説明

(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの使用方法およびそれを含む組成物

鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、ならびにそのプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、および包接体が説明されている。TNF−α濃度の減少またはPDE4阻害により改善される種々の疾病・疾患の治療および/または予防方法もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2002年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/427,379号(その全体を本願に引用して組み込む)に基づく優先権を主張する。
【0002】
1.技術分野
本発明は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの使用方法およびそれを含む医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの投与による、腫瘍壊死因子α(TNF−α)産生阻害および/または4型ホスホジエステラーゼ(PDE4)活性阻害に関する。本発明の方法と組成物に使用できる化合物は、癌、炎症および自己免疫の疾病および疾患の治療または予防に使用できる。1つの実施形態において、本発明は癌、炎症または自己免疫の疾病および疾患の予防または治療のための、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ロピオンアミドおよび第2の活性成分の組み合わせ使用に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
腫瘍壊死因子α(TNF−α)は、免疫賦活剤に応答して主に単核食細胞により放出されるサイトカインである。TNF−αは、分化、動員、増殖、およびタンパク質分解などの大部分の細胞過程を亢進することができる。低濃度においては、TNF−αは感染体、癌、および組織損傷に対して保護を与える。しかしながら、TNF−αはまた多くの疾患においても役割を有する。ヒトなどの哺乳動物に投与するとき、TNF−αは炎症、発熱、心血管作用、大出血、凝固、および、急性感染およびショック状態の間に見られるものと同様な急性期反応をもたらしたり、悪化させたりする。TNF−α産生の亢進または乱れは、例えば、癌(固形癌および血液由来癌など);心疾患(鬱血性心不全など);ならびにウイルス性、遺伝性、炎症性、アレルギー性、および自己免疫の疾患などの多くの疾患および症状に関連しているといわれている。
【0004】
T細胞は免疫反応において重要な役割を果たす白血球細胞のクラスの1つであり、ウイルスおよび細菌感染から身体を守るのに役立つ。T細胞レベルの減少は、HIV患者の感染と戦う能力の低下に強く影響し、異常に低いT細胞レベルは、DiGeorge症候群、およびT細胞リンパ腫などの特定の形の癌を含む、多くの他の免疫不全症候群において顕著である。
【0005】
癌は特に破壊的な疾患であり、血中TNF−α濃度の増加は、癌の進展のリスクと関連があると言われている。健康な被験者においては、通常、癌細胞は循環系においては生き残ることはできないが、この理由の一つに、血管の内膜が腫瘍細胞の血管外遊走の障壁として働くことがある。しかしながら、サイトカイン濃度の増加により、インビトロでの内皮への癌細胞の接着が大幅に増加することが示されている。1つの説明としては、TNF−αなどのサイトカインがELAM−1(内皮細胞白血球接着分子)と呼ばれる細胞表面受容体の生合成および発現を促進することがある。ELAM−1は、LECAM−1およびGMP−140を含むLEC−CAMとして知られる、カルシウム依存性細胞接着受容体のファミリーのメンバーの1つである。炎症反応の最中、内皮細胞上のELAM−1は白血球に対して“ホーミング受容体”として機能する。内皮細胞上のELAM−1は、サイトカインで処理された結腸癌細胞の内皮への接着の増加を媒介することが示された(Rice et al., 1989, Science 246: 1303-1306)。
【0006】
関節炎、関節炎関連疾患(例えば、変形性関節症およびリウマチ様関節炎)、炎症性腸疾患、敗血症、乾癬、慢性閉塞性肺疾患および慢性炎症性肺疾患などの炎症性疾患もまた、一般的かつ解決の難しい疾患である。TNF−αおよびPDE4は炎症反応において中心的役割を果たしており、これらのアンタゴニストの投与は炎症性疾患の動物モデルにおいて慢性および急性の反応を抑制する。
【0007】
TNF−α産生の亢進または乱れは、ウイルス性、遺伝性、炎症性、アレルギー性、および自己免疫の疾患に関連しているといわれている。かかる疾患の例は、HIV;肝炎;成人呼吸窮迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性炎症性肺疾患;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血症ショック;敗血症;内毒素性ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ様脊椎炎;リウマチ様関節炎および変形性関節症などの関節疾患;骨粗しょう症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ハンセン病(例えば、ENL);放射線障害;喘息;および高濃度酸素肺胞損傷を非限定的に含む。Tracey et al., 1987, Nature 330: 662-664 and Hinshaw etal., 1990, Circ. Shock 30: 279-292 (内毒素性ショック);Dezube et al., 1990, Lancet, 335: 662 (悪液質); Millar et al., 1989, Lancet 2: 712-714 and Ferrai-Baliviera et al., 1989, Arch. Surg. 124: 1400-1405 (成人呼吸窮迫症候群); Bertolini et al., 1986, Nature 319: 516-518, Johnson et al., 1989, Endocrinology 124: 1424-1427, Holler et al., 1990, Blood 75: 1011-1016, and Grau et al., 1989, N. Engl. J. Med. 320: 1586-1591 (骨吸収疾患); Pignet et al., 1990, Nature, 344: 245-247, Bissonnetteet al., 1989, Inflammation 13: 329-339 and Baughman et al., 1990, J Lab. Clin. Med. 115: 36-42 (慢性炎症性肺疾患); Elliot et al., 1995, Int. J. Pharmac. 17: 141-145 (リウマチ様関節炎) ; von Dullemen et al., 1995, Gastroenterology, 109: 129-135 (クローン病); Duh et al., 1989, Proc. Nat. Acad. Sci. 86: 5974-5978, Poll et al., 1990, Proc. Nat. Acad. Sci. 87: 782-785, Monto et al., 1990, Blood 79: 2670, Clouse et al., 1989, J Immunol. 142, 431-438、Poll et al., 1992, AIDS Res. Hum. Retrovirus, 191-197, Poli et al. 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87: 782-784, Folks et al., 1989, PNAS 86: 2365-2368 (HIVおよびHIVによって引き起こされる日和見感染)。
【0008】
アデノシン3’,5’−サイクリック一リン酸(cAMP)もまた、例えば呼吸器疾患、喘息および炎症などを非限定的に含む多くの疾病および疾患において役割を果たしている(Lowe and Cheng, Drugs of the Future, 17 (9), 799-807, 1992)。炎症性白血球におけるcAMP濃度の上昇により、その活性化とそれに続くTNF−αおよび核因子κB(NF−κB)を含む炎症性メディエイターの放出が抑制されることが示されている。cAMP濃度の上昇はまた、気道平滑筋の弛緩をもたらす。
【0009】
cAMPの不活性化に関する主要な細胞メカニズムは、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)と呼ばれるイソ酵素のファミリーによるcAMPの分解であると考えられている(Beavoand Reitsnyder, Trends in Pharm., 11, 150-155, 1990)。PDEファミリーには、11の既知のメンバーがある。IV型PDE(PDE4)の阻害は、炎症媒介放出および気道平滑筋の弛緩の抑制の両方に特に有効であると認められている(Verghese, et al., Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 272 (3), 1313-1320, 1995 ;and Torphy, Amer.J. Resp. Crit.Care Med., 157, 351-70, 1998)。したがって、PDE4を特異的に阻害する化合物は、望ましくない副作用(例えば心血管効果または抗血小板効果)を最小限にしながら、炎症を抑制し気道平滑筋の弛緩を助ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、TNF−αを含む特定のサイトカインの活性を阻害するかまたは産生を阻害することができる化合物は、種々の疾患の治療および予防に有用であることができる。例えば、Lowe, 1998 Exp. Opin. Ther. Patents 8: 1309-1332. を参照のこと。かかる化合物の1つには、ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドがあり、これは、米国特許第5,698,579号;第5,877,200号;第6,075,041号;第6,200,987号ならびに、Muller, et al., Journal of Medicinal Chemistry, 39 (17), 3238-3240, 1996, および Muller, et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8, 2669-2674, 1998 に開示されている化合物のクラスの1つである(それぞれを本明細書に引用して組み込む)。このラセミ体は多くの利点を提供するが、かかる望ましい薬理学的性質がさらに強く、さらに選択的で、そしてできたら望ましくないまたは毒性作用のない化合物の発見および開発は続く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
3.発明の概要
本発明は、3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの鏡像異性的に純粋な形(本明細書においては“(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド”と呼ぶ)ならびにその薬学的に許容される多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体を用いる、疾病・疾患の治療および予防方法を含む。本発明はさらに、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)プロピオンアミドのプロドラッグおよび(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの活性代謝物ならびに本明細書に記載の方法および組成物におけるそれらの使用を含む。本発明の方法は、TNF−αをモジュレートするかあるいはPDE4を阻害する既知化合物に付随する副作用を減少あるいは回避させながら、疾病もしくは疾患またはそれらの症状を治療または予防することに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の1つの実施形態は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドを投与することによる、哺乳動物におけるサイトカインおよびその前駆体の濃度を減少させる方法を含む。
【0013】
本発明の1つの方法は、哺乳動物におけるTNF−α産生の阻害により改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む該方法である。かかる疾病または疾患は、骨髄異形成症候群;脊髄増殖性症候群;疼痛症候群;黄斑変性;乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎臓癌、または神経膠腫を非限定的に含む固形癌などの癌、多発性骨髄腫、および急性及び慢性の白血病(例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、および骨髄球性白血病)を非限定的に含む血液および骨髄の癌;リウマチ様関節炎、クローン病、アフタ性潰瘍、らい性結節性紅斑(ENL)、悪液質、敗血症ショック、移植片対宿主疾患、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、AIDS、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患、皮膚炎、および乾癬を非限定的に含む炎症性および自己免疫の疾病または疾患を含む。
【0014】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドならびにその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体はまた、例えば鬱血性心不全、心筋症、肺水腫、エンドトキシン媒介性敗血症ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植片拒絶、および心筋梗塞を非限定的に含む心疾患の治療および予防に有用である。
【0015】
他の実施形態は、PDE4の阻害により改善される疾病または疾患を治療または予防するための、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体の使用を含む。例えば、本発明の化合物またはその組成物は、ウイルス性、遺伝性、炎症性、アレルギー性、および自己免疫の疾患を治療または予防するために使用できる。かかる疾患の例は:HIV;肝炎;呼吸器疾患;成人呼吸窮迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性炎症性肺疾患;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血症ショック;敗血症;内毒素性ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片対宿主疾患を含む移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ様脊椎炎;リウマチ様関節炎および変形性関節症などの関節疾患;骨粗しょう症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ENL;放射線障害;喘息;および高濃度酸素肺胞損傷を非限定的に含む。
【0016】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドならびにその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体はまた、マラリア、マイコバクテリア感染、およびHIVにより引き起こされる日和見感染を非限定的に含む、細菌感染の症状または細菌感染の治療または予防方法に使用される。
【0017】
本発明はさらに、以下にさらに詳細に記載されているように、治療される疾病または疾患に応じて、1以上のさらなる治療剤と組み合わせた鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの使用方法を含む。
【0018】
本発明はさらに、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体を含む、医薬組成物および単一の単位製剤を含む。本発明はまた、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体の単位製剤を含むキットを含む。
【0019】
本発明は特に、3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの(+)エナンチオマーに関する。この化合物は、ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドと比較して、異なる薬理学的性質(例えば有効性および副作用)および他の利点を有すると考えられる。特に、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは、ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドと比較して、患者に引き起こされる副作用の頻度が少ないかまたは重傷度が低いと考えられる。
【0020】
本発明はまた、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの製造方法であって、3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸メチルとキラルアミノ酸を接触させ;(S)−3−アミノ−3−(3,4−メトキシフェニル)−プロピオン酸またはその塩を単離するのに十分な条件下で塩化メチレンおよびテトラヒドロフランまたは他の適切な溶媒と(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルのキラルアミノ酸塩を接触させ;(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸とフタルジカルボキシアルデヒドを接触させ;そして活性化剤と(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸と接触させ次いで濃NH水と接触させることを含む該方法を含む。
【0021】
本発明はさらに、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルのキラル塩を含む。
【0022】
3.1 定義
本明細書においては、“化合物A”という用語は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドをいい、これは、カラムに150mm x 4.6mm Daicel Chiral pak ADカラムを用い、溶離液に20:80(IPA:ヘキサン)を用い、測定波長に240nmを用いる時、約18.5分でHPLCカラムから溶出される。(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの1H NMRスペクトルは、実質的に以下の様である:δ (DMSO-d6): 7.44-7.69 (m, 5H), 6.86-6.94 (m, 4H), 5.75 (appt. t, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 2.82-3.01 (m, 2H)。(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの13C NMRスペクトルは、実質的に以下の様である:δ (DMSO-d6) : 171.27, 166.83, 148.66, 148.18, 141.69, 132.29, 131.25, 127.81, 123.42, 122.78, 119.11, 111.73, 111.07, 55.48, 51.45, 46.25, 37.93。メタノールに溶解した(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは、平面偏光を(+)方向へ回転させる。
【0023】
(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは、以下の構造:
【化1】

