6軸ロボットの4軸原点位置較正方法、6軸ロボットの制御装置、7軸ロボットの5軸原点位置較正方法及び7軸ロボットの制御装置
【課題】大型の検出器具を設置したりする必要がなく、6軸ロボットについて4軸の原点位置を適切に較正できる6軸ロボットの4軸原点位置較正方法を提供する。
【解決手段】垂直多関節型の6軸ロボットについて、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための計測補助具を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて計測点を第1計測位置に移動させ(S1)、第1計測位置をレーザー変位計により計測すると(S2)、5軸を、4軸の軸心の延長線から上記の回転方向とは逆方向に角度θだけ回転させる(S3)。次に、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(S4)、第2計測位置をレーザー変位計により計測すると(S5)4軸の誤差角度Δθ4を(4)式で求め(S6)、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(S7)。
【解決手段】垂直多関節型の6軸ロボットについて、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための計測補助具を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて計測点を第1計測位置に移動させ(S1)、第1計測位置をレーザー変位計により計測すると(S2)、5軸を、4軸の軸心の延長線から上記の回転方向とは逆方向に角度θだけ回転させる(S3)。次に、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(S4)、第2計測位置をレーザー変位計により計測すると(S5)4軸の誤差角度Δθ4を(4)式で求め(S6)、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(S7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6軸ロボットにおける4軸の原点位置を較正する方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法,7軸ロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば6軸ロボットなどの多関節型ロボットにおける各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータなどの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。各軸の原点位置を較正する方法としては、大型の検出器具を設置したりする方法や(例えば特許文献1参照)、検出用の特殊センサを追加する方法(例えば特許文献1,2参照)がある。また、特許文献3〜5には、6軸ロボットについて大型の検出器具を設置することなく、5軸,3軸,2軸の原点位置を較正する方法や装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−304893公報
【特許文献2】特開2003−220587号公報
【特許文献3】特開2009−274186号公報
【特許文献4】特開2009−274187号公報
【特許文献5】特開2009−274188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大型の検出器具を設置する方法については設置するスペースを確保することが困難となるおそれがある。また、検出用の特殊センサを追加する方法についてはコストアップの原因になるので、実施を避けたいという事情がある。そして、これらの事情を考慮した上で6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法については、従来提案されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型の検出器具を設置したりする必要がなく、6軸ロボットについて4軸の原点位置を適切に較正できる6軸ロボットの4軸原点位置較正方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットについて5軸の原点位置を適切に較正できる7軸ロボットの5軸原点位置較正方法及び7軸ロボットの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の6軸ロボットの4軸原点位置較正方法によれば、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて、計測点を第1計測位置に移動させると(第1工程)、第1計測位置を位置計測手段により計測する(第2工程)。次に、5軸を、4軸の軸心の延長線から第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させる(第3工程)と、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(第4工程)、第2計測位置を位置計測手段により計測する(第5工程)。尚、第4工程において、4軸は動かす必要がある場合とない場合とがある。そして、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求める(第6工程)と、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(第7工程)。尚、上記式の右辺は、4軸の回転方向について正負をどのように定義するかに応じて変化する。
【0006】
すなわち、4軸の原点位置が誤差角度Δθ4を含んでいれば、第1工程において6軸ロボットに取らせた姿勢で測定した第1計測位置と、第4工程で5軸を回転させた後に測定した第2計測位置との間には、誤差角度Δθ4のみに応じた誤差距離Eが存在する。そして、誤差距離Eは、5軸から計測点までの距離Lに基づき、4軸の軸心から第1,第2計測位置までの距離L*sin(θ5)に誤差角度Δθ4を乗じた値の2倍から求められる。したがって、たとえその他の軸の原点位置が較正されていない状態であっても4軸の誤差角度Δθ4を得ることができ、4軸の原点位置を較正できる。
【0007】
請求項2記載の6軸ロボットの4軸原点位置較正方法によれば、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて、計測点を第1計測位置に移動させる(第1工程)と、第1計測位置を位置計測手段により計測する(第2工程)。次に、5軸を、4軸の軸心の延長線から第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させる(第3工程)と、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(第4工程)、第2計測位置を位置計測手段により計測する(第5工程)。尚、第4工程において、4軸は動かす必要がある場合とない場合とがある。そして、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求めると(第6工程)、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(第7工程)。
【0008】
すなわち、4軸の原点位置が誤差角度Δθ4を含んでいれば、第1工程において6軸ロボットに取らせた姿勢で測定した第1計測位置と、第4工程で5軸を回転させた後に測定した第2計測位置との間には、誤差角度Δθ4のみに応じた誤差距離Eが存在する。そして、誤差距離Eは、5軸から計測点までの距離Lに基づき、4軸の軸心から第1計測位置までの距離L*sin(θ5_1)に誤差角度Δθ4を乗じた値と、4軸の軸心から第2計測位置までの距離L*sin(θ5_2)に誤差角度Δθ4を乗じた値とから求められるため、誤差角度Δθ4について上式の関係が得られる。但しこの場合、2軸,3軸については原点位置が較正済みであることが前提となるが、請求項1と同様に4軸の誤差角度Δθ4を得て4軸の原点位置を較正できる。
