説明

2値化回路と位相差判別装置

【課題】 入力電圧を2値化する2値化回路を提供する。
【解決方法】 2値化回路10は、入力端子20と第1出力端子26と第2出力端子28とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と閾値演算回路50と第1比較回路60と第2比較回路70と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100と第4選択回路110を備えている。第1選択回路80は2値化信号を出力し、第2選択回路90は遅れ2値化信号を出力する。ピークホールド回路30は遅れ2値化信号に基づいてピーク電圧を減少させ、ボトムホールド回路40は遅れ2値化信号に基づいてボトム電圧を増加させる。そのため、遅れ2値化信号を2値化信号に対して確実に遅延させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間に対して変化する入力電圧を2値化する2値化回路に関する。本発明はまた、この2値化回路を用いた位相差判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
状態変化に追従して生じる電圧変化を測定し、測定した電圧の変化から、実際に生じている状態変化を検出したい局面が多く存在する。このような局面では、ピークホールド回路とボトムホールド回路等のホールド回路を利用し、測定した電圧のピーク電圧とボトム電圧を検出する。
例えば、磁気センサ等を利用して回転体の回転数及び回転角を測定する技術が実用化されている。この技術では、回転体が磁性体で形成されており、その回転体の外周面に山部と谷部が周方向に交互に形成されている。また、磁気センサが、回転体の外周面に向かい合う位置に配置されている。回転体が回転すると、磁気センサに生じる電圧が、磁気センサに向かい合う位置を山部と谷部が交互に通過するのに追従して時間的に変化する。磁気センサで検出された入力電圧を、閾値電圧を用いて2値化すると、その2値化信号から回転体の回転数及び回転角を検出することができる。
時間的に変化する入力電圧を2値化するための閾値電圧に、例えば入力電圧のピーク電圧とボトム電圧の中間値が用いられる。中間値を閾値にして入力電圧を2値化信号に変換するためには、入力電圧のピーク電圧とボトム電圧の双方を正確に検出する必要がある。
【0003】
入力電圧の中には、短周期で変化する電圧に長周期で変化する電圧が重畳していることがある。上記の例の場合、回転体の回転に追従して短周期で変化する電圧に、環境温度の変化やロータの偏心に起因して長周期で変化する電圧が重畳した入力電圧を検出する場合がある。
図9(a)は、長周期で変化する電圧が低下傾向にある時に測定される入力電圧を例示している。この場合、短周期で変化する入力電圧のピーク電圧Vp1, Vp2, Vp3を検出する必要がある。
図9(b)は、長周期で変化する電圧が上昇傾向にある時に測定される入力電圧を例示している。この場合でも、短周期で変化する入力電圧のボトム電圧Vb1, Vb2, Vb3を検出する必要がある。
図9(a)の場合、単純なピークホールド回路を用いると、破線で示すピーク電圧Vp’を検出していまい、短周期で変化する入力電圧のピーク電圧Vp2, Vp3を検出することができない。図9(b)の場合、単純なボトムホールド回路を用いると、破線で示すボトム電圧Vb’を検出していまい、短周期で変化する入力電圧のボトム電圧Vb2, Vb3を検出することができない。
【0004】
特許文献1に、入力電圧のピーク電圧Vp1, Vp2, Vp3とボトム電圧Vb1, Vb2, Vb3の双方を正確に検出する回路が開示されている。
特許文献1のピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加させる。特許文献1のボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少させる。
特許文献1の技術では、ピークホールド回路の第1記憶回路の記憶値とボトムホールド回路の第2記憶回路の記憶値の中間値を利用し、その中間値を閾値に用いる。すなわち、入力端子の電圧が中間閾値を上回ると第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、次のピーク電圧のホールドに備える。同様に、入力端子の電圧が中間閾値を下回ると第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、次のボトム電圧のホールドに備える。
【0005】
図10は、特許文献1の技術で、入力電圧のピーク電圧Vp1, Vp2, Vp3とボトム電圧Vb1, Vb2, Vb3の双方が検出される様子を開示している。
カーブ202は、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高いために、ピークホールド回路の第1記憶回路の記憶値が、入力端子の電圧の増加に追従して増加していくことを例示している。カーブ204は、入力端子の電圧が減少していくことを例示している。この場合、ピークホールド回路の第1記憶回路の記憶値は増加も減少もしない。ピークホールド回路でピーク電圧が保持される。
カーブ206は、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低いために、ボトムホールド回路の第2記憶回路の記憶値が、入力端子の電圧の減少に追従して減少していくことを例示している。カーブ208は、入力端子の電圧が上昇していくことを例示している。この場合、ボトムホールド回路の第2記憶回路の記憶値は増加も減少もしない。ボトムホールド回路でボトム電圧が保持される。カーブ210は、ピークホールド回路の記憶値とボトムホールド回路の記憶値の中間値を例示している。
【0006】
特許文献1の技術では、短周期で変化する電圧のピーク電圧を検出するために、入力端子の電圧が中間閾値を上回ると第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、次のピーク電圧のホールドに備える。垂直に降下しているライン211は、入力端子の電圧が中間閾値を上回ったために、第1記憶回路の記憶値から所定値V1を減算したことを示している。同様のことが、先の周期でも生じているので(ライン214参照)、長周期で変化する電圧が低下して場合でも、前記したカーブ202の現象が得られ、ピークホールド回路で保持される電圧がVp1から Vp2に更新され、さらにVp2から Vp3に更新される。
特許文献1の技術では、短周期で変化する電圧のボトム電圧を検出するために、入力端子の電圧が中間閾値を下回ると第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、次のボトム電圧のホールドに備える。垂直に上昇しているライン212は、入力端子の電圧が中間閾値を下回ったために、第2記憶回路の記憶値に所定値V2を加算したことを示している。同様のことが、先の周期でも生じているので(ライン216参照)、前記したカーブ206の現象が得られ、ボトムホールド回路で保持される電圧がVb1から Vb2に更新され、さらにVb2から Vb3に更新される。
長周期で変化する電圧が低下して場合には、ボトムホールド回路の記憶値を増加させる必要はない。ただし、ボトムホールド回路の記憶値を増加させると、長周期で変化する電圧が増加していく場合にも、ボトムホールド回路で保持される電圧がVb1から Vb2に更新され、さらにVb2から Vb3に更新される。
入力端子の電圧が中間閾値を上回る時にピークホールド回路の記憶値から所定値を減算し、入力端子の電圧が中間閾値を下回る時にボトムホールド回路の記憶値に所定値を加算すると、長周期で緩やかに変化する電圧が低下して場合と増加していく場合の双方において、短周期で変化する電圧のピーク電圧をピークホールド回路に保持し、短周期で変化する電圧のボトム電圧をボトムホールド回路に保持することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2008−32706号公報
【0008】
