説明

鮮やかな外観色と干渉色を有する二色性顔料

【課題】外観色と干渉色の色調が異なる鮮やかな二色性の顔料を提供する。
【解決手段】雲母のような板状粒子上にTiO(但し、1.0<X<2.0)である低次酸化チタンからなる組成の低次酸化チタンの組成及び膜厚の異なる単層を形成させてなる顔料であり該単層の組成及び膜厚の制御が、酸化チタンの焼成の雰囲気、焼成温度又は還元助剤の少なくとも一によって行なわれる。焼成は、窒素、水素、アンモニア、一酸化炭素、一酸化一窒素、一酸化二窒素、硫化水素、二酸化硫黄等のガス又は混合ガス雰囲気下又は真空雰囲気下で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮やかな外観色と干渉色の二色性を有する顔料に関する。
さらに詳しくは、本発明は、板状粒子上に低次酸化チタン又は低次酸化チタンの一部が
窒素に変性されたものからなる組成物の単層を設け、その単層の組成、及びその膜厚をコ
ントロールすることで、外観色と干渉色の色調を変化させ、外観色と干渉色の色調が異な
る鮮やかな二色性を有する顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の干渉用顔料は、天然又は合成雲母、ガラス末、アルミフレークの基材に二酸化チ
タンを被覆する(特許文献1)ことで、基材と二酸化チタン層間での光の反射による光路
差により干渉色を発色させており、干渉色の色調は、二酸化チタン層の厚みを10〜200nm
に調整し、光路差を調整することで銀色、黄色、赤色、青色、緑色の干渉色を発色させて
いる。しかしながら、二酸化チタン層で被覆した干渉顔料は、外観色が白色のため、干渉
色の発色が有意に認識できないものである。
【0003】
また、外観色と干渉色の発色を鮮やかにするために表面に二酸化チタンを被覆した天然
又は合成雲母、ガラス末、アルミフレークの干渉顔料に有機色素を添加して発色させるも
の(特許文献2)があるが、有機色素が耐候性、安定性が悪く、色調を保つことが出来な
い問題点がある。
【0004】
さらに、二酸化チタンと低次酸化チタン、又は低次酸化チタン、又は酸化窒化チタンを
含むことを必要とするチタン化合物で被覆された有色雲母顔料(特許文献2、3)では、
原料雲母チタンの干渉色を際立たせるために有色層となる低次酸化チタン又は酸化窒化チ
タンを設けているが、得られた顔料は干渉色にその色調が依存され、外観色と干渉色が一
致する単調な色調しか得られない。また、二酸化チタンと低次酸化チタン又は窒化チタン
を含むチタン化合物の混合物として、有色層を形成していることから、製造上において前
述の混合物の存在比をコントロールすることは非常に困難である。
【0005】
さらに、最外層に二酸化チタン、中間層に低次酸化チタン又は酸化窒化チタンを被覆し
た天然又は合成雲母、ガラス末、アルミフレークの干渉顔料で鮮やかな色調の顔料(特許
文献4、5)があり、色調の調整には、最外層の二酸化チタン膜厚を調整することで金色
、青色、赤色や緑色の外観色と干渉色を有するものが得られるとある。
【0006】
また、薄片状雲母基板に被覆されたチタン、鉄、ニッケルからなる複合酸化物層と、そ
の複合酸化物層上に被覆された二酸化チタン層から形成される有色雲母チタン(特許文献
6)があるが、これらの干渉顔料は、中間層に有色層を設けることで、干渉色の観察され
ない角度では中間層の色調を強調し、干渉色が生じる角度では中間層の色と二酸化チタン
層の干渉色を混合された色調を生じさせる手法が開示されている。しかし、基材上に多層
を形成させるには、多段階の熱処理、被覆処理工程を必要としコストが高くなる上に、従
来の二酸化チタン層の膜厚制御による干渉色の調整では発色性の良い色調は得られず、中
間層である外観色の色調により大きく風合いが左右されてしまう。
【0007】
また、硫酸チタニル水溶液に浸漬して200℃乾燥処理での二酸化チタン被覆物は、基材
又は中間層に強固な酸化チタン膜を形成されていないことから、インク、塗料の分散工程
において機械的なシェアを加えることで、二酸化チタン層が剥離し、安定な顔料として使
用することは困難である。
【0008】
さらに、二酸化チタン被覆粉体を金属チタンと混ぜ込み還元熱処理し、その後に酸化熱
処理を行い酸化させることで、黒色の真珠光沢粉体の顔料(特許文献7)があるが、その
試験例で示されているように、被膜層を一度低次酸化チタンに強還元処理を行い、再度、
大気中で酸化処理をすることで低次酸化チタン層の表層に二酸化チタン層を形成させるこ
とで真珠光沢を得ているが、この二酸化チタン層は、中間層の低次酸化チタン層の真黒色
に光沢を与えるためのものである。
【0009】
しかし、ここで得られる顔料は、L値25以下において黒色を際立たせ、且つ黒色に光沢
を付与したのみの黒色剤であり、本発明での鮮やかな発色が得られない場合がある。
【0010】
さらに、平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を雲母チタン上に被覆した着色雲母チタ
ン(特許文献8)があるが、ここでは、透過干渉色を調整することを目的としていること
から、本発明での鮮やかな色調は得られず、微粒子酸化鉄は、安定性が悪く、特に水系溶
媒に分散させた際には、鉄が溶出して溶液色を変化させる等の経時劣化が生じるという問
題があった。
【0011】
上述するように、有機色素の添加や、複雑な多層を設けることなく、鮮やかな外観色と
干渉色の二色性を有する顔料は、従来、存在していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公昭43-025644号公報
【特許文献2】特開昭59-212422号公報
【特許文献3】特開昭60-184570号公報
【特許文献4】特開昭60-060163号公報
【特許文献5】特開昭60-170670号公報
【特許文献6】特開平11-189734号公報
【特許文献7】特開2008-120914号公報
【特許文献8】特開2003-026537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、有機色素
の添加や、複雑な多層を設けることなく、外観色と干渉色の色調が異なる鮮やかな二色性
を有し、安定性に優れる有彩色顔料、及びそれを配合した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、特許文献1に見られるような従来の白色が際立つ干渉性顔料、特許文献2〜
特許文献5に見られるような外観色と干渉色が一致する単調な色調の顔料、特許文献7に
見られる黒色を主体とした黒色真珠光沢顔料とは異なり、彩度、明度が高い鮮やかな外観
色と干渉色の二色性を有する有彩色顔料を提供するところにある。
【0015】
本発明では、板状粒子の表面に低次酸化チタンのみからなる単層を形成することが特徴
で、上記低次酸化チタンは、TiOx(1.0<x<2.0)で表すことができ、二酸化チタンから
酸素を一部欠損させた状態のものを言う。
【0016】
すなわち、酸化チタンに酸素を欠損させることでホールが形成され、入射される光(電
磁波)を吸収する原理を応用した。吸収される波長域は酸素欠損量により調整することが
可能である。
【0017】
本発明における板状粒子に被覆する低次酸化チタンの組成は、TiOx(1.0<x<2.0)で
あり、その酸素欠損量(X)を適宜調整する必要がある。本発明で言うところの低次酸化
チタン単層とは、二酸化チタンTiO2を含まない組成からなり、単層の組成がTiOx(1.0<x
<2.0)からなる低次酸化チタン化合物1種類以上より構成されるものである。
【0018】
上記低次酸化チタン層の酸素欠損量X=1.0に近づくと、光の吸収が強くなり、干渉色が弱くなる。X=2.0に近づくと、光の吸収が弱くなり、干渉色が強くなる。
【0019】
また、外観色では、X=1.0に近づくと、光の吸収が強くなり外観色が強くなる。X=2.0
に近づくと光の吸収が弱くなり、外観色が弱くなる。
【0020】
従って、これらの光の反射、吸収の調整には、TiOx(1.0<x<2.0)の範囲内で酸素欠損量を調整することでできる。
【0021】
ここで説明する光の吸収による干渉色、外観色の変化は、低次酸化チタン層による酸素
欠損量により光の吸収波長域を調整するところによるものである。低次酸化チタン層の組
成(酸素欠損量)を調整することで、チタン層から反射、吸収される光の波長を変えること
が可能となり、外観色と干渉色の色調を変化できることから、今までにない鮮やかな二色
性を有する顔料を得ることができる。
【0022】
また、本発明では、膜厚での色調の調整は、低次酸化チタン層の酸素欠損量を一定にし