【0009】
請求項3記載の6軸ロボットの制御装置によれば、位置・姿勢制御手段は、5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させた後に、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させると、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる。そして、原点位置較正手段は、5軸から計測点までの距離をL,第1計測位置と第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求め、誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0010】
請求項4記載の6軸ロボットの制御装置によれば、位置・姿勢制御手段は、5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させた後に、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させると、少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる。そして、原点位置較正手段は、5軸から計測点までの距離をL,第1計測位置と第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求め、誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する。したがって、請求項2と同様の効果が得られる。
【0011】
請求項5,6記載の7軸ロボットの5軸原点位置較正方法によれば、請求項1,2記載の発明を7軸ロボットに適用して実施できる。すなわち、7軸ロボットは、一般に6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで請求項1,2記載の発明を7軸ロボットに適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。また、請求項7,8記載の7軸ロボットの制御装置によれば、上記と同様の理由で、請求項3,4記載の発明を7軸ロボットに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例であり、ロボット装置の斜視図
【図2】機能ブロック図
【図3】各軸の関係を示す模式図
【図4】フローチャート
【図5】状態遷移図
【図6】計測点と角度誤差Δθ4との幾何学的関係を示す図
【図7】(a)4軸の回転方向の正負を定義する図,(b)(c)は図6の部分図,(d)はレーザー変位計が距離を測定する状態を示す図
【図8】第2実施例を示す図4相当図
【図9】図5相当図
【図10】計測点(1),(2)に対応する姿勢について、ロボットの各軸の変位量を示す図(その1)
【図11】図10相当図(その2)
【図12】第3実施例を示す(a)は図3相当図、(b)は図5(a)相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図1ないし図7を参照して説明する。ロボット装置1は、図1に示すように、垂直多関節型ロボット(以下、ロボットと称する)2と、ロボット2の動作を制御する制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)3と、制御装置3に接続されているティーチングペンダント4とを備えて構成されている。
【0014】
ロボット2は、ベース5と、ベース5に水平方向に旋回可能に支持されているショルダ部6と、ショルダ部6に上下方向に旋回可能に支持されている下アーム7と、下アーム7に上下方向に旋回可能に支持されている第1の上アーム8と、第1の上アーム8の先端部に捻り回転可能に支持されている第2の上アーム9と、第2の上アーム9に上下方向に回転可能に支持されている手首10と、手首10に回転(捻り動作)可能に支持されているフランジ11とを備えて構成されている。
【0015】
上記したベース5を含め、ショルダ部6、下アーム7、第1の上アーム8、第2の上アーム9、手首10及びフランジ11は、ロボット2のリンクとして機能し、ベース5を除く各リンクは、下段のリンクに対して回転関節により回転可能に連結されている。最先端のリンクであるフランジ11は、ワークを把持するためのハンド(図示せず)が取付け可能になっている。また、リンク同士を連結する回転関節には前段のリンク側に固定されているモータの回転を減速して次段のリンクに伝達する減速装置が設けられている。
【0016】
尚、本実施例では、第1のリンクであるベース5と第2のリンクであるショルダ部6との間を連結する回転関節の関節軸を1軸、第2のリンクであるショルダ部6と第3のリンクである下アーム7との間を連結する回転関節の関節軸を2軸、第3のリンクである下アーム7と第4のリンクである第1の上アーム8との間を連結する回転関節の関節軸を3軸、第4のリンクである第1の上アーム8と第5のリンクである第2の上アーム9との間を連結する回転関節の関節軸を4軸、第5のリンクである第2の上アーム9と第6のリンクである手首10との間を連結する回転関節の関節軸を5軸、第6のリンクである手首10と第7のリンクであるフランジ11との間を連結する回転関節の関節軸を6軸として図示している。
すなわち、ロボット2は、図3に示すように、6軸の垂直多関節を有するPUMA型のロボットであり、1軸の回転軸が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の回転軸が1軸の回転軸と直交し、2軸の回転軸と3軸の回転軸と5軸の回転軸とが平行で、5軸の回転軸が4軸の回転軸及び6軸の回転軸と同一点で直交する構成となっている。
【0017】
ロボット2の動作を制御する制御装置3は、図2に示すように、CPU12と、駆動回路13と、位置検出回路14とを備えて構成されている。CPU12には、ロボット2全体のシステムプログラムや動作プログラムを作成するためのロボット言語などを記憶するROM15及びロボット2の動作プログラムなどを記憶するRAM16が接続されていると共に、ティーチング作業を行なう際に使用するティーチングペンダント4が接続されている。ティーチングペンダント4は、図1に示すように、各種の操作部4a及び表示器4bを備えて構成されている。
【0018】
位置検出回路14は、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の位置を検出するためのもので、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の軸毎の駆動源であるモータ17に設けられているロータリエンコーダ18が接続されている。位置検出回路14は、ロータリエンコーダ18から入力する検出信号に基づいてベース5に対するショルダ部6の回転角度、ショルダ部6に対する下アーム7の回転角度、下アーム7に対する第1の上アーム8の回転角度、第1の上アーム8に対する第2の上アーム9の回転角度、第2の上アーム9に対する手首10の回転角度、手首10に対するフランジ11の回転角度を検出し、それら検出した位置検出情報をCPU12に出力する。そして、CPU12は、動作プログラムに基づいてショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11を動作させる際に、位置検出回路14から入力する位置検出情報をフィードバック信号としてそれらの動作を制御する。
【0019】
各リンクには、図1に示すように、3次元の座標が規定されている。このうち、床面に据え付けられるベース5の座標系は、不動の座標系としてロボット2の基準座標とされるものであり、ベース5の下端中心を原点とし、水平方向の2つの座標軸Xb,Yb及び垂直方向の1つの座標軸Zbが規定されている。他のリンクの座標系は、各回転関節の回転により基準座標上での位置と向きが変化し、CPU12は、位置検出回路14から入力するショルダ部6、各アーム7〜9、手首10、フランジ11の各回転関節の位置検出情報と予め記憶されている各関節の長さ情報とに基づいて各関節の座標の位置と向きとを座標変換の計算機能により基準座標上での位置と向きとに変換して認識する。
