説明

1,3−ジブロモアセトン、1,3−ジクロロアセトン及びエピクロロヒドリンの製造方法

(a)アセトンを2モルの臭素と反応させて、臭素化アセトン誘導体と副生臭化水素との混合物を生成させ;(b)前記臭素化アセトン誘導体と臭化水素との混合物を平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成させ;(c)1,3−ジブロモアセトンを結晶化させ;そして(d)1,3−ジブロモアセトンを単離することを含む1,3−ジブロモアセトン、1,3−ジクロロアセトン及びエピクロロヒドリンの製造方法。この方法は(e)1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて、1,3−ジクロロアセトンを生成させ;(f)単離された1,3−ジクロロアセトンを水素化して、1,3−ジクロロヒドリンを生成させ;そして(g)1,3−ジクロロヒドリンを塩基で環化させて、エピクロロヒドリンを生成する工程を更に含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1,3−ジブロモアセトン及び1,3−ジクロロアセトンの製造方法に関する。本発明の方法によって製造される1,3−ジクロロアセトンはエピクロロヒドリンの製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
1,3−ジブロモアセトンはジクロロアセトン及びジフルオロアセトンを含むジハロアセトンの類に属する。これらのジハロアセトン誘導体は医薬品及びファインケミカル薬品の中間体並びにエピクロロヒドリンを含む工業用化学薬品の製造に有用であることが示されている。しかし、1,3−ジハロアセトン誘導体を高収率で製造することが現在必要とされている。
【0003】
アセトンと塩素との反応によって直接1,3−ジクロロアセトンを製造すると、過剰量の1,1−ジクロロアセトンとトリクロロアセトン誘導体が生成される。アセトンと塩素との反応によって1,3−ジクロロアセトンを選択的に製造できることが提示されている。例えば、Kurkov(特許文献1(1981年2月17日))は、ヨウ素含有化合物の存在下におけるアセトンと塩素との反応による1,3−ジクロロアセトンの製造を開示している。ヨウ素のコストが高く且つ不所望の塩素化副生成物及び塩化水素が多量に生成されるために、この方法に付随するコストは高い。
【0004】
アセトンの直接臭素化又はブロモアセトンの臭素化は多数の生成物をもたらすので1,3−ジブロモアセトンは高収率で製造するのは困難である。臭化水素によって触媒される平衡化反応は、アセトンの二臭素化からの生成物を相互変換して、モノブロモアセトン、1,1−ブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンを含む混合物を、種々の量のより高次に臭素化された生成物及びアセトンと共に生成する。平衡反応は1,3−ジブロモアセトンの最大濃度を総混合物の70%に制限する。
【0005】
V.P.Kutrov及びA.N.Koskyuk(特許文献2)は、アセトンを2モル当量の臭素と反応させることによって臭素化アセトン生成物の混合物を生成することによる1,3−ジブロモアセトンの製造を記載している。この臭素化アセトン生成物の混合物は、亜硫酸水素ナトリウムで処理され、1,3−ジブロモアセトンの亜硫酸水素ナトリウム付加物は濾過によって単離され、次いで1,3−ブロモアセトンの亜硫酸水素ナトリウム付加物が硫酸を用いて分解される。1,3−ジブロモアセトンは濾過によって硫酸から単離され、次いで再結晶によって精製される。この方法は多くの化学工程を必要とする複雑な方法であり、1,3−ジブロモアセトンを低収率で生成し、多量の臭素化アセトン誘導体及び臭化水素を廃棄物として生じる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,251,467号
【特許文献2】SU 1,567,568
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
商業的に実施可能で効率的な1,3−ジブロモアセトン及び1,3−ジクロロアセトンの製造方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、
(a)アセトンを臭素と反応させて、臭素化アセトン誘導体と副生臭化水素との混合物を生成させ;
(b)前記臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成せしめ;
(c)前記臭素化アセトン誘導体の混合物中で1,3−ジブロモアセトンを結晶化させ;そして
(d)前記臭素化アセトン誘導体の混合物(母液)から1,3−ジブロモアセトンを単離する
ことを含んでなる、1,3−ジブロモアセトンの製造方法である。
【0009】
第2の態様において、本発明は、
(a)第1の態様からの残留臭素化アセトン誘導体母液の混合物を臭化水素を用いて平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成させ;
(b)臭素化アセトン誘導体母液の混合物中で1,3−ジブロモアセトンを結晶化させ;そして
(c)臭素化アセトン誘導体母液の混合物から1,3−ジブロモアセトンを単離する
ことを含む方法である。
【0010】
第3の態様において、本発明は、
(a)アセトンを臭素と反応させて、臭素化アセトン誘導体と副生臭化水素との混合物を生成せしめ;