て、低次酸化チタン層の膜厚を10〜1000nmの範囲で制御することにより、反射光の光路差
を変化させることで干渉色の調整をすることができる。よって、膜厚の制御を行うことで
色調のバリエーションをさらに増やすことが可能となった。
【0023】
さらに、本発明では、低次酸化チタンを被覆した板状粒子の粒子径を調整することでも、
色調を変化させることが可能である。粒子径を大きくすることで、板状粒子から反射され
る光はまとまった方向となり、干渉色・外観色を際立たせたギラギラ感のある色調となる
。粒子径を小さくすると、板状粒子から反射される光が散乱し、干渉色・外観色が滑らか
に混ざり合い、平滑な光沢感を持たせることができる。特に板状粒子の粒子径を限定することはないが、二色性の発色が好ましいのは0.1μmから5,000μmで、特に好ましいのは1μmから500μmである。これらの粒子径制御を行うことで、同じ干渉色・外観色でも風合いの異なる色調を作り出すことができる。
【0024】
さらに、低次酸化チタン層は、板状粒子上に二酸化チタン層が被覆された材料を、窒素
、水素、アンモニア、一酸化炭素、一酸化一窒素、一酸化二窒素、硫化水素又は二酸化硫
黄等のガス又は混合ガス雰囲気下又は真空雰囲気において、500〜1500℃で焼成すること
によって形成できる。
【0025】
さらに、上記焼成時に板状粒子上に二酸化チタン層が被覆された材料に還元助剤として
水素化チタン、金属チタンのチタン化合物、又は水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミ
ニウムリチウムの水素化物を含む化合物を添加して、500〜1500℃で還元焼成することも
できる。
【0026】
さらに、板状粒子上への低次酸化チタン層の形成には、低次酸化チタン組成物を板状粒
子に被覆することでも可能である。被覆方法としては、低次酸化チタン組成物を塗布又は
メカノケミカルを用いることで可能である。その際に、不活性雰囲気または真空雰囲気に
て500〜1500℃の熱処理をして低次酸化チタン粒子を焼結させて、被覆された低次酸化チ
タン層を強固にすることもできる。
【0027】
さらに、外観色と干渉色が異なる鮮やかな二色性を発揮させるために必要な板状粒子上
の低次酸化チタン単層の組成を決定する還元度の制御は、焼成温度、添加する還元助剤と
なる化合物で行うことができる。
【0028】
さらに、窒素、水素、アンモニア、一酸化炭素、一酸化一窒素、一酸化二窒素、硫化水
素、二酸化硫黄等のガス又は混合ガス雰囲気下又は真空雰囲気において、焼成温度を500
〜1500℃の範囲にすることで可能である。還元度を低くするには焼成温度を500℃付近ま
で下げ、還元度を高くするには焼成温度を1500℃付近まで上げて焼成温度を調整すること
で、二酸化チタンからの酸素欠損反応を調整することが可能である。
【0029】
本発明の顔料における還元度の制御は、還元助剤の添加量を調整することでも可能であ
る。還元助剤を添加する場合の焼成温度は、還元助剤の分解温度以上にする必要がある。
焼成温度は500〜1500℃の範囲にすることが好ましい。還元助剤の添加量は、還元助剤に
含まれている還元成分ガスとなる物質が、二酸化チタン100gに対して0.001〜30.0molの範
囲(好ましくは0.01〜10.0molの範囲)で含まれていることが必要である。ここで還元成分
ガスとは、水素、窒素、アンモニア、一酸化炭素、一酸化一窒素、一酸化二窒素、硫化水
素、二酸化硫黄等を言うが、特にこれに限定されるものではない。二酸化チタンに対して
還元助剤から生じる還元性物質の量を変化させることで、酸素欠損反応を制御することが
可能となる。還元助剤の添加量が0.001mol以下であると還元度が低くなり、外観色が白色
に近く、干渉色の発色も有意に認識できないことから、鮮やかな二色性が得られない。
【0030】
また、還元助剤の添加量が30.0mol以上であると還元度が高くなりすぎ、干渉色が弱く
なり、外観色の色調のみとなることで、鮮やかな二色性が失われてしまい好ましくない。
還元度の制御は、金属チタンを用いることも可能である。還元雰囲気にて500〜1500℃の
範囲(好ましくは900〜1300℃)で焼成することで、二酸化チタンの酸素原子の一部が金属
チタンによって還元され低次酸化チタンとなり、金属チタンは二酸化チタンの酸素原子と
結合して低次酸化チタンとなる。チタン化合物の添加量は、二酸化チタン100gに対してチ
タン成分で0.01〜2.0molを添加することが必要である。
【0031】
また、本発明において、低次酸化チタン単層の膜厚の制御による、外観色と干渉色が異
なる鮮やかな二色性を発揮させるために必要な二酸化チタンの膜厚の制御方法は(特許文
献1)に記載されているものを用いることで行うことができる。膜厚が10nm以下では、低
次酸化チタン層での光路差が少なくなることから鮮やかな干渉色を得ることが出来なくな
る。また、低次酸化チタン層膜厚が厚くなることに関しては、位相差により循環的に色調
が変化するのみであるため特に制限がないが、光が減衰してしまい鮮やかな色調が得られ
なくなるので、低次酸化チタン層の膜厚は1000nm以下が好ましい。低次酸化チタンの膜厚
を10〜1000nm(好ましくは10〜600nm)の範囲で制御することにより、外観色と干渉色が異
なる鮮やかな二色性を調整することが可能となる。
【0032】
さらに、低次酸化チタン層は、二酸化チタン層を還元することによって得ることができ
るが、その二酸化チタン層が、メタチタン酸、水酸化チタン、オキシチタン酸、硫酸チタ
ンを含むチタン化合物層であっても、還元焼成による熱処理で低次酸化チタン組成へと制
御することが可能である。
【0033】
上記熱処理温度は、500〜1500℃程度の高温であることから、低次酸化チタン同士は焼
結し、基材上で強固な低次酸化チタン層を形成することが可能となり、インキ、塗料、及
び化粧品分野等での高シェアが必要となる分散処理工程でも使用可能な顔料となる。また
、還元処理に用いるガスに窒素が含まれる化合物や、還元助剤中に窒素を含む化合物が含
まれることで、還元焼成において酸化窒化チタンを形成する。酸化窒化チタンは、低次酸
化チタンの酸素の一部が、窒素と置き換わり変性したものである。この変性による低次酸
化チタンの一部が窒化された酸化窒化チタンでも、光の吸収と反射の波長を制御すること
ができ、干渉色と外観色を調整することが可能である。
【0034】
ここで、黒色鉄(四三酸化鉄)は、耐酸性が悪く、熱的にも150℃程度でγ-酸化鉄に酸化
され不安定である。しかし、低次酸化チタンは、非常に安定で、耐酸性、耐アルカリ性に
も優れている。熱的にも非常に安定であり、大気中にて350℃の熱を加えても黒色度を保
つ物質である。低次酸化チタンの層を設けることで、耐酸性、アルカリ性で、且つ熱的に
も安定な顔料を合成することができる。
【0035】
目的とする組成[TiOx(1.0<x<2.0)]の低次酸化チタンを原料として、板状粒子の基
材上に固相法で被覆処理することでも得られる。板状粒子に低次酸化チタンを1〜95wt%
添加して機械的なシェアをかけて混ぜ込み、基材上に低次酸化チタンを均一に付着させる
。その後、付着層の強度を高めるために、不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気において500
〜1500℃程度の高温で焼成を行い、低次酸化チタンを焼結させて強固な層を有した鮮やか
な二色性の顔料を得ることができた。
本発明で用いる板状粒子としては、天然又は合成雲母、ガラス末、アルミフレークを用
いることができるが、特にこれらの物質に限定されるものではない。また、基材の形状を
選択することによって、色相は同一で光の反射を制御した顔料を得ることが出来る。
例えば、天然雲母では劈開に伴うテラス等が認められ、板状粒子表面の平滑性がそれほど
高くない。これに対してガラス末では板状粒子表面の平滑性が高く、さらに粒子厚さも均
一であるため、低次酸化チタン層の厚さ、還元度を一定とした場合、天然雲母を基材とす
るよりもガラス末を基材とした方がよりギラギラした強い色調を示す。
【発明の効果】
【0036】
本発明において得られる鮮やかな外観色と干渉色の異なる二色性の顔料は、従来の真珠
光沢顔料とは異なる色調を有する。
ハンターのLab表色系では、従来の二酸化チタン系の干渉顔料は、L値が70〜80と明度
が高く白色であった。また、低次酸化チタンからなる黒色系真珠光沢顔料では、L値が25
以下と明度が低く黒色であった。
しかし、本発明では、低次酸化チタン層の還元度とその膜厚の制御を行うことで、L値
25以上の明度において干渉色と外観色の異なる二色性の発色をさせることが可能となった

