説明

黒色光輝性薄片およびそれを配合した化粧料、塗料組成物、樹脂組成物およびインキ組成物

顔料微粒子の凝集を防止し、化粧料、塗料等に配合した場合にごろつき感を防止して肌上での伸びなどの使用感が良く、また基板上での伸びが良く、隠蔽性が高く、きれいな色調を呈する黒色光輝性薄片を提供する。 金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物を母材とし、その内部に黒色顔料5〜70質量%分散して含有する黒色光輝性薄片である。黒色光輝性薄片は3〜500μmの平均粒径、0.1〜5μmの平均厚さおよび5〜300の平均アスペクト比を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料、塗料、樹脂、フィルムまたはインキなどに顔料として配合される黒色光輝性薄片に関する。さらには、この黒色光輝性薄片を含有する化粧料、塗料、塗膜、樹脂組成物、樹脂成形体およびインキに関する。
【背景技術】
【0002】
黒色の顔料は、黒酸化鉄(マグネタイトFe)、黒酸化チタン(低次酸化チタンTiO、ここでxは2未満)、カーボンブラック、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガンブラックなどがあるが、不定形粒子状の粉末状であり、均一分散が困難であり、また、分散ができても再度凝集して、だまになったり、むらになったりする問題があった。さらに、黒酸化鉄は磁性を帯びているため特に凝集しやすく分散は非常に困難であった。また酸や熱による変色がおきるという問題点がある。カーボンブラックは、軽いため粉塵が広がりやすい、発がん性の疑いのあるベンツピレンを含んでいるものがあり安全性が懸念される等の問題がある。黒酸化チタンは比較的安全ではあるが、不定形粒子のため分散しにくいという問題がある。
【0003】
また、黒酸化鉄は赤みを帯びた黒、黒酸化チタンは青みを帯びた黒、カーボンブラックはその製法により異なる色目を帯びた黒であり、例えばチャンネル法によるカーボンブラックは赤みを帯びた黒、ファーネス法によるカーボンブラックは青みを帯びた黒であり、各黒色顔料は真黒というわけではなく、若干の色目を帯びている。これらの色調をうまく調整し、真黒の色調を得たり、わずかに青みを帯びた黒、微かに赤みを帯びた黒というように、感性に応じた色調の黒色が微妙に調整できることが求められている。
【0004】
黒酸化鉄(マグネタイト)粒子の耐薬品性、耐熱性をあげるために、黒酸化鉄をシリカで被覆することが特許文献1に、シリカの被膜をつけた球状黒酸化チタン(低次酸化チタン)が特許文献2に、TiNまたはTi2n−1であらわされる低次酸化チタン粉末の表面にシリカ、アルミナ等を被覆した黒色顔料が特許文献3にそれぞれ記載されている。また低次酸化チタン、酸窒化チタン、または窒化チタンの微粒子を含有するフレーク状ガラスが特許文献4に記載されている。
【特許文献1】特開平9−175824号公報
【特許文献2】特開平7−89721号公報
【特許文献3】特開2002−363441号公報
【特許文献4】特開平9−286633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法は顔料粒子1個をシリカその他で被覆しているために、顔料そのものの分散性は改善されておらず、凝集が起こりやすいという問題がある。また、特許文献4に記載の方法によって得られる微粒子含有フレーク状ガラスは、隠蔽性が高くないという問題がある。
【0006】
本発明は上述のような問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、顔料微粒子の凝集を防止し、化粧料、塗料等に配合した場合にごろつき感を防止して肌上での伸びなどの使用感が良く、また基板上での伸びが良く、隠蔽性が高く、きれいな色調を呈する黒色光輝性薄片を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の黒色光輝性薄片は、金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物を母材とし、その内部に黒色顔料5〜70質量%分散して含有する。
【0008】
本発明の黒色光輝性薄片は、化粧料または樹脂組成物などのフィラーとして利用されるのに適しており、その外形が鱗片状であることから凝集し難いという特徴を備える。そのため、たとえば化粧料に配合された場合には、ごろつき感などの使用感の低下を生じさせることがない。この黒色光輝性薄片は耐熱、耐酸性が高く、任意の色調の黒色の顔料として用いられる。
【0009】
この黒色光輝性薄片は、黒色顔料の1種または2種以上を任意の配合で混合してなるものを分散した状態で含有する。最終形状が薄膜状になるような化粧料、塗料、フィルム用樹脂組成物、インキ組成物等に含有された黒色光輝性薄片は、凝集することなく薄膜の内部で薄膜の膜面に平行に配向して並ぶため、薄片内の顔料は均一に並ぶことになり、顔料としての効果が高くなる。
【0010】
もし仮に、化粧料、塗料、フィルム用樹脂組成物、インキ組成物等が、薄片中に内包されていない黒色顔料を含有するならば、黒色顔料粒子同士が凝集して大きな粒径の2次粒子を形成する。黒色顔料粒子の凝集(2次粒子形成)はその塗膜中でのむらを生じることとなるし、黒色顔料粒子がまばらに存在する微小部分を可視光が通過しやすくなるので塗膜の隠蔽力も低下する。また黒色光輝性薄片中に内包されていない黒色顔料粒子を含有した化粧料は、凝集しやすいために、展延性が乏しく、使用感が悪くなる。黒色光輝性薄片中に内包されていない微粒子を含有した塗料はその配合時に伸びが少ない。
【0011】
黒色光輝性薄片は3〜500μmの平均粒径、0.1〜5μmの平均厚さおよび5〜300の平均アスペクト比を有することが好ましく、5〜300μmの平均粒径、0.2〜2.5μmの平均厚さおよび8〜200の平均アスペクト比を有することがより好ましく、6〜50μmの平均粒径、0.4〜2.0μmの平均厚さおよび8〜50の平均アスペクト比を有することがさらに好ましい。この平均粒径が3μm未満では、黒色光輝性薄片が凝集し易いため、むらとなりやすい。一方、平均粒径が500μmを超えると、フィラーとして配合する際に黒色光輝性薄片が破砕され易く、また化粧料に配合した場合には、ごろつき感が生じるなどその使用感を劣化させる。平均厚さが0.1μm未満では、製造が困難で、かつ、破砕され易いなどの問題が生じる。一方、平均厚さが5μmを超えると、塗料に配合した場合、塗膜表面に凹凸が形成され、その見栄えを悪化させる、あるいは化粧料に配合した場合、ごろつき感などその使用感を劣化させる。平均アスペクト比が5未満では、球状粒子としての特徴が表れ始め、凝集を起こし易くなる。一方、平均アスペクト比が300を超えると、フィラーとして配合する際に破砕され易い。
黒色光輝性薄片の平均粒径はレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラックII(日機装(株)製)により、平均厚さは電子顕微鏡による黒色光輝性薄片50個測定の単純平均により、平均アスペクト比は上記平均粒径の値を上記平均厚さ値で除することによりそれぞれ求めることができる。
【0012】
黒色光輝性薄片に含有させる黒色顔料としては、黒酸化鉄(四三酸化鉄、マグネタイト、Fe)、黒酸化チタン(低次酸化チタンTiO、ここでxは2未満で具体的には1.5〜1.8)、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、ミネラルブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガンブラックなどが挙げられる。これらの中で黒酸化鉄、黒酸化チタン等の黒色無機顔料が好ましく用いられる。黒色光輝性薄片にこれらの黒色顔料の1種を含有させてもよいが、2種以上の混合物を含有させてもよい。黒酸化鉄は赤みを帯びた黒、黒酸化チタンは青みを帯びた黒、カーボンブラックはその製法によりチャンネル法によるカーボンブラックは赤みを、ファーネス法によるカーボンブラックは青みを帯びているなどのように、微妙に色合いが異なるため、これらを所定の割合で混合して、任意の色調の黒色を発色させても良い。例えば、黒酸化鉄と黒酸化チタンを混合することにより、赤みと青みが打ち消しあい、より黒い黒色を発色させることができる。
【0013】
黒色光輝性薄片における黒色顔料の含有率は、5〜70質量%、好ましくは8〜60質量%である。この含有率が5質量%未満の場合は、黒色の発色が少なく隠蔽性が悪い。一方70質量%を超えると、黒色光輝性薄片が脆くなってその機械的強度が低下する。黒色顔料粒子の形状としては不定形、球状、円柱状、紡錘状等、特に限定はない。なお、上記黒色顔料の含有率は下式によって表される。
【数1】