【0020】
さて、上記したロボット2においては、各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータなどの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。以下、上記した構成の作用として、4軸の原点位置を較正する手順について図4ないし図6を参照して説明する。
CPU12は、4軸の原点位置を較正する制御プログラムを記憶保持しており、その制御プログラムを実行して4軸の原点位置を較正する。尚、2軸,3軸については、既に原点位置が較正済みであることを前提とする。ここで、図4は、CPU12が行う処理を示しており、図5(a)は、計測点(1)を計測するためのロボット2の初期姿勢を示している。尚、図5では1軸〜3軸の図示を省略している。
【0021】
この姿勢は、4軸を原点位置に設定した上で、第2上アーム9が設置面に対して垂直となるように、且つそれらの第2上アーム9が座標軸Zbの負方向を向くように2軸,3軸を回転させる(前記条件を満たす範囲で、これらの回転角度は任意)。更に、5軸を、4軸の軸心に対して任意の角度θ5_1だけ回転させる(ステップS1;第1工程)。尚、角度の単位は[rad]とする。そして、フランジ11には、6軸の軸心の延長線上に測定点を配置するための計測補助具(測定対象物)20を取り付けておく。ここで、4軸が真の原点位置にあるとすれば、5軸の回転は紙面と同じ面内で回転するものとする。
【0022】
次に、上記の姿勢において、例えばレーザー変位計(位置計測手段)等を用いて計測補助具20に定めた計測点(1)の位置(第1計測位置)を測定すると(ステップS2;第2工程)、5軸を逆方向に、角度θ(>θ5_2)だけ回転させる(ステップS3;第3工程,図5(b)参照)。この時、上記角度θが4軸の軸心に対して成す角度をθ5_2とする。続いて、少なくとも6軸を固定し、1軸,2軸,3軸及び5軸,並びに必要に応じて4軸を回転させて、計測補助具20に定めた計測点が前記計測点(1)に一致するように移動させる(ステップS4;第4工程,図5(c)参照)。ここで移動させた計測点を計測点(2)として、計測点(2)までの位置(第2計測位置)を計測する(ステップS5;第5工程)。
【0023】
この時、4軸の原点が真の原点位置にあれば、計測点(2)は計測点(1)に完全に一致するが、上記原点位置に誤差角度Δθ4がある場合には、計測点(2)と計測点(1)とは紙面の奥行き方向にズレを生じている。したがって、計測点(2)の位置を測定すれば計測点(1),(2)間のズレが誤差距離Eとして求められる。すると、これらの幾何学的位置関係が図6に示すように決まる。5軸の回転中心から計測補助具20に定めた計測点までの距離をLとすると、ステップS1の姿勢において、4軸の軸心から計測点(1)までの座標Yb軸方向の距離L1は、
L1=|L*sin(θ5_1)| …(1)
であり、ステップS4の姿勢において、4軸の軸心から計測点(2)までの座標Yb軸方向の距離L2は、
L2=|L*sin(θ5_2)| …(2)
である。
【0024】
したがって、誤差角度Δθ4が十分小さい場合には、
E=L1*Δθ4+L2*Δθ4
=L*{|sin(θ5_1)|+sin|(θ5_2)|}*Δθ4…(3)
となるから、誤差角度Δθ4は、
Δθ4=E/[L*{|sin(θ5_1)|+|sin(θ5_2)|}]…(4)
で求めることができる(ステップS6;第6工程)。
そして、誤差角Δθ4を求めると、その誤差角Δθ4により4軸の原点位置を較正する(ステップS7;第7工程)。
【0025】
ここで、図6では3次元的な位置関係を表現し切れていない部分があるため、再度図7を参照して(1)〜(4)式を説明する。図7(a)は4軸を正面から見ているが、上方から見た場合の4軸の回転方向を、時計回りの場合に(+)と定義する。そして、誤差角度Δθ4が(+)方向にずれているとすれば、ステップS2で計測点(1)について計測した位置は、図7(b)に示すように計算上の位置から(+)方向に、(1)式に誤差角度Δθ4を乗じた分だけずれている。するとこの場合、ステップS5で計測点(2)について計測した位置は、図7(c)に示すように計算上の位置から(−)方向に、(2)式に誤差角度Δθ4を乗じた分だけずれることになる。
【0026】
図7(d)は、レーザー変位計により計測位置(1),(2)を計測する状態を示しているが、
(誤差距離E)=(計測距離2)−(計測距離1) …(5)
とすると、この場合に(3)で求められる誤差距離Eの符号を(+)にすることで、(4)式の誤差角Δθ4の符号を(+)にする。したがって、この場合は、誤差角Δθ4を減算することで4軸の原点位置を較正する。また、図7(b)に示す計測位置(1)が計算上の位置に対して(−)方向にずれている場合は、(3)で求められる誤差距離Eの符号,並びに(4)式の誤差角Δθ4の符号は(−)になるから、この場合は、誤差角Δθ4を加算することで4軸の原点位置を較正することになる。更に、図7(a)に示す(+)方向の定義が逆で、図7(b)に示すズレの方向が現状通りの場合も同様に、(3)で求められる誤差距離Eの符号,並びに(4)式の誤差角Δθ4の符号は(−)になる。
【0027】
以上のように本実施例によれば、垂直多関節型の6軸ロボット2について、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための計測補助具20を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて計測点を第1計測位置に移動させ、第1計測位置をレーザー変位計により計測すると、5軸を、4軸の軸心の延長線から上記の回転方向とは逆方向に角度θだけ回転させる。次に、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ、第2計測位置をレーザー変位計により計測すると4軸の誤差角度Δθ4を(4)式で求め、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正するようにした。したがって、2軸,3軸について原点位置が較正済みであれば、4軸の誤差角度Δθ4を得て4軸の原点位置を較正できる。
【0028】
(第2実施例)
図8ないし図11は第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図8,図9は、第1実施例の図4,図5相当図である。第1実施例では、ステップS3における5軸の逆方向の回転角θを、ステップS1の姿勢における角度θ5_1よりも、大きくなるように設定したが、第2実施例では、ステップS3’における5軸の逆方向の回転角をステップS1の姿勢における角度θ5の2倍に設定する。
【0029】
これにより、ステップS4で計測点を計測点(1)に一致するように移動させると、図9(c)に示すように、ロボット2が計測点(1),(2)に移動させた際の各姿勢は、正面から見た場合に左右対象(ミラー状の姿勢)となる。この場合、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定し、4軸については、動かす必要がある場合と無い場合とがある。図10は、第4工程の姿勢を取らせる場合に4軸も固定し、1軸及び5軸のみを動かした場合の例を示す(但し、ロボット本体1の外形は、図1に示すものと若干異なる)。Z方向について位置を計測した場合であり、1軸では「−20.00」から「20.00」に、5軸では「110.00」から「−110.00」に変位している。また、図11は、同様の場合に、1軸,4軸及び5軸を動かした場合の例であり、X方向について計測した位置が、1軸では「30.00」から「−30.00」に、4軸では「120.00」から「60.00」に、5軸では「−90.00」から「90.00」に変位している。