また、ハンターのLab表色系のb値は、青〜黄色の表色値であり、絶対値が大きい程に
彩度は高くなる。本発明では、還元度を制御することで、b値を-3.0以下又は3.0以上の
範囲に調整することが可能となり、彩度の高い色調を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の鮮やかな外観色と干渉色を有する顔料の模式図
【図2】還元条件を変えることで組成を変化させた場合のXRD解析結果(実施例1、2、比較例1)
【図3】実施例7、8及び比較例2のXRD解析結果
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の顔料は、板状粒子上に低次酸化チタンの単層を形成して得られるものである。
板状粒子の基材に二酸化チタンが被覆されている顔料を還元処理して、二酸化チタン層
を低次酸化チタン層にすることで得る方法や、低次酸化チタン組成物を板状粒子に被覆す
ることにより得る方法等があるが、板状粒子の基材に二酸化チタンが被覆されている顔料
を還元処理して、二酸化チタン層を低次酸化チタン層にすることで得る方法が好ましい。
【0039】
本発明で用いる板状粒子としては、天然又は合成雲母、ガラス末、アルミフレークを挙
げることができ、特にこれらの物質に限定されるものではないが、その内の雲母としては
、白雲母、金雲母、黒雲母等の有色、無色の基材であってもよい。
【0040】
板状粒子の基材に二酸化チタンを被覆した顔料は、一般に市販されているものを用いる
ことができ、例えば、雲母に二酸化チタンを被覆したものとして、イリオジン(Merk)やフ
ラメンコスパークルゴールド(BASF)を用いることができる。
例えば、ガラス末に二酸化チタンを被覆したものには、メタシャイン(日本板硝子株式
会社)を用いることができる。
【0041】
図1には、本発明にかかる酸素欠損量を調整することで鮮やかな外観色と干渉色を有す
ることを特徴とする顔料の模式図を示す。
【0042】
顔料は、基材となる板状粒子(1)と、低次酸化チタン層(2)から形成されている。
【0043】
低次酸化チタンは、還元度を変えることで酸素欠損量を調整することができる。ここで
、可視光は電磁波であることから、酸素欠損によるホールに可視光の一部が吸収される。
よって、酸素欠損量(X)を調整することで、吸収する波長域や吸収量を変えることが
可能となる。また、同様に反射光の波長も制御することが可能となる。
【0044】
図1の模式図に示すように、顔料表面での反射光(5)は、低次酸化チタン層により特定
の波長を吸収され、外観色としての色調を発色する。干渉色は、反射光(5)と、低次酸化
チタン層で吸収され特定波長を失った透過光(4)が基材(1)で反射された反射光(6)が干渉
することにより特有の色調を発する。これら(5)(6)の反射光からなる干渉色と、低次酸化
チタン層の吸収光による外観色により、鮮やかな二色性の色調を有する顔料を得ることが
できる。
【0045】
また、低次酸化チタン層の膜厚を調整することで、反射光は、低次酸化チタン層表面で
の反射光(5)と、低次酸化チタン層を通り基材(1)からの反射光(6)の光路差を変えること
ができ、波長の位相を変化させることで干渉色を変化させることが可能となる。
【0046】
本発明では、低次酸化チタン層の酸素欠損量、組成をコントロールすることで、反射光
、吸収光の調整が可能となり、また低次酸化チタン層の膜厚を制御することでも波長の位
相を変化させて干渉色を調整することが可能となり、今までにない鮮やかな干渉色、外観
色を有する多品種の二色性を有する新規顔料を合成することができた。
【0047】
さらに、低次酸化チタン層の酸素欠損量、組成と膜厚を制御することで、本発明で用い
る板状粒子の種類にかかわらず、同様の外観色と干渉色を再現することができる。
【0048】
本発明における顔料の評価は、低次酸化チタン層の膜厚、低次酸化チタンの組成、顔料
の色調で行った。
膜厚測定には、断面SEM(日立:S-4500)を用いて低次酸化チタン層を測長した。
低次酸化チタンの組成は、粉末X線回折装置(理学:RINT2400)を用いて行った。顔料の色
調は、測色色差計(東京電色:TC-8600A)ハンターのLab表色系で行った。
【0049】
顔料の外観色と干渉色の評価は、下記手法を用いる。顔料と水を1:2の重量比で混ぜ
込みスラリー状にし、ガラス板上に滴下する。その上に、ガラス板を合わせて、滴下した
スラリーをガラス板間で引き延ばして、顔料を配向させる。
顔料を配向させたガラス板サンプルを、目視観察を行う事で外観色と干渉色を評価する。
観察方法は、白色蛍光灯から垂直方向にサンプルを設置し、外観色を観察面から90度の角
度より目視観察を行い、干渉色を観察面から45度の角度より目視観察を行うことで評価し
た。
【0050】
さらに、本発明の顔料を用いた化粧料では、化粧膜の外観色と塗布時の干渉色を目視に
て観察したところ、優れた二色性を有するものが得られた。
【0051】
本発明の顔料を用いた化粧料においては、塗布時の化粧膜全体の外観色と角度を変化さ
せて見える干渉色との間に優れた二色性を有することにより、化粧部位の立体感を強調し
、化粧部位を際立たせるといった化粧効果を付与することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜31は、本発明の顔料自体であり、実施例32〜49は、本発明の顔料を使
用した化粧料を評価するものである。
【0052】
〔実施例1〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が薄緑色の前駆体A(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。
前駆体Aは、XRD測定を行い二酸化チタンのアナターゼ構造であることを確認した(表1
)。
【0053】
前駆体A 100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム3.0gを加えて、窒素と水素の
混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が緑色、干渉色が薄青色となり二色性を有していた

