングにより示された(データは示していない)。
【0146】
実施例10:APORの変化は、全ゲノム転写プロファイルにおいて突出する
既知のUSF1調節遺伝子の分析に加えて、本発明者等は、異なるUSF1ハプロタイプの保因者間で変化した遺伝子の転写レベルについて全マイクロアレイデータを試験した。この種のアプローチを上手く用いて、経路および異なるセットで同時調節される遺伝子の集合物を同定した(参考文献19A)。これは、糖尿病対非糖尿病(参考文献19A)、または癌組織対非癌組織(参考文献20A)のような明確な表現型の相違と群を比較したときに、最も起こり得た。本研究において、発現差が1.5倍以上であり、2試料t−検定における統計上の有意性(p<0.05)に達する変化を有意と同定した。このアプローチにより15個の遺伝子を同定し、このうち、リスクのないハプロタイプを有する個体において、10個がアップレギュレーションされ、5個がダウンレギュレーションされた(表5)。
【0147】
表5:全アレイにおいて最も差次的に発現した遺伝子
2種類のハプロタイプ群(usf1s2のアリールにより定義)の全アレイにおいて標準化した遺伝子発現の比較を用いて、最も異なって調節された遺伝子のリストを作成した。発現差が少なくとも1.5倍であり、2試料t−検定において統計上の有意性(p<0.05)のリミットに達する有意な変化を1と定義した。特に、リスクのない個体において最もアップレギュレーションされた遺伝子は、USF1調節遺伝子アポリポタンパク質Eであった。
【0148】
【表52】

【0149】
また、リスクのある個体においてダウンレギュレーションされる遺伝子のリストの一番上の遺伝子はAPOEであった。USF1のリスクのあるハプロタイプを有する個体の脂肪組織におけるAPOEの発現は、リスクのないハプロタイプを有するものにおける発現より2倍低かった。リストの他の可能性のある興味深い遺伝子は、脂肪代謝に関与するCYP4B1、血管新生、高血圧、それが本質的なメディエーターであるアンギオテンシンII誘発性血管炎症に関与するVEGFを含む(参考文献21A)。USF1がこれらの遺伝子の調節において十分に役割を果たすか否かを証明する実験データが必要である。
【0150】
実施例11:領域遺伝子に対する重要なSNPの強力でない効果
最後に、イントロン7の推定調節エレメントが強力なcis制御エレメントを表し、USF1付近において他の遺伝子の発現に対する制御を発揮するかどうかを調べるために、本発明者等は、392kbに及ぶ5’CD244遺伝子から常にAPOA2の10個のフランキング遺伝子の発現レベルを研究した。これらの10個の遺伝子のうち、6個はUSF1と同じDNA鎖から転写され、4個は逆鎖から転写された。発現レベルがusf1s2の個々のアリールに依存して差次的となるプローブセットは、血小板F11受容体(F11R)遺伝子に隣接したもののみであった(p=0.013)。FCHL家族における関連性を示す重要な染色体インターバルは、高トリグリセリド男性のアリールのF11R遺伝子に達していたので、これは興味深いものであった(参考文献6A)。U133Aアレイにおいて、2つのプローブセットがF11Rを表したが、2つのUSF1ハプロタイプ群の有意な差を示したのは一方のみであった。ゲノムの代表的配列の精査の際、本発明者等は、差次的発現を示したプローブセットが、実際にはF11R遺伝子を表すのではなく、それに直隣接した短い発現配列タグ(EST)(AW995043)を示すことに気付いた。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】図1:1q21上の関連領域の概要の図示 本発明者等がSNPの遺伝子型を特定した遺伝子、ならびに最高連鎖マーカーD1S104およびD1S1677(Pajukanta et al. 1998)の遺伝子座を最上部に示す。太字で示す遺伝子も配列決定した。次の部分には、JAM1およびUSF1について遺伝子型を特定したSNPを示す(これらのSNPの距離、rs数、およびLDクラスターについては表2を参照)。下から2番目の部分には、男性のTGと関連するSNPを示し、最下部には、家族構成員全てのFCHLおよびTGと関連するSNPを示す。
【図2】図2:16種のアップレギュレーションされる遺伝子および60種のダウンレギュレーションされる遺伝子の機能的カテゴリーによる遺伝子の分布(注釈の情報は遺伝子オントロジー(GO)分類生物学的過程を利用) 統計上有意な過剰発現についてのEASEスコア(<0.05)を示すカテゴリーのみを示す。対応のEASEスコア(p−値)を含むEASE分析の全結果、有意なカテゴリー毎の遺伝子のリストを補充の表3a〜bにて提示する。
【図3】図3a:USF1のイントロン7は60bpの配列を有し、これを91種のUSF1類似遺伝子が共有している。USF1のイントロン7のAluSx繰り返し部分(2〜61bpおよび137〜196)は、マウスB1繰り返しとの配列類似性を有する。USF1を含む計91種のヒト遺伝子はAluSxのこの60bp部分を有し、これはコード鎖(43遺伝子)または逆鎖(48遺伝子)上のいずれかに位置する。これらの91種の遺伝子を補充の表4に挙げる。図3b:重要な60bpの配列を含有するUSF1のイントロン7の268bpおよびusf1s2 SNPの転写効率(図3a参照) 1人のホモ接合性擬保因者(ハプロタイプ1−1)および1人のホモ接合性非保因者(2−2)由来DNAをフォワードおよびリバースの両方向でSEAPレポーターシステムにクローニングした。HCL forおよびHC revは、フォワード、そしてリバースの両方向のハプロタイプ保因者(1−1)DNAコンストラクトを示す;NHC forおよびHNC revは、フォワード、そしてリバース方向のハプロタイプ非保因者(2−2)DNAコンストラクトを示す。pSEAP2−基本ベクターでトランスフェクションした細胞由来の培養液を負対照(Neg)として、そしてpSEAP2−対照ベクターでトランスフェクションした細胞由来の培養液を正対照(Pos)として用いた。SEAPタンパク質のモニタリングを、トランスフェクションの48時間および72時間後に行った。エラーバーは、トリプリケートで行った1回の実験のSDを表す。棒の大きさは、負対照(1と設定)と比較したときの転写活性の増大を示す。
