説明

3Dカメラ

【課題】撮影レンズに指が掛かったまま撮影してしまうといった問題を防止する。
【解決手段】3Dカメラを撮影モードに移行させると液晶モニタ40の左上の領域60のうち右半分の領域60aに右目用スルー画像が表示され、左半分の領域60bに左目用スルー画像が表示される。この領域60は2次元モードで駆動され、撮影者は表示された画像を両目で観察できる。また、領域60以外の領域62には、右目用スルー画像と左目用スルー画像とが表示される。この領域62は3次元モードで駆動され、撮影者は表示された画像を立体的に観察できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な画像を撮影する3Dカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮影した画像をデジタルな画像データとしてメモリーカードなどの記憶媒体に記憶するデジタルカメラが広く普及している。デジタルカメラは、カメラ本体の前面に撮影レンズが設けられ、カメラ本体の背面にモニタが設けられている。モニタには、撮影レンズを介して得られる被写体のスルー画像が表示され、撮影者は、このスルー画像に基づいてフレーミングを行えるようになっている。
【0003】
また、デジタルカメラの中には、右目で観察する画像を撮影するための右目用撮影レンズと、左目で観察する画像を撮影するための左目用撮影レンズとを備え、視差の付いた2枚の画像、すなわち、立体視できる画像を撮影するものもある。このようなデジタルカメラ(以下、3Dカメラ)では、撮影者がスルー画像を立体的に観察できるように、右目用撮影レンズを介して得られる右目用スルー画像を撮影者の右目で視認させ、左目用撮影レンズを介して得られる左目用スルー画像を撮影者の左目で視認させる特殊なモニタを用いている。こうすることで、立体的で迫力のあるスルー画像に基づいてフレーミングを行うことができる。
【0004】
ところで、3Dカメラは、2つの撮影レンズが設けられているため、1つの撮影レンズのみが設けられた一般のデジタルカメラに対して、カメラを保持したときに撮影者の指が撮影レンズに掛かってしまうことが多い。また、一般のデジタルカメラでは、1つの撮影レンズを介して得られたスルー画像を両目で観察できるが、3Dカメラでは、1つの撮影レンズを介して得られたスルー画像を片目でしか観察できないので、一般のデジタルカメラよりも撮影レンズに指が掛かっていることに気付き難い。このような事情から、3Dカメラでは、撮影レンズに指が掛かったまま撮影されてしまうことが多く問題であった。
【0005】
このような問題を防止するために、例えば、撮影レンズの周囲にフードを設けるといったこと(下記特許文献1参照)や、撮影者の指を正しい位置に案内するための指掛かりを設ける(下記特許文献2参照)といったことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−219223
【特許文献2】実開平4−119439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フードや指掛かりを設けると外観のデザイン性が低下してしまうといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、デザイン性の低下を招くことなく、撮影レンズに指が掛かったまま撮影してしまうといった問題を防止できる3Dカメラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の3Dカメラは、右目用撮影レンズと左目用撮影レンズとを有し、視差の付いた2種類の画像を撮影する撮像ユニットと、前記撮像ユニットにより撮影された被写体のスルー画像を表示する表示手段とを備えるとともに、前記表示手段は、前記右目用撮影レンズを介して撮影された右目用スルー画像と、前記左目用撮影レンズを介して撮影された左目用スルー画像とを、撮影者が立体的に観察できるように表示する第1表示部と、前記右目用スルー画像を、撮影者が両目で観察できるように表示する第2表示部と、前記左目用スルー画像を、撮影者が両目で観察できるように表示する第3表示部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、前記モニタは、前記モニタの画像表示領域全体に、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示するとともに、前記第2表示部として機能する第2表示画面と前記第3表示部として機能する第3表示画面とを、前記第1表示画面の一部領域に重ねて表示するものでもよい。
【0011】
また、前記モニタは、前記第2、第3表示画面を、前記第1表示画面の4隅のいずれかの領域に重ねて表示するものでもよい。
【0012】
さらに、前記右目用、左目用スルー画像の少なくとも一方を解析して、主要被写体の表示領域を検出する画像解析手段と、検出した主要被写体の表示領域と重なり合わないように、前記第2、第3表示画面の大きさ、位置、形状の少なくとも1つを決定するモニタ制御手段とを設けてもよい。
【0013】
また、前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、前記モニタは、画像表示領域全体に前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示する状態と、画像表示領域を2つに分割し、一方の領域に前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示し、他方の領域に前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示する状態との2段階に表示を切り替えるものでもよい。