(b)臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成させ;そして
(c)臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させると同時に1,3−ジブロモアセトンの反応性結晶化を行う
ことを含む1,3−ジブロモアセトンの製造方法である。
【0011】
第4の態様において、本発明は、前記第3の態様の工程(c)からの結晶1,3−ジブロモアセトンを単離することを含む方法である。
【0012】
第5の態様において、本発明は、
(a)アセトンと臭素との反応において生成された副生臭化水素を臭素に転化させ;そして
(b)回収された臭素をアセトン臭素化反応に使用するために再循還させる
ことを含む方法である。
【0013】
第6の態様において、本発明は、
(a)1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて、主生成物1,3−ジクロロアセトンと副生臭化物との混合物を生成させ;そして
(b)1,3−ジクロロアセトンを単離する
ことを含む1,3−ジクロロアセトンの製造方法である。
【0014】
第7の態様において、本発明は、
(a)1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて、主生成物1,3−ジクロロアセトンと副生臭化物との混合物を生成させ;
(b)1,3−ジクロロアセトンを還元して、1,3−ジクロロヒドリンを生成させ;そして
(c)1,3−ジクロロヒドリンを塩基で環化させて、エピクロロヒドリンを生成させる
ことを含むエピクロロヒドリンの製造方法である。
【0015】
第8の態様において、本発明は、
(a)1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて、主生成物1,3−ジクロロアセトンと副生臭化物との混合物を生成させ;
(b)工程(a)で生成された副生臭化物を臭素に転化させ;
(c)前記臭素をアセトン臭素化反応に再循還させ;そして
(d)場合によっては、工程(b)で形成された任意の塩化物源を工程(a)に再循還させる
ことを含む方法である。
【0016】
第9の態様において、本発明は、触媒の添加前又は反応の自己開始前に、臭素とアセトンとを充分に混合することによって多量のテトラブロモアセトンの形成を防止するか又は最小限に抑えることを含む方法である。
【0017】
第10の態様において、本発明は、アセトンと臭素との反応用溶媒としての臭素化アセトン誘導体の混合物を用いることを含む方法である。
【0018】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明及び「特許請求の範囲」から明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
アセトンと臭素との反応によって、即ち本発明のアセトン臭素化工程において形成されるブロモアセトン誘導体は下記式Iで表される:
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、Xは臭素であり、Z及びZ’は水素であり、Y、Y’及びX’は独立に水素又は臭素である]。
【0022】
アセトンと2モルの臭素との反応の間中、反応の開始に従って反応マスが充分に混合されるような臭素とアセトンとの急速混合によって、テトラブロモアセトンのようなより高次の臭素化アセト誘導体の形成を減少させることができることがわかった。臭化水素触媒の投入又は自然形成(spontaneous formation)の前にアセトンと臭素とを急速に混合すると、テトラブロモアセトン濃度が著しく低くなる。アセトン及び臭素は、溶媒の投入前に予備混合することができる。
【0023】
また、臭素化アセトン誘導体の混合物は、不所望な副生成物を形成することなく、アセトンと2モルの臭素との反応用溶媒として使用することができることがわかった。臭素化アセトン誘導体の混合物は、ブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンが主成分である任意の組成物を含むことができる。
【0024】
当業者ならば、アセトンの臭素化が連続法によっても回分法によっても実施できることが容易にわかるであろう。
【0025】
本発明の重要な側面は、アセトンと2モルの臭素との反応によって生じる臭素化アセトン誘導体の平衡化混合物から、1,3−ジブロモアセトンを、残りの臭素化アセトン誘導体母液からの固体1,3−ジブロモアセトンの結晶化及び分離によって、単離できるという発見である。1,3−ジブロモアセトンの結晶化及び固体1,3−ジブロモアセトンと臭素化アセトン誘導体母液の分離は既知の方法によって実施できる。
【0026】
1,3−ジブロモアセトンの結晶化及び単離は、溶媒又は溶媒混合物の存在下でも不存在下でも実施できる。溶媒又は溶媒混合物は、それが試薬及び1,3−ジブロモアセトンに対して不活性であり且つ臭素化アセトン誘導体母液をその溶媒から単離できるように選択することができる。
【0027】
適当な結晶化溶媒の例としては、芳香族及び脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、エステル、アルコール及びケトン又はそれらの混合物が挙げられる。結晶化は、1,3−ジブロモアセトン生成物の純度を増大させるために、繰り返すことができる。
【0028】
