説明

4−オキソキノリン誘導体および抗HIV剤を含む併用剤

要約
本発明は、(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(「化合物A」)または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を少なくとも一種の他の抗HIV剤と組み合わせて含む、HIV感染を治療するためあるいはインテグラーゼを阻害するための併用治療に関する。
本発明の幾つかの態様では、他の抗HIV剤は、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤から選択される。本発明のある実施態様では、他の抗HIV剤は、AZT、3TC、PMPA、エファビレンツ、インジナビル、ネルフィナビル、AZT/3TCの併用およびPMPA/3TCの併用から選択される。化合物Aはインテグラーゼ特異的な高い阻害活性を有するため、他の抗HIV剤と併用される場合、ヒトに対しほとんど副作用のない併用治療を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(「化合物A」)または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を少なくとも一種の他の抗HIV剤と組み合わせて含む、HIV感染を治療するまたはインテグラーゼを阻害するための併用治療に関する。幾つかの実施態様では、本発明は、化合物Aまたは医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤から選択される少なくとも一種の他の抗HIV剤と組み合わせて含む、併用剤の使用に関する。他の抗HIV剤と併用される場合、化合物Aは、既存療法よりもヒトに対して副作用がほとんど無い併用治療を提供し得る。
【背景技術】
【0002】
背景技術
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、レトロウイルスであって、AIDS(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスである。HIVは、ヘルパーT細胞、マクロファージおよび樹状細胞のようなCD4陽性細胞群を標的とし、これらの免疫担当細胞を破壊して免疫不全を引き起こす。
【0003】
それゆえ、体内のHIVを除去する医薬またはその増殖を抑制する医薬は、AIDSの治療または予防に効果的である。
【0004】
HIVは、コアタンパク質内に2分子のRNA遺伝子を有し、コアタンパク質はエンブローブタンパク質で覆われている。RNAは幾つかの酵素(プロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ)をコードしており、そしてRNAはコア内およびコア外でプロテアーゼを翻訳するのと同様に、コア内で逆転写酵素およびインテグラーゼを翻訳する。
【0005】
HIVは宿主細胞に接触して侵入し、脱殻し、次いでRNAとインテグラーゼの複合体を細胞質中に放出する。RNAからは、逆転写酵素によってDNAが転写され、完全長二本鎖DNAが製造される。該DNAは宿主細胞の核内に移行し、次いでインテグラーゼによって宿主細胞のDNAに組み込まれる。組み込まれたDNAは宿主細胞のポリメラーゼによってmRNAに変換される。HIVプロテアーゼによって、ウイルス形成に必要な種々のタンパク質がRNAから合成され、最終的にウイルス粒子が形成される。ウイルス粒子は次いで出芽し、宿主細胞から放出される。
【0006】
これらのウイルス特異的酵素は、HIVの増殖に必須であると考えられている。これらの酵素は、抗ウイルス剤の標的として注目されており、既に幾つかの抗HIV剤が開発されている。
【0007】
例えば、ジドブジン(AZT)、ジダノシン、ラミブジン(3TC)などは、逆転写酵素阻害剤として、ならびにインジナビルおよびネルフィナビルはプロテアーゼ阻害剤として、既に市販されている。
【0008】
さらに、これらの医薬を同時に用いる多剤併用治療が用いられている。例えば、二つの逆転写酵素阻害剤(ジドブジンおよびジダノシン)の併用使用が臨床的に用いられている。逆転写酵素阻害剤(ジドブジンおよびラミブジン)およびプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビル)の三つの剤、ならびに他の医薬の併用使用もまた、臨床的に適用されている。そのような多剤併用治療は、AIDS治療の主流となっている(例えば、Guidelines for the Use of Antiretrovirus Agents in HIV-Infected Adults and Adlescent. August 13, 2001参照)。
【0009】
しかしながら、これらの医薬の幾つかは、肝機能不全、中枢神経障害(例えば、めまい)などのような副作用を起こすことが知られている。さらに、医薬への耐性の獲得は問題をもたらす。さらに悪いことに、多剤併用治療において多剤耐性を示すHIVの出現が知られている。
【0010】
このような事情のもと、新規医薬のさらなる開発、特に新しい機構に基づく抗HIV剤の開発が望まれている。具体的には、レトロウイルスに特有のインテグラーゼはHIVの増殖に必須の酵素であるため、インテグラーゼ阻害活性を有する抗HIV剤を開発することが目的である。
【0011】
それでもなお、有効なインテグラーゼ阻害剤を同定することが必要である。
本発明は、一以上のこれらの必要性を打開し、かつさらに関連した有用性を提供する。
本発明の化合物Aとは異なる公知化合物としては、以下が記載されている。
【0012】
WO02/0704865には、インテグラーゼ阻害活性を有する抗HIV剤として、以下の化合物(B1)、(B2)などが記載されている(WO02/0704865 p. 118, Example I-62, p. 203, Example I-152参照)。
【0013】
【化1】

【0014】
加えて、WO02/36734には、インテグラーゼ阻害活性を有する抗HIV剤として、以下の化合物(B3)などが記載されている(WO02/36734, p. 106, Ex. 3参照)。
【0015】
【化2】

【0016】
さらにWO02/55079には、インテグラーゼ阻害活性を有する抗HIV剤として、以下の化合物(B4)などが記載されている(WO02/055079, p. 79, Ex. 1参照)。
【0017】
【化3】

【0018】
しかしながら、これらの文献には、本明細書中で開示される(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(「化合物A」)や、それを示唆する何らかの記載は挙げられていない。
【0019】
US3,472,859には、抗細菌(antibacterial)剤または抗微生物(antimicrobial)剤として、以下の化合物(B5)などが記載されている(US 3,472,859, column 11, line 10参照)。
【0020】
【化4】

【0021】
加えて、特開昭48−26772には、抗細菌活性を有する化合物として、以下の化合物(B6)などが記載されている(例えば、特開昭48-26772, p. 6, 実施例9;KYUSHU KYORITSU UNIVERSITY, Memoirs Department of Engineering, No. 14, pp. 21-32, March 1990;Memoirs Kyushu Inst. Tech. (Eng.) No.14, pp. 13-16, 1984参照)。
【0022】
【化5】

【0023】
さらに、デヒドロゲナーゼ阻害剤としては、以下の化合物(B7)などが薬理学的に評価されている(Journal of Medicinal Chemistry, table 1, vol. 15, No. 3, pp. 235-237, 1972参照)。
【0024】
【化6】

【0025】
加えて、特開2002−534416(特許ファミリー:WO00/40561、US6,248,739、EP1140850)には、抗ウイルス活性を有する化合物のための合成中間体として、以下の化合物(B8)などが記載されている(特開2002-534416, p. 141, 化合物60参照)。
【0026】
【化7】

【0027】
特開2002−534417(特許ファミリー:WO00/40563、US6,248,736、EP1140851)にはまた、抗ウイルス活性を有する化合物のための合成中間体として、以下の化合物(B9)などが記載されている(特開2002-534417, p. 34, 化合物18参照)。
【0028】
【化8】

【0029】
さらに、WO01/98275(特許ファミリー:US2001/103220)にはまた、抗ウイルス活性を有する化合物のための合成中間体として、以下の化合物(B10)などが記載されている(WO01/98275, p. 39, line 29参照)。
【0030】
【化9】

【0031】
さらに、特開平4−360872(特許ファミリー:US5,985,894、EP498721B1)には、抗アンジオテンシンII受容体に対する拮抗作用を有する化合物として、以下の化合物(B11)などが記載されている(特開平4-360872, p. 64, 表1参照))。
【0032】
【化10】

