説明

11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤

本発明は、11β−HSD 1型アンタゴニスト活性を有する、式Iで表される新規な化合物、


(I)
並びにかかる化合物の調製方法の提供に関する。他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を含有する医薬組成物、並びに、糖尿病、高血糖、肥満、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム、及び11β−HSDタイプ1活性と関連する他の症状を治療するための、当該化合物及び組成物の使用方法の提供に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、2006年4月25日に出願の米国仮特許出願第60/745574号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ1(以下「11−β−HSD1」)の阻害化合物、並びにその医薬組成物及びヒト又は動物の治療への当該化合物及び組成物の使用、並びに当該阻害化合物の調製に有用な新規な中間体の提供に関する。本発明の化合物は、11−β−HSD1を強力かつ選択的に阻害し、それにより11−β−HSD1の変調に応答する障害(例えば糖尿病、メタボリックシンドローム、認知障害など)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
肝、脂肪組織及び筋において、活性を示す糖質コルチコイドは、グルコース、脂質及びタンパク質代謝の重要なレギュレータである。慢性的な糖質コルチコイド過剰はインスリン抵抗性、内臓の肥満症、高血圧及び異脂肪血症を伴い、またメタボリックシンドロームの古典的な特徴を示す。11−β−HSD1は、不活性コルチゾンの活性コルチゾルへの転換を触媒するため、メタボリックシンドロームの進行との関連がこれまで示唆されている。特にげっ歯類及びヒトにおける研究成果から、メタボリックシンドロームと11−β−HSD1との関連が示されている。また更なる研究成果から、2型糖尿病患者において、11−β−HSD1を特異的に阻害する薬剤が、肝臓における糖新生によって、血糖を低下させ、中心性肥満を減少させ、アテローム生成的なリポタンパク質表現型を改良し、血圧を低下させ、インスリン抵抗性を低下させることが示されている。筋肉内におけるインシュリン効果が強化され、更に小島β細胞からのインシュリン分泌も増加されうる。また、動物及びヒトにおける研究成果から、糖質コルチコイドの過剰により認知機能が損なわれることが示されている。更に最近の研究成果から、11−β−HSD1の不活性化により、ヒト及びマウスにおいて、記憶が強化されることが示されている。更に、11−β−HSD阻害化合物カルベノキソロンが健康な初老の男性及び2型糖尿病患者の認知機能を改良し、また11−β−HSD1遺伝子の不活性化によりマウスの老化により誘発される障害を防止することが示されている。更に、医薬品による11−β−HSD1の選択的阻害により、マウスの記憶力が改良されることが最近示されている。
【0004】
11−β−HSD1阻害剤に関する報告が、近年幾つかなされている。例えば、11−β−HSDの阻害化合物としてアダマンチルアセトアミドを開示している特許文献1、11−β−HSDの阻害化合物としてピロリジン−2−オン及びピペリジン−2−オン誘導体を開示している特許文献2、及び11−β−HSDの阻害化合物としてアダマンチルピロリジン−2−オン誘導体を開示している特許文献3を参照されたい。11−β−HSD1が関与する疾患の治療法が多く存在するにもかかわらず、現在行われている治療法に幾つかの欠点が存在する(例えば不十分な効果、許容できない副作用及び特定の患者集団における禁忌など)。
【特許文献1】国際公開第2004/056744号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/108360号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/108361号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より、11−β−HSD1を阻害し、11−β−HSD1阻害が良好な効果をもたらしうる疾患を治療するための、代替的若しくは改良された医薬品を使用することを特徴とする、新規な治療方法に対するニーズが依然存在する。本発明は、ある新規な化合物が11−β−HSD1に対する強力かつ選択的な阻害活性を示すという発見に基づくものであり、それは当該技術分野に対する貢献となる。本発明は特定の構造及びそれらの活性において、先行技術を凌駕するものである。糖尿病、メタボリックシンドローム及び認知障害を治療するための新規な方法に対するニーズが依然存在するため、これらの及びその他のニーズを満たすことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。
【化1】

(I)
詳細には、式中、Rは水素又は−OHであり、Rは水素であるか、又は、R及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化2】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH、−(C−C)シクロアルキル、
−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、
−NHSO−フェニル(R21)(R21)、−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化3】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、
−C(O)−(C−C)アルキル、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、
−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化4】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
式中、mは1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき(CH)nは結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に、水素若しくは−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0007】
本発明は11−β−HSD1の強力かつ選択的な阻害にとり有用である、式Iの化合物の提供に関する。本発明は更に、式Iの化合物又はその製薬塩、並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物の提供に関する。本発明は更に、メタボリックシンドローム及びそれに関係する障害の治療方法であって、かかる障害に罹患する患者に有効量の式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩を投与することを含んでなる方法の提供に関する。
【0008】
一実施形態では、本発明は上記で説明した、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。本発明に係る化合物の全てが有用であるが、その中でも幾つかの化合物が特に興味深く、好適である。以下に幾つかの好適な化合物群を示す。
【0009】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化5】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
はハロゲンであり、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH、−(C−C)シクロアルキル、
−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、
−NHSO−フェニル(R21)(R21)、−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化6】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、
−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化7】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
式中、mは1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき(CH)nは結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に、水素若しくは−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0010】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化8】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化9】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、
−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化10】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0011】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化11】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化12】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、
【化13】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0012】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化14】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化15】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、

【化16】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0013】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化17】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化18】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は−SO−(C−C)アルキル、
【化19】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0014】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはそれらが結合しているシクロヘキシル環と共に結合して
【化20】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化21】

であり、式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は−N(R)(R)、
【化22】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0015】
本発明の別の実施形態は、上記の実施形態を更に限定した形態の提供に関し、それは以下から選択される。具体的には、下記の各々の形態を各々独立に、上記の実施形態の各々と組み合わせてもよく、またかかる特定の組合せを選択し、かかる選択の際に可変部分を適宜調整することにより、更に限定された他の実施形態とすることができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、以下の構造式で表される。
【化23】

式中、Rは−OHである。好ましくはR及びRは、それらが結合するシクロヘキシル環と共に
【化24】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表す。好ましくはRはハロゲンである。
好ましくはRは−CHである。好ましくはRは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくはRは塩素である。好ましくはRはフッ素である。好ましくはRは臭素である。好ましくはRはハロゲンである。好ましくはRは−CHである。好ましくはRは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくはRは塩素である。好ましくはRはフッ素である。好ましくはRは臭素である。好ましくはRは塩素であり、Rは塩素である。好ましくはRは水素である。好ましくはRはハロゲンである。好ましくはRは塩素であり、Rは塩素であり、Rは水素である。
好ましくはR
【化25】

である。好ましくはR
【化26】

である。好ましくはR
【化27】

である。好ましくはR
【化28】

である。好ましくはR
【化29】

であり、Rは水素である。好ましくはR
【化30】

である。好ましくはR
【化31】

である。好ましくはR
【化32】

である。好ましくはR
【化33】

である。好ましくはR
【化34】

である。好ましくはRは−N(R)(R)、
【化35】

である。
好ましくはRは−SO−(C−C)アルキル、
【化36】

である。
好ましくはR
【化37】

である。好ましくはR
【化38】

であり、Rは−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は
【化39】

である。好ましくはR
【化40】

である。好ましくはR
【化41】

である。好ましくはR
【化42】

であり、Rは−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくはRは塩素又はフッ素である。好ましくはRは水素である。好ましくはRはハロゲンである。好ましくはRは−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくはRは水素である。好ましくはRはハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくはRはハロゲンである。好ましくはRは−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくはRは各々独立に、水素である。好ましくはRは各々独立に、−(C−C)アルキルである。好ましくはRは各々独立に、−CHである。好ましくはRは水素である。好ましくはRはハロゲンである。好ましくはRは−CFである。好ましくはRはフッ素であり、Rはフッ素である。
【0017】
本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。詳細には、式中、
は水素又は−OHであり、Rは水素であるか、又は、
及びRは、それらが結合するシクロヘキシル環と共に
【化43】

を形成し、式中、星印は式Iのラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は塩素であり、Rは塩素であり、Rは水素であり、Rはハロゲン、
【化44】