【0014】
さらに、前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、前記モニタは、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示する状態と、前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示する状態と、前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示する状態との3段階に表示を切り替えるものでもよい。
【0015】
また、前記表示を切り替える操作を行うための操作部材を設けてもよい。
【0016】
さらに、前記表示手段は、前記第1表示部として機能する第1モニタと、前記第1モニタとは別体に設けられ、前記第2、第3表示部として機能する第2モニタとからなり、前記第1モニタは、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記第2モニタは、画像表示領域を2つに分割し、一方の領域に前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示し、他方の領域に前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示するものでもよい。
【0017】
また、前記第2モニタは、前記第2、第3表示画面と、カメラ情報を報知するためのカメラ情報表示画面とを切り替え表示するものでもよい。
【0018】
さらに、前記第2モニタは、前記第2、第3表示画面と、各種操作を行うための操作画面とを切り替え表示するとともに、前記操作画面へのタッチ操作を検知するセンサと、検出されたタッチ操作に基づいて、予め設定された処理を実行する制御手段とを設けてもよい。
【0019】
また、前記右目用、左目用の各撮影レンズの周囲に、撮影者の指が触れたことを検知して検知信号を出力するタッチセンサを備え、前記表示手段は、前記検知信号が出力されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記検知信号が出力された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示するものでもよい。
【0020】
さらに、前記左目用、右目用のスルー画像を比較して、前記右目用、左目用のいずれかの撮影レンズに撮影者の指が掛かっているか否かを判定する判定手段を備え、前記表示手段は、前記判定手段により指が掛かっていると判定されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記判定手段により指が掛かっていると判定された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示するものでもよい。
【0021】
また、記録用の本画像の撮影を指示するためのシャッタボタンを備え、前記撮像ユニットは、前記シャッタボタンが初期位置から撮影位置まで押下された際に、前記スルー画像の撮影を中断して、記録用の本画像の撮影を行うとともに、前記表示手段は、前記シャッタボタンが初期位置と撮影位置との間に設定された中間位置に押下されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記シャッタボタンが前記中間位置に押下された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示するものでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の3Dカメラによれば、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを撮影者が両目で観察できるようにしたので、撮影レンズに指が掛かっていることに気付き易くなり、撮影レンズに指が掛かったまま撮影されてしまうといった問題を防止できる。また、撮影レンズの周囲にフードを設けたり、撮影者の指を正しい位置に案内するための指掛かりを設ける場合と比較して、外観のデザイン性が低下してしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】レンズカバーを上げた状態を示す3Dカメラの前面側外観図である。
【図2】レンズカバーを下げた状態を示す3Dカメラの前面側外観図である。
【図3】3Dカメラの背面側外観図である。
【図4】3Dカメラの電気的な構成の概略を示すブロック図である。
【図5】液晶モニタに表示されたスルー画像を示す説明図である。
【図6】3Dカメラの背面図である。
【図7】3Dカメラの背面図である。
【図8】3Dカメラの背面図である。
【図9】3Dカメラの背面図である。
【図10】3Dカメラの背面図である。
【図11】3Dカメラの背面図である。
【図12】3Dカメラの背面図である。
【図13】3Dカメラの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、本発明の3Dカメラ10は、カメラ本体12の前面にレンズカバー14が設けられ、カメラ本体12の上面にシャッタボタン16とズームボタン18が設けられている。レンズカバー14は上下にスライド自在に設けられており、図2に示すように、下方へスライドさせると、右目用撮像ユニット20を構成する右目用撮影レンズ22、左目用撮像ユニット30を構成する左目用撮影レンズ32、ストロボ装置34の発光部が露呈される。