【0030】
また第2実施例において、ステップS6’で求める誤差角度Δθ4は、(4)式に替わって(6)式となる。
Δθ4=E/{2L*|sin(θ5)|} …(6)
このように第2実施例によれば、ロボット2により計測点(1)から計測点(2)に移動させる場合に、正面から見てミラー状の姿勢を取らせることで2軸,3軸を回転させる必要がない。したがって、2軸,3軸の原点位置が較正済みでなくても、4軸の誤差角度Δθ4を求めて原点位置を較正することができる。
【0031】
(第3実施例)
図12は第3実施例であり、第1実施例を7軸ロボットに適用した場合を示す。図10(a)は、一般的な7軸ロボットの図3相当図である。このように、7軸ロボットは、6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで、図10(b)に示すように、第1実施例の原点位置較正方法を、7軸ロボットの5軸原点位置較正方法に適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。
【0032】
本発明は、上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
第1工程において、4軸の軸心と1軸の軸心とは、必ずしも平行である必要はない。
位置計測手段は、レーザー変位計に限ることなく、位置を計測する手法は任意である。
第2実施例を、第3実施例の7軸ロボットに適用しても良い。
上記実施例に示した計算式は、角度が弧度法[rad]で示されることを前提としているが、度数法を用いる場合でも弧度法との整合をとれば同じ結果がもたらされる。したがって、角度を度数法で示した計算式を用いて、同様に4軸又は5軸の原点ずれを求めても良い。
【符号の説明】
【0033】
図面中、2はロボット(6軸ロボット、多関節型ロボット)、3は制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、6軸ロボットにおける4軸の原点位置を較正する方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法,7軸ロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば6軸ロボットなどの多関節型ロボットにおける各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータなどの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。各軸の原点位置を較正する方法としては、大型の検出器具を設置したりする方法や(例えば特許文献1参照)、検出用の特殊センサを追加する方法(例えば特許文献1,2参照)がある。また、特許文献3〜5には、6軸ロボットについて大型の検出器具を設置することなく、5軸,3軸,2軸の原点位置を較正する方法や装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−304893公報
【特許文献2】特開2003−220587号公報
【特許文献3】特開2009−274186号公報
【特許文献4】特開2009−274187号公報
【特許文献5】特開2009−274188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大型の検出器具を設置する方法については設置するスペースを確保することが困難となるおそれがある。また、検出用の特殊センサを追加する方法についてはコストアップの原因になるので、実施を避けたいという事情がある。そして、これらの事情を考慮した上で6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法については、従来提案されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型の検出器具を設置したりする必要がなく、6軸ロボットについて4軸の原点位置を適切に較正できる6軸ロボットの4軸原点位置較正方法,6軸ロボットの制御装置,7軸ロボットについて5軸の原点位置を適切に較正できる7軸ロボットの5軸原点位置較正方法及び7軸ロボットの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の6軸ロボットの4軸原点位置較正方法によれば、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて、計測点を第1計測位置に移動させると(第1工程)、第1計測位置を位置計測手段により計測する(第2工程)。次に、5軸を、4軸の軸心の延長線から第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させる(第3工程)と、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(第4工程)、第2計測位置を位置計測手段により計測する(第5工程)。尚、第4工程において、4軸は動かす必要がある場合とない場合とがある。そして、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求める(第6工程)と、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(第7工程)。尚、上記式の右辺は、4軸の回転方向について正負をどのように定義するかに応じて変化する。
【0006】
すなわち、4軸の原点位置が誤差角度Δθ4を含んでいれば、第1工程において6軸ロボットに取らせた姿勢で測定した第1計測位置と、第4工程で5軸を回転させた後に測定した第2計測位置との間には、誤差角度Δθ4のみに応じた誤差距離Eが存在する。そして、誤差距離Eは、5軸から計測点までの距離Lに基づき、4軸の軸心から第1,第2計測位置までの距離L*sin(θ5)に誤差角度Δθ4を乗じた値の2倍から求められる。したがって、たとえその他の軸の原点位置が較正されていない状態であっても4軸の誤差角度Δθ4を得ることができ、4軸の原点位置を較正できる。
【0007】
請求項2記載の6軸ロボットの4軸原点位置較正方法によれば、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて、計測点を第1計測位置に移動させる(第1工程)と、第1計測位置を位置計測手段により計測する(第2工程)。次に、5軸を、4軸の軸心の延長線から第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させる(第3工程)と、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ(第4工程)、第2計測位置を位置計測手段により計測する(第5工程)。尚、第4工程において、4軸は動かす必要がある場合とない場合とがある。そして、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求めると(第6工程)、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正する(第7工程)。
【0008】
すなわち、4軸の原点位置が誤差角度Δθ4を含んでいれば、第1工程において6軸ロボットに取らせた姿勢で測定した第1計測位置と、第4工程で5軸を回転させた後に測定した第2計測位置との間には、誤差角度Δθ4のみに応じた誤差距離Eが存在する。そして、誤差距離Eは、5軸から計測点までの距離Lに基づき、4軸の軸心から第1計測位置までの距離L*sin(θ5_1)に誤差角度Δθ4を乗じた値と、4軸の軸心から第2計測位置までの距離L*sin(θ5_2)に誤差角度Δθ4を乗じた値とから求められるため、誤差角度Δθ4について上式の関係が得られる。但しこの場合、2軸,3軸については原点位置が較正済みであることが前提となるが、請求項1と同様に4軸の誤差角度Δθ4を得て4軸の原点位置を較正できる。
【0009】