【0024】
を有する、(S)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドと考えられる。
【0025】
本明細書においては、“患者”という用語は哺乳動物を言い、とりわけヒトを言う。本明細書においては、“薬学的に許容される塩”という用語は、無機酸および無機塩基ならびに有機酸および有機塩基を含む薬学的に許容される無毒の酸または塩基から製造される塩を言う。本発明の化合物のための薬学的に許容される適切な塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から製造される金属塩またはリジン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインから製造される有機塩を含む。適切な無毒の酸は、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、およびp−トルエンスルホン酸などの無機酸および有機酸を非限定的に含む。特定の無毒の酸は塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、およびメタンスルホン酸を含む。したがって、特定の塩の例は塩酸塩およびメタンスルホン酸塩を含む。
【0026】
本明細書においては、特記しない限り、“プロドラッグ”という用語は、加水分解、酸化、またはそれ以外の反応により生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で元の化合物を生成させることができる、ある化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例は、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性炭酸エステル、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性リン酸エステル類似体などの生加水分解性部分を含む(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド誘導体を非限定的に含む。プロドラッグは、一般的に、1 Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E.Wolff ed., 5th ed. 1995), および Design of Prodrugs (H. Bundgaard ed., Elselvier, New York 1985)に記載されているような公知の方法を用いて製造できる。(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドのプロドラッグは、ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドを含まない。
【0027】
本明細書においては、特記しない限り、“生加水分解性アミド、”“生加水分解性エステル、”“生加水分解性カルバメート、”“生加水分解性炭酸エステル、”“生加水分解性ウレイド、”“生加水分解性リン酸エステル”という用語は、1)化合物の生物活性には干渉しないが、吸収、作用の持続時間、または作用の開始などのインビボでの有益な性質を化合物に与えることができるか、あるいは2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物活性化合物に変換されるかのいずれかである、化合物のアミド、エステル、カルバメート、炭酸エステル、ウレイド、またはリン酸エステルを意味する。生加水分解性エステルの例は、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(アセトキシルメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、およびピバロイルオキシエチルエステルなど)、ラクトニルエステル(フタリジルおよびチオフタリジルエステルなど)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチルおよびイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステルなど)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、およびアシルアミノアルキルエステル(アセトアミドメチルエステルなど)を非限定的に含む。生加水分解性アミドの例は、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、およびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドを非限定的に含む。生加水分解性カルバメートの例は、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環および複素芳香環アミン、ならびにポリエーテルアミンを非限定的に含む。
【0028】
本明細書においては、特記しない限り、“ステレオマー的に純粋な”という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、かつ該化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、該化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な、ステレオマー的に純粋な化合物は、化合物の1つの立体異性体の約80重量%以上および化合物の他の立体異性体の約20重量%以下を含み、さらに好ましくは、化合物の1つの立体異性体の約90重量%以上および化合物の他の立体異性体の約10重量%以下を含み、よりさらに好ましくは、化合物の1つの立体異性体の約95重量%以上および化合物の他の立体異性体の約5重量%以下を含み、そして最も好ましくは、化合物の1つの立体異性体の約95重量%以上および化合物の他の立体異性体の約5重量%以下を含む。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、“(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの代謝物”という用語は、立体中心を持たない化合物を含まない。他の実施形態において、該用語は(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの鏡像異性的に純粋な代謝物のみを含む。
【0030】
本明細書においては、特記しない限り、“鏡像異性的に純粋な”という用語は、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物を意味する。
【0031】
本明細書においては、特記しない限り、“TNF−αの産生の阻害に用いられる化合物に付随する副作用”は、消化管、腎および肝毒性、白血球減少、血小板減少症などによる出血時間の増加、妊娠期間の延長、吐き気、嘔吐、眠気、無力、めまい、錐体外路症状、静座不能、心血管障害、男性の性的不全、ならびに肝血清酵素濃度の上昇を非限定的に含む。“消化管毒性”という用語は、胃および腸の潰瘍形成およびびらんを非限定的に含む。“腎毒性”という用語は、乳頭壊死および慢性間質腎炎などの疾患を非限定的に含む。
【0032】
本明細書においては、特記しない限り、“PDE4阻害剤として用いられる化合物に付随する副作用”は、吐き気、嘔吐、消化管の不快症状、下痢、および血管炎を非限定的に含む。
【0033】
本明細書においては、特記しない限り、“ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドに付随する副作用”は、腹痛を非限定的に含む。本明細書においては、特記しない限り、“副作用を減少または回避させる”および“副作用の減少または回避”という用語は、本明細書に記載の1以上の副作用の重篤度の減少を意味する。
【0034】
描かれた構造とその構造に付けられた名前の間に不一致が見られる場合、描かれた構造に、より重点がおかれることに注意すべきである。さらに、構造の立体化学構造または構造の一部が、例えば、ボールド体または点線で描かれていない場合、該構造または該構造の一部がその全ての立体異性体を含むと解釈されなければならない。
【0035】
4.発明の詳細な説明
本発明は、ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドと比較して有効性の増加および/または総体的に良好な治療プロフィールを有すると考えられる鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの新規使用方法およびそれを含む組成物を含む。例えば、本発明は、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドのインビトロおよびインビボでの使用、ならびに種々の疾病・疾患の治療および予防に有用な医薬組成物および単一の単位製剤への(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの混合を含む。特定の疾病・疾患はTNF−α濃度減少および/またはPDE4阻害により改善される。本発明の特定の方法は、TNF−α産生阻害に用いられる化合物に付随する副作用を減少または回避させる。本発明の他の特定の方法は、PDE4阻害剤として用いられる化合物に付随する副作用を減少または回避させる。さらに他の特定の方法は、ラセミ3−(3,−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドに付随する副作用を減少または回避させる。
【0036】
本発明の方法は、固形癌、血液由来癌、炎症性疾患および自己免疫疾患を非限定的に含む疾病・疾患の治療および予防方法を含む。
【0037】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体を含む本発明の医薬および製剤は本発明に含まれ、該方法に使用できる。
【0038】
理論にとらわれることなく、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは哺乳動物細胞におけるTNF−α産生を阻害できる。したがって、本発明の第1の実施形態は、異常なTNF−α産生を示す細胞と鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)および包接体の有効量を接触させることを含む、TNF−α産生阻害方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、異常なTNF−α産生を示す哺乳動物細胞と鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の有効量を接触させることを含むTNF−α産生阻害方法に関する。
【0039】
本発明はまた、患者におけるTNF−α濃度を減少させることにより改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を投与することを含む該方法に関する。TNF−α濃度の減少により改善される疾病または疾患は、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、新生血管緑内障、後水晶体線維増殖、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部結膜炎、乾性翼状片角膜炎、シェーグレン症、酒さ性ざそう、フリクテン性角膜炎、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、辺縁角膜炎、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性動脈炎、外傷、ウェグナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンジョンソン病、放射状角膜切除術、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾力線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘度症候群、トキソプラズマ症、硬化性胆管炎、ルベオーシス、内毒素血症、毒素性ショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、消耗、髄膜炎、シリカによって引き起こされる線維症、アスベストによって引き起こされる繊維症、家畜疾患、悪性腫瘍性高カルシウム血症、脳卒中、急性循環不全、歯周炎、歯肉炎、大赤血球性貧血、不応性貧血、および5q−症候群を非限定的に含む。
【0040】
本発明のさらなる実施形態は、特に患者が哺乳動物の場合の、患者における固形癌、血液由来癌(blood-born tumor)、および多発性骨髄腫を非限定的に含む癌の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)もしくは包接体の治療的または予防的有効量をかかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法に関する。
【0041】
他の実施形態において、本発明は、PDE4と鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)もしくは包接体の有効量を接触させることを含むPDE4活性阻害方法に関する。
【0042】
他の実施形態において、本発明は、細胞と鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の有効量を接触させることを含む細胞内cAMP濃度調節方法に関する。本明細書においては、“cAMP濃度の調節”という用語は、細胞内のアデノシン3’,5’−サイクリック一リン酸(cAMP)の分解速度の予防もしくは減少または細胞内(好ましくは、哺乳動物細胞内、さらに好ましくはヒト細胞内)のアデノシン3’,5’−サイクリック一リン酸の量の増加を含む。特別な方法において、本発明の化合物に接触されていない対照細胞における速度と比較して、cAMP分解速度は約10、25、50、または100パーセント減少している。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量をかかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む、患者におけるPDE4の阻害により改善される疾病または疾患の治療または予防方法に関する。PDE4の阻害により改善される疾患は、呼吸器疾患、喘息、炎症(例えば、再灌流による炎症)、慢性または急性の閉塞性肺疾患、慢性または急性の炎症性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、および大腸炎を非限定的に含む。
【0044】
本発明のさらなる実施形態は、特に患者が哺乳動物の場合の、患者における喘息、炎症(例えば、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、リウマチ様関節炎、変形性関節症、炎症性皮膚疾患、再灌流による炎症)、慢性または急性の閉塞性肺疾患、慢性または急性の炎症性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病または大腸炎の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量をかかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法に関する。
【0045】
本発明の他の実施形態は、骨髄異形成症候群(MDS)の治療、管理または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を、かかる治療、管理または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。本発明のさらなる実施形態は、造血因子、サイトカイン、癌化学療法剤、幹細胞移植および他の移植などの、MDSを治療、予防または管理するために現在用いられている通常の治療と組み合わせた該化合物の使用を含む。
【0046】
本発明の他の実施形態は、脊髄増殖性疾患(MPD)の治療、管理または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を、このような治療、管理または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。本発明のさらなる実施形態は、ヒドロキシウレア、アナグレリド、インターフェロン、キナーゼ阻害剤、癌化学療法剤、幹細胞移植および他の移植などを非限定的に含む、MPDを治療、予防または管理するために現在用いられている通常の治療と組み合わせた該化合物の使用を含む。
【0047】
本発明はまた、複雑局所痛症候群および線維筋痛症を非限定的に含む疼痛の治療、予防または管理方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、または薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を、かかる治療、予防または管理を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。他の実施形態において、患者における複雑局所痛症候群および線維筋痛症を非限定的に含む疼痛の症状を減少または回避させるための外科または理学療法の前、最中または後に投与が行われる。
【0048】
本発明はまた、黄斑変性(例えば加齢黄斑変性)の治療、予防または管理方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を、かかる治療、予防または管理を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。本発明のさらに他の実施形態は、黄斑変性の治療または管理方法であって、外科的介入(例えば、レーザー光凝固療法および光線力学的療法)などを非限定的に含む、黄斑変性の治療または管理に現在使用されている通常の治療と組み合わせた、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、包接体、もしくはプロドラッグの有効量を、かかる治療または管理を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。
【0049】
本発明の特定の方法において、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体は、少なくとも1つのさらなる治療剤と共に補助的に投与される。さらなる治療剤の例は、抗癌剤、抗炎症剤、生物製剤、IMiDs(登録商標)、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗ウイルス剤、GM−CSF、IL−2、NSAID、ステロイドおよび充血除去剤を非限定的に含む。さらに具体的には、以下に詳細に説明する様に、本発明は、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドと、サリドマイド、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ−(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン(アクチミド(登録商標))、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(レビミド(登録商標))、またはJNK阻害剤の組み合わせ使用を含む。
【0050】
4.1 合成および製造
ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは、米国特許第5,698,579号における方法にしたがって容易に製造できる(その全体を本願に引用して組み込む)。
【0051】
(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドは、当該技術分野で公知の方法によりラセミ化合物から単離できる。非限定的な例は、キラル塩の生成およびキラルまたは高速液体クロマトグラフィー“HPLC”の使用ならびにキラル塩の生成および結晶化を含む。例えば Jacques, J., et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York, 1981); Wilen, S. H., etal., Tetrahedron 33: 2725 (1977); Eliel, E. L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962); Wilen, S. H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutios p. 268 (E. L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972); Stereochemistry of Organic Organic Compounds, Ernest L. Eliel, Samuel H. Wilen and Lewis N. Manda (1994 John Wiley & Sons, Inc.), and Stereoselective Synthesis A Practical Approach, Mihaly Nogradi (1995 VCH Publishers, Inc., NY, NY) を参照のこと。
【0052】
(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドはまた、(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸から製造できるが、これは、例えば、酢酸中、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸およびフタルジカルボキシアルデヒドから製造される(例えば、本明細書の実施例2を参照のこと)。
【0053】
4.2 治療および予防方法
本発明は、患者におけるTNF−α濃度を減少させることにより改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、または薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む。TNF−α濃度を減少させることにより改善される疾病または疾患は:
骨髄異形成症候群、脊髄増殖性症候群、疼痛(例えば複雑局所痛症候群および線維筋痛症)および黄斑変性;
鬱血性心不全、心筋症、肺水腫、エンドトキシン媒介性敗血症ショック、急性ウイルス性 心筋炎、心臓同種移植片拒絶、および心筋梗塞などの心疾患;
肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、子宮平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、悪性病変嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、血管腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫を非限定的に含む固形癌;
急性リンパ性白血病(ALL)、急性リンパ芽球性B−細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性単球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫ならびに急性及び慢性の白血病(例えばリンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、および骨髄球性白血病)を非限定的に含む血液由来癌;そして
糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、新生血管緑内障、後水晶体線維増殖、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部結膜炎、乾性翼状片角膜炎、シェーグレン症、酒さ性ざそう、フリクテン性角膜炎、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、辺縁角膜炎、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性動脈炎、外傷、ウェグナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンジョンソン病、放射状角膜切除術、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾力線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘度症候群、トキソプラズマ症、硬化性胆管炎、ルベオーシス、内毒素血症、毒素性ショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、消耗、髄膜炎、シリカによって引き起こされる線維症、アスベストによって引き起こされる繊維症、家畜疾患、悪性腫瘍性高カルシウム血症、脳卒中、急性循環不全、歯周炎、歯肉炎、大赤血球性貧血、不応性貧血、および5q−症候群を非限定的に含む。
【0054】
本発明の特定の方法は、さらなる治療剤(すなわち、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド)以外の治療剤)の投与をさらに含む。さらなる治療剤の例は、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、アルキルスルホナート、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、JNK(C−Junキナーゼ)阻害剤、IMiDs(登録商標)(Celgene Corporation, N. J. )、および抗癌ワクチンなど非限定的に含む抗癌剤を非限定的に含む。特定のJNK阻害剤は米国特許出願番号第09/642,557号、第09/910,950号、第10/414,839号、第10/004,645号および第10/071,390号に記載されている(その全体を、本願に引用して組み込む)。特定のIMiDs(登録商標)は2003年5月15日に出願された米国特許出願番号第10/438,213号、および米国特許第6,281,230号、第5,635,517号、第5,798,368号、第6,395,754号、第5,955,476号、第6,403,613号、第6,380,239号および第6,458,810号に記載されている(その全体を本願に引用して組み込む)。
【0055】
特定のさらなる治療剤は:アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アンスラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アクチミド(4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ−(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カーベタイマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロールマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;ドロモスタノロンプロピオナート;デュアゾマイシン;エダトレキセート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エルビタックス(登録商標)、エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロックスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、すなわちrIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ぺプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;レビミド(登録商標)(3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン);リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;サリドマイド;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;および塩酸ゾルビシンを非限定的に含む。
【0056】
他の抗癌剤は:20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンボムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;抗体を含む血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背方形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシンエステル;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節剤;アプリニン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータアレチン;ベタクラマイシンB;ベツリニン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;キャナリーポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;サイペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール,9−;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルビシン;フォルヘニメックス;ホルメスタン;ホストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテクサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセタミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテクサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;メイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ二重鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリア細胞壁sk;モピダモール;多重薬剤耐性遺伝子阻害剤;多重癌抑制1−に基づく治療;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンザミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;多硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン重合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;デメチル化リテリプチン;レニウムRe 186エチドロナート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1ミメティック;セムスチン;老化組織由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗体結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過度活動性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワンソニン;合成グリコサミノグリコン;タリムスチン;タモキシフェンミチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロマイド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチンミメティック;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルチオプルプリン;チラパザミン;チタノセンビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;トリホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;ベラレソール;ベルミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーを非限定的に含む。