【発明の開示】
【0033】
発明の開示
発明者らは、(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(「化合物A」)または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を、少なくとも一種の他の抗HIV剤と併用することが、HIV感染を治療するまたはインテグラーゼを阻害するための併用治療として非常に効果的であることを発見した。本発明の新規抗ウイルス併用剤は、抗ウイルス活性に必要とされる各薬剤の有効量を減少し得る治療方法を提供し、それによって細胞毒性を減少させるだけではなく、複数の機構を通じてウイルスを攻撃する結果として完全な抗ウイルス効果を改善させ得る治療方法を提供する。同様に、該新規抗ウイルス併用剤は、単回治療に対するウイルス抵抗性の進行を回避するための方法を提供し、それによって医師により有効な治療を提供する手段を提供する。
【0034】
そのため、本発明の目的は、抗HIV作用を有する医薬の併用剤を提供することである。抗HIV作用を有する医薬の作用機構は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明の一つの実施態様では、該併用剤は、インテグラーゼ阻害作用を有する一種の医薬およびインテグラーゼ阻害作用とは異なるウイルス阻害作用を有する少なくとも一種の他の医薬を含む。本発明の幾つかの実施態様としては、(a)インテグラーゼ阻害作用および(b)逆転写酵素阻害作用、プロテアーゼ阻害作用またはその両方、を有する医薬の併用剤が挙げられる。
【0035】
本発明者らは、抗HIV作用を有する化合物、特に、少なくとも一種の他の抗HIV剤と併用された場合に増強された効果を有するインテグラーゼ阻害作用を有する化合物を発見するために鋭意研究し、本発明を完成させた。
【0036】
従って、本発明の実施態様の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
[1]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む抗HIV剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、抗HIV剤。
[2](b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、[1]記載の剤。
[3]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、[2]記載の剤。
[4]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCとの併用および(ii)PMPAと3TCとの併用から選択される組合せである、[2]記載の剤。
[5](b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、[1]記載の剤。
[6]少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、[5]記載の剤。
[7](b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、[1]記載の剤。
[8](a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、[1]記載の剤。
[9](a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、[1]記載の剤。
[10](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、[1]記載の剤。
【0038】
[11](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、[1]記載の剤。
[12]非経口投与が、静脈内投与である、[11]記載の剤。
[13](a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、[1]記載の剤。
[14](a)および(b)が、別々の組成物として処方される、[1]記載の剤。
[15](a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、[1]記載の剤。
[16](a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、[1]記載の剤。
[17]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、抗HIV剤。
[18](b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、[17]記載の剤。
[19]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、[18]記載の剤。
【0039】
[20]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCとの併用および(ii)PMPAと3TCとの併用から選択される組合せである、[18]記載の剤。
[21](b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、[17]記載の剤。
[22]少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、[21]記載の剤。
[23](b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、[17]記載の剤。
[24](a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、[17]記載の剤。
[25](a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、[17]記載の剤。
[26](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、[17]記載の剤。
[27](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、[17]記載の剤。
[28]非経口投与が、静脈内投与である、[27]記載の剤。
[29](a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、[17]記載の剤。
[30](a)および(b)が、別々の組成物として処方される、[17]記載の剤。
【0040】
[31](a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、[17]記載の剤。
[32](a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、[17]記載の剤。
[33]活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、HIV感染治療用キット。
[34](b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、[33]記載のキット。
[35]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、[34]記載のキット。
[36]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCとの併用および(ii)PMPAと3TCとの併用から選択される組合せである、[34]記載のキット。
[37](b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、[33]記載のキット。
[38]少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、[37]記載のキット。
[39](b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、[33]記載のキット。
[40](a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、[33]記載のキット。
【0041】
[41](a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、[33]記載のキット。
[42](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、[33]記載のキット。
[43](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、[33]記載のキット。
[44]非経口投与が、静脈内投与である、[43]記載のキット。
[45](a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、[33]記載のキット。
[46](a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、[33]記載のキット。
[47]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む、インテグラーゼ阻害剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、インテグラーゼ阻害剤。
[48]哺乳動物に投与される、[47]記載の阻害剤。
[49]インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、[47]記載の阻害剤。
[50]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、インテグラーゼ阻害剤。
【0042】
[51]哺乳動物に投与される、[50]記載の阻害剤。
[52]インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、[50]記載の阻害剤。
[53]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、インテグラーゼ阻害用キット。
[54]哺乳動物に投与される、[53]記載のキット。
[55]インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、[53]記載のキット。
[56]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含むHIV複製阻害剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、HIV複製阻害剤。
[57]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、HIV複製阻害剤。
[58]活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、HIV複製阻害用キット。
[59]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む抗ウイルス剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、抗ウイルス剤。
[60]活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、抗ウイルス剤。
【0043】
[61]活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、ウイルス感染を治療するためのキット。
[62](b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と組み合わされた、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
[63]抗HIV剤を製造するための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
[64](b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、[63]記載の使用。
[65]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、[64]記載の使用。
[66]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCとの併用および(ii)PMPAと3TCとの併用から選択される組合せである、[64]記載の使用。
[67](b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、[63]記載の使用。
[68]少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項67記載の使用。
[69](b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、[63]記載の使用。
[70](a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、[63]記載の使用。
【0044】
[71](a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、[63]記載の使用。
[72](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、[63]記載の使用。
[73](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、[63]記載の使用。
[74]非経口投与が、静脈内投与である、[73]記載の使用。
[75](a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、[63]記載の使用。
[76](a)および(b)が、別々の組成物として処方される、[63]記載の使用。
[77](a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、[63]記載の使用。
[78](a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、[63]記載の使用。
[79]抗HIV剤を製造するための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
[80](b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、[79]記載の使用。
【0045】
[81]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、[80]記載の使用。
[82]少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCとの併用および(ii)PMPAと3TCとの併用から選択される組合せである、[80]記載の使用。
[83](b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、[79]記載の使用。
[84]少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、[83]記載の使用。
[85](b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、[79]記載の使用。
[86](a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、[79]記載の使用。
[87](a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、[79]記載の使用。
[88](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、[79]記載の使用。
[89](a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、[79]記載の使用。
[90]非経口投与が、静脈内投与である、[89]記載の使用。
【0046】
[91](a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、[79]記載の使用。
[92](a)および(b)が、別々の組成物として処方される、[79]記載の使用。
[93](a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、[79]記載の使用。
[94](a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、[79]記載の使用。
[95]インテグラーゼ阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
[96]インテグラーゼ阻害剤が哺乳動物に投与される、[95]記載の使用。
[97]インテグラーゼ阻害剤がインビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、[95]記載の使用。
[98]インテグラーゼ阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
[99]インテグラーゼ阻害剤が哺乳動物に投与される、[98]記載の使用。
[100]インテグラーゼ阻害剤がインビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、[98]記載の使用。
【0047】
[101]HIV複製阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
[102]HIV複製阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
[103]抗ウイルス剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
[104]抗ウイルス剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
[105](b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがHIV感染の治療に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。
[106](b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがインテグラーゼの阻害に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。
[107](b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがウイルス感染の治療に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
発明を実施するためのベストモード
I.定義
【0049】
用語「異性体」としては、例えば、幾何異性体として存在するE型およびZ型が挙げられ、かつ、不斉炭素原子が存在する場合は、それに基づいた立体異性体としてエナンチオマーおよびジアステレオマーが存在し、かつ互変異性体が存在し得る。化合物Aは種々の異性体を有し得る。従って、本発明はこれら全ての異性体およびその混合物を包含する。本発明の化合物Aは、種々の異性体、副生成物、代謝物またはプロドラッグから同定かつ精製され得、その場合、90%以上の純度を有するものが同定され得るか、または95%以上の純度を有するものが同定され得る。
【0050】
「医薬的に許容されるその塩」とは、化合物Aから形成されるあらゆる非毒性の塩を示す。例えばそれは:塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などのような無機酸;シュウ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メチルスルホン酸、ベンジルスルホン酸などのような有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウムなどのような無機塩基;メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、グアニジン、コリン、シンコリンなどのような有機塩基、またはリジン、アルギニン、アラニンなどのようなアミノ酸との反応によって得られうる。本発明は、化合物Aの、水和物のような含水生成物および溶媒和物、などを包含する。
【0051】
用語「プロドラッグ」によれば、本発明の化合物Aの誘導体を意味し、プロドラッグは、化学的もしくは代謝的に分解可能な基を有し、かつ体内へ投与後、元来の化合物に戻ってその本来の有効性を示す誘導体であり、共有結合による複合体および塩フリー体を含む。本発明はまた、各化合物のプロドラッグおよび代謝物をも包含する。
【0052】
プロドラッグは、例えば、経口投与による吸収を改善するため、または標的部位のターゲティングのために利用される。
【0053】
化合物Aのプロドラッグの化学的または代謝的に分解可能な基としては、例えば、化合物Aにおいて非常に反応性の高い官能基、例えばヒドロキシル基もしくはカルボキシル基などが挙げられる。
【0054】
ヒドロキシル−修飾基の例としては、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、ジメチルカルバモイル基、スルホ基などが挙げられる。カルボキシル−修飾基の例としては、エチル基、ピバロイルオキシメチル基、1−(アセチルオキシ)エチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、カルボキシルメチル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基、フェニル基、o−トルイル基などが挙げられる。
【0055】
化合物Aの「溶媒和物」または医薬的に許容される化合物Aのその塩は、結晶格子中に組み込まれた適切な溶媒の分子を有している。適切な溶媒は、投与される用量において生理学的に耐容できる。適切な溶媒の例としては、エタノール、水などが挙げられる。水が溶媒の場合、その分子はまた、水和物とも呼ばれる。
【0056】
用語「治療有効量」または「有効量」とは、所定の障害または状態を治療するのに有効な、化合物A、少なくとも一種の他の抗HIV剤、またはそれらの併用剤の量を意味する。「インテグラーゼを阻害するのに効果的な」量とは、その測定に適したアッセイおよび終末点を用いて測定した場合に、ウイルスのインテグラーゼ活性を測定可能な程度に減少させる量をいう。例えば、治療目的でウイルスのインテグラーゼを阻害するために有効な量は、投与の後で治療中の一定の疾患または状態に関連する症状を、検出可能な程度に改善する量である。インビトロアッセイとの関連でウイルスのインテグラーゼ阻害を探索する場合、例えば、化合物Aまたは化合物Aと少なくとも一種の他の抗HIV剤との併用剤の活性に拮抗するかあるいは活性を促進することのできる化合物をスクリーニングする場合には、次いでウイルスのインテグラーゼ阻害が、ウイルス誘導性細胞毒性の減少として、最も適切に、より直接的に測定され得る。
【0057】
用語「治療」または「治療する」とは、症状を緩和すること、一時的かまたは継続的な理由に基づく症状の原因を除去すること、あるいは所定の障害または状態の症状の発現を予防するか、遅らせることを意味する。例えば、本発明の幾つかの実施態様において、「治療する」とは、HIV感染を治療することをいう。幾つかの実施態様では、まだウイルスに感染していないか、感染の症状が現れていない個体でのウイルス感染の発生を予防することを意味する。例えば、本発明の一つの実施態様では、「治療すること」は、潜在曝露の危険がある個体か、または、針刺し事故、静脈麻薬の使用、血液製剤の輸注、危険性の高い性交などを含む、ウイルス曝露に対して潜在的危険性がある感染行為例の原因に晒された個体への本発明の併用剤の投与を含む。
【0058】
「治療すること」はまた、例えば、HIV陽性であると検査されたがAIDSの疾患状態をまだ発現していない個体に本発明の併用剤を含む医薬を投与すること、治療後AIDSの疾患状態が改善したが、根絶されるべきHIVを未だ保持しておりAIDSの再発が懸念される個体に医薬を投与すること、ならびに感染の可能性の恐れからHIVの感染前に医薬を投与することを意味する。
【0059】
II.化合物A
化合物Aは、(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸であって、下記構造式:
【0060】
【化11】