【0025】
右目用撮像ユニット20は、前述した右目用撮影レンズ22の他、絞りやCCD(図示せず)を備えている。右目用撮像ユニット20は、3Dカメラ10が撮影モードにセットされると、フレーミング用のスルー画像の撮影を開始する。そして、撮影したスルー画像(以下、右目用スルー画像)をデジタルな画像データに変換して出力する。また、右目用撮像ユニット20は、右目用スルー画像の撮影中にシャッタボタン16が押下されると、右目用スルー画像の撮影を中断し、記録用の本画像の撮影を行う。そして、撮影した本画像(以下、右目用本画像)をデジタルな画像データに変換して出力する。
【0026】
同様に、左目用撮像ユニット30は、左目用撮影レンズ32の他、絞りやCCD(図示せず)を備え、3Dカメラ10が撮影モードにセットされると、フレーミング用のスルー画像の撮影を開始し、撮影したスルー画像(以下、左目用スルー画像)をデジタルな画像データに変換して出力する。また、右目用スルー画像の撮影中にシャッタボタン16が押下されると、右目用スルー画像の撮影を中断し、記録用の本画像としての撮影を行い、撮影した本画像(以下、左目用本画像)をデジタルな画像データに変換して出力する。
【0027】
図3に示すように、カメラ本体12の背面には、液晶モニタ40や、各種操作を行うための操作部42が設けられている。液晶モニタ40としては、撮影者の両目に同じ画像を視認させることで、画像の2次元表示を行う2次元モードと、撮影者の右目と左目とに視差の付いた異なる画像を視認させることで、画像の3次元表示を行う3次元モードとの2種類のモードで画像を表示するものが用いられる。
【0028】
なお、画像の3次元表示を行う方法としては、液晶モニタに左目用画素と右目用画素との2種類の画素を設け、右目用画素からの画像光を撮影者の右目へ向けて照射し、左目用画素からの画像光を撮影者の左目へ向けて照射するといったように、1枚の画面内に2種類の異なる画像を表示する方法や、右目用画像と左目用画像を切り替え表示し、右目用画像を表示しているときは画像光を撮影者の右目へ向けて照射し、左目用画像を表示しているときは画像光を撮影者の左目へ向けて照射するといったように、2種類の異なる画像を切り替え表示する方法など各種方法が知られているが、これらのいずれの方法を用いてもよい。
【0029】
また、画像光の照射方向を撮影者の右目や左目に限定する方法としては、例えば、スリットやレンズなどを有する光学フィルタを用いる方法や、バックライトからの光の照射方向を画像に応じて切り替える方法など、各種方法が知られているが、これらのいずれの方法を用いてもよい。
【0030】
さらに、2次元モードと3次元モードとを切り替える方法は、画像の3次元表示を行う方法に対応して適宜設定すればよい。すなわち、3次元モードにおいて1枚の画面内に2種類の異なる画像を表示する場合、2次元モードでは、1つの画面内に同じ画像を2つ表示すればよい。また、3次元モードにおいて2種類の異なる画像を切り替え表示する場合、2次元モードでは、1つの画像を継続して表示すればよい。
【0031】
図4に示すように、3Dカメラ10の内部には、制御部50が設けられている。制御部50は、右目用撮像ユニット20や左目用撮像ユニット30から右目用スルー画像や左目用スルー画像が出力されると、これらを液晶モニタ40に表示するとともに、右目用撮像ユニット20や左目用撮像ユニット30から右目用本画像や左目用本画像が出力されると、これらを関連付けしてメモリーカード52に記憶させる。
【0032】
また、制御部50は、スルー画像を表示する際に、図5に示すように、液晶モニタ40の左上の領域60を2次元モードで駆動し、残りの領域62を3次元モードで駆動する。そして、領域60の右半分の領域60aに右目用スルー画像を表示し、領域60の左半分の領域60bに左目用スルー画像を表示する。また、領域62に、立体視可能なように右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示、すなわち、右目用スルー画が撮影者の右目で視認され、左目用スルー画が撮影者の撮影者の左目で視認されるように、各スルー画を表示する。
【0033】
領域60では、表示された画像(領域60aに表示された右目用スルー画像、及び、領域60bに表示された左目用スルー画像)を、撮影者が両目で観察できる。このため、例えば、右目用撮影レンズ22に撮影者の指が掛かってしまい、右目用スルー画像に撮影者の指64が写ってしまったなどの場合に、これを発見し易い。他方、領域62では、右目用撮影レンズ22に掛かってしまった指64を、撮影者が片目(右目)でしか観察できないので発見し難いが、代わりに、立体的で迫力のあるスルー画像を観察できる。
【0034】
以下、上記構成による本発明の作用について説明する。3Dカメラ10は、左目用撮像ユニット30と、右目用撮像ユニット20とを備え、これら2つの撮像ユニットによって視差の付いた立体視可能な画像を撮影できる。撮影を行う際には、操作部42を操作して撮影モードへ移行させる。すると、スルー画像としての撮影が開始され、撮影されたスルー画像が液晶モニタ40に表示される。撮影者は、表示されたスルー画像を観察しながらフレーミングを行い、シャッタボタン16を押下すればよい。
【0035】
図5に示すように、フレーミング中(スルー画像の表示中)は、液晶モニタ40の領域62が3次元モードで駆動され領域60が2次元モードで駆動される。そして、領域62では、スルー画を立体視できる。このため、撮影者は、迫力のあるスルー画像を観察しながらフレーミングできる。