アセトン臭素化プロセスの収率は、臭化水素の存在下で、残りの臭素化アセトン誘導体母液を平衡化させることによって増大させることができる。ブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンを含む、結晶1,3−ブロモアセトンの除去後に残る母液を平衡化させて、1,3−ジロモアセトンを主生成物として生成させることができる。1,3−ジブロモアセトンの結晶化及び単離の組合せとそれに続く残りの母液の平衡化は、1,3−ジブロモアセトンへの本質的に完全な転化が達成されるまで繰り返すことができる。この平衡化工程は別の工程として実施することもできるし、又は母液をアセトン臭素化工程に再循還させて、反応溶媒の全て又は一部とすることもできる。母液はまた、アセトンと臭素との反応に続く平衡化工程に直接加えることもできる。
【0029】
意外なことに、臭化水素の存在下におけるジブロモアセトン混合物の溶液の冷却は1,3−ジブロモアセトンの反応性結晶化を引き起こすことができることを更に見出した。1,3−ジブロモアセトンの結晶化とブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンからなる残りの混合物の平衡化を同時に行うと、この混合物の1,3−ブロモアセトンへの転化が高収率で起こる。結晶化1,3−ジブロモアセトンと平衡溶液を両方含む全内容物中の1,3−ジブロモアセトンの濃度は、反応性結晶化によって95%超に増大させることができる。
【0030】
1,3−ジブロモアセトンの反応性結晶化はまた、1,3−ジブロモアセトンの形成に従って、平衡化している臭素化アセトン混合物から1,3−ジブロモアセトンを分離することよっても実施することできる。結晶1,3−ジブロモアセトンの取出は、平衡中に存在する他の材料の1,3−ジブロモアセトンへの高収率での転化を可能にする。
【0031】
当業者ならば、1,3−ジブロモアセトンの結晶化又は反応性結晶化が懸濁又は固体層結晶化によって実施できることがわかるであろう。懸濁された結晶は、濾過によって分離できる。結晶化及び単離プロセスは、回分、半回分又は連続系で実施できる。
【0032】
結晶化温度は重要な側面ではなく、1,3−ジブロモアセトン混合物の出発組成及び結晶化溶媒の存在に左右されるが、一般には−30℃と純1,3−ジブロモアセトンの融点との間の温度で実施できる。
【0033】
反応性結晶化条件における臭化水素濃度は、臭素化アセトン誘導体を時宜を得た様式で平衡化させるのに充分な高い濃度でなければならない。臭化水素は0.01%〜10%の濃度で使用できる。しかし、低い触媒濃度の場合には、より長い平衡化時間が必要になる。
【0034】
本発明は、また、1,3−ジブロモアセトンと塩化物源とを反応させて1−ブロモ−3−クロロアセトンを生成させ、それを更に1,3−ジクロロアセトンに転化させることによる、1,3−ジブロモアセトンからの1,3−ジクロロアセトンの製造を含む。塩化物源は、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化水素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、Dowex Marathon MSAイオン交換樹脂及びポリ(4−ビニルピリジン)架橋メチルクロリド第4級塩であることができる。他の適当な塩化物源としては、塩化水素、無機イオン性塩化物並びに例えばアミン塩酸塩、第四級アンモニウム塩及びホスホニウム塩化物塩並びにそれらの組合せを含む有機塩化物が挙げられる。
【0035】
塩化物源は、塩化物源対ジブロモアセトンのモル比0.1:1〜200:1、好ましくは1〜100、そして最も好ましくは2〜75で使用する。1,3−ジブロモアセトン又は中間体1−ブロモ−3−クロロアセトンと塩化物源との反応は転化率を増大させるために繰り返すことができる。
【0036】
この反応は、溶媒の不存在下でも存在下でも実施できる。使用する場合には、溶媒は99重量%以下の量で使用できる。
【0037】
溶媒を使用する場合には、本発明において使用できる溶媒としては、例えば水、有機溶媒、例えばアルコール、エーテル、エステル、ケトン、塩素化炭化水素及びそれらの組合せが挙げられる。
【0038】
反応温度は、反応体及び生成物が条件に対して安定であるならば重要ではないが、一般に反応温度は0℃〜200℃、好ましくは10℃〜175℃、最も好ましくは20℃〜150℃である。
【0039】
反応圧力も重要ではないが、一般に反応圧力は真空〜3000psigである。
【0040】
反応は、連続、回分、半回分及び/若しくは固定床反応器又はそれらの組合せを用いて実施することができる。
【0041】
生成物1,3−ジクロロアセトンは、副生臭化物を含む塩化物源から、抽出又は蒸留のような既知の方法によって回収できる。
【0042】
1,3−ジクロロアセトンは結晶化又は蒸留のような既知の方法によって精製できる。1,3−ジクロロアセトンの精製から得られる未反応の1,3−ジブロモアセトン及び1−ブロモ−3−クロロアセトン中間体は転化率を増大させるために再循還させることができる。
【0043】
本発明の他の特徴は、ジブロモアセトン形成反応からの副生臭化水素及びジクロロアセトン形成反応後に残る副生臭化物を、再循還のために臭素に転化することである。副生臭化物の回収、それらの臭素への転化及び臭素化反応への臭素の再循還は、当業界で知られた方法によって実施できる。この方法は、例えば、Schubert et al,Chemtech,April 1993,37〜41頁に記載されている。臭化水素は、空気を含む酸素、塩素及び過酸化水素のような酸化剤によって臭素に転化できる。臭化水素を臭化水素酸の水溶液に転化し、臭化水素酸を臭素に酸化することができる。臭化水素又は臭化水素酸は中和して臭化物塩を形成できる。臭素及び塩化物塩の生成のための塩素による臭化物の処理が現在商業的に実施されている。臭素の回収の結果として得られる塩化物塩、塩化水素酸又は塩化水素は、1,3−ジブロモアセトンと塩化物源との反応に再循還させることができる。