【0061】
を有する。
【0062】
該化合物はまた、医薬的に許容されるその溶媒和物およびその塩の形でも使用され得る。治療的に有用な本発明の実施態様はまた、化合物Aの医薬的に許容される異性体またはプロドラッグを包含する。化合物Aを合成する方法は、下記の実施例1で提供される。他の方法、またはこの実施例を改変することは、当業者には容易に明らかだろう。
【0063】
化合物Aならびに医薬的に許容されるその溶媒和物およびその塩は、HIVインテグラーゼの非常に効果的な阻害剤である。従って、化合物Aは、HIV感染を治療するため、あるいはHIV感染および/またはAIDSに関連する症状の発現を予防しもしくは遅延させるために有用な、効果的な抗HIV剤である。さらに、化合物Aは比較的低用量で効果的であり、かつほとんど毒性を示さない。従って、本発明の新規抗ウイルス併用剤は、抗ウイルス活性に要求される各薬剤の有効用量を減少させて細胞毒性を減少させるだけでなく、多数の機構を通じてウイルスを攻撃する結果として絶対的な抗ウイルス効果を改善しうる、治療手段を提供する。同様に、該新規抗ウイルス併用剤は、単回治療に対するウイルス抵抗性の進行を回避する方法を提供し、それによって医師に対して有効な治療を提供する。
【0064】
他の抗HIV剤と併用される場合、化合物Aは、既存療法よりも、ヒトに対して副作用が少なく、および/または化合物の投与量が低く、および/または投与回数が少なく、および/または耐性株出現の可能性が低い、併用治療を提供しうる。
【0065】
III.他の抗HIV剤
多剤併用治療に用いられるべき他の抗HIV剤および他の抗HIV作用物質の例としては、抗HIV抗体、HIVワクチン、インターフェロンなどのような免疫賦活剤、HIVリボザイム、HIVアンチセンス薬、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ウイルスにより認識される宿主細胞の結合受容体(CD4、CXCR4、CCR5など)とウイルスとの間の結合の阻害剤などが挙げられる。
【0066】
本発明の化合物Aと共に多剤併用治療に用いられるべき他の抗HIV剤および他の抗HIV作用物質としては、幾つかの実施態様において、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤から選択される。二つまたは三つ、あるいはより多数の医薬さえもが併用され得、異なる作用機構を有する医薬の併用は、本発明の一つの実施態様である。加えて、副作用の重複のない医薬の選択は、本発明の他の実施態様である。
【0067】
HIV逆転写酵素阻害剤の特定の例としては、レトロビル(登録商標)(ジドブジンまたはAZT)、エピビル(登録商標)(ラミブジンまたは3TC)、ゼリット(登録商標)(サニルブジン)、ヴァイデックス(登録商標)(ジダノシン)、ハイビット(登録商標)(ザルシタビン)、ザイアジェン(登録商標)(硫酸アバカビル)、ビラムン(登録商標)(ネビラピン)、ストクリン(登録商標)(エファビレンツ)、レスクリプトール(登録商標)(メシル酸デラビルジン)、コンビビル(登録商標)(ジドブジン+ラミブジン)、トリジビル(登録商標)(硫酸アバカビル+ラミブジン+ジドブジン)、コアクチノン(登録商標)(エミビリン)、フォスフォノビル(Phosphonovir)(登録商標)、コビラシル(登録商標)、アロブジン(3’−フルオロ−3’−デオキシチミジン)、チオビル(Thiovir)(チオホスホノギ酸)、カプラビリン(カルバミン酸5−[(3,5−ジクロロフェニル)チオ]−4−イソプロピル−1−(4−ピリジルメチル)イミダゾール−2−メタノール)、テノフォビル(PMPA)、フマル酸テノフォビルジソプロキシル(フマル酸(R)−[[2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル]ホスホン酸ビス(イソプロポキシカルボキシルオキシメチル)エステル)、DPC−083((4S)−6−クロロ−4−[(1E)−シクロプロピルエテニル]−3,4−ジヒドロ−4−トリフルオロメチル−2(1H)−キナゾリノン)、DPC−961((4S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−3,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2(1H)−キナゾリノン)、DAPD((−)−β−D−2,6−ジアミノプリンジオキソラン)、イミュノカル、MSK−055、MSA−254、MSH−143、NV−01、TMC−120、DPC−817、GS−7340、TMC−125、SPD−754、D−A4FC、カプラビリン、UC−781、エムトリシタビン、アロブジン、フォスファジド(Phosphazid)、UC−781、BCH−10618、DPC−083、エトラビリン(Etravirine)、BCH−13520、MIV−210、硫酸アバカビル/ラミブジン、GS−7340、GW−5634、GW−695634などが挙げられる。
【0068】
HIVプロテアーゼ阻害剤の特定の例としては、クリキシバン(登録商標)(硫酸インジナビルエタノレート)、サクイナビル、インビラーゼ(登録商標)(メシル酸サクイナビル)、ノルビル(登録商標)(リトナビル)、ビラセプト(登録商標)(メシル酸ネルフィナビル)、ロピナビル、プローゼ(登録商標)(アンプレナビル)、カレトラ(登録商標)(リトナビル+ロピナビル)、ジメシル酸モゼナビル(mozenavir)(二メタンスルホン酸[4R−(4α,5α,6β)]−1−3−ビス[(3−アミノフェニル)メチル]-ヘキサヒドロ−5,6−ジヒドロキシ−4,7−ビス(フェニルメチル)−2H−1,3−ジアゼピン−2−オン)、チプラナビル(3’−[(1R)−1−[(6R)−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−フェニルエチル−6−プロピル−2H−ピラン−3−イル]プロピル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジン硫酸アミド)、ラシナビル(N−[5(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(2,3,4−トリメトキシベンジル)ヘキサノイル]−L−バリン 2−メトキシエチレンアミド)、KNI−272((R)−N−tert−ブチル−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−N−[(R)−2−N−(イソキノリン−5−イルオキシアセチル)アミノ−3−メチルチオプロパノイル]アミノ−4−フェニルブタノイル]−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド)、GW−433908、TMC−126、DPC−681、バックミンスターフラーレン、MK−944A(MK944(N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−フェニルメチル−4(S)−ヒドロキシ−5−[4−(2−ベンゾ[b]フラニルメチル)−2(S)−(tert−ブチルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]ペンタンアミド)+硫酸インジナビル)、JE−2147([2(S)−オキソ−4−フェニルメチル−3(S)−[(2−メチル−3−オキシ)フェニルカルボニルアミノ]−1−オキサブチル]−4−[(2−メチルフェニル)メチルアミノ]カルボニル−4(R)−5,5−ジメチル−1,3−チアゾール)、BMS−232632((3S,8S,9S,12S)−3,12−ビス(1,1−ジメチルエチル)−8−ヒドロキシ−4,11−ジオキソ−9−(フェニルメチル)−6−[[4−(2−ピリジニル)フェニル]メチル]−2,5,6,10,13−ペンタアザテトラデカン二カルボン酸ジメチルエステル)、DMP−850((4R,5S,6S,7R)−1−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルメチル)−4,7−ジベンジル−3−ブチル−5,6−ジヒドロキシパーヒドロ−1,3−ジアゼピン−2−オン)、DMP−851、RO−0334649、Nar−DG−35、R−944、VX−385、TMC−114、チプラナビル、ホスアンプレナビルナトリウム、ホスアンプレナビルカルシウム、ダルナビル、GW−0385、R−944、RO−033−4649、AG−1859などが挙げられる。
【0069】
HIVインテグラーゼ阻害剤は、S−1360、L−870810などであり得る。DNAポリメラーゼ阻害剤またはDNA合成阻害剤は、ホスカビル(登録商標)、ACH−126443(L−2’,3’−ジデヒドロ−ジデオキシ−5−フルオロシチジン)、エンテカビル((1S,3S,4S)−9−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−メチレンシクロペンチル]グアニン)、カラノライドA([10R−(10α,11β,12α)]−11,12−ジヒドロ−12−ヒドロキシ−6,6,10,11−テトラメチル−4−プロピル−2H,6H,10H−ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b”]トリピラン−2−オン)、カラノライドB、NSC−674447(1,1’−アゾビスホルムアミド)、イスカドール(ヤドリギ抽出物(viscum alubm extract))、ルブテカン(Rubutecan)などであり得る。HIVアンチセンス薬は、HGTV−43、GEM−92などであり得る。抗HIV抗体または他の抗体は、NM−01、PRO−367、KD−247、シトリン(登録商標)、TNX−355(CD4抗体)、AGT−1、PRO−140(CCR5抗体)、抗CTLA−4 Mabなどであり得る。HIVワクチンまたは他のワクチンは、ALVAC(登録商標)、AIDSVAX(登録商標)、レミューン(登録商標)、HIV gp41ワクチン、HIV gp120ワクチン、HIV gp140ワクチン、HIV gp160ワクチン、HIV p17ワクチン、HIV p24ワクチン、HIV p55ワクチン、AlphaVaxベクター系、キャナリーポックス gp160ワクチン、AntiTat、MVA-F6 Nefワクチン、HIV revワクチン、C4−V3ペプチド、p2249f、VIR−201、HGP−30W、TBC−3B、PARTICLE−3Bなど、アンチフェロン(インターフェロン−αワクチン)などであり得る。
【0070】
インターフェロンまたはインターフェロン作動薬は、スミフェロン(登録商標)、マルチフェロン(登録商標)、インターフェロン-τ、Reticulose、ヒト白血球インターフェロンαなどであり得る。CCR5拮抗剤はSCH−351125などであり得る。HIV p24に対して作用する医薬は、GPG−NH(グリシル−プロリル−グリシンアミド)などであり得る。HIV融合阻害剤は、FP−21399(1,4−ビス[3−[(2,4−ジクロロフェニル)カルボニルアミノ]−2−オキソ−5,8−硫酸二ナトリウム(disodium sulfonyl)]ナフチル−2,5−ジメトキシフェニル−1,4−ジヒドラゾン)、T−1249、Synthetic Polymeric Construction No3、ペンタフジド(pentafuside)、FP−21399、PRO−542、エンフビルチドなどであり得る。IL−2作動薬または拮抗剤は、インターロイキン−2、イムネース(登録商標)、プロロイキン(登録商標)、ムルチキン(Multikine)(登録商標)、オンタック(登録商標)などであり得る。TNF−α拮抗剤は、サロミド(登録商標)(サリドマイド)、レミケード(登録商標)(インフリキシマブ)、カードラン硫酸などであり得る。α−グルコシダーゼ阻害剤は、ブキャスト(Bucast)(登録商標)などであり得る。
【0071】
プリンヌクレオシドリン酸化酵素阻害剤は、ペルデシン(2−アミノ−4−オキソ−3H,5H−7−[(3−ピリジル)メチル]ピロロ[3,2−d]ピリミジン)などであり得る。アポトーシス作動薬または阻害剤は、アーキンZ(登録商標)、パナビル(Panavir)(登録商標)、補酵素Q10(2−デカ(3−メチル−2−ブテニレン)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−p−ベンゾキノン)などであり得る。コリンエステラーゼ阻害剤は、コグネックス(登録商標)などであり得、免疫調節剤は、イムノックス(Imunox)(登録商標)、プロキン(Prokine)(登録商標)、Met−エンケファリン(6−de−L−アルギニン−7−de−L−アルギニン−8−de−L−バリンアミド−アドレノルフィン)、WF−10(10倍希釈テトラクロロデカオキシド溶液)、Perthon、PRO−542、SCH−D、UK−427857、AMD−070、AK−602などであり得る。
【0072】
加えて、ニューロトロフィン(登録商標)、リダコール(Lidakol)(登録商標)、アンサー20(登録商標)、アンプリゲン(登録商標)、アンチコート(Anticort)(登録商標)、イナクチビン(Inactivin)(登録商標)など、PRO−2000、Rev M10遺伝子、HIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL免疫治療、ACTGプロトコール080治療、CD4−ζ遺伝子治療)、SCA結合タンパク質、RBC−CD4複合体、モテキサフィンガドリニウム、GEM−92、CNI−1493、(±)−FTC、Ushercell、D2S、BufferGel(登録商標)、VivaGel(登録商標)、Glyminox vaginal gel、ラウリル硫酸ナトリウム、2F5、2F5/2G12、VRX−496、Ad5gag2、BG−777、IGIV−C、BILR−255などが併用治療に用いられ得る。
【0073】
IV.治療方法
本発明の、化合物Aと少なくとも一種の他の抗HIV剤との併用剤は、抗HIV剤、インテグラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤などとして、哺乳動物(ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ブタなど)に投与され得る。