【0057】
本発明は、さらに、患者におけるPDE4の阻害により改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体の治療的または予防的有効量をかかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法を含む
PDE4の阻害により改善される疾患は、喘息、炎症、慢性または急性の閉塞性肺疾患、慢性または急性の炎症性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病、HSP、および再灌流による炎症を非限定的に含む。
【0058】
本発明の特定の方法は、抗炎症薬、抗ヒスタミン剤および充血除去剤などを非限定的に含むさらなる治療剤の投与を含むことができる。かかるさらなる治療剤の例は:エタノールアミン、エチレンジアミン、ピペラジン、およびフェノチアジンを非限定的に含む抗ヒスタミン剤;抗炎症薬;サリチラート、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、エトドラク、フェナメート、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、ピラゾロン誘導体を非限定的に含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS);セレコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブを非限定的に含む特定のシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;メトトレキセート、スルファサラジン、および注射用金製剤を非限定的に含む疾患修飾抗リウマチ薬;レフルノミド、ピメクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、ペニシラミン、および6−メルカプトプリンを非限定的に含む免疫抑制剤;タザロテンを非限定的に含む外用レチノイド;カルシポトリエンを非限定的に含むビタミンD類似体;エタネルセプト、インフリキシマブ、アナキンラ、エファリズマブ、およびオマリズマブを非限定的に含む生物学的抗炎症剤;アルブテロールおよびサルメテロールを非限定的に含むβ−2アドレナリン受容体アゴニスト;イプラトロピウムを非限定的に含む抗コリン作動薬;プレドニゾン、メチルプレドニゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、およびデキサメタゾンなどの皮膚ステロイドおよび副腎皮質ステロイドを非限定的に含むステロイド;およびβ−2アドレナリンアゴニスト+ステロイドまたはβ−2アドレナリンアゴニスト+抗コリン作動薬を非限定的に含む併用療法を非限定的に含む。
【0059】
本発明の活性化合物(例えば、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド)は、広い範囲の疾病および疾患の治療または予防に使用できる。しかしながら、疾病または疾患の急性または慢性の管理における、本発明の特定の活性成分の予防または治療の投与量は、疾病または疾患の性質および重篤度ならびに活性成分が投与される経路によって変化する。投与量そしておそらく投与頻度はまた、年齢、体重、および各患者の反応に応じて変化する。当業者は、かかる要素を考慮して、適切な用法を容易に選択することができる。本発明の1つの実施形態において、本明細書に記載の疾患に対する推奨1日量の範囲は、1日1回量または好ましくは、1日を通じての分割量で、約1mg〜約10,000mg/日である。1日量は、等しい分割量で1日2回投与することができる。特定の1日量は、約1mg〜約5,000mg/日、約10mg〜約2,500mg/日、約100mg〜約800mg/日、約100mg〜約1,200mg/日、または約25mg〜約2,500mg/日の範囲である。患者管理において、治療は低用量(おそらくは約1mg〜約25mg/日)から開始し、患者の総合的な反応によって、必要に応じて、単回投与または分割量で約200mg〜約1,200mg/日まで増量される。
【0060】
時には、本明細書に記載の範囲外の活性成分の投与量が必要とされる場合があることは、当業者には明らかであろう。いつ治療を中断、調整、または終了するかは、各患者の反応とかね合わせ、臨床医または担当医師が判断する。
【0061】
本明細書においては、“治療的有効量な”、“予防的有効量”および“治療的または予防的有効量”という用語は、前記の投与量および投与頻度スケジュールを含む。当業者には容易に理解されるように、異なる疾病および疾患に対して、異なる治療的有効量を適用することができる。同様に、かかる疾患の治療または予防に十分な量であって、かつ従来の治療に付随する副作用を引き起こすには不十分か、あるいは抑制するのに十分な量もまた、前記の投与量および投与頻度スケジュールに含まれる。
【0062】
4.3 医薬組成物
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される代謝物、多型体、プロドラッグ、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体を含む医薬組成物および単一単位製剤もまた、本発明に含まれる。本発明の各製剤は、経口、経粘膜(経直腸、鼻内、もしくは経膣を含む)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注射、動脈内、または静脈内を含む)、舌下、経皮、頬、または局所投与に対して適切であることができる。
【0063】
本発明の典型的な医薬組成物および製剤は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは包接体および1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。特定の医薬組成物は、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば、水和物)、もしくは包接体および少なくとも1つのさらなる治療剤を含む。さらなる治療剤の例は、前記の治療および予防方法のセクション4.2に記載の抗癌剤および抗炎症剤を非限定的に含む。
【0064】
本発明の単一単位製剤は、患者への、経口、経粘膜(例えば、鼻内、舌下、経膣、頬、または経直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、局所(例えば、点眼剤または他の点眼液)、または経皮投与に適切なものである。製剤の例は:錠剤;カプレット;軟弾力性ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;座剤;点眼剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末剤;ドレッシング;クリーム剤;ばんそうこう;溶液;パッチ;エアゾール(例えば、点鼻スプレーまたは吸入器);ゲル;サスペンジョン(例えば、水性または非水性液体サスペンジョン、水中油形エマルジョン、または油中水液体エマルジョン)、溶液、およびエリキシル剤を含む、患者への経口または経粘膜投与に適切な液体製剤;患者への非経口投与に適切な液体製剤;および患者への非経口投与に適切な、再構成して液体製剤を提供することができる、滅菌固体(例えば、結晶性また非晶質固体)を非限定的に含む。
【0065】
本発明の投与形の組成物、形状、および種類は、一般的にその使用によって変化する。例えば、炎症または関連疾患の急性期治療に用いられる製剤は、同一疾患の慢性治療に使用される製剤よりも多めに、1以上の活性成分を含むことができる。同様に、非経口製剤は、同一の疾患または疾病の治療に用いられる経口製剤よりも少なめに1以上の活性成分を含むことができる。本発明に含まれる特定の製剤におけるこれらの方法および他の方法が互いに異なることは、当業者には容易に理解されるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990). を参照のこと。
【0066】
典型的な医薬組成物および製剤は、1以上の担体または賦形剤を含む。適切な賦形剤は製薬業界に公知であり、適切な賦形剤の非限定的な例は本明細書に記載されている。特定の賦形剤が医薬組成物または製剤と混合するのに適切かどうかは、製剤を患者へ投与する方法を非限定的に含む、当業界に公知の種々の要素によって決まる。例えば、錠剤などの経口製剤は、非経口製剤における使用には適さない賦形剤を含むことができる。特定の賦形剤の適切性は、製剤中の特定の活性成分によって決まる場合もある。
【0067】
本発明のラクトースフリー組成物は、例えばU. S. Pharmocopia (USP) SP (XXI) /NF (XVI)に収載されている当業界に公知の賦形剤を含むことができる。一般に、ラクトースフリー組成物は活性成分、結合剤/増量剤、および滑沢剤を、薬学的に適合し、薬学的に許容される量を含む。好ましいラクトースフリー製剤は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0068】
水は、一部の化合物の分解を促進する可能性があるので、本発明は、活性成分を含む無水の医薬組成物および製剤をさらに含む。水の添加(例えば5%)は、例えば、長期にわたる製剤の貯蔵寿命または安定性などの特性を確定するために、長期の保存を促進する手段として製薬業界に広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80. を参照のこと。実際において、水および加熱は、一部の化合物の分解を促進する。したがって、通常、製剤の製造、取り扱い、包装、保存、発送、および使用の最中に水分および/または湿度にさらされるため、製剤への水の効果が重要性を有する可能性がある。
【0069】
本発明の無水の医薬組成物および製剤は、無水または低水分含量の試薬および低水分または低湿度の条件を用いて製造できる。製造、包装、および/または保存中に水分および/または湿度のかなりの接触が考えられる場合、ラクトースおよび一級または二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む医薬組成物および製剤は、無水が好ましい。
【0070】
無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように製造および保存されなければならない。したがって、適切な製剤キット中に含むことができるように、無水組成物は水への暴露を防ぐことが知られている物質を用いて包装することが好ましい。適切な包装の例は、密封型ホイル、プラスチック、単位服用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックを非限定的に含む。
【0071】
本発明は、活性成分が分解する速度を減少させる1以上の化合物を含む医薬組成物および製剤をさらに含む。本明細書において“安定化剤”と呼ぶかかる化合物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝液、または塩緩衝液を非限定的に含む。
【0072】
賦形剤の量およびタイプと同様に、製剤中の活性成分の量および特定のタイプは、患者への投与経路などを非限定的に含む要素によって変化させることができる。しかしながら、本発明の典型的な製剤は、活性成分を1mg、5mg、10mg、50mg、75mg、100mg、250mg、500mgおよび750mg有する、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝物、多型体、塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくは包接体を含む。さらに具体的には、本発明は、これらの単位服用量の固体経口製剤を含む。同様に、本発明は、同様な単位投与量の固体注射用(所望により凍結乾燥した)製剤を含む。
【0073】
4.3.1 経口製剤
経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、例えば錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、および液体(例えば、フレーバー入りシロップ)を非限定的に含む分離製剤として提供できる。かかる製剤は所定量の活性成分を含み、当業者に公知の製薬学の方法にしたがって製造できる。一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990). を参照のこと。
【0074】
本発明の典型的な経口製剤は、通常の薬学的な混合技術にしたがって、緊密に混合した活性成分(単数または複数)と少なくとも1つの賦形剤を混合することにより製造される。投与のために所望される剤形によって、賦形剤はさまざまな形をとることができる。例えば、経口の液体またはエアゾール製剤における使用に適した賦形剤は、水、グリコール、オイル、アルコール、風味剤、防腐剤、および着色剤を非限定的に含む。経口の固体製剤(例えば、粉末剤、錠剤、カプセル、およびカプレット)における使用に適した賦形剤の例は、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤を非限定的に含む。
【0075】
投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは、最も都合の良い経口単位用量形に相当するが、この場合、固体賦形剤が用いられている。所望であれば、錠剤は、標準的な、水を含むかまたは含まない技術により、コーティングできる。かかる製剤は、製薬学のいずれの方法によっても製造できる。一般に、医薬組成物および製剤は、活性成分と液体担体、微細固体担体または両方を均一かつ緊密に混合し、ついで必要に応じて製品を所望の形に成形することにより製造される。
【0076】
例えば、錠剤は圧縮または成型により製造できる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒などの流動性の活性成分を所望により賦形剤と混合して、適切な機械を用いて圧縮することにより製造できる。成型された錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械を用いて成型することにより製造できる。
【0077】
本発明の経口製剤に使用できる賦形剤の例は、結合剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を非限定的に含む。医薬組成物および製剤における使用に適した結合剤は、コーンスターチ、ポテトスターチ、または他のデンプン、ゼラチン、アカシアゴムなどの天然および合成の増粘剤、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアールガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、製品番号2208、2906、2910)、微結晶セルロース、およびそれらの混合物を非限定的に含む。
【0078】
本明細書に記載の医薬組成物および製剤における使用に適した増量剤の例は、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物を非限定的に含む。本発明の医薬組成物における結合剤または増量剤は、一般的に、医薬組成物または製剤の約50〜約99重量パーセント存在する。
【0079】
微結晶セルロースの適切な形は、アビセル−PH−101、アビセル−PH−103アビセルRC−581、アビセル−PH−105(FMC Corporation, American Viscose Division, AVISEL Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、およびそれらの混合物として市販されている物質を非限定的に含む。特定の結合剤は、微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物(アビセルRC−581として市販)である。適切な無水または低水分の賦形剤または添加剤は、アビセル−PH−103(登録商標)およびスターチ1500LMを含む。
【0080】
水性環境にさらされた時に崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物中に崩壊剤が用いられる。崩壊剤を多く含みすぎる錠剤は保存中に崩壊する場合があり、一方で、崩壊剤の含量が低すぎる錠剤は、所望の条件下で所望の速度で崩壊しない場合がある。したがって、多すぎるかあるいは少なすぎて活性成分の放出を大きく変化させる事の無い、十分な量の崩壊剤が本発明の固体経口製剤を製造するために使用される。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変化するが、当業者には容易に認識できる。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤を含み、特別には約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0081】
本発明の医薬組成物および製剤に使用できる崩壊剤は、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポテトまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、増粘剤、およびそれらの混合物を非限定的に含む。
【0082】
本発明の医薬組成物および製剤に使用できる滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイル、および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびそれらの混合物を非限定的に含む。さらなる滑沢剤は、例えば、シロイドシリカゲル(エアロジル200,W. R. Grace Co. of Baltimore, MD製)、合成シリカの凝固エアゾール(Degussa Co. of Plano, TXにより販売)、CAB−O−SIL(発熱性二酸化珪素製品、Cabot Co. of Boston, MAにより販売)、およびそれらの混合物を含む。滑沢剤は、たとえ使用されるとしても、一般的に、それが混合される医薬組成物または製剤の約1重量パーセント未満のある量で使用される。
【0083】
4.3.2 放出制御/遅延放出製剤
本発明の活性成分は、当業者に公知の放出制御手段または送達デバイスにより投与できる。例は、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;ならびに第4,008,719,号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、および第5,733,566号に記載されているものを非限定的に含む(それぞれを本願に引用して組み込む)。かかる製剤は、種々の割合で所望の放出挙動を提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、マイクロスフェア−、またはそれらの組み合わせを用いて、1以上の活性成分の徐放性または放出制御を提供するために使用できる。当業者に公知の適切な放出制御製剤は、本明細書に記載のものを含めて、本発明の活性成分に使用するために容易に選択することができる。したがって、本発明は、放出制御に適応される錠剤、カプセル、ジェルカップ、およびカプレットなどを非限定的に含む、経口投与に適切な単一単位製剤を含む。
【0084】
全ての放出制御医薬品は、非制御のものにより達成される治療よりも改善された薬物治療という共通の目的を有する。理想的には、医療における最適にデザインされた放出制御製剤の使用は、疾患を最小量の時間で治癒または調節するために用いられる薬物の最小量によって特徴づけられる。放出制御製剤の利点は、薬物活性の延長、投与頻度の減少、および患者コンプライアンスの上昇を含む。さらに、放出制御製剤は、作用の開始時間または他の特徴(薬物の血中濃度など)に影響を及ぼすために使用でき、これにより副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0085】
大部分の放出制御製剤は、即座に所望の治療効果をもたらすある量の薬物(活性成分)を最初に放出させ、そして長時間にわたって治療または予防効果をもたらすこの濃度を維持するために他の量の薬物を徐々にかつ継続的に放出させる様にデザインされている。体内で薬物のこの濃度を維持するためには、身体から代謝および排出を受ける薬物の量と置き換わる速度で製剤から薬物が放出されなければならない。活性成分の放出制御は、pH、温度、酵素、水、もしくは他の生理状態または化合物を非限定的に含む種々の条件により促進を受ける可能性がある。
【0086】
4.3.3 非経口製剤
非経口製剤は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内を非限定的に含む種々の経路により患者に投与できる。これらの投与は一般的に汚染物質に対する患者の天然の防御を避けて通るので、非経口製剤は、滅菌されているかあるいは患者へ投与する前に滅菌できることが好ましい。非経口製剤の例は、注射用溶液、薬学的に許容されるビヒクル中に溶解または縣濁させるための注射用乾燥製品、注射用サスペンジョン、およびエマルジョンを非限定的に含む。
【0087】
本発明の非経口製剤を提供するために用いることができる適切なビヒクルは、当業者に公知である。例は:注射用蒸留水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸リンゲル注射液を非限定的に含む水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを非限定的に含む水混和性ビヒクル;ならびにコーンオイル、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびベンジルベンゾエートを非限定的に含む非水性ビヒクルを非限定的に含む。
【0088】
本明細書に記載の1以上の活性成分の溶解性を増加させる化合物もまた、本発明の非経口製剤に混合することができる。
【0089】
4.3.4 経皮、局所および経粘膜製剤
本発明の経皮、局所、および経粘膜製剤は、点眼液、スプレー、エアゾール、クリーム剤、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、サスペンジョン、または当業界に公知の他の形を非限定的に含む。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th and18theds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990);および Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985). を参照のこと。口腔内粘膜組織の治療のために適切な製剤は、口腔洗浄液または経口ゲルとして製剤化できる。さらに経皮製剤は、皮膚に適用し、特定の期間皮膚を覆って活性成分の所望量を浸透させることができる、“リザーバー型”または“マトリックス型”パッチを含む。
【0090】
本発明に含まれる、経皮、局所、および経粘膜製剤を提供することができる適切な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の物質は、医薬業者に公知であり、所定の医薬組成物または製剤が適用される特定の組織によって決まる。その点を考慮して、典型的な賦形剤は、無毒で薬学的に許容されるローション、チンキ剤、クリーム剤、エマルジョン、ゲルまたは軟膏を形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物を非限定的に含む。モイスチャライザーまたは湿潤剤もまた、所望に応じて、医薬組成物および製剤に加えることもできる。かかるさらなる薬剤の例は、当業界に公知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990). を参照のこと。
【0091】
治療される特定の組織によって、本発明の活性成分を用いる治療の前に、治療と同時に、あるいは治療後にさらなる成分を使用することができる。例えば、透過促進剤は、活性成分を組織に送達するのに役立てることができる。適切な透過促進剤は、アセトン;エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリルなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドングレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;およびツイーン80(ポリソルベート80)およびSpan 60(モノステアリン酸ソルビタン)などの種々の水溶性または非水溶性の糖エステルを非限定的に含む。
【0092】
医薬組成物または製剤のpHまたは医薬組成物または製剤が適用される組織のpHはまた、1以上の活性成分の送達を改善するために調節することができる。同様に、担体溶媒の極性、そのイオン強度、または張度は、送達を改善するために調節することができる。送達を改善するために、1以上の活性成分の親水性または親油性を好都合に変化させる、ステアリン酸エステルなどの化合物もまた、医薬組成物または製剤に添加することができる。その際、ステアリン酸エステルは、製剤用脂質ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、そして送達促進剤または透過促進剤として使用できる。得られる組成物の性質をさらに調節するために、活性成分の異なる塩、水和物または溶媒和物を使用することができる。
【0093】
4.3.5 キット
一般的に、本発明の活性成分は、好ましくは、患者に同時にまたは同一の投与経路で投与されない。したがって、本発明は、医師が使用するとき、患者への活性成分の適切な量の投与を簡素化することができるキットを含む。
【0094】
本発明の典型的なキットは、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば水和物)、包接体、多型体もしくはプロドラッグの単位製剤および第2の活性成分の単位製剤を含む。第2の活性成分の例は、前記の治療および予防方法のセクション4.2に記載されたものを非限定的に含む。
【0095】
本発明のキットは、さらに、活性成分を投与するために使用するデバイスを含む。かかるデバイスの例は、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、および吸入器を非限定的に含む。
【0096】
本発明のキットは、さらに、1以上の活性成分を投与するために使用することができる、薬学的に許容されるビヒクルを含むことができる。例えば、活性成分が非経口投与用に再構成しなければならない固体形で提供される場合、活性成分を溶解して、非経口投与に適切な微粒子を含まない滅菌溶液を形成させることができる適切なビヒクルのシール容器を該キットは含むことができる。薬学的に許容されるビヒクルの例は:注射用蒸留水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸リンゲル注射液などを非限定的に含む水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを非限定的に含む水混和性ビヒクル;およびコーンオイル、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびベンジルベンゾエートを非限定的に含む非水性ビヒクルを非限定的に含む。
【実施例】
【0097】
5.実施例
5.1 実施例1:ラセミ3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの合成
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソイソインドリン−2−イル)プロピオン酸(917mg,2.70mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)撹拌溶液に、窒素雰囲気下で、カルボニルジイミダゾール(438mg,2.70mmol)、および4−N,N−ジメチルアミノピリジン[DMAP]の結晶を数個加えた。反応混合物を1.5時間撹拌し、ついで0.25mLの15N水酸化アンモニウムを加えた。20分後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水中でスラリーにした。得られた固体を濾過により分離し、減圧下で乾燥して、0.58g(80%)の粗生成物をオフホワイト粉末で得た。粗生成物は、水から直ちには沈殿化しなかった。数日間放置した後、生成物が水溶液から結晶化し、エーテルで洗浄した後、0.26g(22%)の3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソインドリン−2−イル)プロピオンアミドを白色結晶で得た。1H NMR (DMSO-6, 250 MHz) 7.8-7.4 (m, 5H), 7.1-6.85 (m, 4H), 5.76 (m, 1H), 4.57 (d, 17.6 Hz, 1H), 4.15 (d, J=17.6 Hz, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.1-2.8 (m, 2H);13C NMR (DMSO-d6), 171.2, 166.8, 148.6, 148.1, 141.6, 132.2, 132.2, 131.2, 127.8, 123.4, 122.7, 119.0, 111.6, 111.0, 55.4, 51.4, 46.2, 37.9 ;元素分析値:C190Nとして:計算値 C,67.05;H,5.92;N,8.23 実測値:C,66.74;H,5.88;N,8.02。
【0098】
5.2 実施例2:(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの合成
3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸の製造
【化2】