【0014】
黒色光輝性薄片は金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物を母材とする。この金属酸化物としては、たとえば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび二酸化チタン(TiO)などから選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが挙げられる。金属酸化物コロイド粒子としては、シリカコロイド粒子、酸化アルミニウムコロイド粒子、酸化ジルコニウムコロイド粒子または二酸化チタンコロイド粒子が挙げられる。金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物を母材とすることによりこの母材中に黒色顔料粒子を均一に分散した状態で含有させることができ、得られる黒色光輝性薄片の隠蔽性(可視光に対する)を高めることができる。もし、母材として金属アルコキシドまたは金属有機酸塩に由来する金属酸化物を使用した場合には、この母材中に含有させた黒色顔料粒子の分散性は不十分であり、得られる黒色光輝性薄片の隠蔽性はそれほど高くない。
【0015】
本発明の黒色光輝性薄片の製造は、金属酸化物コロイド溶液に黒色顔料を分散させてなる原液を作製し、この原液を、平滑面を有する基材の表面に塗布して塗膜を形成し、ついで塗膜を加熱乾燥処理により薄片状として、次いで生成した薄片を前記基材より剥離することによる。剥離した薄片を200〜1,200℃で焼成し、必要に応じて粉砕・分級して、任意の平均粒径の黒色光輝性薄片とする。上記金属酸化物コロイド溶液に分散させる黒色顔料として前述の黒色顔料を用いることができる。前述の黒色顔料の代わりに例えばFe(ヘマタイト、赤酸化鉄)やTiO(二酸化チタン)の顔料を含有させておいて、上記の剥離の後に還元雰囲気で焼成することにより、FeをFe(黒酸化鉄)に、TiOをTiO(低次酸化チタン)に変化させて黒色を発色させることも可能である。
【0016】
本発明の黒色光輝性薄片は、黒色顔料がその金属酸化物母材の内部に分散包含されるものであるため、耐熱性、耐酸性が高い。また、黒色顔料そのものは母材に内包されているため剥がれて脱落したりすることはなく、黒色光輝性薄片母材が化粧品、ペイント、樹脂などの分散媒に均一に分散するため、むらになったり、だまができたりすることはない。さらに、各種黒色顔料を所定の割合で混合して母材中に黒色顔料粒子を内包させることができるため、微妙な色調の調整が可能である。さらに、黒色顔料粒子の回りが金属酸化物で覆われ、黒色光輝性薄片が平滑な表面を有する薄片状であるため、光を正反射させる。そのため、黒光りするきれいな透明感のある澄んだ発色の顔料となる。さらに黒色光輝性薄片同士はその平滑な表面で互いに接するため、摩擦抵抗が小さく滑りが良好で化粧料等での使用感が良好である。
【0017】
この黒色光輝性薄片を粉末状化粧料として使用したり、化粧料に配合することにより、これまでにない黒色を発色でき、例えば強い酸化剤を使用するヘアカラーでも変色することのない黒色を呈することができ、感触も良好な化粧料を調製することができる。化粧料における黒色光輝性薄片の含有率は、1〜100質量%が適当である。1質量%未満では、黒色の発色が弱い。ルースパウダーとして使用するアイシャドー、フェースカラーなどの粉末状化粧料の場合は、使用時に肌上に存在する人脂と混ざるため、100%でもよい。
【0018】
黒色光輝性薄片は、化粧料の目的に応じて適宜疎水化処理を施してもよい。疎水化処理の方法としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーンオイルまたはシリコーン樹脂などのシリコーン化合物による処理、アニオン活性剤またはカチオン活性剤などの界面活性剤による処理、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、フッ素樹脂またはポリアミノ酸などの高分子化合物による処理、あるいはパーフルオロ基含有化合物、レシチン、コラーゲン、金属石鹸、親油性ワックス、多価アルコール部分エステルまたは完全エステルなどによる処理、さらにはこれらの複合処理が挙げられる。ただし、一般に粉末の疎水化処理に適用できる方法であればよく、これらの方法に限定されるものではない。
【0019】
この化粧料には、本発明の黒色光輝性薄片のほかに、通常化粧料に用いられる他の成分を必要に応じて適宜配合することができる。他の成分としては、無機粉末、有機粉末、顔料、色素、油性成分、有機溶剤、樹脂または可塑剤などが挙げられる。たとえば、無機粉末としては、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素またはセラミックスパウダーなどが挙げられる。
【0020】
また、有機粉末としては、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリ四フッ化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンポリマーパウダー、エポキシパウダーまたはアクリルパウダーなどが挙げられる。
【0021】
顔料としては、微結晶性セルロース、二酸化チタンまたは酸化亜鉛などの無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料、γ酸化鉄などの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなどの無機緑色系顔料、群青、紺青などの無機青色系顔料、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母などのパール顔料、アルミニウムパウダー、あるいはカッパーパウダーなどの金属粉末顔料などが挙げられる。
