説明

高速多極数発電機

【課題】高速、多磁極数の発電機(50)、歯車箱(44)、制御装置(52)、および電力変換装置(54)を備える、ターボファンエンジン(10)の低圧(LP)タービンスプール(30)から補助電力を生成するシステムの提供
【解決手段】LPタービンスプール(30)は発電機部分(50)を駆動する歯車箱(44)によって発電機(50)部分に機械的に結合される。制御装置部分(52)はLPタービンの速度を感知する速度感知要素を有する。制御装置部分(52)は、発電機(50)が所定の速度を超えた場合に電力変換装置(54)を使用不可能にし、発電機部分(50)が所定の速度以下の場合は電力変換装置(54)を使用可能にする。LPタービンスプール(30)が所定の速度を超えた場合に発電機(50)の有効負荷がほぼゼロに低減され、発電機(50)を所定の速度に電気的に拘束し、所定の速度を上回るように機械的に拘束することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジン用の発電機、より詳細には多極数を有する高速発電機を対象とする。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンエンジンは1つまたは複数の圧縮機を備え、この圧縮機に燃焼器および高圧と低圧タービンが後続する。こうしたエンジン構成要素は、直列流体連通状態で構成され環状外側ケーシング内にエンジンの長手方向軸中心線の周りに配置される。圧縮機は動作中にそれぞれタービンおよび圧縮機空気によって駆動される。圧縮機空気は燃料と混合され、燃焼器内で点火されて、熱い燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは高圧および低圧タービン中を流れ、タービンが熱い燃焼ガスによって生成されたエネルギを抽出して、圧縮機を駆動し、補助出力を生成する。
【0003】
エンジン出力は、軸動力または飛行中の航空機に給電するためのスラストとして伝達される。たとえば、バイパスターボファンエンジンのファンロータ、またはガスタービンプロペラエンジンのプロペラなど他の回転可能な負荷では、電力が高圧および低圧タービンから抽出されて、それぞれファンロータおよびプロペラが駆動される。
【0004】
よく理解されているように、ターボファンエンジンの個々の構成要素には動作中に様々な電力パラメータが必要とされる。たとえば、ファンの回転速度は先端速度によってある程度制限される。なぜなら、ファンの径が非常に大きいために回転速度を非常に遅くしなければならないからである。一方、コア圧縮機はその先端径がかなり小さいため、より速い回転速度で駆動することができる。したがって、航空機のガスタービンエンジンのファンおよびコア圧縮機を駆動するには、独立した電力伝達デバイスを有する別個の高圧および低圧タービンが必要とされる。さらに、タービンは比較的速い回転速度で最も効率が良いため、ファンを駆動する低速タービンは必要な電力を抽出するのに追加の段階が必要である。
【0005】
多くの新しい航空機システムが、現在の航空機システムの電気負荷よりも大きい電気負荷に対応するように設計されている。現在開発されている民間航空機設計の電気系統の仕様は、現在の民間航空機の2倍まで電力の需要が増えている。この電力需要の増加は航空機を動かすエンジンから抽出される機械的動力に由来する。たとえば高所からアイドリングで降下中など、比較的低い電力レベルで航空機エンジンを作動する場合、エンジンの機械的動力からこの追加の電力を抽出することにより、エンジンを適切に作動させる能力が低減される恐れがある。
【0006】
伝統的に、電力はガスタービンエンジンの高圧(HP)エンジンスプールから抽出される。HPエンジンスプールの比較的高速の作動回転速度は、HPエンジンスプールをエンジンに連結された発電機を駆動する理想的な機械的動力源にする。しかし、発電機の駆動をHPエンジンスプールだけに依存せず、エンジン内の追加のソースから動力を抽出することが望ましい。LPエンジンスプールは代替の動力伝達源を提供するものであるが、低速発電機はより高速で作動する同様に格付けされた発電機よりも大型であることが多いため、比較的低速のLPエンジンスプールは、通常、歯車箱を使用する必要がある。
【0007】
しかし、(たとえば高所からのアイドリングまたはそれに近い状態での降下時、または地上滑走低出力時など)エンジンが比較的低電力レベルで作動しているときに、この追加の機械的動力をエンジンから抽出することによって、エンジンの動作性が低減される恐れがある。伝統的にこの動力は高圧(HP)エンジンスプールから抽出される。比較的高速の作動速度は、HPエンジンスプールをエンジンに取り付けた発電機を駆動する理想的な機械的動力源にする。しかし、ときには他の手段を介してトルクおよび動力を伝達することによって、このスプールの使用可能な電力量を増加することが望ましい。