【図4a】図4a:6.7kb USF1遺伝子の概要の図示 エクソンは幅広の四角形として、UTRを幅の狭い四角形として、そしてイントロンを直線として示す。アスタリスクで示す関連SNPの上に、遺伝子型を特定したUSF1 SNPを示す。配列位置(黒色の棒)を示すイントロン7のセグメントを増幅し、EMSAで用いる20merのプローブを生成するために用いる。大きなフォントおよび矢印を用いて、近くのSNPを示す。
【図4b】図4b:異種間保存およびEMSAプローブ EMSAシフトを生じる能力のある2つのプローブを構築した;1つは長さ34bpであり、もう1つは長さ20bpである。34merのプローブは、このイントロン7領域由来の3種のSNP全てを含有し、一方、20merのプローブは重要なusf1s2 SNPのみを含有するものであった。下部に、異種間保存配列および一致配列を示す。Yはピリミジンを表し、そしてRはプリンを表す。特に、usf1s2自体のヌクレオチドは完全に保存されており、これは先祖のアリールを示すリスクアリールである。
【図5a】図5a:EMSAの結果は、usf1s2近くの34bpおよび20bpのプローブの両方が、HeLA細胞抽出物由来の核タンパク質に結合することを示す。両方のプローブセットの相違するusf1s2アリール変異体はゲルシフトを生じ、これを矢印で示す。逆に、3’UTRのusf1s1近くの配列を表す20bpのプローブの変異体はいずれもゲルシフトを生じない。
【図5b】図5b:核タンパク質の結合特異性 usf1s2近くの配列を表す34bpのプローブは強力なゲルシフトを生じ、これは添加した非標識プローブのモル濃度の増加と徐々に競合する。
【図6】有意に異なって調節されるUSF1調節遺伝子の同定の概要の図示 最初のリストにある40種の遺伝子を、脂肪生検で発現している13種に限定した。これらのうち、3種の重要な代謝遺伝子が、定常状態にてUSF1のリスクまたはリスクのないハプロタイプを有する個体間で差次的に発現していた。p−値は、非等分散仮定下の2試料t−検定由来のものである。
【図7】図7:USF1転写レベルのアリール特異的調節メカニズム、およびUSF1タンパク質量のバリエーションの予測結果の概要の図示 タンパク質は、USF1のイントロン7の調節配列に結合し、そして転写レベルに影響する。USF1は(大抵、USF2と)2量体を形成し、多数の遺伝子のプロモーターのE−ボックス配列に結合し、グルコースおよび食べ物の炭水化物のようなシグナルに応答して、それらの転写を活性化する。USF1活性の翻訳後調節は、E−ボックスモチーフとのその結合を排除するダイマーのリン酸化に仲介される(参考文献16)。ポリペプチドレベルで影響されると、観察した下流遺伝子の転写レベルでの低減は、異常脂質血症およびメタボリックシンドロームと高度に相関する変化となるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝に関与するか、あるいはそれらの指標である染色体領域を含む核酸分子であって、
(a)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1機能に対する効果を有する1個以上の変異を有する;
(b)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のイントロン7の位置3966においてグアニンまたはアデニン残基を含むことにより特徴付けられる;および/または
(c)配列番号:1の核酸配列を有するか、あるいは含む核酸分子、ここで該核酸配列はUSF1配列のエクソン11の位置5205においてシトシンまたはチミン残基を含むことにより特徴付けられる;
からなる群より選択され;
該核酸分子は、配列番号:1の核酸分子の5’および/または3’末端を超えて最大50000ヌクレオチド伸長する、核酸分子。
【請求項2】
ゲノムDNAである、請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
少なくとも20ヌクレオチドを有する請求項1または2記載の核酸分子のフラグメントであって、配列番号:1のヌクレオチド位置3966および/または位置5205を含む、フラグメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の核酸分子に相補的であって、かつ少なくとも20ヌクレオチド長を有する、核酸分子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項6】
ストリンジェントな条件下で、配列番号:1のヌクレオチド位置3966および5205を含む核酸分子、またはその相補鎖とハイブリダイゼーションする、プライマーまたはプライマーペア。
【請求項7】
請求項5記載のベクターを用いて形質転換された非ヒト宿主。
【請求項8】
細菌、酵母細胞、昆虫細胞、真菌細胞、哺乳類細胞、植物細胞、トランスジェニック動物、またはトランスジェニック植物である、請求項7記載の非ヒト宿主。
【請求項9】
USF1またはそのフラグメント、USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子、またはUSF1特異的抗体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
USF1またはそのフラグメントをコードする核酸分子、請求項1から4のいずれか1項記載の核酸分子、請求項5記載のベクター、請求項6記載のプライマーまたはプライマーペア、またはUSF1特異的抗体を含む、診断用組成物。
【請求項11】
高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について試験する方法であって、予想患者またはかかる素因を有することが疑われる人から得た試料をUSF1遺伝子の野生型または変異体アリールの存在について分析することを含む、方法。
【請求項12】
該変異体が、ホモ接合性またはヘテロ接合性状態でUSF1遺伝子の位置3966および/または位置5205のSNPを含むものである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
該試験が、ストリンジェントな条件下で請求項4記載の相補核酸分子を試料中に含まれる核酸分子とハイブリダイゼーションさせること、および該ハイブリダイゼーションを検出することを含み、該相補核酸分子がSNPを含有する配列位置を含む、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