【0099】
機械撹拌器および温度計を備えた2L3口丸底フラスコに、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(194.5g,1.17mol)、酢酸アンモニウム(180.4g,2.34mol)および600mLの95%水性エタノールを入れた。スラリーを撹拌しながら45℃に加熱し、褐色溶液を得、これにマロン酸(121.8g,1.17mol)を加えた。得られた粘度の高いスラリーを加熱還流し、還流を16時間持続した。ついで撹拌混合物を放置して周囲温度に冷却した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを300mLの冷(〜5℃)エタノールで洗浄した。固形物を減圧下60℃で恒量に達するまで乾燥し、147.6g(収率56%)の生成物を白色粉末で得た。
【0100】
3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル・塩酸塩の製造
【化3】

【0101】
機械撹拌器、温度計、および滴下漏斗を備えた2L3口丸底フラスコに、3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸(129.8g,0.576mol)および780mLのメタノールを入れた。この撹拌スラリーを0℃に冷却し、反応温度を0℃〜4℃に維持しながら、塩化アセチルを20分かけて加えた。撹拌を0℃で20分続け、周囲温度で終夜続けた。反応混合物を約2倍量まで濃縮し、これに520mLのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)を加えた。得られたスラリーを周囲温度で2時間撹拌した。ついでスラリーを濾過し、濾過ケーキをMTBE(260mL)で洗浄した。固体を減圧下55℃で恒量に達するまで乾燥し、145.8g(収率92%)の生成物を白色結晶性固体で得た。HPLC(10/90 CH3CN/0.1%H3PO4水溶液, Waters Nova-Pak C18カラム,3.9 x 150mm, 4μm, 1.0mL/分, 210nm): RT 4.63分(面積比>99.0%)。1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.71 (brs, 3H), 7.31 (d, 1H), 6.93-7.04(m, 2H), 4.51 (appt. t, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.56 (s, 3H), 3.15-3.24 (dd, 1H), 2.94-3.04 (dd, 1H)。
3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルの製造
【化4】