【0074】
抗HIV剤は、一般的に長期間その効果を持続させることが求められるため、ウイルス増殖を一時的に抑制するだけでなく、ウイルスの再増殖をも阻害するのに効果的であり得る。このことは、(抗ウイルス剤は)長期間の投与が必要であって、高い単回用量が、一晩中長時間効果を持続させるためにしばしば不可避であり得ることを意味する。そのような、長期間かつ高用量の投与は、副作用を発生する危険性を増加させる。
【0075】
このことを考慮して、本発明の併用剤の一つの実施態様は、経口投与によって高い吸収を可能とする化合物を含む併用剤であって、そのような化合物は、投与した化合物の血中濃度をより長期間維持できる。
【0076】
特定の医薬の併用としては、エファビレンツ、テノフォビル、エムトリシタビン、インジナビル、ネルフィナビル、アタナザビル、リトナビル+インジナビル、リトナビル+ロピナビル、リトナビル+サクイナビル、ジダノシン+ラミブジン、ジドブジン+ジダノシン、スタブジン+ジダノシン、ジドブジン+ラミブジン、スタブジン+ラミブジンおよびエムトリバならびに本発明の化合物Aからなる群の組合せが挙げられる(併用は、Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-Infected Adults and Adolescents. August 13, 2001でさらに議論されている)。
【0077】
一つの実施態様としては、化合物Aとエファビレンツ、インジナビル、ネルフィナビル、テノフォビル、エムトリシタビン、ジドブジンまたはラミブジンの併用による二薬治療が挙げられる。他の実施態様としては、化合物Aと、ジドブジン+ラミブジン、テノフォビル+ラミブジン、テノフォビル+ジドブジン、テノフォビル+エファビレンツ、テノフォビル+ネルフィナビル、テノフォビル+インジナビル、テノフォビル+エムトリシタビン、エムトリシタビン+ラミブジン、エムトリシタビン+ジドブジン、エムトリシタビン+エファビレンツ、エムトリシタビン+ネルフィナビル、エムトリシタビン+インジナビル、ネルフィナビル+ラミブジン、ネルフィナビル+ジドブジン、ネルフィナビル+エファビレンツ、ネルフィナビル+インジナビル、エファビレンツ+ラミブジン、エファビレンツ+ジドブジン、またはエファビレンツ+インジナビルとの併用による三薬治療が挙げられる。
【0078】
一方、用量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法などに依存して変化するが、一般に化合物Aは、成人一回投与あたり約0.01mg〜約1g投与され、1日に1〜数回、経口または静脈注射などのような注入投与剤形で与えられる。本発明の併用剤で使用するための、少なくとも一種の他の抗HIV作用物質のそれぞれの効果的な投与量は、当業者であれば刊行物源から容易に入手可能である。本発明は、それぞれの他の抗HIV作用物質のための、臨床的に意図された効果的な投与量計画の使用を意図する。
【0079】
例えばさらに、併用治療のための化合物Aの経口投与量は、投与あたり約0.005mg〜約1000mgの範囲のいずれかの用量であり得る。例えば、併用治療における化合物Aの単回投与は、投与あたり0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.5mg、1.0mg、2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、9000mg、1000mgであり得る。
【0080】
例えばジドブジン(AZT)の場合、HIV感染の治療のための、成人に対するジドブジンの推奨経口投与量は、4時間ごとに100mgである。また例えば、標準的なジドブジンの静脈内投与量は、4時間ごとに約1〜約2mg/kgである。3ヶ月から12歳の子供の場合、開始経口投与量は6時間ごとに180mgで6時間ごとに200mgを超えない量である。幼児は、生後12時間以内に6時間ごと、そして6週間2mg/kgを経口的に与えるか、6時間ごとに1.5mg/kgを静脈内に与えるべきである。
母体から胎児へのHIV伝染を防止するための投与量は、100mgを毎日5回、または200mgを毎日3回である。妊娠14週〜34週の間に治療を開始し、陣痛の時まで治療を続けるべきである。陣痛および分娩の間は、2mg/kgを1時間以上かけて静脈内投与し、続けて臍帯が切断されるまで1mg/kg/hrで投与されるべきである。
【0081】
例えばラミブジン(3TC)の場合、HIV感染の治療のための、成人に対するラミブジンの推奨経口投与量は、体重50kg以上の場合、150mgを毎日2回であり、50kg未満の場合、2mg/kgを毎日2回である。50kg以上の子供(12〜16歳)は、150mgを毎日2回摂取すべきである。子供(3ヶ月〜12歳)は、毎日300mgの最大投与量までの、4mg/kgを毎日2回で治療されるべきである。HIV感染の曝露後予防のためには、ラミブジン150mgを毎日2回、ジドブジン(レトロビル)600mgを毎日と共に、28日間投与される。
【0082】
例えばラミブジン/ジドブジン(3TC/AZT)の併用剤のためには、150mg/300mg(3TC/AZT)の錠剤として併用剤を利用でき、そしてHIV感染の治療のためには、成人または12歳より上の子供に対する推奨経口投与量は1錠を毎日2回である。
【0083】
例えばエファビレンツの場合、HIV感染の治療のための、成人に対する推奨経口投与量は、毎日600mgである。例えばフマル酸テノフォビルジソプロキシルの場合、HIV感染の治療のための、成人に対する推奨経口投与量は、毎日300mgである。各錠剤は、テノフォビルジソプロキシル245mgに等しいフマル酸テノフォビルジソプロキシル300mgを含む。例えばインジナビルの場合、HIV感染の治療のための、成人に対する推奨経口投与量は、8時間ごとに800mgである。例えばネルフィナビルの場合、成人に対する推奨用量は1250mgを毎日2回か、750mgを毎日3回である。2−13歳の子供に対する推奨用量は、20−30mg/kgを毎日3回である。
【0084】
他の抗HIV剤は、承認された推奨投与計画に適応する量で投与され得る。そのような投与量の例は、投与あたり20mgから2000mgの範囲のいずれかの用量であり得る。例えば、少なくとも一種の他の抗HIV剤の単回投与は、投与あたり20mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、9000mg、1000mg、1200mg、1400mg、1600mg、1800mgまたは2000mgであり得る。
【0085】
本発明の実施態様はまた、それぞれの他の抗HIV作用物質についての臨床的に意図された有効投与量計画より少ない、それぞれの他の抗HIV作用物質の用量の使用をも意図する。本発明の幾つかの態様では、本発明の併用剤の有利な効果および有効性によって、臨床的に意図された有効用量または推奨用量よりも低い有効量のそれぞれの他の抗HIV作用物質を投与することが可能になっていてもよい。例えば本発明の実施態様は、それぞれの他の抗HIV作用物質について臨床的に意図された最も低い有効用量の、例えば5%、10%、20%、30%、50%、75%もしくは90%といった5%〜99%の範囲の、低い用量の使用を、それぞれの他の抗HIV作用物質に対して意図する。
【0086】
本発明の、化合物Aと少なくとも一種の他の抗HIV剤との併用剤が医薬製剤として用いられる場合、医薬的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定化剤、防腐剤、緩衝剤、乳化剤、香料添加剤、着色剤、甘味剤、増粘剤、矯正剤、溶解補助剤、他の添加剤などと混合され、それは一般に水、植物油、アルコール(例、エタノールまたはベンジルアルコールなど)、ポリエチレングリコール、グリセロール三酢酸、ゼラチン、糖質(例、ラクトース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、ワセリンを含むことが知られており、常法により錠剤、ピル、粉末剤、顆粒剤、坐剤、注射剤、点眼剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、エアロゾル剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などに形成され、次いで全身的もしくは局所的、および経口的もしくは非経口的に投与される。
【0087】
本発明の方法の実施態様は、有効量の化合物Aおよび少なくとも一種の他の抗HIV剤の、ヒト、サル、ネコなどのような哺乳動物への投与を提供する。該投与は少なくとも二種の抗HIV剤の共投与、すなわち有効量の両薬剤が上記哺乳動物に常時存在するように、化合物Aおよびレトロウイルスプロテアーゼ阻害剤を投与することによって達成され得る。あるいは、該投与は化合物Aおよび少なくとも一種の他の抗HIV剤の連続的もしくは交互の投与、すなわち有効量の化合物Aのみまたは他の抗HIV剤のみが上記哺乳動物に常時存在するように、化合物Aおよび一種の他の抗HIV剤を投与することによって達成され得る。少なくとも一種の他の抗HIV剤を適切に選択することで、他の抗HIV剤のいずれかへの耐性株の存在下でさえも、この方法は、レトロウイルスの増殖を効果的に調節することができる。
【0088】
本発明の、化合物Aおよび少なくとも一種の他の抗HIV剤の併用剤は、別々の組成物として処方することができ、実質的に同時に与えられる。または、本発明の、化合物Aおよび少なくとも一種の他の抗HIV剤の併用剤は、全ての活性剤がそれぞれの量において宿主に治療有効量で投与されるように、単一の組成物として処方され得る。あるいは、本発明の、化合物Aおよび少なくとも一種の他の抗HIV剤は、同時に一種または二種の活性剤のみがある時点で宿主内に治療有効量で存在するように、異なる時間に宿主に投与され得る。従って、本発明の、化合物Aおよび他の抗HIV剤は、連続的にか、または同時に個体に投与され得る。本発明の併用剤は、毎日単回用量として投与されるか、または複数回用量として投与されてもよく、それぞれの用量は、化合物A、少なくとも一種の他の抗HIV剤、または両方を含む。本発明の幾つかの態様では、化合物A、少なくとも一種の他の抗HIV剤、または両方の用量の投与は、例えば静脈内滴下、皮膚用パッチ剤、皮下ポンプ、ポリマーインプラント;あるいはナノスフェア製剤を使用した投与のように、治療的に効果的な任意の長さの時間中、連続して実行されても良い。
【0089】
本発明の併用剤および方法はまた、インビトロの溶液中におけるレトロウイルスの増殖を予防するのにも効果的である。Tリンパ球細胞培養のような、ヒト、動物および微生物の細胞培養は、キャリブレータおよびコントロールを含む研究および診断手順のような種々のよく知られた目的で活用される。細胞培養類の増殖および保存の前ならびにそれらの間において、不注意にもしくは知らずに細胞培養中に存在し得るレトロウイルスの、不測もしくは望外の複製を防止する有効濃度で、表題化合物が細胞培養液中に添加され得る。ウイルスはもともと細胞培養中に存在し得、例えばHIVは、血液中で検出され得るずっと以前にヒトTリンパ球中に、あるいはウイルスへの曝露を通じて存在し得ることが知られている。この表記の併用剤および方法の使用は、無意識のまたは不慮の、研究者もしくは医者への、致死的となり得るレトロウイルスの曝露を防止する。
【0090】
さらに、本発明の併用剤および方法はまた、HIV感染を治療するための化合物Aとの併用治療に有益であり得るさらなる抗HIV剤を同定するための、インビトロにおけるスクリーニング方法としても効果的である。
例えば試験化合物を、化合物Aまたは化合物Aに少なくとも一種の他の公知の抗HIV剤を加えたものと組み合わせて、HIV感染細胞培養物中に添加し、細胞培養物中のレトロウイルスの複製を測定し、標準サンプル(例、試験化合物を含まないサンプル、試験化合物のみ含むサンプル、または他のそれらのバリアント)と比較することができる。結果の比較によって、例えば化合物Aまたは化合物Aに少なくとも一種の他の公知の抗HIV剤を加えた併用治療において有益に用いられ得る試験化合物が示されるだろう。幾つかの実施態様では、特に有益な試験化合物は、化合物Aまたは化合物Aに少なくとも一種の他の公知の抗HIV剤を加えたものと併用される場合のそれらの相乗効果によって同定されるだろう。
【0091】
産業上の利用分野
本発明の併用剤は、比較的低い細胞毒性と共に、高いHIV阻害活性を有する。
【0092】
従って、ある実施態様では、抗HIV剤がHIVインテグラーゼ阻害活性を有する場合、本発明の併用剤がAIDSの予防または治療に有用であり得る。さらに、他の実施態様では、本発明の併用剤はさらに、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤などのような他の抗HIV剤と併用され得る。従って、該化合物はより効果的な抗HIV剤となり得、かつ抗HIV剤の化合物Aとの併用使用から相乗効果が得られうる。化合物Aは、インテグラーゼに対して特異的な高い阻害活性を有しているため、化合物Aを含む併用剤は、ヒトにおいて、併用治療のための、副作用がほとんど無くかつ効果的な治療効果のある安全な医薬として提供され得る。
さらに、本発明の非限定の例は、以下のとおりである。
【実施例】
【0093】
実施例1:化合物Aの合成
本発明の化合物Aの製造方法の例を以下に示す。しかしながら、本発明の化合物Aの製造方法は、この例に限定されない。他の方法は、当業者に容易に明らかであろう。
【0094】
製造方法中に記載が無くても、必要に応じて、官能基に保護基を導入し、続く工程で脱保護することによって、各工程で官能基を有する化合物を前駆体として用い、次いで適切な工程で該基を所望の官能基に変換することによって、各製造方法および工程の順を変えることによって、あるいは他の方法によって、効果的な製造が行われうる。
【0095】
各工程のワークアップは、典型的な方法によって適用され得、各工程における単離および精製は、結晶化、再結晶化、蒸留、分配、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLCなどのような従来の方法を、必要に応じて選択または組み合わせることによってなされる。
【0096】
A.工程1
【0097】
【化12】