【0036】
他方、領域60では、右目用スルー画像、及び、左目用スルー画像の両方を、撮影者が両目で観察できる。このため、撮影者は、撮影レンズに指が掛かっていたり、撮影レンズの前方に障害物が存在するなどの撮影上の不具合を発見し易く、カメラを持ち替えるなどの対策を行って撮影を行うことができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、液晶モニタの左上の領域を2次元モードで駆動する例で説明をしたが、2次元モードで駆動する領域の位置や大きさは適宜設定できる。また、2次元モードで駆動する領域を2つ設け、一方に右目用スルー画像を表示し、他方に左目用スルー画像を表示してもよい。さらに、2次元モードで駆動する領域の形状(アスペクト比)も適宜設定できる。この場合、制御部が画像処理を行って2次元モードで駆動する領域のアスペクト比に応じて、この領域に表示するスルー画像のアスペクト比を変更すればよい。
【0038】
また、2次元モードで駆動する領域を、撮影されたスルー画像に基づいて決定してもよい。この場合、制御部が右目用スルー画像と左目用スルー画像との両方、または、一方を解析し、画像の空き領域(主要被写体が写っていない領域)を検出する。そして、検出した空き領域に基づいて、例えば、空き領域内で大きさが最大となるように、2次元モードで駆動する領域の位置や大きさ、アスペクト比などを決定すればよい。こうすることによって、撮影レンズに指が掛かっているなどの撮影上の不具合をより発見し易くなる。
【0039】
さらに、上記実施形態では、1つの画面内に、2次元モードで駆動する領域と3次元モードで駆動する領域とを設ける例で説明をしたが、1つの画面全体を2次元モードで駆動する状態と、1つの画面全体を3次元モードで駆動する状態とを切り替えるようにしてもよい。
【0040】
この場合、図6、図7に示す3Dカメラ70のように、表示切り替えボタン72を設ける。そして、図6に示すように、この表示切り替えボタン72が押下されていないときは、液晶モニタ40を3次元モードで駆動し、立体視可能なように右目用スルー画像と左目用スルー画像と表示する。
【0041】
また、図7に示すように、表示切り替えボタン72が押下されている間は、液晶モニタ40を2次元モードで駆動し、液晶モニタ40の右半分の領域に右目用スルー画像を表示し、左半分の領域に左目用スルー画像を表示すればよい。
【0042】
なお、表示切り替えボタンを押下する毎に、3次元モードで駆動する状態(図6参照)と、2次元モードで駆動する状態(図7参照)とを切り替えてもよい。また、表示切り替えボタンを廃止して、一定時間毎に、3次元モードで駆動する状態と、2次元モードで駆動する状態とを切り替えてもよい。
【0043】
さらに、2次元モードで駆動する状態において、表示切り替えボタンの押下に対応して、または、一定時間毎に、図8に示すように、液晶モニタ40の画面全体に右目用スルー画像を表示する状態と、図9に示すように、液晶モニタ40の画面全体に左目用スルー画像を表示する状態とを切り替えてもよい。なお、図6以降の図面を用いた説明では、上述した実施形態と同様の部材については同様の符号を付して説明を省略している。
【0044】
また、上記実施形態では、1つの液晶モニタを2次元モードと3次元モードとで駆動する例で説明をしたが、2次元モードで駆動する液晶モニタと、3次元モードで駆動する液晶モニタとを別体に設けてもよい。この場合、図10に示す3Dカメラ100のように、2つの液晶モニタ102、104を設ける。そして、液晶モニタ102を常時2次元モードで駆動し、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示させる。また、液晶モニタ104を常時3次元モードで駆動し、立体視可能なように右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示させる。
【0045】
さらに、図11に示す3Dカメラ110のように、前述した液晶モニタ102、104に加えて、液晶モニタ102に表示する画像を切り替えるための表示切り替えボタン112を設ける。そして、表示切り替えボタン112の押下毎に、液晶モニタ102の表示画面を、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示する状態(図10参照)と、撮影条件などのカメラ情報を表示する状態(図11参照)とに切り替えてもよい。
【0046】
また、図12に示す3Dカメラ120のように、液晶モニタ102として表示画面へのタッチ操作を検出するセンサ内蔵したものを用いる。そして、表示切り替えボタン112の押下毎に、液晶モニタ102の表示画面を、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示する状態(図10参照)と、タッチ操作によって各種操作を行うことができる(本例では、ストロボ発光の有無とマクロ撮影の有無とを操作する)操作画面を表示する状態(図12参照)とに切り替えてもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態では、撮影レンズに指が掛かっているか否かによらず、自動的、もしくは、表示切り替えボタンを押下に応じて、撮影者が両目で観察できるように右目用スルー画像と左目用スルー画像を表示する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。撮影レンズに指が掛かっているか否かを検知する検知手段を設け、撮影レンズに指が掛かっていることが検知されたときに、撮影者が両目で観察できるように右目用スルー画像と左目用スルー画像を表示してもよい。