式中、点線は式IのR位置への結合部位を表し、
は水素、塩素、フッ素、−CH、−CF、−C(CH、−CH(CH、−OC(CH、−C(O)O−CH、−N(−CH)(−CH)、
【化45】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、塩素、フッ素、臭素、−CH、CFであり、
は水素、塩素、フッ素、臭素であり、
は、各々独立に水素又は−CH、−CH−CH、−C(CH、−CH(CH
は水素、又は塩素、フッ素、臭素であり、
20は各々独立に、水素、−CHであり、
22は各々独立に水素である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン、及び2−{3,5−ジクロロ−4’−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ビフェニル−4−イルメチル}である−2、−アザスピロ[4.5]デカン−1−オンである化合物である。本発明の別の実施形態は、本願明細書に記載の新規な中間体であって、11−β−HSD1の阻害に有用な、本願明細書に記載の式Iの化合物及びそれに関連する諸実施形態に係る化合物の調製用の中間体の提供に関する。本発明の別の実施形態は、本願明細書に記載されている新規な中間体調製物であり、それらは2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン及び2−{3,5−ジクロロ−4’−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ビフェニル−4−イルメチル}−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン、又はその薬理学的に許容できる塩の調製にとり有用である。
【0019】
2型糖尿病患者では通常、罹患率及び早熟性の死亡率の増加につながる異常なグルコースホメオスタシス及び高血糖症の原因となる「インシュリン耐性」が進行する。異常なグルコースホメオスタシスは、肥満症、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質の代謝の変調を伴う。2型糖尿病患者では、心血管性の合併症(例えばアテローム性動脈硬化症、冠状心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経病変及び網膜症)が発症する危険性が高い。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満症及び高血圧の治療的制御は、糖尿病の抑制及び治療において、重要である。インスリン抵抗性を有するが2型糖尿病を示さない多くの患者は「X症候群」又は「メタボリックシンドローム」に罹患する危険性が高い。メタボリックシンドロームは、腹部の肥満、高インスリン血症、高血圧症、低HDL、高VLDL、高血圧、アテローム性動脈硬化症、冠状心疾患及び慢性腎不全と共にインスリン抵抗性が示されるのが特徴である。これらの患者は、顕性の糖尿病が進行しているか否かに関わらず、上記の心血管性の合併症に罹患する危険性が高い。
【0020】
本発明の化合物は、11−β−HSD1を阻害することにより、11−β−HSD1の阻害が効果的である、広範囲にわたる症状及び障害の治療に有用である。これらの障害及び症状を、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」として本願明細書では定義する。当業者であれば、11−β−HSD1活性の、障害時における病態又は障害へのホメオスタシス応答との関連性から、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」を同定することが可能である。すなわち、当該化合物は、例えば「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」の疾患、症状、関連する症候又は後遺症の予防、治療又は軽減にとり有用である。
【0021】
「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」としては、限定されないが、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高血糖、高インシュリン血症、β細胞不全、第1段階反応の復元によるβ細胞機能の改良、食事による高血糖、アポトーシス防止、障害性の絶食時グルコースレベル(IFG)、メタボリックシンドローム、低血糖、高/低カリウム血症、標準グルカゴンレベル、改良されたLDL/HDL比率、間食の減少、摂食障害、体重減少、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、糖尿病の結果としての肥満症、成人における不顕性自己免疫性糖尿病(LADA)、インスリン症、小島移植、小児糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病性の遅い合併症、ミクロ/マクロアルブミン尿症、腎症、網膜症、神経病変、糖尿病性足潰瘍、グルカゴン投与による腸運動性の減少、短小腸症候群、制瀉、胃液分泌増加、血流減少、勃起障害、緑内障、手術後侵襲、虚血後の血流再潅流によって生じる器官・組織損傷の回復、虚血心障害、心臓機能不全、うっ血性心不全、発作、心筋梗塞、不整脈、早死、抗アポトーシス、癒傷、耐糖能異常(IGT)、インスリン抵抗症候群、メタボリックシンドローム、エックス症候群、高脂血症、異脂肪血症、過トリグリセリド血症、リポ蛋白過剰血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などの動脈硬化、グルカゴノーマ、急性膵炎、循環器病、高血圧、心臓肥大症、胃腸障害、肥満症、肥満症の結果としての糖尿病、糖尿病性異脂肪血症などが挙げられる。すなわち、本発明はまた、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」の治療に伴う不必要な副作用の1つ以上を低減又は排除する、当該障害の治療方法の提供に関する。
【0022】
本発明は更に、11−β−HSD1活性の阻害、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害、哺乳類における糖血値の減少、過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変の治療、及び損傷回復に使用するための、式Iの化合物若しくはその製薬塩、又は式Iの化合物若しくはその製薬塩並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含有する医薬組成物の提供に関する。すなわち、本発明の方法には、式Iの化合物の予防的及び治療的投与が包含される。
【0023】
本発明は更に、11−β−HSD1活性の阻害用薬剤の製造、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害用薬剤の製造、哺乳類における糖血値の抑制用薬剤の製造、過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療用薬剤の製造、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療用薬剤の製造、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の治療用薬剤の製造への、式Iの化合物若しくはその製薬塩の使用方法の提供に関する。
【0024】
本発明は更に、哺乳類における過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療方法、哺乳類における11−β−HSD1活性の阻害方法、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害方法、哺乳類における糖血値の低減方法、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療方法、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、11−β−HSD1活性の阻害に十分な量の、式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩又は式Iの化合物若しくはその製薬塩、並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは添加剤を含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる前記方法の提供に関する。
【0025】
本発明は更に、式Iの化合物若しくはその製薬塩、並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは添加剤を含んでなる医薬組成物であって、11−β−HSD1活性の阻害、11−β−HSD1活性により媒介される細胞応答の阻害、哺乳類における糖血値の減少、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の予防又は治療用に調製された、前記医薬組成物の提供に関する。
【0026】
本発明の更なる態様では、本発明の化合物は、更なる1つ以上の活性物質と適切な比率で組み合わされて投与される。かかる更なる活性物質は、例えば抗糖尿病剤、抗肥満症剤、降圧剤、糖尿病に起因若しくは関連する合併症の治療剤、並びに肥満症に起因若しくは関連する合併症及び障害の治療剤から選択されてもよい。以下のリストにおいて、かかる組合せの幾つかのグループを列挙する。以下に名称を列挙する各々の薬剤を、同様に名称を列挙する他の薬剤と混合して、更なる組合せを提供してもよいことが理解されよう。
【0027】
すなわち、本発明の別の実施形態では、本発明の化合物を、1つ以上の抗糖尿病剤との組み合わせで投与してもよい。
【0028】
好適な抗糖尿病剤としては、インシュリン、インシュリンアナログ及び誘導体(欧州特許出願公開第792290号(Novo Nordisk A/S)に記載の例えばNεB29−テトラデカノイル・デス(B30)ヒトインスリン、欧州特許出願公開第214826号及び第705275号(Novo Nordisk A/S)に記載の例えばAspB28ヒトインスリン、米国特許第5504188号(イーライ・リリー)に記載の例えばLysB28ProB29ヒトインスリン、欧州特許出願公開第368187号(アベンティス)に記載の例えばLantus(登録商標))、GLP−1及びGLP−1誘導体(例えば国際公開第98/08871号(Novo Nordisk A/S)に記載のもの)、並びに経口投与において有効な血糖降下剤が挙げられる。
【0029】
経口投与で有効な血糖降下剤としては、以下のものが包含される:イミダゾリン、スルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インシュリン増感剤、インシュリン分泌促進物質(例えばグリメピリド)、α−グルコシダーゼ阻害剤、及びβ−細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質(例えば国際公開第97/26265号、国際公開第99/03861号及び国際公開第00/37474号(Novo Nordisk A/S)(本明細書に援用される)において開示されるようなカリウムチャネル開放物質、又はミチグリニド、又はカリウムチャネルブロッカー(例えばBTS−67582)、ナテグリニド、グリカゴン拮抗剤(例えば、国際公開第99/01423号及び第00/39088号(Novo Nordisk A/S及びAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示される)、GLP−1アンタゴニスト、DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)阻害剤、PTPアーゼ(チロシンホスファターゼ)阻害剤、糖新生及び/又は糖原分解の刺激に関係する肝酵素阻害剤、グルコース取り込み調節因子、グルコキナーゼ(GK)の活性剤(例えば、国際公開第00/58293号、国際公開第01/44216号、国際公開第01/83465号、国際公開第01/83478号、国際公開第01/85706号、国際公開第01/85707号及び国際公開第02/08209号(Hoffman−La Roche社)に開示されるもの、又は国際公開第03/00262号、国際公開第03/00267号及び国際公開第03/15774号(AstraZeneca社)(本明細書に援用される)において開示されるもの)、GSK−3(グリコゲン合成酵素キナーゼ−3)阻害剤、HMG CoA阻害剤(スタチン)などの抗脂質物質などの脂質代謝調節化合物、摂食を低下させる化合物、PPAR−α、PPAR−γ及びPPAR−δサブタイプを含むPPAR(ペルオキシソーム増殖剤で活性化する受容体)リガンド及びRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト(例えばALRT−268、LG−1268又はLG−1069)。
【0030】
他の実施形態では、本発明の化合物はインスリン又はNεB29−テトラデカノイル−デス(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28 ProB29ヒトインスリン、Lantus(登録商標)などのインスリンアナログ又は誘導体、又はこれらの1つ又はそれ以上からなる混合製剤と併用して投与される。
【0031】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はグリベンクラミド、グリピジド、トルブタマイド、クロロパミデム、トラザミド、グリメプリド、グリカジド及びグリブリドなどのスルホニル尿素と併用して投与される。
【0032】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はビグアニド例えばメトルミンと併用して投与される。