【0102】
機械撹拌器、温度計、および滴下漏斗を備えた3L3口丸底フラスコに、3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル・N−アセチル−L−ロイシン/遊離アミン混合物(前記ステップからの母液,S−異性体56%ee)、塩化メチレン820mL)、および水道水(410mL)を入れた。この混合物を撹拌し、得られたスラリーを0℃に冷却し、反応温度を約0℃に維持しながら、1時間かけて5%NaOH水溶液(pH11〜12まで,100mL)を加えた。NaOH水溶液添加終了後、撹拌を5分間続けた。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(220mL x 2)で抽出した。塩化メチレン層を合わせ、水(210mL x 2)で洗浄した。浴槽温度を25℃以下に保ちながら、塩化メチレン溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、74.2g(収率98%)の粗製3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルを57%eeの無色オイルで得た。粗製遊離塩基をさらに精製せずに次のステップに用いた。キラルHPLC(10/90 MeOH/HClO4水溶液, pH 1.0, Daicel Crownpak CR(+)カラム, 4 x 150 mm, 5/μm, 0.7mL/分, 240nm):22.27分(R-異性体,面積比21.7%),27.80分(S-異性体,面積比78.3%)。1H NMR (DMSO-d6) δ: 6.99 (s, 1H), 6.85 (s, 2H), 4.14 (appt. t, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.56 (s, 3H), 2.55 (d, 2H), 1.91 (brs, 2H)。
【0103】
(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸メチル・N−アセチル−D−フェニルアラニン塩の製造
【化5】