【0022】
色素としては、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号および青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号および青色1号のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキなどの有機顔料、あるいはクロロフィルまたはβ−カロチンなどの天然色素などが挙げられる。
【0023】
さらには油性成分として、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オケゾライト、セレシン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリヤシ油脂肪酸グリセロール、オリーブ油、アボガド油、ミツロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ミンク油またはラノリンなどの各種炭化水素、シリコーン油、高級脂肪酸、油脂類のエステル類、高級アルコール、あるいはロウなどが挙げられる。
【0024】
また、化粧料に配合される他の成分として、さらに、アセトン、トルエン、酢酸ブチルまたは酢酸エステルなどの有機溶剤、アルキド樹脂または尿素樹脂などの樹脂、カンファ、クエン酸アセチルトリブチルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、あるいは増粘剤などが挙げられる。
【0025】
化粧料の形態としては、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、軟膏状、液状、乳液状またはクリーム状など種々の形態が挙げられる。これらには、たとえば、ファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅、アイライナー、ネイルエナメルまたはマスカラなどのメークアップ化粧料、ヘアカラーなどの頭髪化粧料、化粧水、乳液またはクリームなどのフェーシャル化粧料が含まれる。
【0026】
また、この黒色光輝性薄片は、従来のフィラーと同様に塗料、樹脂練り込み、フィルムまたはインキなどのフィラーとしても使用できる。この黒色光輝性薄片を塗料に使用した場合、黒色光輝性薄片を含有する塗料組成物を常法に従い塗布基板上に塗布し、硬化することにより塗膜が形成されるが、この塗膜は、塗布基板上での伸びが良く、むらになることがなく、微妙な色合いの黒色を呈する。樹脂成形体や樹脂フィルム、インキに使用した場合、むらになることがなく、微妙な色合いの黒色を呈するものとすることができる。塗料組成物、成形樹脂組成物、インキ組成物中の黒色光輝性薄片の含有率は、1〜70質量%が好ましい。1質量%未満では、黒色の発色が弱く、70質量%を超えると混合が困難になる。より好ましい黒色光輝性薄片含有率は、3〜50質量%である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の黒色光輝性薄片は、その母材となる黒色光輝性薄片中に黒色顔料を分散内包しているため、耐熱性、耐酸性が高い。黒色顔料粒子の回りが金属酸化物で覆われ、その金属酸化物が平滑な表面を有する薄片状であるため、光を正反射させ、黒光りするきれいな透明感のある澄んだ発色の顔料となる。また本発明の黒色光輝性薄片の母材は金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物からなるので、隠蔽性の優れた黒色光輝性薄片が得られる。さらに、この黒色光輝性薄片を化粧料、塗料、樹脂成形体、インキのフィラーとして利用すれば、凝集することがないので、その使用感を低下させることなく、感触が良く、光輝感のある透明な澄んだ黒色を呈する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に限定するものではない。
【実施例】
【0029】
各実施例および比較例において作製した黒色光輝性薄片について、下記手段により色相の評価を行った。
【0030】
〔均一分散性の評価〕
アクリル樹脂塗料(アクリルオートクリアスーパー 日本ペイント株式会社製、固形分約50質量%)に黒色光輝性薄片が樹脂中で10質量%になるように添加し、よく混合撹拌した後、隠蔽率測定紙に9ミル(9/1000インチ)隙間のアプリケーターで塗布し、乾燥させた。その塗板を目視で観察し、塗布面の均一性、凝集物の有無を調べた。分散性の評価は以下にしたがった。
◎:分散状態で良好で、均一な塗膜となっている。
○:分散性はある程度良好だが、部分的に凝集物や顔料の塗膜からの突き出しが見られる。
△:分散状態が比較的悪く、凝集や突き出しが多く見られる。
×:凝集物が多く、凹凸やムラの多い塗膜状態である。
【0031】
〔色相の評価方法〕
上記で作製した塗板を、ミノルタ製色彩色差計CR300を用いて、黒色背景での色相L、a、b値を測定した。
【0032】
〔隠蔽率の評価〕
隠蔽率は、上記で作製した塗板を、白色背景でのL値(L)を黒色背景でのL値(L)で除したもので評価した。この値を隠蔽指数と名づけた。白色背景のL値と黒色背景でのL値に差がないほど(すなわち隠蔽指数が1に近いほど)隠蔽率が高いという評価である。
【数2】

