鶏糞炭化装置
【課題】本発明は、悪臭等がなく扱いやすく肥料効果の高い炭化ペレットを、簡単に低コストで生成することができる鶏糞炭化装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置の構成とした。
【解決手段】本発明は、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置の構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット状に加工された鶏糞を熱分解により炭化する鶏糞炭化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
養鶏場等で排出される鶏糞は肥料として用いられるが、扱いやすいようにペレット状に加工される。農地へ散布した際に飛び散らない等の利点はあるが、悪臭が残存する等の問題もある。
【0003】
特許文献1に記載されているように、空気の供給が制限された雰囲気で300℃から800℃の温度で鶏糞を加熱して熱分解させ、鶏糞の熱分解で発生する熱分解ガスを捕集し、捕集した熱分解ガスを鶏糞を加熱する燃料に使用する鶏糞の熱分解処理方法の発明も公開されている。
【特許文献1】特開2002−303409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、鶏糞を熱分解した際のガスを、鶏糞を加熱するための燃料として使用するもので、空気の供給を制限して未燃焼分解ガスを発生させる必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、悪臭等がなく扱いやすく肥料効果の高い炭化ペレットを、簡単に低コストで生成することができる鶏糞炭化装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置の構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、鶏糞が発酵して悪臭の原因となる成分が熱分解され、炭化したペレット内に肥料として有効な成分を多く残存させることができるので、炭化前のペレットよりも肥料として高い効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、悪臭等がなく扱いやすく肥料効果の高い炭化ペレットを簡単に低コストで生成するという目的を、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することを特徴とする鶏糞炭化装置により実現した。
【実施例1】
【0009】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である鶏糞炭化装置について詳細に説明する。図1は、本発明である鶏糞炭化装置の正面図である。図2は、本発明である鶏糞炭化装置の平面図である。図3は、本発明である鶏糞炭化装置の側面断面図である。
【0010】
鶏糞炭化装置1は、床に耐火レンガ2cを敷き内壁を断熱材2dにした炭化炉2内に、鶏糞を粒状に加工したペレット5を入れた箱型容器4を数段重ねて載置し、前記炭化炉2内をバーナー2bで400℃から600℃に加熱して前記ペレット5を熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナー3aで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする。
【0011】
図1に示すように、炭化炉2は、鶏糞を加熱するための炉である。内部が鶏糞の収容空間であり、正面に観音開きの扉2aがあり、左右下部に加熱用のバーナー2bが設置される。サイズは、縦が約2メートル、横が約2メートル、奥行きが約1.5メートルであり、地上から約30センチメートルの高さに設置される。
【0012】
扉2aは、中央から左右両側に回動させることで開閉する。扉2aを開いて炭化炉2内に加熱する対象を置くことができ、扉2aを閉めてロックすることで、炭化炉2内を密閉空間にすることができる。
【0013】
バーナー2bは、炭化炉2内を加熱する器具である。鶏糞を直接バーナー2bで加熱する訳ではなく、バーナー2bで炭化炉2内の温度を上げることで鶏糞を加熱する。ダイヤル等で火力を調整して加熱温度を変更することが可能である。
【0014】
図2に示すように、炭化炉2の背後には上部に排気筒3bを有する二次燃焼室3が設置される。炭化炉2と二次燃焼室3とは、複数の通気孔2eを空けることにより内部同士が繋がる。
【0015】
図3に示すように、炭化炉2内の床面には耐火レンガ2cが敷かれ、上面又は側面の内壁には断熱材2dが設けられる。また、炭化炉2の背後にあるのは燃焼ガスを処理するための二次燃焼室3である。
【0016】
耐火レンガ2cは、1400℃以上の高温でも耐えられるSK−34仕様の煉瓦を使用する。また、断熱材2dは、約15センチメートルの厚さで貼り付け、炭化炉2を高温から保護する。