【0048】
この場合、図13に示す3Dカメラ130のように、カメラ本体の前面に、右目用撮影レンズ22を右側から囲むタッチセンサ134と、左目用撮影レンズ32を左側から囲むタッチセンサ136とを設ける。タッチセンサ134、136は、例えば、静電センサや押圧検知センサから構成され、撮影者の指が触れたことを検知すると、この旨を示す検知信号を出力する。
【0049】
そして、3Dカメラ130の制御部は、検知信号が出力されるまでは、撮影レンズに指が掛かっていないと判定し、液晶モニタを3次元モードで駆動し、立体視可能なように右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示する(図6参照)。また、タッチセンサ134、136のいずれかから検知信号が出力されると、撮影レンズに指が掛かっていると判定し、液晶モニタの一部の領域を2次元モードで駆動し、この領域に右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示する(図5参照)。
【0050】
もちろん、タッチセンサ134、136のいずれかから検知信号が出力されたときに、液晶モニタの全ての領域を2次元モードに切り替え、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示してもよい(図7、図8、図9参照)。また、検知信号が出力されたときに、カメラ情報を表示したり(図11参照)、操作画面を表示する状態(図12参照)から、右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示する状態(図10参照)へと切り替えてもよい。
【0051】
さらに、検知信号が出力されるまでは、液晶モニタの一部領域を2次元モードで駆動し、この領域に右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示し、検知信号が出力されたときに、この領域よりも大きな領域を2次元モードで駆動し、この大きな領域に右目用スルー画像と左目用スルー画像とを表示するといったように、検知信号が出力されたときに2次元モードで駆動する領域を拡大してもよい。この場合、例えば、検知信号が出力されるまでは図5に示す画面を表示し、検知信号が出力されたときに図7、または、図8、9に示す画面を表示するといったことが考えられる。
【0052】
また、上記例では、タッチセンサからの検知信号の出力の有無により、撮影レンズに指が掛かっているか否か判定する例で説明をしたが、例えば、制御部が右目用スルー画像と左目用スルー画像とを解析し、画像の明暗部分の位置や形状、画像全体の光量などを比較することによって撮影レンズに撮影者の指が掛かっているか否かを判定してもよい。
【0053】
また、上記例では、撮影レンズに指が掛かっていると判定されたときに、撮影者が両目で観察できるように右目用スルー画像と左目用スルー画像を表示する例で説明をしたが、シャッタボタンが半押し(初期位置と本画像の撮影を行う撮影位置との間に設定された中間位置まで押下)されたときに、撮影者が両目で観察できるように右目用スルー画像と左目用スルー画像を表示してもよい。
【0054】
さらに、撮影レンズに指が掛かっていると判定された場合や、シャッタボタンが半押しされた場合に、右目用スルー画像と左目用スルー画像を撮影者が両目で観察できるように表示し、この表示を一定時間継続させるとともに、この表示が継続されている間は、本画像の撮影を禁止してもよい(シャッタボタンが撮影位置まで押下されても本画像の撮影を行わないようにしてもよい)。こうすれば、撮影レンズに指が掛かっているなどの撮影上の不具合に気付かずに撮影してしまうといった問題をより確実に防止できる。
【符号の説明】
【0055】
10、70、100、110、120、130 3Dカメラ
16 シャッタボタン
20 右目用撮像ユニット
22 右目用撮影レンズ
30 左目用撮像ユニット
32 左目用撮影レンズ
40、102、104 液晶モニタ
50 制御部
72、112 表示切り替えボタン
134、136 タッチセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用撮影レンズと左目用撮影レンズとを有し、視差の付いた2種類の画像を撮影する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットにより撮影された被写体のスルー画像を表示する表示手段とを備えるとともに、
前記表示手段は、
前記右目用撮影レンズを介して撮影された右目用スルー画像と、前記左目用撮影レンズを介して撮影された左目用スルー画像とを、撮影者が立体的に観察できるように表示する第1表示部と、
前記右目用スルー画像を、撮影者が両目で観察できるように表示する第2表示部と、
前記左目用スルー画像を、撮影者が両目で観察できるように表示する第3表示部とを備えていることを特徴とする3Dカメラ。
【請求項2】
前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、
前記モニタは、前記モニタの画像表示領域全体に、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示するとともに、前記第2表示部として機能する第2表示画面と前記第3表示部として機能する第3表示画面とを、前記第1表示画面の一部領域に重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の3Dカメラ。