【0033】
〔耐酸性の評価〕
試料である黒色光輝性薄片を、3.5%塩酸に入れ、60℃で1時間攪拌し酸処理した後、水洗・ろ過して、中性とした後乾燥し、酸処理試料を作製する。その酸処理試料と、酸処理を行う前の試料と、両方の塗板を上記方法で引き、上記の方法で色相を測定し、ΔEを求めた。ここでΔE=√(a*2+b*2)であり、この値が大きいほど色相が変化していることを表す。
【0034】
[実施例1〜7]
シリカすなわち二酸化ケイ素の含有率が約30質量%であるコロイダルシリカ(シリカドール30A 日本化学工業社製、粒径20nm、分散媒水)670g、エタノール500gおよび水500gを混合し、これに表1に示す各種黒色顔料を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて均一に分散させ、黒色顔料を分散含有したシリカゾル溶液を作製した。10cm角のステンレス板をこの溶液中に浸漬して、ディッピング法により乾燥後の厚さが1.0μmになるように前記溶液をステンレス板に塗布した。その後、ステンレス板を120℃の乾燥炉に5分間入れ、塗膜を乾燥させた後、スクレーパーで擦って薄片を剥離させた。得られた薄片を400℃で2時間焼成して、黒色顔料を分散含有しかつシリカを主成分とする緻密な黒色光輝性薄片を得た。この黒色光輝性薄片を公知の装置を用いて分級して、平均粒径15μm、平均厚さ1.0μm、平均アスペクト比15に調整した。
【0035】
これらの黒色光輝性薄片について、上記手段に従って、塗布膜中の黒色光輝性薄片の分散性、色相L、a、b値、隠蔽率を測定した。黒色光輝性薄片の平均粒径(μm)、平均厚さ(μm)、平均アスペクト比、黒色顔料の種類、黒色顔料含有率(質量%)、分散性、色相L、a、bの結果を表1に示す。分散性が非常に良好であり、均一な塗布面を有している。また、2種以上の顔料を混合して使用した場合、L、a、b値が、両者の顔料の中間の色相になっている。隠蔽指数は1.00〜1.10であり隠蔽率が非常に高いことがわかる。
【0036】
【表1】