【0017】
二次燃焼室3は、炭化炉2で発生した燃焼ガスを通気孔2eから取り込み、二次バーナー3aで完全燃焼させた上で、排気筒3bから排出する。有害ガスも分解されるため、脱臭及び脱煙の効果がある。
【0018】
二次バーナー3aは、二次燃焼室3の下部に設けられ、バーナー2bの約3分の2の温度で加熱する。また、排気筒3bは、二次燃焼室3の上部に設けた直径約10センチメートルの煙突である。
【0019】
図4は、本発明である鶏糞炭化装置の内部を示す図である。図5は、本発明である鶏糞炭化装置内に箱型容器を積載した図である。図6は、本発明である鶏糞炭化装置内の棚にに箱型容器を積載した図である。図7は、本発明である鶏糞炭化装置内に大型の箱型容器を積載した図である。
【0020】
図4に示すように、扉2aを開くと炭化炉2の内部は鶏糞を収容するスペースであり、鶏糞の入った箱型容器4を手前側から奥側へ導入しやすくするためのガイドレール2gが存在する。
【0021】
また、炭化炉2の前面には、加熱を開始したり停止するための操作系統に関するスイッチや、炭化炉2内に設けた温度センサ2fなど各種センサから取得したデータを表示するためのパネルも設置される。
【0022】
図5に示すように、炭化炉2内に鶏糞の入った箱型容器4を積み重ねて複数載置することができる。積載する場合は、上の箱型容器4と下の箱型容器4との間に隙間があると燃焼ガスを排出しやすくなる。
【0023】
図6に示すように、炭化炉2内に複数段の棚2hを設け、各棚2hに箱型容器4を載置することもできる。棚2hを設けると上の箱型容器4と下の箱型容器4との間に隙間を作りやすい。
【0024】
図7に示すように、炭化炉2内に処理量の多い大型の箱型容器4を載置することもできる。大型の箱型容器4の場合は、熱分布を均等にするため、仕切り2iにより複数の部屋に分け、各部屋に鶏糞を入れる。
【0025】
また、各部屋には約2cm毎の等間隔に約5mmの孔を複数空け、通気管2jを接続する。通気管2jは放熱管とガス放出管からなり、バーナー2bの熱を放熱管を介して箱型容器4内に送り、燃焼ガスをガス放出管を介して排出する。
【0026】
放熱管により箱型容器4内を加熱すると、箱型容器4外と温度差が生じると共に、燃焼ガスが発生して、箱型容器4内は圧力が上昇する。それにより、ガス放出管から燃焼ガスが排出される。
【0027】
箱型容器4から排出された燃焼ガスは二次燃焼室3に送られる。下部の二次バーナー3aで加熱して有害成分等を完全燃焼させ、無害化してから上部の排気筒3bから大気中に排出する。
【0028】
図8は、本発明である鶏糞炭化装置内に載置する箱型容器を示す図である。図9は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化するペレットを示す図である。
【0029】
箱型容器4は、上面の空いた箱型で、金属など耐火性のある材質で出来た容器である。中に多数のペレット5を入れ、炭化炉2内に設置する。尚、箱型容器4を複数段重ねることで、処理効率を向上させることができる。
【0030】
箱型容器4のサイズの例としては、縦が1m、横が1m、高さが30cmであり、大型の箱型容器4の場合は、縦が1m、横が1m、高さが1.5mであり、各部屋の高さを30cm毎に仕切る。
【0031】
ペレット5は、鶏糞を粒状に加工したものである。含有成分を維持したまま生の鶏糞の水分を落とし、圧力により押し固めて、長さが約1センチメートル、直径が約5ミリメートルの円柱状に形成する。
【0032】
図10は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの成分を示す図である。炭化ペレットには、窒素が3〜5%、リン酸が6〜8%、カリウムが2〜4%含まれる。
【0033】
炭化前の鶏糞ペレットの成分としては、窒素が約4.8%、リン酸が約3.4%、カリウムが約2.1%、水分が約9.6%含まれる。
【0034】
鶏糞ペレットを約400℃で炭化させた場合は、窒素が約4.9%、リン酸が約6.9%、カリウムが約3.6%、水分が約2.0%、石灰が約19%、炭素が約39%、pHが約10.1となる。
【0035】
また、鶏糞ペレットを約600℃で炭化させた場合は、窒素が約3.4%、リン酸が約7.3%、カリウムが約2.9%、水分が約0.9%、pHが約10.11となる。
【実施例2】
【0036】
図11は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施条件を示す図である。図12は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施結果を示す図である。コマツナ栽培において、慣行肥料を施肥した場合と、炭化鶏糞肥料を施肥した場合とで、収量を比較したものである。
【0037】