【0008】
この変換には、多様なタイプの従来の変速機、機械式歯車装置、および電気機械構成を含む多くの解決法が可能である。こうした一解決法は、第3の中間圧力(IP)スプールを使用して発電機を独立して駆動するタービンエンジンである。しかし、この第3のスプールもときにHPスプールの結合が必要とされる。IPとHPスプールの結合に使用される手段は、機械クラッチまたはビスカス(viscous)タイプカップリング機構である。
【0009】
2005年5月24日に発行された「Differential Geared Turbine Engine with Torque Modulation Capacity」の名称の米国特許第6,895,741号は、3つの軸を有する機械式歯車エンジンを開示している。ファン、圧縮機、およびタービン軸が追加の遊星歯車構成を設けることによって機械的に結合される。有効歯車比は電磁機械および電力変換装置の使用によって可変である。
【0010】
高速電気機械は、大抵、磁気材料が効率の悪いモータ設計になる比較的高い周波数での過剰な鉄損をもたらさないように、低い極数で製造される。これは主に、現在のモータの大部分で使用されている軟性材料が珪素鉄合金であることに関連する。周知のように、従来の珪素鉄ベースの材料では約400Hzを超える周波数での磁場の変化から生じる損失により、しばしば材料がどの適切な手段でもデバイスを冷却できない点まで加熱される。
【特許文献1】米国特許第6,895,741号公報
【特許文献2】米国特許第6,734,585号公報
【特許文献3】米国特許第6,661,135号公報
【特許文献4】米国特許第4,588,914号公報
【特許文献5】米国特許第3,663,848号公報
【特許文献6】米国特許第6,903,468号公報
【特許文献7】米国特許第6,897,597号公報
【特許文献8】米国特許第6,842,590号公報
【特許文献9】米国特許第6,809,600号公報
【特許文献10】米国特許第6,646,363号公報
【特許文献11】米国特許第6,541,887号公報
【特許文献12】米国特許出願第20040164627号公報
【特許文献13】米国特許出願第20030094872号公報
【特許文献14】米国特許出願第20020149276号公報
【特許文献15】米国特許出願第20020117935号公報
【特許文献16】米国特許出願第20050245341号公報
【特許文献17】米国特許出願第20050212373号公報
【特許文献18】米国特許出願第20050093391号公報
【特許文献19】米国特許出願第20050073212号公報
【特許文献20】米国特許出願第20040245879号公報
【特許文献21】米国特許出願第20040095563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、非常に高速で機械的に回転するが、低回転速度に基づいて電力を生成することができる、高速発電機用の新しいシステムおよび装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
通常、高速発電機の設計の主要な制限の1つは磁極の数である。磁極数によって基本電気周波数が決定され、したがって電力変換装置PWM周波数が決定されるからである。PWM周波数は、変換装置のスイッチング損を許容範囲内に維持するため、一定の限度を超えてはならない。磁極の数は、ステータおよびロータのバックアイアンのサイズ、したがって発電機のサイズおよび重量に大きな影響を与える。多数の磁極を有する発電機は、変換装置の動作によって課される周波数範囲内に維持するために小さく軽量でなくてはならない。さらに、多数の磁極により、幾つかの用途、特に航空宇宙の用途の主要問題である耐故障性の歯巻線構成の使用が可能になる。(直結駆動構成で)広い速度範囲で動作する機械がその広い速度範囲の比較的狭い部分にわたる電力を生成するだけでよい場合、速度をギアアップして、磁極数が発電の最高速度の周波数による制限のみを受けるようにすることが示唆される。機械はなお最高速度まで機械的に回転することができる。速度のギアアップは機械のサイズ縮小の助けになる。周波数をはるかに低速度に制限することによって、より多数の磁極を使用することができるようになり、機械のサイズおよび重量の低減に大きな影響が与えられる。この機械は、たとえばスイッチドリラクタンス、永久磁石など、任意のタイプでもよい。また、全体のシステムサイズおよび重量をさらに低減するために、この機械を両側二重ロータ発電機または単一ステータ二重ロータ発電機の形態の他の機械と組み合わせることもできる。この機械は、径方向の磁束または軸方向の磁束機械でもよい。