【0044】
イオン交換樹脂は、樹脂から副生臭化物を除去するために、例えば塩化物源によって再生させることができ、副生臭化物は回収及び再循還のために臭素に転化することができる。
【0045】
1,3−ジクロロアセトンは、既知の種々の方法によって、1,3−ジクロロ−2−プロパノールに転化することができる。1,3−ジクロロ−2−プロパノールへの1,3−ジクロロアセトンの転化の例としては、WO 2003064357、米国特許第4024193号、日本特許第9104648号、特開昭63−297333号公報(日本特許第1990065号)が挙げられる。
【0046】
1,3−ジクロロ−2−プロパノールのエピクロロヒドリンへの転化は、エピクロロヒドリン製造の技術分野において、よく知られている。この反応は、通常、ジクロロプロパノールを水性アルキル金属水酸化物のような強塩基で処理することによって又は電気化学的処理によって、実施する。塩基を用いたジクロロプロパノールのエピクロロヒドリンへの転化の例は、ポーランド特許第176853号及びルーマニア特許第108962号及び特開昭63−17874号公報(日本特許第2055817号)に記載されている。1,3−ジクロロ−2−プロパノールは、また、米国特許第5,997,716号に記載されたような電気化学処理を用いて、エピクロロヒドリンに転化できる。
【実施例】
【0047】
以下の実施例を本発明の説明のために記載するが、これらは本発明の範囲を制限するものと解してはならない。特に断らない限り、全ての部及び%は重量基準であり、生成物の分析は、溶媒を除いたガスクロマトグラフィーの面積%による。
【0048】
実施例1
臭素の急速な添加による酢酸エチル中におけるアセトンの臭素化
2000mLのジャケット付きガラス反応器に、撹拌機及び電磁撹拌バー、添加用漏斗並びに氷が装填されたコールドフィンガー・コンデンサーを装着し、水が装填された1対のガススクラバーにガス抜きした。反応器に酢酸エチル136.6g及びアセトン19.5gを装入し、溶液を30℃に加温した。臭素107.4gを添加用漏斗に入れ、次いで5秒間にわたって急速混合しながら反応器に加えた。反応が自己開始し(self−initiated)、45秒以内に完了した。これは臭素の色の消失によって証明された。反応混合物を30分間窒素スパージした。反応生成物の分析は、ブロモアセトン13.0%、1,1−ジブロモアセトン5.4%、1,3−ジブロモアセトン70.5%、トリブロモアセトン11.1%であった。テトラブロモアセトンは0.2%未満しか存在しなかった。
【0049】
比較例A
SU1,567,568に記載されたようにして15分間にわたって臭素を添加しながら行う酢酸エチル中におけるアセトンの臭素化
2000mLのジャケット付きガラス反応器に、撹拌機及び電磁撹拌バー、添加用漏斗並びに氷が装填されたコールドフィンガー・コンデンサーを装着し、水が装填された1対のガススクラバーにガス抜きした。反応器に酢酸エチル136.2g及びアセトン31.3gを装入し、溶液を30℃に加温した。臭素170.0gを添加用漏斗に入れ、次いで15分間にわたって急速混合しながらアセトン溶液に加えた。反応混合物を30分間窒素スパージした。反応生成物の分析は、ブロモアセトン12.9%、1,1−ジブロモアセトン8.3%、1,3−ジブロモアセトン62.3%、トリブロモアセトン15.6%及びテトラブロモアセトン2.4%であった。
【0050】
実施例2
臭素化アセトン混合物中におけるアセトンの臭素化
2000mLのジャケット付きガラス反応器に、撹拌機及び電磁撹拌バー、添加用漏斗、気体添加用の浸漬管並びにドライアイス/アセトンが装填されたコールドフィンガー・コンデンサーを装着し、水が装填された1対のガススクラバーにガス抜きした。反応器に、ブロモアセトン9.5%、1,1−ジブロモアセトン4.7%、1,3−ジブロモアセトン71.7%、トリブロモアセトン13.8%及びテトラブロモアセトン0.4%からなる臭素化アセトン混合物150.1gを装入した。この臭素化アセトン混合物にアセトン16.1gを添加し、溶液を20℃において撹拌した。臭素88.7gを添加用漏斗に入れ、次いで5秒以内で反応器に入れ、溶液を1分間撹拌した。触媒量の臭化水素を反応混合物に添加して、反応を開始させた。反応は60秒以内に完了した。これはガス発生の停止によって証明された。反応混合物を90分間撹拌した。反応生成物の分析は、アセトン0.5%、ブロモアセトン10.0%、1,1−ジブロモアセトン5.0%、1,3−ジブロモアセトン69.2%、トリブロモアセトン14.9%及びテトラブロモアセトンは0.4%であった。反応混合物を水100g中に排出し、層を分離させて、ジブロモアセトン207gを生成した。
【0051】
実施例3
ジブロモアセトン混合物の反応性結晶化
実施例1に従って製造された1,3−ジブロモアセトン生成物を水洗し、真空下で溶媒を除去した。臭化水素0.5gを臭素化生成物混合物50.2gに添加した。この溶液を10℃に冷却し、1,3−ジブロモアセトン結晶を種結晶として添加した。固体塊となるまで、この懸濁液を9〜10℃に保持した。得られた物質の分析は、ブロモアセトン0.4%、1,1−ジブロモアセトン0.3%、1,3−ジブロモアセトン97.3%及びトリブロモアセトン2.1%であった。