【0033】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物はメグリチニド例えばレパグリニド又はナテグリニドと併用して投与される。
【0034】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物はチアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善薬例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS−011/CI−1037又はT174又は、本明細書に援用する国際公開第97/41097号パンフレット、国際公開第97/41119号パンフレット、国際公開第97/41120号パンフレット、国際公開第00/41121号パンフレット及び国際公開第98/45292号パンフレット(Dr. Reddy’s Research Foundation)に開示された化合物と併用して投与される。
【0035】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は、例えばGI262570、YM−440、MCC−555、JTT−501、AR水素039242、KRP−197、GW−409544、CRE−16336、AR水素049020、LY510929、LY510929、MBX−102、CLX−0940、GW−501516などのインスリン抵抗性改善薬と又はラガグリタザール(NN 622又は(−)DRF 2725)(Dr. Reddy’s Research Foundation)などの国際公開第99/19313号パンフレット、国際公開第00/50414号パンフレット、国際公開第00/63191号パンフレット、国際公開第00/63192号パンフレット、国際公開第00/63193号パンフレットなどに開示される、及び本明細書に援用する国際公開第00/23425号パンフレット、国際公開第00/23415号パンフレット、国際公開第00/23451号パンフレット、国際公開第00/23445号パンフレット、国際公開第00/23417号パンフレット、国際公開第00/23416号パンフレット、国際公開第00/63153号パンフレット、国際公開第00/63196号パンフレット、国際公開第00/63209号パンフレット、国際公開第00/63190号パンフレット及び国際公開第00/63189号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示される化合物と併用して投与してもよい。
【0036】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばボグリボース、エミグリテート、ミグリトール又はアカルボースと併用して投与される。
【0037】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はβ−細胞のATP−依存性のカリウムチャネルに作用する薬剤、例えばトルブタマイド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS−67582又はレパグリニドと併用して投与される。
【0038】
本発明の更に他の実施形態では、ナテグリニドと併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0039】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は抗脂血薬又は抗高脂血薬、例えばコレスチラミン、コレスチポル、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、プロブコル、デキストロチロキシン、フェノフィブレート又はアトロバスチンと併用して投与される。
【0040】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は食物摂取を低下させる化合物と併用して投与される。
【0041】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は一種以上の上記化合物と併用して、例えば、メトホルミンとグリブライドなどのスルホニル尿素、スルホニル尿素とアカルボース、ナテグリニドとメトホルミン、レパグリニドとメトホルミン、アカルボースとメトホルミン、スルホニル尿素、メトホルミンとトログリタゾン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリン、メトホルミン及びスルホニル尿素、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と併用して投与される。
【0042】
本願明細書における化合物の説明に使用される用語は、それらの通常の意味を有する。
【0043】
本発明の用語「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」又は「(C−C)アルキル」は、示された炭素原子数の直鎖又は分岐鎖状の飽和脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルなど)を指す。用語「(C−C)アルコキシ」は、酸素原子を介して結合したC−Cアルキル基を指し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ基などが包含される。「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素のことを指す。用語「(C−C)シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子数(通常3〜7個の炭素原子数)の飽和若しくは部分的に飽和した炭素環式化合物のことを指す。(C−C)シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で用いられる「任意に置換されてもよい」又は「任意の置換基」という用語は、対象となる基が、非置換でもよく、又は1つ以上の特定の置換基で置換されてもよいことを意味する。その対象となる基が複数の置換基で置換されるとき、それらの置換基は同じでもよく、異なってもよい。更に、用語「独立に」、「独立に…である」及び「独立に…から選択される」とは、対象となる基が同じでもよく、あるいは異なってもよいことを意味する。本願明細書で定義される具体的な用語は構造式中で複数回用いられてもよく、また各々の用語は各々の出現の際に個別的に定義されるものとする。
【0045】
例えばモルモット、イヌ、ネコ、ネズミ、マウス、ハムスター及び霊長類(ヒトを含む)は、本発明の用語「患者」の範囲内に包含されるものと理解される。好適な患者はヒトである。「患者」という用語には家畜が包含される。家畜は食糧生産のために飼育される動物である。乳牛、種牛、雌牛、去勢ウシ、ヒツジ、バッファロ、バイソン、ヤギ及びアンテロープのようないわゆる反芻動物が、家畜の例として挙げられる。家畜の他の例としては、ブタ及び鳥(家禽)(例えば鶏、カモ、シチメンチョウ及びガチョウ)などが挙げられる。治療対象となる患者は、好ましくは哺乳類(特にヒト)である。
【0046】
本明細書に用いられる用語「治療」、「処置する」及び「治療する」はそれらの一般的に容認される意味を包含し、即ち、特定の症状又は病気の発現及び進行のリスクを予防・減少し、本明細書に記載の病気、疾患又は病理的状態の進行又は重症化を防止、阻害、抑制、緩和、改善、緩慢化、停止、遅延又は逆転させ、検査し、及び/又は現存する症状を治療するための、患者の管理及び看護を含み、例えば症状又は合併症の緩和又は軽減、又はその病気、疾患又は病理的状態の治癒又は排除を包含する。本発明の方法は、必要に応じて、医学的な治療及び/又は予防的治療の両方を含んでなる。
【0047】
本発明の用語「治療上有効量」とは、本願明細書に記載の様々な病的症状の症候を緩和するのに十分な、本発明の化合物の量を意味する。本発明により投与される化合物の具体的な投与量は、当然ながら、例えば投与される化合物、投与経路、患者健康状態及び治療対象の病的症状などの、個別的な症状を取り巻く具体的な状況を考慮して決定される。
【0048】
「組成物」とは医薬組成物を意味し、1つ以上の式Iの化合物を含有する1つ以上の主成分と、担体を構成する1つ以上の不活性成分を含んでなる医薬製剤が包含される。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と、薬理学的に許容できる担体とを混ぜることにより調製されるあらゆる組成物が包含される。
【0049】
「実質的に純粋な」という用語は、所望の結晶形態の化合物を約90%超、好ましくは所望の結晶形態の化合物を約95%超含有する、純粋な結晶形態の状態のことを指す。
【0050】
用語「適切な溶媒」とは、反応物質を十分に溶解させ、進行中の反応に影響を与えず、所望の反応のための媒体を提供する、あらゆる溶媒又は溶媒の混合物のことを指す。
【0051】
用語「ユニットドーズの形態」とは被験者及び他の非ヒト動物に対する単位の薬用量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は適当な医薬担体との組み合わせで所望の治療効果を生じると計算された活性物質の所定量を含有する。
【0052】
本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を有してもよく、種々の立体配座を有してもよい。本発明の化合物は、これらのキラル中心の結果として、ラセミ化合物として存在してもよく、個々のエナンチオマー若しくはエナンチオマーの混合物として存在してもよく、あるいはジアステレオマー若しくはジアステレオマー混合物として存在してもよい。全てのかかるラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー及び混合物は、純粋であっても、部分的に精製されていても、未精製の混合物であっても、本発明の範囲内に包含される。本願明細書において、提供される例において、キラル中心又は周知の立体配座中心を含有する分子を示すときは、その立体化学を、化合物名と分子の構造表示を用いて示すものとする。立体化学が不明若しくは未定義である場合、その立体化学は化合物名又は分子の構造表示では示さない。本発明の実施形態には、本願明細書において、提供される実施例が含有され、その実施例においては1つのキラル若しくは立体配座の形又はその塩のみが記載されているが、当然ながら、本発明の別の実施形態には他の全ての立体異性体及び/又構造異性体、並びにその薬理学的に許容できる塩が包含される。これらの実施形態には、あらゆる単離されたエナンチオマー、ジアステレオマー、及び/又はこれらの構造異性体、並びに複数の形を含んでいるいかなる混合物も包含される。
【0053】
更に、分子中に、二重結合、完全若しくは部分的に飽和した環系、又は回転が制限された1以上の不斉中心又は結合が存在するとき、ジアステレオマーが形成されうる。本発明では、単離された、純粋な、部分的に精製されたジアステレオマー又はそれらの混合物としてのいかなるジアステレオマーであってもよく、本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。更にまた、本発明の化合物の幾つかは異なる互変異体の形として存在してもよく、当該化合物がとることができるいかなる互変異体の形態も本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。
【0054】
本明細書で用いられる用語「エナンチオマー富化」は、一方のエナンチオマーの量の、他方のエナンチオマーと比較しての増大を指す。達成されたエナンチオマー富化を表現する簡便な方法は、エナンチオマー過剰率の概念、すなわち「ee」の概念であって、以下の式を用いて表される。
ee=(E−E)/(E+E)×100
式中、Eは第1のエナンチオマーの量であり、Eは第2のエナンチオマーの量である。すなわち、二つのエナンチオマーの最初の比がラセミ体混合物のように50:50であり、かつ、70:30の最終比を生じさせるのに十分なエナンチオマー富化がなされる場合、第1のエナンチオマーに関する上記ee(エナンチオマー過剰率)は40%である。しかしながら、最終比が90:10である場合、第1のエナンチオマーに関する上記ee(エナンチオマー過剰率)は80%である。90%を超えないeeが好ましく、95%を超えないeeが最も好ましく、99%を超えないeeが特に最も好ましい。エナンチオマー富化は当業者によりキラルカラムによるガスクロマトグラフィ又は高性能液体クロマトグラフィなどの標準の技法及び方法を使用して容易に決定される。エナンチオマー対の分離実施に必要な適切なキラルカラム、溶出液及び条件の選択は、当業者にとって公知である。更に、式Iの化合物の特異的な立体異性体及びエナンチオマーは当業者によって、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley and Sons, Inc.、1981、及びE.L.ElielとS.H.Wilen,「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)、並びに1998年4月29日発行の欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されたような周知の技法及び分離法を利用して調製できる。分離の例としては、再結晶技法又はキラルクロマトグラフィーが挙げられる。
【0055】
式(I)の化合物を「シス」又は「トランス」で示す場合、それは2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン核のRに対するカルボニル基の相対的な位置関係のことを指す。
【0056】
「トランス」と示される化合物は、化合物II及びIIIにおける、以下のようなカルボニル基に対するRa1の相対的な位置関係を有する(Ra1が−OH及び−O−Pgであり、Pgが保護基(例えば−Si(フェニル)−C(CH)である)。
【化46】