前記したように、回転体の回転数や回転角を磁気センサで検出する場合、回転体が回転しているのか、振動しているのかを判定する必要がある。
そのために有用な技術を、本出願人らが出願した。その技術内容は、特願2008−005518号に添付されている明細書と図面に開示されている。ただしこの出願は、本出願の出願時点ではまだ未公開である。
上記の技術では、ピーク電圧とボトム電圧の中間に設定されている中間閾値Vrefと、ピーク電圧と中間閾値の間に設定されている高側オフセット閾値Vuと、中間閾値とボトム電圧の間に設定されている低側オフセット閾値Vdを用いる。上記の技術では、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを上回る時と、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを下回る時に反転する2値化信号を得る。また、入力端子の電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値Vdを下回る時に反転する遅れ2値化信号を得る。図11の(a)は、特許文献2に記載の技術で得られる2値化信号を示し、(b)は特許文献2に記載の技術で得られる遅れ2値化信号を示している。遅れ2値化信号は、2値化信号から遅れて反転している。
特願2008−005518号に添付されている明細書と図面に開示されている技術では、2つの磁気センサを用いる。各々の磁気センサの出力を処理して、2値化信号と遅れ2値化信号を得る。合計4個の信号を処理することによって、回転体が回転しているのか振動しているのかを正確に判定することが可能となる。
【0009】
【特許文献2】特願2008−005518号の願書に添付した明細書と図面
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の技術と特許文献2の技術の各々は非常に有用・有益であり、各種の用途の応用できる。
しかしながら、両者を組み合わせて用いると、改良を要することが見出された。
図12は、特許文献1の技術と特許文献2の技術を組み合わせて用いた場合に得られる2値化信号(a)と、遅れ2値化信号(b)を示している。遅れ2値化信号は、2値化信号から遅れて反転するという関係が得られない。場合によっては、遅れ2値化信号が2値化信号とほぼ同時に反転しまうことすら生じる。
これでは、2値化信号と遅れ2値化信号を用いて回転体の振動と回転を判別することができない。
【0011】
本発明は上記の課題を解決する。すなわち本発明は、遅れ2値化信号を2値化信号に対して確実に遅延させておく技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、特許文献1の技術と特許文献2の技術を組み合わせて用いたときに問題が生じる原因を種々に検討した。その結果、下記のことが判明した。
図12は、高側オフセット閾値218を用いて遅れ2値化信号を得る場合を詳細に図示している。このときの高側オフセット閾値218は、特許文献1の技術によってピークホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ減少した(ライン214参照)のピーク電圧から演算されている。これが、2値化信号と遅れ2値化信号の関係を意図したものからずらしてしまう。同様に、図12は、低側オフセット閾値220を用いて遅れ2値化信号を得る場合を詳細に図示している。このときの低側オフセット閾値220は、特許文献1の技術によってボトムホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ増加した(ライン216参照)のボトム電圧から演算されている。これが、2値化信号と遅れ2値化信号の関係を意図したものからずらしてしまう。
【0013】
図13は、ピークホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ減少(ライン214参照)した後も、高側オフセット閾値222をそれまでの値に維持した場合に得られる遅れ2値化信号(b)を示している。同様に、ボトムホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ増加(ライン216参照)した後も、低側オフセット閾値224をそれまでの値に維持した場合に得られる遅れ2値化信号(b)を示している。この場合、(a)と(b)の比較から明らかに、遅れ2値化信号が2値化信号から遅れて反転するという関係が保証される。
高側オフセット閾値を利用して遅れ2値化信号を得る段階では、ピークホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ減少する前のピーク電圧から求めた高側オフセット閾値222を用い、低側オフセット閾値を利用して遅れ2値化信号を得る段階では、ボトムホールド回路の記憶値を人為的に所定値だけ増加する前のボトム電圧から求めた低側オフセット閾値224を用いれば、2値化信号と遅れ2値化信号の関係を意図したものに維持できることが見出された。
【0014】
本発明の2値化回路は、時間に対して変化する入力電圧を入力し、2値化信号と遅れ2値化信号を出力する。
本発明の2値化回路は、入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路と閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えている。
入力端子は、入力電圧を入力するとともに、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されている。
ピークホールド回路は、入力端子と第3選択回路と閾値演算回路とに接続されており、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、第3選択回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、第1記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力する。
ボトムホールド回路は、入力端子と第4選択回路と閾値演算回路とに接続されており、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、第4選択回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、第2記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力する。
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されており、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力する。
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に、反転する信号を出力する。
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に、反転する信号を出力する。
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する2値化信号を第1出力端子に出力する。
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する遅れ2値化信号を第2出力端子に出力する。
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
【0015】
本発明のピークホールド回路では、図14に示すように、入力端子の電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る時(t2)にピークホールド回路の記憶値から所定値を減算(ライン226参照)し、ピークホールド回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い関係を作り出し、その関係が得られている間はピークホールド回路の記憶値を増加させる。ピークホールド回路の記憶値はカーブ228に示すように増加する。長周期で緩やかに変化する電圧が減少していても、短周期で変化する電圧のピーク値に更新していく。