各耕地において、コマツナの種を播く畦については、畦幅が約120cm、畦長が約32m、畦数が10条であり、栽培面積は約384平方メートルとなる。尚、コマツナの株間が7cmとなるように植えると、栽培密度は100cm当たり14本となる。
【0038】
各耕地に消石灰を5kg散布した上で、一方の耕地には慣行肥料を5.0kg施肥し、他方の耕地には炭化鶏糞肥料を2.7kg施肥する。
【0039】
尚、10アール(1000平方メートル)当たりの施肥成分は、慣行肥料の場合、窒素が約18.2kg、リン酸が約18.2kg、カリウムが約18.2kgであり、炭化鶏糞肥料の場合、窒素が約3.8kg、リン酸が約7.2kg、カリウムが約0.43kgである。
【0040】
播種から約40日後に収穫し、両耕地の収穫を比較する。株抜き取り調査においては、慣行肥料の場合、株数6本の重量は約200gであり、炭化鶏糞肥料の場合、株数6本の重量は約260gであり、前者100に対し、後者130であった。
【0041】
収穫調査においては、慣行肥料の場合、1条100cm当たり14本で重量が約580.3g(1本当たり約41.5g)であり、炭化鶏糞肥料の場合、1条100cm当たり10本で重量が約590.5g(1本当たり約59.1g)であった。
【0042】
尚、1株25g以上として調整すると、慣行肥料の場合、1条100cm当たり12本で重量が約420.0g(1本当たり約35.0g)であり、炭化鶏糞肥料の場合、1条100cm当たり10本で重量が約432.0g(1本当たり約43.2g)であり、前者100に対し、後者117であった。葉色計のSPAD値についても、前者が46.4であり、後者が50.4であった。
【0043】
また、1平方メートル当たりで調整すると、慣行肥料の場合、約100本で収穫量が約3500gであり、炭化鶏糞肥料の場合、約83本で収穫量が約3585gであり、さらに1000平方メートル当たりの収穫量にすると、前者が約3500kgであり、後者が約3585kgであった。
【0044】
利用率を75%として10アール当たりの収量にすると、慣行肥料の場合、約75000本で収量が2625kgであり、炭化鶏糞肥料の場合、約62250本で収量が2690kgであり、前者は250g袋で10600個、300g袋で8750個、後者は250g袋で10760個、300g袋で8966個得ることができた。
【0045】
即ち、炭化鶏糞肥料の場合は、慣行肥料の場合よりも、本数は少なくても、1本当たりの重量が多く、全体として生長が進んでおり、結果として、収量も多くなっていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明である鶏糞炭化装置の正面図である。
【図2】本発明である鶏糞炭化装置の平面図である。
【図3】本発明である鶏糞炭化装置の側面断面図である。
【図4】本発明である鶏糞炭化装置の内部を示す図である。
【図5】本発明である鶏糞炭化装置内に箱型容器を積載した図である。
【図6】本発明である鶏糞炭化装置内の棚に箱型容器を載置した図である。
【図7】本発明である鶏糞炭化装置内に大型の箱型容器を載置した図である。
【図8】本発明である鶏糞炭化装置内に載置する箱型容器を示す図である。
【図9】本発明である鶏糞炭化装置で炭化するペレットを示す図である。
【図10】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの成分を示す図である。
【図11】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施条件を示す図である。
【図12】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施結果を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 鶏糞炭化装置
2 炭化炉
2a 扉
2b バーナー
2c 耐火レンガ
2d 断熱材
2e 通気孔
2f 温度センサ
2g ガイドレール
2h 棚
2i 仕切り
2j 通気管
3 二次燃焼室
3a 二次バーナー
3b 排気筒
4 箱型容器
5 ペレット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット状に加工された鶏糞を熱分解により炭化する鶏糞炭化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
養鶏場等で排出される鶏糞は肥料として用いられるが、扱いやすいようにペレット状に加工される。農地へ散布した際に飛び散らない等の利点はあるが、悪臭が残存する等の問題もある。
【0003】
特許文献1に記載されているように、空気の供給が制限された雰囲気で300℃から800℃の温度で鶏糞を加熱して熱分解させ、鶏糞の熱分解で発生する熱分解ガスを捕集し、捕集した熱分解ガスを鶏糞を加熱する燃料に使用する鶏糞の熱分解処理方法の発明も公開されている。