【0098】
2,4−ジフルオロ−5−ヨード安息香酸(650.57 g, 2.29 mol)をトルエン(1300 ml)に溶解し、次いで塩化チオニル(184 ml, 2.52 mol)およびジメチルホルムアミド (触媒量)を加えた。混合物を90℃で2時間攪拌した。混合物を冷却させた後、反応溶液を減圧下濃縮した。減圧下濃縮に続いて残渣をトルエン(330 ml)に溶解し、これを再度繰り返した。残渣をトルエン(690 ml)に溶解し、得られた溶液を3,3-ジメチルアミノアクリル酸エチル(361.52 g, 2.525 mol)およびジイソプロピルエチルアミン(480 ml, 2.75 mol)のトルエン溶液に滴下して加え、次いで混合物を90℃で3時間加熱攪拌した。混合物を冷却させた後、反応混合物に(S)-(+)-valinol(260.00 g, 2.52 mol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に水(2600 ml)を加え、混合物を分配した。水層をトルエン(680 ml)で抽出した。有機層を合わせ、水(2000 ml)で二回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧下で濃縮して粗生成物(1180 g)を褐色オイルとして得た。
【0099】
B.工程2
【0100】
【化13】

【0101】
工程1で得られた粗生成物(1180 g)をジメチルホルムアミド(2500 ml)中に溶解し、細かく粉砕された炭酸カリウム(292.00 g, 1.06 mol)を加えた。混合物を室温で22時間攪拌した。反応混合物を氷水(約10L)に加え、混合物を30分攪拌した。析出物をろ過で回収し、水(2000 ml)で洗浄した。該固体を真空乾燥し、酢酸エチル(5000 ml)中に懸濁した。ろ過および真空乾燥により、目的生成物(774.63 g、収率82%)を黄白色固体として得た。
1H NMR(DMSO-d6 300MHz) (δ) ppm: 0.72(3H, d, J=6.6Hz), 1.10 (3H, d, J=6.6Hz), 1.28(3H, t, J=7.0Hz), 2.27 (1H, br), 3.77 (1H, br), 3.86(1H, br), 4.23 (2H, q, J=7.0Hz), 4.56(1H, br), 5.12 (1H, t, J=4.9Hz), 8.09(1H, d, J=11.1Hz), 8.62 (1H, d, J=7.5Hz), 8.68(1H, s)
MS(ESI): M+ 448
【0102】
C.工程3
【0103】
【化14】