【0013】
エンジン内の他の動力源は低圧(LP)スプールであり、低圧スプールは通常、高圧(HP)スプールよりもかなり低速で比較的広い速度範囲で動作する。この低速の機械的動力源を変換なしにタッピングすると、通常、非実用的に大きい発電機になる。LPスプールは、通常1100〜4500rpmの比較的広い動作速度範囲を有するが、LP発電機はLPスプールから係合解除することができないため、4500rpmまでで回転されても、アイドリングでの降下中に約2200rpmに相当する電力発電を必要とする。発電機のサイズを縮小する一手段は、たとえば歯車箱を使用して、速度範囲を徐々に上げて、機械を同じ電力でより小さいトルク用のサイズにすることである。作動電力変換装置は発電機を制御するため、変換装置のスイッチング損を減少し、それによって良好な全体のシステム効率を達成するため、実際の制限は変換装置のPWM周波数に課せられる。PWM周波数に課せられるこの制限によって、最大機械基本周波数の制限が限定され、磁極数が限定される。この制限がより低速で課せられる場合、機械はより多数の磁極を有することができ、ステータおよびロータ部分のバックアイアンの厚さが低減される。したがって、航空宇宙用途の重要なパラメータである全体の機械サイズおよび重量が低減される。
【0014】
本発明は、ターボファンエンジンの低圧(LP)タービンスプールから補助電力を生成するシステムを対象とする。このシステムは、高速、多磁極数の発電機、歯車箱、制御装置、および電力変換装置を備える。LPタービンスプールは、発電機部分を駆動する歯車箱によって発電機部分に機械的に結合される。制御装置部分はLPタービンの速度を感知する速度感知要素を有する。制御装置部分は、発電機が所定の速度を超えた場合に電力変換装置を使用不可能にし、発電機部分が所定の速度以下の場合は電力変換装置を使用可能にする。LPタービンスプールが所定の速度を超えた場合に発電機の有効負荷がほぼゼロに低減され、発電機が所定の速度に電気的に拘束され、所定の速度を上回るように機械的に拘束される。
【0015】
本発明は、ターボファンエンジンの低圧(LP)タービンスプールから補助電力を生成するシステムも対象とする。このシステムは、ステータバックアイアン部分およびロータバックアイアン部分を有する電力を生成するための発電機部分を有し、ステータバックアイアン部分およびロータバックアイアン部分は少磁極数の発電機と比較して大幅に低減された厚さを有する。システムは、発電機部分を駆動する歯車箱、発電機の出力を制御する制御装置部分、発電機の電力を変換して負荷に電力を供給する電力変換装置、および発電機部分を駆動する歯車箱によって発電機部分に機械的に結合されたLPタービンスプールも備える。さらに、システムは、LPタービンスプールの速度を感知する速度感知要素と電気的に連通している制御装置部分を備える。制御装置部分は、エンジンの動作中に、発電機部分の所定の速度を超える速度に応答して電力変換装置を使用不可能にし、発電機部分の速度が所定の速度を超えない場合は電力変換装置を使用可能にして、LPタービンスプールが所定の速度を超えた場合に発電機部分の有効負荷がほぼゼロに低減されるように構成される。
【0016】
本発明の利点は、向上した耐故障性を示す集中型の絶縁された電機子巻線を実現可能にする、従来の関連デバイスよりも多数の磁極の使用である。さらに発電機全体の重量を低減するために、高速発電機を両側二重ロータまたは単一ステータ二重ロータ構成の形態の他のHPスプール発電機と組み合わせることができる。
【0017】
他の利点は、LPスプールおよびHPとLP発電機の組合せから電力を抽出して、発電機の重量およびサイズを大幅に低減する能力である。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を一例として示す添付の図面と併せて、好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に、全般的に軸方向に延びる軸または全般的に前方向14および後方向16に延びる中心線12を有する例示のターボファンエンジン10が示されている。バイパスターボファンエンジン10は(ガス発生器とも呼ばれる)コアエンジン18を備え、コアエンジン18は、全て直列の軸流関係に配置された、高圧圧縮機20、燃焼器22、および高圧タービン翼24の列を有する高圧タービン(HPT)23を備える。高圧圧縮機20の高圧圧縮機翼64は、高圧スプール21を形成するエンジン10の中心線12の周りに同軸状に配置された比較的大径の環状コアエンジン軸26によって、高圧タービン翼24に駆動係合状態で固定連結される。