【特許文献1】特開2002−303409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、鶏糞を熱分解した際のガスを、鶏糞を加熱するための燃料として使用するもので、空気の供給を制限して未燃焼分解ガスを発生させる必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、悪臭等がなく扱いやすく肥料効果の高い炭化ペレットを、簡単に低コストで生成することができる鶏糞炭化装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置の構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、鶏糞が発酵して悪臭の原因となる成分が熱分解され、炭化したペレット内に肥料として有効な成分を多く残存させることができるので、炭化前のペレットよりも肥料として高い効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、悪臭等がなく扱いやすく肥料効果の高い炭化ペレットを簡単に低コストで生成するという目的を、床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することを特徴とする鶏糞炭化装置により実現した。
【実施例1】
【0009】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である鶏糞炭化装置について詳細に説明する。図1は、本発明である鶏糞炭化装置の正面図である。図2は、本発明である鶏糞炭化装置の平面図である。図3は、本発明である鶏糞炭化装置の側面断面図である。
【0010】
鶏糞炭化装置1は、床に耐火レンガ2cを敷き内壁を断熱材2dにした炭化炉2内に、鶏糞を粒状に加工したペレット5を入れた箱型容器4を数段重ねて載置し、前記炭化炉2内をバーナー2bで400℃から600℃に加熱して前記ペレット5を熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナー3aで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする。
【0011】
図1に示すように、炭化炉2は、鶏糞を加熱するための炉である。内部が鶏糞の収容空間であり、正面に観音開きの扉2aがあり、左右下部に加熱用のバーナー2bが設置される。サイズは、縦が約2メートル、横が約2メートル、奥行きが約1.5メートルであり、地上から約30センチメートルの高さに設置される。
【0012】
扉2aは、中央から左右両側に回動させることで開閉する。扉2aを開いて炭化炉2内に加熱する対象を置くことができ、扉2aを閉めてロックすることで、炭化炉2内を密閉空間にすることができる。
【0013】
バーナー2bは、炭化炉2内を加熱する器具である。鶏糞を直接バーナー2bで加熱する訳ではなく、バーナー2bで炭化炉2内の温度を上げることで鶏糞を加熱する。ダイヤル等で火力を調整して加熱温度を変更することが可能である。
【0014】
図2に示すように、炭化炉2の背後には上部に排気筒3bを有する二次燃焼室3が設置される。炭化炉2と二次燃焼室3とは、複数の通気孔2eを空けることにより内部同士が繋がる。
【0015】
図3に示すように、炭化炉2内の床面には耐火レンガ2cが敷かれ、上面又は側面の内壁には断熱材2dが設けられる。また、炭化炉2の背後にあるのは燃焼ガスを処理するための二次燃焼室3である。
【0016】
耐火レンガ2cは、1400℃以上の高温でも耐えられるSK−34仕様の煉瓦を使用する。また、断熱材2dは、約15センチメートルの厚さで貼り付け、炭化炉2を高温から保護する。
【0017】
二次燃焼室3は、炭化炉2で発生した燃焼ガスを通気孔2eから取り込み、二次バーナー3aで完全燃焼させた上で、排気筒3bから排出する。有害ガスも分解されるため、脱臭及び脱煙の効果がある。
【0018】
二次バーナー3aは、二次燃焼室3の下部に設けられ、バーナー2bの約3分の2の温度で加熱する。また、排気筒3bは、二次燃焼室3の上部に設けた直径約10センチメートルの煙突である。
【0019】
図4は、本発明である鶏糞炭化装置の内部を示す図である。図5は、本発明である鶏糞炭化装置内に箱型容器を積載した図である。図6は、本発明である鶏糞炭化装置内の棚にに箱型容器を積載した図である。図7は、本発明である鶏糞炭化装置内に大型の箱型容器を積載した図である。
【0020】
図4に示すように、扉2aを開くと炭化炉2の内部は鶏糞を収容するスペースであり、鶏糞の入った箱型容器4を手前側から奥側へ導入しやすくするためのガイドレール2gが存在する。
【0021】
また、炭化炉2の前面には、加熱を開始したり停止するための操作系統に関するスイッチや、炭化炉2内に設けた温度センサ2fなど各種センサから取得したデータを表示するためのパネルも設置される。