【0057】
「シス」と示される化合物は、化合物IV及びVにおける、以下のようなカルボニル基に対するRa1の相対的な位置関係を有する(Ra1が−OH及び−O−Pgであり、Pgが保護基(例えば−Si(フェニル)−C(CH)である)。
【化47】

【0058】
式Iの化合物は種々の手順により当該技術の当業者により調製できるが、その幾つかに関して、以下に記載の手順及び反応式において、示すこととする。式Iの化合物の生成必要な具体的な工程の順序は、合成しようとする具体的な化合物、出発物質及び置換基の相対的反応性などにより変化する。試薬又は出発物質は当業者であれば容易に入手でき、市販品でない材料の場合には、当業者に公知の通常用いられる標準的な工程に従い、下記の種々の工程及び反応式に沿って容易に合成できる。
【0059】
以下の反応式、調製、実施例及び手順は本発明の実施をより詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者であれば、本発明の技術思想と範囲から逸脱することなく多様な改善を実施できることを認識するであろう。本明細書で言及される全ての刊行物は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。
【0060】
反応式、調製、実施例及び手順における最適反応時間は、反応の進行を通常のクロマトグラフィによりモニターすることにより決定できる。更に、本発明の化学反応は、アルゴン又は特に窒素などの不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その使用する溶媒が進行中の反応に不活性で、かつ反応物質を十分に可溶化して所望の反応を実施するものである限り、通常問題とはならない。化合物は、その後の反応に供する前に分離・精製することが好ましい。化合物形成反応の間に反応溶液から化合物を析出させ、濾過して回収してもよいし、あるいは反応溶媒を抽出、蒸発又は流出させて除去してもよい。中間体及び式Iの最終産物は、必要に応じ、再結晶又はシリカゲル又はアルミナなどの固体支持体上のクロマトグラフィ等、通常の方法で更に精製してもよい。
【0061】
熟練した当業者は全ての置換基が全ての反応条件と適合するわけではないことを認識する。これらの化合物は合成の際、公知の方法により適切なタイミングで保護又は修飾してもよい。
【0062】
本明細書の反応式、調製、実施例及び工程に用いられる用語並びに略語は、特に指示されない限り通常の意味を有する。例えば、本願明細書では以下の用語はそれぞれ以下の意味を有する。「psi」はインチ当たりのポンド(圧力)を指す。「TLC」は薄層クロマトグラフィを指す。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを指す。「Rf」は保持係数を指す。「Rt」は滞留時間を指す。「δ」はテトラメチルシランからのppmダウンフィールドを指す。「MS」は質量分析を指す。測定された分子量は、特に明記しない限り[M+H]のことを指す。“MS(APCi)は気圧化学イオン化法のことを指す。「UV」は紫外線分光測定法を指す。「H NMR」は陽子核磁気共鳴分光測定法を指す。「LCMS」は液体クロマトグラフィ−質量分析のことを指す。「GC/MS」はガスクロマトグラフィ/質量分析のことを指す。「IR」は赤外線スペクトロメトリのことを指し、IRスペクトラムとして列挙される最大吸収は対象となる部分のみを示し、全ての最大吸収を観察したものではない。「RT」は室温のことを指す。
【0063】
「THF」はテトラヒドロフランのことを指す。「LAH」は水素化アルミニウムリチウムのことを指す。「LDA」はリチウムジイソプロピルアミドのことを指す。「DMSO」はジメチルスルホキシドのことを指す。「DMF」はジメチルホルムアミドのことを指す。「EtOAc」は酢酸エチルのことを指す。「Pd−C」はパラジウム/炭素のことを指す。「DCM」はジクロロメタンのことを指す。「DMAP」はジメチルアミノピリジンのことを指す。「LiHMDS」はリチウムヘキサメチルジシリザンのことを指す。「TFA」はトリフルオロ酢酸のことを指す。「EDAC」はN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸のことを指す。「HOBT」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのことを指す。「Bn−9−BBN」はベンジル−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンのことを指す。「Pd(dppf)Cl」は、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)ジクロロパラジウム(II)のことを指す。「EDCI」はN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸のことを指す。「DBU」は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のことを指す。「TBSCl」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチルクロリドのことを指す。「NBS」はN−ブロモスクシニミドのことを指す。「TsOH」はp−トルエンスルホン酸のことを指す。「DCE」はジクロロエタンのことを指す。「DAST」は三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄のことを指す。「EA/H」は酢酸エチル/ヘキサン混合物のことを指す。「Pd(dba)」はビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムのことを指す。「BINAP」は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフタレンのことを指す。「NMP」はN−メチルピロリジンのことを指す。「TMSCN」はトリメチルシリルシアニドのことを指す。「TBAF」はテトラブチルアンモニウムフルオライドのことを指す。「TfO」はトリフルオロメタンスルホン酸無水物のことを指す。「TBSO」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシのことを指す。「OTf」はトリフルオロメタンスルホネートのことを指す。「MeTi(Oi−Pr))」はトリイソプロポキシメチルチタンのことを指す。「BBr」は三臭化ホウ素のことを指す。「PBr」は三臭化リンのことを指す。「Pd(PPh」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のことを指す。「OAc」はアセテートのことを指す。「DME」はジメチルエタンのことを指す。「EtO」はジエチルエーテルのことを指す。「(PhP)Pd」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のことを指す。「DMFDMA」はN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのことを指す。「EtN」はトリエチルアミンのことを指す。「tBu」はt−ブチルのことを指す。「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンのことを指す。「EDC」は−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸のことを指す。「HOAc」は酢酸のことを指す。「boc」はt−ブトキシカルボニルのことを指す。構造式中、「Ph」はフェニル基のことを指し、「Me」はメチル基のことを指し、「Et」はエチル基のことを指し、「Bn」はベンジル基のことを指し、「MeOH」はメタノールのことを指し、「OTf」はトリフルオロメタンスルホネートのことを指し、「TIPSO」はトリイソプロピルシラニルオキシ基のことを指し、「TBSO」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ基のことを指す。
【0064】
本明細書に記載する実施例は本発明を例示するものであり、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。調製例及び実施例では、MDL Information Systems社製のChemDraw UltraのAutoNom 2.2又はMDL ISIS/Draw Version2.5 SP1のAutoNom 2000を使用するか、又はChemical Abstracts Servicesを利用することにより命名した。
【0065】
Varian INOVA 400MHzスペクトロメータを用い、H NMRスペクトル(溶媒中)を得た。Mass Spectrometer(Agilent MSD SL)を備えたAgilent HP1100計測器を用いてLCMSを実施した。Waters Xterra C18(2.1×50mm、3.5ミクロン)を固定相として用い、標準的な方法として、5−100%のアセトニトリル/メタノール(50:50)の勾配(0.2%のギ酸アンモニウムを含有)で3.5分間処理し、更に50℃のカラム温度で0.5分間、100%のB液で1.0mL/分の流速で処理する方法を用いた。他の標準的な方法として、5−100%のアセトニトリル/メタノール(50:50)の勾配(0.2%のギ酸アンモニウムを含有)で7分間処理し、更に50℃のカラム温度で1分間、100%のB液で1.0mL/分の流速で処理する方法を用いた。Agilent MSD(ループマシン)を経た更なるMS分析は、標準的なフロー注入分析(FIA)であり、カラムを用いず、0.5ml/分の流速で、80%のMeOH(6.5mMの酢酸アンモニウムを含有)で、30秒のラン時間で処理することにより実施した。
【実施例】
【0066】
反応式A
【化48】

反応式Aにおいて、任意に置換されたアニリンを化合物2に変換し、更に離脱基(Lg)を有する化合物3に変換した。好ましくは、化合物2をN−ブロモスクシンイミドで処理し、ブロモメチル化合物を形成させる。
【0067】
反応式B
【化49】

反応式Bにおいて、任意に置換されたフェノール(4)を(例えばTBSCl)で保護して化合物5を形成させ、更に化合物5をアルデヒド(6)に変換した。化合物6を、保護基(Pg)及び離脱基(Lg)を有する化合物と反応させ、エーテル化合物7を得た。Pgは−CH又は−CH−フェニルであってもよく、Lgはメシレート又はハロであってもよい。好ましくはLg−Pg化合物は、ICH又はBr−CH−フェニルである。アルデヒドを還元してアルコール(8)を形成させ、更に、化合物9に変換させた。好ましくは化合物8をPBrでハロゲン化し、2−ブロモメチル化合物を得た。
【0068】
化合物の保護及び脱保護による式Ia及びその他の化合物の形成は、当業者に公知であり、文献にも記載されている(例えば、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley and Sons Inc.,1999)。
【0069】
反応式C
【化50】

反応式Cにおいて、シクロヘキサンカルボン酸エステル(10)を、LDAなどの塩基と反応させ、非プロトン性溶媒(好ましくはTHF)中でブロモアセトニトリルでアルキル化し、化合物(11)を形成させた。ニトリル(11)を還元し、文献で説明されているように環化し、化合物(12)を調製した(Reddy,P.A.;Hsiang,B.C.H.;Latifi,T.N.;Hill,M.W.;Woodward K.E.;Rothman,S.M.;Ferrendelli,J.A.;Covey,D.F.J.Med.Chem.1996,39,1898−1906)。化合物(12)を塩基(好ましくはNaH)で処理し、化合物(3)でアルキル化して化合物(13)を得た。フェニルホウ酸性試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を使用して、化合物(13)をカップリング反応に供し、エステル(14)を調製した。化合物(14)を加水分解して酸(15)を得、更に標準的なアミドカップリング条件(例えば1,1’−カルボニルジイミダゾール)を使用してアミンとカップリングし、(16)を得た。
【0070】
反応式D
【化51】

反応式Dにおいて、化合物(12)を塩基(好ましくはNaH)で処理し、化合物(9)でアルキル化し、化合物(17)を形成した。触媒と共に水素を使用するなどの適切な方法で化合物(17)を脱保護し、得られたフェノールはトリフレート無水物(トリフルオロメタンスルホン酸無水物)及び塩基(例えばピリジン)と反応させ、(18)を調製した。トリフレート(18)を、文献(Xu G.、Wang、Y.G.Org.Lett.2004、6、985−987)で説明される方法に従い、NMP(1−メチル−2−ピロリジノン)中でアミン(例えばモルホリン)と反応させ、化合物(19)を得た。
【0071】
反応式E:
【化52】