【0104】
機械撹拌器、温度計、および冷却器を備えた2L3口丸底フラスコに、S−過剰のアミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸メチル(70.9g,0.296mol)、N−アセチル−D−フェニルアラニン(47.9,0.231mol)、およびメタノール(1,060mL)を入れた。撹拌スラリーを還流するまで過熱し、1時間還流を続けた。撹拌混合物を周囲温度に冷却し、周囲温度でさらに3時間撹拌を続けた。スラリーを濾過し、濾過ケーキをメタノール(290mL)で洗浄した。固体を空気乾燥し、ついで55℃減圧下で恒量になるまで乾燥し、85.0g(収率82%)の(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸メチル・N−アセチル−D−フェニルアラニン塩(90.7%ee)を得た。キラルHPLC(10/90 MeOH/HClO4水溶液、pH 1.0,Daicel Crownpak CR(+)カラム,4 x 150mm,5μm,0.7mL/分,240nm): 22.5分(R-異性体,面積比4.5%),27.15分(S-異性体,面積比92.7%)。1H NMR (DMSO-d6) δ : 7.88 (d, 1H), 7.14-7.27 (m, 5H), 7.07(s, 1H), 6.89 (s, 2H), 4.25-4.33 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.56 (s, 3H), 3.01-3.09 (dd, 1H), 2.66-2.86 (m, 3H), 1.76 (s, 3H)。
【0105】
(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルの製造
【化6】

【0106】
機械撹拌器、温度計、および滴下漏斗を備えた2L3口丸底フラスコに、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル・N−アセチル−D−フェニルアラニン塩(84.8g,0.190mol)、塩化メチレン(510mL)、および水道水(250mL)を入れた。このスラリーを0℃に冷却し、反応温度を〜0℃に維持しながら、2.5時間かけて5%NaOH水溶液(154mL,pH11−12まで)を加えた。NaOH水溶液の添加終了後、撹拌をさらに5分間続けた。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(130mL x 2)で抽出した。塩化メチレン層を合わせ、水(130mL x 2)で洗浄した。塩化メチレン溶液を、浴槽温度を25℃以下に維持しながら、ロータリーエバポレーターで濃縮し、45.6g(定量的収率)の(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル(91.9%ee)を無色オイルで得た。キラルHPLC(10/90 MeOH/HClO4水溶液,pH1.0,Daicel Crownpak CR (+)カラム,4 x 150 mm,5μm,0.7mL/分,240nm):23.06分(R-異性体,面積比3.8%),28.14分(S-異性体,面積比90.2%)。HPLC(10/90 CH3CN/0.1%H3PO4水溶液,Waters Nova-Pak C18カラム,3.9 x 150mm,4μm,1.0mL/分,210nm):RT 4.68分(面積比>99.0%)。1H NMR (DMSO-d6) δ : 6.99 (s, 1H), 6.85 (s, 2H), 4.14 (brs, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.56 (s, 3H), 2.55 (d, 2H), 1.90 (brs, 2H)。
【0107】
(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸の合成
【化7】