【0037】
[比較例1〜3]
実施例1において用いた黒色光輝性薄片に代えて黒酸化鉄(比較例1)、黒酸化チタン(比較例2)およびブラックカーボン(比較例3)をそれぞれ用いた他は実施例1と同様にして塗板を作製し、実施例1と同様に塗膜中の黒色光輝性薄片の分散性、色相L、a、b値の評価を行った。結果を表2に示す。表2から、比較例では、非常に分散性が悪く、凝集物やムラが非常に多いことが分かる。
【0038】
【表2】

【0039】
これら比較例と上記実施例とを対比することにより、実施例の黒色顔料を分散含有させた黒色光輝性薄片は、分散性が非常に良好となることが分かる。また、L値が、顔料粒子のみの比較例品(L=22.6〜24.0)に比較し黒色顔料を内包する黒色光輝性薄片の実施例品(L=28.6〜36.8)が高く、実施例品は光輝感が良好で、黒光りするようなきれいな黒の発色状態であることがわかる。
【0040】
[実施例8及び9]
実施例1及び2で作製した黒色光輝性薄片(黒酸化鉄含有薄片状金属酸化物)を酸処理し、△Eを測定した。結果を表3に示す。△Eの値は0.08〜0.15と非常に小さく、実施例品は色変化が少なく耐酸性が優れていることがわかる。
【0041】
【表3】

【0042】
[比較例4]
比較例1の黒酸化鉄を酸処理し、酸処理前、酸処理後での色相を測定し、△Eを求めた。結果を表3に示した。比較例品は△Eが1を超えており、色変化が大きく、耐酸性が劣っていることがわかる。
【0043】
[比較例5,6]
シリコンテトラメトキシド500ml、0.2規定硝酸120ml、エタノール330ml、イソプロパノール330mlを混合し、そこに、黒色顔料として黒酸化鉄(比較例5)および黒酸化チタン(比較例6)を87g(シリカ母材中に30%の添加量)入れ、1時間攪拌後、50℃で5時間養生し、黒色顔料を分散含有したシリカゾル溶液を作製した。10cm角のステンレス板をこの溶液中に浸漬して、ディッピング法により乾燥後の厚さが1.0μmになるように前記溶液を塗布した。その後、ステンレス板を120℃の乾燥炉に5分間入れ、塗膜を乾燥させた後、スクレーパーで擦って薄片を剥離させた。得られた薄片を400℃で2時間焼成して、黒色顔料を分散含有しかつシリカを主成分とする黒色光輝性薄片を得た。この黒色光輝性薄片を公知の装置を用いて分級して、平均粒径15μm、平均厚さ1.0μm、平均アスペクト比15に調整した。
【0044】
この黒色光輝性薄片について実施例1と同様に評価を行った。結果を表4に示す。比較例品はその隠蔽指数が1.23〜1.25と実施例1〜7の値(1.00〜1.10)に比して高く、隠蔽率が低いことがわかる。このように隠蔽率が低いのは、薄片の母材であるシリカが、実施例におけるようにコロイダルシリカに由来するものでなく、シリコンアルコキシドに由来しているので、黒色顔料の分散がそれほど良くなかったためであると推定される。
【0045】
【表4】