また、入力端子の電圧が低側オフセット閾値Vdを下回る時(t4)にボトムホールド回路の記憶値に所定値を加算し(ライン230参照)し、ボトムホールド回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い関係を作り出し、その関係が得られている間はボトムホールド回路の記憶値を減少させる。ボトムホールド回路の記憶値はカーブ232に示すように減少する。長周期で緩やかに変化する電圧が増加していても、短周期で変化する電圧のボトム値に更新していく。
【0016】
その一方において、入力端子の電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る(t2)までは、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを上回っても(t1)、ピークホールド回路の記憶値に人為的な処理を加えない。
また、入力端子の電圧が低側オフセット閾値Vdを下回る(t4)までは、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを下回っても(t3)、ボトムホールド回路の記憶値に人為的な処理を加えない。
以上の両現象が得られるために、本発明の2値化回路によると、2値化信号と遅れ2値化信号の関係を意図したものに維持される。
【0017】
本発明の2値化回路によれば、2値化信号が反転してから遅れ2値化信号が反転するまでの間に、ピークホールド回路に保持されているピーク電圧とボトムホールド回路に保持されているボトム電圧(或いはそれに相当する値)に人為的な処理が加えられない。そのため、遅れ2値化信号を2値化信号に対して確実に遅延させることができる。
【0018】
上記の2値化回路を用いて構成される位相差判別装置も新規な特徴を有している。
この位相差判別装置は、変化周期が等しい第1入力電圧と第2入力電圧の位相差を判別する。
請求項2の位相差判別装置は、一対の2値化回路と、第3出力端子を有している。一対の2値化回路は、第1の2値化回路と第2の2値化回路で構成されており、いずれも請求項1の要件を満たしている。
請求項2の位相差判別装置では、第1の2値化回路の入力端子に第1入力電圧が入力し、第2の2値化回路の入力端子に第2入力電圧が入力する。第1の2値化回路の第1出力端子と第2出力端子と、第2の2値化回路の第1出力端子と第2出力端子は、位相差判別回路に接続されている。
位相差判別回路は、第1の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングにおける第2の2値化回路の第1出力端子の電圧のレベルと、第2の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングにおける第1の2値化回路の第1出力端子の電圧のレベルを比較した結果から、第1入力電圧と第2入力電圧の位相差が所定位相差内に含まれているか否かを示す位相差判定結果を第3出力端子に出力する。
【0019】
第1の2値化回路では、入力端子に第1入力電圧が入力されており、この第1入力電圧に基づいて、第1の2値化回路の第1出力端子には第1入力電圧を2値化した電圧が出力され、第1の2値化回路の第2出力端子には、第1出力端子の電圧に対して確実に遅延している電圧が出力されている。
第2の2値化回路では、入力端子に第2入力電圧が入力されており、この第2入力電圧に基づいて、第2の2値化回路の第1出力端子には第2入力電圧を2値化した電圧が出力され、第2の2値化回路の第2出力端子には、第1出力端子の電圧に対して確実に遅延している電圧が出力されている。
位相差判別回路には、上記の4つの出力端子の電圧が入力される。第1の2値化回路の第1出力端子の電圧と第2の2値化回路の第1出力端子の電圧を用いて第1入力電圧と第2入力電圧の位相差を判別する際に、第1の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングと第2の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングを用いて第1の2値化回路の第1出力端子の電圧と第2の2値化回路の第1出力端子の電圧を取得し、その取得電圧を比較する。
本発明の位相差判別回路では、第1出力端子の電圧に対して確実に遅延している第2出力端子の電圧が反転するタイミングにおける取得電圧のレベルを比較する。すなわち、各々の第1出力端子の電圧が反転してから所定位相が経過した時点での電圧のレベルを比較する。これによって、第1入力電圧と第2入力電圧の位相差が、所定位相差内に含まれているか否かを確実に検出することができる。
【0020】
本発明は、遅れ2値化信号を生成する2値化回路にも具現化される。本発明の回路は、2値化信号を生成する2値化回路と併せて用いられることで、遅れ2値化信号を2値化信号に対して確実に遅延させておくことができる。
本発明の2値化回路は、入力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路と閾値演算回路と第3比較回路と第3選択回路と第4選択回路を備えている。
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、第3選択回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、第1記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力する。
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、第4選択回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、第2記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力する。
閾値演算回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、高側オフセット閾値と低側オフセット閾値を第3比較回路に出力する。
第3比較回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に、反転する遅れ2値化信号を第2出力端子に出力する。
第3選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
第4選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
【0021】
本発明の2値化回路においても、入力端子の電圧が高側オフセット閾値Vuを上回るまでは、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを上回っても、ピークホールド回路の記憶値に人為的な処理を加えない。
また、入力端子の電圧が低側オフセット閾値Vdを下回るまでは、入力端子の電圧が中間閾値Vrefを下回っても、ボトムホールド回路の記憶値に人為的な処理を加えない。
以上の両現象が得られるために、本発明の2値化回路によると、2値化信号に対して遅延することが保証されている遅れ2値化信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2値化信号に対して所定位相だけ遅れた遅れ2値化信号を得ることができる。短周期で変化する電圧に長周期で変化する電圧が重畳していても、短周期で変動する電圧のピーク電圧とボトム電圧によって2値化した2値化信号から所定位相だけ遅れた遅れ2値化信号を得ることができる。
この遅れ2値化信号を2値化信号と共に用いると、2つの入力電圧の位相差が所定位相差内に含まれているか否かを確実に検出することができる。2つの入力電圧が回転体の動作に起因して発生している場合には、この検出結果を用いることで、回転体が回転しているのか、あるいは振動しているのかを確実に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に整理する。