【0108】
機械撹拌器、温度計、および滴下漏斗を備えた3L3口丸底フラスコに、前記のステップからの粗製(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル(45.4g,0.190mol)およびメタノール(230mL)を入れた。反応温度を25℃以下に保ちながら、15分かけて撹拌溶液に30%NaOH水溶液(38mL)を加えた。ついで、得られた混合物を周囲温度でさらに2時間撹拌した。ついで、浴槽温度を30℃以下に調節しながら、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、粘性のあるオイルを得た。約110mLの溜出物を回収した。このオイルをTHF(450mL)で希釈して撹拌した。反応温度を25℃以下に保ちながら、この撹拌溶液に酢酸(45mL)を滴下した。得られたスラリーを周囲温度で1.5時間撹拌した。ついでスラリーを濾過し、濾過ケーキをTHF(180mL)で洗浄した。固体を減圧下、55℃で終夜乾燥し、605g(収率140%)の粗製白色(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸を得、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。HPLC(10/90 CH3CN/0.1%H3PO4水溶液,Waters Nova-Pak C18カラム,3.9 x 150mm,4μm,1.0mL/分,210nm):RT 2.22分(面積比>99.0%)。1H NMR (D20) δ : 6.85-6.92(m, 3H), 4.42 (appt. t, 1H), 3.70 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.57-2.78(m, 2H), 1.73 (s, 4H)。
【0109】
(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)プロピオン酸の合成
【化8】

【0110】
機械撹拌器、温度計、および冷却器を備えた2L3口丸底フラスコに、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸(60.5g,0.190mol,前記のステップより)からの粗生成物、フタルジカルボキシアルデヒド(25.5g,0.190mol)、および酢酸(450mL)を入れた。スラリーを周囲温度で2時間撹拌し、明褐色溶液を得た。撹拌溶液を加熱還流し、還流を45分間続けた。ついで、反応混合物を濃縮して粘性の高いオイルを得た。約360mLの溜出液を回収した。得られた混合物を水道水(100mL)で希釈し、ついで、MTBE(220mL)および追加の水道水(350mL)を加えた。得られたスラリーを、周囲温度で2時間激しく撹拌した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを水道水(90mL)およびMTBE(90mL x 2)で洗浄した。固体を風乾し、ついで減圧下55℃で恒量に達するまで乾燥し、54.5gのオフホワイト(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)プロピオン酸を得た[(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル・N−アセチル−D−フェニルアラニン塩からの全収率は84%]。HPLC(45/55 CH3CN/0.1%H3PO4水溶液,Waters Nova-Pak C18カラム,3.9 x 150mm,4μM,1.0L/分,210nm):RT 1.86分(面積比>99.0%)。1H NMR (DMSO-d6) δ : 12.37 (s, 1H), 7.45-7.70 (m, 4H), 6.99 (s, 1H), 6.93 (s, 2H), 5.72 (appt. t, 1H), 4.51 (d, 1H), 4.12 (d, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.05-3.22 (m, 2H)。
【0111】
(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの製造
理論にとらわれることなく、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドが(S)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドであると仮定すれば、このステップは以下で表される。
【化9】

【0112】
機械撹拌器および温度計を備えた1L3口丸底フラスコに、(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオン酸(36.2g,0.106mol)、THP(250mL)、およびCDI(19.0g,117mmol)を入れた。ついで、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応温度を15℃〜20℃に維持しながら、15分かけて得られた混合物に濃NH水溶液を加えた。ついで、反応混合物を周囲温度にあたため、周囲温度でさらに1時間撹拌した。反応混合物をDI水(110mL)で希釈し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、約250mLの溜出液を得た。得られた混合物にさらにDI水(250mL)を加え、濃縮して約70mLの溜出液を得た。得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキをDI水(110mL x 3)で洗浄した。固体を風乾し、ついで55℃減圧下で、恒量に達するまで乾燥し、33.4g(収率92%)のオフホワイト(R)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドを99.5%eeで得た。Mp191〜193℃。キラルHPLC(20/80 IPA/ヘキサン,Daicel Chiralpak AD カラム,4.6 x 150mm,1.0mL/分,240nm):18.71分(R-異性体,面積比0.1% ),24.04分(S-異性体,面積比99.3%)。HPLC(25/75 CH3CN/0.1%H3PO4水溶液,Waters Nova-Pak C18 カラム,3.9 x 150 mm,4μm,1.0mL/分):RT 4.02分(面積比>99.0%,210または240nm)。1H NMR (DMSO-d6)δ : 7.44-7.69 (m, 5H), 6.86-6.94 (m, 4H), 5.75 (appt. t, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 2.82-3.01(m, 2H). 13C NMR (DMSO-d6)δ 171.31, 166.86, 148.67, 148.20, 141.70, 132.30, 131.27, 127.83, 123.43, 122.79, 119.12, 111.73, 111.09, 55.49, 51.47, 46.27, 37.95. 元素分析値:C1920として:C,67.05;H,5.92;N,8.23 実測値:C,66.85;H,5.76;N,8.05。
【0113】
(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドが(S)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドであると仮定して、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの製造のための典型的な反応スキームを以下に示す。
【化10】


【0114】
5.3 実施例3:(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドのTNF−α阻害
LPS誘発TNF−α産生
リポ多糖(LPS)は、大腸菌などのグラム陰性細菌により産生されるエンドトキシンであり、TNF−αを含む多くの炎症性サイトカインの産生を誘発する。末梢血単核細胞(PBMC)において、LPSに応答して産生されるTNF−αは単球由来であり、これは全PBMCのおおよそ5〜20%を含む。以前に記載したように、ヒトPBMCからのLPS−誘発TNF−α産生を阻害する能力に関して、化合物を試験する(Muller et al. 1996, J. Med Chem. 39: 3238)。健常人からのPBMCは、フィコール・ハイパック(ファルマシア社,Piscataway, NJ, USA)密度遠心分離により得る。10%AB±ヒト血清(Gemini Bio-products, Woodland, CA, USA)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を加えたRPMI(Life Technologies, Grand Island, NY, USA)中で細胞を培養する。
【0115】
PBMC(2 x 105細胞)を、96−ウェル平底Costar組織培養プレート(Corning, NY, USA)に三つ組みでプレーティングする。化合物の存在下または非存在下で、LPS(Sigma, St. Louis, MO, USA)を用いて細胞を100ng/mlで刺激する。化合物(Celgene Corp., Warren, NJ, USA)をDMSO(Sigma)に溶解し、使用直前に培地でさらに希釈する。全サンプルにおけるDMSO最終濃度は0.25%である。LPS刺激の1時間前に化合物を細胞に加える。5%C0中、37℃で18〜20時間細胞をインキュベートし、ついで上澄みを回収して、培地で希釈し、ELISA (Endogen, Boston, MA, USA)でTNF−α濃度をアッセイする。
【0116】
IL−1β誘発TNF−α産生
炎症性疾患の過程において、TNF−α産生は、細菌由来LPSよりもむしろサイトカインIL−10により刺激を受けることが多い。Ficoll-Paque Plus (Amersham Pharmacia, Piscataway, NJ, USA)を用いる遠心分離により白血球源ユニット(Sera-Tec Biologicals, North Brunswick, NJ, USA)からPBMCを単離し、10%熱不活性化ウシ胎児血清(Hyclone)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100mg/mlストレプトマイシン(完全培地)を含むRPMI−1640培地(BioWhittaker, Walkersville, Maryland, USA)中、3 x 105細胞/ウェルで96ウェル組織培養プレートにプレーティングし、5%C0、加湿インキュベータ中、37℃で1時間、0.1%DMSO最終濃度の10、2、0.4、0.08、0.016、0.0032、0.00064、および0μMの化合物(2つ組)で前処理し、ついで、50ng/mlの組換えヒトIL−1β(Endogen)を用いて18時間刺激するという条件下で、LPS−誘発TNF−α産生に関して前述したように、ヒトPBMCからのIL−1β誘発TNF−α産生を阻害する能力に関して化合物を試験する。
【0117】
5.4 実施例4:PDE4阻害
以前に記載したように、ゲル濾過クロマトグラフィーにより、PDE4酵素をU937ヒト単球細胞から精製する(Muller et al. 1998, Bioorg. & Med Chem Lett 8: 2669-2674)。文献記載の様に、50mMトリスHCl pH7.5、5 mM MgCl、1μM cAMP、10nM[H]−cAMP中、30℃で30分間ホスホジエステラーゼ反応を行い、煮沸により反応を停止し、1mg/mlのヘビ毒で処理し、AG−1XSイオン交換樹脂(BioRad)を用いて分離する(Muller et al. 1998, Bioorg. & Med Cliem Lett 8: 2669-2674)。反応は、利用可能基質の15%未満を消費する。
【0118】
5.5 実施例5:(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドのPDE選択性
特定のPDEに対する化合物の選択性は、ウシPDE1、ヒトPDE2、PDE3、およびヒト血小板からのPDE5に対して単一濃度(100μM)で試験することにより評価する(Hidaka and Asano 1976, Biochem. Biophys. Acta 429: 485, and Nicholsen et al. 1991, Trends Pharmaco. Sci. 12: 19)。
【0119】
5.6 実施例6:薬物動態学的データ
雌ラットにおける単一化合物投与で、平均(±SD)血漿濃度−時間プロフィールを、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの80mg/kgの経口投与24時間後で観察する。
【0120】
5.7 実施例7:(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド200MG投与カプセル
表1に、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド200mg単一服用量単位(すなわち、例えば#0サイズカプセルに対して約40重量パーセント)のためのバッチ製剤および単回投与製剤を示す。
【表1】

【0121】
アルファ化コーンスターチ(SPRESS B-820)および(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド成分を710μmのふるいに通過させ、ついで、バッフルインサートを備えた拡散混合器に入れ、15分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを210μmのふるいを通過させ、拡散混合器に加える。ついで、Dosator型カプセル充填機を用いて、混合物を#0サイズカプセル(500mg/カプセル(8400カプセルバッチサイズ))中にカプセル化する。
【0122】
5.8 実施例8:100MG経口製剤
表IIに、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド100mgを含むバッチ製剤および単回服用量単位製剤を示す。
【表2】