請求項3記載の6軸ロボットの制御装置によれば、位置・姿勢制御手段は、5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させた後に、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させると、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる。そして、原点位置較正手段は、5軸から計測点までの距離をL,第1計測位置と第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求め、誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する。したがって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0010】
請求項4記載の6軸ロボットの制御装置によれば、位置・姿勢制御手段は、5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させた後に、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させると、少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる。そして、原点位置較正手段は、5軸から計測点までの距離をL,第1計測位置と第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求め、誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する。したがって、請求項2と同様の効果が得られる。
【0011】
請求項5,6記載の7軸ロボットの5軸原点位置較正方法によれば、請求項1,2記載の発明を7軸ロボットに適用して実施できる。すなわち、7軸ロボットは、一般に6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで請求項1,2記載の発明を7軸ロボットに適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。また、請求項7,8記載の7軸ロボットの制御装置によれば、上記と同様の理由で、請求項3,4記載の発明を7軸ロボットに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例であり、ロボット装置の斜視図
【図2】機能ブロック図
【図3】各軸の関係を示す模式図
【図4】フローチャート
【図5】状態遷移図
【図6】計測点と角度誤差Δθ4との幾何学的関係を示す図
【図7】(a)4軸の回転方向の正負を定義する図,(b)(c)は図6の部分図,(d)はレーザー変位計が距離を測定する状態を示す図
【図8】第2実施例を示す図4相当図
【図9】図5相当図
【図10】計測点(1),(2)に対応する姿勢について、ロボットの各軸の変位量を示す図(その1)
【図11】図10相当図(その2)
【図12】第3実施例を示す(a)は図3相当図、(b)は図5(a)相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施例)
以下、第1実施例について図1ないし図7を参照して説明する。ロボット装置1は、図1に示すように、垂直多関節型ロボット(以下、ロボットと称する)2と、ロボット2の動作を制御する制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)3と、制御装置3に接続されているティーチングペンダント4とを備えて構成されている。
【0014】
ロボット2は、ベース5と、ベース5に水平方向に旋回可能に支持されているショルダ部6と、ショルダ部6に上下方向に旋回可能に支持されている下アーム7と、下アーム7に上下方向に旋回可能に支持されている第1の上アーム8と、第1の上アーム8の先端部に捻り回転可能に支持されている第2の上アーム9と、第2の上アーム9に上下方向に回転可能に支持されている手首10と、手首10に回転(捻り動作)可能に支持されているフランジ11とを備えて構成されている。
【0015】
上記したベース5を含め、ショルダ部6、下アーム7、第1の上アーム8、第2の上アーム9、手首10及びフランジ11は、ロボット2のリンクとして機能し、ベース5を除く各リンクは、下段のリンクに対して回転関節により回転可能に連結されている。最先端のリンクであるフランジ11は、ワークを把持するためのハンド(図示せず)が取付け可能になっている。また、リンク同士を連結する回転関節には前段のリンク側に固定されているモータの回転を減速して次段のリンクに伝達する減速装置が設けられている。
【0016】
尚、本実施例では、第1のリンクであるベース5と第2のリンクであるショルダ部6との間を連結する回転関節の関節軸を1軸、第2のリンクであるショルダ部6と第3のリンクである下アーム7との間を連結する回転関節の関節軸を2軸、第3のリンクである下アーム7と第4のリンクである第1の上アーム8との間を連結する回転関節の関節軸を3軸、第4のリンクである第1の上アーム8と第5のリンクである第2の上アーム9との間を連結する回転関節の関節軸を4軸、第5のリンクである第2の上アーム9と第6のリンクである手首10との間を連結する回転関節の関節軸を5軸、第6のリンクである手首10と第7のリンクであるフランジ11との間を連結する回転関節の関節軸を6軸として図示している。
すなわち、ロボット2は、図3に示すように、6軸の垂直多関節を有するPUMA型のロボットであり、1軸の回転軸が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の回転軸が1軸の回転軸と直交し、2軸の回転軸と3軸の回転軸と5軸の回転軸とが平行で、5軸の回転軸が4軸の回転軸及び6軸の回転軸と同一点で直交する構成となっている。
【0017】
ロボット2の動作を制御する制御装置3は、図2に示すように、CPU12と、駆動回路13と、位置検出回路14とを備えて構成されている。CPU12には、ロボット2全体のシステムプログラムや動作プログラムを作成するためのロボット言語などを記憶するROM15及びロボット2の動作プログラムなどを記憶するRAM16が接続されていると共に、ティーチング作業を行なう際に使用するティーチングペンダント4が接続されている。ティーチングペンダント4は、図1に示すように、各種の操作部4a及び表示器4bを備えて構成されている。
【0018】
位置検出回路14は、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の位置を検出するためのもので、ショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11の軸毎の駆動源であるモータ17に設けられているロータリエンコーダ18が接続されている。位置検出回路14は、ロータリエンコーダ18から入力する検出信号に基づいてベース5に対するショルダ部6の回転角度、ショルダ部6に対する下アーム7の回転角度、下アーム7に対する第1の上アーム8の回転角度、第1の上アーム8に対する第2の上アーム9の回転角度、第2の上アーム9に対する手首10の回転角度、手首10に対するフランジ11の回転角度を検出し、それら検出した位置検出情報をCPU12に出力する。そして、CPU12は、動作プログラムに基づいてショルダ部6、各アーム7〜9、手首10及びフランジ11を動作させる際に、位置検出回路14から入力する位置検出情報をフィードバック信号としてそれらの動作を制御する。
【0019】
各リンクには、図1に示すように、3次元の座標が規定されている。このうち、床面に据え付けられるベース5の座標系は、不動の座標系としてロボット2の基準座標とされるものであり、ベース5の下端中心を原点とし、水平方向の2つの座標軸Xb,Yb及び垂直方向の1つの座標軸Zbが規定されている。他のリンクの座標系は、各回転関節の回転により基準座標上での位置と向きが変化し、CPU12は、位置検出回路14から入力するショルダ部6、各アーム7〜9、手首10、フランジ11の各回転関節の位置検出情報と予め記憶されている各関節の長さ情報とに基づいて各関節の座標の位置と向きとを座標変換の計算機能により基準座標上での位置と向きとに変換して認識する。