【0046】
これら実施例と比較例を対比することにより、黒色顔料を金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物の薄片に内包させることにより、分散性、光輝性、耐酸性および隠蔽率に優れた黒色光輝性薄片が得られることが分かる。
【0047】
[実施例10]
アルミナすなわち酸化アルミニウムの含有率が約20%であるコロイダルアルミナ(アルミナゾル−520 日産化学工業製)1,000g、エタノール500gおよび水500gを混合し、そこに黒酸化チタン(大東化成工業(株)製)を50g添加し、ホモジナイザーを用いて均一に分散させ、黒酸化チタン粒子を含有するアルミナゾル溶液を作製した。10cm角のステンレス板をこの溶液中に浸漬して、ディッピング法により乾燥後の厚さが1.0μmになるように前記溶液を塗布した。その後、ステンレス板を120℃の乾燥炉に5分間入れ、塗膜を乾燥させた後、スクレーパーで擦って薄片を剥離させた。得られた薄片を600℃で2時間焼成して、黒酸化チタン粒子を分散含有し、かつ、アルミナを主成分とする黒色光輝性薄片を得た。この黒色光輝性薄片における黒酸化チタン粒子の含有率は、20質量%であった。また、この黒色光輝性薄片を公知の装置を用いて分級して、平均粒径80μm、平均厚さ1.0μm、平均アスペクト比80に調整した。
【0048】
この黒色光輝性薄片について、上記評価方法に従って評価したところ、L値=32.4、a値=0.18、b値=−0.33であり、光輝感が比較的高かった。また均一分散性は◎であった。
【0049】
[実施例11]
コロイダルシリカ(シリカドール30A 日本化学工業社製、粒径20nm、分散媒水)365g、テトラメトキシシラン(正ケイ酸メチル、多摩化学工業(株)製)119g、水20g、60%硝酸6ml、イソプロピルアルコール395g、酸化鉄(Fe:ヘマタイ)微粒子(FR−20、堺化学(株)製)52g、チタニアコロイド(CS−N、石原テクノ(株)製)657gをホモジナイザーで均一混合した後、密閉容器中40℃で6時間養生を行い、酸化鉄(Fe)粒子及び酸化チタン(TiO)粒子を含有したシリカゾル溶液を作製した。10cm角のステンレス板をこの溶液中に浸漬して、ディッピング法により乾燥後の厚さが1.0μmになるように前記溶液を塗布した。その後、ステンレス板を120℃の乾燥炉に5分間入れ、塗膜を乾燥させた後、スクレーパーで擦って薄片を剥離した。得られた薄片を管状炉に水素10%、窒素90%のガスを流しながら、900℃で2時間焼成して、酸化鉄及び酸化チタンの還元を行い、黒酸化鉄(Fe)及び低次酸化チタン(TiOx;xは約1.7)粒子を分散含有し、かつ、シリカを主成分とする黒色光輝性薄片を得た。この薄片における黒酸化鉄及び低次酸化チタンの含有率は、60質量%であった。また、この薄片を公知の装置を用いて分級して、平均粒径10μm、平均厚さ1.0μm、平均アスペクト比10に調整した。
【0050】
この黒色光輝性薄片について、上記評価方法に従って評価したところ、L値=31.8、a値=2.50、b値=−3.75であり、光輝感が比較的高かった。また均一分散性は◎であった。
【0051】
次に、上記実施例および比較例で作製した黒色光輝性薄片を用いて、化粧料を試作し、その使用感について官能試験を行った。官能試験の項目は、仕上がり感、肌やまつ毛などへの塗布時の感触および黒色のきれいさの3項目であり、個々の項目について1〜5の5段階の評価を行った。各項目の評価基準を表5〜7に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
以下の化粧料の官能試験では、10人のパネリストを起用した。この10人の評価の平均値をもって、化粧料の仕上がり感、感触および黒色のきれいさの3項目を評価する。なお、評価結果を見易くするため、以下の表8では評価の平均値の値によってつぎの記号により示す。
【表8】