反応式Eにおいて、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エステル(20)のシス/トランス混合物を、適切な保護基(例えばTBDPS(tertブチルジフェニルシリル))で保護し、化合物(21)を調製した(Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley and Sons Inc.,1999を参照)。エステル(21)を、LDAなどの塩基と反応させ、更に非プロトン性溶媒(好ましくはTHF)中でブロモアセトニトリルでアルキル化し、化合物(22)を形成させた。ニトリル(22)を還元し、文献で説明されているように環化し、化合物(23)を調製した(Reddy,P.A.;Hsiang,B.C.H.;Latifi,T.N.;Hill,M.W.;Woodward K.E.;Rothman,S.M.;Ferrendelli,J.A.;Covey,D.F.J.Med.Chem.1996,39,1898−1906)。化合物(23)を塩基(好ましくはNaH)で処理し、化合物(9)でアルキル化して化合物(24)を形成し、更に通常の精製技術によりシス/トランス異性体の混合物として分離した。
【0072】
反応式F
【化53】

反応式Fにおいて、化合物(24)を適切な方法(例えば触媒と水素を使用)によって脱保護し、フェノール(25)を得、更にトリフレート無水物(トリフルオロメタンスルホン酸無水物)及び塩基(例えばピリジン)と反応させて(26)を調製した。フェニルホウ酸性試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を用いて化合物(26)をカップリング反応に供し、エステル(27)を調製した。化合物(27)の加水分解により保護された酸(28)を得、それを標準的なアミドカップリング条件(例えば1,1’−カルボニルジイミダゾール)を使用してアミンとカップリングし、脱保護の後、アルコール(29)を得た。純粋なトランス(又はシス)アルコール(29)を、標準的な条件で酸化、還元することができ、それによりシス/トランスアルコール(30)の混合物を調製し、更に標準的な精製技術を使用して分離した。
【0073】
反応式G
【化54】