【0052】
実施例4
1,3−ジブロモアセトンの濾過を用いたジブロモアセトン混合物の反応性結晶化
2000mLのジャケット付きガラス反応器に、撹拌機及び電磁撹拌バー、温度計及び気体添加用の浸漬管を装着し、結晶化容器として用いた。スラリーを移すための別の浸漬管を、ボール弁を含む管材料によって1000mLのジャケット付きガラス焼結ガラス加圧フィルターに接続した。液体を戻すことができるように、ボール弁を含む管材料によって加圧フィルターの底部を晶析器に接続した。加圧フィルターに通気弁及び窒素入口弁を装着した。晶析器に、ブロモアセトン13.0%、1,1−ジブロモアセトン5.3%、1,3−ジブロモアセトン67.2%及びトリブロモアセトン11.0%からなる(ガスクロマトグラフィーの面積%によって分析)ジブロモアセトン混合物2011gを装入した。臭化水素17.0gを添加し、溶液を11.5℃に冷却した。平衡化混合物に1,3−ジブロモアセトン7.0gを種結晶として添加した。粗製ジブロモアセトン混合物中の1,3−ジブロモアセトン結晶のスラリーを加圧フィルターに入れ、フィルターの加圧によって母液を除去し、そして液体をガス抜きして晶析器に戻すことによって、1,3−ジブロモアセトン結晶を定期的に単離した。24時間後、合計906gの1,3−ジブロモアセトン結晶が回収された。残りの1108gの母液の分析は、ブロモアセトン12.8%、1,1−ジブロモアセトン5.0%、1,3−ジブロモアセトン67.0%及び、トリブロモアセトン10.5%であった。
【0053】
実施例5
溶媒結晶化、副生成物平衡化及び1,3−ジブロモアセトン単離による1,3−ジブロモアセトンの製造、単離
2000mLのジャケット付きガラス反応器に、撹拌機及び電磁撹拌バー、添加用漏斗、気体添加用の浸漬管並びに氷が装填されたコールドフィンガー・コンデンサーを装着し、水が装填された1対のガススクラバーにガス抜きした。これに、酢酸エチル150g及びアセトン16.5gを装入し、溶液を10℃に冷却した。臭素を添加用漏斗に入れ、次いでこれを5秒間にわたってアセトン溶液に添加した。この溶液を5分間撹拌してから、これに触媒量の臭化水素を添加した。臭素の色が消失した後、反応混合物を30分間窒素スパージした。溶媒を真空下で除去し、臭素化アセトン混合物を21%ジエチルエーテル/79%ペンタン178gと混合し、5℃に冷却した。この時点で、結晶が形成された。懸濁液を0℃に冷却し、1時間保持した。結晶を単離し、21%エーテル/79%ペンタンで洗浄し、乾燥させて、31.4gを得た。結晶生成物の分析は、ブロモアセトン0.1%、1,3−ジブロモアセトン99.1%及びトリブロモアセトン0.7%であった。結晶化からの母液を洗液と合し、溶媒を真空下で除去した。濃縮された母液に酢酸エチル中12%臭化水素30gを添加し、室温で95分間撹拌した。平衡化された溶液を水洗し、溶媒を真空下で除去した。平衡化された母液に21%エーテル/79%ペンタン98gを添加し、得られた溶液を、濁るまで冷却した。この時点で、1,3−ジブロモアセトンを種結晶として添加した。懸濁液を1時間かけて0℃に冷却した。結晶を単離し、21%エーテル/79%ペンタンで洗浄し、乾燥させて、11.9gを得た。結晶生成物の分析は、1,3−ジブロモアセトンが98.3%であった。真空下における母液及び洗液の濃縮によって、臭素化アセトン誘導体が14.6g得られた。
【0054】
実施例6〜17
ジクロロアセトンを製造するための一般的操作
60mLのセラムボトル(serum bottle)中で1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と混合する。この溶液を60℃〜80℃の水浴中に入れ、5〜60分間撹拌する。この溶液を室温に冷却し、臭素化アセトン誘導体をジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析する。結果を表Iに示す。表Iには、使用した塩化物源、塩化物源並びに生成物1,3−ジクロロアセトン(1,3−DCA)、1−ブロモ−3−クロロアセトン(1−Br−3−ClA)及び1,3−ジブロモアセトン(1,3−DBA)の量も示す。
【0055】
【表1】

【0056】
以下の実施例18〜21は、1,3−ブロモアセトン及び塩化物源からの1,3−ジクロロアセトンの製造における種々の塩化物対1,3−DBAモル比の使用を示す。
【0057】
実施例18
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン2.0gを水9.6g中塩化ナトリウム2.7gと混合した(モル比1:5)。この溶液を80℃の水浴に入れ、10分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン26.0%、1−ブロモ−3−クロロアセトン33.1%及び1,3−ジクロロアセトン40.9%を得た。
【0058】
実施例19
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン2.0gを水19.2g中塩化ナトリウム5.4gと混合した(モル比1:10)。この溶液を80℃の水浴に入れ、10分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン4.2%、1−ブロモ−3−クロロアセトン19.6%及び1,3−ジクロロアセトン76.2%を得た。