【0104】
工程2で得られた化合物(626.15 g, 1.40 mol)をクロロホルム(1250 ml)中に溶解し、ついでピリジン(433 ml, 5.60 mol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(17.10 g, 0.14 mol)を加えた。クロロギ酸メチル(529.30 g, 5.60 mol)のクロロホルム(1250 ml)溶液を、10℃未満で滴下して加えた。添加の終了後、混合物を同温で30分攪拌した。反応混合物を水(1250 ml)、2N塩酸(1250 ml)、水(630 ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で続けて洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過の後、残渣を減圧下濃縮して粗生成物(834.02 g)を褐色オイルとして得た。
【0105】
D.工程4
【0106】
【化15】

【0107】
(臭化3-クロロ-2-フルオロベンジル亜鉛 テトラヒドロフラン溶液の製造)
アルゴン気流下、亜鉛粉末(113.02 g, 1.73 mol)をテトラヒドロフラン(350 ml)中に懸濁し、1,2−ジブロモエタン(1.207 ml, 14.00 mmol)および塩化トリメチルシリル(8.88 ml, 70.00 mmol)を60℃で加えた。混合物を30分加熱して攪拌した。臭化3-クロロ−2−フルオロベンジル(406.73 g, 1.82 mol)のテトラヒドロフラン(700 ml)溶液を60℃で滴下して加えた。混合物を1時間加熱して攪拌し、臭化3−クロロ−2−フルオロベンジル亜鉛の溶液を得た。
【0108】
工程3で得られた粗生成物(834.02 g)をテトラヒドロフラン(1060 ml)中に溶解し、次いでジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(19.65 g, 28.00 mmol)をアルゴン気流下で加え、臭化3−クロロ−2−フルオロベンジル亜鉛(1.82 ml)溶液を60℃で滴下して加えた。添加の終了後、混合物を1.5時間加熱還流した。混合物を冷却させた後、トルエン(2120 ml)および20%塩化アンモニウム水溶液(1410 ml)を反応溶液に加え、ついで混合物を攪拌して分配した。有機層を20%塩化アンモニウム水溶液(710 ml)で2回、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(710 ml)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過の後、ろ液を減圧下濃縮して、粗生成物(849.34 g)を褐色オイルとして得た。
【0109】
E.工程5
【0110】
【化16】

【0111】
工程4で得られた粗生成物(849.34 g)をイソプロパノール(1100 ml)に溶解し、4N水酸化ナトリウム水溶液(1050 ml, 4.20 mmol)を加えた。混合物を50℃で1.5時間加熱して攪拌した。活性炭(37 g)を反応溶液に加え、次いで混合物を室温で30分攪拌した。混合物を、セライトを通してろ過し、次いで6N塩酸(740 ml)および酢酸エチル(3650 ml)をろ液に加えた。混合物を攪拌して分配した。有機層を減圧下で濃縮し、次いで残渣をイソプロパノール(1070 ml)に懸濁した。混合物を60℃で1時間攪拌した。混合物を冷却させた後、固体をろ過して回収した。該固体をイソプロパノール(740 ml)で洗浄し、真空乾燥して生成物(446.51 g、収率73%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR(DMSO-d6 400MHz) (δ) ppm: 0.71 (3H, d, J=6.5Hz), 1.13 (3H, d, J=6.5Hz), 2.36 (1H, br), 3.77(1H, br), 3.94 (1H, br), 4.25 (2H, s), 4.77(1H, br), 5.16 (1H, t, J=2.4Hz), 7.19-7.23(1H, m), 7.32-7.35 (1H, m), 7.48-7.52(1H, m), 8.24-8.28 (2H, m), 9.00 (1H, s), 15.00 (1H, s)
MS(ESI): M+ 436
【0112】
F.工程6
【0113】
【化17】

【0114】
工程5で得られた化合物(443.59 g, 1.02 mol)をメタノールに溶解し、ついでメタノール(2077 ml, 10.17 mol)中の28%ナトリウムメトキシドおよび水(44.30 ml, 2.46 mol)を加えた。混合物を17.5時間加熱還流した。活性炭(22 g)を反応溶液に加え、混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を、セライトを通してろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。水(1770 ml)を残渣に加え、混合物を氷冷しながら1時間攪拌した。次いで、6N塩酸(1790 ml)をさらに加え、混合物を室温で2時間攪拌した。酢酸エチル(1770 ml)を加え、混合物を攪拌して分配した。有機層を10%ブライン(890 ml)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、次いで残渣の一部を数回再結晶(最終の再結晶溶媒はメタノール−水)して、目的生成物(28.60 g、収率67%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6 400MHz) (δ) ppm: 0.72 (3H, d, J=6.5Hz), 1.16 (3H, d, J=6.5Hz), 2.30-2.50 (1H, m), 3.70-3.90 (1H, m), 3.90-4.00 (1H, m), 4.03 (3H, s), 4.12 (2H, s), 4.80-4.90 (1H, m), 5.19 (1H, t, J=5.2Hz), 7.19-7.25 (2H, m), 7.46-7.51 (2H, m), 8.04 (1H, s), 8.88 (1H, s), 15.44 (1H, s)
MS (ESI): M+ 448.
【0115】
得られた化合物は(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(「化合物A」)であり、以下の構造式を有する:
【0116】
【化18】