反応式Gにおいて、化合物(31)を、標準的な条件(例えばTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)及びNaOCl)を使用して酸化し、ケトン(32)を調製した。ケトン(32)を、tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン、更にヒドラジン水和物で段階的に反応させ、ラセミ体のピラゾール(33)を調製した。キラルHPLCで精製し、純粋な鏡像異性体を分離した。
【0074】
調製1:
3,5−ジクロロ−4−メチルアニリン
1,3−ジクロロ−2−メチル−5−ニトロベンゼン(0.50g、2.43mmol)をDMF中に溶解させ、塩化スズ(II)2水和物(2.74g、12.1mmol)で一度に処理した。反応液を1時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過した。濾過液を水で4回、及び塩水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、暗色油状物となるまで濃縮した。残余物をシリカゲルクロマトグラフィで、5%〜10%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配で溶出して精製し、白いフレーク状の標題の生成物342mg(80%)を得た。
【0075】
調製2:
5−ブロモ−1,3−ジクロロ−2−メチルベンゼン
3,5−ジクロロ−4−メチルアニリンを48%のHBr(5mL)及び水(5mL)の中に懸濁し、沸点に近い温度となるまで混合物をヒートガンで加熱した。室温にスラリーを冷却し、更に氷/塩水浴で0℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(109mg、1.58mmol)の水溶液(2mL)を滴加した。添加終了後、反応液を冷水浴において更に15分撹拌した。CuBr(1.08g、7.53mmol)の48%のHBr(2mL)溶液を添加し、反応液を急速に撹拌しながら50℃で1時間、加熱した。室温に反応液を冷却し、反応液を酢酸エチルで希釈して、水性層を除去した。水及び塩水で有機層を洗浄し、MgSOで乾燥させ、セライトで濾過し、濃縮し、オレンジ色の残余物を得た。シリカゲルクロマトグラフィを使いヘキサンで溶出して残余物を精製し、黄色の固体として生成物164mg(45%)を得た。
【0076】
調製3:
5−ブロモ−2−(ブロモメチル)−1,3−ジクロロベンゼン
下で5−ブロモ−1,3−ジクロロ−2−メチルベンゼン(97mg、0.40mmol)、N−ブロモスクシンイミド(76mg、0.425mmol)及び過酸化ベンゾイル(16mg、0.06mmol)のCCl(5mL)溶液を3時間還流加熱した。室温に反応液を冷却し、濃縮し、オレンジ色の残余物を得た。シリカゲルクロマトグラフィを使いヘキサンで溶出して残余物を精製し、白い結晶として生成物112mg(87%)を得た。
【0077】
調製4:
Tert−ブチル−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−ジメチル−シラン
3Lのジメチルホルムアミド中に3,5−ジクロロフェノール(1kg、6.13モル)を溶解させ、0℃に冷却した。イミダゾール(918.74g、6.75mol)、更にtert−ブチルジメチルシリルクロライド(1017.13g、6.75mol)を添加した。室温に混合物を加温し、15分間撹拌した。水(6L)中に注ぎ、エーテル(4L)で抽出した。水で2回、10%の塩化リチウム水溶液、更にブラインで有機層を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過し、真空濃縮し、油状物135gを得た。
【0078】
調製5:
2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
4Lの無水テトラヒドロフラン中にtert−ブチル−(3,5−ジクロロ−フェノキシ)−ジメチル−シラン(425g、1.5モル)を溶解させ、−68℃に冷却した。徐々にsec−ブチルリチウム1.1当量(103.1g、1.61mol)を−68℃で添加(〜1.75時間)した。添加終了後、反応液を−70℃で30分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(168.5g、2.3mol)を添加し、反応液を−70℃で1時間撹拌した。1Mの塩酸水溶液(3.5L)を添加し、反応液を室温に加温した。反応混合物をエーテル(5L)に注入し、水、更にブラインで洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、橙色固体となるまで真空濃縮した。冷却したジクロロメタンでリンスして粉末状とし、濾過し、250g(80%)の淡黄色の固体を得た。
【0079】
調製6:
2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド
2Lのジメチルホルムアミド中の、2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(250g、1.3mol)及び炭酸カリウム(361.8g、2.62mol)の混合物を、臭化ベンジル(268.64g、1.57mol)で処理した。室温で1時間、反応液を撹拌した。固体を濾別し、12Lの水に注いだ。固体を濾別し、水で数回洗浄し、空気乾燥し、酢酸エチル中に溶解させた。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、〜1.5Lとなるまで真空濃縮した。一晩静置し、濾過した。最少量のヘキサンで固体を洗浄し、真空乾燥した。濾過物を真空下で濃縮し、ヘキサンでトリチュレートして第2の生成物を得、それを第1の生成物と混合し、245gの白色の結晶を得た。操作を繰り返し、3回目の生成物として淡い褐色の粉末80gを得た(88%の収率):H NMR(400MHz、DMSO−d)δ10.26(s、1H)7.43(m、5H)7.28(s、2H)5.25(s、2H)。
【0080】
調製7:
(2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−フェニル)−メタノール
エタノール(3L)中の2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(245g、0.871モル)の0℃混合液を、水素化ホウ素ナトリウム(32.97g、0.897モル)で処理した。室温に反応液を加温し、2時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム(8L)に添加した。CHClで混合物を抽出し、NaSOで有機層を乾燥させた。真空内で溶媒を除去し、標題の生成物247g(100%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ7.38(m、4H)7.33(m、1H)7.12(s、2H)5.14(s、2H)5.05(t、1H)4.59(d、2H)。
【0081】
調製8:
2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5−ベンジルオキシ−ベンゼン
THF(2.5L)中の(2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−フェニル)−メタノール(247g、0.872モル)の0℃溶液を、三臭化リン(94.45g、0.35モル)で処理し、N下、0℃で30分間撹拌した。反応液を飽和NaHCOに注入し、酢酸エチルで二度抽出した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物269g(89%)を得た。ES MS(m/z):346(M+1)。
【0082】
調製9:
1−シアノメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
メチルシクロヘキサンカルボキシレート(15.0g、0.105モル)のTHF(150mL)中の−78℃溶液を、2Mのリチウムジイソプロピルアミドのヘプタン/THF/エチルベンゼン溶液(63.3mL、0.126モル)で処理し、N下、−78℃で20分間撹拌した。反応液をブロモアセトニトリル(25.31g、0.211モル)で処理し、−78℃で15分間撹拌した。室温に反応液を加温し、4時間撹拌した。1N HClで反応液を酸性化し、反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜30%の酢酸エチル/ヘキサン勾配で精製し、標題の生成物7.78g(41%)を得た。R=0.32(3/1ヘキサン/酢酸エチル)。
【0083】
調製10:
2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
1−シアノメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(4.28g、23.6mmol)及び塩化コバルト(II)六水化物(2.81g、11.8mmol)の、THF(80mL)及び水(40mL)中の0℃混合液を、水素化ホウ素ナトリウム(4.47g、0.118モル)で徐々に処理し、室温に加温し、N下で48時間撹拌した。反応液を28%の水酸化アンモニウム(3.1mL)で処理し、hyfloで濾過した。濾過液から溶媒を真空内除去し、残留物を最少量の水及び塩水で希釈し、3:1=クロロホルム:イソプロパノールで3回抽出した。有機層を乾燥(NaSO)させ、溶媒を真空内で除去して粗生成物を得、シリカゲル上で0〜10%のメタノール/CHCl勾配で精製し、標題の生成物1.95g(54%)を得た。R=0.46(9/1=CHCl/メタノール)。MS(m/z):154(M+)。
【0084】
調製11:
1−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジンビストリフルオロ酢酸塩
1−boc−ピペラジン(4.08g、21.9mmol)、1−ブロモ−2−フルオロエタン(16.68g、0.131モル)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(17.0g、0.131モル)のアセトニトリル(40mL)中の混合物を50℃で16時間加熱し、更に7時間還流加熱した。室温に反応液を冷却し、真空内で溶媒を除去した。残余物を1N NaOH(25mL)で処理し、酢酸エチルで二度抽出した。NaSOで有機層を乾燥させ、0〜10%のメタノール勾配/CHClでシリカ上で粗生成物を精製し、4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル5.01g(99%)を得た(Rf=0.36(9/1=CHCl/メタノール、I染色)。4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.0g、8.62mmol)のCHCl(20mL)溶液をTFA(10mL)で処理し、室温で2時間撹拌した。真空内で溶媒を除去して油状物を得、次にジエチルエーテルを添加した。固体を沈殿させてスラリーを得、Nのコーン(cone)下で濾過した。フィルタ上で乾燥させ、標題の生成物の塩2.73g(88%)を得た。MS(m/z):133(M+)。
【0085】
調製12:
2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.50g、3.26mmol)のDMF(8mL)溶液を60%の水素化ナトリウム(0.20g、5.0mmol)で処理し、N下で室温で20分間撹拌した。0℃に反応液を冷却し、2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5−ベンジルオキシ−ベンゼン(1.24g、3.58mmol)で処理し、0℃で15分間撹拌し、室温に加温し、N下で2時間撹拌した。1N HClで反応液を酸性化し、反応液をジエチルエーテルで希釈し、更に水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配で精製し、標題の生成物1.23g(90%)を得た。R=0.23(3/1=酢酸エチル/ヘキサン)。MS(m/z):418(M+)。
【0086】
調製13:
2−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(1.18g、2.82mmol)及び20%水酸化パラジウム(II)/炭素(0.50g)の酢酸エチル(100mL)中混合物をN及びHでパージし、室温で4時間、Hバルーン下で撹拌した。硫酸ナトリウムを混合物に添加し、hyfloでろ過した。真空内で溶媒を除去し、9:1=クロロホルム:メチルt−ブチルエーテルによって無勾配的にシリカゲル上で粗生成物を精製し、標題の生成物0.72g(78%)を得た。R=0.18(9:1=クロロホルム:メチルt−ブチルエーテル)。
【0087】
調製14:
トリフルオロメタン硫酸 3,5−ジクロロ−4−(1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル)−フェニルエステル
2−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.229g、0.38mmol)、ピリジン(0.35g、4.42mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.027g、0.22mmol)の、CHCl(20mL)中の0℃溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.87g、3.08mmol)で処理し、N下、0℃で1時間撹拌した。反応液をCHClで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させて、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物0.83g(82%)を得た。R=0.54(1/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):460(M+)。
【0088】
調製15:
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
シス/トランスのエチル4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(21.3g、0.124モル)及びイミダゾール(10.10g、0.148モル)のDMF(150mL)溶液を、t−ブチル−ジフェニルシリルクロリド(37.39g、0.136モル)で処理し、室温で72時間撹拌した。反応液をジエチルエーテルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜20%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物40.4g(80%)を得た。R=0.49及び0.29(5/1=ヘキサン/酢酸エチル)。
【0089】
調製16:
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−シアノメチル−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(21.22g、51.7mmol)の−78℃THF(200mL)の溶液を、ヘプタン/THF/エチルベンゼン(31mL、62.0mmol)中リチウムジイソプロピルアミドの2M溶液で処理し、N下、−78℃で15分間撹拌した。反応液を−20℃に加温し、再び−78℃に冷却した。反応液をブロモアセトニトリル(9.30g、77.5mmol)で処理し、−78℃で1時間撹拌した。室温に反応液を加温し、1時間撹拌した。1N HClで反応液を酸性化し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得、それをシリカゲル上で0〜20%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物10.96g(47%)を得た。R=0.25及び0.21(5/1=ヘキサン/酢酸エチル)MS(m/z):450(M+)。
【0090】
調製17:
8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−シアノメチル−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(7.19g、15.9mmol)、塩化コバルト(II)6水化物(1.90g、7.98mmol)の、THF(130mL)及び水(65mL)の0℃混合液を、水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、7.98mmol)を滴加して処理した。室温に加温し、N下で16時間撹拌した。反応液を50℃で8時間加熱し、室温に冷却し、N下で16時間撹拌した。反応液を28%の水酸化アンモニウム(2mL)で処理し、hyfloで濾過した。真空内で濾過液から溶媒を除去し、最少量の水及び塩水で残余物を希釈し、3:1=クロロホルム:イソプロパノールで3回抽出した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜10%のメタノール/CHCl勾配を使って精製し、標題の生成物1.20g(18%)を得た。R=0.48及び0.61(9/1=CHCl/メタノール)。MS(m/z):408(M+)。
【0091】
調製18:
シス/トランス 2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(2.37g、5.81mmol)のDMF(25mL)溶液を、60%の水素化ナトリウム(0.35g、8.72mmol)で処理し、N下、室温で15分間撹拌した。0℃に反応液を冷却し、5−ベンジルオキシ−2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−ベンゼン(2.21g、6.39mmol)で処理し、0℃で15分間撹拌し、室温に加温し、N下で4時間撹拌した。1N HClで反応を酸性化した。反応液をジエチルエーテルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜20%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、2.96gの異性体1(シス)R=0.46(3/1=酢酸エチル/ヘキサン)、及び0.236gの異性体2(トランス)R=0.37(3/1=酢酸エチル/ヘキサン)を得た。MS(m/z):672(M+)。
【0092】
調製19:
トランス 8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
異性体2(トランス)2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.236g、0.35mmol)及び20%の水酸化パラジウム(II)/炭素(50mg)の、THF(25mL)及び酢酸エチル(5mL)中の混合物をN及びHでパージし、室温で16時間、Hバルーン下で撹拌した。硫酸ナトリウムを混合物に添加し、hyfloで濾過した。真空内で濾過液から溶媒を除去し、標題の生成物0.229g(100%)を得た。R=0.22(1/1=酢酸エチル/ヘキサン)。
【0093】
調製20:
トリフルオロメタンスルホン酸 トランス 4−[8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]10−2−イルメチル]−3,5−ジクロロフェニルエステル
8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.229g、0.38mmol)、ピリジン(0.061g、0.77mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.005g、0.041mmol)の、0℃CHCl(25mL)溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.167g、0.59mmol)で処理し、N下、0℃で1時間撹拌した。反応液をCHClで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させて、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物0.230g(82%)を得た。R=0.29(3/1=ヘキサン/酢酸エチル)。
【0094】
調製21:
トランス 4’−[8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]10−2−イルメチル]−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
トリフルオロメタンスルホン酸 4−[8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル]−3,5−ジクロロフェニルエステル(0.23g、0.31mmol)及び4−メトキシカルボニルフェニルホウ酸(0.068g、0.38mmol)の、THF(5mL)及び2Mの炭酸ナトリウム(0.5mL)中の混合物をNでパージした。反応液をPd(PPh(0.018g、0.015mmol)で処理し、N下、80℃で90分間加熱した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.22g(100%)を得た。R=0.20(3/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):700(M+)。
【0095】
調製22:
トランス 4’−[8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル]−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−カルボン酸
調製21(0.22g、0.31mmol)のTHF(5mL)及びメタノール(0.5mL)中混合物を、2Mの水酸化リチウム(0.8mL)で処理し、室温で16時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物0.185g(86%)を得た。R=0.11(1/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):700(M+)。
【0096】
調製23:
トランス 8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
調製22(0.183g、0.27mmol)のCHCl(8mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.069g、0.43mmol)で処理し、N下、室温で1時間撹拌した。更に、反応液を4−(トリフルオロメチル)ピペリジンHCl(0.101g、0.53mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.14g、1.09mmol)で処理し、N下、室温で16時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配で精製し、標題の生成物0.19g(87%)を得た。R=0.26(1/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):821(M+)。
【0097】
調製24:
2−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1,8−ジオン
シス−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(582g、1.06mmol、0.)及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)(0.013g、0.083mmol)のCHCl(30mL)溶液を、臭化カリウム(0.010g、0.083mmol)の水(5mL)溶液と混合し、0℃に冷却した。5.25%のNaOCl(3mL)及びNaHCO(0.133g、1.58mmol)の溶液を0℃反応混合物に添加し、30分間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させて、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物0.5479g(94%)を得た。R=0.43(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):549(M+)。
【0098】
調製25:
シス8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
トリフルオロメタンスルホン酸 4−[8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル]−3,5−ジクロロフェニルエステル(1.19g、1.63mmol)及び4−フルオロフェニルホウ酸(0.27g、1.93mmol)の、THF(24mL)及び2Mの炭酸ナトリウム(2.4mL)中混合物を、Nでパージした。反応液をPd(PPh(0.094g、0.081mmol)で処理し、N下、80℃で90分間加熱した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.81g(76%)を得た。R=0.47(3/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):700(M+)。
【0099】
調製26:
2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1,8−ジオン
シス2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.232g、0.39mmol)及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)(0.005g、0.032mmol)のCHCl(12mL)溶液を、臭化カリウム(0.004g、0.033mmol)の水(2mL)溶液と混合し、0℃に冷却した。5.25%のNaOCl(1.13mL)及びNaHCO(0.050g、0.59mmol)の溶液を調製し、0℃の反応混合液に添加し、得られた混合液を30分間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)させ、溶媒を真空内で除去して粗生成物を得、それをシリカゲル上で酢酸エチルの50〜100%/ヘキサンの勾配を使用して精製し、標題の生成物0.191g(83%)を得た。R=0.32(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):549(M+)。
【0100】
実施例1:
2−(4−ブロモ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化55】

2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.138g、0.901mmol)のDMF(5mL)溶液を、60%の水素化ナトリウム(0.054g、1.35mmol)で処理し、N下、室温で15分間撹拌した。0℃に反応液を冷却し、5−ブロモ−2−(ブロモメチル)−1,3−ジクロロベンゼン(0.316g、0.991mmol)で処理し、0℃で15分間撹拌した。室温に加温し、N下で2時間撹拌した。1N HClで反応液を酸性化した。ジエチルエーテルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.258g(73%)を得た。R=0.24(3/1=酢酸エチル/ヘキサン)。MS(m/z):392(M+)。
【0101】
実施例2:
2−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化56】