【0059】
実施例20
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン2.0gを水28.8g中塩化ナトリウム8.1gと混合した(モル比1:15)。この溶液を80℃の水浴に入れ、10分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0.3%、1−ブロモ−3−クロロアセトン8.3%及び1,3−ジクロロアセトン91.4%を得た。
【0060】
以下の実施例21〜23は、1,3ジブロモアセトン及び塩化物源からの1,3−ジクロロアセトンの製造における種々の溶媒濃度の使用を示す。
【0061】
実施例21
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン2.0gを水40g中塩化ナトリウム10.8gと混合した。この溶液を60℃の水浴に入れ、5分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン26.6%、1−ブロモ−3−クロロアセトン37%及び1,3−ジクロロアセトン36.4%を得た。
【0062】
実施例22
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン1.0gを水40g中塩化ナトリウム5.4gと混合した。この溶液を60℃の水浴に入れ、5分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン12.1%、1−ブロモ−3−クロロアセトン47.0%及び1,3−ジクロロアセトン40.9%を得た。
【0063】
実施例23
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン0.5gを水40g中塩化ナトリウム2.7gと混合した。この溶液を60℃の水浴に入れ、5分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン39.6%、1−ブロモ−3−クロロアセトン48.1%及び1,3−ジクロロアセトン12.3%を得た。
【0064】
実施例24〜25は、周囲温度における1,3−ジブロモアセトン及び塩化物源からの1,3−ジクロロアセトンの製造を示す。
【0065】
実施例24
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン4.9gを水10.0g中塩化テトラエチルアンモニウム38.4gと混合した。この溶液を周囲温度で30分間撹拌し、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0.1%、1−ブロモ−3−クロロアセトン4.3%及び1,3−ジクロロアセトン95.2%を得た。
【0066】
実施例25
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン2.0gを水37.4g中塩化カリウム13.8gと混合した。この溶液をわずかに加温して、1,3−ジブロモアセトン結晶を融解させ、次いで周囲温度で22時間撹拌した。この溶液を、ジエチルエーテル10mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0.1%、1−ブロモ−3−クロロアセトン3.7%及び1,3−ジクロロアセトン96.3%を得た。
【0067】
実施例26〜28は、1,3−ジブロモアセトン及び塩化物源からの1,3−ジクロロアセトンの製造における有機溶媒の使用を示す。
【0068】
実施例26
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン0.4gをジエチルエーテル10.0g中ポリ(4−ビニルピリジン)メチルクロリド第4級塩10.0gと混合した。この溶液を60℃の水浴中に入れ、60分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0%、1−ブロモ−3−クロロアセトン5.7%及び1,3−ジクロロアセトン94.3%を得た。
【0069】
実施例27
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン0.4gをジエチルエーテル10.0g中Dowex Marathon MSA 10.0gと混合した。この溶液を60℃の水中に入れ、60分間撹拌した。この溶液を室温に冷却し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0.2%、1−ブロモ−3−クロロアセトン7.8%及び1,3−ジクロロアセトン92.0%を得た。
【0070】
実施例28
60mLのセラムボトル中で1,3−ジブロモアセトン0.29gをメタノール1.0g中塩化カルシウム二水和物4.0gと混合した。この溶液を60℃の水中に入れ、60分間撹拌した。室温に冷却し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0%、1−ブロモ−3−クロロアセトン1.7%、1,3−ジクロロアセトン89.6%及びメタノールと1,3−ジクロロアセトンとの反応からの誘導体8.7%を得た。
【0071】
実施例29
この実施例においては、溶媒を用いなかった。
【0072】
1,3−ジブロモアセトン0.65gを、60mLのセラムボトル中で融解塩化テトラエチルアンモニウム10.0gと混合した。この溶液を60℃で5時間撹拌した。1mLのサンプルを1mLの水に加え、ジエチルエーテル2mLで抽出し、エーテル層をガスクロマトグラフィーによって分析して、1,3−ジブロモアセトン0%、1−ブロモ−3−クロロアセトン1.1%、及び1,3−ジクロロアセトン98.9%を得た。