【0117】
実施例2:インテグラーゼタンパク質の製造
本発明の化合物AのHIVインテグラーゼ阻害活性の評価方法を、以下で説明する。
【0118】
(i)組換えインテグラーゼ遺伝子発現系の構築
HIVインテグラーゼ全長遺伝子(J. Virol., 67, 425-437 (1993))の185番目のフェニルアラニンをヒスチジンに置換し、プラスミドpET21a(+)(Novagen)の制限酵素NdeI−XhoIサイトに挿入することで、インテグラーゼ発現ベクターpET21a−IN−F185Hを構築した。
【0119】
(ii)インテグラーゼタンパク質の産生および精製
(i)で得られたプラスミドpET21a−IN−F185Hを形質変換した組換え大腸菌BL21(DE3)を、アンピシリンを含む液体培地中、30℃で振盪培養した。培養物が対数増殖期に達したら、インテグラーゼ遺伝子の発現を促進させるためにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを加えた。インテグラーゼタンパク質の蓄積を促進させるために、3時間続けて培養し、組換え大腸菌を遠心分離によってペレットで回収し、−80℃で保存した。
【0120】
大腸菌を、1M塩化ナトリウムを含む溶解バッファー(20mM HEPES(pH7.5),5mM DTT,10mM CHAPS,10%グリセロール)で懸濁し、破砕させるために加圧および減圧を繰り返し、次いで水溶解性画分(上清)を回収するために4℃, 40,000×gで60分間遠心分離に付した。これを塩化ナトリウムフリーの溶解バッファーで10倍に希釈し、SP−セファロース(Pharmacia Corporation)と混合し、4℃で60分間攪拌してインテグラーゼタンパク質を樹脂に吸着させた。該樹脂を100mM塩化ナトリウムを含む溶解バッファーで洗浄し、インテグラーゼタンパク質を1M塩化ナトリウムを含む溶解バッファーで溶出した。
【0121】
溶出したインテグラーゼタンパク質を、ゲルろ過のためにSuperdex75(Pharmacia Corporation)カラムにアプライした。該タンパク質を1M塩化ナトリウムを含む溶解バッファーで溶出した。得られたインテグラーゼタンパク質画分を回収し、−80℃で保存した。
【0122】
(iii)DNA溶液の調製
以下のDNA(Greinerの方法を用いて合成したもの)をTEバッファー(10 mM トリス−塩酸(pH 8.0), 1 mM EDTA)中に溶解し、ドナーDNA、ターゲットDNAと混合し、各相補鎖(プラスおよびマイナス鎖)を1μMとした。二本鎖DNAを得るために、混合物を95℃で5分間、80℃で10分間、70℃で10分間、60℃で10分間、50℃で10分間次いで40℃で10分間加熱し、25℃で保存した。これを試験に用いた。
【0123】
ドナーDNA(マイナス鎖は5’末端に結合したビオチンを有する)
ドナー プラス鎖:5’−ビオチン−ACC CTT TTA GTC AGT GTG GAA AAT CTC TAG CA−3’(配列番号1)
ドナー マイナス鎖:5’−ACT GCT AGA GAT TTT CCA CAC TGA CTA AAA G−3’(配列番号2)
【0124】
ターゲットDNA(プラス、マイナス鎖は共に3’末端に付加されたジゴキシゲニンを有する)
ターゲット プラス鎖:5’−TGA CCA AGG GCT AAT TCA CT-Dig−3’(配列番号3)
ターゲット マイナス鎖:5’−AGT GAA TTA GCC CTT GGT CA-Dig−3’(配列番号4)
【0125】
実施例3:インビトロにおけるHIVインテグラーゼ阻害活性の決定
ドナーDNAをTEバッファーで10nMに希釈し、その50μlをストレプトアビジンコートされたマイクロタイタープレート(Roche)の各ウェルに加え、37℃で60分間吸着させた。DNAを、0.1%Tween20を含むリン酸バッファー(Dulbecco PBS、三共純薬株式会社)およびリン酸バッファーで洗浄した。次いで、以下の組成(反応混合液で希釈した化合物A(10μl)および100μg/mlインテグラーゼタンパク質(10μl))を有する反応混合液(70μl)を各ウェルに加え、37℃で60分間反応させた。
次いで、50nMのターゲットDNA(10μl)を加えて37℃で10分間反応させ、0.1%Tween20を含むリン酸バッファーで洗浄して反応を停止させた。次いで、100 mU/mlのペルオキシダーゼ標識された抗ジゴキシゲニン抗体溶液(Roche, 100 μl)を加え、混合物を37℃で60分間反応させ、続けて0.1%Tween20を含むリン酸バッファーで洗浄した。ペルオキシダーゼ発色液(Bio Rad, 100 μl)を加え、室温で4分間反応させた。発色反応は1N硫酸(100 μl)を加えることで停止させた。450nmにおける吸光度を測定した。
【0126】
本発明の化合物AのHIVインテグラーゼ阻害活性(IC50)は、以下の式
【0127】
阻害率(%)=
[1−(試験サンプル−ブランク)/(コントロール−ブランク)]×100。
試験サンプル=試験化合物存在下におけるウェルの吸光度。
コントロール=試験化合物非存在下におけるウェルの吸光度。
ブランク=試験化合物非存在下、インテグラーゼタンパク質非存在下におけるウェルの吸光度。
による阻害率から計算した。
【0128】
化合物Aは、結果的に0.0029μMの酵素IC50値であった。
【0129】
実施例4:インビトロにおける抗ウイルス活性の評価
本発明の化合物Aと公知の抗HIV剤の併用使用の効果が、以下に示すように決定された。
【0130】
例えば、種々の公知の抗HIV剤(inhibitor)(AZT、3TC、PMPA、エファビレンツ、インジナビル、ネルフィナビル、AZT/3TCおよびPMPA/3TC)と組み合わせて、化合物Aの抗HIV−1活性を測定した。この研究は、抗HIV併用試験の統計的評価のために、Prichard and Shipman MacSynergy II三次元モデルを用いて行った。標準的マイクロタイタープレートフォーマットを用い、実験室株であるHIV−1IIIBを急性感染させたCEM−SS Tリンパ球で各併用試験を行い、そしてウイルス増殖/阻害を、ウイルス誘導性細胞変性効果(CPE)を実験終末点でモニターすることによって測定して評価した。
【0131】
A.薬剤調製
化合物Aの20mMストック液を、DMSOを希釈剤として用いて調製した。化合物Aは、4nMを最高容量として、段階的な1:2希釈の8つの濃度で試験した。他の抗HIV剤(AZT、3TC、PMPA、エファビレンツ、インジナビル、ネルフィナビル、AZT/3TCおよびPMPA/3TC)は、Southern Research Institute (Frederick, Maryland 21701)から提供された。併用試験における分析のために、AZTは滅菌水に溶解し、その他のコントロール化合物はDMSOに溶解した。AZT/3TCは、0.025μM/0.25μM(1:10)の割合で混合し、PMPA/3TCは、12.5μM/0.25μM(50:1)の割合で混合した。全ての場合においてDMSO終濃度は<0.25%であり、この濃度は、記載したアッセイにおいて影響が無いことが既に示されている。
【0132】
B.CEM−SS細胞における有効性評価
1.抗HIV−1細胞保護作用アッセイ
а.細胞調製
抗ウイルスアッセイで使用する前に、CEM−SS細胞をT−75フラスコで継代した。アッセイを行う日に確実に感染時に細胞が指数増殖期になるよう、該細胞を1:2に分けた。
血球計算器およびトリパンブルー色素排除試験を用いて、全細胞数および生存率の定量を行った。アッセイで用いられる細胞の細胞生存率は95%より上であった。組織培養培地(RPMI 1640 supplemented with 10% FBS)で細胞を5×10細胞/mlに再懸濁し、薬剤を含むマイクロタイタープレートに50μlの容量で加えた。
【0133】
b.ウイルス調製
これらの試験で用いられるウイルスは、リンパ球指向性ウイルス株HIV−1IIIBである。このウイルスは、NIH AIDS Research and Reference Reagent Programから得たものであり、ストックウイルスの産生のために、CEM−SS細胞中で増殖させた。各アッセイのために、前力価測定したウイルスのアリコットをフリーザー(−80℃)から取り出し、次いで生物学的に安全なキャビネット中、室温までゆっくり溶解させた。該ウイルスは、各ウェルに50μl容量で加えたウイルス量が、感染後6日間で85%〜95%の細胞死をもたらすように決定された量となるように、組織培養培地中に再懸濁および希釈された。CEM−SS細胞における終末点滴定によるTCID50計算は、これらのアッセイの感染多重度が約0.01であることを示した。
【0134】
c.プレートフォーマット
試験プレートのフォーマットは以下の様に標準化された。各プレートは、実験ウェル(薬剤+細胞+ウイルス)と同様に、細胞コントロールウェル(細胞のみ)、ウイルスコントロールウェル(細胞+ウイルス)、薬剤細胞毒性ウェル(細胞+薬剤のみ)、薬剤比色分析コントロールウェル(薬剤のみ)を含む。各ウェルの最終容量は200μlであった。サンプルは、チェッカーボード希釈スキーム(checkerboard dilution scheme)を用いて三重測定(一実験あたりn=3)で評価された;薬剤A(AZT、3TCなど)の各5つの濃度を、化合物Aの9つの異なる濃度との組合せで評価する;抗ウイルス効果および細胞毒性は、実験終末点でMTS染色によってモニターした。
【0135】
2.細胞生存率のためのMTS染色
アッセイ終了時、細胞生存率の決定、及び、化合物毒性の定量をするために、アッセイプレートを可溶性テトラゾリウムに基づいた色素であるMTS(CellTiter96 Reagent, Promega)で染色した。MTSは代謝的に活性な細胞のミトコンドリア内酵素によって代謝され、可溶性のホルマザン生成物を生じ、細胞生存率および化合物毒性の迅速な定量解析を可能とする。MTSは使用前調製を必要としない安定な溶液である。アッセイの終了時に、ウェルごとに20μlのMTS試薬が加えられた。次いでHIV細胞保護アッセイのために該マイクロタイタープレートを37℃で4〜6時間インキュベートした;インキュベーションの間隔は、最適の色素還元を与えるために経験的に決定された時間に基づいて選択された。蓋の代わりに接着プレートシーラーが用いられ、可溶性のホルマザン生成物を混合するためにシールされたプレートを数回反転し、Molecular Devices Vmaxプレートリーダーを用いて該プレートを490/650nmで分光光度法で読み込んだ。
【0136】
解析と考察
薬剤併用試験の解析は、Prichard and Shipmanの方法(Antiviral Research 14:181-206 [1990])に従った統計的評価と、上記した抗HIVアッセイの手法を用いて行った。抗ウイルス併用試験は、上記したようにHIV−1IIIBウイルス株を用いてCEM−SS細胞で行った。薬剤(AZT、3TC、PMPA、エファビレンツ、インジナビル、ネルフィナビル、AZT/3TCまたはPMPA/3TC)の5つの濃度を、化合物Aの9つの濃度との様々な組合せで試験した。薬剤併用の効果は、単独で試験した場合の各化合物の活性に基づいて計算した。
【0137】
各併用濃度において実験的に決定された抗ウイルス活性から、相加的である場合予想される抗ウイルス活性を差し引くと、相乗作用の場合は正の値、拮抗作用の場合は負の値、また、相加作用の場合はゼロとなる。併用試験の結果は、各併用濃度において三次元的に表され、活性を示す表面が、相加的な場合の平面より相乗的な場合は上に、拮抗的な場合は下に延びた表面が得られる。該表面積は、95%信頼区間において計算された相乗容量(μM%)として計算されかつ表現される。
【0138】
これらの研究において、相乗効果は、相乗容量が50μM%を超える薬剤併用と定義される。弱い相乗活性および強い相乗活性は、それぞれ50〜100μM%および>100μM%の相乗容量を生じることと定義された。相加的な薬剤間相互作用は、−50μM%〜50μM%の範囲内での相乗容量を有し、一方、−50μM%より低い相乗容量は、弱い拮抗性または拮抗性(<−100μM%)があると考えられる。表1においてこの試験結果を示す。
【0139】
【表1】