(特徴1)ピークホールド回路は、コンパレータ回路と、ピークカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴2)ボトムホールド回路は、コンパレータ回路と、ボトムカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴3)2値化回路は、リセット信号が入力されるリセット端子を備えている。
(特徴4)リセット端子にリセット信号が入力されると、ピークホールド回路の第1記憶回路は記憶値を初期化する。
(特徴5)リセット端子にリセット信号が入力されると、ボトムホールド回路の第2記憶回路は記憶値を初期化する。
【実施例】
【0024】
(第1実施例)
図1に、2値化回路10を示す。2値化回路10は、入力端子20とクロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と第2出力端子28とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と閾値演算回路50と第1比較回路60と第2比較回路70と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100と第4選択回路110を備えている。
【0025】
入力端子20は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と第1比較回路60と第2比較回路70に接続されており、例えば磁気センサを含む外部回路(図示されていない)からの入力電圧を入力する。
クロック端子22は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されており、外部回路(図示されていない)から所定時間間隔で変化するクロック信号が入力されている。
リセット端子24は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されており、外部回路(図示されていない)からリセット信号が入力されている。
【0026】
ピークホールド回路30は、入力端子20とクロック端子22とリセット端子24と第3選択回路100と閾値演算回路50に接続されている。図2にピークホールド回路30の具体的な構成を示す。ピークホールド回路30は、コンパレータ31と、アンド回路32と、カウンタ回路33と、D/A変換回路34を備えている。コンパレータ31の非反転入力端子31aが入力端子20に接続されている。コンパレータ31の反転入力端子31bがD/A変換回路34の出力端子34aに接続されている。コンパレータ31の出力端子31cがアンド回路32の一方の入力端子32aに接続されている。アンド回路32の他方の入力端子32bがクロック端子22に接続されている。アンド回路32の出力端子32cがカウンタ回路33のUP用入力端子33bに接続されている。カウンタ回路33のDOWN用入力端子33cが第3選択回路100に接続されている。カウンタ回路33のリセット(RST)用入力端子33aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路33はD/A変換回路34に接続されている。D/A変換回路34の出力端子34aはコンパレータ31の反転入力端子31bに接続されているとともに、閾値演算回路50に接続されている。
【0027】
ピークホールド回路30では、コンパレータ31の非反転入力端子31aに入力される入力電圧(入力端子20の電圧)が、反転入力端子31bに入力されるピークホールド回路30の出力電圧(すなわちピークホールド回路30の記憶値)よりも高い場合に、出力端子31cの電圧がハイとなる。コンパレータ31の出力端子31cの電圧がハイのときには、クロック信号に同期した出力信号がアンド回路32の出力端子32cからカウンタ回路33のUP用入力端子33bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が増加する。即ち、カウンタ回路33が第1記憶回路に相当し、カウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が第1記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路33では、第3選択回路100からの信号がカウンタ回路33のDOWN用入力端子33cに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が一定の値だけ減少する。また、カウンタ回路33では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路33のRST用入力端子33aに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が初期値へリセットされる。D/A変換回路34は、カウンタ回路33のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するピーク電圧を生成し、このピーク電圧を出力端子34aから閾値演算回路50へと出力する。
ピークホールド回路30では、第3選択回路100からの信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を減少する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のピーク電圧が緩慢に減少していく場合でも、短周期で変化するピーク電圧をピークホールド回路30に記憶することができる。具体的には、後述するピークホールド値減少信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を一定値だけ減少させる。
【0028】
ボトムホールド回路40は、入力端子20とクロック端子22とリセット端子24と第4選択回路110と閾値演算回路50に接続されている。図3にボトムホールド回路40の具体的な構成を示す。ボトムホールド回路40は、コンパレータ41と、アンド回路42と、カウンタ回路43と、D/A変換回路44を備えている。コンパレータ41の反転入力端子41bが入力端子20に接続されている。コンパレータ41の非反転入力端子41aがD/A変換回路44の出力端子44aに接続されている。コンパレータ41の出力端子41cがアンド回路42の一方の入力端子42aに接続されている。アンド回路42の他方の入力端子42bがクロック端子22に接続されている。アンド回路42の出力端子42cがカウンタ回路43のDOWN用入力端子43cに接続されている。カウンタ回路43のUP用入力端子43bが第4選択回路110に接続されている。カウンタ回路43のリセット(RST)用入力端子43aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路43とD/A変換回路44に接続されている。D/A変換回路44の出力端子44aはコンパレータ41の反転入力端子41bに接続されているとともに、閾値演算回路50に接続されている。
【0029】
ボトムホールド回路40では、コンパレータ41の反転入力端子41bに入力される入力電圧(入力端子20の電圧)が、非反転入力端子41aに入力されるボトムホールド回路40の出力電圧(すなわちボトムホールド回路40の記憶値)よりも低い場合に、出力端子41cの電圧がハイとなる。コンパレータ41の出力端子41cの電圧がハイのときは、クロック信号に同期した出力信号がアンド回路42の出力端子42cからカウンタ回路43のDOWN用入力端子43cに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が減少する。即ち、カウンタ回路43が第2記憶回路に相当し、カウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が第2記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路43では、第4選択回路110からの信号がカウンタ回路43のUP用入力端子43bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が一定の値だけ増加する。また、カウンタ回路43では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路43のRST用入力端子43aに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が初期値へリセットされる。D/A変換回路44は、カウンタ回路43のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するボトム電圧を生成し、このボトム電圧を出力端子44aから閾値演算回路50へと出力する。