【0056】
[実施例12:乳化型マスカラ]
以下の表9に示す各成分により、乳化型マスカラを調製した。
【表9】

【0057】
成分(1)〜(5)を混合し、75℃に加熱して溶解し、均一化する。この混合物に対して成分(6)の黒色顔料を添加し、コロイドミルを通して均一に分散させる。さらに成分(7)を混合、溶解し、75℃に加熱した。この混合物に、加熱溶解均一化した成分(8)〜(11)の混合液を添加して乳化し、冷却して、乳化型マスカラを得た。
【0058】
[比較例7]
実施例12の処方中、成分(6)の黒色光輝性薄片(黒酸化鉄内包薄片状金属酸化物)を比較例1の黒酸化鉄に代え、それ以外は実施例13と同様にして作製した。
実施例12と比較例7との官能試験の結果を表10にまとめて示す。
【0059】
【表10】

【0060】
表10より、本発明に係る乳化型マスカラであれば、感触、黒色のきれいさに優れていることが判る。
【0061】
[実施例13:アイシャドー]
以下の表11に示す各成分により、アイシャドーを調製した。
【表11】

【0062】
上記成分(1)〜(4)をヘンシェルミキサーで混合し、これに成分(5)〜(9)を加熱混合したものを吹き付け、混合した後粉砕した。これを所定の中皿に吐出して、アイシャドーを得た。
【0063】
[比較例8]
実施例13の処方中、成分(3)の黒色光輝性薄片(黒色顔料(黒酸化鉄+黒酸化チタン)内包金属酸化物薄片)を比較例1の黒酸化鉄及び比較例2の黒酸化チタンを質量比で1:1に混合したものに代え、それ以外は実施例13と同様にしてアイシャドーを作製した。
実施例13と比較例8との官能試験の結果を表12にまとめて示す。
【0064】
【表12】

【0065】
表12より、本発明に係るアイシャドーであれば、感触、黒色のきれいさに優れていることが判る。
【0066】
[実施例14:アイライナー]
以下の表13に示す各成分により、アイライナーを調製した。
【表13】

【0067】
成分(1)〜(7)を85℃に加熱し、攪拌混合した後、室温まで冷却し、気密性の筆つき容器に充填してアイライナーを調製した。
【0068】
[比較例9]
実施例14の処方中、成分(4)の黒色光輝性薄片(黒酸化チタン内包薄片状金属酸化物)を比較例3のカーボンブラックに代え、それ以外は実施例14と同様にしてアイライナーを作製した。
実施例14と比較例9との官能試験の結果を表14にまとめて示す。
【0069】
【表14】

【0070】
表14より、本発明に係るアイライナーであれば、感触、黒色のきれいさに優れていることが判る。
【0071】
[実施例15:ネイルカラー]
以下の表15に示す成分によりネイルカラーを調製した。
【表15】

【0072】
成分(1)〜(4)および成分(9)〜(10)をローラーミルで混練した後、成分(5)〜(8)を添加し溶融拡散、均一分散させ、所定の容器に充填してネイルカラーを得た。
【0073】
[比較例10]
実施例15の処方中、成分(10)の黒色光輝性薄片(黒酸化鉄内包薄片状金属酸化物)を比較例1の黒酸化鉄に代え、それ以外は実施例15と同様にしてネイルカラーを作製した。
実施例15と比較例10との官能試験の結果を表16にまとめて示す。
【0074】
【表16】

【0075】
表16より、本発明に係るネイルカラーであれば、感触、黒色のきれいさに優れていることが判る。
【0076】
[実施例16:油性スティックファンデーション]
以下の表17に示す各成分により、油性スティックファンデーションを調製した。
【表17】

【0077】
成分(9)〜(15)を85℃で溶解し、この溶液に成分(1)〜(8)を添加し、ディスパーで混合した後、コロイドミルで分散させた。その後成分(16)を添加し、脱気後70℃で容器に流し込み冷却し、油性スティックファンデーションを得た。
【0078】
[実施例17:頬紅]
以下の表18に示す各成分により、頬紅を調製した。
【表18】