【0140】
上記表1に要約したように、また上記で定義した相乗基準に基づいて、化合物Aは3TCと弱い相乗作用を示し(67.7μM%)、化合物Aはまた、3剤併用試験においてAZT/3TCと相乗的に機能する(111.7μM%)。平均三次元表面プロット(図1〜8参照;3回の独立した併用試験の平均に由来する)の精査により、観察される相乗作用は、およそ、0.5〜2.0nMの化合物A濃度および0.1〜0.2μMの3TC濃度または0.003/0.03〜0.013/0.13μMの範囲のAZT/3TC濃度に集中していることが明らかとなる。化合物Aは、AZT、PMPA、エファビレンツ、インジナビル(indinaivr)、ネルフィナビルおよびPMPA/3TCと相加的に作用するようである。注目すべきは、関連する統計的95%信頼区間で三次元表面プロットを生成するために、MacSynergy softwareが45の異なる薬剤の組み合わせにおいて三重(n=3)の個々のデータを利用していることである。そのようなものとして、Prichard and Shipman MacSynergy modelによって予期される化合物AとAZT/3TCとの間で認められる相乗作用は意義がある。他の解析方法(例、Chou and Talalay, Adv. Enzyme Regul. 22:27-55, 1984)によるこの併用データの解析によって類似の相乗的観測結果が得られるが、Chou(Mol. Pharmacol. 10:235-247, 1974)によるMedian-Effect equation法は、MacSynergy analysis法に関連する統計的信頼区間を欠く。
【0141】
化合物A(最高容量4nM)で試験された薬剤濃度内で、相乗的な細胞毒性の証拠はなかった。評価した濃度範囲内で、細胞毒性を示す薬剤はなかった。強い抗ウイルス特性を示す薬剤の各濃度で、顕著な相乗的細胞毒性は観察されなかった。
【0142】
上記記載は本発明のわずかな実例を示したにすぎず、本発明を、開示した併用または方法に限定することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
産業上の利用可能性
化合物Aはインテグラーゼ特異的な高い阻害活性を有するため、他の抗HIV剤と併用される場合、ヒトに対し副作用の少ない併用治療を提供できる。
【0144】
本願は米国で2004年5月21日に出願された仮出願60/572,969号を基礎としており、その内容は参照をもって本明細書に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図面の簡単な説明
【図1】AZTと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物AおよびAZTの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図2】3TCと化合物Aの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物Aおよび3TCの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図3】PMPAと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物AおよびPMPAの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図4】エファビレンツと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物Aおよびエファビレンツの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図5】インジナビルと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物Aおよびインジナビルの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図6】ネルフィナビルと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物Aおよびネルフィナビルの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図7】AZT/3TCと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物AおよびAZT/3TCの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【図8】PMPA/3TCと化合物Aとの薬剤併用試験における平均3次元グラフ(n=3)。化合物AおよびPMPA/3TCの個々の濃度に対するウイルス誘導性細胞死の阻害パーセント。
【配列表フリーテキスト】
【0146】
配列表フリーテキスト
配列番号1:HIVインテグラーゼ活性決定のための、ドナー プラス鎖
配列番号2:HIVインテグラーゼ活性決定のための、ドナー マイナス鎖
配列番号3:HIVインテグラーゼ活性決定のための、ターゲット プラス鎖
配列番号4:HIVインテグラーゼ活性決定のための、ターゲット マイナス鎖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む抗HIV剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、抗HIV剤。
【請求項2】
(b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、請求項1記載の剤。
【請求項3】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、請求項2記載の剤。
【請求項4】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCの併用および(ii)PMPAと3TCの併用から選択される組合せである、請求項2記載の剤。
【請求項5】
(b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項1記載の剤。
【請求項6】
少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項5記載の剤。
【請求項7】
(b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、請求項1記載の剤。
【請求項8】
(a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、請求項1記載の剤。
【請求項9】
(a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、請求項1記載の剤。
【請求項10】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、請求項1記載の剤。
【請求項11】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、請求項1記載の剤。
【請求項12】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項11記載の剤。
【請求項13】
(a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、請求項1記載の剤。
【請求項14】
(a)および(b)が、別々の組成物として処方される、請求項1記載の剤。
【請求項15】
(a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、請求項1記載の剤。
【請求項16】
(a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、請求項1記載の剤。
【請求項17】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、抗HIV剤。
【請求項18】
(b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、請求項17記載の剤。
【請求項19】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、請求項18記載の剤。
【請求項20】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCの併用および(ii)PMPAと3TCの併用から選択される組合せである、請求項18記載の剤。
【請求項21】
(b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項17記載の剤。
【請求項22】
少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項21記載の剤。
【請求項23】
(b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、請求項17記載の剤。
【請求項24】
(a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、請求項17記載の剤。
【請求項25】
(a)および(b)が、 哺乳動物に同時投与される、請求項17記載の剤。
【請求項26】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、請求項17記載の剤。
【請求項27】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、請求項17記載の剤。
【請求項28】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項27記載の剤。
【請求項29】
(a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、請求項17記載の剤。
【請求項30】
(a)および(b)が、別々の組成物として処方される、請求項17記載の剤。
【請求項31】
(a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、請求項17記載の剤。
【請求項32】
(a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、請求項17記載の剤。
【請求項33】
活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、HIV感染治療用キット。
【請求項34】
(b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、請求項33記載のキット。
【請求項35】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、請求項34記載のキット。
【請求項36】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCの併用および(ii)PMPAと3TCの併用から選択される組合せである、請求項34記載のキット。
【請求項37】
(b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項33記載のキット。
【請求項38】
少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項37記載のキット。
【請求項39】
(b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、請求項33記載のキット。
【請求項40】
(a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、請求項33記載のキット。
【請求項41】
(a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、請求項33記載のキット。
【請求項42】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、請求項33記載のキット。
【請求項43】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、請求項33記載のキット。
【請求項44】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項43記載のキット。
【請求項45】
(a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、請求項33記載のキット。
【請求項46】
(a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、請求項33記載のキット。
【請求項47】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む、インテグラーゼ阻害剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、インテグラーゼ阻害剤。
【請求項48】
哺乳動物に投与される、請求項47記載の阻害剤。
【請求項49】
インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、請求項47記載の阻害剤。
【請求項50】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、インテグラーゼ阻害剤。
【請求項51】
哺乳動物に投与される、請求項50記載の阻害剤。
【請求項52】
インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、請求項50記載の阻害剤。
【請求項53】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、インテグラーゼ阻害用キット。
【請求項54】
哺乳動物に投与される、請求項53記載のキット。
【請求項55】
インビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、請求項53記載のキット。
【請求項56】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含むHIV複製阻害剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、HIV複製阻害剤。
【請求項57】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、HIV複製阻害剤。
【請求項58】
活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、HIV複製阻害用キット。
【請求項59】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む抗ウイルス剤であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、抗ウイルス剤。
【請求項60】
活性成分として、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を組み合わせて含む、抗ウイルス剤。
【請求項61】
活性成分として(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩を含む剤、および活性成分として(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質を含む剤を組み合わせて含む、ウイルス感染を治療するためのキット。
【請求項62】
(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と組み合わされた、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項63】
抗HIV剤を製造するための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
【請求項64】
(b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、請求項63記載の使用。
【請求項65】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、請求項64記載の使用。
【請求項66】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCの併用および(ii)PMPAと3TCの併用から選択される組合せである、請求項64記載の使用。
【請求項67】
(b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項63記載の使用。
【請求項68】
少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項67記載の使用。
【請求項69】
(b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、請求項63記載の使用。
【請求項70】
(a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、請求項63記載の使用。
【請求項71】
(a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、請求項63記載の使用。
【請求項72】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、請求項63記載の使用。
【請求項73】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、請求項63記載の使用。
【請求項74】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項73記載の使用。
【請求項75】
(a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、請求項63記載の使用。
【請求項76】
(a)および(b)が、別々の組成物として処方される、請求項63記載の使用。
【請求項77】
(a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、請求項63記載の使用。
【請求項78】
(a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、請求項63記載の使用。
【請求項79】
抗HIV剤を製造するための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
【請求項80】
(b)が、少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤を含む、請求項79記載の使用。
【請求項81】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)、テノホビル(PMPA)、およびエファビレンツから選択される、請求項80記載の使用。
【請求項82】
少なくとも一種の逆転写酵素阻害剤が、(i)AZTと3TCの併用および(ii)PMPAと3TCの併用から選択される組合せである、請求項80記載の使用。
【請求項83】
(b)が、少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項79記載の使用。
【請求項84】
少なくとも一種のプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびネルフィナビルから選択される、請求項83記載の使用。
【請求項85】
(b)が、HIV−1プロテアーゼ阻害剤である、請求項79記載の使用。
【請求項86】
(a)および(b)が、哺乳動物に連続投与される、請求項79記載の使用。
【請求項87】
(a)および(b)が、哺乳動物に同時投与される、請求項79記載の使用。
【請求項88】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に経口投与される、請求項79記載の使用。
【請求項89】
(a)および(b)の少なくとも一つが、哺乳動物に非経口投与される、請求項79記載の使用。
【請求項90】
非経口投与が、静脈内投与である、請求項89記載の使用。
【請求項91】
(a)および(b)が、単一の組成物として一緒に処方される、請求項79記載の使用。
【請求項92】
(a)および(b)が、別々の組成物として処方される、請求項79記載の使用。
【請求項93】
(a)、(b)または(a)および(b)の両方が、哺乳動物に毎日投与される、請求項79記載の使用。
【請求項94】
(a)が、一日あたり約0.01mgから約1gの範囲内で哺乳動物に投与される、請求項79記載の使用。
【請求項95】
インテグラーゼ阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
【請求項96】
インテグラーゼ阻害剤が哺乳動物に投与される、請求項95記載の使用。
【請求項97】
インテグラーゼ阻害剤がインビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、請求項95記載の使用。
【請求項98】
インテグラーゼ阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
【請求項99】
インテグラーゼ阻害剤が哺乳動物に投与される、請求項98記載の使用。
【請求項100】
インテグラーゼ阻害剤がインビトロでインテグラーゼを含むサンプルに加えられる、請求項98記載の使用。
【請求項101】
HIV複製阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
【請求項102】
HIV複製阻害剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
【請求項103】
抗ウイルス剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩の使用であって、(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、使用。
【請求項104】
抗ウイルス剤の製造のための、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、および(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質の併用使用。
【請求項105】
(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがHIV感染の治療に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。
【請求項106】
(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがインテグラーゼの阻害に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。
【請求項107】
(b)少なくとも一種の他の抗HIV活性物質と併用される、(a)(S)−6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−(1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸または医薬的に許容されるその溶媒和物もしくはその塩、ならびに(a)および(b)の組み合わせがウイルス感染の治療に使用することができる、または使用すべきであることを記載したそれらに関する記載物を含む商業パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−500386(P2008−500386A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521016(P2007−521016)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/JP2005/009719
【国際公開番号】WO2005/112930
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】