【0073】
実施例30
この実施例は、1,3−ジブロモアセトンと塩化物源からの1,3−ジクロロアセトンの製造における複数の反応の使用を示す。
1,3−ジブロモアセトン31.3gを水557g中塩化カリウム217gと混合し、混合物を60℃の浴中で10分間撹拌した。混合物を20℃に冷却し、ジクロロメタン150gで6回抽出し、抽出の間においてジクロロアセトン生成物から減圧蒸留によってジクロロメタンを回収した。得られたジクロロアセトン生成物を、水563g中塩化カリウム218gと混合し、混合物を60℃の浴中で10分間撹拌した。混合物を20℃に冷却し、ジクロロメタン150gで6回抽出し、抽出の間においてジクロロアセトン生成物から減圧蒸留によってジクロロメタンを回収した。合計18.0g(収率98%)の1,3−ジクロロアセトンを回収した。結晶生成物の分析は、1,3−ジクロロアセトンが>99.5%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アセトンを臭素と反応させて、臭素化アセトン誘導体と副生臭化水素との混合物を生成せしめ;
(b)前記臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成せしめ;
(c)前記臭素化アセトン誘導体母液の混合物中で1,3−ジブロモアセトンを結晶化させ;そして
(d)前記臭素化アセトン誘導体の混合物から1,3−ジブロモアセトンを単離する
ことを含んでなる1,3−ジブロモアセトンの製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)及び(d)を実質的に同時に実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(e)前記工程(d)からの臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させて1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成せしめ;そして
(f)前記工程(e)において製造された平衡化臭素化アセトン誘導体の混合物から1,3−ジブロモアセトンを結晶化させ
(g)平衡化臭素化アセトン誘導体の混合物から1,3−ジブロモアセトンを単離する
ことを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(f)及び(g)を実質的に同時に実施する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
1,3−ジブロモアセトンへの本質的に完全な転化が達成されるまで、前記工程(e)、(f)及び(g)をこの順序で繰り返すことを更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶化工程を懸濁又は固体層結晶化によって実施する請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶化を溶媒又は溶媒混合物中で実施する請求項1又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒又は溶媒混合物が、芳香族及び脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、エステル、アルコール並びにケトン又はそれらの混合物から本質的になる群から選ばれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)アセトンを臭素と反応させて、臭素化アセトン誘導体と副生臭化水素との混合物を生成せしめ;
(b)前記臭素化アセトン誘導体の混合物を平衡化させて、1,3−ジブロモアセトンを主生成物として生成せしめ;そして
(c)1,3−ジブロモアセトンの転化が臭素化アセトン誘導体の混合物中のその液体平衡濃度より上の濃度まで増加するように、(i)1,3−ジブロモアセトンの結晶化及び(ii)臭素化アセトン誘導体の混合物の平衡化を実質的に同時に行う
ことを含んでなる1,3−ジブロモアセトンの製造方法。
【請求項10】
前記1,3−ジブロモアセトンと平衡化している臭素化アセトン誘導体との混合物が75重量%超の1,3−ジブロモアセトンを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平衡化している臭素化アセトン誘導体の混合物から固体1,3−ジブロモアセトンを取り出す請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記臭素化アセトン誘導体がブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンを含む請求項1又は9に記載の方法。
【請求項13】
前記臭素化アセトン誘導体がアセトン、ブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン、トリブロモアセトン及びテトラブロモアセトンを含む請求項1又は9に記載の方法。
【請求項14】