【0079】
成分(1)〜(4)を成分(7)の一部に加え、ローラーで処理して、顔料部を調製した。成分(5)〜(9)を90℃に加熱溶解し前記顔料部を加え、ホモミキサーで均一に分散させ、分散後に所定の容器に充填して目的の頬紅を得た。
【0080】
[実施例18:口紅]
以下の表19に示す各成分により、口紅を調製した。
【表19】

【0081】
上記成分(1)〜(4)を85℃で加熱溶解させ、これに成分(5)〜(7)を加え攪拌混合した後、さらに成分(8)を混合攪拌し、その後所定の容器に充填して口紅を得た。
【0082】
次に前記実施例及び比較例の薄片状物質を用いて塗料を作製した。
[実施例19:黒塗料組成物]
以下に示す下記成分により、塗料組成物を調製した。
まず、以下の表20に示す組成を、ペイントシェーカーを用いて60分間分散させ、分散ビヒクルを作製した。
【表20】

この分散ビヒクルにさらに、下記表21に示す成分(5)〜(6)を添加して攪拌し、黒色の塗料組成物を作製した。
【表21】

【0083】
[比較例11]
実施例19に示す塗料組成物のうち、成分(4)の黒色光輝性薄片を、比較例1の黒酸化鉄に代えたこと、および実施例2の黒色光輝性薄片中の黒酸化鉄含有量は30質量%であるので、比較例11では、塗料中の黒酸化鉄量が実施例19と同じになるように、黒酸化鉄の量を4.7質量部としたこと以外は実施例19と同様にして、黒色塗料組成物を作製した。
【0084】
実施例19と比較例11の黒色塗料組成物をそれぞれ、均一分散性、また、目視で色感を判定した。その結果を表22に示した。
【0085】
【表22】

【0086】
表22により、本発明に係る黒色塗料組成物は、均一分散性に優れ、光輝感、透明感のある非常にきれいな黒色であることがわかる。
【0087】
[実施例20:成形樹脂組成物および樹脂成形体]
メタクリル酸メチル共重合ビーズ98質量%、実施例5の黒色光輝性薄片(黒酸化鉄・黒酸化チタン混合物内包薄片状金属酸化物)2質量%をヘンシェルミキサーで攪拌混合して成形樹脂組成物を得た。これを用いて押し出し機で厚み0.5mmのアクリル樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体は光輝感のある澄んだ黒色を呈した。
【0088】
[比較例12]
実施例20で用いた黒色光輝性薄片に代えて比較例1の黒酸化鉄及び比較例2の黒酸化チタンを1:1に混合したものを同量使用した以外は実施例20と同様にして、厚み0.5mmのアクリル樹脂成形体を作製した。この樹脂成形体は光輝感のない、マット調の黒色を呈した。
実施例20及び比較例12から、本発明に係る樹脂成形体は、光輝感、透明性のあるきれいな澄んだ黒色を呈することが分かる。
【0089】
[実施例21:インキ組成物]
以下に示す各成分を十分に混合し、黒色インキを調製した。
【表23】

このインキ組成物を用いて白紙上に筆記したところ、非常にきれいな黒色を呈する筆跡となった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の黒色光輝性薄片は、化粧料、塗料、樹脂成形体、インキなどのフィラーとして利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物コロイド粒子に由来する金属酸化物を母材とし、その内部に黒色顔料5〜70質量%分散して含有する黒色光輝性薄片。
【請求項2】
3〜500μmの平均粒径、0.1〜5μmの平均厚さおよび5〜300の平均アスペクト比を有する請求の範囲第1項に記載の黒色光輝性薄片。
【請求項3】
前記黒色顔料および5〜500nmの粒径を有する金属酸化物コロイド粒子を含有するコロイド溶液を基材に塗布し、乾燥固化させた後、前記基材から剥離させ、そして加熱して得られる請求の範囲第1項または第2項に記載の黒色光輝性薄片。
【請求項4】
前記母材は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものである請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片。
【請求項5】
前記黒色顔料が、黒酸化鉄、黒酸化チタン、カーボンブラック、銅クロムブラック、コバルトブラックおよび銅マンガンブラックから選ばれる少なくとも1種である請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片。
【請求項6】
請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片を含有する化粧料。
【請求項7】
請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片を含有する塗料組成物。
【請求項8】
請求の範囲第7項に記載の塗料組成物を塗布し、硬化してなる塗膜。
【請求項9】
請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片を含有する成形樹脂組成物。
【請求項10】
請求の範囲第9項に記載の成形樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
【請求項11】
請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の黒色光輝性薄片を含有するインキ組成物。

【国際公開番号】WO2005/028568
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514092(P2005−514092)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013770
【国際出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】