【0020】
コアエンジン18内の燃焼器22は高圧圧縮機20からの加圧空気と燃料を混合し、得られた燃料と空気の混合物に点火して燃焼ガスを生成する。翼24を回転させ、その回転によって高圧圧縮機20を駆動する高圧タービン翼24による動作がこのガスから抽出される。燃焼ガスは、コアエンジン18から出力タービンまたは低圧タービン翼28の列を有する低圧タービン(LPT)27に排出される。低圧タービン翼28は、低圧スプール29を形成するコアエンジン軸26内でエンジン10の中心線12の周りに同軸状に配置された比較的小径の環状低圧軸30に固定して取り付けられる。低圧軸30は、エンジンファンセクション35の軸方向に間隔をおいて配置された第1および第2段のファン31および33を回転させる。第1および第2段ファン31および33は、それぞれ全般的に径方向に外側に延び、周方向に間隔をあけて配置された第1および第2段ファンブレード32および36の第1および第2段列を備える。
【0021】
ファンバイパスダクト40は、第2段ファン33およびコアエンジン18に外接する。コア排出空気流170は低圧タービン27から排出されて、ファンバイパスダクト40から後部可変面積バイパスインジェクタ(VABI)53を通って排出されるバイパス空気流178と混合される。混合はテールパイプ69内で行われ、この中で排気流が形成され、可変面積排気ノズル122を通って排出される。任意選択のアフタバーナ130を使用してエンジン10の推力可能性を向上させることができる。
【0022】
次に図2を参照すると、本発明の電磁発電機50が連結軸46によって歯車箱44に連結されている。歯車箱44は動力取出し装置(PTO)42を介してLPスプール30によって駆動される。歯車箱44の歯車比は(x)で示される。歯車比xは通常は5から10の範囲の乗数であるが、特定用途の必要に応じてこの範囲を高く、または低くすることができる。電磁発電機は、1分当たりの回転数(rpm)4500xまでの速度で機械的に回転するように設計される。航空機のアイドリングでの降下中にエンジン10が1000rpmから2200rpmで動作する場合、発電機50は2200xrpmまで電力を発電する必要がある。通常の飛行操作中、エンジン10はより高速の2200rpmから4500rpmの範囲で作動する。
【0023】
発電機50が歯車箱44によって2200xrpmを超える速度で駆動される場合、発電機制御装置52は、たとえば接触器を使用し、または電力変換装置内の半導体デバイスへのゲート信号を無効にすることによって、発電機出力部に接続された電力変換装置54を使用不可能にして、発電機50の負荷56をゼロに有効に低減する。それによって、機械が高速で動作し、同時に多数の磁極を有することができるようになり、したがって、発電機50が基本周波数範囲2200xrpmを超えるのが阻止される。基本周波数範囲は、電気有効電力変換装置で達成可能な最大実際パルス幅変調(PWM)周波数によって課される。PWM周波数の範囲は、電力レベルによって、使用される半導体デバイスのスイッチング能力並びに使用可能な電力変換装置の熱管理に基づいて設定される。スイッチング損はPWMに比例して増加し、それによって電力変換装置およびシステムの効率が影響を受ける。また、PWM周波数が高くなるに従って発熱量も増加するため、より高い冷却能力が必要になる。より多数の磁極によって、実際に耐故障性の集中絶縁電機子巻線の使用が可能になる。
【0024】
図3は、作動発電の速度範囲に対する受動の機械的回転モードにある発電機50の速度範囲を示す図である。上記で示したように、作動の速度範囲200は好ましくは1100xと2200xの間で生じ、アイドリングで降下中のエンジン50の通常の動作範囲である。受動の速度範囲202は2200xよりも大きく約4500xまでであり、通常の飛行中のエンジン速度である。
【0025】
図で示した実施形態では、発電機50は永久磁石であるが、この発電機50は、たとえばスイッチドリラクタンス、永久磁石、巻線界磁、および他の構成、並びに径方向の磁束または軸方向の磁束機械などが含まれるがそれだけに限定されない任意のタイプの適した発電機でもよい。発電機50は任意の数の相を有することもできる。
【0026】