2−(4−ブロモ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.091g、0.23mmol)及び4−フルオロフェニルホウ酸(0.097g、0.69mmol)の、トルエン(6mL)及び2Mの炭酸ナトリウム(0.8mL)混合液をNでパージした。反応液をPd(PPh(0.013g、0.011mmol)で処理し、N下、90℃で2時間加熱した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.096g(100%)を得た。R=0.25(3/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):406(M+)。
【0102】
実施例3:
3’,5’−ジクロロ−4’−(1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
【化57】

2−(4−ブロモ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.14g、0.36mmol)及び4−メトキシカルボニルフェニルホウ酸(0.19g、1.05mmol)の、トルエン(10mL)及び2Mの炭酸ナトリウム(1.25mL)混合液を、Nでパージした。反応液をPd(PPh(0.041g、0.035mmol)で処理し、N下、90℃で4時間加熱した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、更に1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.102g(64%)を得た。R=0.51(1/1=ヘキサン/酢酸エチル)。MS(m/z):446(M+)。
【0103】
実施例4:
3’,5’−ジクロロ−4’−(1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸
【化58】

実施例3(0.087g、0.19mmol)のメタノール(10mL)溶液を5N NaOH(0.60mL)で処理し、室温で16時間撹拌した。真空内で溶媒を除去し、残余物を得、それを1N HClで酸性化した。混合液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、標題の生成物0.086g(100%)を得た。MS(m/z):432(M+)。
【0104】
実施例5:
2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化59】

実施例4(0.079g、0.18mmol)のCHCl(8mL)溶液を1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.047g、0.29mmol)で処理し、N下、室温で1時間撹拌した。更に、反応液を4−(トリフルオロメチル)ピペリジンHCl(0.087g、0.46mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.12g、0.92mmol)で処理し、N下、室温で16時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、1N HCl及び水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で0〜10%のメタノール/CHCl勾配、更にシリカゲル上で無勾配的に50/50=酢酸エチル/ヘキサンで精製し、標題の生成物0.067g(64%)を得た。R=0.68(9/1=CHCl/メタノール)。MS(m/z):567(M+)。
【0105】
実施例6:
2−{3,5−ジクロロ−4’−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ビフェニル−4−イルメチル}−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化60】

実施例4及び1−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジンビストリフルオロ酢酸塩を用い、実施例5に記載の方法に基本的に従い、実施例6を調製した。シリカゲル上で精製し、標題の生成物0.153gを得た。R=0.42(9:1=CHCl:メタノール)。MS(m/z):546(M+)。
【0106】
実施例7:
2−(2,6−ジクロロ−4−モルホリン−4−イル−ベンジル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化61】

トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−(1−オキソ−2−アザ−スピロ[4.5]デス−2−イルメチル)−フェニルエステル(0.15g、0.32mmol)及びモルホリン(0.099g、1.13mmol)の、1−メチル−2−ピロリジン(2.5mL)溶液を、マイクロ波反応器内で201℃で1.5時間加熱した。室温に反応を冷却し、2MのLiOH(1mL)で処理し、室温で16時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。5%のメチルt−ブチルエーテル/クロロホルムを使用して、無勾配的にシリカゲルクロマトで精製し、標題の生成物0.064g(50%)を得た。R=0.22(9:1=クロロホルム:メチルt−ブチルエーテル)。MS(m/z):397(M+)。
【0107】
実施例8:
トランス 2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化62】

8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン(0.19g、0.23mmol)の、THF(6mL)及び水(3mL)混合液をトリフルオロ酢酸(2mL)で処理し、還流加熱し、N下で2時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び飽和NaHCOで洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を得た。シリカゲル上で50〜100%の酢酸/エチルヘキサン勾配を使って精製し、標題の生成物0.89g(57%)を得た。R=0.09(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):583(M+)。
【0108】
実施例9:
シス2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化63】

異性体1(シス)2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オンを使用して、実施例8に記載の方法に基本的に従い、実施例9を調製し、標題の生成物0.185gを得た。R=0.15(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):583(M+)。
【0109】
実施例10:
シス−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化64】

異性体1(シス)2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン及び4,4−ジフルオロピペリジン塩酸を用い、実施例8に記載の方法に基本的に従い、実施例10を調製した。シリカゲル上で精製し、標題の生成物0.64gを得た。R=0.14(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):551(M+)。
【0110】
実施例11:
トランス−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化65】

2−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1,8−ジオン(0.386g、0.70mmol)の0℃メタノール(10mL)溶液を、水素化ホウ素ナトリウム(0.040g、1.06mmol)で処理し、0℃で30分間撹拌した。1N HClで反応液を酸性化し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、シス:トランス異性体の混合物を得た。シリカゲル上で酢酸エチルの50〜100%/ヘキサン勾配を使用してシリカゲル精製し、標題の生成物0.073g(19%)を得た。R=0.13(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):551(M+)。
【0111】
実施例12:
シス2−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン
【化66】

8−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−2−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オンを使用して、実施例8に記載の方法に基本的に従い、実施例12を調製し、標題の生成物0.44gを得た。R=0.22(100%の酢酸エチル)。MS(m/z):422(M+)。
【0112】
実施例13:
【化67】

2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1,8−ジオン(0.160g、0.27mmol)のトルエン(4mL)溶液を、tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(0.062g、0.36mmol)で処理し、90℃に加熱し、N下で2.5時間撹拌した。反応液を冷却し、真空内で溶媒を除去して、油状物を得、メタノール(3mL)中に当該油状物を溶解させた。ヒドラジン水和物(0.015g、0.31mmol)を添加し、N下、室温で16時間反応液を撹拌した。真空内で溶媒を除去して油状物を得、それを酢酸エチルに溶解した。水で有機層を抽出して、NaSOで乾燥させ、溶媒を除去し、粗生成物を得た。0〜10%のメタノール/CHCl勾配を使用してシリカゲル精製し、標題の生成物0.109g(66%)を得た。R=0.40(9/1=CHCl/メタノール)。MS(m/z):605(M+)。
【0113】
実施例14:
【化68】

シス−2−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−8−ヒドロキシ−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オンを使用して、実施例13に記載の方法に基本的に従い、実施例14を調製し、標題の生成物0.319gを得た。R=0.39(9/1=CHCl/メタノール)。MS(m/z):444(M+)。
【0114】
実施例15及び16
【化69】

キラルHPLC(Chiralcel OD 8×35cmカラム、無勾配50:50=3Aエタノール:ヘプタン/0.2%のジメチルエチルアミン、400mL/分、UV260nm)で実施例14を鏡像異性体に分離し、120mgの鏡像異性体1(ee=97.0%)及び96mgの鏡像異性体2(ee=95.6%)を得た。分析HPLC:Chiralcel OD−H 4.6×150mmのカラム、無勾配50:50=3A エタノール:ヘプタン/0.2%のジメチルエチルアミン、0.6mL/分、250nmUV、異性体1が5.5分後に溶出、異性体2が6.6分後に溶出。ES MS(m/z):444(M+)。
実施例15=異性体1。
実施例16=異性体2。
【0115】
実施例17及び18:
【化70】