【0054】
以下の表1に本実施例1の生成物のXRD解析結果を、前駆体A、実施例2とともに及び
比較例1との対比で示す。
【0055】
なお、表1のXRDの解析結果を図示したものが図2である。
図2の解析結果によれば、二酸化チタンのピークは消失し、低次酸化チタンTi4O7が生
成されていることがわかる。
【0056】
〔実施例2〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が薄緑色の前駆体A(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。前駆体A 100gに還元助
剤として水素化ホウ素ナトリウム 7.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1
:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品を回収して、XRD測定を実施したところ、図2に示すように二酸化
チタンのピークは消失し、低次酸化チタンTi2O3が生成されていた。
色調は、外観色が濃緑色、干渉色が青色となった。
【0057】
〔比較例1〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が薄緑色の前駆体A(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。前駆体A 100gに還元助
剤として水素化ホウ素ナトリウム 10.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=
1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品を回収して、XRD測定を実施したところ、図2に示すように二酸化
チタンのピークは消失し、低次酸化チタンTiO、Ti2O3が生成されていた。
色調は、外観色の黒色が際立つ色調となった。
【0058】
〔実施例1〜2〕〔比較例1〕では、低次酸化チタン層の膜厚を140nm一定とし、低次
酸化チタンの組成を変化させた。
【0059】
図2は、還元条件を変えることで組成を変化させた場合のXRDの解析結果を示す。
XRD測定は、前駆体、還元処理品をそれぞれメノウ乳鉢で粉砕し、粉末エックス線回折
装置にて行った。還元条件を変えることで、二酸化チタンのピークは完全に消失し、低次
酸化チタンのみのピークとなった。
【0060】
表1は、還元度を変化させた際の色調の変化を示す。
前駆体では干渉色の淡い発色のみであるが、酸化チタン層を低次酸化チタンにすること
で外観色、干渉色を変化させ、鮮やかな二色性を有する色調を得ることかできた。さらに
、低次酸化チタンの組成を制御することで、干渉色、外観色のそれぞれの色調を変えるこ
とができた。
【0061】
TiO2が含まれた低次酸化チタン層の場合は、TiO2による光の反射が強くなり、外観色が
白色に近くなるため、本発明が示すところの鮮やかな二色性を得ることができない。鮮や
かな二色性を有するためには、TiO2を含まない低次酸化チタンからなる組成の単層を形成
する必要がある。
【0062】
比較例1では、還元度の高い低次酸化チタンTiO(x=1)が入射光の低次酸化チタンへの吸
収が強くなり、干渉色が認識出来なくなり、外観色の黒色が際立つ色調になった。TiOが
含まれる低次酸化チタン層の場合は、光の吸収が強いため、反射光が弱くなり、本発明の
示すところの干渉色が得られず、外観色が際立つものとなる。鮮やかな二色性を有するた
めには、TiOを含まない低次酸化チタン組成からなる単層を形成する必要がある。この板
状粒子上の単層を、TiO2とTiOを含まない[TiOx(1.0<x<2.0)]からなる低次酸化チタン
の組成物に制御することで、入射する光の吸収を調整することが可能となり、鮮やかで様
々な外観色と干渉色を得ることができた。
【0063】
特開昭60-060163号公報においては、最内層である雲母と最外層である二酸化チタンと
の間の中間層として低次酸化チタン層又は低次酸化チタンを含むチタン化合物層が存在さ
せることで有色雲母を得ている。また、中間層が全て低次酸化チタン又は低次酸化チタン
と窒化チタンの混合物である場合には外観色、干渉色が黒色のものになると記載されてい
る。しかし、本研究においては鋭意検討の結果、低次酸化チタン単層で、且つ低次酸化チ
タンの組成をTiOx(1.0<x<2.0)で制御することで、入射する光の反射と吸収をコント
ロールして、干渉色と外観色の異なる二色性を発色させることが可能であることを見出し
た。
【0064】
【表1】

【0065】
〔実施例3〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が銀色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:30nm)を作製した。前駆体100gに還元助剤とし
て水素化ホウ素ナトリウム 1.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を
100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
以下の表2に、本実施例3の生成物のXRD解析結果を実施例1及び4〜6のものととも
に示す。
得られた還元処理品の色調は、外観色が銀色、干渉色が薄黄色となった。
【0066】
〔実施例4〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が黄色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:70nm)を作製した。前駆体100gに還元助剤とし
て水素化ホウ素ナトリウム 1.7gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を
100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が黄色、干渉色が深緑色となった。
【0067】
〔実施例5〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が赤色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:100nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.0gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が薄赤(ピンク)色、干渉色が濃黄色となった。
【0068】
〔実施例6〕
雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後、水
洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆された外観色が白色で干渉
色が青色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0069】
〔実施例3〜6〕では、低次酸化チタン層の組成を一定にして、低次酸化チタン層の膜
厚を変化させた。
表2は、低次酸化チタン層の組成をTi4O7にして、膜厚を30〜140nmにした際の色調の変
化を示す。
膜厚を変化させることで、干渉色と外観色を大幅に変化させることが出来た。
【0070】
これら〔実施例3〜6〕に示すように、低次酸化チタン層の組成と膜厚を制御すること
で、今までにない種類の鮮やかな外観色と干渉色の異なる二色性を有する顔料を合成する
ことが可能となった。
【0071】
【表2】

【0072】
〔実施例7〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が薄緑色の前駆体B(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。前駆体Bを用い
、XRD測定を行い、二酸化チタンのアナターゼ構造であることを確認(図3)した。前駆体B
100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 3.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒
素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
【0073】
得られた還元処理品を回収し、XRD測定を実施した。
以下の表3に、本実施例7の生成物のXRD解析結果を、前駆体B、実施例8とともに及
び比較例2との対比で示す。
表3の結果を図示したものが図3である。
二酸化チタンのピークは消失し、低次酸化チタンTi4O7が生成されていた。
色調は、外観色が緑色、干渉色が薄青色であった。
【0074】
〔実施例8〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が薄緑色の前駆体B(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。前駆体B100g
に還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 7.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:
水素=1:1)を100ml/minで700℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品を回収して、XRD測定を実施した。
結果を図3に示す。
得られた顔料では、図3に示すように二酸化チタンのピークは消失し、低次酸化チタン
Ti2O3が生成されていた。
色調は、外観色が濃緑色、干渉色が青色であった。
【0075】
〔比較例2〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が薄緑色の前駆体B(酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。前駆体B100g
に還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 10.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素
:水素=1:1)を100ml/minで800℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品を回収して、XRD測定を実施したところ(図3)、二酸化チタンの
ピークは消失し、低次酸化チタンTi、TiO、Ti2O3が生成されていた。
色調は、外観色の黒色が際立つ色調であった。
【0076】
ガラス末に二酸化チタンを被覆した顔料〔実施例7〜8〕においても、〔実施例1〜2
〕と同様に還元処理を行うことで同じ色調が得られた。また、図3に示すように低次酸化
チタンの組成も〔実施例1〜2〕と同様の傾向を示した。
【0077】
【表3】