次に図4および5を参照すると、それぞれ従来技術のステータおよびロータ、並びに本発明のステータおよびロータ、サイズを縮小したステータおよびロータのバックアイアンが示されている。図4では、12のスロット62および4つの極64を有する少極数機械60が示されている。スロットは隣接する歯部分67によって画定される。極64はロータバックアイアン68aに固定され、スロット62は、ステータの歯部分67の周りにらせん状に巻かれた極の巻線(図示せず)を受ける。歯部分67はステータバックアイアン66aから径方向に内側に延びる。対照的に図5では、本発明の多極数発電機50は12のスロット62および10の極64を有する。多極数発電機50では少極数機械60と比較して、ステータバックアイアン66bおよびロータバックアイアン68bの厚さが大幅に低減されている。極数と1極当たりの磁束の逆関係によってサイズを縮小ことができる。すなわち極数が多くなるに従って、磁束/極が減少するためである。磁束/極が減少すると同じ磁束密度を有するのに必要なバックアイアンも減少される。
【0027】
次に図6および7を参照すると、従来技術の機械および多極数発電機の一例が比較の目的で示されている。図6の少極数機械では、従来技術の分配された重なった巻線が示されており、本発明の分配された重なった巻線が示されている。A、B、およびCで示した相の巻線が互いに重なって示されている。たとえば、相巻線Aはスロット(s1)と(s4)の間に連結され、相巻線Bはスロット(s2)と(s11)の間に連結され、相巻線Cはスロット(s3)と(s6)の間に連結されている。各相は隣接していないスロットの間に連結されるため、それぞれステータバックアイアン66および歯部分67内を循環する束路に重なりが存在する。対照的に、図7は多極数発電機50を示す。発電機50の相巻線は、隣接するスロットの間に連結された相巻線A、B、およびCに集中しているため、重ならない耐故障性のステータ巻線が提供される。重ならない集中型相巻線A、B、およびCでは、様々な相の間に最小限の結合しか存在しないため、機械の耐故障性が改善される。たとえば、相Aが故障しても、相BおよびCは大して影響を受けず、機械はなお有用なレベルの電力を生成し続けることができ、機械相が実際の定格電力を超えたレートの場合でも定格電力を生成することができる。図8を参照すると、高速LP発電機50は、両側二重ロータまたは単一ステータ二重ロータ構成の形態の1つまたは複数のHPスプール発電機82を有する組合せ機械80の一部でもよい。両側二重ロータ構成では、全体のフレームサイズおよび冷却装置のサイズを大幅に縮小し、かつ重量を低減することができる。二重機械構成に存在する磁束のベクトルの和によって、共用のステータヨークのサイズおよび重量をさらに低減することができる。
【0028】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、等価のものを本発明の要素と置き換えることができる。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの修正を加えて特定の状況または材料を本発明の教示に適合させることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良のモードとして開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内に全ての実施形態が包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】例示の航空機ターボファンガスタービンエンジンを概略的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の発電機駆動列を示す図である。
【図3】発電機の作動および受動の速度範囲を示す図である。
【図4】少極数の従来技術の永久磁気機械を示す概略図である。
【図5】本発明の多極数の永久磁気機械を示す概略図である。
【図6】分配された重なる巻線を有する少極数の従来技術の永久磁気機械を示す概略図である。
【図7】集中型の重ならない巻線を有する本発明の多極数の永久磁気機械を示す概略図である。
【図8】HPタービンで駆動される他の発電機と組み合わせて構成された高速多極数発電機の代替実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10 エンジン
12 中心線
14 前方向
16 後方向
18 コアエンジン
20 高圧圧縮機
21 高圧スプール
22 燃焼器
23 高圧タービン
24 高圧タービン翼
26 コアエンジン軸
27 低圧タービン
28 低圧タービン翼
29 低圧スプール
30 低圧タービンスプール
31 第1段ファン
32 第1および第2段のファンブレード
33 第2段ファン
35 エンジンファンセクション