ボトムホールド回路40では、第4選択回路110からの信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を増加する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のボトム電圧が緩慢に増加していく場合でも、短周期で変化するボトム電圧をボトムホールド回路40に記憶することができる。具体的には、後述するボトムホールド値増加信号に伴ってカウンタ回路43のカウント値を一定値だけ増加させる。
【0030】
閾値演算回路50は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と第1比較回路60と第2比較回路70に接続されている。図4の左側に、閾値演算回路50の具体的な構成を示す。図4に示すように、閾値演算回路50では、ピークホールド回路30との接続端子51とボトムホールド回路40との接続端子55の間に、4つの抵抗R1〜R4がこの順に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2の間に、第1接続端子52が形成されている。抵抗R2と抵抗R3の間に、第2接続端子53が形成されている。抵抗R3と抵抗R4の間に、第3接続端子54が形成されている。
抵抗R1〜R4の抵抗値は同一である。したがって、各接続端子52、53、54の電圧は、以下の値に調整される。
【0031】
Vref=(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/2)+ボトム電圧
Vu =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(3/4)+ボトム電圧
Vd =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/4)+ボトム電圧
第2接続端子53の電圧Vrefは、ピーク電圧とボトム電圧の平均値であり、中間閾値Vrefとして用いられる。第1接続端子52の電圧Vuは、ピーク電圧と中間閾値Vrefの平均値であり、高側オフセット閾値Vuとして用いられる。第3接続端子54の電圧Vdは、中間閾値Vrefとボトム電圧の平均値であり、低側オフセット閾値Vdとして用いられる。
【0032】
第1比較回路60は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。図4に示すように、第1比較回路60は、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2と第1コンパレータ61と反転回路62を備えている。第1トランジスタS1の一方の端子に高側オフセット閾値Vuが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第1トランジスタS1のゲート電極G1に反転回路62の出力端子62bが接続されている。第2トランジスタS2の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第2トランジスタS2のゲート電極G2に第1コンパレータ61の出力端子61cが接続されている。第1コンパレータ61の非反転入力端子61bは入力端子20に接続されている。第1コンパレータ61の出力端子61cは、第2トランジスタS2のゲート電極G2に接続されているとともに、反転回路62の入力端子62aと第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。反転回路62の出力端子62bは、第1トランジスタS1のゲート電極G1に接続されているとともに、第1選択回路80に接続されている。
【0033】
第2比較回路70は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。図4に示すように、第2比較回路70は、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4と第2コンパレータ71と反転回路72を備えている。第3トランジスタS3の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第3トランジスタS3のゲート電極G3に反転回路72の出力端子72bが接続されている。第4トランジスタS4の一方の端子には低側オフセット閾値Vdが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第4トランジスタS4のゲート電極G4に第2コンパレータ71の出力端子71cが接続されている。第2コンパレータ71の非反転入力端子71bは入力端子20に接続されている。第2コンパレータ71の出力端子71cは、第4トランジスタS4のゲート電極G4に接続されているとともに、反転回路72の入力端子72aと第1選択回路80に接続されている。反転回路72の出力端子72bは、第3トランジスタS3のゲート電極G3に接続されているとともに、第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。
【0034】
図5を用いて、第1比較回路60及び第2比較回路70の動作を説明する。図5は、入力端子20に入力する電圧の変化を示しており、図5では、ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合について説明する。ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合、高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdも一定となる。図5(B)は、第1比較回路60が第1選択回路80に出力している出力電圧を示す。図5(C)は、第2比較回路70が第2選択回路90と第4選択回路110に出力している出力電圧を示す。図5(D)は、第1選択回路80が第1出力端子26に出力している2値化信号を示す。図5(E)は、第2選択回路90が第2出力端子28に出力している遅れ2値化信号を示す。
【0035】
第1比較回路60の動作を説明する。図4に示す第1トランジスタS1と第2トランジスタS2は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る時(t12)までは、第1トランジスタS1がオンしており、第2トランジスタS2がオフしている。第1コンパレータ61の反転入力端子61aに高側オフセット閾値Vuが入力されており、図5(B)に示すように、第1選択回路80にハイ信号が出力されている。