【0022】
図5に示すように、炭化炉2内に鶏糞の入った箱型容器4を積み重ねて複数載置することができる。積載する場合は、上の箱型容器4と下の箱型容器4との間に隙間があると燃焼ガスを排出しやすくなる。
【0023】
図6に示すように、炭化炉2内に複数段の棚2hを設け、各棚2hに箱型容器4を載置することもできる。棚2hを設けると上の箱型容器4と下の箱型容器4との間に隙間を作りやすい。
【0024】
図7に示すように、炭化炉2内に処理量の多い大型の箱型容器4を載置することもできる。大型の箱型容器4の場合は、熱分布を均等にするため、仕切り2iにより複数の部屋に分け、各部屋に鶏糞を入れる。
【0025】
また、各部屋には約2cm毎の等間隔に約5mmの孔を複数空け、通気管2jを接続する。通気管2jは放熱管とガス放出管からなり、バーナー2bの熱を放熱管を介して箱型容器4内に送り、燃焼ガスをガス放出管を介して排出する。
【0026】
放熱管により箱型容器4内を加熱すると、箱型容器4外と温度差が生じると共に、燃焼ガスが発生して、箱型容器4内は圧力が上昇する。それにより、ガス放出管から燃焼ガスが排出される。
【0027】
箱型容器4から排出された燃焼ガスは二次燃焼室3に送られる。下部の二次バーナー3aで加熱して有害成分等を完全燃焼させ、無害化してから上部の排気筒3bから大気中に排出する。
【0028】
図8は、本発明である鶏糞炭化装置内に載置する箱型容器を示す図である。図9は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化するペレットを示す図である。
【0029】
箱型容器4は、上面の空いた箱型で、金属など耐火性のある材質で出来た容器である。中に多数のペレット5を入れ、炭化炉2内に設置する。尚、箱型容器4を複数段重ねることで、処理効率を向上させることができる。
【0030】
箱型容器4のサイズの例としては、縦が1m、横が1m、高さが30cmであり、大型の箱型容器4の場合は、縦が1m、横が1m、高さが1.5mであり、各部屋の高さを30cm毎に仕切る。
【0031】
ペレット5は、鶏糞を粒状に加工したものである。含有成分を維持したまま生の鶏糞の水分を落とし、圧力により押し固めて、長さが約1センチメートル、直径が約5ミリメートルの円柱状に形成する。
【0032】
図10は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの成分を示す図である。炭化ペレットには、窒素が3〜5%、リン酸が6〜8%、カリウムが2〜4%含まれる。
【0033】
炭化前の鶏糞ペレットの成分としては、窒素が約4.8%、リン酸が約3.4%、カリウムが約2.1%、水分が約9.6%含まれる。
【0034】
鶏糞ペレットを約400℃で炭化させた場合は、窒素が約4.9%、リン酸が約6.9%、カリウムが約3.6%、水分が約2.0%、石灰が約19%、炭素が約39%、pHが約10.1となる。
【0035】
また、鶏糞ペレットを約600℃で炭化させた場合は、窒素が約3.4%、リン酸が約7.3%、カリウムが約2.9%、水分が約0.9%、pHが約10.11となる。
【実施例2】
【0036】
図11は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施条件を示す図である。図12は、本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施結果を示す図である。コマツナ栽培において、慣行肥料を施肥した場合と、炭化鶏糞肥料を施肥した場合とで、収量を比較したものである。
【0037】
各耕地において、コマツナの種を播く畦については、畦幅が約120cm、畦長が約32m、畦数が10条であり、栽培面積は約384平方メートルとなる。尚、コマツナの株間が7cmとなるように植えると、栽培密度は100cm当たり14本となる。
【0038】
各耕地に消石灰を5kg散布した上で、一方の耕地には慣行肥料を5.0kg施肥し、他方の耕地には炭化鶏糞肥料を2.7kg施肥する。
【0039】
尚、10アール(1000平方メートル)当たりの施肥成分は、慣行肥料の場合、窒素が約18.2kg、リン酸が約18.2kg、カリウムが約18.2kgであり、炭化鶏糞肥料の場合、窒素が約3.8kg、リン酸が約7.2kg、カリウムが約0.43kgである。
【0040】
播種から約40日後に収穫し、両耕地の収穫を比較する。株抜き取り調査においては、慣行肥料の場合、株数6本の重量は約200gであり、炭化鶏糞肥料の場合、株数6本の重量は約260gであり、前者100に対し、後者130であった。
【0041】
収穫調査においては、慣行肥料の場合、1条100cm当たり14本で重量が約580.3g(1本当たり約41.5g)であり、炭化鶏糞肥料の場合、1条100cm当たり10本で重量が約590.5g(1本当たり約59.1g)であった。