【0020】
さて、上記したロボット2においては、各軸の原点位置の較正は、基本的には工場出荷前の段階で工場にて行われ、工場から出荷されて設置先に設置された後ではモータなどの交換により原点位置が変更された場合に設置先にて行われる。以下、上記した構成の作用として、4軸の原点位置を較正する手順について図4ないし図6を参照して説明する。
CPU12は、4軸の原点位置を較正する制御プログラムを記憶保持しており、その制御プログラムを実行して4軸の原点位置を較正する。尚、2軸,3軸については、既に原点位置が較正済みであることを前提とする。ここで、図4は、CPU12が行う処理を示しており、図5(a)は、計測点(1)を計測するためのロボット2の初期姿勢を示している。尚、図5では1軸〜3軸の図示を省略している。
【0021】
この姿勢は、4軸を原点位置に設定した上で、第2上アーム9が設置面に対して垂直となるように、且つそれらの第2上アーム9が座標軸Zbの負方向を向くように2軸,3軸を回転させる(前記条件を満たす範囲で、これらの回転角度は任意)。更に、5軸を、4軸の軸心に対して任意の角度θ5_1だけ回転させる(ステップS1;第1工程)。尚、角度の単位は[rad]とする。そして、フランジ11には、6軸の軸心の延長線上に測定点を配置するための計測補助具(測定対象物)20を取り付けておく。ここで、4軸が真の原点位置にあるとすれば、5軸の回転は紙面と同じ面内で回転するものとする。
【0022】
次に、上記の姿勢において、例えばレーザー変位計(位置計測手段)等を用いて計測補助具20に定めた計測点(1)の位置(第1計測位置)を測定すると(ステップS2;第2工程)、5軸を逆方向に、角度θ(>θ5_2)だけ回転させる(ステップS3;第3工程,図5(b)参照)。この時、上記角度θが4軸の軸心に対して成す角度をθ5_2とする。続いて、少なくとも6軸を固定し、1軸,2軸,3軸及び5軸,並びに必要に応じて4軸を回転させて、計測補助具20に定めた計測点が前記計測点(1)に一致するように移動させる(ステップS4;第4工程,図5(c)参照)。ここで移動させた計測点を計測点(2)として、計測点(2)までの位置(第2計測位置)を計測する(ステップS5;第5工程)。
【0023】
この時、4軸の原点が真の原点位置にあれば、計測点(2)は計測点(1)に完全に一致するが、上記原点位置に誤差角度Δθ4がある場合には、計測点(2)と計測点(1)とは紙面の奥行き方向にズレを生じている。したがって、計測点(2)の位置を測定すれば計測点(1),(2)間のズレが誤差距離Eとして求められる。すると、これらの幾何学的位置関係が図6に示すように決まる。5軸の回転中心から計測補助具20に定めた計測点までの距離をLとすると、ステップS1の姿勢において、4軸の軸心から計測点(1)までの座標Yb軸方向の距離L1は、
L1=|L*sin(θ5_1)| …(1)
であり、ステップS4の姿勢において、4軸の軸心から計測点(2)までの座標Yb軸方向の距離L2は、
L2=|L*sin(θ5_2)| …(2)
である。
【0024】
したがって、誤差角度Δθ4が十分小さい場合には、
E=L1*Δθ4+L2*Δθ4
=L*{|sin(θ5_1)|+sin|(θ5_2)|}*Δθ4…(3)
となるから、誤差角度Δθ4は、
Δθ4=E/[L*{|sin(θ5_1)|+|sin(θ5_2)|}]…(4)
で求めることができる(ステップS6;第6工程)。
そして、誤差角Δθ4を求めると、その誤差角Δθ4により4軸の原点位置を較正する(ステップS7;第7工程)。
【0025】
ここで、図6では3次元的な位置関係を表現し切れていない部分があるため、再度図7を参照して(1)〜(4)式を説明する。図7(a)は4軸を正面から見ているが、上方から見た場合の4軸の回転方向を、時計回りの場合に(+)と定義する。そして、誤差角度Δθ4が(+)方向にずれているとすれば、ステップS2で計測点(1)について計測した位置は、図7(b)に示すように計算上の位置から(+)方向に、(1)式に誤差角度Δθ4を乗じた分だけずれている。するとこの場合、ステップS5で計測点(2)について計測した位置は、図7(c)に示すように計算上の位置から(−)方向に、(2)式に誤差角度Δθ4を乗じた分だけずれることになる。
【0026】
図7(d)は、レーザー変位計により計測位置(1),(2)を計測する状態を示しているが、
(誤差距離E)=(計測距離2)−(計測距離1) …(5)
とすると、この場合に(3)で求められる誤差距離Eの符号を(+)にすることで、(4)式の誤差角Δθ4の符号を(+)にする。したがって、この場合は、誤差角Δθ4を減算することで4軸の原点位置を較正する。また、図7(b)に示す計測位置(1)が計算上の位置に対して(−)方向にずれている場合は、(3)で求められる誤差距離Eの符号,並びに(4)式の誤差角Δθ4の符号は(−)になるから、この場合は、誤差角Δθ4を加算することで4軸の原点位置を較正することになる。更に、図7(a)に示す(+)方向の定義が逆で、図7(b)に示すズレの方向が現状通りの場合も同様に、(3)で求められる誤差距離Eの符号,並びに(4)式の誤差角Δθ4の符号は(−)になる。
【0027】
以上のように本実施例によれば、垂直多関節型の6軸ロボット2について、6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための計測補助具20を取り付け、5軸を4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて計測点を第1計測位置に移動させ、第1計測位置をレーザー変位計により計測すると、5軸を、4軸の軸心の延長線から上記の回転方向とは逆方向に角度θだけ回転させる。次に、少なくとも6軸を固定して、計測点を、第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させ、第2計測位置をレーザー変位計により計測すると4軸の誤差角度Δθ4を(4)式で求め、誤差角度Δθ4を用いて4軸の原点位置を較正するようにした。したがって、2軸,3軸について原点位置が較正済みであれば、4軸の誤差角度Δθ4を得て4軸の原点位置を較正できる。
【0028】
(第2実施例)
図8ないし図11は第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図8,図9は、第1実施例の図4,図5相当図である。第1実施例では、ステップS3における5軸の逆方向の回転角θを、ステップS1の姿勢における角度θ5_1よりも、大きくなるように設定したが、第2実施例では、ステップS3’における5軸の逆方向の回転角をステップS1の姿勢における角度θ5の2倍に設定する。
【0029】
これにより、ステップS4で計測点を計測点(1)に一致するように移動させると、図9(c)に示すように、ロボット2が計測点(1),(2)に移動させた際の各姿勢は、正面から見た場合に左右対象(ミラー状の姿勢)となる。この場合、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定し、4軸については、動かす必要がある場合と無い場合とがある。図10は、第4工程の姿勢を取らせる場合に4軸も固定し、1軸及び5軸のみを動かした場合の例を示す(但し、ロボット本体1の外形は、図1に示すものと若干異なる)。Z方向について位置を計測した場合であり、1軸では「−20.00」から「20.00」に、5軸では「110.00」から「−110.00」に変位している。また、図11は、同様の場合に、1軸,4軸及び5軸を動かした場合の例であり、X方向について計測した位置が、1軸では「30.00」から「−30.00」に、4軸では「120.00」から「60.00」に、5軸では「−90.00」から「90.00」に変位している。
【0030】
また第2実施例において、ステップS6’で求める誤差角度Δθ4は、(4)式に替わって(6)式となる。
Δθ4=E/{2L*|sin(θ5)|} …(6)