【0078】
〔実施例9〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が銀色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:30nm)を作製した。前駆体100gに還元
助剤として水素化ホウ素ナトリウム 1.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=
1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が銀色、干渉色が薄黄色となった。
【0079】
〔実施例10〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が黄色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:70nm)を作製した。前駆体100gに還元
助剤として水素化ホウ素ナトリウム 1.7gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=
1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。得られた還元処理品の色調は、外観
色が黄色、干渉色が濃緑色となった。
【0080】
〔実施例11〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が赤色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:100nm)を作製した。前駆体100gに還元
助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.0gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=
1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。得られた還元処理品の色調は、外観
色が薄赤(ピンク)色、干渉色が濃黄色となった。
【0081】
〔実施例12〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が青色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。前駆体100gに還元
助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=
1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。得られた還元処理品の色調は、外観
色が青色、干渉色が紫色となった。
【0082】
〔実施例7、9〜12〕では、低次酸化チタン層の組成を一定にして、低次酸化チタン層
の膜厚を変化させた。
表4は、低次酸化チタン層の組成をTi4O7にして、膜厚を30〜140nmにした際の色調の変
化を示す。
雲母基材と同様に、低次酸化チタン層の膜厚を制御することで、鮮やかな外観色と干渉
色の異なる二色性を有する顔料を合成することが可能となった。
【0083】
【表4】

【0084】
〔実施例13〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が黄色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:70nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 1.4gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が黄色、干渉色が薄緑色となった。
【0085】
〔実施例14〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が赤色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:100nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム2.4gを加えて、窒素と水素の混合
ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が赤色、干渉色が濃黄色となった。
【0086】
〔実施例15〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が赤色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:115nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 1.8gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が薄赤(ピンク)色、干渉色が紫色となった。
【0087】
〔実施例16〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が青色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.3gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が薄緑色、干渉色が青色となった。
【0088】
〔実施例17〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が緑色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.5gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
得られた還元処理品の色調は、外観色が黄緑色、干渉色が薄青色となった。
【0089】
〔実施例13〜17〕では、組成と膜厚を調整することで多種多様な外観色と干渉色を
得ることができた。
表5に、低次酸化チタン層の組成と膜厚を70〜140nmで調整した際の外観色と干渉色の
変化を示す。
低次酸化チタン層の組成と膜厚を制御することで、外観色と干渉色の濃薄の変化や色調
の調整が可能となった。
【0090】
【表5】

【0091】
〔実施例18〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用い、外
観色が白色、干渉色が青色である原料の還元処理を行う。メタシャイン(MC1080RB)100gに
還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム2.7gを加えて混合原料を作製する。窒素と水素の
混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
以下の表6には、本実施例18の生成物のXRD解析結果を実施例19と20で得られた
ものの結果とともに示す。
本実施例で得られた顔料は、色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0092】
〔実施例19〕
市販の雲母チタン(MERK製:Iridion225)で、外観色が白色、干渉色が青色の原料を用い
て還元焼成を行った。原料100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム2.7gを加えて混
合原料を作製する。窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3
時間の焼成を行った。
色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0093】
〔実施例20〕
アルミフレークにチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱
処理後、水洗し余分なチタン化合物を除去し、アルミフレークに二酸化チタンが被覆され
た外観色が白色で、干渉色が青色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。得られた還元
処理品の色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0094】
〔実施例18〜19〕では、市販材料を用いて還元処理とすることでも鮮やかな二色性顔
料を得ることができた。
また、〔実施例20〕では、原料基材がアルミフレークにおいても同様に鮮やかな二色
性を有する顔料を得ることができた。
【0095】
【表6】

【0096】
〔実施例21〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用いて還
元処理を行う。水素化チタン粉末をメノウ乳鉢にて粉砕し、目開き25μmの篩を通過した
粉末を回収して還元助剤として用いた。メタシャイン100g(MC1080RB)に水素化チタンを4.
3g加えて、ミキサーで均一に混合した。混合した原料を、窒素と水素の混合ガス(窒素:
水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。得られた還元処理品は、水で
撹拌して、目開き25μmの湿式篩を行い、還元助剤の水素化チタンから形成された低次酸
化チタンを除去した。
【0097】
以下の表7に本実施例21の生成物のXRD解析結果を実施例22〜24のものの解析結
果とともに示す。
得られた回収物は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0098】
〔実施例22〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用いて還
元処理を行う。チタン粉末をメノウ乳鉢にて粉砕し、目開き25μmの篩を通過した粉末を
回収して還元助剤として用いた。メタシャイン100g(MC1080RB)にチタンを3.8g加えて、ミ
キサーで均一に混合した。
混合した原料を、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:2)を100ml/minで700℃、3
時間の焼成を行った。
得られた還元処理品は、水で撹拌して、目開き25μmの湿式篩を行い、還元助剤のチタ
ン粉末から形成された低次酸化チタンを除去した。
得られた生成物は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0099】
〔実施例23〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用い、還
元助剤として水素化アルミニウムリチウムを用いる。メタシャイン(MC1080RB)100gに還元
助剤として水素化アルミニウムリチウム2.7gを加えて混合原料を作製する。
窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った
。色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0100】
〔実施例24〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用い、水
素と窒素の混合ガスで還元焼成を行う。メタシャイン(MC1080RB)20gを雰囲気炉内に入れ
て、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:3)を100ml/minで1000℃、8時間の焼成を行
った。
得られた還元焼成品の色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となった。
【0101】
〔実施例21〜24〕では、還元助剤に水素化チタンと金属チタンをそれぞれ用いるこ
とでも、鮮やかな二色性顔料を得ることができた。また、〔実施例23〕では、還元助剤
に水素化アルミニウムリチウムを用いたものでも、鮮やかな二色性顔料を得ることができ
た。〔実施例24〕では、窒素と水素の混合ガスで還元処理を行うことでも、鮮やかな二
色性顔料を得ることができた。
【0102】
【表7】

【0103】
〔実施例25〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用いて還
元処理を行う。メタシャイン(MC1080RB)100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム2.
7g、グアニジン0.2gを加えて混合原料を作製する。
窒素と水素の混合ガス(アンモニア:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を
行った。
以下の表8に、本実施例25の生成物のXRD解析結果を実施例26の解析結果とともに示す。
色調は、外観色が赤紫色、干渉色が青色となった。
【0104】
〔実施例26〕
市販の二酸化チタンが被覆されたガラス末(日本板硝子製:メタシャイン)を用いて還
元処理を行う。メタシャイン(MC1080RB)100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム2.
7gを加えて混合原料を作製する。
アンモニアと水素の混合ガス(アンモニア:水素=2:1)を100ml/minで600℃、3時間
の焼成を行った。
色調は、外観色が茶色、干渉色が紫色となった。
【0105】
〔実施例25〕では、還元助剤中に窒素を含む化合物を用いた。
〔実施例26〕では、還元処理にアンモニアと水素の混合ガスを用いた。それぞれの低
次酸化チタン層の一部が、窒素と置き換わり変性した。
〔実施例25〜26〕においても、鮮やかな二色性顔料を得ることができた。
【0106】
【表8】

【0107】
〔実施例27〕
低次酸化チタンの組成がTiO・粒子径が10〜30nmからなる粒子を雲母に被覆する。
被覆には、低次酸化チタン粒子を水溶媒に均一に分散させ、雲母を加えて懸濁させた。そ
の後、低次酸化チタン粒子が被覆された雲母粒子を回収して105℃で乾燥し、水分を除去
した。乾燥させた雲母を、真空雰囲気にて800℃・3時間の熱処理を行った。
以下の表9に、本実施例27の生成物のXRD解析結果を示す。
得られた還元処理品の色調は、外観色が緑色、干渉色が薄青色となり二色性を有してい
た。
【0108】
【表9】