入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がハイに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオンする。また、反転回路62の出力端子62bの電圧がローに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオフする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t13)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がローに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオフする。また、反転回路62の出力端子62bの電圧がハイに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオンする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が高側オフセット閾値Vuへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第1比較回路60では、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2を用いて第1コンパレータ61の一方の入力端子61aに入力される電圧を高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefの間で切換える。これによって、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時と、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時に反転する信号が出力される。
【0036】
次に、第2比較回路70の動作を説明する。図4に示す第3トランジスタS3と第4トランジスタS4は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が中間閾値Vrefを上回る時(t11)までは、第3トランジスタS3がオンしており、第4トランジスタS4がオフしている。第2コンパレータ71の反転入力端子71aに中間閾値Vrefが入力されており、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110にハイ信号が出力されている。
入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t11)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がハイに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオンする。また、反転回路72の出力端子72bの電圧がローに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオフする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が低側オフセット閾値Vdへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がローに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオフする。また、反転回路72の出力端子72bの電圧がハイに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオンする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第2比較回路70では、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4を用いて第2コンパレータ71の一方の入力端子71aに入力される電圧を中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdの間で切り換える。これによって、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時に反転する信号が出力される。
【0037】
第1選択回路80は、第1比較回路60と第2比較回路70と第1出力端子26に接続されている。図4に示すように、第1選択回路80は、フリップフロップ回路81を備えている。
フリップフロップ回路81は、セット端子81Sとリセット端子81Rと出力端子81Qを有している。フリップフロップ回路81では、セット端子81Sがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がハイとなり、リセット端子81Rがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がローとなる。
フリップフロップ回路81のセット端子81Sは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路81のリセット端子81Rは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路81の出力端子81Qは、第1出力端子26に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(D)に示すように、第1出力端子26からは、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t11)と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t13)に反転する2値化信号が出力される。
【0038】
第2選択回路90は、第1比較回路60と第2比較回路70と第2出力端子28に接続されている。図4に示すように、第2選択回路90は、フリップフロップ回路91を備えている。フリップフロップ回路91は、フリップフロップ回路81と同一の端子及び入出力特性を備えており、重複した説明を省略する。
フリップフロップ回路91のセット端子91Sは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路91のリセット端子91Rは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路81の出力端子91Qは、第2出力端子28に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(E)に示すように、第2出力端子28からは、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)と、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に反転する遅れ2値化信号が出力される。
【0039】
第3選択回路100は、第1比較回路60とピークホールド回路30に接続されている。図4に示すように、第3選択回路100は、立ち上がり検出回路101を備えている。立ち上がり検出回路101の入力端子101aには図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されており、立ち上がり検出回路101の出力端子101bはピークホールド回路30に接続されている。立ち上がり検出回路101は、入力端子101aから入力される信号が、ローからハイに立ち上がった際に出力端子101bから信号を出力する。前記したように、第3選択回路100がピークホールド回路30に信号を送ると、ピークホールド回路30は、カウンタ回路33の値から一定値を減算する。第3選択回路100がピークホールド回路30に送る信号は、ピークホールド値減少信号ということができる。
第4選択回路110は、第2比較回路70とボトムホールド回路40に接続されている。図4に示すように、第4選択回路110は、立ち下がり検出回路111を備えている。立ち下がり検出回路111の入力端子111aには図5(C)に示す信号が入力されており、立ち下がり検出回路111の出力端子111bはボトムホールド回路40に接続されている。立ち下がり検出回路111は、入力端子111aから入力される信号が、ハイからローに立ち下がった際に出力端子111bから信号を出力する。前記したように、第4選択回路110がボトムホールド回路40に信号を送ると、ボトムホールド回路40は、カウンタ回路43の値に一定値を加算する。第4選択回路110がボトムホールド回路40に送る信号は、ボトムホールド値増加信号ということができる。
上記では、第1比較回路60を直接第3選択回路100に接続しており、第2比較回路70を直接第4選択回路110に接続している。これに代えて、第1比較回路60と第2比較回路70を、第2選択回路90を介して第3選択回路100と第4選択回路110に接続してもよい。