前記平衡化工程を触媒の存在下で実施する請求項1、3又は9に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が臭化水素である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(a)において、テトラブロモアセトンの形成が防止されるか又は実質的に最小限に抑えられるように、反応の初期に、アセトンと臭素とを充分に混合する請求項1又は9に記載の方法。
【請求項17】
前記工程(a)を、臭素化アセトン誘導体の混合物からなる溶媒の存在下で、実施する請求項1又は9に記載の方法。
【請求項18】
前記臭素化アセトン誘導体がブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン及びトリブロモアセトンを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記臭素化アセトン誘導体がアセトン、ブロモアセトン、1,1−ジブロモアセトン、1,3−ジブロモアセトン、トリブロモアセトン及びテトラブロモアセトンを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
臭素化アセトン誘導体の混合物が、(i)請求項1又は9の工程(a)からの非平衡化生成物;(ii)請求項1又は9の工程(b)からの平衡化生成物;臭素化アセトン誘導体の混合物中における1,3−ジブロモアセトンの結晶化から得られた母液;及び(iv)(i)、(ii)又は(iii)の任意の組合せを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
アセトンの臭素化において副生成物として形成された臭化水素を回収し、そして臭化水素を分子状臭素に転化させることを更に含む請求項1又は9に記載の方法。
【請求項22】
臭素をアセトン臭素化反応に再循還させることを更に含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記工程(a)、(b)、(c)又は(d)のいずれか一つを連続的に実施する請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記工程(a)、(b)又は(c)のいずれか一つを連続的に実施する請求項9に記載の方法。
【請求項25】
任意の工程を連続的に実施する請求項21又は22に記載の方法。
【請求項26】
1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて1,3−ジクロロアセトンを生成せしめることを含んでなる1,3−ジクロロアセトンの製造方法。
【請求項27】
前記塩化物源が塩化水素、塩化水素酸、無機イオン性塩化物、アミン塩酸塩、第四級アンモニウム塩、塩化ホスホニウム塩及びそれらの組合せからなる群から選ばれる請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記反応生成物が1,3−ジクロロアセトンと反応工程後の副生臭化物を含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
1,3−ジクロロアセトンを単離する工程を含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記1,3−ジブロモアセトンを、請求項1又は9に記載の方法によって製造する請求項26に記載の方法。
【請求項31】
副生臭化物を分子状臭素に転化することを更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
副生臭化物を分子状臭素に転化させ且つ塩化物源を再生することを更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項33】
臭素をアセトン臭素化反応に再循還させることを更に含む請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
塩化物源を1,3−ジブロモアセトンと塩化物源との反応に再循還させることを更に含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
副生臭化物の臭素への転化を連続反応器を用いて実施する請求項31又は32に記載の方法。
【請求項36】
(a)1,3−ジブロモアセトンを塩化物源と反応させて、1,3−ジクロロアセトンを生成せしめ;
(b)工程(a)で製造された1,3−ジクロロアセトンを触媒の存在下で水素化して、1,3−ジクロロヒドリンを生成せしめ;そして
(c)1,3−ジクロロヒドリンを塩基で環化させて、エピクロロヒドリンを生成せしめる
ことを含んでなるエピクロロヒドリンの製造方法。
【請求項37】
前記1,3−ジブロモアセトンを請求項1又は9に記載の方法によって製造する請求項36に記載の方法。
【請求項38】
1,3−ジブロモアセトンの反応を連続反応器及び/又は固定床反応器を用いて実施する請求項26又は36に記載の方法。
【請求項39】
1,3−ジクロロアセトンを連続蒸留又は連続抽出によって単離する請求項29又は36に記載の方法。

【公表番号】特表2008−500389(P2008−500389A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527361(P2007−527361)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017193
【国際公開番号】WO2005/115954
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】