40 バイパスダクト
42 動力取出し装置
44 歯車箱
46 連結軸
50 多極数発電機
52 制御装置
53 後部可変面積バイパスインジェクタ
54 電力変換装置
56 負荷
60 少極数機械
62 スロット
64 極
66 ステータバックアイアン
67 歯部分
68 ロータバックアイアン
69 テールパイプ
80 組合せ機械
82 HPスプール発電機
122 排気ノズル
130 アフタバーナ
170 コア排出空気流
178 バイパス空気流
200 作動速度範囲
202 受動速度範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボファンエンジンの低圧(LP)タービンスプールから補助電力を生成するシステムであって、
電力を生成する発電機部分(50)、前記発電機部分(50)を駆動する歯車箱(44)、前記発電機(50)の出力を制御する制御装置部分(52)、および発電機の電力を変換して負荷に電力を供給する電力変換装置(54)を備え、
前記LPタービンスプール(30)が前記発電機部分(50)を駆動する前記歯車箱(44)によって前記発電機部分(50)に機械的に結合され、
前記制御装置部分(52)が前記LPタービンスプール(30)の速度を感知する速度感知要素と電気的に連通し、
前記制御装置部分(52)が、前記エンジン(10)の動作中に、前記発電機部分(50)の所定の速度を超える速度に応答して前記電力変換装置(54)を使用不可能にし、前記発電機部分(50)の速度が前記所定の速度を超えない場合は前記電力変換装置(54)を使用可能にして、前記LPタービンスプール(30)が所定の速度を超えた場合に前記発電機部分(50)の有効負荷がほぼゼロに低減されるように構成されるシステム。
【請求項2】
前記発電機部分(50)が速度および多磁極数を有し、前記磁極数によって前記発電機部分(50)の速度が前記電力変換装置(54)の基本周波数範囲を超えるのが阻止される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記電力変換装置(54)が電気的に作動する電力変換装置である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記基本周波数範囲が、前記電力変換装置(54)で達成することができる最大パルス幅変調(PWM)周波数によって決定される、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記発電機部分(50)が航空機のアイドリングでの降下中に作動して電力を生成し、前記アイドリングでの降下が前記所定の速度以下の発電機速度と関連し、前記発電機(50)が前記所定の速度を超えた場合に前記発電機(50)がほぼゼロ負荷で受動的に回転される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記発電機部分(50)が、前記歯車箱(44)の歯車比の1100倍から前記歯車箱(44)の歯車比の2200倍までを含む速度での作動発電範囲、および前記歯車箱(44)の歯車比の2200倍を超え前記歯車箱(44)の歯車比の4500倍までの速度での受動の回転範囲を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記歯車箱(44)の歯車比が5から10の範囲内である、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記発電機部分(50)が10の磁極(64)および12のステータ巻線を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記発電機部分(50)が複数の隣接する重ならない磁極対(64)を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記発電機部分(50)がステータバックアイアン部分(68a)およびロータバックアイアン部分(68b)を有し、前記ステータバックアイアン部分(68a)および前記ロータバックアイアン部分(68b)が少磁極(64)数発電機(60)と比較して大幅に低減された厚さを有する、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−154449(P2008−154449A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315326(P2007−315326)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】