【請求項3】
前記モニタは、前記第2、第3表示画面を、前記第1表示画面の4隅のいずれかの領域に重ねて表示することを特徴とする請求項2記載の3Dカメラ。
【請求項4】
前記右目用、左目用スルー画像の少なくとも一方を解析して、主要被写体の表示領域を検出する画像解析手段と、
検出した主要被写体の表示領域と重なり合わないように、前記第2、第3表示画面の大きさ、位置、形状の少なくとも1つを決定するモニタ制御手段とを備えたことを特徴とする請求項2または3記載の3Dカメラ。
【請求項5】
前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、
前記モニタは、画像表示領域全体に前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示する状態と、画像表示領域を2つに分割し、一方の領域に前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示し、他方の領域に前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示する状態との2段階に表示を切り替えることを特徴とする請求項1記載の3Dカメラ。
【請求項6】
前記表示手段は、前記第1〜第3表示部として機能する1つのモニタからなり、
前記モニタは、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示する状態と、前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示する状態と、前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示する状態との3段階に表示を切り替えることを特徴とする請求項1記載の3Dカメラ。
【請求項7】
前記表示を切り替える操作を行うための操作部材を設けたことを特徴とする請求項5または6記載の3Dカメラ。
【請求項8】
前記表示手段は、前記第1表示部として機能する第1モニタと、前記第1モニタとは別体に設けられ、前記第2、第3表示部として機能する第2モニタとからなり、
前記第1モニタは、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、
前記第2モニタは、画像表示領域を2つに分割し、一方の領域に前記第2表示部として機能する第2表示画面を表示し、他方の領域に前記第3表示部として機能する第3表示画面を表示することを特徴とする請求項1記載の3Dカメラ。
【請求項9】
前記第2モニタは、前記第2、第3表示画面と、カメラ情報を報知するためのカメラ情報表示画面とを切り替え表示することを特徴とする請求項8記載の3Dカメラ。
【請求項10】
前記第2モニタは、前記第2、第3表示画面と、各種操作を行うための操作画面とを切り替え表示するとともに、
前記操作画面へのタッチ操作を検知するセンサと、
検出されたタッチ操作に基づいて、予め設定された処理を実行する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項8または9記載の3Dカメラ。
【請求項11】
前記右目用、左目用の各撮影レンズの周囲に、撮影者の指が触れたことを検知して検知信号を出力するタッチセンサを備え、
前記表示手段は、前記検知信号が出力されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記検知信号が出力された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示すること特徴とする請求項1〜10いずれか記載の3Dカメラ。
【請求項12】
前記左目用、右目用のスルー画像を比較して、前記右目用、左目用のいずれかの撮影レンズに撮影者の指が掛かっているか否かを判定する判定手段を備え、
前記表示手段は、前記判定手段により指が掛かっていると判定されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記判定手段により指が掛かっていると判定された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示すること特徴とする請求項1〜11いずれか記載の3Dカメラ。
【請求項13】
記録用の本画像の撮影を指示するためのシャッタボタンを備え、
前記撮像ユニットは、前記シャッタボタンが初期位置から撮影位置まで押下された際に、前記スルー画像の撮影を中断して、記録用の本画像の撮影を行うとともに、
前記表示手段は、前記シャッタボタンが初期位置と撮影位置との間に設定された中間位置に押下されるまで、前記第1表示部として機能する第1表示画面を表示し、前記シャッタボタンが前記中間位置に押下された際に、前記第2表示部として機能する第2表示画面と、前記第3表示部として機能する第3表示画面とを表示すること特徴とする請求項1〜12いずれか記載の3Dカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−101244(P2011−101244A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255162(P2009−255162)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】