キラルHPLC(Chiralcel OD 5×33cmカラム、無勾配60:40=3Aエタノール:ヘプタン/0.2%のジメチルエチルアミン、1500mL/分、UV270nm)で実施例13を鏡像異性体に分離し、32mgの鏡像異性体1(>99%のee)及び28mgの鏡像異性体2(98.2%のee)を得た。分析HPLC:Chiralcel OD−H 4.6×150mmのカラム、無勾配60:40=3A エタノール:ヘプタン/0.2%のジメチルエチルアミン、0.6mL/分、270nmUV、異性体1が11.6分後に溶出、異性体2が14.7分後に溶出。ES MS(m/z):605(M+)。
実施例17=異性体1。
実施例18=異性体2。
【0116】
以下のセクションにおいて、酵素的及び機能的アッセイによる本発明の化合物の評価に関して記載する。
【0117】
11β−HSD 1型酵素アッセイ
ヒトの11β−HSD 1型の活性は、蛍光試験法を用い、NADPH生成をアッセイすることにより測定した。固体の化合物は、10mMの濃度となるようにDMSOに溶解させた。各々の20μLを96穴ポリプロピレン製ヌンクプレートのカラムへ添加し、そこで更に50倍に希釈し、その後二段階滴定し、それをTecan Genesis 200自動化システムを使用して更にDMSOを添加しながら、プレート全体にわたり、10回行った。プレートを更に、Tecan Temo 96穴ヘッド及びUltra 384プレートリーダーを装備したTecan Freedom 200システムへ取付けた。96穴ポリプロピレン製ヌンクプレートに試薬を添加し、以下のとおり、黒い96穴Molecular Devices High Efficiencyアッセイプレート(40μL/ウェル)に個々に添加した。基質(2.22mMのNADP、55.5μM Cortisol、10mMのトリス、0.25%のPrionex、0.1%のトリトンX−100):9μL/ウェル、水:3μL/ウェル(化合物用のウェル又はコントロール及びスタンダードウェル)、組換えヒト11β−HSD 1型酵素:6μL/ウェル、希釈した化合物:2μL/ウェル。最終的な阻害%の算出は、最小及び最大のアッセイデータを示す一連のウェルのデータを加算して行った(667μMカルベノキソロンと共に基質を含有する1セット(バックグラウンド)、及び化合物を含まず、基質及び酵素を含有する他のセット(最大シグナル)。最終的なDMSO濃度は全ての化合物、コントロール及びスタンダードにおいて、0.5%であった。次にプレートを15秒間Tecanのロボットアームによってシェーカーに配置し、カバーをかけ、室温で3時間インキュベートした。インキュベート終了後、Tecanロボットアームによって、個々のスタッカから各プレートを取り出し、250μMカルベノキソロン溶液を5μL/ウェルで添加し、酵素反応を停止させた。プレートを更に15秒間振とうし、次にultra 384マイクロプレートリーダー(355EX/460EM)でNADPHの蛍光を検出した。
【0118】
実施例化合物の11−βHSD1アッセイのデータを以下に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
また本発明の化合物を、11−βHSD1の場合と同様のアッセイ(代わりに11−βHSD2エンザイムを用いた)で、11−βHSD2に対する選択性を解析した。11−βHSD2エンザイムを用いたアッセイは、本願明細書に記載のとおりに実施し、また公知の方法により補足できる。
【0121】
ヒトの大動脈平滑筋細胞アッセイ:
ヒトの大動脈平滑筋細胞(AoSMC)の初代細胞を、継代数6となるまで5%ウシ胎児血清を含有する培地中で培養し、次に遠心分離してペレット化し、11β−HSD1の発現を誘導するために、12ng/mLのhTNFαを含有する0.5%ウシ胎児血清入りの試験培地中に9×10細胞/mLの密度で再懸濁した。100μL/ウェル(9×10細胞/ウェル)で96穴の組織培養アッセイプレートに細胞を播き、37℃で48時間(5%のCO)インキュベートした。誘導後、細胞を37℃で4時間、5%のCO条件下で、試験化合物を含有するアッセイ培地中でインキュベートし、アッセイ用培地中に溶解させた10μL/ウェルの10μMコルチゾン溶液で処理し、37℃で16時間(5%のCO)インキュベートした。各ウェルの培地を、競合的蛍光共鳴時間分割イムノアッセイを使用する、コルチゾルによる次のアッセイ用のプレートへ移した。溶液中では、アロフィコシアニン(APC)−コルチゾルコンジュゲートと、遊離コルチゾル検体が、マウス抗コルチゾル抗体/ユーロピウム(Eu)−抗マウスIgG複合体との結合に関して競合する。遊離コルチゾルの濃度増加により、ユーロピウム−IgGからのAPC−コルチゾル複合体へのエネルギー移動が減少し、それによりAPC蛍光が減弱する。ユーロピウム及びAPCの蛍光輝度を、LJL Analyst ADを使用して測定した。ユーロピウム及びAPCの励起は360nmの励起により行い、各々615nm及び650nmの発光フィルターを使用して発行を測定した。ユーロピウムの時間分割パラメータは、200μsの遅延を伴う、1000μsインテグレーション時間とした。APCパラメータは、50μsの遅延を伴う150μsインテグレーション時間とした。APCにおいて、測定する蛍光輝度は、Eu蛍光輝度で除算(APC/Eu)することにより修飾した。更にこの比率を用い、4−パラメータロジスティック方程式にフィットさせたコルチゾル標準曲線を使用して、内挿法により、未知のコルチゾル濃度を測定した。更にこれらの濃度を用い、濃度対阻害%をプロットし、4−パラメータ曲線にフィットさせ、IC50濃度をレポートすることによって、化合物の活性を測定した。
【0122】
本願明細書に開示される全ての実施例は、500nM未満のIC50で、ヒト大動脈平滑筋細胞アッセイにおいて活性を示した。本願明細書に開示される好適な実施例は、300nM未満のIC50で、ヒト大動脈平滑筋細胞アッセイにおいて活性を示した。ヒト大動脈平滑筋細胞アッセイにおける、実施例化合物のデータを以下に示す。
【0123】
【表2】

【0124】
急性In Vivoコルチゾン転換アッセイ
化合物をマウスに経口投与し、そのマウスに、化合物投与後、所定の時点でコルチゾンを皮下注射し、その後各マウスの血液を採取した。次に単離した血清をLC−MS/MSを用いてコルチゾン及びコルチゾルのレベルを分析し、更に平均コルチゾルレベル及び各投与群の阻害%の算出を行った。具体的には、オスのC57BL/6マウス(25gの平均体重)を、Harlan Sprague Dawleyから入手した。正確な体重を到着時点で測定し、同様の体重を有するマウス群に無作為に分けた。化合物は25gの推定平均重量で、様々な投与量となるように1%(w−w)HEC、0.25%(w−w)ポリソルベート80、0.05%(w−w)ダウコーニング消泡剤#1510−US混合液中で調製した。化合物を経口投与(動物につき200μl)し、更に化合物投与後、1〜24時間において、30mg/kgのコルチゾンを、動物あたり200μlで皮下投与した。コルチゾン投与の10分後、各動物をCO室で1分間置いて安楽死させ、更に心臓穿刺を介して血清分離チューブ中に血液を採取した。完全に凝固させた後、チューブを2500×gで4℃で15分間遠心分離し、96穴プレート(Corning社、Costar #4410、クラスターチューブ、1.2ml、ポリプロピレン製)のウェルへ単離した血清を添加し、LC−MS/MS解析を行うまで、プレートを−20℃で凍結させた。解析時に血清サンプルを解凍し、アセトニトリルを含有するd4−コルチゾル内部スタンダードを添加してタンパク質を析出させた。サンプルをボルテックスして混合し、遠心分離した。加温した窒素流中で上澄を蒸発除去させた。抽出物をメタノール/水(1:1)中で再調製し、LC−MS/MSシステムへ注入した。コルチゾン及びコルチゾル濃度を、3重の四重極子質量分光光度計上で陽ACPIイオン化後に、選択的な反応モニタリングモードによりアッセイした。
【0125】
実施例化合物による、急性in vivoコルチゾン転換アッセイのデータを以下に示す。
【0126】
【表3】

【0127】
薬理学的に許容できる塩、及びそれらを調製するための一般方法は公知である。詳細は、例えばP.Stahlら、“HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE”,(VCHA/Wiley−VCH,2002)、S.M.Bergeら、”Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,January 1977を参照されたい。本発明の化合物は好ましくは種々の経路で投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくはかかる組成物は経口投与用に製剤化する。かかる医薬組成物及びその調製方法は公知技術である。かかる形態では、製剤は適切な量(例えば所望の効果を得るための有効量)の有効成分を含む適切なサイズのユニットドーズに分割する。例えば「REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY」(A.Gennaroら編、19版、Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
【0128】
本発明の有効量を構成するのに必要となる、式(I)の化合物又はその薬理学的に許容できる塩の具体的な量は、治療しようとする症状の具体的な状況により変化する。投与量、投与経路及び投与回数等は、主治医により決定されるのが最も好ましい。通常、経口投与又は非経口投与のための許容・有効量範囲は約0.1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、ヒト患者に換算すると約6mg〜600mg、より典型的には30mg〜200mgである。本願明細書に記載されている疾患の治療においては、かかる投与は、治療を必要とする患者に1〜3回/日で行うか、又は効果的である限り、必要な頻度で行う。
【0129】
製剤を調製する当業者は、選択される化合物、障害又は治療される状態、障害又は状態のステージ及び他の関連した状況の特定の特徴によって、適当な形及び投与様式を直ちに選択できる。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(1990))。本願明細書に係る化合物は、種々の経路で投与できる。本願明細書に記載されている障害に罹患する、若しくはそれが進行するリスクを有する患者を治療する際、式(I)の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を、有効量で生物学的に利用可能となる、いかなる形態又は方法(経口及び腸管外経路など)によって、投与してもよい。例えば、有効成分を直腸内、経口、吸入、皮下、筋肉注射、経静脈、経皮、鼻腔内、眼内、局所、舌下、バッカル及び他の任意の経路で投与できる。特に、経口投与が、本願明細書に記載の障害の治療においては好ましい。経口投与が不可能で、かつ望ましくない場合には、非経口的投与(例えば腹腔内、筋肉内、経静脈)に適する形態で当該組成物を調製できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩:
【化1】

(式中、Rは水素又は−OHであり、
は水素であるか、又は、
及びRはシクロヘキシル環と結合して
【化2】

を形成し、式中、星印はラクタム環と共有される炭素原子を表し、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH
−(C−C)シクロアルキル、−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、−NHSO−フェニル(R21)(R21)、
−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化3】

であり、式中、点線はR位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、
−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化4】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
式中、mは1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき(CH)nは結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に、水素若しくは−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−C(O)O−(C−C)アルキルである)。
【請求項2】
及びRが水素である、請求項1記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項3】
が−OHであり、Rが水素である、請求項1記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項4】
及びRがそれらが結合するシクロヘキシル環と共に結合して
【化5】

を形成し、式中、星印がラクタム環と共有される炭素原子を表す、請求項1記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項5】
が塩素であり、Rが塩素であり、Rが水素である、請求項1から4のいずれか1項記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項6】

【化6】

である、請求項1から5のいずれか1項記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項7】

【化7】

であり、Rが水素である、請求項1から5のいずれか1項記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項8】

【化8】

であり、Rが−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は
【化9】

である、請求項6又は7記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項9】

【化10】

である、請求項6又は7記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項10】

【化11】

である、請求項6又は7記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項11】

【化12】

であり、Rが−(C−C)アルキル(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である、請求項6又は7記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項12】
が塩素又はフッ素である、請求項6又は7記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項13】
2−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オンである化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項14】
2−{3,5−ジクロロ−4’−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ビフェニル−4−イルメチル}−2−アザ−スピロ[4.5]デカン−1−オンである化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の化合物、又はその立体異性体、又はその薬理学的に許容できる塩、並びに薬理学的に許容できる担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項16】
治療用の、請求項1から14のいずれか1項記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項17】
薬剤の調製用の、請求項1から14のいずれか1項記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項18】
患者の2型糖尿病の治療方法であって、それを必要とする前記患者に、有効量の、請求項1から14のいずれか1項記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項19】
請求項13記載の化合物を調製するための中間体であって、
【化13】

である中間体。

【公表番号】特表2009−535357(P2009−535357A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507936(P2009−507936)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/067350
【国際公開番号】WO2007/127763
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】