【0040】
2値化回路10によると、遅れ2値化信号と同期したタイミングでピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号を生成する。このため、ピークホールド回路30から出力されるピーク電圧と、ボトムホールド回路40から出力されるボトム電圧を、遅れ2値化信号が反転するタイミングの後に人為的に変化させることができる。ピークホールド回路30のピーク電圧と、ボトムホールド回路40のボトム電圧を、2値化信号が反転するタイミングから遅れ2値化信号が反転するタイミングまでの間には人為的に変化させない。2値化回路10では、ピーク電圧とボトム電圧を用いて、高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdを生成する。2値化信号が反転するタイミングから遅れ2値化信号が反転するタイミングまでの間はピーク電圧とボトム電圧を維持するので、2値化信号が反転するタイミングから遅れ2値化信号が反転するタイミングまでの間は、高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdのいずれもが従前の値に維持される。
【0041】
図12に例示したように、2値化信号が反転するタイミングでピークホールド回路30のピーク電圧またはボトムホールド回路40のボトム電圧に人為的な処理を加えると、それによって高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdが変化し、遅れ2値化信号が反転するタイミングにおける閾値群の電圧値が安定しない。そのため、遅れ2値化信号が反転する際の低側オフセット閾値Vdが、その直前に2値化信号が反転した際の中間閾値Vrefと近接する場合が発生する。この場合、入力電圧が下降する際に、2値化信号が反転するタイミングと遅れ2値化信号が反転するタイミングがほぼ一致してしまうことがある。同様に、遅れ2値化信号が反転する際の高側オフセット閾値Vuが、その直前に2値化信号が反転した際の中間閾値Vrefと近接する場合が発生する。この場合、入力電圧が上昇する際に、2値化信号が反転するタイミングと遅れ2値化信号が反転するタイミングがほぼ一致してしまうことがある。
【0042】
本実施例の2値化回路10では、図14に示すように、2値化信号が反転するタイミングt1、t3と遅れ2値化信号が反転するタイミングt2、t4における高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdが等しい。そのため、閾値間の電位差によって2値化信号が反転するタイミングt1、t3から遅れ2値化信号が反転するタイミングt2、t4までの遅延時間を確実に確保することができる。
図6は、2値化回路10の出力結果を示す。2値化信号が反転するタイミングTm1と遅れ2値化信号が反転するタイミングTm2における閾値群の電圧が等しい。そのため、閾値間の電位差によって2値化信号が反転するタイミングTm1から遅れ2値化信号が反転するタイミングTm2までの遅延時間ΔTを確実に確保することができる。これによって、遅れ2値化信号が反転するタイミングを2値化信号が反転するタイミングに対して確実に遅延させておくことができる。
【0043】
本実施例の2値化回路10はまた、遅れ2値化信号を生成する回路ということができる。この2値化回路10は、第1比較回路60と第2比較回路70と第2選択回路90を併せた回路である第3比較回路を備えており、この第3比較回路は入力端子20の電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時と、入力端子20の電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時に、反転する遅れ2値化信号を第2出力端子28に出力する。本実施例の2値化回路10では、2値化信号に対して確実に遅延している遅れ2値化信号を出力することができる。
【0044】
(第2実施例)
図7に、位相差判別装置150を示す。位相差判別装置150は、周期が等しい第1入力電圧と第2入力電圧の位相差を判別する装置であり、第1の2値化回路120と第2の2値化回路130と位相差判別回路140を備えている。
第1の2値化回路120と第2の2値化回路130の各々は、第1実施例の2値化回路10の要件を満たしている回路であり、図示番号を変えて表記したものである。第1の2値化回路120の入力端子121に第1入力電圧が入力している。第2の2値化回路130の入力端子131に第2入力電圧が入力されている。第1の2値化回路120のリセット端子122と第2の2値化回路130のリセット端子132にリセット信号が入力されている。第1の2値化回路120のクロック端子123と第2の2値化回路130のクロック端子133にクロック信号が入力されている。第1の2値化回路120の第1出力端子124と第2出力端子125、及び第2の2値化回路130の第1出力端子134と第2出力端子135が位相差判別回路140に接続されている。
【0045】
図8に位相差判別回路140の具体的な構成を示す。位相差判別回路140は、スイッチ素子141とスイッチ素子142と排他的論理和回路143と第3出力端子144を備えている。
第1スイッチ素子141は、入力端子141aとスイッチ端子141bと出力端子141cを有している。入力端子141aは、第2の2値化回路130の第1出力端子134に接続されている。スイッチ端子141bは、第1の2値化回路120の第2出力端子125に接続されている。出力端子141cは、排他的論理和回路143の一方の入力端子143aに接続されている。第1スイッチ素子141では、第1の2値化回路120の遅れ2値化信号がオフからオンに切換わる際の第2の2値化回路130の2値化信号の電圧を取得し、この電圧を排他的論理和回路143の一方の入力端子143aへと入力する。
第2スイッチ素子142は、入力端子142aとスイッチ端子142bと出力端子142cを有している。入力端子142aは、第1の2値化回路120の第1出力端子124に接続されている。スイッチ端子142bは、第2の2値化回路120の第2出力端子135に接続されている。出力端子142cは、排他的論理和回路143の他方の入力端子143aに接続されている。第2スイッチ素子142では、第2の2値化回路130の遅れ2値化信号がオフからオンに切換わる際の第1の2値化回路120の2値化信号の電圧を取得し、この電圧を排他的論理和回路143の他方の入力端子143bへと入力する。
【0046】
排他的論理和回路143は、入力端子143a、143bに入力される信号の電圧レベルを比較し、この比較結果から位相差判別結果を生成し、出力端子143cを通して第3出力端子144へと出力する。
排他的論理和回路143では、入力端子143a、143bに入力される信号の電圧レベルが等しい場合に、出力端子143cにハイ信号を出力する。逆に、入力端子143a、143bに入力される信号野の電圧レベルが異なる場合に、出力端子143cにロー信号を出力する。
【0047】
本実施例の位相差判別装置150では、第1の2値化回路120が、第1入力電圧の2値化信号と、その2値化信号に対して確実に遅延している遅れ2値化信号を、位相差判別回路140に出力している。また、第2の2値化回路130が、第2入力電圧の2値化信号と、その2値化信号に対して確実に遅延している遅れ2値化信号を、位相差判別回路140に出力している。
そのため、位相差判別回路では、第1入力電圧と第2入力電圧の2値化信号を用いて、これらの2値化信号から一定の時間だけ確実に遅延したタイミングにおける電圧のレベルによって判別を行うことができる。これによって、第1入力電圧と第2入力電圧の位相差が所定位相差内に含まれているか否かを確実に検出することができる。詳細には、特願2008−005518号の願書に添付した明細書に記載されており、重複した説明を省略する。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、ピークホールド回路30に含まれるカウンタ回路33のDOWN用入力端子33cが入力される信号の立ち上がり時にカウントする機能を有している場合には、立ち上がり検出回路101は必要ではない。同様に、ボトムホールド回路40に含まれるカウンタ回路43のDOWN用入力端子43cが入力される信号の立ち下がり時にカウントする機能を有している場合には、立ち下がり検出回路111は必要ではない。また、ボトムホールド回路40に含まれるカウンタ回路43のDOWN用入力端子43cが入力される信号の立ち上がり時にカウントする機能を有している場合には、立ち下がり検出回路111に代えて反転回路を備えていることが好ましい。