このように第2実施例によれば、ロボット2により計測点(1)から計測点(2)に移動させる場合に、正面から見てミラー状の姿勢を取らせることで2軸,3軸を回転させる必要がない。したがって、2軸,3軸の原点位置が較正済みでなくても、4軸の誤差角度Δθ4を求めて原点位置を較正することができる。
【0031】
(第3実施例)
図12は第3実施例であり、第1実施例を7軸ロボットに適用した場合を示す。図10(a)は、一般的な7軸ロボットの図3相当図である。このように、7軸ロボットは、6軸ロボットでは2軸,3軸に対応する2軸,4軸の間に、これらの軸心に直交する軸心を有する3軸を備えて構成されている。したがって、6軸ロボットの3軸〜6軸を7軸ロボットの4軸〜7軸に置き換えることで、図10(b)に示すように、第1実施例の原点位置較正方法を、7軸ロボットの5軸原点位置較正方法に適用できる。但しこの場合、3軸の原点位置は較正済みであることが前提となる。
【0032】
本発明は、上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
第1工程において、4軸の軸心と1軸の軸心とは、必ずしも平行である必要はない。
位置計測手段は、レーザー変位計に限ることなく、位置を計測する手法は任意である。
第2実施例を、第3実施例の7軸ロボットに適用しても良い。
上記実施例に示した計算式は、角度が弧度法[rad]で示されることを前提としているが、度数法を用いる場合でも弧度法との整合をとれば同じ結果がもたらされる。したがって、角度を度数法で示した計算式を用いて、同様に4軸又は5軸の原点ずれを求めても良い。
【符号の説明】
【0033】
図面中、2はロボット(6軸ロボット、多関節型ロボット)、3は制御装置(位置・姿勢制御手段,原点位置較正手段)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法であって、
6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
5軸を、4軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させる第3工程と、
少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする6軸ロボットの4軸原点位置較正方法。
【請求項2】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法であって、
6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
5軸を、4軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させる第3工程と、
少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする6軸ロボットの4軸原点位置較正方法。
【請求項3】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの制御装置であって、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させると、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求め、前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする6軸ロボットの制御装置。
【請求項4】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの制御装置であって、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させると、少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求め、前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする6軸ロボットの制御装置。
【請求項5】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法であって、
7軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
6軸を、5軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ6だけ回転させる第3工程と、
少なくとも3軸,4軸及び7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/{2L|sin(θ6)|}
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする7軸ロボットの5軸原点位置較正方法。
【請求項6】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法であって、
7軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
6軸を、5軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ6_1)だけ回転させる第3工程と、
少なくとも7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが5軸の軸心に対して成す角をθ6_2とすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/[L{|sin(θ6_2)|+|sin(θ6_1)|}]
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする7軸ロボットの5軸原点位置較正方法。
【請求項7】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットの制御装置であって、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、7軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、6軸を、5軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ6だけ回転させると、少なくとも3軸,4軸及び7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/{2L|sin(θ6)|}
より求め、前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする7軸ロボットの制御装置。
【請求項8】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットの制御装置であって、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、7軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、6軸を、5軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ6_1)だけ回転させると、少なくとも7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが5軸の軸心に対して成す角をθ6_2とすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/[L{|sin(θ6_2)|+|sin(θ6_1)|}]
より求め、前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする7軸ロボットの制御装置。
【請求項1】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法であって、