【0042】
尚、1株25g以上として調整すると、慣行肥料の場合、1条100cm当たり12本で重量が約420.0g(1本当たり約35.0g)であり、炭化鶏糞肥料の場合、1条100cm当たり10本で重量が約432.0g(1本当たり約43.2g)であり、前者100に対し、後者117であった。葉色計のSPAD値についても、前者が46.4であり、後者が50.4であった。
【0043】
また、1平方メートル当たりで調整すると、慣行肥料の場合、約100本で収穫量が約3500gであり、炭化鶏糞肥料の場合、約83本で収穫量が約3585gであり、さらに1000平方メートル当たりの収穫量にすると、前者が約3500kgであり、後者が約3585kgであった。
【0044】
利用率を75%として10アール当たりの収量にすると、慣行肥料の場合、約75000本で収量が2625kgであり、炭化鶏糞肥料の場合、約62250本で収量が2690kgであり、前者は250g袋で10600個、300g袋で8750個、後者は250g袋で10760個、300g袋で8966個得ることができた。
【0045】
即ち、炭化鶏糞肥料の場合は、慣行肥料の場合よりも、本数は少なくても、1本当たりの重量が多く、全体として生長が進んでおり、結果として、収量も多くなっていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明である鶏糞炭化装置の正面図である。
【図2】本発明である鶏糞炭化装置の平面図である。
【図3】本発明である鶏糞炭化装置の側面断面図である。
【図4】本発明である鶏糞炭化装置の内部を示す図である。
【図5】本発明である鶏糞炭化装置内に箱型容器を積載した図である。
【図6】本発明である鶏糞炭化装置内の棚に箱型容器を載置した図である。
【図7】本発明である鶏糞炭化装置内に大型の箱型容器を載置した図である。
【図8】本発明である鶏糞炭化装置内に載置する箱型容器を示す図である。
【図9】本発明である鶏糞炭化装置で炭化するペレットを示す図である。
【図10】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの成分を示す図である。
【図11】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施条件を示す図である。
【図12】本発明である鶏糞炭化装置で炭化したペレットの実施結果を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 鶏糞炭化装置
2 炭化炉
2a 扉
2b バーナー
2c 耐火レンガ
2d 断熱材
2e 通気孔
2f 温度センサ
2g ガイドレール
2h 棚
2i 仕切り
2j 通気管
3 二次燃焼室
3a 二次バーナー
3b 排気筒
4 箱型容器
5 ペレット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置。
【請求項2】
炭化炉内に、内部を複数の部屋に仕切り放熱管とガス放出管を接続した大型の箱型容器を載置することを特徴とする請求項1に記載の鶏糞炭化装置。
【請求項3】
窒素が3〜5%、リン酸が6〜8%、カリウムが2〜4%含まれる炭化ペレットを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載に鶏糞炭化装置。
【請求項1】
床に耐火レンガを敷き内壁を断熱材にした炭化炉内に、鶏糞を粒状に加工したペレットを入れた箱型容器を数段重ねて載置し、前記炭化炉内をバーナーで400℃から600℃に加熱して前記ペレットを熱分解させ、発生したガスを二次燃焼バーナーで完全燃焼させて排気することで、肥料成分が豊富な炭化ペレットを生成することを特徴とする鶏糞炭化装置。
【請求項2】
炭化炉内に、内部を複数の部屋に仕切り放熱管とガス放出管を接続した大型の箱型容器を載置することを特徴とする請求項1に記載の鶏糞炭化装置。
【請求項3】
窒素が3〜5%、リン酸が6〜8%、カリウムが2〜4%含まれる炭化ペレットを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載に鶏糞炭化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−89973(P2010−89973A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258831(P2008−258831)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(308027754)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(308027754)
【Fターム(参考)】
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