該ハイブリダイゼーション産物を制限酵素で消化すること、または該ハイブリダイゼーション産物を制限酵素消化の対象とし、次に該消化物を分析することをさらに含む、請求項11から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
該プローブが検出可能に標識されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該試験が、請求項1から4のいずれか1項記載の核酸分子の少なくとも一部の核酸配列を決定することを含み、ここで該部分がSNP位置を含むものである、請求項11から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
核酸配列の決定が固相ミニシークエンスにより達成される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
核酸配列の決定に先立ち、該核酸分子の少なくとも該一部を増幅することをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
該試験が増幅反応を行うこと、ここで該増幅反応において利用されるプライマーの少なくとも1個が、請求項6記載のプライマーであるか、あるいは請求項6記載のプリマーペアに属するものであり、増幅産物についてアッセイすることを含む、請求項11から15記載の方法。
【請求項20】
該増幅がポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により達成されるか、あるいは該増幅がポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について試験する方法であって、人から得た試料を、該試料に含有される(a)USF1、(b)ABCA1、(c)アンジオテンシノーゲン、または(d)アポリポタンパク質Eの量についてアッセイすることを含む、方法。
【請求項22】
該試験が、(a)USF1、(b)ABCA1、(c)アンジオテンシノーゲン、または(d)アポリポタンパク質Eに特異的な抗体またはアプタマーを用いて達成される、請求項22記載の方法。
【請求項23】
該抗体またはアプタマーが検出可能に標識されている、請求項22記載の方法。
【請求項24】
試験がイムノアッセイである、請求項21から23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因について試験する方法であって、人から得た試料を、該試料に含有される(a)ABCA1、(b)アンジオテンシノーゲン、または(c)アポリポタンパク質EをコードするRNAの量についてアッセイすることを含む、方法。
【請求項26】
該試料が、血液、血清、血漿、胎児組織、唾液、尿、粘膜組織、粘液、膣組織、膣から得た胎児組織、皮膚、髪、毛包、または別のヒト組織である、請求項11から25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
該試料由来の核酸分子またはタンパク質が固体支持体に固定されている、請求項11から26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
該固体支持体が、チップ、シリカウエハ、ビーズ、またはマイクロタイタープレートである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
高脂血症および/または異常脂質血症、および/または不完全な炭水化物代謝の存在または素因の分析のための、請求項1から5のいずれか1項記載の核酸分子の使用。
【請求項30】
家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、または高血圧を含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬組成物を製造するための、USF1またはそのフラグメント、またはUSF1をコードし、および/またはUSF1のイントロン7および/またはエクソン11の野生型配列を少なくとも含む核酸分子の使用。
【請求項31】
請求項1から5のいずれか1項記載の核酸分子、請求項6記載のプライマーまたはプライマーペア、および/または請求項7記載のベクターを1個以上の容器内に含むキット。
【請求項32】
家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、または高血圧を含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬組成物を製造するためのUSF1の発現の阻害剤の使用であって、該阻害剤が、(a)USF1遺伝子の転写された領域に相補的なヌクレオチド配列を含むsiRNAまたはアンチセンスRNA分子、または(b)USF1に特異的な抗体、アプタマー、または小さな阻害分子である、使用。
【請求項33】
家族性混合型高脂血症(FCHL)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低αリポ蛋白血症、高アポβリポ蛋白血症(高アポB)、家族性脂質異常性高血圧症(FDH)、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、または高血圧を含む高脂血症および/または異常脂質血症の処置用医薬組成物を製造するためのUSF1の発現の活性化剤の使用であって、該活性化剤が小分子である、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−506354(P2008−506354A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553532(P2006−553532)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001624
【国際公開番号】WO2005/077974
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504051445)ナショナル パブリック ヘルス インスティテュート (1)
【Fターム(参考)】