【0109】
〔比較例3〕
ガラス末にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を行った。熱処理後
、水洗し余分なチタン化合物を除去し、ガラス末に二酸化チタンが被覆された外観色が白
色で干渉色が緑色 (二酸化チタン層の膜厚:140nm)を作製した。
以下の表10には、本比較例3で得られたものを他の比較例(1,2,4)で得られた
ものとともに示す。
【0110】
〔比較例1〜2〕では、還元度の高い低次酸化チタンTiO(x=1)になると、入射光の低次
酸化チタンへの吸収が強くなり、干渉色が弱くなり、外観色の黒色のみとなった。
本比較例3では、組成がTiO2(x=2)となり、外観色が白色のため、干渉色の発色が有意
に認識できないものとなった。
【0111】
〔比較例4〕
特開昭60-060163号公報の実施例1に基づき、雲母50部に対してイオン交換水500部を十
分撹拌させたスラリーに、硫酸チタニル水溶液(40wt%)を208.5部加えて、加熱撹拌を6
時間行った。放冷後、濾過水洗を行い900℃で焼成し、二酸化チタンで被覆された雲母を
得た。この二酸化チタンで被覆された雲母をアンモニアガス3L/minで800℃、4時間の還
元処理を行った。
得られた生成物のXRD解析を行ったところ、TiOとTiO2の混合物であり、外観色と干渉色
が青色のものであった。
【0112】
〔比較例4〕では、被覆組成物がTiOとTiO2の混合物である。低次酸化チタンがTiOとTi
O2の混合物であると、TiOが光を強く吸収し、反射光は微弱となる。
よって、反射される光はTiO2から発せられる青色のみとなり、TiOはそれを際立たせる
効果(下地色としての効果)のみを与え単調な色調となった。
本発明では鋭意検討の結果、実施例で示したように、光を反射させることができる還元
度合TiOx(1.0<x<2.0)の低次酸化チタンの単層を設けることで、図1に見られる光の
反射、吸収が生じさせ、外観色と干渉色の異なる二色性を得ることができた。
【0113】
【表10】

【0114】
[実施例28]
板状粒子径が1-15μmの雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理を
行った。熱処理後、水洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆され
た外観色が白色で干渉色が青色の前駆体 (酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。前駆
体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混合ガス(
窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となり、平滑な光沢感を有したものが得られた。
【0115】
[実施例29]
板状粒子径が10-60μmの雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理
を行った。熱処理後、水洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆さ
れた外観色が白色で干渉色が青色の前駆体(酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となり、平滑な光沢感を有したものが得られた。
【0116】
[実施例30]
板状粒子径が20-180μmの雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理
を行った。熱処理後、水洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆さ
れた外観色が白色で干渉色が青色の前駆体(酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となり、極めの細かいギラギラな光沢感を有した
ものが得られた。
【0117】
[実施例31]
板状粒子径が20-500μmの雲母にチタニアゾルを塗布し、空気雰囲気にて600℃の熱処理
を行った。熱処理後、水洗し余分なチタン化合物を除去し、雲母に二酸化チタンが被覆さ
れた外観色が白色で干渉色が青色の前駆体(酸化チタン層の膜厚:130nm)を作製した。
前駆体100gに還元助剤として水素化ホウ素ナトリウム 2.7gを加えて、窒素と水素の混
合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/minで600℃、3時間の焼成を行った。
色調は、外観色が青色、干渉色が紫色となり、干渉色と外観色が際立つギラギラな光沢
感を有したものが得られた。
【0118】
[実施例28〜31]では、低次酸化チタン層の組成・膜厚を一定にして、粒子径を変
化させた。表11は、低次酸化チタン層の組成をTi4O7・膜厚を130nmにした際の粒子径に
よる色調の変化を示す。粒子径を小さくすることで反射光を散乱させ、干渉色と外観色が
滑らかに混ざり合い平滑な光沢感を持たせることができた。また、粒子径を大きくするこ
とで、干渉色・外観色を際立たせたギラギラ感を持たせることができた。
これらの粒子径による色調の調整は、その他の低次酸化チタン組成・膜厚でも可能であ
り、粒子径を制御することにより同じ外観色・干渉色で光沢感を変化させることができる

【0119】
【表11】

【0120】
本発明の顔料を、油性成分、水性成分、粉体成分等の他の化粧料用成分とともに配合し
て化粧料とすることにより、肌上においても本発明の鮮やかな二色性を活かすことができ
る。メイクアップ化粧料に限らず、スキンケア化粧料、頭髪用化粧料にも応用することが
できる。
【0121】
以下に示す組成の化粧料を下記の製造方法により調製し、「立体感」、「均一な化粧膜
」の各項目について、以下に示す評価方法により評価した。
【0122】
(評価項目)
イ、立体感
ロ、均一な化粧膜
【0123】
(評価方法)
各試料について専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価
にて7段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出
し、下記4段階判定基準により判定した。
なお、イの評価は、塗布時の化粧膜全体の外観色と角度を変化させて見える干渉色との
間に優れた二色性を有し化粧部位に立体感を感じられるかどうかを基準とした。
【0124】
(1)評価基準
(評価) :(評点)
非常に良好:6
良好 :5
やや良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
非常に不良:0
(2)判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
5点以上 :非常に優れる
3.5点以上5点未満 :優れる
1.5点以上3.5点未満:劣る
1.5点未満 :非常に劣る
【0125】
〔実施例32〕スティック口紅
(成分) (%)
(1)ポリエチレンワックス※1 5
(2)セレシンワックス 5
(3)キャンデリラワックス 5
(4)流動パラフィン 10
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
(6)トリイソステアリン酸ジグリセリル 30
(7)無水ケイ酸※2 1
(8)シリル化処理無水ケイ酸※3 1
(9)炭酸カルシウム 1
(10)赤色202号 0.5
(11)黄色4号 0.1
(12)ベンガラ 1
(13)二色性顔料※4 5
(14)二色性顔料※5 1
(15)ローズマリーエキス 0.1
※1 PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
※2 AEROSIL 200((株)日本アエロジル製)
※3 AEROSIL R972((株)日本アエロジル製)
※4 実施例19
※5 実施例11
【0126】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を均一に加熱溶解(95℃)する。
B.Aに成分(7)〜(15)を均一に混合する。
C.Bを容器に加熱充填(85℃)し、冷却して製品とする。
【0127】
以上の製法にて得られたスティック口紅は、外観色と干渉色の二色性(外観色が赤色、
干渉色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった

【0128】
実施例32のスティック口紅の成分(13)の二色性顔料※4、成分(14)の二色性
顔料※5に代えて、比較例1(雲母)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、二色性
を有さず、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0129】
〔実施例33〕リキッドルージュ
(成分) (%)
(1)イソドデカン 残量
(2)トリメチルシロキシケイ酸※6 10
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(4)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※7 5
(5)二色性顔料※8 10
(6)二色性顔料※9 1
(7)二色性顔料※10 0.5
(8)無水ケイ酸※11 3
(9)シリコーン処理二酸化チタン※12 1
(10)香料 0.1
※6 シリコンKF−7312J(信越化学工業(株)製、デカメチルシクロペンタシロ
キサン50%溶液)
※7 BENTON 38(エレメンティス社製)
※8 実施例18
※9 実施例1
※10 実施例10
※11 サイリシア550(富士シリシア(株)製)
※12 ジメチルポリシロキサン2%処理
【0130】
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)を均一に溶解する。
B.Aに成分(4)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0131】
以上の製法にて得られたリキッドルージュは、外観色と干渉色の二色性(外観色が青色
、干渉色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであっ
た。
【0132】
実施例33のリキッドルージュの成分(5)の二色性顔料※8、成分(6)の二色性顔
料※9、成分(7)の二色性顔料※10、に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例4(
雲母)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」
は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0133】
〔実施例34〕リップバーム
(成分) (%)
(1)ワセリン 残量
(2)流動パラフィン 10.0
(3)二色性顔料※13 0.1
(4)二色性顔料※14 0.5
(5)二色性顔料※15 0.01
(6)雲母チタン※16 1
(7)ハチミツ 0.1
※13 実施例2
※14 実施例21
※15 実施例9
※16 チミロンスーパーレッド(メルク社製)
【0134】
(製造方法)
A.成分(1)〜(2)を均一に溶解する。
B.Aに成分(3)〜(7)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0135】
以上の製法にて得られたリップバームは、外観色と干渉色の二色性(外観色が淡い青色
、干渉色が淡い紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたもので
あった。
【0136】
実施例34のリップバームの成分(3)の二色性顔料※13、成分(4)の二色性顔料
※14、成分(5)の二色性顔料※15、に代えて、比較例4(雲母)、比較例3(ガラ
ス末)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」
は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0137】
〔実施例35〕マスカラ
(成分) (%)
(1)イソドデカン 残量
(2)トリメチルシロキシケイ酸※6 10
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(4)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※7 5
(5)二色性顔料※17 30
(6)二色性顔料※18 5
(7)黒酸化鉄 1
(8)タルク 3
(9)ナイロン繊維※19 1
(10)酢酸トコフェロール 0.1
※17 実施例3をメチルフェニルポリシロキサン2%処理
※18 実施例16
※19 10デニール、2mm
【0138】
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)を均一に溶解する。
B.Aに成分(4)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0139】
以上の製法にて得られたマスカラは、外観色と干渉色の二色性(外観色が銀色、干渉色
が薄黄色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0140】
実施例35のマスカラの成分(5)の二色性顔料※17、成分(6)の二色性顔料※1
8に代えて、比較例1(雲母)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、二色性に劣り
、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0141】
〔実施例36〕マスカラ下地
(成分) (%)
(1)イソドデカン 残量
(2)トリメチルシロキシケイ酸※6 10.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(4)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※7 5.0
(5)二色性顔料※4 0.05
(6)二色性顔料※20 0.01
(7)黒酸化鉄 0.01
(8)マイカ 3
(9)群青 0.1
(10)酢酸トコフェロール 0.1
※20 実施例7
【0142】
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)を均一に溶解する。
B.Aに成分(4)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0143】
以上の製法にて得られたマスカラは、外観色と干渉色の二色性(外観色が薄青色、干渉
色が薄紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0144】
実施例36のマスカラ下地の成分(5)の二色性顔料※4、成分(6)の二色性顔料※
20に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例2(ガラス末)を使用したものは、白ボケ
して二色性に劣り、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0145】
〔実施例37〕リキッドアイライナー
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン 残量
(2)カルナウバワックス 5.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0
(5)二色性顔料※21 6.0
(6)二色性顔料※22 0.5
(7)黒酸化鉄 1.0
(8)酸化亜鉛 0.1
(9)精製水 10.0
(10)香料 0.1
※21 実施例4をパーフルオロポリエーテル5%処理
※22 実施例12
【0146】
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解し、成分(5)〜(8)を均一に混合する。
B.Aに成分(9)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0147】
以上の製法にて得られたリキッドアイライナーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が
黄色、干渉色が緑色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたもので
あった。
【0148】
実施例37のリキッドアイライナーの成分(5)の二色性顔料※21、成分(6)の二
色性顔料※22に代えて、比較例1(雲母)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、
白ボケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであっ
た。
【0149】
〔実施例38〕ペンシルアイライナー
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン 25.0
(2)カルナウバワックス 30.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(4)流動パラフィン 10.0
(5)二色性顔料※23 18.0
(6)黒酸化鉄 2.0
(7)セリサイト 5.0
※23 実施例5
【0150】
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解する。
B.Aに成分(5)〜(7)を均一に混合する。
C.Bを芯状に成型し、製品とする。
【0151】
以上の製法にて得られたペンシルアイライナーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が
薄赤色、干渉色が黄色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたもの
であった。
【0152】
実施例38のペンシルアイライナーの成分(5)の二色性顔料※23に代えて、比較例
4(雲母)を使用したものは、白ボケして、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」
は劣るものであった。
【0153】
〔実施例39〕ペンシルアイブロウ
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン 残量
(2)キャンデリラワックス 20.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(4)流動パラフィン 8.0
(5)二色性顔料※24 14.0
(6)二色性顔料※25 0.1
(7)二色性顔料※26 0.2
(8)黒酸化鉄 1.0
(9)ベンガラ 1.0
※24 実施例6
※25 実施例13
※26 実施例14
【0154】
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解する。
B.Aに成分(5)〜(9)を均一に混合する。
C.Bを芯状に成型し、製品とする。
【0155】
以上の製法にて得られたペンシルアイブロウは、外観色と干渉色の二色性(外観色が薄
青色、干渉色が薄紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」に非常に優れたものであ
った。
【0156】
実施例39のペンシルアイブロウの成分(5)の二色性顔料※24、成分(6)の二色
性顔料※25、成分(7)の二色性顔料※26に代えて、比較例4(雲母)、比較例2(
ガラス末)、比較例3(ガラス末)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体
感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0157】
〔実施例40〕美爪料
(成分) (%)
(1)酢酸ブチル 残量
(2)酢酸エチル 15.0
(3)ニトロセルロース 15.0
(4)アルキッド樹脂 3.0
(5)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※7 5.0
(6)二色性顔料※27 10.0
(7)二色性顔料※28 5.0
(8)二色性顔料※29 1.0
(9)赤色220号 0.01
(10)シコニン 0.1
(11)マイカ 0.1
※27 実施例7をメチルハイドロジェンポリシロキサン3%処理
※28 実施例20
※29 実施例31
【0158】
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解する。
B.Aに成分(5)〜(11)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0159】
以上の製法にて得られた美爪料は、外観色と干渉色の二色性(外観色が青緑色、干渉色
が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0160】
実施例40の美爪料の成分(6)の二色性顔料※27、成分(7)の二色性顔料※28
、成分(8)の二色性顔料※29に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例4(雲母)、
比較例4(雲母)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣り
、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0161】
〔実施例41〕美爪料
(成分) (%)
(1)精製水 83.0
(2)カルボキシメチルセルロース 3.0
(3)ポリビニルピロリドン 5.0
(4)ポリビニルアルコール 1.0
(5)ナイロン繊維※30 0.5
(6)二色性顔料※31 1.0
(7)二色性顔料※32 5.0
(8)二色性顔料※4 1.0
(9)青色1号 0.4
(10)赤色106号 0.1
※30 0.5デニール、0.5mm
※31 実施例8
※32 実施例18
【0162】
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解する。
B.Aに成分(5)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0163】
以上の製法にて得られた美爪料は、外観色と干渉色の二色性(外観色が青色、干渉色が
紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0164】
実施例41の美爪料の成分(6)の二色性顔料※31、成分(7)の二色性顔料※32
、成分(8)の二色性顔料※4に代えて、比較例4(雲母)、比較例3(ガラス末)、比
較例3(ガラス末)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣
り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0165】
〔実施例42〕アイカラー
(成分) (%)
(1)エタノール 20.0
(2)精製水 残量
(3)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.0
(4)ポリビニルピロリドン 1.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(6)オキシ塩化ビスマス 5.0
(7)二色性顔料※33 5.0
(8)二色性顔料※4 5.0
(9)二色性顔料※34 1.0
(10)黄酸化鉄 1.0
※33 実施例22
※34 実施例28
【0166】
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を均一に溶解する。
B.Aに成分(6)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0167】
以上の製法にて得られたアイカラーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が緑色、干渉
色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0168】
実施例42のアイカラーの成分(7)の二色性顔料※33、成分(8)の二色性顔料※
4、成分(9)の二色性顔料※34に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例4(雲母)
、比較例4(雲母)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣
り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0169】
〔実施例43〕アイカラー
(成分) (%)
(1)セリサイト 8.9
(2)タルク 残量
(3)マイカ 10.0
(4)二色性顔料※35 40.0
(5)二色性顔料※36 5.0
(6)二色性顔料※37 2.0
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8)ベンガラ 0.5
(9)スクワラン 10.0
(10)フェノキシエタノール 0.5
※35 実施例23を流動パラフィン5%処理
※36 実施例30
※37 実施例29
【0170】
(製造方法)
A.成分(1)〜(8)を均一に混合する。
B.Aに成分(9)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0171】
以上の製法にて得られたアイカラーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が青色、干渉
色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0172】
実施例43のアイカラーの成分(4)の二色性顔料※35、成分(5)の二色性顔料※
36、成分(6)の二色性顔料※37に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例4(雲母
)、比較例4(雲母)を使用したものは、白ボケして二色性に劣り、「立体感」は非常に
劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0173】
〔実施例44〕チークカラー
(成分) (%)
(1)セリサイト 残量
(2)タルク 30.0
(3)マイカ 1.0
(4)二色性顔料※38 10.0
(5)二色性顔料※39 0.1
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(7)コンジョウ 0.1
(8)流動パラフィン 10.0
(9)ポリブテン 0.9
※38 実施例24
※39 実施例17
【0174】
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)を均一に混合する。
B.Aに成分(8)〜(9)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0175】
以上の製法にて得られたチークカラーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が青色、干
渉色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0176】
実施例44のチークカラーの成分(4)の二色性顔料※38、成分(5)の二色性顔料
※39に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例2(ガラス末)を使用したものは、白ボ
ケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0177】
〔実施例45〕チークカラー
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 3.0
(2)流動パラフィン 15.0
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0
(4)二色性顔料※40 10.0
(5)二色性顔料※41 0.5
(6)グリセリン 10.0
(7)精製水 残量
(8)水酸化ナトリウム 0.5
(9)エタノール 10.0
※40 実施例25
※41 実施例15
【0178】
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)を均一に加熱溶解(80℃)する。
B.成分(4)〜(9)を均一に混合する。
C.AにBを加え乳化する(80℃)
D.Cを容器に充填し、製品とする。
【0179】
以上の製法にて得られたチークカラーは、外観色と干渉色の二色性(外観色が赤紫色、
干渉色が青色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった

【0180】
実施例45のチークカラーの成分(4)の二色性顔料※40、成分(5)の二色性顔料
※41に代えて、比較例3(ガラス末)、比較例2(ガラス末)を使用したものは、白ボ
ケして二色性に劣り、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0181】
〔実施例46〕おしろい
(成分) (%)
(1)タルク 58.4
(2)セリサイト 20.0
(3)マイカ 10.0
(4)二色性顔料※42 0.1
(5)パラオキシ安息香酸エチル 0.5
(6)二酸化チタン 0.5
(7)雲母チタン※43 10.0
(8)香料 0.5
※42 実施例26
※43 TIMICA EXTRA BRIGHT 1500(BASF社製)
【0182】
(製造方法)
A.成分(1)〜(8)を均一に混合する。
B.Aを容器に充填し、製品とする。
【0183】
以上の製法にて得られたおしろいは、外観色と干渉色の二色性(外観色が薄茶色、干渉
色が薄紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0184】
実施例46のおしろいの成分(4)の二色性顔料※42に代えて、比較例3(ガラス末
)使用したものは、白ボケて、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るもので
あった。
【0185】
〔実施例47〕ファンデーション
(成分) (%)
(1)セリサイト 42.4
(2)タルク 30.0
(3)マイカ 10.0
(4)二色性顔料※4 1.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)ベンガラ 1.0
(7)黄酸化鉄 2.0
(8)二酸化チタン 3.0
(9)スクワラン 10.0
(10)オキシベンジゾン 0.5
【0186】
(製造方法)
A.成分(1)〜(8)を均一に混合する。
B.Aに成分(9)〜(10)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、製品とする。
【0187】
以上の製法にて得られたファンデーションは、外観色と干渉色の二色性〔外観色が肌色
、干渉色が薄紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであ
った。
【0188】
実施例47のファンデーションの成分(4)の二色性顔料※4に代えて、雲母チタンを
使用したものは、白ボケて、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであ
った。
【0189】
〔実施例48〕化粧下地
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 3.0
(2)流動パラフィン 15.0
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0
(4)二色性顔料※4 1.0
(5)グリセリン 10.0
(6)精製水 67.5
(7)水酸化ナトリウム 0.5
【0190】
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)を均一に加熱溶解(80℃)する。
B.成分(4)〜(7)を均一に混合する。
C.AにBを加え乳化する(80℃)
D.Cを容器に充填し、製品とする。
【0191】
以上の製法にて得られた化粧下地は、外観色と干渉色の二色性(外観色が薄青色、干渉
色が薄紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0192】
実施例48の化粧下地の成分(4)の二色性顔料※4に代えて、雲母チタンを使用した
ものは、白ボケて、「立体感」は非常に劣り、「均一な化粧膜」は劣るものであった。
【0193】
〔実施例49〕ボディジェル
(成分) (%)
(1)カルボキシメチルセルロース 0.5
(2)精製水 79.4
(3)トリエタノールアミン 0.1
(4)二色性顔料※4 9.0
(5)二色性顔料※44 1.0
(6)グリセリン 10.0
※44 実施例27
【0194】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を均一に混合する。
B.Aを容器に充填し、製品とする。
【0195】
以上の製法にて得られたボディジェルは、外観色と干渉色の二色性(外観色が青色、干
渉色が紫色)を有し、「立体感」、「均一な化粧膜」ともに非常に優れたものであった。
【0196】
実施例49のボディジェルの成分(4)の二色性顔料※4及び成分(5)の二色性顔料
※44に代えて、雲母チタンを使用したものは、白ボケして、「立体感」は非常に劣り、
「均一な化粧膜」は劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状粒子上に低次酸化チタンの単層を形成させることによって外観色と干渉色が異なる
鮮やかな二色性を有することを特徴とする顔料。
【請求項2】
板状粒子上に形成される低次酸化チタンの単層が、TiO(但し、1.0<X<2.0)であ
る低次酸化チタンからなる組成であって、該単層の組成及びその膜厚を制御することを特
徴とする請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
該単層の組成及び膜厚の制御が、酸化チタンの焼成の雰囲気、焼成温度又は還元助剤の
少なくとも一によって行なわれたことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔料。
【請求項4】
上記焼成の雰囲気は、窒素、水素、アンモニア、一酸化炭素、一酸化一窒素、一酸化二
窒素、硫化水素、二酸化硫黄等のガス又は混合ガス雰囲気下又は真空雰囲気下であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の顔料。
【請求項5】
上記焼成温度は、500〜1500℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
の顔料。
【請求項6】
上記還元助剤は、水素化チタン、金属チタンから選ばれたチタン化合物、水素化ホウ素
ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムから選ばれた水素化物を含む化合物から選ばれ
たものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の顔料。
【請求項7】
板状粒子が、天然又は合成雲母、アルミフレーク又はガラス末から選ばれたものである
請求項1〜6のいずれかに記載の顔料。
【請求項8】
上記低次酸化チタン単層が、酸化窒化チタンに変性されたものであることを特徴とする
請求項1〜7のいずれかに記載の顔料。
【請求項9】
ハンターのL,a,b表色系のL値が25以上である請求項1〜8のいずれかに記載の顔
料。
【請求項10】
粒子径を変化させることによって加えて色調を変化させることを特徴とする請求項1〜9
のいずれかに記載の顔料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の顔料を配合することを特徴とする化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−185073(P2010−185073A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4744(P2010−4744)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(592015802)赤穂化成株式会社 (29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】