【0123】
微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、および(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド成分を#30メッシュふるい(約430μm〜約655μm)に通過させる。プルロニックF−680(JRH Biosciences, Inc. of Lenexa, KS製)界面活性剤を#20メッシュふるい(約457μm〜約1041μm)を通過させる。プルロニックF−68(登録商標)界面活性剤および0.5kgのクロスカルメロースナトリウムを16qtツインタンブルブレンダー中に入れ、約5分間混合する。ついで、混合物を3立方フィートツインシェルタンブルブレンダーに移し、これに微結晶セルロースを加え、約5分間混合する。(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドを加え、さらに25分間混合する。このプリブレンドを、ローラーコンパクターの排出用に取り付けたハンマーミルでローラーコンパクターを通過させ、タンブルブレンダーに移し戻す。残りのクロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムをタンブルブレンダーに加え、約3分間混合する。最終混合物を、250mg/錠剤(200,000錠剤バッチサイズ)で、回転式錠剤機を用いて圧縮する。
【0124】
5.9 実施例9:エアゾール製剤
高速せん断ミキサーを備えた、シールされたステンレススチール容器中で、(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、および12.6kg量のトリフルオロモノフルオロメタンを混合することにより、濃縮物を製造する。混合を約20分間行う。ついで、温度を21℃〜27℃に調節し、圧力を2.8〜4.0バールに調節したバルク製品タンク中で、濃縮物と残りの噴射剤を混合することにより、バルク縣濁液をシール容器中で製造する。本発明の組成物の100回の吸入を提供する様にデザインされた定量噴霧バルブを備えた17mlエアゾール容器。各容器には以下を入れる:
【表3】

【0125】
本発明は特定の実施形態に関して記載されているが、請求項に記載の本発明の精神と範囲から離れることなく種々の変化と修飾が可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる修飾もまた、添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を、TNF−αを産生する細胞に接触させることを含むTNF−α産生阻害方法。
【請求項2】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量をPDE4に接触させることを含むPDE4活性阻害方法。
【請求項3】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項1または2の方法。
【請求項4】
細胞がヒト細胞である、請求項3の方法。
【請求項5】
患者におけるTNF−α濃度を減少させることにより改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項6】
癌の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項7】
アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、JNK阻害剤、抗生物質、抗腫瘍剤、エチレンイミン、メチルメラミンアルキルスルホナート、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、ステロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、または抗癌ワクチンの治療的または予防的有効量をかかる治療または予防を必要とする患者に投与することをさらに含む、請求項5または6の方法。
【請求項8】
疾病または疾患が、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、新生血管緑内障、後水晶体線維増殖、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部結膜炎、乾性翼状片角膜炎、シェーグレン症、酒さ性ざそう、フリクテン性角膜炎、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、辺縁角膜炎、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性動脈炎、外傷、ウェグナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンジョンソン病、放射状角膜切除術、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾力線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘度症候群、トキソプラズマ症、硬化性胆管炎、ルベオーシス、内毒素血症、毒素性ショック症候群、変形性関節症、レトロウイルス複製、消耗、髄膜炎、シリカによって引き起こされる線維症、アスベストによって引き起こされる繊維症、家畜疾患、悪性腫瘍性高カルシウム血症、脳卒中、急性循環不全、歯周炎、歯肉炎、大赤血球性貧血、不応性貧血、または5q−症候群である、請求項5の方法。
【請求項9】
癌が固形癌または血液により運ばれる癌(blood borne tumor)である、請求項6の方法。
【請求項10】
癌が多発性骨髄腫、急性白血病、リンパ芽球性白血病、骨髄性白血病、リンパ性白血病、または骨髄球性白血病である、請求項6の方法。
【請求項11】
固形癌が乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、または神経膠腫癌である、請求項9の方法。
【請求項12】
患者が哺乳動物である、請求項5または6の方法。
【請求項13】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドが非経口、経皮、経粘膜、経鼻、口腔内、舌下、局所または経口で投与される、請求項5または6の方法。
【請求項14】
治療的または予防的有効量が約1mg〜約5,000mg/日である、請求項13の方法。
【請求項15】
治療的または予防的有効量が約10mg〜約2,500mg/日である、請求項14の方法。
【請求項16】
治療的または予防的有効量が約100mg〜約1,200mg/日である、請求項15の方法。
【請求項17】
患者におけるPDE4の阻害により改善される疾病または疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項18】
細胞内cAMP濃度の調節方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量を、細胞に接触させることを含む該方法。
【請求項19】
うつ病、喘息、炎症、炎症性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、リウマチ様関節炎、変形性関節症、慢性閉塞性肺疾患、慢性炎症性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、大腸炎、慢性気管支炎、アレルギー性鼻炎、関節炎、関節の炎症、潰瘍性大腸炎、アトピー性湿疹、脳卒中、骨吸収疾患、多発性硬化症、じんま疹、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、眼の炎症、眼におけるアレルギー性反応、好酸性肉芽腫、通風性関節炎、関節疾患、成人呼吸窮迫症候群、尿崩症、角化症、脳の老化、多発梗塞性痴呆、老年期痴呆、パーキンソン病に伴う記憶障害、心停止、間欠性跛行、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、敗血症、敗血症ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血症、毒素性ショック症候群、急性呼吸窮迫症候群、脳性マラリア、珪肺、肺サルコイドーシス、再灌流障害、移植片対宿主反応、同種移植片拒絶、感染症による発熱、筋肉痛、マラリア、HIV、AIDS、ARC、悪液質、ケロイド形成、瘢痕組織形成、発熱、全身性エリスマトーデス、1型糖尿病、アナフィラキシー性紫斑病腎炎、慢性糸球体腎炎、白血病、遅発性ジスキネジア、酵母感染、真菌感染、胃腸保護を必要とする疾患、または炎症または疼痛に伴う神経性炎症性疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項20】
患者における骨髄異形成症候群の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項21】
患者における脊髄増殖性疾患の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項22】
患者における疼痛の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項23】
患者における黄斑変性の治療または予防方法であって、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的または予防的有効量を、かかる治療または予防を必要とする患者に投与することを含む該方法。
【請求項24】
抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、抗癌剤、造血因子、サイトカイン、幹細胞移植、またはキナーゼ阻害剤の治療的または予防的有効量を前記の治療または予防を必要とする患者に投与することをさらに含む、請求項17〜23のいずれか1つの方法。
【請求項25】
疾病または疾患が呼吸器疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症または慢性炎症性肺疾患である、請求項17の方法。
【請求項26】
疾病または疾患が慢性閉塞性肺疾患である、請求項17の方法。
【請求項27】
患者が哺乳動物である、請求項17〜23のいずれか1つの方法。
【請求項28】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドが非経口、経皮、経粘膜、経鼻、口腔内、舌下、局所、または経口で投与される、請求項17〜23のいずれか1つの方法。
【請求項29】
治療的または予防的有効量が約1mg〜約5,000mg/日である、請求項17〜23のいずれか1つの方法。
【請求項30】
治療的または予防的有効量が約10mg〜約2,500mg/日である、請求項29の方法。
【請求項31】
治療的または予防的有効量が約100mg〜約1,200mg/日である、請求項30の方法。
【請求項32】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドが1日2回投与される、請求項30または31の方法。
【請求項33】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミド、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物が患者への非経口、経皮、経粘膜、経鼻、頬、舌下、局所または経口投与に適切である、請求項33の医薬組成物。
【請求項35】
(−)異性体を実質的に含まない、鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項36】
キラルアミノ酸塩である、請求項35の鏡像異性的に純粋な塩。
【請求項37】
キラルアミノ酸がアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、オルニチン、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、N−アセチル−フェニルアラニンまたはN−アセチル−ロイシンのD異性体である、請求項36の鏡像異性的に純粋な塩。
【請求項38】
鏡像異性的に純粋な(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドの製造方法であって、
(a)(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)プロピオン酸を生成させるのに十分な条件下で、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸とフタルジカルボキシアルデヒドを接触させ;そして
(b)(+)−3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピオンアミドを生成させるのに十分な条件下で、(S)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)プロピオン酸を還元させることを含む該方法。
【請求項39】
(S)−3−アミノ−3−(3,−ジメトキシフェニル)プロピオン酸を生成させるのに十分な条件下で、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピオン酸メチルのキラルアミノ酸塩を塩化メチレンおよびテトラヒドロフランと接触させる、請求項38の方法。
【請求項40】
(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルのキラルアミノ酸塩を生成するのに十分な条件下で、(S)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルをキラルアミノ酸と接触させる、請求項39の方法。
【請求項41】
キラルアミノ酸がアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、オルニチン、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、N−アセチル−フェニルアラニンまたはN−アセチル−ロイシンのD異性体である、請求項39または40の方法。
【請求項42】
キラルアミノ酸塩がN−アセチル−D−フェニルアラニンである、請求項41の方法。
【請求項43】
(+)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチルの鏡像異性的に純粋な塩。
【請求項44】
キラルアミノ酸塩である、請求項43の鏡像異性的に純粋な塩。
【請求項45】
キラルアミノ酸がアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、オルニチン、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、N−アセチル−フェニルアラニンまたはN−アセチル−ロイシンのD異性体である、請求項44の鏡像異性的に純粋な塩。
【請求項46】
(+)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸メチル・N−アセチル−D−フェニルアラニン塩。

【公表番号】特表2006−510617(P2006−510617A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553837(P2004−553837)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036740
【国際公開番号】WO2004/045597
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】