6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
5軸を、4軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させる第3工程と、
少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする6軸ロボットの4軸原点位置較正方法。
【請求項2】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの4軸の原点位置を較正する方法であって、
6軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
5軸を、4軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させる第3工程と、
少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする6軸ロボットの4軸原点位置較正方法。
【請求項3】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの制御装置であって、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ5だけ回転させると、少なくとも2軸,3軸及び6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/{2L|sin(θ5)|}
より求め、前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする6軸ロボットの制御装置。
【請求項4】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心が1軸の軸心と直交し、2軸の軸心と3軸の軸心と5軸の軸心とが互いに平行で、5軸の軸心が4軸の軸心及び6軸の軸心と同一点で直交するように構成される6軸ロボットの制御装置であって、
5軸を、4軸の軸心の延長線から所定の角度θ5_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、6軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、5軸を、4軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ5_1)だけ回転させると、少なくとも6軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
5軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが4軸の軸心に対して成す角をθ5_2とすると、4軸の誤差角度Δθ4を、以下の式
Δθ4=E/[L{|sin(θ5_2)|+|sin(θ5_1)|}]
より求め、前記誤差角度Δθ4を用いて、4軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする6軸ロボットの制御装置。
【請求項5】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法であって、
7軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
6軸を、5軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ6だけ回転させる第3工程と、
少なくとも3軸,4軸及び7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/{2L|sin(θ6)|}
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする7軸ロボットの5軸原点位置較正方法。
【請求項6】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットにおける5軸の原点位置を較正する方法であって、
7軸の軸心の延長線上に計測点を定めるための測定対象物を取り付け、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、前記計測点を第1計測位置に移動させる第1工程と、
前記第1計測位置を、位置計測手段により計測する第2工程と、
6軸を、5軸の軸心の延長線から前記第1工程の回転方向とは逆方向に角度θ(>θ6_1)だけ回転させる第3工程と、
少なくとも7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる第4工程と、
前記第2計測位置を、前記位置計測手段により計測する第5工程と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが5軸の軸心に対して成す角をθ6_2とすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/[L{|sin(θ6_2)|+|sin(θ6_1)|}]
より求める第6工程と、
前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する第7工程とからなることを特徴とする7軸ロボットの5軸原点位置較正方法。
【請求項7】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットの制御装置であって、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、7軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、6軸を、5軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ6だけ回転させると、少なくとも3軸,4軸及び7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をEとすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/{2L|sin(θ6)|}
より求め、前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする7軸ロボットの制御装置。
【請求項8】
1軸の軸心が6軸ロボットの設置面と直交し、2軸の軸心と1軸の軸心とが直交し、3軸の軸心と2軸の軸心とが直交し、2軸の軸心と4軸の軸心と6軸の軸心とが互いに平行で、6軸の軸心が5軸の軸心及び7軸の軸心と同一点で直交するように構成される7軸ロボットの制御装置であって、
6軸を、5軸の軸心の延長線から所定の角度θ6_1だけ回転させて(角度の単位は[rad]とする)、7軸の軸心の延長線上に定めた計測点を第1計測位置に移動させ、
その後、6軸を、5軸の軸心の延長線から前記回転の方向とは逆方向に角度θ(>θ6_1)だけ回転させると、少なくとも7軸を固定して、前記計測点を、前記第1計測位置と同じ位置となる第2計測位置に移動させる位置・姿勢制御手段と、
6軸から前記計測点までの距離をL,前記第1計測位置と前記第2計測位置との距離をE,角度θが5軸の軸心に対して成す角をθ6_2とすると、5軸の誤差角度Δθ5を、以下の式
Δθ5=E/[L{|sin(θ6_2)|+|sin(θ6_1)|}]
より求め、前記誤差角度Δθ5を用いて、5軸の原点位置を較正する原点位置較正手段とを備えたことを特徴とする7軸ロボットの制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−51082(P2012−51082A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196671(P2010−196671)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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