【0049】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】2値化回路10の回路全体を示す。
【図2】ピークホールド回路30の回路図を示す。
【図3】ボトムホールド回路40の回路図を示す。
【図4】閾値演算回路と比較回路と選択回路の回路図を示す。
【図5】閾値演算回路と比較回路の動作の様子を示す図である。
【図6】2値化回路10の出力結果を例示する図である。
【図7】位相差判別装置150の回路全体を示す。
【図8】位相差判別回路140の回路図を示す。
【図9】ピークホールド回路とボトムホールド回路の問題を示す図である。
【図10】改良されたピークホールド回路とボトムホールド回路の処理の様子を示す図である。
【図11】2値化信号と遅れ2値化信号を示す図である。
【図12】従来のピークホールド回路とボトムホールド回路によって2値化信号と遅れ2値化信号に生じる問題を説明する図である。
【図13】図12の問題が生じる理由を説明する図である。
【図14】問題が解消する理由を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
10 2値化回路
20 入力端子
22 クロック端子
24 リセット端子
26 第1出力端子
28 第2出力端子
30 ピークホールド端子
33 カウンタ回路
34 D/A変換回路
40 ボトムホールド端子
43 カウンタ回路
44 D/A変換回路
50 閾値演算回路
60 第1比較回路
70 第2比較回路
80 第1選択回路
81 フリップフロップ回路
90 第2選択回路
91 フリップフロップ回路
100 第3選択回路
101 立ち上がり検出回路
110 第4選択回路
111 立ち下がり検出回路
120 第1の2値化回路
130 第2の2値化回路
140 位相差判別回路
150 位相差判別回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間に対して変化する入力電圧を2値化する回路であって、
入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路と閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えており、
入力端子は、入力電圧を入力するとともに、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されており、
ピークホールド回路は、入力端子と第3選択回路と閾値演算回路とに接続されており、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、第3選択回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、第1記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力し、
ボトムホールド回路は、入力端子と第4選択回路と閾値演算回路とに接続されており、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、第4選択回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、第2記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力し、
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されており、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力し、
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に、反転する信号を出力し、
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に、反転する信号を出力し、
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する2値化信号を第1出力端子に出力し、
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する遅れ2値化信号を第2出力端子に出力し、
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力することを特徴とする2値化回路。
【請求項2】
変化周期が等しい第1入力電圧と第2入力電圧の位相差を判別する位相差判別装置であり、
請求項1に記載の第1の2値化回路と、請求項1に記載の第2の2値化回路と、第3出力端子を有している位相差判別回路を備えており、
第1の2値化回路の入力端子に第1入力電圧が入力し、
第2の2値化回路の入力端子に第2入力電圧が入力し、
第1の2値化回路の第1出力端子と第2出力端子と、第2の2値化回路の第1出力端子と第2出力端子が位相差判別回路に接続されており、
位相差判別回路は、第1の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングにおける第2の2値化回路の第1出力端子の電圧のレベルと、第2の2値化回路の第2出力端子の電圧が反転するタイミングにおける第1の2値化回路の第1出力端子の電圧のレベルを比較した結果から、第1入力電圧と第2入力電圧の位相差が所定位相差内に含まれているか否かを示す位相差判定結果を第3出力端子に出力することを特徴とする位相差判別装置。
【請求項3】
遅れ2値化信号を生成する回路であって、
入力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路と閾値演算回路と第3比較回路と第3選択回路と第4選択回路を備えており、
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、第3選択回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から所定値を減算し、第1記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力し、
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、第4選択回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値に所定値を加算し、第2記憶回路の記憶値を閾値演算回路に出力し、
閾値演算回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、高側オフセット閾値と低側オフセット閾値を第3比較回路に出力し、
第3比較回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に、反転する遅れ2値化信号を第2出力端子に出力し、
第3選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、
第4選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力することを特徴とする2値化回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−78358(P2010−78358A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244369(P2008−244369)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】